説明

基板処理システム

【課題】マッピング情報を活用できる基板処理システムを提供する。
【解決手段】マッピング情報を活用できる基板処理システムは、複数枚のウエハを収納したポッドのキャリア識別子を認識する主制御部と、ウエハを搬送する動作制御部を主制御部からの指示に従って制御する搬送制御部と、ポッドのスロットにおけるウエハの有無を検知するマッピング装置と、を備えており、主制御部はキャリア識別子にマッピング装置の検知結果を含むマッピング情報を関連付けて蓄積してキャリア識別子−マッピング情報蓄積テーブル91を作成する。テーブル91に基づいて特定キャリア履歴ファイル92を抽出することにより、マッピング情報を活用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理システムに関する。
例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという)の製造工場において、ICが作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという)を生産管理するのに利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
ICの製造工場においては、ウエハは複数枚(通例、25枚)が、略立方体箱形状のキャリアに収納されて扱われる。キャリアには複数個のスロットが設けられており、各スロットにウエハがそれぞれ挿入されることにより、複数枚のウエハがキャリアに収納される。例えば、キャリアの一対の側壁内面に一対の保持溝が互いに対向するようにそれぞれ形成されており、一対の保持溝によって1個のスロットが構成されている。
一般に、ウエハに成膜処理や熱処理等を施す基板処理装置には、キャリアのどのスロットにウエハが収納されているかを検知するマッピング装置が、設けられている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−111404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の基板処理システムにおいては、マッピング装置の検知結果を各スロットのウエハの有無情報として使用しているに過ぎない。
【0005】
本発明の目的は、キャリア搬入時のマッピング装置の検知結果を収集し、各キャリアに対して蓄積し、相互に比較することで、キャリアの特性を把握し、エラー発生頻度の高いスロットまたはキャリアを特定することができる基板処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
複数枚の基板を収納したキャリアのキャリア識別子を取得する主制御部と、
前記基板を搬送する動作制御部を前記主制御部からの指示に従って制御する搬送制御部と、
前記キャリアのスロットにおける前記基板の有無を検知するマッピング装置と、
を備えており、
前記主制御部は前記キャリア識別子に前記マッピング装置の検知結果を含むマッピング情報を関連付けて蓄積することを特徴とする基板処理システム。
【発明の効果】
【0007】
前記手段によれば、エラー発生頻度の高いキャリアまたはスロットを特定することができるので、キャリア交換のようなメンテナンス作業の要否判断として使用することができる。また、所定のスロットのエラーが頻発する場合、キャリア交換または再調整が必要となるため、メンテナンス作業や調整作業の要否判断として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態である基板処理システムが搭載された基板処理装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態である基板処理システムが搭載された基板処理装置を示す側断面図である。
【図3】本発明の一実施形態である基板処理システムを示すブロック図である。
【図4】複数の基板処理装置が接続された管理装置を示すブロック図である。
【図5】キャリアID−マッピング情報蓄積フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に即して説明する。
【0010】
図1〜図5は本発明の一実施形態を示している。
本実施形態に係る基板処理システムは、図1〜図3に示された基板処理装置1を制御するものとして構成されている。
【0011】
図1および図2に示されているように、基板処理装置1は筐体2を備え、筐体2の正面壁3の下部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口4が開設され、正面メンテナンス口4は正面メンテナンス扉5によって開閉される。
