地図表示装置およびナビゲーション装置
【課題】複数の探索経路の出発地周辺及び目的地周辺を拡大して表示する地図表示装置及びナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】道路地図が表示される領域を分割して、出発地、目的地を含むセル以外のセル111を設定する。次にセル111に存在するリンク112のY方向成分113とセルY方向長さ115から、リンク112のX方向の混み具合を示すX方向の稠密度を算出し、セル111に存在するリンク112のX方向成分114とセルX方向長さ116から、リンク112のY方向の混み具合を示すY方向の稠密度を算出する。同様にして、出発地、目的地を含むセル以外の他のセルのX方向の稠密度及びY方向の稠密度を算出し、出発地、目的地を含むセルのX方向の稠密度及びY方向の稠密度を他のセルのX方向の稠密度及びY方向の稠密度の最大値の1.5倍とする。そして、X方向の稠密度とY方向の稠密度に基づいてセル111の縮尺を変更する。
【解決手段】道路地図が表示される領域を分割して、出発地、目的地を含むセル以外のセル111を設定する。次にセル111に存在するリンク112のY方向成分113とセルY方向長さ115から、リンク112のX方向の混み具合を示すX方向の稠密度を算出し、セル111に存在するリンク112のX方向成分114とセルX方向長さ116から、リンク112のY方向の混み具合を示すY方向の稠密度を算出する。同様にして、出発地、目的地を含むセル以外の他のセルのX方向の稠密度及びY方向の稠密度を算出し、出発地、目的地を含むセルのX方向の稠密度及びY方向の稠密度を他のセルのX方向の稠密度及びY方向の稠密度の最大値の1.5倍とする。そして、X方向の稠密度とY方向の稠密度に基づいてセル111の縮尺を変更する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索の結果による複数の探索経路を表示する地図表示装置およびナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地図情報の表示を行う際に、基準点付近は大縮尺で表示して、基準点から離れた周辺領域は小縮尺で表示する地図情報表示装置が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−15956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されている地図情報表示装置であると、基準点付近しか大縮尺で表示しない。このため、出発地と目的地とを同時に大縮尺で表示することができず、出発地周辺と目的地周辺の詳細情報とを同時に取得することができないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項の発明は、探索経路の出発地および目的地と、出発地および目的地とを結ぶ複数の探索経路とを表示モニタに表示する地図表示装置において、出発地の近傍領域および目的地の近傍領域を、他の箇所に比べて拡大して表示することを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の地図表示装置において、表示モニタで表示される道路地図上において、出発地の近傍領域以外の領域および目的地の近傍領域以外の領域で、複数の探索経路が混み合っている箇所を検出する検出手段と、検出手段により混み合っていることが検出された箇所の複数の探索経路を、出発地の近傍領域以外の領域および目的地の近傍領域以外の領域の他の箇所の探索経路に比べて部分的に拡大し、出発地の近傍領域および目的地の近傍領域を、さらに大きく拡大する拡大手段と、部分的に拡大した探索経路と拡大しない探索経路とにより、表示モニタ上に複数の探索経路を表示する表示データを生成する表示データ作成手段とを備えることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載の地図表示装置において、検出手段は、道路地図を所定の領域に分割する領域分割手段と、領域分割手段によって分割した各分割領域のうちの出発地の近傍領域以外の領域および目的地の近傍領域以外の領域に存在する探索経路を構成するリンクの稠密度を算出する稠密度算出手段と、出発地の近傍領域および目的地の近傍領域のリンクの稠密度を、稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する出発地目的地稠密度算出手段とを備え、拡大手段は、稠密度算出手段および出発地目的地稠密度算出手段によって算出された稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを拡大することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載の地図表示装置において、稠密度算出手段は、各分割領域のうちの出発地の近傍領域以外の領域および目的地の近傍領域以外の領域におけるリンクの第1の方向の稠密度を算出する第1の稠密度算出手段と、出発地の近傍領域および目的地の近傍領域の第1の方向の稠密度を、第1の稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する第1の出発地目的地稠密度算出手段と、各分割領域のうちの出発地の近傍領域以外の領域および目的地の近傍領域以外の領域におけるリンクの第2の方向の稠密度を算出する第2の稠密度算出手段と、出発地の近傍領域および目的地の近傍領域の第2の方向の稠密度を、第2の稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する第2の出発地目的地稠密度算出手段とを備え、拡大手段は、第1の稠密度算出手段および第1の出発地目的地稠密度算出手段によって算出された第1の方向の稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを第1の方向に拡大し、第2の稠密度算出手段および第2の出発地目的地稠密度算出手段によって算出された第2の方向の稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを第2の方向に拡大することを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載の地図表示装置において、領域分割手段は、互いに直交する第1の方向の第1の線分と第2の方向の第2の線分によって所定の間隔で所定の領域に道路地図を分割し、第1の稠密度算出手段は、分割領域における各探索経路のリンクを第2の線分へそれぞれ投影したときの投影長の和である第1の投影長を算出して、分割領域を構成する第2の線分の長さに対する第1の投影長の割合を第1の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、第2の稠密度算出手段は、分割領域における各探索経路のリンクを第1の線分へそれぞれ投影したときの投影長の和である第2の投影長を算出して、分割領域を構成する第1の線分の長さに対する第2の投影長の割合を第2の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、拡大手段は、第2の方向に並んでいる各分割領域の第1の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、第2の方向に並んでいる各分割領域の第1の方向の大きさを変更するとともに、第1の方向に並んでいる各分割領域の第2の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、第1の方向に並んでいる各分割領域の第2の方向の大きさを変更することを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項4に記載の地図表示装置において、領域分割手段は、互いに直交する第1の方向の第1の線分と第2の方向の第2の線分によって所定の間隔で所定の領域に道路地図を分割し、第1の稠密度算出手段は、分割領域における各探索経路のリンクを第2の線分へ投影したときの投影長の和である第1の投影長を算出して、分割領域を構成する第2の線分に対する第1の投影長の割合を第1の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、第2の稠密度算出手段は、分割領域における各探索経路のリンクを第1の線分へ投影したときの投影長の和である第2の投影長を算出して、分割領域を構成する第1の線分に対する第2の投影長の割合を第2の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、拡大手段は、第2の方向に並んでいる各分割領域の第1の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、第2の方向に並んでいる各分割領域内に表示されている表示対象の表示位置を第1の方向に変更する第1のスケーリング関数を作成するとともに、第1の方向に並んでいる各分割領域の第2の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、各第1の方向に並んでいる各分割領域内に表示されている表示対象の表示位置を第2の方向に変更する第2のスケーリング関数を作成し、第1のスケーリング関数に基づいて分割領域の第1の方向の大きさを変更し、第2のスケーリング関数に基づいて分割領域の第2の方向の大きさを変更することを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の地図表示装置において、道路地図上の探索経路を簡略化した要約地図を作成する要約地図作成手段をさらに備え、検出手段と拡大手段は、作成された要約地図に対してそれぞれの処理を実行することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項7に記載の地図表示装置において、要約地図作成手段は、探索経路のそれぞれのリンクの両端点の位置を固定してリンクの形状を簡略化することにより要約地図を作成することを特徴とする。
(9)請求項9の発明は、請求項8に記載の地図表示装置において、要約地図作成手段は、リンク上に予め設定された点のいずれかを保存点として選択し、その保存点と両端点の位置をそれぞれ固定して、リンクの形状を簡略化することにより要約地図を作成することを特徴とする。
(10)請求項10の発明は、請求項8または9に記載の地図表示装置において、要約地図作成手段は、リンク上に予め設定された点のいずれかを選択する点選択手段と、点選択手段により選択された点と両端点の各々とを順に結ぶ複数の第2の線分を設定する線分設定手段と、線分設定手段により設定された第2の線分の各々が予め決められた所定の方向に対してなす角度が、予め設定された所定の単位角度の整数倍となるように、第2の線分の各々の方向を補正する方向補正手段と、方向補正手段により方向を補正された第2の線分の各々を延長したときの交点を求める交点検出手段と、交点検出手段により検出された交点と、両端点のいずれか一方または選択された点のいずれかとを結ぶように、第2の線分の各々の長さを補正する長さ補正手段とをさらに備え、点選択手段は、リンク上に予め設定された点のうち、両端点と選択された点との間をそれぞれ結ぶ第3の線分から最も遠くにある点をさらに選択し、要約地図作成手段は、長さ補正手段により長さを補正された第2の線分の各々を用いてリンクの形状を簡略化することにより、要約地図を作成することを特徴とする。
(11)請求項11の発明のナビゲーション装置は、請求項1乃至10のいずれかに記載の地図表示装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の地図表示装置およびナビゲーション装置によれば、表示モニタ上に、出発地周辺および目的地周辺を拡大した複数本の探索経路を表示することができる。このため、複数の探索経路が集中する出発地周辺や目的地周辺の探索経路を確実に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、設定された目的地までの経路を複数探索して、各経路の全体について、通常の地図を基に道路形状などを簡略化することにより、通常の地図を要約した地図(以下、要約地図という)を作成して表示する。そして、表示した複数の経路のうち1つをユーザに選択させ、その経路を探索経路として自車両を目的地まで案内する。図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、およびディスクドライブ18を有している。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路11において後で説明するような処理を実行することによって、設定された目的地に対してDVD−ROM19に記録された地図データに基づいて複数の経路が探索され、各経路の全体について要約地図が作成されて、それぞれ表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方位を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された自車両の現在地に基づいて、探索経路を探索するときの経路探索開始点を決定することができる。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、要約地図を画像表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、制御回路11において、DVD−ROM19に記録されている地図データに基づいて作成される。この画像メモリ15に格納された画像データを用いて、各経路の全体の要約地図が表示モニタ16に表示される。
【0010】
入力装置17は、ユーザが目的地の設定などを行うための各種入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、地名や地図上の位置を指定して目的地を設定し、その目的地までの経路探索をナビゲーション装置1に開始させることができる。
【0011】
ディスクドライブ18は、要約地図を作成するために用いられる地図データを、装填されたDVD−ROM19より読み出す。なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。この地図データには、複数の経路を演算するために用いられる経路計算データや、交差点名称、道路名称など、ユーザに選択された探索経路に従って自車両を目的地まで案内するために用いられる経路誘導データ、道路を表す道路形状データ、さらには海岸線や河川、鉄道、地図上の各種施設(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなどが含まれている。
【0012】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、各道路は所定の道路区間ごとに設定された複数のリンクによって構成されている。なお、リンクによって設定される道路区間の長さは異なっており、リンクの長さは一定ではない。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。また、リンク内にはノードとノードの間に形状補間点と呼ばれる点が設定されていることもある。形状補間点もノードと同じく、それぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードと形状補間点の位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。経路計算データには、道路データと同様のノードとリンクや、ノードに接続されるリンクの情報などが含まれる。また、上記の各リンクに対応して、自車両の通過所要時間を表すためのリンクコストと呼ばれる値が設定されている。
【0013】
