説明

情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法およびプログラム

【課題】情報が配信されたときに、その配信された情報の一部を提示して、所望の情報のみをユーザに対して表示すること。
【解決手段】狭域通信方式で通信する無線装置50A、50Bを介してセンタ−装置70から配信されたコンテンツ情報を受信する通信部と、コンテンツ情報を出力する出力部と、出力部に所定の情報提供条件を満たしたときにコンテンツ情報を出力させる制御部と、有する情報提供装置であって、制御部は、コンテンツ情報の要約を生成する要約情報生成部と、コンテンツ情報の受信を通知するコンテンツ情報受信通知部と、コンテンツ情報の要約とともに出力され、コンテンツ情報の詳細を出力するか否かを入力する詳細情報出力要否入力部と、を有する車載器20とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、道路に設けた路側機と車輌に設けた車載情報端末装置の間で、DSRC(Dedicated Short Range Communications:狭域通信)を利用して通信し、路側機近傍を通過する車輌に対して、近郊の広告情報をスポット的に提供する広告配信システムを開示する。この広告配信システムにより提供された広告情報は、車載情報端末装置のディスプレイ上に表示されることにより、乗員に広告情報を通知できる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−101578号公報(特許請求の範囲など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された広告配信システムに開示された情報提供サービスでは、あらゆる広告情報などがユーザの嗜好に関係なく配信されるため、配信されるデータ数が増加すると、ユーザにとって不要な情報も配信される。
【0005】
また、この広告配信システムに用いられる装置をユーザが操作しているときにこれらの広告情報などが配信されると、現在の操作が中断され、広告情報などが優先的に表示されてしまうことがある。そして、このような割り込みが頻繁に発生すると、ユーザにとって非常に煩わしいものとなる。
【0006】
そこで、本発明は、情報が配信されたときに、その配信された情報の一部を提示して、所望の情報のみをユーザに対して出力する情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報提供装置は、狭域通信方式で通信する無線装置を介してセンタ−装置から配信されたコンテンツ情報を受信する通信部と、コンテンツ情報を出力する出力部と、出力部に所定の情報提供条件を満たしたときにコンテンツ情報を出力させる制御部と、有する情報提供装置であって、制御部は、コンテンツ情報の要約を生成する要約情報生成部と、コンテンツ情報の受信を通知するコンテンツ情報受信通知部と、コンテンツ情報の要約とともに出力され、コンテンツ情報の詳細を出力するか否かを入力する詳細情報出力要否入力部と、を有するものである。
【0008】
本発明に係る情報提供装置は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、要約情報生成部は、コンテンツ情報の一部を抜き出してコンテンツ情報の要約として生成するものである。
【0009】
本発明に係る情報提供装置は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、要約情報生成部は、コンテンツ情報もしくはコンテンツ情報と共に受信した情報からコンテンツ情報の要約を生成するものである。
【0010】
本発明に係る情報提供装置は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、コンテンツ情報がユーザの好むコンテンツ情報であるか否かを判定するコンテンツ情報嗜好判定部を有し、コンテンツ情報嗜好判定部がコンテンツ情報をユーザの好むコンテンツ情報であると判定したときは、コンテンツ情報の要約または詳細情報を出力部に出力させるものである。
【0011】
本発明に係る情報提供方法は、狭域通信方式で通信する無線装置を介してセンタ−装置から配信されたコンテンツ情報を受信する通信部と、コンテンツ情報を出力する出力部と、出力部に所定の情報提供条件を満たしたときにコンテンツ情報を出力させる制御部と、有する情報提供装置に用いられる情報提供方法であって、コンテンツ情報の要約を生成するステップと、コンテンツ情報の受信を通知するステップと、コンテンツ情報の詳細を出力するか否かを入力するステップと、を有するものである。
【0012】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、狭域通信方式で通信する無線装置を介してセンター装置から配信されたコンテンツ情報を受信する通信手段、コンテンツ情報を出力する出力手段、出力手段に所定の情報提供条件を満たしたときにコンテンツ情報を出力させる制御手段、コンテンツ情報の要約を生成する要約情報生成手段、コンテンツ情報の受信を通知するコンテンツ情報受信通知手段、コンテンツ情報の詳細を出力するか否かを入力する詳細情報出力要否入力手段、として機能させるものである。
【0013】
本発明に係る情報提供システムは、コンテンツ情報を配信するセンタ−装置と、センタ−装置から配信されたコンテンツ情報を狭域通信方式で送信する無線装置と、無線装置からコンテンツ情報を受信する通信部と、コンテンツ情報を出力する出力部と、出力部に所定の情報提供条件を満たしたときにコンテンツ情報を出力させる制御部と、を有する情報提供装置と、を少なくとも有する情報提供システムであって、情報提供装置の制御部は、コンテンツ情報の要約を生成する要約情報生成部と、コンテンツ情報の受信を通知するコンテンツ情報受信通知部と、コンテンツ情報の要約とともに出力され、コンテンツ情報の詳細を出力するか否かを入力できる詳細情報出力要否入力部と、を有するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、情報が配信されたときに、その配信された情報の一部を提示して、所望の情報のみをユーザに対して出力する情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態に係る情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法およびプログラムについて図面に基づいて説明する。以下の説明では、本発明の一実施の形態に係る情報提供システム、情報提供装置および情報提供方法は、情報提供システム10の説明の中で説明する。また、本発明の一実施の形態に係る情報提供装置のプログラムは、車載器20の動作説明の中で説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係る情報提供システム10全体の構成を示す図である。情報提供システム10は、センター装置70から車輌100に搭載された車載器20(情報提供装置)にコンテンツ情報を配信するシステムである。図1に示すように、センター装置70は、DSRC専用のネットワーク110Aを介して路上や駐車場、道の駅などに複数設置された無線装置50A、50Bと接続されている。また、図1に示すように、センター装置70は、他の外部ネットワーク110Bを介して路上や駐車場以外に複数設置された無線通信アクセスポイント60(無線装置の他の形態)と接続されている。外部ネットワーク110Bは、インターネット、及びこれに接続された移動体通信網、無線LAN(Local Area Network)、Wimax(Worldwide Interoperability for Microwave Access)などの無線通信網を含んでいる。
