説明

単層カーボンナノチューブを含有する塗布用組成物

カーボンナノチューブの少なくとも0.5原子%の量で、カルボン酸、硝酸塩、ヒドロキシル、硫黄含有基、カルボン酸塩、及びリン酸塩から成る群から選択された、共有結合された親水性種を有する単層カーボンナノチューブの水性分散体を含む塗布用組成物であって、前記カーボンナノチューブが、前記分散体の少なくとも0.05重量%の量で存在する塗布用組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜又はパターン化された構成要件を形成するのに一般的に採用される塗布方法に適した固形分ローディング率で安定な分散体を生成するために、実質的に水性の系中に単層カーボンナノチューブを分散させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単層カーボンナノチューブ(SWCNT: Single wall carbon nanotube)は本質的に、巻かれて中空円筒体にされているグラフェンシートであり、六角形及び五角形を成して配列されたsp2混成炭素から成る外径0.4 nm〜10 nmの細管をもたらす。これらのSWCNTの各端部は典型的には、SWCNTの直径に適したサイズの半球形フラーレン(バッキーボール)でキャップされる。しかしながら、これらのエンドキャップは、細管をキャップしない状態で残す適切な処理技術によって除去することもできる。SWCNTは、単一の細管として、或いは、典型的にはロープ又はバンドルと呼ばれる集合形態で存在することができる。これらのロープ又はバンドルは、チューブ間の間隔がほぼ3〜4Åである三角格子を形成する、ファンデルワールス相互作用によって集合させられた数百のSWCNTを含有することができる。SWCNTロープは、連携するSWCNTバンドルから成ることができる。
【0003】
SWCNTの固有の特性は、多くの用途における使用にとってこれらを魅力的なものにする。SWCNTは高い(例えば金属伝導率)電子伝導率、高い熱伝導率、高いモジュラス及び引張り強度、高いアスペクト比、及びその他の独自の特性を有することができる。さらに、SWCNTは、炭素原子の幾何学的配列及びSWCNTの物理的寸法に応じて、金属、半金属、又は半導体であることができる。単層カーボンナノチューブのサイズ及び構造を特定するために、システムが開発され、下記に説明され、そして現在利用されている。SWCNTは指数(n, m)によって記述され、n及びmは、単一の六角形グラファイト・ストリップを、このストリップが巻かれて円筒形にされたときにその縁部が継ぎ目なしに接合するように、どのように切断するかを記述する整数である。n=m、例えば(n, n)である場合、結果として得られるチューブは、「ひじ掛け椅子」又は(n, n)型であると言われる。それというのも、チューブがチューブ軸に対して垂直に切断されると、六角形の辺だけが露出され、そしてチューブ縁部の周囲の六角形のパターンは、ひじ掛け椅子のひじ掛けとシートとがn回繰り返されたものに似ているからである。m=0の場合、その結果として生じたチューブは、「ジグザグ」又は(n, 0) 型であると言われる。それというのもチューブがチューブ軸に対して垂直に切断されると、エッジはジグザグのパターンになるからである。n≠m及びm≠0の場合、その結果として生じたチューブはキラル性を有する。電子特性は構造に依存し、例えばひじ掛け椅子型チューブは金属様であり、極めて高い導電性を有している。他のチューブ・タイプはこれらの構造に応じて金属、半金属、又は半導体である。SWCNTはキラル性とは無関係に、極めて高い熱伝導性及び引張り強度を有している。SWCNTの金属(ほぼ4.7 eV)タイプ及び半導体(ほぼ5.1 eV)タイプの仕事関数は異なる。
【0004】
炭素同素体(例えばグラファイト、ダイヤモンド)の他の形態と同様に、これらのSWCNTは、扱いにくく、また、たいていの溶剤(有機及び水性など)中に本質的に不溶性である。従って、SWCNTは、種々の用途のために加工するのが極めて困難であった。多くの場合、SWCNTをプリスチン(pristine)な状態、すなわち、SWCNTが表面(内側又は外側)の欠陥を本質的に含まない状態で利用することが望まれる。このようなプリスチンなチューブはたいていの溶剤中、特に水性系中で扱いにくい。SWCNTを種々の溶剤中に可溶性にするいくつかの方法が採用されている。1つのアプローチは、SWCNTの端部を親水性又は疎水性部分で共有結合的に官能化することである。第2のアプローチは、SWCNTを可溶化するのを助けるために、高レベルの界面活性剤及び/又は分散剤(小分子又は高分子)を添加することである。
【0005】
Haddon他は米国特許第6,368,569号明細書において、単層又は多層カーボンナノチューブに分枝状又は非分枝状脂肪族長鎖、例えば長鎖アミン(例えばドデシルアミン、ペンタコシルアミンなど)を共有結合することにより、有機溶剤(THF、ジクロロベンゼン、DMF、クロロホルム、ベンゼン、トルエンなど)中にSWCNT及び多層カーボンナノチューブ(MWCNT)を可溶化する方法を開示している。有機溶剤の使用は、溶剤のコスト、及び上記のこのような溶剤の有害性により望ましくない。さらに、有機溶剤は典型的には、除去/廃棄のための処理流におけるコストを増大させる。長鎖脂肪族化合物は、所期用途にとって有用ではない、しかもSWCNTの材料特性を妨げるおそれのある高いレベルの化学材料が添加される可能性により、望ましくない。このような長鎖脂肪族は後処理工程において除去することができるが、このような工程は望ましくないコスト及び時間を増大させる。
【0006】
Bin Zhao、Hui Hu、及びRobert Haddonによる「水溶性単層カーボンナノチューブ-ポリ(m-アミノベンゼンスルホン酸)(PABS)グラフトコポリマーの合成及び特性(Synthesis and Properties of a Water-Soluble Single-Walled Carbon Nanotube-Poly(m-aminobenzene sulfonic acid)(PABS) Graft Copolymer)」と題される最近の刊行物(学術論文Advanced Functional Materials 2004, 第14巻、第1号、第71頁)には、官能化されたSWCNT電子伝導性材料のための組成物が開示されている。Zhaoは、SWCNTの壁上に共有結合的にグラフトされたPABSを有するSWCNTを開示している。官能化されたSWCNTの導電率は、5.6×10-3 S/cmであることが見いだされ、これは、電子デバイスには十分ではない。
【0007】
Connell他は、米国特許出願公開第2003/0158323号明細書において、導電性であり透明であるポリマー/SWCNT複合体を製造する方法を記載している。ポリマー(ポリイミド、コポリイミド、ポリアミド酸、ポリアリーレンエーテル、ポリメチルメタクリレート)、及びSWCNT又はMWCNTは、可視スペクトルにおける種々の透過率とともに、10-5〜10-12 S/cmの導電率を有する皮膜を流延するために、有機溶剤(DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリジノン、トルエン)中で混合される。加えて、結果として生じるポリマーのモノマーを、好適な溶剤中でSWCNTと混合し、種々の重量比を有する複合体をもたらすために、これらのSWCNTの存在において重合することもできる。これらのポリマー複合体中で達成される導電率は、桁違いに低すぎ、電子伝導体又はEMIシールドとしてたいていの電子デバイス内で使用するのに最適ではない。加えて、使用される有機溶剤は有害であり、高価であり、そして処理の問題を引き起こす。さらに、使用又は重合されるポリマーは、導電性ではなく、そしてチューブ間の接触を妨げて、複合体の抵抗率をさらに高めるおそれがある。
【0008】
Kupel他は国際公開第03/060941号パンフレットにおいて、懸濁されたカーボンナノチューブを形成するための組成物を開示している。これらの組成物は、好適な界面活性剤(臭化/塩化/ヨウ化セチルトリメチルアンモニウム)とともに液体、及びSWCNT又はMWCNTから成っている。例に提供されたSWCNTに対する界面活性剤の重量比は1.4〜5.2である。この方法は、SWCNTを可溶化するために極めて高いレベルの界面活性剤を必要とするため問題をはらむ。界面活性剤は絶縁性であり、この組成物から堆積された皮膜の導電性を妨害する。界面活性剤を皮膜から洗浄することはできるが、しかしこの工程は複雑さを増し、そして処理の効率を減少させるおそれがある。さらに、このような組成物から堆積された皮膜から形成される構造に起因して、界面活性剤すべてを除去することは極めて難しくなる。
【0009】
Smalley他は米国特許第6,645,455号明細書において、種々の溶剤中の溶媒和を容易にするためにSWCNTを化学的に誘導体化するための方法を開示している。最初に、種々の誘導基(アルキル鎖、アシル、チオール、アミノ、アリールなど)は、SWCNTの端部に添加される。SWCNTの側壁は主としてフッ素基で官能化され、フッ素化SWCNTを生じさせる。2-プロパノール中のこのような「フルオロチューブ」の溶解度限界は、ほぼ0.1 mg/mLであり、水又は水/アセトン混合物中では溶解度は本質的にゼロである。メチル化SWCNTを産出するために、フッ素化SWCNTに更なる化学反応を施し、これらのチューブはクロロホルム中で低い溶解度を有するが、しかしその他の溶剤中には溶解度を有さない。このような低い濃度は大量生産において有用なほとんどの堆積技術にとって実際的でなく、そして使用不能である。さらに、このような高い液体ロード率は、余分の乾燥を考慮に入れる必要があり、そして過剰の溶剤からの混合に起因して、パターン化された画像を破壊するおそれがある。加えて、この方法は、種々の官能化基(アシル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルキル、アミノ、ハロゲン、チオール)による細管端部の官能化を開示するが、しかし、端部官能化だけでは、可溶化を介して実現可能な分散体を製造するのに十分でないことがある。さらに、側壁官能化はフッ素だけで行われ、このことはアルコール中の溶解度を制限し、このような溶解度制限は、製造及び/又は製品加工をより難しくするおそれがある。加えて、フッ素化SWCNTはフッ素化に起因して絶縁体であり、そしてこれにより、特に電子伝導体としては電子デバイスにとって有用でない。さらに、SWCNTの終点にこれらの官能基を添加するために必要な化学転換は、有害であり高価であり得る追加の処理工程及び化学物質を必要とする。
【0010】
Smalley他は米国特許第6,683,783号明細書において、長さ5〜500 nmのSWCNTをもたらす、SWCNT材料の精製方法を開示している。この特許明細書の中では、水中に0.1 mg/mLのSWCNTを分散させるために、0.5重量%の界面活性剤Triton X-100を使用する配合物が開示されている。このような低い濃度のSWCNTは、大量生産において有用なほとんどの堆積技術にとって実際的でなく、そして使用不能である。さらに、このような高い液体ロード率は、余分の乾燥を考慮に入れる必要があり、そして過剰の溶剤からの混合に起因して、パターン化された画像を破壊するおそれがある。加えて、この方法は、種々の官能化基(アシル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルキル、アミノ、ハロゲン、チオール)による細管端部の官能化を開示するが、しかし、端部官能化だけでは、可溶化を介して実現可能な分散体を製造するのに十分でないことがある。さらに、SWCNTの終点にこれらの官能基を添加するために必要な化学転換は、有害であり高価であり得る追加の処理工程及び化学物質を必要とする。また、上記特許は、少なくとも99重量%の単層炭素分子である当該組成物を主張しており、このことは明らかに、SWCNT上に配置することができる官能化量を制限し、これにより、その可溶化レベル及び処理可能性を制限する。
【0011】
Elkovitchは、米国特許出願公開第2004/0232389号明細書において、ナノサイズの分散剤を使用して、ポリマー樹脂中にカーボンナノチューブを乾式配合することにより製造された導電性組成物を開示している。この方法は、複合体を形成するための乾式混合法を用いるにすぎず、分散効果を制限するので不利である。加えて、カーボンナノチューブをポリマーマトリックス中に良好に分散させるために、コストを増大させるナノ粒子(粘土、金属酸化物)が使用される。
【0012】
