説明

封止用エポキシ樹脂組成物、及び電子部品装置

【課題】 難燃性付与剤を使用することなく高い耐燃性を有し、成形性とりわけ連続成形性とパッケージ外観に優れ、かつ耐半田性に優れた封止用エポキシ樹脂組成物、及びその硬化物により素子を封止してなる電子部品装置を提供すること。
【解決手段】 (A)フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型のエポキシ樹脂(a1)を含むエポキシ樹脂、(B)ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型のフェノール樹脂(b1)を含むフェノール樹脂系硬化剤、(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)、及び/又は、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)とエポキシ樹脂との反応生成物(c2)、(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス、並びに(E)無機充填剤を含み、無機充填剤の全エポキシ樹脂組成物中における含有割合が84重量%以上、92重量%以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止用樹脂組成物及び電子部品装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からダイオード、トランジスタ、集積回路等の電子部品は、主にエポキシ樹脂組成物を用いて封止されている。特に集積回路では、エポキシ樹脂、フェノール樹脂系硬化剤、及び溶融シリカ、結晶シリカ等の無機充填剤を配合した耐熱性、耐湿性に優れたエポキシ樹脂組成物が用いられている。ところが近年、電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、素子(以下、「チップ」ともいう。)の高集積化が年々進み、また電子部品装置(以下、「パッケージ」ともいう。)の表面実装化が促進されるなかで、素子の封止に用いられているエポキシ樹脂組成物への要求は益々厳しいものとなってきている。特に電子部品装置の表面実装化が一般的になってきている現状では、吸湿した電子部品装置が実装の際の半田処理時に高温にさらされる。更に、環境負荷物質の撤廃の一環として、鉛を含まない半田への代替が進められており、この無鉛半田は従来の半田に比べ融点が高いため、実装時の半田処理温度は、従来よりも20℃程度高く、約260℃が必要とされる。そのため、電子部品装置が従来以上に高い温度にさらされることになり、素子やリードフレームとエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面に剥離が発生し、電子部品装置にクラックを生じる等、電子部品装置の信頼性を大きく損なう不良が生じ易くなっている。
【0003】
また、リードフレームについても脱鉛の観点から、外装半田メッキの代わりに予めNiやNi−Pd、Ni−Pd−Au等でメッキを施したプレプレーティングフレームを用いた電子部品装置が増加している。これらのメッキは、エポキシ樹脂組成物の硬化物との密着性が著しく悪いという欠点があり、特に上記のプレプレーティングフレームを用いた電子部品装置の場合には、表面実装時にエポキシ樹脂組成物の硬化物とプレプレーティングフレームとの界面において剥離が発生する等の問題が生じており、これらの不良の防止、即ち耐半田性の向上が求められている。
【0004】
また、通常、エポキシ樹脂組成物中には耐燃性を付与するために、臭素含有有機化合物等のハロゲン系難燃剤、及び三酸化ニアンチモン、四酸化ニアンチモン等のアンチモン化合物が配合されていることが多いが、前記と同様に環境負荷物質の撤廃の観点から、ハロゲン系難燃剤、アンチモン化合物を使用しないで、耐燃性に優れたエポキシ樹脂組成物の開発が要求されている。これらに代わる環境対応の難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等が用いられるようになってきている。しかし、これらは多量に配合しないと耐燃性の向上効果が発現せず、しかも充分な耐燃性が得られる程度に配合量を増やすとエポキシ樹脂組成物の成形時の流動性、硬化性及び樹脂硬化物の機械的強度が低下し、連続成形性や耐半田性を悪化させる場合があった。
【0005】
実装温度の上昇に伴う耐半田性の低下に対しては、低吸水性のエポキシ樹脂や硬化剤を適用すること(例えば、特許文献1、2、3参照。)が提案されている。しかし、これらのエポキシ樹脂組成物では耐燃性が不足しているため難燃剤を添加しなければならず、また、これらのエポキシ樹脂組成物では前記のようなプレプレーティングフレームに対しての密着性も低く、これらのフレームを使用したパッケージでは特に信頼性が劣るという問題があった。
【0006】
更に、これらの低吸水性のエポキシ樹脂や硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物では、樹脂硬化物の硬度不足、硬化性不足によるパッケージの金型取られ、離型剤の過度の染み出しによる外観の悪化といった、連続成形上の不具合があり、必ずしも満足できるものではなかった。
【0007】
【特許文献1】特開平1−275618号公報
【特許文献2】特開平5−097965号公報
【特許文献3】特開平5−097967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、難燃性付与剤を使用することなく高い耐燃性を有し、成形性とりわけ連続成形性とパッケージ外観に優れ、かつ耐半田性に優れた封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
[1] (A)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)を含むエポキシ樹脂、
(B)下記一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)を含むフェノール樹脂系硬化剤、
(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)、及び/又は、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)とエポキシ樹脂との反応生成物(c2)、
(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス、
並びに(E)無機充填剤を含み、
前記(E)無機充填剤の全エポキシ樹脂組成物中における含有割合が84重量%以上、92重量%以下である
ことを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
【化5】

(ただし、上記一般式(1)において、R1は水素又は炭素数1ないし4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0ないし4の整数、bは0ないし4の整数、cは0ないし3の整数、dは0ないし4の整数。nの平均値は0又は10以下の正数。)
【化6】

