説明

成型ハニカムの製造方法及びそれにより製造されたハニカム

本発明は、ハニカムを製造する方法であって、ハニカムは、ハニカムの面を形成するエッジを有するセルを含み、面は、複数の点で画定され、点の少なくとも2つが、異なる接平面に位置しており、
a)融点が120℃〜350℃の熱可塑性材料と、1デニール当たり600グラム(1dtex当たり550グラム)以上の弾性率を有する高弾性率繊維とを含む複数のシートから、拡張したセルを有するハニカムを形成する工程と、
b)ハニカムを熱硬化性樹脂で含浸する工程と、
c)熱硬化性樹脂を硬化または部分的に硬化して、硬化または部分的に硬化したハニカムを形成する工程と、
d)硬化または部分的に硬化したハニカムを、接着剤の平行な線の面に垂直な方向にプレスして、熱硬化性樹脂の少なくとも一部を破断する工程と、
e)プレスしたハニカムを、接着剤の平行な線の面に垂直な方向に引き離して、破断点を有するハニカムを形成する工程と、
f)破断点を有するハニカムを、モールド内または型上で、曲げる、成型する、または成形する工程と、
g)ハニカムを加熱して、熱可塑性材料を破断点まで流す工程と、
h)モールドまたは型の形状を実質的に保持するためにハニカムを冷却する工程と
を含む方法に関する。
本発明はまた、この方法により製造された成型ハニカムであって、25パーセント未満のハニカムセルが、180度を超える凹角を有するハニカムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムの製造方法、およびそれにより製造されたハニカムに関し、このハニカムは、ハニカムの面が、異なる接平面に位置する少なくとも2つの点を有するように成型されている。好ましい実施形態において、本発明は、湾曲形状を有する高温環境で有用なハニカムを製造する方法、およびそれにより製造されたハニカムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,096,526号明細書には、高融点熱可塑性ラミネートおよびハニカムコアから成型構造を形成するプロセス、特に、熱可塑性ラミネートを、ハニカムコアにボンディングした後、構造を成型ツール上で成型するプロセスが開示されている。このプロセスには、ラミネートを600°F(315℃)超に加熱して、熱可塑性ラミネートカバーシートを、ハニカムコアに、接着剤なしでボンドしてから、カバーシートをハニカムコアと共に成型することが含まれる。
【0003】
米国特許第5,137,768号明細書、米国特許第6,544,622号明細書および米国特許第5,789,059号明細書には、高弾性率パラ−アラミド材料から作製されたシートから作製されたハニカムが開示されている。これらのハニカムは、高剛性、高強度対重量比および耐温度性のために非常に価値が高い。パラ−アラミド材料の高弾性率によって、多くの場合に望ましい非常に剛性のハニカムを作製することができるが、これらハニカムを湾曲形状へと成型しようとするとき問題が生じる可能性がある。ハニカムを成型する、または曲率のある領域を有する形態とするとき、ハニカムの一方の面には張力がかかり、他方の面は圧縮される。圧縮側は、通常、より損傷を受け易く、この損傷は、通常、セル壁の反曲、すなわち、セル壁のセル内への破壊または曲がりである。多数のセルが、反曲したセル壁を有していると、ハニカムは深刻な構造上の欠陥を有する。
【0004】
従って、過剰な数のハニカムセルに永久的な損傷を与えずに、成型に耐え得る高弾性率材料を含むハニカムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ハニカムを製造する方法およびそれにより製造されたハニカムに関し、ハニカムは、ハニカムの面を形成するエッジを有するセルを含み、面は、複数の点で画定され、点の少なくとも2つが、異なる接平面に位置しており、方法が、
a)複数の平行な面に複数の平行な交点線を有するシートであって、融点が120℃〜350℃の熱可塑性材料と、1デニール当たり600グラム(1dtex当たり550グラム)以上の弾性率を有する高弾性率繊維とを含む複数のシートからセルを有するハニカムを形成する工程と、
b)ハニカムを熱硬化性樹脂で含浸する工程と、
c)熱硬化性樹脂を硬化または部分的に硬化して、硬化または部分的に硬化したハニカムを形成する工程と、
d)硬化または部分的に硬化したハニカムを、接着剤の平行な線の面に垂直な方向にプレスして、熱硬化性樹脂の少なくとも一部を破断する工程と、
e)プレスしたハニカムを、接着剤の平行な線の面に垂直な方向に引き離して、破断点を有するハニカムを形成する工程と、
f)破断点を有するハニカムを、モールド内または型上で、曲げる、成型する、または成形する工程と、
g)ハニカムを加熱して、熱可塑性材料を破断点まで流す工程と、
h)モールドまたは型の形状を実質的に保持するためにハニカムを冷却する工程と
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1a−1b】六角形ハニカムの図である。
【図2】六角セル形ハニカムの他の図である。
【図3a−3c】湾曲ハニカムを形成する単純なプロセスの図である。
【図4a−4d】損傷していない六角セルと、凹セル壁を有する損傷した六角セルを示す。
【図5a−5d】損傷していない四角セルと、凹セル壁を有する損傷した四角セルを示す。
【図6】ハニカムおよび1つ以上のフェースシートから作製されたパネルの形態の1つの成型物品の図である。
【図7】ハニカムの製造において、接着剤を適用するプロセス工程の図である。
【図8】ハニカムの製造において、繊維含有紙のシートをスタッキングするプロセス工程の図である。
【図9】ハニカムの製造において、紙のシートのスタックをホットプレスするプロセス工程の図である。
【図10】ハニカムの製造において、紙のシートのスタックを広げるプロセス工程の図である。
【図11a−11b】ハニカムを成型する例示のプロセス工程の図である。
