説明

埋込可能型センサデバイスにおける無欠性の拡張方法及び装置

埋込可能型センサにおける無欠性を拡張する方法及び装置。外側チューブとセンサ基板乃至スペーシング素子との間に形成されたボイドを埋込可能型可硬化素材により穴埋めすることにより、センサ内における不要流体の拡散量を最小化する。センサ窓下におく酵素又はタンパク質マトリクスペレットを還元剤により前処理することにより、そのボンディングの安定性を高めると共に、センサ窓における脱落乃至漏入の原因となりうる不要な膨張を減らす。酵素ペレットとヒドロゲル層の間にボンディング層、例えばHSA(human serum albumin)等のタンパク質素材の層を導入することにより、酵素ペレットとヒドロゲル層の間のボンディングを補強する。その下にある電極のサイズを最小化することにより窓のサイズを最小化し、流束を減らしてセンサを長くする。センサリードの表面上に被覆を成長させ、スティフネス及び潤滑性を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態群は、この参照を以て本願に繰り入れられるところの、また優先権主張の基礎とされるところの、2002年9月27日付米国暫定出願第60/414142号「埋込可能型センサデバイスにおける無欠性の拡張方法及び装置」に関連している。
【0002】
本発明は、医用インプラント用センサ構造等、医用デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオセンサとマイクロエレクトロニクスとの結合によって利用できるようになった携帯型診断用医用機器は、無数の人々のQOL(quality of life)を高めている。病や障害に苦しむ多くの人々は、以前は病院や診療所を定期的に訪れて検査を受けざるを得なかったが、今日においては、実験室用機器に匹敵する正確さを備えた機器を用い、快適な自宅にて、自分で検査を行うことができる。
【0004】
とはいえ、バイオセンシングの分野における挑戦対象はまだ残っている。例えば、今日においては、快適な自宅で診断用医用機器を利用する糖尿病(高血糖症)患者が多くなっているが、この種の診断用医用機器を利用するに当たっては、今もなお糖尿病患者自らが採血及びインシュリン(insulin)注入を実行しなければならないことが多い。この採血は、通常、指先を針等で刺すことによって行われるが、若年で糖尿病と診断された人が自分で自分の指を突き刺す回数は、人生を通じて軽く一万回以上に達することとなろう。同じく、インシュリン注入回数も一万回以上に達することとなろう。
【0005】
他方で、ある種の医学的条件乃至状況に対しては、自動化された埋込可能型のセンサによって対処できるようになってきている。例えば、心臓に問題を抱える百千の人々は、自分の体内にペースメーカや除細動器を埋め込むようになってきている。ペースメーカや除細動器においては、血中酸素量をモニタするためのセンサを用いる。理想をいえば、その人の心臓が十分な心拍数且つ十分な効率で機能しているか、その人の心臓が細動を始めたか、といった事柄を、この種のセンサにより判別できるようにすべきであろう。しかしながら、この種の判別を実効的に行うには、利用するセンサが正確でなければならない。残念なことに、これまでに実現されている身体埋込型酸素センサにおいては、通常、校正や交換を頻繁且つ周期的に行うことが必須とされているほどである。
【0006】
更に、その用途如何を問わず、埋込可能型センサにおいては、そのセンサ構造自体が無欠であることが重要である。部分的にであれ全面的にであれセンサ構造における無欠性が損なわれると、不要な流体や細胞がセンサ構造内に拡散し、センシング能力の不安定化やセンサ故障を引き起こすこととなる。例えば、それまで無欠であった埋込可能型センサが汚濁乃至損傷すると、電極の周りに血液が溜まって固まり、電極の頂部に繊維質が顕現し、センサ中の柔軟な構成部分(酵素やタンパク質マトリクスや膜等)が劣化し消化される、といったことがあり得る。
【0007】
このようにしてセンサ構造が汚濁乃至損傷してしまったら、そのセンサを交換しなければならない。それには、古いセンサを取り出す処置、並びに新しいセンサを埋め込む処置が必要になる。これらの外科的処置は、半ば侵入的で、高く付き、また色々と不都合なものである。更に、センサが完全に故障したのでない限り、そのセンサを取り出さないでその状態を厳密に知るのは難しい。
【0008】
また、臨床実験においては、センサ構造の可撓性による複雑な問題が、センサ埋込処置中に発生する。例えば、イントロデューサを通してセンサを入れる際に外科医が軸方向に加える圧力によって、センサリードが曲がったりねじれたりつぶれたりすることがある。これは、特に、イントロデューサに屈曲部がある場合に生じやすい。一例として、図11に示すように、イントロデューサ140の内面が部位142において45度に屈曲している場合を考える。この場合、スティフネスや潤滑性が十分でないセンサをイントロデューサ140内に入れようとしても、屈曲部142がそれを邪魔するため、センサはイントロデューサ140内を軸方向(図中矢印146の方向)に沿って前進することができず、横方向(図中矢印144の方向)に曲がったりねじれたりつぶれたりすることとなる。このような曲がりやねじれやつぶれは、センサにとってダメージとなりうる。
【0009】
もう一つの複雑な問題は、外科医がセンサをイントロデューサ内に入れる際に生じる。例えば、図12Aに示すように、センサ152が配置されている先端部からセンサリードの根本方向へと離れた場所にて、外科医がセンサリード150を握ったとする。図中、握った点を、一対のクロスハッチ部154、156により表してある。スティフネスが不足しているセンサリード150は、このようにして握るとぐにゃりと垂れ下がるため、イントロデューサ内に導くのが難しい。そのため、外科医は、図12Bに示すように、より先端部に近いところでセンサリード150を握り直すであろう。このようにすれば、図11に示すイントロデューサ140内に、センサリード150を容易に導くことができる。しかしながら、このような形でセンサリード150を握ると、例えば外科医がセンサに対し大きすぎる圧力を加えた場合やセンサが壊れやすい素材から形成されている場合に、センサに対して意図しないダメージが加わることがある。
【0010】
更に一つの複雑な問題は、スティフネスが不足しているセンサを、図13に示すように管(ベッセル)162内に挿入したときに生じる。この場合、センサは、管162内を流れる流体から圧力を受けるため、管162の中心近傍よりは、管162の側壁166に寄りつきやすい。これは、センサによる計測値の正確さを落とす原因となるほか、管162に炎症を起こす原因ともなる。
【0011】
このように、身体内に埋め込むことができ且つより長期間に亘り身体内に信頼性良くとどまり続けるセンシング装置が、産業上要請されている。更には、そのセンシング素子が長期間に亘り確実に保護されるよう無欠性が拡張されたセンサ構造が、産業上要請されている。また更には、身体内へとセンサ構造を操り入れるのに好都合なようスティフネスを十分高めたセンサ構造が、産業上要請されている。そして、身体内に埋め込むのに好都合なようその表面の潤滑性を十分なものとしたセンサ構造が、産業上要請されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
一般に、本発明の実施形態に係る埋込(インプラント)デバイスは、患者身体内の空腔や管の内部における化学的濃度を検知するためのセンサ構造を有する。上述した産業上の問題点乃至要請のうち1個以上に対処すべく、個別の実施形態は、管を形成する素材及びその取扱、酵素又はタンパク質マトリクスの取扱、窓ボンディング素材、ボイド穴埋め材、そのサイズが最小化された電極及び窓、更にはこれらの製造乃至利用方法に関する。
【0013】
一実施形態に係るセンサデバイスは、センサ電子回路及びセンサ電極を有するセンサ基板と、センサ基板の電極に隣接するスペーサ素子と、スペーサ素子の窓領域内にとどまる酵素又はタンパク質マトリクスと、酵素又はタンパク質マトリクス上に位置する窓開口を有し他の構成要素をくるむ外側チューブと、酵素又はタンパク質マトリクス上に位置し外側チューブの窓開口を封止するヒドロゲル(hydrogel)層と、を備える。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態においては、その間に介在するボンディング層によって酵素又はタンパク質マトリクスがヒドロゲル層にボンディングされる。このボンディング層は、生体親和的な各種の素材から形成可能である。例えば、タンパク質接着特性を有し、且つセンサ目的物質(計測対象として選択されている物質例えばグルコース)が浸透乃至透過可能な種類の、生体親和性素材から形成できる。本発明のいくつかの実施形態においては、このボンディング層は、HSA(human serum albumin)、コラーゲン(collagen)、フィブリン(fibrin)等といったボンディングタンパク質よりなるタンパク質層を有する。他の実施形態においては、このボンディング層は、ポリペプチド(polypeptide)等の合成ボンディング素材から形成される。
