形状欠陥検査方法およびその装置
【課題】
プリント配線基板等、特に光透過型電子基板の欠陥を、基板のずれを気にせずに光学的処理により高精度、迅速、かつ、自動的に検出することができる形状欠陥等の検査方法および検査装置を提供する。
【解決手段】
可干渉性レーザ光源、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズと、そのレンズの前方に設置された検査物体の回転を抑えるためのガイド溝を通して搬送する検査物体の導入手段または検査物体形状写出手段と、前記レンズの光軸中心の後焦点面または光軸中心の後焦点面付近に設置された形状識別手段としての光差分または排他的論理和を行う光学フィルタ(光差分フィルタまたは光相関フィルタ)を含む光差分器や光相関器と、光学フィルタを前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズと、逆フーリエ変換レンズからの画像を撮り込む電子カメラ、とで構成される画像の差異や画像欠陥を検査する方法および装置。
プリント配線基板等、特に光透過型電子基板の欠陥を、基板のずれを気にせずに光学的処理により高精度、迅速、かつ、自動的に検出することができる形状欠陥等の検査方法および検査装置を提供する。
【解決手段】
可干渉性レーザ光源、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズと、そのレンズの前方に設置された検査物体の回転を抑えるためのガイド溝を通して搬送する検査物体の導入手段または検査物体形状写出手段と、前記レンズの光軸中心の後焦点面または光軸中心の後焦点面付近に設置された形状識別手段としての光差分または排他的論理和を行う光学フィルタ(光差分フィルタまたは光相関フィルタ)を含む光差分器や光相関器と、光学フィルタを前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズと、逆フーリエ変換レンズからの画像を撮り込む電子カメラ、とで構成される画像の差異や画像欠陥を検査する方法および装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系を用いた形状欠陥等の検査方法およびその装置での形状識別のための光差分あるいは光学的排他的論理和を行う方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光透過型電子基板のCOF(Chip on Film)やTAB(Tape Automated Bonding)、非光透過型電子基板のプリント基板、等の物体の画像欠陥の検査に用いられる技術は、図1に概略を示すように、被検査用の被写体3をCCDカメラ1で撮影して、被検査画像と基準画像とをデータ演算機2を用いて直接画像差分して比較し、画像欠陥を検出するという方法が採られてきた。被検査画像と基準画像との直接画像差分を行う従来法では、図2に示す被検査物体3の画像を調整箇所、A:左右、B:前後、C:上下、R:回転角で、基準画像との位置合わせを厳密に行うことが必要で、被検査画像と基準画像との位置合わせがカメラ画像の1 Pixelでもずれると検査ができなかった。
【0003】
例えば幅寸法が250mm程度の通常の電子基板での、配線の線/スペースの線幅が10μm程度以下と微細になるにつれて、基準画像と被検査画像との画像間の位置合わせの困難さが増した。また、微細画像の撮影にカメラの焦点深度の問題が著しく効いてきて、従来法では微細画像の欠陥を高精度・高速に検査することが困難になった。
【0004】
すなわち、画像直接差分法という従来法では、被検査画像が高精細になると、基準画像と被検査画像間の画素を1pixelのずれもなく厳密な画像合わせを行うことが困難になり、また、全体画像の中での微細画像の撮影の困難さが増して、検査に支障をきたしていた。そのため、画像の欠陥検査法の革新的な技術の開発が求められていた。
【0005】
従来法である画像直接差分法の欠点の解決策として、非光透過型電子基板等の欠陥検査では、基準画像と被検査画像との間の位置決め問題の解決に、PCを用いた画像のフーリエ変換差分法[特許文献1]が提案し実行された。それは、基準画像と被検査画像の2つの画像間に左右および前後の画像ずれがあっても、それらのフーリエ変換画像の零次が自動的に一致し、左右および前後の画像ずれの補正を必要としないというものである。
【0006】
また、光透過型電子基板の微細画像欠陥の高精度かつ高速検査には、フーリエ変換光差分法[特許文献2]が提案し実行された。それは、2画像間の左右および前後の位置ずれの補正を必要としないで、かつ、光波長程度の高分解能検査を可能とするものであった。フーリエ変換光差分法では、PCを用いてフーリエ変換の画像差分を行うのではなく、光差分フィルタを用いて自動的に光速度で画像差分が行われ、画像欠陥の検査速度が飛躍的に増大した。
【0007】
[従来技術での光学系について]
フーリエ変換光差分法[特許文献2]は、図3に示すような光学系で、レーザ104から射出される可干渉性光を平行光束として、フーリエ変換レンズ106の前焦点面という限定された位置に設置された物体導入手段または物体写出手段107上の物体または物体画像に照射して、レンズの後焦点面に置かれた基準画像の光差分フィルタ108で被検査物体のフーリエ変換画像を差分して、レンズ109で逆フーリエ変換して欠陥画像をCCDカメラ101で捉えてデータ演算機102で欠陥表示する、というものである。光透過型電子基板のみならず、非光透過型電子基板の欠陥検査にも利用できる。
【0008】
すなわち、非光透過型電子基板等の欠陥検査では、基板画像を液晶ディスプレイ等に写出した画像にレーザ光を照射して、基板画像をincoherent -coherent変換した画像の検査が、光透過型電子基板検査と同様に行われる。従って、フーリエ変換光差分法[特許文献2]は直接画像差分法に比べて非常に有用であった。
【0009】
しかし、従来のフーリエ変換光差分法[特許文献2]では、参照基板、被検査基板、または参照基板写出画像、被検査基板写出画像は、フーリエ変換レンズの前焦点面に設置されるという限定条件があった。
【0010】
しかし、基板または基板写出画像をその位置に限定すると、フーリエ変換レンズの口径と焦点距離の関係で、幅の広い検査基板の検査ができ難くなることが分かった。また、口径の大きなレンズの焦点距離は一般的に長くなるから、口径の大きなレンズを用いる検査光学系は光軸方向の寸法が非常に長くなって不都合が生じた。
【0011】
[従来技術での光差分器について]:
ところで、フーリエ変換光差分法[特許文献2]では、光差分や排他的論理和を行う光差分フィルタ(図3中の108)を含む光差分器や光相関器が必要である。一般的に、光差分や光相関の手法としての光学処理技術の中には市販の光相関器というものが一部使われてきた。しかし、電子基板等の欠陥の検出や画像の差異をフーリエ変換光差分や光相関で検査するために使われる装置は見当たらなかった。
【0012】
なお、従来の光差分器や光相関器と言われるものは、参照物体をCCDカメラで撮り込んでPCでフーリエ変換して得た基準のフーリエ変換像(光回折パターンという)、あるいは参照画像の光回折パターンを、液晶ディスプレイに表示して利用するものであった。具体的には、反射型の空間光変調器(PPM:Programmable Phase Modulator)などが光相関器や光差分器として使われてきた。
【0013】
しかし、この光相関器や光差分器と言われるものは、単に光差分の素材として使われているだけであって、光差分器や光相関器としての機能は備えていない。なぜなら、それは、光差分器を構成する光差分フィルタの上で基準(参照)画像と被検査画像の光回折パターン(フーリエ変換画像)を完全に一致させることはほとんど不可能であり、光差分器や光相関器として用いる場合の位置決めの方法や備えるべき機構が無く、光差分器の機能を備えていなかった。すなわち、厳密な意味での光差分器は存在しなかった。
【0014】
ところで、大視野で安定な光相関演算をさせ得る差分器や相関器として、参照物体の光回折パターンをCCDカメラで撮り込み、透明シート状フィルムにプリント印刷してセットする方法が試みられた。
【0015】
しかしながら、この方法も、撮影された参照画像の倍率の調整と設定位置の調整に非常な労力と多大の時間を要し、しかもそれが完全な光差分フィルタを構成するという保証はなく、光差分器としての機能を備えていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第4061289号
【特許文献2】特許第3934351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
[光学系について]:
従来のフーリエ変換像(光回折パターン)光差分法[特許文献2]では、検査基板や基板写出画像は、フーリエ変換レンズの前焦点面という限定された位置に設置されることが前提条件であった。
【0018】
しかしながら、基板または基板写出画像をレンズの前焦点面という位置に限定すると、基板からの画像情報を含む散乱光はレンズの口径に到達するまでに非常に広く拡がり、幅の広い検査基板では散乱光がレンズの口径からはみ出して、検査ができ難くなった。
【0019】
また、前焦点面という位置に限定すると、検査光学系の光軸方向の長さが非常に長くなり、検査機としての不都合が生じた。そのため、幅の広い被検査基板を口径が比較的大きくないレンズで検査することを可能とする方法や装置及び光軸方向の寸法を短くする方法や装置の開発が課題であった。
【0020】
さらに、従来の検査法での基準画像と被検査画像の位置合わせの問題は、PCを用いた画像のフーリエ変換差分法[特許文献1]や光回折パターン(フーリエ変換像)光差分法[特許文献2]では、画像の調整箇所、A:左右、B:前後、では解決されたが、画像の調整箇所、C:上下、R:回転角では位置合わせの問題は解決されていない。特に、COF等の被検査基板はロールされているから基板は平らでない場合が多く、被検査基板が上下にずれている場合が多く、平でない基板の迅速欠陥検査のできる方法の開発が必要であった。
【0021】
[光差分器について]:
一方、光学的差分または排他的論理和を実現する方法は、液晶ディスプレイや反射型の空間光変調器(PPM)を使った従来技術でも、基準画像のフーリエ変換像フィルタと被検査画像のフーリエ変換画像を一致させる必要があった。しかし、それを簡便に行う機能を備えた機器は何処にも見受けられず、また、基準画像のフーリエ変換像フィルタと被検査画像のフーリエ変換画像を一致させるという機能持った光学フィルタの具体的な提案も無いようであった。
【0022】
すなわち、光差分器は、空間光変調器(PPM)等で構成される光差分フィルタ上につくられる参照物体の基準光回折パターンの光遮断フィルタ等に、被検査物体の光回折パターンの基本骨格とサイズと出現位置とを完全に一致させて光差分等を行わせる機構を組み込むことが必要であった。しかし、そのようなものは従来技術には無かった。
【0023】
光差分器等についての発明が解決しようとする課題は、被検査物体の光回折パターンの基本形状とサイズと位置とが基準光回折パターンに自動的に一致する、という機能と構造を備えた光差分器を提供することにある。
【0024】
従って、発明が解決しようとする課題は、つぎのようである。
【0025】
(1)幅の広い被検査基板を口径が比較的大きくないレンズで検査することを可能とする方法や装置、及び光軸方向の寸法を短くする方法や装置の開発を行うこと。
【0026】
(2)被検査基板の上下のうねり、左右、前後の位置、及び回転に影響を受けない検査法や装置を提供すること。
【0027】
(3)参照物体の基準光回折パターンを光学系の中のその場で露光、現像して、それを遮光フィルタ、または、光相関フィルタとして光回折パターン出現位置に設置したままで、被検査物体の光回折パターンの光差分や排他的論理和を行うことのできる方法や光差分フィルタや光相関フィルタを備えた光差分器や光相関器を提供すること。
【0028】
(4)光差分器や光相関器を構成する光差分フィルタや光相関フィルタ上では、参照(基準)物体と被検査物体とのフーリエ変換画像位置を完全に一致させることを可能にする機構を備えて光差分や排他的論理和が行える、光差分器や光相関器を提供すること。
【0029】
である。すなわち、基板搬送装置や光学系を比較的簡便にしても検査精度が高く高速な欠陥検査ができる方法と装置を提供することであり、光差分や排他的論理和を行う光学系の中で上記(1)、(2)、(3)、(4)を提供することである。
【0030】
なお、(3)のその場現像法では、光差分フィルタや光相関フィルタを構成する材料によって光差分フィルタや光相関フィルタの現像法が異なるから、材料や素材に合わせた現像法を用いる必要がある。(4)では、光差分フィルタや光相関フィルタ(以後これらを光学フィルタとよぶ)作成でその場現像ができない場合に、参照物体の基準光回折パターンの基本骨格、サイズと出現位置とを、被検査物体の光回折パターンの基本骨格、サイズと出現位置とに完全に一致させるという機構の提供が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0031】
[光学系について]:
このため、本発明が採用した技術解決手段は、幅の広い被検査物体を口径が比較的大きくないレンズで検査することと、検査光学系の光軸方向の長さを短縮することに対しては、検査物体導入手段や検査物体写出手段をフーリエ変換レンズの前方(光源側)でレンズに近付けて設置し、可干渉性レーザ平行光をそれに照射し、光回折パターンの比較をフーリエ変換レンズの後焦点面で行うことである。
【0032】
被検査物体の上下のずれに無関係に自動検査をすることは、画像のフーリエ変換差分をフーリエ変換レンズの後焦点面で行うことにより解決される。画像の左右、前後のずれの自動補正は、レンズで画像をフーリエ変換することによってレンズの後焦点面で自動的に行われる。被検査物体の画像の回転を抑えることは、検査物体の傾きまたは回転を抑えるメカニカルな機構に検査物体を通すことによって、画像の傾き補正制御が行われて解決される。
【0033】
そして、技術解決手段の光学系を含めた方法および装置は図4に具体的に示すように、まとめるとつぎのようである。
【0034】
可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側(光源側)にレンズに近付けて検査物体導入手段または検査物体形状写出手段7を備える。被検査物体を直接、検査物体導入手段に入れて検査する場合には、その検査物体導入手段に基準物体を入れて、基準物体形状を射出し、フーリエ変換レンズ6の光軸中心の後焦点面に設置された光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタの作成材料の面上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタ8をつくる。
【0035】
解決手段は、検査物体導入手段7に被検査物体を入れてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、前記光学フィルタ8を通して、被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和をとり、前記光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で、光学的差分画像または光相関画像を得て、その被検査物体画像と基準物体画像の差異を電子カメラ1で撮影して、データ演算機2で差異画像の座標を明確にし、差異画像を欠陥として印を付けて、被検査物体の形状欠陥の検査を行う方法と装置である。
【0036】
なお、検査物体形状写出手段7に検査物体画像を写出して検査を行う場合には、基準物体画像を検査物体形状写出手段7に写出して前記と同様に光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタ8をつくり、被検査物体画像を検査物体形状写出手段7に写出して、前記と同様に被検査物体の画像の差異や形状欠陥の検査を行うことができる。
【0037】
また、解決手段は、可干渉性レーザ光源4、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6と、検査物体の回転を抑えるためのガイド溝を通して物体を搬送する検査物体の導入手段7または検査物体形状写出手段7とをそのフーリエ変換レンズ6の前方に備え、前記レンズ6の光軸中心の後焦点面または光軸中心の後焦点面付近に設置された形状識別手段としての光差分または排他的論理和を行う光学フィルタ8を含む光差分器や光相関器と、光学フィルタ8を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9と、逆フーリエ変換レンズからの画像を撮り込む電子カメラ1と、で構成される画像の差異や画像欠陥を検査する方法と装置を提供することである。
【0038】
また、解決手段はつぎのものを提供することである。すなわち、形状識別手段は、参照形状の光回折パターンを基準(参照)の形状識別パターンとして搭載した光学フィルタであることを特徴とする前記に記載の画像の差異や形状欠陥を検査する装置である。また、形状識別光学フィルタは前記の方法及び装置において設置される位置で、前記に記載の参照形状の光回折パターンを直接にその場で露光および現像して作成することを特徴とする、前記装置に記載の画像の差異や形状欠陥を検査する方法である。
【0039】
[光差分器を構成する光学系]
さらに、技術解決手段は、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側に設けられた検査物体導入手段7または検査物体形状写出手段7に物体を入れ、フーリエ変換レンズ6の後焦点面に光学的差分または排他的論理和を実現する光学フィルタ8を設置して、その光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で画像の差異や画像欠陥を検出する光学系を光差分器や光相関器とする一体型の光学系を、提供することである。
【0040】
この一体型の光学系は、具体的には、図5、図6、図7、または図8にそれぞれ分類されるような構造を持つものである。それぞれの光学系は、レーザ4、平行光路系5、を通して照射される可干渉性レーザ平行光束中に、フーリエ変換レンズ6を設置し、フーリエ変換レンズ6の前側に検査物体導入手段7または検査物体写出手段7を設けて、7から謝出される物体画像のフーリエ変換像をレンズ6の後焦点面に設置された光学フィルタ8上に投射し、基準物体では光学フィルタ8をつくり、被検査物体では光学フィルタ8を使って画像差分または排他的論理和を行って、光学フィルタ8を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で画像の差異または画像欠陥の検出を行うように、一体化されている。
