説明

基板洗浄乾燥装置

【課題】 リンス流体の消費を抑え、洗浄・リンス・乾燥プロセスに要する総時間を削減する基板洗浄乾燥技術を提供する。
【解決手段】 線状の流体が基板表面に沿って吹き付けられて空気/流体境界線を形成し、線状の蒸気がマランゴニ乾燥を達成するためにこの境界線に供給される。好適な装置は、洗浄流体および/またはリンス流体のタンクを使用する。タンク流体の上方ではリンス流体源が基板表面にリンス流体を向け、基板が洗浄流体から持ち上げられるときに基板表面にメニスカスを形成し、乾燥用蒸気源が乾燥用蒸気をメニスカスに向ける。リンス流体タンクは、基板受取洗浄部分と基板リンス部分とを有する。リンス流体源と乾燥用蒸気源とはリンス部分上方の乾燥エンクロージャによって囲まれる。基板のローディング、洗浄、リンス、乾燥およびアンローディングが少なくとも部分的な時間的重複をもって実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を同時にリンスおよび乾燥するプロセスに関し、特に、半導体基板を同時にリンスおよびマランゴニ乾燥する超清浄プロセスおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの幾何学的形状が縮小を続けるにつれて、超清浄処理の重要性が増大している。リンス槽(例えば、別のタンク内か、洗浄タンク流体を交換することによる)を伴う流体タンク(または槽)内での水洗浄は、望ましい洗浄レベルを達成する。リンス槽から取り出した後に乾燥装置を使用しないと、槽流体が基板の表面から蒸発して、基板の表面にすじ、斑点、および/または槽残渣の残留を生じさせることになる。そのようなすじ、斑点、および残渣は、その後のデバイス欠陥の原因となる場合がある。従って、水槽から取り出すときに基板を乾燥する優れた方法に多くの関心が向けられてきた。
【0003】
マランゴニ乾燥として知られる方法は、表面張力の勾配を作り出すことによって、実質的に基板に槽流体が残らない方法で槽流体を基板から流れるようにし、これによりすじ、斑点、および残渣あとを回避する。マランゴニ乾燥は比較的少量のIPAを使用する。具体的には、マランゴニ乾燥中、槽流体との混和性を持つ溶剤が流体メニスカスに導入される。この流体メニスカスは、基板が槽から持ち上げられるときや、槽流体が基板を通過して排出されるときに形成される。溶剤蒸気は流体の表面に沿って吸収されるので、吸収される蒸気の濃度はメニスカスの先端で、より高くなる。吸収された蒸気の、より高い濃度によって、表面張力は槽流体のバルク中よりもメニスカスの先端で低くなり、それによって槽流体は、乾燥メニスカスからバルク槽流体へ流されるようになる。このような流れは「マランゴニ」流として知られ、基板上にすじや斑点や槽残渣を残さずに基板乾燥を達成するために使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマランゴニ乾燥システムは、ヨーロッパ特許出願第0 385 536 A1号「液体中で処理した後に基板を乾燥する方法および装置」で開示されている。この’536号システムは、流体槽中に基板を沈下させる。槽流体と混和性の蒸気(例えば、アルコール蒸気)は、キャリアガスに混合された後、複数のノズルによって流体槽の表面上を通される。蒸気は流体槽の表面に沿って流体槽と混合し、流体槽の表面張力を下げる。基板が流体槽から持ち上げられると、流体メニスカスが空気/液体/基板の境界に沿って形成される。このメニスカスは表面層から形成されるので、バルク槽流体よりも低い表面張力を有する。従って、流体は基板表面からバルク槽流体に流れ、乾燥した基板表面を残す。’536号出願に開示されたような装置は流体を基板から効果的に除去するが、乾燥用蒸気を除去するために槽流体を濾過して再循環することができないので、かなりの量の流体を消費する。このため、乾燥メニスカスにおける十分な表面張力勾配を維持するために、槽流体を頻繁に交換しなければならない。更に、洗浄槽からリンス槽へ基板を移動させたり、槽流体を交換するには、かなりの時間が必要となる。
【0005】
従って、迅速かつ効果的に基板を洗浄、リンスおよび乾燥して、すじ、斑点、および槽残渣あとを除去するばかりでなく、リンス流体の消費を抑え、洗浄・リンス・乾燥プロセスに要する総時間を削減する改良方法および装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板を同時に槽洗浄、リンスおよびマランゴニ乾燥する方法および装置を提供する。本発明は、システムのスループットを高めるとともに流体消費量を削減するように好適に設計される。本発明は基板乾燥装置を含んでおり、この装置は、
