説明

印刷装置および印刷方法

【課題】ラインヘッドを有するインクジェット式の印刷装置において、1つのヘッドから吐出可能な色数を増加させつつ、出力される画像の画質を向上させる。
【解決手段】印刷装置が備えるラインヘッドには、一般色のインクを吐出する複数のノズルが第1のノズル密度によって該ラインヘッドの幅方向に配列されるとともに、特色インクを吐出する複数のノズルが前記第1のノズル密度よりも低い第2のノズル密度によって該ラインヘッドの幅方向に配列されている。この印刷装置は、画像データが表す画像中の一般インクに対応する色のデータについては、第1のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行い、特色インクに対応する色のデータについては、第1のノズル密度と第2のノズル密度の相違に基づいて第1のディザマスクを変換して生成された第2のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッドを有するインクジェット式の印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、色の基本色であるシアン、マゼンタ、イエロ、ブラックに対応する一般のインクだけではなく、ライトシアンやライトマゼンタ、あるいは、レッドやグリーンなどの特色インクを用いてフルカラー印刷を行う印刷装置が普及している。
【0003】
このような印刷装置では、1つのヘッドに形成可能なノズルの数には制限がある。そこで、例えば、特許文献1には、シリアル方式のインクジェットプリンタにおいて、異なる色のインクを同一のノズル列から吐出することで、1つのヘッドから吐出可能な色の数を増加させる技術が提案されている。また、特許文献2には、シリアルヘッドを有するインクジェット式の印刷装置において、ヘッドの小型化を図るため、画質への影響が軽微な特定の色のノズルの数を減じる技術が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−54016号公報
【特許文献2】特開2000−141714号公報
【0005】
しかし、シリアル方式ではなく、ライン方式のインクジェットプリンタにおいては、1つのヘッドから吐出可能な色数を増加させることについての具体的な提案はなされていなかった。また、ライン式のインクジェットプリンタにおいて、1つのヘッドから吐出可能な色数を増加させた場合に、画質を向上させる技術についての具体的な提案もなされていなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの問題を考慮し、本発明が解決しようとする課題は、ラインヘッドを有するインクジェット式の印刷装置において、1つのヘッドから吐出可能な色数を増加させつつ、出力される画像の画質を向上させることある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]ラインヘッドと、印刷媒体を前記ラインヘッドに対して相対的に搬送する搬送機構とを備えた印刷装置であって、
前記ラインヘッドには、一般色のインクを吐出する複数のノズルが第1のノズル密度によって該ラインヘッドの幅方向に配列されるとともに、特色インクを吐出する複数のノズルが前記第1のノズル密度よりも低い第2のノズル密度によって該ラインヘッドの幅方向に配列されており、
画像データを入力する入力部と、
前記画像データが表す画像中の前記一般色のインクに対応する色のデータについては、第1のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行い、前記特色インクに対応する色のデータについては、前記第1のノズル密度と前記第2のノズル密度の相違に基づいて前記第1のディザマスクを変換して生成された第2のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部と、
前記ラインヘッドおよび前記搬送機構を制御して、前記ハーフトーン処理がなされた画像を印刷する印刷処理部とを備える印刷装置。
【0009】
このような態様の印刷装置であれば、特色インクのノズル密度を低減させつつ、この特色インクについては、一般色のインクのノズル密度と特色インクのノズル密度の相違に基づいて一般色用の第1のディザマスクを変換して生成された第2のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行う。この結果、1つのヘッドから吐出可能な色数を増加させつつ、出力される画像の画質を向上させることが可能になる。
【0010】
[適用例2]適用例1に記載の印刷装置であって、更に、前記第1のディザマスクが予め記憶された記憶部と、前記ハーフトーン処理に先立って、前記記憶部に記憶された第1のディザマスクに基づいて、前記第2のディザマスクを生成する生成部とを備える印刷装置。
【0011】
このような態様の印刷装置であれば、記憶部に予め記憶された第1のディザマスクから、動的に、第2のディザマスクを生成することができるので、記憶部の記憶容量を削減することができる。また、ハーフトーン処理に先立って、第2のディザマスクを生成するので、特色インクに対するハーフトーン処理が遅延してしまうことを抑制することができる。
【0012】
[適用例3]適用例2に記載の印刷装置であって、前記第2のノズル密度は、前記第1のノズル密度の2分の1であり、かつ、前記特色インクに対応する色のデータの上限値は、前記一般色のインクに対応する色のデータの上限値の2分の1であり、前記生成部は、前記第1のディザマスクを2列毎にグループ分けし、該グループ毎に、行方向に、ディザ値を該ディザ値の大小関係に基づいて入れ替えて、小さいディザ値を有する第1のディザ列と、大きいディザ値を有する第2のディザ列とを形成することで、前記第2のディザマスクを生成する印刷装置。
【0013】
このような態様の印刷装置であれば、ノズル密度が、一般色のインクのノズル密度の2分の1である特色インクについて、第1のディザ列を用いたハーフトーン処理を行うことができる。
