説明

基板処理装置

【課題】処理モジュールに処理液を共通の塗布ノズルを用いて供給するときに、複数準備される薬液ノズルの処理液供給配管同士の擦れを防ぎ、同時に塗布ノズルを把持して移動するときにノズル搬送アームへの無用な負荷を掛けないようにすること。
【解決手段】処理液供給ノズル10を接続し、上部に第1の把持穴40を設けるノズルブロック部17と、上部に第2の把持穴25を設ける把持用ブロック部18と、両ブロック部を直状に接続する接続管19と、を備える。処理液供給ノズルに連通される処理液供給管21は、接続管の中に配管され、ノズル把持アーム12は、第1の把持穴及び第2の把持穴にそれぞれ嵌合可能な第1及び第2の把持用凸部41,42を備え、ウエハWの上方に処理液供給ノズルを移動する際は、ノズルブロック部の第1の把持穴と把持用ブロック部の第2の把持穴にそれぞれ第1及び第2の把持用凸部を同時に嵌合して把持した状態で移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウエハやフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板や樹脂基板といった基板に対して、塗布液ノズルにより成膜用の処理液や現像処理する現像液や基板の表面を洗浄するための洗浄液等の塗布液を供給して処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体デバイスやFPD基板の製造プロセスの一つである基板上にレジストパターンを形成する工程は、基板例えば半導体ウエハ(以下、ウエハという)にレジスト膜を形成し、フォトマスクを用いてこのレジスト膜を露光した後、現像処理を行うことにより所望のパターンを得る一連の工程により行われ、これら一連の工程は従来から基板処理装置である塗布、現像装置によって行われている。
【0003】
例えば、塗布液としてレジスト液を塗布する塗布ユニットにおいては、基板保持部であるスピンチャックの周囲を囲むようにカップ体が設けられており、このスピンチャックに保持されたウエハの略中央にレジスト液を供給してスピンチャックを回転させることによりレジスト液のスピンコーティングや振り切り乾燥、更にサイドリンス等の処理が行われるようになっている。
【0004】
ウエハへのレジスト液の供給は、供給ユニットより供給されたレジスト液をノズル(塗布液ノズル)から吐出することによって行われる。そしてこのノズルは、ウエハの搬入出動作の邪魔にならないように、通常時はウエハの搬入出経路から離れた位置に待機させ、レジスト液を吐出するときだけスピンチャックに保持されたウエハ中央まで搬送する構成となっている場合が多い。
【0005】
これら塗布ユニットはレジスト膜を形成する下地膜の種類や形成する膜厚などの条件によって複数種のレジスト液が用いられている。これら種類の異なるレジスト液毎に塗布ノズルを備え、共通の駆動アームにより塗布ノズルの待機位置と、レジスト液の塗布処理を行う処理位置との間で移動させる構成となっている。
【0006】
塗布ユニットには、塗布処理カップを一列に2つ並べて構成して、これらで使用する塗布ノズルを塗布処理カップ間で共通に移動できる駆動アームに取り付けられた構造のレジスト塗布装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、複数の塗布ノズルを待機位置に待機させておいて使用する塗布ノズルを選択的に選んでノズル搬送アームで把持して、塗布処理カップ内に保持される基板の上方に移動させて処理液であるレジスト液を供給することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
特許文献2に記載の塗布ノズルには、この塗布ノズルと対をなす処理液の供給チューブが高さ方向に浮き上がるのを抑えるために塗布ノズル近傍側の供給チューブを供給チューブ保護体に収納して供給チューブの浮き上がりをこの供給チューブ保護体を利用して抑える構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−118074号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2003−324049号公報(図4、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、微細化が進みプロセス処理を行う処理モジュール毎に固有の調整設定を行なうことは装置の設定データ管理の煩雑化を抑制するために避けられようとしている。また、処理状態の品質もモジュール後に行うとモジュール固有の調整状態に起因して同じタイプの処理モジュールでありながらプロセス的な差が出る場合が想定される。
