説明

層の結晶化方法

異なる構造の薄膜(1)に対するアモルファス又は結晶性構造の結晶(3)の転移は、結晶に薄膜を適用し、それを結晶化するためにそれを焼き鈍しするための加圧(6)及び加熱(7)の組合せによって達成され得る。特徴的に、ブロック(5)は、薄膜を屈曲させ、組立体のクラックを開始し、圧力が取り除かれた際に薄膜を開放するように端部に配置され、それによって結晶(3)を取り除き又はそれを破壊するための複雑な方法を取り除く。この方法は、いくつかの膜に使用される結晶(3)が結晶化されることを可能にし、達成される良好な製造率を可能にし、費用を削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は層の結晶化方法に関する。それは、特に、太陽熱レシーバー及び微小電子回路に見られるシリコン薄層に関連し得る。
【背景技術】
【0002】
層の結晶構造は、これらの用途において重要でないものではなく、粒界は、一般的に、電荷キャリアを吸収することによって及び従って装置の効率を減少させることによって、有害な影響を有する。一般的に、粗粒の結晶構造又は単結晶構造さえも得ることが企てられ、それは、層が堆積される通常の製造方法では直接的に不可能である。一方で、所望の結晶構造を有する結晶ブロックの層を切断することによって特徴付けられる他の方法がしばしば非常に高価であると考えられ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/188917号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Bergmann et Werner著、「Future of crystalline silicon films on foreign substrates」、Thin Solid films 403-404 (2002), pages 162−169
【非特許文献2】Tuzunら著、「B-type polycrystalline silicon films formed on aluminium by aluminium induced crystallisation and overdoping」、Thin solid Films, Elsevier − Sequoia SA, Lausanne, vol.516, No.20, August 30, 2008, pages 6892−6895
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、粒子の粗大化を伴う層の結晶化が、結晶が焼き鈍しされることを可能にする温度上昇によって引き起こされ得ることが周知である。これらの結晶化は、しばしば、それに与えることが望まれる結晶構造を有し、熱処理が進行するにつれてそれが層に徐々に与えられる種結晶を層に適用することに関連する。本来的にアモルファス又は低結晶のシリコン層の場合、以下のことが提案されている:200℃から400℃のアルミニウム誘導結晶化、550℃から800℃の固相結晶化、ランプ下での700℃から1200℃の急速加熱焼き鈍し、1200℃から1500℃のレーザー結晶化、1200℃から1500℃の領域溶融結晶化。これらの方法の全ては、種結晶の構造転移なしに行なわれ得る。種結晶の構造転移技術は、非特許文献1に開示され、他の同様の技術は、非文献文献2に開示されている。一般的に、種は、結晶化される層が堆積によって適用され又は形成される完全な層を形成し、一般的に、結晶化される他の層と共に再び種を用いるために、又は、種が最終生成物に相応しくないので、熱処理後に結晶化された層から種を分離することが企てられる。しかしながら、通常の機械的な方法は、それらの接合を破壊することなく、その層から種を適切に分離することを行なうのが困難である。本発明の目的は、結晶化される他の層にその後に再び使用することができる種結晶と層とがある程度良好に分離されることを可能にし、一連の製造を改善し、時間と費用を削減する結晶構造転移によって層の結晶化方法を提供することである。
【0006】
さらに、US−A−2005/188917は、その表面に結晶を付けることによって、その後に結晶を剥ぐ楔手段を用いることなく、プレートを結晶化する方法を開示している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的な形態において、従って、本発明は、層の結晶化方法であって、層の材料から形成され、層に要求される結晶構造を有する結晶を層に付ける段階と、その中に結晶の構造を導入するために層を熱処理する段階と、を含み、それによって層の屈曲を生成する楔が層と結晶との間の層の端部に適合された後、付ける段階が、層又は層の基板を機械的に加圧することによって引き起こされる、層の結晶化方法に関連する。
【0008】
結晶上への層の圧力印加は、それらの間に、溶接又は接着に類似した親密な結合を確立する;しかし、圧力が開放されると、楔による屈曲応力が、結晶から層を分離し、その接合部においてクラックを生成する傾向にある。
【0009】
分離層は、結晶化される層と結晶との間に非常に有利に適合される。それは、結晶化される層より非常に薄く、楔より厚く、楔によって囲われた領域において延び、ここで、結晶化される層は、結晶に真に付けられる。それは、組立体の脆弱領域であり、それは、圧力が開放された際にクラックを促進する。分離層が不連続であり、又は、それが結晶及び層又は両方と異なる材料である場合、これは、容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、圧力の印加前における組立体を示す。
【図2】図2は、圧力の印加中における組立体を示す。
【図3】図3は、圧力が開放された際の組立体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、より具体的に以下に図面に関連して記載される。
【0012】
