説明

成膜方法、成膜ユニット及び成膜装置

【課題】本発明の目的は、低エネルギー、低コスト、高生産性で材料提供範囲の広い有機皮膜の成膜方法及び装置を提供することにあり、更に多層成膜が容易かつ高精度に
できる有機皮膜の成膜方法及び装置を提供することにある。
【解決手段】基板の表面に、有機皮膜を形成する成膜方法であって、皮膜材料を粒子状で含有する塗布液を前記表面に塗布する塗布ステップと、塗布液の乾燥を防止し、形成された塗布膜を安定化するステップ、更に、塗布膜を乾燥するステップ、粒子状の皮膜を溶融するステップ、溶融された皮膜を平坦化し、成膜するステップ、をそれぞれ有することを特徴とする成膜方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に有機材料からなる薄膜を容易に、効率よく形成する成膜方法、成膜手段に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有望なディスプレイ方式として、有機EL素子が注目されている。
【0003】
有機EL素子は、多層構造になっており、これらの膜を、複数、基板上に成膜する方法として蒸着、スパッタ、CVD法等がある。これらの方法は、装置が効果で、エネルギーを多く消費する上に、材料のロスが多く、コスト、生産能力上、課題が多い。
【0004】
これらに対して、塗布方式により、これらを成膜する方式が提案されている。塗布方式は、成膜材料を溶媒に溶解し、塗布液とし、塗布手段を用いて塗布する方法であるが、有機ELは、多層構造になっており、塗布方式で、複数の有機層を作製する場合、下層に用いられる材料が溶解しにくい溶媒を用いないと、下層材料を溶解し、下層への混入、また、下層からの混入等が、問題になり、材料が溶解しにくく、限られた溶剤しか使えないという問題がある。また、材料が溶解しにくく、限られた溶剤に、しかも少量しか溶解しないものが多く、これらの塗布液を複数層形成するのは難しく、適用範囲は限られていた。
【0005】
また、特許文献1には、有機EL層を溶解しない貧溶媒を、有機EL材料に対する良溶媒と組み合わせることで塗布溶液を調製し、複数の有機EL材料膜を塗布により形成することを提案しているが、材料を溶解させることと、また溶剤の選択が難しく、単に溶媒系を工夫するのみでは材料の溶解、また下層へ(から)の混入等に対して、課題が多い。
【特許文献1】特開2005−259523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、低エネルギー、低コスト、高生産性で材料提供範囲の広い有機皮膜の成膜方法及び装置を提供することにあり、更に多層成膜が容易かつ高精度にできる有機皮膜の成膜方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記課題は以下の手段により達成される。
【0008】
1.基板の表面に、有機皮膜を形成する成膜方法であって、
皮膜材料を粒子状で含有する塗布液を前記表面に塗布する塗布ステップと、
塗布液の乾燥を防止し、形成された塗布膜を安定化するステップ、
更に、塗布膜を乾燥するステップ、
粒子状の皮膜を溶融するステップ、
溶融された皮膜を平坦化し、成膜するステップ、
をそれぞれ有することを特徴とする成膜方法。
【0009】
2.前記、溶融された皮膜を平坦化するステップに、遠心力を用いることを特徴とする前記1に記載の成膜方法。
【0010】
3.前記塗布液は、少なくとも有機材料を含む皮膜材料を溶媒に分散させたものあることを特徴とする前記1に記載の成膜方法。
【0011】
4.基板の表面に、有機皮膜を形成するための成膜ユニットであって、
皮膜材料を粒子状で含有する塗布液を前記表面に塗布する塗布手段と、
塗布液の乾燥を防止し、形成された塗布膜を安定化する手段、
更に、塗布膜を乾燥する手段、
粒子状の皮膜を溶融する手段、
溶融された皮膜を平坦化し、成膜する手段、
をそれぞれ有することを特徴とする成膜ユニット。
【0012】
5.前記4に記載の成膜ユニットを複数構成してなる成膜装置において、前記成膜ユニット間に基板冷却装置を具備することを特徴とする成膜装置。
【0013】
6.前記4に記載の成膜ユニットを複数用いて重層成膜を行うことを特徴とする成膜方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、塗布方式により、溶解による他層への材料の混入なく複数の有機層を重層、成膜することができる有機材料からなる機能性薄膜の成膜方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0016】
