説明

基板実装構造及び液晶表示装置、並びに基板実装構造の製造方法

【課題】製造工程の増加を抑制し、且つ素子基板に実装された配線基板の接着強度を高める。
【解決手段】素子基板11及び配線基板23の少なくとも一方に対し、実装領域11aの表面及び実装領域11aが規定された端部の基板端面11bに接着材22が配置されるように接着材22を供給する接着材供給工程と、供給された接着材22を介して実装領域11aの表面及び基板端面11bに配線基板23を同時に圧着することにより、配線基板23を素子基板11に実装する圧着工程とを含むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板実装構造及び液晶表示装置、並びに基板実装構造の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一般に、一対の基板の間に設けられた枠状のシール材の内側に液晶層が封入された液晶表示パネルを備え、その液晶表示パネルに信号や電流を供給するためのフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit、以下、FPCと称する)が実装された基板実装構造を有している。
【0003】
図11は、従来の液晶表示パネル100におけるFPC106の実装部分を概略的に示す断面図である。
【0004】
液晶表示パネル100は、図11に示すように、複数の薄膜トランジスタ(Thin Film Transister、以下、TFTと称する)等が設けられたTFT基板101と、TFT基板101に対向して配置されて複数のカラーフィルタ(Color Filter、以下、CFと称する)等が設けられたCF基板102と、これらTFT基板101とCF基板102との間で枠状のシール材103の内側に封入された液晶層104とを備えている。
【0005】
液晶表示パネル100は、画像表示を行う表示領域Dと、その表示領域Dの外側に配置されて画像表示に寄与しない非表示領域である額縁領域Fとを有している。そして、TFT基板101はCF基板102よりも突出した端部に規定された実装領域101aを額縁領域Fに有し、その実装領域101aに異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、以下、ACFと称する)105を介してFPC106が実装されている。ACF105は、導電粒子105aが内部に分散されてなる絶縁性を有する接着材である。FPC106は、一端側がACF105によって実装領域101aの表面に接着されてその実装領域101aの表面に設けられた外部接続用端子パッド107にACF105中の導電粒子105aを介して電気的に接続され、他端側がその実装領域101aが規定された端部の基板端面101bを跨ぐようにTFT基板101の背面側へ折り返されている。
【0006】
ところで、液晶表示装置は、サイズが小さくコンパクトであることが好ましい。
【0007】
そこで、特許文献1には、実装領域が規定された端部の基板端面とFPCとの間にもACFとは別個に接着材を配置し、折り返されたFPCを基板端面に沿って密接して固定させることにより、FPCにおける折り返し部分の外側へ張り出す長さを小さくでき、液晶表示装置のサイズを小さくできることが開示されている。さらに、この特許文献1には、液晶表示装置を製造する方法として、ACFを介してFPCの一端側を実装領域の表面に圧着した後、そのFPCを折り返す際に実装領域が規定された端部の基板端面に接着材を配置してその接着材を介して基板端面にFPCの折り返し部分を接着することが開示されている。
【特許文献1】特開2006−78622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、液晶表示装置のサイズを小さくする観点から、液晶表示パネルについては、表示領域が広く、額縁領域が狭いことが求められている。このことから、実装領域の狭小化を図るべく、実装領域の表面においてFPCが接着される接着領域を狭小化すると、それに伴ってTFT基板に対するFPCの接着強度が低くなる。
【0009】
そこで、特許文献1のように、実装領域が規定された端部の基板端面にACFとは別個に接着材を配置して、その基板端面においてもFPCを接着することにより、狭小化される実装領域の表面の接着領域を補ってTFT基板に対するFPCの接着強度を高めることが考えられる。
【0010】
しかし、上述したように実装領域の表面及び基板端面に互いに異なるタイミングでFPCを圧着する場合には、FPCの先の圧着(例えば実装領域の表面への圧着)時の加熱に影響を受けて後に圧着する側(例えば基板端面)の接着材の特性が劣化することを回避するために、FPCを後に圧着する側への接着材の供給を先の圧着を終えた後に行う必要がある。したがって、実装領域の表面にFPCを圧着する工程とは別個に基板端面にFPCを圧着する工程を行うことに加え、実装領域の表面に接着材(ACF)を供給する工程とは別個に基板端面に接着材を供給する工程を行う必要があるため、製造工程が増加してしまう。
【0011】
また、FPCに対して実装領域の表面及びその実装領域が規定された端部の基板端面に接着材が配置されるように接着材を供給しても、実装領域の表面及び基板端面に互いに異なるタイミングでFPCを圧着する場合には、実装領域の表面及び基板端面に接着材をそれぞれ供給するときと同様に、製造工程が増加する。
【0012】
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造工程の増加を抑制し、且つ素子基板に実装された配線基板の接着強度を可及的に高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、この発明では、素子基板及び配線基板の少なくとも一方に対して素子基板の端部に規定された実装領域の表面及びその実装領域が規定された端部の基板端面に接着材が配置されるように接着材を供給した後、その接着材を介して実装領域の表面及び基板端面に可撓性を有する配線基板を同時に圧着するようにした。
【0014】
具体的に、本発明に係る基板実装構造の製造方法は、端部に実装領域が規定された素子基板と、上記実装領域に接着材を介して実装された可撓性を有する配線基板とを備えた基板実装構造を製造する方法であって、上記素子基板及び配線基板の少なくとも一方に対し、上記実装領域の表面及び該実装領域が規定された端部の基板端面に上記接着材が配置されるように該接着材を供給する接着材供給工程と、上記供給された接着材を介して上記実装領域の表面及び基板端面に上記配線基板を同時に圧着することにより、該配線基板を上記素子基板に実装する圧着工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