【0041】
図5は光透過型物体を光透過型光学フィルタ8で検査する場合に使われる光学系、図6は光透過型物体を非光透過型光学フィルタ8で検査する場合に使われる光学系、図7は非光透過型物体を光透過型光学フィルタ8で検査する場合に使われる光学系、そして、図8は非光透過型物体を非光透過型光学フィルタ8で検査する場合に使われる光学系、を示している。
【0042】
これらの一体型光学系が、光学的差分または排他的論理和を実現する光差分フィルタや光相関フィルタを含んで光差分器や光相関器を構成する。解決手段は、基準画像と被検査画像の光学的差分または排他的論理和を実現する光差分フィルタや光相関フィルタを含んで光差分器や光相関器を構成する一体型光学系を提供することがその一つである。
【0043】
[光差分または排他的論理和を実現する光学フィルタについて]
また、技術解決手段は、光差分器や光相関器を構成する方法や装置を提供することである。なお、解決手段として提供される光差分器または光相関器は、光差分や排他的論理和を実現する光学フィルタを構成する材料によって、その方法と装置構成が分類されるが、分類されたそれらはつぎのようである。
【0044】
(A) その場現像法:
解決手段は、基準(参照)画像の光回折パターンをその場現像して光学フィルタを作成し光差分器または光相関器とする方法および装置である。それは例えば図9、あるいは図10に示すように、例えば熱現像用写真フィルムをフィルタケース20に入れて、検査画像のフーリエ変換レンズ6の後焦点面上の光軸を中心として設置して、基準(参照)画像の光回折パターンを露光し、その場で熱現像して、光軸を中心とした光回折パターンの遮光や光相関を得る光学フィルタをつくる、その方法およびその装置、を提供することである。フーリエ変換レンズの後焦点面には光学フィルタ材料として(a)熱現像型写真フィルム、(b)フォトクロミック材、または、(c)光電感光材料乾板、の光学フィルタ材料を設置したまま、参照光回折パターンを光学フィルタ材料に露光し、その場で現像または画像転写して光学フィルタをつくる方法である。
【0045】
(B) 現像後元の位置に厳密に戻して行う方法:
解決手段は、基準画像の光回折パターンを光学フィルタ設定位置で(d)溶液現像用写真フィルムや(a)熱現像型写真フィルムまたは乾板、に露光し、取外して現像・定着して、それを厳密に露光時の元の位置に戻して光学フィルタとする方法およびその装置である。それは例えば、基板画像のフーリエ変換レンズの後焦点面上、光軸を中心として、熱現像用写真フィルムや写真乾板を置いて、基準画像の光回折パターンを露光し、その露光したフィルムまたは乾板を取り出して現像定着した後、元に戻す時、厳密に元の位置に戻すことができる機構を備えて作成された光学フィルタ、あるいは光差分器または光相関器を提供することである。
【0046】
(C) サイズおよび位置を共に合わせて行う方法:
解決手段は、回転角も完全に合わせて光学フィルタを作成して光差分器や光相関器とする方法である。フーリエ変換レンズの後焦点面に設置した(e)液晶ディスプレイ、(f)DMD(Digital Mirror Device)、または(g)LCOS(Liquid Crystal on Silicon)の画像表示器に基準画像の光回折パターンを投影しておき、基準画像の光回折パターンを液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器の表面に照射する。
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器の表面に投射された基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSに映し出されたフーリエ変換像の中心の零次光が合致するように液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を動かし、サイズや回転を合わせて、二つの光回折パターンの差分が零になるように調整して、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を固定する。この位置調整およびサイズ調整された映像画像を含む液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSを光差分器や光相関器とする方法である。
【0047】
上記において、光学フィルタ作成材料は、例えば、上記(A)では、熱現像型写真フィルム、フォトクロミック材、または光電感光材料乾板であり、(B)では、現像液を用いる通常の写真乾板またはフィルムや熱現像型写真フィルムであり、(C)では、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSであり、それらが用いられて、光差分フィルタや光相関フィルタが作成され、それを備えた光差分器や光相関器が構成される。
【0048】
[光差分フィルタの素材と光差分器の構造]
技術解決手段は、光差分フィルタを構成する素材を吟味し、調整することによって行われ、つぎのようなものである。
【0049】
光差分フィルタを構成する素材は前述したようにつぎのようなものがある。すなわち、(a)熱現像型写真フィルム、(b)フォトクロミック材、(c)光電感光材料乾板や(d)通常の写真乾板やフィルム、または(e)液晶ディスプレイ、(f)DMD(Digital Mirror Device)、または、(g)LCOS(Liquid Crystal on Silicon)である。それらの光フィルタ材が保持枠に組込まれて光差分器や光相関器が構成される。基準の光回折パターンを、(A)その場現像、または、(B)その場露光後、外して現像後露光位置に正確に戻すこと、または、(C)液晶ディスプレイ等の光差分フィルタ上で表示される擬似基準光回折パターンを実際の基準光回折パターンに画像中心を合わせると共にサイズも回転角も完全に合わせることによって光差分フィルタまたは光相関器がつくられる。
【0050】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSを除いた材料でつくられる光差分器や光相関器の構成はつぎのようになっている。光差分フィルタや光相関フィルタは、光フィルタの保持機構、光フィルタ保持機構を光フィルタ作成位置に設置する機構、光感光材料の露光前の感光を防ぐ機構、及び露光シャッタ、必要によっては、フィルタ露光後外乱光からの感光を防ぐ機構、光フィルタを取出す機構、及び露光時の元の位置に完全に返す機構から構成される。
【0051】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSでつくられる光差分器や光相関器は、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの保持機構、ディスプレイへの画像投影と、投影画像のサイズや回転、濃淡の加工を可能とするPCを備え、基準画像の光回折パターンの差分や光相関が完全に行われることを確認しつつ投射画像を調整する機能を有する。
【0052】
(A)その場現像法:
これは、基準(参照)画像の光回折パターンを、例えば熱現像写真フィルムに露光し、その場で熱現像する方法に対応する。すなわち、光差分フィルタは、熱現像型の写真フィルムや写真乾板、フォトクロミック材、または光電感光材料乾板に露光し、その場で現像、または作像して、基準(参照)画像の照射光回折パターンをその場でつくって光遮断等の光学フィルタとする方法である。
【0053】
(A-a)熱現像写真フィルムのその場現像法および装置
(A-a-1) ラバー式熱現像法および装置
光差分フィルタのラバー式熱現像法および装置の概要を図9に示す。ラバーヒータ熱現像装置は、フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、熱風現像用ラバーヒータ31が露光されたフィルムの直近上方と下方からフィルムホルダ(20)に近づき、プログラムされた適正温度のラバーでフィルムを適正時間だけ押え、現像を終える。上下のラバーは上下に離れた後、元の位置に戻る。これによって、光学フィルタが作成され、光学フィルタを収めた一連の機構は光差分器や光相関器を構成する。
【0054】
なお、17、18は、ラバーヒータをフィルムホルダに(20)に近づけフィルムに密着させ、熱現像後フィルムから離れる仕事をこなすロボットである。21は外乱光を遮蔽するための筺体であり、12は適正露光時間を決めるシャッタである。
【0055】
(A-a-2)熱風現像法および装置
光学フィルタの熱風現像法および装置の概要を図10に示す。熱現像型写真フィルムや乾板をフィルムまたは乾板の収納ケースにセットしたまま光差分器や光相関器のフィルタケース(20)に入れてセットする。
【0056】
検査装置は光学フィルタを作成するために外光が光差分器や光相関に入らないような遮光構造の筺体21になっている。光学フィルタ作成には、先ず、筺体21にセットされたフィルム収納ケース(20)の上下の蓋を開けて露光準備をする。
【0057】
フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、熱風現像機の送風口30が露光されたフィルムの直近上方に近づき、熱風発生装置29からバルブケース28を通った熱風をプログラムされた適正温度で適正時間だけ送り、現像を終える。熱風は止められ、送風口30は元の位置に戻る。
【0058】
これによって、光学フィルタが作成され、光学フィルタを収めた一連の機構は光差分器または光相関器を構成する。
【0059】
(A-b)フォトクロミック材のその場現像法および装置
被検査物体導入手段または被検査物体形状写出手段に照射するレーザ光源を、通常の検査に用いる赤色レーザ光と同軸にしてフォトクロミック材を光遮断材にするに適する紫外レーザ光またはブルーレーザ光を照射して、紫外レーザ光またはブルーレーザ光の基準光回折パターンの光学フィルタをつくる。このフォトクロミック材光学フィルタは赤色レーザ光照射で消えないで、赤色レーザ光を遮光する。これを光学フィルタとする。
【0060】
(A-c)光電感光材料乾板のその場現像または作像法および装置
透明ガラス板上に透明導電膜を有する乾板上に光増感層と光導電プラスチック層を塗布した、光導電プラスチック乾板をマイナス帯電させ、基準光回折パターンを照射すると、光照度の高い部分は電荷が抜ける。前記乾板にマイナス帯電したトナーをかけて現像すれば、光回折パターンのみが光遮断フィルタを形成する。解決手段はこの光学フィルタ作製法および装置である。
【0061】
(B)その場露光後、外して現像後露光位置に正確に戻す方法:
フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、露光されたフィルムをその場現像できない場合には、現像のために露光されたフィルムを一度取り出して、現像及び定着した後、フーリエ変換像フィルムを元の位置に正確に戻す必要がある。
そのための光学フィルタを含む光差分器または光相関器の構造はつぎの要件を満たす構造になっている。
【0062】
光学フィルタのフィルム固定枠は、光差分器または光相関器に着脱可能で元の位置に完全に戻せるように、光差分器または光相関器のフィルタ固定枠の矩形の奥と両側面側に、光学フィルタのフィルム固定枠が完全に収まり、光差分器または光相関器のフィルタ固定枠の手前側だけが開いて、光学フィルタのフィルム固定枠を出し入れできる構造にしてある。光学フィルタのフィルム固定枠は、フィルムを外すことなく現像液や定着液に浸しても、枠素材の変形や腐食のないステンレスや硬質プラスチック素材で構成され、露光後外光が入らないような蓋が付いている。
【0063】
すなわち、解決手段は、基準画像の光回折パターンを光学フィルタ設定位置で写真フィルムや乾板に露光し、取り外して現像し定着して、それを厳密に元の位置に戻して光学フィルタとする方法およびその装置である。
【0064】
例えば、基板画像のフーリエ変換レンズの後ろ焦点面上光軸を中心として、熱現像用写真フィルムや写真乾板等を置いて、基準画像の光回折パターンを露光し、その露光したフィルムまたは乾板を取り出して現像定着した後、元に戻す時、厳密に元の位置に戻すことができる機構を備えて作成された光差分器または光相関器である。解決手段はこの光学フィルタ作製法および装置を提供することである。
【0065】
(C)液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの光差分器または光相関器上で表示される擬似基準光回折パターンを実際の基準光回折パターンに画像中心を合わせると共にサイズも回転角も完全に合わせる方法:
検査装置の検査照射光の光軸の中心である、基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、光学フィルタ上に映し出された基準画像の光回折パターンの画像中心を厳密に合わせると共に、サイズも回転角も基準画像の光回折パターンに完全に合わせて光学フィルタを作成して光差分器または光相関器とする方法および装置である。
【0066】
例えば、検査画像フーリエ変換レンズの後ろ焦点面での基準画像の光回折パターンをCCDカメラ等で撮影して、その画像を検査画像フーリエ変換レンズの後ろ焦点面に設置された透過型液晶ディスプレイ等の上に投影して、位置とサイズ、回転角を基準画像の光回折パターンに完全に合わせて、全ての画像が完全に光遮断されることを確認して光差分フィルタを作成するように、光学フィルタを作成する方法および装置である。
【0067】
技術解決手段は、図5、または、図7の光学系において、フーリエ変換レンズ6の後焦点面に光学フィルタ材料である熱現像型写真フィルムを光学フィルタ設置枠8に挿入したまま、基準の光回折パターンを光学フィルタ材料に露光し、その場で現像または画像転写して光学フィルタ8をつくる方法である。
【0068】
また、解決手段は、フーリエ変換レンズ6の後焦点面に光学フィルタ設置枠8を設け、その枠内に光学フィルタ材料である写真フィルムを挿入して、基準の光回折パターンを光学フィルタ材料に露光し、取外して現像・定着して、それを厳密に元の位置に戻して光学フィルタをつくる方法である。
【0069】
なお、光学フィルタ設置枠8は光学フィルタ材料を抜き差ししても、フィルタが厳密に元の位置に収まる構造に設計されている。
【0070】
さらに、解決手段は、図6、または図8の光学系において、フーリエ変換レンズ6の後焦点面に設置された液晶ディスプレイ、DMD(Digital Mirror Device)、またはLCOS(Liquid Crystal on Silicon)の画像表示器8に基準画像の光回折パターンを投影しておき、基準画像の光回折パターンを液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器8の表面に照射する。
【0071】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器8の表面に投射された基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSに映し出されたフーリエ変換像の中心の零次光が完全に合致するように液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を動かし、サイズや回転を合わせて、二つの光回折パターンの差分が零になるように調整して、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を固定する。この位置調整及びサイズ調整された映像画像を含む液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSを光差分器または光相関器8とする方法である。
【発明の効果】
【0072】
本発明は、光透過型電子基板であるCOF(Chip on Film)やTAB(Tape Automated Bonding)の欠陥検査に適用された。その結果、COF基板の4条3列(サイズ:1条35mm×1列35mm基板の)テープが160mm×110mm視野で同時並列に検査されて、効果的な検査結果が得られた。
【0073】
なお、それらの効果の一例を図11に示した。実際の電子基板検査の結果、フーリエ変換レンズの前側に置いた基準基板(図11の(a)または(e))はレンズの後焦点面でフーリエ変換像(図11の(b)または(g))を構成し、そのフーリエ変換像で作成された光学フィルタで被検査基板を検査した結果、欠陥画像(図11の(c)、または、(m1)〜(m3))が明確に検出され、発明の効果が明らかになった。
【0074】
なお、検査結果を明確に示すために、欠陥部分がPCによるデジタル画像処理によって色つきの丸(図11の(c))等で囲まれる。
【0075】
発明の効果は、図12に図11の結果を拡大して例を示すように、COFテープの欠陥が明確に高速で検査された。そして、4条3列160mm×110mm COF基板を2μm程度の高分解能で検査速度50mm/s以上で検査を可能とすることが明らかとなった。また、TABテープも同様に高分解能高速で検査され、従来法を用いた検査法では実現できないコスト効率を実現できた。
【0076】
さらに、従来の検査法では、検査速度がCOFやTAB等の電子基板の製造ラインの要求タクトタイム50mm/sに合わず、オンライン検査ができなかったが、本発明によってそれが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】従来システムの一例構成説明図:直接画像差分法の例
【図2】位置合わせに必要な調整箇所説明図
【図3】従来の光差分法
【図4】従来の光差分法と新光差分法の比較、検査機の構成図:検査物体あるいは検査物体写出手段の設置位置を示す図
【図5】光透過型物体照射系と光透過型光学フィルタを含む検査光学系
【図6】非光透過型物体照射系と光透過型光学フィルタを含む検査光学系
【図7】光透過型物体照射系と非光透過型光学フィルタを含む検査光学系
【図8】非光透過型物体照射系と非光透過型光学フィルタを含む検査光学系
【図9】ラバー式熱現像法および装置を用いた検査機
【図10】熱風式熱現像法および装置を用いた検査機
【図11】発明の実施例、発明の効果を説明する図
【図12】発明の実施例[図11]の説明、発明の効果を示すための拡大図
【実施例】
【0078】
本発明では、被検査基板等の回転を抑えるために、検査基板等をガイド溝を通して搬送して、回転ずれの影響を排除する方法が提案された。実際の基板抑えガイドの長さは600mm程度で基板の横方向のずれは1mm以下であり、基板の回転誤差は0.096°以下になり、回転ずれの影響はなかった。
【0079】