【0017】
各無線装置50A、50Bは、DSRC通信機能を備えた車載器20と無線通信可能に構成され、車載器20と通信が確立すると、その旨をセンター装置70に通知し、センター装置70からコンテンツ情報を受信して車載器20に送信する。なお、図1に示すように、無線装置50Aは、DSRC専用の独自プロトコルにより車載器20及びセンター装置70と通信を行ない、無線装置50Bは、IP(Internet Protocol)により車載器20及びセンター装置70と通信を行なう。
【0018】
センター装置70は、DSRCの専用ネットワーク110Aまたは外部ネットワーク110Bを介して車載器20からのコンテンツ情報の取得要求を受信すると、要求されたコンテンツ情報を車載器20に送信する。なお、センター装置70が無線装置50Aを介して車載器20に提供するコンテンツ情報は、例えば、車輌100周辺の店舗、駐車場、医療施設などの各種施設のサービス案内である。また、センター装置70がDSRCの専用ネットワーク110A若しくは外部ネットワーク110Bを介して、または無線装置50B若しくは無線通信アクセスポイント60を介して車載器20に提供するコンテンツ情報は、車載器20でWebページを表示するためのHTMLファイルや、Webページを介して提供される画像情報、音楽情報などのマルチメディアコンテンツ情報などである。
【0019】
図2は、図1に示すセンター装置70、無線装置50A,50Bと、車載器20との間で行なわれる通信のトランザクションを示す図である。
【0020】
この図2に示すトランザクションは、車載器20が、無線装置50A,50Bの通信エリア内に進入したとき(以下、この進入時点を「エリアイン」という)から、車載器20が無線装置50A,50Bの通信エリア外に移動する時(以下、この時点を「エリアアウト」という)までの各部の通信処理を示すものである。以下、各ステップについて説明する。
【0021】
ステップS10:車載器20は、エリアイン後に、無線装置50A、50BとDSRC接続処理を行なう。なお、DSRC接続処理の詳細については、省略する。
【0022】
ステップS11:無線装置50A、50Bは、センター装置70にDSRC接続通知を行なう。
【0023】
ステップS12:車載器20は、クライアントインフォメーションデータと呼ばれる情報を50A、50Bを介してセンター装置70に送信する。ここで、クライアントインフォメーションデータとは、通信エリア内にいる車載器20が再生可能なコンテンツの種類や、車載器20が搭載するコンテンツ再生アプリケーションなどを示す情報のことである。また、車載器20が対応可能な言語情報,測地系情報(日本または世界の測地系情報),対応可能なDRM(Digital Rights Managemaent),搭載している表示部(ディスプレイ)の解像度,蓄積可能なデータ量などもサプリメントインフォ情報としてクライアントインフォメーションデータと合わせて通知が可能となっている。
【0024】
ステップS13:センター装置70は、ステップS12で通知されたクライアントインフォメーションデータに基づき、車載器20自体を一意に識別することができるASL−IDを用いた会員判別や、その車載器20が有する機能情報を解析して、車載器20に適したコンテンツを後述するマルチコンテンツフォーマット(図7参照)で編成して、無線装置50A,50Bへ受け渡す。そして、無線装置50A,50Bは、それらの情報を車載器20へ送信する。なお、車載器20は、無線装置50A,50Bを介して受け取った情報からサービス事業者を判別して、そのサービス事業者用のアップリンク用データを無線装置50A,50Bに通知(アップリンク)する(以下、このステップにて処理する情報を「アップリンク情報」という)。無線装置50A,50Bは、そのアップリンク情報をセンター装置70へ受け渡す。ただし、車載器20は、そのサービス事業者用のアップリンク用データが存在しない場合や、そのサービス事業者の非会員である場合にはアップリンク用データを提供しない。
【0025】
ステップS14:センター装置70は、ステップS13の処理以降、無線装置50A,50Bを介して、アップリンク情報の有無を確認するため、車載器20に対して定期的にポーリングを行なう。このポーリングによりアップリンク情報がある場合には、そのアップリンク情報を取得する。
【0026】
ステップS15:車載器20は、アップリンク情報を無線装置50A、50Bを介してセンター装置70へ送信する。
【0027】
ステップS16:センター装置70は、ステップS15の処理以降、無線装置50A,50Bを介して、アップリンク情報の更新有無を確認するため、車載器20に対して定期的にポーリングを行なう。このポーリングにより情報が更新されている場合には、その情報を取得し、更新されていない場合には、更にポーリングを続ける。
【0028】
ステップS17:センター装置70は、ステップS15またはステップS16によって、アップリンク情報を取得したときは、その情報に基づいて、コンテンツをマルチコンテンツフォーマットで編成して、無線装置50A,50Bに配信する(以下、このステップの処理を「ダウンリンク」という)。無線装置50A,50Bは、配信されたコンテンツを車載器20に逆配信する。なお、このコンテンツは、アップリンク情報として受信した目的地や経由地、過去立寄地などが勘案されて情報提供可能エリアが決定され、車載器20へ配信される。したがって、原則として車載器20の情報提供可能エリア内のコンテンツが配信されるようになっている。
【0029】
ステップS18:センター装置70は、情報提供可能エリアにあったコンテンツの配信が終了したときは、その旨を通知してエリアアウトを促す。なお、センター装置70が無線装置50Aを介して車載器20に提供するコンテンツ情報は、例えば、車輌100周辺の店舗、駐車場、医療施設などの各種施設のサービス案内である。また、センター装置70がDSRCの専用ネットワーク110A若しくは外部ネットワーク110Bを介して、または無線装置50B若しくは無線通信アクセスポイント50Cを介して車載器20に提供するコンテンツ情報は、車載器20でWebページを表示するためのHTMLファイルや、Webページを介して提供される画像情報、音楽情報などのマルチメディアコンテンツ情報などである。
【0030】
続いて、情報提供システム10を構成する装置について詳細に説明する。
[実施の形態に係るセンター装置]
センター装置70は、無線装置50A、50B若しくは無線通信アクセスポイント60にサービス事業者などから提供される地域情報、広告情報および上記のマルチメディアコンテンツ情報などを配信するサーバである。センター装置70は、図1に示すネットワーク110Aやネットワーク110Bを介して他の外部装置(図示せず)と交信し、種々の情報を取得する。また、センター装置70は、無線装置50A、50B若しくは無線通信アクセスポイント60などとネットワークを経由して接続され、上述した情報を送信する機能を有する。センター装置70は、上述した機能を情報処理や通信制御を行なう制御部、記憶部などを備えたコンピュータ端末により構成することができる。なお、図1におけるセンター装置70は、便宜上1つの、センター装置70として図示しているが、必ずしも一つである必要はなく、複数のセンター装置70としてもよい。また、図1における情報提供システム10は、無線装置50A、50B若しくは無線通信アクセスポイント60のいずれか一つの接続形態から構成されていてもよい。
