説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】沸点付近のリン酸水溶液を含む処理液を基板に供給することができる基板処理装置および基板処理方法を提供すること。
【解決手段】リン酸、硫酸、および水が、第1タンク15からスピンチャック2に保持された基板Wに至る処理液の流通経路X1に供給される。これにより、リン酸、硫酸、および水の混合液が生成される。また、硫酸を含む液体と水を含む液体とが流通経路X1において混合され、リン酸、硫酸、および水の混合液の温度が上昇する。スピンチャック2に保持された基板Wには、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜とが形成された基板の表面にエッチング液としての高温のリン酸水溶液を供給して、シリコン窒化膜を選択的に除去するエッチング処理が必要に応じて行われる。
複数枚の基板を一括して処理するバッチ式の基板処理装置では、高温のリン酸水溶液が貯留された処理槽に複数枚の基板が一定間浸漬される。一方、基板を一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置では、タンクに貯留された高温のリン酸水溶液が、配管を介してノズルに供給され、ノズルからスピンチャックに保持された基板に向けて吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−258405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッチ式の基板処理装置では、均一なエッチング処理を行うために、処理槽に貯留されたリン酸水溶液に基板を一定間以上浸漬させる必要がある。したがって、複数枚の基板を一括して処理する場合でも、一枚の基板を処理する場合でも同じ処理時間が必要である。
一方、枚葉式の基板処理装置では、一枚の基板を短時間で均一に処理することができる。しかしながら、枚葉式の基板処理装置では、リン酸水溶液が配管内およびノズル内を流れる間に、リン酸水溶液の熱が配管およびノズルによって奪われてしまい、リン酸水溶液の温度が低下してしまう。そのため、タンクでの温度より低い温度のリン酸水溶液が基板に供給される。
【0005】
選択比(シリコン窒化膜の除去量/シリコン酸化膜の除去量)と、シリコン窒化膜のエッチングレート(単位時間当たりの除去量)とは、基板に供給されたリン酸水溶液の温度が沸点付近のときに最も高い。しかしながら、枚葉式の基板処理装置では、リン酸水溶液の温度をタンク内で沸点付近に調節したとしても、基板に供給されるまでの間にリン酸水溶液の温度が低下してしまうので、沸点付近のリン酸水溶液を基板に供給することが困難である。
【0006】
そこで、この発明の目的は、沸点付近のリン酸水溶液を含む処理液を基板に供給することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための請求項1記載の発明は、リン酸、硫酸、および水の混合液によって基板を処理する基板処理装置であって、基板(W)を保持する基板保持手段(2)と、前記基板保持手段に保持された基板に供給される処理液が貯留された第1タンク(15、315)と、前記第1タンクから前記基板保持手段に保持された基板に至る処理液の流通経路(X1)とを有し、前記流通経路にリン酸、硫酸、および水を供給することにより、前記流通経路において硫酸を含む液体と水を含む液体とを混合させて、リン酸、硫酸、および水の混合液の温度を上昇させ、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液を前記基板に供給する混合液供給手段(4、204、304、504)と、を含む、基板処理装置(1、201、301、401、501)である。なお、この項において、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【0008】
この発明によれば、リン酸(液体)、硫酸(液体)、および水が、第1タンクから基板保持手段に保持された基板に至る処理液の流通経路に供給される。リン酸、硫酸、および水は、第1タンクを含む複数の処理液供給源から別々に流通経路に供給されてもよいし、他の処理液と混合された状態で流通経路に供給されてもよい。具体的には、たとえば、リン酸水溶液と、硫酸水溶液とが流通経路に供給されてもよいし、リン酸、硫酸、および水の混合液と、水とが流通経路に供給されてもよい。リン酸、硫酸、および水が、流通経路に供給されることにより、硫酸を含む液体と水を含む液体とが流通経路で混合される。
【0009】
硫酸は、水によって希釈されることにより、希釈熱を発生する。したがって、硫酸を含む液体と水を含む液体とが混合されることにより、希釈熱が発生する。リン酸、硫酸、および水の混合液は、この希釈熱によって流通経路で加熱される。したがって、リン酸、硫酸、および水の混合液の熱が、配管やノズルなどによって奪われたとしても、この希釈熱が当該混合液に加わり、当該混合液の温度の低下が抑制または防止される。これにより、混合液に含まれるリン酸水溶液が加熱され、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液が基板に供給される。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記混合液供給手段は、前記基板保持手段に保持された基板に向けて処理液を吐出する第1ノズル(14)と、前記第1タンクから前記第1ノズルに供給される処理液が流通する第1供給配管(16)とをさらに含み、前記流通経路は、前記第1供給配管の内部と、前記第1ノズルの内部と、前記第1ノズルと前記基板保持手段に保持された基板との間と、を含む、請求項1記載の基板処理装置である。
【0011】
この発明によれば、硫酸を含む液体と水を含む液体とが、第1供給配管の内部、第1ノズルの内部、および第1ノズルと基板保持手段に保持された基板との間の少なくともいずれかの位置において混合される。すなわち、硫酸を含む液体と水を含む液体とが、基板に供給される直前、または基板に供給されるのと同時に混合される。これにより、確実に昇温されたリン酸、硫酸、および水の混合液が基板に供給される。
【0012】
請求項3記載の発明は、前記第1タンクは、リン酸、硫酸、および水のうちの少なくとも2つを含む混合液を貯留している、請求項1または2記載の基板処理装置である。
この発明によれば、リン酸水溶液、硫酸水溶液、リン酸および硫酸の混合液、またはリン酸、硫酸、および水の混合液が、第1タンクに貯留されている。すなわち、リン酸、硫酸、および水のうちの少なくとも2つが予め第1タンクで混合されている。したがって、リン酸、硫酸、および水のうちの少なくとも2つが十分に混合された混合液(リン酸、硫酸、および水の混合液)を基板に供給することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記混合液供給手段は、前記流通経路に供給される、水を含む液体が流通する水供給配管(238)と、前記水供給配管内を流れる液体の流量を調整する流量調整手段(240)と、前記流通経路においてリン酸、硫酸、および水の混合液の温度を検出する温度検出手段(241)と、前記温度検出手段からの出力に基づいて前記流量調整手段を制御する流量制御手段(5)と、を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0014】
この発明によれば、水を含む液体が、水供給配管から流通経路に供給される。したがって、硫酸を含む液体と水を含む液体とが流通経路において確実に混合され、希釈熱が発生する。また、リン酸、硫酸、および水の混合液の温度が温度検出手段によって検出される。流量制御手段は、温度検出手段の出力に基づいて流量調整手段を制御する。これにより、流通経路に供給される水を含む液体の流量が調整される。