前述のように入力装置17におけるユーザの操作によって目的地が設定されると、制御回路11において図2に示すフローチャートが実行される。これにより、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、設定された目的地までの経路演算が経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより行われ、目的地までの複数の経路が求められる。そして、こうして求められた各経路の全体の要約地図が道路データに基づいて作成され、表示モニタ16に表示される。
【0014】
図2のフローチャートについて以下に説明する。ステップS100では、ユーザに入力された目的地により、経路探索の目的地を設定する。ステップS200では、経路探索開始点である自車両の現在地から、ステップS100において設定された目的地まで、複数の経路を探索する。このとき、前述したように経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより経路演算が行われる。なお、自車両の現在地は現在地検出装置14によって一定時間ごとに求められる。
【0015】
なお、ステップS200では複数の経路を探索するために、様々な経路探索条件によって経路探索を行う。たとえば、有料道路優先や一般道路優先、距離優先などの経路探索条件によって経路探索を行い、それぞれの条件で最適な経路を求めることにより、複数の経路を探索する。あるいは、1つの経路探索条件によって最適経路以外の経路も探索することで、複数の経路を探索するようにしてもよい。たとえば、目的地までのリンクコストの合計が最も小さいものを最適経路とし、さらにその最適経路とリンクコストの合計の差が所定値以内である経路も含めて経路探索結果を求めることにより、1つの経路探索条件で複数の経路を探索することができる。
【0016】
ステップS300では、海岸線抽出処理を実行する。ここでは、ステップS800の海岸線描画処理を実行するために必要な前処理として、ステップS200で探索された各経路から所定の範囲内にある海岸線の形状を抽出する。なお、この海岸線抽出処理は必要に応じて実行すればよく、実行しなくても構わない。本発明では、ここでの処理内容は直接関係がないため、詳しい説明を省略する。
【0017】
ステップS400では、リンク簡潔化処理を実行する。ここでは、ステップS500の要約地図作成処理において正しく処理を実行できるようにするための前処理として、ステップS200で探索された各経路のリンクを簡潔化する処理を行う。具体的には、接近しているリンク同士を統合して1つのリンクで表す処理(接近リンク統合処理)、微小なリンクを除去する処理(微小リンク除去処理)、および、隣の点との間隔が微小な形状補間点を除去する処理(微小間隔中間点除去処理)を各経路に対して実行する。なお、このリンク簡潔化処理は必要に応じて実行すればよく、実行しなくても構わない。本発明では、ここでの処理内容は直接関係がないため、詳しい説明を省略する。
【0018】
ステップS500では、ステップS200で探索され、さらに必要に応じてステップS400のリンク簡潔化処理が行われた各経路に対して、要約地図作成処理を実行する。この要約地図作成処理によって、各経路の全体、すなわち現在地から目的地までを表す各経路が要約された要約地図が作成される。このときの処理内容については、後で詳しく説明する。
【0019】
ステップS600では、縮尺変更処理を実行する。ここでは、ステップS500で作成された要約地図の縮尺を部分的に変更する処理を行う。たとえば、各経路の出発地、目的地周辺が拡大された縮尺に変更する。このようにすることによって、各経路の出発地周辺および目的地周辺が見やすくなるようにする。このときの処理内容については、後で詳しく説明する。
【0020】
ステップS700では、重複部分描画処理を実行する。ここでは、ステップS500で作成された要約地図に対して、2つ以上の経路が重なっている部分をそれぞれの経路が判別できるような表示形態で描画する処理を行う。たとえば、各経路を互いに少しずつずらして描画する。なお、この重複部分描画処理は必要に応じて実行すればよく、実行しなくても構わない。本発明では、ここでの処理内容は直接関係がないため、詳しい説明を省略する。
【0021】
ステップS800では、海岸線描画処理を実行する。ここでは、ステップS300で抽出された海岸線の形状に基づいて、経路から所定の範囲内にある海岸線を描画する処理を行う。なお、この海岸線描画処理は必要に応じて実行すればよく、実行しなくても構わない。本発明では、ここでの処理内容は直接関係がないため、詳しい説明を省略する。
【0022】
ステップS900では、ステップS500において作成され、さらに必要に応じてステップS600〜S800の処理が行われた各経路の要約地図を、表示モニタ16に表示する。このとき、出発地と目的地にはそれぞれ出発地マークと目的地マークを表示する。ステップS900を実行した後は、図2のフローチャートを終了する。以上説明したようにして、目的地までの複数の経路が探索されて、各経路の全体の要約地図が表示モニタ16に表示される。
【0023】
図2のフローチャートの処理を実行して各経路の全体の要約地図を表示モニタ16に表示したら、その後ナビゲーション装置1は、各経路のうち1つをユーザに選択するように指示する。ユーザが入力装置17を操作することによっていずれかの経路を選択すると、選択された経路を探索経路に設定して、現在地の周辺の道路地図を表示してその上に探索経路を示す。そして、この探索経路に従って自車両を誘導し、目的地まで案内する。なお、このとき現在地周辺の道路地図として、通常の地図と要約地図のどちらを表示してもよい。このときの要約地図も、図2のフローチャートと同様の処理によって作成することができる。
【0024】
次に、ステップS500において実行される要約地図作成処理の内容について説明する。要約地図作成処理では、方向量子化処理と呼ばれる処理を実行することによって各経路の道路形状を簡略化することにより、各経路の要約地図を作成する。この方向量子化処理について、以下に説明する。
【0025】
方向量子化処理では、各経路のリンクをそれぞれ所定の分割数で分割した上で、道路形状の簡略化を行う。図3および図4は、いずれもこの方向量子化処理の内容を説明するための詳細説明図であり、図3ではリンク分割数が2(2分割)の場合について、また図4ではリンク分割数が4(4分割)の場合について、それぞれの方向量子化処理の内容を図示している。以下、図3に示す2分割の場合より先に説明を行う。
【0026】
図3(a)の符号30は、探索された経路に含まれているリンクの1つを例示している。このリンク30に対して、(b)に示すように、その両端点の間を結ぶ線分31から最も遠くにあるリンク30上の点32を選択する。なお、ここで選択される点32は、前述のノードまたは形状補間点に相当する。
【0027】
上記のような点32が求められたら、次に(c)に示すように、リンク30の両端点のそれぞれと点32とを結ぶ線分33および34を設定する。この線分33と34がそれぞれの基準線に対してなす角度をθ1およびθ2と表す。なお、ここでいう基準線とは、リンク30の両端点から予め決められた所定の方向(たとえば、真北方向)に向かって、それぞれ延びている線のことである。(c)に示すように、一方の端点からの基準線と線分33によって挟まれている部分の角度が、θ1と表される。また、もう一方の端点からの基準線と線分34によって挟まれている部分の角度が、θ2と表される。
【0028】
上記のようにして点32とリンク30の両端点とをそれぞれ結ぶ線分33、34が設定されたら、次に(d)に示すように、この線分33と34の方向をそれぞれ量子化する。ここでいう方向の量子化とは、予め設定された単位角度の整数倍に前述の角度θ1およびθ2がそれぞれなるように、線分33と34を各端点を中心にしてそれぞれ回転させることをいう。すなわち、θ1=m・Δθ、θ2=n・Δθ(n、mは整数)となるように、線分33と34をそれぞれ回転させてθ1とθ2の値を補正する。このときのmおよびnの値は、上記式によって計算される補正後のθ1とθ2がそれぞれ元の値に最も近くなるように設定される。
【0029】
以上説明したように線分33と34の方向をそれぞれ量子化すると、線分33と34が基準線となす角度θ1およびθ2が、単位角度Δθ刻みで補正される。なお図4(d)では、Δθ=15°としている。そして、θ1についてはm=6と設定して補正後の角度を90°にし、θ2についてはn=0と設定して補正後の角度を0°にした例を図示している。
【0030】
こうして線分33と34の方向をそれぞれ量子化したら、次に線分33と34をそれぞれ延長したときの交点を求める。そして、その交点と各端点とを結ぶようにして、(d)に示すように、線分33と34の長さをそれぞれ補正する。
【0031】
以上説明したようにして、線分33と34を求め、これらの方向を量子化すると共に長さを補正することによって、リンク30に対する2分割の場合の方向量子化処理が行われる。この線分33と34をリンク30の代わりに用いることで、リンク30の形状を簡略化して表すことができる。このとき、リンク30の両端点の位置が固定された状態でリンク30の形状が簡略化されるため、隣接するリンクの位置には影響を及ぼさない。したがって、方向量子化処理を用いて経路の各リンク形状をそれぞれ簡略化することにより、経路の全体的な位置関係を保ちつつ、その道路形状を容易に簡略化することができる。
【0032】
次に、4分割の場合の方向量子化処理について説明する。図4(a)の符号40は、図3(a)と同様に、探索された経路に含まれているリンクの1つを例示している。このリンク40に対して、(b)に示すように、まずその両端点の間を結ぶ線分41aから最も遠くにあるリンク40上の点42aを選択する。次に、その点42aとリンク40の各端点とをそれぞれ結ぶ線分41bおよび41cを設定し、この線分41bと41cからそれぞれ最も遠く離れた位置にあるリンク40上の点42bおよび42cを選択する。なお、ここで選択される点42a〜42cは、いずれも2分割の場合と同様に前述のノードまたは形状補間点に相当する。
【0033】
上記のような点42a〜42cが求められたら、次に(c)に示すように、2分割の場合と同様にして、リンク40の各端点と点42a〜42cとをそれぞれ順に結ぶ線分43、44、45および46を設定する。この線分43〜46がそれぞれの基準線に対してなす角度を、θ3、θ4、θ5およびθ6と表す。なお、このときの基準線はリンク40の両端点に対して定められるだけでなく、点42a〜42cのうち真ん中に位置する最初に選択された点42aに対しても定められる。
【0034】
上記のようにして線分43〜46が設定されたら、次に(d)に示すように、各線分の方向をそれぞれ量子化する。このとき、点42aを保存点として、線分44と45はこの保存点42aを中心にそれぞれ回転させる。なお、線分43と46については、2分割の場合と同様に各端点を中心にそれぞれ回転させる。ここでは、Δθ=15°と予め設定し、θ3〜θ6の補正後の角度をそれぞれ60°、45°、180°および60°とした例を図示している。
【0035】
こうして線分43〜46の方向をそれぞれ量子化したら、次に線分43と44をそれぞれ延長したときの交点と、線分45と46をそれぞれ延長したときの交点とを求める。そして、各交点と各端点または保存点42aとを結ぶようにして、(d)に示すように、線分43〜46の長さをそれぞれ補正する。
【0036】
以上説明したようにして、線分43〜46を求め、これらの方向を量子化すると共に長さを補正することによって、リンク40に対する4分割の場合の方向量子化処理が行われる。この線分43〜46をリンク40の代わりに用いることで、リンク40の形状を簡略化して表すことができる。このとき、リンク40の両端点の位置に加えて、さらに保存点42aの位置も固定された状態で、リンク40の形状が簡略化される。したがって、複雑な形状のリンクによって構成されている経路に対しても、その全体的な位置関係を保ちつつ適切に道路形状を簡略化することができる。
【0037】
なお、上記では2分割と4分割の場合の方向量子化処理について説明したが、これ以外の分割数についても同様にして方向量子化処理を実行することができる。たとえば8分割の場合には、まず4分割の場合と同様に、リンクの両端点の間を結ぶ線分から最も遠い1点と、その点と両端点とを結ぶ2つの線分からそれぞれ最も遠い2点を選択する。その後、さらにこれらの3点に両端点を加えた各点間を結ぶ4つの線分からそれぞれ最も遠い4点を選択する。こうして選択された合計7点と両端点とを順に結ぶ8つの線分を求め、これらの線分に対して前述したような方向の量子化と長さの補正を行うことによって、方向量子化処理を行うことができる。
【0038】
方向量子化処理の分割数をいくつにするかは、予め設定しておいてもよいし、あるいはリンクの形状によって判断してもよい。たとえば、上記のようにして両端点またはそれまでに選択された点の間を結ぶ各線分から最も遠い点を順次選択していくとき(図3および4の(b)で説明した処理)において、各線分から最も遠い点までの距離が所定値以下となるまで順次選択していく。このようにすれば、リンクの形状によって方向量子化処理の分割数を決めることができる。
【0039】
以上説明したような方向量子化処理を各経路の全てのリンクに対して順次実行していくことにより、各経路の道路形状を簡略化して要約地図を作成することができる。なお、リンクの1つ1つに対して方向量子化処理を順次実行するのではなく、いくつかのリンクを合わせて方向量子化処理をまとめて実行してもよい。
【0040】
または、ステップS500の要約地図作成処理において、上記の方向量子化処理を実行せずに各経路の道路形状を簡略化することもできる。ここでは、各リンク形状を曲線で近似することによって各経路の道路形状を簡略化する方法を、図5を参照して説明する。
【0041】
図5(a)には、探索された経路に含まれるリンクの一部として、リンク50、51および52を例示している。これらのリンク50〜52に対して、まず(b)に示すように各リンクの両端点において量子化したリンク方向を求める。ここでは、前述の方向量子化処理において各線分の方向の量子化を行ったのと同様にして、元の角度に最も近くて単位角度の整数倍となるようなリンク方向を求める。その結果、(b)において矢印で示されているようなリンク方向が各端点に対して求められる。
【0042】
次に、(c)に示すように各端点の間を結ぶ曲線53、54および55を求めることにより、各リンクの形状を曲線近似する。このとき、各曲線の端点付近における接線の方向が上記の量子化したリンク方向と一致するように、曲線53〜55の形状がそれぞれ決定される。なお、このような曲線を求める方法としては、たとえばスプライン関数を用いたスプライン近似などがあるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0043】
以上説明したような処理を各経路の全てのリンクに対して順次実行していき、求められた曲線を用いて道路形状を表すことにより、各経路の道路形状を簡略化して要約地図を作成することができる。このときも方向量子化処理の場合と同様に、各リンクの両端点の位置が固定された状態で各リンクの形状が簡略化される。したがってこの場合にも、経路の全体的な位置関係を保ちつつ、その道路形状を容易に簡略化することができる。
【0044】
方向量子化処理が行われた経路はRAM13において記憶される。次に、RAM13に記憶され経路のデータ形式について説明する。4分割の場合の方向量子化処理が行われたリンクを例にして説明する。ここでは、リンク40は経路の一部を構成しているものとする。図6(a)は、方向量子化処理が行われる前のリンク40のノード61,62と形状補間点64〜69,610〜613とを示したものである。一方、図6(b)は、方向量子化処理が行われた後のリンク40のノード61,62と形状補間点42a〜42cとを示したものである。方向量子化処理が行われた後の図6(b)のリンク40は、形状補間点42a〜42bの数が3つであるのに対し、方向量子化処理が行われる前の図6(a)のリンク40は、形状補間点64〜69,610〜613の数が11である。これより、方向量子化処理を行うことによって形状補間点の数が少なくなり、形状補間点が間引かれる。
【0045】
