説明

基板処理装置

【課題】ウェーハ等の処理基板に対する処理ガス接触時間を増加させ、均一な処理ガスを供給できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板を収容するインナーチューブ4と、該インナーチューブを取囲むアウターチューブ2と、前記インナーチューブ内に設けられ、該インナーチューブ内にガスを供給するガスノズル8と、前記インナーチューブと前記アウターチューブとの間にガスを排気する為に前記ガスノズルに対して径方向に対向する位置の前記インナーチューブに設けられた第1排気口3と、前記インナーチューブと前記アウターチューブの間のガスを排気する為に、前記第1排気口に対して径方向に対向する位置の前記アウターチューブに設けられた第2排気口6とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ等の基板に酸化処理、拡散処理、薄膜の生成、アニール処理等の処理を行う基板処理装置、特にガス供給管及びガス排気管の着脱を容易にできる基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の処理工程の1つとして、シリコンウェーハ等の基板に酸化処理、拡散処理、薄膜の生成、アニール処理等の処理を行う基板処理工程があり、該基板処理工程を実行する装置として基板処理装置があり、又縦型処理炉を具備し、所定枚数の基板を一度に処理するバッチ式縦型基板処理装置がある。
【0003】
以下、図4に於いて、従来の基板処理装置の処理炉1について説明する。
【0004】
アウターチューブ2が、インナーチューブ4を囲繞し、該インナーチューブ4は前記アウターチューブ2と同心に配設され、壁面には第1排気口3が垂直方向に複数穿設されている。
【0005】
前記アウターチューブ2の下端には円筒形状のマニホールド5が気密に設けられ、該マニホールド5には第2排気口6を介してガス排気管7が連通されている。該ガス排気管7と対向する前記マニホールド5の壁面には処理ガス導入ノズル8の下端部が水平に貫通し、該処理ガス導入ノズル8は前記インナーチューブ4の内壁に沿って垂直に立設されている。
【0006】
ガス供給管9は前記処理ガス導入ノズル8に接続されている。前記マニホールド5の下端には炉口11が形成され、前記インナーチューブ4は処理室12を画成し、該処理室12は前記炉口11が炉口シールキャップ13によって閉塞されることで気密に閉塞される。
【0007】
又、基板保持具としてのボート14は、前記炉口シールキャップ13によって支持され、該炉口シールキャップ13はボート回転機構15に支持され、ウェーハ16は前記ボート14に水平姿勢で多段に保持され、該ボート14は図示しないボートエレベータによって前記処理室12に装入、装脱が可能となっている。
【0008】
前記アウターチューブ2は、例えば石英(SiO2 )や炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料から成り、上端は腕曲面で閉塞し下端が開口した有天筒状に形成されており、該アウターチューブ2と同心に配設された前記インナーチューブ4は、例えば石英(SiO2 )や炭化シリコン(SiC)等の耐熱材料から成り、外径が前記アウターチューブ2の内径よりも小さく、上端は腕曲面で閉塞し下端が開口した有天筒状に形成されている。ヒータ17は、同心に配設された前記アウターチューブ2を囲繞することで前記処理炉1を形成し、該処理炉1は図示しないカバーによって四方を囲まれている。
【0009】
前記第2排気口6は前記上端フランジ18と前記内壁フランジ21の間に設けられ、前記処理ガス導入ノズル8は、前記第2排気口6と径方向に対向する前記下端フランジ19と前記内壁フランジ21の間から前記処理室12内に導入され、前記インナーチューブ4の側壁と前記ボート14の間に立設されている。
【0010】
前記処理炉1に於いて、前記ヒータ17によりウェーハ16が所定の温度迄加熱され、処理ガスが図示しないガス供給源から供給され、図示しないガス流量制御手段によって処理ガスの流量が調節された後、前記処理ガス導入ノズル8の上端より前記処理室12の上部から導入され、拡散する。活性化された処理ガスがウェーハ16表面を流れることで、ウェーハ16に成膜等、所要の基板処理がなされる。前記処理室12内の雰囲気は、前記ガス排気管7に接続された排気手段(例えば真空ポンプ28)により、前記第1排気口3、前記第2排気口6を介して前記処理室12から排気される。
