説明

地図情報案内装置、地図情報案内方法及びコンピュータプログラム

【課題】新しい地図情報に基づく適切な案内を行うことを可能とした地図情報案内装置、地図情報案内方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1において目的地が設定された場合に、ナビゲーション装置1に格納されたナビ地図情報の差分更新を開始するとともに(S5)、案内経路上に更新対象エリアがある場合には案内切り換えポイントS及びEを設定し(S7)、案内切り換えポイントSに車両4が到達した際にナビ地図情報62の更新対象エリアの更新処理が完了していない場合には、ナビゲーション装置1に記憶されたナビ地図情報62を用いて案内を行う第1案内から地図配信センタ3より送信された案内情報を用いて案内を行う第2案内へと案内手段を切り換える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図の案内を行う地図情報案内装置、地図情報案内方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図情報をDVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又はネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。そして、車両の現在位置を含む地図情報を記録媒体等から読み出し、地図情報に基づいて車両の現在位置の周囲における地図画像を描画して表示装置に表示するとともに、車両位置マークを地図画像に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロールしたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させることによって、車両が現在どの地点を走行しているのかを一目でわかるようにしている。また、近年は携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
ここで、日本全国においては毎年新しい道路(新設道路)が建設されている。また、これに伴って、既存の道路がなくなったり、既存の道路の形状が変更されたりする。その際、ナビゲーション装置等が所有する地図情報が生成された後に新しく作られた新設道路等に関する情報は、地図情報に登録されていないという問題がある。即ち、新設道路等を含まない地図情報を持つナビゲーション装置等では、新設道路等が液晶モニタに表示されず、また、新設道路等が経路探索の対象とならないため、ナビゲーション装置等は新設道路等を通過しない誘導経路を探索してしまうことで、最適な経路を探索できないことがある。このような不具合を回避するためには、ナビゲーション装置等に記憶させる地図情報はある程度の時間間隔で更新することが必要となる。ここで、地図情報の更新は、新しい地図情報の記録媒体を購入して古い記録媒体と交換したり、地図配信センタ等から配信された更新用の地図情報(以下、地図更新情報という)に基づいて、ナビゲーション装置等が所有する地図情報を書き換えることによって行われる。
【0004】
ここで、特に地図配信センタから配信される地図更新情報を用いてナビゲーション装置等が所有する地図情報を更新する方法は、更新作業を行う際に記憶媒体が不要であり、また、地図の更新をより早いタイミングで行うことができる点で優れている。例えば、特開2004−85245号公報には、目的地までの経路探索が行われた場合に、地図情報配信センタに対して案内経路上の地図情報の更新があるか否かを確認し、地図情報の更新がある場合には地図更新情報を地図配信センタから取得して地図情報の更新を行う技術について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−85245号公報(第6頁〜第7頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、これから車両が走行する予定の道路に関する地図情報を、より速く新しい地図情報へと更新することが可能であるが、以下の問題も生じていた。即ち、地図配信センタから地図更新情報を受信する処理や地図情報の更新を行う処理は、短時間で完了することができない場合も多い。従って、車両が地図情報の更新を行う更新対象エリアに到達する前に、その更新対象エリアの地図情報の更新処理が完了していない場合もあり、その場合には更新前の地図情報に基づいて案内が行われる結果となっていた。
【0007】
一方で、従来では、ナビゲーション装置における地図情報の更新を行うことなく、常に新しい地図情報に基づく案内を行う手段として、ナビゲーション装置が地図配信センタから受信した案内情報に基づいて地図の案内を行う所謂通信型ナビゲーションシステムについても知られている。しかしながら、このような通信型ナビゲーションシステムでは、ナビゲーション装置と地図配信センタとの間で行われる通信量が増大し、また案内処理のレスポンスが悪化する問題があった。
【0008】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、地図情報記憶媒体に記憶された地図情報を用いた第1案内と地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内とを切り換えて案内を行うことにより、地図情報案内装置と地図配信センタとの間で行われる通信量を抑えつつ、また案内処理のレスポンスも悪化させずに、新しい地図情報に基づく適切な案内を行うことを可能とした地図情報案内装置、地図情報案内方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る地図情報案内装置(1)は、車両(4)に搭載され、地図情報が記憶された地図情報記憶媒体(61)と、通信可能に接続された地図配信センタ(3)から配信された地図更新情報に基づいて、前記地図情報記憶媒体に記憶された前記地図情報を更新する地図情報更新手段(43)と、前記地図情報記憶媒体に記憶された前記地図情報を用いた第1案内を行う地図情報案内手段(43)と、を有し、更に、前記地図情報更新手段により前記地図情報の更新を行う場合に、更新を行う更新対象エリアを特定する更新対象エリア特定手段(43)と、前記車両の走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段(43)と、前記走行予定経路取得手段により取得された前記走行予定経路に基づいて前記車両が前記更新対象エリアを通過すると判定された場合に、前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新手段による前記地図情報の更新が完了しているか否かを判定する更新完了判定手段(43)と、前記地図情報案内手段は、前記更新完了判定手段によって前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新手段による前記地図情報の更新が完了していないと判定された場合に、該更新対象エリアの案内を前記第1案内から前記地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内へと切り換えて行うことを特徴とする。
