平面度測定装置
【課題】変位計と測定対象物との間の相対移動に起因する誤差を適切に補正すること。
【解決手段】測定対象物の一次元形状を測定する変位計と測定対象物との間の相対位置をずらしながら測定対象物の平面度を測定する平面度測定装置は、第1方向の第1測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第1測定と、第1測定ラインと第1交差点P2で交差する第2方向の第2測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第2測定と、第2測定ラインおよび第1測定ラインとそれぞれ第2交差点P3および第3交差点P1で交差する第3方向の第3測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第3測定と、第1測定による第1の一次元形状を示す第1の測定値列DL1、第2測定による第2の一次元形状を示す第2の測定値列DL2、および第3測定による第3の一次元形状を示す第3の測定値列DL3を第1交差点P2乃至第3交差点P1においてそれぞれ一致させるように第1の測定値列DL1乃至第3の測定値列DL3を補正する補正処理と、を行う。
【解決手段】測定対象物の一次元形状を測定する変位計と測定対象物との間の相対位置をずらしながら測定対象物の平面度を測定する平面度測定装置は、第1方向の第1測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第1測定と、第1測定ラインと第1交差点P2で交差する第2方向の第2測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第2測定と、第2測定ラインおよび第1測定ラインとそれぞれ第2交差点P3および第3交差点P1で交差する第3方向の第3測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第3測定と、第1測定による第1の一次元形状を示す第1の測定値列DL1、第2測定による第2の一次元形状を示す第2の測定値列DL2、および第3測定による第3の一次元形状を示す第3の測定値列DL3を第1交差点P2乃至第3交差点P1においてそれぞれ一致させるように第1の測定値列DL1乃至第3の測定値列DL3を補正する補正処理と、を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面鏡などの平面度をサブμmの精度で測定する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−286829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、干渉計と被検面との間の相対位置をずらしながら一次元方向に被検面の形状測定を繰り返す。このとき、干渉計と被検面とを相対移動させる移動機構の移動誤差が一次元形状の測定値に含まれてしまい、平面度測定における測定誤差になるという問題があった。
【0005】
具体的に説明すると、被検面に対する一次元方向の形状測定を複数回繰り返して二次元平面形状を測定する場合、通常、後述する「格子状の測定」または「放射状の測定」が行われる。測定した複数の一次元形状に上記移動誤差に起因する測定誤差が含まれると、これら複数の一次元形状で構成される二次元平面にねじれが生じることになる。このねじれは、平面度測定における誤差を生じさせる。
【0006】
「格子状の測定」
図4は、被検面上に例示した格子状の測定ラインを説明する図である。従来技術では、格子を構成する各測定ラインに沿って一次元方向の形状測定を繰り返し行う。平面度測定装置は、たとえば、被検体20を載置した回転ステージを所定の角度(たとえばθ=0度)で固定し、一次元ステージをX方向(図4において横方向)における所定の位置で固定して測定ラインを選択した上で、変位計をY方向(図4において縦方向)へ移動させながら、選択した測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。
【0007】
同様に、平面度測定装置は、回転ステージを固定したまま(θ=0度)、一次元ステージをX方向へ所定量移動させて他の測定ラインを選択した上で、変位計を再びY方向へ移動させながら、選択した測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。以上のように測定ラインに沿った測定を繰り返し、図4における縦方向の測定ラインごとに一次元形状を得る。
【0008】
次に、平面度測定装置は、被検体20を載置した回転ステージを90度回転させて固定し(θ=90度)、一次元ステージをX方向における所定の位置で固定して測定ラインを選択した上で、変位計をY方向へ移動させながら、選択した測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。
【0009】
同様に、平面度測定装置は、回転ステージを固定したまま(θ=90度)、一次元ステージをX方向へ所定量移動させて他の測定ラインを選択した上で、変位計を再びY方向へ移動させながら、選択した測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。以上のように測定ラインに沿った測定を繰り返し、図4における縦方向の測定ラインごとに一次元形状を得る。
【0010】
θ=0度の場合に測定した複数の測定ラインの一次元形状と、θ=90度の場合に測定した複数の測定ラインの一次元形状とを組み合わせると、図4に例示した格子状の二次元形状が得られる。一次元ステージを完全な平面内で移動できない場合には、図4の測定結果に上述したねじれが生じてしまう。
【0011】
「放射状の測定」
図5は、被検面上に例示した放射状の測定ラインを説明する図である。従来技術では、放射状の各測定ラインに沿って一次元方向の形状測定を繰り返し行う。平面度測定装置は、たとえば、被検体20を載置した回転ステージを所定の角度(たとえばθ=0度)で固定し、一次元ステージX方向へ移動させて回転中心O上の位置で固定した上で、変位計をY方向へ移動させながら、測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。
【0012】
次に、平面度測定装置は、被検体20を載置した回転ステージをたとえば10度(θ=10度)回転させて固定し、一次元ステージを回転中心O上の位置で固定したままで変位計をY方向へ移動させながら、上記回転後の測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。
【0013】
回転ステージを10度回転させるたびに同様の測定を繰り返し、θの値が異なる複数ラインにおける一次元形状を組み合わせると、図5に例示するように、放射状の二次元形状が得られる。回転ステージを完全な平面内で移動、回転できない場合には、図5の測定結果に上述したねじれが生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、測定対象物の一次元形状を測定する変位計と測定対象物との間の相対位置をずらしながら測定対象物の平面度を測定する平面度測定装置に適用され、第1方向の第1測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第1測定と、第1測定ラインと第1交差点で交差する第2方向の第2測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第2測定と、第2測定ラインおよび第1測定ラインとそれぞれ第2交差点および第3交差点で交差する第3方向の第3測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第3測定と、第1測定による第1の一次元形状を示す第1の測定値列、第2測定による第2の一次元形状を示す第2の測定値列、および第3測定による第3の一次元形状を示す第3の測定値列を第1交差点乃至第3交差点においてそれぞれ一致させるように第1の測定値列乃至第3の測定値列を補正する補正処理と、を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による平面度測定装置では、変位計と被検面との間の相対移動に起因する誤差を適切に補正できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】平面度測定装置を例示する平面図である。
