説明

情報検索装置、更新用データ提供装置、及びプログラム

【課題】ドライブ中でも最新の情報に基づいた情報検索を行うことができる簡便な構成のナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】検索対象情報を記録したデータベース5aを備え、このデータベースに基づいて情報検索を行う車載用の情報検索装置10において、情報検索についての所定の履歴情報5bに基づき、前記データベース中の検索対象情報のうちの更新対象とするものに対応する検索キーを特定する検索キー特定手段4と、検索キー特定手段により特定された検索キーを、装着された着脱可能な記録媒体に記録する記録手段8と、再度装着された前記記録媒体から、前記特定された検索キーに対応する検索対象情報についての更新用データを読み出す読出し手段8と、読出し手段により読み出した更新用データに基づいて前記データベースにおける前記特定された検索キーに対応する検索対象情報の更新を行う更新手段4とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自身が保有するデータベースに基づいて情報検索を行う車載用の情報検索装置、前記データベースに対する更新用データをオフラインで提供する更新用データ提供装置及びこれらの装置としてコンピュータを機能させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カーナビゲーション装置は、情報検索機能を備える。この機能は、たとえばレジャー施設を目的地として設定したい場合に、レジャー施設名や、遊園地、水族館等の施設のジャンルをキーワードとして、その施設の場所を導き出す機能である。
【0003】
この場合、情報検索に必要なデータベースのデータは、地図データと連動するので、通常、地図データが格納されているハードディスクやDVDの媒体に記録されていることが多い。また、携帯電話との接続等による通信機能を有するカーナビゲーションでは、外部のサーバにおいて情報検索を行い、場所等の検索結果をサーバから取得するという方法もある。また、カーナビゲーション装置のハードディスクを取り外し、自宅でパソコンに接続し、パソコンによりインターネット経由で情報検索を行い、その結果に基づいて所望の地点の登録を行ったり、事前にドライブプランを作成しておいたりする方法もある。
【0004】
さらに、特許文献1には、可搬性のメモリを介して、第1の装置及び第2の装置を連携させるようにした技術が記載されている。この技術は、具体的には、パソコンにおいて、入力された目的地に関する情報に基づき、所定の経由地情報を生成してカード型半導体記憶メディアに格納するとともに、車載ナビゲーション装置において、カード型半導体記憶メディアに格納された経由地情報を読み出し、経由地情報に基づいて移動経路情報を出力するようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】特開2001−289655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のように、情報検索に必要なデータをハードディスク等に格納すると、情報検索に必要なデータが時間の経過とともに古くなり、使用できなくなってゆくという問題がある。特にラーメン店等の店舗系での変化が激しく、この傾向が著しい。
【0007】
そこで、検索用情報の更新が必要となり、更新の方法としては、地図本体を含めた地図データの更新、すなわちバージョンアップを行う方法が考えられる。しかし、バージョンアップの頻度は1年毎等であり、頻繁に行われるものではない。しかも、この方法によれば、一般的に全国の情報のすべてが更新される場合が多い。したがって、たとえば東京在住のユーザにとっては不必要である九州等のデータもすべて更新しなければならない場合が多い。また、ユーザにとって不必要なジャンルの情報も、同様に、すべて更新しなければならない場合が多い。
【0008】
一方、上述の外部サーバを介して情報検索を行う方法によれば、通信インフラが必ずしも十分とはいえず、いつでもどこでも十分な通信環境を得るのは困難である。また、通信可能な環境であっても、通信料金が高額であることや、通信速度が遅いといった問題もある。
【0009】
他方、パソコン等で予めドライブプラン等を作成し、車載ナビゲーション装置に反映する方法によれば、事前に目的地が決まっている場合はよいが、ドライブ中に目的地を決めたり、立ち寄り場所を追加したりする場合に対応することができない。また、ハードディスクの取り出しを行う場合、機構的に特別な設計を行う必要がある。またその場合、地図データベース自体には著作権が存在するので、自宅のパソコンにおいて地図データを不正コピーできないようにする仕組みも必要となる。
【0010】