尚、「更新対象エリア」としては、二次メッシュや市区町村等の行政区画の他に、道路や地点等も含まれる。
【0010】
また、請求項2に係る地図情報案内装置(1)は、請求項1に記載の地図情報案内装置において、前記地図情報案内手段(43)は、前記車両(4)周辺の地図を設定されている表示態様で画像表示装置(45)に表示することにより前記地図情報に基づく案内を行い、前記設定されている表示態様に基づいて前記第1案内と前記第2案内とを切り換える切換地点を設定する切換地点設定手段(43)を有し、前記地図情報案内手段は、前記切換地点設定手段によって設定された前記切換地点と車両の位置とに基づいて前記第1案内と前記第2案内との切り換えを行うことを特徴とする。
尚、「表示態様」とは、例えば、地図の縮尺、2D表示又は3D表示、視点の位置、画面構成等が該当する。
【0011】
また、請求項3に係る地図情報案内方法は、通信可能に接続された地図配信センタ(3)から配信された地図更新情報に基づいて、地図情報記憶媒体(61)に記憶された地図情報を更新する地図情報更新ステップと、前記地図情報記憶媒体に記憶された前記地図情報を用いた第1案内を行う地図情報案内ステップと、前記地図情報更新ステップにより前記地図情報の更新を行う場合に、更新を行う更新対象エリアを特定する更新対象エリア特定ステップと、前記地図情報記憶媒体が搭載された車両(4)の走行予定経路を取得する走行予定経路取得ステップと、前記走行予定経路取得ステップにより取得された前記走行予定経路に基づいて前記車両が前記更新対象エリアを通過すると判定された場合に、前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新ステップによる前記地図情報の更新が完了しているか否かを判定する更新完了判定ステップと、前記更新完了判定ステップによって前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新ステップによる前記地図情報の更新が完了していないと判定された場合に、前記地図情報案内ステップによる該更新対象エリアの案内を前記第1案内から前記地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内へと切り換える案内切換ステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
更に、請求項4に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、通信可能に接続された地図配信センタ(3)から配信された地図更新情報に基づいて、地図情報記憶媒体(61)に記憶された地図情報を更新する地図情報更新機能と、前記地図情報記憶媒体に記憶された前記地図情報を用いた第1案内を行う地図情報案内機能と、前記地図情報更新機能により前記地図情報の更新を行う場合に、更新を行う更新対象エリアを特定する更新対象エリア特定機能と、前記地図情報記憶媒体が搭載された車両(4)の走行予定経路を取得する走行予定経路取得機能と、前記走行予定経路取得機能により取得された前記走行予定経路に基づいて前記車両が前記更新対象エリアを通過すると判定された場合に、前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新機能による前記地図情報の更新が完了しているか否かを判定する更新完了判定機能と、前記更新完了判定機能によって前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新機能による前記地図情報の更新が完了していないと判定された場合に、前記地図情報案内機能による該更新対象エリアの案内を前記第1案内から前記地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内へと切り換える案内切換機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
前記構成を有する請求項1に係る地図情報案内装置では、地図情報記憶媒体に記憶された地図情報を用いた第1案内を行いつつ、必要な状況下では地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内へと切り換えて案内を行うことができる。その結果、地図情報案内装置と地図配信センタとの間で行われる通信量を抑えつつ、また案内処理のレスポンスも悪化させずに、新しい地図情報に基づく適切な案内を行うことが可能となる。
【0014】
また、請求項2に係る地図情報案内装置では、設定されている車両周辺地図の表示態様に基づいて、画像表示装置において案内される範囲を考慮して案内を切り換える切換地点を設定できる。それによって、地図情報記憶媒体に記憶された地図情報を用いた第1案内と地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内との切り換えを行う場合においてもスムーズな地図表示を行うことができる。
【0015】
また、請求項3に係る地図情報案内方法では、地図情報記憶媒体に記憶された地図情報を用いた第1案内を行いつつ、必要な状況下では地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内へと切り換えて案内を行うことができる。その結果、地図配信センタとの間で行われる通信量を抑えつつ、また案内処理のレスポンスも悪化させずに、新しい地図情報に基づく適切な案内を行うことが可能となる。
【0016】
更に、請求項4に係るコンピュータプログラムでは、地図情報記憶媒体に記憶された地図情報を用いた第1案内を行わせつつ、必要な状況下では地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内へと切り換えて案内を行わせることができる。その結果、地図配信センタとの間で行われる通信量を抑えつつ、また案内処理のレスポンスも悪化させずに、新しい地図情報に基づく適切な案内を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る地図情報配信システムを示した概略構成図である。
【図2】本実施形態に係る地図情報配信システムの構成を示したブロック図である。
【図3】本実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示したブロック図である。
【図4】ナビゲーション装置に記憶された地図情報の差分更新について説明した図である。
【図5】ナビゲーション装置による車両の走行案内について説明した図である。