この製造方法によると、接着材供給工程において素子基板及び配線基板の少なくとも一方に対して実装領域の表面及びその実装領域が規定された端部の基板端面に接着材が配置されるように接着材を供給した後、圧着工程においてその接着材を介して実装領域の表面及び基板端面に配線基板を同時に圧着するため、実装領域の表面に配線基板を圧着する工程とは別個に基板端面に配線基板を圧着する工程を行う必要がなくなる。そして、実装領域の表面及び基板端面の双方に配線基板が接着されるため、実装領域の表面のみに配線基板が接着されている場合に比べて、素子基板に対する配線基板の接着強度が高められる。したがって、製造工程の増加が抑制され、且つ素子基板に対する配線基板の接着強度が可及的に高められる。
【0016】
上記接着材供給工程では、上記実装領域の表面に配置される接着材と上記基板端面に配置される接着材とを一体に供給することが好ましい。
【0017】
この製造方法によると、接着材供給工程において実装領域の表面に配置される接着材と基板端面に配置される接着材とを一体に供給するため、実装領域の表面に接着材が配置されるように接着材を供給する工程とは別個に基板端面に接着材が配置されるように接着材を供給する工程を行う必要がなくなる。その結果、製造工程を増加させることなく、素子基板に対する配線基板の接着強度が可及的に高められる。
【0018】
そのことに加えて、素子基板に配線基板を圧着する際に、実装領域の表面及び基板端面への配線基板の圧着を同じ圧着条件(温度条件及び加圧条件)で行うことが可能になり、実装領域の表面及び基板端面に配線基板を同時に圧着することが容易になる。
【0019】
上記圧着工程では、上記配線基板における上記実装領域の表面及び基板端面に圧着する部分を覆うように変形可能な弾性体からなる加圧部を有する加圧治具により、上記実装領域の表面及び基板端面へ上記配線基板を加圧することが好ましい。
【0020】
この製造方法によると、配線基板における実装領域の表面及び基板端面に圧着する部分を覆うように変形可能な弾性体からなる加圧部を有する加圧治具によって配線基板を加圧することにより、加圧部によって実装領域の表面及び基板端面へ配線基板が均一に加圧されるため、加圧による配線基板の位置ずれが抑制され、その実装領域の表面及び基板端面に配線基板が位置精度良く同時に圧着される。
【0021】
上記圧着工程では、チップ部品を上記配線基板と共に上記加圧治具によって加圧して上記素子基板に実装することが好ましい。
【0022】
この製造方法によると、圧着工程においてチップ部品を配線基板と共に素子基板に実装することにより、配線基板を素子基板に実装する工程とは別個にチップ部品を素子基板に実装する工程を行う必要がなくなるため、製造工程が減少する。
【0023】
上記圧着工程では、互いに異なる加圧治具により、上記実装領域の表面及び基板端面へ上記配線基板を加圧してもよい。
【0024】
この製造方法によると、互いに異なる加圧治具によって実装領域の表面及び基板端面へ配線基板を加圧するため、適正な圧着条件(温度条件及び加圧条件)が互いに異なる接着材が実装領域の表面及び基板端面にそれぞれ配置される場合には、それら各接着材に合わせて各加圧治具毎に圧着条件を適正に設定することにより、実装領域の表面及び基板端面の双方に配線基板を精度良く圧着することが可能になる。
【0025】
上記圧着工程では、上記実装領域の表面及び基板端面に対向するように段状に形成された加圧面を有する加圧治具により、上記実装領域の表面及び基板端面へ上記配線基板を加圧してもよい。
【0026】
この製造方法によっても、実装領域の表面及び基板端面に配線基板が同時に圧着されるため、本発明の作用効果が具体的に奏される。
【0027】
また、本発明に係る基板実装構造は、端部に実装領域が規定された素子基板と、上記実装領域に接着材を介して実装された可撓性を有する配線基板とを備えた基板実装構造であって、上記配線基板は、上記実装領域の表面及び該実装領域が規定された端部の基板端面に一体に形成された上記接着材を介して接着されて上記素子基板に実装されていることを特徴とする。
【0028】
この構成によると、実装領域の表面及びその実装領域が規定された端部の基板端面の双方に一体に形成された接着材を介して配線基板が圧着されているため、実装領域の表面のみに配線基板が接着されている場合に比べて、素子基板に対する配線基板の接着強度が高められる。そして、素子基板への配線基板の実装において、素子基板及び配線基板の少なくとも一方に対して実装領域の表面及び基板端面に接着材が配置されるように接着材を一体に供給した後に、その接着材を介して実装領域の表面及び基板端面に配線基板を同時に圧着することにより、実装領域の表面に接着材が配置されるように接着材を供給する工程とは別個に基板端面に接着材が配置されるように接着材を供給する工程を行う必要がなくなると共に、実装領域の表面に配線基板を圧着する工程とは別個に基板端面に配線基板を圧着する工程を行う必要がなくなる。したがって、製造工程を増加させることなく、素子基板に対する配線基板の接着強度が可及的に高められる。
【0029】
そのことに加えて、一体に形成された接着材を介して実装領域の表面及び基板端面に配線基板が接着されているため、素子基板に配線基板を圧着する際に、実装領域の表面及び基板端面への配線基板の圧着を同じ圧着条件(温度条件及び加圧条件)で行うことが可能になり、実装領域の表面及び基板端面に配線基板を同時に圧着することが容易になる。
【0030】
上記素子基板は、上記実装領域が規定された端部に傾斜した側面を有し、上記配線基板は、上記実装領域の表面及び上記傾斜した側面に設けられた接続電極に電気的に接続されていることが好ましい。
【0031】
この構成によると、素子基板は実装領域が規定された端部に傾斜した側面を有し、実装領域の表面及び傾斜した側面に設けられた接続電極に配線基板が電気的に接続されていることにより、平坦な実装領域の表面に設けられた接続電極に配線基板が電気的に接続されている場合に比べて、傾斜した側面に形成されている分大きく形成された接続電極に配線基板が接続されているため、接続電極と配線基板との接続面積が大きくなり、これら接続電極と配線基板との電気的な接続の信頼性が高められる。これにより、接続電極と配線基板との接続面積の減少を抑制して、且つ実装領域を狭小化することが可能になる。
【0032】
また、本発明に係る液晶表示装置は、端部に実装領域が規定された素子基板と、上記実装領域に接着材を介して実装された可撓性を有する配線基板と、上記素子基板に対向して配置された対向基板と、上記素子基板と上記対向基板との間に設けられた液晶層とを備え、上記実装領域が上記対向基板よりも外側に配置された液晶表示装置であって、上記配線基板は、上記実装領域の表面及び該実装領域が規定された端部の基板端面に一体に形成された上記接着材を介して接着されて上記素子基板に実装されていることを特徴とする。
