説明

合流案内装置および合流案内方法

【課題】他車両の走行車線に自車両を合流させる際の運転者の負担を軽減すること。
【解決手段】自車両の動作を示す情報を取得し、自車両の周囲を走行する他車両の動作を示す情報を取得し、前記自車両の動作と前記他車両の動作とに基づいて前記自車両を前記他車両の走行車線に合流させるための合流部を特定し、前記自車両を前記合流部に合流させる合流タイミングを、当該自車両に対する前記他車両の動作によって案内する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他車両の走行車線に自車両を合流させるための案内を行う合流案内装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両を他車両の車列に合流させるための案内を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、車列の最後尾の他車両と自車両との相対的な位置関係を表示する技術が開示されている。また、特許文献2には、スピードメータに備えられるランプの点灯によって合流タイミングを案内する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−103982号公報
【特許文献2】特開平10−105884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術においては、さらに運転者の負担を軽減することが求められていた。
すなわち、他車両が走行している車列に対して自車両を合流させるため、一般に、運転者は合流案内装置の案内を利用しながら安全を確認して自車両を操舵することになる。ところが、上述の特許文献1のように、車列の最後尾の他車両と自車両との相対的な位置関係を表示部に表示したとしても、実際に操舵を行う際に運転者が目視確認する際には、目視確認された他車両と表示部にて案内された他車両とが一致しているか否か即座に判断することができない。従って、目視確認された他車両と表示部にて案内された他車両とが一致しているか否かを判断するなど、注意深く安全確認を行う必要がある。
【0004】
また、特許文献2のように、ランプの点灯によって合流タイミングを案内したとしても、やはり実際には目視による他車両の確認がなされるのが通常であり、依然として目視された他車両と自車両との関係で合流可能であるか否かを判断する負担が存在する。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、他車両の走行車線に自車両を合流させる際の運転者の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明においては、自車両を他車両の走行車線に合流させるための合流部を特定し、自車両を当該合流部に合流させる合流タイミングを、自車両に対する他車両の動作によって案内する。すなわち、自車両を他車両の車列の間に合流させることができる状況は、自車両の脇に充分なスペースが存在しそのスペースと自車両との相対的な速度が小さい状況であり、他車両が自車両に対して特定の動作をしていることによってこの状況に至る。
【0006】
そこで、本発明では自車両に対する他車両の動作を案内することによって合流タイミングの案内を行っている。他車両の動作は目視(ミラーによる視認を含む)によって極めて容易に確認することができるので、以上の構成により、運転者は極めて容易に合流タイミングであるか否かを判断することができる。従って、操舵をすべきか否かを判断する運転者の負担は極めて低くなる。
【0007】
なお、ナビゲーション装置の表示部等によって自車両と他車両との位置関係を案内するのみでは、常に両者の位置関係を意識し続けないと合流タイミングであるか否かを判断できない。また、自車両と他車両との位置関係の案内に加えて合流タイミングを案内しても、運転者は通常、目視確認を行った上で合流操作を行う。従って、目視確認した状況が案内された状況であるのかを判断する必要があり、この判断は、実質的に自ら合流タイミングであるか否かを判断していることに等しい。従って、合流に際して運転者の負担は軽減されない。しかし、本発明では、目視によって極めて容易に状況を把握可能な他車両の動作によって合流タイミングを案内するので、運転者の負担は極めて低くなる。
【0008】
ここで、自車両動作取得手段は合流部を特定するために他車両と比較し得る自車両の動作を取得することができればよく、他車両動作取得手段は合流部を特定するために自車両と比較し得る他車両の動作を取得することができればよい。従って、各種センサやカメラ、各種通信など種々の情報に基づいて自車両の動作を取得可能である。例えば、車両の位置、速度、加速度等をセンサやカメラによって特定する構成や、GPSからの信号や地図上での自車両での軌跡,車車間通信,路車間通信等によって車両の位置,速度,加速度等を取得する構成を採用可能である。