【0014】
[適用例4]適用例3に記載の印刷装置であって、前記生成部は、前記第2のディザ列に、前記特色インクに対応する色のデータの上限値に達しないディザ値が含まれる場合には、該ディザ値を、前記特色インクに対応する色のデータの上限値に引き上げる印刷装置。
【0015】
このような態様の印刷装置であれば、特色インク用のノズルが存在しない部分について、ドットを発生させるようなハーフトーン処理結果が生じることを抑制することができる。
【0016】
[適用例5]適用例4に記載の印刷装置であって、前記生成部は、前記ディザ値の引き上げを行った場合に、前記特色インクに対応する色のデータの上限値と該ディザ値の引き上げ前の値との差分を、同一グループの隣接するディザ値から差し引く印刷装置。
【0017】
このような態様の印刷装置であれば、特色インクに適用させる第1のディザ列から、隣接したディザ値の引き上げ分のディザ値を差し引くことができるので、ディザ値の引き上げによって、全体として、特色インクの濃度が変動してしまうことを抑制することができる。
【0018】
[適用例6]適用例3ないし適用例5のいずれかに記載の印刷装置であって、前記生成部は、前記第1のディザ列に、前記特色インクに対応する色のデータの上限値以上となるディザ値が含まれる場合には、該ディザ値を、前記特色インクに対応する色のデータの上限値未満となる最大の値に引き下げる印刷装置。
【0019】
上記態様の印刷装置によれば、特色インクに適用させる第1のディザ列に、特色インクに対応する色のデータの上限値以上となるディザ値が含まれる場合には、このディザ値を、特色インクに対応する色のデータの上限値未満となる最大の値に引き下げることができる。この結果、特色インクに対応する色と第1のディザ列との対比を好適に行うことが可能になる。
【0020】
なお、本発明は、上述した印刷装置としての構成のほか、印刷方法や、コンピュータプログラムとしても構成することができる。コンピュータプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスク、メモリカード、ハードディスク等の種々の媒体を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.プリンタの概略構成:
B.ラインヘッドのノズル配置:
C.印刷処理:
D.特色用ディザマスク生成処理:
E.ハーフトーン処理:
F.変形例:
【0022】
A.プリンタの概略構成:
図1は、本発明の実施例としてのプリンタ10の概略構成を示す説明図である。プリンタ10はライン式のインクジェットプリンタであり、図示するように、制御ユニット20、インクカートリッジ61、ラインヘッド70、搬送機構80を備えている。
【0023】
インクカートリッジ61には、一般色のインク(以下、一般インクという)として、シアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエロインク(Y)、ブラックインク(K)、が収容されており、特色インクとして、レッドインク(R)、グリーンインク(G)が収容されている。勿論、インクの種類や数はこれに限るものではない。本実施例において、一般インクとは、色の三原色に対応するインクにブラックインクを加えたインクである。一方、特色インクとは、一般インクのみによっては再現が困難な色について、その色再現領域(ガマット)を広げるために用いられるインクである。特色インクとしては、R,G以外にも、例えば、ライトシアンやライトマゼンタ、ダークイエロ、ブルー等のインクを用いることが可能である。
【0024】
ラインヘッド70は、印刷媒体Pの幅に相当する幅を有するヘッドである。ラインヘッド70の下面には、一般インクを吐出する複数のノズルが第1のノズル密度によってラインヘッドの幅方向に配列されており、また、特色インクを吐出する複数のノズルが第1のノズル密度よりも低い第2のノズル密度によってラインヘッドの幅方向に配列されている。ノズル配列の詳細については後述する。
【0025】
インクカートリッジ61に収容された各インクは、インクカートリッジ61と各ノズルとを結ぶ導通管を通じて、ラインヘッド70の下面に設けられたノズルに供給される。各ノズルは、サーマルジェット方式によりインクの吐出を行い、印刷媒体Pへの印刷を行う。すなわち、各ノズルは、ノズルの壁面の一部を加熱することインクに気泡を生じさせ、これによりインクを印刷媒体Pに吐出する。なお、本実施例では、サーマル方式によってインクを吐出することとしたが、ピエゾ方式としてもよい。
【0026】
搬送機構80は、紙送りローラ82と紙送りモータ84と備えている。紙送りモータ84は、紙送りローラ82を回転させることで、ラインヘッド70に対して印刷媒体Pを、ラインヘッド70の幅方向と垂直の方向(搬送方向)に搬送する。なお、本実施例では、ラインヘッド70を固定して印刷媒体Pを搬送しているが、印刷媒体Pを固定してラインヘッド70を搬送することとしてもよい。
【0027】
制御ユニット20は、プリンタ10の動作全般の制御を行う。制御ユニット20には、メモリカードMCに記録された画像データを入力するためのメモリカードスロット92や、デジタルカメラ等の機器を接続するUSBインタフェース94、印刷に関する種々の操作を行うための操作パネル96、ユーザインタフェースを表示するための液晶ディスプレイ98が接続されている。
【0028】
制御ユニット20は、CPU30とRAM40とROM50とを備えている。CPU30はROM50に記憶された制御プログラムをRAM40にロードして実行することで、図示する特色用ディザ生成部31、色変換部32、ハーフトーン処理部33、印刷処理部34として動作する。
【0029】
特色用ディザ生成部31は、ROM50に記録された基本ディザマスクDM1を、一般インクを吐出するノズルの密度と特色インクを吐出するノズルの密度との相違に基づき、特色用ディザマスクDM2に変換する。この変換処理の詳細については後述する。