本発明の目的は、このような従来技術の問題点に鑑み、ドライブ中でも最新の情報に基づいた情報検索を行うことができる簡便な構成のナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための第1の発明に係る情報検索装置は、検索対象情報を記録したデータベースを備え、このデータベースに基づいて情報検索を行う車載用の情報検索装置に関する。そしてこの装置は、前記情報検索についての所定の履歴情報に基づき、前記データベース中の検索対象情報のうちの更新対象とするものに対応する検索キーを特定する検索キー特定手段と、前記検索キー特定手段により特定された検索キーを、装着された着脱可能な記録媒体に記録する記録手段と、再度装着された前記記録媒体から、前記特定された検索キーに対応する検索対象情報についての更新用データを読み出す読出し手段と、前記読出し手段により読み出した更新用データに基づいて前記データベースにおける前記特定された検索キーに対応する検索対象情報の更新を行う更新手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
ここで、情報検索装置としては、たとえば、カーナビゲーション装置に組み込まれたものが該当する。検索対象情報としては、たとえば、カーナビゲーション装置において目的地や立寄り地として設定対象となり得る施設や店舗に関する情報が該当する。履歴情報としては、たとえば、検索を行った日時、その検索に使用した検索キーを構成する各キーワード、検索された施設や店舗の名称等を記録したものが該当する。更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーとしては、たとえば、「食事」、「ラーメン店」、「東京」のキーワードにより構成されるものが該当し、この場合、この検索キーによりヒットする検索対象情報であるラーメン店の店舗名が更新対象となる。着脱可能な記録媒体としては、たとえば、メモリカードが該当する。特定された検索キーに対応する検索対象情報についての更新用データとしては、たとえば、その検索キーに対応する可能な最新の検索対象情報のすべてや、装置が保有するデータベースにおけるその検索キーに対応する検索対象情報に対して追加すべきデータ及び削除すべきデータを特定するものが該当する。
【0013】
この構成において、情報検索が行われた直後等の所定のタイミングにおいて、検索キー特定手段は、情報検索の履歴情報に基づき、データベース中の検索対象情報のうちの更新対象とするものに対応する検索キーを特定する。特定された検索キーは、記録手段が、着脱可能な記録媒体に記録する。この後、ユーザはこの記録媒体を取り外して、自宅の更新用データ提供装置に挿入することにより、その記録媒体に対し、前記特定された検索キーに対応する検索対象情報についての更新用データを記録させることができる。この後、ユーザがその記録媒体を再度情報検索装置に挿入すると、読出し手段は、再度装着された記録媒体から、前記特定された検索キーに対応する検索対象情報についての更新用データを読み出すことができる。そして、更新手段は、読み出した更新用データに基づいてデータベースにおける前記特定された検索キーに対応する検索対象情報の更新を行うことができる。
【0014】
第2の発明は、検索対象情報を記録したデータベースを備え、このデータベースに基づいて情報検索を行う車載用の情報検索装置に関する。この情報検索装置は、前記情報検索についての所定の履歴情報を、装着された着脱可能な記録媒体に記録する記録手段と、再度装着された前記記録媒体から、前記データベース中の検索対象情報のうちの更新対象とするものに対応する検索キー、及び該更新対象とする検索対象情報についての更新用データを読み出す読出し手段と、前記読出し手段により読み出した検索キー及び更新用データに基づいて前記データベースにおける該検索キーに対応する検索対象情報の更新を行う更新手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
第3の発明に係る更新用データ提供装置は、装着された、上記第1発明に係る情報検索装置における着脱可能な記録媒体に記録されている検索キーに対応する検索対象情報を保有する所定のサーバからの情報に基づき、前記記録媒体に対し、前記検索キーに対応する検索対象情報についての更新用データを記録する記録手段を具備することを特徴とする。
【0016】
第4の発明に係る更新用データ提供装置は、装着された、上記第2発明に係る情報検索装置における着脱可能な記録媒体に記録されている情報検索についての所定の履歴情報に基づき、前記情報検索装置が保有するデータベースにおいて更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーを特定する検索キー特定手段と、前記検索キー特定手段により特定された検索キーに対応する検索対象情報を保有する所定のサーバからの情報に基づき、前記記録媒体に対し、前記特定された検索キーに対応する検索対象情報についての更新用データを前記特定された検索キーとともに記録する記録手段とを具備することを特徴とする。
【0017】
