説明

圧電デバイス

【課題】圧電振動片(水晶片)とマウント面との隙間、および圧電振動片と蓋体(カバー)との隙間を確保して、圧電デバイスの薄型化を図る。
【解決手段】第1の基板1上に形成された第2の基板2上に駆動回路11が配置されていることに対し、第1の基板1上に水晶振動片8が配置されているので、水晶振動片8は第2の基板2上から第1の基板1上まで隔てた低い配置、つまり下方への配置となり、水晶振動片8が第1の基板1上から第2の基板2上までの寸法分だけ、水晶振動片8の上方の隙間に余裕ができる。このため、水晶振動片8、特に水晶振動片8の他端部8bを、第1の基板1に接触させずに第1の基板1から離れさせても、水晶振動片8の上方の隙間に余裕があるので、水晶発振器10の薄型化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の圧電デバイスは、圧電振動片がマウント面(凹部の内底面、底壁)に固着され、底壁が延出した水平部、つまりマウント面と同一面上に圧電振動片を駆動させる駆動回路(ICチップ)が実装された構成が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−27465号公報(4頁〜5頁、図1〜2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、圧電デバイスを用いる電子機器などの薄型化に伴い、圧電デバイスの薄型化が必要となってきている。そこで、上述のような構成の圧電デバイスにおいて薄型化を図ると、圧電振動片(水晶片)とマウント面との隙間、および圧電振動片と蓋体(カバー)との隙間が小さくなる。そのため、マウント面(凹部の内底面)に一端部を固着された圧電振動片の他端部が、マウント面または蓋体に接触してしまい、圧電振動片の起動特性を悪化させるという問題がある。これに関して、圧電振動片の一端部を固着させる導電性接着剤の位置または量を調整することにより、圧電振動片の他端部をマウント面に接触させない、または離れさせることが可能ではあるが、圧電振動片の他端部をマウント面からどの程度離れさせるかは非常に困難でありバラツキが発生してしまう。これにより、蓋体に接触してしまう、または圧電デバイスの薄型化を阻害するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものである。以下の形態または適用例により実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる圧電デバイスは、第1の基板と、前記第1の基板上に配置された圧電振動片と、前記第1の基板上に形成され、前記圧電振動片を収容する貫通孔が形成された第2の基板と、前記第2の基板上に配置され、前記圧電振動片を駆動させる駆動回路とを備えることを要旨とする。
【0007】
これによれば、第1の基板上に形成された第2の基板上に駆動回路が配置されていることに対し、第1の基板上に圧電振動片が配置されているので、圧電振動片は第2の基板上から第1の基板上まで隔てた低い配置、つまり下方への配置となり、圧電振動片が第1の基板上から第2の基板上までの寸法分だけ、圧電振動片の上方の隙間に余裕ができる。このため、圧電振動片、特に圧電振動片の他端部を第1の基板に接触させずに第1の基板から離れさせても、圧電振動片の上方の隙間に余裕があるので、圧電デバイスの薄型化を実現することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる圧電デバイスにおいて、前記圧電振動片を気密に収納させる蓋体を備えることが好ましい。
【0009】
これによれば、圧電振動片の上方の隙間に余裕があることで、圧電振動片が蓋体に接触することを抑制することができる。これにより、圧電振動片の起動特性を悪化させることなく、圧電デバイスの薄型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態の水晶発振器を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施形態では、圧電振動片として水晶からなる水晶振動片、および水晶振動片を用いた水晶発振器を圧電デバイスの一例に挙げて説明する。
【0012】
(実施形態)
以下、本実施形態について、図1を参照して説明する。
図1(a)は、本実施形態の水晶発振器を示す概略平面図である。図1(b)は、図1(a)の概略断面図である。図1(c)は、図1(a)のA−A断面図である。
【0013】
図1(a)および(b)に示すように、水晶発振器10は、底板を形成する第1の基板1、第2の基板2、及び第3の基板3、が積層されて構成されたパッケージベース4と、導通固定部5と、内部接続端子6と、外部接続端子7と、水晶振動片8と、導電性接着剤9と、水晶振動片8を駆動させる駆動回路11と、アンダーフィル12と、蓋体13とを備えている。
【0014】
第2の基板2は、第1の基板1の一方の面上に形成されている。第3の基板3は、第2の基板2の一方の面上に形成されている。第2の基板2および第3の基板3は、水晶振動片8のキャビティを形成する貫通孔が形成されている。第1の基板1、第2の基板2、および第3の基板3は、たとえば絶縁材料である酸化アルミニウム質からなるセラミックシートである。
【0015】
導通固定部5は、第3の基板3から露出した第1の基板1上に、2個形成されている。内部接続端子6は、第2の基板2上に、複数個形成されている。外部接続端子7は、導通固定部5と対向する第1の基板1上に、複数個形成されている。
導通固定部5は、内部接続端子6に配線(図示省略)により電気的に接続されている。内部接続端子6は、外部接続端子7に配線(図示省略)により電気的に接続されている。外部接続端子7は、電源端子、基準電源端子(0V、GND)、および周波数出力端子などとして用いられる。
導通固定部5、内部接続端子6、および外部接続端子7は、たとえばタングステンメタライズ、ニッケルメッキ、および金メッキの順に形成することにより得られる。
【0016】
水晶振動片8は、第1の基板1の一方の面上において、第3の基板3の貫通孔および第2の基板2の貫通孔から露出した領域に配置されている。水晶振動片8には、励振電極18が図1(a)に示すように形成され、図1(b)において水晶振動片8の図示上側に形成されている。そして、図1(b)の図示下側にも図示上側と同様に、励振電極18が形成されている(図示省略)。