【0015】
流量制御手段は、流通経路に供給される水を含む液体の流量を増加させることにより、希釈熱を増加させることができる。一方、流量制御手段は、流通経路に供給される水を含む液体の流量を減少させることにより、希釈熱を減少させることができる。したがって、流量制御手段は、流通経路に供給される水を含む液体の流量を調整することにより、リン酸、硫酸、および水の混合液の温度を調整することができる。これにより、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液を確実に基板に供給することができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、前記第1タンクは、リン酸、硫酸、および水の混合液が貯留された混合液タンク(315)を含み、前記基板処理装置は、前記基板保持手段に保持された基板に供給されたリン酸、硫酸、および水の混合液を回収して、この回収された混合液を前記混合液タンクに供給する回収手段(446)をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置である。
【0017】
この発明によれば、リン酸、硫酸、および水の混合液が混合液タンクに貯留されている。混合液タンクに貯留された混合液は、流通経路を経て基板保持手段に保持された基板に供給される。また、基板に供給されたリン酸、硫酸、および水の混合液は、回収手段によって回収される。そして、この回収された混合液は、混合液タンクに供給される。したがって、回収された混合液が再び基板に供給され、再利用される。これにより、混合液の消費量が低減される。
【0018】
また、シリコン窒化膜が形成された基板をリン酸、硫酸、および水の混合液によって処理する場合(エッチング処理する場合)、回収された混合液には、シロキサン(siloxane)が含まれている。したがって、この場合、シロキサンを含む混合液が、混合液タンクに供給され、流通経路を経て再び基板に供給される。シロキサンは、シロキサン結合(Si-O-Si)を含む化合物である。シロキサンが、リン酸、硫酸、および水の混合液に含まれている場合、選択比が向上する。したがって、回収された混合液を再利用することにより、エッチング処理において、選択比を向上させることができる。
【0019】
請求項6記載の発明は、前記混合液供給手段は、前記混合液タンクおよび流通経路の少なくとも一方にリン酸を含む液体を供給するリン酸供給手段(568)と、前記混合液タンクおよび流通経路の少なくとも一方に硫酸を含む液体を供給する硫酸供給手段(558)と、さらに含む、請求項5記載の基板処理装置である。
この発明によれば、リン酸を含む液体と硫酸を含む液体とが、混合液タンクおよび流通経路の少なくとも一方に供給される。これにより、リン酸を含む液体と硫酸を含む液体とが、回収手段によって回収された混合液に混合される。したがって、リン酸を含む液体と硫酸を含む液体とによって混合液が薄められる。そのため、回収された混合液にシロキサンが含まれる場合、シロキサンの濃度の上昇が抑制される。これにより、シロキサンの濃度が高い混合液(シロキサンを含むリン酸、硫酸、および水の混合液)が基板に供給されることが抑制または防止される。したがって、混合液から析出したシリコンを含む化合物が、基板に付着することを抑制または防止することができる。
【0020】
請求項7記載の発明は、リン酸、硫酸、および水の混合液によって基板を処理する基板処理方法であって、基板に供給される処理液が貯留された第1タンクから基板に至る処理液の流通経路に、リン酸、硫酸、および水を供給することにより、前記流通経路において硫酸を含む液体と水を含む液体とを混合させて、リン酸、硫酸、および水の混合液の温度を上昇させる昇温工程と、前記昇温工程において生成された沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液を基板に供給する混合液供給工程と、を含む、基板処理方法である。この発明によれば、請求項1の発明に関して述べた効果と同様な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る基板処理装置によって基板を処理する第1処理例について説明するための工程図である。
【図3】リン酸水溶液におけるリン酸の濃度およびリン酸水溶液の温度とシリコン窒化膜のエッチングレートとの関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図5】本発明の第1実施形態の第2変形例に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図6】本発明の第1実施形態の第3変形例に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図7】本発明の第1実施形態の第4変形例に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る基板処理装置の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1の概略構成を示す模式図である。
この基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円形の基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置である。基板処理装置1は、基板Wを水平に保持して回転させるスピンチャック2(基板保持手段)と、薬液やリンス液などの処理液をスピンチャック2に保持された基板Wに供給する処理液供給機構3と、リン酸、硫酸、および水の混合液をスピンチャック2に保持された基板Wに供給する混合液供給機構4(混合液供給手段)と、スピンチャック2などの基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する制御部5(流量制御手段)とを含む。
【0023】
スピンチャック2は、基板Wを水平に保持して当該基板Wの中心を通る鉛直軸線まわりに回転可能なスピンベース6と、このスピンベース6を鉛直軸線まわりに回転させるスピンモータ7とを含む。スピンチャック2は、基板Wを水平方向に挟むことにより当該基板Wを水平に保持する挟持式のチャックであってもよいし、基板Wの下面(裏面)を吸着することにより当該基板Wを水平に保持するバキューム式のチャックであってもよい。第1実施形態では、スピンチャック2は、挟持式のチャックである。スピンモータ7は、制御部5によって制御される。
【0024】
また、処理液供給機構3は、薬液ノズル8と、薬液供給配管9と、薬液バルブ10とを含む。薬液供給配管9は、薬液ノズル8に接続されている。薬液バルブ10は、薬液供給配管9に介装されている。薬液バルブ10が開かれると、薬液供給配管9から薬液ノズル8に薬液が供給される。また、薬液バルブ10が閉じられると、薬液供給配管9から薬液ノズル8への薬液の供給が停止される。薬液ノズル8から吐出された薬液は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に供給される。薬液としては、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、腐食防止剤のうちの少なくとも1つを含む液を例示することができる。
【0025】