【0009】
合流部特定手段においては、自車両を他車両の走行車線に合流させるための合流部を特定することができればよい。例えば、自車両を進入させることが可能な間隔が他車両と他車両との間に存在し、自車両を加減速することでこの間隔の脇に移動させることができる状態にあるときに、この間隔が存在する位置を合流部として特定すればよい。このためには、自車両と他車両との関係および他車両と他車両との関係を特定することが必要になるので、自車両と他車両との動作に基づいてこれらを特定すればよい。むろん、合流部は他車両の間に限定されず、他車両の前あるいは後のスペースであっても良い。
【0010】
合流案内手段は、予め決められた自車両に対する他車両の動作を運転者に伝えることによって合流タイミングを案内することができればよい。すなわち、ここで案内対象となる他車両の動作は合流タイミングに対応した動作であればよく、例えば、他車両が特定の動作を行った後に自車両の操舵を行えば自車両を合流させることができる場合や、他車両が特定の動作状態を維持していることによって自車両を他車両の走行車線に合流させることができる場合には、それぞれにおける他車両の動作を案内する。この結果、運転者は目視によって他車両の動作を確認することによって合流タイミングであることを明確に確認することが可能である。
【0011】
さらに、合流案内手段にて他車両の動作を案内する構成の例として、他車両の特徴を示す情報を案内する構成を採用しても良い。すなわち、他車両の特徴を特定して案内することによって、より簡単に他車両が合流タイミングに対応した動作を実施しているか否かを判断することが可能になる。なお、他車両の特徴は当該他車両を特定するために必要な情報であればよく、例えば、他車両の車種や色、形状、大きさ等のいずれかまたは組み合わせを他車両の特徴として特定する構成を採用可能である。
【0012】
さらに、合流タイミングに対応付ける他車両の動作の例として、前記合流部の直前を走行する他車両が自車両を追い越す動作を採用しても良い。すなわち、高速道路の本線へ合流する状況など、自車両より他車両の方が速い場合には、自車両を加速して、ある他車両の後に合流する状況が多い。この状況においては、ある他車両が自車両を追い越した後が合流タイミングとなるため、他車両が自車両を追い越した後に合流可能である旨の案内を実施する。この結果、運転者は自車両を追い越す他車両の存在を目視確認することによって合流タイミングであることを把握することが可能になり、極めて容易に合流タイミングを認識することができる。
【0013】
さらに、前記合流部の直後を走行する他車両の前に合流可能である旨の案内を行っても良い。すなわち、高速道路の本線へ合流する際に他車両の運転者が自車両の合流を促している状況など、他車両が自車両の後方で一定以上の距離を維持して走行している場合には、他車両の前が合流部となり得る。この状況において、合流部の直後を走行している他車両の前に合流可能であることを案内すれば、運転者は自車両の後方を走行する他車両の存在を目視確認することによって合流タイミングであることを把握することが可能になり、極めて容易に合流タイミングを認識することができる。
【0014】
さらに、合流タイミングが近づいていることを他車両の動作と関連づけて案内する構成を採用しても良い。例えば、合流タイミングに達するまでに自車両の脇を通過すべき他車両の数を案内しても良い。より具体的には、自車両より速い他車両の後に合流する場合、合流タイミングに達するまでに自車両を追い越す他車両の台数を案内し、自車両より遅い他車両の前に合流する場合、合流タイミングに達するまでに自車両で追い越す他車両の台数を案内する。この結果、運転者は自車両の脇を通過する他車両の台数を数えることによって、合流タイミングに達するまでの心理的な準備をすることができる。従って、運転者の負担が軽減される。
【0015】
さらに、本発明のように他車両の動作によって合流タイミングを案内する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような合流案内装置、プログラム、方法は、単独の合流案内装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような合流案内装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、合流案内装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)合流案内処理:
(3)他の実施形態:
【0017】