【0031】
[実施の形態に係る無線装置]
図1に示す無線装置50A、50Bは、図3に示す無線装置50のように本体装置501とアンテナ502とを主要な構成要素としている。図3に示すように、無線装置50は、道路脇や道路上方、駐車場、道の駅などに設置されたアンテナ502から、到達距離が限定されたDSRCの電波を放射して近傍に路側エリアZを形成する。この路側エリアZ内にある車輌100の車載器20とだけ双方向の狭域無線通信が可能となる。以下、無線装置50と車載器20間の狭域無線通信を「路車間通信」という場合がある。なお、無線装置50と同様の無線装置として、図1に示すように無線通信アクセスポイント60を使用してもよい。以下の説明では、無線装置50について説明する。
【0032】
DSRCは5.8GHz帯域の電波を使った通信方式であり、その通信範囲は例えば数メートルから数十メートルである。無線装置50からのDSRCの送信出力は何れも同じ程度に設定されているので、複数の無線装置50がそれぞれ形成する路側エリアZは、設置場所に関係なくほぼ一定である。
【0033】
本体装置501は、車載器20とセンター装置70間の情報のやりとりを仲介するための処理を行なう。すなわち、センター装置70から送信されたコンテンツ情報は、車載器20へ転送される。また、アンテナ502を介して車載器20より受信した情報は、ネットワーク110Aを介してセンター装置70に転送される。本体装置501は、たとえば情報処理や通信制御を行なう制御部、記憶部などを備えたコンピュータ端末により構成することができる。
【0034】
なお、図1に示す無線装置50Aに使用される本体装置の制御部は、DSRC専用のプロトコルにより車載器20との通信制御を行なうものである。また、無線装置50Bの本体装置の制御部は、インターネットプロトコルにより車載器20との通信制御を行なうものである。
【0035】
[実施の形態に係る車載器]
情報提供装置としての車載器20は、図4に示すように、DSRC部21と、ナビ部33と、それらを制御する制御部40と、を主要な構成要素としている。
【0036】
DSRC部21は、図4に示すように、更に通信部としての送受信部/変復調部22と、DSRC制御部23と、DSRC−ASL処理部24と、メモリ部25と、ヒューマンマシンインタフェース部26と、要約情報生成部27と、コンテンツ情報受信通知部28と、詳細情報出力要否入力部29と、即時性判定部31と、コンテンツ情報嗜好判定部32と、を主要な構成要素としている。
【0037】
送受信部/変復調部22は、インタフェース(DSRCプロトコルの物理層に相当するインタフェース)を実装している。また、送受信部/変復調部22は、受信した電波をデジタル変調/復調する機能(ASK/QSPK)を有する。
【0038】
DSRC制御部23は、無線装置50とのDSRC通信を行なう。具体的には、インタフェース(DSRCプロトコルのデータリンク層およびアプリケーション層に相当するインタフェース)を実装し、無線装置50と5.8GHz帯の無線通信を行なうことができる。
【0039】
DSRC−ASL処理部24は、基本アプリケーション処理およびセキュリティプラットフォームを提供する。具体的には、通信インタフェースを実装し、車載器20にインストールされている各アプリケーション(図示せず)と無線装置50との間でDSRC−ASLによる通信制御を行なう。
【0040】
上述した送受信部/変復調部22、DSRC制御部23およびDSRC−ASL処理部24は、IPを用いた通信制御を行なう、いわゆるIP系通信と、IPを用いずその他の通信プロトコルで通信制御を行なう、いわゆる非IP系通信のそれぞれに対して通信インタフェースを提供する。
【0041】
メモリ部25は、例えば、フラッシュメモリなどによって構成されており、制御部40が実行する基本的なプログラムを格納している。また、メモリ部25は、CPU(図示せず)が演算処理を実行する際に、演算途中のプログラムまたはデータを一時的に記憶する。また、メモリ部25は、無線装置50から送信されてきた各種コンテンツ情報を記録して所定の階層構造に従って蓄積することができる。
【0042】
ヒューマンマシンインタフェース部26は、非IP系通信およびIP系通信に対応したインタフェースを提供する機能を有する。具体的には、IP系通信に用いるDSRC応用サービスに対応するためのHTTP(Hyper Text Transfer Protcol)ブラウザ(たとえばHTML4.01,CSS1及びCSS2など)、IP系/非IP系通信に用いるDSRC応用サービスに対応するための文字コーデック(たとえばJIS、UNICODEなど),音声コーデック(たとえばTTS,MP3など),画像コーデック(たとえばJPEG、GIFなど),動画コーデック(たとえばMPEG4)などを搭載している。
【0043】
要約情報生成部27は、無線装置50や無線通信アクセスポイント60から送受信部/変復調部22を介して受信したコンテンツ情報の要約を生成する機能を有する。ここで要約とは、たとえば、送信されてきたコンテンツ情報の一部の情報を指す。たとえば、後述するマルチコンテンツ情報フォーマットで送信されてきたコンテンツ情報の一部を抜き出して、当該コンテンツ情報の要約として表示したり、コンテンツ情報を配信する対象となる地点情報と自車位置の情報とから対象地点までの所要時間や距離を算出した値を要約として表示したりすることができる。また、送信されてきたコンテンツ情報には直接含まれない情報を要約としてもよい。ここで、コンテンツ情報には直接含まれない情報としては、上述した所要時間や距離を算出した値のほか、コンテンツ情報に含まれる詳細情報内のテキストからキーワードを抽出して生成された情報、抽出したキーワードを加工した情報なども含まれる。また、既知の構文解析技術を用いて所定の名詞やキーワードをコンテンツ情報から抽出して、要約を生成するようにしてもよい。なお、キーワードを抽出するためには、メモリ部25に予めよく使用される単語をキーワードリストとして保持しておくことが好ましい。また、要約情報生成部27は、受信したコンテンツ情報に含まれる詳細情報が表音文字列である場合、それらの表音文字列から所定の名詞やキーワードを抽出して、抽出した単語を合成音声によって発話させるようにしてもよい。なお、要約情報生成部27を用いた情報提供処理の詳細については後述する。
【0044】
コンテンツ情報受信通知部28は、送受信部/変復調部22を介して受信したコンテンツ情報の要約またはコンテンツ情報の詳細を出力部39に出力させて、ユーザにコンテンツ情報の受信を通知する機能を有する。また、コンテンツ情報受信通知部28は、コンテンツ情報の受信を通知するアイコンを出力部39に出力させる機能(第1の出力表示)と、コンテンツ情報の詳細を出力するポップアップウィンドウを出力部39に出力させる機能(第2の出力表示)を有する。
【0045】
詳細情報出力要否入力部29は、コンテンツ情報受信通知部28により出力されたアイコンを介してコンテンツ情報の詳細を出力部39に出力するか否かを決定できる機能を有する。この機能により、ユーザは、受信したコンテンツ情報の詳細の要否を車載器20に入力することができる。なお、詳細情報出力要否入力部29を用いた情報提供制御方法の詳細については後述する。
