説明

基板処理装置

【課題】液面の盛り上がり位置をずらすことにより、基板に乾燥不良が生じることを防止することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板Wを内槽7から上昇させる際に、噴射ノズル33から水平方向にドライエアdaを噴射させるとともに、エアシリンダ55により内槽7の上部側壁の高さを乾燥時高さにする。これにより、純水は、内槽7の上縁にてせき止められることなく第2の外槽49に流れ込む。第2の外槽49の幅は、噴射ノズル33の上流側にあたる第1の外槽47の幅よりも広くされているので、内槽7から離れた位置に純水の盛り上がりが生じる。したがって、引き上げられてゆく基板Wの部位にかかわらず乾燥具合を均一にできる。その上、ドライエアdaの噴射によって純水が飛散するのを防止できるので、飛沫に起因する乾燥不良も防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示装置用のガラス基板(以下、単に基板と称する)等の基板を処理液によって処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、処理液を貯留し、基板を処理液に浸漬させて処理する内槽及び内槽から溢れた処理液を回収する外槽を有する処理槽と、基板を起立姿勢で保持するとともに、処理槽内と処理槽の上方にわたって昇降する保持機構と、処理槽の上方に配備され、水平方向に乾燥気体を供給するためのノズルとを備えた基板処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように構成された装置では、内槽の底部から処理液を供給しつつ内槽での基板に対する処理を終えた後、保持機構を上昇させる際に、内槽の処理液を外槽に溢れさせながらノズルから乾燥気体を供給し、処理液の液面から露出した基板部位を順次に乾燥させる引き上げ乾燥を行う。
【特許文献1】特開平11−354486号(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、ノズルから乾燥気体を噴出させた際に、内槽内の液面が下流側に押しやられ、内槽の上縁にてせき止められるようにして、内槽の液面のうちノズルの下流側にあたる部分が盛り上がる現象(およそ1〜2mm)が生じる。すると、内槽の処理液から引き上げられて露出してゆく基板の、ノズルの下流側にあたる部分と、それより上流側にあたる部分とにおいて乾燥具合に差異が生じるという問題がある。詳細には、基板の、ノズルの下流側にあたる部分は、処理液に触れている時間が長くなり、上昇させつつ乾燥させている関係上、短時間で充分に乾燥させることができず乾燥不良が生じやすい。また、乾燥気体の噴射によって液面から飛沫が飛散するが、液面が盛り上がっているノズルの下流側においては、飛沫が多く飛散する。したがって、処理液の飛沫に起因する乾燥不良が生じやすい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、液面の盛り上がり位置をずらすことにより、基板に乾燥不良が生じることを防止することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板を処理液で処理する基板処理装置において、処理液を貯留する内槽と、前記内槽の上部にて、水平方向に乾燥気体を噴射する噴射手段と、前記噴射手段の下流側の幅を上流側よりも広く形成され、前記内槽から溢れる処理液を回収する外槽と、基板を支持し、前記内槽の内部にあたる処理位置とその上方にあたる待機位置とにわたって昇降する支持手段と、前記噴射手段の下流側にあたる前記内槽の上部側壁の高さを、処理時高さと、処理時高さよりも低い乾燥時高さとで調整する調整手段と、前記支持手段によって基板を上昇させる際に、前記噴射手段から乾燥気体を噴射させるとともに、前記調整手段により前記内槽の上部側壁の高さを乾燥時高さにする制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0007】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、制御手段は、支持手段によって基板を内槽から上昇させる際に、噴射手段から水平方向に乾燥気体を噴射させるとともに、調整手段により内槽の上部側壁の高さを乾燥時高さにする。したがって、乾燥気体により下流側に押しやられていた処理液が、内槽の上縁にてせき止められることなく外槽に流れ込む。さらに、外槽の、噴射手段の下流側の幅は、噴射手段の上流側の幅よりも広くされているので、内槽から離れた位置に処理液の盛り上がりが生じる。その結果、内槽の処理液の液面は、ほぼ水平な面を形成するので、引き上げられてゆく基板の部位にかかわらず乾燥具合を均一にできる。その上、乾燥気体の噴射によって処理液が飛散するのを防止できるので、飛沫に起因する乾燥不良も防止することができる。
【0008】