【0011】
このような場合には、特許文献1に記載の技術のように、特に処理モジュール間のプロセス結果の差が顕著になり易い影響を及ぼす吐出関係の構成を複数の同一処理モジュールで共通化して使用されるのが好ましい。このような場合には塗布する薬液の種類により複数の塗布ノズルを共通に使うことになる。このような構成にすると複数の供給チューブ同士が接触して擦れ合い発塵してしまい基板を汚染する虞や供給チューブの破損による漏液が懸念される。また、供給チューブを曲げるとその反発力や張力によりノズル搬送アームへの駆動部に不要な負荷が掛かり移動エラーを起こして停止してしまったり停止位置ずれのエラーを起こすことも懸念される。
【0012】
本発明はこのような事情の下のなされたのであり、その目的は処理モジュールに処理液を共通の塗布ノズルを用いて供給する場合において、複数準備される薬液ノズルの処理液供給配管同士の擦れを防ぐ事と、同時に塗布ノズルを把持して移動するときにノズル搬送アームへの無用な負荷を掛けない構成のノズル供給手段を有する基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このため本発明は、水平面で回転可能に基板を保持する回転保持部と、前記回転保持部に保持された基板の表面に向けて処理液を供給する複数の処理液供給ノズルと、前記複数の処理液供給ノズルを前記回転保持部の側方の待機位置に着脱可能に保持するノズル待機部と、前記ノズル待機部に保持される前記複数の処理液供給ノズルのうち一つを選択して把持して前記基板の上方に移動させる把持アームを有するノズル搬送部と、を備える基板処理装置において、前記処理液供給ノズルを接続し、上部に第1の把持穴を設けるノズルブロック部と、上部に第2の把持穴を設ける把持用ブロック部と、前記ノズルブロック部と前記把持用ブロック部の間に配置されて、前記両ブロック部同士を直状に接続する接続管と、を備え、前記処理液供給ノズルに連通される処理液供給管は、前記接続管の中に配管され、前記把持アームは、前記第1の把持穴に嵌合可能な第1の把持用凸部と、前記第2の把持穴に嵌合可能な第2の把持用凸部を備え、前記基板の上方に前記処理液供給ノズルを移動する際は、前記ノズルブロック部の第1の把持穴と前記把持用ブロック部の第2の把持穴にそれぞれ前記第1及び第2の把持用凸部を同時に嵌合して把持した状態で移動させる、ことを特徴とする。
【0014】
このように構成することによって、一端側のノズルブロック部と他端側の把持用ブロック部とを接続管で連結して直状にし、この直状に構成されたノズルブロック部と把持用ブロック部の2箇所で把持するので、ノズル搬送部が処理液ノズルを移動するときに生じる配管の歪みや反発力に起因する負荷や変異に張力の影響を受け難くなりノズル搬送部の移動エラーが生じることがない。
【0015】
また本発明は、前記接続管の中に配管され、前記処理液供給管を二重に囲うように設けられる第1の配管と第2の配管とを含む温度調整配管を備え、前記温度調整配管は、前記処理液供給管と第1の配管の間には温度調整された流体を前記処理液供給ノズルに向かう方向に流通させ、第1の配管と第2の配管との間には前記流体を流体の供給側に戻す方向に流通させる、ことを特徴とする。
【0016】
このように構成することにより、直状の接続管内に処理液供給管を通すので、結果的に把持アームの長さ方向と並行して処理液供給配管が直線上に併設した構成となるので、ノズル搬送部が移動するにあたり配管のふらつきや配管振れによる抵抗を無くすことができる。
【0017】
また本発明は、処理液供給管は断面形状がこの処理液供給管を二重に囲うように設けられる第1の配管と第2の配管とを含む温度調整配管を備え、前記温度調整配管は、前記処理液供給管と第1の配管の間には温度調整された流体を前記処理液供給ノズルに向かう方向に流通させ、第1の配管と第2の配管との間には前記流体を流体の供給側に戻す方向に流通させてなり、前記処理液供給管と第1の配管とを前記接続管に配管して前記第2の配管の外皮を前記把持用ブロック部でシール(封止)して、前記流体を前記接続管内部に流して流体の供給側に戻すように構成してなることを特徴とする。
【0018】