方向量子化処理が行われたリンク40は、図7(a)に示すノードデータ形式、図7(b)に示すリンクデータ形式、図7(c)に示す経路データ形式によってRAM13に記憶される。図7(a)に示すノードデータ形式とは、DVD−ROM19に地図データとして記憶されている各ノードのノードIDとそのノードの方向量子化処理が行われた後の座標位置とを記憶する形式である。図7(a)では、図6におけるノード61のノードIDとして、符号「61」がRAM13に記憶され、また、ノード61の座標(X1,Y1)がRAM13に記憶される。
【0046】
図7(b)で示すリンクデータ形式とは、DVD−ROM19に地図データとして記憶されている各リンクのリンクIDとして符号「40」と、そのリンクの始点ノード61と終点ノード62のノードIDとして符号「61」、「62」とが記憶される形式である。また、リンクデータ形式では、リンク40上の形状補間点42a〜42cの数とそれぞれの位置(Xb,Yb),(Xa,Ya),(Xc,Yc)も記憶される。
【0047】
図7(c)で示す経路データ形式とは、方向量子化処理が行われた各経路に識別記号(経路ID)を付与して、そして経路IDごとにその経路を構成するリンクの数とリンクIDとが記憶される形式である。ここでは、リンク40が含まれる経路の経路IDをR1とする。RAM13には、経路R1の経路IDであるR1と、その経路を構成するリンクの数nと、経路R1を構成する各リンクのIDとしてL1〜LnとがRAM13に記憶される。
【0048】
次に、図2のステップS600の縮尺変更処理について説明する。まず、ステップS600の縮尺変更処理をした後の要約地図を、縮尺変更処理をする前の要約地図と比較して説明する。図8(a)、(b)は、ステップS600の縮尺変更処理をする前の要約地図81と、ステップS600の縮尺変更処理をした後の要約地図82とをそれぞれ示したものである。要約地図81,82はナビゲーション装置1の経路探索を行った後、全経路表示で、複数経路を表示させた要約地図である。要約地図81,82には、出発地83から目的地84までをつなぐ5つの探索経路85,86,87,88および89が示されている。
【0049】
縮尺変更処理前の要約地図81の出発地83の周辺では、探索経路が85〜89が混み合っているので、探索経路85〜89が全て同じ道路を通過して地点810で別々の道路に分岐しているように見える。また、目的地84の周辺では、探索経路85〜87は全て同じ道路を通過しているように見える。そこで、この実施の形態では、出発地83の周辺および目的地84の周辺の縮尺率を変更し、拡大して表示する。すなわち、図8(b)に示すように、縮尺変更処理後の要約地図82の出発地83の周辺では、地点811で探索経路85および探索経路86と、探索経路87および探索経路88と、探索経路89とが分岐しており、地点812で探索経路85と探索経路86とが分岐しており、地点813で,探索経路87と探索経路88とが分岐していることがわかる。また、目的地84の周辺では、探索経路85と探索経路86とが同じ道路を通過しており、探索経路87は別の道路を通過していることがわかる。
【0050】
次に、出発地周辺および目的地周辺を拡大する縮尺変更処理の処理過程について図9のフローチャートを参照して説明する。図9の処理は、ステップS500の要約地図作成処理が完了するとスタートするプログラムを制御部11で実行して行われる。ステップS601では、表示モニタに表示される道路地図の領域(以下、地図領域と呼ぶ)を格子状に分割する。ステップS602では、RAM13に記憶されているステップS500の要約地図作成処理後のノードデータおよびリンクデータより、各セルを通過する探索経路を構成するリンクが検出される。次にステップS603では、格子状に分割された各セルのうちの出発地、目的地が含まれるセルを除いた各セルに存在するリンクの長さから、X方向、Y方向の稠密度を算出する。そして、ステップS604では、出発地、目的地が含まれるセルのX方向、Y方向の稠密度を他のセルのX方向、Y方向の稠密度のうちの最大値の1.5倍にする。
【0051】
ステップS605では、各セルのX方向稠密度ピーク値およびY方向稠密度ピーク値を検出する。ステップS606では、X方向稠密度ピーク値およびY方向稠密度ピーク値から各セルの大きさを変更する。そしてステップS607において、各セルの大きさ変更後の道路地図が表示されるように、RAM13に記憶されている図7に示す形式の探索経路のデータを更新する。以上のようにして、各セルのリンク密度に基づいて縮尺変更処理がなされる。
【0052】
次に、図9の各ステップについて詳細に説明する。
ステップS601で実行する処理について、図10を参照して説明する。図10は、ステップS500で要約地図作成処理がなされた探索経路K1と探索経路K2とを地図領域101上で格子状に分割して示す図である。ここで、探索経路K1およびK2は出発地をOとし、目的地をDとする。
【0053】
はじめに図示のX方向へ向かって所定の間隔で、セグメントライン102a〜102dを設定する。同様に、X方向と直角をなすY方向へ向かって所定の間隔にセグメントライン103a〜103dを設定する。セグメントライン同士の間隔は等間隔であり、セグメントライン102a,102d,103a,103dと地図領域101の範囲を示す地図領域枠104との間隔は、セグメントラインの間隔の1/2に設定する。本発明の実施形態では、図示X方向、Y方向にそれぞれ4本ずつセグメントラインを設定する。セグメントラインで囲まれた領域またはセグメントラインと地図領域枠104で囲まれた領域がセルとなる。図10の左下隅のセル105をセル(0,0)として基準とする。そしてセル(0,0)からX軸方向に向かってi列目、Y軸方向に向かってj行目のセルをセル(i,j)とする。たとえばセル106はセル(3,3)となる。
【0054】
ステップS603で実行するX,Y方向の稠密度算出法について、図11を参照して説明する。図11は、セル111にリンク112が通過している様子を示した図である。ここでは、セル111を通過しているリンク112のY成分113、つまりリンク112をY方向セグメントラインに投影したときの投影長を検出し、そのY成分113、つまりその投影長をセルY方向長さ115で割ることによってX方向の稠密度が算出される。また、セル111を通過しているリンク112のX成分114、つまりリンク112をX方向セグメントラインに投影したときの投影長を検出し、そのX成分114、つまりその投影長をセルX方向長さ116で割ることによってY方向の稠密度が算出される。
【0055】
複数のリンクが通過しているセルの場合は、それぞれのリンクの稠密度を算出して、その値の合計をそのセルにおけるX方向、Y方向の稠密度とする。このため、複数の探索経路で混み合っている領域はリンクが密集しているため、X方向、Y方向の稠密度が大きくなる。よって、各セルの稠密度を算出することによって探索経路が混み合っている箇所を検出することができる。このような稠密度とは別の概念により探索経路が混み合っている箇所を検出してもよい。
【0056】
図11で設定した図10における出発地Oおよび目的地Dが含まれるセルを除いた各セルのX方向の稠密度およびY方向の稠密度を図12に示す。図12(a)は図10における各セルのX方向の稠密度を示す。図12(b)は図10におけるY方向の稠密度を示す。単位はパーセント(%)である。
【0057】
また、出発地Oおよび目的地Dが含まれるセル以外のセルのうちのX方向の稠密度の最大値が100%であり、Y方向の稠密度の最大値が100%である。このため、ステップS604により、図12(a)の出発地Oが含まれるセル121のX方向の稠密度は150%となり、図12(b)の目的地Dが含まれるセル122のY方向の稠密度は150%となる。
【0058】
ステップS605で実行するX,Y方向稠密度ピーク値検出方法について、図13および図14を参照して説明する。X方向稠密度ピーク値とは、1つの列(Y方向)における各セルのX方向の稠密度のうちのその最大値をいう。また、Y方向稠密度ピーク値とは、1つの行(X方向)における各セルのY方向の稠密度のうちのその最大値をいう。
【0059】
図12(a)の地図領域101におけるX方向稠密度ピーク値を図13に示す。図13(a)のマトリックステーブル131は、各列のうちのX方向の稠密度の最大値を白抜きの数字で示したものである。図13(b)のマトリックステーブル132は、各列のX方向の稠密度の最大値を抜き出したものである。この最大値が各列におけるX方向稠密度ピーク値となる。12(b)の地図領域101におけるY方向稠密度ピーク値を図14に示す。図14(a)のマトリックステーブル141は、各行のうちのY方向の稠密度の最大値を白抜きの数字で示したものである。図14(b)のマトリックステーブル142は、各行のY方向の稠密度の最大値を抜き出したものである。この最大値がY方向稠密度ピーク値となる。
【0060】
ステップS606の各セルの拡大縮小の処理について説明する。i列目のX方向稠密度ピーク値をXP(i)、j行目のY方向稠密度ピーク値をYP(j)とすると、各セルのX方向およびY方向の大きさは次式により拡大及び縮小される。つまり、X方向稠密度ピーク値が大きいとセルはX方向に拡大され、Y方向稠密度ピーク値が大きいとセルはY方向に拡大される。
【0061】
(1)セル(i,j)のX軸方向の拡大縮小倍率BX(i,j)
【数1】
ただし
【数2】
ここでMは、各セルのX方向の大きさが拡大縮小されても、地図領域全体のX方向の大きさとしては変わらないようにするための係数である。
【0062】
(2)セル(i,j)のY軸方向の拡大縮小倍率BY(i,j)
【数3】
ただし
【数4】
ここでNは、各セルのY方向の大きさが拡大縮小されても、地図領域全体のY方向の大きさとしては変わらないようにするための係数である。
【0063】
まず、数式1によって、各セルのX方向の大きさを拡大縮小する。各セルのX方向の大きさが拡大縮小されると、各セルに含まれる探索経路のノードやリンクのX座標が変わる。このため各セルの拡大縮小処理に基づいて、RAM13に記憶されている探索経路のノードやリンクの座標も修正される。数式1によって地図領域101の各セルのX方向の縮尺を変更すると図15(a)になる。出発地Oが含まれるセル121および目的地Dが含まれるセル122のX方向の稠密度は大きいので、出発地Oが含まれるセル121と同じ列に存在するセルと、目的地Dが含まれるセル122と同じ列に存在するセルは他の列のセルよりX方向へ向かって大きく拡大される。
【0064】
次に数式2によって、各セルのY軸方向の大きさを拡大縮小する。各セルのY方向の大きさが拡大縮小されると、各セルに含まれる探索経路のノードやリンクのY座標が変わる。このため各セルの拡大縮小処理に基づいて、RAM13に記憶されている探索経路のノードやリンクの座標も修正される。数式2によってX方向拡大縮小処理後の地図領域101の各セルのY方向の大きさを変更すると図15(b)になる。出発地Oが含まれるセル121および目的地Dが含まれるセル122のY方向の稠密度は大きいので、出発地Oが含まれるセル121と同じ行に存在するセルと、目的地Dが含まれるセル122と同じ行に存在するセルは他の行のセルよりY方向へ向かって大きく拡大される。このようにして、出発地Oが含まれるセル121と目的地Dが含まれるセル122とは、他のセルに比べてX方向およびY方向へ向かって大きく拡大される。
【0065】
参考のため、地図領域101の各セルの大きさを変更する前と変更した後の地図領域101を比較すると図16になる。図16の実線は変更後の地図領域101であり、点線は変更前の地図領域101である。目的地を含むセル121と出発地を含むセル122とは3つの矢印で示すように他のセルに比べて拡大されていることがわかる。
【0066】
図7のデータ形式によってRAM13に記憶されている探索経路のデータは、各セルの大きさを変更した後のリンクやノードの位置などの情報により更新される。
【0067】
本発明の第1の実施形態におけるナビゲーション装置によれば、次のような作用効果が得られる。
(1)出発地周辺および目的地周辺のセルを他のセルよりも大きく拡大して表示することができる。このため、複数の探索経路が集中する出発地周辺や目的地周辺で、複数の探索経路が同一の道路を通過するものであるのか、別々の道路を通過するものであるのか区別することができる。特に要約地図として表示される複数の探索経路は、探索経路の形状が簡略化されており、複数の探索経路が同一の道路を通過しているか否かの判断が困難な場合が多いので特に効果が大きい。
(2)また、複数の探索経路が集中する出発地周辺や目的地周辺で、複数の探索経路が分岐する場合、その分岐点が拡大されて表示されるので、複数の探索経路のうちのどの探索経路がどこで分岐しているのか詳しく知ることができる。
(3)稠密度をX,Y方向それぞれについて算出してX,Y方向の混み具合に応じて拡大縮小したので、複数の経路をより合理的に分解表示できる。
(4)一般に出発地周辺では、目的地へ向かう主要道路に移動するために細街路を通過したり、交差点を右左折したりすることが多いため、出発地周辺の探索経路は複雑である。また、目的地周辺においても、主要道路から目的地に移動するために細街路を通過したり、交差点を右左折したりすることが多いため、目的地周辺の探索経路は複雑である。一方、出発地周辺以外および目的地周辺以外では、単に主要道路伝いに移動すればよいことが多いので、出発地周辺以外および目的地周辺以外の探索経路は、出発地周辺および目的地周辺の探索経路に比べて単純である。このため、本発明の実施形態では、出発地周辺および目的地周辺のセルを他のセルよりも大きく拡大して表示するので、探索経路が複雑である出発地周辺および目的地周辺を確実に把握することができる。特に複数の探索経路が表示される場合、出発地周辺および目的地周辺の探索経路の複雑さはさらに増すので、特に効果が大きい。
(5)Y方向に並んでいるセル全てのX方向の拡大縮小する倍率を等しくし、X方向に並んでいるセル全てのY方向の拡大縮小する倍率を等しくした。このため、各セルの拡大縮小によって探索経路が途中途切れて表示されることなく、出発地周辺および目的地周辺を含むセルを拡大して表示することができる。
(6)出発地周辺以外および目的地周辺以外の領域について、複数の経路の混み具合に応じて複数の探索経路を拡大して表示するようにしたので、複数の探索経路が同一の道路を通過するものであるのか、別々の道路を通過するものであるのか区別することができる。特に要約地図として表示される複数の探索経路は、探索経路の形状が簡略化されており、複数の探索経路が同一の道路を通過しているか否かの判断が困難な場合が多いので特に効果が大きい。
(7)また、出発地周辺以外および目的地周辺以外の領域について、複数の経路の混み具合に応じて複数の探索経路が分岐する分岐点の領域が拡大されて表示されるので、複数の探索経路が分岐点で分岐する方向などを詳しく知ることができる。
【0068】
次に、本発明の第2の実施形態による縮尺変更処理の手順を図17のフローチャートを参照して説明する。図17の処理は、ステップS500の要約地図作成処理が完了するとスタートするプログラムを制御部11で実行して行われる。第1の実施形態と同じ内容のステップには同じ番号を付し、説明を省略する。ステップS605において、X方向、Y方向の稠密度のピーク値を検出した後、ステップS1701では、後述するスケール関数を作成する。ステップS1702では、スケーリング関数を使用して探索経路など表示対象の座標を変更することによって、各セルの大きさを変更する。ステップS607では、変更した各セルの大きさを変更した後の道路地図を表示するようRAM13に記憶されている図7に示した探索経路のデータを更新する。以上のようにして、各セルのリンク密度に基づいて縮尺変更処理がなされる。
【0069】
次に、各ステップについて説明する。
ステップS1701では、地図領域41の縮尺を変更するスケール関数を次のように算出して作成する。まずX軸方向のスケール関数を作成する。
最初にセル(i,j)のX方向稠密度ピーク値の正規化を行い、セル(i,j)のスケーリング係数miを次式によって算出する。
【数5】
Mi:セル(i,j)のX方向稠密度ピーク値
μ:X方向稠密度ピーク値の平均
σ:X方向稠密度ピーク値の標準偏差
Wi:セル(i,j)のX方向の幅