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明にかかる合流案内装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記憶媒体30とを備えており、記憶媒体30やROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム21を実施可能であり、当該ナビゲーションプログラム21はその機能の一つとして自車両を他車両の走行車線に合流させる際の合流案内を実施する機能を備えている。
【0018】
自車両(ナビゲーション装置10が搭載された車両)には、ナビゲーションプログラム21を実現するためにGPS受信部40と車速センサ41とカメラ42とスピーカー43と表示部44とが備えられており、これらの各部と制御部20との信号の授受は図示しないインタフェースによって実現されている。
【0019】
GPS受信部40は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して自車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して自車両の現在位置を取得する。車速センサ41は、自車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、自車両の速度を取得する。カメラ42は自車両の後方を視野に含むように自車両に対して取り付けられ、撮影した画像を示す画像データを出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの画像データを取得してカメラ42の視野に含まれる他車両の動作等を特定する。
【0020】
制御部20は、ナビゲーションプログラム21を実行することにより、上述のようにして取得した各種情報に基づいて自車両を他車両の走行車線に合流させるための合流部を特定し、他車両の動作によって合流タイミングを案内する。すなわち、制御部20は、音声によって各種の案内を行うための制御信号をスピーカー43に出力し、画像によって各種の案内を行うための制御信号を表示部44に出力し、スピーカー43および表示部44から各種の案内を出力可能であり、この案内の一つとして合流タイミングに対応した他車両の動作を示す情報を出力する。
【0021】
本実施形態においては、ナビゲーションプログラム21がこの機能を実施することにより、ナビゲーション装置10を本発明にかかるナビゲーション装置として機能させる。ナビゲーションプログラム21は、自車両動作取得部21aと他車両動作取得部21bと案内処理部21cとを備えている。また、記憶媒体30には、ナビゲーションプログラム21による案内を実施するため地図情報30aが記憶されている。地図情報30aは、道路上に設定されたノードを示すノードデータやノード同士の連結を示すリンクデータ、目標物を示すデータ等を含み、自車両の位置の特定や路面形状の特定、目的地への案内等に利用される。
【0022】
自車両動作取得部21aは、GPS受信部40が出力する信号に基づいて自車両の位置を特定し、車速センサ41が出力する信号に基づいて自車両の速度と加速度とを取得するモジュールである。他車両動作取得部21bは、カメラ42が取得した画像に基づいて他車両の動作を取得するモジュールであり、画像処理部21b1を備えている。すなわち、画像処理部21b1がカメラ42を介して自車両の周囲の画像を取得すると、他車両動作取得部21bがこの画像に基づいて他車両の画像を抽出し、当該他車両の動作および特徴を抽出する。
【0023】
より具体的には、他車両の検出を行う対象となる車線を画像から抽出し、その車線内の画像から他車両の画像を抽出してフレーム間の比較を行う。そして、フレーム間における他車両の画像の変位に基づいて他車両の動作、すなわち、他車両の位置(自車両に対する相対位置)と速度と加速度とを検出する。また、前記車線内に含まれる他車両の画像の形状と予め決められた車種毎の形状とを比較することで車種を特定し、さらに他車両の画像の階調値に基づいて当該他車両の色を特定する。なお、車種および色は、運転者の目視確認を援助する情報であって予め決められた基準に基づいて分類できればよく、例えば、車種を自動二輪車,乗用車,トラック,バスに分類し、色を白系,黒系,紺系,シルバー系,赤系,緑系,黄色系,青系に分類する構成等を採用可能である。
【0024】
案内処理部21cは、自車両動作取得部21aと他車両動作取得部21bとが出力する情報に基づいて合流タイミングを案内するモジュールであり、合流部特定部21c1と合流案内部21c2とを備えている。合流部特定部21c1は、自車両を他車両の走行車線に合流させるための合流部を特定する。すなわち、他車両の動作に基づいて他車両の間に存在する間隔を特定し、自車両を合流させるために充分な長さの間隔から、自車両において過度の加減速をすることなく到達可能な間隔を特定し合流部とする。
【0025】