第1直線ノズル(すなわち、単一の標準ノズルに比べて基板の比較的大きな部分を濡らすように線状の流体を吹き付けることができる細長い開口部を有するノズル)と、
第1直線ノズルに連結された流体源と、
第1ノズルの付近に配置された第2直接ノズルであって、この第2直接ノズルからの乾燥用蒸気が第1直線ノズルから吹き付けられる流体に影響を与えてマランゴニ乾燥効果を生成するようになっている第2直線ノズルと、
第2直線ノズルに連結された乾燥用蒸気源と、
基板がマランゴニ乾燥効果によって乾燥されるように、動作距離内で基板に第1および第2直線ノズルを通過させる機構と、
を備えている。その他に、第1および第2直線ノズルの代わりに、複数の扇形ノズルからなる第1および第2の直線アレイを使用することができる。別の態様として、乾燥用蒸気を一つ以上のノズルを通してではなく、受動的に供給してもよい。
【0007】
本発明のノズルシステムは、洗浄/乾燥レベルとシステムスループットを更に向上するために、いくつもの従来装置や発明装置と共に使用することができる。第1の態様では、本発明の装置は、洗浄流体タンクと、タンクに動作可能に連結され、タンクから基板を持ち上げるリフト機構と、乾燥用蒸気源と、基板がタンクから持ち上げられるときにリンス流体を基板の表面に供給するように配置されたリンス流体源と、を備えている。リンス流体は基板と接触して、好ましくはメニスカスの形の空気/基板/リンス流体境界を形成する。乾燥用蒸気源は、空気/基板/リンス流体境界の上方1〜5mmの地点に乾燥用蒸気を向けて、乾燥用蒸気を空気/基板/リンス流体境界に供給するように配置されている。リンス流体源および乾燥用蒸気源の双方は、扇形ノズルのアレイか単一の直線ノズルのいずれかを備えることが望ましい。しかしながら、乾燥用蒸気源は、乾燥用蒸気が空気/基板/リンス流体境界に拡散するようにリンス流体源から乾燥チャンバへの通路に沿って配置された乾燥流体で満たされた容器のような受動ソースを備えてもよい。リンス流体ノズルおよび乾燥流体ノズルが基板の前面と背面の双方に沿って延在し、これにより基板の両面を同時にリンスおよび乾燥するようにしてもよい。
【0008】
乾燥用蒸気ノズルを介した乾燥用蒸気の能動供給は、乾燥メニスカスにおける乾燥用蒸気の濃度に対する厳密な制御を与える。他の槽型マランゴニ乾燥機と異なり、本発明は、より流動性の低い槽流体と違って乾燥用蒸気が混合されていない新鮮なリンス流体の連続供給をもたらす。このため、本発明は、乾燥メニスカスと残りのリンス流体流との間に、より大きな表面張力勾配を経験する。このより大きな表面張力勾配は、マランゴニ乾燥の速度を高める。最も重要なことは、基板を沈下させるよりも基板の全表面に吹き付ける方が必要な流体が少なくて済むので、リンス流体ノズルを使用することにより、従来の槽型マランゴニ乾燥機に比べて流体消費量が大幅に削減されることである。
【0009】
最も好適な態様では、本発明の洗浄/乾燥システムのスループットは、基板を受け取って洗浄する第1部分と、基板をリンスする第2部分とを有する二部分タンクによって高められる。洗浄タンクの第1部分と第2部分は流体が流れることができるように連通している。リンス流体源および乾燥用蒸気源を囲む乾燥エンクロージャは、タンクの第2部分の上方で動作可能に連結され、第2部分から基板を受け取るようになっている。
【0010】
基板をその外縁に沿って支持するシャトルは、タンクの第1部分で第1基板を受け取り、それをタンクの第2部分へ運ぶことが好ましい。その後、リフト機構が第1基板を乾燥エンクロージャ内に持ち上げ、シャトルはタンクの第1部分に戻る。このようにすることで、第2基板を洗浄タンクの第1部分へローディングする間に第1基板を乾燥エンクロージャ内で乾燥できるので、より大きなスループットと、それに応じた処理コストの削減が得られる。
【0011】
本発明のその他の目的、特徴および利点は、好適な実施形態の下記の詳細な説明、特許請求の範囲および添付の図面から、より完全に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは、本発明に従って構成された洗浄/乾燥システムの側面図である。
【図1B】図1Aの洗浄/乾燥システムの正面図である。
【図1C】本発明の乾燥作業の説明に役立つ基板表面の拡大図である。
【図2A】本発明のスループットの増加を説明するのに役立つ図1A及び図1Bの洗浄/乾燥システムの連続側面図である。
【図2B】本発明のスループットの増加を説明するのに役立つ図1A及び図1Bの洗浄/乾燥システムの連続側面図である。
【図2C】本発明のスループットの増加を説明するのに役立つ図1A及び図1Bの洗浄/乾燥システムの連続側面図である。