【図12】ハニカムを圧縮して、熱硬化性樹脂を少なくとも部分的に破断するプロセス工程の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ハニカムは、ハニカムの面を形成するエッジを有するセルを含み、この面は、複数の点で画定され、曲率のある領域を有し、点の少なくとも2つが、異なる接平面に位置している。図1aは、ハニカムの一例である。図1bは、図1aに示すハニカムの直交図であり、図2は、ハニカムの三次元図である。図示されているのは、六角セル2を有するハニカム1である。各セルは、数多くのセル壁3により形成されており、セル壁の外側エッジ4は、ハニカムの面5を形成している。実際、セル壁の外側エッジは、一連の点6を形成していて、それらは、ハニカムの面の異なる接平面にある。六角セルが図示されているが、他の幾何学的配置が可能であり、矩形セルが、その他の最も一般的に可能な配置である。
【0008】
ハニカムは、異なる接平面に位置するハニカムの面に複数の点を有する。すなわち、ハニカムの面が曲率を有する、言い換えると、ある態様で曲がっていることを意味する。ある好ましい実施形態において、ハニカムの面は、放物線形式、双曲線形式または湾曲形式の何らかの組み合わせで湾曲している。他の好ましい実施形態において、ハニカムの面は、半球またはボウル形状に湾曲している。ある実施形態において、ハニカムは、曲率のない領域と、曲率のある領域の組み合わせを有することができる。これらの実施形態において、曲率のある領域は、曲率のない領域から検査により区別することができる。曲率のある領域は、少なくとも一表面の寸法が接平面の異なる複数の点を有する面を有しており、曲率のない領域は、一体になった面に複数の点を有する面を有する。ある実施形態において、曲率のある領域は、ハニカムの厚さの中心から測定される曲率半径が、ハニカムの厚さの10倍以下である。ある実施形態において、曲率のある領域は、ハニカムの厚さの中心から測定される曲率半径が、ハニカムの厚さの7〜2倍である。
【0009】
湾曲したハニカムの形成には、通常、曲率のある領域を有する型またはモールドで、あるいは曲率のある領域を有するモールドの雄部分と雌部分との間で、ハニカムを曲げる、成型する、または成形することが必要とされる。例示のために、図3に、凸面を有する湾曲型14上に形成された第1の面11と第2の面12とを有するハニカム10を示す。また、凹面を有する湾曲モールド15内で成型されたハニカム10が示されている。第1の面11は、型と接触しており、ハニカムが平面から湾曲した構造へと、凹型で変形されると、この面は圧縮される。反対の面12は、同様に、引っ張られる。あるいは、面11は、凸モールドと接触しており、ハニカムが、平面から湾曲した構造へと変形すると、この面が引張られ、面12は圧縮される。
【0010】
ハニカムの一表面が圧縮される動作によって、ハニカム面のセル壁が破壊される可能性がある。図4に、6つのセル壁21を有する損傷していない六角セル20を示す。圧縮のために、六角セルは破壊される可能性がある。損傷した六角セル22が、破壊または反曲壁23と共に図示されている。破壊された壁がセルに入る角度は、凹角と呼ばれる。六角セル24は、実線25を用いて、セル壁の元の位置を表しており、破線27を用いて、180度凹角を表している。点線28は、180度より大きな凹角を表している。セル壁の破壊は、図4には明確に示されていない。セル壁は、六角セル22により示されるように、セルに湾曲を形成する形で反転される。この場合は、凹角は、反曲壁に対する接線に基づいて計算される。図4に、凹角34をどのように測定するかを示すために描かれた、接線32および33で反曲セル壁31を有するハニカムセル30を示す。図示する図面において、凹角は、180度より大きい。図示されたものから、2つの隣接するセル壁のセル中心への実質的な破壊は、一般に、180度を超える凹角となることが容易に理解できる。
【0011】
図5に、4つのセル壁41を有する損傷していない四角セル40を示す。圧縮のために、四角セルは破壊される可能性があり、損傷した四角セル42が、破壊または反曲した壁43と共に、図示されている。四角セル44は、実線45を用いて、セル壁の元の位置を表しており、破線47を用いて、180度凹角を表している。四角セルについては、破線47は、任意の点でセル壁41を横断して描くことができる。点線48は、180度より大きな凹角を表している。セル壁の破壊は、図5で示されるような明確なものでなくてよい。セル壁は、六角セル42により示されるように、セルに湾曲を形成する形で反転される。この場合は、凹角は、反曲壁に対する接線に基づいて計算される。図5に、凹角54をどのように測定するかを示すために描かれた、接線52および53で反曲セル壁51を有するハニカムセル50を示す。図示する図面において、凹角は、180度より大きい。図示されたものから、2つの隣接するセル壁のセル中心への実質的な破壊は、一般に、180度より大きな凹角となることが容易に理解できる。180度より大きな凹角を有するセルの数は、検査により、または、非常に小さなセルの場合には、他の光学的な方法により求めることができる。
【0012】
ハニカムは、曲率のある領域を圧縮するセルの実質的な破壊なしに、湾曲または曲がった形へと形成することができる。実際、成形後、曲率のある領域における25パーセント未満のハニカムセルは、180度より大きな凹角を有する。ある好ましい実施形態において、曲率のある領域における15パーセント未満のハニカムセルは、180度より大きな凹角を有する。セル壁における高弾性率繊維と、十分な割合の熱可塑性材料との組み合わせによって、高剛性および高温度安定性を有する最終ハニカム構造を与えながら、セルの実質的な破壊なしに変形し得る、より柔軟な構造を与えると考えられる。
【0013】
ハニカムのセル壁は、高弾性率繊維と熱可塑性材料を含む紙から形成されるのが好ましい。本明細書で用いる「紙」という用語は、通常の意味で用いられ、従来の製紙プロセスおよび機器を用いて作製できる。
