説明

基板搬送方法、姿勢変換装置および基板搬送装置

【課題】互いに直交した搬送経路に沿って基板を傾斜姿勢で搬送しながらより少ないスペースで効率良く基板の搬送方向を転換できるようにする。
【解決手段】姿勢変換装置22は、支持テーブル221とこのテーブル221を揺動させる揺動機構とを含む。揺動機構は、テーブル上面が特定方向から見て傾斜しかつ当該方向に傾斜姿勢で搬送される基板Sを受入れる基板受入れ姿勢と、テーブル上面が特定方向と直交する方向から見て傾斜しかつテーブル上に支持した基板Sを当該方向に傾斜姿勢で送り出す基板受渡し姿勢とに亘って支持テーブル221を揺動させる。基板受渡し姿勢は、基板受入れ姿勢で受入れた基板Sの先頭側の辺S1を一辺として基板S上に形成した仮想正方形の対角線のうち当該基板Sの先頭下位側の頂部を通る対角線と平行な軸回りに辺S1が前記直交方向と平行となる位置まで基板Sを回動させた姿勢とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD(液晶表示装置)やPDP(プラズマディスプレイ)等のFPD(フラットパネルディスプレイ)用ガラス基板等の製造に適した基板搬送方法、姿勢変換装置および基板搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LCD等のガラス基板(以下、単に基板という)の製造工程では、搬送ローラにより基板を傾斜姿勢で搬送しながら、その基板表面に処理液を供給することにより所定のプロセス処理を基板に施すことが行われている。このような処理方法によれば、基板上の処理残渣を処理液と共に速やかに基板外に流下させて除去することができ、また、基板上の処理液を速やかに新たな処理液に置換できるため、基板の処理を効率化できる。
【0003】
ところが、上記のように基板を傾斜姿勢でローラ搬送する場合には、傾斜姿勢を維持したまま搬送方向を転換することは困難であり、姿勢変換が必要となる。例えば特許文献1に開示されるように、インデクサ部に対して往路、反転路及び復路からなるコ字型の搬送路を設け、インデクサ部から取出した基板に順次処理を施しながら再びインデクサ部に回収するようなレイアウト構成が採られる場合があるが、このような場合には往路〜反転路、および反転路〜往路で搬送方向を90°転換させる必要があるため当該方向転換地点で基板の姿勢変換が必要となる。
【0004】
このような場合、従来では、図10に示すような装置構成を採用することが行われている。すなわち、インデクサ部500に対して往路501、反転路502及び復路503からなるコ字型の搬送路を設けると共に、往路501、反転路502及び復路503でそれぞれ基板Sを傾斜姿勢で搬送しながら処理を行う場合には、同図に示すように、往路501と反転路502との間に、基板Sの姿勢を往路501搬送時の傾斜姿勢から水平姿勢に戻す第1機構511と水平姿勢に戻した基板Sを次の傾斜姿勢(反転路502搬送時の傾斜姿勢)に変換する第2機構512とを設け、傾斜姿勢の基板Sを一端水平姿勢に戻してから次の傾斜姿勢に変換した後、反転路502に送り出すことが行われている。同様に、反転路502と復路503との間には、傾斜姿勢で搬送される基板Sを水平姿勢に戻す第3機構514と水平姿勢に戻した基板Sを次の傾斜姿勢(復路503搬送時の傾斜姿勢)に変換する第4機構515とが設けられる。
【特許文献1】特開2004−284694号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような構成では、基板Sの搬送方向の転換地点にそれぞれ2つ、合計4つの姿勢変換機構を設ける必要があるため、装置の大型化を助長する。また、基板の姿勢変換に時間を要するため効率的な処理の妨げになるという課題がある。従って、この点を改善することが求められる。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みて成されたものであり、互いに直交した搬送経路に沿って基板を傾斜姿勢で搬送する一方で、より少ないスペースで効率良く基板の搬送方向を転換できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、矩形の基板を第1搬送方向に搬送した後、この第1搬送方向と直交する第2搬送方向に搬送方向を転換して基板を搬送する方法であって、前記基板をその表面が前記第1搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が第1搬送方向と平行となる第1傾斜姿勢に支持した状態で第1搬送方向に搬送する第1搬送工程と、第1搬送方向に搬送される前記基板をその表面が前記第2搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が第2搬送方向と平行となる第2傾斜姿勢に変換する姿勢変換工程と、この姿勢変換工程で第2傾斜姿勢に姿勢変換された前記基板を当該第2傾斜姿勢に支持した状態で前記第2搬送方向に搬送する第2搬送工程と、を含み、前記姿勢変換工程では、第1搬送方向に搬送される基板の先頭側の辺を一辺として当該基板上に形成した仮想正方形の対角線のうち当該基板の先頭下位側の頂部を通る対角線又は当該対角線と平行な軸線回りに前記先頭側の辺が第2搬送方向と平行となる位置まで基板を回動させることにより前記基板を前記第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢に変換するようにしたものである。
【0008】
この方法によれば、第1搬送工程後、一工程で基板の姿勢を第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢に直接変換して第2搬送工程に移行することができる。そのため、従来のように基板の姿勢変換に二工程を要する方法、すなわち、第1搬送方向に搬送される傾斜姿勢(第1傾斜姿勢)の基板を一旦水平姿勢に戻してから次の傾斜姿勢(第2傾斜姿勢)に変換して第2搬送方向に基板を搬送する方法に比べると、基板の姿勢変換に要するスペースを縮小することができ、また当該姿勢変換に要する時間を短縮することができる。従って、より少ないスペースで効率良く基板の搬送方向を転換することが可能となる。