Rinzler他は、国際公開第2004/09884号パンフレットにおいて、波長3 μmにおけいて200オーム/□及び少なくとも30 %の透過率を達成するように、多孔質膜上にSWCNT膜を形成する方法を開示する。この方法は、多数のサブミクロン孔を備えた高容積の孔を有する多孔質膜(例えばポリカーボネート又は混合セルロースエステル)を必要し、このことは、前記孔を通してかなりな量のSWCNT分散体を失い、これにより、かなりな量の材料を無駄にするおそれがあるので不利である。また、このような膜は、多くの電子デバイス、例えばディスプレイに必要とされる光学透明度を有さない場合がある。さらに膜は、真空濾過システム内部に設けられ、このことは、このようなシステムの処理可能性を重度に制限し、そしてSWCNT溶液のロール塗布用途を不可能にする。さらに、SWCNT膜を形成するために使用された分散体の重量パーセントは、水溶液中0.005 mg/mLであった。このような重量パーセントはこのような高液体ロード率とともにたいていの塗布システム及び堆積システムにおいて実際的でなく、使用不能である。このような高液体ロード率は、溶剤の広がり、ひいては画像のにじみ/破壊に起因して、パターン化された画像を形成するのを事実上不可能にする。
【0013】
Chenは欧州特許出願公開第1359169号明細書及び同第1359121号明細書において、SWCNTを可溶化するための材料及び方法を開示する。ナノチューブの直径の周りにではなく、実質的にナノチューブの長さに沿って、カーボンナノチューブと非共有結合するために使用される剛性主鎖ポリマーが記載されている。
【0014】
Arthur他は国際公開第03/099709号パンフレットにおいて、カーボンナノチューブ塗膜をパターン化する方法を開示している。イソプロピルアルコール(IPA)及び水(粘度改質剤を含むことができる)中のSWCNTの希薄分散体(10〜100 ppm)が基板上に噴霧塗布される。SWCNT塗膜の適用後、バインダーが像様印刷され、そして硬化される。或いは、標準的なフォトリソグラフィ法を用いて画像を形成するために、光画定性バインダーを使用することができる。バインダーで基板に保持されない材料は、洗浄によって除去される。粘度改質剤を含むイソプロピルアルコール(IPA)及び水中のSWCNTの希薄分散体(10〜100 ppm)が、基板上にグラビア塗布される。イソプロピルアルコール(IPA)及び水中のSWCNTの希薄分散体(10〜100 ppm)が、基板上に噴霧塗布される。SWCNTの電子特性を有意に変化させるために、塗布された皮膜は次いで、マスクを通して高強度光源に当てられる。この工程に続いて、バインダー塗布が行われる。これらの方法において用いられる分散体濃度は、直接堆積(インクジェットなど)技術を介して画像を生成するのを極めて難しくする。さらに、低固形分分散体に起因して溶剤ロード率がこのように高くなることにより、長い処理時間及び過剰溶剤の取り扱いの難しさがもたらされる。加えて、これらのパターン化方法は、追加の除去工程を介してSWCNT材料を不必要に廃棄し、これによりコスト及びプロセス時間を招く減法プロセスである。この出願はまた、このような組成物から導電性組成物及び塗膜を形成する方法を開示してはいるが、満足できる方法も、このような方法を実施するための組成物も教示していない。
【0015】
上に示したように、当業者は種々様々なSWCNT分散スキーム及び組成物を開示している。しかしながら、高い導電率及び透明度を維持しながら、高速高容積塗布技術、例えばインクジェット印刷、ロール塗布、及びオフセット印刷を容易にするために、最小限の分散剤を使用して固形分ローディング率が高められた、安定な水性SWCNT組成物がなおも当業者にとって必要不可欠である。
【0016】
本発明が目指すのは、従来技術よりも効果的に種々様々な商業的ニーズに対応した、電子伝導性の、パターン化可能な、好ましくはウェブ塗布可能な、このように改善された官能化SWCNT及び官能化SWCNT組成物を提供するという目標である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明によって解決するべき問題点は、SWCNT分散剤を含まない従来技術の水性分散体に典型的に見いだされる低固形分レベル(100 ppm未満)のSWCNTであり、またその代わりに、固形分レベルを高めるために極めて高いレベルの分散剤を有するという問題点である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の目的は、カーボンナノチューブの少なくとも0.5原子%の量で、カルボン酸、硝酸塩、ヒドロキシル、カルボニル、及びリン酸塩から成る群から選択された、共有結合された親水性種を有する単層カーボンナノチューブの水性分散体を含む塗布用組成物であって、前記カーボンナノチューブが、前記分散体の少なくとも0.05重量%の量で存在する塗布用組成物を提供することである。
【0019】
本発明の目的は、コンベンショナルな塗布技術に適した固形分ローディング率で水性塗布用組成物を生成することができる官能化単層カーボンナノチューブを含む塗布用組成物を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、高導電性層を単一パス塗布工程で生成することができる塗布用組成物を提供することである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は数多くの利点を有している。本発明は、塗布用組成物を生成するための容易な手段をもたらす新規のSWCNT組成物を提供する。
【0022】
本発明は、塗膜を単一パス・モードで生成することができる十分なSWCNT固形分ローディング率を有する組成物を提供する。
【0023】
本発明は、分散体ローディング量が最小限ないしは全くない状態で、高められた安定なSWCNTレベルを有する塗布用組成物を製造するための容易な方法を提供する。
これらの利点及びその他の利点は、下記の詳細な説明から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明による方法は、分散体の形成、官能化SWCNTを含有する塗布用組成物の塗布及びこれに続く乾燥に関与する。官能化のタイプ、そしてより具体的には官能化のレベルは、高導電率及び高透明度の塗膜を生成するのに適した容易な堆積及び皮膜形成を可能にする、より高い安定なローディング率のSWCNTを形成する能力をもたらす。
【0025】
SWCNTは、当業者に知られた任意の方法(レーザ・アブレーション、CVD、アーク放電)によって形成することができる。SWCNTは、このような合成法において使用され得る金属の不純物、及び単層カーボンナノチューブではない炭素質不純物(グラファイト、非晶質、ダイヤモンド、非管状フラーレン、多層カーボンナノチューブ)を最小限にしか又は全く有さないことが好ましい。金属不純物及び炭素質不純物が減少するのに伴って、透明度が著しく増大することが判っている。金属不純物及び炭素質不純物の量が減少するのに伴って、層均一性、表面粗さ、及び粒子の低減によって証明される皮膜品質も改善される。
【0026】
高電子伝導性を達成するために、金属SWCNTが最も好ましいタイプであるが、しかし半金属及び半導体を使用することもできる。プリスチンなSWCNTは、SWCNTの表面が、合成調製、不純物の酸洗浄、アニーリング、又は指向性官能化を介して共有結合的に官能化された材料を含まないことを意味する。官能化は本発明の好ましい態様であり、好ましくは、官能基は、カルボン酸、カルボン酸アニオン(カルボン酸塩)、ヒドロキシル、硫黄含有基、カルボニル、リン酸塩、硝酸塩、又はこれらの親水性種の組合わせから選択される親水性種である。硫黄含有基は、スルフェン酸、スルフィン酸、及び/又はスルホン酸、及び/又は対応するアニオン又はこれらの混合物を含有してよい。いくつかの用途において、他のタイプの官能基、例えばポリマー、小分子、又はこれらの組合わせを必要とすることができる。例えばこのような官能化は、特定のポリマーマトリックス中のSWCNTの適合性を改善することができる。しかしこのような官能化スキームは、高導電率及び高透明度の皮膜を生成するのに必要な高固形分ローディング率の塗布用組成物を提供することはない。
【0027】
図1に目を転じると、開いた又は閉じた端部を有するプリスチンなSWCNTが示されている。プリスチンであるSWCNTは、高レベルの分散剤を使用することなしには、たいていの溶剤中、特に水性溶剤中で本質的に扱いにくい。従って、水性塗布用組成物を生成するために、プリスチンなSWCNT及び水だけを使用することは可能でない。図2は、共有結合的に官能化されたSWCNTの基礎構造を例示する。図2におけるXは、上記親水性種のうちの1つから選択することができる。SWCNTの外面又は内面、開いた又は閉じた端部、又は側壁上の任意の点にXを位置決めできることは注目に値する。潜在的にほとんどの効果のために、Xは外面全体にわたって均一に分配されることが好ましい。
【0028】
最も好ましい共有結合的な表面官能基は、カルボン酸又はカルボン酸塩、又はこれらの混合物(以下、単に「カルボン酸」という)である。カルボン酸に基づく官能化の場合、SWCNT上の好ましい官能化炭素レベルは0.5〜100原子パーセントである。この場合、1原子パーセントの官能化炭素は、SWCNT中の100個の炭素毎に1つが、共有結合された官能基を有することを意味する。官能化炭素は、ナノチューブ上のいかなる場所に存在していてもよい(開いた又は閉じた端部、外側又は内側の側壁)。好ましくは、官能化は、SWCNTの外面上で行われる。より好ましくは、官能化パーセント範囲は、0.5〜50原子パーセントであり、最も好ましくは0.5〜20原子パーセントである。これらの原子パーセント範囲内でこれらの基でSWCNTが官能化されると、コンベンショナルな塗布手段によって高導電性透明皮膜を形成するのに必要な固形分ローディング率で、安定した分散体を調製するのが可能になる。この塗布用組成物は、実質的に水性の分散体中の極めて効果的な分散を可能にし、そして分散助剤を必要としない。透明度は、可視波長範囲内の光のバルク透過率が60 %を上回る層として定義される。官能化は多数のルートによって実施することができる。典型的には原材料(官能化されていない)SWCNTは、混合物であってよい強酸化剤(塩酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、オレウム、硝酸、クエン酸、シュウ酸、クロロスルホン酸、リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、氷酢酸、一塩基性有機酸、二塩基性有機酸、過マンガン酸カリウム、過硫酸塩、蝋膏、臭素酸塩、過酸化水素、重クロム酸塩)の浴に添加される。1時間〜数日間のプロセス時間にわたって適宜に撹拌しながら、SWCNTと強酸化剤とのこの混合物の環流に際して、20〜120℃の温度が用いられるのが典型的である。このプロセスが終了すると、原材料SWCNTは今や官能化SWCNTである。残留する酸化剤は、官能化SWCNT(主としてカルボン酸官能化)の粉末が、乾燥するまで行われる適宜の加熱後に残されるように、分離技術(濾過洗浄、遠心分離、横流濾過)を介して除去される。
【0029】
分散体及び塗布用組成物のpHは重要である。pHがより塩基性になる(カルボン酸基のpKaを上回る)につれて、カルボン酸はイオン化され、これによりカルボン酸アニオンを、安定性を助成することができる嵩高な反発性の基にする。好ましいpHは、3〜10 pHである。より好ましいpHは3〜6である。
【0030】
SWCNTの長さは20 nm〜1 mとなることができる。SWCNTは、個々のSWCNTとして、又はSWCNTバンドルとして存在することができる。導電性層内のSWCNTの直径は、0.5 nm〜5 nmでとなることができる。バンドル形態を成すSWCNTの直径は、1 nm〜1 μmであってよい。好ましくはこのようなバンドルの直径は、50 nm未満であり、好ましくは20 nm未満である。電子の輸送を容易にするために、より大きい表面積が達成され、そして、より小さなバンドル・サイズを有し、これにより、バンドルの内側位置に位置していてアクセスすることができないSWCNTの表面を露出させることにより、より大きい有効表面積が達成されることが重要である。SWCNTの端部は、適宜のサイズの半球形バッキーボールによって閉じることができる。或いは、SWCNTの端部の両方が開いていてもよい。いくつかの事例では、一方の端部が開いており、そして他方の端部が閉じていることを見いだすことができる。
【0031】