【0014】
本発明で用いる紙は、研究室スクリーンから、Fourdrinierまたはインクラインドワイヤ製紙機等の商業的なサイズの製紙機器まで、任意の規模の機器で形成できる。典型的なプロセスには、フロックおよび/またはパルプ等の高弾性率繊維状材料とバインダー材料の水性液体中での分散液を調製し、液体を分散液から流出させて、湿潤組成物とし、湿潤紙組成物を乾燥することが含まれる。分散液は、繊維を分散させてからバインダー材料を添加するか、またはバインダー材料を分散させてから繊維を添加するかのいずれかにより調製される。分散液はまた、繊維の分散液と、バインダー材料の分散液を混合することによっても調製することができる。バインダー材料が繊維の場合には、高弾性率繊維との混合物をまず作製することにより、バインダー繊維を分散液に添加する、またはバインダー繊維を分散液に別個に添加することができる。分散液中の繊維の濃度は、分散液の総重量に基づいて、0.01〜1.0重量パーセントとすることができる。分散液中のバインダー材料の濃度は、固体の総重量に基づいて、50重量パーセントまでとすることができる。
【0015】
典型的なプロセスにおいて、分散液の水性液体は、通常、水であるが、pH調節材料、形成助剤、界面活性剤、消泡剤等の様々なその他の材料を挙げることができる。通常、分散液を、スクリーンまたはその他の穿孔支持体に導き、分散した固体を保持してから液体を通過させて、湿潤紙組成物を得ることにより、水性液体は分散液から流出される。湿潤組成物は、支持体に形成されると、通常、真空および/またはその他の圧力によりさらに脱水されて、残りの液体を蒸発させることによりさらに乾燥される。
【0016】
ある好ましい実施形態において、高弾性率繊維状材料および熱可塑性バインダー、例えば、短繊維または短繊維とバインダー粒子の混合物を、一緒にスラリー化して、混合物を形成し、これを、ワイヤスクリーンまたはベルト上で紙へと変換することができる。様々な種類の繊維状材料およびバインダーから製紙する例示のプロセスについては、米国特許第3,756,908号明細書(Gross)、同第4,698,267号明細書および同第4,729,921号明細書(Tokarsky)、同第5,026,456号明細書(Heslerら)、同第5,223,094号明細書(Kirayogluら)、同第5,314,742号明細書(Kirayogluら)、同第6,458,244号明細書および同第6,551,456号明細書(Wangら)および同第6,929,848号明細書および米国特許出願公開第2003−0082974号明細書(Samuelsら)を参照のこと。
【0017】
紙を形成したら、高温および圧力で、ロールからホットカレンダ加工して、紙のボンド強度を増大させるのが好ましい。この工程によって、紙の密度と強度が増す。通常、1層以上の紙を、金属−金属、金属−複合体または複合体−複合体ロール間のニップでカレンダ加工する。あるいは、1層以上の層の紙を、特定の組成および最終用途にとって最良の圧力、温度および時間で、プラテンプレスにおいて圧縮することができる。この手法で紙をカレンダ加工すると、紙の多孔性が減る。本発明で用いる紙の厚さは、ハニカムの最終用途または所望の特性によって異なり、ある実施形態においては、典型的に、1〜5ミルの厚さである。ある実施形態において、紙の坪量は、1平方ヤード当たり0.5〜6オンスである。また、緻密化なし、または緻密化に加えて、強化やその他の特性修正が望ましい場合には、放射熱処理等の紙の熱処理を、カレンダ加工または圧縮の前、後またはその代わりの独立した工程として実施することができる。
【0018】
ハニカムは、1デニール当たり600グラム(1dtex当たり550グラム)以上の引張りまたはヤング率を有する高弾性率繊維を含む。繊維の高弾性率によって、最終ハニカム構造および対応のパネルの必要な剛性が与えられる。好ましい実施形態において、繊維のヤング率は、1デニール当たり900グラム(1dtex当たり820グラム)以上である。好ましい実施形態において、成型処理に耐え、高レベルの機械的特性を最終構造に与えるには、繊維靭性は、1デニール当たり少なくとも21グラム(1dtex当たり19グラム)であり、その伸びは、少なくとも2%である。
【0019】
好ましい実施形態において、高弾性率繊維は、耐熱性繊維である。「耐熱性繊維」とは、空気中で500℃まで、1分当たり20℃の速度で加熱したときに、繊維が、繊維重量の90パーセントを好ましくは保持することを意味する。かかる繊維は、通常、難燃性である。すなわち、繊維またはその繊維から作製された布の限界酸素指数(LOI)が、繊維または布が空気中で燃えないようなものであり、好ましいLOI範囲は約26以上である。
【0020】
高弾性率繊維は、フロック、パルプまたはこれらの混合物の形態とすることができる。「フロック」とは、長さ2〜25ミリメートル、好ましくは3〜7ミリメートル、直径3〜20マイクロメートル、好ましくは5〜14マイクロメートルの繊維のことを意味する。フロック長さが、3ミリメートル未満の場合には、紙の強度に与える影響が十分に高くなく、25ミリメートルを超えると、湿式法により均一なウェブを形成するのがほとんど不可能である。フロック直径が5マイクロメートル未満であると、十分な均一性および再現性で製造するのが難しくなり、20マイクロメートルを超えると、軽〜中程度の坪量の均一な紙を形成するのが実質的に不可能である。フロックは、通常、連続したスパンフィラメントを特定の長さの片へと切断することにより作製される。
【0021】
本明細書で用いる「パルプ」という用語は、茎と通常そこから延びるフィブリルとを有する材料の粒子を意味し、茎は、通常、円柱で、直径は約10〜50マイクロメートル、フィブリルは、通常、茎に付加した微細な毛髪状部材であり、直径はマイクロメートルの僅か何分の一または数マイクロメートルであり、長さは約10〜100マイクロメートルである。
【0022】