【0009】
一方、本発明に係る姿勢変換装置は、矩形の基板をその表面が搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が搬送方向と平行となる第1傾斜姿勢に支持した状態で第1搬送方向に搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送方向と直交する第2搬送方向に基板を搬送する搬送手段であって基板をその表面が第2搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が第2搬送方向と平行となる第2傾斜姿勢に支持した状態で搬送する第2搬送手段との間に介設され、前記第1搬送手段から第2搬送手段への基板の受渡しを行うべく基板の姿勢を第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢に変換する姿勢変換装置であって、前記基板を少なくとも前記第1搬送方向及び第2搬送方向に変位可能に支持する支持部を備えたテーブルと、このテーブルを揺動可能に支持する支持手段と、前記テーブルの上面が前記第1搬送方向から見て傾斜しかつ前記第1傾斜姿勢で搬送される基板を第1搬送手段から受入れる基板受入れ姿勢と前記テーブルの上面が前記第2搬送方向から見て傾斜しかつテーブル上に支持された基板を第2搬送手段へ受渡し可能とする基板受渡し姿勢とに亘って前記テーブルを揺動させる揺動手段と、を備えており、前記基板受渡し姿勢は、前記基板受入れ姿勢で前記テーブルに受入れた基板の先頭側の辺を一辺として当該基板上に形成した仮想正方形の対角線のうち当該基板の先頭下位側の頂部を通る対角線又は当該対角線と平行な軸線回りに前記先頭側の辺が第2搬送方向と平行となる位置まで当該基板を回動させた姿勢とされているものである。
【0010】
この姿勢変換装置によると、基板受入れ姿勢にあるテーブル上に第1傾斜姿勢で基板を受入れた後、揺動手段の作動により当該テーブルを基板受渡し姿勢に切換することにより、基板の姿勢を第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢に直接変換することができる。従って、第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢への基板の姿勢変換をより少ないスペースで、しかも効率良く行うことができるようになる。
【0011】
具体的な構成として、前記支持手段は、前記対角線と平行に設けられて前記テーブルを回動可能に支持する支持軸からなり、前記揺動手段は、前記支持軸回りに前記テーブルを回動させるように構成される。
【0012】
この構成では、前記テーブルが支持軸回りに回動(揺動)することにより、当該テーブルが基板受入れ姿勢と基板受渡し姿勢とに変換される。そのため、簡素な構成で上記のような基板の姿勢変換を達成することができる。
【0013】
なお、上記の構成は、第1傾斜姿勢と第2傾斜姿勢との傾斜角度(水平面に対する傾斜角度)が互いに等しい場合を前提としており、従って、第1傾斜姿勢と第2傾斜姿勢との傾斜角度が相互に異なる場合には適用が困難となる。
【0014】
しかし、このような不都合は、水平面に対する前記支持軸の傾き角度を変更することにより前記基板受入れ姿勢又は基板受渡し姿勢における前記テーブルの傾き角度を切換える角度可変手段を備えることにより解消される。
【0015】
すなわち、この構成によれば、第1傾斜姿勢と第2傾斜姿勢との傾斜角度が相互に異なる場合でも、角度可変手段の作動により基板受入れ時と基板受渡し時とのテーブルの傾斜角度を切換えることにより、第1搬送手段から第2搬送手段へ基板を難なく受け渡すことが可能となる。
【0016】
また、上記の姿勢変換装置においては、前記基板受入れ姿勢で前記テーブル上に支持される基板に対して第1搬送方向の推力を付与する第1推力付与手段と、前記基板受渡し姿勢において前記テーブル上に支持される基板に対して前記第2搬送方向への推力を付与する第2推力付与手段とを備えているのが好適である。例えば、前記第1、第2推力付与手段として、傾斜姿勢の基板の下位側端部を支持し、回転により当該基板に前記推力を与える駆動ローラを設けることができる。
【0017】
このような構成によれば、第1搬送手段からテーブルへの基板受入れの際には、第1推力付与手段により基板に第1搬送方向の推力を与えることによってテーブル内への基板の受入れを速やかに行うことができ、また、テーブルから第2搬送手段への基板受渡しの際には、第2推力付与手段により基板に第2搬送方向の推力を与えることによってテーブル内の基板を速やかに送り出すことができるようになる。
【0018】
一方、本発明に係る基板搬送装置は、矩形の基板をその表面が搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が搬送方向と平行となる第1傾斜姿勢に支持した状態で第1搬送方向に搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送方向と直交する第2搬送方向に基板を搬送する搬送手段であって基板をその表面が第2搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が第2搬送方向と平行となる第2傾斜姿勢に支持した状態で搬送する第2搬送手段と、前記第1搬送手段から第2搬送手段への基板の受渡しを行うべく基板の姿勢を第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢に変換する姿勢変換装置と、を備えた基板搬送装置であって、前記姿勢変換装置として、上記したような姿勢変換装置を備えているものである。
【0019】