500〜5000 ppmの範囲の固形分ローディング率を有する水性分散体を形成するために、官能化SWCNT(上記のように製造されるか又は供給元から購入される)が使用される。官能化SWCNTはしばしば、粉末/フレーク形態を成しており、分散させるためにエネルギーを必要とする。典型的な分散プロセスは、数分間〜1時間にわたって高剪断混合装置(ホモジナイザー、マイクロ流動化装置、カウル・ブレード高剪断ミキサー、自動媒体ミル、ボールミル)を使用することができる。我々はまた、官能化SWCNTを分散させるには、標準的な超音波処理及び浴超音波処理で十分であることを見いだした。典型的には、脱イオン水中1000 ppmのSWCNT分散体が、2〜24時間にわたって浴超音波装置によって形成される(親水性官能化レベルに依存する)。分散プロセス後、pHは所望の範囲に調節することができる。大きな粒子を除去するために、遠心分離又は濾過プロセスが用いられる。結果として得られる分散体は、静止状態で数か月にわたって安定となる(親水性官能化レベルに依存する)。この分散体は、多くの塗布技術に関して単一パス・モードで導電性塗膜を生成するのに十分に高い固形分ローディング率を有する。
【0032】
本発明の導電性層は、乾燥塗膜重量約0.1〜約1000 mg/m2の官能化SWCNTを含有するべきである。好ましくは、導電性層は、乾燥塗膜重量約0.5〜約500 mg/m2の官能化SWCNTを含有するべきである。適用されるSWCNTの実際の乾燥塗膜重量は、採用される特定の導電性官能化SWCNTの特性によって、そして特定の用途のための要件によって決定され、要件は、例えば、層の導電率、透明度、光学濃度、コストなどを含んでよい。
【0033】
導電性層は、電子伝導又は熱伝導又はその両方のために利用することができる。導電性層は、温度範囲全体にわたって100〜10,000ジーメンス/cmの電子伝導率を有することが好ましい。この電子伝導性層は、連続層であるか、又は所定の構造に従ってパターン化されてよい。
【0034】
好ましい態様の場合、導電性層は、温度範囲全体にわたって100〜50,000 W/m-Kの熱伝導率を有することになる。この熱伝導性層は、連続層であるか、又は所定の構造に従ってパターン化されてよい。
【0035】
好ましい態様の場合、導電性SWCNTを含有する層は:
a) 化学式Iに基づくSWCNT:
【0036】
【化1】

【0037】
(上記式中、R1及びR2のそれぞれは独立して、カルボン酸、カルボン酸アニオン(カルボン酸塩)、ヒドロキシル、硫黄含有基、カルボニル、リン酸塩、硝酸塩を表し、そしてチューブは、実質的に六角形形態を成す炭素原子から構成された単層カーボンナノチューブである)、及び任意選択的に
b) 分散剤、及び任意選択的に
b) 高分子バインダー
を含有する混合物を適用することにより調製される。
【0038】
R1及びR2置換基は、SWCNT全体にわたって均一又は不均一に分配されてよい。分散体中の分散剤ローディング率は、最小限ないしは無しであることが好ましい。最大分散剤ローディング率は、SWCNTの重量の20重量%であることが好ましい。典型的には、分散剤ローディング率は、SWCNTの重量の10重量%未満である。最も好ましい分散剤ローディング率は、SWCNTの重量の1重量%未満である。選択することができる数多くの分散剤がある。好ましい分散剤は、TX-100、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ(スチレンスルホネート)、ナトリウム塩、ポリ(ビニルピロリドン)、Pluronics、Brij 78、Brij 700、及び臭化セチルトリメチルアンモニウム又は臭化ドデシルトリメチルアンモニウムである。これらの分散剤の好適な混合物を利用することができる。
【0039】
加えて、本発明の官能化のための好ましい態様では、好ましくは、親水性種がから選択された硫黄含有基であることが可能である:
【0040】
SOxZy
【0041】
(上式中、xは1〜3となることができ、そしてZは、水素原子、又は、Na、Mg、K、Ca、Zn、Mn、Ag、Au、Pd、Pt、Fe、Coのような金属の金属カチオンとなることができ、そしてyは0又は1となることができる。)
【0042】
上記硫黄含有基は、スルフェン酸、スルフィン酸、及び/又はスルホン酸、及び/又は対応するアニオン又はこれらの混合物を含有してよい。共有結合表面官能化のための最も好ましい硫黄含有基は、スルホン酸又はスルホン酸塩又はこれらの混合物である。
【0043】
環境上の理由から、実質的に水性の系(分散体中少なくとも60重量%の水を意味する)が好ましい。SWCNTは高分子バインダーの添加なしに適用することができる一方、好ましくは、付着力、皮膜形成、平滑化、層の物理特性を改善し、且つ/又は塗布用組成物の吸収性を改善するために、バインダーが採用される。このような好ましい態様の場合、導電性層は、約0.05〜98 %の高分子バインダーを含んでよい。高分子バインダーの最適な重量パーセントは、官能化SWCNT、高分子バインダーの化学組成、及び特定の用途の要件に応じて変化する。
【0044】
本発明の導電性層内で有用な高分子バインダーの一例としては、水溶性又は水分散性の親水性ポリマー、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、マレイン酸、無水マレイン酸コポリマー、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、ジアセチルセルロース、及びトリアセチルセルロース)、ポリビニルアルコール、及びポリ-N-ビニルピロリドンが挙げられる。他の好適なバインダーは、エチレン系不飽和型モノマー、例えばアクリル酸を含むアクリレート、メタクリル酸を含むメタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミド、イタコン酸及びその半エステル及びジエステル、置換型スチレンを含むスチレン、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル、ビニルアセテート、ビニルエーテル、ハロゲン化ビニル及びビニリデン、及びオレフィン、並びにポリウレタン及びポリエステルイオノマーの水性分散体から調製された付加型ホモポリマー及びコポリマーの水性エマルジョンを含む。加えてバインダーとして、ラテックス系を使用することもできる。ラテックス粒子は用途に応じて、10 nm〜100 μmであってよい。
【0045】
本発明の目的において水性塗布用組成物を採用すると、親水性皮膜形成高分子バインダー、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体、セルロース誘導体、又はポリビニルアルコールを利用することが有利である。
【0046】
官能化SWCNTを含有する層又は塗布用組成物中に含むことができるその他の成分の一例としては、粘着防止剤、界面活性剤又は塗布助剤、増粘剤又はレオロジー改質剤、硬化剤又は架橋剤、殺生剤、保湿剤、及び乾燥防止剤、安定剤、顔料又は色素、潤滑剤、湿潤助剤、及び当業者に容易に明らかなその他のコンベンショナルな塗布用添加物が挙げられる。印刷された電極パターンの視覚的な記録を提供することが望ましい場合には、印刷溶液中に色素及び顔料を使用することができる。
【0047】
連続形態又はパターン化形態で皮膜を堆積した後、層は、室温〜約250℃の温度で乾燥させることができる。
【0048】
SWCNTを含有する層は、所期用途に応じて種々の基板上に適用することができる。本発明の導電性層は、任意の剛性又は可撓性基板上に形成することができる。剛性基板は、ガラス、金属、セラミック及び/又は半導体を含むことができる。好適な基板は、ガラス、高分子フィルム、例えばポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、セルロースエステル、ポリオレフィン、及びよく知られたその他のポリマーフィルム、紙、シリコンウェハー、ガラス強化エポキシなどを含む。導電性層は、任意の好適な塗布方法、例えばスピン塗布、ホッパー塗布、ローラ塗布、エアナイフ塗布などを用いて適用することができる。
【0049】
基板は、透明、反射性、半透明又は不透明であることが可能であり、そして着色されているか又は無色であってよい。可撓性基板、特にプラスチック基板を含む可撓性基板が、これらの万能性、並びに製造、塗布、及び仕上げの容易さのために好ましい。
【0050】
可撓性プラスチック基板は、導電性高分子層を支持する任意の可撓性の自己支持型プラスチック・フィルムであってよい。「プラスチック」は、他の成分、例えば硬化剤、充填剤、強化剤、着色剤、及び可塑剤と組合わせることができる、通常、高分子合成樹脂から形成された高分子化合物を意味する。プラスチックは熱可塑性材料及び熱硬化性材料を含む。
【0051】
可撓性プラスチック基板は、自己支持型であるのに十分な厚さと機械的完全性とを有するが、しかし、剛性であるほどには厚くあるべきではない。可撓性プラスチック基板材料の別の重要な特徴は、そのガラス転移温度(Tg)である。Tgは、プラスチック材料がガラス状態からゴム状態に変化するときのガラス転移温度として定義される。Tgは、材料が実際に流動する前の所定の範囲を含む。可撓性プラスチック基板に適した材料は、ガラス転移温度が比較的低い、例えば150℃までの熱可塑性材料、並びに、ガラス転移温度がより高い、例えば150℃を上回る材料を含む。可撓性プラスチック基板のための材料は、製造プロセス条件(例えば堆積温度及びアニール温度)、並びに製造後条件(例えばディスプレイ製造業者のプロセス・ライン内の条件)のようなファクターに応じて選択される。下記のプラスチック基板のうちの或る特定のものは、少なくとも約200℃まで、いくつかのものは300〜350℃までのより高い処理温度に、損傷なしで耐えることができる。
【0052】
典型的には、可撓性プラスチック基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエステルイオノマーを含むポリエステル、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルホン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルアミド、硝酸セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニルアセテート)、ポリスチレン、ポリオレフィンイオノマーを含むポリオレフィン、ポリアミド、脂肪族ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(メチルx-メタクリレート)、脂肪族又は環状ポリオレフィン、ポリアリーレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド(PI)、テフロン(登録商標)、ポリ(ペルフルオロ-カルボキシ)フルオロポリマー(PFA)、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)、ポリ(エチレンテトラフルオロエチレン)フルオロポリマー(PETFE)、及びポリ(メチルメタクリレート)及び種々のアクリレート/メタクリレートコポリマー(PMMA)天然及び合成紙、樹脂を塗布又はラミネートされた紙、高分子発泡体を含むボイド含有ポリマー、ミクロボイド含有ポリマー及びミクロ孔性材料、又は布地、又はこれらの任意の組合わせである。
【0053】
脂肪族ポリオレフィンは、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び、延伸ポリプロピレン(OPP)を含むポリプロピレンを含んでよい。環状ポリオレフィンは、ポリ(ビス(シクロペンタジエン))を含んでよい。好ましい可撓性プラスチック基板は、環状ポリオレフィン又はポリエステルである。種々の環状ポリオレフィンが可撓性プラスチック基板に適している。その例は、日本国東京在、Japan Synthetic Rubber Co.によって製造されたArton(商標);日本国東京在、Zeon Chemicals L.P.によって製造されたZeonor T;及び独国Kronberg在、Celanese A.G.によって製造されたTopas(商標)を含む。Artonは、ポリマーフィルムであるポリ(ビス(シクロペンタジエン))縮合物である。或いは、可撓性プラスチック基板はポリエステルであってもよい。好ましいポリエステルは芳香族ポリエステル、例えばAryliteである。基板は透明、半透明又は不透明であってよいが、ほとんどのディスプレイ用途にとっては、透明基板を含む透明部材が好ましい。プラスチック基板の種々の例を上に示したが、可撓性基板は他の材料、例えば可撓性ガラス及びセラミックから形成することもできることは言うまでもない。
【0054】
