回路基板とその製造方法、及び抵抗素子
【課題】回路基板とその製造方法、及び抵抗素子において、信頼性向上を図ること。
【解決手段】樹脂基材11と、樹脂基材11の上方に形成された抵抗素子30とを有し、抵抗素子30が、電極部13dと延在部13eとを備えた抵抗パターン13aと、抵抗パターン13aの電極部13d上に形成され、延在部13eに向かって厚さが薄くなる裾野部分31aを備えた電極31とを有する回路基板による。
【解決手段】樹脂基材11と、樹脂基材11の上方に形成された抵抗素子30とを有し、抵抗素子30が、電極部13dと延在部13eとを備えた抵抗パターン13aと、抵抗パターン13aの電極部13d上に形成され、延在部13eに向かって厚さが薄くなる裾野部分31aを備えた電極31とを有する回路基板による。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板とその製造方法、及び抵抗素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化や高速化に伴い、回路基板に高密度で実装部品が実装されるようになりつつある。そのような高密度化は実装部品の小型化により実現し得る。例えば、回路基板に実装される抵抗素子やコンデンサ等の受動部品は、従来ははんだを介して回路基板表面の電極に実装されていたが、部品の小型化を実現すべく、最近ではこれらの受動部品を回路基板の層間に埋め込む技術が採用されている。
【0003】
これらの受動部品のうち、抵抗素子の製造方法としては、厚膜法と薄膜法とが知られている。
【0004】
厚膜法では、エポキシ樹脂にカーボンフィラを分散させてなる抵抗ペーストを層間に印刷し、そのペーストを焼成して層間に抵抗素子を形成する。但し、厚膜法は、印刷時におけるペーストの厚さがばらつき易いため、抵抗素子の抵抗値がばらついてしまう。これを防止するため、レーザの照射によって焼成後のペーストの一部を蒸散させ、抵抗素子の外形を整形する方法もあるが、これでは回路基板に多数形成される抵抗素子の全てを整形するのに莫大な手数を要することになる。
【0005】
一方、薄膜法では、ウエットエッチングにより抵抗体層をパターニングし、所定の形状を有する抵抗素子を形成する。このようにして形成された抵抗素子の厚さは、もとの抵抗体層と同一であるため、薄膜法においては抵抗素子の厚さがばらつくという問題はない。しかし、ウエットエッチングは等方性エッチングであるため、エッチング後の抵抗素子の外形をコントロールするのが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4057589号明細書
【特許文献2】特開平5−205904号公報
【特許文献3】特公平6−16441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回路基板とその製造方法、及び抵抗素子において、信頼性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の開示の一観点によれば、基材と、前記基材の上方に形成された抵抗素子とを有し、前記抵抗素子が、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極とを有する回路基板が提供される。
【0009】
また、その開示の別の観点によれば、絶縁層の上に形成され、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極とを有する抵抗素子が提供される。
【0010】
更に、その開示の他の観点によれば、基材の上方に抵抗体層と導体層とを順に形成する工程と、前記導体層の厚さを薄くする工程と、前記導体層の上に、第1の電極パターンを選択的に形成する工程と、前記導体層の厚さを薄くした後、前記導体層をパターニングすることにより導体パターンを形成する工程と、前記導体パターンをマスクにして前記抵抗体層をエッチングすることにより、前記第1の電極パターンから前記基材の横方向に延在する延在部を備えた抵抗パターンを形成する工程と、前記抵抗パターンを形成した後、前記導体パターンをパターニングすることにより、前記第1の電極パターンよりも前記延在部側に延びた第2の電極パターンを形成する工程とを有する回路基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の抵抗素子によれば、抵抗パターンの電極部から延在部に向かって電極の裾野部分が薄くなるので、温度変動に伴う電極の体積変動が裾野部分において小さくなる。そのため、抵抗パターンと電極の熱膨張率の差に起因して裾野部分付近の抵抗パターンに加わる応力が少なくなり、応力が原因で発生する抵抗パターンが断線するのを防止でき、ひいては抵抗素子の信頼性向上を図ることができる。
【0012】
また、開示の回路基板の製造方法によれば、予め導体層を薄くしておき、その後に該導体層をパターニングして導体パターンとする。よって、このパターニングをウエットエッチングにより行っても、エッチングが横方向に進行し難くなり、導体パターンの外形のばらつきを防止できる。その結果、導体パターンをマスクにして形成される抵抗パターンの外形が安定するようになるので、抵抗素子の抵抗値のばらつきを抑制でき、この抵抗素子を備えた回路基板の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)、(b)は、薄膜法を用いた抵抗素子の製造方法を工程順に示す斜視図(その1)である。
【図2】図2(a)、(b)は、薄膜法を用いた抵抗素子の製造方法を工程順に示す斜視図(その2)である。
【図3】図3(a)、(b)は、第1実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その1)である。
【図4】図4(a)〜(c)は、第1実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その2)である。
【図5】図5(a)〜(c)は、第1実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その3)である。
【図6】図6(a)〜(c)は、第1実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その4)である。
【図7】図7(a)、(b)は、第1実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その5)である。
【図8】図8は、第1実施形態に係る抵抗素子の上面図である。
【図9】図9(a)〜(c)は、第2実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図である。
【図10】図10は、第2実施形態に係る抵抗素子の上面図である。
【図11】図11は、第3実施形態で使用される抵抗層の断面図である。
【図12】図12(a)〜(c)は、第3実施形態で使用される配線層の製造途中の断面図(その1)である。
【図13】図13は、第3実施形態で使用される配線層の製造途中の断面図(その2)である。
【図14】図14(a)、(b)は、第3実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その1)である。
【図15】図15(a)、(b)は、第3実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その2)である。
【図16】図16(a)、(b)は、第3実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その3)である。
【図17】図17(a)〜(c)は、第4実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その1)である。
【図18】図18(a)、(b)は、第4実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その2)である。
【図19】図19(a)、(b)は、第4実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その3)である。
【図20】図20(a)、(b)は、第4実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その4)である。
【図21】図21(a)、(b)は、第4実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その5)である。
【図22】図22は、各実施形態において、抵抗素子が備える電極の裾野部分の好適な斜度について説明するための断面図である。
【図23】図23(a)〜(c)は、第5実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その1)である。
【図24】図24(a)〜(c)は、第5実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その2)である。
【図25】図25(a)〜(c)は、第5実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その3)である。
【図26】図26は、第5実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)予備的事項
本実施形態の説明に先立ち、本実施形態の基礎となる予備的事項について説明する。
【0015】
図1〜図2は、薄膜法を用いた抵抗素子の製造方法を工程順に示す斜視図である。
【0016】
その抵抗素子を製造するには、まず、図1(a)に示すように、絶縁層1の上に抵抗体層2と導体層3をこの順に積層する。
【0017】
このうち、絶縁層1としては約0.1mmの厚さのプリプレグ層が形成され、抵抗体層2としては厚さが約0.35μmのニッケルとリンとの合金箔が形成される。また、導体層3としては、厚さが18μm又は35μmに規格化されている銅箔が使用される。
【0018】
そして、その導体層3の上にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像して抵抗パターン形状の第1のレジストパターン4を形成する。
【0019】
次いで、図1(b)に示すように、第1のレジストパターン4をマスクにしながら、導体層3と抵抗体層2とをウエットエッチングし、導体層3を導体パターン3aにすると共に、抵抗体層2を抵抗パターン2aにする。
【0020】
このときのエッチング液は、抵抗体層2と導体層3とで使い分けられ、抵抗体層2に対しては硝酸と塩酸との混合液を使用し、導体層3に対しては塩化銅溶液を使用する。
【0021】
このエッチングを終了後、第1のレジストパターン4は除去される。
【0022】
次に、図2(a)に示すように、導体パターン3aの上にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像して、第2のレジストパターン5を形成する。
【0023】
そして、図2(b)に示すように、第2のレジストパターン5をマスクにしながら、塩化銅溶液をウエットエッチングに用いて導体パターン3aを選択的にウエットエッチングし、抵抗パターン2aの両端に電極3bを形成する。
【0024】
その後に、第2のレジストパターン5は除去される。
【0025】
ここまでの工程により抵抗素子6の基本構造が完成したことになる。
【0026】
このような抵抗素子6の製造方法によれば、図1(b)の工程で抵抗体層2をパターニングして抵抗パターン2aを形成する際、導体パターン3aが抵抗体層2に対するハードマスクとなる。そのため、抵抗パターン2aの外形はその上の導体パターン3aの外形に依存することになる。
【0027】
しかしながら、導体パターン3aは、横方向のエッチング量の制御が困難なウエットエッチングにより導体層3をウエットエッチングして得られるものであるため、導体パターン3aの外形を精度良く仕上げることは難しい。そのため、導体パターン3aの下の抵抗パターン2aの抵抗値がばらつき易く、均一な抵抗値をもった抵抗素子6を安定的に量産するのが難しい。
【0028】
しかも、ウエットエッチングの対象である導体層3として市場で入手可能な銅箔は、18μmや35μmといった厚い膜厚に規格化されている。ウエットエッチングは、導体層3が厚いほど横方向のエッチング量を制御するのが難しいので、導体層3の厚さが原因で導体パターン3aのパターニング精度が更に劣化してしまう。
【0029】
導体パターン3aのパターニング精度を向上すべく、10μm程度に薄膜化された導体層3を抵抗体層2の上に貼付することも考えられる。しかし、このように薄膜化された導体層3は、扱い難く抵抗体層2上に貼付するが難しくなる。更に、導体層3の価格はその厚さが薄いほど高価になるので、抵抗素子6の製造コストが上昇してしまう。
【0030】
このように、この抵抗素子6は、その抵抗値がばらつくというプロセス面での不都合がある。
【0031】
また、構造面については、抵抗パターン2aと電極3bとの材料が異なるため、材料の熱膨張率の差が原因で、電極3bの端部X付近(図2(b)参照)の抵抗パターン2aに応力が集中し易い。よって、多層配線基板中に抵抗素子6を形成するときや、電子機器内で抵抗素子6を使用するときのように、抵抗素子6に熱が加わると、端部X付近の抵抗パターン2aに応力が原因でクラックが発生する危険性がある。そのようにクラックが発生すると、抵抗パターン2aが断線し、抵抗素子6が回路内でその機能を果たさなくなってしまう。
【0032】