【0033】
この構成によると、実装領域の表面及びその実装領域が規定された端部の基板端面の双方に一体に形成された接着材を介して配線基板が圧着されているため、実装領域の表面のみに配線基板が接着されている場合に比べて、素子基板に対する配線基板の接着強度が高められる。そして、素子基板への配線基板の実装において、素子基板及び配線基板の少なくとも一方に対して実装領域の表面及び基板端面に接着材が配置されるように接着材を一体に供給した後に、その接着材を介して実装領域の表面及び基板端面に配線基板を同時に圧着することにより、実装領域の表面に接着材が配置されるように接着材を供給する工程とは別個に基板端面に接着材が配置されるように接着材を供給する工程を行う必要がなくなると共に、実装領域の表面に配線基板を圧着する工程とは別個に基板端面に配線基板を圧着する工程を行う必要がなくなる。したがって、製造工程を増加させることなく、素子基板に対する配線基板の接着強度が可及的に高められる。これにより、製造工程を増加させずに素子基板に対する配線基板の接着強度が低くなることを可及的に抑制して実装領域を狭小化することが可能になる。
【0034】
そのことに加えて、一体に形成された接着材を介して実装領域の表面及び基板端面に配線基板が接着されているため、実装領域に配線基板を圧着する際に、実装領域の表面及び基板端面への配線基板の圧着を同じ圧着条件(温度条件及び加圧条件)で行うことが可能になり、実装領域の表面及び基板端面に配線基板を同時に圧着することが容易になる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、端部に実装領域が規定された素子基板及び配線基板の少なくとも一方に対して実装領域の表面及びその実装領域が規定された端部の基板端面に接着材が配置されるように接着材を供給する接着材供給工程を行った後、その接着材を介して実装領域の表面及び基板端面に可撓性を有する配線基板を同時に圧着する圧着工程を行うので、製造工程の増加を抑制でき、且つ素子基板に対する配線基板の接着強度を可及的に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0037】
《発明の実施形態1》
図1〜図4は、本発明の実施形態1を示している。図1は、液晶表示装置Sを概略的に示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿って液晶表示装置Sを概略的に示す断面図である。
【0038】
液晶表示装置Sは、図1及び図2に示すように、液晶表示パネル10と、液晶表示パネル10を駆動するための信号及び電流を外部回路(図示省略)から液晶表示パネル10に供給する可撓性を有する配線基板であるフレキシブルプリント配線基板(Flexible Printed Circuit、以下、FPCと称する)23とを備え、液晶表示パネル10にFPC23が実装された基板実装構造を有している。
【0039】
液晶表示パネル10は、複数の薄膜トランジスタ(Thin Film Transister、以下、TFTと称する)が設けられた素子基板であるTFT基板11と、TFT基板11に対向して配置されて複数のカラーフィルタ(Color Filter、以下、CFと称する)が設けられた対向基板であるCF基板12と、これらTFT基板11とCF基板12との間に設けられた液晶層13とを備えている。この液晶表示パネル10は、複数の画素から構成されて画像表示を行う表示領域Dと、表示領域Dの外側に配置されて画像表示に寄与しない非表示領域である額縁領域Fとを有している。
【0040】
TFT基板11及びCF基板12は、矩形状等に形成され、図示は省略するが、液晶層13側の表面に配向膜がそれぞれ設けられていると共に、液晶層13とは反対側の表面に偏光板がそれぞれ設けられている。これらTFT基板11とCF基板12との間には枠状のシール材14が配置されており、このシール材14の内側に液晶材料が封入されていることにより、上記液晶層13が構成されている。
【0041】
図示は省略するが、CF基板12には、各CFを覆うように液晶層13側に共通電極が設けられている。また、TFT基板11には、共通電極に信号を供給するための共通配線、各TFTにそれぞれ電気的に接続されたゲート線及びソース線の複数の表示用配線と、各TFTにそれぞれ電気的に接続されてマトリクス状に配置された複数の画素電極とが液晶層13側に設けられている。
【0042】
また、このTFT基板11は、図1及び図2に示すように、CF基板12よりも外側に突出した端部に規定された実装領域11aを額縁領域Fに有している。
【0043】
この実装領域11aには、図2に示すように、上記各表示用配線にそれぞれ電気的に接続された接続電極である外部接続用端子パッド17が複数形成されている。各外部接続用端子パッド17は、各表示用配線から実装領域11aにそれぞれ引き出された複数の引き出し配線15を覆う絶縁膜16上に設けられ、その絶縁膜16に形成された貫通孔16aを介して各引き出し配線15にそれぞれ接続されている。
【0044】
そして、この実装領域11aには、上記FPC23が、例えば異方性導電フィルム(Anisotropic Conductive Film、以下、ACFと称する)22を介して実装されている。ACF22は、導電粒子22aが内部に分散されてなる絶縁性の接着材であり、導電粒子22aが各外部接続用端子17とFPC23とに挟まれた部分において導電性を発揮する。
【0045】
FPC23には、図示は省略するが、TFT基板11の各TFTを駆動させるためのドライバ及びタイミングコントローラ等を有するチップ部品である液晶駆動用の集積回路(Integrated Circuit)チップ(以下、ICチップと称する)が搭載されている。すなわち、液晶表示装置Sは、いわゆるCOF(Chip On Film)構造を有している。
【0046】
尚、本実施形態では、ドライバ及びタイミングコントローラ等を有するICチップがFPC23に搭載されているとしているが、ICチップがFPC23に搭載されずにドライバ及びタイミングコントローラ等がTFT基板に直接に形成されていてもよい。
【0047】
このFPC23は、例えば、ポリイミド等からなる基材24の表面に各外部接続用端子パッド17及び外部回路とICチップとをそれぞれ電気的に接続するための銅箔等からなる複数の配線25が設けられており、これら各配線25における各外部接続用端子パッド17、外部回路及びICチップに接続される各端子部を除く部分がポリイミド等からなるカバーレイ26によって覆われてなる。
【0048】