可撓性プラスチック基板は、硬質塗膜で強化することができる。典型的には、硬質塗膜はアクリル塗膜である。このような硬質塗膜は典型的には、厚さ1〜15ミクロン、好ましくは2〜4ミクロンであり、そしてラジカル重合によって提供することができる。ラジカル重合は、適切な重合性材料を熱又は紫外線によって開始される。基板に応じて、種々異なる硬質塗膜を使用することができる。基板がポリエステル又はArtonの場合、特に好ましい硬質塗膜は、「Lintec」として知られる塗膜である。LintecはUV硬化型ポリエステルアクリレート及びコロイドシリカを含有する。Arton上に堆積される場合には、硬質塗膜は水素を除いて、35原子%のC、45原子%のO、及び20原子%のSiから成る表面組成を有する。別の特に好ましい硬質塗膜は、Wisconsin, New Berlin在Tekra Corporationによる「Terrapin」の商品名で販売されているアクリル塗膜である。
【0055】
最も好ましい可撓性プラスチック基板はその優れた機械特性及び熱特性により、そして、適度な価格で大量に利用できるという理由から、ポリエステルである。使用のために選択される特定のポリエステルは、所望に応じて、ホモ-ポリエステル又はコ-ポリエステル、又はこれらの混合物であってよい。ポリエステルは、所望に応じて、結晶性又は非晶質、又はこれらの混合物であってよい。ポリエステルは通常、有機ジカルボン酸と有機ジオールとの縮合によって調製され、従って有用なポリエステルの例を、これらのジオール及びジカルボン酸の前駆体に関して、本明細書において下に記載する。
【0056】
本発明における使用に適したポリエステルは、芳香族、脂環式、及び脂肪族のジオールと、脂肪族、芳香族及び脂環式ジカルボン酸との縮合から誘導されたポリエステルであり、そして脂環式、脂肪族、又は芳香族ポリエステルであってよい。本発明の実施において利用することができる有用な脂環式、脂肪族、又は芳香族ポリエステルの例は、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンドデケート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフタレート)、ポリ(エチレン(2,7-ナフタレート))、ポリ(メタフェニレンイソフタレート)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンセバケート)、ポリ(デカメチレンアゼレート)、ポリ(エチレンサバケート)、ポリ(デカメチレンアジペート)、ポリ(デカメチレンセバケート)、ポリ(ジメチルプロピオラクトン)、ポリ(パラ-ヒドロキシベンゾエート)(Ekonol)、ポリ(エチレンオキシベンゾエート)(A-tell)、ポリ(エチレンイソフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタレート)、ポリ(デカメチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(trans)、ポリ(エチレン1,5-ナフタレート)、ポリ(エチレン2,6-ナフタレート)、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(Kodel)(cis)、及びポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)(Kodel)(trans)である。ジオールと芳香族ジカルボン酸との縮合から調製されたポリエステル化合物が、本発明における使用に好ましい。このような有用な芳香族カルボン酸の一例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、及びα-フタル酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、4,4'-ジフェニルジカルボン酸、4,4-ジフェニルスルホン-ジカルボン酸、1,1,3-トリメチル-5-カルボキシ-3-(p-カルボキシフェニル)-イダン、ジフェニルエーテル4,4'-ジカルボン酸、及びビス-p(カルボキシ-フェニル)メタンなどが挙げられる。前述の芳香族ジカルボン酸のうち、ベンゼン環に基づくもの(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸)が、本発明の実施における使用にとって好ましい。これらの好ましい酸前駆体の中で、テレフタル酸が特に好ましい酸前駆体である。
【0057】
本発明の実施における使用のために好ましいポリエステルは、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)及びポリ(エチレンナフタレート)、及びこれらのコポリマー及び/又は混合物を含む。これらのポリエステルの選択肢の中では、ポリ(エチレンテレフタレート)が最も好ましい。
【0058】
ディスプレイ・デバイスにおける使用に有用な前記基板は、平面形及び/又は湾曲形であってよい。基板の曲率は、曲率半径によって特徴付けることができる。曲率半径はいかなる値を有してもよい。或いは基板は、所定の角度を形成するように曲げられてもよい。これらの角度は0°〜360°(これらの間の全ての角度及びこれらの間の全ての範囲を含む)の任意の角度であってよい。基板が導電性である場合、基板と導電性ポリマーとの間に、絶縁材料、例えば非導電性ポリマーを配置することができる。
【0059】
基板は任意の厚さ、例えば10-8 cm〜1 cm(これらの間の全ての値及びこれらの間の全ての範囲を含む)であってよい。より厚い層及びより薄い層を使用することもできる。基板は均一の厚さを有する必要はない。いかなる形状のものも使用することはできるが、好ましい形状は正方形又は長方形である。基板に導電性ポリマーを塗布する前に、例えばラビングによって、画像の適用によって、パターン化された電気的コンタクト領域の適用によって、区別可能な領域内の1つ又は2つ以上の色の存在によって、エンボシング、マイクロエンボシング、マイクロ複製などによって、基板を物理的且つ/又は光学的にパターン化することができる。
【0060】
前記基板は、必要に応じて単層又は多層を含むことができる。多数の層は、任意の数の補助層、例えば静電防止層、繋ぎ層、又は付着促進層、耐磨耗層、カール制御層、搬送層、バリヤ層、スプライス提供層、UV吸収層、光学効果提供層、例えば反射防止・防眩層、防水層、接着剤層、及び画像形成層などを含むことができる。
【0061】
ポリマー基板は、当業者に知られている任意の方法、例えば押出し、同時押出し、急冷、延伸、ヒートセット、ラミネーション、塗布及び溶剤流延を伴う方法によって形成することができる。ポリマー基板が、当業者に知られている任意の好適な方法によって、例えばフラットシート・プロセス又は気泡又は管プロセスによって形成された延伸シートであることが好ましい。フラットシート・プロセスは、スリットダイを通るシート材料を押出すか又は同時押出しし、そして、シートの高分子成分がその凝固温度未満に急冷されるように、冷却された流延ドラム上で、押出しされた又は同時押出しされたウェブを急冷することを伴う。
【0062】
次いで急冷されたシートを、ポリマーのガラス転移温度を上回る温度で、互いに垂直の方向で延伸することにより、二軸延伸する。シートは一方の方向で、次いで第2の方向で延伸することができ、或いは両方向で同時に延伸することもできる。任意の方向における好ましい延伸比は、3:1以上である。シートが延伸された後、両延伸方向における後退が生じないようにシートを或る程度拘束しながら、ポリマーを結晶化させるのに十分な温度まで加熱することにより、シートをヒートセットする。
【0063】
シートの特性、例えば印刷適性、バリヤ特性、ヒートシール性、スプライス性、他の基板及び/又は画像形成層との付着力を改善するために、押出し、同時押出し、延伸などの後に、又は流延と完全延伸との間に、ポリマーシートに任意の数の塗布及び処理を施すことができる。このような塗膜の例は、印刷適性のためのアクリル塗膜、ヒートシール特性のためのポリハロゲン化ビニリデンであってよい。このような処理の例は、塗布性及び付着力を改善するための、火炎、プラズマ及びコロナ放電処理、紫外線処理、オゾン処理及び電子ビーム処理であってよい。更なる処理例は、ウェブ表面に対する特定の効果を得るための、カレンダリング、エンボシング、及びパターン化であってよい。ポリマーシートはさらに、ラミネーション、接着、コールド又はヒート・シーリング、押出し塗布、又は当業者に知られた任意の他の方法によって、任意の他の好適な基板内に内蔵することができる。
【0064】
一つの態様では、上述の基板及び上述のSWCNT導電性層は、ディスプレイ・デバイス内の透明層として内蔵される。ディスプレイ・デバイスは典型的には少なくとも1つの画像形成性層を含み、画像形成性層は電気的に画像形成可能な材料を含有することができる。電気的に画像形成可能な材料は発光性又は光変調性であってよい。発光材料は性質上、無機又は有機であることが可能である。特に好ましくは、有機発光ダイオード(OLED)又は高分子発光ダイオード(PLED)である。光変調材料は、反射性又は透過性であることが可能である。光変調材料は、電気化学材料、電気泳動材料、例えばジリコン(Gyricon)粒子、エレクトロクロミック材料、又は液晶であってよい。液晶材料は、ねじれネマティック(TN)、超ねじれネマティック(STN)、強誘電性、磁性、又はキラル・ネマティック液晶であってよい。特に好ましいのは、キラル・ネマティック液晶である。キラル・ネマティック液晶は、ポリマー分散型液晶(PDLC)であってよい。しかし、場合によっては追加の利点を提供するために、スタック状画像形成層又は複数の基板層を有する構造が任意に選択される。
【0065】
前述のSWCNT導電性層を含む本発明は、単に、このような従来のデバイス内に存在する1つ又は2つ以上の任意の導電性電極の代わりに使用されるだけでもよい。本発明は好ましくは、前記導電性ポリマーに電流、電圧などを印加する(すなわち電気的に接続する)ために、基板上の電子伝導性ポリマー層に取り付けられた(接触させられた)少なくとも1つの電気的な導線を有する。導線は、好ましくは基板と電気的に接触した状態にはなく、そしてパターン化された堆積金属、導電性又は半導体材料、例えばITOから形成することができ、SWCNTと接触している単純なワイヤー、及び/又は例えば導電性ポリマー、炭素、及び/又は金属粒子を含む導電性ペイントであってよい。本発明によるデバイスは好ましくはまた、導線を介して導電性電極に電気的に接続された電流源又は電圧源を含む。電源、バッテリーなどを使用することができる。本発明の一つの態様をディスプレイ構成部分60として図3に示し、この図面では、基板62にはSWCNT導電性層64が塗布されており、導電性層は、電気的な導線68によって電源66に接続されている。
【0066】
好ましい態様では、電気的に画像形成可能な材料は、電界によってアドレッシングされ、次いで電界が除去された後、その画像を保持することができる。この特性は典型的には「双安定」と呼ばれる。「双安定」を示す特に好適な電気的に画像形成可能な材料は、電気化学材料、電気泳動材料、例えばジリコン粒子、エレクトロクロミック材料、磁性材料、又はキラル・ネマティック液晶であってよい。特に好ましいのはキラル・ネマティック液晶である。キラル・ネマティック液晶は、ポリマー分散型液晶(PDLC)であってよい。
【0067】
本発明の用途を説明するために、ディスプレイは主として液晶ディスプレイとして説明される。しかし、本発明は多数の他のディスプレイ用途において利用されることも考えられる。
【0068】
ディスプレイ
本明細書中に使用される「液晶ディスプレイ」(LCD)は、種々の電子デバイスにおいて使用されるフラット・パネル・ディスプレイの一種である。最小限に見ても、LCDは、基板と、少なくとも1つの導電性層と、液晶層とを含む。LCDは2つの偏光子材料シートと、これらの偏光子シート間に位置する液晶溶液とを含んでもよい。偏光子材料シートは、ガラス又は透明プラスチックから成る基板を含んでよい。LCDは機能層を含んでもよい。図4に示されたLCD物品50の一つの態様では、透明な多層可撓性基板15には、パターン化されていてよい第1の導電性層20が塗布されており、第1の導電性層20上には、光変調液晶層30が塗布されている。第2の導電性層40には、誘電導電性の行コンタクト44が取り付けられた誘電層42が適用され上塗りされており、誘電層42は、導電性層と誘電導電性の行コンタクトとの間の相互接続を可能にするビア(図示せず)を含む。図4は、液晶層30と第2の導電性層40との間に適用された、任意のナノ顔料含有機能層35を示している。典型的なマトリックス-アドレス発光ディスプレイ・デバイスにおいて、単一の基板上に多数の発光デバイスが形成され、これらの発光デバイスは、規則的な格子パターンを成して群の形態で配列される。活性化は行及び列ごとに行うことができる。
【0069】
液晶(LC)は光学スイッチとして使用される。基板は通常、透明導電性電極を有するように製造され、電極内では、電気的「駆動」信号がカップリングされる。駆動信号は、LC材料中の相変化又は状態変化を引き起こすことができる電界を誘発し、LCは、その相及び/又は状態に応じて、異なる光反射特性を示す。
【0070】