この基板搬送装置によると、互いに直交した搬送経路に沿って基板を傾斜姿勢で搬送しながらも、第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢に直接基板の姿勢を変換することができる上記のような姿勢変換装置を備えているので、当該姿勢変換に二工程を要する従来のこの種の装置に比べると、装置の大型化を有効に抑えることができ、また搬送方向の転換を迅速に行いながら基板を効率良く搬送することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、互いに直交する搬送方向に亘って基板を傾斜姿勢で搬送しながらも、上記の通り基板の姿勢変換を一工程で行えるので、基板の姿勢変換に要するスペースを縮小することができ、また当該姿勢変換に要する時間を短縮することができる。従って、より少ないスペースで効率良く基板の搬送方向を転換することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る基板搬送装置(本発明に係る姿勢変換装置が適用される基板搬送装置)が適用される基板処理装置の概略を示す平面模式図である。この装置は、矩形のガラス基板(以下、単に基板という)に薬液処理および洗浄処理を施すものである。
【0023】
同図に示すように基板処理装置は、インデクサ部1と、このインデクサ部1に対して平面視で「コ」字形に連結される複数の処理部を有している。具体的には、基板Sを特定方向(図1において右方向)に搬送しながらこの基板Sに洗浄処理を施す第1処理部2と、この第1処理部2の終端に連結され、当該処理部2で処理が完了した基板Sを前記特定方向と直交する方向(図1において上方向)に搬送しながらこの基板Sに薬液処理及び洗浄処理を施す第2処理部3と、第2処理部3の終端に連結され、当該処理部3で処理が完了した基板Sを第1処理部2における基板進行方向とは逆方向に搬送しながら仕上げ洗浄処理及び乾燥処理を基板Sに施す第3処理部4とを有しており、これによってインデクサ部1から取出した基板Sを順次各処理部2〜4を経由した後、再びインデクサ部に回収するように構成されている。
【0024】
この基板処理装置において、前記インデクサ部1および各処理部2〜4は次のような構成を有している。なお、以下の説明においては、図1に示すように、水平面上で第1処理部1による基板Sの搬送方向をX方向、これと直交する方向をY方向とし、また、単に上流側、下流側という時には基板Sの搬送方向に基づくものとして説明を進めることにする。
【0025】
< インデクサ部1 >
インデクサ部1は、基板Sを収納した基板収納カセットC(以下、カセットCと略す)を載置するカセット載置部1aと、このカセット載置部1aに置かれたカセットCに対して基板Sを出し入れするロボットRとを有しており、ロボットRによりカセットCから基板Sを順次取り出して第1処理部2へ搬入すると共に、全処理が終了した基板SをロボットRにより第3処理部4からカセットCに戻すように構成されている。なお、カセットCは、例えば図外の無人搬送車によりカセット載置部1aに対して搬入・搬出されるように構成されている。
【0026】
< 第1処理部2 >
図1及び図2(a)に示すように、第1処理部2は、搬入室2Aと第1洗浄室2Bとを含み、各室2A,2Bには、搬送ローラ10が所定間隔でX方向に配列されている。各搬送ローラ10は、Y方向に沿って角度θの勾配を有して配列されており(図3(a)参照)、これにより基板Sをその表面が搬送方向(X方向)から見て傾斜し、詳しくは装置外側に向かって先下がりに傾斜しかつその一辺が搬送方向と平行になる姿勢に支持した状態で搬送するようになっている。
【0027】
搬入室2Aには、これら搬送ローラ10よりも上流側の位置に、ロボットRから基板Sを受け取るための受取り機構12と、基板Sの姿勢を変換するための姿勢変換機構14とが配備されている。これら受取り機構12及び姿勢変換機構14は、ロボットRによりインデクサ部1から水平姿勢で取り出された基板Sを受取ると共にその姿勢を上記搬送ローラ10による搬送が可能な姿勢に変換するものである。
【0028】
受取り機構12は、図2(a)に示すように、基板Sを支持するための複数の支持ピン122と、これら支持ピン122を昇降駆動するエアシリンダ等のアクチュエータ121等から構成されている。他方、姿勢変換機構14は、図3(a)(b)に示すように、所定間隔でX方向に配列される複数本の搬送ローラ141と、これら搬送ローラ141の一端側を昇降させるエアシリンダ等のアクチュエータ142等とを備えており、アクチュエータ142の駆動により当該搬送ローラ141を一体に水平姿勢と傾斜姿勢とに切換えるように構成されている。なお、前記受取り機構12は、姿勢変換機構14の前記搬送ローラ141の下方位置に配置されており、前記アクチュエータ121の作動により支持ピン122が搬送ローラ141の上方に突出する作動位置と搬送ローラ22の下方に退避する退避位置とに昇降するように構成されている。すなわち、インデクサ部1から搬入室2Aへの基板Sの搬入時には、まず、姿勢変換機構14の各搬送ローラ141が水平姿勢にセットされ、かつ受取り機構12の各支持ピン122が作動位置にセットされた状態で、ロボットRから受取り機構12の支持ピン122に基板Sが受け渡される。そしてその後、支持ピン122が退避位置に下降することにより基板Sが搬送ローラ141上に移載され(図3(a))、さらに搬送ローラ141が傾斜姿勢に切換られることにより基板Sが搬送ローラ10による搬送が可能な姿勢、すなわちY方向に沿って前記角度θの勾配を有する傾斜姿勢に変換される(図3(b))。
【0029】
一方、第1洗浄室2Bには、基板Sに洗浄液を供給するための洗浄液供給ノズル16が搬送ローラ10の上方位置に配備されている。これら洗浄液供給ノズル16は、シャワーノズル等からなり、第1洗浄室2Bでは、傾斜姿勢で搬入されてくる基板Sに対してこれら洗浄液供給ノズル16から洗浄液を供給することで、基板Sに沿って洗浄液を流下させながら洗浄処理を進めるようになっている。つまり、基板Sに沿って洗浄液を流下させることで、基板S上の異物等を洗浄液と共に速やかに基板外に除去すると共に基板S上の洗浄液を速やかに新たな洗浄液に置換して洗浄処理を効率的に進めるようになっている。
【0030】
< 第2処理部3 >