【図6】本実施形態に係る案内処理プログラムのフローチャートである。
【図7】本実施形態に係る案内処理プログラムのフローチャートである。
【図8】案内切り換えポイントS及びEの設定処理について説明した図である。
【図9】更新対象エリアが複数ある場合の案内切り換えポイントS及びEの設定処理について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る地図情報案内装置についてナビゲーション装置1に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1を含む地図情報配信システム2の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係る地図情報配信システム2を示した概略構成図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る地図情報配信システム2は、地図配信センタ3と、車両4に設置されるナビゲーション装置1とから基本的に構成されている。尚、本実施形態では、後述のように地図情報を記憶するとともに、地図配信センタ3から配信されたデータに基づいて記憶された地図情報を更新する端末としてナビゲーション装置1を用いた例を説明しているが、ナビゲーション装置1の代わりに、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータ等を用いても良い。
【0020】
ここで、地図配信センタ3は、ナビゲーション装置1に記憶された古いバージョンの地図情報を新たに新設或いは撤廃された道路や施設等を反映した新たなバージョンの地図情報へと更新する為のデータ(以下、地図更新情報という)の生成、及び生成した地図更新情報の配信を行う配信センタである。尚、地図更新情報としてはナビゲーション装置1に記憶された地図情報を全て書き換えて更新する(以下、全更新という)為の全更新データと、地図情報の特定エリアのみを書き換えて更新する(以下、差分更新という)差分更新データの2種類がある。そして、以下に説明する本実施形態では、特に地図更新情報として差分更新データを用いた実施形態のみを説明することとする。
【0021】
また、地図配信センタ3は、特定の条件下ではナビゲーション装置1とともに所謂通信型ナビゲーションシステムを構成する。ここで、通信型ナビゲーションシステムとは、ナビゲーション装置1がナビゲーション装置1に記憶された地図情報を用いて案内を行うのではなく、ナビゲーション装置1が地図配信センタ3において作成された案内情報を通信により取得し、取得した案内情報を用いて案内を行うシステムをいう。
具体的には、通信型ナビゲーションシステムによる案内を行う際に、ナビゲーション装置1から地図配信センタ3へと案内情報の要求情報が送信される。それに対して、地図配信センタ3はナビゲーション装置1で出力される案内画像や案内音声を案内情報として生成し、送信元のナビゲーション装置1へと送信する。そして、ナビゲーション装置1は受信した案内情報に含まれる案内画像や案内音声を液晶ディスプレイ45やスピーカ46から出力することによって走行案内を行う。
【0022】
また、ナビゲーション装置1は全国の各道路を走行する車両4に設置され、格納する地図情報や地図配信センタ3から受信した案内情報に基づいて車両位置周辺の地図を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。ここで、地図配信センタ3とナビゲーション装置1は予め車両に搭載された携帯電話機やDCM等の車両用の通信モジュール5(以下、単に通信モジュール5という)を用いて双方向に通信可能に構成されており、両者間で後述の配信要求情報、地図更新情報、案内情報要求情報、案内情報等の各種情報を送受信する。
また、ナビゲーション装置1は、特定の条件を満たした際(例えば、ACCがONされた際や目的地が設定されて経路案内が開始された際)に、地図配信センタ3に対して特定エリア(例えば、ユーザの自宅を中心とした80km四方のエリアや設定された目的地を中心とした10km四方のエリアや案内経路を含むエリア)の地図情報を新しいバージョンの地図情報に更新する為の地図更新情報の配信要求を送信する。
更に、ナビゲーション装置1は、送信した配信要求に応じて地図配信センタ3から地図更新情報を受信した際には、受信した地図更新情報に基づいて格納する地図情報の更新を行う。
【0023】
続いて、地図情報配信システム2を構成する地図配信センタ3について図2を用いてより詳細に説明する。図2は本実施形態に係る地図情報配信システム2の構成を示したブロック図である。
【0024】
地図配信センタ3は、図2に示すようにサーバ20と、サーバ20に接続された情報記録部としてのセンタ側地図情報DB26と、バージョン管理DB27と、地図更新情報格納DB28と、センタ側通信装置29とを備える。
【0025】
サーバ20は、全国各地の道路や施設が新設或いは撤廃された場合に、管理者の入力操作等に基づいてそれらを反映した新規地図情報を登録する処理、ナビゲーション装置1へと配信する地図更新情報を生成する処理、生成した地図更新情報をナビゲーション装置1へと配信する処理、案内情報を生成する処理、生成した案内情報をナビゲーション装置1へと送信する処理等の地図配信センタ3の全体の制御を行う制御ユニットである。そして、サーバ20は、サーバ20の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述の案内処理プログラム(図6、図7参照)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。
【0026】
また、センタ側地図情報DB26は、外部からの入力データや入力操作に基づいて登録され、ナビゲーション装置1に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である基本地図情報30がバージョン毎及びエリア毎に区分されて記憶される記憶手段である。ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
そして、地図配信センタ3は、センタ側地図情報DB26に記憶された基本地図情報30を10km四方の2次メッシュ単位でバージョン管理を行う。そして、基本地図情報30は、管理者によって新規地図情報が登録された場合には、登録された新規地図情報に含まれる2次メッシュについて、バージョンが新たに更新される(例えば、バージョン“4”からバージョン“5”へと更新される)。尚、センタ側地図情報DB26には、最新のバージョンの基本地図情報30に加えて、古いバーションの基本地図情報30についてもバージョン毎及び2次メッシュ毎に区分されて記憶されている。
【0027】