また、処理液供給機構3は、リンス液ノズル11と、リンス液供給配管12と、リンス液バルブ13とを含む。リンス液供給配管12は、リンス液ノズル11に接続されている。リンス液バルブ13は、リンス液供給配管12に介装されている。リンス液バルブ13が開かれると、リンス液供給配管12からリンス液ノズル11にリンス液が供給される。また、リンス液バルブ13が閉じられると、リンス液供給配管12からリンス液ノズル11へのリンス液の供給が停止される。リンス液ノズル11から吐出されたリンス液は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に供給される。リンス液としては、純水(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水や、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などを例示することができる。
【0026】
また、混合液供給機構4は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に向けて処理液を吐出する第1ノズル14と、処理液が貯留された第1タンク15と、第1ノズル14と第1タンク15とを接続する第1供給配管16と、第1供給配管16に介装された第1ヒータ17、第1ポンプ18、第1フィルタ19、第1供給バルブ20、および第1流量調整バルブ21と、第1タンク15と第1供給配管16とを接続する第1戻り配管22と、第1戻り配管22に介装された第1戻りバルブ23とを含む。さらに、混合液供給機構4は、処理液が貯留された第2タンク24と、第1供給配管16と第2タンク24とを接続する第2供給配管25と、第2供給配管25に介装された第2ポンプ26、第2フィルタ27、第2供給バルブ28、および第2流量調整バルブ29とを含む。
【0027】
第1タンク15に貯留された処理液は、第1供給配管16を介して第1ノズル14に供給され、第1ノズル14からスピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に向けて吐出される。すなわち、混合液供給機構4は、第1タンク15からスピンチャック2に保持された基板Wに至る処理液の流通経路X1を有している。第1タンク15に貯留された処理液は、この流通経路X1を経てスピンチャック2に保持された基板Wに供給される。また、第2タンク24に貯留された処理液は、この流通経路X1の一部を経てスピンチャック2に保持された基板Wに供給される。流通経路X1は、第1供給配管16の内部と、第1ノズル14の内部と、第1ノズル14とスピンチャック2に保持された基板Wとの間とを含む。
【0028】
また、第1タンク15および第2タンク24には、リン酸、硫酸、および水のうちの少なくとも一つを含む処理液が貯留されている。第1実施形態では、硫酸水溶液が第1タンク15に貯留されており、リン酸水溶液が第2タンク24に貯留されている。第1タンク15に貯留された硫酸水溶液は、濃度が90%以上の濃硫酸であってもよいし、濃度が90%未満の希硫酸であってもよい。第1タンク15に貯留された硫酸水溶液の温度は、たとえば、60℃〜190℃の範囲で調節されている。第1実施形態では、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液の沸点以上の温度を有する濃硫酸が、第1タンク15に貯留されている。一方、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液におけるリン酸の濃度は、たとえば、10%〜85%である。第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液は、温度調節されておらず、室温(20℃〜30℃程度)である。第1実施形態では、濃度が85%の室温のリン酸水溶液が、第2タンク24に貯留されている。
【0029】
第1供給配管16の一端部は、第1タンク15に接続されており、第1供給配管16の他端部は、第1ノズル14に接続されている。第1ヒータ17、第1ポンプ18、第1フィルタ19、第1供給バルブ20、および第1流量調整バルブ21は、第1タンク15側からこの順番で、第1供給配管16に介装されている。また、第1戻り配管22は、第1フィルタ19と第1供給バルブ20との間において第1供給配管16に接続されている。第1タンク15に貯留された硫酸水溶液は、第1ポンプ18の吸引力によって第1供給配管16に供給される。また、第1ポンプ18によって第1タンク15から汲み出された硫酸水溶液は、第1ヒータ17によって加熱される。さらに、第1ポンプ18によって汲み出された硫酸水溶液は、第1フィルタ19によってろ過される。これにより、硫酸水溶液に含まれる異物が除去される。
【0030】
第1ポンプ18が駆動されている状態で、第1供給バルブ20が開かれ、第1戻りバルブ23が閉じられると、第1タンク15から汲み出された硫酸水溶液が、第1供給配管16を介して第1ノズル14に供給される。一方、第1ポンプ18が駆動されている状態で、第1供給バルブ20が閉じられ、第1戻りバルブ23が開かれると、第1タンク15から汲み出された硫酸水溶液が、第1供給配管16および第1戻り配管22を介して第1タンク15に戻る。したがって、硫酸水溶液が、第1供給配管16、第1戻り配管22、および第1タンク15を含む循環経路を循環する。これにより、第1タンク15に貯留された硫酸水溶液が第1ヒータ17によって均一に加熱され、硫酸水溶液の液温が調節される。
【0031】
また、第2供給配管25の一端部は、第2タンク24に接続されており、第2供給配管25の他端部は、第1供給バルブ20より下流側(第1ノズル14側)において第1供給配管16に接続されている。第2ポンプ26、第2フィルタ27、第2供給バルブ28、および第2流量調整バルブ29は、第2タンク24側からこの順番で、第2供給配管25に介装されている。第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液は、第2ポンプ26の吸引力によって第2供給配管25に供給される。これにより、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液が、第2供給配管25を介して第1供給配管16に供給される。また、第2ポンプ26によって汲み出されたリン酸水溶液は、第2フィルタ27によってろ過される。これにより、リン酸水溶液に含まれる異物が除去される。
【0032】
第1ポンプ18および第2ポンプ26が駆動されている状態で、第1供給バルブ20および第2供給バルブ28が開かれ、第1戻りバルブ23が閉じられると、第1タンク15に貯留された硫酸水溶液と、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液とが第1供給配管16に供給される。これにより、第1流量調整バルブ21の開度に対応する流量の硫酸水溶液と、第2流量調整バルブ29の開度に対応する流量のリン酸水溶液とが第1供給配管16内で混合され、リン酸、硫酸、および水の混合液が第1ノズル14に供給される。そして、リン酸、硫酸、および水の混合液が、スピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に向けて第1ノズル14から吐出される。これにより、リン酸、硫酸、および水の混合液がスピンチャック2に保持された基板Wに供給される。
【0033】
図2は、本発明の第1実施形態に係る基板処理装置1によって基板Wを処理する第1処理例について説明するための工程図である。以下では、シリコン窒化膜(Si膜)およびシリコン酸化膜(SiO膜)が形成された基板Wに、エッチング液としての、リン酸、硫酸、および水の混合液を供給して、シリコン窒化膜を選択的に除去するときの処理例について説明する。また、以下では、図1および図2を参照する。
【0034】
未処理の基板Wは、図示しない搬送ロボットによって搬送され、デバイス形成面である表面をたとえば上に向けてスピンチャック2上に載置される。そして、制御部5は、スピンチャック2を制御して、基板Wを保持させる。その後、制御部5は、スピンモータ7を制御して、スピンチャック2に保持された基板Wを回転させる。
