投写用変倍光学系および投写型表示装置
【課題】投写用変倍光学系において、変倍の際にFナンバーを一定とし、小型化、高いテレセントリック性および良好な投写像の取得を可能とし、例えば映画館用途として好適なものとする。
【解決手段】拡大側から順に、変倍時に固定の第1レンズ群G1、変倍時に移動の複数のレンズ群、変倍時に固定の最終レンズ群が配列されてなる。縮小側がテレセントリックとされる。最終レンズ群中に絞り3が配設され、変倍の全範囲にわたり開口数が一定である。絞り3より拡大側の最終レンズ群中に少なくとも1枚のレンズが配置される。Imφを縮小側の最大有効像円直径、fsを絞り3より縮小側のレンズの合成焦点距離、exPを縮小側の結像面から近軸射出瞳位置までの距離としたとき、下記条件式を満たす。
Imφ/fs<0.4 (1)
30.0<|exP|/Imφ (2)
【解決手段】拡大側から順に、変倍時に固定の第1レンズ群G1、変倍時に移動の複数のレンズ群、変倍時に固定の最終レンズ群が配列されてなる。縮小側がテレセントリックとされる。最終レンズ群中に絞り3が配設され、変倍の全範囲にわたり開口数が一定である。絞り3より拡大側の最終レンズ群中に少なくとも1枚のレンズが配置される。Imφを縮小側の最大有効像円直径、fsを絞り3より縮小側のレンズの合成焦点距離、exPを縮小側の結像面から近軸射出瞳位置までの距離としたとき、下記条件式を満たす。
Imφ/fs<0.4 (1)
30.0<|exP|/Imφ (2)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写用変倍光学系および投写型表示装置に関し、特に、映画館等において大画面スクリーン上に投写するのに好適な投写用変倍光学系およびこれを用いた投写型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子やDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス:登録商標)等のライトバルブを用いた投写プロジェクタ装置(投写型表示装置)が広く普及している。また、近年、映画館等においては、このような投写型表示装置であって、大画面に適用し得る、より高精細な画像を映出し得るようにしたものも利用されつつある。このような利用に供される投写型表示装置では、各原色用に3つのライトバルブを配設して、光源からの光束を色分離光学系により3原色に分離し、各ライトバルブを経由した後、色合成光学系により合成して投写する3板方式が採用されていることから、長いバックフォーカスと良好なテレセントリック性を有することが求められている。
【0003】
一般的に投写距離をスクリーン横幅で割った値をスローレシオという。スクリーンサイズとスクリーンから映写室までの距離、すなわち投写距離は映画館毎にまちまちである。したがって映画館毎に適した大きさの映像を投写するには、それぞれに適したスローレシオに対応するレンズが必要になるが、それらを個々に用意することはコスト面から考えると得策ではない。そこで、変倍光学系を用い、対応できるスローレシオに幅を持たせることが考えられる。投写用の変倍光学系としては、例えば下記特許文献1〜3に記載のものが知られている。
【0004】
なお、従来の投写用の変倍光学系の多くは変倍の際に開口数(以下「Fナンバー」で代用することがある)が変化する。通常はワイド側よりもテレ側の方がFナンバーが大きいため、そのような変倍光学系では、同じスクリーンサイズの映画館でもスローレシオの大きい映画館の方が、映像が暗くなってしまう。映画館用途としては、変倍の際にFナンバーが一定であることが好ましいことから、本願出願人は、下記特許文献3において、変倍の際にFナンバーが一定となるように設定された投写用ズームレンズを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−008797号公報
【特許文献2】特開2005−106948号公報
【特許文献3】特開2009−128683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、上記分野の投写用光学系に対する要望が厳しくなってきている。映画館用途に好適なイメージサークル径(以下、最大有効像円直径ともいう)が得られ、変倍の際にFナンバーが一定であるという要望を満たした上で、小型化を図りつつ、より高いテレセントリック性を実現し、さらに良好な投写像を得ることが要望されるようになってきている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、変倍の際にFナンバーが一定で、小型化を図りながら高いテレセントリック性を実現するとともに良好な投写像を取得可能で、例えば映画館用途として好適な投写用変倍光学系および投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る投写用変倍光学系は、最も拡大側に配置されて変倍の際に固定されている第1レンズ群と、最も縮小側に配置されて変倍の際に固定されている最終レンズ群と、第1レンズ群と最終レンズ群との間に配置されて変倍の際に移動する複数のレンズ群とから実質的に構成されており、縮小側がテレセントリックであり、最終レンズ群中に絞りが配設され、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されており、最終レンズ群において絞りより拡大側に少なくとも1枚のレンズが配置されており、下記条件式(1)、(2)を満足することを特徴とするものである。
Imφ/fs<0.4 … (1)
30.0<|exP|/Imφ … (2)
ただし、
Imφ:縮小側における最大有効像円直径
fs:絞りよりも縮小側にあるレンズの合成焦点距離
exP:縮小側を射出側としたときの、投写距離無限遠時の広角端における縮小側の結像面から近軸射出瞳位置までの光軸上の距離
【0009】
本発明に係る投写用変倍光学系においては、下記条件式(3)を満足することが好ましい。
0.7<Ls/Lge … (3)
ただし、
Ls:絞りから最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
Lge:最終レンズ群における最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
【0010】
また、本発明に係る投写用変倍光学系においては、下記条件式(4)を満足することが好ましい。
1.8<Bf/Imφ … (4)
ただし、
Bf:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
【0011】
また、本発明に係る投写用変倍光学系においては、変倍の際に移動する複数のレンズ群が、実質的に2群または3群のレンズ群からなるように構成することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る投写用変倍光学系においては、例えば第1の態様として、第1レンズ群が負の屈折力を有し、最終レンズ群が正の屈折力を有し、変倍の際に移動する複数のレンズ群のうち最も拡大側のレンズ群が負の屈折力を有するように構成することができる。
【0013】
本発明に係る投写用変倍光学系が上記第1の態様を採る場合、下記条件式(5)を満足することが好ましい。
1.5<Bfn/fw … (5)
ただし、
Bfn:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
【0014】
本発明に係る投写用変倍光学系が上記第1の態様を採る場合、下記条件式(6)を満足することが好ましい。
−10.0<f1/fw<−2.0 … (6)
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離
fw:広角端における全系の焦点距離
【0015】
あるいは、本発明に係る投写用変倍光学系においては、例えば第2の態様として、第1レンズ群が正の屈折力を有し、最終レンズ群が正の屈折力を有し、変倍の際に移動する複数のレンズ群が、拡大側から順に、負の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群との実質的に3つのレンズ群からなるように構成することができる。
【0016】
本発明に係る投写用変倍光学系が上記第2の態様を採る場合、下記条件式(7)を満足することが好ましい。
1.3<Bfp/fw … (7)
ただし、
Bfp:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
【0017】
本発明に係る投写用変倍光学系が上記第2の態様を採る場合、下記条件式(8)を満足することが好ましい。
Lp/Imφ<15.0 … (8)
ただし、
Lp:投写距離無限遠時の最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
【0018】
また、本発明に係る投写用変倍光学系においては、第1レンズ群より縮小側の全てのレンズが単レンズにより構成されていることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る投写用変倍光学系においては、レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る投写用変倍光学系がズームレンズであるとき、フォーカシングは、第1レンズ群の最も縮小側に配置されたレンズを含む第1レンズ群の一部のみを光軸方向に移動させるインナーフォーカス方式により行うように構成されていることが好ましい。
【0021】
本発明に係る投写型表示装置は、光源と、該光源からの光が入射するライトバルブと、該ライトバルブにより光変調された光による光学像をスクリーン上に投写する投写用変倍光学系として上述した本発明の投写用変倍光学系とを備えたことを特徴とするものである。
【0022】
なお、本発明の投写用変倍光学系としては、ズームレンズでもよく、バリフォーカルレンズでもよい。
【0023】
なお、上記「拡大側」とは、被投写側(スクリーン側)を意味し、縮小投写する場合も、便宜的にスクリーン側を拡大側と称するものとする。一方、上記「縮小側」とは、原画像表示領域側(ライトバルブ側)を意味し、縮小投写する場合も、便宜的にライトバルブ側を縮小側と称するものとする。
【0024】
なお、上記「〜から実質的に構成されており」、「実質的に〜のレンズ群からなる」は、構成要素として挙げたレンズ群以外に、実質的にパワーを有さないレンズやレンズ群、絞りやカバーガラス等レンズ以外の光学要素等を含んでもよいことを意図するものである。
【0025】
なお、上記「縮小側がテレセントリック」とは、縮小側の像面の任意の点に集光する光束の断面において上側の最大光線と下側の最大光線との二等分角線が光軸と平行に近い状態を指すものであり、完全にテレセントリックな場合、すなわち前記2等分角線が光軸に対して完全に平行な場合に限るものではなく、多少の誤差がある場合をも含むものを意味する。ここで多少の誤差がある場合とは、光軸に対する前記2等分角線の傾きが±3°の範囲内の場合である。
【0026】
なお、上記「レンズ群」とは、必ずしも複数のレンズから構成されるものだけでなく、1枚のレンズのみで構成されるものも含むものとする。
【0027】
なお、上記「Imφ」は、例えば、投写用変倍光学系の仕様や、投写用変倍光学系が搭載される装置における仕様によって求めることができる。
【0028】
なお、上記「単レンズ」とは、接合されていない1枚のレンズからなるものを意味する。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る投写用変倍光学系は、拡大側から順に、変倍の際に固定されている第1レンズ群、変倍の際に移動する複数のレンズ群、変倍の際に固定されている最終レンズ群が配列されてなり、縮小側がテレセントリックであり、最終レンズ群中に絞りを配設し、変倍の全範囲に亘って開口数が一定となるように設定され、最終レンズ群において絞りより拡大側に少なくとも1枚のレンズが配置され、所定の条件式を満足するように構成される。
【0030】
したがって、本発明によれば、変倍の全範囲にわたって開口数を一定に保つことができ、小型化を図りながら高いテレセントリック性を実現するとともに良好な投写像を取得可能で、例えば映画館用途として好適な投写用変倍光学系および投写型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図2】本発明の実施例1に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図3】本発明の実施例2に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図4】本発明の実施例2に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図5】本発明の実施例3に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図6】本発明の実施例3に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図7】本発明の実施例4に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図8】本発明の実施例4に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図9】本発明の実施例5に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図10】本発明の実施例5に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図11】本発明の実施例6に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図12】本発明の実施例6に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図13】本発明の実施例7に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図14】本発明の実施例7に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図15】本発明の実施例8に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図16】本発明の実施例8に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図17】本発明の実施例9に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図18】本発明の実施例9に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図19】本発明の実施例10に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図20】本発明の実施例10に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図21】本発明の実施例11に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図22】本発明の実施例11に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図23】本発明の実施例12に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図24】本発明の実施例12に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図25】本発明の実施例13に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図26】本発明の実施例13に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図27】本発明の実施例14に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図28】本発明の実施例14に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図29】図29(A)、図29(B)は中間画角の下側不要光線の遮蔽を説明するための図
【図30】中間画角の下側不要光線の遮蔽を説明するための部分拡大図
【図31】図31(A)〜図31(L)は本発明の実施例1に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図32】図32(A)〜図32(L)は本発明の実施例2に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図33】図33(A)〜図33(L)は本発明の実施例3に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図34】図34(A)〜図34(L)は本発明の実施例4に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図35】図35(A)〜図35(L)は本発明の実施例5に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図36】図36(A)〜図36(L)は本発明の実施例6に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図37】図37(A)〜図37(L)は本発明の実施例7に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図38】図38(A)〜図38(L)は本発明の実施例8に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図39】図39(A)〜図39(L)は本発明の実施例9に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図40】図40(A)〜図40(L)は本発明の実施例10に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図41】図41(A)〜図41(L)は本発明の実施例11に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図42】図42(A)〜図42(L)は本発明の実施例12に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図43】図43(A)〜図43(L)は本発明の実施例13に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図44】図44(A)〜図44(L)は本発明の実施例14に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図45】本発明の一実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図
【図46】本発明の別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1、図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る投写用変倍光学系について説明する。図1は本発明の実施例1に係る投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成を示す断面図であり、図2は図1に示す投写用変倍光学系を変倍操作させたときの広角端、中間焦点位置および望遠端における、各レンズ群の移動位置を示すものである。図2では、広角端から中間焦点位置、中間焦点位置から望遠端へ変化する際の移動するレンズ群の移動方向を各位置の間の矢印で概略的に示している。図1、図2ともに、軸上および最外画角に関する光線軌跡を合わせて示している。図3〜図28は、本発明の実施形態にかかる別の構成例を示す断面図であり、それぞれ後述の実施例2〜14に係る投写用変倍光学系に対応している。基本的な構成は同様であるため、以下では、主に図1、図2に示す構成例を例にとり本発明の実施形態について説明する。