【0011】
基板処理装置でウェーハ16の成膜処理を行う場合、該ウェーハ16に対して均一に処理ガスを接触させる必要があるが、従来の様に前記インナーチューブ4の上部から処理ガスを導入し、前記インナーチューブ4の壁面に垂直に複数設けた前記第1排気口3から排気する構成の場合、前記インナーチューブ4上部に位置する前記第1排気口3からより多く処理ガスが排気されてしまう為、前記ボート14の下部に保持された前記ウェーハ16への処理ガスの供給量が少なくなり、前記処理室12の上部と下部で処理ガス濃度が異なり、ウェーハ16の膜厚に斑ができてしまうという問題があった。
【0012】
又、基板処理を繰返すと、ガス供給管9、各チューブ、ガス排気管7等に反応生成物が付着、堆積する。従って、前記ガス供給管9や前記ガス排気管7の交換等のメンテナンスを行う必要がある。従来は、メンテナンスを行う際には、前記ガス供給管9と前記ガス排気管7が異なる側面に接続され、前記処理炉1がカバーによって囲まれていた為、一度カバーを取外して前記ガス供給管9と前記ガス排気管7をそれぞれ別々に着脱する必要があり、大掛りで面倒な作業となっていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は斯かる実情に鑑み、ウェーハ等の処理基板に対する処理ガス接触時間を増加させ、均一な処理ガスを供給できる基板処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、基板を収容するインナーチューブと、該インナーチューブを取囲むアウターチューブと、前記インナーチューブ内に設けられ、該インナーチューブ内にガスを供給するガスノズルと、前記インナーチューブと前記アウターチューブとの間にガスを排気する為に前記ガスノズルに対して径方向に対向する位置の前記インナーチューブに設けられた第1排気口と、前記インナーチューブと前記アウターチューブの間のガスを排気する為に、前記第1排気口に対して径方向に対向する位置の前記アウターチューブに設けられた第2排気口とを具備する基板処理装置に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記ガスノズルに接続されたガス供給管と、前記第2排気口に接続されたガス排気管とを具備し、前記ガス供給管及び前記ガス排気管が当該基板処理装置の同一側面に設けられた基板処理装置に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板を収容するインナーチューブと、該インナーチューブを取囲むアウターチューブと、前記インナーチューブ内に設けられ、該インナーチューブ内にガスを供給するガスノズルと、前記インナーチューブと前記アウターチューブとの間にガスを排気する為に前記ガスノズルに対して径方向に対向する位置の前記インナーチューブに設けられた第1排気口と、前記インナーチューブと前記アウターチューブの間のガスを排気する為に、前記第1排気口に対して径方向に対向する位置の前記アウターチューブに設けられた第2排気口とを具備するので、ガスがインナーチューブ内に滞留する時間が長くなり、ウェーハに対する処理ガス接触時間が増加することで前記ウェーハに均一に処理ガスを接触させることができ、成膜の効率を向上させることができる。更に、処理ガスのウェーハに対する接触時間が増加することにより、処理ガスを無駄なく使用できる様になる為、処理ガスの節約につながる。
【0017】
又本発明によれば、前記ガスノズルに接続されたガス供給管と、前記第2排気口に接続されたガス排気管とを具備し、前記ガス供給管及び前記ガス排気管が当該基板処理装置の同一側面に設けられたので、処理炉の3方向がカバーで囲まれていても、該カバーを取外すことなくカバーで囲まれていない1方向から前記ガス供給管や前記ガス排気管の着脱を行うことができる為、着脱の手間を軽減でき、メンテナンスの効率が向上するという優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0019】
図1は本発明が実施される基板処理装置を示しており、図1により本発明に於ける基板処理装置の概略を説明する。尚、図1中、図4と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0020】
