可変インピーダンス回路、それを用いた可変インピーダンスシステム、フィルタ回路、増幅器、通信システム
【課題】可変インピーダンス回路の歪を低減したい。
【解決手段】第1トランジスタM1は、差動入力信号の一方を受ける第1端子と、インピーダンスを変化させるための制御信号を受ける第2端子と、第2トランジスタと接続された第3端子と、基板に電位を供給するための第4端子とを含む。第2トランジスタM2は、差動入力信号の他方を受ける第5端子と、制御信号を受ける第6端子と、第1トランジスタと接続された第7端子と、基板に電位を供給するための第8端子とを含む。第3端子、第4端子、第7端子および第8端子が接続される。
【解決手段】第1トランジスタM1は、差動入力信号の一方を受ける第1端子と、インピーダンスを変化させるための制御信号を受ける第2端子と、第2トランジスタと接続された第3端子と、基板に電位を供給するための第4端子とを含む。第2トランジスタM2は、差動入力信号の他方を受ける第5端子と、制御信号を受ける第6端子と、第1トランジスタと接続された第7端子と、基板に電位を供給するための第8端子とを含む。第3端子、第4端子、第7端子および第8端子が接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタの内部抵抗を利用した可変インピーダンス回路、それを用いた可変インピーダンスシステム、フィルタ回路、増幅器、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
可変インピーダンス回路は、スイッチにおける信号の通過量、減衰器における信号の減衰量、可変利得増幅器における利得などを変化させるために利用される。
図1は、従来技術における可変インピーダンス回路の一例を示す(特許文献1の図1参照)。図1にて、FET4aのゲート端子を抵抗素子6aの一端と抵抗素子7の一端に、ドレイン端子を入出力端子2とキャパシタ8aの一端に、ソース端子を電界効果トランジスのソース端子に各々接続する。FET4bのゲート端子を抵抗素子7の他端と抵抗素子5bの一端に、ドレイン端子を入出力端子3とキャパシタ8bの一端に各々接続する。キャパシタ8aの他端は抵抗素子6aの他端と抵抗素子5aの一端に接続し、キャパシタ8bの他端は抵抗素子6bの他端と抵抗素子5bの一端に接続する。抵抗素子5aの他端と抵抗素子5bの他端はインピーダンス制御端子1に接続する。二つのFET4a、4bを直列に接続することにより一方のFETをダイオード的に振る舞わせ、入力信号電圧の極性などにより電流の直線性が大きく低下することを抑制している。
【特許文献1】特開2003−258605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、図1に示した可変インピーダンス回路よりさらに、広周波数帯域にわたって線形性が高い可変インピーダンス回路を見出した。本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、広帯域にわたって線形性が高い可変インピーダンス回路、それを用いた可変インピーダンスシステム、フィルタ回路、増幅器、通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のある態様の可変インピーダンス回路は、第1トランジスタおよび第2トランジスタが直列に接続された可変インピーダンス回路であって、第1トランジスタは、差動入力信号の一方を受ける第1端子と、インピーダンスを変化させるための制御信号を受ける第2端子と、第2トランジスタと接続された第3端子と、基板に電位を供給するための第4端子と、を含み、第2トランジスタは、差動入力信号の他方を受ける第5端子と、制御信号を受ける第6端子と、第1トランジスタと接続された第7端子と、基板に電位を供給するための第8端子と、を含み、第3端子、第4端子、第7端子および第8端子が接続された。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、広帯域にわたって線形性が高い可変インピーダンス回路を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図2は、本発明の実施の形態に係る可変インピーダンス回路100の構成を示す。可変インピーダンス回路100は、差動型の可変インピーダンス回路であり、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第1入出力端子10、第2入出力端子12および制御端子14を備える。第1入出力端子10および第2入出力端子12には、正弦波などの差動信号が入力される。第1トランジスタM1および第2トランジスタのゲートサイズ、ならびに第1抵抗R1および第2抵抗R2の抵抗値は、それぞれ近い値が好ましい。ゲートサイズおよび抵抗値が等しいとき、最大の効果を発揮する。
【0007】
第1トランジスタM1および第2トランジスタM2は、Nチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)で構成される。第1トランジスタM1および第2トランジスタM2は、それぞれ四端子を備える。ソース端子、ゲート端子、ドレイン端子およびバックゲート端子である。
【0008】
第1トランジスタM1の第1端子は、第1抵抗R1を介して第1入出力端子10に接続する。第1トランジスタM1の第2端子は、ゲート端子であり、制御端子14に接続する。制御端子14には、本可変インピーダンス回路100のインピーダンスを変化させるための制御信号CTRLが入力される。第1トランジスタM1の第2端子は、後述する、第2トランジスタM2の第7端子に接続する。第2端子および第3端子は、高電位の方がドレイン端子となり、他方がソース端子となる。第1トランジスタM1の第4端子は、バックゲート端子(またはサブスレート端子ともいう)であり、形成されるチャネルのゲート側ではなく基板側に電圧を供給するための端子である。
【0009】
第2トランジスタM2の第5端子は、第2抵抗R2を介して第2入出力端子12に接続する。第2トランジスタM2の第6端子は、ゲート端子であり、制御端子14に接続する。第2トランジスタM2の第7端子は、第1トランジスタM1の第2端子に接続する。第6端子および第7端子は、高電位の方がドレイン端子となり、他方がソース端子となる。第2トランジスタM2の第8端子は、バックゲート端子である。
【0010】
第3端子、第4端子、第7端子および第8端子はすべて短絡され、同一電位となる。第1トランジスタM1および第2トランジスタM2を集積化する場合、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2のサブストレート端子と、周辺回路のサブストレート端子とを分離するためにトリプルウェル構造を使用する。
【0011】
第1トランジスタM1および第2トランジスタM2には、非飽和領域すなわち線形領域にて、下記(式1)に示すようにゲート−ソース間電圧Vgsおよびドレイン−ソース間電圧Vdsに応じたドレイン−ソース間電流Idsが流れる。
Ids=2K{(Vgs−VT)−Vds/2}Vds ・・・(式1)
Kはトランスコンダクタンスパラメータ、VTは閾値電圧を表す。
【0012】
閾値電圧VTは、下記(式2)で表される
VT=VT0+γ{√(2φgs+Vsb)−√(2φgs)} ・・・(式2)
γはデバイス定数、φは強反転層における表面電位、Vsbはソース−サブストレート間電圧を表す。
【0013】
第1トランジスタM1または第2トランジスタM2に大きなドレイン−ソース間電圧が印加されると、どちらか一方がダイオード動作領域に陥り、可変インピーダンス回路としての特性が得られなくなる。ここで、ダイオード動作領域とは、ドレイン−ソース間電圧が負の方向に大きくなり、負側の閾値を超えた領域を指す。この閾値を超えると、ドレイン−ソース間電流がダイオードのように流れ出す。
【0014】