α:スケール変化の強度を調整するパラメータ
【0070】
次に、セル(i,j)のスケーリング係数miより、セル(i,j)のスケーリング関数を作成する。
【数6】
xi<x≦xi+1:セル(i,j)におけるx座標
Si:xiまでの積分値
ただし、
i=0の場合
【数7】
i=Nの場合
【数8】
mi=mi+1の場合
【数9】
本発明の第2の実施形態ではN=4である。
同様にして、Y軸方向のスケール関数も作成する。
【0071】
ステップS1702で、X軸方向のスケーリング関数を使用して各セル(i,j)に表示されている表示対象の表示位置のX座標を変更(X→Z)することによって、各セル(i,j)のX方向の縮尺を変更する。同様にしてY軸方向のスケーリング関数を使用して各セル(i,j)に表示されている表示対象の表示位置のY座標を変更することによって各セル(i,j)のY方向の大きさを変更する。
【0072】
表示対象の表示位置の変更によって、探索経路のノードデータやリンクデータも変更されるので、RAM13に記憶されている探索経路のノードやリンクの座標も修正され、図7に示す形式の探索経路のデータは更新される。
【0073】
上記スケール関数を用いて地図の縮尺を変更すると、稠密度の大きい道路密集地点や交差点の縮尺が大きくなりわかりやすくなる。また、第1の実施形態では、拡大縮小された部分がセル間の境界で急に変わるが、スケール関数を用いると拡大縮小された部分が連続的に変わり、縮尺変更処理をした後の道路地図を見ても違和感が生じないという効果を奏する。
【0074】
このようなナビゲーション装置によれば、第1の実施形態と同様の作用効果のほかに、次のような作用効果が得られる。
(1)地図上の隣同士の領域間で縮尺が急に変わることがないので、乗員は、出発地お周辺よび目的地周辺が拡大されて表示される地図を違和感なく見ることができる。
【0075】
上記の実施形態では、ナビゲーション装置において、DVD−ROMなどの記憶メディアより地図データを読み出して要約地図を作成する例について説明しているが、本発明はこの内容には限定されない。たとえば、携帯電話などによる無線通信を用いて、地図データを情報配信センターからダウンロードする通信ナビゲーション装置などにおいても、本発明を適用できる。この場合、車載ナビゲーション装置から情報配信センターへ現在地と目的地を送信し、図2のステップS200〜S800の処理を情報配信センターにおいて行い、その結果を情報配信センターから信号出力してナビゲーション装置へ配信する。すなわち、情報配信センターは、とくに、複数の探索経路を探索する経路探索装置と、要約地図を作成する装置と、縮尺変更処理を行う装置と、その処理結果である要約地図を外部へ信号出力する装置とによって構成される。
【0076】
上記の実施の形態では、出発地、目的地が含まれるセルのX方向、Y方向の稠密度を他のセルのX方向、Y方向の稠密度のうちの最大値の1.5倍に設定しているが、出発地、目的地が含まれるセルのX方向、Y方向の稠密度が他のセルのX方向、Y方向の稠密度のうちの最大値より大きければ1.5倍に特に限定されない。また、出発地が含まれるセルのX方向、Y方向の稠密度と目的地が含まれるセルのX方向、Y方向の稠密度とが同じ値でなくてもよい。
【0077】
上記の実施の形態では、出発地、目的地周辺のセル以外のセルについても、稠密度を計算して拡大縮小したが、出発地、目的地周辺のみ拡大してもよい。この場合、稠密度を用いることなく、単純に出発地、目的地周辺を含むセルを拡大してもよい。
【0078】
上記の実施形態では、本発明の各手段を制御回路11において実行する図2のステップS600の縮尺変更処理によって実現しているが、本発明はこの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も、本発明の範囲内に含まれる。
【0079】
特許請求の範囲の要素と実施形態との対応関係を説明する。
本発明の出発地の近傍領域はセル121に対応し、目的地の近傍領域はセル122に対応する。第1の方向はX方向に対応し、第2の方向はY方向に対応する。第1の方向の第1の線分はセグメントライン103a〜103dに対応し、第2の方向の第2の線分はセグメントライン102a〜102dに対応する。分割領域はセル111に対応する。第1の投影長はY成分113に対応し、第2の投影長はX成分114に対応する。分割領域を構成する第2の線分の長さはセルY方向長さ116に対応し、分割領域を構成する第1の線分の長さはセルX方向長さ116に対応する。各第2の方向に並んでいる各分割領域の第1の割合のうちの最大値は、X方向稠密度ピーク値に対応し、各第1の方向に並んでいる各分割領域の第2の割合のうちの最大値は、Y方向稠密度ピーク値に対応する。第1のスケーリング関数はX方向のスケーリング関数に対応し、第2のスケーリング関数はY方向のスケーリング関数に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】設定された目的地まで複数の経路を探索して各経路の要約地図を表示するときに実行される処理のフローチャートである。
【図3】要約地図を作成するときに利用される2分割の場合の方向量子化処理の内容を説明するための図である。
【図4】同じく4分割の場合の方向量子化処理の内容を説明するための図である。
【図5】各リンク形状を曲線で近似することによって各経路の道路形状を簡略化する方法を説明するための図である。
【図6】(a)は4分割の場合の方向量子化処理が行われる前のリンク、ノード、形状補間点を示す図であり、(b)は4分割の場合の方向量子化処理が行われた後のリンク、ノード、形状補間点を示す図である。
【図7】RAMに記憶された方向量子化処理が行われた経路データの記憶形式を説明する図である。
【図8】(a)は縮尺変更処理をしない全経路表示画面を示す図であり、(b)は縮尺変更処理をした全経路表示画面を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の縮尺変更処理プロセスを示すフローチャートである。
【図10】グリッド状の地図領域の分割を説明する図である。
【図11】X方向およびY方向の稠密度を説明する図である。
【図12】(a)は地図領域における各セルのX方向の稠密度を示す図であり、(b)は各セルのY方向の稠密度を示す図である。
【図13】地図領域のX方向稠密度ピーク値を説明する図である。
【図14】地図領域のY方向稠密度ピーク値を説明する図である。
【図15】(a)はX方向稠密度ピーク値によって各セルのX方向の大きさを変更した図であり、(b)はY方向稠密度ピーク値によって各セルのY方向の大きさを変更した図である。
【図16】各セルの大きさを変更する前と変更した後のセルの大きさを比較した図である。
【図17】本発明の第2の実施形態の縮尺変更処理プロセスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 ディスクドライブ
19 DVD−ROM
30,40,50 リンク
61,62 ノード
85,86,87,88,89,K1,K2 探索経路
101 地図領域
102a〜102d,103a〜103d セグメントライン
105,106,121,122 セル
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索の結果による複数の探索経路を表示する地図表示装置およびナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地図情報の表示を行う際に、基準点付近は大縮尺で表示して、基準点から離れた周辺領域は小縮尺で表示する地図情報表示装置が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−15956号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されている地図情報表示装置であると、基準点付近しか大縮尺で表示しない。このため、出発地と目的地とを同時に大縮尺で表示することができず、出発地周辺と目的地周辺の詳細情報とを同時に取得することができないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項の発明は、探索経路の出発地および目的地と、出発地および目的地とを結ぶ複数の探索経路とを表示モニタに表示する地図表示装置において、出発地の近傍領域および目的地の近傍領域を、他の箇所に比べて拡大して表示することを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の地図表示装置において、表示モニタで表示される道路地図上において、出発地の近傍領域以外の領域および目的地の近傍領域以外の領域で、複数の探索経路が混み合っている箇所を検出する検出手段と、検出手段により混み合っていることが検出された箇所の複数の探索経路を、出発地の近傍領域以外の領域および目的地の近傍領域以外の領域の他の箇所の探索経路に比べて部分的に拡大し、出発地の近傍領域および目的地の近傍領域を、さらに大きく拡大する拡大手段と、部分的に拡大した探索経路と拡大しない探索経路とにより、表示モニタ上に複数の探索経路を表示する表示データを生成する表示データ作成手段とを備えることを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載の地図表示装置において、検出手段は、道路地図を所定の領域に分割する領域分割手段と、領域分割手段によって分割した各分割領域のうちの出発地の近傍領域以外の領域および目的地の近傍領域以外の領域に存在する探索経路を構成するリンクの稠密度を算出する稠密度算出手段と、出発地の近傍領域および目的地の近傍領域のリンクの稠密度を、稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する出発地目的地稠密度算出手段とを備え、拡大手段は、稠密度算出手段および出発地目的地稠密度算出手段によって算出された稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを拡大することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載の地図表示装置において、稠密度算出手段は、各分割領域のうちの出発地の近傍領域以外の領域および目的地の近傍領域以外の領域におけるリンクの第1の方向の稠密度を算出する第1の稠密度算出手段と、出発地の近傍領域および目的地の近傍領域の第1の方向の稠密度を、第1の稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する第1の出発地目的地稠密度算出手段と、各分割領域のうちの出発地の近傍領域以外の領域および目的地の近傍領域以外の領域におけるリンクの第2の方向の稠密度を算出する第2の稠密度算出手段と、出発地の近傍領域および目的地の近傍領域の第2の方向の稠密度を、第2の稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する第2の出発地目的地稠密度算出手段とを備え、拡大手段は、第1の稠密度算出手段および第1の出発地目的地稠密度算出手段によって算出された第1の方向の稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを第1の方向に拡大し、第2の稠密度算出手段および第2の出発地目的地稠密度算出手段によって算出された第2の方向の稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを第2の方向に拡大することを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項4に記載の地図表示装置において、領域分割手段は、互いに直交する第1の方向の第1の線分と第2の方向の第2の線分によって所定の間隔で所定の領域に道路地図を分割し、第1の稠密度算出手段は、分割領域における各探索経路のリンクを第2の線分へそれぞれ投影したときの投影長の和である第1の投影長を算出して、分割領域を構成する第2の線分の長さに対する第1の投影長の割合を第1の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、第2の稠密度算出手段は、分割領域における各探索経路のリンクを第1の線分へそれぞれ投影したときの投影長の和である第2の投影長を算出して、分割領域を構成する第1の線分の長さに対する第2の投影長の割合を第2の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、拡大手段は、第2の方向に並んでいる各分割領域の第1の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、第2の方向に並んでいる各分割領域の第1の方向の大きさを変更するとともに、第1の方向に並んでいる各分割領域の第2の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、第1の方向に並んでいる各分割領域の第2の方向の大きさを変更することを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項4に記載の地図表示装置において、領域分割手段は、互いに直交する第1の方向の第1の線分と第2の方向の第2の線分によって所定の間隔で所定の領域に道路地図を分割し、第1の稠密度算出手段は、分割領域における各探索経路のリンクを第2の線分へ投影したときの投影長の和である第1の投影長を算出して、分割領域を構成する第2の線分に対する第1の投影長の割合を第1の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、第2の稠密度算出手段は、分割領域における各探索経路のリンクを第1の線分へ投影したときの投影長の和である第2の投影長を算出して、分割領域を構成する第1の線分に対する第2の投影長の割合を第2の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、拡大手段は、第2の方向に並んでいる各分割領域の第1の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、第2の方向に並んでいる各分割領域内に表示されている表示対象の表示位置を第1の方向に変更する第1のスケーリング関数を作成するとともに、第1の方向に並んでいる各分割領域の第2の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、各第1の方向に並んでいる各分割領域内に表示されている表示対象の表示位置を第2の方向に変更する第2のスケーリング関数を作成し、第1のスケーリング関数に基づいて分割領域の第1の方向の大きさを変更し、第2のスケーリング関数に基づいて分割領域の第2の方向の大きさを変更することを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の地図表示装置において、道路地図上の探索経路を簡略化した要約地図を作成する要約地図作成手段をさらに備え、検出手段と拡大手段は、作成された要約地図に対してそれぞれの処理を実行することを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項7に記載の地図表示装置において、要約地図作成手段は、探索経路のそれぞれのリンクの両端点の位置を固定してリンクの形状を簡略化することにより要約地図を作成することを特徴とする。
(9)請求項9の発明は、請求項8に記載の地図表示装置において、要約地図作成手段は、リンク上に予め設定された点のいずれかを保存点として選択し、その保存点と両端点の位置をそれぞれ固定して、リンクの形状を簡略化することにより要約地図を作成することを特徴とする。