筐体2の正面壁3にはポッド搬入搬出口6が筐体2の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口6はフロントシャッタ(搬入搬出口開閉機構)7によって開閉される。ポッド搬入搬出口6の正面前方側にはロードポート(基板搬送容器受渡し台)8が設置されており、ロードポート8は載置されたキャリアとしてのポッド9を位置合せするように構成されている。
ポッド9は密閉式の基板搬送容器(キャリア)であり、図示しない工程内搬送装置によってロードポート8上に搬入され、また、ロードポート8上から搬出されるようになっている。
【0012】
筐体2内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板搬送容器格納棚)11が設置されており、回転式ポッド棚11は複数個のポッド9を格納するように構成されている。回転式ポッド棚11は垂直に立設されて間欠回転される支柱12と、支柱12に上中下段の各位置において放射状に支持された複数段の棚板(基板搬送容器載置棚)13とを備えており、棚板13はポッド9を複数個宛載置した状態で格納するように構成されている。
回転式ポッド棚11の下方には、ポッドオープナ(基板搬送容器蓋体開閉機構)14が設けられている。ポッドオープナ14はポッド9を載置し、また、ポッド9の蓋を開閉可能な構成を有している。
ロードポート8と回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14との間には、ポッド搬送装置(容器搬送装置)15が設置されている。ポッド搬送装置15は、ポッド9を保持してCZ軸方向に昇降可能、CX軸方向に進退可能となっており、ロードポート8、回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14との間でポッド9を搬送するように構成されている。
【0013】
筐体2内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体16が後端にわたって設けられている。サブ筐体16の正面壁17には基板としてのウエハ18をサブ筐体16内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)19が一対、垂直方向に上下2段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口19,19に対してポッドオープナ14がそれぞれ設けられている。
ポッドオープナ14はポッド9を載置する載置台21と、ポッド9の蓋を開閉する開閉機構22とを備えている。ポッドオープナ14は載置台21に載置されたポッド9の蓋を開閉機構22によって開閉することにより、ポッド9のウエハ出入口を開閉するように構成されている。
ポッドオープナ14にはマッピング装置(図示せず)が設けられている。マッピング装置はキャリアとしてのポッド9のどのスロット(図示せず)にウエハ18が収納されているかを検知して、検知結果を出力する。
【0014】
サブ筐体16はポッド搬送装置15や回転式ポッド棚11が配設されている空間(ポッド搬送空間)から気密となっている移載室23を構成している。移載室23の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)24が設置されており、ウエハ移載機構24は、ウエハ18を載置する所要枚数(図示では5枚)のウエハ載置プレート25を具備し、ウエハ載置プレート25は水平方向に直動可能、水平方向に回転可能かつ昇降可能となっている。ウエハ移載機構24はボート(基板保持具)26に対してウエハ18を装填および払出しするように構成されている。
また、ウエハ移載機構24には、ウエハ18を保持するウエハ載置プレート25がウエハ18を所定の場所から取り、所定の場所に置く際に、ウエハ載置プレート25の動作を調整する軸であるX軸と、ウエハ載置プレート25がウエハ18をボート26に移載する際の進入角度を調整する軸であるY軸と、ウエハ載置プレート25がウエハ18をボート26に移載する際の進入の高さを調整する軸であるZ軸、およびZ軸の微調整を行ってウエハ18のボート26に対する挿入間隔を調整するV軸という4つのパラメータが設定されている。
【0015】