第2処理部3は、図1及び図2(b)に示すように、基板Sの搬送方向における上流側から順に、第1姿勢変換室3A、薬液処理室3Bおよび第2姿勢変換室3Cが設けられている。各室3A〜3Cには、搬送ローラ20が所定間隔でY方向に配列されている。各搬送ローラ20は、X方向に沿って角度θの勾配を有して配列されており、これによって基板Sをその表面が搬送方向(Y方向)から見て傾斜し、詳しくは装置外側に向かって先下がりに傾斜しかつその一辺が搬送方向と平行になる姿勢に支持した状態で搬送するようになっている。
【0031】
第1姿勢変換室3Aには、第1洗浄室2Bから傾斜姿勢で搬送されてくる基板S、詳しくはY方向に沿って角度θの勾配を有する傾斜姿勢(第1傾斜姿勢に相当する)でX(+)方向(第1搬送方向に相当する)に搬送されてくる基板Sの進行方向をY(+)方向(第2搬送方向に相当する)に90°転換すると共に、基板Sの姿勢を前記搬送ローラ20により搬送可能な姿勢、つまりX方向に沿って角度θの勾配を有する傾斜姿勢(第2傾斜姿勢に相当する)に変換する姿勢変換機構22が配備されている。
【0032】
この姿勢変換機構22は、本発明に係る姿勢変換装置に相当するものであり、この姿勢変換機構22の具体的な構成については後に詳述することにする。なお、当実施形態では、第1処理部2の前記搬送ローラ10が本発明にかかる第1搬送手段に相当し、第2処理部3の前記搬送ローラ20が本発明にかかる第2搬送手段に相当する。
【0033】
薬液処理室3Bには、基板Sに所定の薬液を供給するための薬液供給ノズル24が搬送ローラ20の上方位置に配備されている。これら薬液供給ノズル24はシャワーノズル等からなり、薬液処理室3Bでは、傾斜姿勢で搬入されてくる基板Sに対して薬液供給ノズル24から薬液を供給することで、基板Sに沿って薬液を流下させながら薬液処理を進めるようになっている。つまり、基板Sに沿って薬液を流下させることで、基板S上の処理残渣等を薬液と共に速やかに基板外に除去すると共に基板S上の薬液を速やかに新たな薬液に置換して薬液処理を効率的に進めるようになっている。
【0034】
第2姿勢変換室3Cには、薬液処理室3Bから傾斜姿勢(X方向に沿って角度θの勾配を有する傾斜姿勢)で搬送されてくる基板Sの進行方向をX(−)方向に90°転換すると共に、基板Sの姿勢を第3処理部4の後記搬送ローラ30により搬送可能な姿勢、つまりY方向に沿って角度θの勾配を有する傾斜姿勢に変換する姿勢変換機構26が配備されている。この姿勢変換機構26は、第1姿勢変換室3Aに配備される前記姿勢変換機構22と基本的な構成は共通であり、この点については姿勢変換機構22の説明と共に後述することにする。
【0035】
第2姿勢変換室3Cには、さらに薬液処理後の基板Sに洗浄液を供給するための洗浄液供給ノズル28が姿勢変換機構26の上方位置に配備されている。これら洗浄液供給ノズル28は、例えばシャワーノズル等からなり、これら洗浄液供給ノズル28によって姿勢変換中の基板Sに洗浄液を供給することにより、薬液処理後の基板Sに対して直ちに洗浄処理を施すようになっている。
【0036】
< 第3処理部4 >
第3処理部4は、図1及び図2(c)に示すように、第2洗浄室4Aと搬出室4Bを含み、各室4A,4Bには、搬送ローラ30が所定間隔でX方向に配列されている。各搬送ローラ30は、Y方向に沿って角度θの勾配を有して配列されており、これにより基板Sをその表面が搬送方向(X方向)から見て傾斜し、詳しくは装置外側に向かって先下がりに傾斜しかつその一辺が搬送方向と平行になる姿勢に支持した状態で搬送するようになっている。
【0037】
第2洗浄室4Aには、基板Sに洗浄液を供給するための洗浄液供給ノズル32が搬送ローラ30の上方位置に配備されている。これら洗浄液供給ノズル32は、例えばシャワーノズル等からなり、第2洗浄室4Aでは、第2姿勢変換室3Cから傾斜姿勢で搬入されてくる基板Sの上面にこれら洗浄液供給ノズル32から洗浄液を供給することで、基板Sに沿って洗浄液を流下させながら基板Sの洗浄処理を進めるようになっている。
【0038】
第2洗浄室4Aにおいて洗浄液供給ノズル32よりも下流側の位置には、上下一対の液切りナイフ33が配備されている。これら液切りナイフ33は、スリットノズル等からなり、洗浄液供給後の基板Sの上下各面に対して高圧エアや不活性ガスを吹き付けて基板Sに付着した洗浄液を除去することにより、当該基板Sに乾燥処理を施す。
【0039】
搬出室4Bには、姿勢変換機構36と受渡し機構34とが配備されている。これら受渡し機構34及び姿勢変換機構36は、第2洗浄室4Aから傾斜姿勢で搬送されてくる基板Sを水平姿勢に変換してロボットRに受渡すもので、基本的な構成は、前記搬入室2Aに配備される受取り機構12及び姿勢変換機構14と共通である。
【0040】
すなわち、搬出室4Bからの基板Sの搬出時には、まず、姿勢変換機構36の各搬送ローラ(図示省略)が傾斜姿勢にセットされ、かつ受渡し機構34の各支持ピン342が退避位置にセットされた状態で、第2洗浄室4Aから搬出室4Bに基板Sが搬入される。そして、姿勢変換機構36の各搬送ローラが傾斜姿勢から水平姿勢に切換られることにより基板Sの姿勢が水平姿勢に変換され、その後、アクチュエータ341の作動により受渡し機構34の各支持ピン342が作動位置にセットされることにより、基板Sが搬送ローラから持ち上げられ、さらにこの状態で当該受渡し機構34からロボットRに基板Sが水平姿勢で受渡されることにより、当該ロボットRによって基板Sが搬出室4Bから搬出されてインデクサ部1のカセットCに収容されるようになっている。
【0041】
図4〜図7は、第1姿勢変換室3Aに配備される姿勢変換機構22を示している。
【0042】
同図に示すように、姿勢変換機構22は、基板Sを支持するための支持テーブル221と、この支持テーブル221を揺動させる揺動機構とを含んでいる。
【0043】
支持テーブル221は、基板Sの一辺(長辺)よりも若干長い一辺を有する正方形のテーブルで、揺動機構を介して第1姿勢変換室3A内のベース220上に支持されている。
【0044】
支持テーブル221は、図5に示すように、平面視でその一辺がX(又はY)方向に沿うように配置され、その対角線に沿って角度θだけ傾斜した状態で前記ベース220上に支持されると共に前記対角線と平行な軸周りに揺動(回動)可能に設けられている。
【0045】