(10)請求項10の発明は、請求項8または9に記載の地図表示装置において、要約地図作成手段は、リンク上に予め設定された点のいずれかを選択する点選択手段と、点選択手段により選択された点と両端点の各々とを順に結ぶ複数の第2の線分を設定する線分設定手段と、線分設定手段により設定された第2の線分の各々が予め決められた所定の方向に対してなす角度が、予め設定された所定の単位角度の整数倍となるように、第2の線分の各々の方向を補正する方向補正手段と、方向補正手段により方向を補正された第2の線分の各々を延長したときの交点を求める交点検出手段と、交点検出手段により検出された交点と、両端点のいずれか一方または選択された点のいずれかとを結ぶように、第2の線分の各々の長さを補正する長さ補正手段とをさらに備え、点選択手段は、リンク上に予め設定された点のうち、両端点と選択された点との間をそれぞれ結ぶ第3の線分から最も遠くにある点をさらに選択し、要約地図作成手段は、長さ補正手段により長さを補正された第2の線分の各々を用いてリンクの形状を簡略化することにより、要約地図を作成することを特徴とする。
(11)請求項11の発明のナビゲーション装置は、請求項1乃至10のいずれかに記載の地図表示装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明の地図表示装置およびナビゲーション装置によれば、表示モニタ上に、出発地周辺および目的地周辺を拡大した複数本の探索経路を表示することができる。このため、複数の探索経路が集中する出発地周辺や目的地周辺の探索経路を確実に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、設定された目的地までの経路を複数探索して、各経路の全体について、通常の地図を基に道路形状などを簡略化することにより、通常の地図を要約した地図(以下、要約地図という)を作成して表示する。そして、表示した複数の経路のうち1つをユーザに選択させ、その経路を探索経路として自車両を目的地まで案内する。図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、およびディスクドライブ18を有している。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路11において後で説明するような処理を実行することによって、設定された目的地に対してDVD−ROM19に記録された地図データに基づいて複数の経路が探索され、各経路の全体について要約地図が作成されて、それぞれ表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方位を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された自車両の現在地に基づいて、探索経路を探索するときの経路探索開始点を決定することができる。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、要約地図を画像表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、制御回路11において、DVD−ROM19に記録されている地図データに基づいて作成される。この画像メモリ15に格納された画像データを用いて、各経路の全体の要約地図が表示モニタ16に表示される。
【0010】
入力装置17は、ユーザが目的地の設定などを行うための各種入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、地名や地図上の位置を指定して目的地を設定し、その目的地までの経路探索をナビゲーション装置1に開始させることができる。
【0011】
ディスクドライブ18は、要約地図を作成するために用いられる地図データを、装填されたDVD−ROM19より読み出す。なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。この地図データには、複数の経路を演算するために用いられる経路計算データや、交差点名称、道路名称など、ユーザに選択された探索経路に従って自車両を目的地まで案内するために用いられる経路誘導データ、道路を表す道路形状データ、さらには海岸線や河川、鉄道、地図上の各種施設(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなどが含まれている。
【0012】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、各道路は所定の道路区間ごとに設定された複数のリンクによって構成されている。なお、リンクによって設定される道路区間の長さは異なっており、リンクの長さは一定ではない。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。また、リンク内にはノードとノードの間に形状補間点と呼ばれる点が設定されていることもある。形状補間点もノードと同じく、それぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードと形状補間点の位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。経路計算データには、道路データと同様のノードとリンクや、ノードに接続されるリンクの情報などが含まれる。また、上記の各リンクに対応して、自車両の通過所要時間を表すためのリンクコストと呼ばれる値が設定されている。
【0013】
前述のように入力装置17におけるユーザの操作によって目的地が設定されると、制御回路11において図2に示すフローチャートが実行される。これにより、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、設定された目的地までの経路演算が経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより行われ、目的地までの複数の経路が求められる。そして、こうして求められた各経路の全体の要約地図が道路データに基づいて作成され、表示モニタ16に表示される。
【0014】
図2のフローチャートについて以下に説明する。ステップS100では、ユーザに入力された目的地により、経路探索の目的地を設定する。ステップS200では、経路探索開始点である自車両の現在地から、ステップS100において設定された目的地まで、複数の経路を探索する。このとき、前述したように経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより経路演算が行われる。なお、自車両の現在地は現在地検出装置14によって一定時間ごとに求められる。
【0015】
なお、ステップS200では複数の経路を探索するために、様々な経路探索条件によって経路探索を行う。たとえば、有料道路優先や一般道路優先、距離優先などの経路探索条件によって経路探索を行い、それぞれの条件で最適な経路を求めることにより、複数の経路を探索する。あるいは、1つの経路探索条件によって最適経路以外の経路も探索することで、複数の経路を探索するようにしてもよい。たとえば、目的地までのリンクコストの合計が最も小さいものを最適経路とし、さらにその最適経路とリンクコストの合計の差が所定値以内である経路も含めて経路探索結果を求めることにより、1つの経路探索条件で複数の経路を探索することができる。
【0016】
ステップS300では、海岸線抽出処理を実行する。ここでは、ステップS800の海岸線描画処理を実行するために必要な前処理として、ステップS200で探索された各経路から所定の範囲内にある海岸線の形状を抽出する。なお、この海岸線抽出処理は必要に応じて実行すればよく、実行しなくても構わない。本発明では、ここでの処理内容は直接関係がないため、詳しい説明を省略する。
【0017】
ステップS400では、リンク簡潔化処理を実行する。ここでは、ステップS500の要約地図作成処理において正しく処理を実行できるようにするための前処理として、ステップS200で探索された各経路のリンクを簡潔化する処理を行う。具体的には、接近しているリンク同士を統合して1つのリンクで表す処理(接近リンク統合処理)、微小なリンクを除去する処理(微小リンク除去処理)、および、隣の点との間隔が微小な形状補間点を除去する処理(微小間隔中間点除去処理)を各経路に対して実行する。なお、このリンク簡潔化処理は必要に応じて実行すればよく、実行しなくても構わない。本発明では、ここでの処理内容は直接関係がないため、詳しい説明を省略する。
【0018】
ステップS500では、ステップS200で探索され、さらに必要に応じてステップS400のリンク簡潔化処理が行われた各経路に対して、要約地図作成処理を実行する。この要約地図作成処理によって、各経路の全体、すなわち現在地から目的地までを表す各経路が要約された要約地図が作成される。このときの処理内容については、後で詳しく説明する。
【0019】
ステップS600では、縮尺変更処理を実行する。ここでは、ステップS500で作成された要約地図の縮尺を部分的に変更する処理を行う。たとえば、各経路の出発地、目的地周辺が拡大された縮尺に変更する。このようにすることによって、各経路の出発地周辺および目的地周辺が見やすくなるようにする。このときの処理内容については、後で詳しく説明する。
【0020】
ステップS700では、重複部分描画処理を実行する。ここでは、ステップS500で作成された要約地図に対して、2つ以上の経路が重なっている部分をそれぞれの経路が判別できるような表示形態で描画する処理を行う。たとえば、各経路を互いに少しずつずらして描画する。なお、この重複部分描画処理は必要に応じて実行すればよく、実行しなくても構わない。本発明では、ここでの処理内容は直接関係がないため、詳しい説明を省略する。
【0021】
ステップS800では、海岸線描画処理を実行する。ここでは、ステップS300で抽出された海岸線の形状に基づいて、経路から所定の範囲内にある海岸線を描画する処理を行う。なお、この海岸線描画処理は必要に応じて実行すればよく、実行しなくても構わない。本発明では、ここでの処理内容は直接関係がないため、詳しい説明を省略する。
【0022】
ステップS900では、ステップS500において作成され、さらに必要に応じてステップS600〜S800の処理が行われた各経路の要約地図を、表示モニタ16に表示する。このとき、出発地と目的地にはそれぞれ出発地マークと目的地マークを表示する。ステップS900を実行した後は、図2のフローチャートを終了する。以上説明したようにして、目的地までの複数の経路が探索されて、各経路の全体の要約地図が表示モニタ16に表示される。
【0023】
図2のフローチャートの処理を実行して各経路の全体の要約地図を表示モニタ16に表示したら、その後ナビゲーション装置1は、各経路のうち1つをユーザに選択するように指示する。ユーザが入力装置17を操作することによっていずれかの経路を選択すると、選択された経路を探索経路に設定して、現在地の周辺の道路地図を表示してその上に探索経路を示す。そして、この探索経路に従って自車両を誘導し、目的地まで案内する。なお、このとき現在地周辺の道路地図として、通常の地図と要約地図のどちらを表示してもよい。このときの要約地図も、図2のフローチャートと同様の処理によって作成することができる。
【0024】
次に、ステップS500において実行される要約地図作成処理の内容について説明する。要約地図作成処理では、方向量子化処理と呼ばれる処理を実行することによって各経路の道路形状を簡略化することにより、各経路の要約地図を作成する。この方向量子化処理について、以下に説明する。
【0025】
方向量子化処理では、各経路のリンクをそれぞれ所定の分割数で分割した上で、道路形状の簡略化を行う。図3および図4は、いずれもこの方向量子化処理の内容を説明するための詳細説明図であり、図3ではリンク分割数が2(2分割)の場合について、また図4ではリンク分割数が4(4分割)の場合について、それぞれの方向量子化処理の内容を図示している。以下、図3に示す2分割の場合より先に説明を行う。
【0026】
図3(a)の符号30は、探索された経路に含まれているリンクの1つを例示している。このリンク30に対して、(b)に示すように、その両端点の間を結ぶ線分31から最も遠くにあるリンク30上の点32を選択する。なお、ここで選択される点32は、前述のノードまたは形状補間点に相当する。
【0027】
上記のような点32が求められたら、次に(c)に示すように、リンク30の両端点のそれぞれと点32とを結ぶ線分33および34を設定する。この線分33と34がそれぞれの基準線に対してなす角度をθ1およびθ2と表す。なお、ここでいう基準線とは、リンク30の両端点から予め決められた所定の方向(たとえば、真北方向)に向かって、それぞれ延びている線のことである。(c)に示すように、一方の端点からの基準線と線分33によって挟まれている部分の角度が、θ1と表される。また、もう一方の端点からの基準線と線分34によって挟まれている部分の角度が、θ2と表される。
【0028】
上記のようにして点32とリンク30の両端点とをそれぞれ結ぶ線分33、34が設定されたら、次に(d)に示すように、この線分33と34の方向をそれぞれ量子化する。ここでいう方向の量子化とは、予め設定された単位角度の整数倍に前述の角度θ1およびθ2がそれぞれなるように、線分33と34を各端点を中心にしてそれぞれ回転させることをいう。すなわち、θ1=m・Δθ、θ2=n・Δθ(n、mは整数)となるように、線分33と34をそれぞれ回転させてθ1とθ2の値を補正する。このときのmおよびnの値は、上記式によって計算される補正後のθ1とθ2がそれぞれ元の値に最も近くなるように設定される。
【0029】
以上説明したように線分33と34の方向をそれぞれ量子化すると、線分33と34が基準線となす角度θ1およびθ2が、単位角度Δθ刻みで補正される。なお図4(d)では、Δθ=15°としている。そして、θ1についてはm=6と設定して補正後の角度を90°にし、θ2についてはn=0と設定して補正後の角度を0°にした例を図示している。
【0030】
こうして線分33と34の方向をそれぞれ量子化したら、次に線分33と34をそれぞれ延長したときの交点を求める。そして、その交点と各端点とを結ぶようにして、(d)に示すように、線分33と34の長さをそれぞれ補正する。
【0031】
以上説明したようにして、線分33と34を求め、これらの方向を量子化すると共に長さを補正することによって、リンク30に対する2分割の場合の方向量子化処理が行われる。この線分33と34をリンク30の代わりに用いることで、リンク30の形状を簡略化して表すことができる。このとき、リンク30の両端点の位置が固定された状態でリンク30の形状が簡略化されるため、隣接するリンクの位置には影響を及ぼさない。したがって、方向量子化処理を用いて経路の各リンク形状をそれぞれ簡略化することにより、経路の全体的な位置関係を保ちつつ、その道路形状を容易に簡略化することができる。
【0032】
次に、4分割の場合の方向量子化処理について説明する。図4(a)の符号40は、図3(a)と同様に、探索された経路に含まれているリンクの1つを例示している。このリンク40に対して、(b)に示すように、まずその両端点の間を結ぶ線分41aから最も遠くにあるリンク40上の点42aを選択する。次に、その点42aとリンク40の各端点とをそれぞれ結ぶ線分41bおよび41cを設定し、この線分41bと41cからそれぞれ最も遠く離れた位置にあるリンク40上の点42bおよび42cを選択する。なお、ここで選択される点42a〜42cは、いずれも2分割の場合と同様に前述のノードまたは形状補間点に相当する。
【0033】
上記のような点42a〜42cが求められたら、次に(c)に示すように、2分割の場合と同様にして、リンク40の各端点と点42a〜42cとをそれぞれ順に結ぶ線分43、44、45および46を設定する。この線分43〜46がそれぞれの基準線に対してなす角度を、θ3、θ4、θ5およびθ6と表す。なお、このときの基準線はリンク40の両端点に対して定められるだけでなく、点42a〜42cのうち真ん中に位置する最初に選択された点42aに対しても定められる。
【0034】
上記のようにして線分43〜46が設定されたら、次に(d)に示すように、各線分の方向をそれぞれ量子化する。このとき、点42aを保存点として、線分44と45はこの保存点42aを中心にそれぞれ回転させる。なお、線分43と46については、2分割の場合と同様に各端点を中心にそれぞれ回転させる。ここでは、Δθ=15°と予め設定し、θ3〜θ6の補正後の角度をそれぞれ60°、45°、180°および60°とした例を図示している。
