多孔管路用曲がりユニット
【課題】浅く埋設しても、つるはし等の衝撃力を受けて破損する可能性が低く、三次元曲がりが可能で、しかも曲率半径を小さくできる、施工性に優れた多孔管路用曲がりユニットを提供する
【解決手段】複数の貫通孔3が平行に形成された少なくとも2個の多孔ブロック1,1の間に、貫通孔と同数の湾曲可能又は屈曲可能な短管2が配置され、各短管2の両端部が多孔ブロック1,1の各貫通孔3の接続口4a,4bに抜出し不能に接続された曲がりユニットであって、各短管2の少なくとも一方の端部が接続口4aの内部で摺動自在になっている構成の多孔管路用曲がりユニットとする。このユニットを曲げると、短管2の一方の端部が接続口4aの内部で摺動して短管に作用する圧縮力や引張力を吸収するので、短管が湾曲可能又は屈曲可能であることと相俟って小さい曲率半径で三次元の任意の方向に曲がることになる。
【解決手段】複数の貫通孔3が平行に形成された少なくとも2個の多孔ブロック1,1の間に、貫通孔と同数の湾曲可能又は屈曲可能な短管2が配置され、各短管2の両端部が多孔ブロック1,1の各貫通孔3の接続口4a,4bに抜出し不能に接続された曲がりユニットであって、各短管2の少なくとも一方の端部が接続口4aの内部で摺動自在になっている構成の多孔管路用曲がりユニットとする。このユニットを曲げると、短管2の一方の端部が接続口4aの内部で摺動して短管に作用する圧縮力や引張力を吸収するので、短管が湾曲可能又は屈曲可能であることと相俟って小さい曲率半径で三次元の任意の方向に曲がることになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線や光ファイバーなどのケーブルを地中に埋設する多孔管路の曲がり部分に設置される多孔管路用曲がりユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の多孔管路材として、ケーブル挿通用の複数の貫通孔を平行に形成した直方体形状のコンクリート製又は陶製の多孔管や、合成樹脂製の複数のコルゲート管を結束した多条管などが使用されている。
【0003】
後者の多条管は、曲がりやすくて施工がしやすいという利点を有する反面、歩道等の表面近くに浅く埋設すると、つるはし試験に対する強度に不安があり、しかも、埋設施工の際の転圧時に砂がコルゲート管相互の隙間に入り込みにくいため、舗装後に砂が該隙間に入り込んで舗装面に凹凸が生じやすいという欠点があった。
【0004】
これに対し、前者の多孔管は、つるはし試験に対する強度があり、舗装面に凹凸が生じる心配もないといった利点を有するが、その反面、重量が大きいため取扱いが容易でなく、しかも、多孔管路の曲がり部分では、一定の曲がり角度を有する台形状の曲がり多孔管を幾つか接続する必要があるため、施工が面倒で、曲率半径を小さくすることが難しく、曲がり角度の調整もし辛いといった欠点があり、曲がり部分の多い施工現場には不向きであった。
【0005】
このような多孔管路の曲がり部分の欠点に対処するため、複数の孔を形成した接続ブロックの該孔に波付き管の一端の直管部を挿入し、この直管部の鍔状ストッパーを該孔の凹溝に嵌め込んで取付けた多孔管路用接続ユニットが提案されている(特許文献1参照)。この多孔管路用接続ユニットは、多孔管路の曲がり部分おいて一組使用され、双方のユニットの接続ブロックが曲がり部分の双方の多孔管にそれぞれ突合わせ接続されると共に、双方のユニットの波付き管同士が曲がり部分の曲率半径に応じた円弧長調整用の波付き管を介して管継手により接続されるものである。
【0006】
しかしながら、上記の接続ユニットを用いると、多孔管路の曲がり部分の大部分が、該ユニットの接続ブロックに取付けられた波付き管と円弧長調整用の波付き管で占められ、これらの波付き管がむき出しのまま無防備に埋設されることになるため、浅く埋設した場合には、つるはしやその他の衝撃力を受けて破損する可能性が高くなり、また、曲がり部分の曲率半径をあまり小さくすることもできないという問題があった。更に、接続ブロックに取付けられる波付き管の本数が多くなると、円弧長調整用の波付き管を介して管継手により接続する作業が大変になり、施工性が低下するという問題もあった。
【特許文献1】特開平9−284963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題に対処すべくなされたもので、浅く埋設しても、つるはしやその他の衝撃力を受けて破損する可能性が低く、三次元曲がりが可能で、しかも曲率半径を小さくできる、施工性に優れた多孔管路用曲がりユニットを提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の多孔管路用曲がりユニットは、複数の貫通孔が平行に形成された少なくとも2個の多孔ブロックの間に、貫通孔と同数の湾曲可能又は屈曲可能な短管が配置され、各短管の両端部が隣り合う多孔ブロックの各貫通孔の接続口に抜出し不能に接続された曲がりユニットであって、各短管の少なくとも一方の端部が接続口の内部で摺動自在になっていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の多孔管路用曲がりユニットは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、短管の一方の端部に抜止め用の環状凸部が形成され、この短管の一方の端部が接続される多孔ブロックの貫通孔一端の接続口は、その入口部分が短管の一方の端部の外径よりも僅かに大きい直径を有すると共に、この入口部分より奥の部分が抜止め用の環状凸部の外径よりも僅かに大きい直径を有する摺動筒部に形成されて、この摺動筒部に短管の一方の端部が摺動自在に収容されることが好ましい。そして、短管の他方の端部に抜止め用の環状凸部が形成され、この短管の他方の端部が接続される多孔ブロックの貫通孔他端の接続口の内面に環状凹溝が形成されて、この環状凹溝に抜止め用の環状凸部が嵌着されることが好ましい。また、多孔ブロックが上部ブロックと下部ブロックからなる二分割タイプ、あるいは、上部ブロックと下部ブロックと中子ブロックからなる三分割タイプのものであることも好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多孔管路用曲がりユニットは、隣り合う多孔ブロックの間の各短管が湾曲可能又は屈曲可能であって、しかも各短管の少なくとも一方の端部が接続口の内部で摺動自在になっているため、隣り合う多孔ブロック同士の曲がり方向を三次元の任意の方向として、小さい曲率半径をもって大きい曲がり角度で曲げることができる。