そして、このFPC23は、一端側がACF22を介して実装領域11aの先端側の表面に接着されていると共に各配線25がACF22中の導電粒子22aを介して各外部接続用端子パッド17にそれぞれ電気的に接続され、他端側がその実装領域11aが規定された端部の基板端面11bを跨ぐようにTFT基板11の背面側に折り返されている。基板端面11bには、実装領域11aの表面に配置されたACF22と一体に形成されたACF22が配置されており、そのACF22を介してFPC23が接着されている。すなわち、FPC23は、実装領域11aの表面及び基板端面11bの双方に一体に形成されたACF22を介して接着されている。
【0049】
このFPC23が実装された液晶表示パネル10は、図示は省略するが、その表示領域Dが露出するように矩形枠状に形成されて液晶表示パネル10の前面側に配置された金属製のベゼルに保持されている。液晶表示パネル10を保持しているベゼルは、シャーシの前面側に取り付けられている。シャーシは、外縁部に曲げ起こされる等して形成された側壁を有しており、その側壁にねじ止めされる等してベゼルが取り付けられている。このシャーシの内側には、拡散シートやプリズムシート等の複数の光学シート、及びこれら各光学シートを介して液晶表示パネル10へ光を出射するバックライトユニット等が配置されている。
【0050】
こうして、液晶表示装置Sは、FPC23を介して入力された信号に基づいて各画素毎に液晶層13に電圧を印加して、その電圧の大きさに応じて液晶分子の配向状態を制御することにより、バックライトユニットから出射された光が液晶表示パネル10を透過するときの透過率を調整して、所望の画像表示を行うように構成されている。
【0051】
−製造方法−
次に、上記液晶表示装置Sの製造方法について説明する。
【0052】
液晶表示装置Sを製造するには、まず、TFT基板11及びCF基板12をそれぞれ作製し、これら両基板11,12をシール材14を介して互いに貼り合わせると共に、そのシール材14によってTFT基板11とCF基板12との間に液晶層13を封入することによって液晶表示パネル10を作製する。そして、液晶表示パネル10の両面に偏光板をそれぞれ貼り付けた後、その液晶表示パネル10にFPC23を実装する。その後、FPC23が貼り付けられた液晶表示パネル10をベゼルに保持させ、そのベゼルを複数の光学シート及びバックライトユニット等が予め内側に配置されたシャーシに取り付ける。本発明に係る液晶表示装置Sは、液晶表示パネル10に対するFPC23の実装方法及び実装構造に特徴があるので、液晶表示パネル10へのFPC23の実装方法について、以下に図3及び図4を参照しながら詳述する。図3は、液晶表示パネル10へのFPC23の圧着に用いる加圧装置30を概略的に示す斜視図である。図4は、液晶表示パネル10にFPC23を圧着している状態を示す断面図である。
【0053】
液晶表示パネル10へのFPC23の実装方法には、接着材供給工程と、圧着工程とが含まれる。
【0054】
接着材供給工程では、FPC23をTFT基板11に圧着した際に、全ての外部接続用端子パッド17をACF22が覆うように、且つ実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22が配置されるように一体に形成されたACF22をFPC23の一端側に貼り付ける。このようにして、実装領域11aの表面に配置される接着材(ACF22)と基板端面11bに配置される接着材(ACF22)とをFPC23に一体に供給する。
【0055】
ここで、本実施形態では、一体に形成された1つのACF22をFPC23に貼り付けるとしているが、複数のACFをこれら各ACFが外部接続用端子パッド17を所定の数毎に覆うように貼り付けてもよい。
【0056】
ところで、FPCはカバーレイのエッジ部分において折り返し等による応力集中によって各配線が断線しやすいため、実装領域の表面及び基板端面にACFを貼り付ける場合には、カバーレイのエッジ部分に各配線を保護する保護樹脂を塗布する必要があり、コストが高くなる。さらに、FPCに保護樹脂を塗布するとその保護樹脂の厚み分液晶表示パネルの背面側に突出部分が設けられ、この保護樹脂による突出部分によってTFT基板の背面側に折り返した状態におけるFPCの背面側へ張り出す長さが大きくなり、液晶表示パネルをシャーシにセットする上で制約になると共に、液晶表示装置を薄型化する妨げとなる。
【0057】
これに対して、本実施形態では、FPC23にACF22を貼り付けることにより、ACF22がカバーレイ23のエッジ部分で各配線22の断線を抑制する機能も果たすため、ACF22とは別個に保護樹脂をFPC23に塗布する必要がない。
【0058】
次に行う圧着工程では、図3に示す加圧装置30を用いてFPC23をTFT基板11に圧着して実装する。加圧装置30は、液晶表示パネル10が載置されるステージ31と、そのステージ31上に配設された加圧治具32とを備えている。
【0059】
ステージ31は、液晶表示パネル10を真空吸着等によって保持するように構成されている。このステージ31には、基板側面11bの図中下方端部に対してもFPC23を確実に接着させるために、基板端面11bよりも外側に配置されるFPC23の領域に重なるように溝部31aが形成されている。加圧治具32は、FPC23における実装領域11aの表面及び基板端面11bに圧着する部分を覆うように変形可能なゴム等からなる加圧部32aをステージ31側に有しており、その加圧部32aがヒーター(図示省略)等によって加熱されると共にステージ31側に降下するように構成されている。ここで、図3中の矢印33は、加圧治具32が降下する方向を示している。
【0060】
この圧着工程では、図3に示すように、まず、液晶表示パネル10をステージ31に載置した後、実装領域11aの表面にACF22(図3では図示省略)が貼り付けられたFCP23の一端側を配置させてそのFPC23の一端側をACF22を介して実装領域11aの表面に仮圧着する。このとき、基板端面11bに対するFPC23の位置ずれを抑制する観点から基板端面11bにもFPC23を仮圧着することが好ましい。
【0061】
その後、加圧治具32の加圧部32aを例えば190℃程度に加熱し、図4に示すように、加圧治具32を降下させて加熱された加圧部32aによって実装領域11aの表面及び基板端面11bへ例えば10秒〜15秒程度に亘ってFPC23を加圧することにより、ACF22を介してこれら実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着する。ここで、図4中の矢印34は、加圧部32aがFPC23を加圧する方向を示している。そうして、ACF22中の導電粒子22aを介して各外部接続用端子パッド17とFPC23の各配線25とが電気的に接続されて、液晶表示パネル10(TFT基板11)にFPC23が実装される。
【0062】