このように構成することにより、接続管を温度調整された流体の通路として使うことが可能であり、接続管内の構造を簡略化できると共に、ノズル先端に近い部分の温度調整された流体の貯留量を接続管内で増やすことでノズル近傍部の温度変化を抑制することができる。
【0019】
さらに本発明は、前記ノズル搬送部は少なくとも前記回転保持部を備える2つの処理カップの間に設けられて前記処理カップに共用されるように構成され、前記処理カップの間には前記複数の処理液供給ノズルと対応する複数のノズル待機穴にそれぞれ処理液供給ノズルを挿入して待機させるためのノズル待機部を備えていることを特徴とする。
【0020】
このように構成することにより、ノズル搬送部を2つの処理カップの間に複数の処理液供給ノズルを並べておいて選択的に使用する処理液供給ノズルを選べるので、中間位置にあることで短い距離で処理カップに移動ができる。
【0021】
さらに本発明は、前記把持用ブロック部の下方に位置決め凸部を備え、前記ノズル待機部における前記把持アームが待機位置に配置される位置に前記位置決め凸部が挿入される位置決め凹部が設けられていることを特徴とする。
【0022】
このように構成することにより、処理液供給ノズルは接続管と把持用ブロック部とを直線状に整列した状態で並行してノズル待機部に待機させているので、ノズルブロック部の待機する高さと把持用ブロック部が同じ高さになるように位置させると共に、把持用ブロック部に凸部を設けて凹部に挿入させることで横ずれが防止できる。このことにより把持アームの位置決めトラブルを抑制できる。
【0023】
さらに本発明は、前記温度調整配管を内包して一方向にのみ屈曲自在な配管ガード部材を備え、前記配管ガード部材は、前記配管ガード部材を前記2つの処理カップの間の中間位置から前記把持アームの延在位置方向に沿った前記把持用ブロック部に向けて直角に前記温度調整配管を取り出す位置が左右対称に複数設けられていることを特徴とする。
【0024】
このように構成することにより、処理液供給管を含む温度調整配管を配管ガード部材で囲い処理液供給ノズルの移動と共に2つの処理カップ間を移動することができる。処理液供給ノズルは前述のノズル待機部に複数配置される数で2分して、それらを左右対称に配置するので配管同士の擦れ合いが抑制できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、処理液供給ノズルを接続するノズルブロック部と把持用ブロック部とを接続管で連結して直状にし、この直状に構成されたノズルブロック部と把持用ブロック部の2箇所で把持するので、基板吐出位置に対する処理液供給ノズルの位置ずれが無くなり塗布膜の形成不良を無くすことができる。また、処理液供給ノズルの移動のときに生じる虞のある配管同士の擦れがなくなり、基板上へのパーティクルの付着起因の欠陥を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る基板処理装置を適用した塗布ユニットの概略平面図である。
【図2】本発明におけるノズル搬送部の動作を示す概略斜視図である。
【図3】前記塗布ユニットの概略断面図である。
【図4】本発明における把持アームとノズル把持体を示す概略断面図(a)及び(a)のI部拡大断面図(b)である。
【図5】本発明におけるノズルブロック部の正面図(a)及び把持用ブロック部の正面図(b)である。
【図6】本発明におけるノズルバスの概略平面図(a)及び(a)のII−II線に沿う拡大断面図(b)である。
【図7】本発明におけるノズル把持体の端部に設ける距離調整管の断面図である。
【図8】本発明における位置決め凸部と嵌合する位置決め部材を示す斜視図である。
【図9】本発明におけるノズル把持体の別構成の概略断面図(a)及び(a)のIII部拡大断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る基板処理装置を、ウエハにレジスト液または反射防止膜形成液を塗布する塗布ユニットに適用した実施の形態について説明する。初めに実施の形態に係る塗布ユニットの構成の概要を説明する。
【0028】