【0035】
こうして線分43〜46の方向をそれぞれ量子化したら、次に線分43と44をそれぞれ延長したときの交点と、線分45と46をそれぞれ延長したときの交点とを求める。そして、各交点と各端点または保存点42aとを結ぶようにして、(d)に示すように、線分43〜46の長さをそれぞれ補正する。
【0036】
以上説明したようにして、線分43〜46を求め、これらの方向を量子化すると共に長さを補正することによって、リンク40に対する4分割の場合の方向量子化処理が行われる。この線分43〜46をリンク40の代わりに用いることで、リンク40の形状を簡略化して表すことができる。このとき、リンク40の両端点の位置に加えて、さらに保存点42aの位置も固定された状態で、リンク40の形状が簡略化される。したがって、複雑な形状のリンクによって構成されている経路に対しても、その全体的な位置関係を保ちつつ適切に道路形状を簡略化することができる。
【0037】
なお、上記では2分割と4分割の場合の方向量子化処理について説明したが、これ以外の分割数についても同様にして方向量子化処理を実行することができる。たとえば8分割の場合には、まず4分割の場合と同様に、リンクの両端点の間を結ぶ線分から最も遠い1点と、その点と両端点とを結ぶ2つの線分からそれぞれ最も遠い2点を選択する。その後、さらにこれらの3点に両端点を加えた各点間を結ぶ4つの線分からそれぞれ最も遠い4点を選択する。こうして選択された合計7点と両端点とを順に結ぶ8つの線分を求め、これらの線分に対して前述したような方向の量子化と長さの補正を行うことによって、方向量子化処理を行うことができる。
【0038】
方向量子化処理の分割数をいくつにするかは、予め設定しておいてもよいし、あるいはリンクの形状によって判断してもよい。たとえば、上記のようにして両端点またはそれまでに選択された点の間を結ぶ各線分から最も遠い点を順次選択していくとき(図3および4の(b)で説明した処理)において、各線分から最も遠い点までの距離が所定値以下となるまで順次選択していく。このようにすれば、リンクの形状によって方向量子化処理の分割数を決めることができる。
【0039】
以上説明したような方向量子化処理を各経路の全てのリンクに対して順次実行していくことにより、各経路の道路形状を簡略化して要約地図を作成することができる。なお、リンクの1つ1つに対して方向量子化処理を順次実行するのではなく、いくつかのリンクを合わせて方向量子化処理をまとめて実行してもよい。
【0040】
または、ステップS500の要約地図作成処理において、上記の方向量子化処理を実行せずに各経路の道路形状を簡略化することもできる。ここでは、各リンク形状を曲線で近似することによって各経路の道路形状を簡略化する方法を、図5を参照して説明する。
【0041】
図5(a)には、探索された経路に含まれるリンクの一部として、リンク50、51および52を例示している。これらのリンク50〜52に対して、まず(b)に示すように各リンクの両端点において量子化したリンク方向を求める。ここでは、前述の方向量子化処理において各線分の方向の量子化を行ったのと同様にして、元の角度に最も近くて単位角度の整数倍となるようなリンク方向を求める。その結果、(b)において矢印で示されているようなリンク方向が各端点に対して求められる。
【0042】
次に、(c)に示すように各端点の間を結ぶ曲線53、54および55を求めることにより、各リンクの形状を曲線近似する。このとき、各曲線の端点付近における接線の方向が上記の量子化したリンク方向と一致するように、曲線53〜55の形状がそれぞれ決定される。なお、このような曲線を求める方法としては、たとえばスプライン関数を用いたスプライン近似などがあるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0043】
以上説明したような処理を各経路の全てのリンクに対して順次実行していき、求められた曲線を用いて道路形状を表すことにより、各経路の道路形状を簡略化して要約地図を作成することができる。このときも方向量子化処理の場合と同様に、各リンクの両端点の位置が固定された状態で各リンクの形状が簡略化される。したがってこの場合にも、経路の全体的な位置関係を保ちつつ、その道路形状を容易に簡略化することができる。
【0044】
方向量子化処理が行われた経路はRAM13において記憶される。次に、RAM13に記憶され経路のデータ形式について説明する。4分割の場合の方向量子化処理が行われたリンクを例にして説明する。ここでは、リンク40は経路の一部を構成しているものとする。図6(a)は、方向量子化処理が行われる前のリンク40のノード61,62と形状補間点64〜69,610〜613とを示したものである。一方、図6(b)は、方向量子化処理が行われた後のリンク40のノード61,62と形状補間点42a〜42cとを示したものである。方向量子化処理が行われた後の図6(b)のリンク40は、形状補間点42a〜42bの数が3つであるのに対し、方向量子化処理が行われる前の図6(a)のリンク40は、形状補間点64〜69,610〜613の数が11である。これより、方向量子化処理を行うことによって形状補間点の数が少なくなり、形状補間点が間引かれる。
【0045】
方向量子化処理が行われたリンク40は、図7(a)に示すノードデータ形式、図7(b)に示すリンクデータ形式、図7(c)に示す経路データ形式によってRAM13に記憶される。図7(a)に示すノードデータ形式とは、DVD−ROM19に地図データとして記憶されている各ノードのノードIDとそのノードの方向量子化処理が行われた後の座標位置とを記憶する形式である。図7(a)では、図6におけるノード61のノードIDとして、符号「61」がRAM13に記憶され、また、ノード61の座標(X1,Y1)がRAM13に記憶される。
【0046】
図7(b)で示すリンクデータ形式とは、DVD−ROM19に地図データとして記憶されている各リンクのリンクIDとして符号「40」と、そのリンクの始点ノード61と終点ノード62のノードIDとして符号「61」、「62」とが記憶される形式である。また、リンクデータ形式では、リンク40上の形状補間点42a〜42cの数とそれぞれの位置(Xb,Yb),(Xa,Ya),(Xc,Yc)も記憶される。
【0047】
図7(c)で示す経路データ形式とは、方向量子化処理が行われた各経路に識別記号(経路ID)を付与して、そして経路IDごとにその経路を構成するリンクの数とリンクIDとが記憶される形式である。ここでは、リンク40が含まれる経路の経路IDをR1とする。RAM13には、経路R1の経路IDであるR1と、その経路を構成するリンクの数nと、経路R1を構成する各リンクのIDとしてL1〜LnとがRAM13に記憶される。
【0048】
次に、図2のステップS600の縮尺変更処理について説明する。まず、ステップS600の縮尺変更処理をした後の要約地図を、縮尺変更処理をする前の要約地図と比較して説明する。図8(a)、(b)は、ステップS600の縮尺変更処理をする前の要約地図81と、ステップS600の縮尺変更処理をした後の要約地図82とをそれぞれ示したものである。要約地図81,82はナビゲーション装置1の経路探索を行った後、全経路表示で、複数経路を表示させた要約地図である。要約地図81,82には、出発地83から目的地84までをつなぐ5つの探索経路85,86,87,88および89が示されている。
【0049】
縮尺変更処理前の要約地図81の出発地83の周辺では、探索経路が85〜89が混み合っているので、探索経路85〜89が全て同じ道路を通過して地点810で別々の道路に分岐しているように見える。また、目的地84の周辺では、探索経路85〜87は全て同じ道路を通過しているように見える。そこで、この実施の形態では、出発地83の周辺および目的地84の周辺の縮尺率を変更し、拡大して表示する。すなわち、図8(b)に示すように、縮尺変更処理後の要約地図82の出発地83の周辺では、地点811で探索経路85および探索経路86と、探索経路87および探索経路88と、探索経路89とが分岐しており、地点812で探索経路85と探索経路86とが分岐しており、地点813で,探索経路87と探索経路88とが分岐していることがわかる。また、目的地84の周辺では、探索経路85と探索経路86とが同じ道路を通過しており、探索経路87は別の道路を通過していることがわかる。
【0050】
次に、出発地周辺および目的地周辺を拡大する縮尺変更処理の処理過程について図9のフローチャートを参照して説明する。図9の処理は、ステップS500の要約地図作成処理が完了するとスタートするプログラムを制御部11で実行して行われる。ステップS601では、表示モニタに表示される道路地図の領域(以下、地図領域と呼ぶ)を格子状に分割する。ステップS602では、RAM13に記憶されているステップS500の要約地図作成処理後のノードデータおよびリンクデータより、各セルを通過する探索経路を構成するリンクが検出される。次にステップS603では、格子状に分割された各セルのうちの出発地、目的地が含まれるセルを除いた各セルに存在するリンクの長さから、X方向、Y方向の稠密度を算出する。そして、ステップS604では、出発地、目的地が含まれるセルのX方向、Y方向の稠密度を他のセルのX方向、Y方向の稠密度のうちの最大値の1.5倍にする。
【0051】
ステップS605では、各セルのX方向稠密度ピーク値およびY方向稠密度ピーク値を検出する。ステップS606では、X方向稠密度ピーク値およびY方向稠密度ピーク値から各セルの大きさを変更する。そしてステップS607において、各セルの大きさ変更後の道路地図が表示されるように、RAM13に記憶されている図7に示す形式の探索経路のデータを更新する。以上のようにして、各セルのリンク密度に基づいて縮尺変更処理がなされる。
【0052】
次に、図9の各ステップについて詳細に説明する。
ステップS601で実行する処理について、図10を参照して説明する。図10は、ステップS500で要約地図作成処理がなされた探索経路K1と探索経路K2とを地図領域101上で格子状に分割して示す図である。ここで、探索経路K1およびK2は出発地をOとし、目的地をDとする。
【0053】
はじめに図示のX方向へ向かって所定の間隔で、セグメントライン102a〜102dを設定する。同様に、X方向と直角をなすY方向へ向かって所定の間隔にセグメントライン103a〜103dを設定する。セグメントライン同士の間隔は等間隔であり、セグメントライン102a,102d,103a,103dと地図領域101の範囲を示す地図領域枠104との間隔は、セグメントラインの間隔の1/2に設定する。本発明の実施形態では、図示X方向、Y方向にそれぞれ4本ずつセグメントラインを設定する。セグメントラインで囲まれた領域またはセグメントラインと地図領域枠104で囲まれた領域がセルとなる。図10の左下隅のセル105をセル(0,0)として基準とする。そしてセル(0,0)からX軸方向に向かってi列目、Y軸方向に向かってj行目のセルをセル(i,j)とする。たとえばセル106はセル(3,3)となる。
【0054】
ステップS603で実行するX,Y方向の稠密度算出法について、図11を参照して説明する。図11は、セル111にリンク112が通過している様子を示した図である。ここでは、セル111を通過しているリンク112のY成分113、つまりリンク112をY方向セグメントラインに投影したときの投影長を検出し、そのY成分113、つまりその投影長をセルY方向長さ115で割ることによってX方向の稠密度が算出される。また、セル111を通過しているリンク112のX成分114、つまりリンク112をX方向セグメントラインに投影したときの投影長を検出し、そのX成分114、つまりその投影長をセルX方向長さ116で割ることによってY方向の稠密度が算出される。
【0055】
複数のリンクが通過しているセルの場合は、それぞれのリンクの稠密度を算出して、その値の合計をそのセルにおけるX方向、Y方向の稠密度とする。このため、複数の探索経路で混み合っている領域はリンクが密集しているため、X方向、Y方向の稠密度が大きくなる。よって、各セルの稠密度を算出することによって探索経路が混み合っている箇所を検出することができる。このような稠密度とは別の概念により探索経路が混み合っている箇所を検出してもよい。
【0056】
図11で設定した図10における出発地Oおよび目的地Dが含まれるセルを除いた各セルのX方向の稠密度およびY方向の稠密度を図12に示す。図12(a)は図10における各セルのX方向の稠密度を示す。図12(b)は図10におけるY方向の稠密度を示す。単位はパーセント(%)である。
【0057】
また、出発地Oおよび目的地Dが含まれるセル以外のセルのうちのX方向の稠密度の最大値が100%であり、Y方向の稠密度の最大値が100%である。このため、ステップS604により、図12(a)の出発地Oが含まれるセル121のX方向の稠密度は150%となり、図12(b)の目的地Dが含まれるセル122のY方向の稠密度は150%となる。
【0058】
ステップS605で実行するX,Y方向稠密度ピーク値検出方法について、図13および図14を参照して説明する。X方向稠密度ピーク値とは、1つの列(Y方向)における各セルのX方向の稠密度のうちのその最大値をいう。また、Y方向稠密度ピーク値とは、1つの行(X方向)における各セルのY方向の稠密度のうちのその最大値をいう。
【0059】
図12(a)の地図領域101におけるX方向稠密度ピーク値を図13に示す。図13(a)のマトリックステーブル131は、各列のうちのX方向の稠密度の最大値を白抜きの数字で示したものである。図13(b)のマトリックステーブル132は、各列のX方向の稠密度の最大値を抜き出したものである。この最大値が各列におけるX方向稠密度ピーク値となる。12(b)の地図領域101におけるY方向稠密度ピーク値を図14に示す。図14(a)のマトリックステーブル141は、各行のうちのY方向の稠密度の最大値を白抜きの数字で示したものである。図14(b)のマトリックステーブル142は、各行のY方向の稠密度の最大値を抜き出したものである。この最大値がY方向稠密度ピーク値となる。
【0060】
ステップS606の各セルの拡大縮小の処理について説明する。i列目のX方向稠密度ピーク値をXP(i)、j行目のY方向稠密度ピーク値をYP(j)とすると、各セルのX方向およびY方向の大きさは次式により拡大及び縮小される。つまり、X方向稠密度ピーク値が大きいとセルはX方向に拡大され、Y方向稠密度ピーク値が大きいとセルはY方向に拡大される。
【0061】
(1)セル(i,j)のX軸方向の拡大縮小倍率BX(i,j)
【数1】
ただし
【数2】
ここでMは、各セルのX方向の大きさが拡大縮小されても、地図領域全体のX方向の大きさとしては変わらないようにするための係数である。
【0062】
(2)セル(i,j)のY軸方向の拡大縮小倍率BY(i,j)
【数3】
ただし
【数4】
ここでNは、各セルのY方向の大きさが拡大縮小されても、地図領域全体のY方向の大きさとしては変わらないようにするための係数である。
【0063】
まず、数式1によって、各セルのX方向の大きさを拡大縮小する。各セルのX方向の大きさが拡大縮小されると、各セルに含まれる探索経路のノードやリンクのX座標が変わる。このため各セルの拡大縮小処理に基づいて、RAM13に記憶されている探索経路のノードやリンクの座標も修正される。数式1によって地図領域101の各セルのX方向の縮尺を変更すると図15(a)になる。出発地Oが含まれるセル121および目的地Dが含まれるセル122のX方向の稠密度は大きいので、出発地Oが含まれるセル121と同じ列に存在するセルと、目的地Dが含まれるセル122と同じ列に存在するセルは他の列のセルよりX方向へ向かって大きく拡大される。
【0064】