(ただし、上記一般式(2)において、R1は水素又は炭素数1ないし4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0ないし4の整数、bは0ないし4の整数、cは0ないし3の整数、dは0ないし4の整数。nの平均値は0又は10以下の正数。)
【0010】
[2] 第[1]項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)の軟化点が35℃以上、60℃以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
【0011】
[3] 第[1]項又は第[2]項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)が下記一般式(3)で表されるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
【化7】

(ただし、上記一般式(3)において、R2は少なくとも1つ以上がカルボキシル基を有する炭素数1ないし40の有機基であり、残余の基は水素、フェニル基、又はメチル基から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。nの平均値は、1以上、50以下の正数である。)
【0012】
[4] 第[1]項ないし第[3]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)と前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスとの重量比W(c1)/W(D)が5/1から1/5までの範囲であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
[5] 第[1]項ないし第[4]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスを全エポキシ樹脂組成物中に0.01重量%以上、1重量%以下の割合で含むことを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
[6] 第[1]項ないし第[5]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスの平均粒径が20μm以上、70μm以下であり、全トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)中における粒径106μm以上の粒子の含有割合が0.1重量%以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
[7] 第[1]項ないし第[6]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスの滴点が70℃以上、120℃以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
[8] 第[1]項ないし第[7]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスの酸価が10mgKOH/g以上、50mgKOH/g以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
[9] 第[1]項ないし第[8]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスの数平均分子量が500以上、5000以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
[10] 第[1]項ないし第[9]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスがトリレンジイソシアネート変性酸化ポリプロピレンワックス、トリレンジイソシアネート変性酸化ポリエチレンワックス及びトリレンジイソシアネート変性酸化パラフィンワックスから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
[11] 第[1]項ないし第[10]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、更に(F)トリアゾール系化合物を含むことを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
[12] 第[11]項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(F)トリアゾール系化合物が1、2、4−トリアゾール環を有する化合物であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
【0013】
[13] 第[11]項又は第[12]項に記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(F)トリアゾール系化合物が下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
【化8】

(ただし、上記一般式(4)において、R3は水素原子、又はメルカプト基、アミノ基、水酸基、もしくはそれらの官能基を有する有機基を示す。)
【0014】
[14] 第[1]項ないし第[13]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、各成分を混合及び/又は溶融混練してなることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
[15] 第[1]項ないし第[14]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)と前記一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)とを予め溶融混合した後、その他の成分を加えて更に溶融混合してなることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物、
[16] 第[1]項ないし第[15]項のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物により素子を封止してなることを特徴とする電子部品装置、
である。
【発明の効果】
【0015】
本発明に従うと、ハロゲン系難燃剤、及びアンチモン化合物、その他の難燃性付与剤を使用することなく、難燃グレードがUL−94のV−0であり、かつ素子、リードフレーム等の各種基材との密着性、特にNi、Ni−Pd、Ni−Pd−Au等のプレプレーティングフレームとの密着性に優れた特性を有し、吸湿後の半田処理においても電子部品装置にクラックや基材との剥離が発生せず耐半田性に優れ、さらに、離型性、連続成形性、樹脂硬化物の外観、金型の汚れ等の課題を解決することができる封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は(A)一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)を含むエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)を含むフェノール樹脂系硬化剤、(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)、及び/又は、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)とエポキシ樹脂との反応生成物(c2)、(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス、並びに(E)無機充填剤を含み、前記(E)無機充填剤の全エポキシ樹脂組成物中における含有割合が84重量%以上、92重量%以下であることにより、難燃性付与剤を使用ことなく高い耐燃性を有し、成形性とりわけ連続成形性とパッケージ外観に優れ、かつ耐半田性に優れた封止用エポキシ樹脂組成物が得られるものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
【0017】
本発明で用いられる下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)は、グルシジルエーテル基が結合した2つのフェニル基間に、エポキシ基を有さず疎水性を示すフェニレン骨格を有している。このため、これを用いたエポキシ樹脂組成物は、その硬化物が低吸湿性を示すと共に、硬化物の架橋点間距離が長くなるため、ガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)を超えた高温域での弾性率が低い、という特徴を有している。電子部品装置の実装を行う半田処理の温度は、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物のTgよりも高いため、該エポキシ樹脂組成物の硬化物は、電子部品装置の実装時の半田処理温度での弾性率が低い特長を有している。また、硬化物の架橋点間距離が長くなることで硬化時の樹脂収縮量が減少し、被着体となる素子やリードフレーム等の各種基材との界面における歪が低下し密着性が向上する。以上の理由から、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)を配合したエポキシ樹脂組成物の硬化物は、気化する水蒸気量の減少と樹脂硬化物の低弾性率化とによって、実装時の半田処理の際に発生する応力が低くなり、かつ素子や各種基材との密着性にも優れるため、耐半田性が良好となり好ましい。更に、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)は、樹脂骨格に占める芳香族環の含有率が高いために、樹脂そのものの耐燃性も比較的高いものであるため、これを用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐燃性向上という観点からも好ましい。
【0018】
【化9】