すなわち、支持テーブル221の下方には、当該支持テーブル221の対角線、具体的には支持テーブル221のうちX(+)方向末端であってかつY(−)方向末端に位置する頂部を通る対角線に沿って支持軸240(本発明にかかる支持手段に相当する)が設けられている。この支持軸240は、図4及び図6に示すように、その一端(X(+)方向一端;以下、支持軸240の先端という)がベース220上のブラケット242に対してピン214を介して支持される一方、他端(支持軸240の後端という)がベース220上に固定される昇降用エアシリンダ244のロッド245先端にピン246を介して連結されることにより、前記対角線に沿ってその後端側から先端側に向かって先下がりの傾斜姿勢でベース220上に支持されると共に、前記昇降用エアシリンダ244の作動に伴にその先端を支点として傾斜角度の切換えが可能に設けられている。なお、支持軸240の傾斜角度は、前記搬送ローラ10,20の傾斜角度、すなわち搬送時の基板Sの傾斜角度θに保持されている。
【0046】
そして、この支持軸240に対して複数(図示の例では2つ)のロータリーアクチュエータ248(本発明にかかる揺動手段に相当する)を介して前記支持テーブル221が支持されている。ロータリーアクチュエータ248は、ステータ部とその内側に回転可能に支持されるロータ部とを有し、空気圧によりステータ部に対してロータ部を回転駆動する所謂空気圧モータからなり、当該実施形態では、ロータ部が支持軸240の外周面に固定される一方、ステータ部が前記支持テーブル221下面においてその対角線に沿う位置に固定されている。
【0047】
これにより、支持テーブル221がその対角線に沿って角度θの勾配を有した状態でベース220上に支持されると共に各ロータリーアクチュエータ248の作動に伴い支持軸240回り、つまり前記対角線と平行な軸周りに揺動(回動)可能となっている。そしてこの構成により、支持テーブル221のうちY(−)方向側の一辺221bが水平になる位置、つまり上流側の搬送ローラ10による基板搬送方向と平行となる位置まで支持テーブル221を支持軸240回りに回動(揺動)させると、図4及び図6に示すように、支持テーブル221が上流側の搬送ローラ10と同角度θに傾斜した状態で搬送ローラ10に並び、その結果、搬送ローラ10から支持テーブル221上への基板Sの受入れが可能となる(図2(a)参照)。一方、支持テーブル221のうちX(+)方向側の一辺221aが水平になる位置、つまり下流側の搬送ローラ20による搬送方向と平行となる位置まで支持テーブル221を支持軸240回りに回動させると、図8及び図9に示すように、支持テーブル221が搬送ローラ20と同角度θに傾斜した状態で当該搬送ローラ20に並び、その結果、支持テーブル221から搬送ローラ20への基板Sの受渡しが行えるようになっている。なお、以下の説明では、図4及び図6に示す支持テーブル221の状態を「基板受入れ姿勢」と呼び、図8及び図9に示す支持テーブル221の状態を「基板受渡し姿勢」と呼ぶことにする。
【0048】
前記支持テーブル221の上面には、図4及び図5に示すように、基板Sを支持するための複数の支持部222がマトリクス状に配置されている。これら支持部222は、回転自在に保持された球体によって基板Sを支持する例えばボールキャスタからなり、これによって支持テーブル221は、基板Sをその面に沿った任意の方向に変位可能な状態で支持し得るように構成されている。
【0049】
支持テーブル221の上面には、さらにその端部であって前記辺221bに沿った位置に、複数の受入れローラ224(受入れ側ローラ群と呼ぶ)が当該辺221bに沿って等間隔で設けられると共に、同端部であって前記辺221aに沿った位置に、複数の受渡しローラ226(受渡し側ローラ群と呼ぶ)が当該辺221aに沿って等間隔で設けられている。
【0050】
これらローラ224,226は、それぞれ傾斜姿勢で支持テーブル221上に支持された基板Sの下位側端部を受けると共に当該基板Sに対して基板搬送方向の推力を与えるものであり、当実施形態では、当該受入れローラ224及び後記受入れモータ230等が本発明にかかる第1推力付与手段に相当し、受渡しローラ226及び後記受渡しモータ232等が本発明にかかる第2推力付与手段に相当する。
【0051】
これらローラ224,226は、それぞれ支持テーブル221の上面に対して垂直な軸回りに回転可能に支持されると共に、ローラ群毎に、各ローラ224,226が同一方向に一体的に回転駆動されるように構成されている。すなわち、図7に示すように、支持テーブル221にはこれを貫通しかつ同テーブル221に回転可能に保持されるローラ軸が設けられ、支持テーブル221の上面側において当該ローラ軸にローラ224,226が固定される一方、支持テーブル221の下面側において前記ローラ軸にプーリ224a,226aが固定されている。そして、支持テーブル221の下面(裏面)に受入れモータ230及び受渡しモータ232が固定されると共に複数のテンションプーリ225、227が設けられ、受入れモータ230の出力軸に固定されるプーリ(不図示)と前記各プーリ224a,225とに亘って駆動ベルト231が掛け渡される一方、受渡しモータ232の出力軸に固定されるプーリ232aと前記各プーリ226a,227とに亘って駆動ベルト233が掛け渡されている。この構成により、受入れモータ230の作動により受入れ側ローラ群の各受入れローラ224が同一方向に一体に回転駆動される一方、受渡しモータ232の作動により受渡し側ローラ群の各受渡しローラ226が同一方向に一体に回転駆動されるようになっている。なお、図6及び図9では、便宜上、駆動ベルト231,233の図示を省略している。
【0052】
上記各ローラ224,226は、図5に示すように、支持テーブル221上に基板Sが支持されかつ両ローラ224,226に当該基板Sの直交する二辺S1,S2がそれぞれ当接した状態で、当該二辺S1,S2により形成される基板Sの頂角が支持テーブル221の対角線上に位置するように設けられている。これにより支持テーブル221が支持軸240回りに揺動すると、前記二辺S1,S2のうち搬送ローラ10による搬送方向(X方向)先頭側に位置する辺S1を一辺として当該基板S上に形成した仮想正方形の対角線Dと平行な軸線(つまり支持軸240)回りに基板Sが揺動するようになっている。