更に、上記の抵抗素子6を回路基板内に形成する場合、抵抗パターン2aに加わる応力は、回路基板の熱膨張率にも関係する。例えば、回路基板と抵抗素子6との熱膨張率差が大きいと、端部X付近の抵抗パターン2aに応力が集中し、抵抗パターン2aが断線するおそれがある。
【0033】
特に、炭素繊維を主にしてなるコア基板を使用する回路基板は、ガラス繊維とエポキシ樹脂との複合材よりなる回路基板と比較して熱膨張率が小さいので、抵抗素子6との熱膨張率差が顕著になり、抵抗パターン2aを断線させる蓋然性が高くなる。同様に、鉄とニッケルとの合金であるインバ合金からなるメタルコア基板を使用する回路基板も熱膨張率が小さいので、応力の集中が原因で抵抗パターン2aが断線し易くなる。
【0034】
本願発明者は、このような知見に鑑み、以下に説明するような本実施形態に想到した。
【0035】
(2)第1実施形態
図3〜図7は、本実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図である。
【0036】
最初に、図3(a)に示すように、厚さが0.1mmのガラス・エポキシ樹脂よりなる樹脂基材11を用意する。両面に導体層が形成されていない樹脂基材11はアンクラッド板とも呼ばれる。
【0037】
そして、この樹脂基材11の一方の主面11aの上に、厚さが約0.1mmのプリプレグよりなる絶縁層12と、厚さが約35μmの抵抗体層13と、厚さが約35μmの導体層14をこの順に積層する。
【0038】
これらの層のうち、抵抗体層13としては、例えばニッケルとリンとの合金箔であるシート抵抗が50Ω/□のオメガプライ(オメガテクノロジー社製)を使用し得る。また、導体層14としては、抵抗体層13よりもシート抵抗の低い銅箔を使用し得る。
【0039】
一方、樹脂基材11の他方の面11bの上には、厚さが約0.1mmのプリプレグよりなる絶縁層15と、厚さが約35μmの銅よりなる導体層16とをこの順に積層する。
【0040】
そして、加熱温度を180℃、圧力を3MPaとする条件で各層11〜16を真空プレスすることにより、図3(b)に示すような積層板10を形成する。
【0041】
これ以降の工程について、図3(b)の一部領域Aを拡大して説明する。
【0042】
まず、図4(a)に示すように、塩化銅を含むエッチング溶液を用いて、銅よりなる導体層14の全面をハーフエッチングし、導体層14の厚さを10μm程度にまで薄くする。
【0043】
次いで、図4(b)に示すように、導体層14の上面にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像することにより、第1の窓21aを備えた第1のレジストパターン21を形成する。
【0044】
続いて、図4(c)に示すように、導体層14を給電層にしながら、電解めっき法により第1の窓21a内の導体層14上に銅膜を選択的に10μm程度の厚さに成長し、銅よりなる第1の電極パターン22を形成する。
【0045】
この後に、第1のレジストパターン21は除去される。
【0046】
次いで、図5(a)に示すように、第1の電極パターン22と導体層14の上にドライフィルムレジストを貼付する。そして、そのドライフィルムを露光、現像することにより第2のレジストパターン23を形成する。
【0047】
その第2のレジストパターン23は第1の電極パターン22の上に第2の窓23aを有しているが、その第2の窓23aは第1の電極パターン22の面積よりも小さく形成される。
【0048】
その後に、図5(b)に示すように、第1の電極パターン22に給電を行いながら、電解めっき法を用いて、第2の窓23a内の第1の電極パターン22上に銅膜を10μm程度の厚さに成長し、その銅膜よりなる第2の電極パターン24を形成する。
【0049】
次に、図5(c)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0050】
まず、導体層14の上側全面にドライレジストフィルムを貼付する。そして、そのドライフィルムを露光、現像することにより、各電極パターン22、24の上面を覆う抵抗パターン形状の第3のレジストパターン26を形成する。
【0051】
そして、図6(a)に示すように、第3のレジストパターン26をマスクにして導体層14をウエットエッチングし、導体パターン14aを形成する。このウエットエッチングで使用されるエッチング液は特に限定されないが、本実施形態では塩化銅を含むエッチング液を使用する。
【0052】
ここで、エッチング前の導体層14は、図4(a)のハーフエッチングによってその厚さが薄くされているので、本工程では導体パターン14aの横方向にエッチングが進行し難くなり、エッチング精度が向上する。これにより、導体パターン14aの外形にばらつきが発生するのを抑制でき、設計レイアウトに近い外形の導体パターン14aを得ることができる。
【0053】
次いで、図6(b)に示すように、硝酸と塩酸との混合液をエッチング液として用い、導体パターン14aをハードマスクにしながら、抵抗体層13をウエットエッチングして抵抗パターン13aを形成する。
【0054】
このとき、既述のように導体パターン14aの外形のばらつきの発生が抑制されているので、導体パターン14aをマスクにして形成される抵抗パターン13aの外形も安定させることができる。
【0055】
また、このようにして形成された抵抗パターン13aは、第1の電極パターン22が形成される電極部13dと、該電極部13dから基材11(図3(b)参照)の横方向に延在する延在部13eとを有する。
【0056】
この後に、第3のレジストパターン26は除去される。
【0057】
次に、図6(c)に示すように、絶縁層12の上側全面にドライレジストフィルムを貼付し、それを露光、現像する。これにより、第1の電極パターン22の側面のうち延在部13e寄りの側面22aと、該第1の電極パターン22の上面とを覆う第4のレジストパターン28を形成する。
【0058】
そして、図7(a)に示すように、第4のレジストパターン28をマスクにして導体パターン14aをウエットエッチングすることにより、電極部13d上に第3の電極パターン14bを形成する。
【0059】
このとき、第4のレジストパターン28は第1の電極パターン22の側面22aを覆っているので、第3の電極パターン14bは第1の電極パターン22よりも延在部13e側に延びた形状となる。
【0060】
この後に、図7(b)に示すように第4のレジストパターン28を除去することにより、抵抗素子30の基本構造を完成させる。
【0061】
その抵抗素子30は、各電極パターン14b、22、24よりなる電極31を有し、その電極31から抵抗パターン13aに電流が供給される。電極31は、ニッケルとリンとの合金よりなる抵抗パターン13aと比較してシート抵抗の低い銅よりなるため、抵抗素子30の全体の抵抗値は抵抗パターン13aの抵抗値によって略決まる。
【0062】
また、その電極31は、各電極パターン14b、22、24を雛壇状に形成してなるため、電極部13dから延在部13eに向かって厚さが段階的に薄くなる裾野部分31aを有する。
【0063】
なお、図8はこの抵抗素子30の上面図であり、先の図7(b)は図8のI−I線に沿う断面図に相当するものである。
【0064】
以上説明した本実施形態によれば、図4(a)の工程で導体層14を予め薄膜化してあるので、図6(a)の工程で導体層14をウエットエッチングするときに、エッチングが横方向に進行し難くなり、外形のばらつきが抑制された導体パターン14aが得られる。そのため、図6(b)の工程で導体パターン14aをマスクにするウエットエッチングで抵抗パターン13aを形成するとき、抵抗パターン13aが導体パターン14aの安定した外形を引き継ぎ、抵抗パターン13aの外形にばらつきが発生するのを抑制できる。
【0065】
これにより、抵抗パターン13aの抵抗値が安定し、抵抗値が高い精度で保証された抵抗素子30を得ることができる。
【0066】
また、図7(b)に示したように、抵抗素子30の電極31に裾野部分31aを設け、当該裾野部分31aの膜厚を電極部13dから延在部13eに向かって薄くしたので、温度変動に伴う電極31の体積変動が裾野部分31aにおいて小さくなる。よって、抵抗パターン13aと電極31の熱膨張率の差に起因して裾野部分31a付近の抵抗パターン13aに加わる応力を少なくできる。これにより、応力が原因で抵抗パターン13aが断線するのを防止でき、抵抗素子30の信頼性を高めることが可能となる。
【0067】
(3)第2実施形態
第1実施形態では、図7(b)に示したように、電極31の裾野部分31aを雛壇状にした。これに対し、本実施形態では、その裾野部分31aを以下のようにして傾斜させる。
【0068】
図9(a)〜(c)は、本実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図である。なお、これらの図において第1実施形態と同じ要素には第1実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0069】
本実施形態に係る抵抗素子を製造するには、まず、第1実施形態で説明した図3(a)〜図6(b)の工程を行う。
【0070】
そして、図9(a)に示すように、絶縁層12の上側全面にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像して、第2の電極パターン24の上に第5のレジストパターン33を形成する。
【0071】
その第5のレジストパターン33は、第1の電極パターン22の側面のうち、延在部13e寄りの側面22aから後退して形成される。
【0072】
次いで、図9(b)に示すように、第5のレジストパターン33をマスクにしながら、塩化銅を含むエッチング液を用いて導体パターン14aをウエットエッチングし、第3の電極パターン14bを形成する。
【0073】
このとき、第5のレジストパターン33で覆われていない各電極パターン14b、22、24の各側面14c、22a、24aもウエットエッチングされる。そして、ウエットエッチングではエッチングが等方的に進行するので、各側面14c、22a、24aは図9(b)のように傾斜する。
【0074】
その後、図9(c)に示すように、第5のレジストパターン33を除去して抵抗素子40の基本構造を完成させる。
【0075】
その抵抗素子40は、抵抗パターン13aに電流を供給するための各電極パターン14b、22、24よりなる電極31を有する。電極31の側面は図8(b)のウエットエッチングにより傾斜しており、電極31の裾野部分31aは電極部13dから延在部13eに向かって厚さが連続的に薄くなる。
【0076】
なお、図10はこの抵抗素子40の上面図であり、先の図9(c)は図10のII−II線に沿う断面図に相当するものである。
【0077】
以上説明した本実施形態では、第1実施形態と同様に、電極31の裾野部分31aが電極部13dから延在部13eに向かって薄くなるので、抵抗パターン13aと電極31の熱膨張率の差が原因で裾野部分31a付近の抵抗パターン13aに加わる応力を少なくできる。その結果、応力によって抵抗パターン13aが断線する危険性が減り、抵抗素子40の信頼性が高められる。
【0078】
(4)第3実施形態
本実施形態では、第1実施形態又は第2実施形態で形成した抵抗素子を備えた回路基板について説明する。
【0079】
図11は、本実施形態に係る回路基板で使用される抵抗層の断面図である。なお、図11において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0080】
この抵抗層50は、第1実施形態で説明した図3(a)〜図7(b)の工程を行うことにより作製されるものであって、樹脂基材11の一方の主面11a側には既述の抵抗素子30が形成される。
【0081】
一方、樹脂基材11の主面のうち、抵抗素子30が形成されていない方の主面11bについては、導体層16(図3(b)参照)をパターニングし、配線パターン16aを形成しておく。
【0082】
なお、第1実施形態の抵抗素子30に代えて、第2実施形態に係る抵抗素子40(図9(c)参照)を抵抗層50に形成してもよい。
【0083】
図12〜図13は、上記の抵抗層50と共に積層される配線層の製造途中の断面図である。
【0084】
その配線層を形成するには、まず、図12(a)に示すように、ガラス・エポキシ樹脂よりなる樹脂基材61の両面に第1及び第2の導体層62、63を貼付する。各導体層62、63としては、例えば、厚さが約35μmの銅箔を使用し得る。
【0085】
次いで、図12(b)に示すように、各導体層62、63にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像してレジストパターン64を形成する。
【0086】
続いて、図12(c)に示すように、上記のレジストパターン64をマスクにしながら、塩化銅を含むエッチング液を用いて各導体層62、63をウエットエッチングし、第1及び第2の配線パターン62a、63aを形成する。
【0087】
その後、図13に示すように、マスクに用いたレジストパターン64を除去し、配線層60の基本構造を得る。
【0088】
この後は、この配線層60と、既述の抵抗層50(図11参照)とを積層する工程に移る。
【0089】
図14〜図16は、これら抵抗層50と配線層60とを積層してなる回路基板の製造途中の断面図である。
【0090】
まず、図14(a)に示すように、上記の抵抗層50と配線層60との間に絶縁層70を配しながら、各層50、60、70を交互に積層することにより、積層体75を作製する。なお、絶縁層70としては、例えば厚さが約100μmの絶縁性のプリプレグを使用し得る。