【0033】
この投写用変倍光学系は、映画館等で用いられるデジタル映像を映出するための投写型表示装置に搭載可能なものであり、例えばライトバルブに表示された画像情報をスクリーンへ投写する投写レンズとして使用可能である。図1および図2では、図の左側を拡大側、右側を縮小側とし、投写型表示装置に搭載される場合を想定して、色合成プリズム(フィルタ類を含む)等のガラスブロック2a、2bと、ガラスブロック2bの縮小側の面に位置するライトバルブの画像表示面1も合わせて図示している。
【0034】
投写型表示装置においては、画像表示面1で画像情報を与えられた光束が、ガラスブロック2a、2bを介して、この投写用変倍光学系に入射され、この投写用変倍光学系により紙面左側方向に配置されるスクリーン(不図示)上に拡大投写されるようになる。
【0035】
なお、図1および図2では、ガラスブロック2bの縮小側の面の位置と画像表示面1の位置とが一致した例を示しているが、必ずしもこれに限定されない。また、図1および図2には、1枚の画像表示面1のみを記載しているが、投写型表示装置において、光源からの光束を色分離光学系により3原色に分離し、各原色用に3つのライトバルブを配設して、フルカラー画像を表示可能とするように構成してもよい。
【0036】
本実施形態に係る投写用変倍光学系は、最も拡大側に配置されて変倍の際に固定されている第1レンズ群G1と、最も縮小側に配置されて変倍の際に固定されている最終レンズ群と、第1レンズ群G1と最終レンズ群との間に配置されて変倍の際に移動する複数のレンズ群(以下、変倍時移動レンズ群という)のみを実質的なレンズ群として有し、縮小側がテレセントリックとなるように構成されている。
【0037】
例えば図1、図2に示す例では、拡大側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5の5つのレンズ群が配列されて構成されている。このうち、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4の3つのレンズ群が変倍時移動レンズ群に対応し、第5レンズ群G5が最終レンズ群に対応する。
【0038】
図1、図2に示す例では、各レンズ群を構成するレンズは、第1レンズ群G1は6枚のレンズ(第1レンズL1〜第6レンズL6)からなり、第2レンズ群G2は1枚のレンズ(第7レンズL7)からなり、第3レンズ群G3は1枚のレンズ(第8レンズL8)からなり、第4レンズ群G4は3枚のレンズ(第9レンズL9〜第11レンズL11)からなり、第5レンズ群G5は絞り3と7枚のレンズ(第12レンズL12〜第18レンズL18)からなる。ただし、本発明の投写用変倍光学系の各レンズ群を構成するレンズの枚数は必ずしも図1、図2に示す例に限定されない。
【0039】
本実施形態の投写用変倍光学系は、最終レンズ群中に絞り3が配設され、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されている。絞り3は、例えば開口絞りとして機能するものを用いることができる。
【0040】
絞り3を変倍時に移動する全てのレンズ群よりも縮小側に配置することで、絞り3が絞り径が変化しない簡素な固定開口により構成されている固定絞りであっても、変倍の際に開口数が一定となり、投写倍率が同じであれば、投写距離に関係なく同じ明るさでスクリーン上に投写することができる。例えば映画館等の室内空間の大きさや形状等に応じて投写距離が変更される際に有効である。なお、絞り3として、絞り径が可変の可変絞りを用いることも勿論可能である。
【0041】
また、本実施形態の投写用変倍光学系は、最終レンズ群において絞り3よりも拡大側に少なくとも1枚のレンズが配置されるように構成される。絞り3より拡大側の最終レンズ群中に、変倍時に固定されている少なくとも1枚のレンズを配置することで、変倍全域で像面湾曲を良好に補正することが容易となる。
【0042】
また、絞り3より拡大側の最終レンズ群中に配置されるレンズの保持部材に開口の機能を持たせることで、広角端および広角端よりの変倍領域において中間画角の下側不要光線を遮蔽することが可能となり、テレセントリック性の向上を図ることが容易となる。この点について、図29(A)、図29(B)、図30を参照しながら説明する。
【0043】
図29(A)は、図1に示す投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ断面図と光線軌跡を示すものである。図29(A)に、軸上マージナルの上側光線4Aw、軸上マージナルの下側光線4Bw、中間画角の上側光線5Aw、中間画角の下側光線5Bw、5Cw、最大画角の上側光線6Aw、最大画角の下側光線6Bwを示す。
【0044】
図29(B)は、図1に示す投写用変倍光学系の望遠端におけるレンズ断面図と光線軌跡を示すものである。図29(B)に、軸上マージナルの上側光線4At、軸上マージナルの下側光線4Bt、中間画角の上側光線5At、中間画角の下側光線5Bt、最大画角の上側光線6At、最大画角の下側光線6Btを示す。なお、図29(B)では、図の煩雑化を防ぐため、一部符号を省略している。
【0045】
図29(A)、図29(B)に示す例において、最終レンズ群において絞り3よりも拡大側に配置されるレンズは、第12レンズL12である。図29(A)の第12レンズL12付近の部分拡大図を図30に示す。ただし、図30では、最大画角の光線の図示を省略している。また、図30では、第12レンズL12の保持部材7を追加して図示している。
【0046】
図30に示すように、第12レンズL12の保持部材7に開口機能を持たせることで、中間画角の最も下側の光線を、図30の太線で示す下側光線5Cwとすることができる。なお、保持部材7は中間画角の不要光を遮蔽可能な開口機能を持つものであればよく、その形状は図30に示すものに限定されない。
【0047】
仮に、第12レンズL12の保持部材7に開口機能を持たせない場合は、中間画角の最も下側の光線は、図30の点線で示す下側光線5Bwとなり、中間画角の下側光線が必要以上にレンズ系を透過してしまい、中間画角におけるテレセントリック性が悪化する。
【0048】
テレセントリック性や軸外光学性能を悪化させる不要光線は、実用上問題ない程度にまで遮蔽することが好ましい。しかし、中間画角の下側光線について、このような不要光線を遮蔽しようとしたとき、図29(A)、図29(B)からわかるように、絞り3より縮小側では軸上マージナルの下側光線の方が軸外の下側光線より光軸から離れた位置を通過するため、絞り3より縮小側で中間画角の下側光線を遮蔽することはできない。また、変倍時移動レンズ群より拡大側のレンズでは、望遠端および広角端において最大画角の下側光線の方が中間画角の下側光線より光軸から離れた位置を通過するため、例えば、変倍時移動レンズ群より拡大側のレンズの保持部材に開口機能を持たせて不要光線を遮蔽しようとしても、望遠端および広角端における最大画角の光束と広角端付近での中間画角の光束との両方についてテレセントリック性の向上を図ることは難しく、変倍比を高くしていくほど、その難しさは増して行く。
【0049】
以上説明したように、絞り3より拡大側の最終レンズ群中にレンズを配置し、このレンズの保持部材に開口の機能を持たせることで、良好な収差補正とテレセントリック性の向上を図ることができる。なお、絞り3より拡大側の最終レンズ群中にレンズを配置せず、開口の機能を持つ遮光部材のみを配置することも考えられるが、本実施形態のようにレンズを配置した方が、良好な収差補正とテレセントリック性の向上に加え、空間を効率的に利用することができ、さらなる小型化を進める上で有利となる。
【0050】
さらに、本実施形態の投写用変倍光学系は、下記条件式(1)、(2)を満足するように構成されている。
Imφ/fs<0.4 … (1)
30.0<|exP|/Imφ … (2)
ただし、
Imφ:縮小側における最大有効像円直径
fs:絞りよりも縮小側にあるレンズの合成焦点距離
exP:縮小側を射出側としたときの、投写距離無限遠時の広角端における縮小側の結像面から近軸射出瞳位置までの光軸上の距離
【0051】
条件式(1)は、最大有効像円直径、いわゆるイメージサークルの大きさと、絞り3より縮小側のレンズの合成焦点距離との関係を規定するものである。条件式(1)の上限を上回ると、第1レンズ群G1の拡大側のレンズ径が大きくなる。条件式(1)を満たすように構成することで、所望のイメージサークルの大きさを得ながら小型化を図ることができる。
【0052】
条件式(2)は、射出瞳位置とイメージサークルの大きさに関するものである。条件式(2)を満たすように構成することで、所望のイメージサークルの大きさを得ながらテレセントリック性を確保することができる。
【0053】
また、本実施形態にかかる投写用変倍光学系はさらに以下に述べる構成を適宜選択的に有することが好ましい。なお、好ましい態様としては、以下に述べる構成の1つを有するものでもよく、あるいは任意の組合せを有するものでもよい。
【0054】
第1レンズ群G1は負の屈折力を有するものであってもよい。最も拡大側のレンズ群である第1レンズ群G1が負レンズ群であるネガティブリード型の光学系とすることで、広角化に有利となる。
【0055】
あるいは、第1レンズ群G1は正の屈折力を有するものであってもよい。最も拡大側のレンズ群である第1レンズ群G1が正レンズ群であるポジティブリード型の光学系とすることで、高変倍比を得ることが容易になる。
【0056】
最終レンズ群は、最も縮小側のレンズ群であることから、拡大側に位置するレンズ群の径が大きくならないために、正の屈折力を有することが好ましい。
【0057】
変倍時移動レンズ群をどのような構成とするかは適宜選択可能であるが、例えば、2群または3群のレンズ群からなるように構成することができる。変倍時移動レンズ群を2つまたは3つのレンズ群で構成すれば、全系の大型化および変倍時の収差変動の両方を抑制することが容易となる。
【0058】
例えば、本投写用変倍光学系の第1の態様として、第1レンズ群G1が負の屈折力を有し、最終レンズ群が正の屈折力を有し、変倍時移動レンズ群のうち最も拡大側のレンズ群が負の屈折力を有するように構成することができる。このような態様を採ることで、広い画角を得ながらも拡大側のレンズ径を適切な大きさに収め、かつ高変倍比を得ることが容易になる。
【0059】
上記第1の態様の構成を採り、且つ変倍時移動レンズ群を、拡大側から順に、負レンズ群、正レンズ群が配列された2つのレンズ群からなるようにした場合は、第1の態様により得られる上記効果に加え、さらに小型化が容易になるという効果が得られる。
【0060】
上記第1の態様の構成を採り、且つ変倍時移動レンズ群を、拡大側から順に、負レンズ群、正レンズ群、正レンズ群が配列された3つのレンズ群からなるようにした場合は、第1の態様により得られる上記効果に加え、変倍全域で像面湾曲の補正がより容易になるという効果が得られる。
【0061】
上記第1の態様の構成を採る場合、下記条件式(5)、(6)のいずれか一方または両方を満足することが好ましい。
1.5<Bfn/fw … (5)
−10.0<f1/fw<−2.0 … (6)
ただし、
Bfn:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
f1:第1レンズ群の焦点距離
【0062】
条件式(5)は、ネガティブリード型の光学系において、広角端における全系の焦点距離に対する、全系のバックフォーカスの比の値を規定するものであり、ビームスプリッタや、クロスダイクロイックプリズム、TIRプリズム等の色合成手段としてのガラスブロック等を挿入する適切なスペースを確保することを可能とするものである。すなわち、条件式(5)の下限を下回ると、長いバックフォーカスを確保することが困難になり、レンズ系の縮小側に色合成手段としてのガラスブロック等を挿入することが困難となる。
【0063】
条件式(6)は、ネガティブリード型の光学系における第1レンズ群G1のパワーを規定するものである。条件式(6)の下限を下回ると、拡大側のレンズ外径が大きくなり、広角化が困難になるとともに、長いバックフォーカスを確保することが困難になり、レンズ系の縮小側に色合成手段としてのガラスブロック等を挿入することが困難となる。条件式(6)の上限を上回ると、像面湾曲、ディストーションの補正が困難になる。
【0064】
本投写用変倍光学系の第2の態様として、第1レンズ群G1が正の屈折力を有し、最終レンズ群が正の屈折力を有し、変倍時移動レンズ群が、拡大側から順に、負の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群とから構成される実質的に3つのレンズ群からなるように構成することができる。このようなポジティブリード型のレンズ構成とすることにより、高変倍比を得ることが容易になる。また、変倍時移動群を拡大側から順に、負、正、正の屈折力配置とすることで、負、負、正の屈折力配置としたものに比べて変倍時の収差の変動、特に球面収差の変動を抑制することが容易になる。
【0065】
上記第2の態様の構成を採る場合、下記条件式(7)、(8)のいずれか一方または両方を満足することが好ましい。
1.3<Bfp/fw … (7)
Lp/Imφ<15.0 … (8)
ただし、
Bfp:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
Lp:投写距離無限遠時の最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
Imφ:縮小側における最大有効像円直径
【0066】
条件式(7)は、ポジティブリード型の光学系において、広角端における全系の焦点距離に対する、全系のバックフォーカスの比の値を規定するものであり、ビームスプリッタや、クロスダイクロイックプリズム、TIRプリズム等の色合成手段としてのガラスブロック等を挿入する適切なスペースを確保することを可能とするものである。すなわち、条件式(7)の下限を下回ると、長いバックフォーカスを確保することが困難になり、レンズ系の縮小側に色合成手段としてのガラスブロック等を挿入することが困難となる。
【0067】
条件式(8)は、ポジティブリード型の光学系において、イメージサークルの大きさと、投写距離無限遠時の最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離(以下、レンズ全厚という)との関係を規定するものである。条件式(8)の上限を上回ると、所望のイメージサークルの大きさが得られず、本発明が目的とする映画館等の用途の投写用変倍光学系として必要な機能を備えることが困難になるか、またはレンズ全厚が大きくなりすぎる。
【0068】
また、本実施形態にかかる投写用変倍光学系は、上記の第1の態様、第2の態様を採る場合に限らず、別の構成を採る場合においても、さらに以下に述べる構成を適宜選択的に有することが好ましい。
【0069】
本実施形態の投写用変倍光学系は、下記条件式(3)、(4)、(9)のいずれか1つ、あるいは任意の組合せを満足することが好ましい。
0.7<Ls/Lge … (3)
1.8<Bf/Imφ … (4)
1.4<Zr … (9)
ただし、
Ls:絞りから最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
Lge:最終レンズ群における最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
Bf:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
Imφ:縮小側における最大有効像円直径
Zr:広角端に対する望遠端の変倍比
【0070】
条件式(3)は、最終レンズ群中における絞り3の光軸方向の位置を規定するものである。条件式(3)の下限を下回ると、レンズ系の全長が長くなり、レンズ系が大型化してしまう。
【0071】
条件式(4)は、バックフォーカスとイメージサークルの大きさの比に関するものである。条件式(4)の下限を下回ると、所望のイメージサークルの大きさを得ながら、レンズ系の縮小側に、ビームスプリッタや、クロスダイクロイックプリズム、TIRプリズム等の色合成手段としてのガラスブロック等を挿入する適切なスペースを確保することが困難となる。
【0072】
条件式(9)は、変倍比を規定するものである。条件式(9)の下限を下回ると、高変倍比が得られず、投写用変倍光学系として使用可能な範囲が狭くなりコストメリットが低下してしまい、本発明が目的とする映画館等の用途の投写用変倍光学系として好適なものと言えなくなる。
【0073】
また、上述した条件式(1)〜(9)それぞれに代えて下記条件式(1−1)〜(9−1)それぞれを満たすことがより好ましい。
Imφ/fs<0.37 … (1−1)
35.0<|exP|/Imφ … (2−1)
0.8<Ls/Lge … (3−1)
2.2<Bf/Imφ … (4−1)
2.0<Bfn/fw … (5−1)
−7.0<f1/fw<−2.3 … (6−1)
1.5<Bfp/fw … (7−1)
Lp/Imφ<12.0 … (8−1)
1.5<Zr … (9−1)
【0074】
また、本実施形態の投写用変倍光学系においては、第1レンズ群より縮小側の全てのレンズを、接合レンズではなく単レンズにより構成することが好ましい。第1レンズ群より縮小側では軸上光束と軸外光束が重なる部分が多いため、投写用変倍光学系が投写型表示装置に搭載されて高出力の光源と併用されたとき、強力な光によってレンズを接合するための接合剤が著しく変質、劣化し、レンズ性能の低下を招くおそれがあるが、接合レンズを用いないことで、このような問題の発生を回避することができる。また、このような問題の発生を極力回避するためには、全系の全てのレンズを、接合レンズではなく単レンズにより構成することがより好ましい。
【0075】
なお、本実施形態の投写用変倍光学系においては、図1に示す例のように、各レンズ面を全て球面とした非球面を用いない構成が可能であり、このようにした場合は、コスト的に有利となる。勿論、本実施形態の投写用変倍光学系において、非球面を用いる構成も可能であり、その場合はより良好に収差補正を行うことができる。
【0076】
また、本実施形態の投写用変倍光学系においては、レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成してもよい。すなわち、レンズ群の間隔のみを変更することで、ズームレンズからバリフォーカルレンズへ、あるいはバリフォーカルレンズからズームレンズへ変換可能であるように構成してもよい。このような構成によれば、最小限の機構構造変更で異なるフォーカス方式の装置に使用可能となり、コストメリットの高いものとすることができる。
【0077】
なお、この投写用変倍光学系がズームレンズである場合、投写距離が変化したときのフォーカシングは、第1レンズ群G1の最も縮小側に配置されたレンズを含む第1レンズ群G1の一部のみを光軸方向に移動させることによって行なうインナーフォーカス方式とすることが好ましい。
【0078】
例えば図21に示す例では、第1レンズ群G1の縮小側から1番目、2番目のレンズである第3レンズL3と第4レンズL4とを一体的に光軸方向に移動させることによりフォーカシングを行うことが可能である。インナーフォーカス方式を採用することで、径が大きく重量の大きな拡大側のレンズを駆動させなくてよいため駆動機構の負担を少なくできるとともに、フォーカス時にレンズ全厚を一定に保つことができる。