【0030】
図2は、ROM50に記録された基本ディザマスクDM1のデータ構成を示す図である。図示するように、本実施例の基本ディザマスクDM1は、Y方向(横方向)に4個、X方向(縦方向)に4個の計16個のディザ値(閾値)を有している。ディザ値は、例えば、画像を二値化した場合に、その画像の空間周波数特性が、ブルーノイズ特性を有するように配列されている。本実施例では、各ディザ値が採り得る値の範囲を、後述するドット発生率との関係で、0から99までとしている。
【0031】
色変換部32は、メモリカードMC等から入力したRGB形式の画像データを、CMYKRG形式の画像データに変換する。色変換のアルゴリズムには、四面体補間技術など、公知の技術を適用することができる。
【0032】
ハーフトーン処理部33は、基本ディザマスクDM1や、特色用ディザ生成部31によって生成された特色用ディザマスクDM2を参照して、色変換処理のなされた画像データに対してハーフトーン処理を施す。本実施例では、これらのディザマスクを用いた組織的ディザ法によってハーフトーン処理を行う。かかるハーフトーン処理の詳細については後述する。ハーフトーン処理によって得られるデータを、以下では、印刷データという。
【0033】
印刷処理部34は、ハーフトーン処理の結果得られた印刷データに基づいて、ラインヘッド70および搬送機構80を制御し、印刷媒体PにC,M,Y,K,R,Gの各色のインクを吐出することで、カラー印刷を行う。
【0034】
B.ラインヘッドのノズル配置:
続いて、図3を参照して、ラインヘッド70が備えるノズルの配置について説明する。図3は、ラインヘッド70のノズル配置を示す図である。図示するように、本実施例のラインヘッド70には、その幅方向に、C,M,Y,K,R,Gのそれぞれについて複数のノズルが配置されている。R,Gについては、図の下部に示した拡大図のように、800dpiの間隔で、ノズルが一直線上に配置されている。ただし、Gのノズルに対して、Rのノズルは、1600dpi分、左方向にずらして配置されている。これに対して、C,M,Y,Kの各ノズルは、ラインヘッド70の幅方向に、2行分、配置されている。各行のノズルは、図の下部の拡大図のように、1600dpi分、ずらして配置されている。そのため、C,M,Y,Kの各ノズルについては、1600dpi間隔で、ノズルが配置されていることになる。つまり、本実施例では、特色インクを吐出するノズルの密度は、一般インクを吐出するノズルの密度の、2分の1になっている。なお、本実施例では、図の下部の拡大図に示すように、C,M,Y,Kの各ノズルについては、2行分のノズルが配置されていているが、各ノズルを1600dpi間隔で一直線上に配置することとしてもよい。
【0035】
図4は、R,Gインクによってドットが形成される様子を示す図である。RおよびGのノズルが、図3に示す配置を採るとき、印刷媒体P上には、RインクおよびGインクが、図4に示すように吐出される。つまり、図3に示したように、RとGとは、それぞれ、800dpi間隔で配置されているが、これらは、ラインヘッド70の幅方向に1600dpi分だけずらして配置されているため、RドットとGドットとは、印刷媒体P上には、印刷媒体Pの搬送方向と交差する方向に交互に吐出されることになる。なお、C,M,Y,Kの各インクについては、1600dpi間隔で配置されているため、図4の「R」および「G」と示した部分のすべてに、ドットが形成可能である。
【0036】
C.印刷処理:
図5は、プリンタ10のCPU30が実行する印刷処理のフローチャートである。この印刷処理は、ユーザが、プリンタ10の操作パネル96を用いて、所定の印刷操作を行った場合に実行される処理である。
【0037】
この印刷処理が実行されると、CPU30は、ROM50から基本ディザマスクDM1をRAM40に入力する(ステップS10)。基本ディザマスクDM1を入力すると、CPU30は、特色用ディザ生成部31の働きにより、基本ディザマスクDM1から、特色用ディザマスクを生成する特色用ディザ生成処理を実行する(ステップS20)。この特色用ディザ生成処理の詳細については後述する。この特色用ディザ生成処理が終了すると、RAM40には、特色用ディザマスクDM2が入力される。
【0038】
上述した処理によって、RAM40に、基本ディザマスクDM1と特色用ディザマスクDM2とが入力されると、CPU30は、メモリカードスロット92を介してメモリカードMCからRGB形式の画像データを入力する(ステップS30)。なお、本実施例では、メモリカードMCから画像データを入力しているが、USBインタフェース94を介して、デジタルカメラやパーソナルコンピュータから画像データを入力することとしてもよい。
【0039】
画像データを入力すると、CPU30は、色変換部32の働きにより、RGB形式の画像データを、CMYKRG形式の画像データに変換する色変換処理を実行する(ステップS40)。この色変換処理では、R,G,Bの色濃度(色データ)の組み合わせと、C,M,Y,K,R,Gの色濃度(色データ)の組み合わせとの対応関係が定義されたルックアップテーブルを参照することで、色変換が行われる。本実施例では、この色変換処理により、C,M,Y,Kについては、0〜100(%)の色濃度に変換され、R,Gについては、0〜50(%)の色濃度に変換されることとする。
【0040】
色変換処理によって、CMYKRG形式の画像データが得られると、CPU30は、ハーフトーン処理部33の働きによって、C,M,Y,K,R,Gの各色について、ハーフトーン処理を実行し、印刷データを生成する(ステップS50)。かかるハーフトーン処理は、一般インクに対応する色(C,M,Y,K)については、基本ディザマスクDM1が用いられ、特色インクに対応する色(R,G)については、特色用ディザマスクDM2が用いられる。
【0041】