【図2】図1の平面度測定装置の右側面図である。
【図3】図1の平面度測定装置の正面図である。
【図4】格子状の測定ラインを説明する図である。
【図5】放射状の測定ラインを説明する図である。
【図6】三角形状の測定ラインを説明する図である。
【図7】三角形状の測定結果の3辺が一致しない場合を例示する図である。
【図8】傾き補正後の測定結果を説明する図である。
【図9】三角形状の測定ラインおよび新たに測定する測定ラインを説明する図である。
【図10】各測定ラインにおける測定値列を説明する図である。
【図11】オフセット補正および傾き補正後の測定結果を説明する図である。
【図12】補助鏡の厚さムラ測定を説明する図であって(a)はX方向から見た図、(b)はY方向から見た図である。
【図13】間隔G1(y)の測定を説明する図であって(a)はX方向から見た図で、(b)はY方向から見た図である。
【図14】間隔G2(y)の測定を説明する図であって、X方向から見た図である。
【図15】間隔G3(y)の測定を説明する図であって、X方向から見た図である。
【図16】間隔G4(y)の測定を説明する図であって、X方向から見た図である。
【図17】測定結果の繋ぎ合わせを説明する図である。
【図18】増加させた測定ラインを例示する図である。
【図19】増加させた測定ラインを例示する図である。
【図20】変形例2の三角形状の測定ラインを説明する図である。
【図21】三角形状の測定ラインおよび新たに測定する測定ラインを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施の形態による平面度測定装置を例示する図である。図1は平面図、図2は図1におけるAから見た右側面図、図3は図1におけるBから見た正面図である。
【0018】
図1〜図3において、定盤10の上に回転ステージ11と、1次元ステージ12Lおよび1次元ステージ12Rとが設けられている。回転ステージ11は、回転軸14(図2、図3)の回りに回転自在に構成されている。回転中心を符号Oで表す(図1)。回転ステージ11の上面には複数の支持部111が設けられ、これらの支持部111の上に平面鏡などの被検体20が載置される。被検体20は、たとえば直径が略1mの平面鏡である。本説明では、被検体20の上面を被検面20aと呼ぶ。
【0019】
一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rは、それぞれが連動して定盤10の上面に沿ってX方向へ進退移動自在に構成されている。X方向の移動範囲は、少なくとも回転ステージ11の略半分を含むように構成される。なお、回転ステージ11の全体をX方向の移動範囲に含むように構成してもよい。一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rは、回転ステージ11をY方向に跨ぐように構成された架台15を支持する。架台15は、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rにそれぞれ載置された脚部15aおよび15bと、これら脚部15a、15bに連設されたアーム部15cとを有する。架台15には、一次元形状測定部16が設けられている。
【0020】
図3において、一次元形状測定部16は、たとえば参照光ヘッド161aと測定光ヘッド161bとを含む変位計161を有しており、参照光ヘッド161aと測定光ヘッド161bの相対距離は常に一定である。変位計161は、架台15に対して矢印Y方向に往復動可能である。参照物体162は、たとえば直方体形状に構成され、架台15のアーム部15cに設けられている複数の支持部151の上に載置される。ここで、参照物体162の上面を参照面162aと呼ぶ。本実施形態では、参照物体162のY方向の長さを被検体20のY方向の長さ(本例では被検体20の直径に相当)と略等しくする。
【0021】
変位計161は、Y方向に移動しながら、たとえば参照光ヘッド161aからレーザ光を射出して参照面162aまでの距離変化を逐次測定し、同時に測定光ヘッド161bからレーザ光を射出して被検面20aまでの距離変化を逐次測定する。こうして得られた両者の測定値の差より、Y方向の走査範囲内で、被検面20aと参照面162aの間の間隔変化Dを測定する。本実施形態は、被検面20aの平面度(真直度)を直接測定するのではなく、被検面20aと参照面162aとの間隔変化Dを測ることにより、被検面20aの平面度(真直度)を相対的に測定する。
【0022】
ところで、一次元の測定を行う一次元形状測定部16で平面鏡などの二次元形状を測定するためには、被検体20と一次元形状測定部16との相対的な位置関係を変えながら、被検面20a上を万遍なく測定し、これらの測定結果に基づいて被検面20aの平面度を特定する。
【0023】
本実施形態では、従来技術のような格子状の測定や放射状の測定とは異なり、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rや回転ステージ11に厳しい機械精度を求めなくても高い測定精度が得られる三角形状の測定を行う。
【0024】
三角形状の測定では、被検面20aを三角形状の測定ラインに沿って測定することを特徴とする。被検体20の平面度を三角形状に測定する場合の平面度測定装置は、被検体20を載置した回転ステージ11を所定の角度(たとえばθ=0度)で固定し、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12RをX方向へ移動させて回転中心Oと被検体20の外周(X=xP)との略中央の位置(X=xc)で固定する。そして、変位計161をY方向へ移動させながら、被検体20上の複数点で被検面20aと参照面162aの間隔変化D(y)を測定する。これにより、図6に例示するように、点P1から点P2へ至る測定ラインL1方向に、参照面162aに対する被検面20aの間隔変化D(すなわち、被検面20aの一次元形状)が求められる。
【0025】
次に、被検体20の平面度を三角形状に測定する場合の平面度測定装置は、被検体20を載置した回転ステージ11をたとえば120度(θ=120度)回転させて固定し、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rを上記X=xcで固定する。そして、変位計161をY方向へ移動させながら、被検体20上の複数点で被検面20aと参照面162aの間隔変化D(y)を測定する。これにより、図6の点P2から点P3へ至る測定ラインL2方向に、参照面162aに対する被検面20aの間隔変化D(すなわち、被検面20aの一次元形状)が求められる。
【0026】
さらに、被検体20の平面度を三角形状に測定する場合の平面度測定装置は、被検体20を載置した回転ステージ11をさらに120度(θ=240度)回転させて固定する。そして、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rを上記X=xcで固定したままで、変位計161をY方向へ移動させながら、被検体20上の複数点で被検面20aと参照面162aの間隔変化D(y)を測定する。これにより、図6の点P3から点P1へ至る測定ラインL3方向に、参照面162aに対する被検面20aの間隔変化D(すなわち、被検面20aの一次元形状)が求められる。
【0027】
以上説明した測定により、図6に例示するように三角形状の測定ライン(L1、L2、L3)に沿った測定値列が得られる。ここで、回転ステージ11の回転軸の傾きなどに起因して変位計161に対して被検面20aが相対的に傾いた場合、上記3つの測定ライン(L1、L2、L3)に沿った測定値は、変位計161に対する被検面20aの相対的な傾きやオフセットに起因する誤差を含む。
【0028】
図7は、この状態を説明する図である。図7において、符号DL1、DL2、およびDL3は、それぞれ上記3つの測定ラインL1、L2、L3に沿って被検面20aの形状を表す一次元の測定値列である。測定値列DL1のうち、点P2に相当する測定値をb1とする。測定値列DL2のうち、点P2に相当する測定値をb2とする。測定値列DL2のうち、点P3に相当する測定値をc2とする。測定値列DL3のうち、点P3に相当する測定値をc3とする。測定値列DL3のうち、点P1に相当する測定値をa3とする。測定値列DL1のうち、点P1に相当する測定値をa1とする。
【0029】