また、バージョン管理DB27は、地図更新情報の配信対象となる各ナビゲーション装置1に現在格納されている地図情報のバージョンを示したバージョン管理テーブル31が記録される記憶手段である。ここで、ナビゲーション装置1に格納されている地図情報や上記基本地図情報30は、道路網を始めとして経路案内及び地図表示に必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
そして、地図情報配信システム2では上記ナビゲーション装置1に格納されている地図情報を配信先となるナビゲーション装置1毎に10km四方の2次メッシュ単位でバージョン管理を行う。また、地図配信センタ3は、ナビゲーション装置1に対して地図更新情報が配信された場合に、配信した地図更新情報によって配信先のナビゲーション装置1が地図更新を行ったとみなし、バージョン管理テーブル31の内、該当するユーザID及びメッシュIDに対応するバージョンを更新する。
【0028】
また、地図更新情報格納DB28は、基本地図情報30やバージョン管理DB27に記憶されたバージョン管理テーブル31に基づいてサーバ20により生成された地図更新情報32が格納される記憶手段である。
【0029】
ここで、地図更新情報32は、ナビゲーション装置1に格納された地図情報の内、ナビゲーション装置1から要求されたエリア(以下、更新要求エリアという)の地図情報を、新たなバージョンの地図情報へと差分更新するデータである。基本的に、地図配信センタ3はナビゲーション装置1から地図更新情報の配信要求を受信した後に、配信要求元のナビゲーション装置1に対して配信する地図更新情報を生成し、生成した地図更新情報を配信する。
尚、ナビゲーション装置1から地図更新情報を要求される更新要求エリアは、ナビゲーション装置1が地図更新情報を要求する際のナビゲーション装置1の状況によって変化する。具体的に、ナビゲーション装置1は、ACCがONされた際及び目的地が設定されて経路案内が開始された際に地図配信センタ3に対して地図更新情報の配信を要求するように構成されている。そして、ナビゲーション装置1のACCがONされた際には、ナビゲーション装置1の登録地点(例えばユーザの自宅)を中心とした所定距離(例えば80km)四方のエリアを含む2次メッシュと全国の高規格道路(例えば高速道路等)を含む2次メッシュの地図更新情報の配信を要求する。一方、ナビゲーション装置1で目的地が設定されて経路案内が開始された際には、ナビゲーション装置1で設定された目的地を中心とした所定距離(例えば10km)四方のエリアを含む2次メッシュと案内経路を含む2次メッシュと全国の高規格道路を含む2次メッシュの地図更新情報の配信を要求する。
【0030】
更に、センタ側通信装置29はナビゲーション装置1とネットワーク8を介して通信を行う為の通信装置である。ここで、ネットワーク8としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0031】
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図3を用いて説明する。図3は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0032】
図3に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する現在位置検出部41と、各種のデータが記録されたデータ記録部42と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU43と、ユーザからの操作を受け付ける操作部44と、ユーザに対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ45と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ46と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ47と、地図配信センタ3等の情報センタとの間で通信を行う前述の通信モジュール5と、から構成されている。
【0033】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部41は、GPS51、車速センサ52、ステアリングセンサ53、ジャイロセンサ54、高度計(図示せず)等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ52は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の車輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU43に出力する。そして、ナビゲーションECU43は発生するパルスを計数することにより車輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0034】
また、データ記録部42は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録されたナビ側地図情報DB61、所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0035】
ここで、ナビ側地図情報DB61には、ナビゲーション装置1の走行案内や経路探索に使用されるナビ地図情報62が記憶される。
また、ナビ地図情報62は前記した基本地図情報30と同様に経路案内、交通情報案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。
そして、ナビ地図情報62は、全国の全エリアの地図情報を一括で更新する全更新、又は特定のエリアのみの地図情報を更新する差分更新のいずれかによって更新される。
【0036】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)43は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの走行予定経路を設定する走行予定経路設定処理、地図配信センタ3から配信された地図更新情報に基づいてナビ地図情報62の更新を行う地図情報更新処理、格納するナビ地図情報62や地図配信センタ3から受信した案内情報に基づいて車両位置周辺の地図を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う走行案内処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU71、並びにCPU71が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM72、制御用のプログラムのほか、案内処理プログラム(図6、図7参照)等が記録されたROM73、ROM73から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ74等の内部記憶装置を備えている。
【0037】