【0091】
また、この積層体75の最上層と最下層には、導体層71として厚さが約35μmの銅箔を配する。
【0092】
次いで、図14(b)に示すように、加熱温度を185℃とする条件で真空プレスにより積層体75をプレスし、各層50、60、70、71を一体化する。
【0093】
そして、図15(a)に示すように、ドリル加工により積層体75に貫通孔75aを形成し、その貫通孔75aの内面に各配線パターン16a、62a、63aを表出させる。
【0094】
その後、図15(b)に示すように、貫通孔75a内に無電解銅めっき層を形成した後、その無電解銅めっき層を給電層にして電解めっきを行うことにより、貫通孔75a内と導体層71の上とにめっき層76を形成する。
【0095】
そのめっき層76により、貫通孔75aに表出していた各配線パターン16a、62a、63aが電気的に接続されることになる。
【0096】
続いて、図16(a)に示すように、ドライフィルムレジストを露光、現像して得られたレジストパターン79をめっき層76上に形成し、そのレジストパターン79をマスクにして各層71、76をウエットエッチングすることにより、配線71aを形成する。
【0097】
この後に、レジストパターン79を除去することにより、図16(b)に示すような本実施形態に係る回路基板90の基本構造を完成させる。
【0098】
その回路基板90は、抵抗素子30の上に、配線パターン62a、63aと絶縁層70とが交互に複数積層された多層配線基板である。
【0099】
上記した本実施形態によれば、図14(b)の工程で積層体75をプレスするときに積層体75が加熱される。このように加熱されても、抵抗素子30の電極31に裾野部分31a(図7(b)参照)を設けたので、第1実施形態で説明したように抵抗パターン13aに断線が発生し難い。このように、本実施形態では、加熱工程を経ても抵抗素子30が不良になり難く、信頼性が維持された回路基板90を提供することができる。
【0100】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態は上記に限定されない。例えば、上記では多層配線基板の層間に抵抗素子30、40を形成したが、フレキシブルな回路基板上に抵抗素子30、40を形成するようにしてもよい。
【0101】
(5)第4実施形態
本実施形態では、第3実施形態と同様に、回路基板に第1実施形態や第2実施形態で作製した抵抗素子を適用する。
【0102】
但し、その回路基板のコア基板には、以下に説明するように、樹脂よりも熱膨張率が低い炭素繊維を主にしてなる材料を使用する。
【0103】
図17〜図21は、本実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図である。なお、これらの図において、第1〜第3実施形態で説明したのと同じ要素にはこれらの実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0104】
まず、図17(a)に示すように、炭素繊維の織布にエポキシ樹脂を含浸させた厚さが約0.2mmの炭素繊維プリプレグ91を10枚積層すると共に、その積層体の上下に厚さが約100μmの絶縁性プリプレグ92を配する。
【0105】
次いで、図17(b)に示すように、上記の各プリプレグ91、92を不図示の金型内において圧力を3MPa、温度を180℃、加圧時間を1時間とする条件で真空プレスし、厚さが約2mmの複合コア基板94を作製する。
【0106】
続いて、図17(c)に示すように、ドリル加工により複合コア基板94に開口94aを形成する。その開口94aの直径は特に限定されないが、後述の貫通孔よりも広い直径であるのが好ましく、本実施形態では約0.8mmとする。
【0107】
次いで、図18(a)に示すように、上記の開口94aに熱硬化性の絶縁樹脂96を充填した後、その絶縁樹脂96を加熱して熱硬化させる。
【0108】
その後、図18(b)に示すように、開口94aからはみ出した部分の絶縁樹脂96を研磨により除去する。
【0109】
次に、図19(a)に示すように、第3実施形態で説明した抵抗層50、絶縁層70、及び導体層71を用意し、それらを複合コア基板94を中心にして図示のように積層することにより、積層体110を作製する。その積層体110においては、抵抗層50の樹脂基材11(図11参照)が、コア基板94の上方に形成される。
【0110】
続いて、図19(b)に示すように、加熱温度を185℃とする条件で真空プレスにより積層体110をプレスし、複合コア基板94と各層50、70、71とを一体化する。
【0111】
そして、図20(a)に示すように、絶縁樹脂96を通るように積層体110に貫通孔110aを形成し、その貫通孔75aの内面に抵抗層50の配線パターン16aを表出させる。その貫通孔75aはドリル加工により形成され、その直径は複合コア基板94の開口94aよりも狭い直径、例えば約0.35mmとする。
【0112】
その後、図20(b)に示すように、貫通孔110a内に無電解銅めっき層を形成した後、その無電解銅めっき層を給電層にして電解めっきを行うことにより、貫通孔110a内と導体層71の上とにめっき層101を形成する。
【0113】
そのめっき層101により、貫通孔110aに表出している配線パターン16a同士が電気的に接続されることになる。
【0114】
但し、複合コア基板94は絶縁樹脂96によりめっき層101から隔てられるので、コア基板94中の導電性の炭素繊維がめっき層101に電気的に接続されることはない。
【0115】
続いて、図21(a)に示すように、ドライフィルムレジストを露光、現像して得られたレジストパターン103をめっき層101上に形成し、そのレジストパターン103をマスクにして各層71、101をウエットエッチングすることにより、配線71aを形成する。
【0116】
この後に、レジストパターン103を除去することにより、図21(b)に示すような本実施形態に係る回路基板100の基本構造を完成させる。
【0117】
以上説明した本実施形態によれば、図17(a)、(b)に示したように、炭素繊維プリプレグ91を利用して複合コア基板94を作製した。そのような複合コア基板94を備えた回路基板100の熱膨張率は、各層50、70、71の膜厚や材料によって異なるが、典型的には10ppm/℃以下の小さな値となる。この値は、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグからなる樹脂基板の値よりも小さい値である。
【0118】
これに対し、抵抗素子30の電極31(図7(b)参照)中の銅の熱膨張率は約17ppm/℃であり、回路基板100の熱膨張率(10ppm/℃以下)と比較して大きな値となる。このように、複合コア基板94に炭素繊維を使用すると、回路基板100と抵抗素子30との熱膨張率差が顕著となり、その熱膨張率差に起因して抵抗素子30がその周囲から大きな応力を受ける。
【0119】
このように応力を受けても、本実施形態では抵抗素子30の電極31に裾野部分31a(図7(b)参照)を設けたので、裾野部分31a付近で応力を分散でき、抵抗パターン13aに加わる応力を少なくできる。
【0120】
これにより、炭素繊維により熱膨張率が低減された複合コア基板94を用いる場合であっても、応力が原因で抵抗パターン13aが断線する危険性を低減でき、回路基板100の不良率を小さくすることが可能となる。
【0121】
なお、複合コア基板94に使用可能な材料は炭素繊維に限定されず、炭素繊維プリプレグ91(図17(a)参照)に代えてインバ合金板を使用してもよい。インバ合金は、鉄とニッケルとの合金であり、合金中でのニッケルの濃度が36%程度のときに熱膨張率が最小となる。このようにインバ合金も熱膨張率が低いので、裾野部分31aを設けて抵抗パターン31aに加わる応力を低減する実益がある。
【0122】
ところで、抵抗パターン13aに加わる応力は、裾野部分31aの斜度に依存すると考えられる。
【0123】
図22は、裾野部分31aの好適な斜度について説明するための断面図である。なお、図22において、第1実施形態の図7(b)で説明したのと同じ要素には第1実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0124】
図22では、電極31の高さをT、裾野部分31aの長さをLとし、抵抗パターン13aの主面から測った裾野部分31aの斜度をθとしている。
【0125】
抵抗パターン13aに加わる応力を低減するには、裾野部分31aの斜度θの正接であるT/Lをなるべく小さくするのが好ましく、好適にはT/L<1とするのが好ましい。
【0126】
特に、本実施形態のように10ppm/℃以下の低い熱膨張率を有する回路基板100においては、抵抗素子30と回路基板100との熱膨張率差が大きくなるため、T/Lを1よりも更に小さくし、例えばT/L<0.6とするのが好ましい。
【0127】
なお、ガラス繊維とエポキシ樹脂との複合材よりなる回路基板を使用する場合、その回路基板と抵抗素子30との熱膨張率が実質的に一致していれば、抵抗素子30には応力が加わらないようにも考えられる。しかし、その回路基板には製造時の熱履歴によって反りが発生するため、その反りが原因で抵抗素子30に応力が加わる。よって、この場合でも、上記と同様にT/L<1とするのが好ましい。
【0128】
次に、本願発明者が調査した抵抗素子30の不良率について説明する。
【0129】
その調査では、本実施形態に従って作製された熱膨張率が6ppm/℃の回路基板100において、裾野部分31aの斜度の正接T/Lを0.6にした。当該正接は約30°の斜度に相当する。
【0130】
また、裾野部分31aを設けたことで得られる効果を確認するため、L=0として裾野部分31aを設けなかった回路基板100も比較例として作製し、当該比較例においても不良率を調査した。
【0131】
その結果を次の表1に示す。
【0132】
【表1】
【0133】
表1に示すように、この調査では、回路基板100内に12894個の抵抗素子30を作製した。
【0134】
そして、裾野部分31aを形成しない比較例では、12894個の抵抗素子30のうちの29個において抵抗パターン13aの断線が発生し、152個において抵抗値の設計値からの増分が設計値の30%よりも大きくなった。
【0135】
これにより、比較例では、不良件数の総数が181件(=29件+152件)となり、不良率が1.4%となった。
【0136】
これに対し、本実施形態では、抵抗パターン13aが断線したり、抵抗値の設計値からの増分が抵抗値の30%よりも多くなった抵抗素子30は発生せず、不良率は0%となった。
【0137】
このことから、裾野部分31aが抵抗素子30の不良率の低減に有効であることが確認できた。
【0138】
更に、本願発明者は、本実施形態と比較例のそれぞれについて、上記した12894個の抵抗素子30の抵抗値の平均値、最大値、最小値、標準偏差について調査した。
【0139】
その結果を次の表2に示す。
【0140】
【表2】
【0141】
なお、比較例に係る抵抗素子は、第1実施形態の図1(a)〜図2(b)に従って作製した。
【0142】
表2に示すように、裾野部分31aを設けない比較例では、抵抗値の平均値が設計値よりも14%大きくなり、抵抗値の標準偏差が29.7Ωとなった。
【0143】
これに対し、裾野部分31aを設けた本実施形態では、抵抗値の平均値が設計値から0.7%小さくなったものの、ほぼ設計通りの抵抗値を得ることができた。更に、本実施形態の標準偏差も15.4Ωとなり、比較例よりも小さくなった。
【0144】
これは、第1実施形態の図6(b)に示したように、薄膜化で外形のばらつきが抑制された導体パターン14aをマスクにして抵抗パターン13aを形成したため、本実施形態では抵抗パターン13aのパターニング精度が比較例よりも向上したためと考えられる。
【0145】
(6)第5実施形態
図23〜図26は、本実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図である。なお、これらの図は第1実施形態の図3(b)の一部領域Aを拡大したものである。また、図23〜図26において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0146】
この回路基板を製造するには、第1実施形態に従って図3(b)の構造を得た後、図23(a)に示すように、後で電極になる部分の導体層14の上に第1のレジストパターン41を形成する。
【0147】
次いで、図23(b)に示すように、塩化銅を含むエッチング溶液を用いて、銅よりなる導体層14をハーフエッチングする。
【0148】
これにより、第1のレジストパターン41で覆われていない第1の領域R1における導体層14の厚さが薄くなり、導体層14に第1の段差面14fが形成される。その第1の段差面14fの高さは、例えば、抵抗体層13の上面から約20μm程度である。
【0149】
このウエットエッチングの後、第1のレジストパターン41は除去される。
【0150】
次に、図23(c)に示すように、導体層14の上面にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像することにより、第2のレジストパターン42を形成する。
【0151】
そして、図24(a)に示すように、この第2のレジストパターン42をマスクにしながら、塩化銅を含むエッチング溶液を用いて導体層14を再度ハーフエッチングする。
【0152】