ある実施形態において、本発明において有用な高弾性率繊維としては、パラ−アラミド、ポリベンズアゾールまたはポリピリダゾールポリマーまたはこれらの混合物から作製された繊維が挙げられる。ある実施形態において、本発明において有用な高弾性率繊維としては、炭素繊維が挙げられる。好ましい実施形態において、高弾性率繊維は、アラミドポリマー、特に、パラ−アラミドポリマーから作製される。特に好ましい実施形態において、高弾性率繊維は、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)である。
【0023】
本明細書で用いるアラミドという用語は、少なくとも85%のアミド(−CONH−)結合が、2つの芳香族環に直接付加したポリアミドのことを意味する。「パラ−アラミド」とは、2つの環またはラジカルが、分子鎖に沿って互いにパラ配位していることを意味する。添加剤をアラミドと共に用いることができる。実際、10重量パーセントまでの他のポリマー材料をアラミドとブレンドできる、またはアラミドのジアミンに代えて、10パーセントの他のジアミン、またはアラミドの二酸クロリドに代えて10パーセントの他の二酸クロリドを有するコポリマーを用いることができることを見出した。ある実施形態において、好ましいパラ−アラミドは、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)である。本発明に有用なパラ−アラミド繊維を製造する方法は、概して、例えば、米国特許第3,869,430号明細書、同第3,869,429号明細書および同第3,767,756号明細書に開示されている。かかる芳香族ポリアミド有機繊維およびこれらの繊維の様々な形態は、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delawareから、Kevlar(登録商標)繊維という商品名および帝人株式会社(Teijin,Ltd.)からTwaron(登録商標)という商品名で入手可能である。
【0024】
本発明において有用な市販のポリベンズアゾール繊維としては、日本国の東洋紡績株式会社(Toyobo)より入手可能なZylon(登録商標)PBO−AS(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール)繊維、Zylon(登録商標)PBO−HM(ポリ(p−フェニレン−2,6−ベンゾビスオキサゾール))繊維が挙げられる。本発明において有用な市販の炭素繊維としては、Toho Tenax America,Inc.より入手可能なTenax(登録商標)繊維が挙げられる。
【0025】
ハニカムは、摂氏120℃〜350℃の融点を有する熱可塑性材料を5〜50重量部有する。ある好ましい実施形態において、熱可塑性材料は、20〜40重量部の量で存在する。熱可塑材とは、その従来のポリマー定義を有することを意味する。すなわち、これらの材料は、加熱すると粘性液体のように流れ、冷却すると固化し、後の加熱と冷却で、繰り返し可逆的にそうなる。
【0026】
他のある好ましい実施形態において、熱可塑材の融点は、180℃〜300℃である。他のある好ましい実施形態において、熱可塑材の融点は、220℃〜250℃である。紙は、融点が120℃未満の熱可塑性材料で作製できるが、この紙は、製紙後に、望ましくない溶融流れ、張り付きおよびその他の問題を受け易い。例えば、ハニカム製造中、交点線接着剤を紙に適用した後、通常、熱を加えて、溶剤を接着剤から除去する。他の工程で、紙のシートを併せてプレスして、シートを交点線で接着する。これらの工程のいずれかの間に、紙が低融点熱可塑性材料を有していると、その材料が流れて、紙のシートを、製造機器および/または他のシートに接合して望ましくない。従って、紙に用いる熱可塑性材料は、紙の形成およびカレンダ加工中に溶融したり流れるが、ハニカムの製造中には、明らかには溶融したり流れたりしない。融点が350℃より高い熱可塑性材料は望ましくない。それらは、軟化するのに高い温度を必要として、紙の他の成分が、紙製造中に分解し始めるからである。2種類以上の熱可塑性材料が存在するこれらの実施形態においては、熱可塑性材料の少なくとも30%の融点が350℃を超えてはならない。
【0027】
ある実施形態において、熱可塑材のガラス転移温度(Tg)は約100℃〜250℃である。100℃未満のTgを有する熱可塑材は、製造中、ハニカムセルの効率的な拡張に悪影響を与える場合があり、250℃を超えるTgを有する熱可塑材は、ハニカムの最終成型に影響を与える場合がある。
【0028】
本発明において有用な熱可塑性材料は、繊維、複合繊維、ポリマーフレーク、ポリマー粒子、フィブリド、パルプまたはこれらの混合物の形態とすることができる。バインダー繊維は、典型的に、繊維ブレンドの他の繊維の軟化点より低い温度で(すなわち、低い軟化点を有する)流れる熱可塑性材料から作製される。シース/コア複合繊維、特に、ポリエステルホモポリマーのコアと、バインダー材料であるコポリエステルのシースとを有する複合バインダー繊維、例えば、日本国のユニチカ株式会社(Unitika Co.)より一般に入手可能なもの(例えば、MELTY(登録商標)という商品名で販売)が、バインダー繊維として好ましい。有用な種類のバインダー繊維としては、ポリプロピレン、ポリエステルポリマーまたはコポリマー、そのポリマーまたはコポリマーのみを含む繊維から、または並列またはシース/コア構成の複合繊維として作製されたものが挙げられる。ある実施形態において、好ましいバインダー粉末は、コポリエステルGriltex EMS 6E接着剤粉末等の熱可塑性バインダー粉末である。
【0029】
本明細書で用いる「フィブリド」という用語は、長さと幅が約100〜1000マイクロメートル、厚さが僅か約0.1〜1マイクロメートルの小さくフィルム状の実質的に二次元粒子の極微粉砕ポリマー生成物のことを意味する。フィブリドは、典型的に、ポリマー溶液を、溶液の溶剤と非混和性の液体の凝固浴へ流すことにより作製される。ポリマーが凝固する際、ポリマー溶液のストリームは、激しいせん断力および乱流を受ける。