(ただし、上記一般式(1)において、R1は水素又は炭素数1ないし4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0ないし4の整数、bは0ないし4の整数、cは0ないし3の整数、dは0ないし4の整数。nの平均値は0又は10以下の正数。)
【0019】
上記一般式(1)中のR1は水素又は炭素数1ないし4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0ないし4の整数、bは0ないし4の整数、cは0ないし3の整数、dは0ないし4の整数、nの平均値は0又は10以下の正数である。これらの内では、硬化性の点から下記式(5)で表されるエポキシ樹脂等が好ましい。nの平均値が上記範囲内であると、樹脂の粘度が増大化することなく、成形時のエポキシ樹脂組成物の流動性が低下することがないため、より一層の低吸湿化のための無機充填剤の高充填化が可能となる。
【0020】
【化10】

(ただし、上記式(5)において、nの平均値は0又は10以下の正数。)
【0021】
また本発明では、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)を用いることによる特徴を損なわない範囲で、他のエポキシ樹脂と併用することができる。併用することができるエポキシ樹脂は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ビフェニル骨格等を有する)、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。他のエポキシ樹脂を併用する場合の配合量としては、全エポキシ樹脂(A)に対して、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)が、70重量%以上、100重量%以下であることが好ましい。一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)の配合量が上記範囲内であると、吸湿率の増大、耐半田性の低下、耐燃性の低下を抑えることができる。
【0022】
本発明で用いられる下記一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)は、フェノール核間に疎水性で剛直なビフェニレン骨格を有しており、これを用いたエポキシ樹脂組成物は、その硬化物が低吸湿性を示すと共に、硬化物の架橋点間距離が長くなるため、ガラス転移温度(以下、「Tg」ともいう。)を超えた高温域での弾性率が低いという特長を有している。電子部品装置の実装を行う半田処理の温度は、下記一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物のTgよりも高いため、該エポキシ樹脂組成物の硬化物は、電子部品装置の実装時の半田処理温度での弾性率が低い特長を有している。また、硬化物の架橋点間距離が長くなることで硬化時の樹脂収縮量が減少し、被着体となる素子やリードフレーム等の各種基材との界面における歪が低下し密着性が向上する。以上の理由から、下記一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)を配合したエポキシ樹脂組成物の硬化物は、気化する水蒸気量の減少と樹脂硬化物の低弾性率化とによって、実装時の半田処理の際に発生する応力が低くなり、かつ素子や各種基材との密着性にも優れるため、耐半田性が良好となり好ましい。また、下記一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)は、樹脂骨格に占める芳香族環の含有率が高いために、樹脂そのものの耐燃性も高いため、これを用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐燃性向上という観点からも好ましい。更に、下記一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)のビフェニレン骨格は剛直な構造であり、これを用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は、架橋密度が低い割には耐熱性が高いという特徴を有しているため、エポキシ樹脂組成物の耐熱性向上という観点からも好ましい。
【0023】
【化11】

(ただし、上記一般式(2)において、R1は水素又は炭素数1ないし4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0ないし4の整数、bは0ないし4の整数、cは0ないし3の整数、dは0ないし4の整数。nの平均値は0又は10以下の正数。)
【0024】
上記一般式(2)中のR1は水素又は炭素数1ないし4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0ないし4の整数、bは0ないし4の整数、cは0ないし3の整数、dは0ないし4の整数、nの平均値は0又は10以下の正数である。これらの内では、硬化性の点から下記式(6)で表されるフェノール樹脂等が好ましい。nの平均値が上記範囲内であると、樹脂の粘度が増大化することなく、成形時のエポキシ樹脂組成物の流動性が低下することがないため、より一層の低吸湿化のための無機充填剤の高充填化が可能となる。
【0025】
【化12】