【0053】
以上のような姿勢変換機構22によると、次のようにして基板Sの姿勢が変換される。
【0054】
まず、図4及び図6に示すように、ロータリーアクチュエータ248の作動により支持テーブル221が上記基板受入れ姿勢にセットされる。これにより第1洗浄室2Bから傾斜姿勢で搬送されてくる基板Sが支持テーブル221上に受入れられる(図4の二点鎖線矢印参照)。この際、前記受入れローラ224が駆動され、支持テーブル221上に移動してくる基板Sの下端部が当該受入れローラ224により支持されることにより当該基板Sに搬送方向(X(+)方向)の推力が与えられ、その結果、支持テーブル221への基板Sの受入れが速やかに行われる。そして、進行方向先端の一辺S1が受渡しローラ226に当接する位置にまで基板Sが送られると(図5に示す状態)、受入れローラ224の駆動が停止されて支持テーブル221への基板Sの受入れが完了する。
【0055】
基板Sの受入れが完了すると、ロータリーアクチュエータ248の作動により支持テーブル221が揺動し、図8及び図9に示すように、支持テーブル221の姿勢が基板受入れ姿勢から上記基板受渡し姿勢に切換えられ、これに伴い基板Sの姿勢がX方向に勾配を有する傾斜姿勢に変換されることとなる。このように支持テーブル221の姿勢が切換られると、前記基板Sは、搬送ローラ10による搬送方向(X方向)先頭側に位置する辺S1を一辺として当該基板S上に形成した仮想正方形の対角線D(図5参照)と平行な軸線、つまり支持軸240回りに前記先頭側の辺S1が搬送ローラ20による搬送方向(Y方向)と平行となる位置まで回動し、これによって基板Sの姿勢がX方向に沿って勾配を有しかつ前記先頭側の辺S1が下端に位置するような傾斜姿勢に変換されることとなる。
【0056】
こうして基板Sの姿勢が変換されると、受渡しローラ226が駆動されて基板Sに搬送方向、つまりY(+)方向の推力が与えられ、これによって基板Sが支持テーブル221から搬送ローラ20上へ送り出され、当該姿勢変換機構22による基板Sの姿勢変換動作が完了することとなる。
【0057】
なお、ここでは、第1姿勢変換室3Aに配備される姿勢変換機構22の構成について説明したが、第2姿勢変換室3Cに配備される姿勢変換機構26も基本的には同様の構成である。すなわち、詳細図を省略するが、姿勢変換機構26は、薬液処理後、搬送ローラ20により傾斜姿勢(X方向に勾配を有する傾斜姿勢)で搬送されてくる基板Sを基板受入れ姿勢にセットされた支持テーブル261(図2(b)参照)上に受入れた後、当該支持テーブル261を基板受渡し姿勢に変換し、これにより基板Sの姿勢を搬送ローラ30により搬送可能な傾斜姿勢(Y方向に勾配を有する傾斜姿勢)に変換した後、当該基板Sを支持テーブル261から搬送ローラ30に受渡すように構成されている。
【0058】
次に、この基板処理装置における基板Sの一連の処理について説明する。
【0059】
まず、インデクサ部1においてカセットCから取り出された基板Sは、ロボットRにより水平姿勢のまま第1処理部2(搬入室2A)に搬入されて受取り機構12に受渡される。そして、姿勢変換機構14により水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変換された後、搬送ローラ10の駆動により搬送されて第1洗浄室2Bに搬入され、この第1洗浄室2B内を所定速度で移動する間にその表面に洗浄液供給ノズル16から洗浄液が供給されることにより洗浄処理が施される。
【0060】
第1洗浄室2Bを通過した基板Sは、次に第2処理部3の第1姿勢変換室3Aに搬入されて搬送ローラ10から姿勢変換機構22に受渡される。そして、当該姿勢変換機構22により、基板Sの姿勢がY方向に沿って勾配を有する傾斜姿勢からX方向に沿って勾配を有する傾斜姿勢に変換されると共に基板Sの搬送方向が直交する方向に転換される。
【0061】
姿勢変換後、基板Sは姿勢変換機構22から搬送ローラ20に受渡され、搬送ローラ20の駆動により搬送されて薬液処理室3Bに搬入され、この第1洗浄室2B内を所定速度で移動する間にその表面に薬液供給ノズル24から薬液が供給されることにより薬液処理が施される。
【0062】
薬液処理室3Bを通過した基板Sは、次に第2姿勢変換室3Cに搬入されて搬送ローラ20から姿勢変換機構26に受け渡される。そして、当該姿勢変換機構26により基板Sの姿勢がX方向に沿って勾配を有する傾斜姿勢からY方向に沿って勾配を有する傾斜姿勢に変換されると共に基板Sの搬送方向が直交する方向に転換される。なお、この姿勢変換動作中、基板Sには洗浄液供給ノズル28から洗浄液が供給され、これにより薬液処理後の基板Sに対して洗浄処理が速やかに開始される。
【0063】
こうして姿勢変換された基板Sは、姿勢変換機構26から搬送ローラ30に受渡され、搬送ローラ30の駆動により搬送されて第2洗浄室4Aに搬入される。そして、この第2洗浄室4A内を所定速度で移動する間にその表面に洗浄液供給ノズル32から洗浄液が供給されることによりさらに洗浄処理が施される。
【0064】
次に、基板Sは第2洗浄室4Aから搬出室4Bに搬出される。そして、第2洗浄室4Aからの搬出時、液切りナイフ33により基板Sの上下各面に高圧エア等が吹き付けられて洗浄液が除去されることにより当該基板Sに乾燥処理が施される。
【0065】
こうして基板Sが搬出室4Bに搬入されると、まず、姿勢変換機構36により基板Sの姿勢が水平姿勢に戻され、その後、受渡し機構34により基板SがロボットRに受渡されることにより当該ロボットRにより基板SがカセットCに収容される。これによって当該基板処理装置による一連の基板Sの処理が終了することとなる。
【0066】
以上のような基板処理装置によると、インデクサ部1に対して「コ」字形の搬送路を構成し、インデクサ部1から取出した基板Sを各処理部2〜4を経由してインデクサ部1に戻すように構成されているので、基板処理装置に対する基板Sの搬入出をインデクサ部1に統一して無人搬送車によるカセット搬送を合理的に行うことができる上、その全工程に亘って基板Sを傾斜姿勢で搬送しながら洗浄等の処理を基板Sに施すように構成されているので、当該洗浄等の処理を、洗浄液等を基板Sに沿って流下させながら効率的に進めることができる。
