説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】処理室内および排気ラインへの反応生成物の堆積を抑制でき、かつ、塩化水素ガスによる腐食を抑制できる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】処理室201で基板に対して膜を形成する第一ステップと、前記第一ステップ後に、前記処理室201の外部から前記処理室201の内部へ大気を取り込み、前記処理室201の内部および前記処理室201に接続された排気ラインの内部に付着した付着物と前記大気中に含まれる水分とを反応させて、少なくとも塩化水素ガスを発生させるとともに、前記塩化水素ガスを前記排気ラインから排気する第二ステップとを有し、前記第二ステップは、前記処理室201の前記塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下になるまで維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理技術に関し、特に、塩素原子(Cl原子)を化学式に有する化合物を含む原料ガスを使用して基板上に膜を形成する基板処理装置および基板処理技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006−59938号公報(特許文献1)には、SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiClなどのSi系原料ガスを使用して半導体基板上に膜を形成する基板処理装置において、原料ガスが熱分解されるとともに重合化(高分子化)が起こり、a−Si(SixHy)や塩化シランポリマー(SixCly、SixHyClz)などの副生成物が低温のガス排気管に堆積することが記載されている。そして、副生成物の種類によっては、副生成物が基板処理装置のメンテナンス時に侵入した大気中の水分と反応して加水分解を起こし、高燃焼性の加水分解物が形成されることが記載されている。
【0003】
特開2005−340283号公報(特許文献2)には、基板処理装置に設けられているガス排気管をメンテナンスするためにガス排気管を取り外す前に、メンテナンスポートに設けられているバルブを開いてガス排気管の内部に大気を供給し、ガス排気管に付着している副生成物(塩化シランポリマー)を大気中の水分と反応させて塩化水素ガス(HClガス)を発生させることが記載されている。そして、発生した塩化水素ガスは、真空ポンプで排気されるので、大気中に塩化水素ガスが流出することを抑制できることが記載されている。
【0004】
特開2000−106347号公報(特許文献3)には、半導体基板のロード動作時およびアンロード動作時に、反応管内のガスを大気圧に対して−5mmHOから−70mmHO程度の圧力差で緩やかに排気することが記載されている。これにより、副生成物の昇華ガスや昇華ガスに起因するパーティクルなどが半導体基板に吸着されて、半導体基板上への成膜処理を阻害する事態を抑制できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−59938号公報
【特許文献2】特開2005−340283号公報
【特許文献3】特開2000−106347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板の処理工程においては、基板に成膜処理を施す基板処理装置が広く使用されている。この基板処理装置では、例えば、基板処理装置の処理室内に配置された基板を加熱し、かつ、処理室内に原料ガスを導入することにより、基板上に膜を形成する。一例として、塩素原子を化学式に有する化合物を原料ガスに使用して、基板上に膜を形成することが行なわれている。このような成膜処理を施す基板処理装置においては、原料ガスが熱分解されるとともに重合化(高分子化)が起こり、塩化シランポリマーなどの副生成物が生成され、生成された副生成物が処理室の内部や排気ラインの内壁に付着して堆積する。
【0007】
通常の基板処理装置には処理室と移載室が設けられており、複数の半導体基板を搭載した保持体を移載室から処理室へ搬入して半導体基板に対して成膜処理が施される。そして、成膜処理が終了した後、複数の半導体基板を搭載した保持体を処理室から移載室へ搬出する。上述した搬入工程や搬出工程では、処理室に設けられている炉口を開けて保持体の搬入出を行なうため、開けられた炉口を介して、移載室から処理室の内部へ大気が混入する。また、処理室と接続されている排気ラインの内壁には上述した副生成物が堆積するため、排気ラインはメンテナンスする必要があり、この排気ラインのメンテナンス時には、排気ラインの内部が大気に曝されることになる。
【0008】
したがって、処理室の内部や排気ラインの内壁に付着した副生成物は、例えば、移載室と処理室との間で保持体を搬入出する際や排気ラインをメンテナンスする際に、大気に触れることになる。このように副生成物が大気に触れると、副生成物は大気中の水分により徐々に加水分解して、高燃焼性の加水分解物へ変化するとともに、加水分解によって塩化水素ガスが発生する。このため、メンテナンス時の衝撃や静電気によって、高燃焼性の加水分解物が急激に燃焼するおそれがある。また、加水分解によって発生した塩化水素ガスが処理室の内部や炉口自体を腐食させるとともに、炉口から移載室へ漏れ出して移載室を腐食させるおそれもある。
【0009】
本発明の目的は、処理室内および排気ラインへの反応生成物の堆積を抑制し、メンテナンス性や安全性を高めることができ、かつ、処理室周辺の腐食を抑制できる基板処理装置および基板処理方法を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
本発明に係る基板処理方法は、処理室で基板に対して膜を形成する第一ステップと、前記第一ステップ後に、前記処理室の外部から前記処理室の内部へ大気を取り込み、前記処理室の内部および前記処理室に接続された排気ラインの内部に付着した付着物と前記大気中に含まれる水分とを反応させて、少なくとも塩化水素ガスを発生させるとともに、前記塩化水素ガスを前記排気ラインから排気する第二ステップとを有し、前記第二ステップは、前記処理室の前記塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下になるまで維持されるものである。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0014】
処理室内および排気ラインへの反応生成物の堆積を抑制し、メンテナンス性や安全性を高めることができ、かつ、処理室周辺の腐食を抑制できる基板処理装置および基板処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1における基板処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】ウェハをサセプタに装填している状態を示す上面図である。
【図3】図2のA−A線で切断した断面図である。
【図4】ウェハをサセプタから分離する様子を示す断面図である。
【図5】実施の形態1における基板処理装置の処理炉と、処理炉周辺の概略構成図である。
【図6】半導体装置の製造工程のシーケンスを示す図である。
【図7】原料ガスであるSiHCl(ジクロロシラン)が熱分解されるとともに重合化(高分子化)して、塩化シランポリマーなどの副生成物が生成される化学反応式を示す図である。
【図8】塩化シランポリマーが水分と加水分解反応して、高燃焼性の加水分解物と塩化水素ガスが生成される化学反応式を示す図である。
【図9】実施の形態1における基板処理装置の処理室近傍の概略構成を示す図である。
【図10】実施の形態1において、ボート搬出工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図11】実施の形態1において、特徴工程を実施した後、ボートの搬出が終了した様子を示す図である。
【図12】実施の形態2において、スタンバイ工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図13】実施の形態2において、ボート搬入工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図14】実施の形態2において、特徴工程を実施した後、ボートの搬入が終了した様子を示す図である。
【図15】実施の形態3において、ボート搬出工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図16】実施の形態3において、ボート搬出工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図17】実施の形態3において、スタンバイ工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図18】実施の形態3において、ボート搬入工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図19】実施の形態4において、ボート搬出工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図20】処理室の内部で発生する塩化水素ガスの濃度(HCl濃度)の時間変化を示すグラフである。
【図21】実施の形態4において、ボート搬出工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図22】実施の形態4において、スタンバイ工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図23】実施の形態4において、ボート搬入工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図24】実施の形態5において、ボート搬出工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図25】実施の形態5において、ボート搬出工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図26】実施の形態6において、ボート搬出工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図27】実施の形態6において、ボート搬出工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図28】実施の形態6において、スタンバイ工程で実施される特徴工程を示す図である。
【図29】実施の形態6において、ボート搬入工程で実施される特徴工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0017】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0018】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0019】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0020】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0021】
(実施の形態1)
本発明を実施するための実施の形態において、基板処理装置は、一例として、基板の製造方法、半導体装置(IC等)の製造方法や太陽電池の製造方法に含まれる様々な処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。以下の説明では、半導体基板(半導体ウェハ)にエピタキシャル成長法による成膜処理、CVD(Chemical Vapor Deposition)法による成膜処理、あるいは、酸化処理や拡散処理などを行なう縦型の基板処理装置に本発明の技術的思想を適用した場合について述べる。特に、本実施の形態では、複数の基板を一度に処理するバッチ方式の基板処理装置を対象にして説明する。
【0022】
まず、本実施の形態1における基板処理装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態1における基板処理装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態1における基板処理装置101は、シリコン等からなる複数のウェハ(半導体基板)200を収納したウェハキャリアとしてのカセット110を使用するように構成されており、筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの下方にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設され、この正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104が筐体111の正面壁111aに設けられている。
【0023】
正面メンテナンス扉104には、カセット搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が筐体111の内外を連通するように開設されており、カセット搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。カセット搬入搬出口112の筐体111内側にはカセットステージ(基板収容器受渡し台)114が設置されている。カセット110は、カセットステージ114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつ、カセットステージ114上から搬出されるようになっている。カセットステージ114は、工程内搬送装置によって、カセット110内のウェハ200が垂直姿勢となり、かつ、カセット110のウェハ出し入れ口が上方向を向くように載置されるように構成されている。
【0024】
筐体111内の前後方向の略中央下部には、カセット棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、カセット棚105は複数段および複数列で複数個のカセット110を保管し、カセット110内のウェハ200を出し入れすることが可能なように配置されている。このカセット棚105は、スライドステージ(水平移動機構)106上に横行可能なように設置されている。また、カセット棚105の上方にはバッファ棚(基板収容器保管棚)107が設置されており、このバッファ棚107にもカセット110が保管されるようになっている。
【0025】
カセットステージ114とカセット棚105との間には、カセット搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降することができるカセットエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと、搬送機構としてのカセット搬送機構(基板収容器搬送機構)118bから構成されている。このカセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bとの連続動作により、カセットステージ114、カセット棚105およびバッファ棚107との間で、カセット110を搬送することができるようになっている。
【0026】
カセット棚105の後方には、ウェハ移載機構(基板移載機構)125が設置されている。このウェハ移載機構125は、ウェハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウェハ移載装置(基板移載装置)125aおよびウェハ移載装置125aを昇降させるためのウェハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bを備えている。図1に模式的に示すように、ウェハ移載装置エレベータ125bは、筐体111左側端部に設置されている。これらのウェハ移載装置エレベータ125bおよびウェハ移載装置125aの連続動作により、ウェハ移載装置125aにあるツイーザ(基板保持体)125cが、ウェハ200の載置部として機能するサセプタであって、かつ、図示しないサセプタ保持機構にあるサセプタに対して、ウェハ200を装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)するようになっている。
【0027】