塗布ユニット1は、図1に示すように、2つの液処理を行うための処理カップ5,6を横方向(図中のY方向)に並べて配置しており、この処理カップ5,6の中心に回転保持部である吸着チャック3,4がそれぞれ処理カップ5,6に囲われる状態で備わっている。被処理基板であるウエハWは、塗布ユニット1の筐体に設けられた搬入口2から詳細を図示しない横(図中のY方向)、縦、回転方向に自在であり且つ水平方向に進退自在な搬送アームRによって塗布ユニット1内に搬入される。図3に示すように、吸着チャック3,4は軸部を介して図示しない駆動機構(スピンチャックモータ)に接続されており、ウエハWを保持した状態で回転自在に構成されている。処理カップ5,6は、図3に示すように、外カップ7と内包される内カップ8を備え、中心に吸着チャック3,4が配置しその周囲の3箇所に昇降自在な基板昇降ピン9を備えている。この基板昇降ピン9を上昇させた位置で搬送アームRがウエハWを基板昇降ピン9に載置してから、基板昇降ピン9を下降させることで吸着チャック3,4へのウエハWの受渡しが完了する。
【0029】
塗布ユニット1は、2つの処理カップ5,6で処理をされるウエハWの処理レシピに伴って変更されるレジスト液または反射防止膜形成液を供給するための処理液供給ノズル10を複数有している。この処理液供給ノズル10を把持して搬送するためのノズル搬送部11と、このノズル搬送部の構成部である把持アーム12と、処理液供給ノズル10を待機させるノズル待機部であるノズルバス13と、ウエハWに塗布されたレジスト膜の周縁部を除去するため溶剤ノズル14とこの溶剤ノズルを回動して基板の周縁部に移動させる回動部を含むエッジ・ビード・リムーバ(Edge Bead Remover:EBR)機構15と、を備えている。
【0030】
なお、処理カップ5,6は、スピンコーティング等の際にウエハWを回転させることによって飛散したミストが筐体内に飛び散るのを抑え塗布ユニット1外に排出する役割を果たす。
【0031】
次に、本発明におけるノズル把持体16の構造について詳細に説明する。ノズル把持体16は、複数の部材の組み合わせによって構成されており、大きく分けて3つの主要部であるノズルブロック部17、把持用ブロック部18と接続管19とによって構成されている。
【0032】
先ず、ノズルブロック部17について詳細を説明する。ノズルブロック部17は縦方向が長い直方体のブロック形状をしており、下面部側に交換式ノズル部材20が取付け可能にノズル止め雄ねじ21を備えている。この雄ねじ21に対向した上面側には後述する把持アームで把持するための凹部形状のノズル側把持穴40(第1の把持穴)が設けられている。この内部には処理液である例えばレジスト液の処理液供給管21(詳細は後述する)と接続される処理液流路22が形成されて雄ねじ21側に連通している。
【0033】
把持用ブロック部18は、ノズルブロック部17と同様の外観が直方体のブロック形状であるが、このブロック形状の中央には詳細は後述するが処理液供給管21を含む温度調整配管26(以下に温調配管26という)が挿入できるように円形の開口穴23が設けられている。この開口穴23を通して処理液供給管21がノズルブロック部17側に接続される。また、把持用ブロック部18の下面には位置決め用に突起である位置決め凸部24が設けられ、上面側にはノズルブロック部17と同様の凹部形状となっている温調配管側把持穴25(第2の把持穴)が設けられている。位置決め凸部24の作用については後述するものとする。
【0034】
また、ここで温調配管26について説明をすると、温調配管26は断面円形であり、処理液供給管21を中心としてこれを囲むように2重の第1,第2の配管を備えている。この2重の配管には所定の温度に保たれた恒温温調水を流通させるために外側に位置する第2の配管である外殻温調チューブ27と、内側に位置する第1の配管である内殻温調チューブ28とを有している。恒温温調水は図示しない恒温水循環サーキューレータより供給されて、処理液供給管21と内殻温調チューブ28との間を図4中の矢印の方向に通流する。そして、内殻温調チューブ28と外殻温調チューブ27との間を矢印のリターン方向に通流するものである。なお、温調配管26は可撓性を有しており自在に曲げることが可能なものである。
【0035】
次に接続管19について説明する。接続管19は、長さ300mm程の例えば、金属や硬質の合成樹脂製の直管であり、前述のノズルブロック部17と把持用ブロック部18との間に取付けられて、この2つを接続するものである。接続管は内部が空洞で中央部の断面が方形もしくは円形であり、ノズルブロック部17と把持用ブロック部18とに接続される接続面がこれら2つのブロック部17,18の接続側の形状に合致する形となっている。なお、さらに詳細な構造では図4の接続管の両端にあって、ノズルブロック部17と把持用ブロック部18との間にはそれぞれ配管を保持するための厚板状の保持部材29,30が設けられている。