この点についてもう少し詳しく説明すると、上記の曲がりユニットを、ある方向(例えば右方向)に曲げようとする場合、その曲がり方向の最も内側(例えば最も右側)に位置する短管には圧縮力が働き、曲がり方向の最も外側(例えば最も左側)に位置する短管には引張力が働き、中央に位置する短管には圧縮力も引張力も殆ど働かない。このとき、各短管の両方の端部が接続口の内部で摺動不能に固定されていると、各短管が伸縮の許容範囲内で伸縮して上記の圧縮力及び引張力を吸収できるだけであるから、曲がりユニットは各短管の伸縮の許容範囲内で多少曲がるだけである。けれども、本発明のように各短管の少なくとも一方の端部が接続口の内部で摺動可能になっていると、圧縮力が働く短管は、その一方の端部が接続口の奥に向かって摺動することにより圧縮力を吸収し、引張力が働く短管は、その一方の端部が接続口の入口に向かって摺動することにより引張力を吸収するため、各短管が湾曲可能又は屈曲可能であることと相俟って、上記の摺動許容範囲内で曲がりユニットは大きい曲率をもって大きい曲がり角度で三次元のどの方向にも曲がるようになり、曲がり角度の調整も自在となる。従って、多孔管路の曲がり部分において、一方の多孔管に本発明の曲がりユニットの一端の多孔ブロックを連結し、他方の多孔管にユニット他端の多孔ブロックを連結すると、曲がり部分の曲率半径を小さくすることが可能となり、かつ、三次元のどの方向の曲がり部分であっても、曲がり角度を所望の角度に調整して双方の多孔管を接続することが可能となる。
【0011】
また、本発明の曲がりユニットは、前記特許文献1の接続ユニットのように施工現場において円弧長調整用の波付き管を管継手で接続するといった面倒な作業が一切不要であり、上記のようにユニット両端の多孔ブロックを多孔管路の曲がり部分の双方の多孔管に連結するだけでよいから、施工性が極めて良好である。しかも、本発明の曲がりユニットは、その大部分が多孔ブロックで占められ、むき出しのまま埋設される短管の占める割合が少ないので、浅く埋設しても、つるはしやその他の衝撃力を受けて破損する可能性が低いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る多孔管路用曲がりユニットの斜視図、図2の(a)は同曲がりユニットの縦断面図、図2の(b)は同曲がりユニットの分解縦断面図、図3は同曲がりユニットの上部ブロックを除去した平面図、図4の(a)は多孔ブロックの貫通孔一端の接続口を示す拡大部分断面図、図4の(b)は多孔ブロックの貫通孔他端の接続口を示す拡大部分断面図、図5は下方向に曲がった状態の同曲がりユニットを示す側面図、図6は右方向に曲がった状態の同曲がりユニットの上部ブロックを除去した平面図、図7は同曲がりユニットと多孔管との接続状態を示す分解斜視図、図8は同曲がりユニットと多孔管との接続状態を示す側面図、図9は多孔管の斜視図、図10は同曲がりユニットの短管の半断面側面図である。
【0014】
この多孔管路用曲がりユニットは、図1、図2の(a)に示すように、2個の多孔ブロック1,1と、これらの多孔ブロック1,1の間に配置された複数本(この実施形態では3本)の合成樹脂製の短管2とで構成されている。
【0015】
上記の短管2は、図2の(b)、図10に示すように、中央部分が環状の山部と環状の谷部を交互に連設した湾曲可能なコルゲート管部2aに構成され、両端部2b,2bが円形直管に構成されたものであって、両端部2b,2bの外周面には抜止め用の環状凸部2cが2条ずつ形成されている。短管2の具体的な寸法については特に限定されないが、曲がりユニットの曲がり特性を良くするためには、例えば、コルゲート管部2aの長さが100〜150mm程度、円形直管の両端部2bの長さが70〜170mm程度、コルゲート管部2aの山部の数が6〜10程度、コルゲート管部2aの谷部及び両端部2bの外径が30〜130mm程度、コルゲート管部2aの山部の高さが7〜15mm程度であることが好ましい。
【0016】
一方、多孔ブロック1は、図1〜図3に示すように、上部ブロック1aと下部ブロック1bからなる二分割タイプの多孔ブロックであって、電線や光ファイバーなどのケーブルを挿通する複数(この実施形態では3つ)の貫通孔3が平行に形成されており、各貫通孔3の両端には、上記の短管2を接続するための接続口4a,4bが形成されている。
【0017】
図4の(a)に拡大して示すように、多孔ブロック1の貫通孔3の一端に形成された接続口4aは、その入口部分41aが上記短管2の一方の端部2bの外径よりも僅かに大きい直径を有しており、この入口部分41aの内周面には、防水用Oリング5を嵌着するOリング嵌着溝42aが形成されている。そして、この入口部分41aより奥の部分は、抜止め用の環状凸部2cの外径よりも僅かに大きい直径を有する摺動筒部43aに形成されており、この摺動筒部43aに短管2の一方の端部2bが摺動自在に収容されて抜出し不能に接続されている。摺動筒部43aの長さは50〜150mm程度であることが好ましく、この程度の長さがあれば、前述した寸法の短管2を接続することによって、三次元の任意の方向に大きい曲率及び大きい曲がり角度で曲がる曲がりユニットを得ることができる。
【0018】
これに対し、多孔ブロック1の貫通孔3の他端に形成された接続口4bは、図4の(b)に拡大して示すように、その入口から奥端に至るまで、短管2の他方の端部2bの外径と実質的に同一もしくは僅かに大きい直径を有しており、前記接続口4aと同様、入口部分41bの内周面には防水用Oリング5を嵌着するOリング嵌着溝42bが形成されている。そして、この接続口4bの奥端部の内周面には2条の環状凹溝43bが形成されており、短管2の他方の端部2bに形成された2条の抜止め用の環状凸部2cが該環状凹溝43bに嵌着されて、短管2の他方の端部2bが抜出し不能に固定されている。
【0019】