【0030】
ある実施形態において、紙に用いる好ましい熱可塑性材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)および/またはポリエチレンナフタレート(PEN)ポリマーである。これらのポリマーは、様々なコモノマーを含み、例えば、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリ(エチレングリコール)、グルタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸等が挙げられる。これらのコモノマーに加えて、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンおよびペンタエリスリトール等の分岐剤を用いてもよい。PETは、テレフタル酸、その低級アルキルエステル(例えば、ジメチルテレフタレート)およびエチレングリコール、これらのブレンドまたは混合物のいずれかから公知の重合技術により得られる。PENは、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびエチレングリコールから公知の重合技術により得られる。ある有用なPEN繊維は、帝人株式会社よりTeonex(登録商標)という商品名で販売されている。
【0031】
他の実施形態において、用いるのに好ましい熱可塑性材料は、液晶ポリエステルである。「液晶ポリエステル」(LCP)とは、参考文献として援用される米国特許第4,118,372号明細書に記載されているようなTOT試験またはそれを適切に修正したものを用いて試験したときに、異方性であるポリエステルポリマーを意味する。LCPのある好ましい形態は、「全芳香族」、すなわち、ポリマー主鎖中の基の全てが芳香族(エステル基等の結合基以外)で、芳香族でない側鎖が存在している。好ましくは、LCPの融点は、約350℃までである。シースポリマーが、バインダーまたは低溶融成分であるシース−コア複合繊維の場合には、このシースポリマーの融点は約350℃以下でなければならず、コア成分はこれより高い融点を有するポリマーとすることができる。融点は、ASTM法D3418により測定される。融点は、最大融解吸熱とみなされ、10℃/分の加熱速度で、第2の熱で測定される。2つ以上の融点が存在する場合には、ポリマーの融点が、最大融点とみなされる。本発明の好ましいLCPとしては、E.I.du Pont de Nemours and Companyより入手可能なZenite(登録商標)およびTicona Coより入手可能なVectra(登録商標)LCPの対応等級が挙げられる。
【0032】
その他の材料、特に、熱可塑性組成物によくあるものや用いられるものが、熱可塑性材料に存在していてもよい。これらの材料は、好ましくは、化学的に不活性で、ハニカムの操作環境で適切に熱的に安定でなければならない。かかる材料としては、例えば、フィラー、強化剤、顔料および核剤のうち1つ以上が挙げられる。その他のポリマーが存在していて、ポリマーブレンドを形成してもよい。ある実施形態において、組成物の25重量パーセント未満のその他のポリマーが存在しているのが好ましい。他の好ましい実施形態において、その他のポリマーは、潤滑剤や処理助剤として機能するような合計で少量(5重量パーセント未満)のポリマー以外は、熱可塑性材料に存在しない。
【0033】
ハニカムは、民間航空機の頭上収納棚やウィング−ボディフェアリングをはじめとする多くの物品において構造用コンポーネントとして有用である。ハニカムの軽量の構造特性のために、ある好ましい用途は、空気を通して対象物を推進するのに必要な燃料や動力を軽量であるために節約できる空力構造である。
【0034】
1つ以上のフェースシートを、ハニカムの面に取り付けてパネルを形成する。フェースシートは、圧縮、曲げおよびその他の応力に対する耐性において、最終パネルに完全性を与える。また、フェースシートは、ハニカムのセルを密閉して、材料がセルから出ないようにする、またはフェースシートは、材料をセル中に保持する補助となる。図6に、接着剤を用いて、一方の面にフェースシート61が取り付けられたハニカム60を示す。第2のフェースシート62が、ハニカムの反対の面に取り付けられ、2つの対向するフェースシートが取り付けられたハニカムでパネルを形成する。材料63の追加の層を、所望であればパネルのいずれかの側に取り付けることができる。ある好ましい実施形態において、ハニカムの両側に適用されたフェースシートは、材料の2層を含む。ある好ましい実施形態において、フェースシートは、織布またはクロスプライ単方向布を含む。ある実施形態において、クロスプライ単方向布は、0/90クロスプライである。所望であれば、フェースシートは、エンボス加工やその他の処理等、装飾面を有していて、見た目の良い外側表面を形成してもよい。ガラス繊維、炭素繊維および/またはその他の高強度/高剪断率繊維を含む布が、フェースシート材料として有用である。
【0035】
本発明は、ハニカムを製造する方法であって、ハニカムは、ハニカムの面を形成するエッジを有するセルを含み、面は、複数の点で画定され、かつ曲率のある領域を有し、点の少なくとも2つが、異なる接平面に位置しており、
a)複数の平行な面に複数の接着剤の平行線を有するシートであって、融点が120℃〜350℃の熱可塑性材料と、1デニール当たり600グラム(1dtex当たり550グラム)以上の弾性率を有する高弾性率繊維とを含む複数のシートから、拡張したセルを有するハニカムを形成する工程と、
b)ハニカムを熱硬化性樹脂で含浸する工程と、
c)熱硬化性樹脂を硬化または部分的に硬化して、硬化または部分的に硬化したハニカムを形成する工程と、
d)硬化または部分的に硬化したハニカムを、接着剤の平行な線の面に垂直な方向にプレスして、熱硬化性樹脂の少なくとも一部を破断する工程と、