また、本発明において、前記内槽は、前記噴射手段の下流側にあたる上部側壁が、鉛直姿勢と、外槽側への傾斜姿勢とにわたり揺動自在の可動壁を備え、前記調整手段は、前記可動壁の姿勢を調整することが好ましい(請求項2)。調整手段が可動壁の姿勢を鉛直姿勢から傾斜姿勢に変えるだけで、乾燥高さに調整することができ、構成を簡単化することができる。
【0009】
また、前記噴射手段の下流側にあたる前記外槽の幅は、基板径が300mm、純水流量が0〜30リットル/分、乾燥気体の流量が6〜10m3/分の場合、30〜70mmであることが好ましい(請求項4)。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、基板を処理液で処理する基板処理装置において、処理液を貯留する内槽と、前記内槽の上部にて、水平方向に乾燥気体を噴射する噴射手段と、前記噴射手段の下流側の幅を上流側よりも広く形成され、かつ、前記内槽の上縁よりも高い上縁を有し、前記内槽から溢れる処理液を回収する外槽と、前記外槽からの排液流量を調整する流量調整手段と、基板を支持し、前記内槽の内部にあたる処理位置とその上方にあたる待機位置とにわたって昇降する支持手段と、前記支持手段によって基板を上昇させる際に、前記流量調整手段により排液流量を少なくするとともに、前記噴射手段から乾燥気体を噴射させる制御手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
[作用・効果]請求項5に記載の発明によれば、制御手段は、支持手段によって基板を上昇させる際に、流量調整手段により排液流量を少なくするとともに噴射手段から乾燥気体を噴射させる。したがって、外槽を介して排液されていた処理液が外槽を満たし、処理液の液面が内槽から外槽にわたって一体となる。さらに、外槽の、噴射手段の下流側の幅は、上流側よりも広くされているので、内槽から離れた位置に処理液の盛り上がりが生じる。その結果、内槽の処理液の液面は、ほぼ水平な面を形成するので、引き上げられてゆく基板の部位にかかわらず乾燥具合を均一にできる。その上、乾燥気体の噴射によって処理液が飛散するのを防止できるので、飛沫に起因する乾燥不良も防止することができる。
【0012】
また、本発明において、前記外槽の上縁は、前記内槽の上縁より1〜3mm高くされていることが好ましい(請求項6)。外槽を満たした処理液が周囲に溢れるのを防止できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る基板処理装置によれば、制御手段は、支持手段によって基板を内槽から上昇させる際に、噴射手段から水平方向に乾燥気体を噴射させるとともに、調整手段により内槽の上部側壁の高さを乾燥時高さにする。したがって、乾燥気体により下流側に押しやられていた処理液が、内槽の上縁にてせき止められることなく外槽に流れ込む。さらに、外槽の、噴射手段の下流側の幅は、噴射手段の上流側の幅よりも広くされているので、内槽から離れた位置に処理液の盛り上がりが生じる。その結果、内槽の処理液の液面は、ほぼ水平な面を形成するので、引き上げられてゆく基板の部位にかかわらず乾燥具合を均一にできる。その上、乾燥気体の噴射によって処理液が飛散するのを防止できるので、飛沫に起因する乾燥不良も防止できる。
【実施例1】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。
【0015】
処理槽1は、外容器3によって周囲を覆われている。この外容器3は、開閉自在の搬入出口5を備えている。処理槽1は、処理液を貯留する内槽7と、内槽7から溢れた処理液を回収するための外槽9とを備えている。外槽9の上縁は、内槽7の上縁とほぼ同じ高さである。内槽7の底部両側には、処理液を供給するための噴出管11が一対配設され、底部には排液口13が形成されている。外容器3の底部には、処理液及び気体を排出するための排出口15が形成されている。
【0016】
噴出管11には、供給配管17の一端側が連通接続され、その他端側は、純水供給源19に連通接続されている。供給配管17には、下流側から制御弁21と、ミキシングバルブ23とが配設されている。制御弁21は、供給配管19を流通する処理液の流量を調整する機能を備え、ミキシングバルブ23は、供給配管19に種々の薬液を混合する機能を備えている。
【0017】
本発明における支持手段に相当する支持アーム25は、板状の背板27と、この背板27の下部に配設され、基板Wを起立姿勢で当接支持する支持部材29とを備えている。支持アーム25は、昇降機構31により、外容器3の上方にあたる「待機位置」と、外容器3の内部であって処理槽1の上方にあたる「乾燥位置」と、内槽7の内部にあたる「処理位置」とにわたって昇降自在に構成されている。
【0018】