本発明は、基板の表面に、有機皮膜を形成する成膜方法であって、粒子状の皮膜材料を基板表面に塗布した後、粒子状の皮膜を溶融することによって成膜する有機材料の成膜方法である。
【0017】
本発明は、有機材料の溶液を用いるものではないため、塗布等、基材への適用時に、基材表面層中の他の有機材料等との混合・溶解が避けられ、有機材料同士間の、混入を最小限にすることが可能である。また、成膜材料の溶媒による溶解が、必要条件ではないので、成膜材料への適用範囲が広がり、各種有機材料の成膜が容易となる。
【0018】
以下、本発明の成膜方法の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0019】
《発明の実施の形態》
図1は、本発明に係わる、皮膜材料を粒子状で含有する塗布液を塗布するステップと、
形成された塗布膜を安定化するステップ、塗布膜を乾燥するステップ、粒子状の皮膜を溶融するステップ、溶融された皮膜を平坦化し、成膜するステップ、をそれぞれ有する成膜方法についての各工程を示す概念図である。
【0020】
本発明は、良溶媒に溶解した成膜材料(有機材料)を基板上に塗布する代わりに、成膜材料を貧溶媒に粒子状に分散させた状態で、基板上に塗布するものである。
【0021】
先ず成膜材料を粒子状に分散させる方法について説明する。
【0022】
本発明において、成膜材料を粒子状で塗布液に含有、分散させる方法としては、再沈法や粉砕法を用いることができる。再沈法とは、一旦、成膜材料を溶解可能な溶媒(良溶媒)にとかし、成膜材料が不溶である溶媒(貧溶媒)中に添加しながら、析出、結晶化させる方法である。また、粉砕法は、良溶媒を用いる代わりに、貧溶媒中において、成膜材料を、粉砕器或いは分散器等を用いて、所定の粒径以下の微粉に粉砕し、分散するものである。
【0023】
粉砕法としては、圧力式、超音波、メディア方式等があげられる。粒子状に媒体に保持させることで媒体となる溶媒の選択範囲が広がり、また、貧溶媒を用いるため成膜材料を溶解しないため、成膜材料の媒体中の含有率も高くでき、生産性も上がる。また、広い成膜材料に適用できる。また、この方法であれば積層も可能となる。
【0024】
成膜材料を粒子状で、塗布液に含有・分散させる分散媒としては、粒子状に保持しようとする成膜材料、例えば、有機EL素子における、発光層、キャリア輸送層等を構成する有機材料について、これらの有機材料に対する貧溶媒をもちいる。貧溶媒とは、当該有機材料の溶解度が、1質量%以下(25℃、1気圧)である溶媒をいい、好ましくは0.1質量%以下のものをさす。
【0025】
粉砕の方法としては、いずれの方法も用いることができるが、単独でも複数組み合わせても良い。より微粒化が要求される場合は、再沈法と圧力式の粉砕法を組み合わせてもよい。分散時の破砕圧力としては、10〜300MPaの範囲が好ましく、より好ましくは、80〜250MPaである。必要であれば数〜数十回数に亘って粉砕する。前記の破砕圧力を発生させる、好ましい粉砕器或いは分散機としては、例えば、圧力式粉砕器 吉田機械興業製 ナノマイザー等が挙げられる。
【0026】
また、微粒化レベルは、求める膜厚、精度に応じて変えることができるが、粒径として、3nm〜5μm、好ましくは、30nm〜1μmの範囲になる様に、粉砕する。粒径は、後に加熱、溶融し、平坦化する工程において、充分な吸熱表面をもつ粒径であることが好ましい。分散粒径は、光粒子散乱法を用い、例えば、Malvern社製のZetasizer 1000HSで測定することができる。
【0027】
本発明においては、また、再沈法により、粒子状の成膜材料の分散液を得ることができる。再沈法は、成膜材料を溶解した溶液を、該成膜材料の貧溶媒中に混合して(逆でもよいが)、結晶を析出させたものである。攪拌しつつ混合することが、均一に微粉体として析出させる上では好ましい。成膜材料の溶解には、当該成膜材料の良溶媒となる溶媒を用いればよい。良溶媒とは、当該材料に対する溶解度が1質量%以上(25℃、1気圧)、好ましくは、1.5質量%以上あるものをいう。
【0028】
良溶媒/貧溶媒の比率は、材料によっても異なるが、混合溶媒中における当該材料の溶解度が、混合後において1%以下(25℃)、好ましくは0.1%以下となるような比率で用いることが好ましい。
【0029】
粉砕の方法としては、いずれの方法も用いることができるが、単独でも複数組み合わせても良い。より微粒化が要求される場合は、再沈法と圧力式の粉砕法を組み合わせてもよい。
【0030】
成膜材料と溶剤の比率は、溶媒中に成膜材料を溶解するものではないため、広い範囲に設定できる。分散液全体に対し、大凡0.1%〜30質量%の範囲でまで粉体材料を保持することが可能である。好ましくは、0.5%〜20質量%の範囲である。