尚、本実施形態では、190℃程度に加圧部32aを加熱し、10秒〜15秒程度に亘ってFPC23を加圧するとしているが、加圧部32aの加熱温度及びFPC23の加圧時間は、ACF22が硬化してFPC23が実装部11aの表面及び基板端面11bに接着されるように適宜設定することが可能である。また、ヒーターによって加圧部32aを加熱するとしているが、赤外線、紫外線又はレーザーによる光照射等の他の方法によって加圧部32a又はACF22を加熱するようにしてもよい。
【0063】
−実施形態1の効果−
したがって、この実施形態1によると、接着材供給工程において、FPC23に対して実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22が配置されるように一体に形成されたACF22を貼り付けて、実装領域11aの表面に配置される接着材と基板端面11bに配置される接着材とをFPC23に一体に供給した後、圧着工程において、そのACF22を介して実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着するため、実装領域11aの表面に接着材が配置されるように接着材を供給する工程とは別個に基板端面11bに接着材が配置されるように接着材を供給する工程を行う必要がなくなると共に、実装領域11aの表面にFPC23を圧着する工程とは別個に基板端面11bにFPC23を圧着する工程を行う必要がなくなる。そして、実装領域11aの表面及び基板端面11bの双方にFPC23が接着されるため、実装領域の表面のみにFPCが接着されている場合に比べて、TFT基板11に対するFPC23の接着強度を高めることができる。したがって、製造工程を増加させることなく、TFT基板11に対するFPC23の接着強度を可及的に高めることができる。これにより、製造工程を増加させずにTFT基板11に対するFPC23の接着強度の低下を可及的に抑制して実装領域11aを狭小化できる。
【0064】
そのことに加えて、接着材供給工程において実装領域11aの表面に配置される接着材と基板端面11bに配置される接着材とをFPC23に一体に供給するため、実装領域11aの表面及び基板端面11bへのFPC23の圧着を同じ圧着条件(温度条件及び加圧条件)で行うことができ、実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着することを容易にできる。
【0065】
また、圧着工程において、FPC23における実装領域11aの表面及び基板端面11bに圧着する部分を覆うように変形可能な弾性体からなる加圧部32aを有する加圧治具32によってFPC23を加圧するため、実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を均一に加圧できる。そのことにより、加圧によるFPC23の位置ずれを抑制でき、実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を位置精度良く同時に圧着できる。
【0066】
《発明の実施形態2》
図5及び図6は、本発明の実施形態2を示している。尚、以降の各実施形態では、図1〜図4と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。図5は、本実施形態の液晶表示装置Sにおける実装領域11aを概略的に示す断面図である。図6は、本実施形態における圧着工程においてTFT基板11にFPC23を圧着している状態を示す断面図である。
【0067】
上記実施形態1では、COF構造を有する液晶表示装置Sを例に挙げて説明したが、本実施形態では、いわゆるCOG(Chip On Glass)構造を有する液晶表示装置Sについて説明する。
【0068】
本実施形態の液晶表示装置Sは、図5に示すように、FPC23よりも内側において実装領域11aの表面にACF35を介してICチップ36が実装されている。実装領域11aには、外部接続用端子パッド17の他にICチップ36を接続するための複数の入力用端子パッド18及び複数の出力用端子パッド19が設けられている。
【0069】
各入力用端子パッド18及び各出力用端子パッド19は、各外部接続用端子パッド17と共に絶縁膜16上に設けられてその絶縁膜16に形成された各貫通孔16aを介して実装領域11aに形成された複数の配線20,21にそれぞれ接続されている。各外部接続用端子パッド17は、配線20にそれぞれ接続されている。各入力用端子パッド18は各外部接続用端子パッド17に接続された各配線20にそれぞれ接続されている一方、各出力用端子パッド19は各表示用配線から実装領域11aに引き出された各引き出し配線21にそれぞれ接続されている。
【0070】
ICチップ36は、実装領域11a上の各入力用端子パッド18及び各出力用端子パッド19に対応して底面に突起状に設けられた複数の入力用バンプ電極37及び複数の出力用バンプ電極38を有している。そして、これら各バンプ電極37,38がACF35中の導電粒子35aを介して各端子パッド18,19にそれぞれ電気的に接続されている。
【0071】
そして、FPC23は、上記実施形態1と同様に、実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22を介して接着されてTFT基板11に実装されている。そうして、液晶表示装置Sは、FPC23から出力された信号がICチップ36を介して液晶表示パネル10に入力されるように構成されている。
【0072】
本実施形態の液晶表示装置Sを製造するには、接着材供給工程において、上記実施形態1と同様に実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22が配置されるようにFPC23にACF22を貼り付けると共に、ICチップ36を実装するためのACF35を各端子パッド18,19を覆うように実装領域11aに貼り付ける。
【0073】
そして、圧着工程では、実装領域11aの表面にFPC23を仮圧着した後、上記実施形態1と同様の加圧装置30を用いて、図6に示すように、加熱された加圧部32aによってFPC23及びICチップ36をTFT基板11へ加圧して、ACF22を介して実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着すると共に、ACF35を介してICチップ36を実装領域11aの表面に圧着する。ここで、図6中の矢印39は、加圧部32aがFPC23及びICチップ36を加圧する方向を示している。そうして、ICチップ36をFPC23と共に加圧して液晶表示パネル10(TFT基板11)に実装する。
【0074】
尚、本実施形態では、ICチップ36をFPC23と共に液晶表示パネル10に実装するとしているが、ICチップ36の他にコンデンサや抵抗、さらにはダイオード等のチップ部品もFPC23と共に液晶表示パネル10に実装することが可能である。