【0015】
いくつかの実施形態においては、センサデバイス内に不要な流体が拡散することを阻止するため、センサモジュールの内部素子と外側チューブとの間の空間ボイドが、穴埋め材によって穴埋めされる。いくつかの実施形態においては、穴埋め材として、例えばシリコーン(silicone)、エポキシ(epoxy)、骨セメント、発泡体等の埋込可能型可硬化素材が用いられる。
【0016】
いくつかの実施形態においては、ストレスが加わり摩耗が生じる部分である窓周縁部の長さを最短にすると共に流束を減らすため、ひいては酵素又はタンパク質マトリクスの実効寿命を延長するため、窓開口のサイズが小さくされる。その下にある電極のサイズも、電極を形成するプロセスを制御することによって、小さくすることができる。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態においては、余分な膨張が生じるのを防ぐためアスコルビン酸等の還元剤で洗浄した前処理済の酵素又はタンパク質マトリクスのペレットを、酵素又はタンパク質マトリクスとして用いる。このようにすることで、酵素又はタンパク質マトリクスのペレットが不安定化しにくくなり、またその上にあるヒドロゲル層が脱落しにくくなる。
【0018】
本発明は、また、上述したセンサデバイスを製造するプロセスに係る実施形態をも指向している。いくつかの実施形態においては、2個のビーズによって基板を挟み(カプセル化し)、成型された1個又は複数個のスペーサ素子をこれらビーズの間に挿入し、ビーズ、基板及びスペーサ素子を外側チューブで覆い、外側チューブに窓開口を刻み入れ、窓開口から酵素又はタンパク質マトリクスを挿入し、そしてヒドロゲル層を用いて酵素又はタンパク質マトリクス上で窓開口を封止する。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態においては、外側チューブ、センサ基板、スペーサ素子といった構成部材の間に生じる空間ボイドが、酵素又はタンパク質マトリクスの挿入に先立って穴埋めされる。この穴埋めプロセスは、例えば、窓開口を介して空間ボイド内に穴埋め材を注入し、その後穴埋め材を硬化させることにより、実現することができる。穴埋め材は、例えば、注入中は流動可能な状態乃至液状の状態をとり、硬化後には流動不能な状態となる。或いは、最終組立工程において空間ボイド内に成形済構造物を組み込むことによっても、穴埋めプロセスを実現することができる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態においては、窓開口内への導入に先立って、酵素又はタンパク質マトリクスが還元剤により処理される。この処理は、例えば、アスコルビン酸(Ascorbate)やシアノボロハイドライド(cyanoborohydride)等の還元剤の溶液内で酵素又はタンパク質マトリクスを洗浄することにより、行うことができる。
【0021】
本発明の他の実施形態においては、ヒドロゲル層の導入に先立ち酵素又はタンパク質マトリクス上に、ボンディング素材によるボンディング層が導入される。ボンディング素材の導入は、シリンジやドロッパ等の体積計量的ディスペンサによって行うことができる。ボンディング層、酵素又はタンパク質マトリクス、並びにヒドロゲル層の間のボンディングは、架橋剤(クロスリンクエージェント)や紫外線等を用いて好適に実現することができる。例えば、グルテルアルデヒド(gluteraldehyde)等のエージェントを用いうる。温度制御型の架橋プロセスも使用できる。
【0022】
以上述べたものと述べていないものとを含め、本発明の実施形態及び利点については、本件技術分野における熟練者(「当業者」)であれば、以下に示す詳細な説明及び添付図面から理解できるであろう。また、本発明の実施形態は、個別的にもそれらを種々に組み合わせた形態においても、実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
一般的にいえば、本発明は、医用電子埋込デバイス用センサ構造やその製造方法に関するものであるが、このように述べるのは本発明の実施形態における基本的な仕組み乃至原理を描像しやすくするために過ぎず、以て限定的な解釈がなされるべきではない。本発明の技術的範囲については添付した請求の範囲において最もよく定義されている。また、以下の説明においては、本発明のいくつかの実施形態に関しより一貫した記述を行うために、数多くの細部それぞれについて説明を行っているが、当業者であれば理解できるように、このような細部にこだわらないでも本発明を実施することができる。更に、本発明の技術的範囲から逸脱することなく、本発明を他の形態で実施することができまた実施形態に構造的変更を施すことができる。また、本願においては、例えばグルコースレベル等の生理学的パラメータをモニタするセンサとして本発明を実施した例を説明しているが、本発明は他種のセンサ利用分野においても実施することができる。その例としては、これに限られるものではないが、酸素、イオン、神経伝達物質、酸化窒素、pH、ラクタート(lactate)、温度、圧力等のセンシングが挙げられよう。
【0024】
本発明の実施形態に係るセンシング装置は、これに限られるものではないが、センサモジュール、センサリード及びコネクタを備える。後により詳細に説明するように、センサモジュールは、これに限られるものではないが、酵素又はタンパク質マトリクス、1個又は複数個のスペーサ、並びにセンサ電子回路を備える。リードは、これに限られるものではないが、コア、導体、第1チューブ、並びに外側にある第2チューブを備える。埋込済のセンサモジュールにおいては、当該センサモジュール内の窓乃至多孔性素材(例えばグルコース透析膜、シリコーン、ポリウレタン(polyurethane)等)を通過してくる埋込先環境内化学物質に対して、センサモジュール内の酵素又はタンパク質マトリクスが反応する。すると、センサ電子回路は、埋込先環境内の化学的状態を示す電気信号を発生させる。この電気信号は、リードの導体部分に印加され、他の好適な信号処理手段へと伝達され、所定の医学的乃至医療的用途に供される。用途としては、これに限られるものではないが、患者体内状態のモニタや患者に対する化学物質送出乃至刺激のフィードバック制御等、生化学的センシング及び制御に係る用途がある。その他の用途としては、例えば療法モニタ用体外システム、体外維持型流体回路、ECMO、透析機、バイパス装置、心肺装置、神経学的応用、薬品送給システム、病状予測モニタリング、非病的身体プロセスモニタリング等のモニタリングシステムが、挙げられよう。
【0025】
実施形態に係るセンシング装置の構成要素については、そのセンシング装置が使用される用途乃至環境に応じ、それぞれ単独で、又は他の構成要素とのかねあいで、種々の変形を施すことができる。即ち、センシング装置を構成する複数の個別的構成要素を適宜変形し相互に組み合わせることによって、様々な用途で使用でき、様々な環境で使用できまた様々な場所に埋め込むことができるセンシング装置を、得ることができる。
【0026】
本発明の実施形態に関連して採用されうるセンサ基板、センサリード及びセンシング装置の一般的構造については、この参照を以てその内容を本願に繰り入れるところの次の米国特許出願に、更なる記載がある:2001年12月27日付米国出願第10/033720号「医用埋込デバイス用電子リード、その製造方法、並びにその挿入方法及び装置」、2001年12月28日付米国出願第10/036093号「センシング装置及びプロセス」、2001年12月31日付米国出願第10/038276号「センサ基板及びその製造方法」、並びに2001年12月28日付米国出願第10/034338号「埋込可能型センサ電極及び電子回路」。
【0027】