この二分割タイプの多孔ブロック1は、図2(b)に示すように、上部ブロック1aの下面に貫通孔3の上半分と接続口4a,4bの上半分が形成されると共に、下部ブロック1bの上面に貫通孔3の下半分と接続口4a,4bの下半分が形成されており、上部ブロック1aと下部ブロック1bを重ね合わせて固定すると、内部に平行な複数(3つ)の貫通孔3を有し且つその両端に接続口4a,4bを有する多孔ブロックとなるようにしたものである。上部ブロック1aと下部ブロック1bの固定は、図1に示すように、上部ブロック1aと下部ブロック1bのそれぞれの両側面から突き出した水平突片6a,6bをボルト7aとナット7bで締付けることよって行われる。このように多孔ブロック1が二分割タイプのものであると、両端部に抜止め用の環状凸部2cを形成した短管2を極く簡単に接続口4a,4bに接続できる利点があり、また、成形も容易である。尚、上部ブロック1aと下部ブロック1bの側面両端に形成された垂直突片8a,8bは、後述するように、多孔ブロック1と多孔管10との接続に使用されるものである。
【0020】
多孔ブロックの大きさは特に限定されないが、前記寸法の短管2を3本並べて接続する本実施形態の多孔ブロック1では、長さを400〜500mm程度、幅を400〜500mm程度、高さを150〜200mm程度に設定することが好ましい。また、この多孔ブロック1はコンクリートなどで作製してもよいが、軽量で成形性に優れたBMC、SMC、ポリプロピレンなどの樹脂材料を用いて作製することが好ましく、特に再生樹脂材料を用いて作製すると、経済的にも有利である。
【0021】
以上のような構成の多孔管路用曲がりユニットは、図5に示すように、各短管2のコルゲート管部2aが湾曲可能であるため、一方の多孔ブロック1に対して他方の多孔ブロック1を上下いずれの方向にも容易に曲げることができる。しかも、この曲がりユニットは、各短管2の一方の端部2bが多孔ブロック1の貫通孔3一端の接続口4aの摺動筒部43aに摺動自在に収納されて抜出し不能に接続されているため、図6に示すように左右いずれかの方向に曲げる場合(例えば右方向に曲げる場合)には、各短管2のコルゲート管部2aが湾曲すると共に、その曲がり方向の最も内側に位置する短管2(例えば右側に位置する短管)の一方の端部2bが摺動筒部43aの奥に向かって摺動することにより該短管2に作用する圧縮力を吸収して多孔ユニット1,1の曲がり方向内側のコーナー部同士が一層接近し、曲がり方向の最も外側に位置する短管2(例えば左側に位置する短管)の一方の端部2bは摺動筒部43aを入口部分に向かって摺動することにより該短管2に作用する引張力を吸収して多孔ユニット1,1の曲がり方向外側のコーナー部同士が一層離反することになる。そのため、この曲がりユニットは、上記の摺動許容範囲内で小さい曲率半径をもって大きい曲がり角度で左右いずれの方向にも滑らかに曲げることができ、曲がり角度の調整も自在であり、上述した上下方向の曲がりと複合して、三次元のどの方向にも小さな曲率半径をもって大きい曲がり角度で自在に曲げることが可能である。ちなみに、摺動筒部43aの長さを前記の50〜150mmとし、前記寸法の短管2を10mm程度の相互間隔をあけて3本並べて接続した曲がりユニット(多孔ブロック1の大きさは前述した通り)では、曲率半径を1500〜3000mmと小さくすることができる。
【0022】
従って、多孔管路の曲がり部分において、図5、図6に示すように上記の曲がりユニットの一方の多孔ブロック1を一方の多孔管10に接続し、他方の多孔ブロック1を他方の多孔管10に接続すれば、多孔管路の曲がり部分の曲率半径を従来よりも小さくすることが可能となり、かつ、三次元のどの方向の曲がり部分であっても、曲がり角度を調整して双方の多孔管10,10を接続することが可能となる。なお、多孔管路の曲がり部分の曲がり角度がもっと大きく上記の曲がりユニットでは対応できない場合(例えば曲がり角度が90度と大きい場合)には、多孔ブロック1の数を3個ないし4個に増やし、それぞれの多孔ブロック1の間に短管2を3本ずつ配置して、各短管2の両端部2b,2bを接続口4a,4bに接続した曲がりユニットを使用すればよい。
【0023】
このように曲がりユニットを用いると、従来の接続ユニットのように施工現場において円弧長調整用の波付き管を管継手で接続するといった面倒な作業が一切不要となり、双方の多孔ブロック1,1を多孔管路の曲がり部分の双方の多孔管10,10に接続するだけでよいから、施工性が大幅に向上する。しかも、この曲がりユニットは、その大部分が多孔ブロック1,1で占められ、むき出しのまま埋設される短管2の占める割合が少ないので、浅く埋設しても、つるはしやその他の衝撃力を受けて破損する心配が殆どない。
【0024】
上記の曲がりユニットでは、貫通孔3の一端の接続口4aのみに摺動筒部43aを形成して、短管2の一方の端部2bのみを摺動自在に接続しているが、貫通孔3の他端の接続口4bにも摺動筒部を形成して、短管2の両方の端部2b,2bを摺動自在に接続するように構成しても勿論よい。このようにすると、摺動許容範囲が倍増するので、曲がりユニットの曲率半径を更に小さくできる利点がある。しかし、上記の曲がりユニットのように、他端の接続口4bに環状凹溝43bを形成して短管2の他方の端部2bの抜止め用環状凸部2cを嵌着する構成としたものは、短管2の他方の端部2bが一方の多孔ブロック1と固定関係になるため、短管2の一方の端部2bを摺動筒部43a内でスムーズに摺動させて曲がりユニットを簡単に曲げることができる利点があり、このような利点は特に短管3の本数が増えるほと顕著になる。
【0025】
また、上記の曲がりユニットでは、中央をコルゲート管部2aとした湾曲可能な短管2を使用しているが、これに代えて、例えば、図11に示すような屈曲可能な短管20を使用してもよい。この短管20は、一端に抜止め用の環状凸部20cを形成し且つ他端に凸球面状に膨出する差口20bを形成した片方の円形直管20aと、他端に抜止め用の環状凸部20cを形成し且つ一端に上記差口20bより一回り大きく膨出した受口20を形成した他方の円形直管20aとからなるもので、上記の差口20bを防水用Oリング20eを挟んで上記の受口20dに回動自在に嵌合することにより、任意の方向に屈曲可能としたものである。これらの短管2,20の他にも、湾曲可能あるいは屈曲可能な公知の種々の短管が使用できることは言うまでもない。
【0026】
多孔管路を構成する上記の多孔管10は、図9に示すように、ケーブル挿通孔11を多孔ブロック1の貫通孔3と同数だけ平行に形成したものであって、それぞれのケーブル挿通孔11の両端には受口12が形成されている。そして、この多孔管10も多孔ブロック1と同様に上下二分割構造とされ、同様の再生樹脂材料等で成形されている。