液晶は、中間相における分子の配列に応じて、ネマティック(N)、キラル・ネマティック(N*)、又はスメクティックであることが可能である。キラル・ネマティック液晶(N*LC)ディスプレイは典型的には反射性であり、すなわち、バックライトが必要でなく、偏向フィルム又はカラーフィルターの使用なしに機能することができる。
【0071】
キラル・ネマティック液晶は、よく出会うLCデバイスにおいて使用されているねじれネマティック及び超ねじれネマティックよりもピッチが細かい液晶のタイプを意味する。キラル・ネマティック液晶がこのように名付けられたのは、このような液晶配合物が、キラル剤をホスト・ネマティック液晶に添加することにより一般に得られるからである。双安定又は多安定ディスプレイを製造するために、キラル・ネマティック液晶を使用することができる。これらのデバイスは、不揮発性「メモリー」特性により電力消費量を著しく低減している。このようなディスプレイは、画像を維持するための連続的な駆動回路を必要としないので、消費電力を著しく低減する。キラル・ネマティック・ディスプレイは場の不存在において双安定であり、2つの安定なテキスチャは、反射性の平面テキスチャ、及び弱散乱性のフォーカル・コニック・テキスチャである。平面テキスチャの場合、キラル・ネマティック液晶分子の螺旋軸は、液晶が配置された基板に対して実質的に垂直である。フォーカル・コニック状態の場合、液晶分子の螺旋軸は、概ねランダムに配向される。キラル・ネマティック材料中のキラル・ドーパントの濃度を調節することにより、中間相のピッチ長が変調され、ひいては反射される輻射線の波長が変調される。科学的な研究を目的として、赤外線及び紫外線を反射させるキラル・ネマティック材料が使用されている。商業的なディスプレイは、最も多くの場合、可視光を反射させるキラル・ネマティック材料から製作される。いくつかの周知のLCDデバイスは、米国特許第5,667,853号明細書に記載されているようなガラス基板を覆う、化学エッチングされた透明な導電性層を含む。
【0072】
一つの態様では、連続マトリックス中にキラル・ネマティック液晶組成物を分散することができる。このような材料は、「ポリマー分散型液晶」材料又は「PDLC」材料と呼ばれる。このような材料は種々の方法によって形成することができる。例えば、Doane他(Applied Physics Letters,48, 269(1986))は、ポリマーバインダー中にほぼ0.4 μm液滴のネマティック液晶5 CBを含むPDLCを開示している。このPDLCを調製するために相分離法が用いられる。モノマー及び液晶を含有する溶液がディスプレイ・セル内に充填され、次いで材料は重合される。重合されると、液晶は不混和性になり、液滴を形成するために核生成する。West他(Applied Physics Letters,63, 1471(1993))は、ポリマーバインダー中にキラル・ネマティック混合物を含むPDLCを開示している。ここでもまた、PDLCを調製するために相分離法が用いられる。液晶材料及びポリマー(ヒドロキシ官能化ポリメチルメタクリレート)を、ポリマーのための架橋剤とともに、共通の有機溶剤トルエン中に溶解し、そして基板上の透明導電性層上に塗布する。高温でトルエンを蒸発させると、ポリマーバインダー中の液晶材料の分散体が形成される。Doane他及びWest他の相分離法は、或る特定の製造環境中で好ましくない場合がある有機溶剤の使用を必要とする。
【0073】
実質的な単層よりも多いN*LCドメイン層がある場合、ディスプレイのコントラストは劣化する。「実質的な単層」という用語は、ディスプレイ平面に対して垂直な方向において、ディスプレイ(又は画像形成性層)のほとんどの点、好ましくはディスプレイの点(又は面積)の75パーセント以上で、最も好ましくはディスプレイの点(又は面積)の90パーセント以上で、電極間にサンドイッチされたドメインから成る層が単層を上回らないことを意味するものとして、出願人によって定義される。換言すれば、電極間に単一ドメインだけが存在するディスプレイの点(又は面積)の量と比較して、最大の場合でも、ディスプレイの点(又は面積)のわずかな部分(好ましくは10パーセント未満)だけしか、ディスプレイ平面に対して垂直な方向において、電極間に単一ドメインを上回るドメイン(2つ又は3つ以上のドメイン)を有することはない。
【0074】
単層のために必要となる液晶材料の量は、ドメインの完全に閉じた充填配列を想定して、個々のドメインサイズに応じて計算することにより、正確に見極めることができる。(実際には、ギャップが発生する欠陥、及びオーバーラップする液滴又はドメインに起因する何らかの不均一が存在することがある。) これに基づいて、算出量は、好ましくは、単層ドメイン被覆に必要な量の約150パーセント未満、好ましくは単層ドメイン塗布に必要な量の約125パーセント以下、より好ましくはドメイン単層に必要な量の約110パーセント以下である。さらに、塗布される液滴の幾何学的形状及びブラック反射条件に基づいて、異なる状態でドープされたドメインを適切に選択することにより、改善された視角及び広帯域の特徴を得ることができる。
【0075】
本発明の好ましい態様では、ディスプレイ・デバイス又はディスプレイ・シートは単に、ディスプレイ前面に対して垂直な線に沿って、液晶材料の単一画像形成層、好ましくは可撓性基板上に塗布された単層を有するにすぎない。このような構造は、互いに対向する基板間にそれぞれ鉛直方向に積み重ねられた画像形成層と比較して、モノクローム棚ラベルなどのために特に有利である。しかし、積み重ねられた画像形成層を有する構造が、場合によっては追加の利点を提供するために任意に使用される。
【0076】
好ましくは、ドメインは平坦化された球体であり、平均して厚さが長さよりも相当に小さく、好ましくは少なくとも50%小さい。より好ましくは、ドメインは平均して、厚さ(深さ)と長さとの比が1:2〜1:6である。ドメインの平坦化は、塗膜を適正に調製し、そしてこれを十分に迅速に乾燥させることにより達成することができる。ドメインは好ましくは、平均直径2〜30ミクロンである。画像形成層の厚さは好ましくは、最初の塗布時には10〜150ミクロンであり、乾燥時には2〜20ミクロンである。
【0077】
液晶材料の平坦化ドメインは、長軸と短軸とを有するものとして定義することができる。ディスプレイ又はディスプレイ・シートの好ましい態様では、長軸のサイズは、ドメインの大部分のセル(又は画像形成性層)厚よりも大きい。このような寸法の関係は米国特許第6,061,107号明細書に示されている。
【0078】
現在のキラル・ネマティック液晶材料は通常、キラル・ドーパントと組み合わされた少なくとも1種のネマティック・ホストを含む。一般に、ネマティック液晶相は、有用な複合体特性を提供するように組合わされた1つ又は2つ以上のメソゲニック成分から成っている。多くのこのような材料は、商業的に入手可能である。キラル・ネマティック液晶混合物のネマティック成分は、適切な液晶特性を有する任意の好適なネマティック液晶混合物又は組成物から成っていてよい。本発明において使用するのに適したネマティック液晶は、好ましくはネマティック又はネマトゲニック物質、例えば既知のクラスのアゾキシベンゼン、ベンジリデンアニリン、ビフェニル、ターフェニル、フェニル又はシクロヘキシルベンゾエート、シクロヘキサンカルボン酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル;シクロヘキシル安息香酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル;シクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のフェニル又はシクロヘキシルエステル;安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸、及びシクロヘキシルシクロヘキサンカルボン酸のシクロヘキシルフェニルエステル;フェニルシクロヘキサン;シクロヘキシルビフェニル;フェニルシクロヘキシルシクロヘキサン;シクロヘキシルシクロヘキサン;シクロヘキシルシクロヘキセン;シクロヘキシルシクロヘキシルシクロヘキセン;1,4-ビス-シクロヘキシルベンゼン;4,4-ビス-シクロヘキシルビフェニル;フェニル-又はシクロヘキシルピリミジン;フェニル-又はシクロヘキシルピリジン;フェニル-又はシクロヘキシルピリダジン;フェニル-又はシクロヘキシルジオキサン;フェニル-又はシクロヘキシル-1,3-ジチアン;1,2-ジフェニルエタン;1,2-ジシクロヘキシルエタン;1-フェニル-2-シクロヘキシルエタン;1-シクロヘキシル-2-(4-フェニルシクロヘキシル)エタン;1-シクロヘキシル-2',2-ビフェニルエタン;1-フェニル-2-シクロヘキシルフェニルエタン;任意にはハロゲン化されたスチルベン;ベンジルフェニルエーテル;トラン;置換型桂皮酸及びエステル;及び更なるクラスのネマティック又はメナトゲニック物質から選択された低分子量の化合物から成る。これらの化合物中の1,4-フェニレン基は、側方で一又は二フッ素化することもできる。
【0079】
この好ましい態様の液晶材料は、このタイプのアキラル化合物に基づいている。これらの液晶材料の成分として可能な最も重要な化合物は、次の式R'-X-Y-Z-R''によって特徴付けることができる。この式中、同一であるか又は異なっていてよいX及びZはそれぞれの場合において、互いに独立して、-Phe-、-Cyc-、-Phe-Phe-、-Phe-Cyc-、-Cyc-Cyc-、-Pyr-、-Dio-、-B-Phe-及び-B-Cyc-によって形成された基からの二価ラジカルであり;Pheは無置換型又はフッ素置換型1,4-フェニレンであり、Cycはトランス-1,4-シクロヘキシレン又は1,4-シクロヘキセニレンであり、Pyrはピリミジン-2,5-ジイル又はピリジン-2,5-ジイルであり、Dioは1,3-ジオキサン-2,5-ジイルであり、そしてBは2-(トランス-1,4-シクロヘキシル)エチル、ピリミジン-2,5-ジイル、ピリジン-2,5-ジイル、又は1,3-ジオキサン-2,5-ジイルである。これらの混合物中のYは、次の二価基-CH=CH-、-C≡C-、-N=N(O)-、-CH=CY'-、-CH=N(O)-、-CH2-CH2-、-CO-O-、-CH2-O-、-CO-S-、-CH2-S-、-COO-Phe-COO-又は単結合から選択され、Y'はハロゲン、好ましくは塩素、又は-CNであり;R'及びR''はそれぞれの場合、互いに独立して、炭素原子数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルカノイルオキシ、アルコキシカルボニル、又はアルコキシカルボニルオキシであり、或いは、R'及びR''の一方は、-F、-CF3、-OCF3、-Cl、-NCS又は-CNである。
【0080】
これらの化合物のほとんどにおいて、R'及びR''はそれぞれの場合、互いに独立して、異なる鎖長を有するアルキル、アルケニル、又はアルコキシであり、ネマティック媒質中の炭素原子の和が2〜9、好ましくは2〜7である。ネマティック液晶相は典型的には2〜20、好ましくは2〜15種の成分から成っている。上記材料リストは、包括的又は限定的なものであることを意図するものではない。このリストは、使用に適した種々の代表的な材料又は混合物を開示する。これらの混合物は、電気光学的液晶組成物中に活性要素を含む。
【0081】
好適なキラル・ネマティック液晶組成物は好ましくは、正の誘電異方性を有し、そして、フォーカル・コニック・テキスチャとねじれ平面テキスチャとを形成するのに効果的な量で、キラル材料を含む。キラル・ネマティック液晶材料は、その優れた反射特性、双安定性及びグレースケール・メモリーの理由から好ましい。キラル・ネマティック液晶は典型的には、所期ピッチ長を形成するのに十分な量の、ネマティック液晶とキラル材料との混合物である。好適な商業的ネマティック液晶は、例えば、E. Merck(独国Darmstadt)によって製造された、E7、E44、E48、E31、E80、BL087、BL101、ZLI-3308、ZLI-3273、ZLI-5048-000、ZLI-5049-100、ZLI-5100-100、ZLI-5800-000、MCL-6041-100、TL202、TL203、TL204及びTL205を含む。正の誘電異方性を有するネマティック液晶、特にシアノビフェニルが好ましいが、負の誘電異方性を有するネマティック液晶を含む、当業者に知られた事実上いかなるネマティック液晶も、本発明における使用に適しているはずである。当業者には明らかなように、他のネマティック材料も、本発明における使用に適することがある。
【0082】