以下に、サセプタ保持機構において、ウェハ200をサセプタに装填している状態と脱装する状態とを示す。図2は、ウェハ200をサセプタ218に装填している状態を示す上面図であり、図3は、図2のA−A線で切断した断面図である。まず、図2に示すように、サセプタ218は、円盤形状をしており、同心円状の周縁部218aと円形状の中央部218bとを有している。そして、サセプタ218の中央部218bに円盤状のウェハ200が搭載されている。つまり、サセプタ218は、ウェハ200よりも大きい円盤状になっており、サセプタ218の中央部218b内にウェハ200が内包されるようになっている。さらに、図3に示すように、サセプタ218の周縁部218aは、サセプタ218の中央部218bよりも高さが高くなっており、サセプタ218には、周縁部218aと中央部218bとの境界領域に段差部218cが形成されている。すなわち、サセプタ218は、周縁部218aから中央部218bが窪んだ形状となっており、この窪んだ中央部218b内にウェハ200が搭載されている。言い換えれば、サセプタ218の周縁部218aの厚みよりも、サセプタ218の中央部218bの厚みが小さく形成されているということもできる。また、図2および図3に示すように、サセプタ218の中央部218bには、複数のピン孔PHが設けられており、このピン孔PHに部材MTが埋め込まれている。以上のようにして、ウェハ200がサセプタ218に装填されることがわかる。
【0028】
続いて、サセプタ保持機構において、ウェハ200をサセプタ218から脱装する例について説明する。図4は、ウェハ200をサセプタ218から分離する様子を示す断面図である。図4に示すように、サセプタ保持機構には、ウェハ200を突き上げるための突き上げピンPNと、突き上げピンPNを昇降させる突き上げピン昇降機構UDUが設けられている。まず、サセプタ保持機構により、サセプタ218に形成されているピン孔PHに埋め込まれた部材MTに接触するように、突き上げピンPNの位置決めを行った後、突き上げピン昇降機構UDUによって、突き上げピンPNを上昇させる。すると、図4に示すように、ピン孔PHに埋め込まれていた部材MTとともにウェハ200は、サセプタ218から分離する。このようにして、ウェハ200がサセプタ218から脱装されることがわかる。このことから、ウェハ移載装置125aにあるツイーザ(基板保持体)125cと、サセプタ218との間でウェハ200を装填および脱装することができることがわかる。なお、ウェハ200を突き上げた際に、ウェハ200に対してダメージを与えることなく、かつ、ピン孔PHからの放熱を抑制するために、突き上げピンPNの先端は、フランジ状に形成されていることが望ましい。
【0029】
本実施の形態1における基板処理装置101には、サセプタ保持機構の他に、サセプタ移動機構(図示せず)も備えている。このサセプタ移動機構は、サセプタ保持機構とボート217(基板保持具)との間でサセプタ218を装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0030】
次に、図1に示すように、バッファ棚107の後方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを基板処理装置101内へ供給するために、供給ファンおよび防塵フィルタで構成されたクリーンユニット134aが設けられており、このクリーンユニット134aは、クリーンエアを筐体111の内部に流通させるように構成されている。また、ウェハ移載装置エレベータ125b側と反対側である右側端部には、クリーンエアを供給するように、供給ファンおよび防塵フィルタで構成されたクリーンユニット(図示せず)が設置されている。そして、このクリーンユニットから吹き出されたクリーンエアは、ウェハ移載装置125aを流通した後に、図示しない排気装置に吸い込まれて、筐体111の外部へ排気されるようになっている。
【0031】
ウェハ移載装置(基板移載装置)125aの後側には、大気圧未満の圧力(以下、負圧という。)を維持することが可能な機密性能を有する耐圧筐体140が設置されている。この耐圧筐体140により、ボート217を収容可能な容積を有するロードロック方式の待機室であるロードロック室(移載室)141が形成されている。
【0032】
耐圧筐体140の正面壁140aにはウェハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)142が開設されており、ウェハ搬入搬出口142はゲートバルブ(基板搬入搬出口開閉機構)143によって開閉されるようになっている。耐圧筐体140の一対の側壁にはロードロック室141へ窒素ガス等の不活性ガスを給気するためのガス供給管144と、ロードロック室141を負圧に排気するためのガス排気管(図示せず)とがそれぞれ接続されている。
【0033】
ロードロック室141上方には、処理炉(反応炉)202が設けられている。処理炉202の下端部は炉口シャッタ(炉口ゲートバルブ)(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。
【0034】
図1に模式的に示すように、ロードロック室141には、ボート217を昇降させるためのボートエレベータ(支持体保持体昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115に連結された連結具としてのアーム(図示せず)には蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0035】
ボート217は複数本の支柱(保持部材)を備えており、複数枚(例えば、50枚〜100枚程度)のサセプタ218をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持することができるように構成されている。基板処理装置101を構成する各部は、コントローラ240と電気的に接続されており、コントローラ240は、基板処理装置101を構成する各部の動作を制御するように構成されている。
【0036】
本実施の形態1における基板処理装置101は上記のように概略構成されており、以下にその動作について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置101を構成する各部の動作は、コントローラ240により制御される。
【0037】
図1に示すように、カセット110がカセットステージ114に供給されるのに先立って、カセット搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放される。その後、カセット110はカセット搬入搬出口112から搬入され、カセットステージ114上に載置される。このとき、カセットステージ114上に載置されるウェハ200は垂直姿勢になっており、かつ、カセット110のウェハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。
【0038】
次に、カセット110は、カセット搬送装置118によって、カセットステージ114から取り上げられるとともに、カセット110内のウェハ200が水平姿勢となり、かつ、カセット110のウェハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように、筐体111の後方に右周り縦方向へ90°回転させられる。続いて、カセット110は、カセット搬送装置118によって、カセット棚105あるいはバッファ棚107の指定された位置へ自動的に搬送される。そして、カセット110は、一時的に保管された後、カセット搬送装置118によってカセット棚105に移載されるか、あるいは、直接カセット棚105に搬送される。
【0039】
その後、スライドステージ106はカセット棚105を水平移動させ、移載の対象となるカセット110をウェハ移載装置125aに対峙するように位置決めする。ウェハ200は、カセット110からウェハ移載装置125aのツイーザ125cによって、ウェハ出し入れ口を通じてピックアップされる。このとき、サセプタ保持機構では、突き上げピン昇降機構により突き上げピンが上昇される。続いて、ウェハ移載装置125aにより、突き上げピン上にウェハ200が載置される。そして、突き上げピン昇降機構により、ウェハ200が載置された突き上げピンを下降させることにより、ウェハ200がサセプタ上に搭載される。
【0040】
次に、予め内部が大気圧状態とされていたロードロック室141のウェハ搬入搬出口142がゲートバルブ143の動作により開放されると、サセプタ移動機構により、サセプタ保持機構からサセプタが脱装される。そして、サセプタ移動機構により、脱装されたサセプタは、ウェハ搬入搬出口142を通じてロードロック室141に搬入され、ボート217へサセプタが装填される。
【0041】
ウェハ移載装置125aはカセット110へ戻り、次のウェハ200をサセプタ保持機構に装填する。サセプタ移動機構は、サセプタ保持機構に戻り、次のウェハ200が載置されたサセプタをボート217に装填する。
【0042】
予め指定された枚数のサセプタがボート217に装填されると、ウェハ搬入搬出口142がゲートバルブ143によって閉じられる。その後、処理炉202の下端部が炉口シャッタ(炉口ゲートバルブ)147によって開放される。続いて、シールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇し、シールキャップ219に支持されたボート217が処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0043】
ローディング後は、処理炉202においてウェハ200に任意の処理が実施される。ウェハ200の処理後、ボートエレベータ115によりボート217が引き出される。さらに、ゲートバルブ143が開かれる。その後は、概ね上述した動作と逆の動作により、処理済みのウェハ200およびカセット110が筐体111の外部へ払い出される。以上のようにして、本実施の形態1における基板処理装置101が動作する。
【0044】
次に、本実施の形態1における基板処理装置101の処理炉202について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態1における基板処理装置101の処理炉202と、処理炉202周辺の概略構成図であり、縦断面図として示されている。
【0045】
図5に示すように、処理炉202は高周波電流を印加することにより加熱するための誘導加熱装置206を有する。この誘導加熱装置206は円筒状に形成されており、誘導加熱部としてのRFコイル2061と壁体2062と冷却壁2063により構成されている。RFコイル2061は高周波電源(図示せず)に接続されており、この高周波電源により、RFコイル2061には高周波電流が流れるようになっている。
【0046】
壁体2062は、ステンレス材等の金属から構成されている。この壁体2062は、円筒形状であり、内壁側にRFコイル2061が設けられている。RFコイル2061は、コイル支持部(図示せず)で支持される。コイル支持部は、RFコイル2061と壁体2062との間において、半径方向に所定の隙間を持って、壁体2062に支持される。
【0047】
壁体2062の外壁側には、この壁体2062と同心円状に、冷却壁2063が設けられている。壁体2062の上端には、その中央に開口部2066が形成されている。開口部2066の下流側には、ダクトが接続されており、このダクトの下流側には冷却装置としてのラジエータ2064と、排気装置としてのブロア2065が接続されている。
【0048】
冷却壁2063には、内部に冷却媒体として、例えば、冷却水が流通可能なように冷却壁2063のほぼ全域に冷却媒体流路が形成されている。冷却壁2063には、冷却媒体(図示せず)を供給する冷却媒体供給部と冷却媒体を排気する冷却媒体排気部とが接続されている。冷却媒体供給部から冷却媒体流路に冷却媒体を供給し、冷却媒体排気部から排気することにより、冷却壁2063が冷却され、熱伝導により、壁体2062および壁体2062の内部が冷却される。
【0049】
RFコイル2061の内側には、誘導加熱装置206と同心円状に反応容器を構成する反応管としてのアウターチューブ205が設けられている。アウターチューブ205は、耐熱材料としての石英(SiO)材で構成されており、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状をしている。アウターチューブ205の内側には、インナーチューブ230が設けられており、このインナーチューブ230の内側に処理室201が形成されている。処理室201には、半導体基板としてのウェハ200がボート217および被誘導体としてのサセプタ218によって、水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収納されている。
【0050】
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状にマニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えば、石英(SiO)若しくはステンレス等からなり、上端および下端が開口した円筒形状をしている。このマニホールド209はアウターチューブ205を支持するように設けられている。なお、マニホールド209とアウターチューブ205との間には、シール部材としてのOリング309が設けられている。このマニホールド209が保持体(図示せず)に支持されることにより、アウターチューブ205は垂直に据え付けられた状態となっている。このようにアウターチューブ205とマニホールド209により反応容器が形成される。ここで、マニホールド209は、特に、アウターチューブ205と別体で設ける場合に限定されず、アウターチューブ205と一体として、個別にマニホールド209を設けないようにしてもよい。
【0051】
アウターチューブ205の側内壁には、処理室201内に配置されているそれぞれのウェハ200に側方からガスを供給するために、石英(SiO)材で形成されたガス供給ノズル2321と、処理室201内に配置されているそれぞれのウェハ200を通過したガスを側方から排気する石英(SiO)材で形成されたガス排気口2311が形成されている。
【0052】
ガス供給ノズル2321は、アウターチューブ205の側内壁に設けられており、上端が閉塞し、側壁に多数のガス供給口2322が設けられている。このとき、ガス供給ノズル2321は、ボート217に載置される複数のウェハ200のそれぞれに均一にガスを供給することができるように、複数個所に設けることが望ましい。さらには、複数設けられたガス供給ノズル2321のそれぞれのガス供給口2322からのガス供給方向が平行となるように設けることが望ましい。また、ガス供給ノズル2321をウェハ200の中心に対して線対称の位置に複数設けるとよい。ガス供給口2322は、ボート217に載置される複数のウェハ200のそれぞれに対して均一にガスを供給することができるように、それぞれのウェハ200上にある間隙にウェハ200の上面の高さから所定の高さの位置にそれぞれ設けるとよい。
【0053】
アウターチューブ205の下方の外側壁には、ガス排気口2311と連通するガス排気管231と、ガス供給ノズル2321と連通するガス供給管232とが設けられている。なお、ガス排気管231はアウターチューブ205の下方の外側壁でなくても、例えば、マニホールド209の側壁に設けてもよい。また、ガス供給ノズル2321とガス供給管232の連通部はアウターチューブ205の下方の側壁でなくても、例えば、マニホールド209の側壁に設けてもよい。
【0054】
ガス供給管232は、上流側で3つに分かれており、バルブ177、178、179とガス流量制御装置としてのMFC183、184、185を介して第1のガス供給源180、第2のガス供給源181、第3のガス供給源182にそれぞれ接続されている。MFC183、184、185およびバルブ177、178、179には、ガス流量制御部235が電気的に接続されており、このガス流量制御部235によって、供給するガスの流量が所望の流量となるよう所望のタイミングにて制御されるようになっている。
【0055】
ガス排気管231の下流側には、圧力検出器としての圧力センサ(図示せず)および圧力調整器としてのAPCバルブ242を介して真空ポンプ等の真空排気装置246が接続されている。圧力センサおよびAPCバルブ242には、圧力制御部236が電気的に接続されており、圧力制御部236は、圧力センサにより検出された圧力に基づいてAPCバルブ242の開度を調節することにより、処理室201内の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するよう構成されている。
【0056】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞するための炉口蓋体として、シールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えば、ステンレス等の金属で構成されており、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング301が設けられている。