【0036】
ノズルブロック部17側の処理液配管保持部材30は、中央に処理液供給管21のみが挿入できる開口穴30aが設けられており、その厚み中央にはOリング31が嵌入されてOリング31を通して処理液供給管21はノズルブロック部17に挿入される。処理液配管保持部材30とノズルブロック部17とはノズルブロック部17の端部側面から4箇所で止めねじ34aによってねじ止め固定される。処理液配管保持部材30とノズルブロック部17の接合する面には処理液供給管21を通して別のOリング32が介在されている。さらに接続管19の端部には板状の端部材19aが固着されており、この端部材19には、処理液配管保持部材30の開口穴30aと同様の開口穴19bが開けられており、その開口穴19bに処理液供給管21を貫挿する構成になっている。接続管19の端部材19aと処理液配管保持部材30は4箇所で止めねじ34bによってねじ固定されて連結されている。
【0037】
把持用ブロック部18側の温調配管保持部材29は、温調配管26の外殻温調チューブ27の端部を接続管19の端部に固着された円形の端部材19cとの間に固定される。この場合、図4(a),(b)に示すように、端部材19cの中心には、外殻温調チューブ27と同径の開口穴19dが設けられると共に、端部材19cの外面には開口穴19dの開口端から端部材19cの面部に向かって拡径テーパ状の斜面19eが形成されている。一方、温調配管保持部材29には外殻温調チューブ27を貫通する開口穴29aが設けられており、この開口穴29aの接続管19側端部には拡径テーパ面29bが形成されている。前述のように形成された端部材19cの拡径テーパ状の斜面19eと温調配管保持部材29の拡径テーパ面29bとの間に外殻温調チューブ27の端部を挟み込んだ状態で、止めねじ34cによって温調配管保持部材29と端部材19cとをねじ止めすることで、外殻温調チューブ27は接続管19に気水密にシール(封止)される。そして、この温調配管保持部材29と把持用ブロック部18とをさらにねじ止めして固定する。
【0038】
以上のように主要な3つの部材であるノズルブロック部17、把持用ブロック部18及び接続管19を止めねじ34a,34dによって連結することにより、ノズル把持体16は直線的な棒状の構成物となる。
【0039】
次に、図1の図面に戻り、ノズル把持体16が配置される塗布ユニット1について説明をする。ノズル把持体16は、処理カップ5と処理カップ6とが配置される間に設けられるノズル待機部としてのノズルバス13に複数固が並べて配置される。
【0040】
ここでノズルバス13について図6を参照して説明する。ノズルバス13は、長方形の立方体形状に形成されており、処理液供給ノズル10が不使用時に待機させておくためのノズル待機穴50が処理液供給ノズル10に対応する数だけ設けられている。図中二点鎖線で示す処理液供給ノズル10がノズル待機穴50に挿入されている。待機中の処理液供給ノズル50の先端部付近に対応する位置から先端部を洗浄するための溶剤を供給するためのシンナー供給路52が設けられている。これにより定期的なタイミングで処理液供給ノズル10の先端を洗浄できる。また、処理液供給ノズル10からは定期的なダミーディスペンスが実施されてノズル先端内部の劣化や汚れた処理液を捨てるように制御されている。この捨てられる処理液とシンナーとがドレイン通路53に流されて排出される構造になっている。なお、ノズル待機穴50の近傍外周にはOリング51が周設されており、ノズル待機穴50内に挿入される処理液供給ノズル10との気水密が維持されるようになっている。
【0041】
ノズルバス13にノズルが待機されているかどうか、または処理液供給ノズル10が所定の位置からずれていないかどうかを判断するためのノズル位置検知手段であるマグネットセンサ54がノズルバス13のノズル待機穴50の横に設けられている。このマグネットセンサ54に対向するようにノズルブロック部17の下面側にマグネット55が備えられている。このノズルバス13に供給されるシンナーと排出されるドレイン通路は複数のノズル待機穴50と共通している。
【0042】