【0031】
分散媒となる溶媒は、膜形成しようとする成膜材料に応じて選択することが好ましい。
【0032】
また、成膜材料の媒体となる有機溶媒としては、後工程である乾燥工程によって、溶媒のみを蒸発乾燥するため、常圧における沸点が200℃以下であることが好ましい。より好ましくは150℃以下である。また、乾燥防止安定化ゾーンにおいて、一定時間、粉体状の成膜材料を媒体中に保持しなければならないため、適度な沸点を有することも好ましく、40℃以上、好ましくは、50℃以上の沸点を有することが好ましい。
【0033】
以上、成膜材料を溶解、或いは、成膜材料粉体を分散保持する溶媒としては、成膜しようとする有機材料の種類や性質によって異なる。
【0034】
従って、本発明において用いられる溶媒の種類は、成膜しようとする有機材料に応じて、前記の条件に適ったものを、公知の溶媒から選択すればよく、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン系炭化水素系溶媒や、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソールなどのエーテル系溶媒、メタノール屋エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、オクタンデカン、テトラリン等のパラフィン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミルなどのエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンイソホロン等のケトン系溶媒、ピリジン、キノリン、アニリン等のアミン系溶媒、アセトニトリル、バレロニトリル等のニトリル系溶媒、チオフェン、2硫化炭素などの硫黄系溶媒があげられる。
【0035】
尚、使用可能な溶媒は、これらに限るものではなく、これらを2種以上混合して、溶媒として用いてもよい。
【0036】
これらのうち好ましい例としては、成膜材料によって変わるものの、例えば、有機薄膜の代表例として、有機EL素子の各構成層の成膜材料を考えたとき、良溶媒としては、例えば芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒などであり、好ましくは、芳香族系溶媒、エーテル系溶媒である。また、貧溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、パラフィン系溶媒などが挙げられ、好ましくはアルコール系溶媒、パラフィン系溶媒が挙げられる。
【0037】
本発明においては、このように基本的に貧溶媒或いは貧溶媒と同等の溶解度を有する混合溶媒を用いて塗布を行うため、塗布液を適用する基板表面に、有機層が形成されている場合においても、該有機層の溶解がなく層間の材料の混合が少ない独立した有機薄膜が形成される。
【0038】
次に、本発明の成膜ユニット、即ち、前記の粒子状の成膜材料を含有・分散する塗布液を、基板上に塗布し、乾燥、溶融、平坦化する各ステップにより成膜を行う成膜ユニットについて以下順次説明する。図1に示される本発明の成膜方法の各ステップは架台(テーブル)上に載置された基板に対して適用され、順次本発明の各ステップ(工程)を経ることで、基板上に均一かつ平坦化した有機材料薄膜が形成される。
【0039】
(塗布ステップ)
本発明の成膜ユニットにおいて、塗布ステップは、塗布手段が備えられた塗布ゾーンで実施され、前記の粒子状の成膜材料を含有・分散する塗布液はこれが収納された塗布液タンクから、前記塗布手段に塗布液が計量・供給されて基板上に塗布される。
【0040】
塗布手段(塗布機)としては、スリット式、ノズルスプレー式、スピン方式、インクジェット式、印刷方式等をそれぞれ用いることができ、後に平坦化、平滑化工程を有していることから、塗布手段は特に限定さない。均一に基板上に適用できる塗布手段であれば構わない。
【0041】
本発明の塗布ステップにおいては、有機薄膜を形成しようとする基板上に、塗布機により粒子状の成膜材料を含有・分散する塗布液を適用して、目的とする成膜材料を粒子状で含有するウエット膜が基板上に形成される。図1においてはスリットコーターによる塗布が示されている。
【0042】
ウエット膜厚としては、100nm〜数十μm程度のウエット膜を形成できるコーターが好ましい。
【0043】
塗布の方法は例えば、インクジェット方式或いはスクリーン印刷方式等であれば、パターン状にウエット膜を形成することも可能である。
【0044】