【0057】
このシールキャップ219には、回転機構254が設けられている。回転機構254の回転軸255はシールキャップ219を貫通してボート217に接続されており、ボート217を回転させることでウェハ200を回転させるように構成されている。
【0058】
シールキャップ219は、処理炉202の外側に設けられた昇降機構としての昇降モータ248によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0059】
回転機構254および昇降モータ248には、駆動制御部237が電気的に接続されており、駆動制御部237は、回転機構254および昇降モータ248が所望の動作をするように所望のタイミングにて制御するようになっている。
【0060】
次に、誘導加熱装置206には、螺旋状に形成されたRFコイル2061が上下複数の領域(ゾーン)に分割されて設けられている。例えば、図5に示すように、下方側のゾーンから、RFコイルL、RFコイルCL、RFコイルC、RFコイルCU、RFコイルUというように5つのゾーンに区分けされて設けられている。これらの5つのゾーンに区分けされたRFコイルは独立して制御されるようになっている。
【0061】
誘導加熱装置206の近傍には、処理室201内の温度を検出する温度検出体としての放射温度計263が、例えば、4箇所に設置されている。この放射温度計263は、少なくとも一つ設置されていればよいが、複数個の放射温度計263を設置することで温度制御性を向上させることができる。
【0062】
誘導加熱装置206および放射温度計263には、電気的に温度制御部238が接続されており、放射温度計263により検出された温度情報に基づいて、誘導加熱装置206への通電状態を調節することができるようになっている。そして、温度制御部238によって、処理室201内の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御されるようになっている。
【0063】
さらに、ブロア2065にも、温度制御部238が電気的に接続されている。温度制御部238は、予め設定された操作レシピに従って、ブロア2065の動作を制御するように構成されている。ブロア2065が動作することにより、壁体2062とアウターチューブ205との間隙にある雰囲気を開口部2066から排出する。開口部2066から雰囲気を排出した後、ラジエータ2064を通して冷却し、ブロア2065の下流側で設備に排出される。すなわち、温度制御部238による制御に基づいて、ブロア2065が動作することにより、誘導加熱装置206およびアウターチューブ205を冷却することができる。
【0064】
冷却壁2063に接続されている冷却媒体供給部と冷却媒体排気部は、冷却壁2063への冷却媒体の流量を所望の冷却具合となるように所定のタイミングにてコントローラ240にて制御されるように構成されている。なお、冷却壁2063を設けたほうが、処理炉202外部への放熱を抑制しやすくなり、アウターチューブ205がより一層冷却しやすくなるため、より望ましいが、ブロア2065の冷却による冷却具合が、所望の冷却具合として制御可能であれば、冷却壁2063は設けなくてもよい。
【0065】
また、壁体2062の上端には、開口部2066とは別に、爆発放散口と、この爆発放散口を開閉する爆発放散口開閉装置2067が設けられている。壁体2062内で水素ガスと酸素ガスとが混合して爆発が生じた際、壁体2062に所定の大きな圧力が加わることになる。このため、比較的強度の弱い箇所、例えば、壁体2062を形成するボルトやネジ、パネル等が破壊や飛散することになり、被害が増大してしまう。この被害を最小限に留めるべく、爆発放散口開閉装置2067は、壁体2062内で爆発が生じた際の所定の圧力以上で、爆発放散口を開き、内部圧力を放散するように構成されている。
【0066】
続いて、本実施の形態1における処理炉202周辺の構成について、図5を参照しながら説明する。予備室としてのロードロック室141の外面に下基板245が設けられる。下基板245には昇降台249と嵌合するガイドシャフト264および昇降台249と螺合するボール螺子244が設けられる。下基板245に立設したガイドシャフト264およびボール螺子244の上端に上基板247が設けられる。ボール螺子244は上基板247に設けられた昇降モータ248により回転される。ボール螺子244が回転することにより昇降台249が昇降するように構成されている。
【0067】
昇降台249には中空の昇降シャフト250が垂直方向に設置され、昇降台249と昇降シャフト250の連結部は気密となっている。昇降シャフト250は昇降台249と共に昇降するようになっている。昇降シャフト250はロードロック室141の天板251を貫通する。昇降シャフト250が貫通する天板251の貫通穴は昇降シャフト250に対して接触することがないように充分な余裕がある。ロードロック室141と昇降台249との間には昇降シャフト250の周囲を覆うように伸縮性を有する中空伸縮体としてのベローズ265がロードロック室141を気密に保つために設けられている。ベローズ265は昇降台249の昇降量に対応できる充分な伸縮量を有し、ベローズ265の内径は昇降シャフト250の外形に比べ充分に大きく、ベローズ265の伸縮で接触することがないように構成されている。
【0068】
昇降シャフト250の下端には昇降基板252が水平に固着される。昇降基板252の下面にはOリング等のシール部材を介して駆動部カバー253が気密状態で取付けられている。昇降基板252と駆動部カバー253とで駆動部収納ケース256が構成されている。この構成により、駆動部収納ケース256の内部はロードロック室141内の雰囲気と隔離される。
【0069】
また、駆動部収納ケース256の内部にはボート217の回転機構254が設けられており、回転機構254の周辺部は、冷却機構257により冷却される。
【0070】
さらに、電力供給ケーブル258が昇降シャフト250の上端から昇降シャフト250の中空部を通って回転機構254に導かれて接続されている。そして、冷却機構257およびシールキャップ219には冷却流路259が形成されており、冷却流路259には冷却水を供給する冷却水配管260が接続され、昇降シャフト250の上端から昇降シャフト250の中空部を通っている。
【0071】
昇降モータ248を駆動してボール螺子244が回転することにより、昇降台249および昇降シャフト250を介して駆動部収納ケース256が昇降する。
【0072】
駆動部収納ケース256が上昇することにより、昇降基板252に気密に設けられるシールキャップ219が処理炉202の開口部である炉口161を閉塞し、ウェハ処理が可能な状態となる。駆動部収納ケース256が下降することにより、シールキャップ219とともにボート217が降下されて、ウェハ200を外部に搬出できる状態となる。
【0073】
ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、および、温度制御部238は、操作部や入出力部を構成し、基板処理装置101全体を制御する主制御部239に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238、および、主制御部239は、コントローラ240として構成されている。以上のようにして、本実施の形態1における基板処理装置101の処理炉202と、処理炉202周辺の構造体が構成されている。
【0074】
次に、本実施の形態1における基板処理装置を使用した基板の処理工程について、図5および図6を参照しながら説明する。具体的に、本実施の形態1では、基板の処理工程の一工程として、ウェハ200などの基板上に、エピタキシャル成長法を使用してシリコン(Si)などの半導体膜を形成する方法(半導体装置の製造方法)について説明する。図6は、この半導体装置の製造工程のシーケンスを示す図であり、図6の破線は処理室201内の温度を示しており、図6の実線は処理室201内の圧力を示している。なお、以下の説明において、本実施の形態1における基板処理装置101を構成する各部の動作は、コントローラ240により制御される。
【0075】
まず、処理室201内にボート217を搬入する前、処理室201はスタンバイ状態となっている(図6のスタンバイ)。スタンバイ状態とは、ボート217が処理室201の真下にあるロードロック室141に配置されて、このボート217にウェハ200が載置された複数枚のサセプタ218を装填している状態を指している。
【0076】
そして、ウェハ200が載置された複数枚のサセプタ218がボート217に装填されると、図5に示すように、複数枚のサセプタ218を保持したボート217は、昇降モータ248による昇降台249および昇降シャフト250の昇降動作により処理室201内に搬入(ボートローディング)される(図6のボートロード)。この状態で、シールキャップ219はOリング301を介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。このとき、処理室201の内部の圧力は、例えば、760Torr(=760×133.3Pa)となっている。
【0077】
続いて、処理室201内が所望の圧力となるように真空排気装置246によって排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサで測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ(圧力調節器)242がフィードバック制御される(図6の圧力制御)。この圧力制御工程によって、処理室201の内部の圧力は、例えば、200Torr〜700Torr(200×133.3Pa〜700×133.3Pa)となっている。
【0078】
そして、ブロア2065が動作され、誘導加熱装置206とアウターチューブ205との間でガス若しくはエアが流通し、アウターチューブ205の側壁、ガス供給ノズル2321、ガス供給口2322、および、ガス排気口2311が冷却される。ラジエータ2064、冷却壁2063には、冷却媒体として冷却水が流通し壁体2062を介して、誘導加熱装置206内が冷却される。また、ウェハ200が所望の温度となるように誘導加熱装置206に高周波電流を印加し、サセプタ218に誘導電流(渦電流)を生じさせる。
【0079】
具体的に、誘導加熱装置206にて処理炉202内の少なくともボート217に保持された複数枚のサセプタ218を誘導加熱して、サセプタ218に収納されたウェハ200を加熱する(図6の昇温)。つまり、誘導加熱装置206に高周波電流を流すと、処理炉202の内部に高周波電磁界が発生し、この高周波電磁界によって、被誘導体であるサセプタ218に渦電流が発生する。このサセプタ218では、渦電流によって誘導加熱が起こり、サセプタ218が加熱される。具体的に、渦電流は、被誘導体であるサセプタ218の周縁部で生じるため、誘導加熱装置206による誘導加熱では、主にサセプタ218の周縁部が加熱される。そして、周縁部が加熱されたサセプタ218では、熱伝導によってサセプタ218の周縁部からサセプタ218の中央部へ熱が流れ、サセプタ218の全体(周縁部と中央部)が加熱される。このようにしてサセプタ218が加熱されると、サセプタ218に搭載されているウェハ200に熱伝導で熱が伝わり、ウェハ200が加熱される。
【0080】
このように本実施の形態1における基板処理装置101では、誘導加熱方式でウェハ200を加熱する方式を採用している。このとき、誘導加熱装置206に高周波電流を流すことによって発生する高周波電磁界によって、ウェハ200を直接誘導加熱しても加熱量が足りないことが多い。したがって、本誘導加熱方式では、効率的に誘導加熱で加熱できるように被誘導体であるサセプタ218を使用している。つまり、誘導加熱方式の基板処理装置101では、効率的に誘導加熱によって加熱されるようにサセプタ218を使用している。そして、このサセプタ218を効率的に誘導加熱で加熱処理した後、加熱されたサセプタ218上のウェハ200を、サセプタ218からの熱伝導によって加熱しているのである。このことから、サセプタ218は、ウェハ200を搭載する機能を有しているとともに、その重要な機能として、高周波電磁界によって誘導加熱される性質を有していることがわかる。
【0081】
この際、処理室201内が所望の温度分布となるように放射温度計263が検出した温度情報に基づき誘導加熱装置206への通電具合がフィードバック制御される。なお、この際、ブロア2065は、アウターチューブ205の側壁、ガス供給ノズル2321、ガス供給口2322、ガス排気口2311の温度がウェハ200上で膜成長させる温度より遥かに低い例えば600℃以下に冷却されるように予め設定された制御量で制御される。ウェハ200は、例えば1100〜1200℃に加熱される。また、ウェハ200は、700℃〜1200℃内で選択される処理温度のうち、一定の温度で加熱されるが、その際、いずれの処理温度においても、ブロア2065は、アウターチューブ205の側壁、ガス供給室2321、ガス供給口2322、ガス排気口2311の温度がウェハ200上で膜成長させる温度より遥かに低い、例えば600℃以下に冷却されるように予め設定された制御量にて制御される。
【0082】
続いて、回転機構254により、ボート217が回転することで、サセプタ218、および、このサセプタ218に載置されているウェハ200が回転する。
【0083】
次に、第1のガス供給源180、第2のガス供給源181、第3のガス供給源182には、Si系もしくはSiGe(シリコンゲルマニウム)系の処理ガスとして、SiHCl(ジクロロシラン)、SiHCl(トリクロロシラン)等と、ドーピングガスとしては、B(ジボラン)、BCl(三塩化ホウ素)、PH(ホスフィン)等と、キャリアガスとして、水素(H)がそれぞれ封入されている。ウェハ200の温度が安定したところで、第1のガス供給源180、第2のガス供給源181、第3のガス供給源182からそれぞれの処理ガスが供給される。そして、所望の流量となるようにMFC183、184、185の開度が調節された後、バルブ177、178、179が開かれる。これにより、それぞれの処理ガスがガス供給管232を流通して、ガス供給ノズル2321に流入される。ガス供給ノズル2321の流路断面積は、複数あるガス供給口2322の開口面積に比べて十分に大きいため、処理室201より大きい圧力となり、それぞれのガス供給口2322から噴出されるガスが均一な流量、流速で処理室201に供給される。処理室201に供給されたガスは、処理室201内を通り、ガス排気口2311に排出され、その後、ガス排気口2311からガス排気管231へ排気される。処理ガスは、サセプタ218間の間隙を通過する際に上下に隣接するそれぞれのサセプタ218から加熱されるとともに、加熱されたウェハ200と接触し、ウェハ200の表面上にエピタシャル成長によってシリコン(Si)などの半導体膜が形成される(図6の成膜)。
【0084】
予め設定された時間が経過すると、処理室201の温度を低下させる(図6の降温)。そして、不活性ガス供給源(図示せず)から不活性ガス(例えば、Nガス)が供給され、処理室201内が不活性ガスで置換されると共に、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(図6のNパージ)。
【0085】
その後、昇降モータ248によりシールキャップ219が下降して、マニホールド209の下端が開口されると共に、処理済のウェハ200がボート217に保持された状態でマニホールド209の下端からアウターチューブ205の外部に搬出(ボートアンローディング)される(図6のボートアンロード)。その後、処理済のウェハ200は、ボート217より取出され(ウェハディスチャージ)、処理室201はスタンバイ状態へ移行する。以上のようにして、ウェハ200上に半導体膜を形成することができる。
【0086】
上述した半導体膜の成膜工程では、例えば、SiHCl(ジクロロシラン)、SiHCl(トリクロロシラン)などのように塩素原子を化学式に有する化合物を原料ガスに使用している。この場合、例えば、図7に示す化学反応によって、原料ガスであるSiHCl(ジクロロシラン)が熱分解されるとともに重合化(高分子化)して、反応生成物の1つとしての塩化シランポリマーなどの副生成物が生成される。そして、生成された塩化シランポリマーは処理室201の内部や排気ラインであるガス排気管231の内壁に付着して堆積する。
【0087】