移載室23の後側領域には、ボート26を収容して待機させる待機部27が構成されており、待機部27の上方には縦型の処理炉28が設けられている。処理炉28は内部に処理室29を形成し、処理室29の下端部は炉口部となっており、炉口部は炉口シャッタ(炉口開閉機構)31により開閉されるようになっている。
筐体2の右側端部とサブ筐体16の待機部27の右側端部との間にはボート26を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降装置)32が設置されている。ボートエレベータ32の昇降台に連結されたアーム33には蓋体としてのシールキャップ34が水平に取付けられており、シールキャップ34はボート26を垂直に支持し、ボート26を処理室29に装入した状態で炉口部を気密に閉塞可能となっている。
ボート26は、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウエハ18をその中心に揃えて水平姿勢で多段に保持するように構成されている。
【0016】
ボートエレベータ32側と対向した位置にはクリーンユニット35が配設され、クリーンユニット35は、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア36を供給するよう供給ファンおよび防塵フィルタで構成されている。ウエハ移載機構24とクリーンユニット35との間には、ウエハ18の円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合せ装置(図示せず)が設置されている。
クリーンユニット35から吹出されたクリーンエア36は、ノッチ合せ装置(図示せず)およびウエハ移載機構24、ボート26に流通された後に、図示しないダクトにより吸込まれて、筐体2の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット35によって移載室23内に吹出されるように構成されている。
【0017】
次に、基板処理装置1の作動について説明する。
【0018】
ポッド9がロードポート8に供給されると、ポッド搬入搬出口6がフロントシャッタ7によって開放される。ロードポート8上のポッド9はポッド搬送装置15によって筐体2の内部へポッド搬入搬出口6を通して搬入され、回転式ポッド棚11の指定された棚板13へ載置される。ポッド9は回転式ポッド棚11で一時的に保管された後、ポッド搬送装置15により棚板13からいずれか一方のポッドオープナ14に搬送されて載置台21に移載されるか、もしくはロードポート8から直接載置台21に移載される。
この際、ウエハ搬入搬出口19は開閉機構22によって閉じられており、移載室23にはクリーンエア36が流通されて充満している。移載室23にはクリーンエア36として窒素ガスが充満することにより、例えば、酸素濃度が20ppm以下と、筐体2の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遙かに低く設定されている。
【0019】
載置台21に載置されたポッド9はその開口側端面がサブ筐体16の正面壁17におけるウエハ搬入搬出口19の開口縁辺部に押付けられると共に、蓋が開閉機構22によって取外され、ウエハ出入口が開放される。
ポッド9が開放されると、マッピング装置はポッド9のどのスロットにウエハ18が収納されているかを検知して、検知結果を出力する。
マッピング装置のマッピングが終了すると、ウエハ18はポッド9からウエハ移載機構24によって取出され、ノッチ合せ装置(図示せず)に移送され、ノッチ合せ装置にてウエハ18を整合した後、ウエハ移載機構24はウエハ18を移載室23の後方にある待機部27へ搬入し、ボート26に装填(チャージング)する。
ボート26にウエハ18を受渡したウエハ移載機構24はポッド9に戻り、次のウエハ18をボート26に装填する。
【0020】
一方(上段または下段)のポッドオープナ14におけるウエハ移載機構24によるウエハ18のボート26への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ14には回転式ポッド棚11から別のポッド9がポッド搬送装置15によって搬送されて移載され、他方のポッドオープナ14によるポッド9の開放作業が同時進行される。
【0021】
予め指定された枚数のウエハ18がボート26に装填されると炉口シャッタ31によって閉じられていた処理炉28の炉口部が炉口シャッタ31によって開放される。
続いて、ボート26はボートエレベータ32によって上昇され、処理室29に搬入(ローディング)される。
ローディング後は、シールキャップ34によって炉口部が気密に閉塞される。