【0079】
なお、本発明の投写用変倍光学系においては、フォーカシングを、第1レンズ群G1の全体または縮小側以外の一部を移動させることによって行うことも可能であり、あるいは第1レンズ群G1以外のレンズ群の全体または一部を移動させることによって行なうことも可能である。
【0080】
なお、本発明の目的とする投写用変倍光学系としては、全変倍域でFナンバーが3.0よりも小さな光学系であることが好ましい。また、本発明の目的とする投写用変倍光学系としては、全変倍域でディストーション(歪曲収差)が約2%以下に抑えられていることが好ましい。
【0081】
次に、本発明に係る投写型表示装置の実施形態について、図45および図46を用いて説明する。図45は本発明の一実施形態に係る投写型表示装置の一部を示す概略構成図であり、図46は本発明の別の施形態に係る投写型表示装置の一部を示す概略構成図である。
【0082】
図45に示す投写型表示装置は、各色光に対応したライトバルブとしての反射型表示素子11a〜11cと、色分解のためのダイクロイックミラー12、13と、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14と、光路偏向のための全反射ミラー18と、偏光分離プリズム15a〜15cを有する照明光学系10を備えている。なお、ダイクロイックミラー12の前段には、図示を省略された光源が配されている。
【0083】
この光源からの白色光はダイクロイックミラー12、13により3つの色光光束(G光、B光、R光)に分解される。分解後の各色光光束はそれぞれ偏光分離プリズム15a〜15cを経て、各色光光束それぞれ対応する反射型表示素子11a〜11cに入射して光変調され、クロスダイクロイックプリズム14により色合成された後、上述の実施形態に係る投写用変倍光学系19に入射する。この入射光による光学像が投写用変倍光学系19により、図示されないスクリーン上に投写される。
【0084】
一方、図46に示す他の実施形態に係る投写型表示装置は、各色光に対応したライトバルブとしての反射型表示素子21a〜21cと、色分解および色合成のためのTIR(Total Internal Reflection)プリズム24a〜24cと、偏光分離プリズム25を有する照明光学系20を備えている。なお、偏光分離プリズム25の前段には、図示を省略された光源が配されている。
【0085】
この光源からの白色光は偏光分離プリズム25を経た後、TIRプリズム24a〜24cにより3つの色光光束(G光、B光、R光)に分解される。分解後の各色光光束はそれぞれ対応する反射型表示素子21a〜21cに入射して光変調され、再びTIRプリズム24a〜24cを逆向きに進行して色合成された後、偏光分離プリズム25を透過して、上述の実施形態に係る投写用変倍光学系29に入射する。この入射光による光学像が投写用変倍光学系29により、図示されないスクリーン上に投写される。
【0086】
なお、反射型表示素子11a〜11c、21a〜21cとしては、例えば反射型液晶表示素子やDMD等を用いることができる。図45および図46ではライトバルブとして反射型表示素子を用いた例を示したが、本発明の投写型表示装置が備えるライトバルブは、これに限られるものではなく、透過型液晶表示素子等の透過型表示素子を用いてもよい。
【0087】
次に、本発明の投写用変倍光学系の具体的な実施例について説明する。以下に述べる実施例1〜14のうち、実施例1〜10は第1レンズ群が負の屈折力を有するネガティブリード型の光学系であり、実施例11〜14は第1レンズ群が正の屈折力を有するポジティブリード型の光学系である。また、実施例1〜8、11〜14は5群構成であり、実施例9、10は4群構成である。
【0088】
なお、以下に述べる実施例1〜14はバリフォーカルレンズとして構成されているが、実施例5、9、11は後で変形例として説明するように、レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとして使用できるように構成されている。実施例1〜14をバリフォーカルレンズとして使用する際は、変倍時または投写距離が変化したときのフォーカシングは、全系を一体的に光軸方向に移動させることによって行う全体繰り出し方式により行われる。
【0089】
<実施例1>
図1、図2にそれぞれ実施例1の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。なお、図1および図2に示す構成は、縮小倍率が−0.002倍のときのものである。図1、図2についての詳細な説明は上述した通りであるのでここでは重複説明を一部省略する。
【0090】
実施例1の投写用変倍光学系は、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5が配列された5群構成であり、縮小側がテレセントリックとされており、第5レンズ群G5の縮小側には、反射型液晶表示パネル等からなるライトバルブの画像表示面1および色合成プリズム(赤外線カットフィルタやローパスフィルタ等のフィルタを含む)等のガラスブロック2a、2bが配置されている。
【0091】
変倍時には、第1レンズ群G1と第5レンズ群G5は固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4は可動とされ、その可動態様は図2に表されている。また、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されている。
【0092】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第3レンズL3と、両凹レンズよりなる第4レンズL4と、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第5レンズL5と、両凸レンズよりなる第6レンズL6とから構成されている。第5レンズL5と第6レンズL6とは接合されている。
【0093】
第2レンズ群G2は、両凹レンズよりなる第7レンズL7から構成されている。第3レンズ群G3は、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8から構成されている。第4レンズ群G4は、拡大側より順に、両凸レンズよりなる第9レンズL9と、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11とから構成されている。
【0094】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第12レンズL12と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第13レンズL13と、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第14レンズL14と、両凸レンズよりなる第15レンズL15と、両凹レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17と、両凸レンズよりなる第18レンズL18とから構成されている。
【0095】
実施例1の投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1より縮小側の全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0096】
表1の上段の表に実施例1の投写用変倍光学系の基本レンズデータを示す。表1には絞り3、ガラスブロック2a、2bも含めて示している。表1において、Siの欄には最も拡大側の構成要素の拡大側の面を1番目として縮小側に向かうに従い順次増加するように構成要素に面番号を付したときのi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示す。Riの欄にはi番目の面の曲率半径を示し、Diの欄にはi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示している。また、Ndjの欄には最も拡大側の構成要素を1番目として縮小側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の構成要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjの欄にはj番目の構成要素のd線に対するアッベ数を示している。
【0097】
ただし、曲率半径の符号は、面形状が拡大側に凸の場合を正、縮小側に凸の場合を負としている。第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5の間隔は、変倍時に変化する可変間隔であり、これらの間隔に相当する欄にはそれぞれ(可変1)、(可変2)、(可変3)、(可変4)と記入している。
【0098】
表1の下段の表に広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔(可変1)、(可変2)、(可変3)、(可変4)の値をそれぞれ示す。また、表1の一番上に、実施例1の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを示す。
【0099】
【表1】
【0100】
なお、表1のデータは、広角端における投写用変倍光学系の全系の焦点距離を10.0として規格化したときの値である。また、表1では所定の桁でまるめた数値を記載している。
【0101】
図31(A)〜図31(D)にそれぞれ、広角端における実施例1の投写用変倍光学系の球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差(倍率の色収差)の各収差図を示す。図31(E)〜図31(H)にそれぞれ、中間焦点位置における実施例1の投写用変倍光学系の球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差(倍率の色収差)の各収差図を示す。図31(I)〜図31(L)にそれぞれ、望遠端における実施例1の投写用変倍光学系の球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差(倍率の色収差)の各収差図を示す。
【0102】
図31(A)〜図31(L)の各収差図は、d線を基準としたものであるが、球面収差図では、F線(波長波長486.1nm)、C線(波長656.3nm)に関する収差も示しており、倍率色収差図では、F線、C線に関する収差を示している。また、非点収差図ではサジタル方向、タンジェンシャル方向に関する収差をそれぞれ実線、破線で示している。球面収差図の縦軸上方に記載のFはFナンバー、その他の収差図の縦軸上方に記載のωは半画角を意味する。なお、図31(A)〜図31(L)の収差図は、縮小倍率が−0.002倍のときのものである。
【0103】
上述した実施例1のレンズ構成図、レンズ群配置図、表および収差図の記号、意味、記載方法は、特に断りがない限り、以下の実施例2〜14のものについても基本的に同様である。また、上述した実施例1のレンズ構成図、レンズ群配置図、収差図が縮小倍率−0.002倍のときのものである点、基本レンズデータが焦点距離が10.0で規格化されている点も以下の実施例2〜14のものについても同様である。
【0104】
<実施例2>
図3、図4にそれぞれ実施例2の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例2に係る投写用変倍光学系は、実施例1に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第5レンズL5が両凹レンズよりなる点、第3レンズ群G3の第8レンズL8が両凸レンズよりなる点、第4レンズ群G4の第10レンズL10が両凹レンズよりなる点、第5レンズ群G5の第12レンズL12が両凹レンズよりなる点、第5レンズ群G5の第13レンズL13が両凸レンズよりなる点において相違している。
【0105】
実施例2の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表2の一番上に示し、基本レンズデータを表2の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表2の下段の表にそれぞれ示す。また、図32(A)〜図32(L)にそれぞれ、実施例2の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0106】
【表2】
【0107】
<実施例3>
図5、図6にそれぞれ実施例3の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例3に係る投写用変倍光学系は、実施例1に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第4レンズL4が拡大側に平面を向けた平凹レンズよりなる点、第1レンズ群G1の第5レンズL5が両凹レンズよりなる点、第3レンズ群G3の第8レンズL8が両凸レンズよりなる点、第4レンズ群G4の第10レンズL10が両凹レンズよりなる点、第5レンズ群G5の第12レンズL12が拡大側に平面を向けた平凹レンズよりなる点、絞り3が第13レンズL13の縮小側の面に設けられている点において相違している。
【0108】
実施例3の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表3の一番上に示し、基本レンズデータを表3の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表3の下段の表にそれぞれ示す。また、図33(A)〜図33(L)にそれぞれ、実施例3の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0109】
【表3】
【0110】
<実施例4>
図7、図8にそれぞれ実施例4の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例4に係る投写用変倍光学系は、実施例1に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第4レンズ群G4の第11レンズL11が拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる点において相違している。
【0111】
実施例4の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表4の一番上に示し、基本レンズデータを表4の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表4の下段の表にそれぞれ示す。また、図34(A)〜図34(L)にそれぞれ、実施例4の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0112】
【表4】
【0113】
<実施例5>
図9、図10にそれぞれ実施例5の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例5に係る投写用変倍光学系は、実施例1に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第4レンズL4が拡大側に平面を向けた平凹レンズよりなる点、第5レンズL5が両凹レンズよりなる点と、第3レンズ群G3の第8レンズL8が両凸レンズよりなる点、第4レンズ群G4の第10レンズL10が両凹レンズよりなる点、第5レンズ群G5の第12レンズL12が拡大側に平面を向けた平凹レンズよりなる点において相違している。
【0114】
実施例5の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表5の一番上に示し、基本レンズデータを表5の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表5の下段の表にそれぞれ示す。また、図35(A)〜図35(L)にそれぞれ、実施例5の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0115】
【表5】
【0116】
<実施例6>
図11、図12にそれぞれ実施例6の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例6に係る投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5の各レンズ群の屈折力の符号、変倍時の固定群、移動群については、実施例1に係る投写用変倍光学系の構成と同様とされているが、各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例1のものと相違している。
【0117】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、両凸レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第3レンズL3と、両凹レンズよりなる第4レンズL4と、両凹レンズよりなる第5レンズL5と、両凸レンズよりなる第6レンズL6とから構成されている。第5レンズL5と第6レンズL6とは接合されている。
【0118】
第2レンズ群G2は、両凹レンズよりなる第7レンズL7から構成されている。第3レンズ群G3は、両凸レンズよりなる第8レンズL8から構成されている。第4レンズ群G4は、拡大側より順に、両凸レンズよりなる第9レンズL9と、両凹レンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11とから構成されている。
【0119】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第13レンズL13と、第13レンズL13の縮小側の面に設けられた絞り(開口および可変絞りを含む)3と、両凸レンズよりなる第14レンズL14と、両凹レンズよりなる第15レンズL15と、両凸レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17と、縮小側に平面を向けた平凸レンズよりなる第18レンズL18とから構成されている。
【0120】
実施例6の投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1より縮小側の全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0121】
実施例6の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表10の一番上に示し、基本レンズデータを表6の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表6の下段の表にそれぞれ示す。また、図36(A)〜図36(L)にそれぞれ、実施例6の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0122】
【表6】
【0123】
<実施例7>
図13、図14にそれぞれ実施例7の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例7に係る投写用変倍光学系は、実施例6に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第5レンズL5が拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる点、第3レンズ群G3の第8レンズL8が拡大側に凹面を向けた正メニスカスレンズよりなる点、第5レンズ群G5の第13レンズL13が両凸レンズよりなる点、第14レンズL14が拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる点、第15レンズL15が両凸レンズよりなる点、第16レンズL16が両凹レンズよりなる点、第18レンズL18が両凸レンズよりなる点、絞り3が第12レンズL12と第13レンズL13の間に設けられている点において相違している。