第1抵抗R1および第2抵抗R2は、これを回避するために、第1入出力端子10と第1トランジスタM1との間、および第2入出力端子12と第2トランジスタM2との間に、挿入される。第1抵抗R1および第2抵抗R2は、第1入出力端子10および第2入出力端子12に印加された電圧を分圧し、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2に印加されるドレイン−ソース間電圧を小さくする。このとき、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2は深い線形領域で動作する。
【0015】
ここで、図2に示した実施の形態に係る可変インピーダンス回路100と、図1に示した従来技術における可変インピーダンス回路の特性を比較する。なお、条件を揃えるために、従来技術における可変インピーダンス回路は、その両側の入出力端子に第1抵抗R1および第2抵抗R2を、図2と同様に接続した構成とする。
【0016】
図3(a)は、低周波領域において、入出力端子に差動電圧が印加されたときに流れる電流値を表す図である。図3(b)は、高周波領域において、入出力端子に差動電圧が印加されたときに流れる電流値を表す図である。図中、特性xは図2に示した実施の形態に係る可変インピーダンス回路100の特性を示し、特性yは図1に示した従来技術における可変インピーダンス回路の特性を示す。
【0017】
従来技術の回路は、高周波領域では歪が改善していることがわかるが、低周波領域では歪が大きいままである。これは、従来技術の回路構成が高周波領域でのみ効果があることを示す。従来技術の回路は、抵抗と容量で規定される時定数による周波数依存性があり、低周波領域での使用に適さないためである。これに対し、実施の形態の回路は、従来技術の回路より歪が小さく、かつ低周波領域から高周波領域にわたって線形性が高いことがわかる。
【0018】
以上説明したように本実施の形態によれば、広帯域にわたって高い線形性を得ることができる。トランジスタのソース端子とサブストレート端子が常に短絡されることになるため、基板効果に起因する線形性の低下を抑制することができる。すなわち、上記(式2)内のソース−サブストレート間電圧Vsbを常に零にすることができる。ソース端子とサブストレート端子間を短絡させない構成の場合、差動信号入力時に第1トランジスタM1と第2トランジスタM2の抵抗値が互いに大きく変動するため、ソース−サブストレート間電圧Vsbも変動してしまう。これにより、第1トランジスタM1または第2トランジスタM2の閾値電圧VTに歪が発生し、ドレイン−ソース間電流Idsに歪が発生する。本実施の形態の構成は、これを回避することができる。また、容量などの素子を用いないため直流から高周波領域まで広周波数帯で良好な特性を得ることができる。
【0019】
図4は、実施の形態の変形例1に係る可変インピーダンス回路110の構成を示す。変形例1に係る可変インピーダンス回路110は、図2に示した可変インピーダンス回路100の第1抵抗R1および第2抵抗R2を取り除いた構成である。第1入出力端子10および第2入出力端子12に印加される差動電圧の範囲が、ダイオード動作領域に陥らないことがあらかじめ保証されている場合、第1抵抗R1および第2抵抗R2を取り除いて、回路を簡素化することができる。
【0020】
図5は、実施の形態の変形例2に係る可変インピーダンス回路120の構成を示す。変形例2に係る可変インピーダンス回路120は、図2に示した可変インピーダンス回路100に、第3抵抗R3および第4抵抗R4を追加した構成である。第3抵抗R3および第4抵抗R4は直列に接続され、この直列回路は、第1抵抗R1、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2および第2抵抗R2を含む直列回路と、並列に接続される。なお、第3抵抗R3および第4抵抗R4を含む直列回路は、変形例1に係る可変インピーダンス回路110の第1トランジスタM1および第2トランジスタM2を含む直列回路と、並列に接続されてもよい。また、図2に示した可変インピーダンス回路100に、並列に接続される抵抗は、図2に示した可変インピーダンス回路100と同じ構成の可変インピーダンス回路であってもよい。
【0021】
この変形例2によると、図2に示した可変インピーダンス回路100と比較し、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2における抵抗値のインピーダンス全体に対する寄与度が下がるため、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2で発生する歪の影響をさらに低減することができる。したがって、図2に示した可変インピーダンス回路100と比較し、インピーダンスの可変範囲が狭くなるが、線形性をより高めることができる。
【0022】
以下、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100の適用例を示す。まず、アクティブフィルタ回路に適用した例を説明する。その前提として、実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を複数設けて、各可変インピーダンス回路100a、100b、100cのインピーダンスを単一の制御信号CTRLで制御する例を説明する。
【0023】
図6は、単一の制御信号CTRLで制御される複数の可変インピーダンス回路100を備えた可変インピーダンスシステム150の構成を示す図である。図6の構成にて、下記(式3)、(式4)、(式5)、(式6)の条件を満たすように、抵抗値およびトランジスタのゲートサイズを設定すれば、下記(式7)に示すように、一つの制御端子のみを使用して、インピーダンスの比を保ちながらの同時制御が可能である。
R1a:R1b:R1c=α1:α2:α3 ・・・(式3)
R2a:R2b:R2c=α1:α2:α3 ・・・(式4)
(L1a/W1a):(L1b/W1b):(L1b/W1b)=α1:α2:α3 ・・・(式5)
(L2a/W2a):(L2b/W2b):(L2b/W2b)=α1:α2:α3 ・・・(式6)
L1は第1トランジスタM1のゲート長、W1は第1トランジスタM1のゲート幅、L2は第1トランジスタM2のゲート長、およびW2は第1トランジスタM2のゲート幅を表す。
Z1:Z2:Z3=α1:α2:α3 ・・・(式7)
Zは可変インピーダンス回路100のインピーダンスの値を表す。
【0024】
図7は、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用した六次ローパスフィルタ回路200の構成を示す図である。六次ローパスフィルタ回路200は、二次ローパスフィルタ回路20、30、40を三段縦列に接続した構成である。なお、ローパスフィルタ回路の次数や段数は、任意に設計することができる。図7では、図6に示した構成を適用して、ローパスフィルタ回路のQ値の制御または極の制御を行う。Q値は、フィルタに対して蓄積、放出できるエネルギーの大きさを表す指標である。
【0025】
初段の二次ローパスフィルタ回路20は、三つの全差動型のOTA(Operational transconductance amplifier)21、22、23および二組のそれぞれ対をなす容量C21a、C21b、C22a、C22bを備える。第1OTA21の非反転入力端子および反転入力端子には、差動入力電圧Vin±が印加される。第1OTA21の反転出力端子は、第1容量C21aの一端、第2OTA22の非反転入力端子、および第3OTA23の非反転出力端子に接続する。第1OTA21の非反転出力端子は、第2容量C21bの一端、第2OTA22の反転入力端子、および第3OTA23の非反転出力端子に接続する。第1容量C21aおよび第2容量21bの他端は、所定の固定電位、ここではグラウンド電位に接続する。以下、第1容量C21aおよび第2容量21bのグラウンドと反対側のノードを、それぞれ第1ノードN1および第2ノードN2と表記する。
【0026】