操作部44は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU43は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ45の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0038】
また、液晶ディスプレイ45には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【0039】
また、スピーカ46は、ナビゲーションECU43からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0040】
また、DVDドライブ47は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいてナビ側地図情報DB61の更新等が行われる。
【0041】
次に、ナビゲーション装置1に記憶されたナビ地図情報62の更新の一例について図4を用いて簡単に説明する。図4に示す例では、ナビゲーション装置1から地図配信センタ3へ所定の更新要求エリアの地図情報を更新する為の地図更新情報の配信要求があった場合であって、ナビゲーション装置1に記憶されたナビ地図情報62の更新要求エリアのバージョンが“4”であり、一方、地図配信センタ3が所有する基本地図情報30の更新要求エリアの最新バージョンが“5”である場合を説明する。
この場合において、地図配信センタ3は、センタ側地図情報DB26に記憶されたバージョン“4”とバージョン“5”の基本地図情報30とを比較することにより、地図更新情報32を生成する。尚、この場合に生成される地図更新情報32は、ナビゲーション装置1に記憶されたナビ地図情報62の内、更新要求エリアの地図情報をバージョン“4”からバージョン“5”へと更新するデータである。また、地図更新情報32を生成する際には、地図情報が更新されるエリアとそのエリアに隣接するエリアとの間で更新後に道路ネットワークが正しく連絡されるか否かを確認する処理(ネットワーク確認処理)や生成された地図更新情報のエラーをチェックする処理(エラーチェック処理)についても行われる。
そして、地図配信センタ3は生成された地図更新情報32を配信要求元のナビゲーション装置1へと配信する。一方、地図更新情報32を受信したナビゲーション装置1は、受信した地図更新情報32を用いてナビ地図情報62を更新する。その結果、ナビゲーション装置1に記憶されたナビ地図情報62の内、更新要求エリアの地図情報がバージョン“4”からバージョン“5”へと更新される。
【0042】
続いて、ナビゲーション装置1において液晶ディスプレイ45やスピーカ46を用いて行われる車両4の走行案内について図5を用いて簡単に説明する。
ここで、本実施形態に係るナビゲーション装置1は上記走行案内として、ナビゲーション装置1に記憶されたナビ地図情報62を用いて案内を行う第1案内と、地図配信センタ3から送信された案内情報を用いて案内を行う第2案内がある。そして、いずれかの案内により車両4の走行案内が行われるかは、後述のようにナビ地図情報62の更新状況に基づいてナビゲーションECU43により選択される。
ここで、第1案内は、図5に示すようにナビ側地図情報DB61に格納されたナビ地図情報62に基づいて案内画像や案内音声を生成し、車両周辺の地図表示や設定された目的地までの走行案内を行う。
一方、第2案内は、案内を行う際に図5に示すようにナビゲーション装置1から地図配信センタ3へと“車両4の現在位置”や“第2案内を実行する範囲(具体的には後述する案内切り換えポイントE)”等を送信する。それに対して、地図配信センタ3は最も新しいバージョンの基本地図情報30を用いて、第2案内を実行する範囲においてナビゲーション装置1で出力される案内画像や案内音声を案内情報80として一括生成し、送信元のナビゲーション装置1へと送信する。そして、ナビゲーション装置1は受信した案内情報80に含まれる案内画像や案内音声を液晶ディスプレイ45やスピーカ46から出力することによって、第2案内を実行する範囲において走行案内を行う。即ち、第2案内では、ナビ地図情報62ではなく基本地図情報30に基づいてナビゲーション装置1の案内が行われるので、ナビ地図情報62が最新のバージョンの地図に更新されていない場合であっても、最新のバージョンの地図に基づく案内をナビゲーション装置1において行うことが可能となる。
【0043】
次に、本実施形態に係る地図情報配信システム2においてナビゲーション装置1のナビゲーションECU43及び地図配信センタ3のサーバ20が実行する案内処理プログラムについて図6及び図7に基づき説明する。図6及び図7は本実施形態に係る案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、地図案内処理プログラムは、ユーザによってナビゲーション装置1における目的地の設定操作が行われた場合に実行され、ナビゲーション装置1に格納されたナビ地図情報62の差分更新を行うとともに、第1案内又は第2案内のいずれかにより車両周辺の地図表示や設定された目的地までの走行案内を行うプログラムである。尚、以下の図6、図7にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーションECU43が備えているRAM72やROM73及びサーバ20が備えているRAM22やROM23に記憶されており、CPU71又はCPU21により実行される。
【0044】
案内処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、ナビゲーション装置1のCPU71は受け付けたユーザの目的地の設定操作に基づいて、目的地を設定する。更に、S1においてCPU71は、出発地(例えば、車両の現在位置)から設定された目的地へと至る経路を探索する。そして、経路探索の結果に基づいて最適な案内経路(即ち、走行予定経路)を設定する。尚、経路探索処理は、公知のダイクストラ法等を用いて行う。
【0045】
その後、S2においてCPU71は車両4の走行開始とともに、ナビゲーション装置1に記憶されたナビ地図情報62を用いて車両の走行案内を行う第1案内を開始する。尚、具体的に第1案内では、ナビ側地図情報DB61に格納されたナビ地図情報62に基づいて案内画像や案内音声を生成し、車両周辺の地図表示や設定された案内経路に基づく走行案内を行う。
【0046】
次に、S3においてCPU71は、地図配信センタ3へと地図更新情報の配信要求を送信する。尚、配信要求には、配信要求の送信元のナビゲーション装置1を特定するユーザIDと、更新を要求するエリア(更新要求エリア)を特定する情報が含まれている。ここで、更新を要求するエリアとしては、例えばナビゲーション装置1で設定された目的地を中心とした所定距離(例えば10km)四方のエリアを含む2次メッシュと、案内経路を含む2次メッシュと、全国の高規格道路を含む2次メッシュ等がある。
【0047】