次に、エッチング液としての、リン酸、硫酸、および水の混合液を基板Wに供給するエッチング処理が行われる(ステップS1)。具体的には、制御部5は、第1ポンプ18および第2ポンプ26を駆動させた状態で、第1供給バルブ20および第2供給バルブ28を開き、第1戻りバルブ23を閉じることにより、硫酸水溶液とリン酸水溶液とを第1供給配管16に供給させる。これにより、硫酸水溶液とリン酸水溶液とが第1供給配管16内で混合され、リン酸、硫酸、および水の混合液が生成される。したがって、リン酸、硫酸、および水の混合液が第1ノズル14からスピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に向けて吐出される。
【0035】
第1ノズル14から吐出されたリン酸、硫酸、および水の混合液は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に広がる。これにより、リン酸、硫酸、および水の混合液が基板Wの上面全域に供給され、基板Wの上面がエッチングされる(エッチング処理)。すなわち、シリコン窒化膜が基板Wから選択的に除去される。そして、エッチング処理が所定時間にわたって行われると、制御部5は、第1供給バルブ20および第2供給バルブ28を閉じて、第1ノズル14からの混合液の吐出を停止させる。
【0036】
次に、リンス液の一例である純水を基板Wに供給する第1リンス処理が行われる(ステップS2)。具体的には、制御部5は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、リンス液バルブ13を開いて、リンス液ノズル11から基板Wの上面中央部に向けてリンス液を吐出させる。リンス液ノズル11から吐出されたリンス液は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に広がる。これにより、基板Wの上面全域にリンス液が供給され、基板Wの上面に付着している混合液(リン酸、硫酸、および水の混合液)が純水によって洗い流される(第1リンス処理)。そして、第1リンス処理が所定時間にわたって行われると、制御部5は、リンス液バルブ13を閉じて純水の吐出を停止させる。
【0037】
次に、薬液の一例であるSC1(アンモニア水と過酸化水素水の混合液)を基板Wに供給する洗浄処理が行われる(ステップS3)。具体的には、制御部5は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、薬液バルブ10を開いて、薬液ノズル8から基板Wの上面中央部に向けてSC1を吐出させる。薬液ノズル8から吐出されたSC1は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に広がる。これにより、基板Wの上面全域にSC1が供給され、基板WがSC1によって処理される(洗浄処理)。そして、洗浄処理が所定時間にわたって行われると、制御部5は、薬液バルブ10を閉じて薬液ノズル8からのSC1の吐出を停止させる。
【0038】
次に、リンス液の一例である純水を基板Wに供給する第2リンス処理が行われる(ステップS4)。具体的には、制御部5は、スピンチャック2によって基板Wを回転させながら、リンス液バルブ13を開いて、リンス液ノズル11から基板Wの上面中央部に向けてリンス液を吐出させる。リンス液ノズル11から吐出されたリンス液は、基板Wの上面中央部に供給され、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面に沿って外方に広がる。これにより、基板Wの上面全域にリンス液が供給され、基板Wの上面に付着しているSC1が純水によって洗い流される(第2リンス処理)。そして、第2リンス処理が所定時間にわたって行われると、制御部5は、リンス液バルブ13を閉じて純水の吐出を停止させる。
【0039】
次に、基板Wを乾燥させる乾燥処理(スピンドライ)が行われる(ステップS5)。具体的には、制御部5は、スピンモータ7を制御して、基板Wを高回転速度(たとえば数千rpm)で回転させる。これにより、基板Wに付着している純水に大きな遠心力が作用し、当該純水が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wから純水が除去され、基板Wが乾燥する(乾燥処理)。そして、乾燥処理が所定時間にわたって行われた後は、制御部5は、スピンモータ7を制御して、スピンチャック2による基板Wの回転を停止させる。その後、処理済みの基板Wが搬送ロボットによってスピンチャック2から搬出される。
【0040】
図3は、リン酸水溶液におけるリン酸の濃度およびリン酸水溶液の温度とシリコン窒化膜のエッチングレートとの関係を示すグラフである。図3では、温度が150℃、160℃、170℃のリン酸水溶液を用いてシリコン窒化膜をエッチングしたときのエッチングレートを実線で示している。また、図3では、リン酸水溶液の沸点(沸騰点)を破線で示している。
【0041】
図3に示すように、リン酸の濃度が一定であれば、リン酸水溶液の温度が170℃のときのエッチングレートが最も高く、リン酸水溶液の温度が160℃のときのエッチングレートが二番目に高い。したがって、リン酸の濃度が一定であれば、リン酸水溶液の温度が高いほどエッチングレートが高い。リン酸水溶液の最高温度は沸点である。すなわち、沸点付近のリン酸水溶液をシリコン窒化膜に供給することにより、その濃度において最も高いエッチングレートを得ることができる。
【0042】
一方、リン酸水溶液の温度が150℃のとき、エッチングレートは、リン酸の濃度の増加に伴って減少する。リン酸水溶液の温度が160℃および170℃のときについても同様に、エッチングレートは、リン酸の濃度の増加に伴って減少する。したがって、リン酸水溶液の温度が一定であれば、リン酸の濃度が低いほどエッチングレートが大きい。すなわち、図3に示すように、液温が沸点付近のときの濃度のリン酸水溶液をシリコン窒化膜に供給することにより、その液温において最も高いエッチングレートを得ることができる。
【0043】
このように、リン酸の濃度が一定の場合、およびリン酸水溶液の温度が一定の場合のいずれの場合においても、沸点付近のリン酸水溶液をシリコン窒化膜に供給することにより、最も高いエッチングレートを得ることができる。さらに、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜が形成された基板Wにリン酸水溶液を供給して、シリコン窒化膜を選択的に除去する場合、沸点付近のリン酸水溶液を基板Wに供給することにより、最も高い選択比を得ることができる。したがって、沸点付近のリン酸水溶液を含む処理液を基板Wに供給することにより、シリコン窒化膜を効率的に除去することができる。
【0044】
前述のように、第1実施形態では、室温のリン酸水溶液と、このリン酸水溶液の沸点よりも高い温度を有する高温の硫酸水溶液とを第1供給配管16内で混合することにより、リン酸、硫酸、および水の混合液を生成する。硫酸水溶液と混合されたリン酸水溶液は、硫酸水溶液の熱によって加熱される。さらに、リン酸水溶液と硫酸水溶液とが混合されることにより、希釈熱が発生するから、硫酸水溶液と混合されたリン酸水溶液は、硫酸水溶液の熱だけでなく、希釈熱によっても加熱される。これにより、混合液に含まれるリン酸水溶液が沸点付近まで加熱され、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液が基板Wに供給される。したがって、シリコン窒化膜が形成された基板Wを処理する場合(エッチング処理する場合)に、高い選択比と、高いエッチングレートとを得ることができる。
【0045】