(ただし、上記式(6)において、nの平均値は0又は10以下の正数。)
【0026】
本発明では、一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)を用いることによる特徴を損なわない範囲で、他のフェノール樹脂系硬化剤と併用することができる。併用することができるフェノール樹脂系硬化剤は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ビフェニル骨格等を有する)、トリフェノールメタン樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。他のフェノール樹脂を併用する場合の配合量としては、全フェノール樹脂(B)に対して、一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)が70重量%以上、100重量%以下であることが好ましい。一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)の配合量が上記範囲内であると、吸湿率の増大、耐半田性の低下、耐燃性の低下を抑えることができる。
【0027】
本発明では、各成分を混合及び/又は溶融混練する前に、前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)と前記一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)とを予め溶融混合して用いることもできる。
【0028】
本発明に用いられる全エポキシ樹脂(A)のエポキシ基数(EP)と全フェノール樹脂系硬化剤(B)のフェノール性水酸基数(OH)の当量比(EP/OH)としては、好ましくは0.5以上、2以下であり、特に0.7以上、1.5以下がより好ましい。当量比を上記範囲内にすることで、耐湿性、硬化性などの低下を引き起こす恐れが少ない。
【0029】
本発明では、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)、及び/又は、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)とエポキシ樹脂との反応生成物(c2)を用いる。本発明に用いられるカルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)(以下、単に「オルガノポリシロキサン(c1)」ともいう。)は、1分子中に1個以上のカルボキシル基を有するオルガノポリシロキサンであり、エポキシ樹脂組成物の硬化物と電子部品装置内の各種金属との密着性を向上させ、その結果として特に無鉛半田を用いた表面実装に相当する260℃という高温下での耐半田性を向上させる効果を有するものである。
【0030】
カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)としては、特に限定するものではないが、下記一般式(3)で表されるオルガノポリシロキサンが望ましい。下記一般式(3)の式中のR2は有機基であり、全有機基の内、少なくとも1個以上がカルボキシル基を有する炭素数1ないし40の有機基であり、残余の有機基は水素、フェニル基、又はメチル基から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。ここでカルボキシル基を有する有機基の炭素数とは、有機基中の炭化水素基とカルボキシル基の炭素数を合計したものを指す。また、式中のnの平均値は1以上、50以下の正数である。カルボキシル基を有する有機基の炭素数、及びnの平均値が上記範囲内であると、成形時において金型からの樹脂硬化物の離型性に優れるものとなる。また、カルボキシル基を有する有機基の炭素数、及びnの平均値が上記範囲内であると、樹脂硬化物がリードフレーム部材との密着性にも優れるものとなるため、電子部品装置の表面実装を行う半田処理時において、リードフレーム部材と樹脂硬化物との剥離を抑制することができる。さらに、カルボキシル基を有する有機基の炭素数、及びnの平均値が上記範囲内であると、樹脂組成物連続成形時において、金型の汚れや樹脂硬化物の外観の悪化を抑制することもできる。また、下記一般式(3)で表されるオルガノポリシロキサンを使用すると、樹脂組成物の流動性の低下を引き起こさず、樹脂硬化物の外観が特に良好になる。
【0031】
【化13】