筐体36内部の前面側には、図示しない外部搬送装置との間で基板収納容器としてのカセット37の授受を行う収納容器授受部としてのカセットステージ38が設けられ、該カセットステージ38の後側には昇降手段としてのカセットエレベータ39が設けられ、該カセットエレベータ39には搬送手段としてのカセット搬送機41が取付けられている。前記カセットエレベータ39の後側には、前記カセット37の載置手段としてのカセット棚42が設けられ、該カセット棚42はスライドステージ43上に横行可能に設けられている。
【0021】
又、前記カセット棚42の上方には前記カセット37の載置手段としてのバッファカセット棚44が設けられている。更に、該バッファカセット棚44の後側にはクリーンユニット45が設けられ、該クリーンユニット45はクリーンエアを前記筐体36の内部を流通させる様に構成されている。
【0022】
該筐体36の後部上方には処理炉1が設けられ、該処理炉1はヒータ17、該ヒータ17内部に設けられ、処理室12を画成するアウターチューブ2とインナーチューブ4(図4参照)を具備し、前記処理炉1の下側には、気密室としてのロードロック室46が仕切弁としてのゲートバルブ47を介して連設され、前記ロードロック室46の前面には前記カセット棚42と対向する位置に仕切り手段としてのロードロックドア48が設けられている。
【0023】
前記ロードロック室46には、前記処理炉1に対してボート14を昇降させる昇降手段としてのボートエレベータ49が内設され、該ボートエレベータ49には蓋体としての炉口シールキャップ13が取付けられ、該炉口シールキャップ13には基板保持具である前記ボート14が垂直に載置され、該ボート14はウェーハ16を水平姿勢で多段に保持している。
【0024】
前記ロードロック室46には排気ライン51、ガス供給ライン52が連通され、前記ロードロック室46内が真空引きされ、又窒素ガス等の不活性ガスがガスパージ等の目的で供給可能となっている。
【0025】
前記ロードロック室46と前記カセット棚42との間には図示しない昇降手段としての移載エレベータが設けられ、該移載エレベータには基板移載手段としてのウェーハ移載機53が取付けられている。
【0026】
以下、基板処理装置に於ける一連の作動を説明する。
【0027】
図示しない外部搬送装置から搬送され、ウェーハ16を収納した前記カセット37は、前記カセットステージ38に載置され、該カセットステージ38で前記カセット37の姿勢を90゜変更され、前記カセットエレベータ39の昇降動作、横行動作及び前記カセット搬送機41の進退動作の協働により、前記カセット棚42又は、前記バッファカセット棚44に搬送される。
【0028】
前記ウェーハ移載機53により前記カセット棚42から前記ボート14へ前記ウェーハ16が移載される。該ウェーハ16を移載する準備として、前記ボート14が前記ボートエレベータ49により前記ロードロック室46内に降下され、前記ゲートバルブ47により前記処理炉1が閉塞され、更に前記ロードロック室46の内部に前記ガス供給ライン52から窒素ガス等のパージガスが導入される。前記ロードロック室46が大気圧に復圧された後、前記ロードロックドア48が開かれる。
【0029】
前記スライドステージ43は前記カセット棚42を水平移動させ、移載の対象となる前記カセット37を前記ウェーハ移載機53に対峙する様に位置決めする。該ウェーハ移載機53は昇降動作、回転動作、進退動作の協働により前記ウェーハ16を前記カセット37より前記ボート14へと移載する。前記ウェーハ16の移載はいくつかの前記カセット37に対して行われ、前記ボート14へ所定枚数のウェーハ16の移載が完了した後、前記ロードロックドア48が閉じられ、前記ロードロック室46が真空引きされる。真空引き完了後に前記ガス供給ライン52よりガスが導入され、前記ロードロック室46内部が前記処理室12内と同圧化される。前記ロードロック室46内を真空雰囲気、或は窒素ガス等不活性ガス雰囲気とすることで、前記ウェーハ16の自然生成が抑制される。
【0030】
前記ゲートバルブ47が開かれ、前記ボートエレベータ49により前記ボート14が前記処理炉1内に装入され、前記ゲートバルブ47が閉じられ、前記ウェーハ16の処理がなされる。