e)プレスしたハニカムを、接着剤の平行な線の面に垂直な方向に引き離して、破断点を有するハニカムを形成する工程と、
f)破断点を有するハニカムを、曲率のある領域を有するモールド内または型上で、曲げる、成型する、または成形する工程と、
g)ハニカムを加熱して、熱可塑性材料を破断点まで流す工程と、
h)モールドまたは型の曲率のある領域の形状を実質的に保持するためにハニカムを冷却する工程と
を含む方法に関する。
【0036】
図7〜9に、複数のシートを、間隔のあいた平行な線に沿ってボンディングする工程の一実施形態を示す。典型的な六角セルについては、任意の1つのシートにおける、1つの適用された交点線の後縁と、次に適用された交点線の前縁との間の距離は、1つのセル壁長さに等しい〜3倍である。図7において、接着剤112は、数多くの線に沿って、特定の幅およびピッチで、高弾性率繊維含有紙101のベルトに、任意の適用方法または印刷方法により、適用される。接着剤は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂およびその他の樹脂から選択してよいが、熱硬化性樹脂を用いるのが好ましい。図において、リール113から、ベルト状高弾性率繊維含有紙101が、適用ローラ114およびプレッシングローラ115を有する少なくとも1組のローラのニップに供給される。適用ローラ114により提供される溝を通して、接着剤タンク116に含まれる接着剤112が、数多くの線に沿って、紙101の一表面に適用または被覆されて、乾燥される。
【0037】
図8において、ベルト状高弾性率繊維含有紙101は、予め定められた間隔で、複数のシート111に切断される。切断されたシートを、1つのシートを他のシートの上部に積み重ねて、各シートが、適用された接着剤112のピッチの半分または間隔の半分、他のシートとずれるようにする。典型例については、400枚の切断したシートを、矢印117に示すように、垂直に積み重ねて、ブロックを形成する。各シートは、被覆した接着剤の線の間隔の半分ずれる位置関係にある。シートは、複数の平行な面に、複数の接着剤の平行な線を有する。
【0038】
図9において、積み重ねた高弾性率繊維含有紙シート111がそれぞれ、圧力および熱により互いにボンドされる。好ましい実施形態において、数多くの積み重ねた高弾性率繊維含有紙シートを、接着剤112の軟化点でホットプレスする。すると、接着剤が硬化して、シートを互いにボンドする。
【0039】
図10aおよび10bに、シートの面に垂直方向に、ボンドしたシートを引き離して、セルを有するハニカムを形成する工程を示す。これは、拡張工程と呼ぶこともできる。積み重ね、ボンドされた高弾性率繊維含有紙シート111は、矢印117により示される方向に印加された引張り力または張力により、積み重ね方向の反対の方向に拡張する。これにより、各シート111は、間で拡張または伸長して、シートは、ボンドされた部分のエッジに沿って折り曲げられ、ボンドされていない部分は、積み重ね方向の反対の方向に伸長して、シートが互いに分離される。従って、数多くの接着剤交点線115に沿って互いにボンドされ、拡張したシート111でできたセル壁118により分離された中空の円筒状セル119の平面アセンブリで構成された形成されたハニカムセルとなる。
【0040】
セルの拡張後、ハニカムを、熱硬化性樹脂で含浸する。典型的に、これは、拡張したハニカムを、熱硬化性樹脂浴に浸漬することにより行われるが、スプレー等の他の手段を用いて、拡張したハニカムを被覆し、完全に含浸することができる。ある実施形態において、含浸剤として有用な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂およびこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
ハニカムが、熱硬化性樹脂で完全に含浸された後、飽和したハニカムを加熱して、熱硬化性樹脂を架橋することにより、樹脂を硬化または部分硬化する(「B段階」としても知られている)。通常、この温度は、150℃〜180℃の範囲である。熱硬化性樹脂を硬化すると、ハニカムに剛性が与えられる。
【0042】
所望であれば、硬化または部分硬化した(「B段階」)ハニカムをスライスへと切断すると、大きなブロックのハニカムから、ハニカムの多数の薄片またはスライスを得ることができる。ハニカムは、セルエッジの面に垂直にスライスにされるので、ハニカムの細胞状の特徴は保持される。
【0043】
含浸したハニカムの熱硬化性樹脂の硬化または部分硬化後、ハニカムは、接着剤の平行な線の面に垂直な方向に意図的にプレスされて、熱硬化性樹脂の少なくとも一部が破断されて、セルの少なくとも一部が破壊される。図12に示すとおり、拡張したハニカム170は、矢印171の方向にプレスされて、セルを、通常、表面173に対して圧縮して、構造において硬化された熱硬化性樹脂の少なくとも一部を部分的または完全に破断する。多くの実施形態において、表面174を用いてハニカムの面を側方において支持または抑制もして、ハニカムの側方の動きを防いで、コアへの均一な方向の応力が得られるようにしながら、このプレスを行う。所定の程度の破断がなされたら、ハニカムを矢印172の方向、すなわち、接着剤の平行な線の面に垂直な方向に引っ張って、ハニカムを再び拡張させて、破断点を有するハニカムを形成する。
【0044】
曲率のある領域を有するモールド内または型上で、ハニカムを曲げる、成形する、または成型し、熱をハニカムに加えて、熱可塑性材料を破断点まで流す。図11aに示すとおり、ハニカム120は、所望の物品形状を有する成型用型121に配置される。ハニカムを、任意の利用可能な手段により、型にプレスして、ハニカムが、型の湾曲または曲がった表面125を得るようにして、加熱する。ある実施形態において、図11bに示すとおり、型は、雄132と雌133を半分ずつ有する成型ツール131であり、これを一緒にプレスして、その間で湾曲したハニカム125を成型および成形する。ハニカムは、成型ツールにより示される所望の形状に従う。加熱は、熱源、例えば、放射加熱、強制空気加熱オーブンおよび誘電体オーブン等を提供する任意の利用可能な手段により行うことができるが、ある好ましい実施形態においては、放射加熱が好ましい。成型ツールまたは型を温度制御して、ハニカムをさらに加熱するか、冷却してもよい。