上述した相対的な傾きやオフセットが生じることにより、点P2に相当する測定値b1とb2とは一致せず、測定値b1とb2との間に生じる差ΔP2=b2-b1が測定誤差となる。同様に、点P3および点P1においてもそれぞれ測定誤差が生じる。すなわち、点P3に相当する測定値c2とc3とは一致せず、測定値c2とc3との間に生じる差ΔP3=c3-c2が測定誤差となる。また、点P1に相当する測定値a1とa3とは一致せず、測定値a1とa3との間に生じる差ΔP1=a1-a3が測定誤差となる。
【0030】
−補正−
平面度測定装置は、点P1において測定値列DL3の測定値a3にΔP1を加算するように傾きを補正、点P2において測定値列DL1の測定値b1にΔP2を加算するように傾きを補正、点P3において測定値列DL2の測定値c2にΔP3を加算するように傾きを補正する。
【0031】
このような傾き補正によって測定値列DL1〜DL3が相互に接するように補正することにより、図8に例示する三角形を得る。図8に例示する三角形は、被検面20a上に描いた三角形に相当するので、被検面20aの二次元形状を特定するものである。
【0032】
被検面20aの二次元形状をさらに細かく表す場合の平面度測定装置は、上記三角形と2点で接する直線状の測定ラインについて新たな測定を行う。図9は、三角形状の測定ライン(L1、L2、L3)、および新たに測定する測定ライン(Li、Lii、Liii、LIV)を例示する図である。測定ラインLiは、点P1と点P'iとにおいて三角形と接する。測定ラインLiiは、点Piiと点P'iiとにおいて三角形と接する。測定ラインLiiiは、点Piiiと点P'iiiとにおいて三角形と接する。測定ラインLIVは、点PIVと点P'IVとにおいて三角形と接する。
【0033】
図10は、上述した各測定ライン(Li、Lii、Liii、LIV)における測定値列を説明する図である。図10において、DLi、DLii、DLiiiおよびDLIVは、それぞれ4つの測定ラインに沿って被検面20aの形状を表す一次元の測定値列である。平面度測定装置は、測定値列DL3に対して行った傾き補正と同様に、測定値列DLi、DLii、DLiiiおよびDLIVをそれぞれ傾き補正する。傾き補正を行うことによって測定値列DLi〜DLIVを三角形状の測定値列DL1〜DL3と接するように補正することにより、図11に例示するような被検面20aの二次元形状を表す図が得られる。
【0034】
以上のように、<三角形状の測定>では、各測定値列に傾き補正を加えるだけで、一意的に二次元の形状が定まるので、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rや回転ステージ11に厳しい機械精度を求めなくても、高い測定精度が得られる。
【0035】
あらかじめ参照面162aの形状を校正して既知にしておくと、被検面20aと参照面162aの間隔変化Dを測定した際に、ただちに間隔変化Dより参照面162aの形状分を補正することで、被検面20aの面形状を求めることができるので好都合である。そこで、あらかじめ行っておく参照面162aの校正手順を以下に説明する。
【0036】
<参照面162aの校正>
参照面162aの校正は、以下の手順で行う。
1.校正物体165の厚さムラ測定
2.参照面162aと校正物体165の上面との間の間隔測定
3.参照面162aと上下反転後の校正物体165の上面との間の間隔測定
4.参照面162aと横方向にずらした校正物体165の上面との間の間隔測定
5.参照面162aとさらに横方向にずらした校正物体165の上面との間の間隔測定
6.測定結果の繋ぎ合わせ
【0037】
−校正物体165の厚さムラ測定−
図2、図3における参照物体162の代わりに校正物体165を載置し、該参照物体162を被検体20の代わりに載置する。本実施形態では、校正物体165として参照物体162より長さが短い直方形状の補助鏡を用いる。校正物体165の長さを短くするのは、該校正物体165の自重による変形(撓み)を抑えるためである。図12は、校正物体165の厚さムラ測定を説明する図である。図12(a)はX方向から見た図であり、図12(b)はY方向から見た図である。変位計161をY方向へ移動させながら、校正物体165上の複数点で該校正物体165の厚さムラ(上面Mr1と下面Mr2の間隔)T(y)を測定する。ここで、面が上向きの場合を+、下向きの場合を−で表現するものと統一して、上面Mr1の一次元形状をMr1(y)、下面Mr2の一次元形状を−Mr2(y)とすると、T(y)は次式(1)で表される。なお、厚さムラ測定時は、変位計161の測定光ヘッド161bが上方を向くように反転して、測定光ヘッド161aと161bの測定データ同士の和を求める。
T(y)=Mr1(y)+Mr2(y) (1)
【0038】
−参照面162aと校正物体165の上面との間の間隔変化G1(y)測定−
校正物体165を支持部151によって支持し、間隔変化G1(y)を測定する。この場合の支持部151の位置は、自重による撓みを最小にするように2つのベッセル点に相当する。図13は、間隔変化G1(y)の測定を説明する図である。図13(a)はX方向から見た図であり、図13(b)はY方向から見た図である。変位計161をY方向へ移動させながら、校正物体165上の複数点で該校正物体165の上面Mr1と参照物体162の参照面162aの間隔変化G1(y)を測定する。ここで、参照面162aの一次元形状をMs(y)とすると、G1(y)は次式(2)で表される。なお、間隔測定時は、変位計161の測定光ヘッド161bが下方を向くように反転して、測定光ヘッド161aと161bの測定データ同士の差を求める。G1(y)=Mr1(y)−Ms(y+d) (2)
ただし、dは後で校正物体165を横方向にずらす場合のずらし幅であり、G1(y)の測定範囲よりも短いものとする。
【0039】
−参照面162aと上下反転後の校正物体165の上面との間の間隔変化G2(y)測定−
校正物体165の向き(上下)を反転させた上で、参照面162aと上下反転後の校正物体165の上面との間の間隔変化G2(y)を測定する。図14は、間隔変化G2(y)の測定を説明する図であり、X方向から見た図である。変位計161をY方向へ移動させながら、校正物体165上の複数点で該校正物体165の上面Mr2と参照物体162の参照面162aの間隔変化G2(y)を測定する。G2(y)は次式(3)で表される。
G2(y)=Mr2(y)−Ms(y+d) (3)
ただし、dは後で校正物体165を横方向にずらす場合のずらし幅である。
【0040】
上式(1)〜(3)より、参照面162aの一次元形状Ms(y+d)と、校正物体165の面Mr2の一次元形状Mr2(y)とがそれぞれ次式(4)、(5)で表される。
Ms(y+d)=(T(y)−G1(y)−G2(y))/2 (4)
Mr2(y)=(T(y)−G1(y)+G2(y))/2 (5)
【0041】
−参照面162aと横方向にずらした校正物体165の上面との間の間隔変化G3(y)測定−
校正物体165をY方向(左)にdだけずらした上で、間隔変化G3(y)を測定する。図15は、間隔変化G3(y)の測定を説明する図であり、X方向から見た図である。変位計161をY方向へ移動させながら、校正物体165上の複数点で該校正物体165の上面Mr2と参照物体162の参照面162aの間隔変化G3(y)を測定する。G3(y)は次式(6)で表される。
G3(y)=Mr2(y)−Ms(y) (6)
また、式(6)より、参照面162aの一次元形状Ms(y)は、次式(7)で表される。
Ms(y)=Mr2(y)−G3(y) (7)
【0042】
−参照面162aとさらに横方向にずらした校正物体165の上面との間の間隔変化G4(y)測定−
校正物体165をさらにY方向(左)にdだけずらし、間隔変化G4(y)を測定する。図16は、間隔変化G4(y)の測定を説明する図であり、X方向から見た図である。変位計161をY方向へ移動させながら、校正物体165上の複数点で該校正物体165の上面Mr2と参照物体162の参照面162aの間隔変化G4(y)を測定する。G4(y)は次式(8)で表される。
G4(y)=Mr2(y)−Ms(y−d) (8)
また、式(8)より、参照面162aの一次元形状Ms(y−d)は、次式(9)で表される。
Ms(y−d)=Mr2(y)−G4(y) (9)
【0043】
−測定結果の繋ぎ合わせ−