先に説明したように、バイオセンシングの分野において大切なことは、長期間に亘る使用にも耐えうるよう、その設計面でも製造面でも十分に頑丈な埋込可能型センシングデバイスを得ることである。しかしながら、時間が経過すると、血液その他の流体がセンサモジュールの本体内に拡散しそのデバイスの性能を不安定化させまたそのデバイスに故障を引き起こす、といった具合に、埋め込まれたセンシングデバイスの無欠性は損なわれていく。以下の説明にて述べるいくつかの方法及び構造は、センサの無欠性に係る問題に対処するためのものであり、センサ内自由体積即ち不要流体が拡散しうる空間の体積を最小化する方法及び構造や、センサの窓領域における無欠性を拡張する方法及び構造(例えば、酵素又はタンパク質マトリクスペレットを還元剤で洗浄するという手法、その間に介在するタンパク質ボンディング層によりヒドロゲル層を酵素又はタンパク質マトリクスペレットにボンディングするという手法、センサ窓のサイズを小さくするという手法)を含んでいる。以下の説明においては、更に、センサリードのスティフネス及び潤滑性を改善する方法及び構造についても述べる。以下の記述では、これらの方法及び構造に関し、いくつかの実施形態に係るセンサデバイス及びいくつかの実施形態に係るセンサデバイス製造乃至使用方法との関連において説明する。
【0028】
図1に、本発明の一実施形態に係るセンシング装置の一般的構成を示す。センシング装置10は、センサリード12と、第1端部14に設けられた電気コネクタ16と、第2端部18に設けられたセンサモジュール20とを、備えている。センサモジュール20内には電気基板が配置されており、この電気基板の両端にはビーズ22が成型等の手法によって取り付けられている(又はこの電気基板の両端上に形成されている)。センサリード12とは逆の側にあるビーズ22には、尖頭アーチ状乃至弾丸状の先端部24が取り付けられており、これによって、血流等の流体環境に適合するようアセンブリ全体が流線型とされている。但し、アセンブリを流線型にすることは、埋込先が身体内の流体エリアか否かによらず、埋込を楽にするのにも役立つ。例えば腹膜、皮下組織、脊椎、脳、筋肉組織等に埋め込むのが楽になる。センサリード12を構成する外側チューブ26は、尖頭アーチ状の先端部24につながっている。このセンシング装置10は、丸ごと、静脈乃至血管その他、人体内の好適なエリアに置くことができる。当該人体内エリアの例としては、これに限られるものではないが、腹腔、腹膜、皮下組織、脊椎、脳等を挙げることができる。また、この装置は各種の動物にて使用することも試験管内乃至実験室内で使用することも可能である。
【0029】
コネクタ16は、コネクタであればオスでもメスでもその他でもよい。複数の導電経路を提供するようにしておけば、そのコネクタ16によって様々な構成のセンサリード12を収容できる。また、コネクタ16は様々な素材から形成することができる。例えば、化学的に不活性で導電性を有する様々な素材から、コネクタ16を形成することができる。実施形態によっては、他種の信号を伝えるようコネクタ16を構成すること、例えば(これに限られるものではないが)光学リードにより搬送される光信号を伝えるよう構成することが、可能である。
【0030】
図2A及び図2Bに、本発明の一実施形態に係るセンサの一般的構成を示す。センサモジュール20は基板30を備えており、この基板30にはセンシング素子側32の面と電子回路側34の面とがある。基板30は例えばセラミックから形成できるが、他の好適な素材を用いてこれを形成することもできる。その例としては、これに限られるものではないが、シリコンやガリウムヒ素を挙げることができる。図2Aに示されているように、基板30のセンシング素子側32には電極36が形成されている。形成手法としては、例えば、成長(deposition)、メッキ等、本件技術分野において知られている好ましいプロセスを用いることができる。電極36は、図示しない後述のセンシング素子に対向する。
【0031】
図2Bに示すように、基板30の電子回路側34には蓋38が被せられている。この蓋38は様々な電子回路、例えば集積回路40や電源キャパシタ42を覆っている。基板30の電子回路側34には更に、ワイヤリードが溶接される溶接パッド44に加え、電子回路分野にて使用される各種のパッド乃至配線が設けられている。電極36と、基板30の電子回路側34上にある電子回路は、このセンサ構造中の他の部分と協調することにより、電気化学的計測動作、例えば、この参照を以てその記述を本願に繰り入れるところの2001年12月28日付米国出願第10/036093号「センシング装置及びプロセス」に記載のセンサ動作と同様の動作を実行する。本発明の一実施形態としては、センサモジュール20を用いて酸素をセンシングする実施形態があり得るが、センサモジュール20の用途はかかる用途に限られるものではなく、他の用途においてもこのセンサモジュール20を用いることができる。当該他の用途の例としては、これに限られるものではないが、神経伝達物質や酸化窒素のセンシングがある。更に他の例としては、タンパク質マトリクス又は抗体マトリクスを有するセンサモジュールを用い、酵素反応、蛍光(発光)反応、光学変動、高圧化学的反応、圧電反応等をセンシングし、血液その他の体液内における物質レベルを検出する、という用途がある。
【0032】
図3Aに、本発明の一実施形態に係るセンサの一般的な構成をより詳細に示す。この図においては、電極パターン部分がビーズ22とビーズ22により挟まれている(カプセル化されている)。
【0033】
ビーズ22は、溶接パッド及びこれに溶接されている各種のワイヤがビーズ22内にくるまれることとなるよう、基板30の端部上に成型されている。基板30の端部上にビーズ22を形成するには、例えば型の中に基板30を置き、続いて当該基板30の端部をエポキシその他のカプセル化素材によって覆えばよい。他の例としては、ビーズ22を形成しておいて他の好適な手段(例えば、これに限られるものではないが、加圧による締嵌等の機械的嵌込)により基板30に取り付ける、という例がある。ビーズ22を形成するのに使用できる素材としては、例えば、これに限られるものではないが、エポキシ、プラスチック(ビニール)、シリコーン、ステンレススチール、金属、発泡ラバー等や、これら又はその他の好適な素材同士の組合せを、挙げることができよう。
【0034】
いくつかの実施形態においては、基板の電子回路側(電極とは逆の側)を挟み込むよう(カプセル化するよう)ビーズ22を形成する。このようにすれば、基板を保護及び支持する能力が高まる。また、ビーズ22によってセンサリード12のコアをくるみコアを支えるようにすることもできる。
【0035】
図4に、センサモジュールとスペーシング素子を部分的に分解して示す。第1スペーシング素子50は、ビーズ22とビーズ22の間のくぼみにはめ込まれて電極36上に置かれる。第1スペーシング素子50は一種のスペーサ乃至詰め物としてとらえることができる。それは、第1スペーシング素子50には、電極36と、やがてセンサモジュール20内に置かれることとなる酵素又はタンパク質マトリクスとの間の距離乃至間隔を、所定の距離乃至間隔に保つという機能があるからである。とはいえ、第1スペーシング素子50により提供されるのは機械的支持機能にとどまらず、第1スペーシング素子50はセンサ性能に関わる特性をも提供する。例えば、第1スペーシング素子50は、発泡体やその他の多孔性の膜により形成される。第1スペーシング素子50を形成するのに実際に使用する素材はその用途により異なり、例えば第1スペーシング素子50を介して酸素を透過させねばならない用途では、第1スペーシング素子50を形成する素材としてシリコーン等を用いる。加えて、第1スペーシング素子50の形状は、センサの幾何学的構成を含むモジュールの幾何学的構成のみならず、デバイスに対して要求されている特性によっても変わる。例えば、第1スペーシング素子50の背丈を低くすればセンサの応答時間を短縮できる。
【0036】
第1スペーシング素子50の床部52は、例えば酸素が通過できるように形成される。第1スペーシング素子50が例えばシリコーンやポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)や多孔質ポリマーによって形成されているなら、第1スペーシング素子50の床部52は血流中の酸素を通過させるが、血流中の他の化合物例えばグルコースは通過させない。
【0037】
第2スペーシング素子54は、第1スペーシング素子50内のくぼみ乃至レセプタクルにはめ込まれる。窓は、この第2スペーシング素子54の上側において、センサモジュール20を覆う外側チューブ26に切り込み等により形成される。図5に、第2スペーシング素子54に隣り合うよう外側チューブ26に切り込まれた窓56の側面を示す。後にも説明するように、第2スペーシング素子54は、窓56を切り込んだ後に、第1スペーシング素子50のくぼみ乃至レセプタクルから取り除かれ捨てられる。第1スペーシング素子50のくぼみ乃至レセプタクルには、取り除かれた第2スペーシング素子54に代わり、酵素、タンパク質マトリクスその他のセンシング触媒が配置され又は挿入される。スペーシング素子50及び54は、例えば、シリコーンやポリジメチルシロキサンや多孔質ポリマーといった好適な素材から形成すればよい。