【0075】
−実施形態2の効果−
したがって、この実施形態2によっても、接着材供給工程においてFPC23に対して実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22が配置されるようにACF22を貼り付けた後、圧着工程においてそのACF22を介して実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着するため、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0076】
そのことに加えて、圧着工程においてICチップ36をFPC23と共にTFT基板11に実装することにより、FPC23をTFT基板11に実装する工程とは別個にICチップ36をTFT基板11に実装する工程を行う必要がなくなるため、製造工程を減少させることができる。
【0077】
《発明の実施形態3》
図7は、本発明の実施形態3を示している。図7は、本実施形態における圧着工程を説明するための断面図である。
【0078】
上記実施形態1及び上記実施形態2では、1つの加圧治具32を用いて実装領域11aの表面及び基板端面11bへFPC23を加圧するとしたが、本実施形態では、互いに異なる別個の加圧治具40、41により、実装領域11aの表面及び基板端面11bへFPC23を加圧する。
【0079】
まず、上記実施形態1と同様に、接着材供給工程において実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22が配置されるようにFPC23の一端側にACF22を貼り付けた後、圧着工程においてACF22が貼り付けられたFCP20の一端側をステージ31に載置された液晶表示パネル10の実装領域11aの表面に配置させてそのFPC23の一端側をACF22を介して実装領域11aの表面に仮圧着する。
【0080】
そして、本実施形態の圧着工程では、図7に示すように、ヒーター等によってそれぞれ加熱された互いに異なる加圧治具40,41によって実装領域11aの表面へFPC23を加圧すると共に基板端面11bへFPC23を加圧することにより、これら実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着する。ここで、図7中の矢印42,43は、各加圧治具40,41がFPC23を加圧する方向をそれぞれ示している。
【0081】
−実施形態3の効果−
したがって、この実施形態3によっても、接着材供給工程においてFPC23に対して実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22が配置されるようにACF22を貼り付けた後、圧着工程においてそのACF22を介して実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着するため、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0082】
《発明の実施形態4》
図8は、本発明の実施形態4を示している。図8は、本実施形態におけるTFT基板11へのFPC23の実装方法を説明するための断面図である。
【0083】
本実施形態では、実装領域11aの表面及び基板端面11bに対向するように段状に形成された加圧面45aを有する加圧治具45により、実装領域11aの表面及び基板端面11bへFPC23を加圧する。
【0084】
まず、上記実施形態1と同様に、接着材供給工程において実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22が配置されるようにFPC23の一端側にACF22を貼り付けた後、圧着工程においてACF22が貼り付けられたFCP23の一端側をステージ31に載置された液晶表示パネル10の実装領域11aの表面に配置させてそのFPC23の一端側をACF22を介して実装領域11aの表面に仮圧着する。
【0085】
そして、本実施形態の圧着工程では、図8に示すように、ヒーター等によって加熱された上記段状の加圧面45aを有する加圧治具45をステージ31側に降下させることによって実装領域11の表面へFPC23を加圧すると共に基板端面11bへFPC23を加圧することにより、実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着する。ここで、図8中の矢印46は、加圧治具45を降下させる方向を示している。
【0086】
−実施形態4の効果−
したがって、この実施形態4によっても、接着材供給工程においてFPC23に対して実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22が配置されるようにACF22を貼り付けた後、圧着工程において実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着するため、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0087】
《発明の実施形態5》
図9は、本発明の実施形態5を示している。図9は、本実施形態における液晶表示装置SのFPC23の実装部分を概略的に示す断面図である。
【0088】
本実施形態の液晶表示装置Sは、図9に示すように、TFT基板11が実装領域11aが規定された端部に傾斜した側面11cを有し、実装領域11aの表面及び傾斜した側面11cに上記実施形態1と同様の大きさの各外部接続用端子パッド17が設けられている。ここで、傾斜した側面11cは、実装領域11aを狭小化する観点から、比較的大きく形成されていることが好ましい。
【0089】
そして、FPC23は、上記実施形態1と同様に、各外部接続用端子パッド17にACF22中の導電粒子22aを介して電気的に接続され、実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22を介して接着されてTFT基板11に実装されている。
【0090】
この液晶表示装置Sを製造するには、液晶表示パネル10にFPC23を実装する前に、TFT基板11の実装領域11aが規定された端部の角部を砥石等によって研磨することにより、その実装領域11aが規定された端部に傾斜した側面11cを形成する。次に、傾斜した側面11cが形成された液晶表示パネル10を洗浄した後、ディスペンサによる描画、印刷法、インクジェット法又はフォトリソグラフィー法等によって実装領域11aの表面に各外部接続用端子パッド17をパターン形成する。
【0091】