第2OTA22の反転入力端子は第1ノードN1に接続され、第2OTA22の非反転入力端子は第2ノードN2に接続される。第2OTA22の非反転出力端子は、第3容量C22aの一端、第3OTA23の非反転入力端子、および次段の二次ローパスフィルタ回路の非反転入力端子に接続する。第2OTA22の反転出力端子は、第4容量C22bの一端、第3OTA23の反転入力端子、および次段の2次ローパスフィルタ回路の反転入力端子に接続される。第3OTA23の非反転入力端子は第1ノードN1に接続され、第2OTA22の反転入力端子は第2ノードN2に接続される。
【0027】
第1OTA21は、差動入力電圧Vin±をトランスコンダクタンスGmに応じた電流に変換する。第1容量C21aおよび第2容量21bは、第1OTA21の出力を積分する。第2OTA22は、第1ノードN1および第2ノードN2の電圧をトランスコンダクタンスGmに応じた電流に変換する。第3容量C22aおよび第4容量22bは、第2OTA22の出力を積分する。第3OTA23の出力は、第1OTA21および第2OTA22の出力にフィードバックをかける。この構成により二次伝達関数を実現することができる。この構成に加えて、第1ノードN1と第2ノードN2との間に、第1可変インピーダンス回路100aを接続する。
【0028】
二段目の二次ローパスフィルタ回路30は、三つの全差動型のOTA31、32、33および二組のそれぞれ対をなす容量C31a、C31a、C32a、C32bを備える。三段目の二次ローパスフィルタ回路40は、三つの全差動型のOTA41、42、43および二組のそれぞれ対をなす容量C41a、C41b、C42a、C42bを備える。二段目および三段目の二次ローパスフィルタ回路30、40の構成は、初段の二次ローパスフィルタ回路20と同様のため説明を省略する。
【0029】
第1OTA21、第2OTA22、第3OTA23、第4OTA31、第5OTA32、第6OTA33、第7OTA41、第8OTA42、および第9OTA43は、同一の制御信号VcによりトランスコンダクタンスGmの値が制御される。第1可変インピーダンス回路100a、第2可変インピーダンス回路100b、および第3可変インピーダンス回路100cは、同一の制御信号Vqによりインピーダンスの値が制御される。
【0030】
六次ローパスフィルタ回路200の各段のQ値は、初段から、下記(式8)、(式9)、(式10)で表される。
Q1(Vc)=Gm・Z1・√(C21/C22) ・・・(式8)
Q2(Vc)=Gm・Z2・√(C31/C32) ・・・(式9)
Q3(Vc)=Gm・Z3・√(C41/C42) ・・・(式10)
【0031】
六次ローパスフィルタ回路200では、トランジスタ間の素子バラツキによりトランスコンダクタンスGmの値が変動すると、六次ローパスフィルタ回路200の各段のQ値も同様に変動する。これを補正するためには、第1可変インピーダンス回路100a〜100cを制御し、それぞれのインピーダンスの値を調整することにより、各段のQ値を所望の設定値に戻す必要がある。ここで、各可変インピーダンス回路100a〜100cのインピーダンス制御を一つの制御端子で行う場合、仮に各インピーダンスの比が制御電圧に依存して変化してしまうと、各段のQ値をすべて同時に所望の設定値に戻すことができなくなる。この場合、複数の可変インピーダンス制御をそれぞれ独立に行う必要があり、制御が困難または複雑になる。
【0032】
これに対し、図6に示した構成を用いれば、単一の制御信号で複数の可変インピーダンスの比を保ったまま同時制御が可能となり、一つの制御系でフィルタ補正機構を構築することができる。さらに、実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用することにより、広帯域にわたり線形性を向上させることができる。
【0033】
つぎに、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を差動増幅回路に適用した例を説明する。差動増幅回路は高周波帯での増幅によく用いられる。
図8は、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用した差動増幅回路300の構成を示す図である。差動増幅回路300は、一対のトランジスタM11、M12、定電流源50、一対の負荷L11、L12、および可変インピーダンス回路100を備える。負荷L11、L12には、抵抗、ゲート電位が固定されたトランジスタ、共振器などを用いることができる。
【0034】
一対のトランジスタM11、M12のゲート端子には、差動入力信号Vin±が入力される。一対のトランジスタM11、M12のソース端子は、定電流源50に共通接続する。定電流源50の他端は、固定電位、ここではグラウンド電位に接続する。一対のトランジスタM11、M12のドレイン端子は、一対の負荷L11、L12にそれぞれ接続する。一対の負荷L11、L12の他端は、所定の固定電位、ここでは電源電位Vddに接続する。一対のトランジスタM11、M12のドレイン端子間に、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を接続する。なお、変形例1、2に係る可変インピーダンス回路110、120を接続してもよい。
【0035】
一対のトランジスタM11、M12は、差動入力信号Vin±に対応したドレイン−ソース間電流を、一対の負荷L11、L12にそれぞれかけて、差動出力信号Vin±を生成する。本適用例によれば、低利得時の増幅器の線形性を、従来の可変インピーダンス回路を用いた場合より改善することができる。
【0036】
つぎに、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100をパッシブフィルタに適用した例を説明する。
図9は、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用したハイパスフィルタ400の構成を示す図である。ハイパスフィルタ400は、容量C50および可変インピーダンス回路100を備える。容量C50は、入力端子16と出力端子18との間に設けられる。容量C50の出力端子22側に可変インピーダンス回路100を接続する。なお、変形例1、2に係る可変インピーダンス回路110、120を接続してもよい。可変インピーダンス回路100の他端は、所定の固定電位、ここではグラウンド電位に接続する。可変インピーダンス回路100のインピーダンスの値を制御することにより、カットオフ周波数を制御することができる。実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用することにより、従来の可変インピーダンス回路を用いた場合より、広帯域にわたり線形性を向上させることができる。
【0037】
つぎに、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を、オペアンプを用いた増幅器に適用した例を説明する。オペアンプを用いた増幅器は低周波帯での増幅によく用いられる。
図10は、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用した増幅器500の構成を示す図である。増幅器500は、オペアンプOP、および二つの可変インピーダンス回路100を備える。オペアンプOPの反転入力端子には、一方の可変インピーダンス回路100が接続され、非反転入力端子には、所定の固定電位、ここではグラウンド電位が接続される。オペアンプOPの出力端子と反転入力端子との間の帰還経路に、他方の可変インピーダンス回路100が接続される。なお、少なくともいずれかの一方の可変インピーダンス回路100の代わりに、変形例1、2に係る可変インピーダンス回路110、120を接続してもよい。
【0038】
増幅器500、二つの可変インピーダンス回路100のインピーダンス比に応じて、入力電圧を反転増幅する。少なくともいずれかの一方の可変インピーダンス回路100のインピーダンスの値を制御することにより、電圧利得を制御することができる。実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用することにより、従来の可変インピーダンス回路を用いた場合より、広帯域にわたり線形性を向上させることができる。
【0039】