【0046】
即時性判定部31は、送受信部/変復調部22で受信したコンテンツ情報が即時性の高い情報であるか否かを判定する機能を有する。即時性判定部31は、コンテンツ情報に含まれる即時性を判断できる識別子の有無判定(フラグ判定)により、コンテンツ情報の即時性を判定する。具体的には、たとえばID03に分類される即時表示/蓄積コード(不図示)などが用いられる。なお、制御部40は、即時性判定部31により受信したコンテンツ情報の即時性が高いと判定された場合には、そのコンテンツ情報をすぐに出力する。一方、制御部40は、即時性判定部31により受信したコンテンツ情報の即時性が高くないと判定された場合には、そのコンテンツ情報の情報提供地点で出力するために、メモリ部25に蓄積する。
【0047】
コンテンツ情報嗜好判定部32は、送受信部/変復調部22で受信したコンテンツ情報がユーザの嗜好に合致している情報であるか否かを判定する機能を有する。
【0048】
ナビ部33は、図4に示すように、更にナビデータ処理部34と、ヒューマンマシンインタフェース部35と、高精度測位計測部36と、地図データ部37と、操作部38と、出力部39と、を主要な構成要素とする。ナビ部33は、主にカーナビゲーションシステムとしての機能を有する。以下、ナビ部33の各構成について、具体的に説明する。
【0049】
ナビデータ処理部34は、情報提供制御機能および情報収集機能を有する。情報提供制御機能は、非IP系通信への対応として、優先表示,情報提供判断及び情報蓄積などの情報提供を制御する機能である。情報収集機能は、ナビ部33が保持又は蓄積している車輌内情報を、DSRC部21を通して無線装置50へ送信する機能、すなわちアップリンクをする機能である。
【0050】
ヒューマンマシンインタフェース部35は、上述したヒューマンマシンインタフェース部26と同様の機能であるため、説明を省略する。
【0051】
高精度測位計測部36は、GPS(Global Positioning System)受信機やジャイロセンサを有し、それらにより測位計測を行ない、車輌100の位置を常に把握する機能を有する。
【0052】
地図データ部37は、高精度測位計測部36による車輌100の位置にマッチングした現在地の地図データを提供する機能を有する。また、地図データ部37は、目的地まで誘導できる地図データを提供することができる。なお、地図データ部37の有する地図データは、メモリ部25に記憶されている。
【0053】
操作部38は、釦やリモコンによる操作や、出力部39の表示画面へのタッチパネル操作、音声指示による操作ができる機能を有する。
【0054】
出力部39は、DSRC応用サービスに対応した画面表示案内やスピーカを使用した音声案内を行なうことができる機能を有する。
【0055】
制御部40は、上述したDSRC部21、ナビ部33、要約情報生成部27、コンテンツ情報受信通知部28、詳細情報出力要否入力部29に含まれるすべての処理に関してCPU(図示せず)などにより演算/制御する機能を有する。
【0056】
[本実施の形態に係る情報提供システムで使用されるデータ形式]
続いて、本実施形態で使用されるマルチコンテンツ情報フォーマットについて説明する。ここで、マルチコンテンツ情報フォーマットとは、ひとつのデータ形式で様々なDSRC応用サービスに対応できるように個別に構成された複合フォーマットのことをいう。
【0057】
図5は、図1に示す情報提供システム10で使用されるマルチコンテンツ情報フォーマットの一例を示す図である。1つのコンテンツ情報は、図5に示すように、ID00〜ID256より分類される情報が格納可能なファイルにより構成され、提供するコンテンツの内容に応じて必要な情報を有している。このマルチコンテンツフォーマットのデータ構成を利用することで、配信したコンテンツの様々な動作を規定することができる。また、配信されるコンテンツは、複数のIDが付与されたコンテンツから構成されているため、コンテンツの動作ごとに構成を変えることが可能となっている。
【0058】
図6は、図1に示す車載器20のディスプレイに表示される画面例を示す図である。図6の画面D6を表示するためのコンテンツ情報には、ID01、02、04、10の情報はすべて必要であるため、ID01、02、04、10の情報を有している。一方、図12の画面D1〜D5のそれぞれを表示するためのコンテンツ情報には、ID02の「嗜好データカテゴリ」、ID10の「対象地点座標情報」、「サービス名称表示用テキスト」、「URL情報」、「提携駐車場情報」、「アイコン画像情報」などは必要ではないため、これらの情報を有さない。
【0059】
ここで、ID00〜ID256より分類される情報のうち、主要な情報について説明する。
【0060】
ID00に分類される「ID構成情報」は、図5に示すように、配信するコンテンツに含まれているID情報を記載する領域である。ID=00のデータ形式には、「情報バイト数」と「項目有無情報」とを有する。「情報バイト数」は、ID=00の全体のデータ量を示す領域である。これにより、車載器20側で受信可能なデータであるか否かを判定することもできる。「項目有無情報」は、情報を構成するIDを小さい順に2バイト単位で記述できる領域である。ここに、配信コンテンツに含まれるIDすべてが記載されている。
【0061】
ID01に分類される「事業者情報」は、図5に示すように、当該コンテンツを配信するサービス事業者に関する情報であり、例えば、コンテンツを提供するサービス事業者の「サービス事業者コード」,「サービス事業者発話用表音文字列」,「事業者名表示用テキスト」などが含まれる。
【0062】
ID02に分類される「情報提供企業情報」は、図5に示すように、当該コンテンツ情報の属性を示す情報であり、例えば、コンテンツを提供する情報提供企業の「企業コード」、「企業名表示用テキスト」、コンテンツを特定するための「情報コード」、コンテンツの内容を示す「情報タイトル表示用テキスト」、コンテンツのカテゴリを示す「嗜好データカテゴリ」などが含まれる。「嗜好データカテゴリ」は、最大96項目の分類でコンテンツをカテゴリ分けするために用いられる領域であり、後述するID=80の嗜好データテーブル1〜127のそれぞれが含まれているか否かをフラグで示すものである。コンテンツ情報によっては複数のカテゴリに属することも考えられるため、96項目の各項目を1bitで表現している。この「嗜好データカテゴリ」を基に車載器20は、カテゴリ毎に検索や並び替えなどをすることができる。
【0063】
ID10に分類される「対象地点情報」は、図5に示すように、当該コンテンツにより案内されるサービスが提供される地点(対象地点という)に関する情報や当該コンテンツの実データを含む。「対象地点情報」は、対象地点の緯度経度を示す「対象地点座標情報」、対象地点で提供されるサービスや店舗の名称を示す「サービス名称表示用テキスト」、サービスの説明用テキスト情報である「表示用文字データ」、サービス案内を表示するための「表示用画像データ」、サービスの音声案内のための「表音文字列データ」及び「圧縮音声データ」、当該コンテンツの内容に関連する情報を提供するWebページの格納場所のアドレスを示す「URL情報」、対象地点以外の提携駐車場を示す「提携駐車場情報」、対象地点を地図画面上に表示する際の「アイコン画像情報」などが含まれる。
【0064】