処理槽1の上方であって、外容器3の一方の側壁(図1の左側壁)には、噴射ノズル33が取り付けられている。また、噴射ノズル33に対向する、外容器3の他方の側壁(図1の右側壁)には、排気口35が配設されている。噴射ノズル33には、配管37の一端側が連通接続され、その他端側が気体供給部39に連通接続されている。また、配管37には、制御弁41が取り付けられている。排気口35には、一端側が排気に連通された排気管43の一端側が連通接続されている。排気管43には、制御弁45が設けられている。気体供給部39は、例えば、ドライエアを供給する。なお、ドライエアに代えてドライ窒素などを供給する構成としてもよい。
【0019】
なお、噴射ノズル33が本発明における噴射手段に相当する。
【0020】
ここで、図2をさらに参照する。なお、図2は、処理槽の縦断面図である。
【0021】
上述した外槽9は、図1及び図2における左側の第1の外槽47と、第2の外槽49とでは、幅が異なるものとされている。具体的には、噴射ノズル33の下流側にあたる第2の外槽49は、その幅が、上流側にあたる第1の外槽47の幅よりも広く形成されている。その幅は、基板Wの径、基板Wの引き上げ時における処理液の流量、噴射ノズル33からの気体の流量などに応じて設定されている。具体的には、第1の外槽47の幅を25mmとすると、およそ30〜70mmであることが好ましい。なお、第2の外槽49の底部には、排液口48が形成され、ドレインに連通されている。
【0022】
内槽7の両上部側壁のうち、第2の外槽49にあたる側は、上部に開口部51が形成されている。この開口部51には、可動壁53が水平軸P周りに揺動自在に取り付けられている。可動壁53の外側壁面の下部には、固定レバー54が突設されている。また、第2の外槽49の下方には、エアシリンダ55が付設されている。その進退自在の作動片57は、先端部が固定レバー54に係合されている。エアシリンダ55の作動片57を伸長させた状態では、可動壁53が鉛直姿勢となって開口部51を閉塞し(図1及び図2の状態)、エアシリンダ55の作動片57を収縮させた状態では、可動壁53が外側への傾斜姿勢となって開口部51を開放する(図2中に二点鎖線で示す状態)。ここでは、可動壁53が開口部51を閉塞する位置を「処理時高さ」、可動壁53が開口部51を開放する位置を「乾燥時高さ」と称する。
【0023】
なお、上記のエアシリンダ55が本発明における調整手段に相当する。
【0024】
上述した制御弁21の流量調整、支持アーム25の昇降、気体供給部39による供給、制御弁41の開閉、制御弁45の開閉、エアシリンダ55の駆動などは、本発明における制御手段に相当する制御部59によって統括的に制御される。制御部59は、CPUやメモリなどを備えている。
【0025】
次に、図3及び図4を参照して、上述した装置の動作について説明する。なお、図3は処理液による処理時の説明図であり、図4は引き上げ乾燥時の説明図である。
【0026】
以下では、処理液として純水を供給した状態において基板Wの洗浄処理を行った後、基板Wを引き上げつつ乾燥処理を行う場合を例に採って説明する。なお、支持アーム25は、既に処理位置にあり、可動壁53は、処理高さにあるものとする。
【0027】
制御部59は、制御弁21を開放して、所定流量で内槽7に処理液として純水を供給し、処理位置にある基板Wを純水により洗浄する。内槽7に供給された純水は、外槽9にて回収されて排液される。この処理を所定時間だけ行うことにより、基板Wに対する洗浄が完了する(図3)。
【0028】
次いで、制御部59は、エアシリンダ55を作動させ、処理時高さにある可動壁53を乾燥時高さに移動させる。これにより、内槽7の開口部51が開放され、第2の外槽49と内槽7の液面の高さが一致される(図3)。さらに、制御部59は、支持アーム25を処理位置から乾燥位置にまで所定の速度で上昇を開始させる。これとともに、制御弁41を開放して、所定流量でドライエアdaを噴射ノズル33から水平方向に噴射させる。噴射されたドライエアdaは、内槽7の液面上方を通過しつつ基板Wを乾燥させ、排気口35を通して排気される。ドライエアdaは、噴射ノズル33から噴射されるとともに、徐々に拡がりつつ排気口35に到達する。したがって、一部が内槽7の液面を排気口35側へ押しやり、液面が盛り上がる現象が生じる。これにより生じた液面の盛り上がりmaは、第2の外槽49に押しやられることになる。この状態で、支持アーム25を乾燥高さまで所定の速度で上昇させて基板Wを乾燥させる。なお、従来装置であれば、内槽7の右上縁でせき止められ、液面の盛り上がり(ma)が内槽7の右側に発生する。
【0029】
上述したように、制御部59は、支持アーム25によって基板Wを内槽7から上昇させる際に、噴射ノズル33から水平方向にドライエアdaを噴射させるとともに、エアシリンダ55により内槽7の上部側壁の高さを乾燥時高さにする。したがって、ドライエアdaにより下流側に押しやられていた純水が、内槽7の上縁にてせき止められることなく第2の外槽49に流れ込む。さらに、第2の外槽49の幅は、噴射ノズル33の上流側にあたる第1の外槽47の幅よりも広くされているので、内槽7から離れた位置に純水の盛り上がりが生じる。その結果、内槽7の純水の液面は、ほぼ水平な面を形成するので、引き上げられてゆく基板Wの部位にかかわらず乾燥具合を均一にできる。その上、ドライエアdaの噴射によって純水が飛散するのを防止できるので、飛沫に起因する乾燥不良も防止できる。