【0038】
酵素又はタンパク質マトリクス及びスペーサは、センサ性能を微調整するのに有用であり、そのサイズや構成を変えることで各種のセンシング特性を左右できる。例えば、酵素又はタンパク質マトリクス及びスペーサのサイズ及び構成を変えることによって、ダイナミックレンジを拡張することや、酸素通過に伴う雑音を抑えることや、センシング装置の寿命を延長することが可能である。また、酵素又はタンパク質マトリクス及びスペーサの構成は、例えば、これに限られるものではないが、血中グルコース量等の生理学的パラメータを計測する必要があるか否かといった、様々な要因によって決定される。
【0039】
第1スペーシング素子50の外径は、外側チューブ26の内径より大きくするとよい。そのようにしておけば、外側チューブ26を広げて第1スペーシング素子50上に重ねたとき(例えば化学的又は機械的手段により嵌め合わせたとき)、外側チューブ26の収縮力によって第1スペーシング素子50が基板30上の電極36へと押しつけられ、これにより加圧による締嵌が形成される。
【0040】
第1スペーシング素子50の背丈は、例えば第1スペーシング素子50の頭がビーズ22の頭より上に出るようにする。このように第1スペーシング素子50とビーズ22の頭の位置がずれていれば、第1スペーシング素子50に圧縮力を加えることによって、装置構成部品の寸法をより安定にすることができる。即ち、外側チューブ26によってビーズ22及びスペーシング素子50が覆われたとき第1スペーシング素子50が圧縮されるため、例えば、酵素又はタンパク質マトリクスが入るくぼみの寸法的安定性が改善されうる。従って、ビーズ22及び第1スペーシング素子50のデュロメータ値、或いは硬度や柔軟度は、最終的に得られる形状乃至圧縮力が最適なものになるように決めればよい。
【0041】
図6に、組み立てられたセンシング装置、特にその窓56の周辺の側端面を示す。図示の如く、第2スペーシング素子54は既に酵素又はタンパク質マトリクス58に置き換えられている。酵素又はタンパク質マトリクス58としては、各種の酵素、タンパク質マトリクス、触媒性ポリマ、抗体、これらの組合せ等、センシングに用いうるものを用いることができる。例えば、生理学的パラメータのセンシングが求められているのであれば、タンパク質を1種類又は複数種類選んで酵素又はタンパク質マトリクス58として用いればよい。本発明の一実施形態においては、グルコースオキシダーゼ(glucose oxidase)とHSAとの組合せがソリッドマトリクスフォームにおいて同時に使用されSMP(sensor matrix protein)が形成される。SMPは、グルテルアルデヒドその他の好適な化学物質を用い、三次元構造が生成されるよう、互いに架橋され又は重合される。本発明の他の実施形態においては、SMPは、シリコーン発泡体、例えば親水性を助長するための特別な処理が施された各種の非親水性素材や各種の多孔質親水性素材の内部に固定化され、発泡体の孔部内に滞留してその場所で架橋する。また、他の好適なマトリクス内にSMPを固定化することも可能である。本発明の更に他の実施形態においては、スペーサ乃至詰め物の表面に、或いは電極上に直接、SMPが落着形成される。
【0042】
窓56の開口部即ち酵素又はタンパク質マトリクス58の上方には、ヒドロゲル層60が形成されている。このヒドロゲル層60は、センシング装置を封止できるよう、また埋込先環境内に存在しうる血液その他の不要流体に対しセンサを構成する酵素又はタンパク質マトリクス58その他の内部素子を保護できるよう、形成されている。ヒドロゲル層60と酵素又はタンパク質マトリクス58との間のボンディングが破れた場合や、窓56の周縁部にてヒドロゲル層60が外側チューブ26から分離した場合には、ヒドロゲル層60が紛失乃至脱落してしまうかもしれない。そのようなことが起こると、少なくとも、不要流体の漏入浸透によるセンシング機能途絶攪乱が生じ、最終的には、酵素又はタンパク質マトリクス58の消化消失及びセンシングデバイスの故障に至るであろう。
【0043】
そこで、酵素又はタンパク質マトリクス58とヒドロゲル層60の間のボンディング強度を高めるため、酵素又はタンパク質マトリクス58とヒドロゲル層60の間には、ボンディング層62が導入されている。このボンディング層62はのり又は封止剤として機能し、酵素又はタンパク質マトリクス58とヒドロゲル層60の間を結びつけてボンディングを補強する。また、ボンディング層62は、例えば酵素又はタンパク質マトリクス58の隆起膨張に抗すべく、開口自体をも補強している。ボンディング層62は、接着特性を有する各種の生体親和的素材、例えばHSAから形成できる。但し、当該素材は、センサ目的物質例えばグルコースを通すものでなければならない。HSA以外の例としては、これに限られるものではないが、コラーゲン、フィブリン、各種の好適な合成素材(ポリペプチド等)、各種の接着剤等を、挙げることができよう。
【0044】
センサにおける無欠性が損なわれるリスクは、センサ窓56のサイズを最小化すること、即ち壊れやすい素材の露出量を最小化することによって、減らすことができる。即ち、窓56を最小限まで狭くすれば、ダメージを受けうる表面積を最小限に狭くすることができ、また漏入発生部位たる周縁の長さを最小限に短くすることができる。
【0045】
窓56を小さくする際には、それに相応するようセンサ電極36、特に酵素又はタンパク質マトリクス58の直下に並ぶ作動部分を小さくするとよい。但し、センシング能力を得るには十分な電極長が必要である。例えば、本発明のある実施形態においては、2.5%の酸素を20nAの電流として検出できる十分な電極長にしなければならない。また、電極小型化は、例えば、これに限られるものではないが、成長、エッチング、スパッタリング等の電極形成関連プロセスを制御することにより、実現できる。この電極形成プロセスには、これに限られるものではないが、制御型のIBAD(ion beam assisted deposition)プロセスを含めることができる。IBADプロセスを用いれば、電極36上や基板30内のビアインタフェース上を覆うキャップを形成することができる。即ち、電極36やビアインタフェースは電極36周辺で発生するヒドロキシルイオン(hydroxyl ion)による攻撃を受けやすいため、アルミナ、サファイア、Al23等のヒドロキシルイオン妨害素材を用いたキャップを形成すれば、電極36やビアインタフェースを保護することができる。IBADキャップを大きくすることにより、電極36の実効寸法をより小さくすることができる。
【0046】
図7に、窓56対電極36間の相対的位置及び寸法関係を、側方及び上方から示す。
【0047】
図8A及び図8Bに、本発明の実施形態に係るセンシング装置の製造プロセスを示す。説明の明瞭化のためここでは一連のステップを示しているが、記載されているステップの実行順序を入れ替えること、いくつかのステップを互いに並列的に実行すること、いくつかのステップを組み合わせること、あるステップを省略すること、そしてこれらを本発明の技術的範囲から逸脱することなく実行することが、可能である。
【0048】
図8Aに示すプロセスでは、ステップ100において、コネクタ16及びセンサリード12の他、センサモジュール20の構成要素、例えば基板30、ビーズ22、スペーシング素子50及び54、酵素又はタンパク質マトリクス58等が搬入される。ステップ104においては、センサリード12の導電要素中に含まれるワイヤが、一方では溶接や半田付けによってセンサモジュール20の基板30上の回路パッドに、他方ではクリンプや溶接や半田付けによってコネクタ16に、それぞれ取り付けられる。
【0049】
ステップ106においては、溶接パッド44及びコアがビーズ22内にくるみ込まれることとなるよう、基板30の端部上にビーズ22が形成される。加えて、尖頭アーチ状の先端部24が、センサリード12とは逆側のビーズ22に、のり付けその他の手段によって取り付けられる。
【0050】
ステップ108においては、ビーズ22とビーズ22との間にスペーシング素子が挿入される。スペーシング素子には第1スペーシング素子50と第2スペーシング素子54とがある。ステップ110においては、センサリード12の外側チューブ26がセンサモジュール20上に引っ張り上げられる。このとき、外側チューブ26が、センサリード12とは逆側にあるビーズ22に取り付けられている尖頭アーチ状の先端部24を、部分的に覆うようにする。
【0051】
