説明

基板処理装置

【課題】 基板の周端部の傾斜部を含めて確実に洗浄や研磨の処理を実施することができるばかりか支持手段も複雑でなく自身の耐久性にも優れた処理手段を有する基板処理装置を提供する。
【解決手段】 基板を支持する基板支持手段と、所定の径を有するとともに先端に形成した中心に凹部を形成する平面を処理部としたPVAスポンジからなる処理手段と、基板支持手段に支持させた基板の軸線に対してその処理手段をその軸線が直角になるように処理部を基板の周縁部に向けて所定位置に支持する処理手段の支持手段と、処理手段の支持手段に付設されて処理手段の回転手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、特に基板の周端縁について研磨、洗浄などの処理するための基板処理装置に関するものであり、基板としては、例えばウエハ、各種磁気ディスク用基板、液晶用など各種ディスプレイ用基板、FED、フォトマスクなどの各種の洗浄や研磨の処理が必要な基板が適用される。
【背景技術】
【0002】
近頃、前記基板の表面についての洗浄や研磨だけでなく周端縁における処理の重要性が品質面において要求されている。
【0003】
そして、従来から基板の表面についての洗浄処理だけでなく周端縁における洗浄処理を可能とする処理手段が特開平8−213352号公報、特開2001−70896号公報などに提示されている。
【0004】
これらの公報に提示されている処理手段は、図6および図7に示したように回転支持させた基板1に直線状のブラシを有する処理手段2を圧接するものであり、基板1の周端縁に強固に付着した汚染物資を除去することができない。
【0005】
また、特開平5−265194号公報、特開平6−453024号公報に提示されているようにスポンジからなる処理手段を用いたものが提示されている。
【0006】
これらの公報に提示されている処理手段は、図8に示したように回転支持させた基板1に円柱状のスポンジブラシからなる処理手段2をそれぞれの回転軸が同一方向に向けて配置したものである。
【0007】
そのため、基板1の周端部が処理手段2の上下方向の一円周部に接触することになり、その部分だけが摩耗してしまうという問題がある。そこで、処理手段2の接触1を上下方向に変えて使用しているが、基板1の周端部は通常は薄いので恰も刃物のように作用するので図9に示すように、基板1の周端部が処理手段2に差し込み挿入された状態となり処理手段2を形成するスポンジが有する処理部材である基板1に押し当てたときに生じる押圧力に対する弾性による反発力が生じないので洗浄効果が得られない。
【0008】
特に、近頃のウエハなどは資源の確保や経済性からより薄く形成されており、これらの症状が著しい。
【0009】
また、図9に示したように基板1の周端部は表面1aと垂直部1bとの間に傾斜部1cが形成されており、傾斜部1c部分を含めて洗浄や研磨を行うことができない。そこで、図10に示すように、処理手段2としてPVAスポンジを用いるとともに上下方向の中央部分に凹部を形成して処理手段2を回転させるとともに自身を上下方向に往復動させる処理手段が例えば特開2009−238938号公報などに提示されている。
【0010】
しかしながら、前記図8に示した処理手段2は、前記図9に示した基板1の周端部の傾斜部1cの洗浄や研磨を行うことはできるが、処理手段2自体の接触状態は前記図9に示した柱状の処理手段2と変わりなく耐久性に問題があるばかりか一度に上側と下側の傾斜部1c部分を処理することができないことから処理手段2を回転且つ上下方向に往復動させる複雑な機構が必要で、高価であるとともに、製造や保守も容易でないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平8−213352号公報
【特許文献2】特開2001−70896号公報
【特許文献3】特開平5−265194号公報
【特許文献4】特開平6−453024号公報
【特許文献5】特開2009−238938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、基板の周端部の傾斜部を含めて確実に洗浄や研磨の処理を実施することができるばかりか支持手段も複雑でなく自身の耐久性にも優れた処理手段を有する基板処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するためになされた本発明である基板処理装置は、基板を支持する基板支持手段と、所定の径を有するとともに先端に形成した中心に凹部を形成する平面を処理部としたPVAスポンジからなる処理手段と、前記基板支持手段に支持させた基板の軸線に対して前記処理手段をその軸線が直角になるように前記処理部を前記基板の周縁部に向けて所定位置に支持する処理手段の支持手段と、前記処理手段の支持手段に付設されて前記処理手段の回転手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、処理部の基板方向への押圧力が処理部の回転する平面全体に作用するので従来例のように基板の周縁部による切れ目が形成されず処理部が有する弾発力が基板に作用して洗浄や研磨の処理が有効に行われる。