塗布液を適用する基板についても特に限定はない、例えば、有機EL素子等の場合に、既に正孔輸送層、発光層等の有機層が形成された表面にも本発明の成膜方法は適用できる。
【0045】
(塗布膜安定化ステップ)
塗布ステップ(工程)後に設けられた塗布膜安定化ゾーンで行われる塗布膜安定化ステップは、基板上に塗布された粒子状の成膜材料の塗布膜の乾燥を防止・抑制し、ウエット膜を平坦化(レベリング)するステップである。
【0046】
この為に、塗布膜近傍を高湿度雰囲気に調整するための乾燥防止手段(装置)として加湿(調湿)手段が塗布膜安定化ゾーンには設けられている。このゾーンに塗布後1秒から1分の間、ウエット(塗布)膜を、保持することで塗布膜を平坦化(レベリング)する。
【0047】
加湿(調湿)手段は、また相対湿度を一定に保つため温湿度制御手段としてもよく、ゾーン内に温湿度センサーを設置し、これをフィードバックしてゾーン内を空調する温湿度制御部を含むものが好ましい。センサとしては、静電容量型湿度センサおよび測温センサを使用した温湿度トランスミッタ等を用いることができる。また、温度センサとしては非接触式が好ましく、例えば赤外線センサ、レーザセンサ、熱電対センサ等が挙げられる。
【0048】
塗布膜安定化ゾーンの相対湿度は大凡50%以上、好ましくは、60%以上、更に好ましくは70%RH以上が好ましく、これにより塗布膜近傍の塗布溶媒分圧を低下させ、乾燥を抑制した領域とする。相対湿度は高いほどよいが、高過ぎると基板に水滴付着のおそれがあり実質的には90%RH以下である。
【0049】
ウエット膜のレベリングは、特にインクジェット方式、またノズルスプレー方式等の場合、液滴による塗布であるため特に好ましい。
【0050】
具体的には、乾燥防止手段(装置)を有する塗布膜安定化ゾーンは、塗布ゾーンと共に、乾燥防止の為の温度制御部を有し、空調によりゾーン内の温湿度、特に湿度を一定に保持するために、塗布ゾーン及びこれに連続する塗布安定化ゾーンにこれらを覆うフードを設けたり、塗布室のように閉鎖構造とし、小さな開口部から基板を載置したテーブルが塗布膜安定化ゾーンから乾燥ゾーンに移動する構造としてこの領域を前記温湿度制御手段のような乾燥防止手段(装置)によって制御すればよい。塗布ゾーンと塗布安定化ゾーンは一体に温湿度制御ができるように形成されることが好ましい。
【0051】
(乾燥ステップ)
乾燥ゾーンにおける乾燥ステップにおいては、成膜材料の融点、或いはガラス転移点より低い温度で加熱することによって、ウエット膜から溶媒を蒸発させ、塗布膜を乾燥させることで粒子状の皮膜を形成する。乾燥手段としては赤外線による加熱や温風等がある。
【0052】
温風乾燥が用いられる場合、図1で示されるように、乾燥防止された塗布膜安定化ゾーンを経て、乾燥ゾーンに入った基板は、温風乾燥装置の温風吹き出し口から吹き出れされる所定の温度に調節された温風で乾燥が行われる。温風を吹きつける態様では、温風は通常35℃〜100℃が好ましく、さらに好ましくは40℃〜80℃である。温度を制御した乾燥風を風速が0.1〜10m/秒で塗布面へ吹き付けることにより乾燥を行う。
【0053】
また、赤外乾燥を用いる場合は、乾燥装置として、赤外線ヒータが設置される。
赤外輻射乾燥は、乾燥部を通過する基材の塗布面側に赤外線輻射熱を照射して乾燥する方法で、搬送路に赤外線ヒータを配備する。赤外線ヒータとしては近赤外、中赤外、遠赤外のいずれの赤外線を放射するする赤外線ヒータを用いてもよい。ヒータの表面温度は150〜260℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは200℃〜240℃である。
【0054】
例えば、ヒータ1kw当たりの吹きつけ風量は20〜200m3/hrの範囲とする
該ヒータ近傍又はヒータ中に温度検出センサーを設け該センサーによる検出温度により該ヒータに流す電圧電流を変更し、該センサーを設定温度に制御するようにしてもよい。
【0055】
また、加熱方法として、マイクロ波加熱等も用いることができる。
【0056】
また、ここでの乾燥ゾーンを減圧にすることも好ましく、これにより塗布膜中の泡などを除去することも可能である。
【0057】
乾燥装置(手段)によって、基材塗布面から、分散媒体である溶媒を蒸発させ、基板上に粒子状の皮膜形成成分のみが残される。
【0058】
(溶融ステップ)
次に基板上に形成された粒子状の皮膜成分は、溶融ゾーンに設けられた溶融手段によって、材料の融点以上の温度で加熱され、塗布膜が溶融される。加熱には一般の加熱手段を用いることができる。電気ヒータ、赤外線ヒータ(遠赤外セラミックヒータ等)、マイクロ波加熱等を用いることができる。基材上に形成された成膜材料粒子層を、低分子材料の場合当該材料の融点、また高分子材料の場合ガラス転移温度以上の温度に、加熱する。例えば、赤外線ヒータからの輻射熱で、基材表面を150℃〜300℃、好ましくは200℃〜250℃の温度として粒子状成膜材料を溶融する。溶融は、融点以上の温度で行われるため、短時間に溶融することが好ましく、数分以内の工程とすることが好ましい。