【0027】
この多孔管10と曲がりユニットの多孔ブロック1との接続は、好ましくは図7に示すようなパッキン9を挟んで行われる。このパッキン9は、多孔ブロック1の端面(多孔管10の端面)と同一形状を有する板体9aに、該板体9aを貫く筒体9bを多孔ブロック1の貫通孔3(多孔管10のケーブル挿通孔11)と同数だけ一体に形成したものであって、図8に示すように、この筒体9bを多孔ブロック1の接続口4b(又は4a)と多孔管10の受口12にそれぞれ差し込んで、板体9aを多孔ブロック1の端面と多孔管10の端面で挟み、多孔ブロック1の側面端部の垂直突片8a,8bと多孔管10の側面端部の垂直突片13a,13bをボルト7aとナット7bで締め付けることにより、多孔ブロック1の接続口4b(又は4a)と多孔管10の受口12の位置ずれが生じないように、多孔ブロック1と多孔管10を接続することができるものである。そして、このパッキン9は、同様にして多孔管10と多孔管10との接続にも使用され、両者の位置ずれを防止できるものである。
【0028】
図12は本発明の他の実施形態に係る多孔管路用曲がりユニットの斜視図、図13は同曲がりユニットの多孔ブロックの分解斜視図である。
【0029】
この曲がりユニットは、図12に示すように、多孔ブロック1の片側に直径の大きい貫通孔3が1つ形成されると共に、中央から反対側に直径の小さい貫通孔3が上下二段に3つずつ平行に形成されており、直径の大きい貫通孔3の両端には前述の接続口4a,4bと同じ構造の大きい接続口4a,4bが、また、直径の小さい貫通孔3の両端には前述の接続口4a,4bと同じ構造の小さい接続口4a,4bが形成されている。この多孔ブロック1は、図13に示すように、上部ブロック1aと下部ブロック1bと中子ブロック1cからなる三分割タイプとされており、上部ブロック1aの下面、中子ブロック1cの上下両面、下部ブロック1bの上面には、各貫通孔3及び各接続口4a,4bの上半分又は下半分が形成されている。そして、中子ブロック1cが上部ブロック1aと下部ブロック1bで上下から挟まれ、上部ブロック1aと下部ブロック1bの両側面から突出する水平突片6a,6bがボルト7aとナットで締め付けられて一体に組立てられている。更に、双方の多孔ブロック1,1の間には、前述の短管2と同じ構造の太い短管2と6本の細い短管2が配置され、各短管2の一方の端部2aが一方の多孔ブロック1の各接続口4aに摺動自在に接続されると共に、各短管2の他方の端部2bが他方の多孔ブロック1の各接続口4bに接続固定されて曲がりユニットが構成されている。尚、前記実施形態の曲がりユニットと同一部分については、図12、図13において同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
上記のような曲がりユニットも、各短管2が湾曲可能であって、各短管2の一方の端部2bが一方の多孔ブロック1の接続口4aの内部で摺動自在であるため、小さい曲率半径をもって大きい曲がり角度で三次元のどの方向にも曲げることができ、多孔管路の曲がり部分において双方の多孔ブロック1,1を双方の多孔管に連結するだけでよいから施工が簡単であり、露出する短管2が少ないので外部からの衝撃力で破損する心配も殆どないといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る多孔管路用曲がりユニットの斜視図である。
【図2】(a)は同曲がりユニットの縦断面図であり、(b)は同曲がりユニットの分解縦断面図である。
【図3】同曲がりユニットの上部ブロックを除去した平面図である。
【図4】(a)は多孔ブロックの貫通孔一端の接続口を示す拡大部分断面図であり、(b)は多孔ブロックの貫通孔他端の接続口を示す拡大部分断面図である。
【図5】下方向に曲がった状態の同曲がりユニットを示す側面図である。
【図6】右方向に曲がった状態の同曲がりユニットの上部ブロックを除去した平面図である。
【図7】同曲がりユニットと多孔管との接続状態を示す分解斜視図である。
【図8】同曲がりユニットと多孔管との接続状態を示す側面図である。
【図9】多孔管の斜視図である。
【図10】同曲がりユニットの短管を示す半断面側面図である。
【図11】短管の他の例を示す半断面側面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る多孔管路用曲がりユニットの斜視図である。
【図13】同曲がりユニットの多孔ブロックの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 多孔ブロック
1a 上部ブロック
1b 下部ブロック
1c 中子ブロック
2,20 短管
2b 短管の端部
2c,20c 抜止め用の環状凸部
3 貫通孔
4a,4b 接続口
41a,41b 接続口の入口部分
43a 摺動筒部
43b 環状凹溝
9 パッキン
10 多孔体
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線や光ファイバーなどのケーブルを地中に埋設する多孔管路の曲がり部分に設置される多孔管路用曲がりユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の多孔管路材として、ケーブル挿通用の複数の貫通孔を平行に形成した直方体形状のコンクリート製又は陶製の多孔管や、合成樹脂製の複数のコルゲート管を結束した多条管などが使用されている。
【0003】
後者の多条管は、曲がりやすくて施工がしやすいという利点を有する反面、歩道等の表面近くに浅く埋設すると、つるはし試験に対する強度に不安があり、しかも、埋設施工の際の転圧時に砂がコルゲート管相互の隙間に入り込みにくいため、舗装後に砂が該隙間に入り込んで舗装面に凹凸が生じやすいという欠点があった。
【0004】
これに対し、前者の多孔管は、つるはし試験に対する強度があり、舗装面に凹凸が生じる心配もないといった利点を有するが、その反面、重量が大きいため取扱いが容易でなく、しかも、多孔管路の曲がり部分では、一定の曲がり角度を有する台形状の曲がり多孔管を幾つか接続する必要があるため、施工が面倒で、曲率半径を小さくすることが難しく、曲がり角度の調整もし辛いといった欠点があり、曲がり部分の多い施工現場には不向きであった。