このとき、第1の領域R1に包含される第2の領域R2における導体層14は第2のレジストパターン42に覆われておらず、当該領域R2における導体層14の厚さがウエットエッチングにより薄くなり、導体層14に第2の段差面14gが形成されることになる。
【0153】
その第2の段差面14gの高さは特に限定されないが、本実施形態では第1の段差面14fよりも低い高さ、例えば抵抗体層13の上面から約10μmの高さにその第2の段差面14gは位置する。
【0154】
この後、第2のレジストパターン42は除去される。
【0155】
次に、図24(b)に示すように、導体層14の上に再びドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像して第3のレジストパターン43を形成する。
【0156】
続いて、図24(c)に示すように、第3のレジストパターン43をマスクにしながら導体層14をウエットエッチングする。
【0157】
これにより、第1の領域R1と第2の領域R2の外側の第3の領域R3における導体層14が除去され、当該領域R3に抵抗体層13が露出すると共に、エッチングされずに残存する導体層14からなる導体パターン14aが形成される。
【0158】
なお、このウエットエッチングで使用するエッチング液は特に限定されないが、本実施形態では塩化銅を含むエッチング液を使用する。
【0159】
次に、図25(a)に示すように、導体パターン14aをハードマスクに使用して抵抗体層13をウエットエッチングし、エッチングされずに残存する抵抗体層13を抵抗パターン13aとする。そのウエットエッチングでは、例えば、硝酸と塩酸との混合液がエッチング液として用いられる。
【0160】
また、第1実施形態で説明したように、その抵抗パターン13aは、電極部13dと延在部13eとを有する。
【0161】
その後に、第3のレジストパターン43は除去される。
【0162】
次いで、図25(b)に示すように、導体層14の上にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像することにより、電極部13dの上方の導体層14上に第4のレジストパターン45を形成する。
【0163】
更に、図25(c)に示すように、第4のレジストパターン45をマスクにしながら、第2の領域R2に包含される第4の領域R4における導体パターン14aをウエットエッチングして除去し、エッチングされずに残存する導体パターン14aを電極31にする。
【0164】
このウエットエッチングでは、例えば、塩化銅を含むエッチング液が使用される。
【0165】
この後に、第4のレジストパターン45を除去することにより、図26に示すような本実施形態に係る抵抗素子49の基本構造を完成させる。
【0166】
その抵抗素子49の電極31には、既述の第1の段差面14fと第2の段差面14gに起因して、電極部13dから延在部13eに向かって厚さが段階的に薄くなる裾野部分31aが形成される。
【0167】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、温度変動に伴う電極31の体積変動が裾野部分31aにおいて小さくなり、裾野部分31a付近の抵抗パターン13aに加わる応力を少なくできる。これにより、応力が原因で抵抗パターン13aが断線するのを防止でき、抵抗素子49の信頼性を高めることが可能となる。
【0168】
更に、第1の段差面14fを形成する工程(図23(b))と第2の段差面14gを形成する工程(図24(a))に分けて導体層14をエッチングするので、導体層14を一度にエッチングする場合と比較して各回のエッチング量を少なくできる。
【0169】
そのため、これら図23(b)と図24(a)のそれぞれのエッチング工程でエッチングが横方向に進行し難くなり、外形のばらつきが抑制された導体パターン14aが得られる。
【0170】
そのため、その導体パターン14aをマスクするエッチングで形成される抵抗パターン13aが、導体パターン14aから安定した外形を引き継ぐようになり、抵抗パターン13aの抵抗値を安定させることが可能となる。
【0171】
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0172】
(付記1) 基材と、
前記基材の上方に形成された抵抗素子とを有し、
前記抵抗素子が、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極とを有することを特徴とする回路基板。
【0173】
(付記2) 前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが段階的に薄くなることを特徴とする付記1に記載の回路基板。
【0174】
(付記3) 前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが連続的に薄くなることを特徴とする付記1に記載の回路基板。
【0175】
(付記4) 前記抵抗素子の上に、絶縁層と配線パターンとが交互に複数積層されたことを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の回路基板。
【0176】
(付記5) 炭素繊維とインバ合金の少なくとも一方を含むコア基板を更に有し、
前記基材が、前記コア基板の上方に形成されたことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の回路基板。
【0177】
(付記6) 前記裾野部分の斜度の正接が1よりも小さいことを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の回路基板。
【0178】
(付記7) 絶縁層の上に形成され、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、
前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極と、
を有することを特徴とする抵抗素子。
【0179】
(付記8) 前記電極は、前記抵抗パターンよりもシート抵抗の低い材料よりなることを特徴とする付記7に記載の抵抗素子。
【0180】
(付記9) 前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが段階的に薄くなることを特徴とする付記7又は付記8に記載の抵抗素子。
【0181】
(付記10) 前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが連続的に薄くなることを特徴とする付記7又は付記8に記載の抵抗素子。
【0182】
(付記11) 基材の上方に抵抗体層と導体層とを順に形成する工程と、
前記導体層の厚さを薄くする工程と、
前記導体層の上に、第1の電極パターンを選択的に形成する工程と、
前記導体層の厚さを薄くした後、前記導体層をパターニングすることにより導体パターンを形成する工程と、
前記導体パターンをマスクにして前記抵抗体層をエッチングすることにより、前記第1の電極パターンから前記基材の横方向に延在する延在部を備えた抵抗パターンを形成する工程と、
前記抵抗パターンを形成した後、前記導体パターンをパターニングすることにより、前記第1の電極パターンよりも前記延在部側に延びた第2の電極パターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
【0183】
(付記12) 前記第2の電極パターンを形成する工程は、前記第1の電極パターンの側面のうち前記延在部寄りの側面と、前記第1の電極パターンの上面とを覆うレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにしながら前記導体パターンをウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする付記11に記載の回路基板の製造方法。
【0184】
(付記13) 前記第2の電極パターンを形成する工程は、前記第1の電極パターンの側面のうち前記延在部寄りの側面から後退したレジストパターンを前記第1の電極パターンの上に形成し、該レジストパターンをマスクにしながら前記導体パターンをウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする付記11に記載の回路基板の製造方法。
【0185】
(付記14) 前記導体パターンを形成する工程は、前記導体層の上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにして前記導体層をウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする付記11に記載の回路基板の製造方法。
【0186】
(付記15) 第2の電極パターンを形成した後、該第2の電極パターンの上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上に配線層を形成する工程と、
前記基材、前記絶縁層、及び前記配線層を加熱しながらプレスすることにより積層体を形成する工程とを更に有することを特徴とする付記9〜14のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【符号の説明】
【0187】
1…絶縁層、2…抵抗体層、2a…抵抗パターン、3…導体層、3a…導体パターン、3b…電極、4…第1のレジストパターン、5…第2のレジストパターン、6…抵抗素子、10…積層板、11…樹脂基材、12、15…絶縁層、13…抵抗体層、13a…抵抗パターン、13d…電極部、13e…延在部、14、16…導体層、14a…導体パターン、14b…第3の電極パターン、14c…側面、21…第1のレジストパターン、21a…第1の窓、22…第1の電極パターン、22a…側面、23…第2のレジストパターン、23a…第2の窓、24…第2の電極パターン、26…第3のレジストパターン、28…第4のレジストパターン、30、40、49…抵抗素子、31…端子、31a…裾野部分、33…第5のレジストパターン、41…第1のレジストパターン、42…第2のレジストパターン、43…第3のレジストパターン、45…第4のレジストパターン、50…抵抗層、60…配線層、61…樹脂基材、62、63…第1及び第2の導体層、64…レジストパターン、62a、63a…第1及び第2の配線パターン、70…絶縁層、71…導体層、71a…配線、75…積層体、75a…貫通孔、76…めっき層、79…レジストパターン、90…回路基板、91…炭素繊維プリプレグ、92…絶縁性プリプレグ、94…複合コア基板、94a…開口、96…絶縁性樹脂、100…回路基板、110…積層体、110a…貫通孔。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板とその製造方法、及び抵抗素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化や高速化に伴い、回路基板に高密度で実装部品が実装されるようになりつつある。そのような高密度化は実装部品の小型化により実現し得る。例えば、回路基板に実装される抵抗素子やコンデンサ等の受動部品は、従来ははんだを介して回路基板表面の電極に実装されていたが、部品の小型化を実現すべく、最近ではこれらの受動部品を回路基板の層間に埋め込む技術が採用されている。
【0003】
これらの受動部品のうち、抵抗素子の製造方法としては、厚膜法と薄膜法とが知られている。
【0004】
厚膜法では、エポキシ樹脂にカーボンフィラを分散させてなる抵抗ペーストを層間に印刷し、そのペーストを焼成して層間に抵抗素子を形成する。但し、厚膜法は、印刷時におけるペーストの厚さがばらつき易いため、抵抗素子の抵抗値がばらついてしまう。これを防止するため、レーザの照射によって焼成後のペーストの一部を蒸散させ、抵抗素子の外形を整形する方法もあるが、これでは回路基板に多数形成される抵抗素子の全てを整形するのに莫大な手数を要することになる。
【0005】
一方、薄膜法では、ウエットエッチングにより抵抗体層をパターニングし、所定の形状を有する抵抗素子を形成する。このようにして形成された抵抗素子の厚さは、もとの抵抗体層と同一であるため、薄膜法においては抵抗素子の厚さがばらつくという問題はない。しかし、ウエットエッチングは等方性エッチングであるため、エッチング後の抵抗素子の外形をコントロールするのが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4057589号明細書
【特許文献2】特開平5−205904号公報
【特許文献3】特公平6−16441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
回路基板とその製造方法、及び抵抗素子において、信頼性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下の開示の一観点によれば、基材と、前記基材の上方に形成された抵抗素子とを有し、前記抵抗素子が、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極とを有する回路基板が提供される。
【0009】
また、その開示の別の観点によれば、絶縁層の上に形成され、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極とを有する抵抗素子が提供される。
【0010】