ハーフトーン処理が終了すると、CPU30は、印刷処理部34の働きにより、紙送りモータ84を駆動し、この動きに合わせて、印刷データに基づいてラインヘッド70からインク滴を吐出する(ステップS60)。その結果、適切な位置に適切な色のインクドットが形成されて画像データが印刷されることになる。
【0042】
なお、本実施例では、ユーザによって所定の印刷操作が行われた場合に、上述した印刷処理が実行される。つまり、印刷処理の実行の度に、ステップS10による基本ディザマスクの入力と、ステップS20による特色用ディザマスクの生成とが行われる。これに対して、基本ディザマスクの入力と、特色用ディザマスクの生成とは、プリンタ10の電源投入時に、一度だけ行われることとしてもよい。こうすることで、印刷処理の処理速度を向上させることができる。
【0043】
D.特色用ディザマスク生成処理:
続いて、印刷処理のステップS20で実行される特色用ディザ生成処理の詳細について説明する。
図6は、特色用ディザ生成処理のフローチャートである。図示するように、この特色用ディザ生成処理では、始めに、CPU30によって入替処理と呼ばれる処理が実行され(ステップS100)、その後、入替処理によって得られたディザマスクに対して、第1調整処理(ステップS200)および第2調整処理(ステップS300)が施されることで、特色用ディザマスクDM2が生成される。CPU30は、こうして特色用ディザマスクDM2を生成すると、生成した特色用ディザマスクDM2をRAM40に記録する(ステップS400)。以下、入替処理、第1調整処理および第2調整処理の詳細を説明する。
【0044】
(D−1)入替処理:
図7は、入替処理の詳細を示すフローチャートである。この入替処理が実行されると、CPU30は、まず、基本ディザマスクDM1(図2参照)の座標(Y,X)のディザ値を抽出する(ステップS102)。入替処理の開始時には、Y,Xの初期値はともに、「1」とする。従って、図2を参照すれば、ステップS102が最初に実行された場合には、ディザ値として「26」が抽出される。
【0045】
続いて、CPU30は、(Y+1,X)のディザ値を抽出する(ステップS104)。図2を参照すれば、このステップS104が最初に実行された場合には、ディザ値としては、「93」が抽出される。
【0046】
(Y,X)および(Y+1,X)のディザ値を基本ディザマスクDM1から抽出すると、CPU30は、(Y,X)のディザ値と(Y+1,X)のディザ値とを比較し、(Y,X)のディザ値の方が大きいかを判断する(ステップS106)。かかる判断によって、(Y,X)のディザ値の方が大きいと判断されれば、CPU30は、(Y,X)のディザ値と(Y+1,X)のディザ値とを入れ替える(ステップS108)。一方、(Y,X)のディザ値の方が大きくないと判断されれば、CPU30は、このステップS108をスキップする。
【0047】
続いて、CPU30は、Xの値がその最大値(Xmax)に達したかを判断する(ステップS110)。本実施例では、Xmaxの値は、図2に示すように、「4」である。XがXmaxに達していない場合には、CPU30は、Xに「1」を加算し(ステップS112)、処理をステップS102に戻す。
【0048】
XがXmaxに達した場合には、CPU30は、Yの値がその最大値Ymaxに達したかを判断する(ステップS114)。本実施例では、Ymaxの値は、図2に示すように「4」である。YがYmaxに達していない場合には、CPU30は、Xの値を「1」に初期化すると共に、Yの値に「2」を加算する(ステップS116)。そして、処理をステップS102に戻す。YがYmaxに達した場合には、CPU30は、当該入替処理を終了する。
【0049】
図8は、以上で説明した入替処理の具体例を示す説明図である。図8の上部には、基本ディザマスクDM1を示しており、図8の下部には、この基本ディザマスクDM1に対して、入替処理を施した結果を示している。図8に示すように、本実施例の入替処理によれば、図7のステップS116によって、基本ディザマスクを2列毎にグループ分けし、ステップS106によって、各グループ毎に、行方向(Y方向)にディザ値の大小関係を比較している。そして、この比較の結果、奇数列のディザ値が大きければ、ステップS108によって、左右のディザ値を入れ替えている。つまり、上述した入替処理によれば、大きなディザ値を有する列と、小さなディザ値を有する列とが、交互に配置されるように、ディザ値の入替が行われる。
【0050】
(D−2)第1調整処理:
図9は、上述した入替処理に引き続いて実行される第1調整処理のフローチャートである。この第1調整処理が実行されると、CPU30は、まず、入替処理のなされたディザマスク内の(2Y,X)のディザ値を抽出する(ステップS202)。そして、抽出されたディザ値と、特色インクに対応する色の最大ドット発生率(MaxDuty)とを比較し、抽出されたディザ値の方がMaxDutyよりも小さいかを判断する(ステップS204)。なお、本実施例では、第1調整処理の開始時には、Y,Xの初期値はともに、「1」とする。また、ドット発生率についての詳細は後述するが、本実施例では、MaxDutyは、「50」とする。
【0051】
上記ステップS204において、ステップS202で抽出されたディザ値が、MaxDutyよりも小さいと判断されれば、CPU30は、変数Tempに、そのディザ値を一時的に記録し(ステップS206)、(2Y,X)の新たなディザ値として、MaxDutyの値(=50)を代入する(ステップS208)。CPU30は、続いて、入替処理のなされたディザマスクから(2Y−1,X)のディザ値を抽出し(ステップS210)、この(2Y−1,X)の新たなディザ値として、MaxDutyと、(2Y,X)のもともとのディザ値である変数Tempとの差分を、ステップS210で抽出したディザ値から差し引いた値とする(ステップS212)。ステップS204において、ステップS202で抽出されたディザ値が、MaxDutyよりも小さくないと判断されれば、上述したステップS206からステップS212までの処理をスキップする。
【0052】