さらに、硫酸の沸点(290℃)は、リン酸の沸点(213℃)より高いから、リン酸水溶液と混合される硫酸水溶液の温度を、当該リン酸水溶液の沸点よりも高い温度に調節することができる。一方、リン酸水溶液と混合される処理液が、たとえば水(沸点は100℃)の場合、当該処理液が沸騰してしまうので、当該処理液の温度をリン酸水溶液の沸点以上に上昇させることができない。したがって、この処理液とリン酸水溶液と混合させても、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液を生成することができない。したがって、リン酸より沸点の高い処理液(第1実施形態では、硫酸)を含む液体と、リン酸を含む液体とを混合させることにより、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液を確実に生成することができる。また、硫酸と沸点付近のリン酸水溶液とを含む混合液を基板Wに供給することにより、さらに高い選択比を得ることができる。
【0046】
また、前述の説明では、硫酸水溶液とリン酸水溶液とが、流通経路X1の一部である第1供給配管16内で混合される場合について説明した。しかし、硫酸水溶液とリン酸水溶液とは、第1ノズル14内で混合されてもよいし、スピンチャック2に保持された基板Wと第1ノズル14との間で混合されてもよい。具体的には、図4に示すように、第2供給配管25が第1ノズル14に接続されていてもよい。また、図5に示すように、混合液供給機構4が第2ノズル30をさらに備えており、第2供給配管25が第2ノズル30に接続されていてもよい。この場合、第1ノズル14から基板Wの上面に向けて硫酸水溶液が吐出され、第2ノズル30から基板Wの上面に向けてリン酸水溶液が吐出される。したがって、硫酸水溶液とリン酸水溶液とは、基板W上で混合される。図1、図4、および図5に示す構成では、硫酸水溶液とリン酸水溶液とが、基板Wに供給される直前、または基板Wに供給されるのと同時に混合される。これにより、確実に昇温されたリン酸、硫酸、および水の混合液が基板Wに供給される。
【0047】
また、前述の説明では、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液が温度調節されていない場合について説明したが、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液が温度調節されてもよい。具体的には、図6に示すように、混合液供給機構4は、第2供給配管25に介装された第2ヒータ31と、第2タンク24と第2供給配管25とを接続する第2戻り配管32と、第2戻り配管32に介装された第2戻りバルブ33とをさらに備えていてもよい。第2戻り配管32は、第2フィルタ27と第2供給バルブ28との間において第2供給配管25に接続されている。
【0048】
第2ポンプ26が駆動されている状態で、第2供給バルブ28が閉じられ、第2戻りバルブ33が開かれると、リン酸水溶液が、第2供給配管25、第2戻り配管32、および第2タンク24を含む循環経路を循環する。これにより、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液が第2ヒータ31によって均一に加熱され、リン酸水溶液の液温が沸点以下の温度(たとえば、30℃〜160℃)に調節される。これにより、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液を沸点付近の温度に維持することができる。さらに、沸点付近のリン酸水溶液と高温の硫酸水溶液とを第1供給配管16において混合することができるから、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液を基板Wに確実に供給することができる。
【0049】
また、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液を温度調節する場合、図7に示すように、混合液供給機構4は、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液におけるリン酸の濃度を検出する第1濃度検出装置34と、第2タンク24に接続された第1純水供給配管35と、第1純水供給配管35に介装された第1純水供給バルブ36および第1純水流量調整バルブ37とをさらに備えていてもよい。第1純水供給配管35は、たとえば、基板処理装置1の設置場所に設けられた純水供給源に接続されている。第1純水供給バルブ36が開かれると、第1純水流量調整バルブ37の開度に対応する流量で、第1純水供給配管35から第2タンク24に純水が供給される。これにより、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液が薄められ、リン酸の濃度が低下する。第1純水供給配管35から第2タンク24に供給される純水は、室温の純水であってもよいし、たとえば30℃〜90℃の範囲で温度調節された純水(温水)であってもよい。
【0050】
第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液を温度調節する場合、リン酸水溶液に含まれる水分の蒸発によってリン酸の濃度が上昇する場合がある。したがって、第1濃度検出装置34によって第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液におけるリン酸の濃度を検出し、リン酸の濃度が上昇した場合に、第1純水供給配管35から第2タンク24に純水を供給することにより、リン酸の濃度を安定させることができる。これにより、基板Wに供給される混合液(リン酸、硫酸、および水の混合液)におけるリン酸の濃度を安定させることができる。さらに、リン酸水溶液の温度とリン酸の濃度とを制御することにより、第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液を確実に沸点付近の温度に維持することができる。
【0051】
図8は、本発明の第2実施形態に係る基板処理装置201の概略構成を示す模式図である。この図8において、前述の図1〜図7に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、処理液の流通経路X1において、硫酸水溶液およびリン酸水溶液に純水が混合されることである。
【0052】
具体的には、基板処理装置201に備えられた混合液供給機構204(混合液供給手段)は、純水供給源に接続された第2純水供給配管238(水供給配管)と、第2純水供給配管238に介装された第2純水供給バルブ239および第2純水流量調整バルブ240(流量調整手段)と、リン酸、硫酸、および水の混合液の温度を第1ノズル14内で検出する温度検出装置241(温度検出手段)とを含む。
【0053】
第2純水供給配管238は、第1ノズル14の近傍において第1供給配管16に接続されている。第2純水供給バルブ239の開閉は、制御部5によって制御される。また、第2純水流量調整バルブ240の開度は、温度検出装置241の出力に基づいて制御部5によって調整される。第2純水供給バルブ239が開かれることにより、第2純水流量調整バルブ240の開度に対応する流量で、第2純水供給配管238から第1供給配管16に純水が供給される。第2純水供給配管238から第1供給配管16に供給される純水は、室温の純水であってもよいし、たとえば30℃〜90℃の範囲で温度調節された純水(温水)であってもよい。
【0054】
制御部5は、第1ポンプ18および第2ポンプ26を駆動させた状態で、第1供給バルブ20、第2供給バルブ28、および第2純水供給バルブ239を開き、第1戻りバルブ23を閉じる。これにより、硫酸水溶液とリン酸水溶液と純水とが第1供給配管16に供給される。したがって、純水が、第1供給配管16において硫酸水溶液およびリン酸水溶液に混合される。第2タンク24に貯留されたリン酸水溶液におけるリン酸の濃度が高い場合、リン酸水溶液に含まれる水が少ない。したがって、この場合、硫酸水溶液とリン酸水溶液との混合により発生する希釈熱が小さい。よって、第1供給配管16に純水を供給することにより、第1供給配管16内において硫酸水溶液を十分に希釈させて、大きな希釈熱を得ることができる。