【0124】
実施例7の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表7の一番上に示し、基本レンズデータを表7の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表7の下段の表にそれぞれ示す。また、図37(A)〜図37(L)にそれぞれ、実施例7の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0125】
【表7】
【0126】
<実施例8>
図15、図16にそれぞれ実施例8の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例8に係る投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5の各レンズ群の屈折力の符号、変倍時の固定群、移動群については、実施例1に係る投写用変倍光学系の構成と同様とされているが、各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例1のものと相違している。
【0127】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、縮小側に凹面を向けた平凹レンズよりなる第3レンズL3と、両凹レンズよりなる第4レンズL4と、両凸レンズよりなる第5レンズL5とから構成されている。
【0128】
第2レンズ群G2は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第6レンズL6と、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第7レンズL7とから構成されている。第3レンズ群G3は、拡大側より順に、縮小側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8と、両凸レンズよりなる第9レンズL9とから構成されている。第4レンズ群G4は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11とから構成されている。
【0129】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第12レンズL12と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第13レンズL13と、両凹レンズよりなる第14レンズL14と、両凸レンズよりなる第15レンズL15と、両凸レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17とから構成されている。
【0130】
実施例8の投写用変倍光学系は、全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0131】
実施例8の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表8の一番上に示し、基本レンズデータを表8の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表8の下段の表にそれぞれ示す。また、図38(A)〜図38(L)にそれぞれ、実施例8の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0132】
【表8】
【0133】
<実施例9>
図17、図18にそれぞれ実施例9の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例9に係る投写用変倍光学系は、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4が配列された4群構成であり、縮小側がテレセントリックとされており、第4レンズ群G4の縮小側には、反射型液晶表示パネル等からなるライトバルブの画像表示面1および色合成プリズム(赤外線カットフィルタやローパスフィルタ等のフィルタを含む)等のガラスブロック2a、2bが配置されている。
【0134】
変倍時には、第1レンズ群G1と第4レンズ群G4は固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3は可動とされ、その可動態様は図18に表されている。また、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されている。
【0135】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた平凸レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、両凹レンズよりなる第3レンズL3および第4レンズL4と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第5レンズL5と、両凸レンズよりなる第6レンズL6から構成されている。第5レンズL5と第6レンズL6とは接合されている。
【0136】
第2レンズ群G2は、拡大側より順に、縮小側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第7レンズL7と、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8から構成されている。第3レンズ群G3は、拡大側より順に、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第9レンズL9と、縮小側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11とから構成されている。
【0137】
第4レンズ群G4は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、両凸レンズよりなる第13レンズL13と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第14レンズL14と、両凸レンズよりなる第15レンズL15と、両凹レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17と、両凸レンズよりなる第18レンズL18から構成されている。
【0138】
実施例9の投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1より縮小側の全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0139】
実施例9の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表9の一番上に示し、基本レンズデータを表9の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表9の下段の表にそれぞれ示す。また、図39(A)〜図39(L)にそれぞれ、実施例9の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0140】
【表9】
【0141】
<実施例10>
図19、図20にそれぞれ実施例10の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例10に係る投写用変倍光学系は、実施例9に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第1レンズL1が、両凸レンズよりなる点において相違している。
【0142】
実施例10の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表10の一番上に示し、基本レンズデータを表10の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表10の下段の表にそれぞれ示す。また、図40(A)〜図40(L)にそれぞれ、実施例10の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0143】
【表10】
【0144】
<実施例11>
図21、図22にそれぞれ実施例11の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例11に係る投写用変倍光学系は、拡大側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5が配列された5群構成であり、縮小側がテレセントリックとされており、第5レンズ群G5の縮小側には、反射型液晶表示パネル等からなるライトバルブの画像表示面1および色合成プリズム(赤外線カットフィルタやローパスフィルタ等のフィルタを含む)等のガラスブロック2a、2bが配置されている。
【0145】
変倍時には、第1レンズ群G1と第5レンズ群G5は固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4は可動とされ、その可動態様は図22に表されている。また、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されている。
【0146】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に平面を向けた平凸レンズよりなる第2レンズL2と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第3レンズL3と、両凸レンズよりなる第4レンズL4とから構成されている。
【0147】
第2レンズ群G2は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第5レンズL5と、両凹レンズよりなる第6レンズL6と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第7レンズL7とから構成されている。
【0148】
第3レンズ群G3は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第8レンズL8と、両凸レンズよりなる第9レンズL9とから構成されている。第4レンズ群G4は、両凸レンズよりなる第10レンズL10から構成されている。
【0149】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第11レンズL11と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第12レンズL12と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、両凹レンズよりなる第13レンズL13と、縮小側に凸面を向けた平凸レンズよりなる第14レンズL14と、縮小側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第15レンズL15と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17と、両凸レンズよりなる第18レンズL18とから構成されている。
【0150】
実施例11の投写用変倍光学系は、全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0151】
実施例11の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表11の一番上に示し、基本レンズデータを表11の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表11の下段の表にそれぞれ示す。また、図41(A)〜図41(L)にそれぞれ、実施例11の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0152】
【表11】
【0153】
<実施例12>
図23、図24にそれぞれ実施例12の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例12に係る投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5の各レンズ群の屈折力の符号、変倍時の固定群、移動群については、実施例11に係る投写用変倍光学系の構成と同様とされているが、各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例11のものと相違している。
【0154】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第1レンズL1と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、両凸レンズよりなる第3レンズL3とから構成されている。
【0155】
第2レンズ群G2は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第4レンズL4と、両凹レンズよりなる第5レンズL5と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第6レンズL6とから構成されている。
【0156】
第3レンズ群G3は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第7レンズL7と、両凸レンズよりなる第8レンズL8とから構成されている。第4レンズ群G4は、両凸レンズよりなる第9レンズL9から構成されている。
【0157】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第10レンズL10と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第11レンズL11と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、両凸レンズよりなる第13レンズL13と、縮小側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第14レンズL14と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第15レンズL15と、両凸レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17とから構成されている。
【0158】
実施例12の投写用変倍光学系は、全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0159】
実施例12の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表12の一番上に示し、基本レンズデータを表12の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表12の下段の表にそれぞれ示す。また、図42(A)〜図42(L)にそれぞれ、実施例12の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0160】
【表12】
【0161】
<実施例13>
図25、図26にそれぞれ実施例13の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例13に係る投写用変倍光学系は、実施例12に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第5レンズ群G5の第14レンズL14が縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる点、第15レンズL15が縮小側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる点、第16レンズL16が拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる点、第5レンズ群G5が最も縮小側に配置された両凸レンズよりなる第18レンズL18をさらに備える点において相違している。
【0162】
実施例13に係る投写用変倍光学系の第5レンズ群G5は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第10レンズL10と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第11レンズL11と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、両凸レンズよりなる第13レンズL13と、縮小側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第14レンズL14と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第15レンズL15と、両凸レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17とから構成されている。
【0163】
実施例13の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表13の一番上に示し、基本レンズデータを表13の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表13の下段の表にそれぞれ示す。また、図43(A)〜図43(L)にそれぞれ、実施例13の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0164】
【表13】
【0165】
<実施例14>
図27、図28にそれぞれ実施例14の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例14に係る投写用変倍光学系は、実施例13に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第2レンズL2が両凸レンズよりなる点、第3レンズL3が拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる点、第5レンズ群G5の構成において相違している。
【0166】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第10レンズL10と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第11レンズL11と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第12レンズL12と、両凹レンズよりなる第13レンズL13と、両凸レンズよりなる第14レンズL14と、両凹レンズよりなる第15レンズL15と、両凸レンズよりなる第16レンズL16と、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第17レンズL17と、両凸レンズからなる第18レンズL18とから構成されている。
【0167】
実施例14の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表14の一番上に示し、基本レンズデータを表14の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表14の下段の表にそれぞれ示す。また、図44(A)〜図44(L)にそれぞれ、実施例14の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0168】