ステップ112においては、センサリード12の外側チューブ26のうち第2スペーシング素子54と重なるところに、窓56が形成される。窓56の形成手法としては、これに限られるものではないが、切り込み、成型等がある。窓56は、センシング装置10の用途に適するよう、またセンシング装置10の感度がより有利なものになるよう、設ければよい。例えば、糖尿病患者により使用されるであろうグルコースモニタ用のセンシング装置10においては、特定の幅を有する窓56を、センサリード12の外側チューブ26上の特定の位置、即ち酵素又はタンパク質マトリクス58内へと向かう酸素その他のセンサ目的化学元素乃至化合物の流束を助けられるような位置に、形成する方がよい。グルコースセンシング向けの典型的な窓幅は、例えば、これに限られるものではないが、約5/1000インチから約50/1000或いは70/1000インチがよい。加えて、窓深さは、例えば、これに限られるものではないが、約4/1000インチから50/1000インチの間の何れかがよい。しかしながら、窓56の寸法はデバイスのサイズに依存している。窓56の切り込み方及び位置により、デバイスの応答時間をも調整できる。窓開口が形成されると、ステップ114において第2スペーシング素子54が除去される。
【0052】
このように複数の構成要素を含むセンサデバイスにおいては、製造上の幾何学的公差等によって、構成要素間にボイドが発生しうる。図9Aに、センサデバイスの側断面、特にセンサモジュール内空間ボイド80を示す。また、図9B、図9C及び図9Dに、それぞれ図9A中のB、C及びDの位置におけるセンサモジュール軸断面を示す。空間ボイド80(1個のこともあれば複数個のこともある)は、外側チューブ26と、センサモジュールの内部構成要素との間にある。例えば、外側チューブ26と基板30の外縁との間(図9C及び図9D参照)や、外側チューブ26と第1スペーシング素子50の外周湾曲面との間(図9C参照)や、外側チューブ26とビーズ22との間(図9B、図9C及び図9D参照)に、ボイド80が生じうる。
【0053】
血液その他の不要流体が空間ボイド80内に拡散した場合、センサ性能に関わる問題、例えば電気部品における短絡や、酵素又はタンパク質マトリクス58の劣化等の問題が発生する。これらの問題を最小限に抑えるため、図8A中のステップ116においては、ボイド80が、埋込可能型可硬化素材により穴埋めされる。例えば、これに限られるものではないが、穴埋め材を注入するプロセスや、予め穴埋め材を成型しておいて組み込むプロセスによって、この穴埋めを行うことができる。穴埋め材は、例えば、これに限られるものではないが、シリコーン、エポキシ、骨セメント、発泡体、ゲル等を含むものとすればよい。
【0054】
この穴埋めは、例えばセンサ窓56を介したニードル注入を、酵素又はタンパク質マトリクスペレット及び窓ヒドロゲル層の配置乃至形成に先立ち行うことで、実現することができる。穴埋め材は、シリンジを好適に利用できるよう流動可能な状態(例えば液体、ゲルその他の流体的形態)にてプロセスに搬入する。穴埋め材は、利用するシリンジの先端から、存在するあらゆる空間ボイド80内に入れられる(充填される)。シリンジ以外のアプリケータ、例えば、これに限られるものではないが、ピペット等を使用することもできる。充填が適切に行われたことを確認した上で、ステップ118においては、穴埋め材が硬化される。硬化状態は、完全な硬化状態でもよいし、部分的な硬化状態(但し流動はしない状態)でもよい。これによって、穴埋め材はその場所に固定的に組み込まれる。穴埋め材の硬化手段としては、本件技術分野において知られている手段のうち使用する穴埋め材に適した手段、例えば、これに限られるものではないが、熱、光その他の輻射への露出や、硬化触媒や、化学硬化剤等を利用できる。
【0055】
図8Bに示す他の実施形態においては、1個又は複数個の成型済構造物によって空間ボイド80が充填される。即ち、図8Bにおいては、ステップ116及び118を実行するのに代えて、ステップ100とステップ104との間でステップ102を実行している。ステップ102は、最終組み込みに先立って、穴埋め材を成型して適当な形状の穴埋め片を1個又は複数個得るステップである。そして、ステップ114の後に実行されるステップ120においては、ボイド80をふさぐべくこの成型済穴埋め片がセンサ内に挿入される。ステップ120は、また、ステップ108とステップ110との間、即ちスペーシング素子50及び54の周りに外側チューブ26を引き上げるステップの直前でも、実行できる。
【0056】
図8Aに戻って、ステップ122においては、例えば好適な滅菌技術又はその組合せによってセンシング装置10の全体が滅菌される。例えば、ETO(ethylene oxide)ガス内にセンシング装置10の全体(酵素、タンパク質その他の生理学的パラメータ検知手段を含んでいても含んでいなくてもよい)を置き、センシング装置10の全構成要素にETOガスを浸透させればよい。滅菌後は、センシング装置10は使用準備が整うまで貯蔵される。なお、この種の滅菌方法については、この参照を以てその内容を本願に繰り入れるところの2001年12月28日付米国特許出願第10/034505号「無菌デバイス及びその製造方法」において開示されている。
【0057】
センシング装置10の使用準備が整ったときは、望みに応じステップ126にて、酵素又はタンパク質ペレットの形態を有している酵素又はタンパク質マトリクス58が、第2スペーシング素子54があった場所に、窓を介して挿入される。本発明のある実施形態においては、ステップ128において、酵素又はタンパク質マトリクス58が水化(水和)される。これにより酵素又はタンパク質マトリクス58が膨張するため、堅固な嵌め込みが形成されまた第2スペーシング素子54除去後エリア内が酵素又はタンパク質マトリクス58により満たされる。また、本発明のある実施形態においては、予め若干乾燥した状態にされている酵素又はタンパク質マトリクス58が、第2スペーシング素子54除去後の空きエリア内に置かれる。乾燥した状態の酵素又はタンパク質マトリクス58は、第2スペーシング素子54除去後の空きエリア内に入れるのには便利であるが、当該エリア内に入れた後に、酵素又はタンパク質マトリクス58とその取り巻き部分(センサモジュール20のうち当該酵素又はタンパク質マトリクス58をくるんでいる部分)との間に隙間ができてしまう。そこで、酵素又はタンパク質マトリクス58及びその取り巻き部分を、無菌バッファによって水化(水和)する。このようにすれば、酵素又はタンパク質マトリクス58が膨張し、第1スペーシング素子50中のくぼみ又はレセプタクルにおいて加圧による締嵌が実現される。
【0058】
ステップ128にて目的としている酵素又はタンパク質マトリクス58の膨張とは別のことであるが、酵素又はタンパク質マトリクスペレットは、特に過酸化物が存在している場合、時間経過に伴い不要に膨張していくことがある。この余分な膨張という挙動はいくつかの望ましくない結果を招く。例えば、酵素又はタンパク質マトリクス58は、余分な膨張によって不安定化しひいては攻撃に対して敏感になりうる。更に、酵素又はタンパク質マトリクス58の膨張によってセンサ窓56の開口が広がると、酵素又はタンパク質マトリクス58の外側にあるヒドロゲル層60と窓56との間に隙間が生じ、ヒドロゲル層60が脱落しかねない。そして、酵素又はタンパク質マトリクス58の体積増加に連れて進入経路長が長くなるためセンサ感度が低下してしまうことがある。
【0059】
いくつかの実施形態においては、タンパク質マトリクス58の余分な膨張を緩和するため、ステップ124において(即ちステップ126における酵素又はタンパク質マトリクス58の挿入の直前に)酵素又はタンパク質マトリクスペレットが還元剤で洗浄される。還元剤としては、酵素又はタンパク質マトリクス58を痛めない還元剤、例えばナトリウムシアノボロハイドライド(sodium cyanoborohydride)を用いうる。マイルドな特性を有するアスコルビン酸も好ましい。還元剤は、酵素又はタンパク質マトリクス58内におけるシッフ塩基結合を還元し、架橋を通じて結合を安定化させるのに役立つ。
【0060】
還元剤により酵素又はタンパク質マトリクスを処理したことによる膨張軽減効果を示すため、図10A及び図10Bに試験結果の概略を示す。これらの図は、それぞれ、グルコース又は過酸化物に酵素又はタンパク質マトリクスを晒した場合における酵素又はタンパク質マトリクスの膨張率(%)の観測結果を、時間経過と共に表したものである。各グラフにプロットされているのは、処理されていない(対比例としての)酵素又はタンパク質マトリクス、並びにアスコルビン酸により処理された酵素又はタンパク質マトリクスにおける膨張の進行経過である。図面から読み取れるように、特に過酸化物環境においては、対比例たる酵素又はタンパク質マトリクスに比べアスコルビン酸により還元された酵素又はタンパク質マトリクスの方が遙かに、(特に長時間が経過した時点での)時間経過に伴う膨張が小さくなる。従って、還元剤により処理された酵素又はタンパク質マトリクスの方が、センサにおける無欠性に関わる問題を発生させにくい。