上述した手順3〜手順5で得た参照面162aの3つの一次元形状Ms(y+d)、Ms(y)、およびMs(y−d)を図17に例示するように繋ぎ合わせることにより、参照物体162の参照面162aの校正値を得る。繋ぎ合わせは、Y座標における共通部分がそれぞれ一致するように最小自乗法等を用いて行う。繋ぎ合わせた校正値は、参照物体162の全体の参照面162aの一次元形状Ms(y)である。尚、ここでは、3回の測定データを繋ぎ合わせているが、参照物体162と校正物体165の長さに応じて、適宜繋ぎ合わせの数を変えてもよい。このような一次元形状Ms(y)より、上述した三角形状を構成する一次元測定値列DL1〜DL3、および測定ラインLi〜測定ラインLIVに沿ったそれぞれの一次元測定値列DLi〜DLIVに補正を行う。
【0044】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)測定対象物20の一次元形状を測定する変位計161と測定対象物20との間の相対位置をずらしながら測定対象物20の平面度を測定する平面度測定装置は、第1方向の第1測定ラインL1に沿って被検面20aの一次元形状を測る第1測定と、第1測定ラインL1と第1交差点P2で交差する第2方向の第2測定ラインL2に沿って被検面20aの一次元形状を測る第2測定と、第2測定ラインL2および第1測定ラインL1とそれぞれ第2交差点P3および第3交差点P1で交差する第3方向の第3測定ラインL3に沿って被検面20aの一次元形状を測る第3測定と、第1測定による第1の一次元形状を示す第1の測定値列DL1、第2測定による第2の一次元形状を示す第2の測定値列DL2、および第3測定による第3の一次元形状を示す第3の測定値列DL3を第1交差点P2乃至第3交差点P1においてそれぞれ一致させるように第1の測定値列DL1乃至第3の測定値列DL3を補正する補正処理とを行う。これにより、変位計161と測定対象物20との間の相対移動に起因する誤差を適切に補正できる。また、変位計161の位置ずらし機構の精度、すなわち、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12RをX方向へ移動する精度、変位計161をY方向へ移動する精度、および回転ステージ11の回転精度をそれぞれサブmmオーダとしながら、平面度測定の精度をサブμmオーダに高めることができる。
【0045】
(2)上記(1)において、補正処理は、各測定値列によって示される一次元形状の傾きをそれぞれ補正するので、簡単な演算で補正することができるから、補正処理の負担を抑えることができる。
【0046】
(3)上記(2)において、補正処理は、第3交差点P1において測定値列DL3の測定値a3に第1の測定値列DL1のデータと第3の測定値列DL3のデータとの差ΔP1=a1-a3を加算し、第1交差点P2において測定値列DL1の測定値b1に第2の測定値列DL2のデータと第1の測定値列DL1のデータとの差ΔP2=b2-b1を加算し、第2交差点P3において測定値列DL2の測定値c2に第3の測定値列DL3のデータと第2の測定値列DL2のデータとの差Δc3-c2を加算するように傾きを補正するので、簡単な演算で補正することができるから、補正処理の負担を抑えることができる。
【0047】
(4)上記(3)において、第1の測定値列DL1乃至第3の測定値列DL3のうち少なくとも2つと交差する第4方向の第4測定ラインLiに沿って被測定面20aの一次元形状を測る第4測定をさらに行い、第4測定による第4の一次元形状を示す第4の測定値列DLiを2つの交差点において補正処理後の第1の測定値列DL1乃至第3の測定値列DL3のうち2つのデータと一致させるように第4の測定値列DLiの傾きをさらに補正するので、被検面20aの平面形状をさらに細かく特定できる。
【0048】
(5)本実施の形態によれば、被検面20aの平面度(真直度)を、被検面20aと参照面162aとの相対的な間隔変化Dを測って測定する構成にしたので、測定中に被検面20aと参照面162aとの相対関係が不変であればよく、この点からも、変位計161の位置ずらし機構の精度より高い精度で平面度測定を行える。
【0049】
(6)間隔変化Dの測定を光学的に行う場合、測定光(レーザ光)の空間光路長を短くできるので、大気ゆらぎなどの環境変化に起因する誤差を抑えることができる。
【0050】
(変形例1)
被検面20aの二次元形状をさらに細かく表す場合に測定する測定ラインであって、上述した三角形と2点で接する測定ラインLi〜LIVは、図9に例示する場合よりさらに増加させてもよい。図18および図19は、増加させた測定ラインを例示する図である。各測定ラインは、2点で三角形の頂点または辺と接する。なお、図18に示すように、測定ラインが必ずしも三角形の中心点を通るようにする必要はない。
【0051】
(変形例2)
三角形状の測定ラインは、必ずしも略正三角形にする必要はなく、図20に例示するように、三角形の3辺を延長した構成としてもよい。この場合、三角形と接する測定ラインは図21に例示するように、三角形の外側で該三角形を構成する辺と2点で接する測定ラインLiや、三角形を構成する辺と3点で接する測定ラインLiiを設けることができる。
【0052】
(変形例3)
一次元形状測定部16を構成する変位計として、参照光ヘッドおよび測定光ヘッドからそれぞれレーザ光を射出することによって参照面までの距離変化と被検面までの距離変化を逐次測定し、両測定値の差から参照面と被検面との間隔変化を測定する例を説明した。この代わりに、参照光ヘッドおよび測定光ヘッドからそれぞれレーザ光を射出し、参照面で反射されたレーザ光と被検面で反射されたレーザ光との間で生じる干渉縞に基づいて参照面と被検面との間隔を測定してもよい。さらに、ヘテロダイン型レーザ測長計や、静電容量型変位形、渦電流型変位形などの微小変位を測定する他の変位計を用いてもよい。
【0053】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
10…定盤
11…回転ステージ
12L、12R…一次元ステージ
14…回転軸
15…架台
16…一次元形状測定部
20…被検体
20a…被検面
111、151…支持部
161…変位計
162…参照物体
162a…参照面
165…校正物体
DL1〜DL3、DLi〜DLIV…測定値列
L1〜L3、Li〜LIV…測定ライン
O…回転中心
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平面鏡などの平面度をサブμmの精度で測定する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−286829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、干渉計と被検面との間の相対位置をずらしながら一次元方向に被検面の形状測定を繰り返す。このとき、干渉計と被検面とを相対移動させる移動機構の移動誤差が一次元形状の測定値に含まれてしまい、平面度測定における測定誤差になるという問題があった。
【0005】
具体的に説明すると、被検面に対する一次元方向の形状測定を複数回繰り返して二次元平面形状を測定する場合、通常、後述する「格子状の測定」または「放射状の測定」が行われる。測定した複数の一次元形状に上記移動誤差に起因する測定誤差が含まれると、これら複数の一次元形状で構成される二次元平面にねじれが生じることになる。このねじれは、平面度測定における誤差を生じさせる。
【0006】
「格子状の測定」
図4は、被検面上に例示した格子状の測定ラインを説明する図である。従来技術では、格子を構成する各測定ラインに沿って一次元方向の形状測定を繰り返し行う。平面度測定装置は、たとえば、被検体20を載置した回転ステージを所定の角度(たとえばθ=0度)で固定し、一次元ステージをX方向(図4において横方向)における所定の位置で固定して測定ラインを選択した上で、変位計をY方向(図4において縦方向)へ移動させながら、選択した測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。
【0007】
同様に、平面度測定装置は、回転ステージを固定したまま(θ=0度)、一次元ステージをX方向へ所定量移動させて他の測定ラインを選択した上で、変位計を再びY方向へ移動させながら、選択した測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。以上のように測定ラインに沿った測定を繰り返し、図4における縦方向の測定ラインごとに一次元形状を得る。
【0008】