(ただし、上記一般式(3)において、R2は少なくとも1つ以上がカルボキシル基を有する炭素数1ないし40の有機基であり、残余の基は水素、フェニル基、又はメチル基から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。nの平均値は、1以上、50以下の正数である。)
【0032】
本発明では、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)とエポキシ樹脂とを、硬化促進剤により予め溶融・反応させた反応生成物(c2)(以下、単に「反応生成物(c2)」ともいう。)を用いることができる。反応生成物(c2)を用いることで、樹脂組成物の連続成形後の型汚れがより発生し難く、連続成形性が極めて良好になる。ここで言う硬化促進剤とは、カルボキシル基とエポキシ基との樹脂との硬化反応を促進させるものであればよく、後述するエポキシ樹脂のエポキシ基とフェノール樹脂系硬化剤のフェノール性水酸基との硬化反応を促進させる硬化促進剤と同じものを用いることができる。
【0033】
本発明で用いられる(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)、及び/又は、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)とエポキシ樹脂との反応生成物(c2)の配合量は、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)としての配合量で、全エポキシ樹脂組成物中0.01重量%以上、3重量%以下が好ましく、より好ましくは0.03重量%以上、1重量%以下である。(C1)成分としての配合量が上記範囲内であると、金型からの樹脂硬化物の離型性に優れる。また、(C1)成分としての配合量が上記範囲内であると、リードフレーム部材との密着性に優れるため、半田処理時において、リードフレーム部材と樹脂硬化物との剥離を抑制することができる。さらに、(C1)成分としての配合量が上記範囲内であると、樹脂組成物の連続成形による金型の汚れや樹脂硬化物の外観の悪化を抑制することもできる。
また、本発明に用いられる(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)、及び/又は、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)とエポキシ樹脂との反応生成物(c2)を添加する効果を損なわない範囲で、他のオルガノポリシロキサンを併用することができる。
【0034】
本発明で用いられるトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)は、酸化ワックスをトリレンジイソシアネート変性することにより得られ、離型性が非常に優れている。本発明で用いられるトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)としては、特に限定するものではないが、例えば、トリレンジイソシアネート変性酸化ポリプロピレンワックス、トリレンジイソシアネート変性酸化ポリエチレンワックス、トリレンジイソシアネート変性酸化パラフィンワックスが挙げられる。中でもトリレンジイソシアネート変性酸化ポリエチレンワックスが、離型性と樹脂硬化物の外観の観点から、好ましい。
【0035】
本発明で用いられるトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)の滴点は、70℃以上、120℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以上、110℃以下である。滴点は、ASTM D127に準拠した方法により測定することができる。具体的には、金属ニップルを用いて、溶融したワックスが金属ニップルから最初に滴下するときの温度として測定される。以下の例においても、同様の方法により測定することができる。滴点が上記範囲内であると、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)は熱安定性に優れ、成形時にトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)が焼き付きにくい。そのため、金型からの樹脂硬化物の離型性に優れるとともに、連続成形性にも優れる。さらに、上記範囲内であると、エポキシ樹脂組成物を硬化させる際、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)が十分に溶融する。これにより、樹脂硬化物中にトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)が略均一に分散する。そのため、樹脂硬化物表面におけるトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)の偏析が抑制され、金型の汚れや樹脂硬化物の外観の悪化を低減することができる。
【0036】
トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)の酸価は10mgKOH/g以上、50mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは15mgKOH/g以上、40mgKOH/g以下である。酸価は樹脂硬化物との相溶性に影響を及ぼす。酸価は、JIS K 3504に準拠した方法により測定することができる。具体的には、ワックス類1g中に含有する遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数として測定される。以下の例においても、同様の方法により測定することができる。酸価が上記範囲内にあると、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)は、樹脂硬化物中において、エポキシ樹脂マトリックスと好ましい相溶状態となる。これにより、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)と、エポキシ樹脂マトリックスとが、相分離を起こすことがない。そのため、樹脂硬化物表面におけるトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)の偏析が抑制され、金型の汚れや樹脂硬化物の外観の悪化を低減することができる。さらに、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)が樹脂硬化物表面に存在するため、樹脂硬化物は金型からの離型性に優れる。
【0037】
トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)の数平均分子量は500以上、5000以下が好ましく、より好ましくは1000以上、4000以下である。数平均分子量は、例えば東ソー(株)製のHLC−8120などのGPC装置を用いて、ポリスチレン換算により算出することができる。以下の例においても、同様の方法により測定することができる。数平均分子量が上記範囲内にあると、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)は、樹脂硬化物中において、エポキシ樹脂マトリックスと好ましい相溶状態となる。これにより、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)と、エポキシ樹脂マトリックスとが、相分離を起こすことがない。そのため、樹脂硬化物表面におけるトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)の偏析が抑制され、金型の汚れや樹脂硬化物の外観の悪化を低減することができる。さらに、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)が樹脂硬化物表面に存在するため、樹脂硬化物は金型からの離型性に優れる。
【0038】
トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)の平均粒径は、20μm以上、70μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上、60μm以下である。平均粒径は、例えば(株)島津製作所製のSALD−7000などのレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、溶媒を水として、重量基準の50%粒子径を平均粒径として測定することができる。以下の例においても、同様の方法により測定することができる。平均粒径が上記範囲内にあると、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)は、樹脂硬化物中において、エポキシ樹脂マトリックスと好ましい相溶状態となる。これにより、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)が樹脂硬化物表面に存在し、金型からの樹脂硬化物の離型性に優れる。一方、エポキシ樹脂マトリックスとの相溶性が高すぎると、樹脂硬化物表面に染み出すことができず、十分な離型性を確保することができない。さらに、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)と、エポキシ樹脂マトリックスとが好ましい相溶状態にあるため、樹脂硬化物表面におけるトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)の偏析が抑制され、金型の汚れや樹脂硬化物の外観の悪化を低減することができる。またさらに、上記範囲にあると、エポキシ樹脂組成物を硬化させる際、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)が十分に溶融する。そのため、エポキシ樹脂組成物は流動性に優れる。
【0039】
また、全トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)中における粒径106μm以上の粒子の含有割合は0.1重量%以下であることが好ましい。粒径106μm以上の粒子の含有割合は、JIS Z 8801の目開き106μmの標準篩を用いて測定することができる。以下の例においても、同様の方法により測定することができる。上記の含有割合であれば、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)がエポキシ樹脂組成物中に略均一に分散し、金型の汚れや樹脂硬化物の外観の悪化を抑制することができる。また、エポキシ樹脂組成物を硬化させる際、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)が十分に溶融するため、流動性に優れる。
【0040】
トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)の配合量はエポキシ樹脂組成物中に、0.01重量%以上、1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.03重量%以上、0.5重量%以下である。配合量が上記範囲内であると、金型からの樹脂硬化物の離型性に優れる。さらに、リードフレーム部材との密着性に優れるため、半田処理時において、リードフレーム部材と樹脂硬化物との剥離を抑制することができる。また、金型の汚れや樹脂硬化物の外観の悪化を抑制することもできる。また、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)とトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)との重量比W(c1)/W(D)が5/1から1/5までの範囲が好ましく、より好ましくは3/1から1/3までの範囲である。重量比W(c1)/W(D)が上記範囲内にあると、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)は、樹脂硬化物中において、エポキシ樹脂マトリックスと好ましい相溶状態となる。これにより、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)と、エポキシ樹脂マトリックスとが、相分離を起こすことがない。そのため、樹脂硬化物表面におけるトリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)の偏析が抑制され、金型の汚れや樹脂硬化物の外観の悪化を低減することができる。さらに、樹脂硬化物は金型からの離型性に優れる。さらに、リードフレーム部材との密着性に優れるため、半田処理時において、リードフレーム部材と樹脂硬化物との剥離を抑制することができる。また、金型の汚れや樹脂樹脂硬化物の外観の悪化を抑制することもできる。
【0041】
本発明で用いられるトリレンジイソシアネート変性酸化ワックスは市販のものを入手し、粒度調整して使用することができる。
本発明で用いられるトリレンジイソシアネート変性酸化ワックスを用いることによる効果を損なわない範囲で他の離型剤を併用することもできる。併用できる離型剤としては、例えばカルナバワックス等の天然ワックス、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩類等が挙げられる。
【0042】
本発明で用いられる無機充填剤(E)としては、その種類について特に限定するものではなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。これらのうちでは、特に溶融シリカが好ましい。溶融シリカとしては、破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、無機充填剤の含有量を高め、且つエポキシ樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状溶融シリカを主に用いる方がより好ましい。更に球状溶融シリカの含有量を高めるためには、球状溶融シリカの粒度分布をより広くとるよう調整することが望ましい。全無機充填剤の含有量は、成形性、信頼性のバランスから全エポキシ樹脂組成物中に84重量%以上、92重量%以下であることが必須であり、好ましくは87重量%以上、92重量%以下である。上記範囲内であると、低吸湿性、低熱膨張性が得られずに耐半田性が不十分となるのを抑えることができ、また、流動性が低下して成形時に充填不良等が生じたり、高粘度化による電子部品装置内の金線流れ等の不都合が生じたりするのを抑えることができる。
【0043】
本発明で用いることができるトリアゾール系化合物(F)は、窒素原子を含んだ五員環構造を有する化合物である。トリアゾール系化合物(F)は、樹脂組成物の硬化物とプレプレーティングフレーム表面との親和性を改善し、界面の剥離を抑える効果があるため、樹脂組成物の硬化物で素子を封止してなる電子部品装置の耐湿信頼性、耐半田性を改善させる役割を果たす。従って、電子部品装置の信頼性を向上させることができる。
本発明で用いられるトリアゾール系化合物(F)としては、特に限定するものではないが、下記一般式(4)で表される化合物のように、少なくとも1つ以上のメルカプト基を有するトリアゾール系化合物であることが好ましい。メルカプト基を有するトリアゾール系化合物であると、プレプレーティングフレーム表面との親和性が高くなり、電子部品装置の信頼性を向上させることができる。
【0044】
【化14】