更に、その開示の他の観点によれば、基材の上方に抵抗体層と導体層とを順に形成する工程と、前記導体層の厚さを薄くする工程と、前記導体層の上に、第1の電極パターンを選択的に形成する工程と、前記導体層の厚さを薄くした後、前記導体層をパターニングすることにより導体パターンを形成する工程と、前記導体パターンをマスクにして前記抵抗体層をエッチングすることにより、前記第1の電極パターンから前記基材の横方向に延在する延在部を備えた抵抗パターンを形成する工程と、前記抵抗パターンを形成した後、前記導体パターンをパターニングすることにより、前記第1の電極パターンよりも前記延在部側に延びた第2の電極パターンを形成する工程とを有する回路基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の抵抗素子によれば、抵抗パターンの電極部から延在部に向かって電極の裾野部分が薄くなるので、温度変動に伴う電極の体積変動が裾野部分において小さくなる。そのため、抵抗パターンと電極の熱膨張率の差に起因して裾野部分付近の抵抗パターンに加わる応力が少なくなり、応力が原因で発生する抵抗パターンが断線するのを防止でき、ひいては抵抗素子の信頼性向上を図ることができる。
【0012】
また、開示の回路基板の製造方法によれば、予め導体層を薄くしておき、その後に該導体層をパターニングして導体パターンとする。よって、このパターニングをウエットエッチングにより行っても、エッチングが横方向に進行し難くなり、導体パターンの外形のばらつきを防止できる。その結果、導体パターンをマスクにして形成される抵抗パターンの外形が安定するようになるので、抵抗素子の抵抗値のばらつきを抑制でき、この抵抗素子を備えた回路基板の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)、(b)は、薄膜法を用いた抵抗素子の製造方法を工程順に示す斜視図(その1)である。
【図2】図2(a)、(b)は、薄膜法を用いた抵抗素子の製造方法を工程順に示す斜視図(その2)である。
【図3】図3(a)、(b)は、第1実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その1)である。
【図4】図4(a)〜(c)は、第1実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その2)である。
【図5】図5(a)〜(c)は、第1実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その3)である。
【図6】図6(a)〜(c)は、第1実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その4)である。
【図7】図7(a)、(b)は、第1実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その5)である。
【図8】図8は、第1実施形態に係る抵抗素子の上面図である。
【図9】図9(a)〜(c)は、第2実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図である。
【図10】図10は、第2実施形態に係る抵抗素子の上面図である。
【図11】図11は、第3実施形態で使用される抵抗層の断面図である。
【図12】図12(a)〜(c)は、第3実施形態で使用される配線層の製造途中の断面図(その1)である。
【図13】図13は、第3実施形態で使用される配線層の製造途中の断面図(その2)である。
【図14】図14(a)、(b)は、第3実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その1)である。
【図15】図15(a)、(b)は、第3実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その2)である。
【図16】図16(a)、(b)は、第3実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その3)である。
【図17】図17(a)〜(c)は、第4実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その1)である。
【図18】図18(a)、(b)は、第4実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その2)である。
【図19】図19(a)、(b)は、第4実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その3)である。
【図20】図20(a)、(b)は、第4実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その4)である。
【図21】図21(a)、(b)は、第4実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図(その5)である。
【図22】図22は、各実施形態において、抵抗素子が備える電極の裾野部分の好適な斜度について説明するための断面図である。
【図23】図23(a)〜(c)は、第5実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その1)である。
【図24】図24(a)〜(c)は、第5実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その2)である。
【図25】図25(a)〜(c)は、第5実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その3)である。
【図26】図26は、第5実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)予備的事項
本実施形態の説明に先立ち、本実施形態の基礎となる予備的事項について説明する。
【0015】
図1〜図2は、薄膜法を用いた抵抗素子の製造方法を工程順に示す斜視図である。
【0016】
その抵抗素子を製造するには、まず、図1(a)に示すように、絶縁層1の上に抵抗体層2と導体層3をこの順に積層する。
【0017】
このうち、絶縁層1としては約0.1mmの厚さのプリプレグ層が形成され、抵抗体層2としては厚さが約0.35μmのニッケルとリンとの合金箔が形成される。また、導体層3としては、厚さが18μm又は35μmに規格化されている銅箔が使用される。
【0018】
そして、その導体層3の上にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像して抵抗パターン形状の第1のレジストパターン4を形成する。
【0019】
次いで、図1(b)に示すように、第1のレジストパターン4をマスクにしながら、導体層3と抵抗体層2とをウエットエッチングし、導体層3を導体パターン3aにすると共に、抵抗体層2を抵抗パターン2aにする。
【0020】
このときのエッチング液は、抵抗体層2と導体層3とで使い分けられ、抵抗体層2に対しては硝酸と塩酸との混合液を使用し、導体層3に対しては塩化銅溶液を使用する。
【0021】
このエッチングを終了後、第1のレジストパターン4は除去される。
【0022】
次に、図2(a)に示すように、導体パターン3aの上にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像して、第2のレジストパターン5を形成する。
【0023】
そして、図2(b)に示すように、第2のレジストパターン5をマスクにしながら、塩化銅溶液をウエットエッチングに用いて導体パターン3aを選択的にウエットエッチングし、抵抗パターン2aの両端に電極3bを形成する。
【0024】
その後に、第2のレジストパターン5は除去される。
【0025】
ここまでの工程により抵抗素子6の基本構造が完成したことになる。
【0026】
このような抵抗素子6の製造方法によれば、図1(b)の工程で抵抗体層2をパターニングして抵抗パターン2aを形成する際、導体パターン3aが抵抗体層2に対するハードマスクとなる。そのため、抵抗パターン2aの外形はその上の導体パターン3aの外形に依存することになる。
【0027】
しかしながら、導体パターン3aは、横方向のエッチング量の制御が困難なウエットエッチングにより導体層3をウエットエッチングして得られるものであるため、導体パターン3aの外形を精度良く仕上げることは難しい。そのため、導体パターン3aの下の抵抗パターン2aの抵抗値がばらつき易く、均一な抵抗値をもった抵抗素子6を安定的に量産するのが難しい。
【0028】
しかも、ウエットエッチングの対象である導体層3として市場で入手可能な銅箔は、18μmや35μmといった厚い膜厚に規格化されている。ウエットエッチングは、導体層3が厚いほど横方向のエッチング量を制御するのが難しいので、導体層3の厚さが原因で導体パターン3aのパターニング精度が更に劣化してしまう。
【0029】
導体パターン3aのパターニング精度を向上すべく、10μm程度に薄膜化された導体層3を抵抗体層2の上に貼付することも考えられる。しかし、このように薄膜化された導体層3は、扱い難く抵抗体層2上に貼付するが難しくなる。更に、導体層3の価格はその厚さが薄いほど高価になるので、抵抗素子6の製造コストが上昇してしまう。
【0030】
このように、この抵抗素子6は、その抵抗値がばらつくというプロセス面での不都合がある。
【0031】
また、構造面については、抵抗パターン2aと電極3bとの材料が異なるため、材料の熱膨張率の差が原因で、電極3bの端部X付近(図2(b)参照)の抵抗パターン2aに応力が集中し易い。よって、多層配線基板中に抵抗素子6を形成するときや、電子機器内で抵抗素子6を使用するときのように、抵抗素子6に熱が加わると、端部X付近の抵抗パターン2aに応力が原因でクラックが発生する危険性がある。そのようにクラックが発生すると、抵抗パターン2aが断線し、抵抗素子6が回路内でその機能を果たさなくなってしまう。
【0032】
更に、上記の抵抗素子6を回路基板内に形成する場合、抵抗パターン2aに加わる応力は、回路基板の熱膨張率にも関係する。例えば、回路基板と抵抗素子6との熱膨張率差が大きいと、端部X付近の抵抗パターン2aに応力が集中し、抵抗パターン2aが断線するおそれがある。
【0033】
特に、炭素繊維を主にしてなるコア基板を使用する回路基板は、ガラス繊維とエポキシ樹脂との複合材よりなる回路基板と比較して熱膨張率が小さいので、抵抗素子6との熱膨張率差が顕著になり、抵抗パターン2aを断線させる蓋然性が高くなる。同様に、鉄とニッケルとの合金であるインバ合金からなるメタルコア基板を使用する回路基板も熱膨張率が小さいので、応力の集中が原因で抵抗パターン2aが断線し易くなる。
【0034】
本願発明者は、このような知見に鑑み、以下に説明するような本実施形態に想到した。
【0035】
(2)第1実施形態
図3〜図7は、本実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図である。
【0036】
最初に、図3(a)に示すように、厚さが0.1mmのガラス・エポキシ樹脂よりなる樹脂基材11を用意する。両面に導体層が形成されていない樹脂基材11はアンクラッド板とも呼ばれる。
【0037】
そして、この樹脂基材11の一方の主面11aの上に、厚さが約0.1mmのプリプレグよりなる絶縁層12と、厚さが約35μmの抵抗体層13と、厚さが約35μmの導体層14をこの順に積層する。
【0038】
これらの層のうち、抵抗体層13としては、例えばニッケルとリンとの合金箔であるシート抵抗が50Ω/□のオメガプライ(オメガテクノロジー社製)を使用し得る。また、導体層14としては、抵抗体層13よりもシート抵抗の低い銅箔を使用し得る。
【0039】
一方、樹脂基材11の他方の面11bの上には、厚さが約0.1mmのプリプレグよりなる絶縁層15と、厚さが約35μmの銅よりなる導体層16とをこの順に積層する。
【0040】
そして、加熱温度を180℃、圧力を3MPaとする条件で各層11〜16を真空プレスすることにより、図3(b)に示すような積層板10を形成する。
【0041】
これ以降の工程について、図3(b)の一部領域Aを拡大して説明する。
【0042】
まず、図4(a)に示すように、塩化銅を含むエッチング溶液を用いて、銅よりなる導体層14の全面をハーフエッチングし、導体層14の厚さを10μm程度にまで薄くする。
【0043】
次いで、図4(b)に示すように、導体層14の上面にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像することにより、第1の窓21aを備えた第1のレジストパターン21を形成する。
【0044】
続いて、図4(c)に示すように、導体層14を給電層にしながら、電解めっき法により第1の窓21a内の導体層14上に銅膜を選択的に10μm程度の厚さに成長し、銅よりなる第1の電極パターン22を形成する。
【0045】
この後に、第1のレジストパターン21は除去される。
【0046】
次いで、図5(a)に示すように、第1の電極パターン22と導体層14の上にドライフィルムレジストを貼付する。そして、そのドライフィルムを露光、現像することにより第2のレジストパターン23を形成する。
【0047】
その第2のレジストパターン23は第1の電極パターン22の上に第2の窓23aを有しているが、その第2の窓23aは第1の電極パターン22の面積よりも小さく形成される。
【0048】
その後に、図5(b)に示すように、第1の電極パターン22に給電を行いながら、電解めっき法を用いて、第2の窓23a内の第1の電極パターン22上に銅膜を10μm程度の厚さに成長し、その銅膜よりなる第2の電極パターン24を形成する。
【0049】