中間相の螺旋ねじれを誘発し、これにより可視光の反射を可能にするためにネマティック混合物に添加されるキラル・ドーパントは、任意の有用な構造クラスから形成することができる。ドーパントは、とりわけ、ネマティック・ホストとの化学的適合性、螺旋ねじれ力、温度感受性、及び耐光堅牢性を含むいくつかの特性に応じて選択される。多くのキラル・ドーパント・クラス、例えばG. Gottarelli及びG. Spada, Mol. Cryst. Liq. Crys., 123, 377(1985); G. Spada及びG. Proni, Enantiomer, 3, 301(1998)及びこれらに記載された参考文献が当業者に知られている。よく知られた典型的なドーパント・クラスは、1,1-ビナフトール誘導体;米国特許第6,217,792号明細書に開示されているようなイソソルビド(D-1)及び同様のイソマンニドエステル;米国特許第6,099,751号明細書に開示されているようなTADDOL誘導体(D-2);及び「キラル化合物及びキラル化合物含有組成物(Chiral Compound and Compositions Containing The Same)」と題される米国特許出願第10/651,692号明細書(Welter他、2003年8月29日付け出願)に開示されているような、ペンディング・スピロインダン・エステル(D-3)を含む。
【0083】
【化2】

【0084】
液晶材料のピッチ長は、下記等式(1)に基づいて調節することができる。
【0085】
λmax=nav p0
【0086】
上記式中、λmaxはピーク反射波長、すなわち反射率が最大値となる波長であり、navは、液晶材料の平均屈折率であり、そしてp0は、キラル・ネマティック螺旋の自然のピッチ長である。キラル・ネマティック螺旋及びピッチ長の定義、及びその測定方法は、書籍Blinov, L. M.著「液晶の電気光学的及び磁気光学的特性(Electro-optical and Magneto-Optical Properties of Liquid Crystals)」(John Wiley & Sons Ltd. 1983)に見いだすことができるように、当業者に知られている。ピッチ長は、液晶材料中のキラル材料の濃度を調節することにより改変される。キラル・ドーパントのほとんどの濃度の場合、ドーパントによって誘発されるピッチ長は、ドーパントの濃度に対して反比例する。比例定数は、下記等式(2) によって与えられる。
【0087】
P0=1/(HTP.c)
【0088】
上記式中cは、キラル・ドーパントの濃度であり、そしてHTP(いくつかの参考文献では□と呼ばれる)は、比例定数である。
【0089】
いくつかの用途のためには、強い螺旋ねじれと、これにより短いピッチ長とを示すLC混合物を有することが望ましい。例えば、選択的に反射性のキラル・ネマティック・ディスプレイにおいて使用される液晶混合物中では、ピッチは、キラル・ネマティック螺旋によって反射される波長の最大値が可視光の範囲内にあるように選択されなければならない。他の可能な用途は、光学素子のためのキラル液晶相を有するポリマーフィルム、例えばキラル・ネマティック広帯域偏光子、フィルターアレイ、又はキラル液晶遅延フィルムである。これらの中には、アクティブ及びパッシブ光学素子又はカラーフィルター及び液晶ディスプレイ、例えばSTN、TN、AMD-TN、温度補償、ポリマーフリー型又はポリマー安定化型キラル・ネマティック・テキスチャ(PFCT, PSCT)ディスプレイがある。可能なディスプレイ産業用途は、ノートブック型及びデスクトップ型コンピュータ、計器盤、ビデオゲーム機、テレビ電話、携帯電話、手持ち型PC、PDA、電子書籍、ビデオカメラ、衛星ナビゲーション・システム、商店及びスーパーマーケットの値段付けシステム、道路標識、情報ディスプレイ、スマートカード、玩具、及びその他の電子デバイスのための超軽量、可撓性及び低廉なディスプレイを含む。
【0090】
例えばフラット・パネル・ディスプレイ内で使用することができる、LCDの代わりとなるディスプレイ技術がある。注目すべき例は、有機発光デバイス(OLED)又はポリマー発光デバイス(PLED)である。これらのデバイスは、いくつかの層から成っており、層のうちの1つは、デバイスを横切って電圧を印加することによりエレクトロルミネセンスを示すように形成することができる有機材料から成っている。OLEDデバイスは典型的には、基板、例えばガラス又はプラスチック・ポリマーにおいて形成されたラミネートである。或いは、固体照明ディスプレイ・デバイスを形成するために、複数のこれらのOLEDデバイスを集成することもできる。
【0091】
ルミネセント有機固体の発光層、並びに隣接する半導体層が、アノードとカソードとの間にサンドイッチされる。半導体層は、正孔注入層及び電子注入層であってよい。PLEDは、ルミネセント有機材料がポリマーであるOLED亜種であると考えることができる。発光層は、数多くの発光有機固体のいずれかから、例えば適宜に蛍光性又は化学発光性の有機化合物であるポリマーから選択することができる。このような化合物及びポリマーは、8-ヒドロキシキノレートの金属イオン塩、三価金属キノレート錯体、三価金属架橋キノレート錯体、シッフ塩基二価金属錯体、錫(IV)金属錯体、金属アセチルアセトネート錯体、有機配位子、例えば2-ピコリルケトン、2-キナルジルケトン、又は2-(o-フェノキシ)ピリジンケトン、ビスホスホネートを内蔵する金属二座配位子錯体、二価金属マレオニトリルジチオレート錯体、分子電荷移動錯体、希土類混合型キレート、(5-ヒドロキシ)キノキサリン金属錯体、アルミニウムトリス-キノレート、及びポリマー、例えばポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリ(ジアルコキシフェニレンビニレン)、ポリ(チオフェン)、ポリ(フルオレン)、ポリ(フェニレン)、ポリ(フェニルアセチレン)、ポリ(アニリン)、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、及びポリ(N-ビニルカルバゾール)を含む。カソード及びアノードを横切って電位差が加えられると、電子注入層からの電子と、正孔注入層からの正孔とが発光層内に注入され、これらが再結合して、光を放射する。OLED及びPLEDについては、以下の米国特許明細書:米国特許第5,507,745号(Forrest他)、同第5,721,160号(Forrest他)、同第5,757,026号(Forrest他)、同第5,834,893号(Bulovic他)、同第5,861,219号(Thompson他)、同第5,904,916号(Tang他)、同第5,986,401号(Thompson他)、同第5,998,803号(Forrest他)、同第6,013,538号(Burrows他)、同第6,046,543号(Bulovic他)、同第6,048,573号(Tang他)、同第6,048,630号(Burrows他)、同第6,066,357号(Tang他)、同第6,125,226号(Forrest他)、同第6,137,223号(Hung他)、同第6,242,115号(Thompson他)、及び同第6,274,980号(Burrows他)の各明細書に記載されている。
【0092】
典型的なマトリックス-アドレス発光ディスプレイ・デバイスにおいて、単一の基板上に多数の発光デバイスが形成され、これらの発光デバイスは、規則的な格子パターンを成して群の形態で配列される。活性化は行及び列ごとに行うか、又は個々のカソード路及びアノード路を有するアクティブなマトリックスにおいて行うことができる。OLEDは、先ず基板上に透明電極を堆積し、そしてこれをパターン化して電極部分を形成することにより、しばしば製造される。次いで、透明電極上に有機層を堆積する。有機層上には、金属電極を形成することができる。例えば米国特許第5,703,436号明細書(Forrest他)(参考のため本明細書中に引用する)の場合、正孔注入電極として透明酸化インジウム錫(ITO)が使用され、そして電子注入のために、Mg−Ag−ITO電極層が使用される。
【0093】
本発明は、電極として、好ましくはアノードとして、ほとんどのOLEDデバイス形態に採用することができる。これらは、単一のアノード及びカソードを含む極めて単純な構造から、より複雑なデバイス、例えば画素を形成するためのアノード及びカソードの直交アレイから成るパッシブ・マトリックス・ディスプレイ、及び各画素が例えば薄膜トランジスタ(TFT)で個々に制御されるアクティブ-マトリックス・ディスプレイまでを含む。
【0094】
本発明を成功裡に実施することができる数多くの有機層形態がある。典型的な構造が図5に示されており、これは基板101と、アノード103と、正孔注入層105と、正孔輸送層107と、発光層109と、電子輸送層111と、カソード113とから成っている。これらの層に関して、より詳細に以下に説明する。なお、その代わりにカソードに隣接して基板を配置することもでき、或いは、基板がアノード又はカソードを実際に構成することもできる。アノードとカソードとの間の有機層は、有機エレクトロルミネセント(EL)要素と便宜上呼ばれる。有機層の総複合厚は、好ましくは500 nm未満である。
【0095】
OLEDのアノード及びカソードは、電気的な導体260を介して電圧/電流源250に接続されている。OLEDは、アノードがカソードよりも正の電位であるようにアノードとカソードとの間に電位を加えることにより動作される。正孔がアノードから有機EL要素内に注入され、そして電子がアノードで有機EL要素内に注入される。サイクル内の所定の時間にわたって電位バイアスが反転されて電流が流れないACモードでOLEDが動作されると、デバイス安定性を高めることができることがある。AC駆動型OLEDの一例が米国特許第5,552,678号明細書に記載されている。
【0096】
EL発光がアノード103を通して見られる場合、アノードは当該発光に対して透明又は実質的に透明であるべきである。このように、本発明の透明度は、このようなOLEDディスプレイ・デバイスにとって極めて重要である。本発明に使用される共通の透明アノード材料は、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、及び酸化錫であるが、しかし例えばアルミニウム又はインジウムでドープされた酸化亜鉛、酸化マグネシウム-インジウム、及び酸化ニッケル-タングステンを含む他の金属酸化物も正しく機能することができる。これらの酸化物に加えて、金属窒化物、例えば窒化ガリウム、及び金属セレン化物、例えばセレン化亜鉛、及び金属硫化物、例えば硫化亜鉛をアノードとして使用することもできる。EL発光がカソード電極を通してのみ見られる用途の場合、アノードの透過特性は一般に重要でなく、透明、不透明又は反射性の任意の導電性材料を使用することができる。この用途のための導体の一例としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、及び白金が挙げられる。透過性又はその他の典型的なアノード材料は、4.1 eV以上の仕事関数を有する。望ましいアノード材料は一般に、任意の好適な手段、例えば蒸発、スパッタリング、化学気相堆積、又は電気化学的手段によって堆積される。よく知られたフォトリソグラフィ法によってアノードをパターン化することができる。任意には、短絡を最小化し、又は反射率を高めるように表面粗さを低減するために、アノードは他の層の適用前に研磨することができる。導電性皮膜は、高分子バインダーの皮膜形成能力、及び選択された比の結果として、受け入れられ得る表面粗さを有することが望まれる。
【0097】
本発明の別の用途は、タッチスクリーンのために考えられる。タッチスクリーンは、コンピュータにおいて、そして具体的にはポータブル・コンピュータとともに、コンベンショナルなCRT及びフラット・パネル・ディスプレイ・デバイス内で幅広く使用される。本発明は、例えば米国特許出願公開第2003/0170456号明細書;同第2003/0170492号明細書;米国特許第5,738,934号明細書;及び国際公開第00/39835号パンフレット(これらを参考のため本明細書中に引用する)に開示されたものを含む、当業者に知られたタッチスクリーンのいずれかにおいて透明導電性部材として使用することができる。
【0098】
図6は、第1の導電性層14を有する、透明基板12を含む典型的な従来技術の抵抗型タッチスクリーンのための多層物品10を示している。可撓性透明カバーシート16は、スペーサ要素20によって第1の導電性層14から物理的に分離された第2の導電性層18を含む。これらの導電性層を横切って電圧が発生させられる。導電性層14及び18は、電力使用量及び位置検知精度を最適化するように選択された抵抗を有する。外部の物体、例えば指やスタイラスによって可撓性カバーシート16を変形させると、第2の導電性層18は、第1の導電性層14と電気的に接触させられ、これにより導電性層間で電圧が移動される。この電圧の規模は、変形させる物体の位置を検出するために、導電性層18及び14の縁部に形成された金属導電性パターン(図示せず)に接続されたコネクタ(図示せず)を介して測定される。本発明の物品は導電性層となる。