【0005】
このような多孔管路の曲がり部分の欠点に対処するため、複数の孔を形成した接続ブロックの該孔に波付き管の一端の直管部を挿入し、この直管部の鍔状ストッパーを該孔の凹溝に嵌め込んで取付けた多孔管路用接続ユニットが提案されている(特許文献1参照)。この多孔管路用接続ユニットは、多孔管路の曲がり部分おいて一組使用され、双方のユニットの接続ブロックが曲がり部分の双方の多孔管にそれぞれ突合わせ接続されると共に、双方のユニットの波付き管同士が曲がり部分の曲率半径に応じた円弧長調整用の波付き管を介して管継手により接続されるものである。
【0006】
しかしながら、上記の接続ユニットを用いると、多孔管路の曲がり部分の大部分が、該ユニットの接続ブロックに取付けられた波付き管と円弧長調整用の波付き管で占められ、これらの波付き管がむき出しのまま無防備に埋設されることになるため、浅く埋設した場合には、つるはしやその他の衝撃力を受けて破損する可能性が高くなり、また、曲がり部分の曲率半径をあまり小さくすることもできないという問題があった。更に、接続ブロックに取付けられる波付き管の本数が多くなると、円弧長調整用の波付き管を介して管継手により接続する作業が大変になり、施工性が低下するという問題もあった。
【特許文献1】特開平9−284963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題に対処すべくなされたもので、浅く埋設しても、つるはしやその他の衝撃力を受けて破損する可能性が低く、三次元曲がりが可能で、しかも曲率半径を小さくできる、施工性に優れた多孔管路用曲がりユニットを提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の多孔管路用曲がりユニットは、複数の貫通孔が平行に形成された少なくとも2個の多孔ブロックの間に、貫通孔と同数の湾曲可能又は屈曲可能な短管が配置され、各短管の両端部が隣り合う多孔ブロックの各貫通孔の接続口に抜出し不能に接続された曲がりユニットであって、各短管の少なくとも一方の端部が接続口の内部で摺動自在になっていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の多孔管路用曲がりユニットは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、短管の一方の端部に抜止め用の環状凸部が形成され、この短管の一方の端部が接続される多孔ブロックの貫通孔一端の接続口は、その入口部分が短管の一方の端部の外径よりも僅かに大きい直径を有すると共に、この入口部分より奥の部分が抜止め用の環状凸部の外径よりも僅かに大きい直径を有する摺動筒部に形成されて、この摺動筒部に短管の一方の端部が摺動自在に収容されることが好ましい。そして、短管の他方の端部に抜止め用の環状凸部が形成され、この短管の他方の端部が接続される多孔ブロックの貫通孔他端の接続口の内面に環状凹溝が形成されて、この環状凹溝に抜止め用の環状凸部が嵌着されることが好ましい。また、多孔ブロックが上部ブロックと下部ブロックからなる二分割タイプ、あるいは、上部ブロックと下部ブロックと中子ブロックからなる三分割タイプのものであることも好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の多孔管路用曲がりユニットは、隣り合う多孔ブロックの間の各短管が湾曲可能又は屈曲可能であって、しかも各短管の少なくとも一方の端部が接続口の内部で摺動自在になっているため、隣り合う多孔ブロック同士の曲がり方向を三次元の任意の方向として、小さい曲率半径をもって大きい曲がり角度で曲げることができる。この点についてもう少し詳しく説明すると、上記の曲がりユニットを、ある方向(例えば右方向)に曲げようとする場合、その曲がり方向の最も内側(例えば最も右側)に位置する短管には圧縮力が働き、曲がり方向の最も外側(例えば最も左側)に位置する短管には引張力が働き、中央に位置する短管には圧縮力も引張力も殆ど働かない。このとき、各短管の両方の端部が接続口の内部で摺動不能に固定されていると、各短管が伸縮の許容範囲内で伸縮して上記の圧縮力及び引張力を吸収できるだけであるから、曲がりユニットは各短管の伸縮の許容範囲内で多少曲がるだけである。けれども、本発明のように各短管の少なくとも一方の端部が接続口の内部で摺動可能になっていると、圧縮力が働く短管は、その一方の端部が接続口の奥に向かって摺動することにより圧縮力を吸収し、引張力が働く短管は、その一方の端部が接続口の入口に向かって摺動することにより引張力を吸収するため、各短管が湾曲可能又は屈曲可能であることと相俟って、上記の摺動許容範囲内で曲がりユニットは大きい曲率をもって大きい曲がり角度で三次元のどの方向にも曲がるようになり、曲がり角度の調整も自在となる。従って、多孔管路の曲がり部分において、一方の多孔管に本発明の曲がりユニットの一端の多孔ブロックを連結し、他方の多孔管にユニット他端の多孔ブロックを連結すると、曲がり部分の曲率半径を小さくすることが可能となり、かつ、三次元のどの方向の曲がり部分であっても、曲がり角度を所望の角度に調整して双方の多孔管を接続することが可能となる。
【0011】
また、本発明の曲がりユニットは、前記特許文献1の接続ユニットのように施工現場において円弧長調整用の波付き管を管継手で接続するといった面倒な作業が一切不要であり、上記のようにユニット両端の多孔ブロックを多孔管路の曲がり部分の双方の多孔管に連結するだけでよいから、施工性が極めて良好である。しかも、本発明の曲がりユニットは、その大部分が多孔ブロックで占められ、むき出しのまま埋設される短管の占める割合が少ないので、浅く埋設しても、つるはしやその他の衝撃力を受けて破損する可能性が低いものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る多孔管路用曲がりユニットの斜視図、図2の(a)は同曲がりユニットの縦断面図、図2の(b)は同曲がりユニットの分解縦断面図、図3は同曲がりユニットの上部ブロックを除去した平面図、図4の(a)は多孔ブロックの貫通孔一端の接続口を示す拡大部分断面図、図4の(b)は多孔ブロックの貫通孔他端の接続口を示す拡大部分断面図、図5は下方向に曲がった状態の同曲がりユニットを示す側面図、図6は右方向に曲がった状態の同曲がりユニットの上部ブロックを除去した平面図、図7は同曲がりユニットと多孔管との接続状態を示す分解斜視図、図8は同曲がりユニットと多孔管との接続状態を示す側面図、図9は多孔管の斜視図、図10は同曲がりユニットの短管の半断面側面図である。