次に、平面度測定装置は、被検体20を載置した回転ステージを90度回転させて固定し(θ=90度)、一次元ステージをX方向における所定の位置で固定して測定ラインを選択した上で、変位計をY方向へ移動させながら、選択した測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。
【0009】
同様に、平面度測定装置は、回転ステージを固定したまま(θ=90度)、一次元ステージをX方向へ所定量移動させて他の測定ラインを選択した上で、変位計を再びY方向へ移動させながら、選択した測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。以上のように測定ラインに沿った測定を繰り返し、図4における縦方向の測定ラインごとに一次元形状を得る。
【0010】
θ=0度の場合に測定した複数の測定ラインの一次元形状と、θ=90度の場合に測定した複数の測定ラインの一次元形状とを組み合わせると、図4に例示した格子状の二次元形状が得られる。一次元ステージを完全な平面内で移動できない場合には、図4の測定結果に上述したねじれが生じてしまう。
【0011】
「放射状の測定」
図5は、被検面上に例示した放射状の測定ラインを説明する図である。従来技術では、放射状の各測定ラインに沿って一次元方向の形状測定を繰り返し行う。平面度測定装置は、たとえば、被検体20を載置した回転ステージを所定の角度(たとえばθ=0度)で固定し、一次元ステージX方向へ移動させて回転中心O上の位置で固定した上で、変位計をY方向へ移動させながら、測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。
【0012】
次に、平面度測定装置は、被検体20を載置した回転ステージをたとえば10度(θ=10度)回転させて固定し、一次元ステージを回転中心O上の位置で固定したままで変位計をY方向へ移動させながら、上記回転後の測定ラインに沿った被検体20上の複数点で被検面の一次元形状を測定する。
【0013】
回転ステージを10度回転させるたびに同様の測定を繰り返し、θの値が異なる複数ラインにおける一次元形状を組み合わせると、図5に例示するように、放射状の二次元形状が得られる。回転ステージを完全な平面内で移動、回転できない場合には、図5の測定結果に上述したねじれが生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、測定対象物の一次元形状を測定する変位計と測定対象物との間の相対位置をずらしながら測定対象物の平面度を測定する平面度測定装置に適用され、第1方向の第1測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第1測定と、第1測定ラインと第1交差点で交差する第2方向の第2測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第2測定と、第2測定ラインおよび第1測定ラインとそれぞれ第2交差点および第3交差点で交差する第3方向の第3測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第3測定と、第1測定による第1の一次元形状を示す第1の測定値列、第2測定による第2の一次元形状を示す第2の測定値列、および第3測定による第3の一次元形状を示す第3の測定値列を第1交差点乃至第3交差点においてそれぞれ一致させるように第1の測定値列乃至第3の測定値列を補正する補正処理と、を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明による平面度測定装置では、変位計と被検面との間の相対移動に起因する誤差を適切に補正できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】平面度測定装置を例示する平面図である。
【図2】図1の平面度測定装置の右側面図である。
【図3】図1の平面度測定装置の正面図である。
【図4】格子状の測定ラインを説明する図である。
【図5】放射状の測定ラインを説明する図である。
【図6】三角形状の測定ラインを説明する図である。
【図7】三角形状の測定結果の3辺が一致しない場合を例示する図である。
【図8】傾き補正後の測定結果を説明する図である。
【図9】三角形状の測定ラインおよび新たに測定する測定ラインを説明する図である。
【図10】各測定ラインにおける測定値列を説明する図である。
【図11】オフセット補正および傾き補正後の測定結果を説明する図である。
【図12】補助鏡の厚さムラ測定を説明する図であって(a)はX方向から見た図、(b)はY方向から見た図である。
【図13】間隔G1(y)の測定を説明する図であって(a)はX方向から見た図で、(b)はY方向から見た図である。
【図14】間隔G2(y)の測定を説明する図であって、X方向から見た図である。
【図15】間隔G3(y)の測定を説明する図であって、X方向から見た図である。
【図16】間隔G4(y)の測定を説明する図であって、X方向から見た図である。
【図17】測定結果の繋ぎ合わせを説明する図である。
【図18】増加させた測定ラインを例示する図である。
【図19】増加させた測定ラインを例示する図である。
【図20】変形例2の三角形状の測定ラインを説明する図である。
【図21】三角形状の測定ラインおよび新たに測定する測定ラインを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施の形態による平面度測定装置を例示する図である。図1は平面図、図2は図1におけるAから見た右側面図、図3は図1におけるBから見た正面図である。
【0018】
図1〜図3において、定盤10の上に回転ステージ11と、1次元ステージ12Lおよび1次元ステージ12Rとが設けられている。回転ステージ11は、回転軸14(図2、図3)の回りに回転自在に構成されている。回転中心を符号Oで表す(図1)。回転ステージ11の上面には複数の支持部111が設けられ、これらの支持部111の上に平面鏡などの被検体20が載置される。被検体20は、たとえば直径が略1mの平面鏡である。本説明では、被検体20の上面を被検面20aと呼ぶ。
【0019】
一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rは、それぞれが連動して定盤10の上面に沿ってX方向へ進退移動自在に構成されている。X方向の移動範囲は、少なくとも回転ステージ11の略半分を含むように構成される。なお、回転ステージ11の全体をX方向の移動範囲に含むように構成してもよい。一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rは、回転ステージ11をY方向に跨ぐように構成された架台15を支持する。架台15は、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rにそれぞれ載置された脚部15aおよび15bと、これら脚部15a、15bに連設されたアーム部15cとを有する。架台15には、一次元形状測定部16が設けられている。
【0020】
図3において、一次元形状測定部16は、たとえば参照光ヘッド161aと測定光ヘッド161bとを含む変位計161を有しており、参照光ヘッド161aと測定光ヘッド161bの相対距離は常に一定である。変位計161は、架台15に対して矢印Y方向に往復動可能である。参照物体162は、たとえば直方体形状に構成され、架台15のアーム部15cに設けられている複数の支持部151の上に載置される。ここで、参照物体162の上面を参照面162aと呼ぶ。本実施形態では、参照物体162のY方向の長さを被検体20のY方向の長さ(本例では被検体20の直径に相当)と略等しくする。
【0021】
変位計161は、Y方向に移動しながら、たとえば参照光ヘッド161aからレーザ光を射出して参照面162aまでの距離変化を逐次測定し、同時に測定光ヘッド161bからレーザ光を射出して被検面20aまでの距離変化を逐次測定する。こうして得られた両者の測定値の差より、Y方向の走査範囲内で、被検面20aと参照面162aの間の間隔変化Dを測定する。本実施形態は、被検面20aの平面度(真直度)を直接測定するのではなく、被検面20aと参照面162aとの間隔変化Dを測ることにより、被検面20aの平面度(真直度)を相対的に測定する。
【0022】
ところで、一次元の測定を行う一次元形状測定部16で平面鏡などの二次元形状を測定するためには、被検体20と一次元形状測定部16との相対的な位置関係を変えながら、被検面20a上を万遍なく測定し、これらの測定結果に基づいて被検面20aの平面度を特定する。