【0022】
処理室29が所望の圧力(真空度)となるようにガス排気機構(図示せず)によって真空排気される。また、処理室29が所望の温度分布となるようにヒータ駆動部(図示せず)によって所定温度迄加熱される。
また、ガス供給機構(図示せず)により、所定の流量に制御された処理ガスが供給され、処理ガスが処理室29を流通する過程で、ウエハ18の表面と接触し、この際に、熱CVD反応によってウエハ18の表面上に薄膜が成膜される。
さらに、反応後の処理ガスは、ガス排気機構により処理室29から排気される。
【0023】
予め設定された処理時間が経過すると、ガス供給機構により不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガスが供給され、処理室29が不活性ガスに置換されるとともに、処理室29の圧力が常圧に復帰される。
ボートエレベータ32によりシールキャップ34を介してボート26が降下される。
【0024】
処理後のウエハ18の搬出については、前述とは逆の手順で、ウエハ18およびポッド9は筐体2の外部へ払出される。
さらに、未処理のウエハ18がボート26に装填され、ウエハ18のバッチ処理が繰返される。
【0025】
複数のウエハ18を収納したポッド9をロードポート8、回転式ポッド棚11、ポッドオープナ14との間の搬送機構、また、ボート26にポッド9内のウエハ18を搬送したり、処理炉28にボート26を搬送する搬送機構、処理炉28に処理ガス等を供給するガス供給機構、処理炉28内を排気するガス排気機構、処理炉28を所定温度に加熱するヒータ駆動部および各搬送機構、ガス供給機構、ガス排気機構、ヒータ駆動部をそれぞれ制御する制御装置37について、図3を参照して説明する。
【0026】
図3中、38はプロセス系コントローラとしてのプロセス制御部、39は搬送系コントローラとしての搬送制御部、41は主制御部を示している。プロセス制御部38は記憶部42を具備し、記憶部42にはプロセスを実行するために必要なプロセス実行プログラムが格納されている。搬送制御部39は記憶部43を具備し、記憶部43にはウエハ18の搬送処理を実行するための搬送プログラムと、ポッド搬送装置15、ウエハ移載機構24、ボートエレベータ32の3つの搬送機構の動作を制御する動作制御プログラムが格納されている。主制御部41はデータ格納手段44を具備し、データ格納手段44は、例えばHDD等の外部記憶装置から構成されている。
なお、プロセス実行プログラム、搬送プログラム、動作制御プログラムはデータ格納手段44に格納してもよい。
【0027】
45,46,47はサブコントローラを例示しており、例えば、45は処理炉28の加熱制御を行う第1サブコントローラ、46はバルブの開閉や流量制御器等の作動を制御して、処理炉28への処理ガスの供給流量を制御する第2サブコントローラ、47は処理炉28からのガスの排気を制御し、あるいは処理炉28の圧力を制御する第3サブコントローラを示している。
48,49,51はそれぞれアクチュエータを例示しており、例えば、48は第1サブコントローラ45によって制御されるヒータ(以下、第1プロセスアクチュエータ)であり、49は第2サブコントローラ46によって制御される流量制御器(以下、第2プロセスアクチュエータ)であり、51は第3サブコントローラ47によって制御される圧力制御バルブ(以下、第3プロセスアクチュエータ)である。
52,53,54はアクチュエータの状態を検出し、検出結果を第1サブコントローラ45、第2サブコントローラ46、第3サブコントローラ47にフィードバックするセンサを例示しており、例えば、52は温度検出器(以下、第1プロセスセンサ)、53は流量検出器(以下、第2プロセスセンサ)、54は圧力センサ(以下、第3プロセスセンサ)である。
【0028】
搬送制御部39は各種搬送制御モジュールを制御し、各種搬送制御モジュールは後述するアクチュエータを制御する第1動作制御部55、第2動作制御部56、第3動作制御部57から構成されている。
58はポッド搬送装置15をCX軸方向に駆動するモータ(以下、第1動作アクチュエータ)を示し、59はポッド搬送装置15をCZ軸方向に駆動するモータ(以下、第1動作アクチュエータ)を示し、61はウエハ移載機構24をX軸方向に駆動するモータ(以下、第2動作アクチュエータ)を示し、62はウエハ移載機構24をY軸方向に駆動するモータ(以下、第2動作アクチュエータ)を示し、63はウエハ移載機構24をZ軸方向に駆動するモータ(以下、第2動作アクチュエータ)を示し、64はボートエレベータ32を駆動するモータ(以下、第3動作アクチュエータ)を示している。