図11は、実施の形態における可変インピーダンス回路100を利用した通信システム600を示す図である。図11の通信システム600は、ダイレクトコンバージョン受信(DCR)方式を示すが、それに限るものではなくヘテロダイン受信方式など、他の受信方式にも適用可能である。
【0040】
通信システム600は、アンテナ52、バンドパスフィルタ54、LNA(Low Noise Amplifier)56、局部発振器58、位相器60、ミキサ62、68、ローパスフィルタ回路64、70、可変利得増幅器65、71、およびアナログ/デジタル変換回路66、72を備える。
【0041】
アンテナ52から受信されたRF信号は、バンドパスフィルタ54を介して、LNA56に入力される。LNA56は、低雑音でRF信号を増幅し、直交ベースバンド信号であるI信号用のミキサ62とQ信号用のミキサ68に出力する。局部発振器58は、ローカル(Lo)周波数のローカル信号を出力する。位相器60は、I系統のミキサ62には、当該Lo信号の位相を変化させずに出力し、Q系統のミキサ68には、当該Lo信号の位相を90°シフトして出力する。
【0042】
ミキサ62、68は、RF信号とLo信号とをミキシングし、それらの差の周波数を持つ信号を、それぞれ第1ローパスフィルタ回路64および第2ローパスフィルタ回路70に出力する。第1ローパスフィルタ回路64および第2ローパスフィルタ回路70の出力信号は、それぞれの系統の可変利得増幅器65、71により増幅される。それぞれの系統における可変利得増幅器65、71の出力信号は、それぞれ第1アナログ/デジタル変換器66および第2アナログ/デジタル変換器72によりデジタル信号に変換され、ベースバンド部80に出力される。以下、ベースバンド部80内のDSP(Digital Signal Processor)によりデジタル信号処理される。
【0043】
通信システム600の回路要素に、図7〜図10に示した可変インピーダンス回路100を用いた各種回路を適用することができる。たとえば、可変利得増幅器65、71に、図10に示した増幅器500を適用することができる。また、第1ローパスフィルタ回路64および第2ローパスフィルタ回路70に、図7に示したローパスフィルタ回路200を適用することができる。LNA(Low Noise Amplifier)56、またはミキサ62、68に、図8に示した差動増幅回路300を適用することができる。ミキサ62、68に適用する場合、負荷L1、L2に共振器を用いる。実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を用いた各種回路を適用することにより、従来の可変インピーダンス回路を用いた場合より、広帯域にわたり線形性を向上させることができる。
【0044】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0045】
図2では、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2をNチャネル型MOSFETで構成したが、Pチャンネル型を用いてもよい。図7では、OTAおよび容量を用いてフィルタ回路を構成したが、オペアンプ、容量および抵抗を用いて構成してもよい。図9では、反転増幅器を説明したが、オペアンプに接続されたいずれか一方の可変インピーダンス回路を容量に置き換えて、微分回路または積分回路を構成してもよい。図10では、受信装置を説明したが、送信装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来技術に係る可変インピーダンス回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る可変インピーダンス回路の構成を示す図である。
【図3】図3(a)は、低周波領域において、入出力端子に差動電圧が印加されたときに流れる電流値を表す図である。図3(b)は、高周波領域において、入出力端子に差動電圧が印加されたときに流れる電流値を表す図である。
【図4】実施の形態の変形例1に係る可変インピーダンス回路の構成を示す図である。
【図5】実施の形態の変形例2に係る可変インピーダンス回路の構成を示す図である。
【図6】単一の制御信号CTRLで制御される複数の可変インピーダンス回路を備えた可変インピーダンスシステムの構成を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る可変インピーダンス回路を適用した六次ローパスフィルタ回路の構成を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る可変インピーダンス回路を適用した差動増幅回路の構成を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る可変インピーダンス回路を適用したハイパスフィルタの構成を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る可変インピーダンス回路を適用した増幅器の構成を示す図である。
【図11】実施の形態における可変インピーダンス回路を利用した通信システムを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
M1 第1トランジスタ、 R1 第1抵抗、 M2 第2トランジスタ、 R2 第2抵抗、 R3 第3抵抗、 R4 第4抵抗、 10 第1入出力端子、 12 第2入出力端子、 14 制御端子、 100 可変インピーダンス回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタの内部抵抗を利用した可変インピーダンス回路、それを用いた可変インピーダンスシステム、フィルタ回路、増幅器、通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
可変インピーダンス回路は、スイッチにおける信号の通過量、減衰器における信号の減衰量、可変利得増幅器における利得などを変化させるために利用される。
図1は、従来技術における可変インピーダンス回路の一例を示す(特許文献1の図1参照)。図1にて、FET4aのゲート端子を抵抗素子6aの一端と抵抗素子7の一端に、ドレイン端子を入出力端子2とキャパシタ8aの一端に、ソース端子を電界効果トランジスのソース端子に各々接続する。FET4bのゲート端子を抵抗素子7の他端と抵抗素子5bの一端に、ドレイン端子を入出力端子3とキャパシタ8bの一端に各々接続する。キャパシタ8aの他端は抵抗素子6aの他端と抵抗素子5aの一端に接続し、キャパシタ8bの他端は抵抗素子6bの他端と抵抗素子5bの一端に接続する。抵抗素子5aの他端と抵抗素子5bの他端はインピーダンス制御端子1に接続する。二つのFET4a、4bを直列に接続することにより一方のFETをダイオード的に振る舞わせ、入力信号電圧の極性などにより電流の直線性が大きく低下することを抑制している。
【特許文献1】特開2003−258605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明者は、図1に示した可変インピーダンス回路よりさらに、広周波数帯域にわたって線形性が高い可変インピーダンス回路を見出した。本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、広帯域にわたって線形性が高い可変インピーダンス回路、それを用いた可変インピーダンスシステム、フィルタ回路、増幅器、通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のある態様の可変インピーダンス回路は、第1トランジスタおよび第2トランジスタが直列に接続された可変インピーダンス回路であって、第1トランジスタは、差動入力信号の一方を受ける第1端子と、インピーダンスを変化させるための制御信号を受ける第2端子と、第2トランジスタと接続された第3端子と、基板に電位を供給するための第4端子と、を含み、第2トランジスタは、差動入力信号の他方を受ける第5端子と、制御信号を受ける第6端子と、第1トランジスタと接続された第7端子と、基板に電位を供給するための第8端子と、を含み、第3端子、第4端子、第7端子および第8端子が接続された。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、広帯域にわたって線形性が高い可変インピーダンス回路を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図2は、本発明の実施の形態に係る可変インピーダンス回路100の構成を示す。可変インピーダンス回路100は、差動型の可変インピーダンス回路であり、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2、第1抵抗R1、第2抵抗R2、第1入出力端子10、第2入出力端子12および制御端子14を備える。第1入出力端子10および第2入出力端子12には、正弦波などの差動信号が入力される。第1トランジスタM1および第2トランジスタのゲートサイズ、ならびに第1抵抗R1および第2抵抗R2の抵抗値は、それぞれ近い値が好ましい。ゲートサイズおよび抵抗値が等しいとき、最大の効果を発揮する。