【表14】
【0169】
表15に、上記実施例1〜14の上記各条件式(1)〜(9)に対応する値と関連する値を示す。なお、exPの符号は、縮小側の結像面よりも近軸射出瞳位置が拡大側にある場合を負、縮小側にある場合を正としている。表15に示すように、実施例1〜10の投写用変倍光学系は条件式(1)〜(6)、(9)を全て満足しており、実施例11〜14の投写用変倍光学系は条件式(1)〜(4)、(7)〜(9)を全て満足している。
【0170】
【表15】
【0171】
上述の実施例1〜14は、縮小側がテレセントリックとされ、十分なバックフォーカスを有し、非球面を採用せずに、広角端から望遠端の全変倍範囲に亘りFナンバーが約2.5と小さく、変倍比が1.5〜2.0と大きな変倍比を有しながらも、その変倍時における収差の変動が抑制されており、各収差が良好に補正されて高い光学性能を有するものである。
【0172】
<実施例5の変形例>
上記実施例5はレンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成されている。表16に上記実施例5をレンズ群の間隔のみを変更してズームレンズとして使用する際の、投写距離が無限遠のときの広角端、中間焦点位置および望遠端における全系の焦点距離と、各可変間隔の距離を示す。この実施例5の変形例をズームレンズとして使用する際は、投写距離が変動した際のフォーカシングを第1レンズ群G1の第5レンズL5と第6レンズL6とが接合された接合レンズを光軸方向に移動させることによって行うインナーフォーカス方式を採用している。表16では、このフォーカシングの際に変化する面間隔、すなわち、第4レンズL4と第5レンズL5の間隔をD8として示している。
【0173】
【表16】
<実施例9の変形例>
上記実施例9もまた、レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成されている。表17に上記実施例9をレンズ群の間隔のみを変更してズームレンズとして使用する際の、投写距離が無限遠のときの広角端、中間焦点位置および望遠端における全系の焦点距離と、各可変間隔の距離を示す。この実施例9の変形例をズームレンズとして使用する際は、投写距離が変動した際のフォーカシングを第1レンズ群G1の第5レンズL5と第6レンズL6とが接合された接合レンズを光軸方向に移動させることによって行うインナーフォーカス方式を採用している。表17では、このフォーカシングの際に変化する面間隔、すなわち、第4レンズL4と第5レンズL5の間隔をD8として示している。
【0174】
【表17】
<実施例11の変形例>
上記実施例11もまた、レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成されている。表18に上記実施例11をレンズ群の間隔のみを変更してズームレンズとして使用する際の、投写距離が無限遠のときの広角端、中間焦点位置および望遠端における全系の焦点距離と、各可変間隔の距離を示す。この実施例11の変形例をズームレンズとして使用する際は、投写距離が変動した際のフォーカシングを第1レンズ群G1の第3レンズL3と第4レンズL4とを一体的に光軸方向に移動させることによって行うインナーフォーカス方式を採用している。表18では、このフォーカシングの際に変化する面間隔、すなわち、第2レンズL2と第3レンズL3の間隔をD4として示している。
【0175】
【表18】
【0176】
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明の投写用変倍光学系としては、上記実施例のものに限られるものではなく種々の態様の変更が可能であり、例えば各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数を適宜変更することが可能である。
【0177】
また、本発明の投写型表示装置としても、上記構成のものに限られるものではなく、例えば、用いられるライトバルブや、光束分離または光束合成に用いられる光学部材は、上記構成に限定されず、種々の態様の変更が可能である。
【符号の説明】
【0178】
1 画像表示面
2a、2b ガラスブロック
3 絞り
10、20 照明光学系
11a〜11c、21a〜21c 反射型表示素子
12、13 ダイクロイックミラー
14 クロスダイクロイックプリズム
15a〜15c、25 偏光分離プリズム
18 全反射ミラー
19、29 投写用変倍光学系
24a〜24c TIRプリズム
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
Z 光軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写用変倍光学系および投写型表示装置に関し、特に、映画館等において大画面スクリーン上に投写するのに好適な投写用変倍光学系およびこれを用いた投写型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子やDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス:登録商標)等のライトバルブを用いた投写プロジェクタ装置(投写型表示装置)が広く普及している。また、近年、映画館等においては、このような投写型表示装置であって、大画面に適用し得る、より高精細な画像を映出し得るようにしたものも利用されつつある。このような利用に供される投写型表示装置では、各原色用に3つのライトバルブを配設して、光源からの光束を色分離光学系により3原色に分離し、各ライトバルブを経由した後、色合成光学系により合成して投写する3板方式が採用されていることから、長いバックフォーカスと良好なテレセントリック性を有することが求められている。
【0003】
一般的に投写距離をスクリーン横幅で割った値をスローレシオという。スクリーンサイズとスクリーンから映写室までの距離、すなわち投写距離は映画館毎にまちまちである。したがって映画館毎に適した大きさの映像を投写するには、それぞれに適したスローレシオに対応するレンズが必要になるが、それらを個々に用意することはコスト面から考えると得策ではない。そこで、変倍光学系を用い、対応できるスローレシオに幅を持たせることが考えられる。投写用の変倍光学系としては、例えば下記特許文献1〜3に記載のものが知られている。
【0004】
なお、従来の投写用の変倍光学系の多くは変倍の際に開口数(以下「Fナンバー」で代用することがある)が変化する。通常はワイド側よりもテレ側の方がFナンバーが大きいため、そのような変倍光学系では、同じスクリーンサイズの映画館でもスローレシオの大きい映画館の方が、映像が暗くなってしまう。映画館用途としては、変倍の際にFナンバーが一定であることが好ましいことから、本願出願人は、下記特許文献3において、変倍の際にFナンバーが一定となるように設定された投写用ズームレンズを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−008797号公報
【特許文献2】特開2005−106948号公報
【特許文献3】特開2009−128683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、上記分野の投写用光学系に対する要望が厳しくなってきている。映画館用途に好適なイメージサークル径(以下、最大有効像円直径ともいう)が得られ、変倍の際にFナンバーが一定であるという要望を満たした上で、小型化を図りつつ、より高いテレセントリック性を実現し、さらに良好な投写像を得ることが要望されるようになってきている。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、変倍の際にFナンバーが一定で、小型化を図りながら高いテレセントリック性を実現するとともに良好な投写像を取得可能で、例えば映画館用途として好適な投写用変倍光学系および投写型表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る投写用変倍光学系は、最も拡大側に配置されて変倍の際に固定されている第1レンズ群と、最も縮小側に配置されて変倍の際に固定されている最終レンズ群と、第1レンズ群と最終レンズ群との間に配置されて変倍の際に移動する複数のレンズ群とから実質的に構成されており、縮小側がテレセントリックであり、最終レンズ群中に絞りが配設され、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されており、最終レンズ群において絞りより拡大側に少なくとも1枚のレンズが配置されており、下記条件式(1)、(2)を満足することを特徴とするものである。
Imφ/fs<0.4 … (1)
30.0<|exP|/Imφ … (2)
ただし、
Imφ:縮小側における最大有効像円直径
fs:絞りよりも縮小側にあるレンズの合成焦点距離
exP:縮小側を射出側としたときの、投写距離無限遠時の広角端における縮小側の結像面から近軸射出瞳位置までの光軸上の距離
【0009】
本発明に係る投写用変倍光学系においては、下記条件式(3)を満足することが好ましい。
0.7<Ls/Lge … (3)
ただし、
Ls:絞りから最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
Lge:最終レンズ群における最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
【0010】
また、本発明に係る投写用変倍光学系においては、下記条件式(4)を満足することが好ましい。
1.8<Bf/Imφ … (4)
ただし、
Bf:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
【0011】
また、本発明に係る投写用変倍光学系においては、変倍の際に移動する複数のレンズ群が、実質的に2群または3群のレンズ群からなるように構成することが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る投写用変倍光学系においては、例えば第1の態様として、第1レンズ群が負の屈折力を有し、最終レンズ群が正の屈折力を有し、変倍の際に移動する複数のレンズ群のうち最も拡大側のレンズ群が負の屈折力を有するように構成することができる。
【0013】
本発明に係る投写用変倍光学系が上記第1の態様を採る場合、下記条件式(5)を満足することが好ましい。
1.5<Bfn/fw … (5)
ただし、
Bfn:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
【0014】
本発明に係る投写用変倍光学系が上記第1の態様を採る場合、下記条件式(6)を満足することが好ましい。
−10.0<f1/fw<−2.0 … (6)
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離
fw:広角端における全系の焦点距離
【0015】
あるいは、本発明に係る投写用変倍光学系においては、例えば第2の態様として、第1レンズ群が正の屈折力を有し、最終レンズ群が正の屈折力を有し、変倍の際に移動する複数のレンズ群が、拡大側から順に、負の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群との実質的に3つのレンズ群からなるように構成することができる。
【0016】
本発明に係る投写用変倍光学系が上記第2の態様を採る場合、下記条件式(7)を満足することが好ましい。
1.3<Bfp/fw … (7)
ただし、
Bfp:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
【0017】
本発明に係る投写用変倍光学系が上記第2の態様を採る場合、下記条件式(8)を満足することが好ましい。
Lp/Imφ<15.0 … (8)
ただし、
Lp:投写距離無限遠時の最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
【0018】
また、本発明に係る投写用変倍光学系においては、第1レンズ群より縮小側の全てのレンズが単レンズにより構成されていることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る投写用変倍光学系においては、レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成されていることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係る投写用変倍光学系がズームレンズであるとき、フォーカシングは、第1レンズ群の最も縮小側に配置されたレンズを含む第1レンズ群の一部のみを光軸方向に移動させるインナーフォーカス方式により行うように構成されていることが好ましい。
【0021】
本発明に係る投写型表示装置は、光源と、該光源からの光が入射するライトバルブと、該ライトバルブにより光変調された光による光学像をスクリーン上に投写する投写用変倍光学系として上述した本発明の投写用変倍光学系とを備えたことを特徴とするものである。
【0022】
なお、本発明の投写用変倍光学系としては、ズームレンズでもよく、バリフォーカルレンズでもよい。
【0023】
なお、上記「拡大側」とは、被投写側(スクリーン側)を意味し、縮小投写する場合も、便宜的にスクリーン側を拡大側と称するものとする。一方、上記「縮小側」とは、原画像表示領域側(ライトバルブ側)を意味し、縮小投写する場合も、便宜的にライトバルブ側を縮小側と称するものとする。
【0024】
なお、上記「〜から実質的に構成されており」、「実質的に〜のレンズ群からなる」は、構成要素として挙げたレンズ群以外に、実質的にパワーを有さないレンズやレンズ群、絞りやカバーガラス等レンズ以外の光学要素等を含んでもよいことを意図するものである。
【0025】
なお、上記「縮小側がテレセントリック」とは、縮小側の像面の任意の点に集光する光束の断面において上側の最大光線と下側の最大光線との二等分角線が光軸と平行に近い状態を指すものであり、完全にテレセントリックな場合、すなわち前記2等分角線が光軸に対して完全に平行な場合に限るものではなく、多少の誤差がある場合をも含むものを意味する。ここで多少の誤差がある場合とは、光軸に対する前記2等分角線の傾きが±3°の範囲内の場合である。
【0026】
なお、上記「レンズ群」とは、必ずしも複数のレンズから構成されるものだけでなく、1枚のレンズのみで構成されるものも含むものとする。
【0027】
なお、上記「Imφ」は、例えば、投写用変倍光学系の仕様や、投写用変倍光学系が搭載される装置における仕様によって求めることができる。
【0028】
なお、上記「単レンズ」とは、接合されていない1枚のレンズからなるものを意味する。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る投写用変倍光学系は、拡大側から順に、変倍の際に固定されている第1レンズ群、変倍の際に移動する複数のレンズ群、変倍の際に固定されている最終レンズ群が配列されてなり、縮小側がテレセントリックであり、最終レンズ群中に絞りを配設し、変倍の全範囲に亘って開口数が一定となるように設定され、最終レンズ群において絞りより拡大側に少なくとも1枚のレンズが配置され、所定の条件式を満足するように構成される。
【0030】
したがって、本発明によれば、変倍の全範囲にわたって開口数を一定に保つことができ、小型化を図りながら高いテレセントリック性を実現するとともに良好な投写像を取得可能で、例えば映画館用途として好適な投写用変倍光学系および投写型表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図2】本発明の実施例1に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図3】本発明の実施例2に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図4】本発明の実施例2に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図5】本発明の実施例3に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図6】本発明の実施例3に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図7】本発明の実施例4に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図8】本発明の実施例4に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図9】本発明の実施例5に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図10】本発明の実施例5に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図11】本発明の実施例6に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図12】本発明の実施例6に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図13】本発明の実施例7に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図14】本発明の実施例7に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図15】本発明の実施例8に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図16】本発明の実施例8に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図17】本発明の実施例9に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図18】本発明の実施例9に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図19】本発明の実施例10に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図20】本発明の実施例10に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図21】本発明の実施例11に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図22】本発明の実施例11に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図23】本発明の実施例12に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図24】本発明の実施例12に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図25】本発明の実施例13に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図26】本発明の実施例13に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図27】本発明の実施例14に係る投写用変倍光学系のレンズ構成および光線軌跡を示す断面図
【図28】本発明の実施例14に係る投写用変倍光学系の、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す図