合流案内部21c2は、当該合流部へ自車両を合流させることが可能な位置に当該自車両を到達させるための加減速量を特定して案内するとともに、自車両を合流部に合流させることが可能な合流タイミングに達したことを他車両の動作に基づいて案内する。本実施形態においては、他車両が自車両を追い越す動作によって合流タイミングを案内することとしており、この案内の際に他車両の車種および色を合わせて案内する。すなわち、これらの案内を示す情報をスピーカー43や表示部44に対して出力する。
【0026】
(2)合流案内処理:
次に、以上の構成においてナビゲーション装置10が実施する案内処理を説明する。ナビゲーション装置10によってナビゲーションプログラム21が実行されているとき、所定の時間間隔(例えば100ms)毎に自車両動作取得部21aと他車両動作取得部21bと案内処理部21cとのそれぞれで処理を実施しており、案内処理部21cは図2に示す処理を実施する。
【0027】
案内処理部21cにおいては、まず、合流部特定部21c1が自車両動作取得部21aと他車両動作取得部21bとの出力情報、すなわち、自車両の位置と速度と加速度および他車両の位置と速度と加速度および他車両の特徴を示す情報を取得する(ステップS100)。次に、合流部を特定すべきか否かを判定するため、自車両の位置が高速道路の加速車線など、合流案内を実施すべき位置であるか否かを判別し(ステップS105)、自車両が合流案内を実施すべき位置にいると判別されないときには、処理を終了する。
【0028】
図3Aおよび図3Bは、自車両と他車両および合流部の関係を例示する俯瞰図である。これらの図においては、加速車線Lと高速道路Eとを示すとともに加速車線L上の自車両C0と高速道路E上の他車両C1,C2を示している。また、図3Aにおいては、自車両C0に搭載されたカメラ42の視野を範囲Vにて示している。この例において、図3Aのように自車両C0が高速道路Eの加速車線L上に存在するとき、上述のステップS105にて自車両C0が合流案内を実施すべき位置にいると判別される。
【0029】
ステップS105にて自車両が合流案内を実施すべき位置にいると判別されたときには、その合流に関して以前のループ処理ですでに合流部を特定していたか否かを判別する(ステップS110)。ステップS110にて合流部が特定済であると判別されないときには、合流部特定部21c1が合流部を特定する(ステップS115)。すなわち、他車両の位置に基づいて他車両の間に存在する間隔を特定し、自車両を合流させるために充分な長さの間隔を特定する。さらに、当該充分な長さの間隔の中で、自車両に対して過度の加減速をすることなく到達できる間隔を自車両の速度および加速度と他車両の速度および加速度に基づいて特定し、合流部とする。
【0030】
例えば、図3Aに示す例において、他車両C1,C2の速度および加速度によって各間隔の位置変化を予測することができ、自車両C0の速度および加速度によって自車両の到達可能位置を特定することができるので、過度の加減速をすることなく自車両C0を他車両C1,C2の間の間隔に到達させることが可能であるか否かを判定することができる。そこで、特定の間隔に自車両C0を到達させることが可能である場合にはその間隔を合流部Mとする。なお、過度の加減速であるか否かは予め決められた閾値等によって判定すればよく、この閾値を自車両の車種や自車両の速度,位置等によって変更するなど、種々の構成を採用可能である。
【0031】
上述のステップS110にて合流部が特定済であると判別されたときには、その合流部の位置を他車両の位置に基づいて更新する(ステップS120)。すなわち、図2に示す案内処理は所定の時間間隔毎に実施されるので、前回の案内処理で合流部Mが特定されているときには現在の案内処理を実施した時点での他車両の位置に基づいてその位置を更新する。例えば、図3Bは図3Aより後の時間における高速道路Eの状況を示しており、当該図3Bに示すように時間の経過に伴って他車両C1,C2の位置が変化するので、ステップS120においては、この位置変化に追従するように合流部Mの位置を更新する。
【0032】
ステップS115,S120のいずれかにて現在の合流部の特定を行うと、合流案内部21c2は当該合流部の横に自車両C0を到達させるために必要な自車両の加減速量を決定する(ステップS125)。すなわち、上述のようにして特定された合流部Mの予測位置に自車両を到達させるために必要な加減速量を、自車両C0の速度と加速度および他車両C1,C2の速度と加速度に基づいて特定する。
【0033】
必要な加減速量を決定すると、合流案内部21c2はその加減速量に対応した案内内容を決定する(ステップS130)。例えば、図3Bに示す状態は自車両C0が合流部Mに到達している状態であり、図3Aに示す状態にて合流部Mの位置を図3Bのように予測したとき、図3Aに示す時点で自車両C0を前記合流部Mの予測位置に到達するために必要な加速量を特定し、その加速量を示す情報を運転者に対して提示するように案内内容を決定する。
【0034】