また、処理部の中心に形成した凹部がエッジ効果を発揮するので基板の周縁部の前記傾斜部を含めて確実に洗浄や研磨をすることが可能であり、特に、ウエハのように基板の周端部が曲線である場合には中心に形成した凹部に基板の周縁部を挿入させることにより作用位置を周縁部よりも中心側の位置とすることにより著しい処理効果が生じる。また、処理手段の支持手段も回転させるだけで往復動などの複雑な機構を必要としないとともに基板の周縁部が処理手段の平面状の処理部全面にわたって接触するので偏った摩耗がなく、耐摩耗性にも優れていて経済面でも優れている。
【0015】
特に、処理手段は処理部の中央に凹部を形成したことにより基板の周縁部に圧接する平面である接触面に回転による歪みが生じることがなく常に均一な平面による処理をすることができる。
【0016】
また、前記処理手段が、全体が薄形の円柱体であると好適であり、前記処理手段が、前記処理手段の支持手段に支持される円柱体を呈する治具の先端面に複数のPVAスポンジからなる板状の処理部材を中心から放射状に互いに所定の間隔を有して且つ中心に凹部を形成するように突設させたものである場合には支持手段への支持が容易であるとともにPVAスポンジの使用量も少なくて済み、基板における周端部の形状に拘わらず優れた処理効果を発揮させることができる。
【0017】
更に、前記基板支持手段に支持した回転手段により処理手段を容易に回転させることができる。更にまた、前記処理手段が砥粒を含有している場合には洗浄だけでなく研磨処理もすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板の周端部の洗浄や研磨を前記傾斜部を含めて確実に実施することができるばかりか支持手段も複雑でなく自身の耐久性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に使用する処理手段の好ましい実施の形態を示す説明図。
【図2】図1に示した実施の形態の使用状態を示す説明図。
【図3】図1に示した実施の形態の作用を示す拡大断面部分図。
【図4】本発明に使用する処理手段の異なる実施の形態を示す斜視図。
【図5】本発明の異なる実施の形態の使用状態を示す説明図。
【図6】処理手段としてブラシを用いた従来例を示す説明図。
【図7】処理手段としてブラシを用いた異なる従来例を示す説明図。
【図8】処理手段としてスポンジを用いた従来例を示す説明図。
【図9】図7に示した従来例の作用を示す拡大断面部分図。
【図10】処理手段としてスポンジを用いた更に異なる従来例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の好ましい実施の形態を示すものであり、基板処理装置は、例えばウエハなどの基板1をその中心軸Xを中心として回転可能に支持する基板支持手段4と、図2に示すように所定の径を有するとともに先端に形成した平面からなる処理部21の中心に凹部22を形成するPVAスポンジからなる処理手段2と、基板支持手段4に支持させた基板1の中心軸線Xに対して前記処理手段2をその中心軸線Yが直交するように前記平面を基板1の周縁部に向けて所定位置に支持する処理手段2の支持手段5とを備えている。
【0021】
また、前記処理手段2の支持手段5には支持した処理部材2を中心軸線Yにおいて回転させる回転手段6か備えられている。
【0022】
そして、本実施の形態は、前記基板支持手段4に支持させた基板1を回転させるとともにその周端部に回転させた処理手段2を接触させて(必要ならば洗浄水などを添加して(図示せず))洗浄を行う。尚、図1では基板1の周端部について処理する場合を示しているが、通常は、基板1の表面についても周知の処理手段により同時に処理する(図示せず)。
【0023】
このとき、処理手段2は、平面である処理部21の中心に形成した凹部22が基板1の周端部が曲線であることから図3に示すように、中心に形成した凹部22に基板1の周縁部を挿入させることにより作用位置を周縁部よりも中心側の位置とすることにより回転させることで基板1の周縁部の垂直部1bだけでなく傾斜部1cを含めて確実に洗浄や研磨をすることが可能である。尚、本実施の形態では凹部21を孔としたが、凹みであってもよい。
【0024】