次に数式2によって、各セルのY軸方向の大きさを拡大縮小する。各セルのY方向の大きさが拡大縮小されると、各セルに含まれる探索経路のノードやリンクのY座標が変わる。このため各セルの拡大縮小処理に基づいて、RAM13に記憶されている探索経路のノードやリンクの座標も修正される。数式2によってX方向拡大縮小処理後の地図領域101の各セルのY方向の大きさを変更すると図15(b)になる。出発地Oが含まれるセル121および目的地Dが含まれるセル122のY方向の稠密度は大きいので、出発地Oが含まれるセル121と同じ行に存在するセルと、目的地Dが含まれるセル122と同じ行に存在するセルは他の行のセルよりY方向へ向かって大きく拡大される。このようにして、出発地Oが含まれるセル121と目的地Dが含まれるセル122とは、他のセルに比べてX方向およびY方向へ向かって大きく拡大される。
【0065】
参考のため、地図領域101の各セルの大きさを変更する前と変更した後の地図領域101を比較すると図16になる。図16の実線は変更後の地図領域101であり、点線は変更前の地図領域101である。目的地を含むセル121と出発地を含むセル122とは3つの矢印で示すように他のセルに比べて拡大されていることがわかる。
【0066】
図7のデータ形式によってRAM13に記憶されている探索経路のデータは、各セルの大きさを変更した後のリンクやノードの位置などの情報により更新される。
【0067】
本発明の第1の実施形態におけるナビゲーション装置によれば、次のような作用効果が得られる。
(1)出発地周辺および目的地周辺のセルを他のセルよりも大きく拡大して表示することができる。このため、複数の探索経路が集中する出発地周辺や目的地周辺で、複数の探索経路が同一の道路を通過するものであるのか、別々の道路を通過するものであるのか区別することができる。特に要約地図として表示される複数の探索経路は、探索経路の形状が簡略化されており、複数の探索経路が同一の道路を通過しているか否かの判断が困難な場合が多いので特に効果が大きい。
(2)また、複数の探索経路が集中する出発地周辺や目的地周辺で、複数の探索経路が分岐する場合、その分岐点が拡大されて表示されるので、複数の探索経路のうちのどの探索経路がどこで分岐しているのか詳しく知ることができる。
(3)稠密度をX,Y方向それぞれについて算出してX,Y方向の混み具合に応じて拡大縮小したので、複数の経路をより合理的に分解表示できる。
(4)一般に出発地周辺では、目的地へ向かう主要道路に移動するために細街路を通過したり、交差点を右左折したりすることが多いため、出発地周辺の探索経路は複雑である。また、目的地周辺においても、主要道路から目的地に移動するために細街路を通過したり、交差点を右左折したりすることが多いため、目的地周辺の探索経路は複雑である。一方、出発地周辺以外および目的地周辺以外では、単に主要道路伝いに移動すればよいことが多いので、出発地周辺以外および目的地周辺以外の探索経路は、出発地周辺および目的地周辺の探索経路に比べて単純である。このため、本発明の実施形態では、出発地周辺および目的地周辺のセルを他のセルよりも大きく拡大して表示するので、探索経路が複雑である出発地周辺および目的地周辺を確実に把握することができる。特に複数の探索経路が表示される場合、出発地周辺および目的地周辺の探索経路の複雑さはさらに増すので、特に効果が大きい。
(5)Y方向に並んでいるセル全てのX方向の拡大縮小する倍率を等しくし、X方向に並んでいるセル全てのY方向の拡大縮小する倍率を等しくした。このため、各セルの拡大縮小によって探索経路が途中途切れて表示されることなく、出発地周辺および目的地周辺を含むセルを拡大して表示することができる。
(6)出発地周辺以外および目的地周辺以外の領域について、複数の経路の混み具合に応じて複数の探索経路を拡大して表示するようにしたので、複数の探索経路が同一の道路を通過するものであるのか、別々の道路を通過するものであるのか区別することができる。特に要約地図として表示される複数の探索経路は、探索経路の形状が簡略化されており、複数の探索経路が同一の道路を通過しているか否かの判断が困難な場合が多いので特に効果が大きい。
(7)また、出発地周辺以外および目的地周辺以外の領域について、複数の経路の混み具合に応じて複数の探索経路が分岐する分岐点の領域が拡大されて表示されるので、複数の探索経路が分岐点で分岐する方向などを詳しく知ることができる。
【0068】
次に、本発明の第2の実施形態による縮尺変更処理の手順を図17のフローチャートを参照して説明する。図17の処理は、ステップS500の要約地図作成処理が完了するとスタートするプログラムを制御部11で実行して行われる。第1の実施形態と同じ内容のステップには同じ番号を付し、説明を省略する。ステップS605において、X方向、Y方向の稠密度のピーク値を検出した後、ステップS1701では、後述するスケール関数を作成する。ステップS1702では、スケーリング関数を使用して探索経路など表示対象の座標を変更することによって、各セルの大きさを変更する。ステップS607では、変更した各セルの大きさを変更した後の道路地図を表示するようRAM13に記憶されている図7に示した探索経路のデータを更新する。以上のようにして、各セルのリンク密度に基づいて縮尺変更処理がなされる。
【0069】
次に、各ステップについて説明する。
ステップS1701では、地図領域41の縮尺を変更するスケール関数を次のように算出して作成する。まずX軸方向のスケール関数を作成する。
最初にセル(i,j)のX方向稠密度ピーク値の正規化を行い、セル(i,j)のスケーリング係数miを次式によって算出する。
【数5】
Mi:セル(i,j)のX方向稠密度ピーク値
μ:X方向稠密度ピーク値の平均
σ:X方向稠密度ピーク値の標準偏差
Wi:セル(i,j)のX方向の幅
α:スケール変化の強度を調整するパラメータ
【0070】
次に、セル(i,j)のスケーリング係数miより、セル(i,j)のスケーリング関数を作成する。
【数6】
xi<x≦xi+1:セル(i,j)におけるx座標
Si:xiまでの積分値
ただし、
i=0の場合
【数7】
i=Nの場合
【数8】
mi=mi+1の場合
【数9】
本発明の第2の実施形態ではN=4である。
同様にして、Y軸方向のスケール関数も作成する。
【0071】
ステップS1702で、X軸方向のスケーリング関数を使用して各セル(i,j)に表示されている表示対象の表示位置のX座標を変更(X→Z)することによって、各セル(i,j)のX方向の縮尺を変更する。同様にしてY軸方向のスケーリング関数を使用して各セル(i,j)に表示されている表示対象の表示位置のY座標を変更することによって各セル(i,j)のY方向の大きさを変更する。
【0072】
表示対象の表示位置の変更によって、探索経路のノードデータやリンクデータも変更されるので、RAM13に記憶されている探索経路のノードやリンクの座標も修正され、図7に示す形式の探索経路のデータは更新される。
【0073】
上記スケール関数を用いて地図の縮尺を変更すると、稠密度の大きい道路密集地点や交差点の縮尺が大きくなりわかりやすくなる。また、第1の実施形態では、拡大縮小された部分がセル間の境界で急に変わるが、スケール関数を用いると拡大縮小された部分が連続的に変わり、縮尺変更処理をした後の道路地図を見ても違和感が生じないという効果を奏する。
【0074】
このようなナビゲーション装置によれば、第1の実施形態と同様の作用効果のほかに、次のような作用効果が得られる。
(1)地図上の隣同士の領域間で縮尺が急に変わることがないので、乗員は、出発地お周辺よび目的地周辺が拡大されて表示される地図を違和感なく見ることができる。
【0075】
上記の実施形態では、ナビゲーション装置において、DVD−ROMなどの記憶メディアより地図データを読み出して要約地図を作成する例について説明しているが、本発明はこの内容には限定されない。たとえば、携帯電話などによる無線通信を用いて、地図データを情報配信センターからダウンロードする通信ナビゲーション装置などにおいても、本発明を適用できる。この場合、車載ナビゲーション装置から情報配信センターへ現在地と目的地を送信し、図2のステップS200〜S800の処理を情報配信センターにおいて行い、その結果を情報配信センターから信号出力してナビゲーション装置へ配信する。すなわち、情報配信センターは、とくに、複数の探索経路を探索する経路探索装置と、要約地図を作成する装置と、縮尺変更処理を行う装置と、その処理結果である要約地図を外部へ信号出力する装置とによって構成される。
【0076】
上記の実施の形態では、出発地、目的地が含まれるセルのX方向、Y方向の稠密度を他のセルのX方向、Y方向の稠密度のうちの最大値の1.5倍に設定しているが、出発地、目的地が含まれるセルのX方向、Y方向の稠密度が他のセルのX方向、Y方向の稠密度のうちの最大値より大きければ1.5倍に特に限定されない。また、出発地が含まれるセルのX方向、Y方向の稠密度と目的地が含まれるセルのX方向、Y方向の稠密度とが同じ値でなくてもよい。
【0077】
上記の実施の形態では、出発地、目的地周辺のセル以外のセルについても、稠密度を計算して拡大縮小したが、出発地、目的地周辺のみ拡大してもよい。この場合、稠密度を用いることなく、単純に出発地、目的地周辺を含むセルを拡大してもよい。
【0078】
上記の実施形態では、本発明の各手段を制御回路11において実行する図2のステップS600の縮尺変更処理によって実現しているが、本発明はこの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も、本発明の範囲内に含まれる。
【0079】
特許請求の範囲の要素と実施形態との対応関係を説明する。
本発明の出発地の近傍領域はセル121に対応し、目的地の近傍領域はセル122に対応する。第1の方向はX方向に対応し、第2の方向はY方向に対応する。第1の方向の第1の線分はセグメントライン103a〜103dに対応し、第2の方向の第2の線分はセグメントライン102a〜102dに対応する。分割領域はセル111に対応する。第1の投影長はY成分113に対応し、第2の投影長はX成分114に対応する。分割領域を構成する第2の線分の長さはセルY方向長さ116に対応し、分割領域を構成する第1の線分の長さはセルX方向長さ116に対応する。各第2の方向に並んでいる各分割領域の第1の割合のうちの最大値は、X方向稠密度ピーク値に対応し、各第1の方向に並んでいる各分割領域の第2の割合のうちの最大値は、Y方向稠密度ピーク値に対応する。第1のスケーリング関数はX方向のスケーリング関数に対応し、第2のスケーリング関数はY方向のスケーリング関数に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】設定された目的地まで複数の経路を探索して各経路の要約地図を表示するときに実行される処理のフローチャートである。
【図3】要約地図を作成するときに利用される2分割の場合の方向量子化処理の内容を説明するための図である。
【図4】同じく4分割の場合の方向量子化処理の内容を説明するための図である。
【図5】各リンク形状を曲線で近似することによって各経路の道路形状を簡略化する方法を説明するための図である。
【図6】(a)は4分割の場合の方向量子化処理が行われる前のリンク、ノード、形状補間点を示す図であり、(b)は4分割の場合の方向量子化処理が行われた後のリンク、ノード、形状補間点を示す図である。
【図7】RAMに記憶された方向量子化処理が行われた経路データの記憶形式を説明する図である。
【図8】(a)は縮尺変更処理をしない全経路表示画面を示す図であり、(b)は縮尺変更処理をした全経路表示画面を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の縮尺変更処理プロセスを示すフローチャートである。
【図10】グリッド状の地図領域の分割を説明する図である。
【図11】X方向およびY方向の稠密度を説明する図である。
【図12】(a)は地図領域における各セルのX方向の稠密度を示す図であり、(b)は各セルのY方向の稠密度を示す図である。
【図13】地図領域のX方向稠密度ピーク値を説明する図である。
【図14】地図領域のY方向稠密度ピーク値を説明する図である。
【図15】(a)はX方向稠密度ピーク値によって各セルのX方向の大きさを変更した図であり、(b)はY方向稠密度ピーク値によって各セルのY方向の大きさを変更した図である。
【図16】各セルの大きさを変更する前と変更した後のセルの大きさを比較した図である。
【図17】本発明の第2の実施形態の縮尺変更処理プロセスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0081】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 ディスクドライブ
19 DVD−ROM
30,40,50 リンク
61,62 ノード
85,86,87,88,89,K1,K2 探索経路
101 地図領域
102a〜102d,103a〜103d セグメントライン
105,106,121,122 セル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
探索経路の出発地および目的地と、前記出発地および前記目的地とを結ぶ複数の探索経路とを表示モニタに表示する地図表示装置において、
前記出発地の近傍領域および前記目的地の近傍領域を、他の箇所に比べて拡大して表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記表示モニタで表示される道路地図上において、前記出発地の近傍領域以外の領域および前記目的地の近傍領域以外の領域で、前記複数の探索経路が混み合っている箇所を検出する検出手段と、
前記検出手段により混み合っていることが検出された箇所の複数の探索経路を、前記出発地の近傍領域以外の領域および前記目的地の近傍領域以外の領域の他の箇所の探索経路に比べて部分的に拡大し、前記出発地の近傍領域および前記目的地の近傍領域を、さらに大きく拡大する拡大手段と、
部分的に拡大した探索経路と拡大しない探索経路とにより、前記表示モニタ上に複数の探索経路を表示する表示データを生成する表示データ作成手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地図表示装置において、
前記検出手段は、
前記道路地図を所定の領域に分割する領域分割手段と、
前記領域分割手段によって分割した各分割領域のうちの前記出発地の近傍領域以外の領域および前記目的地の近傍領域以外の領域に存在する探索経路を構成するリンクの稠密度を算出する稠密度算出手段と、
前記出発地の近傍領域および前記目的地の近傍領域のリンクの稠密度を、前記稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する出発地目的地稠密度算出手段とを備え、
前記拡大手段は、前記稠密度算出手段および前記出発地目的地稠密度算出手段によって算出された稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを拡大することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の地図表示装置において、
前記稠密度算出手段は、前記各分割領域のうちの前記出発地の近傍領域以外の領域および前記目的地の近傍領域以外の領域におけるリンクの第1の方向の稠密度を算出する第1の稠密度算出手段と、
前記出発地の近傍領域および前記目的地の近傍領域の第1の方向の稠密度を、前記第1の稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する第1の出発地目的地稠密度算出手段と、
前記各分割領域のうちの前記出発地の近傍領域以外の領域および前記目的地の近傍領域以外の領域におけるリンクの第2の方向の稠密度を算出する第2の稠密度算出手段と、
前記出発地の近傍領域および前記目的地の近傍領域の第2の方向の稠密度を、前記第2の稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する第2の出発地目的地稠密度算出手段とを備え、
前記拡大手段は、前記第1の稠密度算出手段および前記第1の出発地目的地稠密度算出手段によって算出された第1の方向の稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを第1の方向に拡大し、前記第2の稠密度算出手段および前記第2の出発地目的地稠密度算出手段によって算出された第2の方向の稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを第2の方向に拡大することを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の地図表示装置において、