【0059】
因みに、成膜材料である有機材料の融点またガラス転移温度は、示差走査熱量計EXSTAR 6000(セイコーインスツルメンツ(株)製)等を用い測定することができる。
【0060】
図1の溶融装置は、例えば、面状セラミックヒータであり、輻射熱により融点或いはガラス転移点以上に加熱された成膜材料は溶融して液体となる。材料の変質を避けるため、不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で行われることが好ましい。
【0061】
(平坦化・成膜ステップ)
溶融ゾーンにおいて溶融した膜は、完全に平坦ではないため、次に平坦化・成膜ゾーンにおいてローラや遠心力を用いて平坦化する。平坦化手段(装置)としてローラを用いる場合、加圧しながら行うこともでき、膜強度を考慮して圧力は設定する。加熱ローラを用いてもよい。
【0062】
遠心力による平坦化手段としては、スピンコータを用いる方法が挙げられる。スピンコータに対向して設けられた溶融装置(手段)により、基材上の粒子状の皮膜を溶融し、スピンコータで溶融膜をテーブル上で回転させ、遠心力により平坦化する。回転台に試料をのせ、高速度、100〜4500rpmの範囲で(溶融した成膜材料(の粘度)によって異なるが)高速回転させる。
【0063】
図2は、スピンコータに対向して設けられた溶融装置と、スピンコータによる非接触の平坦化手段を示す概念図である。非接触の平坦化手段であるため、平坦化ステップ後の膜表面の荒れも少なく好ましい。尚この場合、加熱装置(加熱テーブル)付きのスピンコータを用いれば、溶融ステップと、平坦化し成膜するステップを同時にスピンコータ上で実施できる。
【0064】
また、成膜材料の溶融温度以上に維持された加熱ローラを平坦化手段とすることもできる(図1)。加熱ローラは基材をスクイズすることによって、所定の膜厚で平坦化を行うが、内部にヒータを内蔵させ、また、ローラ表面が溶融膜に接するため、ローラの表面は、ガラス等の平滑で耐熱性の表面エネルギーが小さい、例えば20℃における表面エネルギーが、2.0×10-2N/m以上6.5×10-2N/m以下、より好ましくは、2.0×10-2N/m以上4.0×10-2N/m以下である材質で構成されていることが好ましい。
【0065】
表面エネルギーの測定方法は、水及びヨウ化メチレンとの接触角より、Fowkes−Owensの式を用いて算出することが出来る。
【0066】
特にローラの径は選ばないが、例えば、ローラの直径は、85〜300mm、より好ましくは100〜200mmの範囲でよい。ローラの、表面はJIS規格 B0601により定義されている「最大高さRy」で、0.6μm以下の平滑なローラがより好ましい。
【0067】
このような熱ローラとして、ガラス製の円筒の中央にヒータを内蔵した構造をもつものや、アルミニュウムや鉄等により円筒状に形成された芯金に、例えば、中央にハロゲンヒータを内蔵し、シリコーンゴムや、フッ素ゴム等から形成された耐熱性の弾性層と、PFA(パーフルオロアルコキシ)若しくはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂から形成された離型層を表面層にもつ構造も好ましい。
【0068】
また、ローラの外表面は、適度な硬さをもつことが好ましく、国際ゴム硬さ(IRHD)試験で30°以下が好ましい。
【0069】
ローラ表面を150℃〜300℃、好ましくは200℃〜250℃の温度として粒子状成膜材料の溶融温度以上でスクイズして、所望の膜厚とする。
【0070】
加熱ローラを用いる場合、加熱ローラの圧力としては、線圧で大凡0.01〜5kg/cmの範囲が好ましい。
【0071】
また、平坦化装置においても図示されていないが、温度検出手段を有しフィードバック回路を通して、適宜、ローラ又は加熱装置の温度を設定また調節することが好ましい。
【0072】
このステップも、材料の変質を避けるためには不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下で行われることが好ましい。
【0073】
平坦化後に、冷却することで粒子状の成膜材料が融着した均一な有機材料薄膜をえることができる。
【0074】