ここで、基板処理装置101には処理室201と移載室であるロードロック室141が設けられており、複数のウェハ200を搭載した保持体であるボート217をロードロック室141から処理室201へ搬入してウェハ200に対して成膜処理が施される。そして、成膜処理が終了した後、複数のウェハ200を搭載したボート217を処理室201からロードロック室141へ搬出する。上述した搬入工程や搬出工程では、処理室201に設けられている炉口161を開けてボート217の搬入出を行なうため、開けられた炉口161を介して、ロードロック室141から処理室201の内部へ大気が混入する。また、処理室201と接続されている排気ラインであるガス排気管231の内壁には上述した副生成物が堆積するため、ガス排気管231はメンテナンスする必要があり、このガス排気管231のメンテナンス時には、ガス排気管231の内部が大気に曝されることになる。
【0088】
したがって、処理室201の内部やガス排気管231の内壁に付着した塩化シランポリマーは、例えば、ロードロック室141と処理室201との間でボート217を搬入出する際やガス排気管231をメンテナンスする際に、大気に触れることになる。このように塩化シランポリマーが大気に触れると、図8に示す化学反応によって、塩化シランポリマーは大気中の水分(HO)により徐々に加水分解して、高燃焼性の加水分解物へ変化するとともに、加水分解によって塩化水素ガスが発生する。このため、メンテナンス時の衝撃や静電気によって、高燃焼性の加水分解物が急激に燃焼するおそれがある。また、加水分解によって発生した塩化水素ガスが処理室201の内部や炉口161自体を腐食させるとともに、炉口161からロードロック室141へ漏れ出してロードロック室141を腐食させるおそれもある。
【0089】
そこで、本実施の形態1では、上述したメカニズムで発生する高燃焼性の加水分解物の堆積を抑制でき、かつ、塩化水素ガスによる腐食を抑制できる工夫を施している。具体的に、本実施の形態1では、副生成物として形成される塩化シランポリマーが水分と反応し続けると、安定した物質であるシロキサンに変化することに着目している。すなわち、本実施の形態1における技術的思想は、塩化シランポリマーが、まず、大気中の水分と反応すると、高燃焼性の加水分解物に変化するが、さらに、水分と反応し続けると、安定した物質であるシロキサンになることを利用している。つまり、成膜処理後に塩化シランポリマーが処理室201の内部に堆積するが、本実施の形態1における技術的思想は、この堆積した塩化シランポリマーに対して、積極的に大気と反応させることにより、塩化シランポリマーを中間生成物である高燃焼性の加水分解物ではなく、最終生成物で、かつ、安定物質であるシロキサンに変化させようとするものである。言い換えれば、本実施の形態1における技術的思想は、処理室201の内部やガス排気管231の内壁に付着した塩化シランポリマー自体を除去するものではなく、この塩化シランポリマーに対して充分な大気を供給することにより、高燃焼性の加水分解物ではなく、安定物質であるシロキサンに変化させるという技術的思想である。
【0090】
以下に、本実施の形態1における基板処理装置およびその基板処理方法の特徴について、図面を参照しながら説明する。図9は、本実施の形態1における基板処理装置の処理室201近傍の概略構成を示す図である。本実施の形態1における基板処理装置の構成は、図1や図5の構成を有しているが、以下では、本実施の形態1の特徴を強調するため、図9に示す構成図を使用して説明する。
【0091】
図9において、本実施の形態1における基板処理装置は、円筒状のアウターチューブ205を有し、このアウターチューブ205の内側にインナーチューブ230が設けられている。そして、インナーチューブ230の内部が処理室201となっている。アウターチューブ205には、ガス供給管232が接続されており、このガス供給管232は、アウターチューブ205とインナーチューブ230の間の隙間に設けられたガス供給ノズル2321と接続されている。そして、ガス供給ノズル2321には、複数のガス供給口2322が形成されている。一方、ガス供給管232と接続されているアウターチューブ205の一側面とは反対側の側面にガス排気管231が接続されている。そして、このガス排気管231には、APCバルブ242が設けられている。
【0092】
続いて、処理室201の内部には、ウェハ200を搭載したサセプタ218を複数収納したボート217が配置されている。このボート217は、シールキャップ219上に搭載されており、シールキャップ219をシール面SEに接触させることにより、処理室201の炉口161がシールキャップ219によって密閉されている。なお、ボート217が処理室201に配置されているとき、炉口シャッタ147は、炉口161の直下の位置からずれるように退避している。
【0093】
炉口161をシールキャップ219で塞がれた処理室201の下方にロードロック室141が設けられており、このロードロック室141内の炉口161に近い位置に塩化水素ガスを検知するセンサHSが取り付けられている。そして、このセンサHSはHCl検知部HDと接続されており、HCl検知部HDは、センサHSの出力に基づいて、塩化水素ガスの濃度を検知するように構成されている。このHCl検知部HDは、コントローラ240と接続されており、コントローラ240によって制御されている。また、コントローラ240は、シールキャップ219を上下に移動するように制御している。したがって、本実施の形態1における基板処理装置は、コントローラ240による制御で、シールキャップ219を上下方向に移動させることにより、ボート217をロードロック室141から処理室201の内部に搬入したり、ボート217を処理室201の内部からロードロック室141へ搬出したりできるように構成されている。
【0094】
本実施の形態1における基板処理装置は上記のように構成されており、以下に、その基板処理方法の特徴について説明する。本実施の形態1における特徴工程は、成膜終了後、ボート217を処理室201から搬出する工程(ボートアンロード工程)で実施されるものである。
【0095】
図9は成膜工程後の状態を表している図である。図9において、成膜工程では、上述したように、原料ガスであるSiHCl(ジクロロシラン)が熱分解されるとともに重合化(高分子化)して、塩化シランポリマーなどの副生成物が生成される。そして、生成された塩化シランポリマーは処理室201の内部や排気ラインであるガス排気管231の内壁に付着して堆積する。この状態で、コントローラ240の制御により、ボート217を下降させてロードロック室141へ移動させると、処理室201の炉口161が開口されて、この開口された炉口161から大気が処理室201に内部に混入する。すると、処理室201の内部やガス排気管231の内壁に付着している塩化シランポリマーが大気と反応して、高燃焼性の加水分解物が生成されるとともに、塩化水素ガスが発生する。発生した塩化水素ガスは炉口161自体を腐食させるとともに、ロードロック室141へ流れ込み、ロードロック室141を腐食させることになる。
【0096】
そこで、本実施の形態1では、図9に示す成膜工程終了後、図10に示すように、まず、ボート217が搭載されているシールキャップ219を炉口161のシール面SEから少し下がった位置まで移動させて保持する。つまり、コントローラ240による制御により、ボート217を搭載したシールキャップ219を下方に移動させ、シールキャップ219を炉口161のシール面SEから少し下がった位置で保持させる。これにより、炉口161のシール面SEとシールキャップ219の間に隙間ができ、この隙間から大気が処理室201の内部へ混入する。そして、APCバルブ242を開けて、ガス排気管231から処理室201内の雰囲気を排気する。このように、本実施の形態1では、ガス排気管213から処理室201内の雰囲気を排気しているので、処理室201の内部の圧力がロードロック室141の圧力よりも低くなっている。したがって、ロードロック室141に存在する大気は、シール面SEとシールキャップ219との間にできた隙間から処理室201の内部へ流れる。その後、処理室201の内部に流れ込んだ大気は、ガス排気管231から排気される。以上のことから、本実施の形態1では、ロードロック室141→シール面SEとシールキャップ219との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という一方向の大気の流れを形成することができる。言い換えれば、本実施の形態1では、シール面SEとシールキャップ219との間に隙間を形成しても、処理室201の内部からロードロック室141への逆方向の流れを抑制することができる。
【0097】
ここで、ロードロック室141からシール面SEとシールキャップ219の隙間を介して処理室201の内部へ流れ込んだ大気は、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーと加水分解反応する。これにより、塩化シランポリマーは、高燃焼性の加水分解物に変化するとともに、塩化水素ガスが発生する。本実施の形態1では、ロードロック室141→処理室201→ガス排気管231という一方向の流れを形成しているので、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスは、ロードロック室141へほぼ逆流することなく、ガス排気管231から外部へ放出される。したがって、本実施の形態1によれば、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスが炉口161を通ってロードロック室141へ逆流することを抑制できるので、塩化水素ガスによる炉口161自体の腐食およびロードロック室141の腐食を抑制することができる。
【0098】
さらに、本実施の形態1でも、塩化シランポリマーから高燃焼性の加水分解物が形成されるが、本実施の形態1では、ロードロック室141→シール面SEとシールキャップ219との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という一方向の大気の流れを継続して流し続けている。このため、処理室201の内部に付着した塩化シランポリマーと大気に含まれる水分が反応し続け、塩化シランポリマーは安定した物質であるシロキサンに変化する。つまり、本実施の形態1では、堆積した塩化シランポリマーに対して、積極的に大気と反応し続けることにより、塩化シランポリマーを中間生成物である高燃焼性の加水分解物ではなく、最終生成物で、かつ、安定物質であるシロキサンに変化させているのである。この結果、本実施の形態1によれば、処理室201の内部に高燃焼性の加水分解物が堆積することを抑制できる。したがって、本実施の形態1によれば、メンテナンス時の衝撃や静電気によって、高燃焼性の加水分解物が急激に燃焼するという問題も解決することができる。
【0099】
そして、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーが充分に水分と反応すると、水分と反応する塩化シランポリマー自体が無くなるので、この結果、塩化水素ガスの発生量も少なくなる。そこで、本実施の形態1では、炉口161の近傍に塩化水素ガスを検知するセンサHSを設けるとともに、センサHSの出力から塩化水素ガスの濃度を検知するHCl検知部HDを設けている。これにより、本実施の形態1では、HCl検知部HDで検出した塩化水素ガス濃度が、設定濃度値(例えば、2ppm)以上である場合、コントローラ240での制御により、ガス排気管213から処理室201内の雰囲気を排気し続けるとともに、シールキャップ219を炉口161のシール面SEから少し下がった位置に保持し続ける。この結果、処理室201の内部およびガス排気管231の内壁に付着している塩化シランポリマーと大気とを充分に反応させることができる。
【0100】
一方、HCl検知部HDで検出した塩化水素ガス濃度が、設定濃度値(例えば、2ppm)未満となった場合、処理室201の内部やガス排気管231の内壁に付着している塩化シランポリマーが充分に加水分解反応したとコントローラ240で判断する。したがって、このコントローラ240での制御により、図11に示すように、シールキャップ219を炉口161のシール面SEから少し下がった位置から、ロードロック室141の底部までシールキャップ219を移動させることにより、処理室201の内部からロードロック室141へボート217を搬出(ボートアンローディング)する。その後、ロードロック室141に配置されたボート217から処理済のウェハ200が取り出される。なお、処理室201の底部に開口している炉口161は、炉口シャッタ147を移動することにより閉じられる。以上のようにして、本実施の形態1における基板処理方法が実施される。
【0101】
以上のようにして、本実施の形態1における技術的思想によれば、少なくとも、以下に記載する複数の効果のうち、1つ以上の効果を奏する。
【0102】
(1)本実施の形態1によれば、成膜ステップ時において処理室201の内部およびこの処理室201に接続されたガス排気管231に付着した塩化シランポリマーと、大気中に含まれる水分とを積極的に反応させることにより、塩化シランポリマーを安定物質であるシロキサンに変化させるとともに塩化水素ガスを発生させるように構成している。そして、発生した塩化水素ガスをガス排気管231から排気するように構成している。これにより、高燃焼性の加水分解物の堆積および塩化水素ガスによる腐食を抑制することができる。
【0103】
(2)特に、本実施の形態1では、ロードロック室141→処理室201→ガス排気管231という一方向の流れを形成しているので、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスは、ロードロック室141へほぼ逆流することなく、ガス排気管231から外部へ放出される。このことから、本実施の形態1によれば、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスが炉口161を通ってロードロック室141へ逆流することを抑制できるので、塩化水素ガスによる炉口161自体の腐食およびロードロック室141の腐食を抑制することができる。
【0104】
(3)さらに、本実施の形態1では、塩化水素ガスを検出するセンサHSおよびHCl検知部HDを設けることにより、塩化水素ガス濃度が設定濃度値(例えば、2ppm)未満となるまで、塩化水素ガスをガス排気管231から排気し続けるように構成している。このため、処理室201の内部の塩化水素ガス濃度を確実に設定濃度値以下にすることができ、安全性を向上させることができる。
【0105】
(4)また、本実施の形態1によれば、塩化シランポリマーを加水分解して除去しているので、塩化シランポリマーからなる付着物の堆積を抑制することができ、この結果、次の成膜工程で使用されるウェハ200へのパーティクルや汚染物の付着を抑制できる効果が得られる。
【0106】
(5)本実施の形態1によれば、成膜ステップ直後のボート搬出工程(ボートアンロード工程)で、処理室201の内部およびこの処理室201に接続されたガス排気管231に付着した塩化シランポリマーと、大気中に含まれる水分とを積極的に反応させるように構成している。このとき、成膜ステップにより形成された塩化シランポリマーは活性状態にあるため、成膜ステップ直後のボート搬出工程で、この活性状態にある塩化シランポリマーと大気中の水分とを積極的に反応させることにより、効率よく塩化シランポリマーを加水分解して安定物質であるシロキサンへ変化させることができる。
【0107】
(6)本実施の形態1によれば、ボート搬出工程を利用して、処理室201の内部およびこの処理室201に接続されたガス排気管231に付着した塩化シランポリマーと、大気中に含まれる水分とを積極的に反応させるように構成しているので、基板処理工程の複雑化を防止することができる。すなわち、本実施の形態1では、塩化シランポリマーと大気中の水分を反応させて塩化シランポリマーを分解するクリーニング工程を基板処理装置での成膜シーケンスの一部として取り込んでいるため、基板処理装置の稼動状態を損なうことなく、クリーニング工程(特徴工程)を実施することができる。つまり、本実施の形態1では、基板処理装置の稼動状態を停止して、クリーニング工程を実施するものではないため、基板処理装置のスループットを大幅に低下させることなく、クリーニング工程を実施することができる。
【0108】
(7)さらに、本実施の形態1では、シール面SEとシールキャップ219の間に隙間を設け、この隙間から処理室201の内部へ大気を取り込むように構成している。すなわち、処理室201の内周縁全域(炉口161)から大気を処理室201内に取り込むことができるので、処理室201の内壁全体にわたって付着した塩化シランポリマーと大気に含まれる水分とを反応させることができる。この結果、処理室201の内壁全体で、塩化シランポリマーを安定物質であるシロキサンへ変化させることができるとともに、充分に塩化水素ガスを発生させて排気することができるので、充分に安全性を向上させることができる。
【0109】