【図2D】本発明のスループットの増加を説明するのに役立つ図1A及び図1Bの洗浄/乾燥システムの連続側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1Aおよび図1Bはそれぞれ、本発明によって構成される好適な洗浄/乾燥システム11の側面図と正面図である。好適な洗浄/乾燥システム11は洗浄流体のタンク13を備えている。タンク13は2つの部分、すなわち基板受取洗浄部分13aと基板リンス部分13bとを備えている。基板シャトル15は、基板受取洗浄部分13aから基板リンス部分13bへ基板Sを運ぶために動作可能に連結されている。基板シャトル15は、図1Bに示すように、基板Sをその横方向側面に沿って垂直に支持するように設計されることが望ましい。このため、タンク13の基板リンス部分13b内のリフト機構17は、基板シャトル15の第1および第2支持側面15a、15bの間で上方に延びて、基板Sをそれらの間で持ち上げることができる。
【0014】
第1のレールペア16a、16bは、リンス部分13b内に永久的に取り付けられ、リフト機構17が基板支持体15の第1および第2支持側面15a、15bから基板Sを持ち上げるときに基板Sを受け取るように配置される。第2のレールペア18a、18bは、乾燥エンクロージャ19内に永久的に取り付けられ、第1レールペア16a、16bから基板Sを受け取るように配置される。
【0015】
乾燥エンクロージャ19は、基板が基板リンス部分13bから乾燥エンクロージャ19内へ持ち上げられるように、タンク13の基板リンス部分13bの上方に配置される。乾燥エンクロージャ19は複数の壁19a〜eによって形成される。外部側壁19cはシール可能ポート21を有しており、そこから基板Sを抜き出すことができる。乾燥エンクロージャ19の内壁19aは、タンク13内に収容される流体中へ部分的に沈下するように下方へ延びている。乾燥エンクロージャ19はタンク13と一体か、または外部側壁19cを介してタンク13にシール状態で連結される。壁19a〜eは、残留蒸気を排気システム(図示せず)へ排気する複数の孔を含んでいてもよい。
【0016】
乾燥エンクロージャ19内では、一つ以上のリンス流体ノズル23を備えたリンス流体供給装置が配置され、基板Sが基板リンス部分13bから持ち上げられるときに、基板Sの水平方向直径の全体にわたってリンス流体を吹き付けるようになっており、また、一つ以上の乾燥用蒸気ノズル25を備えた乾燥用蒸気供給装置が配置されて、基板Sが基板リンス部分13bから持ち上げられるときに、基板Sの水平方向直径の全体にわたって乾燥用蒸気を流すようになっている。乾燥用蒸気ノズル25は、乾燥用蒸気が図1Cに示すように空気/基板/リンス流体境界27でリンス流体によって吸収されるように配置されることが望ましい。このような吸収を達成するために、乾燥用蒸気の流れは、空気/基板/リンス流体境界27の上方1〜5mmで基板Sに衝突することが望ましい。また、図1Cに示すように、空気/基板/リンス流体境界27は、マランゴニ乾燥を促進するメニスカス(破線の円「M」で囲まれる)を形成することが望ましい。
【0017】
乾燥エンクロージャ19内には、第2レールペア18a、18bが配置され、基板Sの乾燥部分(すなわち、リンス流体および乾燥用蒸気スプレーを通過した部分)に接触し、それによって基板Sをリフト機構17から受け取るようになっている。引込式位置決めピン22a、22bは最上位置で基板と係合し、ウェーハハンドラ(図示せず)が基板Sを乾燥エンクロージャ19から繰返し取り出せるように基板Sを定位置に保持する。
【0018】
リンス流体ノズル23および/または乾燥用蒸気ノズル25はコントローラ31に接続されており、このコントローラ31は、リンス流体および/または乾燥用蒸気アレイ中の最外ノズルを、基板Sの下半分がこの最外ノズルを通り過ぎる間に選択的に停止させることにより、リンス流体および/または乾燥用蒸気を節約するようにプログラムされている。コントローラ31はまた、リフト機構17、位置決めピン22a、22b、および基板シャトル15に連結されていてもよく、図2A〜図2Dを参照して更に説明するように、コントローラ31は、これらを作動させるようにプログラムされる。
【0019】
図2A〜図2Dは、図1Aの好適な洗浄/乾燥システム11の連続側面図であり、本発明の洗浄/乾燥システム11の動作と、それによって達成されるスループットの増大を説明するのに役立つ。図2Aに示すように、基板シャトル15は当初、タンク13の基板受取洗浄部分13a内の引込み位置にあり、基板Sはウェハハンドラ(図示せず)によって基板シャトル15内に降ろされる。
【0020】