ID20に分類される「情報提供地点」は、図5に示すように、「情報提供中心座標」,「情報提供エリア」,「情報提供方向コード」,「情報提供道路種別」,「表示画像データ」,「表音文字列データ」,「圧縮音声データ」,「音声再生順」など、コンテンツ情報の情報提供地点に関する情報が含まれている。「情報提供中心座標」は、コンテンツ情報を再生させる範囲の中心を指定するための中心座標が緯度経度で記録されている。「情報提供エリア」は、情報提供中心座標を中心とした所定の座標範囲が記録されている。この情報提供エリアにより、コンテンツ情報が再生される範囲を指定することができる。「情報提供方向コード」は、情報提供エリアへの進入方向が記録されている。この進入方向を指定することにより、コンテンツ情報の再生を車載器20を搭載した車輌の進入方向が一致するときにのみ再生することができる。「情報提供道路種別」は、情報を提供される道路種別が記録されている。この情報提供道路種別の情報により、車載器20が情報提供エリア内で且つ道路種別が一致した場合にのみコンテンツ情報の再生を行なうという制御を行なうことができる。「表示画像データ」は、情報提供地点で表示する画像データが記録されている。「表音文字列データ」は、情報提供地点で発話される表音文字列が記録されている。「圧縮音声データ」は、情報提供地点で発話される圧縮音声データが記録されている。「音声再生順」は、音声データとして表音文字列と圧縮音声データが同時に配信された際の再生順序を表現する情報である。たとえば、「音声再生順」の情報が「0」の場合には、圧縮音声データ→表音文字列の順に再生し、「1」の場合には、表音文字列→圧縮音声データの順に再生する。
【0065】
ID30に分類される「遷移情報」は、図5に示すように、画面遷移情報などが含まれる。この情報により、図12に示すような画面遷移を行なうことができる。
【0066】
ID40に分類される「詳細情報」は、図5に示すように、詳細情報が書き込める汎用的な領域が含まれる。「詳細情報」とは、たとえば、このID40と共に配信されてきた情報に関連した情報や付随した情報のことである。
【0067】
ID80に分類される「嗜好データ」は、図5に示すように、「嗜好データバージョン情報」,「嗜好データテーブル1〜127」などが含まれる。「嗜好データ」は、サービス事業者が配信するコンテンツを最大96項目に分類して利用者の嗜好に合わせて配信するコンテンツを選択するために用いる領域である。この嗜好データ領域については、サービス事業者ごとに自由に構成を変更することができる領域である。嗜好データの内容や項目は、サービス事業者により異なるため、嗜好データテーブルを利用者の車載器20へ受け渡すために、このID80の領域を利用する。なお、嗜好データとは、車載器20を利用しているユーザの行動履歴や選択した趣味・嗜好が、蓄積されたまたは記憶されたデータのことである。また、この嗜好データに基づいてコンテンツの分類が同一であるか否かによって、表示方法を決定してコンテンツ情報を配信することもできる。
【0068】
本実施の形態において上述したようなマルチコンテンツ情報フォーマットを利用することで、PUSH型のデータ配信であるDSRC通信においても、個人の趣味・嗜好などに即した個別のPUSH型のデータ配信を行なうことが可能となる。また、このマルチコンテンツ情報フォーマットで提供されるコンテンツ情報は、情報提供方法を識別できるフラグ判定などを用いることで、車載器20に一度蓄積され、その後にフラグ判定による特定の条件を満たした場合に、コンテンツ情報を再生することもできる。したがって、DSRC通信は、特定の通信エリア内に留まっていないと情報を送受信することができないが、受信した情報を蓄積して記憶させておくことで、エリア外にいるときでも情報を再生することができる。また、地域情報や広告情報などのコンテンツ情報の再生タイミングを設定しておくことで、ユーザのニーズに合わせた情報を配信することができる。
【0069】
なお、上述した即時性判定部31やコンテンツ情報嗜好判定部32は、これらのマルチコンテンツ情報フォーマットに含まれる情報に基づいて、各々の判定を行なっている。たとえば、即時性判定部31は、マルチコンテンツ情報フォーマットに含まれるコンテンツ情報の種類や分類により受信したコンテンツ情報の即時性を判定することができる。また、コンテンツ情報嗜好判定部32は、メモリ部25に記録されているユーザの嗜好特性と、マルチコンテンツ情報フォーマットに含まれるそのコンテンツ情報自体の嗜好分類が一致するか否かにより、受信したコンテンツ情報がユーザの嗜好と一致しているか否かを判定することができる。
【0070】
このような情報提供システム10は、コンテンツ情報が配信されたときに、その配信されたコンテンツ情報の一部を提示して、所望の情報のみをユーザに対して提供することができる。
【0071】
また、このような情報提供システム10に係る情報提供装置としての車載器20は、同様にコンテンツ情報が配信されたときに、その配信されたコンテンツ情報の一部を提示して、所望の情報のみをユーザに対して提供することができる。
【0072】
続いて、上述した情報提供システム10において情報提供装置としての車載器20が行なう第1の情報提供処理について説明を行なう。
【0073】
車載器20が行なう第1の情報提供処理は、まず、コンテンツ情報を受信したときに、そのコンテンツ情報の要約を生成する。そして、出力部39にアイコンやポップアップウィンドウを表示するか、または受信した表音文字列を用いた音声案内を行なうか、あるいはそれら両方によって、ユーザに対してコンテンツ情報を提供することができる。なお、出力部39に表示されるアイコンは、地図上の提供地点などに示されるものではなく、車載器20内で独自に生成されるものである。
【0074】
図7は、図1に示す車載器20が行なう第1の情報提供処理のフローチャートを示す図である。以下、各ステップについて説明する。
【0075】
START:車載器20の制御部40は、車載器20の電源がONになる、または情報提供処理を行なう設定になると情報提供処理を開始する。
【0076】
ステップS100:制御部40は、コンテンツ情報を受信したか否かを監視する。制御部40は、コンテンツ情報を受信しない場合(ステップS100でNo)は、ステップS100の監視処理を繰り返す。制御部40は、コンテンツ情報を受信した場合(ステップS100でYes)は、ステップS101の処理へ移行する。
【0077】
ステップS101:制御部40は、受信したコンテンツ情報が過去に受信した情報であるか否かの判定を行なう(情報フラグ判定)。具体的には、メモリ部25に記憶されたコンテンツ情報の、ID02に分類される「情報コード」が一致するか否かにより過去に受信したコンテンツ情報であるか否かの判定を行なう。制御部40は、受信したコンテンツ情報が過去に受信した情報であると判定したとき(ステップS101でYes)は、ステップS102の処理へ移行する。一方、制御部40は、受信したコンテンツ情報が過去に受信した情報ではないとき(ステップS101でNo)は、ステップS105の処理へ移行する。
【0078】
ステップS102:制御部40は、過去に受信したときの表示状態(ポップアップウィンドウでの表示/アイコンでの表示)を参照して、判定を行なう(ユーザフラグ判定)。ここでユーザフラグ判定とは、たとえば、過去に受信した情報であると判明したときに、その過去に受信したときの表示態様を記録しておき、再度受信したときに同一の表示態様となるようにするための判定である。制御部40は、過去に受信したときの表示状態がポップアップによる表示である場合(ステップS102でYes)は、ステップS105へ処理を移行する。一方、制御部40は、過去に受信したときの表示状態がアイコンによる表示である場合(ステップS102でNo)は、ステップS103の処理へ移行する。