また、幅の広い被検査基板を口径が比較的大きくないレンズで検査することを可能とすることに対しては、被検査基板等をフーリエ変換レンズの前方でフーリエ変換レンズ側に近付けて設置することにより解決された。また、検査装置の光軸寸法が著しく短縮された。
【0080】
さらに、画像の上下ずれに影響されずに検査を可能とすることに対しては、被検査基板等をフーリエ変換レンズの前方に設置して、可干渉性レーザ平行光を基板等に当て、レンズの後焦点面で光回折パターンを光学フィルタ上に投影する方法で解決された。
【0081】
すなわち、(1);幅寸法が大きく、配線の線/スペースが微細な被検査基板等の細密で高速な検査を可能にし、かつ、(2);画像の調整箇所、A:左右、B:前後、C:上下、R:回転角で、基準画像との位置合わせを自動化して、正確、かつ高速に検査を可能にするために、本発明が採用した技術解決手段は、つぎのようであった。
【0082】
可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズの前側(レンズに近い位置)に基準物体あるいは基準物体画像を回転抑止のためのガードレール内に置いて、レンズの光軸中心の後焦点面に設置した光差分フィルタまたは光相関フィルタの作成材料の上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、遮光または光相関の光学フィルタをつくる。
【0083】
そして、基準物体あるいは基準物体画像を置いた位置に被検査物体あるいは被検査物体画像を置いてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、その光差分または光相関の光学フィルタを通して、光学フィルタの位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズで、差分画像または光相関画像を得る。
【0084】
それを、電子カメラで撮影すれば、被検査物体と基準物体の画像の差異が欠陥などとして撮影される。本発明では、このような被検査物体の形状欠陥検査を行う方法や装置を解決手段として提案した。
【0085】
すなわち、上記(1)に対しては;幅寸法の大きな被検査物体の検査の解決には、フーリエ変換レンズの前面でレンズに近い面に被検査物体を設置するという、新提案のフーリエ変換光差分または光相関の方法で解決でき、上記(2)に対しては;R:回転抑止には、回転抑止のためのガードレール内に基準物体や被検査物体を置いて解決し、A:左右、B:前後、C:上下、の自動位置合わせの問題に対しては、フーリエ変換レンズの前焦点面以外の位置に検査物体を置くという新提案のフーリエ変換光差分法で解決できることを明らかにした。
【0086】
これらの主なものを更に詳細に説明すると以下のようである。
[光学系について]:
口径がそれほど大きくないレンズで、幅の広い物体の検査を可能とするための解決策と光軸方向の寸法の短縮の方策としては、図4に示すように、検査物体導入手段や検査物体写出手段をフーリエ変換レンズの前方でレンズに近付けて設置し、そこに入れた検査物体あるいは検査物体写出画像に可干渉性レーザ平行光を照射し、光回折パターンを撮る方法が試みられた。
【0087】
その結果、検査物体や検査物体画像の設置位置をフーリエ変換レンズの前方の何処に取ろうとも、フーリエ変換レンズの後焦点面では、同一形状及び同一サイズのフーリエ変換像が全く同一地点に現れることが分かり、その現象が検査に利用された。また、被検査物体が左右または前後または上下にずれてもそれらの光回折パターンはフーリエ変換レンズの後焦点面で常に基準光回折パターンと一致することが分かり、その現象が検査に利用された。図4に検査法の原理図を示した。
【0088】
提案技術を従来技術と比較すると、図3に示す従来法では、物体や物体画像の設置位置;フーリエ変換レンズ106の前焦点位置、解決手段では、物体や物体画像の設置位置;フーリエ変換レンズ6の前側(フーリエ変換レンズ6の前焦点位置を除いた前側)、という違いがある。
【0089】
図4には、被検査物体が基準物体と、左右または前後または上下にずれても、基本骨格画像のフーリエ変換画像はフーリエ変換レンズ6の後焦点面で常に基準光回折パターンと一致することが光路図で示されている。
【0090】
図4のフーリエ変換レンズ6の前焦点面から破線で描かれている光路図は、光回折パターン差分法[特許文献2]に言われる、フーリエ変換レンズの前焦点面に検査物体を置いた場合に相当する。
【0091】
また、この破線光路図と光軸中心の実線の光路図が後焦点面で一致することは、検査物体が上下にずれても、光回折パターンは常にレンズの後焦点面で基準画像の光回折パターンの出現位置に同じ光回折パターンが一致して現れることを示している。
【0092】
また、レンズ6に近い位置での検査物体導入手段や検査物体写出手段上の物体あるいは物体画像からの同じ角度で拡がる散乱光が左右にずれた位置から出ても、その光路図はレンズ6の後焦点面で全く同じ位置を通ることになり、物体位置が左右、または前後にずれても後焦点面では光回折パターンは常に一致することを示している。
【0093】
したがって、物体位置がフーリエ変換レンズ6のレンズに近い前側にあって、物体が前後、左右、または上下に動いても、同じ物体からの光回折パターンは、レンズ6の後焦点面で常に一致することを示している。
【0094】
なお、これらの光路図が正しいことは、検査物体を通り抜けた照射レーザ平行光がフーリエ変換レンズ6の後焦点面で焦点を結び、これがフーリエ変換像すなわち光回折パターンの零次光となること、凸レンズに入る平行光は常にレンズの後焦点を通ること、と併せて考えると、この光路図は理論的に矛盾がない。また、実験的にもこれらのことの正しさが確かめられた。
【0095】
従って、本発明が提案する解決手段は、フーリエ変換レンズの前焦点面よりもレンズに近い任意位置に被検査物体を置くと、その光回折パターンは図4に示すように、前焦点面に被検査物体を置いたときと全く同じフーリエ変換像が、フーリエ変換レンズの後焦点面に現れる。
【0096】
従って、幅の広い被検査物体の検査も口径の大きくないレンズで検査でき、光軸方向の寸法の短縮もできて、課題を解決することができることが明らかとなった。また、同サイズで同形状の物体がフーリエ変換レンズの前側で上下または左右または前後に移動しても、それらのフーリエ変換像はレンズの後焦点面に全く同じ形状とサイズのフーリエ変換像が同じ位置に形成されることが明らかになり、課題を解決することができた。
【0097】
この方法はいかにも簡単に見えて誰にでも発想できそうであるが、かなり難しい問題であった。実験的検証と理論的な検討が必要であったが、図4に示すフーリエ変換像構成光路図は従来の文献には見当たらなかった。また、実験的にもフーリエ変換像構成光路図が正しいことが認められた。
【0098】
なお、フーリエ変換レンズの前焦点面よりも遠い任意位置に検査物体導入手段や検査物体写出手段を置いても、本発明の検査効果は有効に働くことは実証されている。
【0099】
[光学フィルタ、光差分器や光相関器について]:
課題を解決するために、従来法の欠点を解消して、正しく欠陥等を検出する光差分器や光相関器の作成方法は、以下のようである。
【0100】
光差分器や光相関器の構成法は、材料によって分類される。また、光差分や光相関は特定の光学系の構成の中で行われるから、検査物体導入手段あるいは検査物体形状写出手段の設置位置、フーリエ変換レンズ設置位置、光差分や光相関の光学フィルタの設定位置を含めて、これらの光学系が一体になったものが光差分器や光相関器を構成するものと考えることができる。
【0101】
従って、課題を解決するための手段としては、前述の検査物体導入手段から光差分フィルタや光相関フィルタまでを含めた光学系を一体として、光差分器や光相関器として取り扱うことで解決された。
【0102】
[光差分器や光相関器を構成する光学系の例]
画像欠陥検査のために、検査物体導入手段あるいは検査物体形状写出手段に物体を入れ、光学的差分または排他的論理和を実現する光学フィルタを設置して、一体となって光差分器や光相関器を構成する光学系の概略を図5〜図8に示した。
【0103】
図5には、検査物体導入手段に光透過型物体を入れ、光学的差分または排他的論理和を光透過型光学フィルタで実現する場合の、光差分器や光相関器の光学系の概略を示した。
【0104】
すなわち、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側に物体導入手段7を設けて、その物体導入手段7に基準物体を入れて基準物体形状を射出し、
【0105】
フーリエ変換レンズ6の光軸中心の後焦点面に設置した光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタ8の作成材料の面上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタ8をつくり、
【0106】
物体導入手段7に被検査物体を入れてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、その光学フィルタを通して、被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和をとり、
【0107】
前記光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で、光学的差分画像または光相関画像を得て、その被検査物体画像と基準物体画像の差異を電子カメラ1で撮影して、
【0108】
被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う方法または装置について示したものである。
【0109】
図6には、検査物体導入手段に光透過型物体を入れ、光学的差分または排他的論理和を非光透過型光学フィルタで実現する場合の光差分器や光相関器の光学系の概略を示した。
【0110】
すなわち、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側に検査物体導入手段7を設けて、その検査物体導入手段7に基準物体画像を入れて基準物体形状を射出し、
【0111】
フーリエ変換レンズ6の光軸中心の後焦点面に設置した光学的に差分または排他的論理和をとる非光透過型の光学フィルタ8の写出画面上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタ8をつくり、
【0112】
前記光学フィルタ8に検査物体導入手段7に基準物体画像を入れて基準物体形状を射出して、基準画像の漏れのないことを確かめてから、
【0113】
検査物体導入手段7に被検査物体を入れてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、その非光透過型光学フィルタを通して、被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和をとり、
【0114】
前記光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で、光学的差分画像または光相関画像を得て、その被検査物体画像と基準物体画像の差異を電子カメラ1で撮影して、
【0115】
被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う方法または装置について示したものである。
【0116】
図7には、検査物体形状写出手段に非光透過型物体の画像を入れ、光学的差分または排他的論理和を光透過型光学フィルタで実現する場合の、光差分器や光相関器の光学系の概略を示した。
【0117】
すなわち、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側に検査物体形状写出手段7を設けて、その物体形状写出手段7に基準物体画像を写出して基準物体形状を射出し、
【0118】
フーリエ変換レンズ6の光軸中心の後焦点面に設置した光学的に差分または排他的論理和をとる光透過型光学フィルタ8の作成材料面上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、光学的に差分または排他的論理和をとる光透過型光学フィルタ8をつくり、
物体形状写出手段7に被検査物体を入れてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、その光学フィルタを通して被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和をとり、
【0119】
前記光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で、光学的差分画像または光相関画像を得て、その被検査物体画像と基準物体画像の差異を電子カメラ1で撮影して、
【0120】
被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う方法または装置である。
【0121】
図8には、検査物体形状写出手段に非光透過型物体画像を入れ、光学的差分または排他的論理和を非光透過型光学フィルタで実現する場合の、光差分器や光相関器の光学系の概略を示した。
【0122】
すなわち、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側に検査物体形状写出手段7を設けて、その検査物体形状写出手段7に基準物体画像を入れて基準物体形状を射出し、
【0123】
フーリエ変換レンズ6の光軸中心の後焦点面に設置した光学的に差分または排他的論理和をとる非光透過型の光学フィルタ8の作成材料の上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、光学的に差分または排他的論理和をとる非光透過型光学フィルタ8をつくり、
【0124】
前記光学フィルタ8に検査物体導入手段7に基準物体画像を入れて基準物体形状を射出して、基準画像の漏れのないことを確かめてから、
【0125】
検査物体形状写出手段7に被検査物体形状を入れてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、その非光透過型光学フィルタを通して、被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和をとり、
【0126】
前記光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で、光学的差分画像または光相関画像を得て、その被検査物体画像と基準物体画像の差異を電子カメラ1で撮影して、
【0127】
被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う方法または装置について示したものである。
【0128】
これらの光学系が、光学的差分または排他的論理和を実現する光学フィルタを含んで光差分器や光相関器を構成する。解決手段はこの方法と装置に関するものもその一つである。
【0129】
[光学フィルタについて]
また、光差分器や光相関器は光学フィルタを構成する材料によって、その方法と装置構成が分類される。
【0130】
(a)フーリエ変換レンズの後焦点面に熱現像型写真フィルム、またはフォトクロミック材、または光電感光材料乾板の光差分フィルタ材料を設置したまま、基準光回折パターンを光学フィルタ材料に露光し、その場で現像または画像転写してつくる方法
【0131】
(b)フーリエ変換レンズの後焦点面に写真フィルムや熱現像型写真フィルムの光学フィルタ材料を設置して、基準光回折パターンを光学フィルタ材料に露光し、取外して現像及び定着して、それを厳密に元の位置に戻して光差分器や光相関器をつくる方法
【0132】
(c)回転角も完全に合わせて光学フィルタを作成して光差分器や光相関器とする方法
【0133】
フーリエ変換レンズの後焦点面に設置した液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器に基準画像の光回折パターンを投影しておき、基準画像の光回折パターンを液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器の表面に照射する。
【0134】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器の表面に投射された基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSに映し出されたフーリエ変換像の中心の零次光が合うように液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を動かし、サイズや回転を合わせて、二つの光回折パターンの差分が零になるように調整して、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を固定する。
【0135】
この位置調整及びサイズ調整された映像画像を含む液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSが光差分器や光相関器を構成する。
【0136】
上記において、光学フィルタ作成材料は例えば、上記(a)では、熱現像型写真フィルム、フォトクロミック材、または光電感光材料乾板、(b)では、現像液を用いる通常の写真乾板やフィルム、または熱現像型写真フィルム、(c)では、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSが用いられて、光学フィルタが作成され、それを備えた光差分器や光相関器が構成される。すなわち、まとめると以下のようになる。
【0137】
[光学フィルタ作成法の分類]
光学フィルタと光差分器や光相関器の作成法を分類すると、以下の(1)〜(3)となる。
【0138】
(1)その場現像法:
基準(参照)画像の光回折パターンをその場現像して光学フィルタを作成し光差分器や光相関器とする方法および装置であり、それは例えば図9、あるいは図10に示すように、熱現像用写真フィルムをフィルタケース20に入れて、検査画像のフーリエ変換レンズ6の後焦点面上光軸を中心として設置し、基準(参照)画像の光回折パターンを露光し、その場で熱現像して、光軸を中心とした光回折パターンの遮光または光相関のフィルタをつくり、それを光学フィルタとするような方法およびその装置である。
【0139】
(2)元の位置に厳密に戻して行う方法:
基準画像の光回折パターンを光学フィルタ設定位置で写真フィルムや熱現像型写真フィルム、に露光し、取外して現像及び定着して、それを厳密に元の位置に戻して光学フィルタとする方法およびその装置であり、それは例えば、基板画像のフーリエ変換レンズの後焦点面上、光軸を中心として、熱現像用写真フィルムや写真乾板を置いて、基準画像の光回折パターンを露光し、その露光したフィルムまたは乾板を取り出して現像定着した後、元に戻す時、厳密に元の位置に戻すことができる機構を備えて作成された光学フィルタあるいは光差分器または光相関器である。