【0099】
抵抗型タッチスクリーンのコンベンショナルな構成は、基板上に材料を順次配置することを伴う。基板12とカバーシート16とが先ずクリーニングされ、次いで、基板及びカバーシートに均一な導電性層が適用される。可撓性導電性層を提供するために、塗布可能な電子伝導性ポリマー、例えばポリチオフェン又はポリアニリンを使用することが知られている。例えば、光透過性導電性ポリマー塗膜を有する光透過性基板を示す国際公開00/39835号パンフレット、及び導電性ポリマー塗膜を有するカバーシートを示す米国特許第5,738,934号明細書を参照されたい。次いでスペーサ要素20が装着され、そして最後に可撓性カバーシート16が取り付けられる。
【0100】
下記の非限定的な例によって本発明をさらに説明する。
塗布用組成物(分散体)のための成分
(a) TX-100: Rohm & Haasによって供給された非イオン性界面活性剤
(b) P3 SWCNT:Carbon Solutions Inc.によって供給された共有結合カルボン酸(下記原子%)を有する単層カーボンナノチューブ
(c) P2 SWCNT:Carbon Solutions Inc.によって供給された共有結合カルボン酸(下記原子%)を有する単層カーボンナノチューブ
(d) RFP SWCNT:Carbon Solutions Inc.によって供給された共有結合カルボン酸(下記原子%)を有する単層カーボンナノチューブ
(e) HiPCO SWCNT:Carbon Nanotechnologies Inc.によって供給された共有結合カルボン酸(下記原子%)を有する単層カーボンナノチューブ
【0101】
各タイプのSWCNT上のカルボン酸の原子%が、下記のような滴定法によって測定された。表1は、我々が各SWCNTに関して測定したカルボン酸レベルを示す。
【0102】
【表1】

【0103】
共有結合されたカルボン酸量を測定するために用いられる方法を以下に説明する。
単層カーボンナノチューブにおける強酸レベルの滴定
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)における強酸の測定のために、非水性滴定手順が与えられる。50/2(v/v)蒸留テトラヒドロフラン(THF)/メタノールの溶剤系中に、試料を分散させる。分散体を、0.1 N水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(HDTMAH)で滴定する。典型的には2つの終点を記録する。第1の終点は、SWCNTと連携する、より強い酸に起因する。これらの酸は、表面誘導体化反応からの残留鉱物酸、又はSWCNT表面に結合された酸官能基であり得る。第2の終点も観察されるが、しかし典型的には、定量的に利用するにはあまりにもノイズが大きすぎる。SWCNT中のカルボン酸の正味レベルを提供するために水酸化ナトリウム逆滴定を行うことにより見いだされた全酸から、SWCNT試料中の強酸が差し引かれる。
【0104】
設備
1) Brinkmann Titrino Workcellソフトウェアを有し、また1-ml琥珀色ガラス・ビュレットを備えたMetrohm Model 716 Titrino、又は同等のもの。
【0105】
2) 指示電極-組合わせガラスpH/Ag/AgCl基準。Metrohm Model 6.0202.100又は同等のもの。電極のための充填溶液は、メタノール中0.1 N塩化テトラメチルアンモニウムである。
【0106】
試薬
1) ほぼ9:1(v)トルエン:メタノール中の0.1 N水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(HDTMAH)(注1)
2) 蒸留テトラヒドロフラン(THF)(注2)
3) メタノール、試薬等級、例えばJ. T. Baker 9093-33
【0107】
手順
1) ほぼ30〜150 mgのSWCNT試料を100 mlビーカー内に、0.1 mgまでの概数として秤量して入れる(注3)。
2) 50 mlの蒸留THF及び2 mlのメタノールを添加する。
3) Parafilmで覆い、そして15分間撹拌する。
4) 1 mlビュレットを備えたTitrinoを利用して、0.1 N HDTMAHで試料を滴定する。
5) 同じ条件下で50/2 THF/MeOHのブランクを滴定する。
【0108】
計算
Titroprocessorは、電位差終点を自動的にマークする。最初の終点(正のHNP)だけが、下記計算に使用される。後続の終点は無視される。
【0109】
EP=終点
強酸(meq/g)=[(ml EP #1)−(mlブランク)]×NHDTMAH(試料のグラム数)
正味カルボン酸(meq/g)=[全酸(NaOH逆滴定から)(meq/g)]−[強酸(meq/g)]
【0110】
注記
1) HDTMAHは、Acros Organicsから、25 %(w/v)メタノール溶液として入手可能である。カタログ番号41142-1000。この材料は通常、滴定用途に適するようになる前に広範囲な精製を必要とする。
2) THFは、滴定を妨害する過酸化物阻害剤BHTを除去するために蒸留される。蒸留THFは、潜在的な過酸化物形成体であり、そして24時間を上回る時間にわたって貯蔵されるべきである。その残留物が潜在的に爆発性なので、いかなる状況においても、蒸留THFは乾燥するまで蒸発させておくべきではない。我々は、BHTを除去するには、1フィートVigreauxカラムを通した蒸留で十分であることを見いだした。
3) 試料のサイズは、SWCNT試料上のカルボキシル化の予期レベルに応じて、大幅に変化する。特定された試料範囲はこれまでの経験に基づいている。
【0111】
単層カーボンナノチューブにおける全酸レベルの滴定
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)における全酸の測定のために、水性滴定手順が与えられる。過剰の0.1N NaOHを含有する水中に、試料を分散させる。SWCNT上のいかなる酸をも反応させるのに十分な時間の後に、過剰塩基を電位差測定終点まで0.1N HClで滴定する。SWCNTを有さない0.1N NaOHのブランクを、0.1N HClで測定する。ブランク及び試料の滴定間の差から、SWCNT中の酸の全レベルが得られる。
【0112】
設備
1) Brinkmann Titrino Workcellソフトウェアを有し、また1-mlガラス・ビュレットを備えたMetrohm Model 716 Titrino、又は同等のもの。
2) 指示電極-組合わせガラスpH/Ag/AgCl基準。Metrohm Model 6.0202.100又は同等のもの。電極のための充填溶液は、飽和型KClである。
【0113】
試薬
1) 水中の0.1 N HCl。4-アミノピリジンに対して標準化(一次標準等級)
2) 0.1 N NaOH。安息香酸に対して標準化(一次標準等級)
【0114】
手順
1) ほぼ30〜150 mgのSWCNT試料を100 mlビーカー内に、0.1 mgまでの概数として秤量して入れる(注1)。
2) 50 mlの蒸留水を添加する。
3) Aクラス・ピペットによって、1.0 mlの0.1N NaOHを添加する。
4) Parafilmで覆い、そして2時間にわたって撹拌する。
5) 1 mlビュレットを備えたTitrinoを利用して、0.1N HClで試料を滴定する。
6) 同じ条件下で50 mlの蒸留水中1.0 mlの0.1N NaOHのブランクを滴定する。
【0115】
計算
Titroprocessorは、電位差終点を自動的にマークする。概ね、2つの終点が試料及びブランクの両方に見られる。最初の終点(水酸化物)間の差が、下記計算に使用されるべきである。
【0116】
全酸(meq/g)=[(EP #1ブランクにおけるml HCl)−(EP #1試料におけるml HCl)]×NHCl(試料のグラム数)
【0117】
注記
1) 試料のサイズは、SWCNT試料上のカルボキシル化の予期レベルに応じて、大幅に変化する。もし知られているならば、好適な試料サイズを計算することができる。もし知られていないならば、試験しなければならない。特定された試料範囲はこれまでの我々の経験に基づいている。
【0118】
下記表2は、分散体を形成するために、脱イオン水中の官能化チューブだけが使用される場合に形成された種々の分散体タイプに関して見いだされる分散体の安定性/品質を示す。この表は、好適なカルボン酸官能化レベルで、より高いローディング率の分散体の品質及び能力が有意に改善されることを明示している。凡例は次の通りであり、割り当てられた数値は、これが10に近づくにつれてより良好な分散特性を有する:
【0119】
不良(数値0〜2):SWCNTは所与の条件において分散せず、直後に、又はたった1〜2分間の静止後に沈降が生じる。分散体は形成されない。
【0120】
限界(数値3〜5):SWCNTは、極めて低い濃度(<100 ppm)で適度に良好に分散するが、しかしより高い濃度では、短時間にわたって安定でない分散体を形成する。大型粒子は分散せず、急速に沈降する。
【0121】
良(数値6〜8):SWCNTは、低〜中程度の濃度で適度に良好に分散するが、しかしより高い濃度(>1000 ppm)では、安定な分散体を形成しない。時間とともに、沈降が明らかである。
【0122】
優(数値9〜10):SWCNTは、低濃度から中濃度、中濃度から高濃度(100〜5000 ppm)で特に良好に分散し、そして数か月にわたって安定な分散体を形成する。中間濃度(700〜2000 ppm)において、数か月にわたって小さな程度の沈降が発生する。より高い濃度(3000〜5000 ppm)では、数か月にわたって中程度の沈降が小粒子として発生する。
【0123】
【表2】

【実施例】
【0124】
界面活性剤又は分散助剤を使用しない、官能化SWCNTを含む分散体の調製
例1:
2〜2.5原子パーセントのカルボン酸官能化を有する1000 ppm(1 mg/mL = 0.1重量%)のP3 SWCNTと、残余の脱イオン水とから成る塗布用組成物を、ガラス容器内で調製した。機械的及び音響的エネルギーを分散体に加えた。結果として生じた分散体は、ガラス容器内で見ると不透明である。数か月にわたって、分散体は安定のままであることが見いだされ、そして分散体品質は、上記表2に定義されたように優と判定された。
【0125】
比較例1:
0.2原子パーセント未満のカルボン酸官能化を有する1000 ppm(1 mg/mL = 0.1重量%)のCN1 HiPCO SWCNT(バッチXD3347B)と、残余の脱イオン水とから成る塗布用組成物を、ガラス容器内で調製した。機械的及び音響的エネルギーを分散体に加えた。結果として生じた分散体は、SWCNTの重度の凝集に起因して透明である。極めて短時間(数分)で、分散体は、更なる機械的又は音響的な撹拌手段によって分散することのない強いSWCNT集合体を形成することが見いだされた。この塗布用組成物を用いてコンベンショナルな塗布方法を介して皮膜を生成することは可能ではなかった。
【0126】
例2:
2〜2.5原子パーセントのカルボン酸官能化を有する2000 ppm(2 mg/mL = 0.1重量%)のP3 SWCNTと、残余の脱イオン水とから成る塗布用組成物を、ガラス容器内で調製した。機械的及び音響的エネルギーを分散体に加えた。結果として生じた分散体は、ガラス容器内で見ると不透明である。数か月にわたって、分散体は安定のままであることが見いだされた。
【0127】
例3:
例2における分散体を、導電性塗膜を形成するために使用した。TX-100非イオン性界面活性剤を、SWCNTの重量を基準として25重量%で、塗布助剤として添加した。塗布用組成物を100 μm厚のポリエステル基板上に適用し、そして80℃で乾燥させた。乾燥された塗膜は、64.6 mg/m2のカルボン酸官能化SWCNTと、16.5 mg/m2のTX-100とを含有し、そして4点プローブで測定して、2300Ω/□と等しい表面抵抗率を有した。導電性層は、535 nm波長において81.5 %の透明度を有した。
【0128】
例4:
例2における分散体を、導電性塗膜を形成するために使用した。TX-100界面活性剤を、SWCNTの重量を基準として25重量%で、塗布助剤として添加した。塗布用組成物を100 μm厚のポリエステル基板上に適用し、そして80℃で乾燥させた。乾燥された塗膜は、129 mg/m2のカルボン酸官能化SWCNTと、32.3 mg/m2のTX-100とを含有し、そして4点プローブで測定して、840Ω/□と等しい表面抵抗率を有した。
【0129】