【0045】
加熱は、セル壁中の熱可塑性材料が軟化して、一部が流れるのに十分な温度および時間で実施する。通常、温度は、熱可塑性材料の融点近くまたはこれより高く、必要な時間は、存在する材料の質量により決まる。ある実施形態において、好ましい加熱温度は、熱可塑材融点の摂氏+/−10度である。所望であれば、熱源およびモールドまたは型を組み合わせて、加熱したハニカムの処理を妨げることなく、ハニカムを加熱および形成することができる。所望であれば、加熱および成型または成形の前に、スライスを水に浸漬することができる。ある樹脂系においては、これによって、ある樹脂、例えば、あるフェノール樹脂が可塑化され、より良く成型する。
【0046】
加熱され成型されたハニカムを、熱可塑材の軟化点より低く冷却して、硬化し、モールドまたは型の曲率のある領域の形状を保持する。この冷却は、自由対流等の受動的冷却、またはモールドを、空気、水またはその他流体等の冷却剤により冷却する等の能動的冷却により行うことができる。通常、ハニカムをモールド内に保持する、または型上に配置しながら、冷却を行う。所望であれば、ハニカムを、モールドまたは型から取り出して、別個に冷却してもよい。ハニカムをモールドから冷却せずに取り出す場合には、ハニカムが、曲率のある領域の所望の形状を適切に保持するような工程を行う必要がある。いったん形成されて、ハニカムのスライスが望ましく、ハニカムがまだスライスへと切断されていなかった場合には、前述したのと同様のやり方で、ハニカムの細胞状の特徴を維持しながら、この時点で、スライスへと切断することができる。
【0047】
ハニカムのセル壁に大量の熱可塑性材料を用いると、成型中に圧縮されるハニカムの側部のハニカムセルを過剰に破壊することなく、これらの湾曲または曲がった形状を形成することができる。好ましい実施形態において、冷却工程後、ハニカムの曲率のある領域におけるハニカムセルの約25パーセント未満が、180度を超える凹角を有する。
【0048】
試験方法
繊維デニールは、ASTM D1907を用いて測定する。繊維弾性率は、ASTM D885を用いて測定する。紙密度は、ASTM D374により測定された紙厚さを用いて計算し、坪量は、ASTM D646により測定する。ガラス転位温度(Tg)および融点(Tm)は、ASTM D3418を用いて測定する。
【実施例】
【0049】
実施例
Teijin Twaron(登録商標)1080チョップドフィラメント繊維、Teijin Twaron(登録商標)1094パルプおよびToray Tetoron(登録商標)熱可塑性ポリエステル繊維で構成されたアラミド/熱可塑性紙を、従来の製紙機で形成する。紙の組成は、52重量%Twaron1080繊維、18重量%Twaron1094パルプおよび30重量%Tetoron(登録商標)繊維である。Twaron1080繊維の公称フィラメント直線密度は、1フィラメント当たり1.5デニール(1フィラメント当たり1.7dtex)、6mm切断長さである。Tetoron(登録商標)熱可塑性繊維の公称フィラメント直線密度は、1フィラメント当たり2デニール(1フィラメント当たり2.2dtex)、6mm切断長さである。紙は、245℃および2MPaの圧力下で、予熱し、プレプレスする。次に、1200N/cmの線圧、260℃でカレンダ加工する。これにより、密度約0.75g/cm3のアラミド/熱可塑性紙が製造される。
【0050】
次に、ハニカムを、カレンダ加工された紙から形成する。接着剤の交点線は、幅2mmおよびピッチ5mmで紙表面に適用する。接着剤は、Shell Chemical Co.より販売されているEpon 826というエポキシ樹脂70重量部、Wilmington Chemical Corp,Wilmington,DE,USAより販売されているHeloxy WC8006というエラストマー変性エポキシ樹脂30重量部、Union Carbide Corp.より販売されているUCAR BRWE 5400というビスフェノールA−ホルムアルデヒド樹脂硬化剤54重量部、Dow Chemical Companyより販売されているDowanol PMというグリコールエーテル溶媒中、硬化触媒としての2−メチルイミダゾール0.6重量部、Miller−Stephenson Chemical Co.より販売されているEponol 55−B−40というポリエーテル樹脂7重量部およびCabot Corp.より販売されているCab−O−Silというヒュームドシリカ1.5重量部を含む50%固体溶液である。接着剤を、130℃のオーブンで、6.5分間紙に部分硬化する。
【0051】
接着剤交点線のあるシートを長さ500mmに切断する。40のシートを互いに積み重ねて、各シートが適用された接着剤交点線のピッチの半分または間隔の半分、他のシートとずれるようにする。ずれは、片側から他方へ交互になされ、最後のスタックが、均一に垂直になるようにする。積み重ねたシートを、接着剤の軟化点で、プレート間でホットプレスすると、接着剤の交点線が溶融し、熱を取り除くと、接着剤が硬化して、シートを互いにボンドする。交点線接着剤については、ホットプレスは、140℃で30分間、次に、177℃で40分間、1平方cm当たり3.5kgの圧力で操作する。
【0052】
ボンドされたアラミドシートを、積み重ね方向の反対の方向に拡張させて、等辺断面を有するセルを形成する。各シートを、互いに伸長させて、シートが、ボンドされた交点線のエッジに沿って折り曲げられ、ボンドされていない部分は、シートを互いに分離する引張り力の方向に伸長されるようにする。フレームを用いて拡張させ、ハニカムを拡張した形状に保持する。