【0140】
(3)サイズと位置を共に合わせて行う方法:
検査装置の検査照射光の光軸の中心である、基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、光学フィルタである基準画像の光回折パターンの画像中心を合わせると共に、基準画像の光回折パターンにサイズも回転角も完全に合わせて光学フィルタを作成して光差分器または光相関器とする方法および装置であり、それは例えば、検査画像フーリエ変換レンズの後焦点面での基準画像の光回折パターンをCCDカメラで撮影して、その画像を検査画像フーリエ変換レンズの後焦点面に置かれた液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの上に投影して、位置とサイズ、回転角を基準画像の光回折パターンに完全に合わせて、全ての画像が完全に光遮断されることを確認して光学フィルタを作成した光差分器や光相関器の作成法および装置である。
【0141】
[光学フィルタの素材と光差分器や光相関器の構造]
光学フィルタを構成する素材は前述したようにつぎのようなものがある。すなわち、(1)熱現像型写真フィルムや(2)通常の写真乾板やフィルム、(3)フォトクロミック材、(4)光電感光材料乾板、(5)液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSである。
それらの光学フィルタ材が保持枠に組込まれて光差分器や光相関器が構成される。基準の光回折パターンを、(1)その場現像、または、(2)その場露光後、外して現像後露光位置に正確に戻すこと、または、(3)液晶ディスプレイ等の光学フィルタ上で表示される擬似基準光回折パターンを実際の基準光回折パターンに画像中心を合わせると共にサイズも回転角も完全に合わせること、によって光学フィルタまたは光差分器や光相関器がつくられる。
【0142】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSを除いた材料でつくられる光差分器や光相関器の構成はつぎのようになっている。
【0143】
光差分フィルタや光相関フィルタである光学フィルタは、光学フィルタの保持機構、光学フィルタ保持機構を光学フィルタ作成位置に設置する機構、光感光材料の露光前の感光を防ぐ機構、および露光シャッタ、必要によっては、光学フィルタ露光後外乱光からの感光を防ぐ機構、光学フィルタを取出す機構、および露光時の元の位置に完全に返す機構、から構成される。
【0144】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSでつくられる光差分器や光相関器は、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの保持機構、ディスプレイへの画像投影と、投影画像のサイズや回転、濃淡の加工を可能とするPCを備え、基準画像の光回折パターンの差分や光相関が完全に行われることを確認しつつ投射画像を調整する機能を有する。
【0145】
(1)その場現像法:
これは、基準(参照)画像の光回折パターンを、例えば熱現像写真フィルムに露光し、その場で熱現像する方法に対応する。すなわち、光学フィルタは、熱現像型の写真フィルムや写真乾板、フォトクロミック材、または光電感光材料乾板に露光し、その場で現像、または作像して、基準(参照)画像の照射光回折パターンをその場でつくって光遮断または光相関の光学フィルタとする方法である。
【0146】
(A)熱現像写真フィルムのその場現像法および装置
(a) ラバー式熱現像法および装置
光学フィルタのラバー式熱現像法および装置の概要を図9に示す。ラバーヒータ熱現像装置は、フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、熱風現像用ラバーヒータ31が露光されたフィルムの直近上方と下方からフィルタケース20に近づき、プログラムされた適正温度のラバーでフィルムを適正時間だけ押え、現像を終える。上下のラバーは上下に離れた後、元の位置に戻る。これによって、光学フィルタが作成され、光学フィルタを収めた一連の機構は光差分器や光相関器を構成する。
【0147】
(b)熱風現像法および装置
光学フィルタの熱風現像法および装置の概要を図10に示す。
熱現像型写真フィルムをフィルム収納ケースにセットしたまま光差分器や光相関器のフィルタケース20入れにセットする。検査装置は光学フィルタを作成するために外光が光差分器や光相関器に入らないような構造21になっている。光学フィルタ作成には、先ず、光差分器や光相関器にセットされたフィルム収納ケースの上下の蓋を開けて露光準備をする。
フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、熱風現像機の送風口30が露光されたフィルムの直近上方に近づき、熱風発生装置29から熱風をプログラムされた適正温度で適正時間だけ送り、現像を終える。熱風は止められ、送風口30は元の位置に戻る。これによって、光学フィルタが作成され、光学フィルタを収めた一連の機構は光差分器や光相関器を構成する。
【0148】
(B)フォトクロミック材のその場現像法および装置
被検査物体導入手段あるいは被検査物体形状写出手段に照射するレーザ光源を、通常の検査に用いる赤色レーザ光と同軸にしてフォトクロミック材を光遮断材にするに適する紫外レーザ光かブルーレーザ光を照射して、紫外レーザ光かブルーレーザ光の基準光回折パターンの遮光フィルタをつくる。このフォトクロミック材遮光フィルタは赤色レーザ光照射で消えないで、赤色レーザ光を遮光する。
【0149】
(C)光電感光材料乾板のその場現像または作像法および装置
透明ガラス板上に透明導電膜を有する乾板上に光増感層と光導電プラスチック層を塗布した、光導電プラスチック乾板をマイナス帯電させ、基準光回折パターンを照射すると、光照度の高い部分は電荷が抜ける。その乾板上にマイナス帯電したトナーをかけて現像すれば、光回折パターンのみが光遮断フィルタを形成する。
【0150】
(2)その場露光後、外して現像後露光位置に正確に戻す方法:
フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、露光されたフィルムをその場現像できない場合には、現像のために露光されたフィルムを一度取り出して、現像・定着した後、フーリエ変換像フィルムを元の位置に正確に戻す必要がある。そのための光学フィルタを含む光差分器や光相関器の構造は、つぎの要件を満たす構造になっている。
【0151】
光学フィルタのフィルム固定枠は、光差分器や光相関器に着脱可能で元の位置に完全に戻せるように、光差分器や光相関器のフィルタ固定枠の矩形の奥と両側面側に、光学フィルタのフィルム固定枠が完全に収まり、光差分器や光相関器のフィルタ固定枠の手前側だけが開いて、光学フィルタのフィルム固定枠を出し入れできる構造にしてある。光学フィルタのフィルム固定枠は、フィルムを外すことなく現像液や定着液に浸しても、枠素材の変形や腐食のないステンレスや硬質プラスチック素材で構成され、露光後外光が入らないような蓋が付けられている。
【0152】
すなわち、基準画像の光回折パターンを光学フィルタ設定位置で写真フィルム等に露光し、取り外して現像及び定着して、それを厳密に元の位置に戻して光学フィルタとする方法およびその装置である。
【0153】
例えば、基板画像のフーリエ変換レンズの後ろ焦点面上光軸を中心として、熱現像用写真フィルムや写真乾板等を置いて、基準画像の光回折パターンを露光し、その露光したフィルムまたは乾板を取り出して現像定着した後、元に戻す時、厳密に元の位置に戻すことができる機構を備えて作成された光差分器や光相関器である。
【0154】
(3)液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSで作成される光差分器や光相関器上で表示される擬似基準光回折パターンを実際の基準光回折パターンに画像中心を合わせると共にサイズも回転角も完全に合わせる方法:
【0155】
検査装置の検査照射光の光軸の中心にあり、基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、光学フィルタである基準画像の光回折パターンの画像中心を合わせると共に、基準画像の光回折パターンにサイズも回転角も完全に合わせて光学フィルタを作成して光差分器や光相関器とする方法および装置である。
【0156】
例えば、検査画像フーリエ変換レンズの後ろ焦点面での基準画像の光回折パターンをCCDカメラ等で撮影して、その画像を検査画像フーリエ変換レンズの後ろ焦点面に設置された液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの上に投影して、位置とサイズ、回転角を基準画像の光回折パターンに完全に合わせて、全ての画像が完全に光遮断されることを確認して光学フィルタを作成した光差分器の作成法および装置である。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、直接には、光透過型電子基板COF(Chip on Film)やTAB(Tape Automated Bonding)の欠陥(例えば、パターンの欠け、断線、短絡、金メッキの欠損、変色、レジストのピンホール、剥がれ、異物付着、ほか)等の検査に用いられる技術や装置に関するものである。また、非光透過型電子基板を液晶ディスプレイ等を通して画像写出することによって、非光透過型電子基板であるプリント基板の欠陥(パターンの欠け、断線、短絡、金メッキの欠損、変色、レジストのピンホール、剥がれ、異物付着、等)や実装基板上での欠陥(部品欠落、取付異状、など)検査にも使われる。
【0158】
本発明技術は、液晶ディスプレイ等を通して画像写出された電子基板の形状欠陥等を光学的画像処理により、高速、高精度、かつ、自動的に検出することに関するものであり、形状欠陥等の検査方法および検査装置において用いられる形状識別手段として光学的差分または排他的論理和を実現するための方法および装置に関するものである。
【符号の説明】
【0159】
1:電子カメラ、またはCCDカメラ
2:データ演算機またはPC
3:基準物体または被検査物体
4:光源(レーザ)
5:レンズ
6:フーリエ変換レンズ
7:検査物体導入手段または検査物体写出手段
8:光差分フィルタまたは排他的論理和光学フィルタ
9:逆振りえ変換レンズ
10:偏光ビームスプリッタ
12:シャッタ
15:制御装置
17:ロボット
18:ロボット
20:フィルタケース
21:筺体(暗室)
27:開閉弁制御装置
28:バルブケース
29:熱風発生装置
30:熱風吹き出し口
31:ヒーター
101:CCDカメラ
102:データ演算機
104:光源(レーザ)
105:レンズ
106:レンズ
107:検査物体導入手段または検査物体写出手段
108:光差分フィルタまたは排他的論理和光学フィルタ
109:レンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系を用いた形状欠陥等の検査方法およびその装置での形状識別のための光差分あるいは光学的排他的論理和を行う方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光透過型電子基板のCOF(Chip on Film)やTAB(Tape Automated Bonding)、非光透過型電子基板のプリント基板、等の物体の画像欠陥の検査に用いられる技術は、図1に概略を示すように、被検査用の被写体3をCCDカメラ1で撮影して、被検査画像と基準画像とをデータ演算機2を用いて直接画像差分して比較し、画像欠陥を検出するという方法が採られてきた。被検査画像と基準画像との直接画像差分を行う従来法では、図2に示す被検査物体3の画像を調整箇所、A:左右、B:前後、C:上下、R:回転角で、基準画像との位置合わせを厳密に行うことが必要で、被検査画像と基準画像との位置合わせがカメラ画像の1 Pixelでもずれると検査ができなかった。
【0003】
例えば幅寸法が250mm程度の通常の電子基板での、配線の線/スペースの線幅が10μm程度以下と微細になるにつれて、基準画像と被検査画像との画像間の位置合わせの困難さが増した。また、微細画像の撮影にカメラの焦点深度の問題が著しく効いてきて、従来法では微細画像の欠陥を高精度・高速に検査することが困難になった。
【0004】
すなわち、画像直接差分法という従来法では、被検査画像が高精細になると、基準画像と被検査画像間の画素を1pixelのずれもなく厳密な画像合わせを行うことが困難になり、また、全体画像の中での微細画像の撮影の困難さが増して、検査に支障をきたしていた。そのため、画像の欠陥検査法の革新的な技術の開発が求められていた。
【0005】
従来法である画像直接差分法の欠点の解決策として、非光透過型電子基板等の欠陥検査では、基準画像と被検査画像との間の位置決め問題の解決に、PCを用いた画像のフーリエ変換差分法[特許文献1]が提案し実行された。それは、基準画像と被検査画像の2つの画像間に左右および前後の画像ずれがあっても、それらのフーリエ変換画像の零次が自動的に一致し、左右および前後の画像ずれの補正を必要としないというものである。
【0006】
また、光透過型電子基板の微細画像欠陥の高精度かつ高速検査には、フーリエ変換光差分法[特許文献2]が提案し実行された。それは、2画像間の左右および前後の位置ずれの補正を必要としないで、かつ、光波長程度の高分解能検査を可能とするものであった。フーリエ変換光差分法では、PCを用いてフーリエ変換の画像差分を行うのではなく、光差分フィルタを用いて自動的に光速度で画像差分が行われ、画像欠陥の検査速度が飛躍的に増大した。
【0007】
[従来技術での光学系について]
フーリエ変換光差分法[特許文献2]は、図3に示すような光学系で、レーザ104から射出される可干渉性光を平行光束として、フーリエ変換レンズ106の前焦点面という限定された位置に設置された物体導入手段または物体写出手段107上の物体または物体画像に照射して、レンズの後焦点面に置かれた基準画像の光差分フィルタ108で被検査物体のフーリエ変換画像を差分して、レンズ109で逆フーリエ変換して欠陥画像をCCDカメラ101で捉えてデータ演算機102で欠陥表示する、というものである。光透過型電子基板のみならず、非光透過型電子基板の欠陥検査にも利用できる。
【0008】
すなわち、非光透過型電子基板等の欠陥検査では、基板画像を液晶ディスプレイ等に写出した画像にレーザ光を照射して、基板画像をincoherent -coherent変換した画像の検査が、光透過型電子基板検査と同様に行われる。従って、フーリエ変換光差分法[特許文献2]は直接画像差分法に比べて非常に有用であった。
【0009】
しかし、従来のフーリエ変換光差分法[特許文献2]では、参照基板、被検査基板、または参照基板写出画像、被検査基板写出画像は、フーリエ変換レンズの前焦点面に設置されるという限定条件があった。
【0010】
しかし、基板または基板写出画像をその位置に限定すると、フーリエ変換レンズの口径と焦点距離の関係で、幅の広い検査基板の検査ができ難くなることが分かった。また、口径の大きなレンズの焦点距離は一般的に長くなるから、口径の大きなレンズを用いる検査光学系は光軸方向の寸法が非常に長くなって不都合が生じた。
【0011】
[従来技術での光差分器について]:
ところで、フーリエ変換光差分法[特許文献2]では、光差分や排他的論理和を行う光差分フィルタ(図3中の108)を含む光差分器や光相関器が必要である。一般的に、光差分や光相関の手法としての光学処理技術の中には市販の光相関器というものが一部使われてきた。しかし、電子基板等の欠陥の検出や画像の差異をフーリエ変換光差分や光相関で検査するために使われる装置は見当たらなかった。
【0012】
なお、従来の光差分器や光相関器と言われるものは、参照物体をCCDカメラで撮り込んでPCでフーリエ変換して得た基準のフーリエ変換像(光回折パターンという)、あるいは参照画像の光回折パターンを、液晶ディスプレイに表示して利用するものであった。具体的には、反射型の空間光変調器(PPM:Programmable Phase Modulator)などが光相関器や光差分器として使われてきた。
【0013】
しかし、この光相関器や光差分器と言われるものは、単に光差分の素材として使われているだけであって、光差分器や光相関器としての機能は備えていない。なぜなら、それは、光差分器を構成する光差分フィルタの上で基準(参照)画像と被検査画像の光回折パターン(フーリエ変換画像)を完全に一致させることはほとんど不可能であり、光差分器や光相関器として用いる場合の位置決めの方法や備えるべき機構が無く、光差分器の機能を備えていなかった。すなわち、厳密な意味での光差分器は存在しなかった。
【0014】
ところで、大視野で安定な光相関演算をさせ得る差分器や相関器として、参照物体の光回折パターンをCCDカメラで撮り込み、透明シート状フィルムにプリント印刷してセットする方法が試みられた。
【0015】
しかしながら、この方法も、撮影された参照画像の倍率の調整と設定位置の調整に非常な労力と多大の時間を要し、しかもそれが完全な光差分フィルタを構成するという保証はなく、光差分器としての機能を備えていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特許第4061289号
【特許文献2】特許第3934351号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
[光学系について]:
従来のフーリエ変換像(光回折パターン)光差分法[特許文献2]では、検査基板や基板写出画像は、フーリエ変換レンズの前焦点面という限定された位置に設置されることが前提条件であった。
【0018】
しかしながら、基板または基板写出画像をレンズの前焦点面という位置に限定すると、基板からの画像情報を含む散乱光はレンズの口径に到達するまでに非常に広く拡がり、幅の広い検査基板では散乱光がレンズの口径からはみ出して、検査ができ難くなった。
【0019】
また、前焦点面という位置に限定すると、検査光学系の光軸方向の長さが非常に長くなり、検査機としての不都合が生じた。そのため、幅の広い被検査基板を口径が比較的大きくないレンズで検査することを可能とする方法や装置及び光軸方向の寸法を短くする方法や装置の開発が課題であった。
【0020】
さらに、従来の検査法での基準画像と被検査画像の位置合わせの問題は、PCを用いた画像のフーリエ変換差分法[特許文献1]や光回折パターン(フーリエ変換像)光差分法[特許文献2]では、画像の調整箇所、A:左右、B:前後、では解決されたが、画像の調整箇所、C:上下、R:回転角では位置合わせの問題は解決されていない。特に、COF等の被検査基板はロールされているから基板は平らでない場合が多く、被検査基板が上下にずれている場合が多く、平でない基板の迅速欠陥検査のできる方法の開発が必要であった。