【0055】
また、制御部5は、温度検出装置241の出力に基づいて第2純水流量調整バルブ240の開度を制御する。これにより、第1供給配管16に供給される純水の流量が調整される。制御部5は、第1供給配管16に供給される純水の流量を増加させることにより、希釈熱を増加させることができる。一方、制御部5は、第1供給配管16に供給される純水の流量を減少させることにより、希釈熱を減少させることができる。したがって、制御部5が第2純水流量調整バルブ240の開度を調整することにより、リン酸、硫酸、および水の混合液の温度が調節される。これにより、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液を確実に基板Wに供給することができる。
【0056】
なお、前述の説明では、第2純水供給配管238から第1供給配管16に純水が供給される場合について説明したが、炭酸水、水素水、希釈濃度(たとえば、10〜100ppm程度)の塩酸水などの水を含む液体が、第2純水供給配管238から第1供給配管16に供給されてもよい。
また、前述の説明では、第2純水供給配管238が第1供給配管16に接続されている場合について説明したが、第2純水供給配管238は、第2供給配管25に接続されていてもよいし、第1ノズル14に接続されていてもよい。また、図示はしないが、混合液供給機構204が純水ノズルを備えており、第2純水供給配管238が純水ノズルに接続されていてもよい。この場合、純水ノズルから吐出された純水は、基板W上で硫酸水溶液およびリン酸水溶液に混合される。
【0057】
さらに、前述の説明では、温度検出装置241が、リン酸、硫酸、および水の混合液の温度を第1ノズル14内で検出する場合について説明したが、温度検出装置241は、第1供給配管16内で混合液の温度を検出してもよいし、第1ノズル14とスピンチャック2に保持された基板Wとの間で混合液の温度を検出してもよい。
図9は、本発明の第3実施形態に係る基板処理装置301の概略構成を示す模式図である。この図9において、前述の図1〜図8に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0058】
この第3実施形態と前述の第2実施形態との主要な相違点は、リン酸、硫酸、および水の混合液が第1タンク315に貯留されており、第2タンク24およびこれに関連する構成が設けられていないことである。
具体的には、基板処理装置301に備えられた混合液供給機構304(混合液供給手段)は、スピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に向けて処理液を吐出する第1ノズル14と、リン酸、硫酸、および水の混合液が貯留された第1タンク315(混合液タンク)と、第1ノズル14と第1タンク315とを接続する第1供給配管16と、第1供給配管16に介装された第1ヒータ17、第1ポンプ18、第1フィルタ19、第1供給バルブ20、および第1流量調整バルブ21と、第1タンク315と第1供給配管16とを接続する第1戻り配管22と、第1戻り配管22に介装された第1戻りバルブ23とを含む。
【0059】
第1タンク315に貯留された混合液(リン酸、硫酸、および水の混合液)は、たとえば、当該混合液の沸点付近の温度に維持されている。第1タンク315に貯留された混合液は、第1供給配管16において、第2純水供給配管238から第1供給配管16に供給された純水と混合される。これにより、混合液に含まれる硫酸が希釈され、希釈熱が発生する。したがって、混合液の熱が第1供給配管16や第1ノズル14によって奪われたとしても、この希釈熱によって当該混合液の温度低下が抑制または防止される。これにより、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液がスピンチャック2に保持された基板Wに供給される。また、リン酸、硫酸、および水が、第1タンク315内で予め混合されているから、均一に混合された混合液を基板Wに供給することができる。これにより、処理の均一性を向上させることができる。
【0060】
また、混合液供給機構304は、第1タンク315に貯留された混合液におけるリン酸の濃度を検出する第3濃度検出装置342と、第1タンク315に接続された第3純水供給配管343と、第3純水供給配管343に介装された第3純水供給バルブ344および第3純水流量調整バルブ345とをさらに含む。第3純水供給配管343は、たとえば、基板処理装置301の設置場所に設けられた純水供給源に接続されている。第3純水供給バルブ344が開かれると、第3純水流量調整バルブ345の開度に対応する流量で、第3純水供給配管343から第1タンク315に純水が供給される。第3純水供給配管343から第1タンク315に供給される純水は、室温の純水であってもよいし、たとえば30℃〜90℃の範囲で温度調節された純水(温水)であってもよい。第3純水供給配管343から第1タンク315に純水が供給されることにより、リン酸、硫酸、および水の混合液におけるリン酸の濃度が制御される。すなわち、混合液の温度と混合液におけるリン酸の濃度とを制御することができるから、第1タンク315に貯留された混合液を確実に沸点付近の温度に維持することができる。
【0061】
図10は、本発明の第4実施形態に係る基板処理装置401の概略構成を示す模式図である。この図10において、前述の図1〜図9に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
この第4実施形態と前述の第3実施形態との主要な相違点は、基板Wに供給された混合液(リン酸、硫酸、および水の混合液)が回収され、再利用されることである。
【0062】
具体的には、基板処理装置401は、スピンチャック2に保持された基板Wに供給された処理液を回収して、この回収された処理液を第1タンク315に供給する回収機構446(回収手段)をさらに含む。回収機構446は、スピンベース6の周囲を取り囲むカップ447と、カップ447に接続された排液配管448と、排液配管448に介装された排液バルブ449とを含む。さらに、回収機構446は、排液配管448に接続された第1回収配管450と、第1回収配管450に介装された第1回収バルブ451と、第1回収配管450に接続された水分蒸発ユニット452と、水分蒸発ユニット452と第1タンク315とを接続する第2回収配管453と、第2回収配管453に介装された回収ポンプ454および第2回収バルブ455とを含む。
【0063】
基板Wの周囲に排出された処理液は、カップ447によって受け止められる。そして、カップ447により捕獲された処理液は、排液配管448に排出される。第1回収配管450は、排液バルブ449よりも上流側(カップ447側)において排液配管448に接続されている。したがって、排液バルブ449が閉じられており、第1回収バルブ451が開かれている状態では、カップ447によって捕獲された処理液が、排液配管448を介して第1回収配管450に供給される。一方、排液バルブ449が開かれており、第1回収バルブ451が閉じられている状態では、カップ447によって捕獲された処理液が、排液配管448を介して図示しない廃液装置に排出される。
【0064】
制御部5は、基板Wに供給された混合液(リン酸、硫酸、および水の混合液)が第1回収配管450に回収されるように排液バルブ449および第1回収バルブ451の開閉を制御する。制御部5は、基板Wに供給された全ての混合液を第1回収配管450に回収させてもよいし、基板Wに供給された混合液の一部を第1回収配管450に回収させてもよい。第4実施形態では、制御部5は、排液バルブ449および第1回収バルブ451の開閉を制御することにより、基板Wに供給された混合液の一部を第1回収配管450に回収させ、残りの混合液を廃液させる。