【図29】図29(A)、図29(B)は中間画角の下側不要光線の遮蔽を説明するための図
【図30】中間画角の下側不要光線の遮蔽を説明するための部分拡大図
【図31】図31(A)〜図31(L)は本発明の実施例1に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図32】図32(A)〜図32(L)は本発明の実施例2に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図33】図33(A)〜図33(L)は本発明の実施例3に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図34】図34(A)〜図34(L)は本発明の実施例4に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図35】図35(A)〜図35(L)は本発明の実施例5に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図36】図36(A)〜図36(L)は本発明の実施例6に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図37】図37(A)〜図37(L)は本発明の実施例7に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図38】図38(A)〜図38(L)は本発明の実施例8に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図39】図39(A)〜図39(L)は本発明の実施例9に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図40】図40(A)〜図40(L)は本発明の実施例10に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図41】図41(A)〜図41(L)は本発明の実施例11に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図42】図42(A)〜図42(L)は本発明の実施例12に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図43】図43(A)〜図43(L)は本発明の実施例13に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図44】図44(A)〜図44(L)は本発明の実施例14に係る投写用変倍光学系の各収差図
【図45】本発明の一実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図
【図46】本発明の別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1、図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る投写用変倍光学系について説明する。図1は本発明の実施例1に係る投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成を示す断面図であり、図2は図1に示す投写用変倍光学系を変倍操作させたときの広角端、中間焦点位置および望遠端における、各レンズ群の移動位置を示すものである。図2では、広角端から中間焦点位置、中間焦点位置から望遠端へ変化する際の移動するレンズ群の移動方向を各位置の間の矢印で概略的に示している。図1、図2ともに、軸上および最外画角に関する光線軌跡を合わせて示している。図3〜図28は、本発明の実施形態にかかる別の構成例を示す断面図であり、それぞれ後述の実施例2〜14に係る投写用変倍光学系に対応している。基本的な構成は同様であるため、以下では、主に図1、図2に示す構成例を例にとり本発明の実施形態について説明する。
【0033】
この投写用変倍光学系は、映画館等で用いられるデジタル映像を映出するための投写型表示装置に搭載可能なものであり、例えばライトバルブに表示された画像情報をスクリーンへ投写する投写レンズとして使用可能である。図1および図2では、図の左側を拡大側、右側を縮小側とし、投写型表示装置に搭載される場合を想定して、色合成プリズム(フィルタ類を含む)等のガラスブロック2a、2bと、ガラスブロック2bの縮小側の面に位置するライトバルブの画像表示面1も合わせて図示している。
【0034】
投写型表示装置においては、画像表示面1で画像情報を与えられた光束が、ガラスブロック2a、2bを介して、この投写用変倍光学系に入射され、この投写用変倍光学系により紙面左側方向に配置されるスクリーン(不図示)上に拡大投写されるようになる。
【0035】
なお、図1および図2では、ガラスブロック2bの縮小側の面の位置と画像表示面1の位置とが一致した例を示しているが、必ずしもこれに限定されない。また、図1および図2には、1枚の画像表示面1のみを記載しているが、投写型表示装置において、光源からの光束を色分離光学系により3原色に分離し、各原色用に3つのライトバルブを配設して、フルカラー画像を表示可能とするように構成してもよい。
【0036】
本実施形態に係る投写用変倍光学系は、最も拡大側に配置されて変倍の際に固定されている第1レンズ群G1と、最も縮小側に配置されて変倍の際に固定されている最終レンズ群と、第1レンズ群G1と最終レンズ群との間に配置されて変倍の際に移動する複数のレンズ群(以下、変倍時移動レンズ群という)のみを実質的なレンズ群として有し、縮小側がテレセントリックとなるように構成されている。
【0037】
例えば図1、図2に示す例では、拡大側から順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2と、第3レンズ群G3と、第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5の5つのレンズ群が配列されて構成されている。このうち、第2レンズ群G2、第3レンズ群G3、第4レンズ群G4の3つのレンズ群が変倍時移動レンズ群に対応し、第5レンズ群G5が最終レンズ群に対応する。
【0038】
図1、図2に示す例では、各レンズ群を構成するレンズは、第1レンズ群G1は6枚のレンズ(第1レンズL1〜第6レンズL6)からなり、第2レンズ群G2は1枚のレンズ(第7レンズL7)からなり、第3レンズ群G3は1枚のレンズ(第8レンズL8)からなり、第4レンズ群G4は3枚のレンズ(第9レンズL9〜第11レンズL11)からなり、第5レンズ群G5は絞り3と7枚のレンズ(第12レンズL12〜第18レンズL18)からなる。ただし、本発明の投写用変倍光学系の各レンズ群を構成するレンズの枚数は必ずしも図1、図2に示す例に限定されない。
【0039】
本実施形態の投写用変倍光学系は、最終レンズ群中に絞り3が配設され、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されている。絞り3は、例えば開口絞りとして機能するものを用いることができる。
【0040】
絞り3を変倍時に移動する全てのレンズ群よりも縮小側に配置することで、絞り3が絞り径が変化しない簡素な固定開口により構成されている固定絞りであっても、変倍の際に開口数が一定となり、投写倍率が同じであれば、投写距離に関係なく同じ明るさでスクリーン上に投写することができる。例えば映画館等の室内空間の大きさや形状等に応じて投写距離が変更される際に有効である。なお、絞り3として、絞り径が可変の可変絞りを用いることも勿論可能である。
【0041】
また、本実施形態の投写用変倍光学系は、最終レンズ群において絞り3よりも拡大側に少なくとも1枚のレンズが配置されるように構成される。絞り3より拡大側の最終レンズ群中に、変倍時に固定されている少なくとも1枚のレンズを配置することで、変倍全域で像面湾曲を良好に補正することが容易となる。
【0042】
また、絞り3より拡大側の最終レンズ群中に配置されるレンズの保持部材に開口の機能を持たせることで、広角端および広角端よりの変倍領域において中間画角の下側不要光線を遮蔽することが可能となり、テレセントリック性の向上を図ることが容易となる。この点について、図29(A)、図29(B)、図30を参照しながら説明する。
【0043】
図29(A)は、図1に示す投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ断面図と光線軌跡を示すものである。図29(A)に、軸上マージナルの上側光線4Aw、軸上マージナルの下側光線4Bw、中間画角の上側光線5Aw、中間画角の下側光線5Bw、5Cw、最大画角の上側光線6Aw、最大画角の下側光線6Bwを示す。
【0044】
図29(B)は、図1に示す投写用変倍光学系の望遠端におけるレンズ断面図と光線軌跡を示すものである。図29(B)に、軸上マージナルの上側光線4At、軸上マージナルの下側光線4Bt、中間画角の上側光線5At、中間画角の下側光線5Bt、最大画角の上側光線6At、最大画角の下側光線6Btを示す。なお、図29(B)では、図の煩雑化を防ぐため、一部符号を省略している。
【0045】
図29(A)、図29(B)に示す例において、最終レンズ群において絞り3よりも拡大側に配置されるレンズは、第12レンズL12である。図29(A)の第12レンズL12付近の部分拡大図を図30に示す。ただし、図30では、最大画角の光線の図示を省略している。また、図30では、第12レンズL12の保持部材7を追加して図示している。
【0046】
図30に示すように、第12レンズL12の保持部材7に開口機能を持たせることで、中間画角の最も下側の光線を、図30の太線で示す下側光線5Cwとすることができる。なお、保持部材7は中間画角の不要光を遮蔽可能な開口機能を持つものであればよく、その形状は図30に示すものに限定されない。
【0047】
仮に、第12レンズL12の保持部材7に開口機能を持たせない場合は、中間画角の最も下側の光線は、図30の点線で示す下側光線5Bwとなり、中間画角の下側光線が必要以上にレンズ系を透過してしまい、中間画角におけるテレセントリック性が悪化する。
【0048】
テレセントリック性や軸外光学性能を悪化させる不要光線は、実用上問題ない程度にまで遮蔽することが好ましい。しかし、中間画角の下側光線について、このような不要光線を遮蔽しようとしたとき、図29(A)、図29(B)からわかるように、絞り3より縮小側では軸上マージナルの下側光線の方が軸外の下側光線より光軸から離れた位置を通過するため、絞り3より縮小側で中間画角の下側光線を遮蔽することはできない。また、変倍時移動レンズ群より拡大側のレンズでは、望遠端および広角端において最大画角の下側光線の方が中間画角の下側光線より光軸から離れた位置を通過するため、例えば、変倍時移動レンズ群より拡大側のレンズの保持部材に開口機能を持たせて不要光線を遮蔽しようとしても、望遠端および広角端における最大画角の光束と広角端付近での中間画角の光束との両方についてテレセントリック性の向上を図ることは難しく、変倍比を高くしていくほど、その難しさは増して行く。
【0049】
以上説明したように、絞り3より拡大側の最終レンズ群中にレンズを配置し、このレンズの保持部材に開口の機能を持たせることで、良好な収差補正とテレセントリック性の向上を図ることができる。なお、絞り3より拡大側の最終レンズ群中にレンズを配置せず、開口の機能を持つ遮光部材のみを配置することも考えられるが、本実施形態のようにレンズを配置した方が、良好な収差補正とテレセントリック性の向上に加え、空間を効率的に利用することができ、さらなる小型化を進める上で有利となる。
【0050】
さらに、本実施形態の投写用変倍光学系は、下記条件式(1)、(2)を満足するように構成されている。
Imφ/fs<0.4 … (1)
30.0<|exP|/Imφ … (2)
ただし、
Imφ:縮小側における最大有効像円直径
fs:絞りよりも縮小側にあるレンズの合成焦点距離
exP:縮小側を射出側としたときの、投写距離無限遠時の広角端における縮小側の結像面から近軸射出瞳位置までの光軸上の距離
【0051】
条件式(1)は、最大有効像円直径、いわゆるイメージサークルの大きさと、絞り3より縮小側のレンズの合成焦点距離との関係を規定するものである。条件式(1)の上限を上回ると、第1レンズ群G1の拡大側のレンズ径が大きくなる。条件式(1)を満たすように構成することで、所望のイメージサークルの大きさを得ながら小型化を図ることができる。
【0052】
条件式(2)は、射出瞳位置とイメージサークルの大きさに関するものである。条件式(2)を満たすように構成することで、所望のイメージサークルの大きさを得ながらテレセントリック性を確保することができる。
【0053】
また、本実施形態にかかる投写用変倍光学系はさらに以下に述べる構成を適宜選択的に有することが好ましい。なお、好ましい態様としては、以下に述べる構成の1つを有するものでもよく、あるいは任意の組合せを有するものでもよい。
【0054】
第1レンズ群G1は負の屈折力を有するものであってもよい。最も拡大側のレンズ群である第1レンズ群G1が負レンズ群であるネガティブリード型の光学系とすることで、広角化に有利となる。
【0055】
あるいは、第1レンズ群G1は正の屈折力を有するものであってもよい。最も拡大側のレンズ群である第1レンズ群G1が正レンズ群であるポジティブリード型の光学系とすることで、高変倍比を得ることが容易になる。
【0056】
最終レンズ群は、最も縮小側のレンズ群であることから、拡大側に位置するレンズ群の径が大きくならないために、正の屈折力を有することが好ましい。
【0057】
変倍時移動レンズ群をどのような構成とするかは適宜選択可能であるが、例えば、2群または3群のレンズ群からなるように構成することができる。変倍時移動レンズ群を2つまたは3つのレンズ群で構成すれば、全系の大型化および変倍時の収差変動の両方を抑制することが容易となる。
【0058】
例えば、本投写用変倍光学系の第1の態様として、第1レンズ群G1が負の屈折力を有し、最終レンズ群が正の屈折力を有し、変倍時移動レンズ群のうち最も拡大側のレンズ群が負の屈折力を有するように構成することができる。このような態様を採ることで、広い画角を得ながらも拡大側のレンズ径を適切な大きさに収め、かつ高変倍比を得ることが容易になる。
【0059】
上記第1の態様の構成を採り、且つ変倍時移動レンズ群を、拡大側から順に、負レンズ群、正レンズ群が配列された2つのレンズ群からなるようにした場合は、第1の態様により得られる上記効果に加え、さらに小型化が容易になるという効果が得られる。
【0060】
上記第1の態様の構成を採り、且つ変倍時移動レンズ群を、拡大側から順に、負レンズ群、正レンズ群、正レンズ群が配列された3つのレンズ群からなるようにした場合は、第1の態様により得られる上記効果に加え、変倍全域で像面湾曲の補正がより容易になるという効果が得られる。
【0061】
上記第1の態様の構成を採る場合、下記条件式(5)、(6)のいずれか一方または両方を満足することが好ましい。
1.5<Bfn/fw … (5)
−10.0<f1/fw<−2.0 … (6)
ただし、
Bfn:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
f1:第1レンズ群の焦点距離
【0062】
条件式(5)は、ネガティブリード型の光学系において、広角端における全系の焦点距離に対する、全系のバックフォーカスの比の値を規定するものであり、ビームスプリッタや、クロスダイクロイックプリズム、TIRプリズム等の色合成手段としてのガラスブロック等を挿入する適切なスペースを確保することを可能とするものである。すなわち、条件式(5)の下限を下回ると、長いバックフォーカスを確保することが困難になり、レンズ系の縮小側に色合成手段としてのガラスブロック等を挿入することが困難となる。
【0063】
条件式(6)は、ネガティブリード型の光学系における第1レンズ群G1のパワーを規定するものである。条件式(6)の下限を下回ると、拡大側のレンズ外径が大きくなり、広角化が困難になるとともに、長いバックフォーカスを確保することが困難になり、レンズ系の縮小側に色合成手段としてのガラスブロック等を挿入することが困難となる。条件式(6)の上限を上回ると、像面湾曲、ディストーションの補正が困難になる。
【0064】
本投写用変倍光学系の第2の態様として、第1レンズ群G1が正の屈折力を有し、最終レンズ群が正の屈折力を有し、変倍時移動レンズ群が、拡大側から順に、負の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群とから構成される実質的に3つのレンズ群からなるように構成することができる。このようなポジティブリード型のレンズ構成とすることにより、高変倍比を得ることが容易になる。また、変倍時移動群を拡大側から順に、負、正、正の屈折力配置とすることで、負、負、正の屈折力配置としたものに比べて変倍時の収差の変動、特に球面収差の変動を抑制することが容易になる。
【0065】
上記第2の態様の構成を採る場合、下記条件式(7)、(8)のいずれか一方または両方を満足することが好ましい。
1.3<Bfp/fw … (7)
Lp/Imφ<15.0 … (8)
ただし、
Bfp:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
Lp:投写距離無限遠時の最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
Imφ:縮小側における最大有効像円直径
【0066】
条件式(7)は、ポジティブリード型の光学系において、広角端における全系の焦点距離に対する、全系のバックフォーカスの比の値を規定するものであり、ビームスプリッタや、クロスダイクロイックプリズム、TIRプリズム等の色合成手段としてのガラスブロック等を挿入する適切なスペースを確保することを可能とするものである。すなわち、条件式(7)の下限を下回ると、長いバックフォーカスを確保することが困難になり、レンズ系の縮小側に色合成手段としてのガラスブロック等を挿入することが困難となる。
【0067】
条件式(8)は、ポジティブリード型の光学系において、イメージサークルの大きさと、投写距離無限遠時の最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離(以下、レンズ全厚という)との関係を規定するものである。条件式(8)の上限を上回ると、所望のイメージサークルの大きさが得られず、本発明が目的とする映画館等の用途の投写用変倍光学系として必要な機能を備えることが困難になるか、またはレンズ全厚が大きくなりすぎる。
【0068】
また、本実施形態にかかる投写用変倍光学系は、上記の第1の態様、第2の態様を採る場合に限らず、別の構成を採る場合においても、さらに以下に述べる構成を適宜選択的に有することが好ましい。
【0069】
本実施形態の投写用変倍光学系は、下記条件式(3)、(4)、(9)のいずれか1つ、あるいは任意の組合せを満足することが好ましい。
0.7<Ls/Lge … (3)
1.8<Bf/Imφ … (4)
1.4<Zr … (9)
ただし、
Ls:絞りから最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
Lge:最終レンズ群における最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
Bf:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
Imφ:縮小側における最大有効像円直径
Zr:広角端に対する望遠端の変倍比
【0070】
条件式(3)は、最終レンズ群中における絞り3の光軸方向の位置を規定するものである。条件式(3)の下限を下回ると、レンズ系の全長が長くなり、レンズ系が大型化してしまう。
【0071】