【0029】
各動作アクチュエータには、各軸毎に状態を検出する状態検出センサ65,66,67,68,69,71が設けられている。状態検出センサ65,66,67,68,69,71は、各動作アクチュエータの状態を検出し、検出結果を第1動作制御部55、第2動作制御部56、第3動作制御部57にフィードバックする機能を有している。第1動作制御部55、第2動作制御部56、第3動作制御部57はメモリを有し、フィードバックされたデータ(検出結果)を一時的に保存することが可能である。
第1動作制御部55はポッド9をロードポート8から載置台21に移載するポッド搬送装置15を駆動制御し、第2動作制御部56はポッド9からウエハ18を取出し、ボート26に装填するウエハ移載機構24を駆動制御し、第3動作制御部57はウエハ18が装填されたボート26を処理炉28に搬入するボートエレベータ32を駆動制御する。
【0030】
72はキーボード、マウス、操作パネル等の入力デバイスを示し、73はモニタを示し、70はモニタ73から入力デバイス72を用いて各種指示を入力する操作部を示している。
第1サブコントローラ45、第2サブコントローラ46、第3サブコントローラ47にはプロセス制御部38から設定値の指示、あるいは、処理シーケンスに従った指令信号が入力され、プロセス制御部38は第1プロセスセンサ52、第2プロセスセンサ53、第3プロセスセンサ54が検出した検出結果を基に、第1サブコントローラ45、第2サブコントローラ46、第3サブコントローラ47を統括して制御する。
【0031】
プロセス制御部38は、主制御部41を介した操作部70からの指令により、基板処理を実行する。基板処理は、プロセス制御部38が記憶部42に格納されたプログラムに従って、他の制御系とは独立して実行される。したがって、搬送制御部39、主制御部41に問題が発生しても、基板処理は中断されることなく完遂される。
【0032】
第1動作制御部55は状態検出センサ65,66が検出した検出結果を基に動作アクチュエータ58,59を制御する。第2動作制御部56は状態検出センサ67,68,69が検出した検出結果を基に動作アクチュエータ61,62,63を制御する。第3動作制御部57は状態検出センサ71が検出した検出結果を基に動作アクチュエータ64を制御する等、各動作制御部が各状態検出センサに対応する各動作アクチュエータを制御する。 搬送制御部39は操作部70からの指示によって搬送処理を実行する。ポッド9やウエハ18は、搬送制御部39が記憶部43に格納された搬送プログラムおよび動作制御プログラムに従って他の制御系とは独立して搬送される。したがって、プロセス制御部38、主制御部41に問題が発生しても、ウエハ18の搬送は中断されることなく完遂される。
【0033】
データ格納手段44には、基板処理進行を統括するプログラム、処理内容、処理条件を設定するための設定プログラム、処理炉28の加熱や処理ガスの供給および排気等の設定情報が格納された基板処理のためのレシピ、通信プログラム、アラーム情報表示プログラム、パラメータ編集プログラム等の各種プログラムがファイルとして格納されている。
【0034】
ウエハ18の搬送処理を行う際には、操作部70から目標位置、速度、加速度、減速度、トルク制御が行われる方向、トルク制御を行う場合のトルク制限値等の設定値を入力し、搬送処理の実行指示を入力することで、記憶部43に格納されている搬送プログラム、および搬送プログラムからの指示に従って動作制御プログラムが実行される。
【0035】
搬送プログラムが実行されると、搬送制御部39が第1動作制御部55、第2動作制御部56、第3動作制御部57を介してポッド搬送装置15、ウエハ移載機構24、ボートエレベータ32の各搬送機構を駆動制御する。
【0036】
動作アクチュエータ58,59,61,62,63,64の少なくとも1つが停止すると、対応する動作アクチュエータの停止原因(状態検出センサによる検出結果)がアラーム信号として主制御部41に通知される。この時、停止した動作アクチュエータに対応する動作制御部に一時的に格納されていたデータ(状態検出センサの検出結果)のうち少なくとも停止時のデータを含んだアラーム信号が通知される。アラーム信号が通知されることによってアラーム情報表示プログラムが立上がり、モニタ73にアラーム情報が表示される。この時、アラーム情報は少なくとも一つ以上のアラーム信号で構成される。
【0037】