【0067】
しかも、この基板処理装置では、基板Sの進行方向を90°転換する必要がある第1洗浄室2Bと薬液処理室3Bとの間、および薬液処理室3Bと第2洗浄室4Aとの間に上記のような姿勢変換機構22,26を配備し、方向転換前の基板Sの姿勢(Y方向(X方向)に沿って勾配を有する傾斜姿勢)を単一の姿勢変換機構22(26)によって直接方向転換後の姿勢(X方向(Y方向)に沿って勾配を有する姿勢)に変換するので、従来のこの種の装置に比べると、より少ないスペースで効率良く基板Sの搬送方向を転換することができる。すなわち、傾斜姿勢で搬送される基板を姿勢変換機構により一旦水平姿勢に戻し、この水平姿勢の基板を別の姿勢変換機構に移し替えてから基板Sを次の傾斜姿勢に変換する従来のこの種の装置では、進行方向の転換地点にそれぞれ2つ、合計4つの姿勢変換機構を並べて配置する必要があるため、姿勢変換機構の占有スペースが大きくなり、また、姿勢変換に多くの時間を要することとなる。これに対して上記実施形態の装置によれば、上記の通り単一の姿勢変換機構22(26)で基板Sの姿勢を直接方向転換後の姿勢に変換できるので、従来装置に比べると基板Sの姿勢変換に要するスペースを縮小することができ、また、当該姿勢変換に要する時間も大幅に短縮することができる。従って、より少ないスペースで効率良く基板Sの搬送方向を転換することが可能となる。
【0068】
特に、上記実施形態の姿勢変換機構22(26)は、ロータリーアクチュエータ248を介して支持軸240に支持テーブル221を揺動可能に装着し、前記ロータリーアクチュエータ248の作動により支持テーブル221を揺動させるように構成されているため、極めて簡単な構成で上記のような作用効果を享受することができるという利点がある。
【0069】
なお、上記の基板処理装置では、方向転換前の基板Sの傾斜角度と方向転換後の基板Sの傾斜角度、例えば第1洗浄室2Bにおいて搬送ローラ10により搬送される基板Sの傾斜角度と薬液処理室3Bにおいて搬送ローラ20により搬送される基板Sの傾斜角度とが等しい場合について説明したが、上記姿勢変換機構22(26)によると、方向転換前後の基板Sの傾斜角度が異なる場合についても対応できるという利点がある。
【0070】
すなわち、方向転換前後の基板Sの傾斜角度が異なる場合には、まず、支持テーブル221を基板受入れ姿勢にセットした後、昇降用エアシリンダ244(本発明にかかる角度可変手段に相当する)を作動させて支持軸240の傾斜角度を変更し、これにより支持テーブル221の傾斜角度を方向転換前の基板Sの傾斜角度に一致させて当該基板Sを支持テーブル221上に受入れる。その後、支持テーブル221を基板受渡し姿勢に切換えると共に昇降用エアシリンダ244を作動させて支持軸240の傾斜角度を変更して支持テーブル221の傾斜角度を方向転換後の基板Sの傾斜角度に一致させ、支持テーブル221上の基板Sを下流側に送り出す。このようにすれば、方向転換前後の基板Sの傾斜角度が異なる場合でも、難なく対応することができる。
【0071】
ところで、上述した基板処理装置は、本発明に係る基板搬送装置(本発明に係る姿勢変換装置が適用される基板搬送装置)が適用される基板処理装置の一例であり、基板処理の全体構成、基板搬送装置の構成及び姿勢変換装置の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0072】
例えば、上記実施形態では、支持テーブル221を、ロータリーアクチュエータ248を介して支持軸240に回動可能に支持し、当該ロータリーアクチュエータ248の駆動により支持テーブル221を支持軸240回りに回動(揺動)させているが、上記ロータリーアクチュエータ248の代わりに支持テーブル221の下面をエアシリンダ等のアクチュエータにより支持し、当該アクチュエータの駆動により前記支持軸240回りに支持テーブル221を揺動させるように構成してもよい。また、支持軸240を設けることなく、支持テーブル221の下面をエアシリンダ等の複数の昇降用アクチュエータにより支持し、当該アクチュエータを個別に制御することによって支持テーブル221の姿勢を切換えるように構成してもよい。つまり、上記基板受入れ姿勢と基板受渡し姿勢とに亘って支持テーブル221を揺動させることができれば、支持テーブル221を揺動させるための具体的な構成は実施形態のものに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0073】
また、上記実施形態では、基板Sを傾斜姿勢で搬送しながら当該基板Sに洗浄処理、薬液処理及び乾燥処理を順次施すように基板処理装置が構成されているが、具体的な処理内容も実施形態のもに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る基板搬送装置(本発明に係る姿勢変換装置が適用される基板搬送装置)が適用される基板処理装置の概略を示す平面模式図である。
【図2】図1に示す基板処理装置の概略を側面視で示す図であり、(a)は第1処理部から第2処理部の部分を示す側面図、(b)は第2処理部を示す側面図、(c)は第2処理部から第3処理部の部分を示す側面図である。
【図3】搬入室に配備される基板の姿勢変換機構を示す斜視概略図であり、(a)は基板を水平姿勢に支持した状態、(b)は基板を傾斜姿勢に変換した状態をそれぞれ示す。
【図4】第1姿勢変換室に配備される基板の姿勢変換機構を示す斜視図(支持テーブルが基板受入れ姿勢にセットされた状態)である。
【図5】姿勢変換機構を示す平面図である。
【図6】姿勢変換機構に組込まれる揺動機構を示す図4のVI方向矢視図である。
【図7】姿勢変換機構に組込まれる揺動機構および受入れ及び受渡しローラの駆動機構を示す図4のVII方向矢視図である。
【図8】姿勢変換機構を示す斜視図(支持テーブルが基板受渡し姿勢にセットされた状態)である。
【図9】姿勢変換機構を示す側面図(図6に対応する側面図)である。
【図10】従来の基板搬送装置の概略を示す模式図である。
【符号の説明】
【0075】
1 インデクサ部
2 第1処理部
3 第2処理部
4 第3処理部
2A 搬入室