条件式(4)は、バックフォーカスとイメージサークルの大きさの比に関するものである。条件式(4)の下限を下回ると、所望のイメージサークルの大きさを得ながら、レンズ系の縮小側に、ビームスプリッタや、クロスダイクロイックプリズム、TIRプリズム等の色合成手段としてのガラスブロック等を挿入する適切なスペースを確保することが困難となる。
【0072】
条件式(9)は、変倍比を規定するものである。条件式(9)の下限を下回ると、高変倍比が得られず、投写用変倍光学系として使用可能な範囲が狭くなりコストメリットが低下してしまい、本発明が目的とする映画館等の用途の投写用変倍光学系として好適なものと言えなくなる。
【0073】
また、上述した条件式(1)〜(9)それぞれに代えて下記条件式(1−1)〜(9−1)それぞれを満たすことがより好ましい。
Imφ/fs<0.37 … (1−1)
35.0<|exP|/Imφ … (2−1)
0.8<Ls/Lge … (3−1)
2.2<Bf/Imφ … (4−1)
2.0<Bfn/fw … (5−1)
−7.0<f1/fw<−2.3 … (6−1)
1.5<Bfp/fw … (7−1)
Lp/Imφ<12.0 … (8−1)
1.5<Zr … (9−1)
【0074】
また、本実施形態の投写用変倍光学系においては、第1レンズ群より縮小側の全てのレンズを、接合レンズではなく単レンズにより構成することが好ましい。第1レンズ群より縮小側では軸上光束と軸外光束が重なる部分が多いため、投写用変倍光学系が投写型表示装置に搭載されて高出力の光源と併用されたとき、強力な光によってレンズを接合するための接合剤が著しく変質、劣化し、レンズ性能の低下を招くおそれがあるが、接合レンズを用いないことで、このような問題の発生を回避することができる。また、このような問題の発生を極力回避するためには、全系の全てのレンズを、接合レンズではなく単レンズにより構成することがより好ましい。
【0075】
なお、本実施形態の投写用変倍光学系においては、図1に示す例のように、各レンズ面を全て球面とした非球面を用いない構成が可能であり、このようにした場合は、コスト的に有利となる。勿論、本実施形態の投写用変倍光学系において、非球面を用いる構成も可能であり、その場合はより良好に収差補正を行うことができる。
【0076】
また、本実施形態の投写用変倍光学系においては、レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成してもよい。すなわち、レンズ群の間隔のみを変更することで、ズームレンズからバリフォーカルレンズへ、あるいはバリフォーカルレンズからズームレンズへ変換可能であるように構成してもよい。このような構成によれば、最小限の機構構造変更で異なるフォーカス方式の装置に使用可能となり、コストメリットの高いものとすることができる。
【0077】
なお、この投写用変倍光学系がズームレンズである場合、投写距離が変化したときのフォーカシングは、第1レンズ群G1の最も縮小側に配置されたレンズを含む第1レンズ群G1の一部のみを光軸方向に移動させることによって行なうインナーフォーカス方式とすることが好ましい。
【0078】
例えば図21に示す例では、第1レンズ群G1の縮小側から1番目、2番目のレンズである第3レンズL3と第4レンズL4とを一体的に光軸方向に移動させることによりフォーカシングを行うことが可能である。インナーフォーカス方式を採用することで、径が大きく重量の大きな拡大側のレンズを駆動させなくてよいため駆動機構の負担を少なくできるとともに、フォーカス時にレンズ全厚を一定に保つことができる。
【0079】
なお、本発明の投写用変倍光学系においては、フォーカシングを、第1レンズ群G1の全体または縮小側以外の一部を移動させることによって行うことも可能であり、あるいは第1レンズ群G1以外のレンズ群の全体または一部を移動させることによって行なうことも可能である。
【0080】
なお、本発明の目的とする投写用変倍光学系としては、全変倍域でFナンバーが3.0よりも小さな光学系であることが好ましい。また、本発明の目的とする投写用変倍光学系としては、全変倍域でディストーション(歪曲収差)が約2%以下に抑えられていることが好ましい。
【0081】
次に、本発明に係る投写型表示装置の実施形態について、図45および図46を用いて説明する。図45は本発明の一実施形態に係る投写型表示装置の一部を示す概略構成図であり、図46は本発明の別の施形態に係る投写型表示装置の一部を示す概略構成図である。
【0082】
図45に示す投写型表示装置は、各色光に対応したライトバルブとしての反射型表示素子11a〜11cと、色分解のためのダイクロイックミラー12、13と、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14と、光路偏向のための全反射ミラー18と、偏光分離プリズム15a〜15cを有する照明光学系10を備えている。なお、ダイクロイックミラー12の前段には、図示を省略された光源が配されている。
【0083】
この光源からの白色光はダイクロイックミラー12、13により3つの色光光束(G光、B光、R光)に分解される。分解後の各色光光束はそれぞれ偏光分離プリズム15a〜15cを経て、各色光光束それぞれ対応する反射型表示素子11a〜11cに入射して光変調され、クロスダイクロイックプリズム14により色合成された後、上述の実施形態に係る投写用変倍光学系19に入射する。この入射光による光学像が投写用変倍光学系19により、図示されないスクリーン上に投写される。
【0084】
一方、図46に示す他の実施形態に係る投写型表示装置は、各色光に対応したライトバルブとしての反射型表示素子21a〜21cと、色分解および色合成のためのTIR(Total Internal Reflection)プリズム24a〜24cと、偏光分離プリズム25を有する照明光学系20を備えている。なお、偏光分離プリズム25の前段には、図示を省略された光源が配されている。
【0085】
この光源からの白色光は偏光分離プリズム25を経た後、TIRプリズム24a〜24cにより3つの色光光束(G光、B光、R光)に分解される。分解後の各色光光束はそれぞれ対応する反射型表示素子21a〜21cに入射して光変調され、再びTIRプリズム24a〜24cを逆向きに進行して色合成された後、偏光分離プリズム25を透過して、上述の実施形態に係る投写用変倍光学系29に入射する。この入射光による光学像が投写用変倍光学系29により、図示されないスクリーン上に投写される。
【0086】
なお、反射型表示素子11a〜11c、21a〜21cとしては、例えば反射型液晶表示素子やDMD等を用いることができる。図45および図46ではライトバルブとして反射型表示素子を用いた例を示したが、本発明の投写型表示装置が備えるライトバルブは、これに限られるものではなく、透過型液晶表示素子等の透過型表示素子を用いてもよい。
【0087】
次に、本発明の投写用変倍光学系の具体的な実施例について説明する。以下に述べる実施例1〜14のうち、実施例1〜10は第1レンズ群が負の屈折力を有するネガティブリード型の光学系であり、実施例11〜14は第1レンズ群が正の屈折力を有するポジティブリード型の光学系である。また、実施例1〜8、11〜14は5群構成であり、実施例9、10は4群構成である。
【0088】
なお、以下に述べる実施例1〜14はバリフォーカルレンズとして構成されているが、実施例5、9、11は後で変形例として説明するように、レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとして使用できるように構成されている。実施例1〜14をバリフォーカルレンズとして使用する際は、変倍時または投写距離が変化したときのフォーカシングは、全系を一体的に光軸方向に移動させることによって行う全体繰り出し方式により行われる。
【0089】
<実施例1>
図1、図2にそれぞれ実施例1の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。なお、図1および図2に示す構成は、縮小倍率が−0.002倍のときのものである。図1、図2についての詳細な説明は上述した通りであるのでここでは重複説明を一部省略する。
【0090】
実施例1の投写用変倍光学系は、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5が配列された5群構成であり、縮小側がテレセントリックとされており、第5レンズ群G5の縮小側には、反射型液晶表示パネル等からなるライトバルブの画像表示面1および色合成プリズム(赤外線カットフィルタやローパスフィルタ等のフィルタを含む)等のガラスブロック2a、2bが配置されている。
【0091】
変倍時には、第1レンズ群G1と第5レンズ群G5は固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4は可動とされ、その可動態様は図2に表されている。また、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されている。
【0092】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第3レンズL3と、両凹レンズよりなる第4レンズL4と、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第5レンズL5と、両凸レンズよりなる第6レンズL6とから構成されている。第5レンズL5と第6レンズL6とは接合されている。
【0093】
第2レンズ群G2は、両凹レンズよりなる第7レンズL7から構成されている。第3レンズ群G3は、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8から構成されている。第4レンズ群G4は、拡大側より順に、両凸レンズよりなる第9レンズL9と、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11とから構成されている。
【0094】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第12レンズL12と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第13レンズL13と、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第14レンズL14と、両凸レンズよりなる第15レンズL15と、両凹レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17と、両凸レンズよりなる第18レンズL18とから構成されている。
【0095】
実施例1の投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1より縮小側の全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0096】
表1の上段の表に実施例1の投写用変倍光学系の基本レンズデータを示す。表1には絞り3、ガラスブロック2a、2bも含めて示している。表1において、Siの欄には最も拡大側の構成要素の拡大側の面を1番目として縮小側に向かうに従い順次増加するように構成要素に面番号を付したときのi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示す。Riの欄にはi番目の面の曲率半径を示し、Diの欄にはi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示している。また、Ndjの欄には最も拡大側の構成要素を1番目として縮小側に向かうに従い順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の構成要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdjの欄にはj番目の構成要素のd線に対するアッベ数を示している。
【0097】
ただし、曲率半径の符号は、面形状が拡大側に凸の場合を正、縮小側に凸の場合を負としている。第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間隔、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3の間隔、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4の間隔、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5の間隔は、変倍時に変化する可変間隔であり、これらの間隔に相当する欄にはそれぞれ(可変1)、(可変2)、(可変3)、(可変4)と記入している。
【0098】
表1の下段の表に広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔(可変1)、(可変2)、(可変3)、(可変4)の値をそれぞれ示す。また、表1の一番上に、実施例1の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを示す。
【0099】
【表1】
【0100】
なお、表1のデータは、広角端における投写用変倍光学系の全系の焦点距離を10.0として規格化したときの値である。また、表1では所定の桁でまるめた数値を記載している。
【0101】
図31(A)〜図31(D)にそれぞれ、広角端における実施例1の投写用変倍光学系の球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差(倍率の色収差)の各収差図を示す。図31(E)〜図31(H)にそれぞれ、中間焦点位置における実施例1の投写用変倍光学系の球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差(倍率の色収差)の各収差図を示す。図31(I)〜図31(L)にそれぞれ、望遠端における実施例1の投写用変倍光学系の球面収差、非点収差、ディストーション(歪曲収差)、倍率色収差(倍率の色収差)の各収差図を示す。
【0102】
図31(A)〜図31(L)の各収差図は、d線を基準としたものであるが、球面収差図では、F線(波長波長486.1nm)、C線(波長656.3nm)に関する収差も示しており、倍率色収差図では、F線、C線に関する収差を示している。また、非点収差図ではサジタル方向、タンジェンシャル方向に関する収差をそれぞれ実線、破線で示している。球面収差図の縦軸上方に記載のFはFナンバー、その他の収差図の縦軸上方に記載のωは半画角を意味する。なお、図31(A)〜図31(L)の収差図は、縮小倍率が−0.002倍のときのものである。
【0103】
上述した実施例1のレンズ構成図、レンズ群配置図、表および収差図の記号、意味、記載方法は、特に断りがない限り、以下の実施例2〜14のものについても基本的に同様である。また、上述した実施例1のレンズ構成図、レンズ群配置図、収差図が縮小倍率−0.002倍のときのものである点、基本レンズデータが焦点距離が10.0で規格化されている点も以下の実施例2〜14のものについても同様である。
【0104】
<実施例2>
図3、図4にそれぞれ実施例2の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例2に係る投写用変倍光学系は、実施例1に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第5レンズL5が両凹レンズよりなる点、第3レンズ群G3の第8レンズL8が両凸レンズよりなる点、第4レンズ群G4の第10レンズL10が両凹レンズよりなる点、第5レンズ群G5の第12レンズL12が両凹レンズよりなる点、第5レンズ群G5の第13レンズL13が両凸レンズよりなる点において相違している。
【0105】
実施例2の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表2の一番上に示し、基本レンズデータを表2の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表2の下段の表にそれぞれ示す。また、図32(A)〜図32(L)にそれぞれ、実施例2の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0106】
【表2】
【0107】
<実施例3>
図5、図6にそれぞれ実施例3の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例3に係る投写用変倍光学系は、実施例1に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第4レンズL4が拡大側に平面を向けた平凹レンズよりなる点、第1レンズ群G1の第5レンズL5が両凹レンズよりなる点、第3レンズ群G3の第8レンズL8が両凸レンズよりなる点、第4レンズ群G4の第10レンズL10が両凹レンズよりなる点、第5レンズ群G5の第12レンズL12が拡大側に平面を向けた平凹レンズよりなる点、絞り3が第13レンズL13の縮小側の面に設けられている点において相違している。
【0108】
実施例3の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表3の一番上に示し、基本レンズデータを表3の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表3の下段の表にそれぞれ示す。また、図33(A)〜図33(L)にそれぞれ、実施例3の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0109】
【表3】
【0110】
<実施例4>
図7、図8にそれぞれ実施例4の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例4に係る投写用変倍光学系は、実施例1に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第4レンズ群G4の第11レンズL11が拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる点において相違している。
【0111】
実施例4の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表4の一番上に示し、基本レンズデータを表4の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表4の下段の表にそれぞれ示す。また、図34(A)〜図34(L)にそれぞれ、実施例4の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0112】
【表4】
【0113】
<実施例5>
図9、図10にそれぞれ実施例5の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例5に係る投写用変倍光学系は、実施例1に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第4レンズL4が拡大側に平面を向けた平凹レンズよりなる点、第5レンズL5が両凹レンズよりなる点と、第3レンズ群G3の第8レンズL8が両凸レンズよりなる点、第4レンズ群G4の第10レンズL10が両凹レンズよりなる点、第5レンズ群G5の第12レンズL12が拡大側に平面を向けた平凹レンズよりなる点において相違している。
【0114】
実施例5の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表5の一番上に示し、基本レンズデータを表5の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表5の下段の表にそれぞれ示す。また、図35(A)〜図35(L)にそれぞれ、実施例5の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0115】