(ただし、上記一般式(4)において、R3は水素原子、又はメルカプト基、アミノ基、水酸基、もしくはそれらの官能基を有する有機基を示す。)
【0045】
本発明で用いることができるトリアゾール系化合物(F)の添加量は、特に限定するものではないが、樹脂組成物全体に対して、0.01重量%以上、2重量%以下2重量%であることが好ましい。上記範囲内であると、プレプレーティングフレームとの密着性を向上させることができ、また、組成物の流動性の低下や耐半田性の低下を抑えることができる。
【0046】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記(A)成分ないし(F)成分以外に、更に必要に応じてエポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させる硬化促進剤を添加することができる。硬化促進剤としては、例えば、1、8−ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート等が挙げられ、これらを単独でも混合して添加しても差し支えない。
【0047】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記以外に、更に酸化ビスマス水和物、ハイドロタルサイト等の無機イオン交換体、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。更に、必要に応じて無機充填剤をカップリング剤やエポキシ樹脂もしくはフェノール樹脂で予め表面処理して用いてもよく、処理の方法としては、溶媒を用いて混合した後に溶媒を除去する方法や、直接無機充填剤に添加し、混合機を用いて処理する方法等がある。
【0048】
本発明に用いるエポキシ樹脂組成物は、(A)成分ないし(F)成分、その他の添加剤等を、例えば、ミキサー等を用いて常温混合したもの、さらにその後、ロール、ニーダー、押出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕したものなど、必要に応じて適宜分散度や流動性等を調整したものを用いることができる。
【0049】
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、素子等の電子部品を封止し、電子部品装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。
【0050】
本発明で封止を行う素子としては、特に限定されるものではなく、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子等が挙げられる。
本発明の電子部品装置の形態としては、特に限定されないが、例えば、デュアル・インライン・パッケージ(DIP)、プラスチック・リード付きチップ・キャリヤ(PLCC)、クワッド・フラット・パッケージ(QFP)、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)等が挙げられる。
上記トランスファーモールドなどの成形方法で封止された電子部品装置は、そのまま、或いは80℃から200℃程度の温度で、10分から10時間程度の時間をかけて完全硬化させた後、電子機器等に搭載される。
【0051】
図1は、本発明に係るエポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置の一例について、断面構造を示した図である。ダイパッド3上に、ダイボンド材硬化体2を介して半導体素子1が固定されている。半導体素子1の電極パッドとリードフレーム5との間は金線4によって接続されている。半導体素子1は、封止用樹脂組成物の硬化体6によって封止されている。
【実施例】
【0052】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
実施例1
【0053】
エポキシ樹脂1:下記式(5)で表されるエポキシ樹脂(軟化点44℃、エポキシ当量234、式(5)においてnの平均値は3.4)
6.09重量部
【化15】

【0054】
フェノール樹脂系硬化剤1:下記式(6)で表されるフェノール樹脂(軟化点107℃、水酸基当量203、式(6)においてnの平均値は2.5)
4.41重量部
【化16】

【0055】
オルガノポリシロキサン1:下記式(7)で表されるオルガノポリシロキサン
0.20重量部
【化17】

【0056】
離型剤1:トリレンジイソシアネート変性酸化ポリエチレンワックス(滴点90℃、酸価30mgKOH/g、数平均分子量1800、平均粒径35μm、粒径106μm以上の粒子0.0重量%) 0.20重量部
溶融球状シリカ(平均粒径25μm) 88.00重量部
【0057】
トリアゾール系化合物1:下記式(11)で表される1、2、4−トリアゾール5−チオール(試薬)
0.10重量%
【化18】