第5の発明に係る装置は、上記第1、第2又は第4の発明において、前記更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーには、過去の検索で使用された検索キーに用いられたキーワードが含まれることを特徴とする。
【0018】
第6の発明に係る装置は、上記第1、第2、第4又は第5発明において、前記更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーには、自宅の位置する地域を特定するキーワードが含まれていることを特徴とする。
【0019】
第7の発明に係るプログラムは、第1〜第6のいずれかの発明に係る装置における各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、データベース中の検索対象情報のうち、検索履歴情報に基づいて特定された検索キーに対応する検索対象情報について、着脱可能な記録媒体を介して更新用データを取得し、更新を行うようにしたため、データベース全体を更新する必要なく、検索に必要な情報のみを更新することができる。また、情報検索装置自体は外部との通信を行う必要なく、最新の検索対象情報に基づいて検索を行うことができる。したがって、通信環境が必ずしも十分ではないドライブ中においても、最新の情報に基づいた情報検索を行うことができる簡便な構成の車載装置を提供することができる。
【0021】
また、更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーには、過去の検索で使用された検索キーに用いられたキーワードが含まれるようにしたため、過去の検索で使用された、真に必要とされる検索対象情報を、常に最新の状態に維持し、ドライブ中での検索に使用することができる。
【0022】
また、更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーには、自宅の位置する地域を特定するキーワードが含まれるようにしたため、検索される可能性の高い自宅周辺についての検索対象情報を、常に最新の状態に維持し、ドライブ中での検索に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。この装置は、ナビゲーション機能を有するナビゲーション部1及びナビゲーション部1に接続された車載用エージェント10を備える。ナビゲーション部1は、ナビゲーション用の地図や、地図上の現在位置等を表示しながら、設定された目的地までの音声ガイドを行ったり、検索された施設や店舗の位置や名称等の表示を行ったりすることができる。
【0024】
車載用エージェント10は、ユーザが発する音声を音声信号に変換する入力装置2、入力装置2からの音声信号に基づき、後述の単語データを出力する言語解析部3、言語解析部3からの単語データに基づき、対応する情報検索等を行うエージェント処理部4、該情報検索に必要な情報が記憶される記憶装置5、エージェント処理部4からのユーザに対する応答としての文章データに基づき、音声合成を行って、デジタル音声信号を出力する音声合成処理部6、音声合成処理部6からの音声信号に基づいて、音声出力を行う出力装置7、エージェント処理部4が所定の着脱可能な記憶媒体との間でデータの読み書きを行うためのリーダライタ8、エージェント処理部4及びナビゲーション部1間の通信を行うための通信部9を備える。
【0025】
入力装置2は、情報検索に必要なキーワードを入力するために使用される。言語解析部3は、入力装置2からA/D変換されて入力される音声信号に対し、エージェント処理部4の単語データベース4aを参照して音声認識処理を施すことにより、該音声信号が表している可能性のある単語の候補、及びこの候補の尤度(スコア)を特定する。スコアの値が所定値を下回る単語は候補としない。音声認識の手法は任意であり、候補として複数の単語が特定されてもよい。言語解析部3は特定した候補及びそのスコアを示すデータ(以下、「単語データ」という。)を生成し、エージェント処理部4に供給する。
【0026】
エージェント処理部4はユーザの操作を補助する機能を備えている。つまり、電子機器の操作が不得手のユーザによる操作を容易なものとするための音声対話形式のインタフェースを実現する機能を備える。出力装置7は、エージェント処理部4からのデジタル音声信号をD/A変換し、スピーカから音声として出力する音声出力部7aを備える。記憶装置5には、ナビゲーション部1における処理と連動した情報検索に必要なデータベース5aが記録される。データベース5aはエージェント処理部4によって管理される。データベース5aにはまた、ユーザの嗜好を把握することを目的として使用される検索履歴5bや、ユーザの自宅及び嗜好に関する自宅・嗜好情報5cも記憶される。エージェント処理部4は通信部9を介して現在位置をナビゲーション部1から取得し、現在位置に関連した検索結果をナビゲーション部1に渡す。
【0027】