図1にはノズルバス13に例えば4本のノズル把持体16が並べられている。このノズル把持体16は把持アーム12と嵌合することによって接続される。すなわち、図4に示すように、把持アーム12のノズルブロック部17に対向する位置に第1の把持用凸部41を設け、この第1の把持用凸部41をノズル側把持穴40と嵌合して接続される。また同様に、把持用ブロック部18に対向する位置に第2の把持用凸部42を備え、この第2の把持用凸部42を温調配管側把持穴25に嵌合して接続される。これにより、ノズル把持体16は2点支持により昇降および移動自在となる。
【0043】
次に図1、図2を用いて把持アーム12を含みノズル搬送部11の動きについて説明をする。図2ではノズル搬送部11の動きの方向を矢印を用いて示している。ノズル搬送部11は搬送アームRとアクセスをするための基板搬入口2と対極に設けられている位置に横方向に延在する移動ガイドレール60とそれを摺動して移動させる移動摺動部61と移動摺動部61に接続されて移動ガイドレール60と並行して設けられるタイミングベルト62と両端に駆動プーリー63と自由プーリー64と駆動プーリー63を回転させるモータ65を備えており、これにより2つに処理カップ5,6を共通して移動可能に構成されている。また、把持アーム12は図示しない昇降用のモータとボールねじ機構とによって昇降自在に構成されており、ノズルバス13に待機しているノズル把持体16を選択的に把持できるように、第1の把持用凸部41と第1の把持用凸部42とにそれぞれ複数設けられるチャッキングボール43を動作させるべく、エア供給源45に接続されるエア配管44が内部に配管されている。なお、図1のノズル搬送部11の位置はノズルバス13と重なるので、便宜上、処理カップ6にずらしている図である。
【0044】
このノズル把持体16は、ノズルバス13に待機する位置にて把持用ブロック部18側の後端部に後述する温調配管26を内包する配管ガイド部材37a,37bから略直角になるようにして複数の配管ガイド部材37a,37b同士が接触しない最適な形状で温調配管26を取り出してノズル把持体16に導くための部材である距離調整管35を備えている。
【0045】
この場合、距離調整管35は、図7に示すように、把持用ブロック部18の開口部23の開口端部に設けられた拡径部23a内にOリング23bを介して一端が嵌挿固定されて、把持用ブロック部18から所定の調整距離Lに突設されている。なお、配管ガイド部材37a,37bには温調配管26との擦れ防止の擦れ防止Oリング36が設けられている。
【0046】
配管ガイド部材37a,37bは、合成樹脂製の一方向にのみ屈曲可能な可撓性を有した構造体である。図1及び図2に示すように、ノズルバス13に配置された複数のノズル把持体16の内側よりの2本が距離調整管35の調整距離を長くとり、配管ガイド部材37aはその長さ分の移動ガイドレール60寄りに距離を取ることができる。また、ノズルバス13の外側に配置されたノズル把持体16は距離調整管35を短くすることにより配管ガイド部材37bを配管ガイド部材37aよりも処理カップ6寄りに配置することができる。
【0047】
この処理液供給ノズル10が複数準備される場合には特に有効であり、数が偶数の場合には配管ガイド部材37をノズルバス13の両端側にそれぞれ位置するノズル把持体16につながる配管ガイド部材37a,37bから順次、横方向に左右対称に並べられる。このように配置させることで配管ガイド部材37a,37bの干渉をなくせる。また、配置面積を抑えることができる。
【0048】
次に、位置決め部材38について説明する。この位置決め部材38は、図8に示すように、把持用ブロック部18が上方で対向する位置に設けられている。把持用ブロック部18が有している位置決め凸部24と一致する位置に開口するノズル位置決め凹部であるノズル位置決め穴39を備えている。
【0049】
このノズル位置決め穴39によってノズル把持体16はノズルバス13のノズル待機穴50との2箇所で止められた状態で待機するので、ノズル把持アーム12がノズル把持体16を把持するときに嵌合させる位置のずれを生じることがない。
【0050】
次に、ノズル把持体16の接続状態について図4を参照して説明する。温調配管26の外殻温調チューブ27は、前述したように、接続管19の端部材19cと温調は移管保持部材29の拡径テーパ状の斜面19eと拡径テーパ面29bとの間に挟み込まれて、気水密にシール(封止)され、内殻温調チューブ28は接続管19のノズルブロック部17側の端部で開放しておくようにし、接続管19の内部に恒温温調水の帰還側の流れを矢印に示すように構成させる。
【0051】