【0061】
酵素又はタンパク質マトリクス処理プロセスの例としては、定常的に攪拌しつつ室温で2時間に亘り、30mMの濃度を有するアスコルビン酸の溶液内で酵素又はタンパク質マトリクスペレットを洗浄する、というプロセスを挙げうる。このプロセスの継続時間は温度を高めれば短縮できるが、温度を高めすぎると酵素又はタンパク質マトリクスが不活性化してしまう。違う種類の還元剤を用いる場合や、違う種類の酵素又はタンパク質マトリクスを処理する場合には、最適な還元剤濃度は異なるものになろう。
【0062】
図8Aに戻って、酵素又はタンパク質マトリクス58を挿入(ステップ126)した後或いは更に酵素又はタンパク質マトリクス58を水化(水和)(ステップ128)した後は、例えば、ステップ130において、タンパク質接着特性を有するボンディング層62が、酵素又はタンパク質マトリクス58上に導入される。ボンディング層62は、例えば液体状のものを、シリンジやドロッパ等の体積計量的ディスペンサによって導入すればよい。その他の導入手法としては、これに限られるものではないが、塗りつける、ピペットを用いる、といった手法が挙げられる。導入した後は、液状のボンディング層62をグルテルアルデヒド等の架橋剤により固着乃至固化させる。
【0063】
ボンディング層62は、HSA等、タンパク質接着特性を有する各種の生体親和的素材から形成できる。但し、その素材は、グルコース等のセンサ目的物質を通すものでなければならない。HSA以外の素材例としては、これに限られるものではないが、コラーゲン、フィブリン、或いは好適な合成素材(ポリペプチド等)を挙げることができる。
【0064】
ステップ132においては、窓56の開口部に残っている空洞が、例えばヒドロゲルの導入によって封止される。ヒドロゲルとしては、検体が通過できるもの、例えばメタクリレート(methacrylate)や他種の親水性アクリル系素材(hydrophilic acrylic)等を用いうる。ヒドロゲルによる層60はタンパク質層62の上に直接導入すればよい。その後は、UV(紫外線)重合プロセスを用いてヒドロゲルを重合させればよい。なお、グルコースセンサを作成する場合はグルコースが透過可能なヒドロゲルを用いる、というように、センサの種類に応じ、即ち特定種類のセンサ目的化学物質を選択的に通すよう、ヒドロゲルを選ぶ。
【0065】
先に図11に示したように、スティフネスや潤滑性が十分でないセンサは、イントロデューサ140内で方向転換させようとすると軸方向圧力により曲がりねじれ又はつぶれる。また、これも先に図13に示したように、スティフネスや潤滑性が十分でないセンサ152の位置は管162内で最適なものにならない。そこで、本発明の実施形態においては、埋込作業中にセンサ構造がダメージを受ける危険性を減らしまた管内におけるセンサリード位置をより好ましい位置にするため、センサリード用に用いられているシリコーンチューブの外表面にシロキサン(siloxane)被覆を成長させる。シロキサン被覆を施すことによって、シリコーンチューブのスティフネス及び潤滑性が増す。潤滑性が増すと埋込作業時における表面摩擦が減り、スティフネスが増すとイントロデューサ内における操作性が増す(即ちイントロデューサ内のあらゆる屈曲部を迂回できるようセンサリードを操作することがより容易になる)。
【0066】
本発明のある実施形態においては、例えば、プラズマ誘導成長(plasma induced deposition)によりシリコーンチューブ上にシロキサン被覆が形成される。「制御されたテキスチャ面を有する医用電気リード及びその製造方法」と題する特許文献1には、プラズマ誘導成長プロセスの一例が記載されている。一実施形態においては、気相のヘキサメチルシラン(hexamethylsilane)を反応させることにより、シリコーンの表面上にヘキサメチルジシロキサン(hexamethyldisiloxane)被覆を形成する。本発明の他の実施形態においては、他の方法、例えば(これに限られるものではないが)シリコーンチューブを浸漬させ又はシリコーンチューブにスプレイを施すことによって、シロキサン被覆を形成する。
【0067】
本発明の他の実施形態においては、埋込作業中にセンサ構造がダメージを受ける危険性を減らしまた管内におけるセンサリード位置をより好ましい位置にするため、センサリードの内管として、シリコーン管ではなく、センサリードに十分なスティフネスを与えるのに足るデュロメータ値を有するエラストマ的(elastomeric)素材製の管を、用いる。このようなエラストマ的素材製内管を用いれば、イントロデューサを通してセンサリードを進める際にセンサリードが曲がったりねじれたりつぶれたりすることやセンサリードにダメージを与えることを、防ぐことができる。一実施形態においては、エラストマ的素材のデュロメータ値が約55あれば十分とされる。用いることができるエラストマ的素材としては、例えば、ポリウレタン系の素材、シリコーンとポリウレタンの複合素材等、十分なデュロメータ値を有する種々のエラストマ的素材を挙げることができる。このようにエラストマ的素材製の内管を用いることによりスティフネスが増大すると、イントロデューサ内及び目的とする管内における操作性が改善される。即ち、センサリードを目的とする管内に進め埋め込むことが、より容易になる。その際、センサにダメージを与えるかもしれないスタイレットその他のツールを用いる必要もない。
【0068】
本発明の他の実施形態においては、例えば、リード内にワイヤを恒久的に入れることによりセンサのスティフネスを向上させる。ワイヤを形成する素材としては、例えばステンレススチール、ニチノール(nitinol)等を初め、各種の素材を用いることができる。
【0069】
本発明の実施形態のうち潤滑性の被覆を付与しまたシリコーン製の管に代えてエラストマ的素材製の管を内管として用いることとした実施形態においては、センサリードにおけるスティフネスが向上している。加えて、プラズマ誘導シロキサン成長を用いた実施形態においては、センサリードの潤滑性が向上する。本発明のうちこれらの実施形態に係る発想は、それぞれ単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0070】
本発明の実施形態に従いセンサリードのスティフネス及び潤滑性を高めれば、図14に示すように、センサ152から十分離れた点でセンサリード150を握りつつ図11に示すイントロデューサ140内にセンサリード150を成功裏に入れることが可能になる。従って、握ったためにセンサ152がダメージを受けることもない。加えて、スティフネスの高いセンサリードはイントロデューサ内でより容易に操ることができる。センサリードのスティフネス及び潤滑性が向上しているため、イントロデューサのうち屈曲している部分では、センサリードに加わる軸方向の力がセンサにて変換され、イントロデューサ内の屈曲部をまっすぐにするよう作用する。
【0071】
加えて、本発明の実施形態に従いセンサリード150のスティフネスを高めれば、図15に示すように、重力に逆らいセンサリード150を管162の側壁166から離れたところへ成功裏に位置決めすることができる。重力は、センサリード150が挿入されている人物が例えば俯せ或いは仰向けになっているときに、センサリード150を側壁166の方向へと押すようセンサリード150上に作用しうる力であり、従来技術に係るセンサリードでは管内におけるセンサ位置に関してこの重力が大きな影響を及ぼしていたが、センサのスティフネスが高ければ、浮力や牽引力によって当該センサは流れの内側へ即ち管162の中心により近い位置へと引き寄せられる。このようにしてセンサ152を位置決めすることにより、センサによる計測値がより正確なものとなる。
【0072】
以上、いくつかの実施形態に係る埋込可能型センサデバイス及びその製造方法に関し説明を行った。いくつかの実施形態は、先に述べた利点、例えば窓無欠性の向上といった利点を共有している。また、当業者であれば理解されるであろうが、先に述べたセンサ実施形態との関連において実施することが特に有利有用であるとはいえ、当該センサ実施形態により本発明に係るセンサ構造及びその製造方法が限定されるものではない。本発明の実施形態に関する先の記述は図示及び説明のためのものであり、排他的乃至限定的な意図、例えば本発明の実施形態を開示されている形態そのものに限るような意図は込められていない。更に、上掲の教示に基づき着想して各種の変形乃至変更を施すことが可能である。本発明の技術的範囲は、添付する請求の範囲及びその技術的等価物により定まるものである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明のいくつかの実施形態によるセンシング装置の一般的構成を示す部分破断斜視図である。