基板Sは、基板受取洗浄部分13a内で、その中に配置された一つ以上のトランスデューサTから放射されるメガソニックエネルギーによってメガソニック洗浄される。基板Sの全表面にわたる均一な洗浄を促進するために、基板Sをローラ(図示せず)によって回転させてもよい。基板Sが洗浄された後、基板シャトル15が延びて、図2Bに示すように基板Sをタンク13の基板リンス部分13bに運ぶ。
【0021】
リフト機構17が上昇して基板Sの下部エッジに接触し、基板Sを流体からゆっくりと持ち上げる(図2C)。基板Sは、メニスカスMの先端から流れるリンス流体の垂直速度成分以下の速度で持ち上げられることが好ましい。
【0022】
基板Sがタンク流体の頂部に達すると、リンス流体ノズル23が作動してリンス流体の吹付けを開始する。これにより、基板Sが槽から持ち上げられると直ちに基板Sがリンス流体と接触するようになるので、乾燥用蒸気ノズル25に達する前に基板Sが(例えば、蒸発によって)乾燥しなくなる。リンス流体スプレーの流量は、リンス流体が乾燥用蒸気スプレーの中や上方に飛散しないように制御される。
【0023】
基板Sがリンス流体ノズル23からのリンス流体スプレーと交差すると直ちに乾燥用蒸気ノズル25が作動し、乾燥用蒸気の流れを基板Sの表面上に形成されるリンス流体メニスカスMの方に向ける。乾燥用蒸気はリンス流体によって吸収されるので、リンス流体の表面張力が低下し、メニスカスからリンス流体のバルクに向かうマランゴニ流を誘起する。マランゴニ流はそれによって基板表面を乾燥させ、その表面をすじ、斑点、および/または洗浄流体残渣のない状態にする。
【0024】
リフト機構17が基板Sを乾燥エンクロージャ19内に持ち上げるときは、第1のレールペア16a、16bを伴う基板シャトル15の第1および第2支持側面15a、15bが基板Sのエッジに沿った安定接触を与える。基板Sがシャトル15の支持側面15a、15bから離れた後、シャトルはタンク13の受取洗浄部分13aに戻され、次の基板を受け取って洗浄する準備をする。第1のレールペア16a、16bは空気/基板/リンス流体境界27の下方で基板Sを支持する。基板Sの乾燥部分は、基板Sが乾燥エンクロージャ19に入ると、第2のレールペア18a、18bによって案内され、支持される。第1レールペア16a、16bと第2レールペア18a、18bとの間の隙間は、リンス流体ノズル23と乾燥用蒸気ノズル25を収容するのに十分(例えば5〜10mm)であるから、基板が第2レールペア18a、18bに出会うときには基板は乾燥している。リフト機構17は、基板の底部が乾燥メニスカスMを通過するまで(図2C)、基板Sを上昇させ続ける。基板Sが位置決めピン22a、22bの上方3〜5mmに来ると、コントローラ31が位置決めピン22a、22bを解放する。リフト機構17が後退し、基板Sは、基板が位置決めピン22a、22bによって支持されるまでリフト機構と共に下降し、リンス流体スプレーが停止し、合成表面張力勾配と、ノズル(図示せず)によって1〜2秒間、基板の底部3mmに加えられる高温窒素のパルスと、によって残りのリンス流体が基板の表面から駆逐される。その後、基板Sはシール可能ポート21を介して乾燥エンクロージャ19からアンローディングされる。位置決めピン22a、22bは、アンローディングロボット(図示せず)が基板Sを繰返し取り出せるように、基板SのZ軸座標を既知の位置に固定する。
【0025】
基板がリンスされて乾燥されるとき、リンス流体は基板からタンク13に流入し、そこでタンク流体と合流してオーバーフロー堰(図示せず)に流れ込む。リンス流体はタンク13の底部から継続的に導くこともできるし、ヒータおよびフィルタを通して再循環してもよい。
【0026】
図2Dに示すように、基板Sが第1レールペア16a、16bまで持ち上げられる間、基板シャトル15は基板受取洗浄部分13a内に後退し、第2基板S2がウェーハハンドラ(図示せず)によって基板シャトル15内にローディングされる。その後、第2基板S2はメガソニック洗浄されるが、その間、第1基板S1はリフト機構17が引っ込むまでリンスおよび乾燥されている。受取洗浄部分13aでの洗浄とリンスが完了すると、基板S2は基板リンス部分13bに運ばれる準備ができ、第1基板S1はシール可能ポート21を介して乾燥エンクロージャ19からアンローディングされる。このようにして、本発明の洗浄/乾燥システム11のスループットが増大する。これは、従来のタンクシステムで必要なローディングおよびアンローディング時間が処理(洗浄、リンスおよび乾燥)に必要な時間と重複しているからである。
【0027】