特に、処理部21は回転状態であってその平面全体が基板1の周縁部に接触するので前記従来例と異なり、切れ目が生じないので充分な押し付け力に耐えられるのでスポンジが有する弾性力が働いて優れた洗浄効果を発揮させることができる。また、平面全体として平滑に摩耗することになり従来の一部が接触する偏った摩耗を生じるスポンジ製の処理部材に比べて耐久性にも優れている。
【0025】
加えて、処理手段2は処理部21の中央に凹部22を形成したことにより、凹部22の周端縁によるエッジ効果により確実に基板1の周端部を洗浄処理することができ、特に、処理手段2自身が従来の横方向への回転と異なり上下方向に向けて回転しているので上下方向に移動すること無しに一度に基板1の上下両傾斜部1cを含めて洗浄処理することかできるばかりか基板1の周端部を上方および下方に均一な力が加わるので回転力によって基板1の周端部が変形したり破損したりすることがない。また、中央の凹部22は基板1の周縁部に圧接する平面である処理部21に回転による歪みが生じることがなく常に均一な平面による処理をすることができ、また、余分な振動も生じさせない。
【0026】
本実施の形態では基板1として周端部が曲線であるウエハを用いた場合を示したが、例えば基板が液晶ディスプレイ用基板のように周端部が直線である場合(図示せず)にも図3に示した処理手段2における平面である処理部21の中央に形成した凹部22が有効に作用して基板1その周端部をその傾斜部1C部分を含めて確実に洗浄することができる。
【0027】
また、本実施の形態は処理手段2としてPVAスポンジを用いたが、これに砥粒を含有させることにより基盤の周端部について研磨処理を行うこともできる。
【0028】
図4は本発明である処理装置に使用する処理手段2の異なる実施の形態を示すものであり、円柱体を呈する治具23の先端面24にPVAスポンジからなる板状の処理部材21・・21を中心から放射状に互いに所定の間隔を有して且つ中心に凹部22を形成するように突設させたものである。
【0029】
本実施の形態は例えば前記図5に示したように支持手段5に支持されて使用することができ、特に、治具23を支持手段5に支持させることにより容易且つ確実に支持させることができるとともに交換も容易であり、特に、中央に形成された凹部22と各処理部材21・・21の間に凹部25・・25が形成されているので、基盤1の周縁部を前記凹部22と凹部26・・26に差し込まれて洗浄などの処理が行われることになり、一層の処理効果が得られる。
【符号の説明】
【0030】
1 基板、2 処理手段、5 支持手段、6 回転手段、21 処理部、22 凹部、25 処理部材、26 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持する基板支持手段と、所定の径を有するとともに先端に形成した中心に凹部を形成する平面を処理部としたPVAスポンジからなる処理手段と、前記基板支持手段に支持させた基板の軸線に対して前記処理手段をその軸線が直角になるように前記処理部を前記基板の周縁部に向けて所定位置に支持する処理手段の支持手段と、前記処理手段の支持手段に付設されて前記処理手段の回転手段とを有していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記処理手段が、全体が薄形の円柱体であることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理手段が、前記処理手段の支持手段に支持される円柱体を呈する治具の先端面に複数のPVAスポンジからなる板状の処理部材を中心から放射状に互いに所定の間隔を有して且つ中心に凹部を形成するように突設させたものであることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記基板支持手段に支持した基板を回転させる回転手段が付設されていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理手段が基板における周縁部の洗浄であることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理手段が砥粒を含有していて処理が基板における周縁部の研磨であることを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−103394(P2011−103394A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258150(P2009−258150)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000119438)井和工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】