【図2A】本発明のいくつかの実施形態によるセンサモジュールの一般的構成、特にその電極側を示す斜視図である。
【図2B】本発明のいくつかの実施形態によるセンサモジュールの一般的構成、特にその電子回路側を示す斜視図である。
【図3A】本発明のいくつかの実施形態によるセンサモジュールの一般的構成、特にその両端にてカプセル化した状態を電極側から表した斜視図である。
【図4】本発明のいくつかの実施形態によるセンサモジュールとスペーサを示す部分分解斜視図である。
【図5】本発明のいくつかの実施形態によるセンシング装置の外側チューブに形成された窓を示す側断面図である。
【図6】本発明のいくつかの実施形態によるセンシング窓の構成を示す側断面図である。
【図7】本発明のいくつかの実施形態によるセンシング装置におけるセンシング電極対センシング窓位置関係を示す俯瞰図及び側面図である。
【図8A】本発明のいくつかの実施形態によるセンシング装置の製造プロセスを示すフロー図である。
【図8B】本発明のいくつかの実施形態によるセンシング装置の製造プロセス、特に成型済の穴埋め素子を用いるプロセスを示すフロー図である。
【図9A】本発明のいくつかの実施形態によるセンシング装置、特に穴埋めされるボイド空間を示す透過俯瞰図である。
【図9B】本発明のいくつかの実施形態によるセンシング装置、特に穴埋めされるボイド空間を示す軸断面図である。
【図9C】本発明のいくつかの実施形態によるセンシング装置、特に穴埋めされるボイド空間を示す軸断面図である。
【図9D】本発明のいくつかの実施形態によるセンシング装置、特に穴埋めされるボイド空間を示す軸断面図である。
【図10A】処理されていない酵素又はタンパク質マトリクスと、還元剤により洗浄した酵素又はタンパク質マトリクスとについて、グルコース環境における経過時間に対する膨張率(%)の関係を示す試験結果グラフである。
【図10B】処理されていない酵素又はタンパク質マトリクスと、還元剤により洗浄した酵素又はタンパク質マトリクスとについて、過酸化物環境における経過時間に対する膨張率(%)の関係を示す試験結果グラフである。
【図11】屈曲部を有するイントロデューサを示す斜視図である。
【図12A】センサから離れたセンサリード把持点を詳細に示す側面図である。
【図12B】センサに近いセンサリード把持点を詳細に示す側面図である。
【図13】スティフネスが十分でないセンサリードを管内に挿入した状態を示す斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態に係るセンサから離れたセンサリード把持点を詳細に示す側面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係りスティフネスが十分なセンサリードを管内に挿入した状態を詳細に示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部素子を有するセンサモジュールと、センサモジュールをくるむ外側チューブと、上記外側チューブと上記内部素子との間に形成されている1個又は複数個のボイド内に配置される穴埋め材と、を備える埋込可能型センシング装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、上記内部素子が、電極を有する基板を含む装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、上記内部素子が更に、上記基板の端部のうち1個又は複数個に隣接形成されたビーズ状構造物を含む装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、上記内部素子が更に、上記基板に隣接するスペーシング素子を含む装置。
【請求項5】
請求項1記載の装置において、上記穴埋め材が、埋込可能型可硬化素材を含む装置。
【請求項6】
請求項5記載の装置において、上記埋込可能型可硬化素材が、シリコーン、エポキシ及び骨セメントのうち1個又は複数個を含む装置。
【請求項7】
請求項5記載の装置において、上記埋込可能型可硬化素材が発泡体を含む装置。
【請求項8】
請求項5記載の装置において、上記埋込可能型可硬化素材がゲルを含む装置。
【請求項9】
請求項5記載の装置において、上記埋込可能型可硬化素材が接着剤を含む装置。
【請求項10】
請求項1記載の装置において、上記穴埋め材が、流動可能素材を上記ボイド内に注入し更に非流動状態へと硬化させた穴埋め材を含む装置。
【請求項11】
請求項1記載の装置において、上記穴埋め材が成型済構造物を含む装置。
【請求項12】
請求項1記載の装置において、上記外側チューブが潤滑性被覆により被覆された装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、潤滑性被覆がシロキサンである装置。
【請求項14】
請求項1記載の装置において、更に、外側チューブの内側に配置された内側チューブを備える装置。
【請求項15】
請求項14記載の装置において、内側チューブがエラストマ的素材から形成された装置。
【請求項16】
請求項14記載の装置において、内側チューブが金属から形成された装置。
【請求項17】
内部素子を有するセンサモジュールを外側チューブによりくるむステップと、上記外側チューブに窓開口を形成するステップと、上記外側チューブと上記内部素子との間にある1個又は複数個のボイドを上記窓開口を介して穴埋めするステップと、を有する埋込可能型センシング装置製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法において、上記穴埋めステップが、流動可能な穴埋め材を上記窓開口を介し上記1個又は複数個のボイド内に導入するステップと、上記穴埋め材が非流動的になるまで上記穴埋め材を硬化させるステップと、を含む方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、上記穴埋め材が、液体の状態でシリンジを用いて導入される方法。
【請求項20】
請求項18記載の方法において、上記穴埋め材が、液体の状態でピペットを用いて導入される方法。
【請求項21】
請求項17記載の方法において、上記穴埋めステップが、1個又は複数個の成型済構造物を上記1個又は複数個のボイド内に挿入するステップを含む方法。
【請求項22】
請求項17記載の方法において、上記内部素子が、電極を有する基板を含む方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、上記内部素子が更に、上記基板の端部のうち少なくとも1個に隣接形成されたビーズを含む方法。
【請求項24】
請求項22記載の方法において、上記内部素子が更に、上記基板に隣接するスペーシング素子を含む方法。
【請求項25】
請求項17記載の方法において、更に、外側チューブを潤滑性被覆により被覆するステップを有する方法。
【請求項26】
請求項25記載の方法において、潤滑性被覆がシロキサンである方法。
【請求項27】
請求項17記載の方法において、更に、外側チューブの内側に内側チューブを配置するステップを有する方法。
【請求項28】
請求項27記載の方法において、内側チューブがエラストマ的素材から形成された方法。
【請求項29】
請求項27記載の方法において、内側チューブが金属から形成された方法。
【請求項30】
電極を有する基板と、窓開口を有し上記基板をくるむ外側チューブと、余分な膨張が妨げられるよう還元剤により処理され上記電極と上記窓開口の間に置かれた酵素と、を備える埋込可能型センシング装置。
【請求項31】
請求項30記載の装置において、上記還元剤がアスコルビン酸を含む装置。
【請求項32】
請求項30記載の装置において、上記還元剤がシアノボロハイドライドを含む装置。
【請求項33】
請求項30記載の装置において、外側チューブが潤滑性被覆により被覆された装置。
【請求項34】
請求項33記載の装置において、潤滑性被覆がシロキサンである装置。
【請求項35】
請求項30記載の装置において、更に、外側チューブの内側に配置された内側チューブを備える装置。
【請求項36】
請求項35記載の装置において、内側チューブがエラストマ的素材から形成された装置。
【請求項37】
請求項35記載の装置において、内側チューブが金属から形成された装置。