同じSWCNT固形分レベルに関して、官能化が増大するのに伴って、全ての比較例が本発明の組成物と比較して示す分散能力は、不良ないし全くないことが明らかである。同様に、同じSWCNT固形分ローディング率に関して、分散体品質が劣っていることにより塗膜を生成できなかった比較例の組成物と比較して、1 %を上回る官能化原子パーセントを有する全ての例は、低いSER値を示すことも明らかである。これらの結果は驚くべきことに、本発明の組成物が従来技術及び比較例の組成物と比較して、高められたSWCNT固形分レベル、及びコンベンショナルな手段を介して高導電率、高透明度の塗膜を塗布するための高められた能力を提供するので、本発明の組成物が優れていることを実証する。官能化レベルが高められるのに伴って、SWCNTの分散可能性が劇的に増大し、そして塗布された皮膜の、結果として生じるSER特性は、コンベンショナルな塗布方法によって適用される、著しく低い表面官能化レベルを有する系よりも有意に低いことも明らかである。従って、本発明の塗膜組成物の望ましさは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】図1は、開いた又は閉じた端部を有する、プリスチンなSWCNTを示す。
【図2】図2は、開いた又は閉じた端部を有する、共有結合的に官能化されたSWCNTを示す。
【図3】図3は、電気的な導線によって電源に接続された導電性層を有する受容体要素を含む、本発明の方法によって形成されたディスプレイ構成部分を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明による一例としてのポリマー分散型LCディスプレイを示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の方法によるOLED系ディスプレイを示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の方法による一例としての抵抗型タッチ・スクリーンを示す概略図である。
【符号の説明】
【0131】
10 抵抗型タッチスクリーンのための物品
12 透明基板
14 第1の導電性層
15 可撓性基板
16 透明カバーシート
18 第2の導電性層
20 第1の導電性層
22 スペーサ要素
30 光変調液晶層
35 ナノ顔料含有機能層
40 第2の導電性層
42 誘電層
44 導電性行コンタクト
50 LCD物品
60 ディスプレイ構成部分
62 基板
64 電子伝導性ポリマー層
66 電源
68 電気的な導線
101 基板
103 アノード
105 正孔注入層
107 正孔輸送層
109 発光層
111 電子輸送層
113 カソード
250 電圧/電流源
260 電気的な導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブの少なくとも0.5原子%の量で、カルボン酸、硝酸塩、ヒドロキシル、硫黄含有基、カルボン酸塩、及びリン酸塩から成る群から選択された、共有結合された親水性種を有する単層カーボンナノチューブの水性分散体を含む塗布用組成物。
前記カーボンナノチューブは、前記分散体の少なくとも0.05重量%の量で存在する。
【請求項2】
前記分散体のpHが3〜10である、請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項3】
前記分散体のpHが3〜6である請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブが、前記分散体の0.05〜10 %の量で存在する請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブが、前記分散体の0.05〜1 %の量で存在する請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項6】
該親水性種が0.5〜5原子%の量で存在する請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項7】
該親水性種が、カルボン酸もしくはカルボン酸塩又はこれらの混合物を含む請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項8】
前記親水性種が:
SOxZy
(上記式中xは1〜3となることができ、そしてZは、水素原子、又はNa、Mg、K、Ca、Zn、Mn、Ag、Au、Pd、Pt、Fe、Coのような金属の金属カチオンとなることができ、そしてyは0又は1となることができる)
から選択された硫黄含有基を含む請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項9】
前記カーボンナノチューブの外径が、0.05〜5ナノメートルである請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブが直径1〜50ナノメートルのバンドルを構成する請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項11】
前記カーボンナノチューブが直径1〜20ナノメートルのバンドルを構成する請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項12】
前記カーボンナノチューブの長さが20ナノメートル〜50ミクロンである請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項13】
前記カーボンナノチューブが長さ20ナノメートル〜50ミクロンのバンドルを構成する請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項14】
前記カーボンナノチューブが金属カーボンナノチューブである請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項15】
前記親水性種が、スルホン酸もしくはスルホン酸塩又はこれらの混合物を含む請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項16】
前記カーボンナノチューブが開放端カーボンナノチューブである請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項17】
前記共有結合された親水性種が、前記カーボンナノチューブの外壁上に存在する請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項18】
前記カーボンナノチューブが、炭素原子の六角形構造を有する請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項19】
前記分散体が高分子バインダーをさらに含む請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項20】
前記分散体が、単層カーボンナノチューブ分散剤を実質的に含まない請求項1に記載の塗布用組成物。
【請求項21】
カーボンナノチューブの少なくとも0.5原子%の量で、カルボン酸、硝酸塩、ヒドロキシル、硫黄含有基、カルボン酸塩、及びリン酸塩から成る群から選択された、共有結合された親水性種を有する単層カーボンナノチューブを含む透明カーボンナノチューブ層を含んで成る物品。
【請求項22】
前記カーボンナノチューブ層を担持する基板をさらに含む請求項21に記載の物品。
【請求項23】
前記カーボンナノチューブ層内にバインダーをさらに含む請求項21に記載の物品。
【請求項24】
前記カーボンナノチューブ層が、1 cm当たり100〜10,000ジーメンスの電子伝導性を有している請求項21に記載の物品。
【請求項25】
前記カーボンナノチューブ層が、1メートル・ケルビン当たり100〜3,000ワットの熱伝導率を有する請求項21に記載の物品。
【請求項26】
前記カーボンナノチューブ層の厚さが、1ナノメートル〜1ミクロンである請求項21に記載の物品。
【請求項27】
該親水性種が0.5〜5原子%の量で存在する請求項21に記載の物品。
【請求項28】
前記親水性種が、カルボン酸もしくはカルボン酸塩又はこれらの混合物を含む請求項21に記載の物品。
【請求項29】
前記親水性種が、スルホン酸もしくはスルホン酸塩又はこれらの混合物を含む請求項21に記載の物品。
【請求項30】
前記カーボンナノチューブの外径が、0.05〜5ナノメートルである請求項21に記載の物品。
【請求項31】
前記カーボンナノチューブが直径1〜50ナノメートルのバンドルを構成する請求項21に記載の物品。
【請求項32】
前記カーボンナノチューブが直径1〜20ナノメートルのバンドルを構成する請求項21に記載の物品。
【請求項33】
前記カーボンナノチューブの長さが20ナノメートル〜50ミクロンである請求項21に記載の物品。
【請求項34】
前記カーボンナノチューブが長さ20ナノメートル〜50ミクロンのバンドルを構成する請求項21に記載の物品。
【請求項35】
前記カーボンナノチューブが金属カーボンナノチューブである請求項21に記載の物品。
【請求項36】
前記カーボンナノチューブ層の透明度が75〜99 %である請求項21に記載の物品。
【請求項37】
前記カーボンナノチューブが開放端カーボンナノチューブである請求項21に記載の物品。
【請求項38】
前記カーボンナノチューブ層が、0〜1重量パーセントの単層カーボンナノチューブ分散剤を含む請求項21に記載の物品。
【請求項39】
基板と、前記基板の表面上の導電性透明カーボンナノチューブ層と、前記導電性層に電気的に接続された導線とを含んで成るディスプレイ・デバイス。
前記導電性層は、前記カーボンナノチューブの少なくとも0.5原子%の量の、カルボン酸、硝酸塩、ヒドロキシル、カルボニル、及びリン酸塩から成る群から選択された、共有結合された親水性種を有する単層カーボンナノチューブを含む。
【請求項40】
前記導電性層に接続された電流源をさらに含む請求項39に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項41】
液晶材料が前記導電性層と、直接に又は誘電不動態化層を通して接触している請求項39に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項42】
前記導電性層に電気的に接続された電圧源をさらに含む請求項39に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項43】
前記導電性層が、該基板の表面上にパターンを形成している請求項39に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項44】
前記基板が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ガラス、及び酢酸セルロースから成る群から選択される請求項39に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項45】
前記基板が可撓性である請求項39に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項46】
少なくとも1つの電気的に画像形成可能な層をさらに含む請求項39に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項47】
前記電気的に画像形成可能な材料が、光変調材料を含む請求項39に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項48】
前記光変調材料が、電気化学材料、電気泳動材料、エレクトロクロミック材料、及び液晶材料から成る群から選択される少なくとも1つの部材を含む請求項47に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項49】
前記電気的に画像形成可能な材料が発光材料を含む請求項46に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項50】
前記発光材料が、有機発光ダイオード又は高分子発光ダイオードを含む請求項49に記載のディスプレイ・デバイス。
【請求項51】
前記光変調材料が、反射性又は透過性である請求項47に記載のディスプレイ・デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−536954(P2008−536954A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556186(P2007−556186)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/004323
【国際公開番号】WO2007/086878
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】