図2は記憶装置5における情報検索データベース5aの内容の一例を示す。同図に示すように、情報検索データベース5aには検索可能な各店の店名及びその緯度及び経度が格納されている。そして、各店は「食事」、「遊び」等の大ジャンルに分類されている。また、大ジャンルの1つである「食事」は「和食」、「ラーメン店」、「イタリアン」等の中ジャンルに分類されている。さらに、中ジャンルの1つである「ラーメン店」は「北海道」、「東京」、「神奈川」等の都道府県毎に分類されている。したがって大ジャンル、中ジャンル、都道府県等の分類に該当する任意のキーワードにより検索キーを構成し、店名の検索を行うことができるようになっている。
【0028】
図3は記憶装置5における検索履歴5bの内容の一例を示す。同図に示すように、情報検索データベース5aの検索が行われる毎に、検索の日付及び時刻、検索された店名、並びにその店名の属する大ジャンルや中ジャンル等が記録される。同図においては、2006年3月3日にラーメン店「AAA店」が検索されたことが、検索履歴情報として記録されている。
【0029】
図4は記憶装置5における自宅・嗜好情報5cの一例を示す。同図に示すように、自宅・嗜好情報5cとしては、ユーザの自宅が存在する都道府県、並びに緯度及び経度が記録される。またユーザの嗜好に関する情報が記録される。エージェント部4は検索履歴5bに基づき、ユーザの嗜好に関する情報を記録する。たとえば「ラーメン店」についての検索回数が所定回数を超えた場合、嗜好情報として「ラーメン好き」との情報を追加する。自宅・嗜好情報5cは、車載用エージェント10がユーザに対して提案を行う場合に、提案材料として参照することができる。
【0030】
図5はユーザ及び車載用エージェント10間の会話の一例を示す。図6はこの会話に対応するナビゲーション装置における検索処理を示すフローチャートである。ユーザが「食事に行きたい」との発話51を行うと、これに応じて、エージェント処理部4は図6の検索処理を開始し、ステップ61において、検索対象を絞り込む目的で詳細を問い合わせるための、次のような内容の音声による出力を行う。
【0031】
すなわちまず、「何が食べたい?」との問合せ52を出力する。これに対し、ユーザが「ラーメンが食べたい」との発話53を行うと、エージェント処理部4はさらに検索対象を絞り込むために、「近い順でよい?」との問合せ54を出力する。これに対し、ユーザが「いいよ」との発話55を行うと、ナビゲーション部4は「ちょっと待ってね・・・検索結果を表示するよ タッチパネルで選択してね」との応答56を出力する。
【0032】
次に、ステップ62において、エージェント処理部4はナビゲーション部1から現在位置を取得する。次にステップ63において、「食事」からさらに絞り込まれた「ラーメン」及び「近い順」並びに取得した現在位置に基づき、情報検索を行う。つまり、「食事」及び「ラーメン店」のキーワードにより構成される検索キーに該当する店名のうち、現在位置との距離が所定距離以下である店名を、各店の緯度・経度情報に基づいて抽出する。次に、ステップ64において、エージェント処理部4は、抽出したラーメン店に関する店名や緯度・経度等の情報を、検索結果としてナビゲーション部1に送る。
【0033】
この検索結果を受け取ると、ナビゲーション部1は、ステップ65において、検索された各店についての店名、そこまでの距離等をディスプレイ上に表示し、図4中の57のように、いずれかのラーメン店の選択を受け入れる。次に、ナビゲーション部1は、ステップ66において、選択されたラーメン店までの経路探索を行う。そして、経路探索を行った旨をエージェント部4に通知する。
【0034】
ステップ67において、エージェント処理部4はこの通知を受け取り、経路探索が終了し、案内が開始される旨を示す「ここを目的地に設定したよ 案内を開始するよ」との音声58を出力する。さらに、ステップ68において、選択されたラーメン店についての図3のような検索履歴を記憶装置5において追加する。そして、ステップ69において、検索履歴に関連するデータとして、更新対象とする検索対象情報及び対応する検索キーを、外部記憶媒体リーダライタ8に装着されている記録媒体にコピーする。これにより検索処理を終了する。
【0035】
図7は上記ステップ69の処理に際して、ユーザ及び車載用エージェント10間で行われる会話の一例を示す。ステップ69の処理を開始すると、エージェント処理部4は、検索された店のジャンルや図4の自宅・嗜好情報に基づき、そのジャンル等についての最新情報の取得、すなわち検索対象情報の更新を提案する。たとえばラーメン店が検索され、ユーザの嗜好が「ラーメン好き」であり、ユーザの自宅が東京であれば、図7のように、まず「ラーメン屋さんの最新情報を調べましょうか?」との提案71を音声により出力する。
【0036】
これに対し、ユーザが「うん」との承諾72を示したことを認識すると、ユーザの自宅が東京であることに基づき、「都内のラーメン屋さんでいいですか?」との問い73を出力する。これ対しユーザが「うん、よろしく」との承諾74を示したことを認識すると、「××さん(自宅用エージェント)に調べてもらうので、メモリカードを忘れずに持ち帰って!」との注意を促す。ここで、「××さん」とは、後述の自宅用エージェントを意味している。