最後に、本実施の形態1における技術的思想をまとめると次のようになる。すなわち、本実施の形態1における基板処理装置は、基板であるウェハ200を処理する処理室201と、処理室201へ成膜ガスを供給するガス供給部であるガス供給管232と、処理室201の内部へ大気を取り込み可能に構成される開口部であるシール面SEとシールキャップ219の間の隙間とを有する。さらに、処理室201に接続され、処理室201の雰囲気を排気する排気ラインであるガス排気管231と、ガス供給部であるガス供給管232による成膜ガスの供給、排気ラインであるガス排気管231による雰囲気の排気、および、開口部である隙間からの大気の取り込みを制御する制御部であるコントローラ240とを有する。このとき、制御部であるコントローラ240は、処理室201で基板であるウェハ200に対して膜を形成するように制御する。そして、制御部であるコントローラ240は、膜の形成後に、開口部である隙間から処理室201の内部へ大気を取り込み、処理室201の内部および排気ラインであるガス排気管231の内部に付着した付着物である塩化シランポリマーと大気中に含まれる水分とを反応させて、少なくとも塩化水素ガスを発生させるとともに、処理室201の塩化水素ガス濃度値が設定濃度値以下になるまで、塩化水素ガスを排気ラインであるガス排気管231から排気維持するように制御するものである。
【0110】
また、本実施の形態1における基板処理方法は、処理室201で基板であるウェハ200に対して膜を形成する第一ステップ(成膜ステップ)と、第一ステップ後に、処理室201の外部から処理室201の内部へ大気を取り込み、処理室201の内部および処理室201に接続された排気ラインであるガス排気管231の内部に付着した付着物である塩化シランポリマーと大気中に含まれる水分とを反応させて、少なくとも塩化水素ガスを発生させるとともに、塩化水素ガスを排気ラインであるガス排気管231から排気する第二ステップ(特徴工程)とを有する。そして、第二ステップは、好ましくは、処理室201の塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下になるまで維持されるものである。
【0111】
なお、本実施の形態1では、成膜工程直後のボート搬出工程(ボートアンロード工程)で、処理室201の内部およびこの処理室201に接続されたガス排気管231に付着した塩化シランポリマーと、大気中に含まれる水分とを積極的に反応させる工程(特徴工程)を実施している。ここで、基板処理工程では、成膜工程→ボート搬出工程→ボート搬入工程→成膜工程→ボート搬出工程というように成膜工程が繰り返されるが、特に、複数の成膜工程を実施する都度、直後のボート搬出工程で特徴工程を繰り返し実施することが望ましい。なぜなら、成膜工程を実施する度に処理室201の内部およびガス排気管231の内壁に塩化シランポリマーが付着するが、成膜工程直後では、形成された塩化シランポリマーが活性状態にあるからである。つまり、塩化シランポリマーが活性状態にあると、水分との加水分解反応が効率よく進むので、塩化シランポリマーが活性状態にある成膜工程直後のボート搬出工程で上述した特徴工程を実施することにより、効果的に塩化シランポリマーをシロキサンへ加水分解することができるからである。
【0112】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、成膜工程直後のボート搬出工程(ボートアンロード工程)で、処理室201の内部およびこの処理室201に接続されたガス排気管231に付着した塩化シランポリマーと、大気中に含まれる水分とを積極的に反応させるように構成していた。本実施の形態2では、成膜工程直後にボート搬出工程を実施した後、成膜処理したウェハ200とは別の新しいウェハをボートに装填するスタンバイ工程や、スタンバイ工程の後に実施されるボート搬入工程(ボートロード工程)で、処理室201の内部およびこの処理室201に接続されたガス排気管231に付着した塩化シランポリマーと、大気中に含まれる水分とを積極的に反応させるように構成する例について説明する。
【0113】
図12は、本実施の形態2におけるスタンバイ工程時の様子を示す図である。図12において、ボート217はロードロック室141に配置され、このボート217に新たなウェハ200が装填される。このとき、ロードロック室141の上方に配置されている処理室201の炉口161は炉口シャッタ147で塞がれている。通常、炉口シャッタ147は、炉口161のシール面SEと密着するように配置されるが、本実施の形態2では、図12に示すように、意図的に、シール面SEと炉口シャッタ147の間に隙間を設けている。このため、本実施の形態2では、この隙間から大気が処理室201の内部へ混入する。そして、APCバルブ242を開けて、ガス排気管231から処理室201内の雰囲気を排気する。このように、本実施の形態2では、ガス排気管213から処理室201内の雰囲気を排気しているので、処理室201の内部の圧力がロードロック室141の圧力よりも低くなっている。したがって、ロードロック室141に存在する大気は、シール面SEとシールキャップ219との間にできた隙間から処理室201の内部へ流れる。その後、処理室201の内部に流れ込んだ大気は、ガス排気管231から排気される。以上のことから、本実施の形態2では、ロードロック室141→シール面SEと炉口シャッタ147との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という一方向の大気の流れを形成することができる。言い換えれば、本実施の形態2では、シール面SEと炉口シャッタ147との間に隙間を形成しても、処理室201の内部からロードロック室141への逆方向の流れを抑制することができる。
【0114】
ここで、ロードロック室141からシール面SEと炉口シャッタ147の隙間を介して処理室201の内部へ流れ込んだ大気は、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーと加水分解反応する。これにより、塩化シランポリマーは、高燃焼性の加水分解物に変化するとともに、塩化水素ガスが発生する。本実施の形態2では、ロードロック室141→処理室201→ガス排気管231という一方向の流れを形成しているので、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスは、ロードロック室141へほぼ逆流することなく、ガス排気管231から外部へ放出される。したがって、本実施の形態2によれば、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスが炉口161を通ってロードロック室141へ逆流することを抑制できるので、塩化水素ガスによる炉口161自体の腐食およびロードロック室141の腐食を抑制することができる。
【0115】
さらに、本実施の形態2でも、塩化シランポリマーから高燃焼性の加水分解物が形成されるが、本実施の形態2では、ロードロック室141→シール面SEと炉口シャッタ147との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という一方向の大気の流れを継続して流し続けている。このため、処理室201の内部に付着した塩化シランポリマーと大気に含まれる水分が反応し続け、塩化シランポリマーは安定した物質であるシロキサンに変化する。つまり、本実施の形態2では、堆積した塩化シランポリマーに対して、積極的に大気と反応し続けることにより、塩化シランポリマーを中間生成物である高燃焼性の加水分解物ではなく、最終生成物で、かつ、安定物質であるシロキサンに変化させているのである。この結果、本実施の形態2によれば、処理室201の内部に高燃焼性の加水分解物が堆積することを抑制できる。したがって、本実施の形態2によれば、メンテナンス時の衝撃や静電気によって、高燃焼性の加水分解物が急激に燃焼するという問題も解決することができる。
【0116】
また、本実施の形態2では、塩化水素ガスを検出するセンサHSおよびHCl検知部HDを設けることにより、塩化水素ガス濃度が設定濃度値(例えば、2ppm)未満となるまで、塩化水素ガスをガス排気管231から排気し続けるように構成している。このため、処理室201の内部の塩化水素ガス濃度を確実に設定濃度値以下にすることができ、安全性を向上させることができる。以上のようにして、本実施の形態2におけるスタンバイ工程が終了する。
【0117】
続いて、スタンバイ工程が終了すると、ボート217を処理室201の内部へ搬入するボート搬入工程が実施される。ここで、上述したように、スタンバイ工程で、処理室201の内部およびこの処理室201に接続されたガス排気管231に付着した塩化シランポリマーと、大気中に含まれる水分とを積極的に反応させる特徴工程を実施していた。ただし、スタンバイ工程で特徴工程を実施する代わりに、後述するボート搬入工程で特徴工程を実施してもよい。以下では、ボート搬入工程で特徴工程を実施する例を説明する。
【0118】
図13は、本実施の形態2におけるボート搬入工程時の様子を示す図である。図13において、ボート217はロードロック室141に配置されている。このとき、スタンバイ工程時に処理室201の炉口161を塞いでいた炉口シャッタ147は開けられており、炉口161が開口している。したがって、開口している炉口161から大気が処理室201の内部へ混入する。そして、APCバルブ242を開けて、ガス排気管231から処理室201内の雰囲気を排気する。したがって、ロードロック室141に存在する大気は、開口している炉口161から処理室201の内部へ流れる。その後、処理室201の内部に流れ込んだ大気は、ガス排気管231から排気される。以上のことから、本実施の形態2では、ロードロック室141→開口している炉口161→処理室201の内部→ガス排気管231という一方向の大気の流れを形成することができる。
【0119】
ここで、ロードロック室141から開口している炉口161を介して処理室201の内部へ流れ込んだ大気は、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーと加水分解反応する。これにより、塩化シランポリマーは、高燃焼性の加水分解物に変化するとともに、塩化水素ガスが発生する。本実施の形態2では、ロードロック室141→処理室201→ガス排気管231という一方向の流れを形成しているので、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスは、ロードロック室141へほぼ逆流することなく、ガス排気管231から外部へ放出される。したがって、本実施の形態2によれば、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスが炉口161を通ってロードロック室141へ逆流することを抑制できるので、塩化水素ガスによる炉口161自体の腐食およびロードロック室141の腐食を抑制することができる。
【0120】
さらに、本実施の形態2でも、塩化シランポリマーから高燃焼性の加水分解物が形成されるが、本実施の形態2では、ロードロック室141→開口している炉口161→処理室201の内部→ガス排気管231という一方向の大気の流れを継続して流し続けている。このため、処理室201の内部に付着した塩化シランポリマーと大気に含まれる水分が反応し続け、塩化シランポリマーは安定した物質であるシロキサンに変化する。つまり、本実施の形態2では、堆積した塩化シランポリマーに対して、積極的に大気と反応し続けることにより、塩化シランポリマーを中間生成物である高燃焼性の加水分解物ではなく、最終生成物で、かつ、安定物質であるシロキサンに変化させているのである。この結果、本実施の形態2によれば、処理室201の内部に高燃焼性の加水分解物が堆積することを抑制できる。したがって、本実施の形態2によれば、メンテナンス時の衝撃や静電気によって、高燃焼性の加水分解物が急激に燃焼するという問題も解決することができる。
【0121】
また、本実施の形態2では、塩化水素ガスを検出するセンサHSおよびHCl検知部HDを設けることにより、塩化水素ガス濃度が設定濃度値(例えば、2ppm)未満となるまで、塩化水素ガスをガス排気管231から排気し続けるように構成している。このため、処理室201の内部の塩化水素ガス濃度を確実に設定濃度値以下にすることができ、安全性を向上させることができる。
【0122】
その後、図14に示すように、コントローラ240による制御によって、ボート217が搭載されたシールキャップ219を上昇させる。これにより、ボート217は処理室201の内部へ搬入される。このとき、シールキャップ219が炉口161のシール面SEに接触することにより、処理室201は密閉される。以上のようにして、本実施の形態2におけるボート搬入工程が終了し、その後、ボート217に搭載されたウェハ200に対して成膜処理が実施される。
【0123】
なお、前記実施の形態1では、成膜工程直後のボート搬出工程(ボートアンロード工程)で特徴工程を実施する例について説明し、本実施の形態2では、ボート搬出工程後の新たなスタンバイ工程やボート搬入工程で特徴工程を実施する例について説明したが、本発明の技術的思想はこれに限らない。例えば、前記実施の形態1と本実施の形態2とを組み合わせて実施してもよい。
【0124】
この場合、ボート搬入工程時(実施の形態2)に実施される処理室201の外部から処理室201の内部へ大気を取り込む時間よりも、ボート搬出工程時(実施の形態1)に実施される処理室201の外部から処理室201の内部へ大気を取り込む時間を長くすることが望ましい。なぜなら、成膜工程直後では、形成された塩化シランポリマーが活性状態にあるからである。つまり、成膜工程直後であるボート搬出工程時のほうが、成膜工程から所定時間が経過したボート搬入工程時よりも、処理室201に付着した塩化シランポリマーがより活性状態にあるからである。塩化シランポリマーが活性状態にあると、水分との加水分解反応が効率よく進むので、塩化シランポリマーが活性状態にある成膜工程直後のボート搬出工程で大気を取り込む時間を充分長くすることにより、活性状態にある塩化シランポリマーと加水分解反応させる水分を充分に供給することができるからである。すなわち、活性状態にある塩化シランポリマーに充分に水分を供給すれば、効率よく塩化シランポリマーを加水分解して安定物質であるシロキサンへ変化させることができる。このことは、ボート搬入工程時よりもボート搬出工程時に充分な大気を取り込むように構成すれば、塩化シランポリマーが活性状態にあるため、塩化シランポリマーの加水分解を効率よく行なうことができ、特徴工程(クリーニング工程)を効率よく行なうことができることを意味している。このことから、ボート搬入工程時に実施される処理室201の外部から処理室201の内部へ大気を取り込む時間よりも、ボート搬出工程時に実施される処理室201の外部から処理室201の内部へ大気を取り込む時間を長くすることにより、基板処理装置で実施される特徴工程を含む一連の成膜シーケンスの効率化を図ることができ、スループットの向上を図ることができる。
【0125】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、処理室201に接続する大気供給部である大気供給管233と、この大気供給管233を流れる大気の流量を調整するバルブV1を備える基板処理装置について説明する。
【0126】
図15は、本実施の形態3における基板処理装置の処理室201近傍の構成を示す図である。図15に示す本実施の形態3における基板処理装置の構成は、図9に示す前記実施の形態1における基板処理装置の構成とほぼ同様であるため、特に、本実施の形態3と前記実施の形態1との相違点について説明する。
【0127】
図9と図15を比較するとわかるように、本実施の形態3における基板処理装置では、処理室201に接続される大気供給管233が設けられており、この大気供給管233にバルブV1が設けられている。このバルブV1の開閉はコントローラ240によって制御できるように構成されている。このように構成されている本実施の形態3における基板処理装置では、シールキャップ219により炉口161のシール面SEを閉塞した状態で、大気供給管233から大気を処理室201の内部へ供給することができる。したがって、シールキャップ219と炉口161のシール面SEとの間に隙間を設けなくても、処理室201の内部へ大気を取り込むことが可能となっている。
【0128】
以下に、本実施の形態3における基板処理方法の特徴工程について説明する。本実施の形態3における特徴工程は、成膜終了後、ボート217を処理室201から搬出するボート搬出工程(ボートアンロード工程)で実施されるものである。
【0129】
図15は成膜工程後の状態を表している図である。図15において、成膜工程では、原料ガスであるSiHCl(ジクロロシラン)が熱分解されるとともに重合化(高分子化)して、塩化シランポリマーなどの副生成物が生成される。そして、生成された塩化シランポリマーは処理室201の内部や排気ラインであるガス排気管231の内壁に付着して堆積している。