【0031】
該ウェーハ16の処理は、減圧雰囲気で前記ヒータ17により400℃〜950℃(処理の内容により加熱温度が選択される)で前記処理炉1内が加熱され、前記処理室12に前記ガス供給ライン52が導入され、前記排気ライン51により反応後のガスが排気され、前記処理室12が所定の温度、気圧に保持された状態で前記ウェーハ16に所要の処理がなされる様になっている。
【0032】
前記処理炉1内で前記ウェーハ16に所定の処理がなされた後、前記ゲートバルブ47が開かれ、前記ボートエレベータ49により窒素ガス雰囲気とされた前記ロードロック室46内に前記処理炉1から前記ボート14が引出され、前記ロードロック室46内で処理済の前記ウェーハ16が所要の温度迄冷却される。
【0033】
前記ロードロック室46が真空引きされた状態の場合は、該ロードロック室46内部を窒素ガスにより大気圧に復圧させた後に前記ロードロックドア48が開かれる。前記ロードロック室46内を真空雰囲気、或は窒素ガス等不活性ガス雰囲気とすることで、前記ウェーハ16に生成される無用な成膜が防止される。
【0034】
処理後の前記ウェーハ16は、上記した作動の逆の手順により前記ボート14から前記ウェーハ移載機53により前記カセット37に移載され、該カセット37は前記カセット棚42を経て前記カセットステージ38に移載され、図示しない外部搬送装置により搬出される。
【0035】
前記カセット搬送機41、前記ウェーハ移載機53等の動作は、搬送制御手段54により制御される。
【0036】
次に、図2、図3に於いて、本発明の処理炉1について説明する。尚、図2、図3中、図4と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
本発明に於ける処理炉1は、図4で示した処理炉1と基本的には同様な構成であり、アウターチューブ2、該アウターチューブ2の内側に同心で配設されたインナーチューブ4、前記アウターチューブ2の下端に配設され、上端部、下端部及び内壁に設けられたフランジによって前記アウターチューブ2と前記インナーチューブ4を支持するマニホールド5、該マニホールド5に第2排気口6を介して連通したガス排気管7、前記マニホールド5を水平に貫通し、前記インナーチューブ4の内壁に沿って垂直に立設された処理ガス導入ノズル8、該処理ガス導入ノズル8に接続されたガス供給管9、炉口11を閉塞し、前記インナーチューブ4の筒中空部に画成された処理室12を気密に閉塞する炉口シールキャップ13、基板保持具としてのボート14、ボート回転機構15、図示しないヒータ素線と断熱部材によりウェーハ16を加熱するヒータ17等から構成されている。
【0038】
前記処理ガス導入ノズル8は、下端が水平方向に屈曲されたL字形状をしており、前記マニホールド5の下端フランジ19と内壁フランジ21の間を前記処理ガス導入ノズル8の水平部が貫通し、垂直部は前記インナーチューブ4と前記ボート14の間に立設されている。
【0039】
前記処理ガス導入ノズル8に接続された前記ガス供給管9と前記第2排気口6に接続された前記ガス排気管7は前記マニホールド5の同一側面又は略同一側面に設けられている。又、前記処理ガス導入ノズル8には、前記処理室12の中心方向に向けて処理ガス噴出孔55が穿設されており、該処理ガス噴出孔55は上下方向に、所定の間隔で複数設けられている。これにより、より均一にウェーハ16に処理ガスを接触することができる。
【0040】
前記インナーチューブ4の側壁には複数の第1排気口3が垂直方向に所定の間隔で複数穿設されており、該第1排気口3は前記処理ガス導入ノズル8に設けられた前記処理ガス噴出孔55と径方向に対向している。尚、前記処理ガス噴出孔55と前記第1排気口3は同一の数設けて互いに水平となる様に構成してもよいし、異なる数で水平でなくてもよい。然し乍ら、より好ましいのは、各基板に合わせて前記処理ガス噴出口55と前記第1排気口3がそれぞれ略水平に設けられる構成であり、これにより処理ガスが均一に行渡ることができる。
【0041】
前記ガス排気管7は、前記マニホールド5の上端フランジ18と前記内壁フランジ21の間に穿設された前記第2排気口6を介して接続されており、前記処理ガス導入ノズル8と前記ガス排気管7は同一側面又は略同一側面に設けられている。
【0042】