【0007】
第1トランジスタM1および第2トランジスタM2は、Nチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)で構成される。第1トランジスタM1および第2トランジスタM2は、それぞれ四端子を備える。ソース端子、ゲート端子、ドレイン端子およびバックゲート端子である。
【0008】
第1トランジスタM1の第1端子は、第1抵抗R1を介して第1入出力端子10に接続する。第1トランジスタM1の第2端子は、ゲート端子であり、制御端子14に接続する。制御端子14には、本可変インピーダンス回路100のインピーダンスを変化させるための制御信号CTRLが入力される。第1トランジスタM1の第2端子は、後述する、第2トランジスタM2の第7端子に接続する。第2端子および第3端子は、高電位の方がドレイン端子となり、他方がソース端子となる。第1トランジスタM1の第4端子は、バックゲート端子(またはサブスレート端子ともいう)であり、形成されるチャネルのゲート側ではなく基板側に電圧を供給するための端子である。
【0009】
第2トランジスタM2の第5端子は、第2抵抗R2を介して第2入出力端子12に接続する。第2トランジスタM2の第6端子は、ゲート端子であり、制御端子14に接続する。第2トランジスタM2の第7端子は、第1トランジスタM1の第2端子に接続する。第6端子および第7端子は、高電位の方がドレイン端子となり、他方がソース端子となる。第2トランジスタM2の第8端子は、バックゲート端子である。
【0010】
第3端子、第4端子、第7端子および第8端子はすべて短絡され、同一電位となる。第1トランジスタM1および第2トランジスタM2を集積化する場合、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2のサブストレート端子と、周辺回路のサブストレート端子とを分離するためにトリプルウェル構造を使用する。
【0011】
第1トランジスタM1および第2トランジスタM2には、非飽和領域すなわち線形領域にて、下記(式1)に示すようにゲート−ソース間電圧Vgsおよびドレイン−ソース間電圧Vdsに応じたドレイン−ソース間電流Idsが流れる。
Ids=2K{(Vgs−VT)−Vds/2}Vds ・・・(式1)
Kはトランスコンダクタンスパラメータ、VTは閾値電圧を表す。
【0012】
閾値電圧VTは、下記(式2)で表される
VT=VT0+γ{√(2φgs+Vsb)−√(2φgs)} ・・・(式2)
γはデバイス定数、φは強反転層における表面電位、Vsbはソース−サブストレート間電圧を表す。
【0013】
第1トランジスタM1または第2トランジスタM2に大きなドレイン−ソース間電圧が印加されると、どちらか一方がダイオード動作領域に陥り、可変インピーダンス回路としての特性が得られなくなる。ここで、ダイオード動作領域とは、ドレイン−ソース間電圧が負の方向に大きくなり、負側の閾値を超えた領域を指す。この閾値を超えると、ドレイン−ソース間電流がダイオードのように流れ出す。
【0014】
第1抵抗R1および第2抵抗R2は、これを回避するために、第1入出力端子10と第1トランジスタM1との間、および第2入出力端子12と第2トランジスタM2との間に、挿入される。第1抵抗R1および第2抵抗R2は、第1入出力端子10および第2入出力端子12に印加された電圧を分圧し、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2に印加されるドレイン−ソース間電圧を小さくする。このとき、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2は深い線形領域で動作する。
【0015】
ここで、図2に示した実施の形態に係る可変インピーダンス回路100と、図1に示した従来技術における可変インピーダンス回路の特性を比較する。なお、条件を揃えるために、従来技術における可変インピーダンス回路は、その両側の入出力端子に第1抵抗R1および第2抵抗R2を、図2と同様に接続した構成とする。
【0016】
図3(a)は、低周波領域において、入出力端子に差動電圧が印加されたときに流れる電流値を表す図である。図3(b)は、高周波領域において、入出力端子に差動電圧が印加されたときに流れる電流値を表す図である。図中、特性xは図2に示した実施の形態に係る可変インピーダンス回路100の特性を示し、特性yは図1に示した従来技術における可変インピーダンス回路の特性を示す。
【0017】
従来技術の回路は、高周波領域では歪が改善していることがわかるが、低周波領域では歪が大きいままである。これは、従来技術の回路構成が高周波領域でのみ効果があることを示す。従来技術の回路は、抵抗と容量で規定される時定数による周波数依存性があり、低周波領域での使用に適さないためである。これに対し、実施の形態の回路は、従来技術の回路より歪が小さく、かつ低周波領域から高周波領域にわたって線形性が高いことがわかる。
【0018】
以上説明したように本実施の形態によれば、広帯域にわたって高い線形性を得ることができる。トランジスタのソース端子とサブストレート端子が常に短絡されることになるため、基板効果に起因する線形性の低下を抑制することができる。すなわち、上記(式2)内のソース−サブストレート間電圧Vsbを常に零にすることができる。ソース端子とサブストレート端子間を短絡させない構成の場合、差動信号入力時に第1トランジスタM1と第2トランジスタM2の抵抗値が互いに大きく変動するため、ソース−サブストレート間電圧Vsbも変動してしまう。これにより、第1トランジスタM1または第2トランジスタM2の閾値電圧VTに歪が発生し、ドレイン−ソース間電流Idsに歪が発生する。本実施の形態の構成は、これを回避することができる。また、容量などの素子を用いないため直流から高周波領域まで広周波数帯で良好な特性を得ることができる。
【0019】
図4は、実施の形態の変形例1に係る可変インピーダンス回路110の構成を示す。変形例1に係る可変インピーダンス回路110は、図2に示した可変インピーダンス回路100の第1抵抗R1および第2抵抗R2を取り除いた構成である。第1入出力端子10および第2入出力端子12に印加される差動電圧の範囲が、ダイオード動作領域に陥らないことがあらかじめ保証されている場合、第1抵抗R1および第2抵抗R2を取り除いて、回路を簡素化することができる。
【0020】
図5は、実施の形態の変形例2に係る可変インピーダンス回路120の構成を示す。変形例2に係る可変インピーダンス回路120は、図2に示した可変インピーダンス回路100に、第3抵抗R3および第4抵抗R4を追加した構成である。第3抵抗R3および第4抵抗R4は直列に接続され、この直列回路は、第1抵抗R1、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2および第2抵抗R2を含む直列回路と、並列に接続される。なお、第3抵抗R3および第4抵抗R4を含む直列回路は、変形例1に係る可変インピーダンス回路110の第1トランジスタM1および第2トランジスタM2を含む直列回路と、並列に接続されてもよい。また、図2に示した可変インピーダンス回路100に、並列に接続される抵抗は、図2に示した可変インピーダンス回路100と同じ構成の可変インピーダンス回路であってもよい。