【0053】
拡張したハニカムを、Durez CorporationのPLYOPHEN23900溶剤系フェノール樹脂を含む浴に入れる。フェノール樹脂は、樹脂をエタノールに溶解させた液体形態で用いる。樹脂は、セル壁の内部表面に張り付いてそれを覆い、紙の孔を充填し、浸透もする。樹脂を含浸した後、ハニカムを浴から取り出し、まず、82℃のホットエアにより15分間、次に、121℃で15分間、そして、182℃で60分間乾燥炉にて乾燥させて、溶剤を除去し、フェノール樹脂を硬化する。ハニカムを保持しているフレームを取り外す。樹脂浴での含浸工程および乾燥炉での乾燥工程を、5回繰り返し、ハニカムのセル壁が、合計で730グラムの強化樹脂で被覆および含浸されるようにする。
【0054】
コア厚さの10倍の曲げ半径を有する湾曲ハニカムを形成するには、拡張の逆の方向(w−方向)に力を加えて、ハニカムが圧搾されるようにする。圧搾中、ハニカムは、2枚の金属板間に保持されて、安定性が与えられ、座屈が防止される。この動作によって、交点線の一部でないセル壁のフェノール樹脂に亀裂が入る。圧搾されたコアは、それほど硬くない。コアを、低熱質量金属モールドに置いて、コアセルがモールド表面と直接接触するようにする。ばね荷重金網をコアの上部に適用して、コアをモールドの適所に保持する。モールドとコアを270℃に予熱したホットエア対流式オーブンに入れる。モールドが260℃に達したら、オーブンに5分間保持する。この工程中、フェノール樹脂の亀裂は、フェノールおよび熱可塑性樹脂の流れによりシールされて、欠陥のない構造が与えられる。モールドを取り外し、強制空気冷却を30分間適用して、コアを周囲温度に戻す。モールドを開き、成型したコアを取り出す。コアに、180°を超える凹角の破壊されたセルがあるか検査する。曲率のある領域のいずれか一面にある破壊されたセルの合計数は、曲率のある領域にあるセルの合計数の25パーセント未満である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカムを製造する方法であって、前記ハニカムは、前記ハニカムの面を形成するエッジを有するセルを含み、前記面は、複数の点で画定され、前記点の少なくとも2つが、異なる接平面に位置しており、
a)融点が120℃〜350℃の熱可塑性材料と、1デニール当たり600グラム(1dtex当たり550グラム)以上の弾性率を有する高弾性率繊維とを含む複数のシートから、拡張したセルを有するハニカムを形成する工程と、
b)前記ハニカムを熱硬化性樹脂で含浸する工程と、
c)前記熱硬化性樹脂を硬化または部分的に硬化して、硬化または部分的に硬化したハニカムを形成する工程と、
d)前記硬化または部分的に硬化したハニカムを、接着剤の平行な線の面に垂直な方向にプレスして、前記熱硬化性樹脂の少なくとも一部を破断する工程と、
e)前記プレスしたハニカムを、接着剤の平行な線の面に垂直な方向に引き離して、破断点を有するハニカムを形成する工程と、
f)前記破断点を有するハニカムを、モールド内または型上で、曲げる、成型する、または成形する工程と、
g)前記ハニカムを加熱して、前記熱可塑性材料を前記破断点まで流す工程と、
h)前記モールドまたは型の形状を実質的に保持するために前記ハニカムを冷却する工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記高弾性率繊維が約50〜95重量部の量で存在し、前記熱可塑性材料が5〜50重量部の量で存在する請求項1に記載のハニカムを製造する方法。
【請求項3】
前記高弾性率繊維が約60〜80重量部の量で存在している請求項2に記載のハニカムを製造する方法。
【請求項4】
前記熱可塑性材料が20〜40重量部の量で存在している請求項2に記載のハニカムを製造する方法。
【請求項5】
前記高弾性率繊維がパラ−アラミドポリマーを含む請求項1に記載のハニカムを製造する方法。
【請求項6】
前記パラ−アラミドポリマーがポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)である請求項5に記載のハニカムを製造する方法。
【請求項7】
前記高弾性率繊維が、炭素繊維、ポリベンズアゾール繊維、ポリピリダゾール繊維およびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載のハニカムを製造する方法。
【請求項8】
前記熱可塑性材料がポリエステルポリマーを含む請求項1に記載のハニカムを製造する方法。
【請求項9】
前記ポリエステルポリマーが液晶ポリマーである請求項8に記載のハニカムを製造する方法。
【請求項10】
前記熱可塑性材料が、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド−イミド、ポリエーテル−イミド、ポリフェニレンスルフィドおよびこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載のハニカムを製造する方法。
【請求項11】
前記ハニカムの前記面を、側方において支持または抑制もしながら、工程d)のプレスを行う請求項1に記載のハニカムを製造する方法。
【請求項12】
前記冷却工程後、25パーセント未満の前記ハニカムセルが、180度を超える凹角を有する請求項1に記載の方法により製造されたハニカム。

【公表番号】特表2010−513059(P2010−513059A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−541362(P2009−541362)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/025414
【国際公開番号】WO2008/076284
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】