【0065】
また、水分蒸発ユニット452は、リン酸、硫酸、および水の混合液が貯留された回収タンク456と、回収タンク456に貯留された混合液を加熱する回収ヒータ457とを含む。第1回収配管450に回収された混合液は、回収タンク456に供給される。また、回収タンク456に貯留された混合液は、第2回収バルブ455が開かれた状態で回収ポンプ454が駆動されることにより、第2回収配管453から第1タンク315に供給される。そして、第2回収配管453から第1タンク315に供給された混合液は、流通経路X1を経て、再びスピンチャック2に保持された基板Wに供給される。
【0066】
第1タンク315に貯留された混合液は、流通経路X1において純水と混合された後に基板Wに供給される。したがって、第1回収配管450に回収された混合液の水分濃度は、第1タンク315に貯留された混合液の水分濃度よりも高い。回収タンク456に貯留された混合液に含まれる水は、回収ヒータ457によって加熱されることにより蒸発する。これにより、混合液における水分濃度が調節される。したがって、水分濃度が調節された混合液が回収タンク456から第1タンク315に供給される。これにより、第1タンク315に貯留された混合液におけるリン酸の濃度の変動が抑制される。そのため、安定したリン酸の濃度を有する混合液が、スピンチャック2に保持された基板Wに供給される。
【0067】
以上のように第4実施形態では、基板Wに供給されたリン酸、硫酸、および水の混合液が、回収機構446によって回収される。そして、この回収された混合液が、第1タンク315に供給される。したがって、回収された混合液が再び基板Wに供給され、再利用される。これにより、混合液の消費量が低減される。また、シリコン窒化膜が形成された基板Wをリン酸、硫酸、および水の混合液によって処理する場合(エッチング処理する場合)、回収された混合液には、シロキサンが含まれている。したがって、この場合、第1タンク315に貯留されたリン酸、硫酸、および水の混合液に予めシロキサンを含有させなくても、シロキサンを含む混合液が、基板Wに供給される。これにより、エッチング処理における選択比を向上させることができる。
【0068】
図11は、本発明の第5実施形態に係る基板処理装置501の概略構成を示す模式図である。この図11において、前述の図1〜図10に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
この第5実施形態と前述の第4実施形態との主要な相違点は、回収されたリン酸、硫酸、および水の混合液に、未使用の硫酸水溶液およびリン酸水溶液が混合されることである。
【0069】
具体的には、基板処理装置501に備えられた混合液供給機構504(混合液供給手段)は、流通経路X1に硫酸水溶液を供給する硫酸供給機構558(硫酸供給手段)を含む。硫酸供給機構558は、硫酸水溶液が貯留された硫酸タンク559と、第1供給配管16と硫酸タンク559とを接続する硫酸供給配管560と、硫酸供給配管560に介装された硫酸ヒータ561、硫酸ポンプ562、硫酸フィルタ563、硫酸供給バルブ564、および硫酸流量調整バルブ565と、硫酸タンク559と硫酸供給配管560とを接続する硫酸戻り配管566と、硫酸戻り配管566に介装された硫酸戻りバルブ567とを含む。
【0070】
さらに、混合液供給機構504は、流通経路X1にリン酸水溶液を供給するリン酸供給機構568(リン酸供給手段)を含む。リン酸供給機構568は、リン酸水溶液が貯留されたリン酸タンク569と、第1供給配管16とリン酸タンク569とを接続するリン酸供給配管570と、リン酸供給配管570に介装されたリン酸ヒータ571、リン酸ポンプ572、リン酸フィルタ573、リン酸供給バルブ574、およびリン酸流量調整バルブ575と、リン酸タンク569とリン酸供給配管570とを接続するリン酸戻り配管576と、リン酸戻り配管576に介装されたリン酸戻りバルブ577とを含む。
【0071】
硫酸供給配管560の一端部は、硫酸タンク559に接続されており、硫酸供給配管560の他端部は、第1供給配管16に接続されている。硫酸ヒータ561、硫酸ポンプ562、硫酸フィルタ563、硫酸供給バルブ564、および硫酸流量調整バルブ565は、硫酸タンク559側からこの順番で、硫酸供給配管560に介装されている。また、硫酸戻り配管566は、硫酸フィルタ563と硫酸供給バルブ564との間において硫酸供給配管560に接続されている。硫酸タンク559に貯留された硫酸水溶液は、硫酸ポンプ562の吸引力によって硫酸供給配管560に供給される。また、硫酸ポンプ562によって硫酸タンク559から汲み出された硫酸水溶液は、硫酸ヒータ561によって加熱される。さらに、硫酸ポンプ562によって汲み出された硫酸水溶液は、硫酸フィルタ563によってろ過される。これにより、硫酸水溶液に含まれる異物が除去される。
【0072】
硫酸ポンプ562が駆動された状態で、硫酸供給バルブ564が開かれ、硫酸戻りバルブ567が閉じられると、硫酸タンク559から汲み出された硫酸水溶液が、硫酸供給配管560を介して第1供給配管16に供給される。一方、硫酸ポンプ562が駆動された状態で、硫酸供給バルブ564が閉じられ、硫酸戻りバルブ567が開かれると、硫酸タンク559から汲み出された硫酸水溶液が、硫酸供給配管560および硫酸戻り配管566を介して硫酸タンク559に戻る。したがって、硫酸水溶液が、硫酸供給配管560、硫酸戻り配管566、および硫酸タンク559を含む循環経路を循環する。これにより、硫酸タンク559に貯留された硫酸水溶液が硫酸ヒータ561によって均一に加熱され、硫酸水溶液の液温が、たとえば60℃〜190℃の範囲で調節される。
【0073】
同様に、リン酸供給配管570の一端部は、リン酸タンク569に接続されており、リン酸供給配管570の他端部は、第1供給配管16に接続されている。リン酸ヒータ571、リン酸ポンプ572、リン酸フィルタ573、リン酸供給バルブ574、およびリン酸流量調整バルブ575は、リン酸タンク569側からこの順番で、リン酸供給配管570に介装されている。また、リン酸戻り配管576は、リン酸フィルタ573とリン酸供給バルブ574との間においてリン酸供給配管570に接続されている。リン酸タンク569に貯留されたリン酸水溶液は、リン酸ポンプ572の吸引力によってリン酸供給配管570に供給される。また、リン酸ポンプ572によってリン酸タンク569から汲み出されたリン酸水溶液は、リン酸ヒータ571によって加熱される。さらに、リン酸ポンプ572によって汲み出されたリン酸水溶液は、リン酸フィルタ573によってろ過される。これにより、リン酸水溶液に含まれる異物が除去される。
【0074】
リン酸ポンプ572が駆動された状態で、リン酸供給バルブ574が開かれ、リン酸戻りバルブ577が閉じられると、リン酸タンク569から汲み出されたリン酸水溶液が、リン酸供給配管570を介して第1供給配管16に供給される。一方、リン酸ポンプ572が駆動された状態で、リン酸供給バルブ574が閉じられ、リン酸戻りバルブ577が開かれると、リン酸タンク569から汲み出されたリン酸水溶液が、リン酸供給配管570およびリン酸戻り配管576を介してリン酸タンク569に戻る。したがって、リン酸水溶液が、リン酸供給配管570、リン酸戻り配管576、およびリン酸タンク569を含む循環経路を循環する。これにより、リン酸タンク569に貯留されたリン酸水溶液がリン酸ヒータ571によって均一に加熱され、リン酸水溶液の液温が、たとえば30℃〜160℃の範囲で調節される。
【0075】