【0079】
ステップS103:制御部40は、コンテンツ情報をアイコンによって表示する。そして、制御部40は、ステップS104の処理へ移行する。
【0080】
ステップS104:制御部40は、ユーザからの入力があるか監視する(ユーザ選択判定)。ここで、ユーザ選択判定とは、たとえばユーザからの入力を所定時間受け付ける判定である。なお所定時間は、たとえば表示されてから30秒、1分などである。制御部40は、ユーザからの入力があった場合(ステップS104でYes)は、ステップS105の処理へ移行する。制御部40は、ユーザからの入力がなかった場合(ステップS104でNo)は、ステップS100の処理へ移行する。
【0081】
ステップS105:制御部40は、ポップアップウィンドウによるコンテンツ情報の表示を行なう。その後、制御部40は、ステップS106の処理へ移行する。
【0082】
ステップS106:制御部40は、ユーザからの入力があるか否かの判定(ユーザ選択判定)を行なう。ここで、ユーザ選択判定とは、たとえばユーザからの入力を所定時間受け付ける判定である。なお所定時間は、たとえば表示されてから30秒、1分などである。制御部40は、ユーザからの入力があった場合(ステップS106でYes)は、ステップS107の処理へ移行する。一方、制御部40は、ユーザからの入力がなかった場合(ステップS106でNo)は、ステップS108の処理へ移行する。
【0083】
ステップS107:制御部40は、ユーザ選択フラグを「表示」に設定する。そして、制御部40は、ステップS109の処理へ移行する。
【0084】
ステップS108:制御部40は、ユーザ選択フラグを「非表示」に設定する。そして、制御部40は、ステップS109の処理へ移行する。
【0085】
ステップS109:制御部40は、コンテンツ情報を受信したか否かの判定処理に戻る。すなわち、制御部40は、ステップS100の処理へ移行する。
【0086】
なお、上述した第1の情報提供処理の前提として、受信したコンテンツ情報の要約生成処理が行なわれる。この要約生成処理は、たとえば、受信したコンテンツ情報をメモリ部25に保存するステップと、コンテンツ情報の要約を生成するステップと、要約を出力するステップと、を有するものであり、更にコンテンツ情報の詳細を出力させるか否かを入力するステップと、を有するものである。
【0087】
このような情報提供方法を採用することで、コンテンツ情報が配信されたときに、その配信されたコンテンツ情報の一部を提示して、所望の情報のみをユーザに対して提供することができる。
【0088】
続いて、図7で示した第1の情報提供処理により出力部39に表示されるコンテンツ情報の要約または詳細情報について説明する。
【0089】
図8は、図7で示す第1の情報提供処理が行なわれ、コンテンツ情報の受信通知が出力部39に表示されている図であり、(A)はアイコンX2によって受信通知がなされている図であり、(B)はコンテンツ情報の一部が出力部39の画面左上にポップアップウィンドウY2として表示され、コンテンツ情報の受信通知がなされている図である。
【0090】
図8(A)の出力部39には、画面右下に自車位置を示すマークX1と、画面左上にコンテンツ情報の受信を示すアイコンX2(第1の出力表示)とが表示されている。一方、図8(B)の出力部39には、画面右下に自車位置を示すマークY1と、画面左上にコンテンツ情報の一部を示すポップアップウィンドウY2(第2の出力表示)が表示されている。ポップアップウィンドウY2には、更に受信したコンテンツ情報の要約として店舗名Y2Aと、クーポン情報Y2Bと、このコンテンツ情報を非表示にすることができる非表示ボタンY2Cが表示されている。
【0091】
このように、車載器20がコンテンツ情報を受信すると、過去に受信したときの設定などに基づいて、図8(A)もしくは図8(B)に示すような表示画面によって、コンテンツ情報を受信した旨が通知される。なお、図8(A)に示すアイコンX2が最初に表示される設定となっている場合には、ユーザがアイコンX2を選択すると(出力部39がタッチパネルの場合は押下する、以下同じ)、図8(B)に示す画面へ遷移して、配信されたコンテンツ情報の内容(要約)が表示される。一方、図8(B)に示す画面が最初に表示される設定となっている場合には、非表示ボタンY2Cを選択すると、その後に受信したコンテンツ情報が、同一の情報提供元であるか、または同一の分類に区分される場合に、図8(A)に表示されるようにアイコンX2にてコンテンツ情報の受信通知が行なわれる。なお、非表示ボタンY2Cを選択すると、同一の情報提供元であるか、または同一の分類に区分されるコンテンツ情報に限って、その後受信通知を表示させないという表示制御としてもよい。
【0092】
図9は、図8で示したポップアップウィンドウY2の他の表示形態を示す図であり、(A)は複数の受信したコンテンツ情報を分類ごとに分けて表示したポップアップウィンドウY3を示す図で、(B)は、(A)に示したポップアップウィンドウY3に表示されている情報の一部分だけを個別に表示させる操作を説明するための図である。
【0093】
図9(A)に示すポップアップウィンドウY3は、図8(B)に示したポップアップウィンドウY2とは異なり、所定の区分による情報として表示される。また、受信したコンテンツ情報は、たとえば「クーポン情報」Y3A、「イベント情報」Y3Bなど、分類ごとに区分されて表示される。また、図9(B)に示すように、これらの区分毎のチェックボックスY3D、Y3Eを設け、たとえば、チェックボックスY3DにチェックY3Fを入れて、コンテンツ情報の区分を選択することで、選択した区分のコンテンツ情報の詳細を表示させることができる。
【0094】
図10は、図8で示したポップアップウィンドウY2の他の表示形態を示す図である。図10に示すポップアップウィンドウY4は、図9に示すポップアップウィンドウY3と異なり、所定の区分による情報にそれらのコンテンツ情報の集計値が表示されている。たとえば、「クーポン情報」Y4Aは、12件受信していることを示し、「イベント情報」Y4Bは、3件受信していることを示している。また、これらの詳細情報を個別に表示する「個別に表示」ボタンY4Cのほかに、これらの受信通知されたコンテンツ情報をまとめて非表示にする「非表示」ボタンY4Fが備えられている。
【0095】
図11は、図9(B)または図10で示したポップアップウィンドウY3、Y4を操作して、詳細情報を表示させている図であり、(A)は受信したクーポン情報12件のうちの1件目が表示されている図で、(B)は、受信したクーポン情報12件のうちの2件目が表示されている図である。
【0096】
図11に示すポップアップウィンドウY5は、図9(B)または図10で示したポップアップウィンドウY3、Y4において「クーポン情報」のチェックボックスY3D、Y4Dが選択され、「個別に表示」ボタンY3C、Y4Cが押下されたときに表示される。図11(A)に示すように、ポップアップウィンドウY5の真中上段にあるY5Dは、「受信情報(1/12)」と表示されている。これは、受信したコンテンツ情報12件のうちの1件目が表示されていることを示している。また、ポップアップウィンドウY5の左右にある移動ボタンY5C、Y5Eは、現在表示されているコンテンツ情報の前後にあるコンテンツ情報へ表示を切り替えることができる。
【0097】