動作アクチュエータ58,59,61,62,63,64の少なくとも1つが停止し、アラーム信号が主制御部41に通知されると、搬送制御部39に対してウエハ18の搬送処理中断の命令が出され、停止しなかった動作アクチュエータが全て停止することでウエハ18の搬送処理が中断され、処理が終了する。
【0038】
図4に示されているように、基板処理装置1の制御装置37をLAN等の通信手段を介して管理装置90であるホストコンピュータに接続することで、基板処理装置1を遠隔操作する。すなわち、本実施形態においては、基板処理装置1の主制御部41に接続されるモニタ73に表示させて、各種搬送機構の設定を行う機能を管理装置90に持たせて、本発明を適用させることができる。また、ホストコンピュータに複数の基板処理装置1を接続することで、基板処理装置1間のパラメータ比較が可能となり、パラメータの管理が容易となる。
【0039】
以下、本発明の一実施形態を示すフローを図5について説明する。
【0040】
キャリアとしてのポッド9がロードポート8へ搬入される際に、制御装置37の主制御部41は搬入されるポッド9の識別子(以下、キャリアIDという)を、工程内搬送装置または管理装置90から取得し、データ格納手段44に図5に示されているように格納する。
ウエハ18が待機部27へ搬入されると、マッピング装置はポッド9のどのスロットにウエハ18が収納されているかを検知して、少なくともマッピング装置が各キャリアの各スロットを検知した結果を含む情報(検知情報)を制御装置37の搬送制御部39に送信する。搬送制御部39は検知情報に基づいてキャリア毎にマッピング情報を作成して、主制御部41に送信する。主制御部41はマッピング情報をデータ格納手段44に図5に示されているように格納する。ここで、マッピング情報とは、ロードポート8の位置情報と各スロットのマッピング装置からの検知情報を含む情報である。
この際、マッピング装置は上下段のポッドオープナ14に対応した検知位置Aおよび検知位置Bの検知情報をそれぞれ送信するので、主制御部41は検知位置Aの検知情報および検知位置Bの検知情報を区別して格納する。
【0041】
主制御部41はキャリアIDにマッピング情報を関連付けた図5のキャリアID−マッピング情報蓄積テーブル(以下、テーブルという)91を作成する。
図5に示されたテーブル91においては、キャリアIDが「0001」のポッド9は、1回目は検知位置Aにおいてマッピングされ、ウエハ18がポッド9の第一スロット1から第XスロットXまで「有り」と検知されており、2回目は検知位置Bにおいてマッピングされ、ウエハ18がポッド9の第一スロット1から第XスロットXまで「有り」と検知されている。
キャリアIDが「0002」のポッド9は、1回目は検知位置Bにおいてマッピングされ、ポッド9の第2スロット2では「エラー」と検知され、第XスロットXでは「無し」と検知されている。
【0042】
このようにして作成されたテーブル91の活用方法の一例を図5について説明する。
例えば、オペレータは入力デバイス72によって所望のポッド9のキャリアIDを入力することにより、データ格納手段44に格納されたテーブル91から図5に示された特定キャリア履歴ファイル92を抽出する。
図5に示された特定キャリア履歴ファイル92によれば、オペレータは第5スロット5において「NG」が連続している経歴を判定することができる。この判定に基づいて、オペレータは当該ポッド9の使用禁止または交換を指示したり、「NG」の発生原因の分析を指示したりする。
【0043】
キャリアIDの入力を自動的に実行するように設定しておくことにより、データ格納手段44に格納されたテーブル91から全てのポッド9に関する特定キャリア履歴ファイル92を自動的に抽出することができる。一方、「NG」の発生頻度の閾値を予め設定しておくと、抽出した全ての特定キャリア履歴ファイル92のうち、閾値を超えたポッド9のキャリアIDを自動的に抽出することができる。
この閾値を超えたキャリアIDの抽出により、使用禁止または交換の必要なポッドを自動的に警告したり、「NG」の発生原因分析を自動的に警報したりすることができる。
【0044】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0045】
(1)キャリアIDおよびマッピング情報を蓄積することにより、従来の基板処理システムにおいてウエハ有無情報に使用しているに過ぎないマッピング情報を、活用することができる。
【0046】
(2)キャリアID−マッピング情報蓄積テーブルから特定キャリア履歴ファイルを抽出することにより、「NG」頻度の高いスロットを有するポッドを判定することができるので、当該ポッドの使用禁止または交換を指示したり、「NG」の発生原因の分析を指示したりすることができる。