【0021】
この変形例2によると、図2に示した可変インピーダンス回路100と比較し、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2における抵抗値のインピーダンス全体に対する寄与度が下がるため、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2で発生する歪の影響をさらに低減することができる。したがって、図2に示した可変インピーダンス回路100と比較し、インピーダンスの可変範囲が狭くなるが、線形性をより高めることができる。
【0022】
以下、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100の適用例を示す。まず、アクティブフィルタ回路に適用した例を説明する。その前提として、実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を複数設けて、各可変インピーダンス回路100a、100b、100cのインピーダンスを単一の制御信号CTRLで制御する例を説明する。
【0023】
図6は、単一の制御信号CTRLで制御される複数の可変インピーダンス回路100を備えた可変インピーダンスシステム150の構成を示す図である。図6の構成にて、下記(式3)、(式4)、(式5)、(式6)の条件を満たすように、抵抗値およびトランジスタのゲートサイズを設定すれば、下記(式7)に示すように、一つの制御端子のみを使用して、インピーダンスの比を保ちながらの同時制御が可能である。
R1a:R1b:R1c=α1:α2:α3 ・・・(式3)
R2a:R2b:R2c=α1:α2:α3 ・・・(式4)
(L1a/W1a):(L1b/W1b):(L1b/W1b)=α1:α2:α3 ・・・(式5)
(L2a/W2a):(L2b/W2b):(L2b/W2b)=α1:α2:α3 ・・・(式6)
L1は第1トランジスタM1のゲート長、W1は第1トランジスタM1のゲート幅、L2は第1トランジスタM2のゲート長、およびW2は第1トランジスタM2のゲート幅を表す。
Z1:Z2:Z3=α1:α2:α3 ・・・(式7)
Zは可変インピーダンス回路100のインピーダンスの値を表す。
【0024】
図7は、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用した六次ローパスフィルタ回路200の構成を示す図である。六次ローパスフィルタ回路200は、二次ローパスフィルタ回路20、30、40を三段縦列に接続した構成である。なお、ローパスフィルタ回路の次数や段数は、任意に設計することができる。図7では、図6に示した構成を適用して、ローパスフィルタ回路のQ値の制御または極の制御を行う。Q値は、フィルタに対して蓄積、放出できるエネルギーの大きさを表す指標である。
【0025】
初段の二次ローパスフィルタ回路20は、三つの全差動型のOTA(Operational transconductance amplifier)21、22、23および二組のそれぞれ対をなす容量C21a、C21b、C22a、C22bを備える。第1OTA21の非反転入力端子および反転入力端子には、差動入力電圧Vin±が印加される。第1OTA21の反転出力端子は、第1容量C21aの一端、第2OTA22の非反転入力端子、および第3OTA23の非反転出力端子に接続する。第1OTA21の非反転出力端子は、第2容量C21bの一端、第2OTA22の反転入力端子、および第3OTA23の非反転出力端子に接続する。第1容量C21aおよび第2容量21bの他端は、所定の固定電位、ここではグラウンド電位に接続する。以下、第1容量C21aおよび第2容量21bのグラウンドと反対側のノードを、それぞれ第1ノードN1および第2ノードN2と表記する。
【0026】
第2OTA22の反転入力端子は第1ノードN1に接続され、第2OTA22の非反転入力端子は第2ノードN2に接続される。第2OTA22の非反転出力端子は、第3容量C22aの一端、第3OTA23の非反転入力端子、および次段の二次ローパスフィルタ回路の非反転入力端子に接続する。第2OTA22の反転出力端子は、第4容量C22bの一端、第3OTA23の反転入力端子、および次段の2次ローパスフィルタ回路の反転入力端子に接続される。第3OTA23の非反転入力端子は第1ノードN1に接続され、第2OTA22の反転入力端子は第2ノードN2に接続される。
【0027】
第1OTA21は、差動入力電圧Vin±をトランスコンダクタンスGmに応じた電流に変換する。第1容量C21aおよび第2容量21bは、第1OTA21の出力を積分する。第2OTA22は、第1ノードN1および第2ノードN2の電圧をトランスコンダクタンスGmに応じた電流に変換する。第3容量C22aおよび第4容量22bは、第2OTA22の出力を積分する。第3OTA23の出力は、第1OTA21および第2OTA22の出力にフィードバックをかける。この構成により二次伝達関数を実現することができる。この構成に加えて、第1ノードN1と第2ノードN2との間に、第1可変インピーダンス回路100aを接続する。
【0028】
二段目の二次ローパスフィルタ回路30は、三つの全差動型のOTA31、32、33および二組のそれぞれ対をなす容量C31a、C31a、C32a、C32bを備える。三段目の二次ローパスフィルタ回路40は、三つの全差動型のOTA41、42、43および二組のそれぞれ対をなす容量C41a、C41b、C42a、C42bを備える。二段目および三段目の二次ローパスフィルタ回路30、40の構成は、初段の二次ローパスフィルタ回路20と同様のため説明を省略する。
【0029】
第1OTA21、第2OTA22、第3OTA23、第4OTA31、第5OTA32、第6OTA33、第7OTA41、第8OTA42、および第9OTA43は、同一の制御信号VcによりトランスコンダクタンスGmの値が制御される。第1可変インピーダンス回路100a、第2可変インピーダンス回路100b、および第3可変インピーダンス回路100cは、同一の制御信号Vqによりインピーダンスの値が制御される。
【0030】
六次ローパスフィルタ回路200の各段のQ値は、初段から、下記(式8)、(式9)、(式10)で表される。
Q1(Vc)=Gm・Z1・√(C21/C22) ・・・(式8)
Q2(Vc)=Gm・Z2・√(C31/C32) ・・・(式9)
Q3(Vc)=Gm・Z3・√(C41/C42) ・・・(式10)
【0031】
六次ローパスフィルタ回路200では、トランジスタ間の素子バラツキによりトランスコンダクタンスGmの値が変動すると、六次ローパスフィルタ回路200の各段のQ値も同様に変動する。これを補正するためには、第1可変インピーダンス回路100a〜100cを制御し、それぞれのインピーダンスの値を調整することにより、各段のQ値を所望の設定値に戻す必要がある。ここで、各可変インピーダンス回路100a〜100cのインピーダンス制御を一つの制御端子で行う場合、仮に各インピーダンスの比が制御電圧に依存して変化してしまうと、各段のQ値をすべて同時に所望の設定値に戻すことができなくなる。この場合、複数の可変インピーダンス制御をそれぞれ独立に行う必要があり、制御が困難または複雑になる。
【0032】
これに対し、図6に示した構成を用いれば、単一の制御信号で複数の可変インピーダンスの比を保ったまま同時制御が可能となり、一つの制御系でフィルタ補正機構を構築することができる。さらに、実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用することにより、広帯域にわたり線形性を向上させることができる。
【0033】
つぎに、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を差動増幅回路に適用した例を説明する。差動増幅回路は高周波帯での増幅によく用いられる。