このような情報提供方法とすることで、多数のコンテンツ情報が1つの無線装置50から送信されてきた場合に、コンテンツ情報の種類毎に何件受信したのかを一つのポップアップウィンドウで、通知することができ、連続して数十個のポップアップウィンドウやアイコンが出力部39に表示されてしまうことを防止することができる。また、ユーザは移動ボタンY5C、Y5Eによりそれら複数のコンテンツ情報の中から興味のあるコンテンツ情報だけを選択して表示させることができる。なお、多数のコンテンツ情報が1つの無線装置50から送信されてきた場合に、それらのコンテンツ情報の種類毎に表示する、非表示にするといった設定を行なえるようにしてもよい。
【0098】
続いて、情報提供システム10において情報提供装置としての車載器20が行なう第2の情報提供処理について説明を行なう。
【0099】
図12は、図1に示す車載器20が行なう第2の情報提供処理のフローチャートを示す図である。なお、車載器20が行なう第2の情報提供処理は、上述した第1の情報提供処理とはステップS101の判定条件が異なる。したがって、他のステップについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0100】
ステップS101:制御部40は、受信したコンテンツ情報が過去に受信したコンテンツ情報と同一の分類であるか否かを判定する(分類判定:ステップS101A)。具体的には、ユーザが過去に受信したコンテンツ情報の中で、「嗜好データ」が一致するものがあるか否かによって判定したり、「詳細情報」の串刺し検索用コード(不図示)が一致するコンテンツ情報があるか否かにより判定を行なうことができる。そして、制御部40は、受信したコンテンツ情報が過去に受信したコンテンツ情報と同一の分類である場合には、ステップS102へ処理を移行し、同一の分類がない場合には、ステップS105へ処理を移行する。
【0101】
このような情報提供方法を採用することで、コンテンツ情報が配信されたときに、その配信されたコンテンツ情報の一部を提示して、所望の情報のみをユーザに対して提供することができる。また、過去にユーザが受信したコンテンツ情報と同じ分類に属するコンテンツ情報である場合には、ユーザが表示方法を個別に設定しなくとも、過去に受信した同じ分類のコンテンツ情報と同じ表示方法により提示することができる。なお、図7〜図11までに説明した出力部39に表示されるコンテンツ情報の要約または詳細情報については、第2の情報提供処理においても同様に可能である。
【0102】
以上、本発明の実施の形態である情報提供システム10を説明した。このように情報提供システム10を用いることで、配信された情報の一部を提示して、所望の情報のみを提供することができる。
【0103】
また、情報提供システム10の構成要素の一つである情報提供装置としての車載器20を用いることで、配信された情報の一部を提示して、所望の情報のみを提供することができる。
【0104】
また、情報提供装置としての車載器20を実現するためのプログラム(不図示)は、上述した狭域通信方式でコンテンツ情報を提供する無線装置からコンテンツ情報を受信する通信部、コンテンツ情報を表示する出力部39、コンテンツ情報の要約を生成する要約情報生成部27、コンテンツ情報の受信を通知するコンテンツ情報受信通知部28、コンテンツ情報の要約とともに表示され、コンテンツ情報の詳細を表示するか否かを入力する詳細情報出力要否入力部29、上記各部を制御する制御部40で実現される各機能を所定のアルゴリズムにより各手段として構築することができる。また、このプログラムを実行可能な状態でCD、DVDなどの記録媒体などに記録することができる。そして、コンピュータにそのプログラムが記録された記録媒体などを用いてインストールすることにより、各機能を実現することが可能であり、そのコンピュータを本実施の形態の情報提供装置としての車載器20を製造することもできる。
【0105】
このようなプログラムを用いることで、車載器20にコンテンツ情報が配信されたときに、その配信されたコンテンツ情報の一部を提示して、所望の情報のみをユーザに対して提供することができる。
【0106】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0107】
たとえば、本実施の形態において、コンテンツ情報の受信を通知するための第1の通知手段は、いわゆるアイコンであり、そのコンテンツ情報の属する分類毎に定められ、車載器20内で独自に生成されている。この他にもたとえば、第1の出力表示としてのアイコンは、色、形などによりコンテンツ情報を端的に示し、要約したものとしてもよい。また、コンテンツ情報の期限や場所などにより、アイコンの背景色をそれぞれ分けておき、配信されたコンテンツ情報により表示させるアイコンを変化させてもよい。また、車載器20内で生成されるアイコンは、取得したコンテンツ情報の分類に関わらず、予め決まったものとしてもよいし、車載器20側で予めコンテンツ情報の分類により定めておいてもよい。たとえば、受信したコンテンツ情報が「クーポン情報」であれば、その「クーポン情報」を提供する企業名や場所を表示させ、「イベント情報」であれば、そのイベント概要、イベント開催場所、イベント開催期間を表示させ、あるいは、「その他の広告」であれば、その広告を出した企業名などを表示させてもよい。
【0108】
また、上記実施形態ではID=02の「嗜好データカテゴリ」は、ID=80の「嗜好データ」に記述される嗜好データ1〜127の有無を表すフラグの形式で提供されているが、嗜好データをテキスト等で提供するようにしてもよい。その場合、ユーザの設定したジャンル情報と嗜好データのテキストを比較し、同じあるいは類似している場合は一致したコンテンツ判定する。なお、類似の判定には類義語辞書等で比較することとなる。
【0109】
また、上記実施の形態では、情報提供装置として車輌に搭載された車載器20を用いている。この他にもたとえば、情報提供装置としてDSRC通信機能を備えた携帯電話やPDAを用いてもよい。
【0110】
また、上記実施の形態に係る車載器20のDSRC部21は、5.8GHz帯DSRC通信機能を有している。この他にもたとえば、ITS車載器のように、光VICSインタフェース,FMVICSインタフェース,他の周波数帯のDSRC通信用インタフェース、その他のメディアとの通信インタフェースを備えていてもよい。また、通信方式として5.8GHz帯DSRC通信機能を、それ以外の広域通信方式などの他の通信方式を採用してもよい。
【0111】
また、上記実施の形態に係る情報提供システム10が有する各構成ブロックの機能は、全てまたはその一部をソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。例えば、制御部40における処理の全部またはその一部は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【0112】