【0058】
1、8−ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン−7(以下、DBUという)
0.20重量部
カップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン) 0.40重量部
カーボンブラック 0.40重量部
をミキサーを用いて混合した後、表面温度が95℃と25℃の2本ロールを用いて混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物の特性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
【0059】
評価方法
スパイラルフロー:低圧トランスファー成形機(コータキ精機株式会社製、KTS−15)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件でエポキシ樹脂組成物を注入し、流動長を測定した。スパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい方が良好な流動性を示す。単位はcm。80cm以下であるとパッケージ未充填などの成形不良が生じる。
【0060】
耐燃性:低圧トランスファー成形機(コータキ精機株式会社製、KTS−30)を用いて、成形温度175℃、注入圧力9.8Mpa、硬化時間120秒の条件で、エポキシ樹脂組成物を注入成形し、試験片(127mm×12.7mm×1.6mm)を得た。得られた試験片を、アフターベークとして175℃、8時間加熱処理した後、UL−94垂直法に準じてΣF、Fmaxを測定し、耐燃性を判定した。
【0061】
連続成形性:低圧トランスファー自動成形機(第一精工製、GP−ELF)を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間70秒の条件で、エポキシ樹脂組成物によりシリコンチップ等を封止成形して、80ピンQFP(Cu製リードフレーム、パッケージ外寸:14mm×20mm×2mm厚、パッドサイズ:6.5mm×6.5mm、チップサイズ6.0mm×6.0mm×0.35mm厚)を、エポキシ樹脂組成物により連続で700ショットまで封止成形した。判定基準は未充填等全く問題なく700ショットまで連続成形できたものを◎、未充填等全く問題なく500ショットまで連続成形できたものを○、それ以外を×とした。
【0062】
パッケージ外観及び金型汚れ:上記連続成形において500及び700ショット経過後のパッケージ及び金型について、目視で汚れを評価した。パッケージ外観判断及び金型汚れ基準は、700ショットまで汚れていないものを◎で、500ショットまで汚れていないものを○、汚れているものを×で表す。また、上記連続成形性において、500ショットまで問題なく成形できなかったものについては、連続成形を断念した時点でのパッケージ外観及び金型汚れ状況で判断した。
【0063】
耐半田性:低圧トランスファー成形機(第一精工製、GP−ELF)、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間90秒の条件で、80ピンQFP(プリプレーティングフレーム、NiPd合金にAuメッキしたもの、パッケージ外寸:14mm×20mm×2mm厚、パッドサイズ:8mm×8mm、チップサイズ:7mm×7mm×0.35mm厚)を、エポキシ樹脂組成物により封止成形した後、175℃で8時間の後硬化をした。次いで、得られたパッケージを85℃、相対湿度60%の環境下で168時間加湿処理した。その後、このパッケージを260℃の半田槽に10秒間浸漬した。半田に浸漬させたパッケージ10個を、超音波探傷装置(日立建機ファインテック株式会社製、mi−scope hyper II)を用いて観察し、チップ及びリードフレーム(インナーリード部)とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面に剥離が発生した剥離発生率[(剥離発生パッケージ数)/(全パッケージ数)×100]を%で表示した。
【0064】
実施例2ないし18、比較例1ないし8
表1、2、3の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得て、実施例1と同様にして評価した。結果を表1、2、3に示す。
実施例1以外で用いた原材料を以下に示す。
エポキシ樹脂2:下記式(5)で表されるエポキシ樹脂(軟化点55℃、エポキシ当量236、下記式(5)においてnの平均値は4.1)
【化19】

【0065】
エポキシ樹脂3:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−1020 62、エポキシ当量200、軟化点62℃)
フェノール樹脂系硬化剤2:パラキシリレン変性ノボラック型フェノール樹脂(三井化学(株)製、XLC−4L、水酸基当量168、軟化点62℃)
溶融混合物A:エポキシ樹脂1(55.9重量部)とフェノール樹脂系硬化剤1(44.1重量部)とを120℃で30分間、溶融混合することにより得られた混合物。
【0066】
オルガノポリシロキサン2:下記式(8)で表されるオルガノポリシロキサン
【化20】

【0067】
オルガノポリシロキサン3:下記式(9)で表されるオルガノポリシロキサン
【化21】

【0068】
オルガノポリシロキサン4:下記式(10)で表されるオルガノポリシロキサン
【化22】

【0069】
溶融反応物B:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン製、YL−6810、エポキシ当量170g/eq、融点47℃)66.1重量部を140℃で加温溶融し、オルガノポリシロキサン3(式(6)で表されるオルガノポリシロキサン)33.1重量部及びトリフェニルホスフィン0.8重量部を添加して、30分間溶融混合して溶融反応物Aを得た。
【0070】
離型剤2:トリレンジイソシアネート変性酸化パラフィンワックス(滴点85℃、酸価20mgKOH/g、数平均分子量2500、平均粒径38μm、粒径106μm以上の粒子0.0重量%)
【0071】
離型剤3:トリレンジイソシアネート変性酸化ポリプロピレンワックス(滴点77℃、酸価12mgKOH/g、数平均分子量2300、平均粒径40μm、粒径106μm以上の粒子0.0重量%)
【0072】
離型剤4:カルナバワックス(日興ファインプロダクツ(株)製、商品名ニッコウカルナバ、滴点83℃、酸価5mgKOH/g、数平均分子量650、平均粒径38μm、粒径106μm以上の粒子0.0重量%)
【0073】
トリアゾール系化合物2:式(12)で表される3−アミノ−1、2、4−トリアゾール−5−チオール(試薬)
【化23】