【実施例2】
【0030】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。
図5は、実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。なお、上述した実施例1と同様の構成については、同符号を付して詳細な説明については省略する。
【0031】
本実施例2は、処理槽1Aの構成が上記実施例1とは大きく相違する。
すなわち、処理槽1Aは、内槽7Aと、外槽9Aとを備えている。噴射ノズル33側には、第1の外槽47Aが、排気口35側には、第2の外槽49Aが配設されている。第2の外槽49Aは、第1の外槽47Aの幅よりも広く構成されている。その広さは、上述した実施例1と同様である。また、外槽9Aは、その上縁が、内槽7Aの上縁よりも高く構成されている。その高さは、1〜3mm程度が好ましい。さらに、第2の外槽49Aの排液口48には、排液管61が連通接続され、ここには流量が調整可能な制御弁63が配設されている。制御部47Aは、流量調整弁21の流量調整、支持アーム25の昇降などに加え、制御弁63による流量を制御する。
【0032】
制御部59Aは、制御弁63を操作して、外槽9Aからの排液流量を調整する。具体的には、処理液による処理時には、外槽9Aで回収した処理液を円滑にドレインに排出可能な流量(処理時流量)とし、引き上げ乾燥時には、内槽7から溢れた処理液が外槽9Aに回収されるとともに、内槽7の液面と外槽9Aの液面とがほぼ一致するように流量を少なくする(乾燥時流量)。
【0033】
なお、制御部59Aが本発明における制御手段に相当し、制御弁63が本発明における流量調整手段に相当する。
【0034】
次に、図6及び図7を参照して、上記装置の動作について説明する。なお、図6は、処理液による処理時の説明図であり、図7は、引き上げ乾燥時の説明図である。
【0035】
以下では、処理液として純水を供給した状態において基板Wの洗浄処理を行った後、基板Wを引き上げつつ乾燥処理を行う場合を例に採って説明する。なお、支持アーム25は、既に処理位置にあり、制御弁63は処理時流量に設定されているものとする。
【0036】
制御部59Aは、制御弁21を開放して、所定流量で内槽7Aに処理液として純水を供給し、処理位置にある基板Wを純水により洗浄する。内槽7Aに供給された純水は、外槽9Aにて回収されて排液管61を通して廃液される。この処理を所定時間だけ行うことにより、基板Wの洗浄が完了する(図6)。
【0037】
次いで、制御部59Aは、制御弁63を調整し、排液管61の流量を乾燥時流量に設定する。これにより、外槽9Aからの排出流量が少なくされ、第2の外槽49Aと内槽7Aの液面の高さが一致される(図7)。さらに、制御部59Aは、支持アーム25を処理位置から乾燥高さにまで、所定の速度で上昇を開始させる。これとともに、制御弁41を開放して、所定流量でドライエアdaを噴射ノズル33から水平方向に噴射させる。噴射されたドライエアdaは、内槽7Aの液面上方を通過しつつ基板Wを乾燥させ、排気口35を通して排気される。ドライエアdaは、噴射ノズル33から噴射されるとともに、徐々に拡がりつつ排気口35に到達する。したがって、一部が内槽7Aの液面を排気口35側へ押しやり、液面が盛り上がる現象が生じる。これにより生じた液面の盛り上がりmaは、第2の外槽49Aに押しやられることになる。なお、従来装置であれば、内槽7Aの右上縁でせき止められ、液面の盛り上がり(ma)が内槽7Aの右側に発生する。この状態で、支持アーム25を乾燥高さまで所定の速度で上昇させて基板Wを乾燥させる。
【0038】
上述したように、制御部59Aは、支持アーム25によって基板Wを内槽7Aから上昇させる際に、噴射ノズル33から水平方向にドライエアdaを噴射させるとともに、外槽49Aからの排液流量を少なくする。したがって、外槽49Aを介して排液されていた純水が外槽49Aを満たし、純水の液面が内槽7Aから外槽49Aにわたって一体となる。さらに、第2の外槽49Aの幅は、上流側の第1の外槽47Aよりも広くされているので、内槽7Aから離れた位置に純水の盛り上がりが生じる。その結果、内槽7Aの純水の液面は、ほぼ水平な面を形成するので、引き上げられてゆく基板Wの部位にかかわらず乾燥具合を均一にできる。その上、ドライエアdaの噴射によって純水が飛散するのを防止できるので、飛沫に起因する乾燥不良も防止することができる。
【0039】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0040】