【0023】
本実施形態では、従来技術のような格子状の測定や放射状の測定とは異なり、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rや回転ステージ11に厳しい機械精度を求めなくても高い測定精度が得られる三角形状の測定を行う。
【0024】
三角形状の測定では、被検面20aを三角形状の測定ラインに沿って測定することを特徴とする。被検体20の平面度を三角形状に測定する場合の平面度測定装置は、被検体20を載置した回転ステージ11を所定の角度(たとえばθ=0度)で固定し、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12RをX方向へ移動させて回転中心Oと被検体20の外周(X=xP)との略中央の位置(X=xc)で固定する。そして、変位計161をY方向へ移動させながら、被検体20上の複数点で被検面20aと参照面162aの間隔変化D(y)を測定する。これにより、図6に例示するように、点P1から点P2へ至る測定ラインL1方向に、参照面162aに対する被検面20aの間隔変化D(すなわち、被検面20aの一次元形状)が求められる。
【0025】
次に、被検体20の平面度を三角形状に測定する場合の平面度測定装置は、被検体20を載置した回転ステージ11をたとえば120度(θ=120度)回転させて固定し、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rを上記X=xcで固定する。そして、変位計161をY方向へ移動させながら、被検体20上の複数点で被検面20aと参照面162aの間隔変化D(y)を測定する。これにより、図6の点P2から点P3へ至る測定ラインL2方向に、参照面162aに対する被検面20aの間隔変化D(すなわち、被検面20aの一次元形状)が求められる。
【0026】
さらに、被検体20の平面度を三角形状に測定する場合の平面度測定装置は、被検体20を載置した回転ステージ11をさらに120度(θ=240度)回転させて固定する。そして、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rを上記X=xcで固定したままで、変位計161をY方向へ移動させながら、被検体20上の複数点で被検面20aと参照面162aの間隔変化D(y)を測定する。これにより、図6の点P3から点P1へ至る測定ラインL3方向に、参照面162aに対する被検面20aの間隔変化D(すなわち、被検面20aの一次元形状)が求められる。
【0027】
以上説明した測定により、図6に例示するように三角形状の測定ライン(L1、L2、L3)に沿った測定値列が得られる。ここで、回転ステージ11の回転軸の傾きなどに起因して変位計161に対して被検面20aが相対的に傾いた場合、上記3つの測定ライン(L1、L2、L3)に沿った測定値は、変位計161に対する被検面20aの相対的な傾きやオフセットに起因する誤差を含む。
【0028】
図7は、この状態を説明する図である。図7において、符号DL1、DL2、およびDL3は、それぞれ上記3つの測定ラインL1、L2、L3に沿って被検面20aの形状を表す一次元の測定値列である。測定値列DL1のうち、点P2に相当する測定値をb1とする。測定値列DL2のうち、点P2に相当する測定値をb2とする。測定値列DL2のうち、点P3に相当する測定値をc2とする。測定値列DL3のうち、点P3に相当する測定値をc3とする。測定値列DL3のうち、点P1に相当する測定値をa3とする。測定値列DL1のうち、点P1に相当する測定値をa1とする。
【0029】
上述した相対的な傾きやオフセットが生じることにより、点P2に相当する測定値b1とb2とは一致せず、測定値b1とb2との間に生じる差ΔP2=b2-b1が測定誤差となる。同様に、点P3および点P1においてもそれぞれ測定誤差が生じる。すなわち、点P3に相当する測定値c2とc3とは一致せず、測定値c2とc3との間に生じる差ΔP3=c3-c2が測定誤差となる。また、点P1に相当する測定値a1とa3とは一致せず、測定値a1とa3との間に生じる差ΔP1=a1-a3が測定誤差となる。
【0030】
−補正−
平面度測定装置は、点P1において測定値列DL3の測定値a3にΔP1を加算するように傾きを補正、点P2において測定値列DL1の測定値b1にΔP2を加算するように傾きを補正、点P3において測定値列DL2の測定値c2にΔP3を加算するように傾きを補正する。
【0031】
このような傾き補正によって測定値列DL1〜DL3が相互に接するように補正することにより、図8に例示する三角形を得る。図8に例示する三角形は、被検面20a上に描いた三角形に相当するので、被検面20aの二次元形状を特定するものである。
【0032】
被検面20aの二次元形状をさらに細かく表す場合の平面度測定装置は、上記三角形と2点で接する直線状の測定ラインについて新たな測定を行う。図9は、三角形状の測定ライン(L1、L2、L3)、および新たに測定する測定ライン(Li、Lii、Liii、LIV)を例示する図である。測定ラインLiは、点P1と点P'iとにおいて三角形と接する。測定ラインLiiは、点Piiと点P'iiとにおいて三角形と接する。測定ラインLiiiは、点Piiiと点P'iiiとにおいて三角形と接する。測定ラインLIVは、点PIVと点P'IVとにおいて三角形と接する。
【0033】
図10は、上述した各測定ライン(Li、Lii、Liii、LIV)における測定値列を説明する図である。図10において、DLi、DLii、DLiiiおよびDLIVは、それぞれ4つの測定ラインに沿って被検面20aの形状を表す一次元の測定値列である。平面度測定装置は、測定値列DL3に対して行った傾き補正と同様に、測定値列DLi、DLii、DLiiiおよびDLIVをそれぞれ傾き補正する。傾き補正を行うことによって測定値列DLi〜DLIVを三角形状の測定値列DL1〜DL3と接するように補正することにより、図11に例示するような被検面20aの二次元形状を表す図が得られる。
【0034】
以上のように、<三角形状の測定>では、各測定値列に傾き補正を加えるだけで、一意的に二次元の形状が定まるので、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12Rや回転ステージ11に厳しい機械精度を求めなくても、高い測定精度が得られる。
【0035】
あらかじめ参照面162aの形状を校正して既知にしておくと、被検面20aと参照面162aの間隔変化Dを測定した際に、ただちに間隔変化Dより参照面162aの形状分を補正することで、被検面20aの面形状を求めることができるので好都合である。そこで、あらかじめ行っておく参照面162aの校正手順を以下に説明する。
【0036】
<参照面162aの校正>
参照面162aの校正は、以下の手順で行う。
1.校正物体165の厚さムラ測定
2.参照面162aと校正物体165の上面との間の間隔測定
3.参照面162aと上下反転後の校正物体165の上面との間の間隔測定
4.参照面162aと横方向にずらした校正物体165の上面との間の間隔測定
5.参照面162aとさらに横方向にずらした校正物体165の上面との間の間隔測定
6.測定結果の繋ぎ合わせ
【0037】
−校正物体165の厚さムラ測定−
図2、図3における参照物体162の代わりに校正物体165を載置し、該参照物体162を被検体20の代わりに載置する。本実施形態では、校正物体165として参照物体162より長さが短い直方形状の補助鏡を用いる。校正物体165の長さを短くするのは、該校正物体165の自重による変形(撓み)を抑えるためである。図12は、校正物体165の厚さムラ測定を説明する図である。図12(a)はX方向から見た図であり、図12(b)はY方向から見た図である。変位計161をY方向へ移動させながら、校正物体165上の複数点で該校正物体165の厚さムラ(上面Mr1と下面Mr2の間隔)T(y)を測定する。ここで、面が上向きの場合を+、下向きの場合を−で表現するものと統一して、上面Mr1の一次元形状をMr1(y)、下面Mr2の一次元形状を−Mr2(y)とすると、T(y)は次式(1)で表される。なお、厚さムラ測定時は、変位計161の測定光ヘッド161bが上方を向くように反転して、測定光ヘッド161aと161bの測定データ同士の和を求める。
T(y)=Mr1(y)+Mr2(y) (1)
【0038】