【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
実施例1ないし18は、いずれも、良好な流動性、耐燃性、連続成形性及び耐半田性を示す結果となった。これに対し、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)、及び/又は、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)とエポキシ樹脂との反応生成物(c2)、並びに、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)を用いていない比較例1は、連続成形性が悪化し、パッケージ外観、金型汚れ、耐半田性が劣る結果となった。また、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(C)を用いていない比較例2、3は、パッケージ外観、金型汚れ、耐半田性が劣る結果となった。また、トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)を用いていない比較例4は、連続成形性が悪化する結果となった。また、無機充填剤(E)の配合割合が不足している比較例5は、耐燃性、耐半田性が劣る結果となった。逆に、無機充填剤(E)の配合割合が過剰である比較例6は、流動性が低く未充填となった。また、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(A)の代わりにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いた比較例7、及び一般式(2)で表されるフェノール樹脂(B)の代わりにパラキシリレン変性ノボラック型フェノール樹脂を用いた比較例8は、耐燃性、耐半田性が不充分な結果となった。
【0078】
以上のとおり、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物は、成形時の連続成形性、並びにパッケージ外観及び金型汚れという点で優れたものであり、かつ該封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物により素子を封止してなる電子部品装置は、耐燃性、密着性、耐半田性に優れたものとなることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明により得られる封止用エポキシ樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤、及びアンチモン化合物、その他の難燃性付与剤を使用することなく、難燃グレードがUL−94のV−0であり、かつこれを用いて得られた電子部品装置は、樹脂組成物の硬化物とリードフレーム、特にメッキを施された銅リードフレーム(銀メッキリードフレーム、ニッケルメッキリードフレーム、ニッケル/パラジウム合金に金メッキが施されたプレプリーティングフレーム等)との密着性に優れており、電子部品実装時において優れた耐半田性を示すため、工業的な樹脂封止型電子部品装置、特に表面実装用の樹脂封止型電子部品装置の製造に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るエポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置の一例について、断面構造を示した図である。
【符号の説明】
【0081】
1 半導体素子
2 ダイボンド材硬化体
3 ダイパッド
4 金線
5 リードフレーム
6 封止用樹脂組成物の硬化体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)を含むエポキシ樹脂、
(B)下記一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)を含むフェノール樹脂系硬化剤、
(C)カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)、及び/又は、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)とエポキシ樹脂との反応生成物(c2)、
(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス、
並びに(E)無機充填剤を含み、
前記(E)無機充填剤の全エポキシ樹脂組成物中における含有割合が84重量%以上、92重量%以下である
ことを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【化1】

(ただし、上記一般式(1)において、R1は水素又は炭素数1ないし4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0ないし4の整数、bは0ないし4の整数、cは0ないし3の整数、dは0ないし4の整数。nの平均値は0又は10以下の正数。)
【化2】

(ただし、上記一般式(2)において、R1は水素又は炭素数1ないし4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0ないし4の整数、bは0ないし4の整数、cは0ないし3の整数、dは0ないし4の整数。nの平均値は0又は10以下の正数。)
【請求項2】
請求項1に記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)の軟化点が35℃以上、60℃以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)が下記一般式(3)で表されるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【化3】

(ただし、上記一般式(3)において、R2は少なくとも1つ以上がカルボキシル基を有する炭素数1ないし40の有機基であり、残余の基は水素、フェニル基、又はメチル基から選ばれる基であり、互いに同一であっても異なっていてもよい。nの平均値は、1以上、50以下の正数である。)
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン(c1)と前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスとの重量比W(c1)/W(D)が5/1から1/5までの範囲であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスを全エポキシ樹脂組成物中に0.01重量%以上、1重量%以下の割合で含むことを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスの平均粒径が20μm以上、70μm以下であり、全トリレンジイソシアネート変性酸化ワックス(D)中における粒径106μm以上の粒子の含有割合が0.1重量%以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスの滴点が70℃以上、120℃以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスの酸価が10mgKOH/g以上、50mgKOH/g以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスの数平均分子量が500以上、5000以下であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(D)トリレンジイソシアネート変性酸化ワックスがトリレンジイソシアネート変性酸化ポリプロピレンワックス、トリレンジイソシアネート変性酸化ポリエチレンワックス及びトリレンジイソシアネート変性酸化パラフィンワックスから選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、更に(F)トリアゾール系化合物を含むことを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
請求項11に記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(F)トリアゾール系化合物が1、2、4−トリアゾール環を有する化合物であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記(F)トリアゾール系化合物が下記一般式(4)で表される化合物であることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【化4】

(ただし、上記一般式(4)において、R3は水素原子、又はメルカプト基、アミノ基、水酸基、もしくはそれらの官能基を有する有機基を示す。)
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、各成分を混合及び/又は溶融混練してなることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物において、前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂(a1)と前記一般式(2)で表されるフェノール樹脂(b1)とを予め溶融混合した後、その他の成分を加えて更に溶融混合してなることを特徴とする封止用エポキシ樹脂組成物。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物により素子を封止してなることを特徴とする電子部品装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−24757(P2008−24757A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196273(P2006−196273)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】