図8は、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用した差動増幅回路300の構成を示す図である。差動増幅回路300は、一対のトランジスタM11、M12、定電流源50、一対の負荷L11、L12、および可変インピーダンス回路100を備える。負荷L11、L12には、抵抗、ゲート電位が固定されたトランジスタ、共振器などを用いることができる。
【0034】
一対のトランジスタM11、M12のゲート端子には、差動入力信号Vin±が入力される。一対のトランジスタM11、M12のソース端子は、定電流源50に共通接続する。定電流源50の他端は、固定電位、ここではグラウンド電位に接続する。一対のトランジスタM11、M12のドレイン端子は、一対の負荷L11、L12にそれぞれ接続する。一対の負荷L11、L12の他端は、所定の固定電位、ここでは電源電位Vddに接続する。一対のトランジスタM11、M12のドレイン端子間に、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を接続する。なお、変形例1、2に係る可変インピーダンス回路110、120を接続してもよい。
【0035】
一対のトランジスタM11、M12は、差動入力信号Vin±に対応したドレイン−ソース間電流を、一対の負荷L11、L12にそれぞれかけて、差動出力信号Vin±を生成する。本適用例によれば、低利得時の増幅器の線形性を、従来の可変インピーダンス回路を用いた場合より改善することができる。
【0036】
つぎに、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100をパッシブフィルタに適用した例を説明する。
図9は、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用したハイパスフィルタ400の構成を示す図である。ハイパスフィルタ400は、容量C50および可変インピーダンス回路100を備える。容量C50は、入力端子16と出力端子18との間に設けられる。容量C50の出力端子22側に可変インピーダンス回路100を接続する。なお、変形例1、2に係る可変インピーダンス回路110、120を接続してもよい。可変インピーダンス回路100の他端は、所定の固定電位、ここではグラウンド電位に接続する。可変インピーダンス回路100のインピーダンスの値を制御することにより、カットオフ周波数を制御することができる。実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用することにより、従来の可変インピーダンス回路を用いた場合より、広帯域にわたり線形性を向上させることができる。
【0037】
つぎに、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を、オペアンプを用いた増幅器に適用した例を説明する。オペアンプを用いた増幅器は低周波帯での増幅によく用いられる。
図10は、本実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用した増幅器500の構成を示す図である。増幅器500は、オペアンプOP、および二つの可変インピーダンス回路100を備える。オペアンプOPの反転入力端子には、一方の可変インピーダンス回路100が接続され、非反転入力端子には、所定の固定電位、ここではグラウンド電位が接続される。オペアンプOPの出力端子と反転入力端子との間の帰還経路に、他方の可変インピーダンス回路100が接続される。なお、少なくともいずれかの一方の可変インピーダンス回路100の代わりに、変形例1、2に係る可変インピーダンス回路110、120を接続してもよい。
【0038】
増幅器500、二つの可変インピーダンス回路100のインピーダンス比に応じて、入力電圧を反転増幅する。少なくともいずれかの一方の可変インピーダンス回路100のインピーダンスの値を制御することにより、電圧利得を制御することができる。実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を適用することにより、従来の可変インピーダンス回路を用いた場合より、広帯域にわたり線形性を向上させることができる。
【0039】
図11は、実施の形態における可変インピーダンス回路100を利用した通信システム600を示す図である。図11の通信システム600は、ダイレクトコンバージョン受信(DCR)方式を示すが、それに限るものではなくヘテロダイン受信方式など、他の受信方式にも適用可能である。
【0040】
通信システム600は、アンテナ52、バンドパスフィルタ54、LNA(Low Noise Amplifier)56、局部発振器58、位相器60、ミキサ62、68、ローパスフィルタ回路64、70、可変利得増幅器65、71、およびアナログ/デジタル変換回路66、72を備える。
【0041】
アンテナ52から受信されたRF信号は、バンドパスフィルタ54を介して、LNA56に入力される。LNA56は、低雑音でRF信号を増幅し、直交ベースバンド信号であるI信号用のミキサ62とQ信号用のミキサ68に出力する。局部発振器58は、ローカル(Lo)周波数のローカル信号を出力する。位相器60は、I系統のミキサ62には、当該Lo信号の位相を変化させずに出力し、Q系統のミキサ68には、当該Lo信号の位相を90°シフトして出力する。
【0042】
ミキサ62、68は、RF信号とLo信号とをミキシングし、それらの差の周波数を持つ信号を、それぞれ第1ローパスフィルタ回路64および第2ローパスフィルタ回路70に出力する。第1ローパスフィルタ回路64および第2ローパスフィルタ回路70の出力信号は、それぞれの系統の可変利得増幅器65、71により増幅される。それぞれの系統における可変利得増幅器65、71の出力信号は、それぞれ第1アナログ/デジタル変換器66および第2アナログ/デジタル変換器72によりデジタル信号に変換され、ベースバンド部80に出力される。以下、ベースバンド部80内のDSP(Digital Signal Processor)によりデジタル信号処理される。
【0043】
通信システム600の回路要素に、図7〜図10に示した可変インピーダンス回路100を用いた各種回路を適用することができる。たとえば、可変利得増幅器65、71に、図10に示した増幅器500を適用することができる。また、第1ローパスフィルタ回路64および第2ローパスフィルタ回路70に、図7に示したローパスフィルタ回路200を適用することができる。LNA(Low Noise Amplifier)56、またはミキサ62、68に、図8に示した差動増幅回路300を適用することができる。ミキサ62、68に適用する場合、負荷L1、L2に共振器を用いる。実施の形態に係る可変インピーダンス回路100を用いた各種回路を適用することにより、従来の可変インピーダンス回路を用いた場合より、広帯域にわたり線形性を向上させることができる。
【0044】
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0045】
図2では、第1トランジスタM1および第2トランジスタM2をNチャネル型MOSFETで構成したが、Pチャンネル型を用いてもよい。図7では、OTAおよび容量を用いてフィルタ回路を構成したが、オペアンプ、容量および抵抗を用いて構成してもよい。図9では、反転増幅器を説明したが、オペアンプに接続されたいずれか一方の可変インピーダンス回路を容量に置き換えて、微分回路または積分回路を構成してもよい。図10では、受信装置を説明したが、送信装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】従来技術に係る可変インピーダンス回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る可変インピーダンス回路の構成を示す図である。
【図3】図3(a)は、低周波領域において、入出力端子に差動電圧が印加されたときに流れる電流値を表す図である。図3(b)は、高周波領域において、入出力端子に差動電圧が印加されたときに流れる電流値を表す図である。