−参照面162aと校正物体165の上面との間の間隔変化G1(y)測定−
校正物体165を支持部151によって支持し、間隔変化G1(y)を測定する。この場合の支持部151の位置は、自重による撓みを最小にするように2つのベッセル点に相当する。図13は、間隔変化G1(y)の測定を説明する図である。図13(a)はX方向から見た図であり、図13(b)はY方向から見た図である。変位計161をY方向へ移動させながら、校正物体165上の複数点で該校正物体165の上面Mr1と参照物体162の参照面162aの間隔変化G1(y)を測定する。ここで、参照面162aの一次元形状をMs(y)とすると、G1(y)は次式(2)で表される。なお、間隔測定時は、変位計161の測定光ヘッド161bが下方を向くように反転して、測定光ヘッド161aと161bの測定データ同士の差を求める。G1(y)=Mr1(y)−Ms(y+d) (2)
ただし、dは後で校正物体165を横方向にずらす場合のずらし幅であり、G1(y)の測定範囲よりも短いものとする。
【0039】
−参照面162aと上下反転後の校正物体165の上面との間の間隔変化G2(y)測定−
校正物体165の向き(上下)を反転させた上で、参照面162aと上下反転後の校正物体165の上面との間の間隔変化G2(y)を測定する。図14は、間隔変化G2(y)の測定を説明する図であり、X方向から見た図である。変位計161をY方向へ移動させながら、校正物体165上の複数点で該校正物体165の上面Mr2と参照物体162の参照面162aの間隔変化G2(y)を測定する。G2(y)は次式(3)で表される。
G2(y)=Mr2(y)−Ms(y+d) (3)
ただし、dは後で校正物体165を横方向にずらす場合のずらし幅である。
【0040】
上式(1)〜(3)より、参照面162aの一次元形状Ms(y+d)と、校正物体165の面Mr2の一次元形状Mr2(y)とがそれぞれ次式(4)、(5)で表される。
Ms(y+d)=(T(y)−G1(y)−G2(y))/2 (4)
Mr2(y)=(T(y)−G1(y)+G2(y))/2 (5)
【0041】
−参照面162aと横方向にずらした校正物体165の上面との間の間隔変化G3(y)測定−
校正物体165をY方向(左)にdだけずらした上で、間隔変化G3(y)を測定する。図15は、間隔変化G3(y)の測定を説明する図であり、X方向から見た図である。変位計161をY方向へ移動させながら、校正物体165上の複数点で該校正物体165の上面Mr2と参照物体162の参照面162aの間隔変化G3(y)を測定する。G3(y)は次式(6)で表される。
G3(y)=Mr2(y)−Ms(y) (6)
また、式(6)より、参照面162aの一次元形状Ms(y)は、次式(7)で表される。
Ms(y)=Mr2(y)−G3(y) (7)
【0042】
−参照面162aとさらに横方向にずらした校正物体165の上面との間の間隔変化G4(y)測定−
校正物体165をさらにY方向(左)にdだけずらし、間隔変化G4(y)を測定する。図16は、間隔変化G4(y)の測定を説明する図であり、X方向から見た図である。変位計161をY方向へ移動させながら、校正物体165上の複数点で該校正物体165の上面Mr2と参照物体162の参照面162aの間隔変化G4(y)を測定する。G4(y)は次式(8)で表される。
G4(y)=Mr2(y)−Ms(y−d) (8)
また、式(8)より、参照面162aの一次元形状Ms(y−d)は、次式(9)で表される。
Ms(y−d)=Mr2(y)−G4(y) (9)
【0043】
−測定結果の繋ぎ合わせ−
上述した手順3〜手順5で得た参照面162aの3つの一次元形状Ms(y+d)、Ms(y)、およびMs(y−d)を図17に例示するように繋ぎ合わせることにより、参照物体162の参照面162aの校正値を得る。繋ぎ合わせは、Y座標における共通部分がそれぞれ一致するように最小自乗法等を用いて行う。繋ぎ合わせた校正値は、参照物体162の全体の参照面162aの一次元形状Ms(y)である。尚、ここでは、3回の測定データを繋ぎ合わせているが、参照物体162と校正物体165の長さに応じて、適宜繋ぎ合わせの数を変えてもよい。このような一次元形状Ms(y)より、上述した三角形状を構成する一次元測定値列DL1〜DL3、および測定ラインLi〜測定ラインLIVに沿ったそれぞれの一次元測定値列DLi〜DLIVに補正を行う。
【0044】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)測定対象物20の一次元形状を測定する変位計161と測定対象物20との間の相対位置をずらしながら測定対象物20の平面度を測定する平面度測定装置は、第1方向の第1測定ラインL1に沿って被検面20aの一次元形状を測る第1測定と、第1測定ラインL1と第1交差点P2で交差する第2方向の第2測定ラインL2に沿って被検面20aの一次元形状を測る第2測定と、第2測定ラインL2および第1測定ラインL1とそれぞれ第2交差点P3および第3交差点P1で交差する第3方向の第3測定ラインL3に沿って被検面20aの一次元形状を測る第3測定と、第1測定による第1の一次元形状を示す第1の測定値列DL1、第2測定による第2の一次元形状を示す第2の測定値列DL2、および第3測定による第3の一次元形状を示す第3の測定値列DL3を第1交差点P2乃至第3交差点P1においてそれぞれ一致させるように第1の測定値列DL1乃至第3の測定値列DL3を補正する補正処理とを行う。これにより、変位計161と測定対象物20との間の相対移動に起因する誤差を適切に補正できる。また、変位計161の位置ずらし機構の精度、すなわち、一次元ステージ12Lおよび一次元ステージ12RをX方向へ移動する精度、変位計161をY方向へ移動する精度、および回転ステージ11の回転精度をそれぞれサブmmオーダとしながら、平面度測定の精度をサブμmオーダに高めることができる。
【0045】
(2)上記(1)において、補正処理は、各測定値列によって示される一次元形状の傾きをそれぞれ補正するので、簡単な演算で補正することができるから、補正処理の負担を抑えることができる。
【0046】
(3)上記(2)において、補正処理は、第3交差点P1において測定値列DL3の測定値a3に第1の測定値列DL1のデータと第3の測定値列DL3のデータとの差ΔP1=a1-a3を加算し、第1交差点P2において測定値列DL1の測定値b1に第2の測定値列DL2のデータと第1の測定値列DL1のデータとの差ΔP2=b2-b1を加算し、第2交差点P3において測定値列DL2の測定値c2に第3の測定値列DL3のデータと第2の測定値列DL2のデータとの差Δc3-c2を加算するように傾きを補正するので、簡単な演算で補正することができるから、補正処理の負担を抑えることができる。
【0047】
(4)上記(3)において、第1の測定値列DL1乃至第3の測定値列DL3のうち少なくとも2つと交差する第4方向の第4測定ラインLiに沿って被測定面20aの一次元形状を測る第4測定をさらに行い、第4測定による第4の一次元形状を示す第4の測定値列DLiを2つの交差点において補正処理後の第1の測定値列DL1乃至第3の測定値列DL3のうち2つのデータと一致させるように第4の測定値列DLiの傾きをさらに補正するので、被検面20aの平面形状をさらに細かく特定できる。
【0048】
(5)本実施の形態によれば、被検面20aの平面度(真直度)を、被検面20aと参照面162aとの相対的な間隔変化Dを測って測定する構成にしたので、測定中に被検面20aと参照面162aとの相対関係が不変であればよく、この点からも、変位計161の位置ずらし機構の精度より高い精度で平面度測定を行える。
【0049】
(6)間隔変化Dの測定を光学的に行う場合、測定光(レーザ光)の空間光路長を短くできるので、大気ゆらぎなどの環境変化に起因する誤差を抑えることができる。
【0050】
(変形例1)
被検面20aの二次元形状をさらに細かく表す場合に測定する測定ラインであって、上述した三角形と2点で接する測定ラインLi〜LIVは、図9に例示する場合よりさらに増加させてもよい。図18および図19は、増加させた測定ラインを例示する図である。各測定ラインは、2点で三角形の頂点または辺と接する。なお、図18に示すように、測定ラインが必ずしも三角形の中心点を通るようにする必要はない。
【0051】
(変形例2)