【0037】
この後、エージェント処理部4は、大ジャンルが「食事」で中ジャンルが「ラーメン店」、そして都道府県が「東京」の各キーワードで構成される検索キーに対応する各店名及びその緯度・経度の情報を、情報検索データベース5aから抽出し、外部記憶媒体リーダライタ8に装着されているメモリカードに記録する。これにより、ステップ69の処理が完了する。この後、メモリカードは、ユーザによって抜き取られ、自宅用エージェントに挿入されることになる。
【0038】
図9は自宅用エージェントの構成を示すブロック図である。入力装置92、言語解析部93、音声合成処理部96、出力装置97、及び外部記憶媒体リーダライタ98はそれぞれ、図1における入力装置2、言語解析部3、音声合成処理部6、出力装置7、及び外部記憶媒体リーダライタ8と同様の機能を備える。エージェント処理部94は図1のエージェント処理部4が有する対話処理等の機能の他、インターネット通信部99を介して、所定のサーバにアクセスする機能を備える。
【0039】
図10は自宅用エージェントとユーザの会話の一例を示す。図11はこの会話に対応する自宅用エージェントにおけるメモリカード更新処理を示すフローチャートである。図6のステップ69において検索履歴等が格納されたメモリカードが外部記憶媒体リーダライタ98に挿入されると、これに応じてエージェント処理部94は、ステップ111において、更新内容について、ユーザに対する確認を行う。
【0040】
すなわちエージェント処理部94の検索履歴解析部94bは、メモリカードに記録されている検索履歴に基づいてユーザの嗜好を認識し、更新内容についての提案を行う。たとえば、「最新のラーメン店情報を収集しましょうか?」との提案を音声により出力する。図10の例では、メモリカードの内容が図8のような内容であるとすれば、ラーメン店を検索したことがわかるので、まず、「今日ラーメン屋さんに行きましたよね?」との問い掛け101を行う。これについてのユーザによる「うん」との肯定的返答102に対し、「ラーメン屋さんの最新情報を更新しましょうか?」との更新内容の確認のための問い掛け103を行う。これについてのユーザによる「うん よろしく」との更新内容を了承した旨の返答104を得ることにより、ラーメン店についての検索対象情報に関する更新を行うことがユーザにより承認されたことになる。
【0041】
更新内容についてユーザの承認が得られると、エージェント処理部94はステップ112において、インターネット通信部99によりインターネットを介してラーメン店の情報を提供するサーバに接続する。このサーバは、自宅用エージェントに対応しており、自宅用エージェントに対するデータの整合性を有している。
【0042】
次に、ステップ113において、メモリカードに記録されているラーメン店の情報と、サーバが保有するラーメン店の情報との差分を検出し、メモリカードの情報をサーバの最新情報によって更新する。たとえば、メモリカードにおいて、図8のように、大ジャンルとして「食事」、中ジャンルとして「ラーメン店」、都道府県として「東京」の各キーワードが記録されており、各ラーメン店のデータとして、図12の表中の「メモリカードのデータ」の欄に示されるようなものが記録されているとする。そして、サーバにおいて、「食事」、「ラーメン店」、及び「東京」により構成される検索キーによって情報検索を行い、同表中の「最新データ」の欄に示すようなラーメン店のデータを得ることができたすれば、メモリカードにおける「BBD店」は閉店し、「ZZY店」が新規に開店したことになる。したがってこの場合、メモリカードの情報においては、図13に示すように、「BBD店」に関するデータが削除され、「ZZY店」に関するデータが追加されることになる。
【0043】
次に、ステップ114において、更新内容をユーザに通知する。たとえば、図13のような更新が行われるとすれば、「BBD店」が閉店し、「ZZY店」が新たに開店した旨を表示するとともに、図10のように、「更新したよ 今度車に乗るときに メモリカードを挿入してね」とのメモリカードの更新が完了した旨のメッセージ105を出力する。これにより、メモリカード更新処理を終了する。
【0044】
メモリカード中の更新された情報は、ユーザが車載用エージェントの外部記憶媒体リーダライタ8にメモリカードを挿入することにより、情報検索データベース5aに反映されることになる。すなわち、エージェント処理部4は、メモリカードが外部記憶媒体リーダライタ8に挿入されると、たとえば、情報検索データベース5aの内容が図2のような内容であるとすれば、大ジャンルが「食事」、中ジャンルが「ラーメン店」、都道府県が「東京」であるラーメン店のうち「BBD店」に関するデータを削除し、「ZZY店」に関するデータを追加する。これにより、情報検索データベース5aの内容は、図14のようになる。