本発明の成膜ユニットによって得られる薄膜の膜厚は、1nm〜数μmの範囲に亘り、粒子状の塗布液の成膜材料濃度、また、塗布膜厚等によって調節できるが、有機EL素子における各有機層、薄膜トランジスタにおける有機半導体層等、有機層の薄膜形成において、広い範囲の材料薄膜を基板上に形成するときに適用できる。
【0075】
基板としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、など半導体基板、また、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)等のプラスチックフィルムシート上に所望の有機薄膜を形成できる。
【0076】
またこれらの基板上に、既に電極層や、他の機能性薄膜が形成された基板に、新たに、有機薄膜を形成できる。本発明の方法は、粒子状の成膜材料を用いて塗布するため、基板上に形成された他の機能性薄膜(有機層)を溶解、混合して互いに機能を劣化させることが少ないため、重層成膜が可能である。
【0077】
しかしながら、より精度の高い薄膜形成が必要な場合、下層材料の融点或いはガラス転移点は、新たに成膜する有機材料よりも高いものを選択することが好ましい。
【0078】
(重層方法)
本発明の成膜ユニットを複数組み合わせることにより、重層成膜が可能になる。
図3に、成膜ユニットA、B、Cそれぞれ3つのユニットを連結して、三層の重層を行う装置のブロック図を示した。
【0079】
それぞれの成膜ユニットにより、成膜材料の溶融膜を平坦化し、所望の有機材料膜が得等られるが、その際、成膜ユニット間に冷却装置を配置し、基板温度を下げてから、次の成膜ユニットへ供給することが好ましい。冷却装置を設置することで、成膜の効率が向上する。冷却装置としては、
成膜材料の溶融温度よりも80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上低下することが好ましい。次の塗布工程において用いられる、粒子状成膜材料を含有する分散液の媒体である有機溶媒の沸点以下とすることが好ましい。
【0080】
冷却装置としては、特に限定されるものではなく、水、ジャケットによる冷却装置、また、コンプレッサー等によって、フロン、代替フロンなどの冷媒を圧縮・膨張させて熱を奪う方式等、また、これらを冷却ファンと組み合わせる方法等を用いることができる。
【0081】
また、ペルチェ素子などを使用することができる。ペルチェ素子の場合、加熱側に対して断熱する手段として、水ジャケットによる冷却装置などを使用してもよいし、その熱を放熱するためにヒートシンク、例えばアルミニウム等の金属部材を接触配置してもよい。
【0082】
これらの冷却手段を用いることで、有機薄膜の重層を効率よく行うことができる。
【0083】
また、本発明に係わる薄膜形成方法により、重層成膜する場合、順次成膜する膜材料の融点またはガラス転移点は、順次低下するように選択することが好ましい。下層の成膜材料の融点以下で、かつ当該成膜材料の融点以上である温度を選択して成膜することが好ましい。それにより、溶融ゾーン、また成膜・平坦化ゾーンにおいて、新たに形成される溶融した有機材料によって、下層の有機材料が溶融することがないため、界面での混合が避けられる。
【0084】
(ロール状基板への適用)
以上、本発明の成膜ユニットについて説明したが、成膜ユニットは、図4に示すようなフィルム基板へ対応した形態をとることができる。
【0085】
ロール状フィルム基板上に、有機層の形成を連続的に成膜するユニットの概念図を図4に示した。前記の塗布ゾーン、塗布膜安定化ゾーン、乾燥ゾーン、溶融ゾーン、成膜・平坦化ゾーンを、順次流れるフィルムウエブが通過することで、ウエブ上にそれぞれの塗布膜形成ステップを実施するものである。最後の、平坦化・成膜ゾーンは基材がフィルムウエブであるため、前記平坦化・成膜のローラに対向してバックアップローラを設け、間隙(ニップ)調整を行い連続的に膜厚を制御できるものとする。
【0086】
本発明の成膜ユニットによって得られる薄膜の膜厚は、1nm〜数μmの範囲に亘り、粒子状の塗布液の成膜材料濃度、また、塗布膜厚等によって調節できるが、有機EL素子における各有機層、薄膜トランジスタにおける有機半導体層等、有機層の薄膜形成において、広い範囲の材料薄膜を基板上に形成するときに適用できる。
【0087】
例えば、有機EL素子は、電極間に単数又は複数の有機層を積層した構造であり、例えば、陽極/正孔注入・輸送層/発光層/電子注入・輸送層/陰極等、最も単純には、陽極/発光層/陰極からなる構造であり、ここで形成される上記の有機層の構成材料の成膜に用いることができる。
【0088】