三角形状の測定ラインは、必ずしも略正三角形にする必要はなく、図20に例示するように、三角形の3辺を延長した構成としてもよい。この場合、三角形と接する測定ラインは図21に例示するように、三角形の外側で該三角形を構成する辺と2点で接する測定ラインLiや、三角形を構成する辺と3点で接する測定ラインLiiを設けることができる。
【0052】
(変形例3)
一次元形状測定部16を構成する変位計として、参照光ヘッドおよび測定光ヘッドからそれぞれレーザ光を射出することによって参照面までの距離変化と被検面までの距離変化を逐次測定し、両測定値の差から参照面と被検面との間隔変化を測定する例を説明した。この代わりに、参照光ヘッドおよび測定光ヘッドからそれぞれレーザ光を射出し、参照面で反射されたレーザ光と被検面で反射されたレーザ光との間で生じる干渉縞に基づいて参照面と被検面との間隔を測定してもよい。さらに、ヘテロダイン型レーザ測長計や、静電容量型変位形、渦電流型変位形などの微小変位を測定する他の変位計を用いてもよい。
【0053】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
10…定盤
11…回転ステージ
12L、12R…一次元ステージ
14…回転軸
15…架台
16…一次元形状測定部
20…被検体
20a…被検面
111、151…支持部
161…変位計
162…参照物体
162a…参照面
165…校正物体
DL1〜DL3、DLi〜DLIV…測定値列
L1〜L3、Li〜LIV…測定ライン
O…回転中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の一次元形状を測定する変位計と前記測定対象物との間の相対位置をずらしながら前記測定対象物の平面度を測定する平面度測定装置において、
第1方向の第1測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第1測定と、
前記第1測定ラインと第1交差点で交差する第2方向の第2測定ラインに沿って前記被測定面の一次元形状を測る第2測定と、
前記第2測定ラインおよび前記第1測定ラインとそれぞれ第2交差点および第3交差点で交差する第3方向の第3測定ラインに沿って前記被測定面の一次元形状を測る第3測定と、
前記第1測定による第1の一次元形状を示す第1の測定値列、前記第2測定による第2の一次元形状を示す第2の測定値列、および前記第3測定による第3の一次元形状を示す第3の測定値列を前記第1交差点乃至第3交差点においてそれぞれ一致させるように前記第1の測定値列乃至前記第3の測定値列を補正する補正処理と、
を行うことを特徴とする平面度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の平面度測定装置において、
前記補正処理は、前記各測定値列によって示される一次元形状の傾きをそれぞれ補正することを特徴とする平面度測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の平面度測定装置において、
前記補正処理は、前記第3交差点における前記第1の測定値列のデータと前記第3の測定値列のデータの差を、両者の値が同じになるように、前記第3の測定値列データに加算し、前記第1交差点における前記第2の測定値列のデータと前記第1の測定値列のデータの差を、両者の値が同じになるように、前記第1の測定値列データに加算し、前記第2交差点における前記第3の測定値列のデータと前記第2の測定値列のデータの差を、両者の値が同じになるように、前記第2の測定値列のデータに加算するように前記傾きを補正することを特徴とする平面度測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の平面度測定装置において、
前記第1の測定値列乃至前記第3の測定値列のうち少なくとも2つと交差する第4方向の第4測定ラインに沿って前記被測定面の一次元形状を測る第4測定をさらに行い、
前記第4測定による第4の一次元形状を示す第4の測定値列を前記2つの交差点において前記補正後の前記第1の測定値列乃至前記第3の測定値列のうち2つのデータとそれぞれ一致させるように前記第4の測定値列の傾きをさらに補正することを特徴とする平面度測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の平面度測定装置において、
前記変位計は、参照物体の参照面と前記測定対象物の被検面との間の間隔変化に基づいて前記測定対象物の一次元形状を測定することを特徴とする平面度測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の平面度測定装置において、
前記参照物体の参照面の一次元形状は、該参照面と校正物体の校正面との間の間隔変化に基づいて測定された一次元形状に基づいて校正されることを特徴とする平面度測定装置。
【請求項1】
測定対象物の一次元形状を測定する変位計と前記測定対象物との間の相対位置をずらしながら前記測定対象物の平面度を測定する平面度測定装置において、
第1方向の第1測定ラインに沿って被測定面の一次元形状を測る第1測定と、
前記第1測定ラインと第1交差点で交差する第2方向の第2測定ラインに沿って前記被測定面の一次元形状を測る第2測定と、
前記第2測定ラインおよび前記第1測定ラインとそれぞれ第2交差点および第3交差点で交差する第3方向の第3測定ラインに沿って前記被測定面の一次元形状を測る第3測定と、
前記第1測定による第1の一次元形状を示す第1の測定値列、前記第2測定による第2の一次元形状を示す第2の測定値列、および前記第3測定による第3の一次元形状を示す第3の測定値列を前記第1交差点乃至第3交差点においてそれぞれ一致させるように前記第1の測定値列乃至前記第3の測定値列を補正する補正処理と、
を行うことを特徴とする平面度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の平面度測定装置において、
前記補正処理は、前記各測定値列によって示される一次元形状の傾きをそれぞれ補正することを特徴とする平面度測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の平面度測定装置において、
前記補正処理は、前記第3交差点における前記第1の測定値列のデータと前記第3の測定値列のデータの差を、両者の値が同じになるように、前記第3の測定値列データに加算し、前記第1交差点における前記第2の測定値列のデータと前記第1の測定値列のデータの差を、両者の値が同じになるように、前記第1の測定値列データに加算し、前記第2交差点における前記第3の測定値列のデータと前記第2の測定値列のデータの差を、両者の値が同じになるように、前記第2の測定値列のデータに加算するように前記傾きを補正することを特徴とする平面度測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の平面度測定装置において、
前記第1の測定値列乃至前記第3の測定値列のうち少なくとも2つと交差する第4方向の第4測定ラインに沿って前記被測定面の一次元形状を測る第4測定をさらに行い、
前記第4測定による第4の一次元形状を示す第4の測定値列を前記2つの交差点において前記補正後の前記第1の測定値列乃至前記第3の測定値列のうち2つのデータとそれぞれ一致させるように前記第4の測定値列の傾きをさらに補正することを特徴とする平面度測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の平面度測定装置において、
前記変位計は、参照物体の参照面と前記測定対象物の被検面との間の間隔変化に基づいて前記測定対象物の一次元形状を測定することを特徴とする平面度測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の平面度測定装置において、
前記参照物体の参照面の一次元形状は、該参照面と校正物体の校正面との間の間隔変化に基づいて測定された一次元形状に基づいて校正されることを特徴とする平面度測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−117957(P2012−117957A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269244(P2010−269244)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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