このように把持構成体16の接続管19内部を流路の一部として使用することで、外殻温調チューブ27を通過させる恒温温調水よりも多くの液量を保持できるので処理液供給ノズル10に近い部分で周囲の雰囲気の変化による影響を受け難くなる。また、液量が多いので処理液の処理液流路22を内部に有するノズルブロック部17自体が恒温温調水の設定温度に近づくように構成できるので、吐出寸前の処理液まで設定温度にできる。これにより塗布膜の形成において温度影響を受けなくなり、膜厚均一性が向上すると共に処理されたウエハWの膜厚のばらつきが小さくなる。
【0052】
次に図9に別の実施形態の使用状態を説明する。ノズル把持体16Aの内部を流路の一部として使用せずに温度調整配管の外殻温調チューブ27を把持用ブロック部18Aに貫通させて、接続管19の内部をそのまま通してノズルブロック部17側に外殻温調チューブ27から恒温温調水が漏れないようにシール(封止)するための構造を有する温調配管シールブロック70が設けられている。
【0053】
この場合、ノズルブロック部17に止めねじ34aによってねじ止めされる温調配管シールブロック70に、処理液供給管21をOリング31を介して貫通する開口穴71と、開口穴71より大径の中間穴72と、中間穴72より大径の大径穴73とからなる段付き穴が設けられている。また、温調配管シールブロック70の中間穴72の先端から垂直段部面74に向かって拡径のテーパ面75が形成されている。
【0054】
一方、ノズル把持体16Aを構成する接続管19の端部に固着される端部材19Aには、外殻温調チューブ27を貫挿する開口穴19fが設けられると共に、開口穴19fの開口端に拡径テーパ状の傾斜面19gが形成されている。このように形成される端部材19Aの傾斜面19gと温調配管シールブロック70のテーパ面75との間に外殻温調チューブ27の端部を挟み込んだ状態で、止めねじ34dによって端部材19Aと温調配管シールブロック70をねじ止めすることによって外殻温調チューブ27の端部が温調配管シールブロック70及びノズルブロック部17に気水密にシール(封止)される。これにより、恒温温調水は、この温調配管シールブロック70にて帰還流となる。
【0055】
このように構成することにより、接続管を温調配管シールブロック70と把持用ブロック部18にねじ止めするだけで足りることになり構造が簡単になる。また、外殻温調チューブ27をさらに保護する構造となるため、恒温温調水が塗布ユニット1の雰囲気の影響を受けないので処理液の温度が安定となる。
【0056】
次に、ノズル把持体16,16Aがノズル搬送部11により把持されて処理カップ上の基板中央まで移動するときの動きについて説明する。塗布ユニット1の処理レシピに設定されるノズル使用の指令により、ノズルバス13に待機している所定の処理液ノズル10が決定される。この決定された処理液ノズル10の位置にノズル搬送部11が移動してノズル把持アーム12を下降させる。この時に第1と第2の把持用凸部41、42のチャッキングボール43は共にフリーにされており、下降完了と同時にエアが供給されて嵌合して接続が完了する。
【0057】
次に、ノズル把持アーム12を規定位置まで上昇させた後、ノズル搬送部11をウエハWの搬入された処理カップ5に移動させて処理液の吐出高さまで下降して吐出を完了させる。次に処理カップ6に搬入されたウエハWにも同様に移動と下降を行い処理液の吐出を完了させる。この時に左右対称に構成される配管ガード部材37a,37bの他方の上を乗り越えて移動されるので、処理液供給管21,温調配管26は擦れる虞はない。
【0058】
また、上記実施形態では、この発明に係る基板処理装置の塗布ユニット1を半導体のレジスト塗布処理に適用した場合について説明したが、この発明に係る基板処理装置は、露光後の現像処理を行う現像処理ユニット、基板の表面を処理液で洗浄処理を行う洗浄処理ユニットやFPD基板の表面に液処理が行われる液処理ユニットにも適用できることは勿論のことである。
【符号の説明】
【0059】
W 半導体ウエハ(被処理基板)
1 塗布ユニット
3,4 吸着チャック(回転保持部)
5,6 処理カップ
10 処理液供給ノズル
11 ノズル搬送部
12 把持アーム
13 ノズルバス(ノズル待機部)
16,16A ノズル把持体
17 ノズルブロック部
18,18A 把持用ブロック部
19 接続管
20 ノズル部材
21 処理液供給管
25 温調配管側把持穴(第1の把持穴)
26 温調配管(温度調整配管)
27 外殻温調チューブ(第2の配管)
28 内殻温調チューブ(第1の配管)