正孔注入・輸送層として、フタロシアニン誘導体、ヘテロ環アゾール類、芳香族三級アミン類、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)などに代表される導電性高分子等の高分子材料、また、発光層に用いられる、例えば、4,4’−ジカルバゾリルビフェニル、1,3−ジカルバゾリルベンゼン等のカルバゾール系発光材料、(ジ)アザカルバゾール類、1,3,5−トリピレニルベンゼンなどのピレン系発光材料に代表される低分子発光材料、ポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類、ポリビニルカルバゾール類などに代表される高分子発光材料などが挙げられる。これらのうちで、発光材料として好ましいものは分子量10000以下の低分子系発光材料が用いられ本発明の成膜材料として用いることができる。
【0089】
また層中(成膜材料)には、好ましくは0.1〜20質量%程度のドーパントが発光材料中に含まれてもよく、ドーパントとしては、ペリレン誘導体、ピレン誘導体等公知の蛍光色素、また、りん光色素、例えば、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトナート)イリジウム、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジン)(ピコリナート)イリジウム、などに代表されるオルトメタル化イリジウム錯体等の錯体化合物がある。
【0090】
電子注入・輸送層材料としては、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物もしくは以下に挙げられる含窒素五員環誘導体がある。即ち、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等。
【0091】
因みに陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、銀、金、白金、パラジウム等及びそれらの合金、酸化スズ、酸化インジウム、ITO等の酸化金属、さらにはポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂が用いられる。
【0092】
また、陰極に使用される導電性物質としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、アルミニウム等。合金としては、マグネシウム/銀、リチウム/アルミニウム等が代表例として挙げられる。
【0093】
ガラス基板及び透明性樹脂フィルムがある。透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0094】
本発明の有機EL素子においては、有機薄膜層のうちの少なくとも1層が本発明に係わる湿式法で成膜されればよく、他の層は真空蒸着法などの他の成膜法(乾式法)を用いることもできる。
【0095】
次に、本発明の好ましい実施の態様について説明する。
【0096】
《好ましい実施の態様》
(分散液の作製)
皮膜剤量を粒子状で含有する塗布液を以下のようにして作製した。
【0097】
tBu−PBD、1gをTHF(テトラヒドロフラン)10mlに溶解し、メタノール100ml中に加え、再沈させ、プレ分散とした。尚、THFは良溶媒でありtBu−PBDの溶解度(20℃)が10質量%以上あり、またメタノールは貧溶媒でありtBu−PBDの溶解度(20℃)が0.1質量%以下である。
【0098】
【化1】

【0099】
次に、上記分散液を圧力式粉砕器(吉田機械興業製ナノマイザー)を用いて破砕した。破砕圧力は200MPa、破砕回数30回で行った。
【0100】
粒径をMalvern社製のZetasizer 1000HSで測定したところ、平均粒径120nmであった。
【0101】
この分散液を用いて、下記のように、有機EL素子を形成した。
【0102】
(有機EL素子の作製)
100mm×100mm×1.1mmのガラス基板上に、陽極としてITO(インジウムチンオキシド)を100nm成膜した透明支持基板を準備した。これをイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し,UVオゾン洗浄を更に5分間行った。
【0103】
この透明支持基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS Bayer社製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により成膜した後、200℃で1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔輸送層を設けた。
【0104】