第1タンク315に貯留された混合液は、第1流量調整バルブ21の開度に対応する流量で第1供給配管16に供給される。また、硫酸タンク559に貯留された硫酸水溶液は、硫酸流量調整バルブ565の開度に対応する流量で第1供給配管16に供給される。また、リン酸タンク569に貯留されたリン酸水溶液は、リン酸流量調整バルブ575の開度に対応する流量で第1供給配管16に供給される。さらに、第2純水供給配管238を流れる純水は、第2純水流量調整バルブ240の開度に対応する流量で第1供給配管16に供給される。これにより、混合液、硫酸水溶液、リン酸水溶液、および純水が第1供給配管16内で混合される。
【0076】
第1タンク315に貯留された混合液には、基板Wの処理に用いられた混合液(シロキサンを含む混合液)が含まれている。一方、硫酸タンク559およびリン酸タンク569に貯留された硫酸水溶液およびリン酸水溶液や、第2純水供給配管238から第1供給配管16に供給される純水は、未使用の処理液(新液)である。したがって、第1タンク315から第1供給配管16に供給された混合液は、硫酸水溶液、リン酸水溶液、および純水によって薄められる。そのため、シロキサンの濃度の上昇が抑制される。これにより、シロキサンの濃度が高い混合液(シロキサンを含むリン酸、硫酸、および水の混合液)が基板Wに供給されることが抑制または防止される。したがって、混合液から析出したシリコンを含む化合物が、基板Wに付着することを抑制または防止することができる。
【0077】
なお、前述の説明では、硫酸供給配管560およびリン酸供給配管570が、第1供給配管16に接続されており、硫酸タンク559に貯留された硫酸水溶液と、リン酸タンク569に貯留されたリン酸水溶液とが、第1供給配管16に供給される場合について説明した。しかし、硫酸供給配管560およびリン酸供給配管570が、第1タンク315に接続されており、硫酸タンク559に貯留された硫酸水溶液と、リン酸タンク569に貯留されたリン酸水溶液とが、第1タンク315に供給されてもよい。
【0078】
この発明の実施の形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1〜第5実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の第1〜第5実施形態では、第1ノズル14から吐出された処理液が、スピンチャック2に保持された基板Wの上面中央部に供給される場合について説明したが、第1ノズル14から処理液を吐出させながら、第1ノズル14を移動させることにより、第1ノズル14から基板Wへの処理液の供給位置を基板Wの上面中央部と上面周縁部との間で移動させてもよい。
【0079】
また、前述の第1〜第5実施形態では、第1タンク15、315に貯留された処理液を第1ポンプ17によって吸引することにより、当該処理液を第1供給配管16に供給する場合について説明したが、第1タンク15、315内に気体を供給して、第1タンク15、315内の気圧を上昇させることにより、第1タンク15、315に貯留された処理液を第1供給配管16に供給してもよい。他のタンクに貯留された処理液を配管に供給する場合についても同様である。
【0080】
また、前述の第1処理例では、第1リンス処理が行われた後に、洗浄処理および第2リンス処理が行われる場合について説明したが、第1リンス処理が行われた後、洗浄処理および第2リンス処理が行われずに、乾燥処理が行われてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 基板処理装置
2 スピンチャック(基板保持手段)
4 混合液供給機構(混合液供給手段)
5 制御部(流量制御手段)
14 第1ノズル
15 第1タンク
16 第1供給配管
201 基板処理装置
204 混合液供給機構(混合液供給手段)
238 第2純水供給配管(水供給配管)
240 第2純水流量調整バルブ(流量調整手段)
241 温度検出装置(温度検出手段)
301 基板処理装置
304 混合液供給機構(混合液供給手段)
315 第1タンク(混合液タンク)
401 基板処理装置
446 回収機構(回収手段)
501 基板処理装置
504 混合液供給機構(混合液供給手段)
568 リン酸供給機構(リン酸供給手段)
558 硫酸供給機構(硫酸供給手段)
W 基板
X1 流通経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸、硫酸、および水の混合液によって基板を処理する基板処理装置であって、
基板を保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に保持された基板に供給される処理液が貯留された第1タンクと、前記第1タンクから前記基板保持手段に保持された基板に至る処理液の流通経路とを有し、前記流通経路にリン酸、硫酸、および水を供給することにより、前記流通経路において硫酸を含む液体と水を含む液体とを混合させて、リン酸、硫酸、および水の混合液の温度を上昇させ、沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液を前記基板に供給する混合液供給手段と、を含む、基板処理装置。
【請求項2】
前記混合液供給手段は、前記基板保持手段に保持された基板に向けて処理液を吐出する第1ノズルと、前記第1タンクから前記第1ノズルに供給される処理液が流通する第1供給配管とをさらに含み、
前記流通経路は、前記第1供給配管の内部と、前記第1ノズルの内部と、前記第1ノズルと前記基板保持手段に保持された基板との間と、を含む、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1タンクは、リン酸、硫酸、および水のうちの少なくとも2つを含む混合液を貯留している、請求項1または2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記混合液供給手段は、前記流通経路に供給される、水を含む液体が流通する水供給配管と、前記水供給配管内を流れる液体の流量を調整する流量調整手段と、前記流通経路においてリン酸、硫酸、および水の混合液の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段からの出力に基づいて前記流量調整手段を制御する流量制御手段と、を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第1タンクは、リン酸、硫酸、および水の混合液が貯留された混合液タンクを含み、
前記基板処理装置は、前記基板保持手段に保持された基板に供給されたリン酸、硫酸、および水の混合液を回収して、この回収された混合液を前記混合液タンクに供給する回収手段をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記混合液供給手段は、前記混合液タンクおよび流通経路の少なくとも一方にリン酸を含む液体を供給するリン酸供給手段と、前記混合液タンクおよび流通経路の少なくとも一方に硫酸を含む液体を供給する硫酸供給手段と、さらに含む、請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
リン酸、硫酸、および水の混合液によって基板を処理する基板処理方法であって、
基板に供給される処理液が貯留された第1タンクから基板に至る処理液の流通経路に、リン酸、硫酸、および水を供給することにより、前記流通経路において硫酸を含む液体と水を含む液体とを混合させて、リン酸、硫酸、および水の混合液の温度を上昇させる昇温工程と、
前記昇温工程において生成された沸点付近のリン酸水溶液を含む混合液を基板に供給する混合液供給工程と、を含む、基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−74601(P2012−74601A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219370(P2010−219370)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】