【0045】
図15は以上の車載用エージェント及び自宅用エージェントの処理における情報の流れを示す。すなわち、車載用エージェント151は図6の情報検索処理152において、図3のような処理当日の検索履歴に基づき、図8に示すような、当日の検索履歴に関連する検索対象情報(店名、緯度・経度)を記憶装置5か読み出して、対応する検索キーを構成する各キーワード(「食事」、「ラーメン店」、「東京」)とともにメモリカード153に書き込む。
【0046】
ユーザが帰宅してメモリカード153を車載用エージェント151から取り出し、自宅用エージェント154に挿入すると、自宅用エージェント154は、メモリカード153に記録されている検索履歴に関連する情報を読み出し、メモリカード更新処理154によって、図13のように、検索履歴に関連する検索対象情報を更新し、メモリカード154の記録内容を更新した最新の情報に書き換える。
【0047】
書き換えられたメモリカード153を、その後、ユーザが車載用エージェント151に挿入すると、車載用エージェント151はメモリカード153の記録内容を読み出して、記憶装置5への更新処理155を開始する。そして、読み出した最新の検索履歴に関連する検索対象情報に基づき、記憶装置5における情報検索データベース5aを、図14のように更新するとともに、メモリカード153をクリアする。
【0048】
本実施形態によれば、ユーザは、メモリカードを介して自宅用エージェントから最新情報を取得し、情報検索データベース5aを常に最新のものとすることができる。したがって、最新の情報に基づいて、ドライブ中に目的地を決定したり、立ち寄り場所を追加したりすることができる。
【0049】
その際、車載用エージェントが、検索履歴5bや自宅・嗜好情報5cを参照し、更新対象とする情報検索データベース5aにおけるジャンルや都道府県を提案するようにしたため、ユーザはその提案を承認するだけで、特別な操作を要することなく、必要な範囲の情報のみを更新することができる。また、メモリカードを介して車載用エージェント及び自宅用エージェント間の情報の伝達を行うようにしたため、ハードディスクや車載用機器を取り外して自宅に搬入する等のユーザの手間を省くことができる。
【0050】
なお、本発明は上述実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。たとえば、上述においては、車載用エージェントが更新対象とする検索対象情報の検索キーを特定し、メモリカードに書き込むようにしているが、この代わりに、車載用エージェントは、検索履歴等の情報をメモリカードに書き込むのみで、自宅用エージェントがメモリカード中の検索履歴及び自身が有する自宅・嗜好情報等に基づき、更新対象とする検索対象情報の検索キーを特定するようにしてもよい。この場合、自宅用エージェントが特定した検索キーが、更新用データとともにメモリカードに記録され、車載用エージェントに渡されることになる。
【0051】
また、上述においては、データベースの更新に際し、検索履歴の情報として、更新を行う当日のものを用いて更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーを特定するようにしているが、この代わりに又はこれに加え、より以前の検索履歴を考慮して、更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーを特定するようにしてもよい。
【0052】
また、上述においては、自宅の位置する地域を示すキーワード(東京)を、更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーに含めるようにしているが、この代わりに又はこれに加え、通過した道路や地域を示すキーワードをナビゲーション装置から収集し、履歴として保存しておき、よく通過する道路や地域を示すキーワード(国道16号や八王子)を更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーに含めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の装置の記憶装置における情報検索データベースの内容の一例を示す図である。
【図3】図1の装置の記憶装置における検索履歴の内容の一例を示す図である。
【図4】図1の装置の記憶装置における自宅・嗜好情報の一例を示す図である。
【図5】ユーザ及び図1の装置の車載用エージェント間の会話の一例を示す図である。
【図6】図5の会話に対応する図1の装置における検索処理を示すフローチャートである。
【図7】図5のステップ69の処理に際して、ユーザ及び車載用エージェント間で行われる会話の一例を示す図である。
【図8】図1の装置により記録されるメモリカードの内容の一例を示す図である。
【図9】図1の装置に対応する自宅用エージェントの構成を示すブロック図である。