【0130】
続いて、本実施の形態3では、成膜工程終了後、図15に示すように、まず、コントローラ240による制御により、バルブV1を開けて、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込む。さらに、コントローラ240による制御により、APCバルブ242を開けて、ガス排気管231から処理室201内の雰囲気を排気する。これにより、本実施の形態3では、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という一方向の大気の流れを形成することができる。
【0131】
ここで、大気供給管233から処理室201の内部へ流れ込んだ大気は、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーと加水分解反応する。これにより、塩化シランポリマーは、高燃焼性の加水分解物に変化するとともに、塩化水素ガスが発生する。本実施の形態3では、大気供給管233→処理室201→ガス排気管231という一方向の流れを形成しているので、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスは、ガス排気管231から外部へ放出される。本実施の形態3の利点は、大気を処理室201の内部に取り込むために、シールキャップ219と炉口161のシール面SEとの間に隙間を設ける必要がない点である。例えば、シールキャップ219と炉口161のシール面SEとの間に隙間を設ける場合、処理室201とロードロック室141が繋がることになる。すると、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスがロードロック室141へ逆流する可能性がある。
【0132】
これに対し、本実施の形態3では、シールキャップ219と炉口161のシール面SEとの間に隙間を設けず密着させている。このため、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスがロードロック室141へ流れ込む可能性をさらに低くすることができる利点がある。したがって、本実施の形態3によれば、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスがロードロック室141へ逆流することを抑制できるので、塩化水素ガスによるロードロック室141の腐食を効果的に抑制することができる。
【0133】
さらに、本実施の形態3でも、塩化シランポリマーから高燃焼性の加水分解物が形成されるが、本実施の形態3では、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という一方向の大気の流れを継続して流し続けている。このため、処理室201の内部に付着した塩化シランポリマーと大気に含まれる水分が反応し続け、塩化シランポリマーは安定した物質であるシロキサンに変化する。つまり、本実施の形態3では、堆積した塩化シランポリマーに対して、積極的に大気と反応し続けることにより、塩化シランポリマーを中間生成物である高燃焼性の加水分解物ではなく、最終生成物で、かつ、安定物質であるシロキサンに変化させているのである。この結果、本実施の形態3によれば、処理室201の内部に高燃焼性の加水分解物が堆積することを抑制できる。したがって、本実施の形態3によれば、メンテナンス時の衝撃や静電気によって、高燃焼性の加水分解物が急激に燃焼するという問題も解決することができる。
【0134】
また、本実施の形態3では、塩化水素ガスを検出するセンサHSおよびHCl検知部HDを設けることにより、所定時間、大気供給管233から大気を処理室201の内部へ供給し続けた後に、シールキャップ219と炉口161のシール面SEとの間に隙間を設けて、塩化水素ガス濃度が設定濃度値(例えば、2ppm)未満となっているか検出するように構成している。設定濃度値以上であれば、設定濃度値未満となるまで、塩化水素ガスをガス排気管231から排気し続けるように構成している。このため、処理室201の内部の塩化水素ガス濃度を確実に設定濃度値以下にすることができ、安全性を向上させることができる。
【0135】
なお、本実施の形態3における特徴工程は、例えば、図15に示すように、成膜終了後、ボート217を処理室201から搬出するボート搬出工程(ボートアンロード工程)で実施されるものであるが、このボート搬出工程における特徴工程を、例えば、図16に示すようにして実施することもできる。
【0136】
図16に示す例においては、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れを形成するとともに、ロードロック室141→シール面SEとシールキャップ219との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れも形成している。すなわち、図16に示す例では、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込むとともに、ロードロック室141からシール面SEとシールキャップ219との間の隙間を介して処理室201の内部へ大気を取り込んでいる。これにより、処理室201の内部へ取り込む大気の供給量を大きくすることができる。
【0137】
上述したように、成膜工程直後では、形成された塩化シランポリマーが活性状態にある。塩化シランポリマーが活性状態にあると、水分との加水分解反応が効率よく進むので、塩化シランポリマーが活性状態にある成膜工程直後のボート搬出工程で、図16に示す例のように処理室201の内部へ取り込む大気量を大きくすることにより、効果的に塩化シランポリマーをシロキサンへ加水分解することができる効果が得られる。
【0138】
また、本実施の形態3における特徴工程は、例えば、図17に示すように、成膜工程直後にボート搬出工程を実施した後、成膜処理したウェハ200とは別の新しいウェハをボートに装填するスタンバイ工程で実施することもできる。
【0139】
図17に示す例においては、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れを形成するとともに、ロードロック室141→シール面SEと炉口シャッタ147との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れも形成している。すなわち、図17に示す例では、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込むとともに、ロードロック室141からシール面SEと炉口シャッタ147との間の隙間を介して処理室201の内部へ大気を取り込んでいる。これにより、処理室201の内部へ取り込む大気の供給量を大きくすることができる。
【0140】
さらに、本実施の形態3における特徴工程は、上述したスタンバイ工程の後に実施されるボート搬入工程(ボートロード工程)で実施することもできる。
【0141】
図18に示す例においては、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れを形成するとともに、ロードロック室141→開口している炉口161→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れも形成している。すなわち、図18に示す例では、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込むとともに、ロードロック室141から、開口している炉口161を介して処理室201の内部へ大気を取り込んでいる。これにより、処理室201の内部へ取り込む大気の供給量を大きくすることができる。
【0142】
(実施の形態4)
本実施の形態4では、特徴工程において、ガス供給管232にバルブV2を介して接続されている不活性ガス供給部186を利用する例について説明する。
【0143】
図19は、本実施の形態4における基板処理装置の処理室201近傍の構成を示す図である。図19に示す本実施の形態4における基板処理装置の構成は、図15に示す前記実施の形態3における基板処理装置の構成とほぼ同様であるため、特に、本実施の形態4と前記実施の形態3との相違点について説明する。
【0144】
図15と図19を比較するとわかるように、本実施の形態4における基板処理装置では、処理室201に接続されているガス供給管232にバルブV2を介して不活性ガス供給部186が設けられている。バルブV2の開閉はコントローラ240によって制御できるように構成されている。このように構成されている本実施の形態4における基板処理装置では、大気供給管233から大気を処理室201の内部へ供給することができるとともに、バルブV2を開けることにより、不活性ガス供給部186から不活性ガス(例えば、窒素ガス)を処理室201の内部へ供給することができるようになっている。
【0145】
通常の基板処理装置では、成膜時にガス供給管232から原料ガスを処理室201の内部へ供給するように構成されている。そして、成膜終了後は、処理室201の内部に残存する原料ガスを不活性ガスで置換することが行なわれている。このため、通常の基板処理装置には、ガス供給管232にバルブV2を介して不活性ガス供給部186が設けられている。本実施の形態4では、特徴工程においても、不活性ガス供給部186から不活性ガスを処理室201の内部へ供給するように構成している。
【0146】
以下に、本実施の形態4における基板処理方法の特徴工程について説明する。本実施の形態4における特徴工程は、成膜終了後、ボート217を処理室201から搬出するボート搬出工程(ボートアンロード工程)で実施されるものである。
【0147】
図19は成膜工程後の状態を表している図である。図19において、成膜工程では、原料ガスであるSiHCl(ジクロロシラン)が熱分解されるとともに重合化(高分子化)して、塩化シランポリマーなどの副生成物が生成される。そして、生成された塩化シランポリマーは処理室201の内部や排気ラインであるガス排気管231の内壁に付着して堆積している。
【0148】
続いて、本実施の形態4では、成膜工程終了後、図19に示すように、まず、コントローラ240による制御により、バルブV1を開けて、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込む。さらに、コントローラ240による制御により、APCバルブ242を開けて、ガス排気管231から処理室201内の雰囲気を排気する。これにより、本実施の形態4では、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という一方向の大気の流れを形成することができる。さらに、本実施の形態4では、コントローラ240の制御により、バルブV2を開けて、ガス供給管232から処理室201の内部へ不活性ガスを混入する。このように本実施の形態4における特徴工程では、処理室201の内部には、大気供給管233から取り入れた大気と、ガス供給管232から取り入れた不活性ガスが混在していることになる。そして、コントローラ240によって、バルブV2の開口度を制御することにより、処理室201の内部へ供給される不活性ガスの量を調整することができる。このことは、処理室201に供給される不活性ガスの量を調整することにより、間接的に、大気供給管233から取り入れる大気の量を調整できることを意味している。本実施の形態4では、特徴工程において、不活性ガスの供給量を調整することにより、間接的に、大気の取り込み量を調整する点に特徴がある。
【0149】
例えば、図20は、処理室201の内部で発生する塩化水素ガスの濃度(HCl濃度)の時間変化を示すグラフである。図20において、横軸は時間を示しており、縦軸は処理室201の内部での塩化水素ガスの濃度(ppm)を示している。
【0150】
まず、図20に示すグラフ(1)は、処理室201で発生している塩化水素ガスの濃度変化が速い場合を示している。すなわち、グラフ(1)では、時間t1に処理室201の塩化水素ガスの濃度が設定濃度値(例えば、2ppm)未満になっている。次に、図20に示すグラフ(2)は、処理室201で発生している塩化水素ガスの濃度変化が標準である場合を示している。すなわち、グラフ(2)では、時間t0(t0>t1)に処理室201の塩化水素ガスの濃度が設定濃度値(例えば、2ppm)未満になっている。続いて、図20に示すグラフ(3)は、処理室201で発生している塩化水素ガスの濃度変化が遅い場合を示している。すなわち、グラフ(3)では、時間t2(t2>t0>t1)に処理室201の塩化水素ガスの濃度が設定濃度値(例えば、2ppm)未満になっている。
【0151】
ここで、グラフ(3)に着目すると、処理室201で発生している塩化水素ガスの濃度変化が遅いということは、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーの量が多く、多量の塩化水素ガスが発生していることを意味している。
【0152】
そこで、本実施の形態4では、例えば、コントローラ240で予め設定された時間(t0)を設定し、この予め設定された時間(t0)内に塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値未満になるかどうかを監視する。そして、予め設定された時間(t0)内に塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下にならない場合、コントローラ240は、バルブV2の開口度を調整して、処理室201へ供給される不活性ガスの量を低減させる。この結果、処理室201の内部へ供給される大気の量を増やすことができる。これにより、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーと、大気に含まれる水分との加水分解反応を効率よく進ませることができ、塩化水素ガスの発生効率を大きくすることができる。したがって、短時間に多量の塩化水素ガスを発生させて排気することができるようになるので、塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値未満になるまでの時間を短縮することができる。
【0153】
なお、本実施の形態4における特徴工程は、例えば、図19に示すように、成膜終了後、ボート217を処理室201から搬出するボート搬出工程(ボートアンロード工程)で実施されるものであるが、このボート搬出工程における特徴工程を、例えば、図21に示すようにして実施することもできる。
【0154】
図21に示す例においては、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れを形成するとともに、ロードロック室141→シール面SEとシールキャップ219との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れも形成している。すなわち、図21に示す例では、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込むとともに、ロードロック室141からシール面SEとシールキャップ219との間の隙間を介して処理室201の内部へ大気を取り込んでいる。この場合も、コントローラ240の制御により、バルブV2を開けて、ガス供給管232から処理室201の内部へ不活性ガスを混入するように構成することができる。そして、コントローラ240で予め設定された時間を設定し、この予め設定された時間内に塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値未満になるかどうかを監視する。そして、予め設定された時間内に塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下にならない場合、コントローラ240は、バルブV2の開口度を調整して、処理室201へ供給される不活性ガスの量を低減させるように構成することができる。
【0155】
また、本実施の形態4における特徴工程は、例えば、図22に示すように、成膜工程直後にボート搬出工程を実施した後、成膜処理したウェハ200とは別の新しいウェハをボートに装填するスタンバイ工程で実施することもできる。
【0156】