続いて、CPU30は、Xの値がその最大値(Xmax)に達したかを判断する(ステップS214)。XがXmaxに達していない場合には、CPU30は、Xに「1」を加算し(ステップS216)、処理をステップS202に戻す。XがXmaxに達した場合には、CPU30は、Yの値がその最大値Ymaxに達したかを判断する(ステップS218)。YがYmaxに達していない場合には、CPU30は、Xの値を「1」に初期化すると共に、Yの値に「1」を加算する(ステップS220)。そして、処理をステップS202に戻す。YがYmaxに達した場合には、CPU30は、当該第1調整処理を終了する。
【0053】
図10は、以上で説明した第1調整処理の具体例を示す説明図である。図10の上部には、入替処理が施されたディザマスクを示しており、図10の下部には、このディザマスクに対して、第1調整処理を施した結果を示している。図10に示すように、本実施例の第1調整処理によれば、入替処理によって大きなディザ値が集められた列(偶数列)について、ステップS204によって、MaxDuty(=50)よりも小さなディザ値が存在するかを判断している。図10に示した例では、(Y,X)=(2,2)のディザ値が、MaxDutyを下回る「39」である。そして、MaxDuty(=50)よりも小さなディザ値が存在する場合には、ステップS208によって、そのディザ値を、MaxDutyの値(50)まで引き上げている。更に、引き上げ前後のディザ値の差分(MaxDuty−Temp)を、ステップS212によって、同一グループの隣接したディザ値から差し引いている。このような第1調整処理によれば、入替処理によって大きなディザ値が集められた列のすべてのディザ値を、MaxDuty以上の値にすることが可能になる。また、引き上げを行ったディザ値の差分を、隣接したディザ値から差し引くので、ディザ値の引き上げによって、全体として、特色インクの濃度が変動してしまうことを抑制することができる。
【0054】
(D−3)第2調整処理:
図11は、上述した第1調整処理に引き続いて実行される第2調整処理のフローチャートである。この第2調整処理が実行されると、CPU30は、まず、第1調整処理のなされたディザマスク内の(Y,X)のディザ値を抽出する(ステップS302)。そして、抽出されたディザ値と最大ドット発生率(MaxDuty)とを比較し、抽出されたディザ値の方がMaxDutyよりも大きいかを判断する(ステップS304)。なお、本実施例では、第2調整処理の開始時には、Y,Xの初期値はともに、「1」とする。
【0055】
上記ステップS304において、ステップS302で抽出されたディザ値が、MaxDutyよりも大きいと判断されれば、CPU30は、(Y,X)の新たなディザ値として、MaxDutyから1を差し引いた値(=49)を代入する(ステップS306)。ステップS302で抽出されたディザ値が、MaxDutyよりも大きくなければ、かかるステップS306の処理はスキップする。
【0056】
続いて、CPU30は、Xの値がその最大値(Xmax)に達したかを判断する(ステップS308)。XがXmaxに達していない場合には、CPU30は、Xに「1」を加算し(ステップS310)、処理をステップS302に戻す。XがXmaxに達した場合には、CPU30は、Yの値がその最大値Ymaxに達したかを判断する(ステップS218)。YがYmaxに達していない場合には、CPU30は、Xの値を「1」に初期化すると共に、Yの値に「2」を加算する(ステップS220)。そして、処理をステップS302に戻す。YがYmaxに達した場合には、CPU30は、当該第2調整処理を終了する。この第2調整処理が終了すれば、特色用ディザマスクDM2が完成する。
【0057】
図12は、以上で説明した第2調整処理の具体例を示す説明図である。図12の上部には、第1調整処理が施されたディザマスクを示しており、図12の下部には、このディザマスクに対して、第2調整処理を施すことによって生成された特色用ディザマスクDM2を示している。図12に示すように、本実施例の第2調整処理によれば、入替処理によって小さなディザ値が集められた列(奇数列)について、ステップS304によって、MaxDuty(=50)を超えるディザ値が存在するかを判断している。図12に示した例では、(Y,X)=(3,3)のディザ値が、MaxDutyを超える「52」である。そして、このように、MaxDuty(=50)を超えるディザ値が存在する場合には、ステップS306によって、そのディザ値を、MaxDuty未満の最大値(=49)に引き下げている。このような第2調整処理によれば、入替処理によって小さなディザ値が集められた列のすべてのディザ値を、MaxDuty未満の値にすることが可能になる。
【0058】
以上で説明したように、本実施例では、基本ディザマスクDM1に対して、入替処理、第1調整処理、第2調整処理を施すことで、特色用ディザマスクDM2を生成している。この特色用ディザマスクDM2は、図12の下部に示すように、奇数列目(Y=1,3)に、50未満のディザ値を有し、偶数列目(Y=2,4)に50以上100未満のディザ値を有するディザマスクとなっている。
【0059】
E.ハーフトーン処理:
続いて、上述した基本ディザマスクDM1と特色用ディザマスクDM2とを用いたハーフトーン処理について説明する。
図13は、図5に示した印刷処理のステップ50で実行されるハーフトーン処理のフローチャートである。このハーフトーン処理が実行されると、CPU30は、まず、ハーフトーン処理の対象となる画素(以下、処理対象画素という)の色濃度(C,M,Y,K,R,Gのそれぞれの値)を、色変換処理のなされた画像データから取得する(ステップS500)。
【0060】
続いて、CPU30は、色濃度とドット発生率との関係が定義された所定のドット発生率テーブルを参照して(ステップS502)、ステップS500で取得した色濃度に対応するドット発生率を各色毎に取得する(ステップS504)。
【0061】