その後、上記実施形態1と同様に、接着材供給工程においてFPC23にACF22を貼り付け、圧着工程において実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着してTFT基板11にFPC23を実装する。
【0092】
−実施形態5の効果−
したがって、この実施形態5によると、上記実施形態1と同様に、接着材供給工程においてFPC23にACF22を貼り付け、圧着工程において実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着するので、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0093】
そのことに加えて、実装領域11aが規定された端部に傾斜した側面11cを有し、実装領域11aの表面及び傾斜した側面11cに設けられた上記実施形態1と同様の大きさの各外部接続用端子パッド17にFPC23が電気的に接続されていることにより、上記実施形態1のように平坦な実装領域11aの表面に設けられた同様の大きさの各外部接続用端子パッド17にFPC23が接続されている場合に対して、各外部接続用端子パッド17とFPC23との接続面積を減少させずに、各外部接続用端子パッド17が傾斜した側面11cに形成されている分実装領域11aの突出長さを短くでき、実装領域11aをさらに狭小化できる。
【0094】
《発明の実施形態6》
図10は、本発明の実施形態6を示している。図10は、本実施形態における液晶表示装置SのFPC23の実装部分を概略的に示す断面図である。
【0095】
上記実施形態5では、上記実施形態1と同様の大きさの各外部接続用端子パッド17が実装領域11aの表面及び傾斜した側面11cに設けられているとしたが、本実施形態では、図10に示すように、図11に示す従来の液晶表示パネル100の各外部接続用端子パッド107と同様の大きさの各外部接続用端子パッド17が実装領域11aの表面及び傾斜した側面11cに設けられており、これら各外部接続用端子パッド17にFPC23が電気的に接続されている。
【0096】
−実施形態6の効果−
したがって、この実施形態6によると、上記実施形態1と同様の効果を得ることができることに加えて、実装領域11aの表面及び傾斜した側面11cに設けられた従来の液晶表示パネル100の各外部接続用端子パッド107と同様の大きさの各外部接続用端子パッド17にFPC23が電気的に接続されているため、従来の液晶表示装置に対して、各外部接続用端子パッド17とFPC23との接続面積を減少させることなく、且つTFT基板11に対するFPC23の接着強度を低下させずに実装領域11aを狭小化できる。
【0097】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、接着材供給工程においてFPC23にACF22を貼り付けるとしたが、本発明はこれに限られず、接着材供給工程では、実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22を貼り付けてもよい。
【0098】
接着材供給工程において実装領域11aの表面及び基板端面11bにACF22を貼り付ける場合には、基板端面11bにおける平坦性が比較的低いとその基板端面11bへACF22を貼り付け難いので、接着材供給工程の前に基板端面11bを砥石等によって研磨する等してその基板端面11bの平坦性を高めることが好ましい。
【0099】
また、複数の液晶表示パネルの集合体である液晶表示母パネルを分断して複数の液晶表示パネルを作製する多面取りの液晶表示装置の製造方法においては、液晶表示母パネルを構成するTFT基板の集合体であるTFT母基板をレーザー又はカッターホイール等によってその深さ方向の全体に亘って切断することにより、そのTFT基板を分断することが好ましい。このようにすれば、TFT母基板の表面にスクライブ溝を形成した後にそのスクライブ溝に沿ってTFT母基板を背面側から押圧することによってTFT母基板を分断する、いわゆるスクライブブレイク法によってTFT母基板を分断する場合に比べて、切断面である基板端面11bの平坦性を高めることが可能である。
【0100】
また、接着材供給工程では、TFT基板11及びFPC23の少なくとも一方に対して実装領域11aの表面及び基板端面11bに互いに異なる別個の接着材が配置されるようにそれら各接着材を供給してもよい。
【0101】
このように実装領域11aの表面及び基板端面11bにそれぞれ配置されるように互いに異なる別個の接着材を供給しても、圧着工程においてそれら接着材を介して実装領域11aの表面及び基板端面11bにFPC23を同時に圧着することにより、製造工程の増加を抑制し、且つTFT基板11に実装されたFPC23の接着強度を高めることが可能になる。
【0102】
実装領域11aの表面及び基板端面11bにそれぞれ配置されるように互いに異なる別個の接着材を供給する場合には、上記実施形態2と同様の互いに異なる圧着治具40,41によって実装領域11aの表面及び基板端面11bへFPC23を加圧することが好ましい。
【0103】
このようにすれば、各接着材の適正な圧着条件(温度条件及び加圧条件)が互いに異なる場合にも、それら各接着材に合わせて各加圧治具40,41毎に圧着条件を適正に設定することにより、実装領域11aの表面及び基板端面11bの双方にFPC23を精度良く圧着することが可能になる。
【0104】
上記各実施形態では、ACF22を介してTFT基板11にFPC23を実装するとしたが、本発明はこれに限られず、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)や非導電性ペースト(NCP:Non Conductive Paste)を介してTFT基板11にFPC23を実装してもよい。
【0105】
上記実施形態2では、ICチップ36をFPC23と共にTFT基板11に実装するとしたが、本発明はこれに限られず、FPC23のTFT基板11への実装とは別個にICチップ36をTFT基板11に実装してもよい。
【0106】
上記実施形態5では、各外部接続用端子パッド17が上記実施形態1と同様の大きさに形成されているとした。また、上記実施形態6では、各外部接続用端子パッド17が従来の液晶表示パネル100の各外部接続用端子パッド107と同様の大きさに形成されているとしたが、本発明はこれに限られず、各外部接続用端子パッド17は、傾斜した側面11cの大きさを適宜調整する等してそれら各外部接続用端子パッド17とFPC23との接続面積が十分に確保されるように形成されていればよい。
【0107】
上記各実施形態では、FPC23がTFT基板11の背面側に折り返されているとしたが、本発明はこれに限られず、FPC23は、背面側に折り返されずに接着された基板端面11bの背面側端部から実装領域11aの突出方向に延びて配置されていてもよく、実装領域11aの表面及びその実装領域11aが規定された端部の基板端面11bに接着されていればよい。