【0021】
[光差分器について]:
一方、光学的差分または排他的論理和を実現する方法は、液晶ディスプレイや反射型の空間光変調器(PPM)を使った従来技術でも、基準画像のフーリエ変換像フィルタと被検査画像のフーリエ変換画像を一致させる必要があった。しかし、それを簡便に行う機能を備えた機器は何処にも見受けられず、また、基準画像のフーリエ変換像フィルタと被検査画像のフーリエ変換画像を一致させるという機能持った光学フィルタの具体的な提案も無いようであった。
【0022】
すなわち、光差分器は、空間光変調器(PPM)等で構成される光差分フィルタ上につくられる参照物体の基準光回折パターンの光遮断フィルタ等に、被検査物体の光回折パターンの基本骨格とサイズと出現位置とを完全に一致させて光差分等を行わせる機構を組み込むことが必要であった。しかし、そのようなものは従来技術には無かった。
【0023】
光差分器等についての発明が解決しようとする課題は、被検査物体の光回折パターンの基本形状とサイズと位置とが基準光回折パターンに自動的に一致する、という機能と構造を備えた光差分器を提供することにある。
【0024】
従って、発明が解決しようとする課題は、つぎのようである。
【0025】
(1)幅の広い被検査基板を口径が比較的大きくないレンズで検査することを可能とする方法や装置、及び光軸方向の寸法を短くする方法や装置の開発を行うこと。
【0026】
(2)被検査基板の上下のうねり、左右、前後の位置、及び回転に影響を受けない検査法や装置を提供すること。
【0027】
(3)参照物体の基準光回折パターンを光学系の中のその場で露光、現像して、それを遮光フィルタ、または、光相関フィルタとして光回折パターン出現位置に設置したままで、被検査物体の光回折パターンの光差分や排他的論理和を行うことのできる方法や光差分フィルタや光相関フィルタを備えた光差分器や光相関器を提供すること。
【0028】
(4)光差分器や光相関器を構成する光差分フィルタや光相関フィルタ上では、参照(基準)物体と被検査物体とのフーリエ変換画像位置を完全に一致させることを可能にする機構を備えて光差分や排他的論理和が行える、光差分器や光相関器を提供すること。
【0029】
である。すなわち、基板搬送装置や光学系を比較的簡便にしても検査精度が高く高速な欠陥検査ができる方法と装置を提供することであり、光差分や排他的論理和を行う光学系の中で上記(1)、(2)、(3)、(4)を提供することである。
【0030】
なお、(3)のその場現像法では、光差分フィルタや光相関フィルタを構成する材料によって光差分フィルタや光相関フィルタの現像法が異なるから、材料や素材に合わせた現像法を用いる必要がある。(4)では、光差分フィルタや光相関フィルタ(以後これらを光学フィルタとよぶ)作成でその場現像ができない場合に、参照物体の基準光回折パターンの基本骨格、サイズと出現位置とを、被検査物体の光回折パターンの基本骨格、サイズと出現位置とに完全に一致させるという機構の提供が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0031】
[光学系について]:
このため、本発明が採用した技術解決手段は、幅の広い被検査物体を口径が比較的大きくないレンズで検査することと、検査光学系の光軸方向の長さを短縮することに対しては、検査物体導入手段や検査物体写出手段をフーリエ変換レンズの前方(光源側)でレンズに近付けて設置し、可干渉性レーザ平行光をそれに照射し、光回折パターンの比較をフーリエ変換レンズの後焦点面で行うことである。
【0032】
被検査物体の上下のずれに無関係に自動検査をすることは、画像のフーリエ変換差分をフーリエ変換レンズの後焦点面で行うことにより解決される。画像の左右、前後のずれの自動補正は、レンズで画像をフーリエ変換することによってレンズの後焦点面で自動的に行われる。被検査物体の画像の回転を抑えることは、検査物体の傾きまたは回転を抑えるメカニカルな機構に検査物体を通すことによって、画像の傾き補正制御が行われて解決される。
【0033】
そして、技術解決手段の光学系を含めた方法および装置は図4に具体的に示すように、まとめるとつぎのようである。
【0034】
可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側(光源側)にレンズに近付けて検査物体導入手段または検査物体形状写出手段7を備える。被検査物体を直接、検査物体導入手段に入れて検査する場合には、その検査物体導入手段に基準物体を入れて、基準物体形状を射出し、フーリエ変換レンズ6の光軸中心の後焦点面に設置された光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタの作成材料の面上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタ8をつくる。
【0035】
解決手段は、検査物体導入手段7に被検査物体を入れてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、前記光学フィルタ8を通して、被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和をとり、前記光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で、光学的差分画像または光相関画像を得て、その被検査物体画像と基準物体画像の差異を電子カメラ1で撮影して、データ演算機2で差異画像の座標を明確にし、差異画像を欠陥として印を付けて、被検査物体の形状欠陥の検査を行う方法と装置である。
【0036】
なお、検査物体形状写出手段7に検査物体画像を写出して検査を行う場合には、基準物体画像を検査物体形状写出手段7に写出して前記と同様に光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタ8をつくり、被検査物体画像を検査物体形状写出手段7に写出して、前記と同様に被検査物体の画像の差異や形状欠陥の検査を行うことができる。
【0037】
また、解決手段は、可干渉性レーザ光源4、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6と、検査物体の回転を抑えるためのガイド溝を通して物体を搬送する検査物体の導入手段7または検査物体形状写出手段7とをそのフーリエ変換レンズ6の前方に備え、前記レンズ6の光軸中心の後焦点面または光軸中心の後焦点面付近に設置された形状識別手段としての光差分または排他的論理和を行う光学フィルタ8を含む光差分器や光相関器と、光学フィルタ8を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9と、逆フーリエ変換レンズからの画像を撮り込む電子カメラ1と、で構成される画像の差異や画像欠陥を検査する方法と装置を提供することである。
【0038】
また、解決手段はつぎのものを提供することである。すなわち、形状識別手段は、参照形状の光回折パターンを基準(参照)の形状識別パターンとして搭載した光学フィルタであることを特徴とする前記に記載の画像の差異や形状欠陥を検査する装置である。また、形状識別光学フィルタは前記の方法及び装置において設置される位置で、前記に記載の参照形状の光回折パターンを直接にその場で露光および現像して作成することを特徴とする、前記装置に記載の画像の差異や形状欠陥を検査する方法である。
【0039】
[光差分器を構成する光学系]
さらに、技術解決手段は、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側に設けられた検査物体導入手段7または検査物体形状写出手段7に物体を入れ、フーリエ変換レンズ6の後焦点面に光学的差分または排他的論理和を実現する光学フィルタ8を設置して、その光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で画像の差異や画像欠陥を検出する光学系を光差分器や光相関器とする一体型の光学系を、提供することである。
【0040】
この一体型の光学系は、具体的には、図5、図6、図7、または図8にそれぞれ分類されるような構造を持つものである。それぞれの光学系は、レーザ4、平行光路系5、を通して照射される可干渉性レーザ平行光束中に、フーリエ変換レンズ6を設置し、フーリエ変換レンズ6の前側に検査物体導入手段7または検査物体写出手段7を設けて、7から謝出される物体画像のフーリエ変換像をレンズ6の後焦点面に設置された光学フィルタ8上に投射し、基準物体では光学フィルタ8をつくり、被検査物体では光学フィルタ8を使って画像差分または排他的論理和を行って、光学フィルタ8を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で画像の差異または画像欠陥の検出を行うように、一体化されている。
【0041】
図5は光透過型物体を光透過型光学フィルタ8で検査する場合に使われる光学系、図6は光透過型物体を非光透過型光学フィルタ8で検査する場合に使われる光学系、図7は非光透過型物体を光透過型光学フィルタ8で検査する場合に使われる光学系、そして、図8は非光透過型物体を非光透過型光学フィルタ8で検査する場合に使われる光学系、を示している。
【0042】
これらの一体型光学系が、光学的差分または排他的論理和を実現する光差分フィルタや光相関フィルタを含んで光差分器や光相関器を構成する。解決手段は、基準画像と被検査画像の光学的差分または排他的論理和を実現する光差分フィルタや光相関フィルタを含んで光差分器や光相関器を構成する一体型光学系を提供することがその一つである。
【0043】
[光差分または排他的論理和を実現する光学フィルタについて]
また、技術解決手段は、光差分器や光相関器を構成する方法や装置を提供することである。なお、解決手段として提供される光差分器または光相関器は、光差分や排他的論理和を実現する光学フィルタを構成する材料によって、その方法と装置構成が分類されるが、分類されたそれらはつぎのようである。
【0044】
(A) その場現像法:
解決手段は、基準(参照)画像の光回折パターンをその場現像して光学フィルタを作成し光差分器または光相関器とする方法および装置である。それは例えば図9、あるいは図10に示すように、例えば熱現像用写真フィルムをフィルタケース20に入れて、検査画像のフーリエ変換レンズ6の後焦点面上の光軸を中心として設置して、基準(参照)画像の光回折パターンを露光し、その場で熱現像して、光軸を中心とした光回折パターンの遮光や光相関を得る光学フィルタをつくる、その方法およびその装置、を提供することである。フーリエ変換レンズの後焦点面には光学フィルタ材料として(a)熱現像型写真フィルム、(b)フォトクロミック材、または、(c)光電感光材料乾板、の光学フィルタ材料を設置したまま、参照光回折パターンを光学フィルタ材料に露光し、その場で現像または画像転写して光学フィルタをつくる方法である。
【0045】
(B) 現像後元の位置に厳密に戻して行う方法:
解決手段は、基準画像の光回折パターンを光学フィルタ設定位置で(d)溶液現像用写真フィルムや(a)熱現像型写真フィルムまたは乾板、に露光し、取外して現像・定着して、それを厳密に露光時の元の位置に戻して光学フィルタとする方法およびその装置である。それは例えば、基板画像のフーリエ変換レンズの後焦点面上、光軸を中心として、熱現像用写真フィルムや写真乾板を置いて、基準画像の光回折パターンを露光し、その露光したフィルムまたは乾板を取り出して現像定着した後、元に戻す時、厳密に元の位置に戻すことができる機構を備えて作成された光学フィルタ、あるいは光差分器または光相関器を提供することである。
【0046】
(C) サイズおよび位置を共に合わせて行う方法:
解決手段は、回転角も完全に合わせて光学フィルタを作成して光差分器や光相関器とする方法である。フーリエ変換レンズの後焦点面に設置した(e)液晶ディスプレイ、(f)DMD(Digital Mirror Device)、または(g)LCOS(Liquid Crystal on Silicon)の画像表示器に基準画像の光回折パターンを投影しておき、基準画像の光回折パターンを液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器の表面に照射する。
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器の表面に投射された基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSに映し出されたフーリエ変換像の中心の零次光が合致するように液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を動かし、サイズや回転を合わせて、二つの光回折パターンの差分が零になるように調整して、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を固定する。この位置調整およびサイズ調整された映像画像を含む液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSを光差分器や光相関器とする方法である。
【0047】
上記において、光学フィルタ作成材料は、例えば、上記(A)では、熱現像型写真フィルム、フォトクロミック材、または光電感光材料乾板であり、(B)では、現像液を用いる通常の写真乾板またはフィルムや熱現像型写真フィルムであり、(C)では、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSであり、それらが用いられて、光差分フィルタや光相関フィルタが作成され、それを備えた光差分器や光相関器が構成される。
【0048】
[光差分フィルタの素材と光差分器の構造]
技術解決手段は、光差分フィルタを構成する素材を吟味し、調整することによって行われ、つぎのようなものである。
【0049】
光差分フィルタを構成する素材は前述したようにつぎのようなものがある。すなわち、(a)熱現像型写真フィルム、(b)フォトクロミック材、(c)光電感光材料乾板や(d)通常の写真乾板やフィルム、または(e)液晶ディスプレイ、(f)DMD(Digital Mirror Device)、または、(g)LCOS(Liquid Crystal on Silicon)である。それらの光フィルタ材が保持枠に組込まれて光差分器や光相関器が構成される。基準の光回折パターンを、(A)その場現像、または、(B)その場露光後、外して現像後露光位置に正確に戻すこと、または、(C)液晶ディスプレイ等の光差分フィルタ上で表示される擬似基準光回折パターンを実際の基準光回折パターンに画像中心を合わせると共にサイズも回転角も完全に合わせることによって光差分フィルタまたは光相関器がつくられる。
【0050】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSを除いた材料でつくられる光差分器や光相関器の構成はつぎのようになっている。光差分フィルタや光相関フィルタは、光フィルタの保持機構、光フィルタ保持機構を光フィルタ作成位置に設置する機構、光感光材料の露光前の感光を防ぐ機構、及び露光シャッタ、必要によっては、フィルタ露光後外乱光からの感光を防ぐ機構、光フィルタを取出す機構、及び露光時の元の位置に完全に返す機構から構成される。
【0051】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSでつくられる光差分器や光相関器は、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの保持機構、ディスプレイへの画像投影と、投影画像のサイズや回転、濃淡の加工を可能とするPCを備え、基準画像の光回折パターンの差分や光相関が完全に行われることを確認しつつ投射画像を調整する機能を有する。
【0052】
(A)その場現像法:
これは、基準(参照)画像の光回折パターンを、例えば熱現像写真フィルムに露光し、その場で熱現像する方法に対応する。すなわち、光差分フィルタは、熱現像型の写真フィルムや写真乾板、フォトクロミック材、または光電感光材料乾板に露光し、その場で現像、または作像して、基準(参照)画像の照射光回折パターンをその場でつくって光遮断等の光学フィルタとする方法である。
【0053】
(A-a)熱現像写真フィルムのその場現像法および装置
(A-a-1) ラバー式熱現像法および装置
光差分フィルタのラバー式熱現像法および装置の概要を図9に示す。ラバーヒータ熱現像装置は、フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、熱風現像用ラバーヒータ31が露光されたフィルムの直近上方と下方からフィルムホルダ(20)に近づき、プログラムされた適正温度のラバーでフィルムを適正時間だけ押え、現像を終える。上下のラバーは上下に離れた後、元の位置に戻る。これによって、光学フィルタが作成され、光学フィルタを収めた一連の機構は光差分器や光相関器を構成する。
【0054】
なお、17、18は、ラバーヒータをフィルムホルダに(20)に近づけフィルムに密着させ、熱現像後フィルムから離れる仕事をこなすロボットである。21は外乱光を遮蔽するための筺体であり、12は適正露光時間を決めるシャッタである。
【0055】
(A-a-2)熱風現像法および装置
光学フィルタの熱風現像法および装置の概要を図10に示す。熱現像型写真フィルムや乾板をフィルムまたは乾板の収納ケースにセットしたまま光差分器や光相関器のフィルタケース(20)に入れてセットする。
【0056】
検査装置は光学フィルタを作成するために外光が光差分器や光相関に入らないような遮光構造の筺体21になっている。光学フィルタ作成には、先ず、筺体21にセットされたフィルム収納ケース(20)の上下の蓋を開けて露光準備をする。
【0057】
フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、熱風現像機の送風口30が露光されたフィルムの直近上方に近づき、熱風発生装置29からバルブケース28を通った熱風をプログラムされた適正温度で適正時間だけ送り、現像を終える。熱風は止められ、送風口30は元の位置に戻る。
【0058】
これによって、光学フィルタが作成され、光学フィルタを収めた一連の機構は光差分器または光相関器を構成する。
【0059】
(A-b)フォトクロミック材のその場現像法および装置