又、前記処理炉1は、前記ガス供給管9と前記ガス排気管7が設けられた方向以外の3方向をカバー56に囲まれている。尚、該カバー56の断面形状は凹字形であっても、半円筒形であってもよい。
【0043】
前記処理ガス導入ノズル8は、ガス導入バルブ35を介して前記ガス供給管9に接続されている。該ガス供給管9は上流側で3つに分岐し、それぞれが第1のガス供給源22、第2のガス供給源23、第3のガス供給源24に接続されている。各ガス供給源はそれぞれMFC25、MFC26、MFC27と、バルブ32、バルブ33、バルブ34に接続され、各MFCと各バルブによって処理ガスの流量が所望の流量となる様所望のタイミングにて制御する様に構成されている。
【0044】
各ガス供給源に封入された処理ガスは、前記各MFC、前記各バルブを通じて前記ガス供給管9内で混合され、前記ガス導入バルブ35、前記処理ガス導入ノズル8を介して前記処理室12内に導入される。
【0045】
尚、前記ボート回転機構15、前記ヒータ17、前記各MFC、前記各バルブ、真空ポンプ28、ガス排気バルブ31、前記ガス導入バルブ35は制御装置29と電気的に接続されており、前記ボート回転機構15、前記ヒータ17、前記各MFC、前記各バルブ、前記真空ポンプ28、前記ガス排気バルブ31、前記ガス導入バルブ35は前記制御装置29によって制御される。
【0046】
次に、上記構成の基板処理装置を用いた基板処理の一例として、Epi−SiGe膜を生成する場合について説明する。
【0047】
未処理のウェーハ16を保持した前記ボート14は、前記ボートエレベータ49を駆動することにより、前記処理室12に装入される。次に、前記制御装置29からの命令により前記ガス排気バルブ31を開けて、前記処理室12内の雰囲気を排気し、該処理室12を所定の圧力迄減圧する。そして、前記制御装置29により前記ヒータ17を制御し、前記処理室12の温度、延いては前記ウェーハ16の温度を所定の温度に維持する。その後、前記制御装置29からの命令により、前記ボート回転機構15が駆動され、前記ボート14を所定の回転速度で回転する。
【0048】
少なくとも、前記第1のガス供給源22、前記第2のガス供給源23、前記第3のガス供給源24には、処理ガスとして、例えばそれぞれSiH4 又はSi2 H6 、GeH4 、H2 が封入されており、それぞれのガス供給源には前記MFC25、前記MFC26、前記MFC27が設けられている。前記制御装置29からの命令で、前記MFC25、前記MFC26、前記MFC27の開度が調節された後、前記ガス供給管9を開閉する前記バルブ32、前記バルブ33、前記バルブ34が開かれる。前記処理ガスが前記ガス供給管9を通じて、前記処理ガス導入ノズル8に複数設けられた前記処理ガス噴出孔55から前記処理室12内に導入される。
【0049】
該処理室12内は真空状態である為、前記処理ガスは、前記処理ガス噴出孔55から噴出された段階で前記処理室12内に拡散する。又、前記処理ガス噴出孔55は上下方向に所定の間隔で複数設けられている為、前記処理ガスは複数箇所から前記処理室12内に導入、拡散される。
【0050】
前記処理ガス噴出孔55より前記処理室12内に導入された前記処理ガスは、前記処理室12内を正面方向や上下方向、或は左右方向に拡散し、拡散した前記処理ガスは、正面、或は前記インナーチューブ4の内壁に沿って前記処理室12内を進み、前記ウェーハ16と接触して成膜させ、前記第1排気口3より排出される。
【0051】
成膜処理が完了した後、前記ガス排気バルブ31を開き、前記真空ポンプ28を作動させることで、前記処理室12内に導入された処理ガスが前記第1排気口3から排気され、前記インナーチューブ4と前記アウターチューブ2の間を通り、前記ガス供給管9と同一側面又は略同一側面に設けられた前記第2排気口6と連通した前記ガス排気管7を通じて前記処理炉1から排気される。
【0052】
前記ウェーハ16に対する成膜処理が終了した後、前記ボートエレベータ49を駆動させて前記ボート14を前記処理炉1から引出し、前記ウェーハ16は前記ロードロック室46にて所定の温度迄冷却される。
【0053】
冷却後のウェーハ16は前記ウェーハ移載機53により前記カセット37に移載され、該カセット37は前記カセット棚42を経て前記カセットステージ38に移載され、図示しない外部搬送装置によって搬出され、一連の処理が完了する。
【0054】