次に、この正孔輸送層上に、PVK(ポリビニルカルバゾール)30mgと1.5mgのIr−1(ppy)3をジクロルベンゼン3mlに溶解した溶液を同様にスピンコートで塗布、成膜後、60℃で1時間真空乾燥し、乾燥膜厚30nmの発光層を形成した。
【0105】
【化2】

【0106】
次いで、上記で作製したtBu−PBDの分散液を3000rpm、30秒でスピンコート法により塗布、成膜した(塗布ステップ)。塗布後にウエット膜を、相対湿度80%の雰囲気において乾燥を抑制しながら15秒間レベリングのため保持した(塗布膜の安定化ステップ)。
【0107】
次ぎに、乾燥ゾーンに試料を送り、50℃の温風(風速3.0m/秒)で試料を乾燥し、溶媒を蒸発させた。これにより基板上には粒子状の成膜材料皮膜が残された(乾燥ステップ)。
【0108】
次いで、粒子状の成膜材料皮膜が残され試料を図2のようなスピンコータ回転台に移し、回転台に対向して設けられた面上セラミックヒータにより試料表面を200℃に加熱した。これにより粒子状皮膜は溶融し融着、液状化した(溶融ステップ)。
【0109】
因みに、tBu−PBDの融点は、常圧において167℃である。セイコーインスツルメンツ(株)製、示差走査熱量計EXSTAR 6000を用い測定した。
【0110】
次いで、スピンコータ回転台を2000rpmで回転させ、溶融した皮膜を遠心力によって平坦化した(皮膜を平坦化し、成膜するステップ)。これにより膜厚30nmの電子輸送層が発光層上に形成された。
【0111】
更に試料を真空蒸着装置に移し、次いで、真空槽を4×10-4Paまで減圧し、陰極バッファー層としてフッ化リチウム10nm及び陰極としてアルミニウム110nmの層を蒸着成膜して、有機EL素子が作製される。
【0112】
粒子状の皮膜を溶融して有機材料皮膜を形成する本発明の成膜方法を用いて作製された有機EL素子は、電子輸送層と発光層との溶解による有機材料の混合が少ないため、例えば、別に作製したtBu−PBDをジクロロベンゼンに溶解した溶液を用いて電子輸送層を形成した有機EL素子と比較して、発光輝度が高く、また発光効率も非常に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係わる成膜方法についての各工程を示す概念図である。
【図2】スピンコータに対向して設けられた溶融装置と、スピンコータによる非接触の平坦化手段を示す概念図である。
【図3】3つの成膜ユニットA、B、Cを連結して重層を行う装置のブロック図を示す。
【図4】有機層の形成をロール状基板に連続的に成膜するユニットの概念図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に、有機皮膜を形成する成膜方法であって、
皮膜材料を粒子状で含有する塗布液を前記表面に塗布する塗布ステップと、
塗布液の乾燥を防止し、形成された塗布膜を安定化するステップ、
更に、塗布膜を乾燥するステップ、
粒子状の皮膜を溶融するステップ、
溶融された皮膜を平坦化し、成膜するステップ、
をそれぞれ有することを特徴とする成膜方法。
【請求項2】
前記、溶融された皮膜を平坦化するステップに、遠心力を用いることを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
【請求項3】
前記塗布液は、少なくとも有機材料を含む皮膜材料を溶媒に分散させたものあることを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
【請求項4】
基板の表面に、有機皮膜を形成するための成膜ユニットであって、
皮膜材料を粒子状で含有する塗布液を前記表面に塗布する塗布手段と、
塗布液の乾燥を防止し、形成された塗布膜を安定化する手段、
更に、塗布膜を乾燥する手段、
粒子状の皮膜を溶融する手段、
溶融された皮膜を平坦化し、成膜する手段、
をそれぞれ有することを特徴とする成膜ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の成膜ユニットを複数構成してなる成膜装置において、前記成膜ユニット間に基板冷却装置を具備することを特徴とする成膜装置。
【請求項6】
請求項4に記載の成膜ユニットを複数用いて重層成膜を行うことを特徴とする成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−307474(P2007−307474A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−138709(P2006−138709)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】