前記領域分割手段は、互いに直交する第1の方向の第1の線分と第2の方向の第2の線分によって所定の間隔で所定の領域に前記道路地図を分割し、
前記第1の稠密度算出手段は、前記分割領域における各探索経路のリンクを前記第2の線分へそれぞれ投影したときの投影長の和である第1の投影長を算出して、前記分割領域を構成する前記第2の線分の長さに対する前記第1の投影長の割合を前記第1の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、
前記第2の稠密度算出手段は、前記分割領域における各探索経路のリンクを前記第1の線分へそれぞれ投影したときの投影長の和である第2の投影長を算出して、前記分割領域を構成する前記第1の線分の長さに対する前記第2の投影長の割合を前記第2の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、
前記拡大手段は、第2の方向に並んでいる前記各分割領域の第1の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、前記第2の方向に並んでいる各分割領域の第1の方向の大きさを変更するとともに、第1の方向に並んでいる前記各分割領域の第2の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、前記第1の方向に並んでいる各分割領域の第2の方向の大きさを変更することを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の地図表示装置において、
前記領域分割手段は、互いに直交する第1の方向の第1の線分と第2の方向の第2の線分によって所定の間隔で所定の領域に前記道路地図を分割し、
前記第1の稠密度算出手段は、前記分割領域における各探索経路のリンクを前記第2の線分へ投影したときの投影長の和である第1の投影長を算出して、前記分割領域を構成する前記第2の線分に対する前記第1の投影長の割合を前記第1の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、
前記第2の稠密度算出手段は、前記分割領域における各探索経路のリンクを前記第1の線分へ投影したときの投影長の和である第2の投影長を算出して、前記分割領域を構成する前記第1の線分に対する前記第2の投影長の割合を前記第2の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、
前記拡大手段は、第2の方向に並んでいる前記各分割領域の第1の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、前記第2の方向に並んでいる各分割領域内に表示されている表示対象の表示位置を第1の方向に変更する第1のスケーリング関数を作成するとともに、第1の方向に並んでいる前記各分割領域の第2の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、前記各第1の方向に並んでいる各分割領域内に表示されている表示対象の表示位置を第2の方向に変更する第2のスケーリング関数を作成し、
前記第1のスケーリング関数に基づいて前記分割領域の第1の方向の大きさを変更し、前記第2のスケーリング関数に基づいて前記分割領域の第2の方向の大きさを変更することを特徴とする地図表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の地図表示装置において、
前記道路地図上の探索経路を簡略化した要約地図を作成する要約地図作成手段をさらに備え、
前記検出手段と前記拡大手段は、作成された要約地図に対してそれぞれの処理を実行することを特徴とする地図表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の地図表示装置において、
前記要約地図作成手段は、前記探索経路のそれぞれのリンクの両端点の位置を固定して前記リンクの形状を簡略化することにより前記要約地図を作成することを特徴とする地図表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の地図表示装置において、
前記要約地図作成手段は、前記リンク上に予め設定された点のいずれかを保存点として選択し、その保存点と前記両端点の位置をそれぞれ固定して、前記リンクの形状を簡略化することにより前記要約地図を作成することを特徴とする地図表示装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の地図表示装置において、
前記要約地図作成手段は、前記リンク上に予め設定された点のいずれかを選択する点選択手段と、
前記点選択手段により選択された点と前記両端点の各々とを順に結ぶ複数の第2の線分を設定する線分設定手段と、
前記線分設定手段により設定された第2の線分の各々が予め決められた所定の方向に対してなす角度が、予め設定された所定の単位角度の整数倍となるように、前記第2の線分の各々の方向を補正する方向補正手段と、
前記方向補正手段により方向を補正された第2の線分の各々を延長したときの交点を求める交点検出手段と、
前記交点検出手段により検出された交点と、前記両端点のいずれか一方または前記選択された点のいずれかとを結ぶように、前記第2の線分の各々の長さを補正する長さ補正手段とをさらに備え、
前記点選択手段は、前記リンク上に予め設定された点のうち、前記両端点と前記選択された点との間をそれぞれ結ぶ第3の線分から最も遠くにある点をさらに選択し、
前記要約地図作成手段は、前記長さ補正手段により長さを補正された第2の線分の各々を用いて前記リンクの形状を簡略化することにより、前記要約地図を作成することを特徴とする地図表示装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の地図表示装置を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項1】
探索経路の出発地および目的地と、前記出発地および前記目的地とを結ぶ複数の探索経路とを表示モニタに表示する地図表示装置において、
前記出発地の近傍領域および前記目的地の近傍領域を、他の箇所に比べて拡大して表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記表示モニタで表示される道路地図上において、前記出発地の近傍領域以外の領域および前記目的地の近傍領域以外の領域で、前記複数の探索経路が混み合っている箇所を検出する検出手段と、
前記検出手段により混み合っていることが検出された箇所の複数の探索経路を、前記出発地の近傍領域以外の領域および前記目的地の近傍領域以外の領域の他の箇所の探索経路に比べて部分的に拡大し、前記出発地の近傍領域および前記目的地の近傍領域を、さらに大きく拡大する拡大手段と、
部分的に拡大した探索経路と拡大しない探索経路とにより、前記表示モニタ上に複数の探索経路を表示する表示データを生成する表示データ作成手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地図表示装置において、
前記検出手段は、
前記道路地図を所定の領域に分割する領域分割手段と、
前記領域分割手段によって分割した各分割領域のうちの前記出発地の近傍領域以外の領域および前記目的地の近傍領域以外の領域に存在する探索経路を構成するリンクの稠密度を算出する稠密度算出手段と、
前記出発地の近傍領域および前記目的地の近傍領域のリンクの稠密度を、前記稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する出発地目的地稠密度算出手段とを備え、
前記拡大手段は、前記稠密度算出手段および前記出発地目的地稠密度算出手段によって算出された稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを拡大することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の地図表示装置において、
前記稠密度算出手段は、前記各分割領域のうちの前記出発地の近傍領域以外の領域および前記目的地の近傍領域以外の領域におけるリンクの第1の方向の稠密度を算出する第1の稠密度算出手段と、
前記出発地の近傍領域および前記目的地の近傍領域の第1の方向の稠密度を、前記第1の稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する第1の出発地目的地稠密度算出手段と、
前記各分割領域のうちの前記出発地の近傍領域以外の領域および前記目的地の近傍領域以外の領域におけるリンクの第2の方向の稠密度を算出する第2の稠密度算出手段と、
前記出発地の近傍領域および前記目的地の近傍領域の第2の方向の稠密度を、前記第2の稠密度算出手段によって算出された稠密度のうちの最大値より大きな値に設定する第2の出発地目的地稠密度算出手段とを備え、
前記拡大手段は、前記第1の稠密度算出手段および前記第1の出発地目的地稠密度算出手段によって算出された第1の方向の稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを第1の方向に拡大し、前記第2の稠密度算出手段および前記第2の出発地目的地稠密度算出手段によって算出された第2の方向の稠密度に基づいて、各分割領域に存在するリンクを第2の方向に拡大することを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の地図表示装置において、
前記領域分割手段は、互いに直交する第1の方向の第1の線分と第2の方向の第2の線分によって所定の間隔で所定の領域に前記道路地図を分割し、
前記第1の稠密度算出手段は、前記分割領域における各探索経路のリンクを前記第2の線分へそれぞれ投影したときの投影長の和である第1の投影長を算出して、前記分割領域を構成する前記第2の線分の長さに対する前記第1の投影長の割合を前記第1の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、
前記第2の稠密度算出手段は、前記分割領域における各探索経路のリンクを前記第1の線分へそれぞれ投影したときの投影長の和である第2の投影長を算出して、前記分割領域を構成する前記第1の線分の長さに対する前記第2の投影長の割合を前記第2の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、
前記拡大手段は、第2の方向に並んでいる前記各分割領域の第1の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、前記第2の方向に並んでいる各分割領域の第1の方向の大きさを変更するとともに、第1の方向に並んでいる前記各分割領域の第2の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、前記第1の方向に並んでいる各分割領域の第2の方向の大きさを変更することを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
請求項4に記載の地図表示装置において、
前記領域分割手段は、互いに直交する第1の方向の第1の線分と第2の方向の第2の線分によって所定の間隔で所定の領域に前記道路地図を分割し、
前記第1の稠密度算出手段は、前記分割領域における各探索経路のリンクを前記第2の線分へ投影したときの投影長の和である第1の投影長を算出して、前記分割領域を構成する前記第2の線分に対する前記第1の投影長の割合を前記第1の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、
前記第2の稠密度算出手段は、前記分割領域における各探索経路のリンクを前記第1の線分へ投影したときの投影長の和である第2の投影長を算出して、前記分割領域を構成する前記第1の線分に対する前記第2の投影長の割合を前記第2の方向の稠密度として各分割領域ごとに算出し、
前記拡大手段は、第2の方向に並んでいる前記各分割領域の第1の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、前記第2の方向に並んでいる各分割領域内に表示されている表示対象の表示位置を第1の方向に変更する第1のスケーリング関数を作成するとともに、第1の方向に並んでいる前記各分割領域の第2の方向の稠密度のうちの最大値に基づいて、前記各第1の方向に並んでいる各分割領域内に表示されている表示対象の表示位置を第2の方向に変更する第2のスケーリング関数を作成し、
前記第1のスケーリング関数に基づいて前記分割領域の第1の方向の大きさを変更し、前記第2のスケーリング関数に基づいて前記分割領域の第2の方向の大きさを変更することを特徴とする地図表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の地図表示装置において、
前記道路地図上の探索経路を簡略化した要約地図を作成する要約地図作成手段をさらに備え、
前記検出手段と前記拡大手段は、作成された要約地図に対してそれぞれの処理を実行することを特徴とする地図表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の地図表示装置において、
前記要約地図作成手段は、前記探索経路のそれぞれのリンクの両端点の位置を固定して前記リンクの形状を簡略化することにより前記要約地図を作成することを特徴とする地図表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の地図表示装置において、
前記要約地図作成手段は、前記リンク上に予め設定された点のいずれかを保存点として選択し、その保存点と前記両端点の位置をそれぞれ固定して、前記リンクの形状を簡略化することにより前記要約地図を作成することを特徴とする地図表示装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の地図表示装置において、
前記要約地図作成手段は、前記リンク上に予め設定された点のいずれかを選択する点選択手段と、
前記点選択手段により選択された点と前記両端点の各々とを順に結ぶ複数の第2の線分を設定する線分設定手段と、
前記線分設定手段により設定された第2の線分の各々が予め決められた所定の方向に対してなす角度が、予め設定された所定の単位角度の整数倍となるように、前記第2の線分の各々の方向を補正する方向補正手段と、
前記方向補正手段により方向を補正された第2の線分の各々を延長したときの交点を求める交点検出手段と、
前記交点検出手段により検出された交点と、前記両端点のいずれか一方または前記選択された点のいずれかとを結ぶように、前記第2の線分の各々の長さを補正する長さ補正手段とをさらに備え、
前記点選択手段は、前記リンク上に予め設定された点のうち、前記両端点と前記選択された点との間をそれぞれ結ぶ第3の線分から最も遠くにある点をさらに選択し、
前記要約地図作成手段は、前記長さ補正手段により長さを補正された第2の線分の各々を用いて前記リンクの形状を簡略化することにより、前記要約地図を作成することを特徴とする地図表示装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の地図表示装置を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−177871(P2006−177871A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−373235(P2004−373235)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】
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