結晶化される層1は、その結晶構造をそれに与えることになる結晶3の上に配置される。層1は薄く、その支持体を提供する基板2上に堆積されており、その厚さは、一例として、初期的にそれぞれマイクロ電子装置及び太陽電池を対象とするアモルファスシリコン層においては、約100nm、又は2から10μm、好ましくは2μmであり得る。結晶3は、非常に薄い層4を担持する。層1は、結晶化温度を低下させる元素(例えばシリコンに対しては、アルミニウム、金、銅、銀又はパラジウム)を有するか否かに関わらず、微粒子を有する、アモルファス、マイクロ結晶又は多結晶シリコンであり得、結晶3は、粗い粒径の結晶シリコン又は単結晶シリコーンであり、層4は、炭化珪素、シリカ、アルミナ又は他の多孔性シリコンなどの耐熱材料である。その厚さは、数ナノメートルから10分の数ナノメートルである。層1及び結晶3に面する領域は、数十又は数百平方センチメートルであり得る。楔5は、層1及び結晶3の端部領域間に適合され、それらは、耐熱材料であり、より薄く、一例として、ガラス基板2の場合、数十ミクロンの厚さを有する(より一般的には、鋼基板2の場合においては、約100μmから2mm、約1から2mm)。鋼が選択された場合、インバールタイプ(商標)は、その微小電子特性を破壊するシリコン内で拡散する可能性がある鉄又は他の元素(チタン、バナジウム及びジルコニウム)に対する障壁層を備えることが望まれ得る。この接触面は、有利には接触を改善するために研磨され、又はHFを用いて、それらを脱酸し、それによって結晶化を防止しないように除去される。
【0013】
図2は、加熱手段が組立体の温度を上昇させながら、加圧機6によって結晶3上へ層1を付けることを示す。印加される圧力は、限定されるものではないが、約500Paから5MPa程度であり得、温度は、500℃を超え得る。高温が好ましいが、特に基板2は、それを制限する:ガラスは、約650℃においてもはや固体ではなく、鋼に対する障壁層は、約800℃においてもはや有効ではない。従って、基板2の変化温度に近い温度が望まれる。必要な特性として基板2の変化温度に関してこのような限度がない場合、シリコンにおける1300℃の溶融温度以下で結晶化される材料を加熱することが予想され得る。結晶3は、それが多孔性である場合、層4の不連続性によって又は層4の固体部分によってこの温度まで層1にその構造体を徐々に加え、層1の材料に等しい材料に与える。焼き鈍し熱処理は、使用者によって決定された基準に従って、層1の結晶化が達成されるまで続く。それによって、65%を超える(より一般的には60%から70%)指標が後方散乱電子回折(EBSD特性)によるマッピングにおいて実現されている場合、十分な結晶化が達成されることを決定することが可能である。楔5のために結晶3に接触し得ない周囲領域8は、例外であり、この方法の死角に対応するが、それらの幅は小さく、数ミリメートルである。特に脆弱な生成物に対して圧力を加える前に加熱を開始し得ることは留意すべきである。
【0014】
圧力が開放される場合、図3に示される状態が得られ、ここで、クラック9が周囲領域8から層1と結晶3との間に現われ、それが完全な取り外しを生じるまで組立体の中心に向かって伝搬される。多孔性層4の境界に現われるせん断のために、クラック9はまた、印加圧力の遮断の寄与なしに、加熱を遮断した後に現われ、その膨張係数が層1の膨張係数と異なり、従って異なる熱膨張を生成する。層1が解放されている場合、0.1μm未満であり得る微細研磨によって、その表面を研磨することが可能である。コロイドワックスベースの溶液(化学機械研磨)が採用され得る。基板2が、起こすことによって要求されるせん断を生成するために十分な弾性を有する場合、クラックを出現させるための条件は、容易に適合される。シリコン及び他の類似した材料は、その上、クラック伝搬を可能にするために十分に脆弱である。
【符号の説明】
【0015】
1 層
2 基板
3 結晶
4 分離層
5 楔
6 加圧機
8 端部
9 クラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層(1)の結晶化方法であって、前記層の材料から形成され、前記層に要求される結晶構造を有する結晶(3)を前記層(1)に付ける段階と、その中に前記結晶の構造を導入するために前記層を熱処理する段階と、を含み、それによって前記層の屈曲を生成する楔(5)が前記層と前記結晶との間の前記層の端部(8)に適合された後、前記付ける段階が、前記層又は前記層(1)の基板(2)を機械的に加圧することによって引き起こされる、層の結晶化方法。
【請求項2】
前記楔(5)より薄い分離層(4)が、前記楔によって囲われた領域の前記結晶と前記層との間に堆積され、前記分離層が不連続である、請求項1に記載の結晶化方法。
【請求項3】
前記楔より薄い分離層が、前記楔によって囲われた領域の前記結晶と前記層との間に堆積され、前記分離層が不連続であり、前記分離層が、前記結晶及び前記層の材料と異なる材料である、請求項1または2に記載の結晶化方法。
【請求項4】
前記機械的な圧力が、500Paから5MPaの間である、請求項1から3の何れか一項に記載の層の結晶化方法。
【請求項5】
前記楔が、前記基板がガラスから作られる場合、100μmから2mmの間の厚さを有し、前記基板が鋼から作られる場合、1mmから2mmの間の厚さを有する、請求項1から4の何れか一項に記載の結晶化方法。
【請求項6】
前記熱処理が、前記基板の変化温度に近い温度で行われる加熱である、請求項1から5の何れか一項に記載の結晶化方法。
【請求項7】
前記結晶(3)及び/又は前記層(1)が、前記付ける段階の前に脱酸除去を経る、請求項1から6の何れか一項に記載の結晶化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−504505(P2013−504505A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528389(P2012−528389)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063456
【国際公開番号】WO2011/029952
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】