図14は、C,M,Y,K用のドット発生率テーブルの一例を示す図である。また、図15は、R,G用のドット発生率テーブルの一例を示す図である。これらの図に示すように、ドット発生率テーブルには、色濃度に応じたドット発生率が定義されている。本実施例では、R,Gの色濃度の最大値は50%としたため、R,Gのドット発生率の最大値も50%としている。なお、本実施例では、図14,15に示すように、ドット発生率と各色の色濃度とは、線形の関係にあり、「ドット発生率=色濃度」となっている。しかし、ドット発生率と色濃度とは、非線形の関係であってもよい。例えば、50%付近の色濃度に対応するドット発生率を40%や60%程度に設定することも可能である。このようなドット発生率と色濃度との関係は、印刷媒体Pのインクの吸収特性や、使用するインクの特性に応じて適宜変更することが可能である。つまり、ドット発生率とは、印刷媒体Pやインクの特性に応じて色濃度を補正した値といえる。
【0062】
ステップS504によって、各色のドット発生率を取得すると、CPU30は、基本ディザマスクDM1または特色用ディザマスクDM2を参照して(ステップS506)、処理対象画素に対応するディザ値と処理対象画素の各色のドット発生率とを比較する(ステップS508)。このとき、CPU30は、C,M,Y,Kについては、基本ディザマスクDM1を参照し、R,Gについては、特色用ディザマスクDM2を参照して、ディザ値とドット発生率との比較を行う。
【0063】
上記ステップS508では、処理対象画素に対応するディザ値をディザマスクの中から1つ決定している。このディザ値の決定は、ディザマスクを、画像データ内にタイル状に並べ、処理対象画素の位置に対応する位置に存在するディザ値をこの中から抽出することで決定している。このときの画像データとディザマスクとの位置関係を図16に示している。C,M,Y,Kについては、図16の下部左側に示すように、基本ディザマスクDM1を、画像データ内に四方向に等しく並べることで、処理対象画素に対応するディザ値を決定している。また、Gについても、特色用ディザマスクDM2を、C,M,Y,Kと同様に、画像データ内に四方向に等しく並べることで、処理対象画素に対応するディザ値を決定している。これらに対して、Rについては、図16の下部右側に示すように、特色用ディザマスクDM2を1画素分左側(Y方向)にずらして画像データ内への当てはめを行う。これは、図4に示したように、本実施例のラインヘッドのノズル配置では、Rのドットは、Gのドットと横方向に交互に形成されるためである。また、Gではなく、Rについて特色用ディザマスクDM2をずらすこととしたのは、本実施例のラインヘッド70では、奇数列目にGドットが形成されるので、特色用ディザマスクDM2には、奇数列目にGのドット発生率の採り得る範囲(0〜50)と比較可能なディザ値を集めているためである。つまり、この特色用ディザマスクDM2を、横方向に1ドット分ずらすだけで、Rドットについても、特色用ディザマスクDM2を用いて、ハーフトーン処理を行うことができるのである。
【0064】
以上のようにして、各色のドット発生率とディザ値とを比較すると、CPU30は、ディザ値よりもドット発生率が大きくなる色については、その画素について、その色のドットを「オン」に設定する(ステップS512)。これに対して、ドット発生率が、ディザ値以下の色については、その画素について、その色のドットを「オフ」に設定する(ステップS514)。CPU30は、以上で説明した処理を、画像データの全ての画素についてすべて実行すると(ステップS516)、当該ハーフトーン処理を終了する。
【0065】
以上で説明した本実施例のプリンタ10によれば、フルカラー印刷に必須の一般インクについては、1600dpiの出力解像度でドットを形成し、色再現領域を広げる目的で使用される特色インクについては、画質への影響が軽微であるため、800dpiの出力解像度でドットを形成する。そのため、図3に示したように、ラインヘッド70のC,M,Y,Kのノズルについては、2行分のスペースが必要となるが、R,Gのノズルについては、それぞれ1行分のスペースで足りることになる。この結果、ラインヘッド70を大型化しなくとも、1つのヘッド内で使用できる色数を増加させることができる。この結果、例えば、本実施例では、RとGの2色の特色インクを利用することができるので、色再現領域を種々の方向に広げることが可能になる。
【0066】
また、本実施例では、特色インクのノズル密度を、一般インクのノズル密度から半減させることに伴い、特色インクについては、一般インク用の基本ディザマスクDM1をそのまま用いるのではなく、この基本ディザマスクDM1に種々の処理を施した特色用ディザマスクDM2を用いてハーフトーン処理を行っている。上述した色変換処理では、一般インクと特色インクとに関係なく同一の解像度で色変換がなされる。そのため、色変換後には、特色インク用のノズルが存在しない部分についても、色濃度データが存在することになる。このとき、仮に、特色インクのMaxDutyよりも低いディザ値がその部分に存在してしまうと、その部分にインクを打たなければ、全体として、特色インクの濃度が変動してしまう。そこで、本実施例では、基本ディザマスクDM1に対して、上述した入替処理、第1調整処理、第2調整処理を施すことで、図12に示したように、特色インクのドット発生率が採り得る範囲のディザ値を備える列と、それ以上のディザ値を備える列とを交互に配置した特色用ディザマスクDM2を生成する。このような特色用ディザマスクDM2を色変換後の画像データに適用すれば、特色用のノズルが存在しない部分にドットを発生させるようなハーフトーン処理結果が生じないことになる。また、入替処理や第1調整処理、第2調整処理を行えば、図12に示すように、特色インクに適用させる奇数列については、すべて、特色インクのMaxDuty未満の値にできる。そのため、元の基本ディザマスクDM1と対比すれば、奇数列部分については、約2倍の量のドットが形成されることになる。この結果、特色インクのノズル密度を一般インクの2分の1としても、出力されるドットの数は、一般インクと同等の数が形成される。そのため、低いノズル密度であっても、実質的な出力解像度を維持したまま、特色インクのドットを形成することが可能になる。