【0014】
この多孔管路用曲がりユニットは、図1、図2の(a)に示すように、2個の多孔ブロック1,1と、これらの多孔ブロック1,1の間に配置された複数本(この実施形態では3本)の合成樹脂製の短管2とで構成されている。
【0015】
上記の短管2は、図2の(b)、図10に示すように、中央部分が環状の山部と環状の谷部を交互に連設した湾曲可能なコルゲート管部2aに構成され、両端部2b,2bが円形直管に構成されたものであって、両端部2b,2bの外周面には抜止め用の環状凸部2cが2条ずつ形成されている。短管2の具体的な寸法については特に限定されないが、曲がりユニットの曲がり特性を良くするためには、例えば、コルゲート管部2aの長さが100〜150mm程度、円形直管の両端部2bの長さが70〜170mm程度、コルゲート管部2aの山部の数が6〜10程度、コルゲート管部2aの谷部及び両端部2bの外径が30〜130mm程度、コルゲート管部2aの山部の高さが7〜15mm程度であることが好ましい。
【0016】
一方、多孔ブロック1は、図1〜図3に示すように、上部ブロック1aと下部ブロック1bからなる二分割タイプの多孔ブロックであって、電線や光ファイバーなどのケーブルを挿通する複数(この実施形態では3つ)の貫通孔3が平行に形成されており、各貫通孔3の両端には、上記の短管2を接続するための接続口4a,4bが形成されている。
【0017】
図4の(a)に拡大して示すように、多孔ブロック1の貫通孔3の一端に形成された接続口4aは、その入口部分41aが上記短管2の一方の端部2bの外径よりも僅かに大きい直径を有しており、この入口部分41aの内周面には、防水用Oリング5を嵌着するOリング嵌着溝42aが形成されている。そして、この入口部分41aより奥の部分は、抜止め用の環状凸部2cの外径よりも僅かに大きい直径を有する摺動筒部43aに形成されており、この摺動筒部43aに短管2の一方の端部2bが摺動自在に収容されて抜出し不能に接続されている。摺動筒部43aの長さは50〜150mm程度であることが好ましく、この程度の長さがあれば、前述した寸法の短管2を接続することによって、三次元の任意の方向に大きい曲率及び大きい曲がり角度で曲がる曲がりユニットを得ることができる。
【0018】
これに対し、多孔ブロック1の貫通孔3の他端に形成された接続口4bは、図4の(b)に拡大して示すように、その入口から奥端に至るまで、短管2の他方の端部2bの外径と実質的に同一もしくは僅かに大きい直径を有しており、前記接続口4aと同様、入口部分41bの内周面には防水用Oリング5を嵌着するOリング嵌着溝42bが形成されている。そして、この接続口4bの奥端部の内周面には2条の環状凹溝43bが形成されており、短管2の他方の端部2bに形成された2条の抜止め用の環状凸部2cが該環状凹溝43bに嵌着されて、短管2の他方の端部2bが抜出し不能に固定されている。
【0019】
この二分割タイプの多孔ブロック1は、図2(b)に示すように、上部ブロック1aの下面に貫通孔3の上半分と接続口4a,4bの上半分が形成されると共に、下部ブロック1bの上面に貫通孔3の下半分と接続口4a,4bの下半分が形成されており、上部ブロック1aと下部ブロック1bを重ね合わせて固定すると、内部に平行な複数(3つ)の貫通孔3を有し且つその両端に接続口4a,4bを有する多孔ブロックとなるようにしたものである。上部ブロック1aと下部ブロック1bの固定は、図1に示すように、上部ブロック1aと下部ブロック1bのそれぞれの両側面から突き出した水平突片6a,6bをボルト7aとナット7bで締付けることよって行われる。このように多孔ブロック1が二分割タイプのものであると、両端部に抜止め用の環状凸部2cを形成した短管2を極く簡単に接続口4a,4bに接続できる利点があり、また、成形も容易である。尚、上部ブロック1aと下部ブロック1bの側面両端に形成された垂直突片8a,8bは、後述するように、多孔ブロック1と多孔管10との接続に使用されるものである。
【0020】
多孔ブロックの大きさは特に限定されないが、前記寸法の短管2を3本並べて接続する本実施形態の多孔ブロック1では、長さを400〜500mm程度、幅を400〜500mm程度、高さを150〜200mm程度に設定することが好ましい。また、この多孔ブロック1はコンクリートなどで作製してもよいが、軽量で成形性に優れたBMC、SMC、ポリプロピレンなどの樹脂材料を用いて作製することが好ましく、特に再生樹脂材料を用いて作製すると、経済的にも有利である。
【0021】
以上のような構成の多孔管路用曲がりユニットは、図5に示すように、各短管2のコルゲート管部2aが湾曲可能であるため、一方の多孔ブロック1に対して他方の多孔ブロック1を上下いずれの方向にも容易に曲げることができる。しかも、この曲がりユニットは、各短管2の一方の端部2bが多孔ブロック1の貫通孔3一端の接続口4aの摺動筒部43aに摺動自在に収納されて抜出し不能に接続されているため、図6に示すように左右いずれかの方向に曲げる場合(例えば右方向に曲げる場合)には、各短管2のコルゲート管部2aが湾曲すると共に、その曲がり方向の最も内側に位置する短管2(例えば右側に位置する短管)の一方の端部2bが摺動筒部43aの奥に向かって摺動することにより該短管2に作用する圧縮力を吸収して多孔ユニット1,1の曲がり方向内側のコーナー部同士が一層接近し、曲がり方向の最も外側に位置する短管2(例えば左側に位置する短管)の一方の端部2bは摺動筒部43aを入口部分に向かって摺動することにより該短管2に作用する引張力を吸収して多孔ユニット1,1の曲がり方向外側のコーナー部同士が一層離反することになる。そのため、この曲がりユニットは、上記の摺動許容範囲内で小さい曲率半径をもって大きい曲がり角度で左右いずれの方向にも滑らかに曲げることができ、曲がり角度の調整も自在であり、上述した上下方向の曲がりと複合して、三次元のどの方向にも小さな曲率半径をもって大きい曲がり角度で自在に曲げることが可能である。ちなみに、摺動筒部43aの長さを前記の50〜150mmとし、前記寸法の短管2を10mm程度の相互間隔をあけて3本並べて接続した曲がりユニット(多孔ブロック1の大きさは前述した通り)では、曲率半径を1500〜3000mmと小さくすることができる。