案内内容を決定すると、合流案内部21c2は、合流タイミングに対応した他車両の動作を特定するための処理を行う。このために、まず合流案内部21c2は、合流部と自車両との間に存在する他車両の台数を算出する(ステップS135)。すなわち、自車両の位置より後方(路面の進行方向と逆側)に位置する他車両であって自車両と合流部との間に位置する他車両を、前記自車両の位置および他車両の位置に基づいて特定する。
【0035】
さらに、本実施形態においては合流部の直前を走行する他車両(案内ターゲット車両と呼ぶ)が自車両を追い越すことによって合流が可能になる旨を自車両の運転者に案内することとしており、合流案内部21c2は処理中の合流部について当該案内ターゲット車両が以前のループ処理ですでに特定されていたか否かを判別する(ステップS140)。ステップS140にて案内ターゲット車両が決定済であると判別されないときには、案内ターゲット車両を決定する(ステップS145)。例えば、合流部の直前を走行する他車両に案内ターゲット車両であることを示すフラグ等を設定する。なお、図3A,3Bに示す例において、案内ターゲット車両は他車両C1である。また、以上の処理においては、当該案内ターゲット車両の特徴、すなわち、車種と色とを示す情報を取得する。
【0036】
ステップS140にて案内ターゲット車両が決定済であると判別されたときには、当該決定済の案内ターゲット車両が消失しているか否かを判別し(ステップS150)、案内ターゲット車両が消失している場合にはステップS145を実施し、案内ターゲット車両が消失していない場合にはステップS145をスキップする。すなわち、案内ターゲット車両の速度に基づいて予測される位置に当該案内ターゲット車両が存在しない場合には、車線変更等によって案内ターゲット車両が消失したと見なして再度案内ターゲット車両を決定する。
【0037】
さらに、本実施形態においては、合流部に自車両を合流させられる状態にあるか否かを案内することとしており、合流部と自車両との速度差を算出する(ステップS155)。すなわち、合流部の前後にある他車両の速度と自車両の速度とに基づいて合流部と自車両との速度差を算出する。例えば、図3Bに示す状態において自車両C0と合流部Mとの速度差がほぼ”0”であり、自車両C0が合流部Mと併走できている状態であれば合流を行うことが可能である。そこで、この状態であるか否かを案内するため前記速度差を取得する。
【0038】
そして、合流案内部21c2は、案内ターゲット車両の動作とともに上述のようにして取得した情報を案内する(ステップS160)。すなわち、案内ターゲット車両の特徴を示すとともに、その特徴を有した案内ターゲット車両が自車両を追い越すことによって合流が可能であることを示す情報をスピーカー43および表示部44にて出力する。なお、本実施形態においては、この案内に合わせて上述のステップS125にて特定した加減速量とステップS135にて特定した他車両の台数とステップS155にて特定した速度差とを出力する。また、ステップS160の処理が終了すると案内処理部21cの一回あたりの処理が終了する。
【0039】
図4A,4Bは、スピーカー43および表示部44による案内出力の例を示す図である。図4Aにおいては、自車両が図3Aに示すような状態、すなわち、自車両C0が合流部Mと併走していない状態での案内出力の例を示しており、下部にスピーカー43の出力例、上部に表示部44の出力例を示している。また、ここでは他車両C1の車種が乗用車であり、色が白である場合の例を示している。
【0040】
図4Aにおいて、スピーカー43は「加速して白い乗用車が1台通過したら合流できます」という音声を出力している。すなわち、案内ターゲット車両の色が白系であり、車種が乗用車であることを示すとともに、合流部に自車両が到達するまでに自車両を追い越すべき他車両の数が1台であることを示している。また、自車両が合流部に到達するためには自車両を加速する必要があることを示している。
【0041】
さらに、図4Aにおいて、表示部44では左側の画面に自車両を目的地に案内するための表示を行っており、右側の画面にて合流案内のための表示を行っている。すなわち、右側の画面においては、高速道路および加速車線を示す画像Iに自車両C0の画像C0iと他車両C1の画像C1iを重ねて表示している。ここで、他車両の画像C1iは他車両C1の特徴を反映した画像であり、乗用車の形状であるとともに色が白である。
【0042】
さらに、表示部44においては、自車両C0の画像C0iの上部に自車両C0で必要な加減速量を示す画像Ia,他車両C1の画像C1iの上部に自車両C0と合流部Mとの速度差を示す画像Ivを表示している。すなわち、画像Iaにおいては、必要な加減速の量に応じて色や大きさ,数が変化するインジケータを表示するようになっており、画像Ivにおいては、速度差に応じて色や大きさ,数が変化するインジケータを表示するようになっている。
【0043】