被検査物体導入手段または被検査物体形状写出手段に照射するレーザ光源を、通常の検査に用いる赤色レーザ光と同軸にしてフォトクロミック材を光遮断材にするに適する紫外レーザ光またはブルーレーザ光を照射して、紫外レーザ光またはブルーレーザ光の基準光回折パターンの光学フィルタをつくる。このフォトクロミック材光学フィルタは赤色レーザ光照射で消えないで、赤色レーザ光を遮光する。これを光学フィルタとする。
【0060】
(A-c)光電感光材料乾板のその場現像または作像法および装置
透明ガラス板上に透明導電膜を有する乾板上に光増感層と光導電プラスチック層を塗布した、光導電プラスチック乾板をマイナス帯電させ、基準光回折パターンを照射すると、光照度の高い部分は電荷が抜ける。前記乾板にマイナス帯電したトナーをかけて現像すれば、光回折パターンのみが光遮断フィルタを形成する。解決手段はこの光学フィルタ作製法および装置である。
【0061】
(B)その場露光後、外して現像後露光位置に正確に戻す方法:
フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、露光されたフィルムをその場現像できない場合には、現像のために露光されたフィルムを一度取り出して、現像及び定着した後、フーリエ変換像フィルムを元の位置に正確に戻す必要がある。
そのための光学フィルタを含む光差分器または光相関器の構造はつぎの要件を満たす構造になっている。
【0062】
光学フィルタのフィルム固定枠は、光差分器または光相関器に着脱可能で元の位置に完全に戻せるように、光差分器または光相関器のフィルタ固定枠の矩形の奥と両側面側に、光学フィルタのフィルム固定枠が完全に収まり、光差分器または光相関器のフィルタ固定枠の手前側だけが開いて、光学フィルタのフィルム固定枠を出し入れできる構造にしてある。光学フィルタのフィルム固定枠は、フィルムを外すことなく現像液や定着液に浸しても、枠素材の変形や腐食のないステンレスや硬質プラスチック素材で構成され、露光後外光が入らないような蓋が付いている。
【0063】
すなわち、解決手段は、基準画像の光回折パターンを光学フィルタ設定位置で写真フィルムや乾板に露光し、取り外して現像し定着して、それを厳密に元の位置に戻して光学フィルタとする方法およびその装置である。
【0064】
例えば、基板画像のフーリエ変換レンズの後ろ焦点面上光軸を中心として、熱現像用写真フィルムや写真乾板等を置いて、基準画像の光回折パターンを露光し、その露光したフィルムまたは乾板を取り出して現像定着した後、元に戻す時、厳密に元の位置に戻すことができる機構を備えて作成された光差分器または光相関器である。解決手段はこの光学フィルタ作製法および装置を提供することである。
【0065】
(C)液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの光差分器または光相関器上で表示される擬似基準光回折パターンを実際の基準光回折パターンに画像中心を合わせると共にサイズも回転角も完全に合わせる方法:
検査装置の検査照射光の光軸の中心である、基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、光学フィルタ上に映し出された基準画像の光回折パターンの画像中心を厳密に合わせると共に、サイズも回転角も基準画像の光回折パターンに完全に合わせて光学フィルタを作成して光差分器または光相関器とする方法および装置である。
【0066】
例えば、検査画像フーリエ変換レンズの後ろ焦点面での基準画像の光回折パターンをCCDカメラ等で撮影して、その画像を検査画像フーリエ変換レンズの後ろ焦点面に設置された透過型液晶ディスプレイ等の上に投影して、位置とサイズ、回転角を基準画像の光回折パターンに完全に合わせて、全ての画像が完全に光遮断されることを確認して光差分フィルタを作成するように、光学フィルタを作成する方法および装置である。
【0067】
技術解決手段は、図5、または、図7の光学系において、フーリエ変換レンズ6の後焦点面に光学フィルタ材料である熱現像型写真フィルムを光学フィルタ設置枠8に挿入したまま、基準の光回折パターンを光学フィルタ材料に露光し、その場で現像または画像転写して光学フィルタ8をつくる方法である。
【0068】
また、解決手段は、フーリエ変換レンズ6の後焦点面に光学フィルタ設置枠8を設け、その枠内に光学フィルタ材料である写真フィルムを挿入して、基準の光回折パターンを光学フィルタ材料に露光し、取外して現像・定着して、それを厳密に元の位置に戻して光学フィルタをつくる方法である。
【0069】
なお、光学フィルタ設置枠8は光学フィルタ材料を抜き差ししても、フィルタが厳密に元の位置に収まる構造に設計されている。
【0070】
さらに、解決手段は、図6、または図8の光学系において、フーリエ変換レンズ6の後焦点面に設置された液晶ディスプレイ、DMD(Digital Mirror Device)、またはLCOS(Liquid Crystal on Silicon)の画像表示器8に基準画像の光回折パターンを投影しておき、基準画像の光回折パターンを液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器8の表面に照射する。
【0071】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器8の表面に投射された基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSに映し出されたフーリエ変換像の中心の零次光が完全に合致するように液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を動かし、サイズや回転を合わせて、二つの光回折パターンの差分が零になるように調整して、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を固定する。この位置調整及びサイズ調整された映像画像を含む液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSを光差分器または光相関器8とする方法である。
【発明の効果】
【0072】
本発明は、光透過型電子基板であるCOF(Chip on Film)やTAB(Tape Automated Bonding)の欠陥検査に適用された。その結果、COF基板の4条3列(サイズ:1条35mm×1列35mm基板の)テープが160mm×110mm視野で同時並列に検査されて、効果的な検査結果が得られた。
【0073】
なお、それらの効果の一例を図11に示した。実際の電子基板検査の結果、フーリエ変換レンズの前側に置いた基準基板(図11の(a)または(e))はレンズの後焦点面でフーリエ変換像(図11の(b)または(g))を構成し、そのフーリエ変換像で作成された光学フィルタで被検査基板を検査した結果、欠陥画像(図11の(c)、または、(m1)〜(m3))が明確に検出され、発明の効果が明らかになった。
【0074】
なお、検査結果を明確に示すために、欠陥部分がPCによるデジタル画像処理によって色つきの丸(図11の(c))等で囲まれる。
【0075】
発明の効果は、図12に図11の結果を拡大して例を示すように、COFテープの欠陥が明確に高速で検査された。そして、4条3列160mm×110mm COF基板を2μm程度の高分解能で検査速度50mm/s以上で検査を可能とすることが明らかとなった。また、TABテープも同様に高分解能高速で検査され、従来法を用いた検査法では実現できないコスト効率を実現できた。
【0076】
さらに、従来の検査法では、検査速度がCOFやTAB等の電子基板の製造ラインの要求タクトタイム50mm/sに合わず、オンライン検査ができなかったが、本発明によってそれが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】従来システムの一例構成説明図:直接画像差分法の例
【図2】位置合わせに必要な調整箇所説明図
【図3】従来の光差分法
【図4】従来の光差分法と新光差分法の比較、検査機の構成図:検査物体あるいは検査物体写出手段の設置位置を示す図
【図5】光透過型物体照射系と光透過型光学フィルタを含む検査光学系
【図6】非光透過型物体照射系と光透過型光学フィルタを含む検査光学系
【図7】光透過型物体照射系と非光透過型光学フィルタを含む検査光学系
【図8】非光透過型物体照射系と非光透過型光学フィルタを含む検査光学系
【図9】ラバー式熱現像法および装置を用いた検査機
【図10】熱風式熱現像法および装置を用いた検査機
【図11】発明の実施例、発明の効果を説明する図
【図12】発明の実施例[図11]の説明、発明の効果を示すための拡大図
【実施例】
【0078】
本発明では、被検査基板等の回転を抑えるために、検査基板等をガイド溝を通して搬送して、回転ずれの影響を排除する方法が提案された。実際の基板抑えガイドの長さは600mm程度で基板の横方向のずれは1mm以下であり、基板の回転誤差は0.096°以下になり、回転ずれの影響はなかった。
【0079】
また、幅の広い被検査基板を口径が比較的大きくないレンズで検査することを可能とすることに対しては、被検査基板等をフーリエ変換レンズの前方でフーリエ変換レンズ側に近付けて設置することにより解決された。また、検査装置の光軸寸法が著しく短縮された。
【0080】
さらに、画像の上下ずれに影響されずに検査を可能とすることに対しては、被検査基板等をフーリエ変換レンズの前方に設置して、可干渉性レーザ平行光を基板等に当て、レンズの後焦点面で光回折パターンを光学フィルタ上に投影する方法で解決された。
【0081】
すなわち、(1);幅寸法が大きく、配線の線/スペースが微細な被検査基板等の細密で高速な検査を可能にし、かつ、(2);画像の調整箇所、A:左右、B:前後、C:上下、R:回転角で、基準画像との位置合わせを自動化して、正確、かつ高速に検査を可能にするために、本発明が採用した技術解決手段は、つぎのようであった。
【0082】
可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズの前側(レンズに近い位置)に基準物体あるいは基準物体画像を回転抑止のためのガードレール内に置いて、レンズの光軸中心の後焦点面に設置した光差分フィルタまたは光相関フィルタの作成材料の上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、遮光または光相関の光学フィルタをつくる。
【0083】
そして、基準物体あるいは基準物体画像を置いた位置に被検査物体あるいは被検査物体画像を置いてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、その光差分または光相関の光学フィルタを通して、光学フィルタの位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズで、差分画像または光相関画像を得る。
【0084】
それを、電子カメラで撮影すれば、被検査物体と基準物体の画像の差異が欠陥などとして撮影される。本発明では、このような被検査物体の形状欠陥検査を行う方法や装置を解決手段として提案した。
【0085】
すなわち、上記(1)に対しては;幅寸法の大きな被検査物体の検査の解決には、フーリエ変換レンズの前面でレンズに近い面に被検査物体を設置するという、新提案のフーリエ変換光差分または光相関の方法で解決でき、上記(2)に対しては;R:回転抑止には、回転抑止のためのガードレール内に基準物体や被検査物体を置いて解決し、A:左右、B:前後、C:上下、の自動位置合わせの問題に対しては、フーリエ変換レンズの前焦点面以外の位置に検査物体を置くという新提案のフーリエ変換光差分法で解決できることを明らかにした。
【0086】
これらの主なものを更に詳細に説明すると以下のようである。
[光学系について]:
口径がそれほど大きくないレンズで、幅の広い物体の検査を可能とするための解決策と光軸方向の寸法の短縮の方策としては、図4に示すように、検査物体導入手段や検査物体写出手段をフーリエ変換レンズの前方でレンズに近付けて設置し、そこに入れた検査物体あるいは検査物体写出画像に可干渉性レーザ平行光を照射し、光回折パターンを撮る方法が試みられた。
【0087】
その結果、検査物体や検査物体画像の設置位置をフーリエ変換レンズの前方の何処に取ろうとも、フーリエ変換レンズの後焦点面では、同一形状及び同一サイズのフーリエ変換像が全く同一地点に現れることが分かり、その現象が検査に利用された。また、被検査物体が左右または前後または上下にずれてもそれらの光回折パターンはフーリエ変換レンズの後焦点面で常に基準光回折パターンと一致することが分かり、その現象が検査に利用された。図4に検査法の原理図を示した。
【0088】
提案技術を従来技術と比較すると、図3に示す従来法では、物体や物体画像の設置位置;フーリエ変換レンズ106の前焦点位置、解決手段では、物体や物体画像の設置位置;フーリエ変換レンズ6の前側(フーリエ変換レンズ6の前焦点位置を除いた前側)、という違いがある。
【0089】
図4には、被検査物体が基準物体と、左右または前後または上下にずれても、基本骨格画像のフーリエ変換画像はフーリエ変換レンズ6の後焦点面で常に基準光回折パターンと一致することが光路図で示されている。
【0090】
図4のフーリエ変換レンズ6の前焦点面から破線で描かれている光路図は、光回折パターン差分法[特許文献2]に言われる、フーリエ変換レンズの前焦点面に検査物体を置いた場合に相当する。
【0091】
また、この破線光路図と光軸中心の実線の光路図が後焦点面で一致することは、検査物体が上下にずれても、光回折パターンは常にレンズの後焦点面で基準画像の光回折パターンの出現位置に同じ光回折パターンが一致して現れることを示している。
【0092】
また、レンズ6に近い位置での検査物体導入手段や検査物体写出手段上の物体あるいは物体画像からの同じ角度で拡がる散乱光が左右にずれた位置から出ても、その光路図はレンズ6の後焦点面で全く同じ位置を通ることになり、物体位置が左右、または前後にずれても後焦点面では光回折パターンは常に一致することを示している。
【0093】
したがって、物体位置がフーリエ変換レンズ6のレンズに近い前側にあって、物体が前後、左右、または上下に動いても、同じ物体からの光回折パターンは、レンズ6の後焦点面で常に一致することを示している。
【0094】
なお、これらの光路図が正しいことは、検査物体を通り抜けた照射レーザ平行光がフーリエ変換レンズ6の後焦点面で焦点を結び、これがフーリエ変換像すなわち光回折パターンの零次光となること、凸レンズに入る平行光は常にレンズの後焦点を通ること、と併せて考えると、この光路図は理論的に矛盾がない。また、実験的にもこれらのことの正しさが確かめられた。
【0095】
従って、本発明が提案する解決手段は、フーリエ変換レンズの前焦点面よりもレンズに近い任意位置に被検査物体を置くと、その光回折パターンは図4に示すように、前焦点面に被検査物体を置いたときと全く同じフーリエ変換像が、フーリエ変換レンズの後焦点面に現れる。
【0096】
従って、幅の広い被検査物体の検査も口径の大きくないレンズで検査でき、光軸方向の寸法の短縮もできて、課題を解決することができることが明らかとなった。また、同サイズで同形状の物体がフーリエ変換レンズの前側で上下または左右または前後に移動しても、それらのフーリエ変換像はレンズの後焦点面に全く同じ形状とサイズのフーリエ変換像が同じ位置に形成されることが明らかになり、課題を解決することができた。
【0097】
この方法はいかにも簡単に見えて誰にでも発想できそうであるが、かなり難しい問題であった。実験的検証と理論的な検討が必要であったが、図4に示すフーリエ変換像構成光路図は従来の文献には見当たらなかった。また、実験的にもフーリエ変換像構成光路図が正しいことが認められた。
【0098】
なお、フーリエ変換レンズの前焦点面よりも遠い任意位置に検査物体導入手段や検査物体写出手段を置いても、本発明の検査効果は有効に働くことは実証されている。
【0099】
[光学フィルタ、光差分器や光相関器について]:
課題を解決するために、従来法の欠点を解消して、正しく欠陥等を検出する光差分器や光相関器の作成方法は、以下のようである。
【0100】
光差分器や光相関器の構成法は、材料によって分類される。また、光差分や光相関は特定の光学系の構成の中で行われるから、検査物体導入手段あるいは検査物体形状写出手段の設置位置、フーリエ変換レンズ設置位置、光差分や光相関の光学フィルタの設定位置を含めて、これらの光学系が一体になったものが光差分器や光相関器を構成するものと考えることができる。
【0101】
従って、課題を解決するための手段としては、前述の検査物体導入手段から光差分フィルタや光相関フィルタまでを含めた光学系を一体として、光差分器や光相関器として取り扱うことで解決された。
【0102】
[光差分器や光相関器を構成する光学系の例]
画像欠陥検査のために、検査物体導入手段あるいは検査物体形状写出手段に物体を入れ、光学的差分または排他的論理和を実現する光学フィルタを設置して、一体となって光差分器や光相関器を構成する光学系の概略を図5〜図8に示した。
【0103】
図5には、検査物体導入手段に光透過型物体を入れ、光学的差分または排他的論理和を光透過型光学フィルタで実現する場合の、光差分器や光相関器の光学系の概略を示した。
【0104】
すなわち、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側に物体導入手段7を設けて、その物体導入手段7に基準物体を入れて基準物体形状を射出し、
【0105】
フーリエ変換レンズ6の光軸中心の後焦点面に設置した光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタ8の作成材料の面上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタ8をつくり、
【0106】
物体導入手段7に被検査物体を入れてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、その光学フィルタを通して、被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和をとり、
【0107】
前記光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で、光学的差分画像または光相関画像を得て、その被検査物体画像と基準物体画像の差異を電子カメラ1で撮影して、
【0108】
被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う方法または装置について示したものである。
【0109】
図6には、検査物体導入手段に光透過型物体を入れ、光学的差分または排他的論理和を非光透過型光学フィルタで実現する場合の光差分器や光相関器の光学系の概略を示した。
【0110】