【請求項38】
基板を外側チューブによりくるむステップと、上記電極上にて上記外側チューブに窓を形成するステップと、余分な膨張が妨げられるよう酵素を還元剤により処理するステップと、上記窓を通して上記酵素を挿入するステップと、を有する埋込可能型センシング装置製造方法。
【請求項39】
請求項38記載の方法において、上記酵素処理ステップが、上記還元剤の溶液内で上記酵素を洗浄するステップを含む方法。
【請求項40】
請求項39記載の方法において、上記洗浄が攪拌下で行われる方法。
【請求項41】
請求項38記載の方法において、上記還元剤がアスコルビン酸を含む方法。
【請求項42】
請求項38記載の方法において、上記酵素処理ステップが、架橋が可能となるよう上記酵素内におけるシッフ塩基結合を還元するステップを含む方法。
【請求項43】
請求項38記載の方法において、更に、外側チューブを潤滑性被覆により被覆するステップを有する方法。
【請求項44】
請求項43記載の方法において、潤滑性被覆がシロキサンである方法。
【請求項45】
請求項38記載の方法において、更に、外側チューブの内側に内側チューブを配置するステップを有する方法。
【請求項46】
請求項45記載の方法において、内側チューブがエラストマ的素材から形成された方法。
【請求項47】
請求項45記載の方法において、内側チューブが金属から形成された方法。
【請求項48】
請求項38記載の方法において、酵素がタンパク質マトリクスを含む方法。
【請求項49】
電極を有する基板と、窓開口を有し上記基板をくるむ外側チューブと、上記電極と上記窓開口の間に置かれた酵素と、上記窓開口を封止するヒドロゲル層と、上記酵素と上記ヒドロゲル層の間にあるボンディング層と、を備える埋込可能型センシング装置。
【請求項50】
請求項49記載の装置において、上記ボンディング層がタンパク質を含む装置。
【請求項51】
請求項49記載の装置において、上記ボンディング層がHSA(human serum albumin)を含む装置。
【請求項52】
請求項49記載の装置において、上記ボンディング層がポリペプチドを含む装置。
【請求項53】
請求項49記載の装置において、上記ボンディング層が接着剤を含む装置。
【請求項54】
請求項49記載の装置において、外側チューブが潤滑性被覆により被覆された装置。
【請求項55】
請求項54記載の装置において、潤滑性被覆がシロキサンである装置。
【請求項56】
請求項49記載の装置において、更に、外側チューブの内側に配置された内側チューブを備える装置。
【請求項57】
請求項56記載の装置において、内側チューブがエラストマ的素材から形成された装置。
【請求項58】
請求項56記載の装置において、内側チューブが金属から形成された装置。
【請求項59】
請求項49記載の装置において、酵素がタンパク質マトリクスを含む装置。
【請求項60】
電極を有する基板を外側チューブによりくるむステップと、上記電極上にて上記外側チューブに窓を形成するステップと、上記窓を通して酵素を挿入するステップと、上記酵素上にボンディング層を導入するステップと、上記窓をふさぐべくヒドロゲル層を導入するステップと、を有し、上記ボンディング層により上記ヒドロゲルを上記酵素にボンディングする埋込可能型センシング装置製造方法。
【請求項61】
請求項60記載の方法において、上記ボンディング層がタンパク質である方法。
【請求項62】
請求項60記載の方法において、上記ボンディング層がHSA(human serum albumin)である方法。
【請求項63】
請求項60記載の方法において、上記ボンディング層がポリペプチドである方法。
【請求項64】
請求項60記載の方法において、上記ボンディング層が接着剤である方法。
【請求項65】
請求項60記載の方法において、更に、上記酵素及び上記ヒドロゲル層と架橋させるべく上記ボンディング層に架橋剤を導入するステップを有する方法。
【請求項66】
請求項65記載の方法において、上記架橋剤がグルテルアルデヒドである方法。
【請求項67】
請求項60記載の方法において、上記ボンディング層が体積計量的ディスペンサにより導入される方法。
【請求項68】
請求項67記載の方法において、上記体積計量的ディスペンサがシリンジである方法。
【請求項69】
請求項67記載の方法において、上記体積計量的ディスペンサがドロッパである方法。
【請求項70】
請求項67記載の方法において、上記体積計量的ディスペンサがピペットである方法。
【請求項71】
請求項67記載の方法において、更に、外側チューブを潤滑性被覆により被覆するステップを有する方法。
【請求項72】
請求項71記載の方法において、潤滑性被覆がシロキサンである方法。
【請求項73】
請求項60記載の方法において、更に、外側チューブの内側に内側チューブを配置するステップを有する方法。
【請求項74】
請求項73記載の方法において、内側チューブがエラストマ的素材から形成された方法。
【請求項75】
請求項73記載の方法において、内側チューブが金属から形成された方法。
【請求項76】
請求項60記載の方法において、酵素がタンパク質マトリクスを含む方法。
【請求項77】
電極を有する基板と、上記基板に隣接するスペーシング素子と、窓開口を有し上記基板及び上記スペーシング素子をくるむ外側チューブであって上記スペーシング素子及び上記基板のうち1個又は複数個との間の幾何学的公差により1個又は複数個のボイドを形成せしめる外側チューブと、埋込可能型可硬化素材を含み上記1個又は複数個のボイドを埋める穴埋め構造物と、還元剤により前処理され上記電極と上記窓開口の間に置かれた酵素と、上記酵素上で上記窓を封止するヒドロゲル層と、上記酵素を上記ヒドロゲル層にボンディングするタンパク質層と、を備える埋込可能型センシング装置。
【請求項78】
請求項77記載の装置において、外側チューブが潤滑性被覆により被覆された装置。
【請求項79】
請求項78記載の装置において、潤滑性被覆がシロキサンである装置。
【請求項80】
請求項77記載の装置において、更に、外側チューブの内側に配置された内側チューブを備える装置。
【請求項81】
請求項80記載の装置において、内側チューブがエラストマ的素材から形成された装置。
【請求項82】
請求項80記載の装置において、内側チューブが金属から形成された装置。
【請求項83】
請求項77記載の装置において、酵素がタンパク質マトリクスを含む装置。
【請求項84】
電極を有する基板に対しスペーシング素子を隣接配置するステップと、外側チューブにより上記スペーシング素子及び上記基板をくるむステップと、上記電極上にて上記外側チューブに窓を形成するステップと、上記スペーシング素子及び上記基板のうち1個又は複数個と上記外側チューブとにより形成されたボイドを穴埋めすべく上記窓を介して埋込可能型可硬化素材を導入するステップと、還元剤により酵素を処理するステップと、上記窓を通して上記酵素を挿入するステップと、上記酵素上にプロテイン素材によるボンディング層を導入するステップと、上記窓をふさぐべくヒドロゲル層を導入するステップと、を有し、上記プロテイン素材による層により上記ヒドロゲルを上記酵素ペレットにボンディングする埋込可能型センシング装置製造方法。
【請求項85】
請求項84記載の方法において、更に、外側チューブを潤滑性被覆により被覆するステップを有する方法。
【請求項86】
請求項85記載の方法において、潤滑性被覆がシロキサンである方法。
【請求項87】
請求項85記載の方法において、更に、外側チューブの内側に内側チューブを配置するステップを有する方法。
【請求項88】
請求項87記載の方法において、内側チューブがエラストマ的素材から形成された方法。
【請求項89】
請求項87記載の方法において、内側チューブが金属から形成された方法。
【請求項90】
請求項84記載の方法において、酵素がタンパク質マトリクスを含む方法。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2006−501021(P2006−501021A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541544(P2004−541544)
【出願日】平成15年9月15日(2003.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/028854
【国際公開番号】WO2004/030514
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(595038051)メドトロニック ミニメド インコーポレイテッド (71)
【Fターム(参考)】