次に、図5(c)に示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
【0050】
まず、導体層14の上側全面にドライレジストフィルムを貼付する。そして、そのドライフィルムを露光、現像することにより、各電極パターン22、24の上面を覆う抵抗パターン形状の第3のレジストパターン26を形成する。
【0051】
そして、図6(a)に示すように、第3のレジストパターン26をマスクにして導体層14をウエットエッチングし、導体パターン14aを形成する。このウエットエッチングで使用されるエッチング液は特に限定されないが、本実施形態では塩化銅を含むエッチング液を使用する。
【0052】
ここで、エッチング前の導体層14は、図4(a)のハーフエッチングによってその厚さが薄くされているので、本工程では導体パターン14aの横方向にエッチングが進行し難くなり、エッチング精度が向上する。これにより、導体パターン14aの外形にばらつきが発生するのを抑制でき、設計レイアウトに近い外形の導体パターン14aを得ることができる。
【0053】
次いで、図6(b)に示すように、硝酸と塩酸との混合液をエッチング液として用い、導体パターン14aをハードマスクにしながら、抵抗体層13をウエットエッチングして抵抗パターン13aを形成する。
【0054】
このとき、既述のように導体パターン14aの外形のばらつきの発生が抑制されているので、導体パターン14aをマスクにして形成される抵抗パターン13aの外形も安定させることができる。
【0055】
また、このようにして形成された抵抗パターン13aは、第1の電極パターン22が形成される電極部13dと、該電極部13dから基材11(図3(b)参照)の横方向に延在する延在部13eとを有する。
【0056】
この後に、第3のレジストパターン26は除去される。
【0057】
次に、図6(c)に示すように、絶縁層12の上側全面にドライレジストフィルムを貼付し、それを露光、現像する。これにより、第1の電極パターン22の側面のうち延在部13e寄りの側面22aと、該第1の電極パターン22の上面とを覆う第4のレジストパターン28を形成する。
【0058】
そして、図7(a)に示すように、第4のレジストパターン28をマスクにして導体パターン14aをウエットエッチングすることにより、電極部13d上に第3の電極パターン14bを形成する。
【0059】
このとき、第4のレジストパターン28は第1の電極パターン22の側面22aを覆っているので、第3の電極パターン14bは第1の電極パターン22よりも延在部13e側に延びた形状となる。
【0060】
この後に、図7(b)に示すように第4のレジストパターン28を除去することにより、抵抗素子30の基本構造を完成させる。
【0061】
その抵抗素子30は、各電極パターン14b、22、24よりなる電極31を有し、その電極31から抵抗パターン13aに電流が供給される。電極31は、ニッケルとリンとの合金よりなる抵抗パターン13aと比較してシート抵抗の低い銅よりなるため、抵抗素子30の全体の抵抗値は抵抗パターン13aの抵抗値によって略決まる。
【0062】
また、その電極31は、各電極パターン14b、22、24を雛壇状に形成してなるため、電極部13dから延在部13eに向かって厚さが段階的に薄くなる裾野部分31aを有する。
【0063】
なお、図8はこの抵抗素子30の上面図であり、先の図7(b)は図8のI−I線に沿う断面図に相当するものである。
【0064】
以上説明した本実施形態によれば、図4(a)の工程で導体層14を予め薄膜化してあるので、図6(a)の工程で導体層14をウエットエッチングするときに、エッチングが横方向に進行し難くなり、外形のばらつきが抑制された導体パターン14aが得られる。そのため、図6(b)の工程で導体パターン14aをマスクにするウエットエッチングで抵抗パターン13aを形成するとき、抵抗パターン13aが導体パターン14aの安定した外形を引き継ぎ、抵抗パターン13aの外形にばらつきが発生するのを抑制できる。
【0065】
これにより、抵抗パターン13aの抵抗値が安定し、抵抗値が高い精度で保証された抵抗素子30を得ることができる。
【0066】
また、図7(b)に示したように、抵抗素子30の電極31に裾野部分31aを設け、当該裾野部分31aの膜厚を電極部13dから延在部13eに向かって薄くしたので、温度変動に伴う電極31の体積変動が裾野部分31aにおいて小さくなる。よって、抵抗パターン13aと電極31の熱膨張率の差に起因して裾野部分31a付近の抵抗パターン13aに加わる応力を少なくできる。これにより、応力が原因で抵抗パターン13aが断線するのを防止でき、抵抗素子30の信頼性を高めることが可能となる。
【0067】
(3)第2実施形態
第1実施形態では、図7(b)に示したように、電極31の裾野部分31aを雛壇状にした。これに対し、本実施形態では、その裾野部分31aを以下のようにして傾斜させる。
【0068】
図9(a)〜(c)は、本実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図である。なお、これらの図において第1実施形態と同じ要素には第1実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0069】
本実施形態に係る抵抗素子を製造するには、まず、第1実施形態で説明した図3(a)〜図6(b)の工程を行う。
【0070】
そして、図9(a)に示すように、絶縁層12の上側全面にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像して、第2の電極パターン24の上に第5のレジストパターン33を形成する。
【0071】
その第5のレジストパターン33は、第1の電極パターン22の側面のうち、延在部13e寄りの側面22aから後退して形成される。
【0072】
次いで、図9(b)に示すように、第5のレジストパターン33をマスクにしながら、塩化銅を含むエッチング液を用いて導体パターン14aをウエットエッチングし、第3の電極パターン14bを形成する。
【0073】
このとき、第5のレジストパターン33で覆われていない各電極パターン14b、22、24の各側面14c、22a、24aもウエットエッチングされる。そして、ウエットエッチングではエッチングが等方的に進行するので、各側面14c、22a、24aは図9(b)のように傾斜する。
【0074】
その後、図9(c)に示すように、第5のレジストパターン33を除去して抵抗素子40の基本構造を完成させる。
【0075】
その抵抗素子40は、抵抗パターン13aに電流を供給するための各電極パターン14b、22、24よりなる電極31を有する。電極31の側面は図8(b)のウエットエッチングにより傾斜しており、電極31の裾野部分31aは電極部13dから延在部13eに向かって厚さが連続的に薄くなる。
【0076】
なお、図10はこの抵抗素子40の上面図であり、先の図9(c)は図10のII−II線に沿う断面図に相当するものである。
【0077】
以上説明した本実施形態では、第1実施形態と同様に、電極31の裾野部分31aが電極部13dから延在部13eに向かって薄くなるので、抵抗パターン13aと電極31の熱膨張率の差が原因で裾野部分31a付近の抵抗パターン13aに加わる応力を少なくできる。その結果、応力によって抵抗パターン13aが断線する危険性が減り、抵抗素子40の信頼性が高められる。
【0078】
(4)第3実施形態
本実施形態では、第1実施形態又は第2実施形態で形成した抵抗素子を備えた回路基板について説明する。
【0079】
図11は、本実施形態に係る回路基板で使用される抵抗層の断面図である。なお、図11において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には第1実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0080】
この抵抗層50は、第1実施形態で説明した図3(a)〜図7(b)の工程を行うことにより作製されるものであって、樹脂基材11の一方の主面11a側には既述の抵抗素子30が形成される。
【0081】
一方、樹脂基材11の主面のうち、抵抗素子30が形成されていない方の主面11bについては、導体層16(図3(b)参照)をパターニングし、配線パターン16aを形成しておく。
【0082】
なお、第1実施形態の抵抗素子30に代えて、第2実施形態に係る抵抗素子40(図9(c)参照)を抵抗層50に形成してもよい。
【0083】
図12〜図13は、上記の抵抗層50と共に積層される配線層の製造途中の断面図である。
【0084】
その配線層を形成するには、まず、図12(a)に示すように、ガラス・エポキシ樹脂よりなる樹脂基材61の両面に第1及び第2の導体層62、63を貼付する。各導体層62、63としては、例えば、厚さが約35μmの銅箔を使用し得る。
【0085】
次いで、図12(b)に示すように、各導体層62、63にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像してレジストパターン64を形成する。
【0086】
続いて、図12(c)に示すように、上記のレジストパターン64をマスクにしながら、塩化銅を含むエッチング液を用いて各導体層62、63をウエットエッチングし、第1及び第2の配線パターン62a、63aを形成する。
【0087】
その後、図13に示すように、マスクに用いたレジストパターン64を除去し、配線層60の基本構造を得る。
【0088】
この後は、この配線層60と、既述の抵抗層50(図11参照)とを積層する工程に移る。
【0089】
図14〜図16は、これら抵抗層50と配線層60とを積層してなる回路基板の製造途中の断面図である。
【0090】
まず、図14(a)に示すように、上記の抵抗層50と配線層60との間に絶縁層70を配しながら、各層50、60、70を交互に積層することにより、積層体75を作製する。なお、絶縁層70としては、例えば厚さが約100μmの絶縁性のプリプレグを使用し得る。
【0091】
また、この積層体75の最上層と最下層には、導体層71として厚さが約35μmの銅箔を配する。
【0092】
次いで、図14(b)に示すように、加熱温度を185℃とする条件で真空プレスにより積層体75をプレスし、各層50、60、70、71を一体化する。
【0093】
そして、図15(a)に示すように、ドリル加工により積層体75に貫通孔75aを形成し、その貫通孔75aの内面に各配線パターン16a、62a、63aを表出させる。
【0094】
その後、図15(b)に示すように、貫通孔75a内に無電解銅めっき層を形成した後、その無電解銅めっき層を給電層にして電解めっきを行うことにより、貫通孔75a内と導体層71の上とにめっき層76を形成する。
【0095】
そのめっき層76により、貫通孔75aに表出していた各配線パターン16a、62a、63aが電気的に接続されることになる。
【0096】
続いて、図16(a)に示すように、ドライフィルムレジストを露光、現像して得られたレジストパターン79をめっき層76上に形成し、そのレジストパターン79をマスクにして各層71、76をウエットエッチングすることにより、配線71aを形成する。
【0097】
この後に、レジストパターン79を除去することにより、図16(b)に示すような本実施形態に係る回路基板90の基本構造を完成させる。
【0098】
その回路基板90は、抵抗素子30の上に、配線パターン62a、63aと絶縁層70とが交互に複数積層された多層配線基板である。
【0099】
上記した本実施形態によれば、図14(b)の工程で積層体75をプレスするときに積層体75が加熱される。このように加熱されても、抵抗素子30の電極31に裾野部分31a(図7(b)参照)を設けたので、第1実施形態で説明したように抵抗パターン13aに断線が発生し難い。このように、本実施形態では、加熱工程を経ても抵抗素子30が不良になり難く、信頼性が維持された回路基板90を提供することができる。
【0100】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本実施形態は上記に限定されない。例えば、上記では多層配線基板の層間に抵抗素子30、40を形成したが、フレキシブルな回路基板上に抵抗素子30、40を形成するようにしてもよい。
【0101】
(5)第4実施形態
本実施形態では、第3実施形態と同様に、回路基板に第1実施形態や第2実施形態で作製した抵抗素子を適用する。
【0102】
但し、その回路基板のコア基板には、以下に説明するように、樹脂よりも熱膨張率が低い炭素繊維を主にしてなる材料を使用する。
【0103】
図17〜図21は、本実施形態に係る回路基板の製造途中の断面図である。なお、これらの図において、第1〜第3実施形態で説明したのと同じ要素にはこれらの実施形態におけるのと同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0104】
まず、図17(a)に示すように、炭素繊維の織布にエポキシ樹脂を含浸させた厚さが約0.2mmの炭素繊維プリプレグ91を10枚積層すると共に、その積層体の上下に厚さが約100μmの絶縁性プリプレグ92を配する。
【0105】
次いで、図17(b)に示すように、上記の各プリプレグ91、92を不図示の金型内において圧力を3MPa、温度を180℃、加圧時間を1時間とする条件で真空プレスし、厚さが約2mmの複合コア基板94を作製する。
【0106】
続いて、図17(c)に示すように、ドリル加工により複合コア基板94に開口94aを形成する。その開口94aの直径は特に限定されないが、後述の貫通孔よりも広い直径であるのが好ましく、本実施形態では約0.8mmとする。