前記処理ガス噴出孔55は、前方だけでなく上下方向や左右方向、即ち前記インナーチューブ4の内壁に沿う様にガスを噴出して拡散させ、又前記第1排気口3を径方向に対向する位置に設けたことで前記処理ガスによるインナーチューブ4内の滞留時間が長くなり、前記ウェーハ16の処理ガス接触時間が増加し、更に前記処理ガス噴出孔55を複数設けたことにより、前記ウェーハ16に対して処理ガスを均一に接触させることができる為、該ウェーハ16に効率よくEpi−SiGe膜を成膜することができる。更に、処理ガスのウェーハ16に対する接触時間が増加することにより、処理ガスを無駄なく使用できる様になる為、処理ガスの節約となる。
【0055】
上記の処理を複数回行った場合、前記ガス排気管7、各チューブ、前記ガス供給管9の内部に対して生成物が堆積し、処理ガスの供給、排気の効率が低下する。その為、特に前記ガス排気管7や前記ガス供給管9の定期的なメンテナンスが必要となる。メンテナンスは、前記ガス排気管7及び前記ガス供給管9を取外し、内壁に堆積した生成物を除去してから再び取付けるか、或は前記ガス排気管7と前記ガス供給管9を新しいものに交換する等の手段によって行われる。
【0056】
本発明の場合、前記ガス排気管7と前記ガス供給管9を同一側面に設けたことで、前記ガス排気管7と前記ガス供給管9の交換を一度に行うことができ、容易となる。又、前記カバー56を設けている場合でも前記ガス排気管7や前記ガス供給管9が設けられた側面は開放されているので、前記カバー56を取外すことなく前記ガス排気管7や前記ガス供給管9を交換可能である為、メンテナンスに要する作業負担を著しく軽減できる。
【0057】
尚、本発明ではSiGe膜の形成を例にとって説明しているが、Si膜の形成も可能であることは言う迄もない。又、本発明では、ガスノズル8はインナーチューブ4内に1本のみ設けたが、処理ガスがウェーハ16に対して均一に供給できるのであれば、複数本設けてもよく、形状や長さに制約はない。但し、ガスノズル8に対して径方向に対向する位置のインナーチューブ4に第1排気口3が設けられているものとする。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明に於ける基板処理装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の処理炉を示す縦断面図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】従来の処理炉を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 処理炉
2 アウターチューブ
3 第1排気口
4 インナーチューブ
5 マニホールド
6 第2排気口
7 ガス排気管
8 処理ガス導入ノズル
9 ガス供給管
12 処理室
14 ボート
16 ウェーハ
55 処理ガス噴出孔
56 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を収容するインナーチューブと、該インナーチューブを取囲むアウターチューブと、前記インナーチューブ内に設けられ、該インナーチューブ内にガスを供給するガスノズルと、前記インナーチューブと前記アウターチューブとの間にガスを排気する為に前記ガスノズルに対して径方向に対向する位置の前記インナーチューブに設けられた第1排気口と、前記インナーチューブと前記アウターチューブの間のガスを排気する為に、前記第1排気口に対して径方向に対向する位置の前記アウターチューブに設けられた第2排気口とを具備することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記ガスノズルに接続されたガス供給管と、前記第2排気口に接続されたガス排気管とを具備し、前記ガス供給管及び前記ガス排気管が当該基板処理装置の同一側面に設けられた請求項1の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−140999(P2010−140999A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314235(P2008−314235)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】