図22に示す例においては、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れを形成するとともに、ロードロック室141→シール面SEと炉口シャッタ147との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れも形成している。すなわち、図22に示す例では、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込むとともに、ロードロック室141からシール面SEと炉口シャッタ147との間の隙間を介して処理室201の内部へ大気を取り込んでいる。この場合も、コントローラ240の制御により、バルブV2を開けて、ガス供給管232から処理室201の内部へ不活性ガスを混入するように構成することができる。そして、コントローラ240で予め設定された時間を設定し、この予め設定された時間内に塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値未満になるかどうかを監視する。そして、予め設定された時間内に塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下にならない場合、コントローラ240は、バルブV2の開口度を調整して、処理室201へ供給される不活性ガスの量を低減させるように構成することができる。
【0157】
さらに、本実施の形態4における特徴工程は、上述したスタンバイ工程の後に実施されるボート搬入工程(ボートロード工程)で実施することもできる。
【0158】
図23に示す例においては、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れを形成するとともに、ロードロック室141→開口している炉口161→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れも形成している。すなわち、図23に示す例では、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込むとともに、ロードロック室141から、開口している炉口161を介して処理室201の内部へ大気を取り込んでいる。この場合も、コントローラ240の制御により、バルブV2を開けて、ガス供給管232から処理室201の内部へ不活性ガスを混入するように構成することができる。そして、コントローラ240で予め設定された時間を設定し、この予め設定された時間内に塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値未満になるかどうかを監視する。そして、予め設定された時間内に塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下にならない場合、コントローラ240は、バルブV2の開口度を調整して、処理室201へ供給される不活性ガスの量を低減させるように構成することができる。
【0159】
(実施の形態5)
前記実施の形態4では、特徴工程において、不活性ガスの供給量を調整することにより、間接的に、大気の取り込み量を調整する例について説明したが、本実施の形態5では、特徴工程において、炉口161のシール面SEとシールキャップ219との間に形成される隙間の大きさを調整することにより、大気の取り込み量を調整する例について説明する。
【0160】
以下に、本実施の形態5における基板処理方法の特徴工程について説明する。本実施の形態5における特徴工程は、成膜終了後、ボート217を処理室201から搬出するボート搬出工程(ボートアンロード工程)で実施されるものである。
【0161】
図24は成膜工程後の状態を表している図である。図24において、成膜工程では、原料ガスであるSiHCl(ジクロロシラン)が熱分解されるとともに重合化(高分子化)して、塩化シランポリマーなどの副生成物が生成される。そして、生成された塩化シランポリマーは処理室201の内部や排気ラインであるガス排気管231の内壁に付着して堆積している。
【0162】
続いて、本実施の形態5では、成膜工程終了後、図24に示すように、まず、コントローラ240による制御により、バルブV1を開けて、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込む。さらに、コントローラ240による制御により、APCバルブ242を開けて、ガス排気管231から処理室201内の雰囲気を排気する。これにより、本実施の形態5では、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という一方向の大気の流れを形成することができる。
【0163】
また、本実施の形態5においては、大気供給管233→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れを形成するとともに、ロードロック室141→シール面SEとシールキャップ219との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れも形成している。すなわち、本実施の形態5では、ボート217が搭載されているシールキャップ219を炉口161のシール面SEから少し下がった位置まで移動させて保持する。つまり、コントローラ240による制御により、ボート217を搭載したシールキャップ219を下方に移動させ、シールキャップ219を炉口161のシール面SEから少し下がった位置で保持させる。これにより、炉口161のシール面SEとシールキャップ219の間に隙間ができ、この隙間から大気が処理室201の内部へ混入する。以上のようにして、本実施の形態5では、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込むとともに、ロードロック室141からシール面SEとシールキャップ219との間の隙間を介して処理室201の内部へ大気を取り込んでいる。
【0164】
ここで、ロードロック室141から開口している炉口161を介して処理室201の内部へ流れ込んだ大気および大気供給管233から処理室201の内部へ流れ込んだ大気は、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーと加水分解反応する。これにより、塩化シランポリマーは、高燃焼性の加水分解物に変化するとともに、塩化水素ガスが発生する。本実施の形態5では、ロードロック室141→処理室201→ガス排気管231という大気の流れと、ロードロック室141→シール面SEとシールキャップ219との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れを形成しているので、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスは、ロードロック室141へほぼ逆流することなく、ガス排気管231から外部へ放出される。したがって、本実施の形態5によれば、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスが炉口161を通ってロードロック室141へ逆流することを抑制できるので、塩化水素ガスによる炉口161自体の腐食およびロードロック室141の腐食を抑制することができる。
【0165】
さらに、本実施の形態5でも、塩化シランポリマーから高燃焼性の加水分解物が形成されるが、本実施の形態5では、ロードロック室141→処理室201→ガス排気管231という大気の流れと、ロードロック室141→シール面SEとシールキャップ219との間の隙間→処理室201の内部→ガス排気管231という大気の流れを継続して流し続けている。このため、処理室201の内部に付着した塩化シランポリマーと大気に含まれる水分が反応し続け、塩化シランポリマーは安定した物質であるシロキサンに変化する。つまり、本実施の形態5では、堆積した塩化シランポリマーに対して、積極的に大気と反応し続けることにより、塩化シランポリマーを中間生成物である高燃焼性の加水分解物ではなく、最終生成物で、かつ、安定物質であるシロキサンに変化させているのである。この結果、本実施の形態5によれば、処理室201の内部に高燃焼性の加水分解物が堆積することを抑制できる。したがって、本実施の形態5によれば、メンテナンス時の衝撃や静電気によって、高燃焼性の加水分解物が急激に燃焼するという問題も解決することができる。
【0166】
また、本実施の形態5では、塩化水素ガスを検出するセンサHSおよびHCl検知部HDを設けることにより、塩化水素ガス濃度が設定濃度値(例えば、2ppm)未満となるまで、塩化水素ガスをガス排気管231から排気し続けるように構成している。このため、処理室201の内部の塩化水素ガス濃度を確実に設定濃度値以下にすることができ、安全性を向上させることができる。
【0167】
このとき、本実施の形態5では、例えば、コントローラ240で予め設定された時間(t0)を設定し、この予め設定された時間(t0)内に塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値未満になるかどうかを監視している。そして、予め設定された時間(t0)内に塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下にならない場合、コントローラ240は、図25に示すように、シールキャップ219の位置をさらに下降させて保持する。この結果、炉口161のシール面SEとシールキャップ219との間にできる隙間を大きくすることができるので、処理室201の内部へ供給される大気の量を増やすことができる。これにより、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーと、大気に含まれる水分との加水分解反応を効率よく進ませることができ、塩化水素ガスの発生効率を大きくすることができる。したがって、短時間に多量の塩化水素ガスを発生させて排気することができるようになるので、塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値未満になるまでの時間を短縮することができる。
【0168】
(実施の形態6)
本実施の形態6では、特徴工程において、ガス排気管231から処理室201内の雰囲気を排気する排気速度を変化させる例について説明する。
【0169】
図26は、本実施の形態6における基板処理装置の処理室201近傍の構成を示す図である。図26に示す本実施の形態6における基板処理装置の構成は、図15に示す前記実施の形態3における基板処理装置の構成とほぼ同様であるため、特に、本実施の形態6と前記実施の形態3との相違点について説明する。
【0170】
図15と図26を比較するとわかるように、本実施の形態6における基板処理装置では、処理室201に接続されているガス排気管231にバイパスラインが設けられている。このバイパスラインは、例えば、図26に示すように、ガス排気管231Aと、ガス排気管231Bと、ガス排気管231Cから構成されており、ガス排気管231Aと、ガス排気管231Bと、ガス排気管231Cは並列に接続されている。このとき、ガス排気管231Aの管径<ガス排気管231Bの管径<ガス排気管231Cの管径が成立している。したがって、ガス排気管231Aによる排気速度は、ガス排気管231Bによる排気速度よりも小さく、ガス排気管231Bによる排気速度は、ガス排気管231Cによる排気速度よりも小さくなる。例えば、ガス排気管231Aによる排気速度は、3L(リットル)/min(分)であり、ガス排気管231Bによる排気速度は、5L(リットル)/min(分)である。また、ガス排気管231Cによる排気速度は、10L(リットル)/min(分)である。
【0171】
そして、ガス排気管231Aには、バルブAV1が設けられており、このバルブAV1はコントローラ240による制御によって開閉するように構成されている。同様に、ガス排気管231Bには、バルブAV2が設けられており、このバルブAV2はコントローラ240による制御によって開閉するように構成されている。さらに、ガス排気管231Cには、バルブAV3が設けられており、このバルブAV3はコントローラ240による制御によって開閉するように構成されている。
【0172】
以下に、本実施の形態6における基板処理方法の特徴工程について説明する。本実施の形態6における特徴工程は、成膜終了後、ボート217を処理室201から搬出するボート搬出工程(ボートアンロード工程)で実施されるものである。
【0173】
図26は成膜工程後の状態を表している図である。図26において、成膜工程では、原料ガスであるSiHCl(ジクロロシラン)が熱分解されるとともに重合化(高分子化)して、塩化シランポリマーなどの副生成物が生成される。そして、生成された塩化シランポリマーは処理室201の内部や排気ラインであるガス排気管231の内壁に付着して堆積している。
【0174】
続いて、本実施の形態6では、成膜工程終了後、図26に示すように、まず、コントローラ240による制御により、バルブV1を開けて、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込む。そして、コントローラ240による制御によって、排気ラインから排気する排気速度を調整する。具体的には、例えば、コントローラ240によってバルブAV1を開けるとともに、バルブAV2およびバルブAV3を閉じると、処理室201内の雰囲気は、ガス排気管231Aを通って排気される。一方、コントローラ240によってバルブAV2を開けるとともに、バルブAV1およびバルブAV3を閉じると、処理室201内の雰囲気は、ガス排気管231Bを通って排気される。また、コントローラ240によってバルブAV3を開けるとともに、バルブAV1およびバルブAV2を閉じると、処理室201内の雰囲気は、ガス排気管231Cを通って排気される。このようにして、本実施の形態6によれば、排気ラインからの排気速度を調整することができる。このとき、本実施の形態6では、大気供給管233→処理室201の内部→排気ライン(ガス排気管231Aやガス排気管231Bやガス排気管231C)という一方向の大気の流れを形成することができる。
【0175】
ここで、大気供給管233から処理室201の内部へ流れ込んだ大気は、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーと加水分解反応する。これにより、塩化シランポリマーは、高燃焼性の加水分解物に変化するとともに、塩化水素ガスが発生する。本実施の形態6では、大気供給管233→処理室201→排気ライン(ガス排気管231Aやガス排気管231Bやガス排気管231C)という一方向の流れを形成しているので、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスは、排気ラインから外部へ放出される。したがって、本実施の形態6によれば、処理室201の内部で発生した塩化水素ガスがロードロック室141へ逆流することを抑制できるので、塩化水素ガスによるロードロック室141の腐食を効果的に抑制することができる。
【0176】
さらに、本実施の形態6でも、塩化シランポリマーから高燃焼性の加水分解物が形成されるが、本実施の形態6では、大気供給管233→処理室201の内部→排気ライン(ガス排気管231Aやガス排気管231Bやガス排気管231C)という一方向の大気の流れを継続して流し続けている。このため、処理室201の内部に付着した塩化シランポリマーと大気に含まれる水分が反応し続け、塩化シランポリマーは安定した物質であるシロキサンに変化する。つまり、本実施の形態6では、堆積した塩化シランポリマーに対して、積極的に大気と反応し続けることにより、塩化シランポリマーを中間生成物である高燃焼性の加水分解物ではなく、最終生成物で、かつ、安定物質であるシロキサンに変化させているのである。この結果、本実施の形態6によれば、処理室201の内部に高燃焼性の加水分解物が堆積することを抑制できる。したがって、本実施の形態6によれば、メンテナンス時の衝撃や静電気によって、高燃焼性の加水分解物が急激に燃焼するという問題も解決することができる。
【0177】
また、本実施の形態6では、塩化水素ガスを検出するセンサHSおよびHCl検知部HDを設けることにより、塩化水素ガス濃度が設定濃度値(例えば、2ppm)未満となるまで、塩化水素ガスをガス排気管231から排気し続けるように構成している。このため、処理室201の内部の塩化水素ガス濃度を確実に設定濃度値以下にすることができ、安全性を向上させることができる。
【0178】
本実施の形態6によれば、排気ラインからの排気速度を調整することができるが、例えば、排気速度の遅いガス排気管231Aから排気する場合は、大気供給管233から取り込んだ大気を長時間処理室201の内部に滞留させることができるため、積極的に、処理室201の内部に付着している塩化シランポリマーと大気に含まれる水分とを反応させることができる。一方、排気速度の速いガス排気管231Cから排気する場合には、大気供給管233から取り込んだ大気を排気ラインに積極的に流すことが可能となるため、排気ラインに付着している塩化シランポリマーと大気に含まれる水分とを反応させることができる。つまり、本実施の形態6によれば、優先的に、処理室201の内部に付着した塩化シランポリマーと大気に含まれる水分とを反応させる場合には、排気速度の遅いガス排気管231Aから排気するように制御する一方、優先的に、排気ラインの内壁に付着した塩化シランポリマーと大気に含まれる水分とを反応させる場合には、排気速度の速いガス排気管231Cから排気するように制御することができる。