(1)上述した実施例1では、エアシリンダ55により可動壁53を揺動させて処理高さと乾燥高さにわたり調整したが、問えば、可動壁53を鉛直姿勢のまま、昇降させて高さを調整するように構成してもよい。また、姿勢を調整するのにエアシリンダ55を使わず、螺軸などを用いてもよい。
【0041】
(2)上述した実施例1では、内槽7と外槽9の上縁とがほぼ同じ高さとしているが、本発明はこれらの高さ関係に係わらず実施可能である。
【0042】
(3)上述した実施例2では、制御弁63を操作して外槽9Aからの排液流量を少なくしているが、開閉弁による開閉時間を調整して同様に流量を調整してもよい。
【0043】
(4)上述した各実施例1,2では、処理液を循環させない方式の装置を例に採って説明したが、内槽7(7A)と外槽9(9A)との間で処理液を循環させる方式の装置であっても本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。
【図2】処理槽の縦断面図である。
【図3】処理液による処理時の説明図である。
【図4】引き上げ乾燥時の説明図である。
【図5】実施例2に係る基板処理装置の概略構成を示す全体図である。
【図6】処理液による処理時の説明図である。
【図7】引き上げ乾燥時の説明図である。
【符号の説明】
【0045】
W … 基板
1 … 処理槽
3 … 外容器
7 … 内槽
9 … 外槽
11 … 噴出管
13 … 排液口
15 … 排出口
17 … 供給配管
25 … 支持アーム
33 … 噴射ノズル
35 … 排気口
47 … 第1の外槽
49 … 第2の外槽
51 … 開口部
53 … 可動壁
55 … エアシリンダ
59 … 制御部
da … ドライエア
ma … 盛り上がり


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理液で処理する基板処理装置において、
処理液を貯留する内槽と、
前記内槽の上部にて、水平方向に乾燥気体を噴射する噴射手段と、
前記噴射手段の下流側の幅を上流側よりも広く形成され、前記内槽から溢れる処理液を回収する外槽と、
基板を支持し、前記内槽の内部にあたる処理位置とその上方にあたる待機位置とにわたって昇降する支持手段と、
前記噴射手段の下流側にあたる前記内槽の上部側壁の高さを、処理時高さと、処理時高さよりも低い乾燥時高さとに調整する調整手段と、
前記支持手段によって基板を上昇させる際に、前記噴射手段から乾燥気体を噴射させるとともに、前記調整手段により前記内槽の上部側壁の高さを乾燥時高さにする制御手段と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記内槽は、前記噴射手段の下流側にあたる上部側壁が、鉛直姿勢と、外槽側への傾斜姿勢とにわたり揺動自在の可動壁を備え、
前記調整手段は、前記可動壁の姿勢を調整することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記外槽の上縁は、前記内槽の上縁とほぼ同じ高さであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記噴射手段の下流側にあたる前記外槽の幅は、基板径が300mm、純水流量が0〜30リットル/分、乾燥気体の流量が6〜10m3/分の場合、30〜70mmであることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
基板を処理液で処理する基板処理装置において、
処理液を貯留する内槽と、
前記内槽の上部にて、水平方向に乾燥気体を噴射する噴射手段と、
前記噴射手段の下流側の幅を上流側よりも広く形成され、かつ、前記内槽の上縁よりも高い上縁を有し、前記内槽から溢れる処理液を回収する外槽と、
前記外槽からの排液流量を調整する流量調整手段と、
基板を支持し、前記内槽の内部にあたる処理位置とその上方にあたる待機位置とにわたって昇降する支持手段と、
前記支持手段によって基板を上昇させる際に、前記流量調整手段により排液流量を少なくするとともに、前記噴射手段から乾燥気体を噴射させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置において、
前記外槽の上縁は、前記内槽の上縁より1〜3mm高くされていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の基板処理装置において、
前記噴射手段の下流側にあたる前記外槽の幅は、基板径が200mm、純水流量が0〜30リットル/分、乾燥気体の流量が6〜10m3/分の場合、30〜70mmであることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−266253(P2007−266253A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88483(P2006−88483)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】