【0067】
また、本実施例のプリンタ10は、特色用ディザマスクDM2を基本ディザマスクDM1から動的に生成するので、特色用ディザマスクDM2を予めROM50に記憶させておく必要がない。この結果、ROM50の記憶容量を削減することができる。また、実際のハーフトーン処理に先立って、特色用ディザマスクDM2を生成しておくので、特色インクについてのハーフトーン処理に遅延が生じることもない。
【0068】
F.変形例:
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、ソフトウェアによって実現した機能は、ハードウェアによって実現するものとしてもよい。そのほか、以下の変形が可能である。
【0069】
(変形例1):
上記実施例では、基本ディザマスクDM1の大きさを、4×4としている。これに対して、ディザマスクの大きさは、例えば、16×16や512×512など、種々の大きさとすることが可能である。
【0070】
(変形例2):
上記実施例では、プリンタ10自体が、画像データの入力から印刷までをすべて行うこととした。これに対して、プリンタ10に接続されたコンピュータが、画像データの入力や、特色用ディザマスクの生成、色変換処理、ハーフトーン処理を行うこととしてもよい。この場合、プリンタ10は、コンピュータがハーフトーン処理によって生成した印刷データを受信して、この印刷データに従って、ラインヘッド70や搬送機構80を制御し、印刷を行う。
【0071】
(変形例3):
上記実施例では、図16に示したように、画像データに対してディザマスクを上下左右に等しく並べている。これに対して、画像データに対するディザマスクの当てはめは、種々の態様を採ることが可能である。図17および図18には、画像データに対するディザマスクの当て嵌めの他の例を示した。図17には、縦方向にディザマスクを1画素ずつずらして配置した例を示しており、図18には、横方向にディザマスクを1画素ずつずらして配置した例を示している。これらのように、ディザマスクを画像データに当て嵌める事とすれば、ディザマスクが繰り返し適用されることにより、出力画像上に所定のパターンが出現してしまうことを抑制することが可能になる。
【0072】
(変形例4):
上記実施例では、RとGの最大ドット発生率(最大濃度)は一致している。そのため、RとGとに同じ特色用ディザマスクDM2を適用することができる。しかし、RとGの最大ドット発生率は異なっていてもよい。この場合、RとGとで、異なる特色用ディザマスクを生成する。生成のアルゴリズムは、MaxDutyの値を変えるだけで、図6〜11に示したアルゴリズムをそのまま適用可能である。
【0073】
(変形例5):
上記実施例のラインヘッド70は、略長方形状のヘッドの下面に、各色に対応するノズルが、それぞれ、ヘッドの幅方向に直線上に配置されることで構成されている。これに対して、ラインヘッドは、種々の態様を採ることが可能である。図19および図20は、ラインヘッドの他の構成例を示す図である。図19には、ラインヘッド70よりも小型のヘッドモジュール71が千鳥状に配置されているラインヘッド70bを示している。各ヘッドモジュール71には、図3に示したラインヘッド70のノズル配置と同様の配置でノズルが形成されている。また、図20には、斜めに向けられたヘッドモジュール71が長手方向に複数、配置されているラインヘッド70cを示している。本発明は、これらのラインヘッド70b,70cについても上記実施例と同様に適用することが可能である。なお、図20に示したラインヘッド70cにおいて、「幅方向」とは、ヘッドモジュール71の幅方向のことを指す。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】プリンタ10の概略構成を示す説明図である。
【図2】基本ディザマスクDM1のデータ構成を示す図である。
【図3】ラインヘッド70のノズル配置を示す図である。
【図4】R,Gインクによってドットが形成される様子を示す図である。
【図5】印刷処理のフローチャートである。
【図6】特色用ディザ生成処理のフローチャートである。
【図7】入替処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】入替処理の具体例を示す説明図である。
【図9】第1調整処理のフローチャートである。
【図10】第1調整処理の具体例を示す説明図である。
【図11】第2調整処理のフローチャートである。
【図12】第2調整処理の具体例を示す説明図である。
【図13】ハーフトーン処理のフローチャートである。
【図14】C,M,Y,K用のドット発生率テーブルの一例を示す図である。
【図15】R,G用のドット発生率テーブルの一例を示す図である。
【図16】画像データとディザマスクとの位置関係を示す図である。
【図17】画像データとディザマスクとの他の位置関係を示す図である。
【図18】画像データとディザマスクとの他の位置関係を示す図である。
【図19】ラインヘッドの他の構成例を示す図である。
【図20】ラインヘッドの他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
10...プリンタ
20...制御ユニット
30...CPU
31...特色用ディザ生成部
32...色変換部
33...ハーフトーン処理部
34...印刷処理部
40...RAM
50...ROM
61...インクカートリッジ
70...ラインヘッド
80...搬送機構
82...紙送りローラ
84...紙送りモータ
92...メモリカードスロット
94...USBインタフェース
96...操作パネル
98...液晶ディスプレイ
P...印刷媒体
DM1...基本ディザマスク