2B 第1洗浄室
3A 第1姿勢変換室
3B 薬液処理室
3C 第2姿勢変換室
4A 第2洗浄室
4B 搬出室
22,26 姿勢変換機構
221,261 支持テーブル
C カセット
R ロボット
S 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の基板を第1搬送方向に搬送した後、この第1搬送方向と直交する第2搬送方向に搬送方向を転換して基板を搬送する方法であって、
前記基板をその表面が前記第1搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が第1搬送方向と平行となる第1傾斜姿勢に支持した状態で第1搬送方向に搬送する第1搬送工程と、
第1搬送方向に搬送される前記基板をその表面が前記第2搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が第2搬送方向と平行となる第2傾斜姿勢に変換する姿勢変換工程と、
この姿勢変換工程で第2傾斜姿勢に姿勢変換された前記基板を当該第2傾斜姿勢に支持した状態で前記第2搬送方向に搬送する第2搬送工程と、を含み、
前記姿勢変換工程では、第1搬送方向に搬送される基板の先頭側の辺を一辺として当該基板上に形成した仮想正方形の対角線のうち当該基板の先頭下位側の頂部を通る対角線又は当該対角線と平行な軸線回りに前記先頭側の辺が第2搬送方向と平行となる位置まで基板を回動させることにより前記基板を前記第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢に変換することを特徴とする基板搬送方法。
【請求項2】
矩形の基板をその表面が搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が搬送方向と平行となる第1傾斜姿勢に支持した状態で第1搬送方向に搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送方向と直交する第2搬送方向に基板を搬送する搬送手段であって基板をその表面が第2搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が第2搬送方向と平行となる第2傾斜姿勢に支持した状態で搬送する第2搬送手段との間に介設され、前記第1搬送手段から第2搬送手段への基板の受渡しを行うべく基板の姿勢を第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢に変換する姿勢変換装置であって、
前記基板を少なくとも前記第1搬送方向及び第2搬送方向に変位可能に支持する支持部を備えたテーブルと、
このテーブルを揺動可能に支持する支持手段と、
前記テーブルの上面が前記第1搬送方向から見て傾斜しかつ前記第1傾斜姿勢で搬送される基板を第1搬送手段から受入れる基板受入れ姿勢と前記テーブルの上面が前記第2搬送方向から見て傾斜しかつテーブル上に支持された基板を第2搬送手段へ受渡し可能とする基板受渡し姿勢とに亘って前記テーブルを揺動させる揺動手段と、を備えており、
前記基板受渡し姿勢は、前記基板受入れ姿勢で前記テーブルに受入れた基板の先頭側の辺を一辺として当該基板上に形成した仮想正方形の対角線のうち当該基板の先頭下位側の頂部を通る対角線又は当該対角線と平行な軸線回りに前記先頭側の辺が第2搬送方向と平行となる位置まで当該基板を回動させた姿勢とされていることを特徴とする姿勢変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の姿勢変換装置において、
前記支持手段は、前記対角線と平行に設けられて前記テーブルを回動可能に支持する支持軸からなり、前記揺動手段は、前記支持軸回りに前記テーブルを回動させることを特徴とする姿勢変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の姿勢変換装置において、
水平面に対する前記支持軸の傾き角度を変更することにより前記基板受入れ姿勢又は基板受渡し姿勢における前記テーブルの傾き角度を切換える角度可変手段を備えていることを特徴とする姿勢変換装置。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか一項に記載の姿勢変換装置において、
前記基板受入れ姿勢で前記テーブル上に支持される基板に対して第1搬送方向の推力を付与する第1推力付与手段と、前記基板受渡し姿勢において前記テーブル上に支持される基板に対して前記第2搬送方向への推力を付与する第2推力付与手段とを備えていることを特徴とする姿勢変換装置。
【請求項6】
請求項5に記載の姿勢変換装置において、
前記第1、第2推力付与手段は、傾斜姿勢の基板の下位側端部を支持し、回転により当該基板に前記推力を与える駆動ローラであることを特徴とする姿勢変換装置。
【請求項7】
矩形の基板をその表面が搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が搬送方向と平行となる第1傾斜姿勢に支持した状態で第1搬送方向に搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送方向と直交する第2搬送方向に基板を搬送する搬送手段であって基板をその表面が第2搬送方向から見て傾斜しかつその一辺が第2搬送方向と平行となる第2傾斜姿勢に支持した状態で搬送する第2搬送手段と、前記第1搬送手段から第2搬送手段への基板の受渡しを行うべく基板の姿勢を第1傾斜姿勢から第2傾斜姿勢に変換する姿勢変換装置と、を備えた基板搬送装置であって、
前記姿勢変換装置として、請求項2乃至6の何れか一項に記載の姿勢変換装置を備えていることを特徴とする基板搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−52844(P2010−52844A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216511(P2008−216511)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】