【0179】
具体的な一例として、特徴工程(大気取り込み工程)の開始時の排気速度よりも特徴工程(大気取り込み工程)の終了時の排気速度を大きくするように制御することができる。これにより、特徴工程の開始段階では、優先的に処理室201の内部に付着した塩化シランポリマーを除去(クリーニング)することができるとともに、処理室201のクリーニングが終了する特徴工程の終了段階では、優先的に排気ラインに付着した塩化シランポリマーを除去(クリーニング)することができる。
【0180】
なお、本実施の形態6における特徴工程は、例えば、図27に示すように、成膜終了後、ボート217を処理室201から搬出するボート搬出工程(ボートアンロード工程)で実施されるものであるが、このボート搬出工程における特徴工程を、例えば、図27に示すようにして実施することもできる。
【0181】
図27に示す例においては、大気供給管233→処理室201の内部→排気ライン(ガス排気管231Aやガス排気管231Bやガス排気管231C)という大気の流れを形成するとともに、ロードロック室141→シール面SEとシールキャップ219との間の隙間→処理室201の内部→排気ライン(ガス排気管231Aやガス排気管231Bやガス排気管231C)という大気の流れも形成している。すなわち、図27に示す例では、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込むとともに、ロードロック室141からシール面SEとシールキャップ219との間の隙間を介して処理室201の内部へ大気を取り込んでいる。これにより、処理室201の内部へ取り込む大気の供給量を大きくすることができる。
【0182】
また、本実施の形態6における特徴工程は、例えば、図28に示すように、成膜工程直後にボート搬出工程を実施した後、成膜処理したウェハ200とは別の新しいウェハをボートに装填するスタンバイ工程で実施することもできる。
【0183】
図28に示す例においては、大気供給管233→処理室201の内部→排気ライン(ガス排気管231Aやガス排気管231Bやガス排気管231C)という大気の流れを形成するとともに、ロードロック室141→シール面SEと炉口シャッタ147との間の隙間→処理室201の内部→排気ライン(ガス排気管231Aやガス排気管231Bやガス排気管231C)という大気の流れも形成している。すなわち、図28に示す例では、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込むとともに、ロードロック室141からシール面SEと炉口シャッタ147との間の隙間を介して処理室201の内部へ大気を取り込んでいる。これにより、処理室201の内部へ取り込む大気の供給量を大きくすることができる。
【0184】
さらに、本実施の形態6における特徴工程は、上述したスタンバイ工程の後に実施されるボート搬入工程(ボートロード工程)で実施することもできる。
【0185】
図29に示す例においては、大気供給管233→処理室201の内部→排気ライン(ガス排気管231Aやガス排気管231Bやガス排気管231C)という大気の流れを形成するとともに、ロードロック室141→開口している炉口161→処理室201の内部→排気ライン(ガス排気管231Aやガス排気管231Bやガス排気管231C)という大気の流れも形成している。すなわち、図29に示す例では、大気供給管233から処理室201の内部へ大気を取り込むとともに、ロードロック室141から、開口している炉口161を介して処理室201の内部へ大気を取り込んでいる。これにより、処理室201の内部へ取り込む大気の供給量を大きくすることができる。
【0186】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0187】
前記実施の形態で説明した半導体膜の形成条件は一例に過ぎず、適宜変更することができる。例えば、半導体膜をCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成する場合、原料ガスとして、四塩化ケイ素(SiCl)などを用いることができるし、ドーパントガスとして、例えば、ボロン含有ガスであるジボラン(B)ガスなどを用いることができる。さらに、キャリアガスとして、水素(H)を使用することができる。
【0188】
上述した実施の形態では、大気供給管233から大気を供給する例を説明したが、これに代えて、水蒸気(HO)、水素(H)ガス+酸素(O)ガス等少なくとも水分(HO)を含有若しくは処理室201内で水分を生成可能なガスを供給するようにしても良い。
【0189】
また、上述した実施の形態では、ウェハ200を処理する際に処理室201の内部および排気ラインに堆積される副生成物としての高燃焼性の加水分解物に対し、水分を処理室201へ供給し、該加水分解物から高腐食性ガスを積極的に発生させるように構成する例について説明したが、これに限らず、例えば、成膜ガスを供給してウェハ200を処理する際に処理室201の内部および排気ラインに付着した付着物に対し、該付着物と反応する反応ガスを処理室201へ供給して排気ラインから排気し、処理室201の内部及び排気ラインに付着した付着物からの生成ガスを積極的に発生させるように構成してもよい。この場合、好ましくは、HCl検知部HDを生成ガス検知部となるように構成するとよい。
【0190】
また、本明細書では、本発明の技術的思想を誘導加熱方式の基板処理装置に適用する例について説明しているが、本発明の技術的思想は、これに限らず、例えば、抵抗加熱方式の基板処理装置にも適用することができる。抵抗加熱方式の基板処理装置の場合には、例えば、サセプタ218を設けずに、ボート217へ直接ウェハ200を載置するようにし、誘導加熱装置206を抵抗加熱装置に代えるように構成するものである。
【0191】
本発明は少なくとも以下の実施の形態を含む。
【0192】
〔付記1〕
処理室で基板に対して膜を形成する第一ステップと、
前記第一ステップ後に、前記処理室の外部から前記処理室の内部へ大気を取り込み、前記処理室の内部および前記処理室に接続された排気ラインの内部に付着した付着物と前記大気中に含まれる水分とを反応させて、少なくとも塩化水素ガスを発生させるとともに、前記塩化水素ガスを前記排気ラインから排気する第二ステップとを有し、
前記第二ステップは、前記処理室の前記塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下になるまで維持される基板処理方法。
【0193】
〔付記2〕
前記第二ステップは、前記第一ステップ後の膜を形成した前記基板を前記処理室から搬出する搬出ステップか、もしくは、前記搬出ステップの後に前記処理室へ前記膜を形成した前記基板とは異なる別の基板を搬入する搬入ステップに設けられる付記1記載の基板処理方法。
【0194】
〔付記3〕
前記第二ステップは、前記第一ステップ後の膜を形成した前記基板を前記処理室から搬出する搬出ステップに設けられる付記1記載の基板処理方法。
【0195】
〔付記4〕
前記第二ステップは、前記処理室に設けられた大気供給部から前記大気を前記処理室の内部に取り込む付記1記載の基板処理方法。
【0196】
〔付記5〕
前記大気供給部は、前記基板を搬入出可能な前記処理室の開口部である付記4記載の基板処理方法。
【0197】
〔付記6〕
前記大気供給部は、前記処理室に接続された大気供給ラインと前記大気供給ラインに接続された開閉弁とを有し、前記開閉弁を開くことで前記大気を前記処理室に取り込むように構成されている付記4記載の基板処理方法。
【0198】
〔付記7〕
前記第二ステップでは、前記処理室の内部の塩化水素ガス濃度値を監視し、予め設定された時間内に前記塩化水素ガス濃度値が前記設定濃度値以下にならない場合、前記大気の取り込み量を増やす付記1記載の基板処理方法。
【0199】
〔付記8〕
前記第二ステップでは、処理ガスを供給する処理ガス供給部から前記処理室へ不活性ガスを供給し続け、予め設定された時間内に前記塩化水素ガス濃度値が前記設定濃度値以下にならない場合、前記不活性ガスの供給量を減らす付記7記載の基板処理方法。
【0200】
〔付記9〕
前記第二ステップでは、予め設定された時間内に前記塩化水素ガス濃度値が前記設定濃度値以下にならない場合、前記基板を搬入出可能な前記処理室の開口部の開度を大きくする付記7記載の基板処理方法。
【0201】
〔付記10〕
前記第二ステップでは、前記排気ラインから前記塩化水素ガスを排気する排気速度を変化させる付記1記載の基板処理方法。
【0202】
〔付記11〕
前記第二ステップでは、前記第二ステップの開始時の前記排気速度よりも前記第二ステップの終了時の前記排気速度を大きくする付記10記載の基板処理方法。
【0203】
〔付記12〕
前記第二ステップは、前記第一ステップを終了する度に実施する付記1記載の基板処理方法。
【0204】
〔付記13〕
前記第二ステップは、前記第一ステップ後の前記膜を形成した前記基板を前記処理室から搬出する搬出ステップ、および、前記搬出ステップの後の前記処理室へ前記膜を形成した前記基板とは異なる別の基板を搬入する搬入ステップに設けられ、前記搬入ステップ時に実施される前記処理室の外部から前記処理室の内部へ前記大気を取り込む時間よりも、前記搬出ステップ時に実施される前記処理室の外部から前記処理室の内部へ前記大気を取り込む時間を長くする付記1記載の基板処理方法。
【0205】
〔付記14〕
処理室に成膜ガスを供給して排気ラインから排気し、基板に対して膜を形成する第一ステップと、
前記第一ステップで前記処理室の内部および前記排気ラインの内部に付着した付着物に対し、反応する反応ガスを前記処理室へ供給して前記排気ラインから排気し、前記付着物から生成ガスを発生させるとともに、前記生成ガスを前記排気ラインから排気する第二ステップとを有し、
前記第二ステップは、前記処理室の前記生成ガスの濃度値が設定濃度値以下になるまで維持される基板処理方法。
【0206】
〔付記15〕
基板を処理する処理室と、
前記処理室へ成膜ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室の内部へ大気を取り込み可能に構成される開口部と、
前記処理室に接続され、前記処理室の雰囲気を排気する排気ラインと、
前記ガス供給部による前記成膜ガスの供給、前記排気ラインによる前記雰囲気の排気、および、前記開口部からの大気の取り込みを制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記処理室で前記基板に対して膜を形成するように制御し、
前記膜の形成後に、前記開口部から前記処理室の内部へ大気を取り込み、前記処理室の内部および前記排気ラインの内部に付着した付着物と前記大気中に含まれる水分とを反応させて、少なくとも塩化水素ガスを発生させるとともに、前記処理室の前記塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下になるまで、前記塩化水素ガスを前記排気ラインから排気維持するように制御する基板処理装置。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0208】
101 基板処理装置
103 正面メンテナンス口
104 正面メンテナンス扉
105 カセット棚
106 スライドステージ
107 バッファ棚
110 カセット
111 筐体
111a 正面壁
112 カセット搬入搬出口
113 フロントシャッタ
114 カセットステージ
115 ボートエレベータ
118 カセット搬送装置
118a カセットエレベータ
118b カセット搬送機構
125 ウェハ移載機構
125a ウェハ移載装置
125b ウェハ移載装置エレベータ
125c ツイーザ
134a クリーンユニット
140 耐圧筐体
140a 正面壁
141 ロードロック室
142 ウェハ搬入搬出口
143 ゲートバルブ
144 ガス供給管
147 炉口シャッタ
161 炉口
177 バルブ
178 バルブ
179 バルブ
180 第1のガス供給源
181 第2のガス供給源
182 第3のガス供給源
183 MFC
184 MFC
185 MFC
186 不活性ガス供給部
200 ウェハ
201 処理室
202 処理炉
205 アウターチューブ
206 誘導加熱装置
209 マニホールド
216 断熱筒
217 ボート
218 サセプタ
218a 周縁部
218b 中央部
218c 段差部
219 シールキャップ
230 インナーチューブ
231 ガス排気管
231A ガス排気管
231B ガス排気管
231C ガス排気管
232 ガス供給管
233 大気供給管
235 ガス流量制御部
236 圧力制御部
237 駆動制御部
238 温度制御部
239 主制御部
240 コントローラ
242 APCバルブ
244 ボール螺子
245 下基板
246 真空排気装置
247 上基板
248 昇降モータ
249 昇降台
250 昇降シャフト
251 天板
252 昇降基板
253 駆動部カバー
254 回転機構
255 回転軸
256 駆動部収納ケース
257 冷却機構
258 電力供給ケーブル
259 冷却流路
260 冷却水配管
263 放射温度計
264 ガイドシャフト
265 ベローズ
301 Oリング
309 Oリング
2061 RFコイル
2062 壁体
2063 冷却壁
2064 ラジエータ
2065 ブロア
2066 開口部
2067 爆発放散口開閉装置
2311 ガス排気口
2321 ガス供給ノズル
2322 ガス供給口
AV1 バルブ
AV2 バルブ
AV3 バルブ
C RFコイル
CL RFコイル
CU RFコイル
HS センサ
HD HCl検知部
L RFコイル
MT 部材
PH ピン孔
PN 突き上げピン
SE シール面
U RFコイル
UDU 突き上げピン昇降機構
V1 バルブ
V2 バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室で基板に対して膜を形成する第一ステップと、
前記第一ステップ後に、前記処理室の外部から前記処理室の内部へ大気を取り込み、前記処理室の内部および前記処理室に接続された排気ラインの内部に付着した付着物と前記大気中に含まれる水分とを反応させて、少なくとも塩化水素ガスを発生させるとともに、前記塩化水素ガスを前記排気ラインから排気する第二ステップとを有し、
前記第二ステップは、前記処理室の前記塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下になるまで維持される基板処理方法。
【請求項2】
前記第二ステップは、前記第一ステップ後の膜を形成した前記基板を前記処理室から搬出する搬出ステップか、もしくは、前記搬出ステップの後に前記処理室へ前記膜を形成した前記基板とは異なる別の基板を搬入する搬入ステップに設けられる請求項1記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記第二ステップは、前記第一ステップ後の膜を形成した前記基板を前記処理室から搬出する搬出ステップに設けられる請求項1記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第二ステップは、前記処理室に設けられた大気供給部から前記大気を前記処理室の内部に取り込む請求項1記載の基板処理方法。
【請求項5】
基板を処理する処理室と、
前記処理室へ成膜ガスを供給するガス供給部と、
前記処理室の内部へ大気を取り込み可能に構成される開口部と、
前記処理室に接続され、前記処理室の雰囲気を排気する排気ラインと、
前記ガス供給部による前記成膜ガスの供給、前記排気ラインによる前記雰囲気の排気、および、前記開口部からの大気の取り込みを制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記処理室で前記基板に対して膜を形成するように制御し、
前記膜の形成後に、前記開口部から前記処理室の内部へ大気を取り込み、前記処理室の内部および前記排気ラインの内部に付着した付着物と前記大気中に含まれる水分とを反応させて、少なくとも塩化水素ガスを発生させるとともに、前記処理室の前記塩化水素ガスの濃度値が設定濃度値以下になるまで、前記塩化水素ガスを前記排気ラインから排気維持するように制御する基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−49342(P2012−49342A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190339(P2010−190339)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】