【図10】図9の自宅用エージェント及びユーザ間の会話の一例を示す図である。
【図11】図10の会話に対応する自宅用エージェントにおけるメモリカード更新処理を示すフローチャートである。
【図12】図9の自宅用エージェントにより行われるメモリカード中の更新対象情報についての更新の様子を示す図である。
【図13】図9の自宅用エージェントにより更新されたメモリカードの内容の一例を示す図である。
【図14】更新された図1の装置における情報検索データベースの内容の一例を示す図である。
【図15】車載用エージェント及び自宅用エージェント間の情報の流れを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
2,92:入力装置、3,93:言語解析部、4,94:エージェント処理部、4a,94a:単語データベース、4b,94b:情報検索部、5:記憶装置、5a:情報検索データベース、5b:検索履歴、5c:自宅・嗜好情報、7a:音声出力部、6:音声合成部、7,97a:出力装置、8,98:外部記憶媒体リーダライタ、9:ナビゲーション通信部、10:車載用エージェント、99:インターネット通信部、151:車載用エージェント、152:情報検索、153:メモリカード、154:自宅用エージェント、154:差分調査更新作業、155:記憶装置への更新作業。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索対象情報を記録したデータベースを備え、このデータベースに基づいて情報検索を行う車載用の情報検索装置であって、
前記情報検索についての所定の履歴情報に基づき、前記データベース中の検索対象情報のうちの更新対象とするものに対応する検索キーを特定する検索キー特定手段と、
前記検索キー特定手段により特定された検索キーを、装着された着脱可能な記録媒体に記録する記録手段と、
再度装着された前記記録媒体から、前記特定された検索キーに対応する検索対象情報についての更新用データを読み出す読出し手段と、
前記読出し手段により読み出した更新用データに基づいて前記データベースにおける前記特定された検索キーに対応する検索対象情報の更新を行う更新手段とを具備することを特徴とする情報検索装置。
【請求項2】
検索対象情報を記録したデータベースを備え、このデータベースに基づいて情報検索を行う車載用の情報検索装置であって、
前記情報検索についての所定の履歴情報を、装着された着脱可能な記録媒体に記録する記録手段と、
再度装着された前記記録媒体から、前記データベース中の検索対象情報のうちの更新対象とするものに対応する検索キー、及び該更新対象とする検索対象情報についての更新用データを読み出す読出し手段と、
前記読出し手段により読み出した検索キー及び更新用データに基づいて前記データベースにおける該検索キーに対応する検索対象情報の更新を行う更新手段とを具備することを特徴とする情報検索装置。
【請求項3】
装着された、請求項1の情報検索装置における着脱可能な記録媒体に記録されている検索キーに対応する検索対象情報を保有する所定のサーバからの情報に基づき、前記記録媒体に対し、前記検索キーに対応する検索対象情報についての更新用データを記録する記録手段を具備することを特徴とする更新用データ提供装置。
【請求項4】
装着された、請求項2の情報検索装置における着脱可能な記録媒体に記録されている情報検索についての所定の履歴情報に基づき、前記情報検索装置が保有するデータベースにおいて更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーを特定する検索キー特定手段と、
前記検索キー特定手段により特定された検索キーに対応する検索対象情報を保有する所定のサーバからの情報に基づき、前記記録媒体に対し、前記特定された検索キーに対応する検索対象情報についての更新用データを前記特定された検索キーとともに記録する記録手段とを具備することを特徴とする更新用データ提供装置。
【請求項5】
前記更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーには、過去の検索で使用された検索キーに用いられたキーワードが含まれることを特徴とする請求項1、2又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記更新対象とする検索対象情報に対応する検索キーには、自宅の位置する地域を特定するキーワードが含まれていることを特徴とする請求項1、2、4又は5に記載の装置。
【請求項7】
請求項1〜6の装置における各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−257270(P2007−257270A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80561(P2006−80561)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】