29 温調配管保持部材
30 処理液配管保持部材
35 距離調整管
38 位置決め部材
39 ノズル位置決め穴(ノズル位置決め凹部)
40 ノズル側把持穴(第1の把持穴)
41 第1の把持用凸部
42 第2の把持用凸部
50 ノズル待機穴
70 温調配管シールブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面で回転可能に基板を保持する回転保持部と、
前記回転保持部に保持された基板の表面に向けて処理液を供給する複数の処理液供給ノズルと、
前記複数の処理液供給ノズルを前記回転保持部の側方の待機位置に着脱可能に保持するノズル待機部と、
前記ノズル待機部に保持される前記複数の処理液供給ノズルのうち一つを選択して把持して前記基板の上方に移動させる把持アームを有するノズル搬送部と、
を備える基板処理装置において、
前記処理液供給ノズルを接続し、上部に第1の把持穴を設けるノズルブロック部と、
上部に第2の把持穴を設ける把持用ブロック部と、
前記ノズルブロック部と前記把持用ブロック部の間に配置されて、前記両ブロック部同士を直状に接続する接続管と、を備え、
前記処理液供給ノズルに連通される処理液供給管は、前記接続管の中に配管され、
前記把持アームは、前記第1の把持穴に嵌合可能な第1の把持用凸部と、前記第2の把持穴に嵌合可能な第2の把持用凸部を備え、
前記基板の上方に前記処理液供給ノズルを移動する際は、前記ノズルブロック部の第1の把持穴と前記把持用ブロック部の第2の把持穴にそれぞれ前記第1及び第2の把持用凸部を同時に嵌合して把持した状態で移動させる、
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記接続管の中に配管され、前記処理液供給管を二重に囲うように設けられる第1の配管と第2の配管とを含む温度調整配管を備え、
前記温度調整配管は、前記処理液供給管と前記第1の配管の間には温度調整された流体を前記処理液供給ノズルに向かう方向に流通させ、前記第1の配管と前記第2の配管との間には前記流体をこの流体の供給側に戻す方向に流通させる、ことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液供給管を二重に囲うように設けられる第1の配管と第2の配管とを含む温度調整配管を備え、
前記温度調整配管は、前記処理液供給管と前記第1の配管の間には温度調整された流体を前記処理液供給ノズルに向かう方向に流通させ、前記第1の配管と前記第2の配管との間には前記流体をこの流体の供給側に戻す方向に流通させてなり、前記処理液供給管と前記第1の配管とを前記接続管の中に配管し、前記第2の配管の外皮を前記把持用ブロック部でシールして、前記流体を前記接続管内部に流して流体の供給側に戻すように構成してなる、ことを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ノズル搬送部は少なくとも前記回転保持部を備える2つの処理カップの間に設けられて前記処理カップに共用されるように構成され、前記処理カップの間には、前記複数の処理液供給ノズルと対応する複数のノズル待機穴にそれぞれ処理液供給ノズルを挿入して待機させるためのノズル待機部を備えている、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記把持用ブロック部の下方に位置決め凸部を備え、前記ノズル待機部における前記把持アームが待機位置に配置される位置に前記位置決め凸部が挿入される位置決め凹部が設けられている、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記温度調整配管を内包して一方向にのみ屈曲自在な配管ガード部材を備え、
前記配管ガード部材は、この配管ガード部材を前記2つの処理カップの間の中間位置から前記把持アームの延在位置方向に沿った前記把持用ブロック部に向けて直角に前記温度調整配管を取り出す位置が左右対称に複数設けられている、ことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−23071(P2012−23071A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157498(P2010−157498)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】