以上の案内によれば、自車両の運転者は合流タイミングに至る契機となる案内ターゲット車両の動作を容易に把握することができ、自車両に必要な加減速量にて操作を行った結果、他車両と自車両とがどのような関係になったときに合流タイミングに達するのかを極めて容易に判断することができる。従って、合流操作に必要な運転者の負担は極めて小さくなる。
【0044】
さらに、図4Bにおいては、自車両が図3Bに示すような状態、すなわち、自車両C0が合流部Mと併走している状態での案内出力の例を示しており、ここでも下部にスピーカー43の出力例、上部に表示部44の出力例を示している。図4Bにおいて、スピーカー43は「白い乗用車の後に合流できます」という音声を出力している。すなわち、案内ターゲット車両が白い乗用車であり、当該案内ターゲット車両が通過した結果、自車両が合流タイミングに至ったことを示している。
【0045】
さらに、図4Bにおいても、表示部44は右側の画面にて合流案内のための表示を行っており、他車両C1の画像C1iを自車両C0の画像C0iの右斜め上方に表示し、さらに自車両の脇に矢印の画像Imを表示している。以上の案内によれば、自車両の運転者は自車両を他車両の走行車線に合流させることが可能であることを極めて容易に判断することができる。さらに、実際に合流操作を行うに際して、案内された状態が実際の状況に合致しているか否かを簡単な目視によって確認することができる。従って、合流操作に必要な運転者の負担は極めて小さくなる。
【0046】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、自車両に対する他車両の動作によって合流タイミングを案内することができる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上述の案内とともに、その案内内容(例えば、加速指示)に合致した運転操作のアシスト(例えば、シフトチェンジ、ホールドのアシストやブレーキ操作のアシスト)を実施しても良い。
【0047】
さらに、カメラ42は他車両の走行車線を撮影することができればよく、自車両のいずれの位置に取り付けられていても良いし、カメラの台数は特に限定されない。さらに、自車両の動作を取得するために利用可能なセンサは車速センサに限られず、舵角センサや加速度センサを利用しても良い。また、他車両の動作を取得するために利用可能な機器はカメラに限られず、レーダ等のセンサを利用しても良い。また、GPS,車車間,路車間等の通信や地図上での自車両での軌跡を利用して車両の動作を取得しても良い。
【0048】
すなわち、自車両や他車両に関する位置,速度,加速度等の動作は種々のセンサやカメラ等に基づいて取得することが可能である。さらに、当該動作の利用態様も種々の態様を想定可能である。例えば、加速車線の長さと自車両および他車両の速度、加速度に応じて合流部の候補となる他車両の間隔を限定しても良い。
【0049】
さらに、上述の実施形態においては、自車両動作取得部21aと他車両動作取得部21bと案内処理部21cとのそれぞれで所定の時間間隔毎に処理を行っていたが、各部の処理を一連の処理としても良いし、合流部の位置を各処理にて逐次更新するのではなく、合流部(他車両)の加速度に基づいて合流部の位置を予測しても良い。
【0050】
さらに、上述の実施形態においては、カメラ42の画像から車線の画像を抽出することによってその車線上の他車両の画像を特定していたが、むろん、他の処理手法を採用しても良い。例えば、カメラ42の画像上の各部位に写っている像と自車両との関係を予め特定しておき、地図情報や自車両の位置情報に基づいてカメラ42の画像から処理対象を抽出する構成を採用しても良い。
【0051】
さらに、カメラ42の画像に基づいて他車両の画像や他車両の特徴を抽出する構成としても、種々の手法を採用可能である。例えば、画像内の輝度のヒストグラムやエッジ抽出で他車両の画像を抽出したり、他車両の特徴を特定しても良い。また、各種通信によって他車両の特徴を取得しても良い。さらに、他車両の特徴としても上述の車種や色に限定されず、種々の特徴を利用して案内を行うことができる。例えば、車名や形状、大きさ等を他車両の特徴として提示する構成を採用しても良いし、他車両の車種を特定できない場合に車種を不明としたまま色等の情報を案内する構成であっても良い。
【0052】
さらに、案内処理部21cによる案内の出力態様としても上述の例に限定されず、高速道路等の合流先車線に他車両が存在しない場合、加速後に合流可能である旨の案内を出力したり、表示部44にて自車両の脇を通過すべき他車両の台数を数値等で表示するなど、種々の構成を採用可能である。
【0053】
さらに、合流部の直後を走行する他車両の前に合流可能である旨の案内を行っても良い。例えば、上述のステップS115にて他車両の間に存在する間隔であって自車両を合流させるために充分な長さの間隔を特定することができなかったとき、自車両を加速することによってカメラ42にて撮影した最前列の他車両の前に到達できるか否かを判別する。最前列の他車両の前に到達できる場合には当該最前列の他車両の前を合流部として特定する。