【0107】
次いで、図18(a)に示すように、上記の開口94aに熱硬化性の絶縁樹脂96を充填した後、その絶縁樹脂96を加熱して熱硬化させる。
【0108】
その後、図18(b)に示すように、開口94aからはみ出した部分の絶縁樹脂96を研磨により除去する。
【0109】
次に、図19(a)に示すように、第3実施形態で説明した抵抗層50、絶縁層70、及び導体層71を用意し、それらを複合コア基板94を中心にして図示のように積層することにより、積層体110を作製する。その積層体110においては、抵抗層50の樹脂基材11(図11参照)が、コア基板94の上方に形成される。
【0110】
続いて、図19(b)に示すように、加熱温度を185℃とする条件で真空プレスにより積層体110をプレスし、複合コア基板94と各層50、70、71とを一体化する。
【0111】
そして、図20(a)に示すように、絶縁樹脂96を通るように積層体110に貫通孔110aを形成し、その貫通孔75aの内面に抵抗層50の配線パターン16aを表出させる。その貫通孔75aはドリル加工により形成され、その直径は複合コア基板94の開口94aよりも狭い直径、例えば約0.35mmとする。
【0112】
その後、図20(b)に示すように、貫通孔110a内に無電解銅めっき層を形成した後、その無電解銅めっき層を給電層にして電解めっきを行うことにより、貫通孔110a内と導体層71の上とにめっき層101を形成する。
【0113】
そのめっき層101により、貫通孔110aに表出している配線パターン16a同士が電気的に接続されることになる。
【0114】
但し、複合コア基板94は絶縁樹脂96によりめっき層101から隔てられるので、コア基板94中の導電性の炭素繊維がめっき層101に電気的に接続されることはない。
【0115】
続いて、図21(a)に示すように、ドライフィルムレジストを露光、現像して得られたレジストパターン103をめっき層101上に形成し、そのレジストパターン103をマスクにして各層71、101をウエットエッチングすることにより、配線71aを形成する。
【0116】
この後に、レジストパターン103を除去することにより、図21(b)に示すような本実施形態に係る回路基板100の基本構造を完成させる。
【0117】
以上説明した本実施形態によれば、図17(a)、(b)に示したように、炭素繊維プリプレグ91を利用して複合コア基板94を作製した。そのような複合コア基板94を備えた回路基板100の熱膨張率は、各層50、70、71の膜厚や材料によって異なるが、典型的には10ppm/℃以下の小さな値となる。この値は、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグからなる樹脂基板の値よりも小さい値である。
【0118】
これに対し、抵抗素子30の電極31(図7(b)参照)中の銅の熱膨張率は約17ppm/℃であり、回路基板100の熱膨張率(10ppm/℃以下)と比較して大きな値となる。このように、複合コア基板94に炭素繊維を使用すると、回路基板100と抵抗素子30との熱膨張率差が顕著となり、その熱膨張率差に起因して抵抗素子30がその周囲から大きな応力を受ける。
【0119】
このように応力を受けても、本実施形態では抵抗素子30の電極31に裾野部分31a(図7(b)参照)を設けたので、裾野部分31a付近で応力を分散でき、抵抗パターン13aに加わる応力を少なくできる。
【0120】
これにより、炭素繊維により熱膨張率が低減された複合コア基板94を用いる場合であっても、応力が原因で抵抗パターン13aが断線する危険性を低減でき、回路基板100の不良率を小さくすることが可能となる。
【0121】
なお、複合コア基板94に使用可能な材料は炭素繊維に限定されず、炭素繊維プリプレグ91(図17(a)参照)に代えてインバ合金板を使用してもよい。インバ合金は、鉄とニッケルとの合金であり、合金中でのニッケルの濃度が36%程度のときに熱膨張率が最小となる。このようにインバ合金も熱膨張率が低いので、裾野部分31aを設けて抵抗パターン31aに加わる応力を低減する実益がある。
【0122】
ところで、抵抗パターン13aに加わる応力は、裾野部分31aの斜度に依存すると考えられる。
【0123】
図22は、裾野部分31aの好適な斜度について説明するための断面図である。なお、図22において、第1実施形態の図7(b)で説明したのと同じ要素には第1実施形態と同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0124】
図22では、電極31の高さをT、裾野部分31aの長さをLとし、抵抗パターン13aの主面から測った裾野部分31aの斜度をθとしている。
【0125】
抵抗パターン13aに加わる応力を低減するには、裾野部分31aの斜度θの正接であるT/Lをなるべく小さくするのが好ましく、好適にはT/L<1とするのが好ましい。
【0126】
特に、本実施形態のように10ppm/℃以下の低い熱膨張率を有する回路基板100においては、抵抗素子30と回路基板100との熱膨張率差が大きくなるため、T/Lを1よりも更に小さくし、例えばT/L<0.6とするのが好ましい。
【0127】
なお、ガラス繊維とエポキシ樹脂との複合材よりなる回路基板を使用する場合、その回路基板と抵抗素子30との熱膨張率が実質的に一致していれば、抵抗素子30には応力が加わらないようにも考えられる。しかし、その回路基板には製造時の熱履歴によって反りが発生するため、その反りが原因で抵抗素子30に応力が加わる。よって、この場合でも、上記と同様にT/L<1とするのが好ましい。
【0128】
次に、本願発明者が調査した抵抗素子30の不良率について説明する。
【0129】
その調査では、本実施形態に従って作製された熱膨張率が6ppm/℃の回路基板100において、裾野部分31aの斜度の正接T/Lを0.6にした。当該正接は約30°の斜度に相当する。
【0130】
また、裾野部分31aを設けたことで得られる効果を確認するため、L=0として裾野部分31aを設けなかった回路基板100も比較例として作製し、当該比較例においても不良率を調査した。
【0131】
その結果を次の表1に示す。
【0132】
【表1】
【0133】
表1に示すように、この調査では、回路基板100内に12894個の抵抗素子30を作製した。
【0134】
そして、裾野部分31aを形成しない比較例では、12894個の抵抗素子30のうちの29個において抵抗パターン13aの断線が発生し、152個において抵抗値の設計値からの増分が設計値の30%よりも大きくなった。
【0135】
これにより、比較例では、不良件数の総数が181件(=29件+152件)となり、不良率が1.4%となった。
【0136】
これに対し、本実施形態では、抵抗パターン13aが断線したり、抵抗値の設計値からの増分が抵抗値の30%よりも多くなった抵抗素子30は発生せず、不良率は0%となった。
【0137】
このことから、裾野部分31aが抵抗素子30の不良率の低減に有効であることが確認できた。
【0138】
更に、本願発明者は、本実施形態と比較例のそれぞれについて、上記した12894個の抵抗素子30の抵抗値の平均値、最大値、最小値、標準偏差について調査した。
【0139】
その結果を次の表2に示す。
【0140】
【表2】
【0141】
なお、比較例に係る抵抗素子は、第1実施形態の図1(a)〜図2(b)に従って作製した。
【0142】
表2に示すように、裾野部分31aを設けない比較例では、抵抗値の平均値が設計値よりも14%大きくなり、抵抗値の標準偏差が29.7Ωとなった。
【0143】
これに対し、裾野部分31aを設けた本実施形態では、抵抗値の平均値が設計値から0.7%小さくなったものの、ほぼ設計通りの抵抗値を得ることができた。更に、本実施形態の標準偏差も15.4Ωとなり、比較例よりも小さくなった。
【0144】
これは、第1実施形態の図6(b)に示したように、薄膜化で外形のばらつきが抑制された導体パターン14aをマスクにして抵抗パターン13aを形成したため、本実施形態では抵抗パターン13aのパターニング精度が比較例よりも向上したためと考えられる。
【0145】
(6)第5実施形態
図23〜図26は、本実施形態に係る抵抗素子の製造途中の断面図である。なお、これらの図は第1実施形態の図3(b)の一部領域Aを拡大したものである。また、図23〜図26において、第1実施形態で説明したのと同じ要素には同じ符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0146】
この回路基板を製造するには、第1実施形態に従って図3(b)の構造を得た後、図23(a)に示すように、後で電極になる部分の導体層14の上に第1のレジストパターン41を形成する。
【0147】
次いで、図23(b)に示すように、塩化銅を含むエッチング溶液を用いて、銅よりなる導体層14をハーフエッチングする。
【0148】
これにより、第1のレジストパターン41で覆われていない第1の領域R1における導体層14の厚さが薄くなり、導体層14に第1の段差面14fが形成される。その第1の段差面14fの高さは、例えば、抵抗体層13の上面から約20μm程度である。
【0149】
このウエットエッチングの後、第1のレジストパターン41は除去される。
【0150】
次に、図23(c)に示すように、導体層14の上面にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像することにより、第2のレジストパターン42を形成する。
【0151】
そして、図24(a)に示すように、この第2のレジストパターン42をマスクにしながら、塩化銅を含むエッチング溶液を用いて導体層14を再度ハーフエッチングする。
【0152】
このとき、第1の領域R1に包含される第2の領域R2における導体層14は第2のレジストパターン42に覆われておらず、当該領域R2における導体層14の厚さがウエットエッチングにより薄くなり、導体層14に第2の段差面14gが形成されることになる。
【0153】
その第2の段差面14gの高さは特に限定されないが、本実施形態では第1の段差面14fよりも低い高さ、例えば抵抗体層13の上面から約10μmの高さにその第2の段差面14gは位置する。
【0154】
この後、第2のレジストパターン42は除去される。
【0155】
次に、図24(b)に示すように、導体層14の上に再びドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像して第3のレジストパターン43を形成する。
【0156】
続いて、図24(c)に示すように、第3のレジストパターン43をマスクにしながら導体層14をウエットエッチングする。
【0157】
これにより、第1の領域R1と第2の領域R2の外側の第3の領域R3における導体層14が除去され、当該領域R3に抵抗体層13が露出すると共に、エッチングされずに残存する導体層14からなる導体パターン14aが形成される。
【0158】
なお、このウエットエッチングで使用するエッチング液は特に限定されないが、本実施形態では塩化銅を含むエッチング液を使用する。
【0159】
次に、図25(a)に示すように、導体パターン14aをハードマスクに使用して抵抗体層13をウエットエッチングし、エッチングされずに残存する抵抗体層13を抵抗パターン13aとする。そのウエットエッチングでは、例えば、硝酸と塩酸との混合液がエッチング液として用いられる。
【0160】
また、第1実施形態で説明したように、その抵抗パターン13aは、電極部13dと延在部13eとを有する。
【0161】
その後に、第3のレジストパターン43は除去される。
【0162】
次いで、図25(b)に示すように、導体層14の上にドライフィルムレジストを貼付し、それを露光、現像することにより、電極部13dの上方の導体層14上に第4のレジストパターン45を形成する。
【0163】
更に、図25(c)に示すように、第4のレジストパターン45をマスクにしながら、第2の領域R2に包含される第4の領域R4における導体パターン14aをウエットエッチングして除去し、エッチングされずに残存する導体パターン14aを電極31にする。
【0164】
このウエットエッチングでは、例えば、塩化銅を含むエッチング液が使用される。
【0165】
この後に、第4のレジストパターン45を除去することにより、図26に示すような本実施形態に係る抵抗素子49の基本構造を完成させる。
【0166】
その抵抗素子49の電極31には、既述の第1の段差面14fと第2の段差面14gに起因して、電極部13dから延在部13eに向かって厚さが段階的に薄くなる裾野部分31aが形成される。
【0167】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、温度変動に伴う電極31の体積変動が裾野部分31aにおいて小さくなり、裾野部分31a付近の抵抗パターン13aに加わる応力を少なくできる。これにより、応力が原因で抵抗パターン13aが断線するのを防止でき、抵抗素子49の信頼性を高めることが可能となる。
【0168】
更に、第1の段差面14fを形成する工程(図23(b))と第2の段差面14gを形成する工程(図24(a))に分けて導体層14をエッチングするので、導体層14を一度にエッチングする場合と比較して各回のエッチング量を少なくできる。
【0169】
そのため、これら図23(b)と図24(a)のそれぞれのエッチング工程でエッチングが横方向に進行し難くなり、外形のばらつきが抑制された導体パターン14aが得られる。
【0170】