一方で、地図配信センタ3のCPU21は、S101においてナビゲーション装置1から送信された配信要求を受信すると、受信した配信要求に関する情報をRAM22に記憶する。
【0048】
続いて、S102においてCPU21は、更新要求エリアの地図情報を更新する為の地図更新情報を生成し、地図更新情報格納DB28に一旦格納する。
尚、前記S102で生成される地図更新情報は、更新要求エリアの内、配信要求元のナビゲーション装置1に記憶された地図情報が最新のバージョンより古いバージョンが記憶されている2次メッシュ(以下、更新対象エリアという)を、現在のバージョンから最新のバージョンへと更新するデータである。また、前記S102において地図更新情報を生成する際には、従来技術と同様に地図情報が更新されるエリアとそのエリアに隣接するエリアとの間で更新後に道路ネットワークが正しく連絡されるか否かを確認する処理(ネットワーク確認処理)や生成された地図更新情報のエラーをチェックする処理(エラーチェック処理)についても行われる。尚、地図更新情報の生成処理については既に公知であるので、詳細は省略する。
【0049】
次に、S103においてCPU21は、前記S102で生成した地図更新情報を配信要求元のナビゲーション装置1へと配信する。
【0050】
一方、ナビゲーション装置1のCPU71は、S4において地図配信センタ3から配信された地図更新情報を受信すると、受信した地図更新情報を用いてナビ地図情報62の更新処理を開始する(S5)。具体的には、更新対象エリアを特定し、更新対象エリア内の2次メッシュの地図情報(リンクデータ、ノードデータ、POIデータ等)を基本地図情報30の最新のバージョンの地図情報へと書き換える処理を行う。尚、処理が完了すると、ナビゲーション装置1に記憶されたナビ地図情報62の内、更新対象エリア(即ち、更新要求エリア)の地図情報が最新のバージョンの地図情報へと更新される。
【0051】
次に、S6においてCPU71は、前記S1で設定された案内経路上に、前記S4で受信した地図更新情報により更新対象となる更新対象エリアが存在するか否か(即ち、車両4が今後、更新対象エリアを通過するか否か)を判定する。
【0052】
そして、案内経路上に更新対象エリアが存在すると判定された場合(S6:YES)には、S7へと移行する。一方、案内経路上に更新対象エリアが存在しないと判定された場合(S6:NO)には、S19へと移行する。
【0053】
S7においてCPU71は、現在ナビゲーション装置1において設定されている車両周辺地図の表示態様(例えば地図の表示縮尺等)から地図画像の表示範囲83を特定し、特定された表示範囲83に基づいて案内経路上に案内切り換えポイントS及びEをそれぞれ設定する。尚、案内切り換えポイントSは、ナビゲーション装置1において実行されている車両4の走行案内を第1案内から第2案内へと切り換える地点である。一方、案内切り換えポイントEは、ナビゲーション装置1において実行されている車両4の走行案内を第2案内から第1案内へと切り換える地点である。
【0054】
以下に、上記S7の案内切り換えポイントS及びEの設定処理について図面を用いて詳細に説明する。
図8では、出発地から目的地までの案内経路81が設定されている場合であって、案内経路81上に更新対象エリア82が存在する例を示す。ここで、案内切り換えポイントS及びEは、ナビゲーション装置1において現在設定されている車両周辺地図の表示態様(例えば地図の表示縮尺等)から特定された地図画像の表示範囲83に基づいて位置が設定される。尚、ナビゲーション装置1は車両周辺の地図画像を液晶ディスプレイ45に表示する際に、予め設定された設定縮尺で表示する。即ち、設定縮尺によって地図画像の表示範囲83が変化する。
そして、CPU71は、案内経路81上を車両4が走行した場合にあって、更新対象エリア82に到達する前で、且つ液晶ディスプレイ45に設定縮尺にて表示される地図画像の表示範囲83に更新対象エリア82が含まれない最も出発地から遠い車両4の地点を案内切り換えポイントSとする。
一方、案内経路81上を車両4が走行した場合にあって、更新対象エリア82を通過した後で、且つ液晶ディスプレイ45に設定縮尺にて表示される地図画像の表示範囲83に更新対象エリア82が含まれない最も出発地から近い車両4の地点を案内切り換えポイントEとする。
それによって、後述のように更新前の更新対象エリアに関する情報をユーザに案内する直前に、案内手段を第2案内(通信型ナビゲーションシステム)へと切り換えることが可能となる。また、更新対象エリアに関する情報をユーザに案内する必要のなくなった直後に、案内手段を通常の第1案内(ナビ地図情報62を用いた案内)へと切り換えることが可能となる。即ち、通信型ナビゲーションシステムへと切り換えることによって新しいバージョンの地図情報に基づく案内が行うことができる区間のみを、通信型ナビゲーションシステムに基づく案内を行う区間に設定可能となる。
【0055】
尚、図9に示すように更新対象エリア82が複数ある場合には、それぞれの更新対象エリアに対して案内切り換えポイントS及びEが設定される。また、案内切り換えポイントS及びEが設定されると、案内切り換えポイントS及びEの位置座標が更新対象エリア82に対応付けてRAM72等に記憶される。
尚、図8及び図9は、自車位置を液晶ディスプレイ45の画面中央に位置する状態で車両周辺の地図を真上からの視点で表示する表示態様がナビゲーション装置1で設定されている場合において、設定される案内切り換えポイントS及びEを示した図である。従って、例えば、自車位置を画面中央以外に位置する状態で表示する表示態様が設定されていたり、鳥瞰図で表示する表示態様が設定されていれば地図画像の表示範囲83が変化するので、案内切り換えポイントS及びEも異なる位置に設定される。
【0056】
続いて、S8においてCPU71は、車両4の現在位置を現在位置検出部41の検出結果に基づいて取得する。
【0057】
次に、前記S8で取得した車両4の現在位置と前記S7で設定した案内切り換えポイントSの位置座標とに基づいて、車両4が案内切り換えポイントSに到達したか否かを判定する。
【0058】
そして、車両4が案内切り換えポイントSに到達したと判定された場合(S9:YES)には、S10へと移行する。それに対して、車両4が案内切り換えポイントSに到達していないと判定された場合(S9:NO)には、S8へと戻る。
【0059】
S10においてCPU71は、受信した地図更新情報に基づくナビ地図情報62の更新が完了したか否かを判定する。尚、更新対象エリアが複数ある場合には、前記S9で到達したと判定された案内切り換えポイントSに対応付けられた更新対象エリアの更新が完了したか否かを判定する。
【0060】
そして、受信した地図更新情報に基づくナビ地図情報62の更新が完了したと判定された場合(S10:YES)には、S19へと移行する。それに対して、受信した地図更新情報に基づくナビ地図情報62の更新が完了していないと判定された場合(S10:NO)には、S11へと移行する。