DM2...特色用ディザマスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラインヘッドと、印刷媒体を前記ラインヘッドに対して相対的に搬送する搬送機構とを備えた印刷装置であって、
前記ラインヘッドには、一般色のインクを吐出する複数のノズルが第1のノズル密度によって該ラインヘッドの幅方向に配列されるとともに、特色インクを吐出する複数のノズルが前記第1のノズル密度よりも低い第2のノズル密度によって該ラインヘッドの幅方向に配列されており、
画像データを入力する入力部と、
前記画像データが表す画像中の前記一般色のインクに対応する色のデータについては、第1のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行い、前記特色インクに対応する色のデータについては、前記第1のノズル密度と前記第2のノズル密度の相違に基づいて前記第1のディザマスクを変換して生成された第2のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行うハーフトーン処理部と、
前記ラインヘッドおよび前記搬送機構を制御して、前記ハーフトーン処理がなされた画像を印刷する印刷処理部と
を備える印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、更に、
前記第1のディザマスクが予め記憶された記憶部と、
前記ハーフトーン処理に先立って、前記記憶部に記憶された第1のディザマスクに基づいて、前記第2のディザマスクを生成する生成部と
を備える印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記第2のノズル密度は、前記第1のノズル密度の2分の1であり、かつ、前記特色インクに対応する色のデータの上限値は、前記一般色のインクに対応する色のデータの上限値の2分の1であり、
前記生成部は、前記第1のディザマスクを2列毎にグループ分けし、該グループ毎に、行方向に、ディザ値を該ディザ値の大小関係に基づいて入れ替えて、小さいディザ値を有する第1のディザ列と、大きいディザ値を有する第2のディザ列とを形成することで、前記第2のディザマスクを生成する
印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置であって、
前記生成部は、前記第2のディザ列に、前記特色インクに対応する色のデータの上限値に達しないディザ値が含まれる場合には、該ディザ値を、前記特色インクに対応する色のデータの上限値に引き上げる
印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記生成部は、前記ディザ値の引き上げを行った場合に、前記特色インクに対応する色のデータの上限値と該ディザ値の引き上げ前の値との差分を、同一グループの隣接するディザ値から差し引く
印刷装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の印刷装置であって、
前記生成部は、前記第1のディザ列に、前記特色インクに対応する色のデータの上限値以上となるディザ値が含まれる場合には、該ディザ値を、前記特色インクに対応する色のデータの上限値未満となる最大の値に引き下げる
印刷装置。
【請求項7】
ラインヘッドと、印刷媒体を前記ラインヘッドに対して相対的に搬送する搬送機構とを備えた印刷装置による印刷方法であって、
前記ラインヘッドは、一般色のインクを吐出する複数のノズルが第1のノズル密度によって該ラインヘッドの幅方向に配列されるとともに、特色インクを吐出する複数のノズルが前記第1のノズル密度よりも低い第2のノズル密度によって該ラインヘッドの幅方向に配列されており、
画像データを入力する入力工程と、
前記画像データが表す画像中の前記一般色のインクに対応する色のデータについては、第1のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行い、前記特色インクに対応する色のデータについては、前記第1のノズル密度と前記第2のノズル密度の相違に基づいて前記第1のディザマスクを変換して生成された第2のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行うハーフトーン処理工程と、
前記ラインヘッドおよび前記搬送機構を制御して、前記ハーフトーン処理がなされた画像を印刷する印刷工程と
を備える印刷方法。
【請求項8】
ラインヘッドと、印刷媒体を前記ラインヘッドに対して相対的に搬送する搬送機構とを備えた印刷装置を制御するコンピュータプログラムであって、
前記ラインヘッドには、一般色のインクを吐出する複数のノズルが第1のノズル密度によって該ラインヘッドの幅方向に配列されるとともに、特色インクを吐出する複数のノズルが前記第1のノズル密度よりも低い第2のノズル密度によって該ラインヘッドの幅方向に配列されており、
画像データを入力する入力機能と、
前記画像データが表す画像中の前記一般色のインクに対応する色のデータについては、第1のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行い、前記特色インクに対応する色のデータについては、前記第1のノズル密度と前記第2のノズル密度の相違に基づいて前記第1のディザマスクを変換して生成された第2のディザマスクを用いてハーフトーン処理を行うハーフトーン処理機能と、
前記ラインヘッドおよび前記搬送機構を制御して、前記ハーフトーン処理がなされた画像を印刷する印刷機能と
をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−241333(P2009−241333A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89233(P2008−89233)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】