そのため、その導体パターン14aをマスクするエッチングで形成される抵抗パターン13aが、導体パターン14aから安定した外形を引き継ぐようになり、抵抗パターン13aの抵抗値を安定させることが可能となる。
【0171】
以上説明した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0172】
(付記1) 基材と、
前記基材の上方に形成された抵抗素子とを有し、
前記抵抗素子が、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極とを有することを特徴とする回路基板。
【0173】
(付記2) 前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが段階的に薄くなることを特徴とする付記1に記載の回路基板。
【0174】
(付記3) 前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが連続的に薄くなることを特徴とする付記1に記載の回路基板。
【0175】
(付記4) 前記抵抗素子の上に、絶縁層と配線パターンとが交互に複数積層されたことを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の回路基板。
【0176】
(付記5) 炭素繊維とインバ合金の少なくとも一方を含むコア基板を更に有し、
前記基材が、前記コア基板の上方に形成されたことを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の回路基板。
【0177】
(付記6) 前記裾野部分の斜度の正接が1よりも小さいことを特徴とする付記1〜5のいずれかに記載の回路基板。
【0178】
(付記7) 絶縁層の上に形成され、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、
前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極と、
を有することを特徴とする抵抗素子。
【0179】
(付記8) 前記電極は、前記抵抗パターンよりもシート抵抗の低い材料よりなることを特徴とする付記7に記載の抵抗素子。
【0180】
(付記9) 前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが段階的に薄くなることを特徴とする付記7又は付記8に記載の抵抗素子。
【0181】
(付記10) 前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが連続的に薄くなることを特徴とする付記7又は付記8に記載の抵抗素子。
【0182】
(付記11) 基材の上方に抵抗体層と導体層とを順に形成する工程と、
前記導体層の厚さを薄くする工程と、
前記導体層の上に、第1の電極パターンを選択的に形成する工程と、
前記導体層の厚さを薄くした後、前記導体層をパターニングすることにより導体パターンを形成する工程と、
前記導体パターンをマスクにして前記抵抗体層をエッチングすることにより、前記第1の電極パターンから前記基材の横方向に延在する延在部を備えた抵抗パターンを形成する工程と、
前記抵抗パターンを形成した後、前記導体パターンをパターニングすることにより、前記第1の電極パターンよりも前記延在部側に延びた第2の電極パターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
【0183】
(付記12) 前記第2の電極パターンを形成する工程は、前記第1の電極パターンの側面のうち前記延在部寄りの側面と、前記第1の電極パターンの上面とを覆うレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにしながら前記導体パターンをウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする付記11に記載の回路基板の製造方法。
【0184】
(付記13) 前記第2の電極パターンを形成する工程は、前記第1の電極パターンの側面のうち前記延在部寄りの側面から後退したレジストパターンを前記第1の電極パターンの上に形成し、該レジストパターンをマスクにしながら前記導体パターンをウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする付記11に記載の回路基板の製造方法。
【0185】
(付記14) 前記導体パターンを形成する工程は、前記導体層の上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにして前記導体層をウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする付記11に記載の回路基板の製造方法。
【0186】
(付記15) 第2の電極パターンを形成した後、該第2の電極パターンの上に絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層の上に配線層を形成する工程と、
前記基材、前記絶縁層、及び前記配線層を加熱しながらプレスすることにより積層体を形成する工程とを更に有することを特徴とする付記9〜14のいずれかに記載の回路基板の製造方法。
【符号の説明】
【0187】
1…絶縁層、2…抵抗体層、2a…抵抗パターン、3…導体層、3a…導体パターン、3b…電極、4…第1のレジストパターン、5…第2のレジストパターン、6…抵抗素子、10…積層板、11…樹脂基材、12、15…絶縁層、13…抵抗体層、13a…抵抗パターン、13d…電極部、13e…延在部、14、16…導体層、14a…導体パターン、14b…第3の電極パターン、14c…側面、21…第1のレジストパターン、21a…第1の窓、22…第1の電極パターン、22a…側面、23…第2のレジストパターン、23a…第2の窓、24…第2の電極パターン、26…第3のレジストパターン、28…第4のレジストパターン、30、40、49…抵抗素子、31…端子、31a…裾野部分、33…第5のレジストパターン、41…第1のレジストパターン、42…第2のレジストパターン、43…第3のレジストパターン、45…第4のレジストパターン、50…抵抗層、60…配線層、61…樹脂基材、62、63…第1及び第2の導体層、64…レジストパターン、62a、63a…第1及び第2の配線パターン、70…絶縁層、71…導体層、71a…配線、75…積層体、75a…貫通孔、76…めっき層、79…レジストパターン、90…回路基板、91…炭素繊維プリプレグ、92…絶縁性プリプレグ、94…複合コア基板、94a…開口、96…絶縁性樹脂、100…回路基板、110…積層体、110a…貫通孔。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上方に形成された抵抗素子とを有し、
前記抵抗素子が、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極とを有することを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが段階的に薄くなることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが連続的に薄くなることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記抵抗素子の上に、絶縁層と配線パターンとが交互に複数積層されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項5】
絶縁層の上に形成され、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、
前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極と、
を有することを特徴とする抵抗素子。
【請求項6】
前記電極は、前記抵抗パターンよりもシート抵抗の低い材料よりなることを特徴とする請求項5に記載の抵抗素子。
【請求項7】
基材の上方に抵抗体層と導体層とを順に形成する工程と、
前記導体層の厚さを薄くする工程と、
前記導体層の上に、第1の電極パターンを選択的に形成する工程と、
前記導体層の厚さを薄くした後、前記導体層をパターニングすることにより導体パターンを形成する工程と、
前記導体パターンをマスクにして前記抵抗体層をエッチングすることにより、前記第1の電極パターンから前記基材の横方向に延在する延在部を備えた抵抗パターンを形成する工程と、
前記抵抗パターンを形成した後、前記導体パターンをパターニングすることにより、前記第1の電極パターンよりも前記延在部側に延びた第2の電極パターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記第2の電極パターンを形成する工程は、前記第1の電極パターンの側面のうち前記延在部寄りの側面と、前記第1の電極パターンの上面とを覆うレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにしながら前記導体パターンをウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記第2の電極パターンを形成する工程は、前記第1の電極パターンの側面のうち前記延在部寄りの側面から後退したレジストパターンを前記第1の電極パターンの上に形成し、該レジストパターンをマスクにしながら前記導体パターンをウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記導体パターンを形成する工程は、前記導体層の上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにして前記導体層をウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項1】
基材と、
前記基材の上方に形成された抵抗素子とを有し、
前記抵抗素子が、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極とを有することを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが段階的に薄くなることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記裾野部分は、前記電極部から前記延在部に向かって厚さが連続的に薄くなることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記抵抗素子の上に、絶縁層と配線パターンとが交互に複数積層されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項5】
絶縁層の上に形成され、電極部と延在部とを備えた抵抗パターンと、
前記抵抗パターンの前記電極部上に形成され、前記延在部に向かって厚さが薄くなる裾野部分を備えた電極と、
を有することを特徴とする抵抗素子。
【請求項6】
前記電極は、前記抵抗パターンよりもシート抵抗の低い材料よりなることを特徴とする請求項5に記載の抵抗素子。
【請求項7】
基材の上方に抵抗体層と導体層とを順に形成する工程と、
前記導体層の厚さを薄くする工程と、
前記導体層の上に、第1の電極パターンを選択的に形成する工程と、
前記導体層の厚さを薄くした後、前記導体層をパターニングすることにより導体パターンを形成する工程と、
前記導体パターンをマスクにして前記抵抗体層をエッチングすることにより、前記第1の電極パターンから前記基材の横方向に延在する延在部を備えた抵抗パターンを形成する工程と、
前記抵抗パターンを形成した後、前記導体パターンをパターニングすることにより、前記第1の電極パターンよりも前記延在部側に延びた第2の電極パターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記第2の電極パターンを形成する工程は、前記第1の電極パターンの側面のうち前記延在部寄りの側面と、前記第1の電極パターンの上面とを覆うレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにしながら前記導体パターンをウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記第2の電極パターンを形成する工程は、前記第1の電極パターンの側面のうち前記延在部寄りの側面から後退したレジストパターンを前記第1の電極パターンの上に形成し、該レジストパターンをマスクにしながら前記導体パターンをウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記導体パターンを形成する工程は、前記導体層の上にレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクにして前記導体層をウエットエッチングすることにより行われることを特徴とする請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−199540(P2010−199540A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230606(P2009−230606)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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