【0061】
S11においてCPU71は、前記第1案内から地図配信センタ3より送信された案内情報を用いて案内を行う第2案内へと案内を切り換える。
【0062】
そして、第2案内を行う際に、先ずS12においてCPU71は、現在位置検出部41の検出結果に基づいて車両の現在位置を取得する。
【0063】
その後、S13においてCPU71は、前記S12で取得した車両の現在位置に関する情報と前記S7で設定された案内切り換えポイントEの情報を含む案内情報要求を地図配信センタ3へと送信する。それに対して地図配信センタ3のCPU21は、S104で案内情報要求を受信すると、ナビゲーション装置1で今後に出力される案内画像や案内音声を案内情報として生成し(S105)、送信元のナビゲーション装置1へと送信する(S106)。ここで、CPU21は案内情報を生成する際に、最も新しいバージョンの基本地図情報30を用いて車両4の現在位置から案内切り換えポイントEまでの経路探索を行う。そして、経路探索の結果に基づいて案内情報を生成する。従って、ナビゲーション装置1において設定されている案内経路とは異なる経路を案内する案内情報が生成される場合もある。
【0064】
その後、S14において案内情報を受信したナビゲーション装置1は、受信した案内情報に含まれる案内画像を液晶ディスプレイ45に表示するとともに、案内音声をスピーカ46から出力し、走行案内を行う(S15)。
【0065】
続いて、S16においてCPU71は、車両4の現在位置を現在位置検出部41の検出結果に基づいて取得する。
【0066】
次に、前記S16で取得した車両4の現在位置と前記S7で設定した案内切り換えポイントEの位置座標とに基づいて、車両4が案内切り換えポイントEに到達したか否かを判定する。
【0067】
そして、車両4が案内切り換えポイントEに到達したと判定された場合(S17:YES)には、S18へと移行する。それに対して、車両4が案内切り換えポイントEに到達していないと判定された場合(S17:NO)には、S15へと戻り、継続して第2案内を行う。
【0068】
S18においてCPU71は、前記第2案内から再びナビゲーション装置1に記憶されたナビ地図情報62を用いて車両の走行案内を行う第1案内へと案内を切り換える。
【0069】
その後、S19においてCPU71は、車両4が目的地に到達したか否かを判定する。そして、車両4が目的地に到達したと判定された場合(S19:YES)には、当該案内処理プログラムを終了する。それに対して、車両4が目的地に到達していないと判定された場合(S19:NO)にはS8へと戻り、継続して案内経路に基づいた案内処理を行う。
【0070】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による地図情報案内方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、ナビゲーション装置1において目的地が設定された場合に、ナビゲーション装置1に格納されたナビ地図情報の差分更新を開始するとともに(S5)、案内経路上に更新対象エリアがある場合には案内切り換えポイントS及びEを設定し(S7)、案内切り換えポイントSに車両4が到達した際にナビ地図情報62の更新対象エリアの更新処理が完了していない場合には、ナビゲーション装置1に記憶されたナビ地図情報62を用いて案内を行う第1案内から地図配信センタ3より送信された案内情報を用いて案内を行う第2案内へと案内手段を切り換える。また、その後に案内切り換えポイントEに車両4が到達した際には、第2案内から第1案内へと再び案内手段を切り換える。それによって、ナビ側地図情報DB61に記憶されたナビ地図情報62を用いた第1案内を行いつつ、必要な状況下では地図配信センタ3が作成した案内情報を用いた第2案内へと切り換えて案内を行うことができる。その結果、ナビゲーション装置1と地図配信センタ3との間で行われる通信量を抑えつつ、また案内処理のレスポンスも悪化させずに、新しい地図情報に基づく適切な案内を行うことが可能となる。
また、案内切り換えポイントS及びEは、ナビゲーション装置1において現在設定されている地図の縮尺に基づいて位置が設定されるので、ナビゲーション装置1に設定されている車両周辺地図の表示態様に基づいて、液晶ディスプレイ45において案内される範囲を考慮して案内を切り換える切換地点を設定できる。それによって、ナビ側地図情報DB61に記憶されたナビ地図情報62を用いた第1案内と地図配信センタ3が作成した案内情報を用いた第2案内との切り換えを行う場合においてもスムーズな地図表示を行うことができる。
【0071】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、地図配信センタ3から配信されたデータに基づいて記憶された地図情報を更新する端末としてナビゲーション装置1を用いた例を説明しているが、ナビゲーション装置1の代わりに、携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータ等を用いても良い。
【0072】
また、本実施形態では、前記S10において更新対象エリアが複数ある場合には、前記S9で到達したと判定された案内切り換えポイントSに対応付けられた更新対象エリアの更新が完了したか否かを判定することとしているが、全ての更新対象エリアの更新が完了したか否かを判定することとしても良い。
【0073】
また、本実施形態では、更新対象エリアの単位として2次メッシュを用いているが、リンクやノードを更新対象エリアの単位として用いても良い。
【0074】
また、本実施形態では第2案内が開始された場合に、その後の第2案内に必要な案内情報を地図配信センタ3から一括してナビゲーション装置1へと送信する構成としているが、第2案内の実行中において必要な案内情報を定期的に地図配信センタ3からナビゲーション装置1へと送信する構成としても良い。
具体的には、第2案内が開始されると、ナビゲーション装置1から地図配信センタ3へと車両4の現在位置の情報を定期的に送信し、地図配信センタ3は受信した車両4の現在位置を含む周辺を案内する案内画像や案内音声を案内情報として生成し、送信元のナビゲーション装置1へと送信する。その後に、案内情報を受信したナビゲーション装置1は受信した案内情報に含まれる案内画像や案内音声を液晶ディスプレイ45やスピーカ46から出力することによって、車両周辺の地図表示や走行案内を行う。
【0075】
また、S1において経路の探索処理を行う際に、更新対象エリアへと車両が到達する時刻とナビ地図情報62の地図更新が完了する時刻をそれぞれ推定するとともに、各時刻を比較して、更新対象エリアへと車両が到達する時刻がナビ地図情報62の地図更新が完了する時刻より遅い場合のみ案内切り換えポイントS及びEを設定する構成としても良い。
【0076】