上記の説明は本発明の好適な実施形態のみを開示しているが、上述の装置や方法の本発明の範囲内での変更は当業者には自明であろう。例えば、上方に乾燥エンクロージャが配置された本発明の二部分タンクは好適であるが、本発明の洗浄、リンスおよび乾燥方法は従来のタンクを使用しても実行することができるし、乾燥エンクロージャの有無に関わらず実行可能である。
【0028】
洗浄流体は、SC1、純水、または表面洗浄用のph調整済溶液等を含んでいてもよい。タンクに収容されたりノズルを介して吹き付けられるリンス流体は、腐食抑制剤その他の溶剤が入った純水またはそれらが入らない純水等を含んでいてもよく、乾燥用蒸気は、リンス流体表面上で凝縮または吸収されたときに低い表面張力を示す任意の蒸気(IPA等)を含んでいてもよい。洗浄流体がリンス流体と異なる場合、受取洗浄部分13aはシール式ゲートによってリンス部分13bからシール可能に分離され、洗浄流体が貯蔵容器(図示せず)に排出され、受取洗浄部分13aはゲートを開く前にリンス流体で満たされるだろう。あまり好ましくはないが、リンスと乾燥のみを実行するようにトランスデューサを省略することもできるし、トランスデューサをタンクの第2部分13bで使用してもよい。トランスデューサは、タンクの底部に沿って配置されているように図示したが、他の場所に配置してもよい。最後に、記載のシャトルおよびリフト機構は単に例示的なものであり、他のこのような機構は当業者にとって自明であろう。
【0029】
従って、本発明をその好適な実施形態に関連して開示したが、他の実施形態が、特許請求の範囲によって定まる本発明の趣旨と範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0030】
11…乾燥システム、13…タンク、13a…基板受取洗浄部分、13b…リンス部分、15…基板シャトル、17…リフト機構、19…乾燥エンクロージャ、21…シール可能ポート、23…リンス流体ノズル、25…乾燥用蒸気ノズル、27…リンス流体境界、31…コントローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に基板を沈めるための流体のタンクと、
前記タンクに動作可能に連結されて前記流体から基板を持ち上げるリフト機構と、
前記リフト機構が基板を洗浄流体から持ち上げるときに前記基板の表面にリンス流体を供給するように配置されたリンス流体源であって、前記リンス流体が前記基板に接触することによって空気/基板/リンス流体境界を形成するようになっているリンス流体源であって、該リンス流体源が、前記基板の直径にわたって延びており、且つ、リンス流体スプレーが前記空気/基板/リンス流体境界およびその下方において基板表面の各部を濡らすように配置されたノズルのアレイを備える、リンス流体源と、
乾燥用蒸気を前記空気/基板/リンス流体境界に供給するように配置された乾燥用蒸気源と、
前記ノズルのアレイ中の複数のノズルを独立に作動および停止させ、最外ノズルを前記基板の直径がそこを通過した後に停止させるように、前記ノズルのアレイに動作可能に接続されたコントローラと、
を備える基板リンス乾燥装置。
【請求項2】
前記タンクは、
基板を受け取って洗浄する第1の部分と、
前記第1の部分に動作可能に連結され、基板をリンスする第2の部分と、
を備えている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記タンクの第2の部分から基板を受け取るために前記第2の部分の上方で動作可能に連結された乾燥エンクロージャを更に備え、
前記乾燥エンクロージャは、前記リンス流体源および前記乾燥用蒸気源を囲んでいる、請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記第1の部分および前記第2の部分は水平方向で近接しており、
基板を前記第1の部分内で受け取るためとこの基板を前記第2の部分に運ぶために、前記タンク内に動作可能に結合された基板シャトルを更に備える請求項2記載の装置。
【請求項5】
基板を前記基板シャトルから前記乾燥エンクロージャに持ち上げるリフト機構を更に備える請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記ウェーハを定位置に保持するように構成された機構を更に備える請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記乾燥エンクロージャは、基板引出し用のシール可能な開口部を有する側壁を更に備える、請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記基板が、垂直に向けられた基板である、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記タンクの前記第1の部分が、前記基板をソニック洗浄するように構成されたトランスデューサを備える、請求項2記載の装置。