【0022】
従って、多孔管路の曲がり部分において、図5、図6に示すように上記の曲がりユニットの一方の多孔ブロック1を一方の多孔管10に接続し、他方の多孔ブロック1を他方の多孔管10に接続すれば、多孔管路の曲がり部分の曲率半径を従来よりも小さくすることが可能となり、かつ、三次元のどの方向の曲がり部分であっても、曲がり角度を調整して双方の多孔管10,10を接続することが可能となる。なお、多孔管路の曲がり部分の曲がり角度がもっと大きく上記の曲がりユニットでは対応できない場合(例えば曲がり角度が90度と大きい場合)には、多孔ブロック1の数を3個ないし4個に増やし、それぞれの多孔ブロック1の間に短管2を3本ずつ配置して、各短管2の両端部2b,2bを接続口4a,4bに接続した曲がりユニットを使用すればよい。
【0023】
このように曲がりユニットを用いると、従来の接続ユニットのように施工現場において円弧長調整用の波付き管を管継手で接続するといった面倒な作業が一切不要となり、双方の多孔ブロック1,1を多孔管路の曲がり部分の双方の多孔管10,10に接続するだけでよいから、施工性が大幅に向上する。しかも、この曲がりユニットは、その大部分が多孔ブロック1,1で占められ、むき出しのまま埋設される短管2の占める割合が少ないので、浅く埋設しても、つるはしやその他の衝撃力を受けて破損する心配が殆どない。
【0024】
上記の曲がりユニットでは、貫通孔3の一端の接続口4aのみに摺動筒部43aを形成して、短管2の一方の端部2bのみを摺動自在に接続しているが、貫通孔3の他端の接続口4bにも摺動筒部を形成して、短管2の両方の端部2b,2bを摺動自在に接続するように構成しても勿論よい。このようにすると、摺動許容範囲が倍増するので、曲がりユニットの曲率半径を更に小さくできる利点がある。しかし、上記の曲がりユニットのように、他端の接続口4bに環状凹溝43bを形成して短管2の他方の端部2bの抜止め用環状凸部2cを嵌着する構成としたものは、短管2の他方の端部2bが一方の多孔ブロック1と固定関係になるため、短管2の一方の端部2bを摺動筒部43a内でスムーズに摺動させて曲がりユニットを簡単に曲げることができる利点があり、このような利点は特に短管3の本数が増えるほと顕著になる。
【0025】
また、上記の曲がりユニットでは、中央をコルゲート管部2aとした湾曲可能な短管2を使用しているが、これに代えて、例えば、図11に示すような屈曲可能な短管20を使用してもよい。この短管20は、一端に抜止め用の環状凸部20cを形成し且つ他端に凸球面状に膨出する差口20bを形成した片方の円形直管20aと、他端に抜止め用の環状凸部20cを形成し且つ一端に上記差口20bより一回り大きく膨出した受口20を形成した他方の円形直管20aとからなるもので、上記の差口20bを防水用Oリング20eを挟んで上記の受口20dに回動自在に嵌合することにより、任意の方向に屈曲可能としたものである。これらの短管2,20の他にも、湾曲可能あるいは屈曲可能な公知の種々の短管が使用できることは言うまでもない。
【0026】
多孔管路を構成する上記の多孔管10は、図9に示すように、ケーブル挿通孔11を多孔ブロック1の貫通孔3と同数だけ平行に形成したものであって、それぞれのケーブル挿通孔11の両端には受口12が形成されている。そして、この多孔管10も多孔ブロック1と同様に上下二分割構造とされ、同様の再生樹脂材料等で成形されている。
【0027】
この多孔管10と曲がりユニットの多孔ブロック1との接続は、好ましくは図7に示すようなパッキン9を挟んで行われる。このパッキン9は、多孔ブロック1の端面(多孔管10の端面)と同一形状を有する板体9aに、該板体9aを貫く筒体9bを多孔ブロック1の貫通孔3(多孔管10のケーブル挿通孔11)と同数だけ一体に形成したものであって、図8に示すように、この筒体9bを多孔ブロック1の接続口4b(又は4a)と多孔管10の受口12にそれぞれ差し込んで、板体9aを多孔ブロック1の端面と多孔管10の端面で挟み、多孔ブロック1の側面端部の垂直突片8a,8bと多孔管10の側面端部の垂直突片13a,13bをボルト7aとナット7bで締め付けることにより、多孔ブロック1の接続口4b(又は4a)と多孔管10の受口12の位置ずれが生じないように、多孔ブロック1と多孔管10を接続することができるものである。そして、このパッキン9は、同様にして多孔管10と多孔管10との接続にも使用され、両者の位置ずれを防止できるものである。
【0028】
図12は本発明の他の実施形態に係る多孔管路用曲がりユニットの斜視図、図13は同曲がりユニットの多孔ブロックの分解斜視図である。
【0029】
この曲がりユニットは、図12に示すように、多孔ブロック1の片側に直径の大きい貫通孔3が1つ形成されると共に、中央から反対側に直径の小さい貫通孔3が上下二段に3つずつ平行に形成されており、直径の大きい貫通孔3の両端には前述の接続口4a,4bと同じ構造の大きい接続口4a,4bが、また、直径の小さい貫通孔3の両端には前述の接続口4a,4bと同じ構造の小さい接続口4a,4bが形成されている。この多孔ブロック1は、図13に示すように、上部ブロック1aと下部ブロック1bと中子ブロック1cからなる三分割タイプとされており、上部ブロック1aの下面、中子ブロック1cの上下両面、下部ブロック1bの上面には、各貫通孔3及び各接続口4a,4bの上半分又は下半分が形成されている。そして、中子ブロック1cが上部ブロック1aと下部ブロック1bで上下から挟まれ、上部ブロック1aと下部ブロック1bの両側面から突出する水平突片6a,6bがボルト7aとナットで締め付けられて一体に組立てられている。更に、双方の多孔ブロック1,1の間には、前述の短管2と同じ構造の太い短管2と6本の細い短管2が配置され、各短管2の一方の端部2aが一方の多孔ブロック1の各接続口4aに摺動自在に接続されると共に、各短管2の他方の端部2bが他方の多孔ブロック1の各接続口4bに接続固定されて曲がりユニットが構成されている。尚、前記実施形態の曲がりユニットと同一部分については、図12、図13において同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