また、例えば、車載器20を装置の全部または一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリーカード、CD(compact disc)、DVD(digital versatile disk)、MO(magneto−optical)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータ、例えば、携帯電話、オーディオ機器、電子時計などにインストールし、車載器20として動作させ、あるいは、車載器20が行なう工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のセンタ−装置が有するディスク装置などにプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、車載器20となるコンピュータにダウンロードなどするものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、すべての情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法、プログラムに利用できる。特に、DSRCにより近郊の広告情報をスポット的に提供する情報提供システム、情報提供装置、情報提供方法、プログラムに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の一実施の形態に係る情報提供システム全体の構成を示す図である。
【図2】図1に示すセンター装置、無線装置と、車載器との間で行なわれる通信のトランザクションを示す図である。
【図3】図1に示す路側無線装置と車載器間で行なわれる路車間通信を示す図である。
【図4】図1に示す車載器の主な構成を示すブロック図である。
【図5】マルチコンテンツ情報フォーマットで編成され、送信されてくるデータ群の一例を示す図である。
【図6】図1に示す車載器のディスプレイに表示される画面遷移例を示す図である。
【図7】図1に示す車載器が行なう第1の情報提供処理のフローチャートを示す図である。
【図8】図7で示す第1の情報提供処理が行なわれ、コンテンツ情報の受信通知が出力部に表示されている図であり、(A)はアイコンによって受信通知がなされている図であり、(B)はコンテンツ情報の一部が出力部の画面左上にポップアップウィンドウとして表示され、コンテンツ情報の受信通知がなされている図である。
【図9】図8で示したポップアップウィンドウの他の表示形態を示す図であり、(A)は複数の受信したコンテンツ情報を分類ごとに分けて表示したポップアップウィンドウを示す図で、(B)は、(A)に示したポップアップウィンドウに表示されている情報の一部分だけを個別に表示させる操作を説明するための図である。
【図10】図8で示したポップアップウィンドウの他の表示形態を示す図である。
【図11】図9(B)または図10で示したポップアップウィンドウを操作して、詳細情報を表示させている図であり、(A)は受信したクーポン情報12件のうちの1件目が表示されている図で、(B)は、受信したクーポン情報12件のうちの2件目が表示されている図である。
【図12】図1に示す車載器が行なう第2の情報提供処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0115】
10 情報提供システム、20 車載器(情報提供装置)、21 DSRC部(通信部)、22 送受信部/変復調部(通信部の一部)、23 DSRC制御部(通信部の一部)、24 DSRC−ASL処理部(通信部の一部)、25 メモリ部、27 要約情報生成部、28 コンテンツ情報受信通知部、29 詳細情報出力要否入力部、31 即時性判定部、32 コンテンツ情報嗜好判定部、39 出力部、40 制御部、50,50A,50B 無線装置、60 無線通信アクセスポイント(無線装置の他の形態)、70 センター装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭域通信方式で通信する無線装置を介してセンタ−装置から配信されたコンテンツ情報を受信する通信部と、上記コンテンツ情報を出力する出力部と、上記出力部に所定の情報提供条件を満たしたときに上記コンテンツ情報を出力させる制御部と、有する情報提供装置であって、
上記制御部は、
上記コンテンツ情報の要約を生成する要約情報生成部と、
上記コンテンツ情報の受信を通知するコンテンツ情報受信通知部と、
上記コンテンツ情報の要約とともに出力され、上記コンテンツ情報の詳細を出力するか否かを入力する詳細情報出力要否入力部と、
を有することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記要約情報生成部は、
前記コンテンツ情報の一部を抜き出して前記コンテンツ情報の要約として生成することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記要約情報生成部は、
前記コンテンツ情報もしくは前記コンテンツ情報と共に受信した情報から前記コンテンツ情報の要約を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記コンテンツ情報がユーザの好むコンテンツ情報であるか否かを判定するコンテンツ情報嗜好判定部を有し、
上記コンテンツ情報嗜好判定部が前記コンテンツ情報をユーザの好むコンテンツ情報であると判定したときは、
前記コンテンツ情報の要約または詳細情報を前記出力部に出力させることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項5】
狭域通信方式で通信する無線装置を介してセンタ−装置から配信されたコンテンツ情報を受信する通信部と、上記コンテンツ情報を出力する出力部と、上記出力部に所定の情報提供条件を満たしたときに上記コンテンツ情報を出力させる制御部と、有する情報提供装置に用いられる情報提供方法であって、
上記コンテンツ情報の要約を生成するステップと、
上記コンテンツ情報の受信を通知するステップと、
上記コンテンツ情報の詳細を出力するか否かを入力するステップと、
を有することを特徴とする情報提供方法。
【請求項6】
コンピュータを、狭域通信方式で通信する無線装置を介してセンター装置から配信されたコンテンツ情報を受信する通信手段、上記コンテンツ情報を出力する出力手段、上記出力手段に所定の情報提供条件を満たしたときに上記コンテンツ情報を出力させる制御手段、上記コンテンツ情報の要約を生成する要約情報生成手段、上記コンテンツ情報の受信を通知するコンテンツ情報受信通知手段、上記コンテンツ情報の詳細を出力するか否かを入力する詳細情報出力要否入力手段、として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
コンテンツ情報を配信するセンタ−装置と、
上記センタ−装置から配信されたコンテンツ情報を狭域通信方式で送信する無線装置と、
上記無線装置から上記コンテンツ情報を受信する通信部と、上記コンテンツ情報を出力する出力部と、上記出力部に所定の情報提供条件を満たしたときに上記コンテンツ情報を出力させる制御部と、を有する情報提供装置と、
を少なくとも有する情報提供システムであって、
上記情報提供装置の制御部は、
上記コンテンツ情報の要約を生成する要約情報生成部と、
上記コンテンツ情報の受信を通知するコンテンツ情報受信通知部と、
上記コンテンツ情報の要約とともに出力され、上記コンテンツ情報の詳細を出力するか否かを入力できる詳細情報出力要否入力部と、
を有することを特徴とする情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−44455(P2010−44455A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206155(P2008−206155)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】