【図4】実施の形態の変形例1に係る可変インピーダンス回路の構成を示す図である。
【図5】実施の形態の変形例2に係る可変インピーダンス回路の構成を示す図である。
【図6】単一の制御信号CTRLで制御される複数の可変インピーダンス回路を備えた可変インピーダンスシステムの構成を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る可変インピーダンス回路を適用した六次ローパスフィルタ回路の構成を示す図である。
【図8】本実施の形態に係る可変インピーダンス回路を適用した差動増幅回路の構成を示す図である。
【図9】本実施の形態に係る可変インピーダンス回路を適用したハイパスフィルタの構成を示す図である。
【図10】本実施の形態に係る可変インピーダンス回路を適用した増幅器の構成を示す図である。
【図11】実施の形態における可変インピーダンス回路を利用した通信システムを示す図である。
【符号の説明】
【0047】
M1 第1トランジスタ、 R1 第1抵抗、 M2 第2トランジスタ、 R2 第2抵抗、 R3 第3抵抗、 R4 第4抵抗、 10 第1入出力端子、 12 第2入出力端子、 14 制御端子、 100 可変インピーダンス回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1トランジスタおよび第2トランジスタが直列に接続された可変インピーダンス回路であって、
前記第1トランジスタは、差動入力信号の一方を受ける第1端子と、インピーダンスを変化させるための制御信号を受ける第2端子と、前記第2トランジスタと接続された第3端子と、基板に電位を供給するための第4端子と、を含み、
前記第2トランジスタは、前記差動入力信号の他方を受ける第5端子と、前記制御信号を受ける第6端子と、前記第1トランジスタと接続された第7端子と、基板に電位を供給するための第8端子と、を含み、
前記第3端子、前記第4端子、前記第7端子および前記第8端子が接続されたことを特徴とする可変インピーダンス回路。
【請求項2】
前記第1端子に接続され、前記差動入力信号の一方を分圧して前記第1トランジスタに供給する第1抵抗と、
前記第5端子に接続され、前記差動入力信号の他方を分圧して前記第2トランジスタに供給する第2抵抗と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の可変インピーダンス回路。
【請求項3】
当該可変インピーダンス回路と並列に接続され、前記差動入力信号を受ける並列抵抗をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の可変インピーダンス回路。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の可変インピーダンス回路を複数備え、
単一の制御信号で複数の可変インピーダンス回路のそれぞれのインピーダンスが制御されることを特徴とする可変インピーダンスシステム。
【請求項5】
差動型のフィルタ部を複数段、縦列接続したフィルタ回路であって、
各段のフィルタ部に、請求項4に記載の可変インピーダンスシステムの各可変インピーダンス回路が設けられることを特徴とするフィルタ回路。
【請求項6】
前記単一の制御信号で当該フィルタ回路のQ値または極を制御することを特徴とする請求項5に記載のフィルタ回路。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載の可変インピーダンス回路が、差動増幅回路の出力端子間に設けられることを特徴とする増幅器。
【請求項8】
請求項1から3のいずれかに記載の可変インピーダンス回路が、オペアンプの入力端子およびその帰還経路の少なくとも一方に接続されることを特徴とする増幅器。
【請求項9】
所定の周波数で発振する局部発振器と、
前記局部発振器の発振信号とアンテナから受信した信号とをミキシングするミキサ回路と、
前記ミキサ回路により周波数変換された信号をフィルタリングする請求項5または6に記載のフィルタ回路と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項10】
所定の周波数で発振する局部発振器と、
前記局部発振器の発振信号とアンテナから受信した信号とをミキシングするミキサ回路と、
前記ミキサ回路により周波数変換された信号を増幅する請求項7または8に記載の増幅器と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項1】
第1トランジスタおよび第2トランジスタが直列に接続された可変インピーダンス回路であって、
前記第1トランジスタは、差動入力信号の一方を受ける第1端子と、インピーダンスを変化させるための制御信号を受ける第2端子と、前記第2トランジスタと接続された第3端子と、基板に電位を供給するための第4端子と、を含み、
前記第2トランジスタは、前記差動入力信号の他方を受ける第5端子と、前記制御信号を受ける第6端子と、前記第1トランジスタと接続された第7端子と、基板に電位を供給するための第8端子と、を含み、
前記第3端子、前記第4端子、前記第7端子および前記第8端子が接続されたことを特徴とする可変インピーダンス回路。
【請求項2】
前記第1端子に接続され、前記差動入力信号の一方を分圧して前記第1トランジスタに供給する第1抵抗と、
前記第5端子に接続され、前記差動入力信号の他方を分圧して前記第2トランジスタに供給する第2抵抗と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の可変インピーダンス回路。
【請求項3】
当該可変インピーダンス回路と並列に接続され、前記差動入力信号を受ける並列抵抗をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の可変インピーダンス回路。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の可変インピーダンス回路を複数備え、
単一の制御信号で複数の可変インピーダンス回路のそれぞれのインピーダンスが制御されることを特徴とする可変インピーダンスシステム。
【請求項5】
差動型のフィルタ部を複数段、縦列接続したフィルタ回路であって、
各段のフィルタ部に、請求項4に記載の可変インピーダンスシステムの各可変インピーダンス回路が設けられることを特徴とするフィルタ回路。
【請求項6】
前記単一の制御信号で当該フィルタ回路のQ値または極を制御することを特徴とする請求項5に記載のフィルタ回路。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載の可変インピーダンス回路が、差動増幅回路の出力端子間に設けられることを特徴とする増幅器。
【請求項8】
請求項1から3のいずれかに記載の可変インピーダンス回路が、オペアンプの入力端子およびその帰還経路の少なくとも一方に接続されることを特徴とする増幅器。
【請求項9】
所定の周波数で発振する局部発振器と、
前記局部発振器の発振信号とアンテナから受信した信号とをミキシングするミキサ回路と、
前記ミキサ回路により周波数変換された信号をフィルタリングする請求項5または6に記載のフィルタ回路と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項10】
所定の周波数で発振する局部発振器と、
前記局部発振器の発振信号とアンテナから受信した信号とをミキシングするミキサ回路と、
前記ミキサ回路により周波数変換された信号を増幅する請求項7または8に記載の増幅器と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−294682(P2008−294682A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137233(P2007−137233)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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