【0054】
このとき、案内ターゲット車両は前記最前列の他車両となり、その他車両が自車両に対して一定以上の距離を維持して走行していることをもって合流タイミングを案内すればよい。図5はこの場合におけるスピーカー43および表示部44の出力例を示しており、この例ではスピーカー43にて「後を走行している白い乗用車の前に合流できます」という音声を出力する。
【0055】
また、表示部44にて他車両C1の画像C1iを自車両C0の画像C0iの右斜め下方に表示し、合流可能であることを示す矢印の画像Imを表示する。以上の案内においても、他車両の特徴とともにその動作を案内する。従って、自車両の運転者は自車両を他車両の走行車線に合流させることが可能であることを極めて容易に判断することができる。さらに、実際に合流操作を行うに際して、案内された状態が実際の状況に合致しているか否かを簡単な目視によって確認することができ、合流操作に必要な運転者の負担は極めて小さくなる。
【0056】
なお、以上のような合流タイミングに達するまでに、自車両で他車両を追い越す必要がある場合には、追い越すべき他車両の台数を案内することが好ましい。また、ここでは、最前列の他車両の前に他の他車両が存在しない状態を想定したが、むろん、他車両の車列の後に他の他車両が存在しない場合に最後列の他車両の後を合流部としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】合流案内装置を含むナビゲーション装置のブロック図である。
【図2】案内処理のフローチャートである。
【図3】(3A)および(3B)は自車両と他車両と合流部の関係を例示する俯瞰図である。
【図4】(4A)および(4B)は案内出力の例を示す図である。
【図5】案内出力の例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…自車両動作取得部、21b…他車両動作取得部、21b1…画像処理部、21c…案内処理部、21c1…合流部特定部、21c2…合流案内部、30…記憶媒体、30a…地図情報、40…GPS受信部、41…車速センサ、42…カメラ、43…スピーカー、44…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の動作を示す情報を取得する自車両動作取得手段と、
自車両の周囲を走行する他車両の動作を示す情報を取得する他車両動作取得手段と、
前記自車両の動作と前記他車両の動作とに基づいて前記自車両を前記他車両の走行車線に合流させるための合流部を特定する合流部特定手段と、
前記自車両を前記合流部に合流させる合流タイミングを、当該自車両に対する前記他車両の動作によって案内する合流案内手段と、
を備える合流案内装置。
【請求項2】
前記他車両動作取得手段は前記他車両の特徴を示す情報を取得し、前記合流案内手段は前記他車両の特徴を示す情報を案内する、
請求項1に記載の合流案内装置。
【請求項3】
前記合流案内手段は、前記合流部の直前を走行する前記他車両が前記自車両を追い越した後に合流可能である旨の案内を行う、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の合流案内装置。
【請求項4】
前記合流案内手段は、前記合流部の直後を走行する前記他車両の前に合流可能である旨の案内を行う、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の合流案内装置。
【請求項5】
前記合流案内手段は、前記合流タイミングに達するまでに前記自車両の脇を通過すべき他車両の数を案内する、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の合流案内装置。
【請求項6】
自車両の動作を示す情報を取得する自車両動作取得工程と、
自車両の周囲を走行する他車両の動作を示す情報を取得する他車両動作取得工程と、
前記自車両の動作と前記他車両の動作とに基づいて前記自車両を前記他車両の走行車線に合流させるための合流部を特定する合流部特定工程と、
前記自車両を前記合流部に合流させる合流タイミングを、当該自車両に対する前記他車両の動作によって案内する合流案内工程と、
を含む合流案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−129839(P2008−129839A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313869(P2006−313869)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】