すなわち、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側に検査物体導入手段7を設けて、その検査物体導入手段7に基準物体画像を入れて基準物体形状を射出し、
【0111】
フーリエ変換レンズ6の光軸中心の後焦点面に設置した光学的に差分または排他的論理和をとる非光透過型の光学フィルタ8の写出画面上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタ8をつくり、
【0112】
前記光学フィルタ8に検査物体導入手段7に基準物体画像を入れて基準物体形状を射出して、基準画像の漏れのないことを確かめてから、
【0113】
検査物体導入手段7に被検査物体を入れてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、その非光透過型光学フィルタを通して、被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和をとり、
【0114】
前記光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で、光学的差分画像または光相関画像を得て、その被検査物体画像と基準物体画像の差異を電子カメラ1で撮影して、
【0115】
被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う方法または装置について示したものである。
【0116】
図7には、検査物体形状写出手段に非光透過型物体の画像を入れ、光学的差分または排他的論理和を光透過型光学フィルタで実現する場合の、光差分器や光相関器の光学系の概略を示した。
【0117】
すなわち、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側に検査物体形状写出手段7を設けて、その物体形状写出手段7に基準物体画像を写出して基準物体形状を射出し、
【0118】
フーリエ変換レンズ6の光軸中心の後焦点面に設置した光学的に差分または排他的論理和をとる光透過型光学フィルタ8の作成材料面上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、光学的に差分または排他的論理和をとる光透過型光学フィルタ8をつくり、
物体形状写出手段7に被検査物体を入れてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、その光学フィルタを通して被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和をとり、
【0119】
前記光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で、光学的差分画像または光相関画像を得て、その被検査物体画像と基準物体画像の差異を電子カメラ1で撮影して、
【0120】
被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う方法または装置である。
【0121】
図8には、検査物体形状写出手段に非光透過型物体画像を入れ、光学的差分または排他的論理和を非光透過型光学フィルタで実現する場合の、光差分器や光相関器の光学系の概略を示した。
【0122】
すなわち、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ6の前側に検査物体形状写出手段7を設けて、その検査物体形状写出手段7に基準物体画像を入れて基準物体形状を射出し、
【0123】
フーリエ変換レンズ6の光軸中心の後焦点面に設置した光学的に差分または排他的論理和をとる非光透過型の光学フィルタ8の作成材料の上に基準物体のフーリエ変換画像を投射して、光学的に差分または排他的論理和をとる非光透過型光学フィルタ8をつくり、
【0124】
前記光学フィルタ8に検査物体導入手段7に基準物体画像を入れて基準物体形状を射出して、基準画像の漏れのないことを確かめてから、
【0125】
検査物体形状写出手段7に被検査物体形状を入れてできる被検査物体画像のフーリエ変換画像を、その非光透過型光学フィルタを通して、被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和をとり、
【0126】
前記光学フィルタ8の位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズ9で、光学的差分画像または光相関画像を得て、その被検査物体画像と基準物体画像の差異を電子カメラ1で撮影して、
【0127】
被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う方法または装置について示したものである。
【0128】
これらの光学系が、光学的差分または排他的論理和を実現する光学フィルタを含んで光差分器や光相関器を構成する。解決手段はこの方法と装置に関するものもその一つである。
【0129】
[光学フィルタについて]
また、光差分器や光相関器は光学フィルタを構成する材料によって、その方法と装置構成が分類される。
【0130】
(a)フーリエ変換レンズの後焦点面に熱現像型写真フィルム、またはフォトクロミック材、または光電感光材料乾板の光差分フィルタ材料を設置したまま、基準光回折パターンを光学フィルタ材料に露光し、その場で現像または画像転写してつくる方法
【0131】
(b)フーリエ変換レンズの後焦点面に写真フィルムや熱現像型写真フィルムの光学フィルタ材料を設置して、基準光回折パターンを光学フィルタ材料に露光し、取外して現像及び定着して、それを厳密に元の位置に戻して光差分器や光相関器をつくる方法
【0132】
(c)回転角も完全に合わせて光学フィルタを作成して光差分器や光相関器とする方法
【0133】
フーリエ変換レンズの後焦点面に設置した液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器に基準画像の光回折パターンを投影しておき、基準画像の光回折パターンを液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器の表面に照射する。
【0134】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの画像表示器の表面に投射された基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSに映し出されたフーリエ変換像の中心の零次光が合うように液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を動かし、サイズや回転を合わせて、二つの光回折パターンの差分が零になるように調整して、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの映像画像を固定する。
【0135】
この位置調整及びサイズ調整された映像画像を含む液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSが光差分器や光相関器を構成する。
【0136】
上記において、光学フィルタ作成材料は例えば、上記(a)では、熱現像型写真フィルム、フォトクロミック材、または光電感光材料乾板、(b)では、現像液を用いる通常の写真乾板やフィルム、または熱現像型写真フィルム、(c)では、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSが用いられて、光学フィルタが作成され、それを備えた光差分器や光相関器が構成される。すなわち、まとめると以下のようになる。
【0137】
[光学フィルタ作成法の分類]
光学フィルタと光差分器や光相関器の作成法を分類すると、以下の(1)〜(3)となる。
【0138】
(1)その場現像法:
基準(参照)画像の光回折パターンをその場現像して光学フィルタを作成し光差分器や光相関器とする方法および装置であり、それは例えば図9、あるいは図10に示すように、熱現像用写真フィルムをフィルタケース20に入れて、検査画像のフーリエ変換レンズ6の後焦点面上光軸を中心として設置し、基準(参照)画像の光回折パターンを露光し、その場で熱現像して、光軸を中心とした光回折パターンの遮光または光相関のフィルタをつくり、それを光学フィルタとするような方法およびその装置である。
【0139】
(2)元の位置に厳密に戻して行う方法:
基準画像の光回折パターンを光学フィルタ設定位置で写真フィルムや熱現像型写真フィルム、に露光し、取外して現像及び定着して、それを厳密に元の位置に戻して光学フィルタとする方法およびその装置であり、それは例えば、基板画像のフーリエ変換レンズの後焦点面上、光軸を中心として、熱現像用写真フィルムや写真乾板を置いて、基準画像の光回折パターンを露光し、その露光したフィルムまたは乾板を取り出して現像定着した後、元に戻す時、厳密に元の位置に戻すことができる機構を備えて作成された光学フィルタあるいは光差分器または光相関器である。
【0140】
(3)サイズと位置を共に合わせて行う方法:
検査装置の検査照射光の光軸の中心である、基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、光学フィルタである基準画像の光回折パターンの画像中心を合わせると共に、基準画像の光回折パターンにサイズも回転角も完全に合わせて光学フィルタを作成して光差分器または光相関器とする方法および装置であり、それは例えば、検査画像フーリエ変換レンズの後焦点面での基準画像の光回折パターンをCCDカメラで撮影して、その画像を検査画像フーリエ変換レンズの後焦点面に置かれた液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの上に投影して、位置とサイズ、回転角を基準画像の光回折パターンに完全に合わせて、全ての画像が完全に光遮断されることを確認して光学フィルタを作成した光差分器や光相関器の作成法および装置である。
【0141】
[光学フィルタの素材と光差分器や光相関器の構造]
光学フィルタを構成する素材は前述したようにつぎのようなものがある。すなわち、(1)熱現像型写真フィルムや(2)通常の写真乾板やフィルム、(3)フォトクロミック材、(4)光電感光材料乾板、(5)液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSである。
それらの光学フィルタ材が保持枠に組込まれて光差分器や光相関器が構成される。基準の光回折パターンを、(1)その場現像、または、(2)その場露光後、外して現像後露光位置に正確に戻すこと、または、(3)液晶ディスプレイ等の光学フィルタ上で表示される擬似基準光回折パターンを実際の基準光回折パターンに画像中心を合わせると共にサイズも回転角も完全に合わせること、によって光学フィルタまたは光差分器や光相関器がつくられる。
【0142】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSを除いた材料でつくられる光差分器や光相関器の構成はつぎのようになっている。
【0143】
光差分フィルタや光相関フィルタである光学フィルタは、光学フィルタの保持機構、光学フィルタ保持機構を光学フィルタ作成位置に設置する機構、光感光材料の露光前の感光を防ぐ機構、および露光シャッタ、必要によっては、光学フィルタ露光後外乱光からの感光を防ぐ機構、光学フィルタを取出す機構、および露光時の元の位置に完全に返す機構、から構成される。
【0144】
液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSでつくられる光差分器や光相関器は、液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの保持機構、ディスプレイへの画像投影と、投影画像のサイズや回転、濃淡の加工を可能とするPCを備え、基準画像の光回折パターンの差分や光相関が完全に行われることを確認しつつ投射画像を調整する機能を有する。
【0145】
(1)その場現像法:
これは、基準(参照)画像の光回折パターンを、例えば熱現像写真フィルムに露光し、その場で熱現像する方法に対応する。すなわち、光学フィルタは、熱現像型の写真フィルムや写真乾板、フォトクロミック材、または光電感光材料乾板に露光し、その場で現像、または作像して、基準(参照)画像の照射光回折パターンをその場でつくって光遮断または光相関の光学フィルタとする方法である。
【0146】
(A)熱現像写真フィルムのその場現像法および装置
(a) ラバー式熱現像法および装置
光学フィルタのラバー式熱現像法および装置の概要を図9に示す。ラバーヒータ熱現像装置は、フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、熱風現像用ラバーヒータ31が露光されたフィルムの直近上方と下方からフィルタケース20に近づき、プログラムされた適正温度のラバーでフィルムを適正時間だけ押え、現像を終える。上下のラバーは上下に離れた後、元の位置に戻る。これによって、光学フィルタが作成され、光学フィルタを収めた一連の機構は光差分器や光相関器を構成する。
【0147】
(b)熱風現像法および装置
光学フィルタの熱風現像法および装置の概要を図10に示す。
熱現像型写真フィルムをフィルム収納ケースにセットしたまま光差分器や光相関器のフィルタケース20入れにセットする。検査装置は光学フィルタを作成するために外光が光差分器や光相関器に入らないような構造21になっている。光学フィルタ作成には、先ず、光差分器や光相関器にセットされたフィルム収納ケースの上下の蓋を開けて露光準備をする。
フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、熱風現像機の送風口30が露光されたフィルムの直近上方に近づき、熱風発生装置29から熱風をプログラムされた適正温度で適正時間だけ送り、現像を終える。熱風は止められ、送風口30は元の位置に戻る。これによって、光学フィルタが作成され、光学フィルタを収めた一連の機構は光差分器や光相関器を構成する。
【0148】
(B)フォトクロミック材のその場現像法および装置
被検査物体導入手段あるいは被検査物体形状写出手段に照射するレーザ光源を、通常の検査に用いる赤色レーザ光と同軸にしてフォトクロミック材を光遮断材にするに適する紫外レーザ光かブルーレーザ光を照射して、紫外レーザ光かブルーレーザ光の基準光回折パターンの遮光フィルタをつくる。このフォトクロミック材遮光フィルタは赤色レーザ光照射で消えないで、赤色レーザ光を遮光する。
【0149】
(C)光電感光材料乾板のその場現像または作像法および装置
透明ガラス板上に透明導電膜を有する乾板上に光増感層と光導電プラスチック層を塗布した、光導電プラスチック乾板をマイナス帯電させ、基準光回折パターンを照射すると、光照度の高い部分は電荷が抜ける。その乾板上にマイナス帯電したトナーをかけて現像すれば、光回折パターンのみが光遮断フィルタを形成する。
【0150】
(2)その場露光後、外して現像後露光位置に正確に戻す方法:
フィルムに基準画像のフーリエ変換像を露光した後、露光されたフィルムをその場現像できない場合には、現像のために露光されたフィルムを一度取り出して、現像・定着した後、フーリエ変換像フィルムを元の位置に正確に戻す必要がある。そのための光学フィルタを含む光差分器や光相関器の構造は、つぎの要件を満たす構造になっている。
【0151】
光学フィルタのフィルム固定枠は、光差分器や光相関器に着脱可能で元の位置に完全に戻せるように、光差分器や光相関器のフィルタ固定枠の矩形の奥と両側面側に、光学フィルタのフィルム固定枠が完全に収まり、光差分器や光相関器のフィルタ固定枠の手前側だけが開いて、光学フィルタのフィルム固定枠を出し入れできる構造にしてある。光学フィルタのフィルム固定枠は、フィルムを外すことなく現像液や定着液に浸しても、枠素材の変形や腐食のないステンレスや硬質プラスチック素材で構成され、露光後外光が入らないような蓋が付けられている。
【0152】
すなわち、基準画像の光回折パターンを光学フィルタ設定位置で写真フィルム等に露光し、取り外して現像及び定着して、それを厳密に元の位置に戻して光学フィルタとする方法およびその装置である。
【0153】
例えば、基板画像のフーリエ変換レンズの後ろ焦点面上光軸を中心として、熱現像用写真フィルムや写真乾板等を置いて、基準画像の光回折パターンを露光し、その露光したフィルムまたは乾板を取り出して現像定着した後、元に戻す時、厳密に元の位置に戻すことができる機構を備えて作成された光差分器や光相関器である。
【0154】
(3)液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSで作成される光差分器や光相関器上で表示される擬似基準光回折パターンを実際の基準光回折パターンに画像中心を合わせると共にサイズも回転角も完全に合わせる方法:
【0155】
検査装置の検査照射光の光軸の中心にあり、基準画像の光回折パターンの零次光の集光点に、光学フィルタである基準画像の光回折パターンの画像中心を合わせると共に、基準画像の光回折パターンにサイズも回転角も完全に合わせて光学フィルタを作成して光差分器や光相関器とする方法および装置である。
【0156】
例えば、検査画像フーリエ変換レンズの後ろ焦点面での基準画像の光回折パターンをCCDカメラ等で撮影して、その画像を検査画像フーリエ変換レンズの後ろ焦点面に設置された液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSの上に投影して、位置とサイズ、回転角を基準画像の光回折パターンに完全に合わせて、全ての画像が完全に光遮断されることを確認して光学フィルタを作成した光差分器の作成法および装置である。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、直接には、光透過型電子基板COF(Chip on Film)やTAB(Tape Automated Bonding)の欠陥(例えば、パターンの欠け、断線、短絡、金メッキの欠損、変色、レジストのピンホール、剥がれ、異物付着、ほか)等の検査に用いられる技術や装置に関するものである。また、非光透過型電子基板を液晶ディスプレイ等を通して画像写出することによって、非光透過型電子基板であるプリント基板の欠陥(パターンの欠け、断線、短絡、金メッキの欠損、変色、レジストのピンホール、剥がれ、異物付着、等)や実装基板上での欠陥(部品欠落、取付異状、など)検査にも使われる。
【0158】
本発明技術は、液晶ディスプレイ等を通して画像写出された電子基板の形状欠陥等を光学的画像処理により、高速、高精度、かつ、自動的に検出することに関するものであり、形状欠陥等の検査方法および検査装置において用いられる形状識別手段として光学的差分または排他的論理和を実現するための方法および装置に関するものである。