上記のような曲がりユニットも、各短管2が湾曲可能であって、各短管2の一方の端部2bが一方の多孔ブロック1の接続口4aの内部で摺動自在であるため、小さい曲率半径をもって大きい曲がり角度で三次元のどの方向にも曲げることができ、多孔管路の曲がり部分において双方の多孔ブロック1,1を双方の多孔管に連結するだけでよいから施工が簡単であり、露出する短管2が少ないので外部からの衝撃力で破損する心配も殆どないといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る多孔管路用曲がりユニットの斜視図である。
【図2】(a)は同曲がりユニットの縦断面図であり、(b)は同曲がりユニットの分解縦断面図である。
【図3】同曲がりユニットの上部ブロックを除去した平面図である。
【図4】(a)は多孔ブロックの貫通孔一端の接続口を示す拡大部分断面図であり、(b)は多孔ブロックの貫通孔他端の接続口を示す拡大部分断面図である。
【図5】下方向に曲がった状態の同曲がりユニットを示す側面図である。
【図6】右方向に曲がった状態の同曲がりユニットの上部ブロックを除去した平面図である。
【図7】同曲がりユニットと多孔管との接続状態を示す分解斜視図である。
【図8】同曲がりユニットと多孔管との接続状態を示す側面図である。
【図9】多孔管の斜視図である。
【図10】同曲がりユニットの短管を示す半断面側面図である。
【図11】短管の他の例を示す半断面側面図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係る多孔管路用曲がりユニットの斜視図である。
【図13】同曲がりユニットの多孔ブロックの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1 多孔ブロック
1a 上部ブロック
1b 下部ブロック
1c 中子ブロック
2,20 短管
2b 短管の端部
2c,20c 抜止め用の環状凸部
3 貫通孔
4a,4b 接続口
41a,41b 接続口の入口部分
43a 摺動筒部
43b 環状凹溝
9 パッキン
10 多孔体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔が平行に形成された少なくとも2個の多孔ブロックの間に、貫通孔と同数の湾曲可能又は屈曲可能な短管が配置され、各短管の両端部が隣り合う多孔ブロックの各貫通孔の接続口に抜出し不能に接続された曲がりユニットであって、各短管の少なくとも一方の端部が接続口の内部で摺動自在になっていることを特徴とする多孔管路用曲がりユニット。
【請求項2】
短管の一方の端部に抜止め用の環状凸部が形成され、この短管の一方の端部が接続される多孔ブロックの貫通孔一端の接続口は、その入口部分が短管の一方の端部の外径よりも僅かに大きい直径を有すると共に、この入口部分より奥の部分が抜止め用の環状凸部の外径よりも僅かに大きい直径を有する摺動筒部に形成されて、この摺動筒部に短管の一方の端部が摺動自在に収容されていることを特徴とする、請求項1に記載の多孔管路用曲がりユニット。
【請求項3】
短管の他方の端部に抜止め用の環状凸部が形成され、この短管の他方の端部が接続される多孔ブロックの貫通孔他端の接続口の内面に環状凹溝が形成されて、この環状凹溝に抜止め用の環状凸部が嵌着されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の多孔管路用曲がりユニット。
【請求項4】
多孔ブロックが上部ブロックと下部ブロックからなる二分割タイプのものであることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多孔管路用曲がりユニット。
【請求項5】
多孔ブロックが上部ブロックと下部ブロックと中子ブロックからなる三分割タイプのものであることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多孔管路用曲がりユニット。
【請求項1】
複数の貫通孔が平行に形成された少なくとも2個の多孔ブロックの間に、貫通孔と同数の湾曲可能又は屈曲可能な短管が配置され、各短管の両端部が隣り合う多孔ブロックの各貫通孔の接続口に抜出し不能に接続された曲がりユニットであって、各短管の少なくとも一方の端部が接続口の内部で摺動自在になっていることを特徴とする多孔管路用曲がりユニット。
【請求項2】
短管の一方の端部に抜止め用の環状凸部が形成され、この短管の一方の端部が接続される多孔ブロックの貫通孔一端の接続口は、その入口部分が短管の一方の端部の外径よりも僅かに大きい直径を有すると共に、この入口部分より奥の部分が抜止め用の環状凸部の外径よりも僅かに大きい直径を有する摺動筒部に形成されて、この摺動筒部に短管の一方の端部が摺動自在に収容されていることを特徴とする、請求項1に記載の多孔管路用曲がりユニット。
【請求項3】
短管の他方の端部に抜止め用の環状凸部が形成され、この短管の他方の端部が接続される多孔ブロックの貫通孔他端の接続口の内面に環状凹溝が形成されて、この環状凹溝に抜止め用の環状凸部が嵌着されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の多孔管路用曲がりユニット。
【請求項4】
多孔ブロックが上部ブロックと下部ブロックからなる二分割タイプのものであることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多孔管路用曲がりユニット。
【請求項5】
多孔ブロックが上部ブロックと下部ブロックと中子ブロックからなる三分割タイプのものであることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多孔管路用曲がりユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−74856(P2006−74856A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252145(P2004−252145)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】
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