【請求項10】
基板を洗浄、リンスおよび乾燥する方法であって、
タンクの流体に第1の基板を少なくとも部分的に沈めるステップと、
前記第1の基板を前記流体から持ち上げるステップと、
前記第1の基板が持ち上げられるときにこの基板の表面上にリンス流体を吹き付け、これにより空気/基板/リンス流体境界を形成するステップであって、該基板の表面上にリンス流体を吹き付けるステップが、リンス流体ノズルのアレイを、該アレイの最外ノズルが前記基板の直径がそこを通過した後に停止されるように、制御するステップを含む、ステップと、
乾燥用蒸気を前記空気/基板/リンス流体境界に供給するステップと、
を備える方法。
【請求項11】
基板を洗浄、リンスおよび乾燥する自動化方法であって、
第1の部分および第2の部分を有する流体のタンクを用意するステップと、
前記タンクの第1の部分に第1の基板を少なくとも部分的に沈めるステップと、
前記タンクの第1の部分で前記第の1基板を洗浄するステップと、
前記第1の基板を前記タンクの第1の部分から前記タンクの第2の部分へシャトルによって運ぶステップと、
前記基板を前記タンクの第2の部分から乾燥領域へ持ち上げるステップと、
前記第1の基板が前記シャトルから取り外された後、前記シャトルを前記タンクの第1の部分に戻すステップと、
前記第1の基板が持ち上げられるときにリンス流体を前記第1の基板の表面上に吹き付け、これによって空気/基板/リンス流体境界を形成するステップであって、リンス流体ノズルのアレイを、該アレイの最外ノズルが前記基板の直径がそこを通過した後に停止されるように、制御するステップを含む、ステップと、
前記第1の基板が持ち上げられるときに乾燥用蒸気を前記空気/基板/リンス流体境界に供給するステップと、
前記タンクの第1の部分で第2の基板を受け取るステップと、
前記タンクの第1の部分で前記第2の基板を洗浄するステップと、
前記乾燥領域から取り出すための位置に前記第1の基板を固定するステップと、
前記第2の基板を前記タンクの第2の部分に運ぶステップと、
前記第1の基板を前記乾燥領域から取り出すステップと、
を備え、
前記第2の基板を受け取るステップ、前記第2の基板を洗浄するステップ、および前記第2の基板を運ぶステップの少なくとも一つが、前記第1の基板を持ち上げるステップおよび前記第1の基板を取り出すステップと少なくとも部分的に時間が重複する方法。
【請求項12】
前記乾燥用蒸気を前記空気/基板/リンス流体境界に供給するステップは、
前記リンス流体よりも低い表面張力を有する空気/基板/リンス流体境界で吸収されるように前記リンス流体との混和性を有する乾燥用蒸気を供給し、これによりマランゴニ流を誘起するステップと、
前記第1の基板が持ち上げられてリンス流体スプレーを通るときに、この基板の表面をマランゴニ乾燥するステップと、
を含んでいる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記タンクの前記第1の部分で前記第1の基板を洗浄するステップが、前記第1の基板をメガソニックエネルギーで洗浄するステップを含み、且つ、前記タンクの前記第1の部分で前記第2の基板を洗浄するステップが、前記第2の基板をメガソニックエネルギーで洗浄するステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記第1の基板を前記タンクの第1の部分から前記タンクの第2の部分へシャトルによって運ぶステップが、前記第1の基板を水平方向にシャトルによって運ぶステップを含む、請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記タンクの流体に最も近い前記基板の底部に、窒素を供給するステップを更に含んでいる、請求項11記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate


【公開番号】特開2010−153888(P2010−153888A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−24296(P2010−24296)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【分割の表示】特願2000−84615(P2000−84615)の分割
【原出願日】平成12年3月24日(2000.3.24)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】