【符号の説明】
【0159】
1:電子カメラ、またはCCDカメラ
2:データ演算機またはPC
3:基準物体または被検査物体
4:光源(レーザ)
5:レンズ
6:フーリエ変換レンズ
7:検査物体導入手段または検査物体写出手段
8:光差分フィルタまたは排他的論理和光学フィルタ
9:逆振りえ変換レンズ
10:偏光ビームスプリッタ
12:シャッタ
15:制御装置
17:ロボット
18:ロボット
20:フィルタケース
21:筺体(暗室)
27:開閉弁制御装置
28:バルブケース
29:熱風発生装置
30:熱風吹き出し口
31:ヒーター
101:CCDカメラ
102:データ演算機
104:光源(レーザ)
105:レンズ
106:レンズ
107:検査物体導入手段または検査物体写出手段
108:光差分フィルタまたは排他的論理和光学フィルタ
109:レンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズの前焦点面を除いた前側に物体導入手段または物体形状写出手段を設けて、その物体導入手段または形状写出手段に基準物体または基準物体形状を入れて基準物体形状を射出し、
前記フーリエ変換レンズを通して得られる基準物体のフーリエ変換画像を、フーリエ変換レンズの光軸中心の後焦点面に設置した光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタの作成材料面上に投射して、
光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタをつくり、
物体導入手段または物体形状写出手段に被検査物体または被検査物体写出形状を入れて形成される被検査物体画像のフーリエ変換画像を、フーリエ変換レンズの光軸中心の後焦点面に設置された前記光学フィルタを通して、被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和の画像をとって、
その画像を、前記光学フィルタの位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズで光学的差分画像または光相関画像として得て、電子カメラで撮影して、
被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う形状欠陥検査方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載の被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う形状欠陥検査方法において、
前記物体導入手段または物体形状写出手段に検査物体の傾きまたは回転を抑える機構をもたせることを特徴とする、形状欠陥検査方法。
【請求項3】
前記請求項1に記載の被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う形状欠陥検査方法において、
可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズの前焦点面を除いた前側に物体導入手段または物体形状写出手段を設けて、導入した物体または写出した物体形状をフーリエ変換レンズでフーリエ変換して、光学フィルタでフーリエ変換画像差分を得ることによって、
物体または物体形状画像の上下、前後または左右の位置ずれに無関係に形状異常や形状欠陥を検査可能とすることを特徴とする、形状欠陥検査方法。
【請求項4】
前記請求項1に記載のフーリエ変換レンズの後焦点面で作成される光学フィルタは、基準形状のフーリエ変換画像を直接にその場で露光および現像することを特徴とする、形状欠陥検査方法。
【請求項5】
前記請求項1に記載の形状識別のための光学フィルタは、請求項1において設置される位置で基準物体形状の光回折パターンが転写されて作成されるものを使用し、
基準物体形状のフーリエ変換画像を前記光学フィルタに通すとき、透過した基準物体形状の光回折パターンの差分画像の光強度が所定の強度を越えないことを特徴とする、形状欠陥検査方法。
【請求項6】
可干渉性レーザ光源、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズと、そのレンズの前方に設置された検査物体の回転を抑えるためのガイド溝を通して搬送する検査物体の導入手段または検査物体形状写出手段と、
前記レンズの光軸中心の後焦点面または光軸中心の後焦点面付近に設置された形状識別手段としての光差分または排他的論理和を行う光学フィルタと、
光学フィルタを前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズと、
逆フーリエ変換レンズからの画像を撮り込む電子カメラと、
で構成される画像の形状欠陥の検査装置において、
フーリエ変換レンズの前焦点面を除いた前側に物体導入手段または物体形状写出手段を設けること、および検査物体の回転を抑えるためのガイド溝を通して搬送する検査物体の導入手段または検査物体形状写出手段を設けることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項7】
前記請求項6の検査装置において、前記光学フィルタは、基準形状のフーリエ変換画像を直接にその場で露光および現像して作成することを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項8】
前記請求項6記載の光学フィルタは、基準形状のフーリエ変換画像を基準の形状識別パターンとして搭載した光学フィルタであることを特徴とする形状欠陥検査装置。
【請求項9】
請求項6に記載の検査装置において、前記光学フィルタは、フーリエ変換レンズの後焦点面で、
写真乾板または写真フィルムに直接に基準フーリエ変換画像を投射し、その場で現像および定着して作成する方法、
フォトクロミック材を透明ガラス基板上に薄膜塗布した基板に、直接基準フーリエ変換画像を投射してその場で作成する方法、
または、帯電透明導電ガラス板の上に投射されたフーリエ変換画像の光の当っている部分の光電効果を利用してフーリエ変換画像にトナーを付けてその場で現像して作成する方法、
を含む基準光回折パターン直接投写作成法により、基準光回折パターンの光学フィルタを、基準フーリエ変換画像の照射位置と寸分違わぬその位置に作成することを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項10】
請求項6に記載の検査装置において、フーリエ変換レンズの後焦点面に設置された光学フィルタは、
フーリエ変換レンズの後焦点面で、基準形状のフーリエ変換画像を露光し、その露光したフィルムまたは乾板を取り出して現像定着した後に元の位置に戻される構成であることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項11】
請求項6に記載の検査装置において、フーリエ変換レンズの後焦点面に設置された光学フィルタは、
液晶ディスプレイ、DMD(Digital Mirror Device)、またはLCOS(Liquid Crystal on Silicon)で構成され、
照射レーザ光の光軸の中心である、基準画像のフーリエ変換画像の零次光の集光点に、基準画像のフーリエ変換画像の画像中心を合わせると共に、基準画像のフーリエ変換画像にサイズおよび回転角も合わせて作成されることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項12】
請求項6に記載の検査装置において、一つの光軸上に設置された、可干渉性レーザ光源、均一強度レーザ平行光束作成部、レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ、フーリエ変換レンズの前側に設置された検査物体導入手段または検査物体形状写出手段、および、フーリエ変換レンズの後焦点面に設置された光学フィルタは、画像識別光学フィルタシステムを構成することを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項13】
請求項12においては、前記システムは、
前記検査物体導入手段には光透過型物体を入れ、前記光学フィルタは光透過型光学フィルタとすることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項14】
請求項12においては、前記システムは、
前記検査物体導入手段には光透過型物体を入れ、前記光学フィルタは液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSでつくられる光学フィルタとすることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項15】
請求項12においては、前記システムは、
前記検査物体形状写出手段には液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSでつくられる物体形状写出手段を用いて物体形状を写出し、前記光学フィルタは光透過型光学フィルタとすることを特徴とする、形欠陥検査装置。
【請求項16】
請求項12においては、前記システムは、
前記検査物体形状写出手段には液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSを用いて物体形状を写出し、前記光学フィルタは液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSでつくられる光学フィルタとすることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項1】
可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズの前焦点面を除いた前側に物体導入手段または物体形状写出手段を設けて、その物体導入手段または形状写出手段に基準物体または基準物体形状を入れて基準物体形状を射出し、
前記フーリエ変換レンズを通して得られる基準物体のフーリエ変換画像を、フーリエ変換レンズの光軸中心の後焦点面に設置した光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタの作成材料面上に投射して、
光学的に差分または排他的論理和をとる光学フィルタをつくり、
物体導入手段または物体形状写出手段に被検査物体または被検査物体写出形状を入れて形成される被検査物体画像のフーリエ変換画像を、フーリエ変換レンズの光軸中心の後焦点面に設置された前記光学フィルタを通して、被検査物体画像と基準物体画像の光学的差分または排他的論理和の画像をとって、
その画像を、前記光学フィルタの位置を前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズで光学的差分画像または光相関画像として得て、電子カメラで撮影して、
被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う形状欠陥検査方法。
【請求項2】
前記請求項1に記載の被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う形状欠陥検査方法において、
前記物体導入手段または物体形状写出手段に検査物体の傾きまたは回転を抑える機構をもたせることを特徴とする、形状欠陥検査方法。
【請求項3】
前記請求項1に記載の被検査物体の形状の異常や形状欠陥の検査を行う形状欠陥検査方法において、
可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズの前焦点面を除いた前側に物体導入手段または物体形状写出手段を設けて、導入した物体または写出した物体形状をフーリエ変換レンズでフーリエ変換して、光学フィルタでフーリエ変換画像差分を得ることによって、
物体または物体形状画像の上下、前後または左右の位置ずれに無関係に形状異常や形状欠陥を検査可能とすることを特徴とする、形状欠陥検査方法。
【請求項4】
前記請求項1に記載のフーリエ変換レンズの後焦点面で作成される光学フィルタは、基準形状のフーリエ変換画像を直接にその場で露光および現像することを特徴とする、形状欠陥検査方法。
【請求項5】
前記請求項1に記載の形状識別のための光学フィルタは、請求項1において設置される位置で基準物体形状の光回折パターンが転写されて作成されるものを使用し、
基準物体形状のフーリエ変換画像を前記光学フィルタに通すとき、透過した基準物体形状の光回折パターンの差分画像の光強度が所定の強度を越えないことを特徴とする、形状欠陥検査方法。
【請求項6】
可干渉性レーザ光源、可干渉性平行レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズと、そのレンズの前方に設置された検査物体の回転を抑えるためのガイド溝を通して搬送する検査物体の導入手段または検査物体形状写出手段と、
前記レンズの光軸中心の後焦点面または光軸中心の後焦点面付近に設置された形状識別手段としての光差分または排他的論理和を行う光学フィルタと、
光学フィルタを前焦点面として設置された逆フーリエ変換レンズと、
逆フーリエ変換レンズからの画像を撮り込む電子カメラと、
で構成される画像の形状欠陥の検査装置において、
フーリエ変換レンズの前焦点面を除いた前側に物体導入手段または物体形状写出手段を設けること、および検査物体の回転を抑えるためのガイド溝を通して搬送する検査物体の導入手段または検査物体形状写出手段を設けることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項7】
前記請求項6の検査装置において、前記光学フィルタは、基準形状のフーリエ変換画像を直接にその場で露光および現像して作成することを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項8】
前記請求項6記載の光学フィルタは、基準形状のフーリエ変換画像を基準の形状識別パターンとして搭載した光学フィルタであることを特徴とする形状欠陥検査装置。
【請求項9】
請求項6に記載の検査装置において、前記光学フィルタは、フーリエ変換レンズの後焦点面で、
写真乾板または写真フィルムに直接に基準フーリエ変換画像を投射し、その場で現像および定着して作成する方法、
フォトクロミック材を透明ガラス基板上に薄膜塗布した基板に、直接基準フーリエ変換画像を投射してその場で作成する方法、
または、帯電透明導電ガラス板の上に投射されたフーリエ変換画像の光の当っている部分の光電効果を利用してフーリエ変換画像にトナーを付けてその場で現像して作成する方法、
を含む基準光回折パターン直接投写作成法により、基準光回折パターンの光学フィルタを、基準フーリエ変換画像の照射位置と寸分違わぬその位置に作成することを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項10】
請求項6に記載の検査装置において、フーリエ変換レンズの後焦点面に設置された光学フィルタは、
フーリエ変換レンズの後焦点面で、基準形状のフーリエ変換画像を露光し、その露光したフィルムまたは乾板を取り出して現像定着した後に元の位置に戻される構成であることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項11】
請求項6に記載の検査装置において、フーリエ変換レンズの後焦点面に設置された光学フィルタは、
液晶ディスプレイ、DMD(Digital Mirror Device)、またはLCOS(Liquid Crystal on Silicon)で構成され、
照射レーザ光の光軸の中心である、基準画像のフーリエ変換画像の零次光の集光点に、基準画像のフーリエ変換画像の画像中心を合わせると共に、基準画像のフーリエ変換画像にサイズおよび回転角も合わせて作成されることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項12】
請求項6に記載の検査装置において、一つの光軸上に設置された、可干渉性レーザ光源、均一強度レーザ平行光束作成部、レーザ光束中に設置されたフーリエ変換レンズ、フーリエ変換レンズの前側に設置された検査物体導入手段または検査物体形状写出手段、および、フーリエ変換レンズの後焦点面に設置された光学フィルタは、画像識別光学フィルタシステムを構成することを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項13】
請求項12においては、前記システムは、
前記検査物体導入手段には光透過型物体を入れ、前記光学フィルタは光透過型光学フィルタとすることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項14】
請求項12においては、前記システムは、
前記検査物体導入手段には光透過型物体を入れ、前記光学フィルタは液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSでつくられる光学フィルタとすることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【請求項15】
請求項12においては、前記システムは、
前記検査物体形状写出手段には液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSでつくられる物体形状写出手段を用いて物体形状を写出し、前記光学フィルタは光透過型光学フィルタとすることを特徴とする、形欠陥検査装置。
【請求項16】
請求項12においては、前記システムは、
前記検査物体形状写出手段には液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSを用いて物体形状を写出し、前記光学フィルタは液晶ディスプレイ、DMD、またはLCOSでつくられる光学フィルタとすることを特徴とする、形状欠陥検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−203152(P2011−203152A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71430(P2010−71430)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(304033720)有限会社 高度技術研究所 (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(304033720)有限会社 高度技術研究所 (5)
【Fターム(参考)】
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