【0108】
上記各実施形態では、基板実装構造を有する液晶表示装置Sを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られず、エレクトロルミネッセンス表示装置やプラズマ表示装置等の他の表示装置及びその製造方法に適用することが可能であり、素子基板の端部に可撓性を有する配線基板が実装された基板実装構造及びその製造方法として適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上説明したように、本発明は、基板実装構造及び液晶表示装置、並びに基板実装構造の製造方法について有用であり、特に、製造工程の増加を抑制し、且つ素子基板に実装された配線基板の接着強度を高めることが要望される基板実装構造及び液晶表示装置並びに基板実装構造の製造方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施形態1の液晶表示装置を概略的に示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面を概略的に示す図である。
【図3】実施形態1の圧着工程において用いる加圧治具を概略的に示す斜視図である。
【図4】実施形態1の圧着工程においてTFT基板にFPCを圧着している状態を示す断面図である。
【図5】実施形態2の液晶表示装置におけるICチップ及びFPCの実装部分を概略的に示す実装領域の断面図である。
【図6】実施形態2の圧着工程においてTFT基板にFPCを圧着している状態を示す実装領域の断面図である。
【図7】実施形態3の圧着工程においてTFT基板にFPCを圧着している状態を示す実装領域の断面図である。
【図8】実施形態4の圧着工程においてTFT基板にFPCを圧着している状態を示す実装領域の断面図である。
【図9】実施形態5の液晶表示装置におけるFPCの実装部分を概略的に示す断面図である。
【図10】実施形態6の液晶表示装置におけるFPCの実装部分を概略的に示す断面図である。
【図11】従来の液晶表示装置におけるFPCの実装部分を概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0111】
S 液晶表示装置
11 TFT基板(素子基板)
11a 実装領域
11b 実装領域が規定された端部の基板端面
11c 傾斜した側面
12 CF基板(対向基板)
13 液晶層
14 シール材
22 ACF(接着材)
23 FPC(配線基板)
32,40,41,45 加圧治具
32a 加圧部
36 ICチップ(チップ部品)
45a 加圧面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に実装領域が規定された素子基板と、上記実装領域に接着材を介して実装された可撓性を有する配線基板とを備えた基板実装構造を製造する方法であって、
上記素子基板及び配線基板の少なくとも一方に対し、上記実装領域の表面及び該実装領域が規定された端部の基板端面に上記接着材が配置されるように該接着材を供給する接着材供給工程と、
上記供給された接着材を介して上記実装領域の表面及び基板端面に上記配線基板を同時に圧着することにより、該配線基板を上記素子基板に実装する圧着工程とを含む
ことを特徴とする基板実装構造の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板実装構造の製造方法において、
上記接着材供給工程では、上記実装領域の表面に配置される接着材と上記基板端面に配置される接着材とを一体に供給する
ことを特徴とする基板実装構造の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の基板実装構造の製造方法において、
上記圧着工程では、上記配線基板における上記実装領域の表面及び基板端面に圧着する部分を覆うように変形可能な弾性体からなる加圧部を有する加圧治具により、上記実装領域の表面及び基板端面へ上記配線基板を加圧する
ことを特徴とする基板実装構造の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の基板実装構造の製造方法において、
上記圧着工程では、チップ部品を上記配線基板と共に上記加圧治具によって加圧して上記素子基板に実装する
ことを特徴とする基板実装構造の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の基板実装構造の製造方法において、
上記圧着工程では、互いに異なる加圧治具により、上記実装領域の表面及び基板端面へ上記配線基板を加圧する
ことを特徴とする基板実装構造の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の基板実装構造の製造方法において、
上記圧着工程では、上記実装領域の表面及び基板端面に対向するように段状に形成された加圧面を有する加圧治具により、上記実装領域の表面及び基板端面へ上記配線基板を加圧する
ことを特徴とする基板実装構造の製造方法。
【請求項7】
端部に実装領域が規定された素子基板と、
上記実装領域に接着材を介して実装された可撓性を有する配線基板とを備えた基板実装構造であって、
上記配線基板は、上記実装領域の表面及び該実装領域が規定された端部の基板端面に一体に形成された上記接着材を介して接着されて上記素子基板に実装されている
ことを特徴とする基板実装構造。
【請求項8】
請求項7に記載の基板実装構造において、
上記素子基板は、上記実装領域が規定された端部に傾斜した側面を有し、
上記配線基板は、上記実装領域の表面及び上記傾斜した側面に設けられた接続電極に電気的に接続されている
ことを特徴とする基板実装構造。
【請求項9】
端部に実装領域が規定された素子基板と、
上記実装領域に接着材を介して実装された可撓性を有する配線基板と、
上記素子基板に対向して配置された対向基板と、
上記素子基板と上記対向基板との間に設けられた液晶層とを備え、
上記実装領域が上記対向基板よりも外側に配置された液晶表示装置であって、
上記配線基板は、上記実装領域の表面及び該実装領域が規定された端部の基板端面に一体に形成された上記接着材を介して接着されて上記素子基板に実装されている
ことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2009−272457(P2009−272457A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121936(P2008−121936)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】