また、本実施形態ではS7においてCPU71は、ナビゲーション装置1における周辺地図の表示態様としてナビゲーション装置1に設定された縮尺に基づいて地図画像の表示範囲83を特定し、案内切り換えポイントS及びEを設定する構成としている(図8、図9)が、その他のナビゲーション装置1における周辺地図の表示態様に基づいて地図画像の表示範囲83を特定し、案内切り換えポイントS及びEを設定する構成としても良い。尚、表示態様としては、自車位置を液晶ディスプレイ45の画面中央に位置する状態で車両周辺の地図を真上からの視点で表示する表示態様以外に、斜め上方を視点とした鳥瞰図による表示態様や、画面を2画面に分割した表示態様等がある。
【0077】
また、本実施形態ではS13においてCPU71は、車両の現在位置に関する情報と前記S7で設定された案内切り換えポイントEの情報を含む案内情報要求を地図配信センタ3へと送信しているが、車両の現在位置の代わりに案内切り換えポイントSの情報を送信する構成としても良い。具体的には、前記S9において車両が案内切り換えポイントSの所定距離手前の地点に到達したか否かを判定し、案内切り換えポイントSの所定距離手前の地点に到達したと判定された場合において、案内切り換えポイントS及びEの情報を含む案内情報要求を地図配信センタ3へと送信する。そして、該案内情報要求を受信した地図配信センタ3は、車両が案内切り換えポイントSからEまで走行する際においてナビゲーション装置1で出力される案内画像や案内音声を案内情報として生成し、ナビゲーション装置1へと送信するように構成する。
【符号の説明】
【0078】
1 ナビゲーション装置
2 地図情報配信システム
3 地図配信センタ
4 車両
20 サーバ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
61 ナビ側地図情報DB
62 ナビ地図情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、
地図情報が記憶された地図情報記憶媒体と、
通信可能に接続された地図配信センタから配信された地図更新情報に基づいて、前記地図情報記憶媒体に記憶された前記地図情報を更新する地図情報更新手段と、
前記地図情報記憶媒体に記憶された前記地図情報を用いた第1案内を行う地図情報案内手段と、を有する地図情報案内装置において、
前記地図情報更新手段により前記地図情報の更新を行う場合に、更新を行う更新対象エリアを特定する更新対象エリア特定手段と、
前記車両の走行予定経路を取得する走行予定経路取得手段と、
前記走行予定経路取得手段により取得された前記走行予定経路に基づいて前記車両が前記更新対象エリアを通過すると判定された場合に、前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新手段による前記地図情報の更新が完了しているか否かを判定する更新完了判定手段と、
前記地図情報案内手段は、前記更新完了判定手段によって前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新手段による前記地図情報の更新が完了していないと判定された場合に、該更新対象エリアの案内を前記第1案内から前記地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内へと切り換えて行うことを特徴とする地図情報案内装置。
【請求項2】
前記地図情報案内手段は、前記車両周辺の地図を設定されている表示態様で画像表示装置に表示することにより前記地図情報に基づく案内を行い、
前記設定されている表示態様に基づいて前記第1案内と前記第2案内とを切り換える切換地点を設定する切換地点設定手段を有し、
前記地図情報案内手段は、前記切換地点設定手段によって設定された前記切換地点と車両の位置とに基づいて前記第1案内と前記第2案内との切り換えを行うことを特徴とする請求項1に記載の地図情報案内装置。
【請求項3】
通信可能に接続された地図配信センタから配信された地図更新情報に基づいて、地図情報記憶媒体に記憶された地図情報を更新する地図情報更新ステップと、
前記地図情報記憶媒体に記憶された前記地図情報を用いた第1案内を行う地図情報案内ステップと、
前記地図情報更新ステップにより前記地図情報の更新を行う場合に、更新を行う更新対象エリアを特定する更新対象エリア特定ステップと、
前記地図情報記憶媒体が搭載された車両の走行予定経路を取得する走行予定経路取得ステップと、
前記走行予定経路取得ステップにより取得された前記走行予定経路に基づいて前記車両が前記更新対象エリアを通過すると判定された場合に、前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新ステップによる前記地図情報の更新が完了しているか否かを判定する更新完了判定ステップと、
前記更新完了判定ステップによって前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新ステップによる前記地図情報の更新が完了していないと判定された場合に、前記地図情報案内ステップによる該更新対象エリアの案内を前記第1案内から前記地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内へと切り換える案内切換ステップと、を有することを特徴とする地図情報案内方法。
【請求項4】
コンピュータに搭載され、
通信可能に接続された地図配信センタから配信された地図更新情報に基づいて、地図情報記憶媒体に記憶された地図情報を更新する地図情報更新機能と、
前記地図情報記憶媒体に記憶された前記地図情報を用いた第1案内を行う地図情報案内機能と、
前記地図情報更新機能により前記地図情報の更新を行う場合に、更新を行う更新対象エリアを特定する更新対象エリア特定機能と、
前記地図情報記憶媒体が搭載された車両の走行予定経路を取得する走行予定経路取得機能と、
前記走行予定経路取得機能により取得された前記走行予定経路に基づいて前記車両が前記更新対象エリアを通過すると判定された場合に、前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新機能による前記地図情報の更新が完了しているか否かを判定する更新完了判定機能と、
前記更新完了判定機能によって前記車両が前記更新対象エリアに到達する時に前記地図情報更新機能による前記地図情報の更新が完了していないと判定された場合に、前記地図情報案内機能による該更新対象エリアの案内を前記第1案内から前記地図配信センタが作成した案内情報を用いた第2案内へと切り換える案内切換機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−33431(P2011−33431A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178699(P2009−178699)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】