【0047】
(3)「NG」の発生頻度の閾値を予め設定しておくことにより、閾値を超えたポッドを自動的に抽出することができるので、使用禁止または交換の必要なポッドを自動的に警告したり、「NG」の発生原因分析を自動的に警報したりすることができる。
【0048】
(4)また、検知位置により履歴を抽出することにより、ポッドを限定しない「NG」の発生原因が分析可能となり、検知センサや機械的位置の再調整の必要性を検討することができる。
【0049】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
例えば、ダミーウエハのように繰り返し使用されるウエハの場合には、ポッドの初回使用時からの履歴データの変化に基づいて、ウエハ自体の変形を捕らえることもできる。
【0050】
管理装置90であるホストコンピュータに接続することにより、キャリアIDとウエハIDとを関連付けることができる場合には、「NG」の発生原因分析に際して、ウエハ自身の履歴を参照することができる。
【0051】
ポッドポートまたはポッドオープナに光学式キャリアID読取装置が設置されている場合には、キャリアIDの取得はそれら読取装置によって行ってもよい。
【0052】
基板処理装置はバッチ式や枚葉式および縦型や横型に限定されることはなく、本発明は単数または複数の基板処理装置によって製造プロセスが実施される基板処理システム全般に適用することができる。
【0053】
さらに、基板処理装置はCVD、酸化、拡散、アニール等の熱処理(thermal treatment )を実施するものに限らず、露光装置、リソグラフィ装置、塗布装置のような基板処理装置であってもよい。
【0054】
前記実施形態においてはICの製造工場における基板処理装置の基板処理システムについて説明したが、本発明はこれに限らず、LCDの製造工場におけるLCD製造装置の基板処理システム等についても適用することができる。
【0055】
本発明の好ましい態様を付記する。
(1)複数枚の基板を収納したキャリアのキャリア識別子を取得する主制御部と、
前記基板を搬送する動作制御部を前記主制御部からの指示に従って制御する搬送制御部と、
前記キャリアのスロットにおける前記基板の有無を検知するマッピング装置と、
を備えており、
前記主制御部は前記キャリア識別子に前記マッピング装置の検知結果を含むマッピング情報を関連付けて蓄積することを特徴とする基板処理システム。
(2)前記主制御部は、前記キャリア識別子の選択に対応して選択された前記キャリアまたは前記マッピング情報の履歴を出力する(1)の基板処理システム。
(3)NG発生頻度の閾値が予め設定され、前記履歴におけるNG発生頻度が前記閾値を超えた場合に、警報を発生させることを特徴とする(2)の基板処理システム。
【符号の説明】
【0056】
1 基板処理装置
9 ポッド(キャリア)
15 ポッド搬送装置
18 ウエハ(基板)
24 ウエハ移載機構
32 ボートエレベータ
39 搬送制御部
41 主制御部
44 データ格納手段
55 第1動作制御部
56 第2動作制御部
57 第3動作制御部
58 第1動作アクチュエータ
59 第1動作アクチュエータ
61〜63 第2動作アクチュエータ
64 第3動作アクチュエータ
65〜69 状態検出センサ
70 操作部
71 状態検出センサ
72 入力デバイス
73 モニタ
90 管理装置
91 キャリアID−マッピング情報蓄積テーブル
92 特定キャリア履歴ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を収納したキャリアのキャリア識別子を取得する主制御部と、
前記基板を搬送する動作制御部を前記主制御部からの指示に従って制御する搬送制御部と、
前記キャリアのスロットにおける前記基板の有無を検知するマッピング装置と、
を備えており、
前記主制御部は前記キャリア識別子に前記マッピング装置の検知結果を含むマッピング情報を関連付けて蓄積することを特徴とする基板処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−171648(P2011−171648A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36131(P2010−36131)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】