水晶振動片8、詳しくは水晶振動片8の一端部8aは、導電性接着剤9により、導通固定部5に固定され、水晶振動片8の励振電極18に電気的に接続されている。そして、水晶振動片8、詳しくは水晶振動片8の他端部8bは、図1(c)で実線および破線で示したように第1の基板1に接触させずに第1の基板1から離れさせて配置されている。
【0017】
駆動回路11は、第2の基板2の一方の面上に配置されている。駆動回路11は、フリップチップボンディング(Flip Chip Bonding)により、第2の基板2上に形成された内部接続端子6に固定され、電気的に接続されている。そして、アンダーフィル12により、駆動回路11と固定され電気的に接続された内部接続端子6を覆い、駆動回路11と第2の基板2との間を充填させている。さらに、駆動回路11は、エポキシ樹脂などからなるモールド剤により覆われていてもよい。
外部接続端子7のうち、電源端子と基準電位端子(グランド端子)との間に電圧がかけられ、駆動回路11を作動させ、駆動回路11から水晶振動片8の励振電極18に電流を流して、電界を発生させて圧電効果により水晶振動片8を駆動(振動)させる。そして、振動する水晶振動片8の周波数を、周波数出力端子としての外部接続端子7の一部から出力する。
【0018】
蓋体13は、第3の基板3の一方の面上に配置されて固定されている。これにより、水晶振動片8は、蓋体13、第2の基板2、第3の基板3、および第1の基板1に囲まれ、気密に収納されている。
蓋体13は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)などの金属、またはこれら金属を配合した合金、または酸化アルミニウム質などからなるセラミック、あるいはガラスで形成されている。
【0019】
本実施形態によれば、第1の基板1の一方の面上に形成された第2の基板2の一方の面上に駆動回路11が配置され、第1の基板1の一方の面上に水晶振動片8が配置されているので、水晶振動片8は第2の基板2の一方の面から第1の基板1の一方の面までの寸法分だけ低い配置、つまり下方への配置となり、水晶振動片8が第1の基板1の一方の面から第2の基板2の一方の面までの寸法分だけ、水晶振動片8と蓋体13との隙間に余裕ができる。このため、水晶振動片8、特に水晶振動片8の他端部8bを、図1(c)で実線および破線で示したように第1の基板1に接触させずに第1の基板1から離れさせても、水晶振動片8の上方の隙間に余裕があるので、水晶発振器10の薄型化を実現することができる。
【0020】
そして、水晶振動片8の上方の隙間に余裕があることで、水晶振動片8が蓋体13に接触することを抑制することができる。これにより、水晶振動片8の起動特性を悪化させることなく、水晶発振器10の薄型化を実現することができる。
【0021】
また、水晶振動片8の周波数が、水晶振動片8の厚さに反比例する厚みすべり振動の場合、周波数が低くなるにつれて厚さが厚くなるが、上述のように水晶振動片8が蓋体13に接触することを抑制することができる。これにより、水晶振動片8の起動特性を悪化させることなく、水晶発振器10の薄型化を実現することができる。
【0022】
なお、上記課題の少なくとも一部を解決できる範囲での変形、改良などは前述の実施形態に含まれるものである。
【0023】
たとえば、第3の基板3は絶縁材料である酸化アルミニウム質からなるセラミックシートとするが、これに限るものではなく、枠状の金属であるシールリング、ロウ剤またはガラスなどからなるとしてもよい。
そして、第2の基板2は、図示するように水晶振動片8の周囲を囲う枠状部と、枠状部以外の駆動回路11が固定される回路固定部とが一体に形成されているが、これに限るものではなく、枠状部と回路固定部とを分離して形成してもよい。
また、駆動回路11は、フリップチップボンディングにより内部接続端子6に固定され電気的に接続されるとしたが、これに限るものではなく、ダイアタッチ(Die Attach)により第1の基板1上に固定され、金(Au)またはアルミニウム(AL)などからなるワイヤーをワイヤーボンディング(Wire Bonding)により内部接続端子6に電気的に接続されるとしてもよい。この場合、駆動回路11およびワイヤーは、エポキシ樹脂などからなるモールド剤により覆われていることが好ましい。
【0024】
圧電デバイスとして水晶発振器を一例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、圧電振動ジャイロなどのセンサーなどであってもよい。
【0025】
また、圧電振動片の材料としては、水晶だけに限らず、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li247)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)などの圧電体、または、シリコンなどの半導体であってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1…第1の基板、2…第2の基板、3…第3の基板、4…パッケージベース、5…導通固定部、6…内部接続端子、7…外部接続端子、8…水晶振動片、8a…水晶振動片の一端部、8b…水晶振動片の他端部、9…導電性接着剤、10…水晶発振器、11…駆動回路、12…アンダーフィル、13…蓋体、18…励振電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板上に配置された圧電振動片と、
前記第1の基板上に形成され、前記圧電振動片を収容する貫通孔が形成された第2の基板と、
前記第2の基板上に配置され、前記圧電振動片を駆動させる駆動回路とを備えることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電デバイスにおいて、
前記圧電振動片を気密に収納させる蓋体を備えることを特徴とする圧電デバイス。

【図1】
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【公開番号】特開2011−244119(P2011−244119A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112880(P2010−112880)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】