【表5】
【0116】
<実施例6>
図11、図12にそれぞれ実施例6の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例6に係る投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5の各レンズ群の屈折力の符号、変倍時の固定群、移動群については、実施例1に係る投写用変倍光学系の構成と同様とされているが、各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例1のものと相違している。
【0117】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、両凸レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第3レンズL3と、両凹レンズよりなる第4レンズL4と、両凹レンズよりなる第5レンズL5と、両凸レンズよりなる第6レンズL6とから構成されている。第5レンズL5と第6レンズL6とは接合されている。
【0118】
第2レンズ群G2は、両凹レンズよりなる第7レンズL7から構成されている。第3レンズ群G3は、両凸レンズよりなる第8レンズL8から構成されている。第4レンズ群G4は、拡大側より順に、両凸レンズよりなる第9レンズL9と、両凹レンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11とから構成されている。
【0119】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第13レンズL13と、第13レンズL13の縮小側の面に設けられた絞り(開口および可変絞りを含む)3と、両凸レンズよりなる第14レンズL14と、両凹レンズよりなる第15レンズL15と、両凸レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17と、縮小側に平面を向けた平凸レンズよりなる第18レンズL18とから構成されている。
【0120】
実施例6の投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1より縮小側の全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0121】
実施例6の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表10の一番上に示し、基本レンズデータを表6の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表6の下段の表にそれぞれ示す。また、図36(A)〜図36(L)にそれぞれ、実施例6の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0122】
【表6】
【0123】
<実施例7>
図13、図14にそれぞれ実施例7の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例7に係る投写用変倍光学系は、実施例6に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第5レンズL5が拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる点、第3レンズ群G3の第8レンズL8が拡大側に凹面を向けた正メニスカスレンズよりなる点、第5レンズ群G5の第13レンズL13が両凸レンズよりなる点、第14レンズL14が拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる点、第15レンズL15が両凸レンズよりなる点、第16レンズL16が両凹レンズよりなる点、第18レンズL18が両凸レンズよりなる点、絞り3が第12レンズL12と第13レンズL13の間に設けられている点において相違している。
【0124】
実施例7の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表7の一番上に示し、基本レンズデータを表7の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表7の下段の表にそれぞれ示す。また、図37(A)〜図37(L)にそれぞれ、実施例7の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0125】
【表7】
【0126】
<実施例8>
図15、図16にそれぞれ実施例8の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例8に係る投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5の各レンズ群の屈折力の符号、変倍時の固定群、移動群については、実施例1に係る投写用変倍光学系の構成と同様とされているが、各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例1のものと相違している。
【0127】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、縮小側に凹面を向けた平凹レンズよりなる第3レンズL3と、両凹レンズよりなる第4レンズL4と、両凸レンズよりなる第5レンズL5とから構成されている。
【0128】
第2レンズ群G2は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第6レンズL6と、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第7レンズL7とから構成されている。第3レンズ群G3は、拡大側より順に、縮小側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8と、両凸レンズよりなる第9レンズL9とから構成されている。第4レンズ群G4は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11とから構成されている。
【0129】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第12レンズL12と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、拡大側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第13レンズL13と、両凹レンズよりなる第14レンズL14と、両凸レンズよりなる第15レンズL15と、両凸レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17とから構成されている。
【0130】
実施例8の投写用変倍光学系は、全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0131】
実施例8の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表8の一番上に示し、基本レンズデータを表8の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表8の下段の表にそれぞれ示す。また、図38(A)〜図38(L)にそれぞれ、実施例8の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0132】
【表8】
【0133】
<実施例9>
図17、図18にそれぞれ実施例9の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例9に係る投写用変倍光学系は、拡大側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4が配列された4群構成であり、縮小側がテレセントリックとされており、第4レンズ群G4の縮小側には、反射型液晶表示パネル等からなるライトバルブの画像表示面1および色合成プリズム(赤外線カットフィルタやローパスフィルタ等のフィルタを含む)等のガラスブロック2a、2bが配置されている。
【0134】
変倍時には、第1レンズ群G1と第4レンズ群G4は固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3は可動とされ、その可動態様は図18に表されている。また、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されている。
【0135】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた平凸レンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、両凹レンズよりなる第3レンズL3および第4レンズL4と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第5レンズL5と、両凸レンズよりなる第6レンズL6から構成されている。第5レンズL5と第6レンズL6とは接合されている。
【0136】
第2レンズ群G2は、拡大側より順に、縮小側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第7レンズL7と、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第8レンズL8から構成されている。第3レンズ群G3は、拡大側より順に、縮小側に凸面を向けた正のメニスカスレンズよりなる第9レンズL9と、縮小側に凸面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第10レンズL10と、両凸レンズよりなる第11レンズL11とから構成されている。
【0137】
第4レンズ群G4は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、両凸レンズよりなる第13レンズL13と、縮小側に凹面を向けた負のメニスカスレンズよりなる第14レンズL14と、両凸レンズよりなる第15レンズL15と、両凹レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17と、両凸レンズよりなる第18レンズL18から構成されている。
【0138】
実施例9の投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1より縮小側の全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0139】
実施例9の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表9の一番上に示し、基本レンズデータを表9の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表9の下段の表にそれぞれ示す。また、図39(A)〜図39(L)にそれぞれ、実施例9の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0140】
【表9】
【0141】
<実施例10>
図19、図20にそれぞれ実施例10の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例10に係る投写用変倍光学系は、実施例9に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第1レンズL1が、両凸レンズよりなる点において相違している。
【0142】
実施例10の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表10の一番上に示し、基本レンズデータを表10の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表10の下段の表にそれぞれ示す。また、図40(A)〜図40(L)にそれぞれ、実施例10の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0143】
【表10】
【0144】
<実施例11>
図21、図22にそれぞれ実施例11の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例11に係る投写用変倍光学系は、拡大側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、正の屈折力を有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5が配列された5群構成であり、縮小側がテレセントリックとされており、第5レンズ群G5の縮小側には、反射型液晶表示パネル等からなるライトバルブの画像表示面1および色合成プリズム(赤外線カットフィルタやローパスフィルタ等のフィルタを含む)等のガラスブロック2a、2bが配置されている。
【0145】
変倍時には、第1レンズ群G1と第5レンズ群G5は固定されており、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3と第4レンズ群G4は可動とされ、その可動態様は図22に表されている。また、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されている。
【0146】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第1レンズL1と、縮小側に平面を向けた平凸レンズよりなる第2レンズL2と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第3レンズL3と、両凸レンズよりなる第4レンズL4とから構成されている。
【0147】
第2レンズ群G2は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第5レンズL5と、両凹レンズよりなる第6レンズL6と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第7レンズL7とから構成されている。
【0148】
第3レンズ群G3は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第8レンズL8と、両凸レンズよりなる第9レンズL9とから構成されている。第4レンズ群G4は、両凸レンズよりなる第10レンズL10から構成されている。
【0149】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第11レンズL11と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第12レンズL12と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、両凹レンズよりなる第13レンズL13と、縮小側に凸面を向けた平凸レンズよりなる第14レンズL14と、縮小側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第15レンズL15と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17と、両凸レンズよりなる第18レンズL18とから構成されている。
【0150】
実施例11の投写用変倍光学系は、全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0151】
実施例11の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表11の一番上に示し、基本レンズデータを表11の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表11の下段の表にそれぞれ示す。また、図41(A)〜図41(L)にそれぞれ、実施例11の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0152】
【表11】
【0153】
<実施例12>
図23、図24にそれぞれ実施例12の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例12に係る投写用変倍光学系は、第1レンズ群G1〜第5レンズ群G5の各レンズ群の屈折力の符号、変倍時の固定群、移動群については、実施例11に係る投写用変倍光学系の構成と同様とされているが、各レンズ群が有するレンズの構成が以下に述べるように実施例11のものと相違している。
【0154】
第1レンズ群G1は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第1レンズL1と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第2レンズL2と、両凸レンズよりなる第3レンズL3とから構成されている。
【0155】
第2レンズ群G2は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第4レンズL4と、両凹レンズよりなる第5レンズL5と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第6レンズL6とから構成されている。
【0156】
第3レンズ群G3は、拡大側より順に、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第7レンズL7と、両凸レンズよりなる第8レンズL8とから構成されている。第4レンズ群G4は、両凸レンズよりなる第9レンズL9から構成されている。
【0157】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第10レンズL10と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第11レンズL11と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、両凸レンズよりなる第13レンズL13と、縮小側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第14レンズL14と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第15レンズL15と、両凸レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17とから構成されている。
【0158】
実施例12の投写用変倍光学系は、全てのレンズが接合されていない単レンズからなる。また、全てのレンズ面が球面とされており、非球面を用いていないので、コスト的に有利である。
【0159】
実施例12の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表12の一番上に示し、基本レンズデータを表12の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表12の下段の表にそれぞれ示す。また、図42(A)〜図42(L)にそれぞれ、実施例12の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0160】
【表12】
【0161】
<実施例13>
図25、図26にそれぞれ実施例13の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例13に係る投写用変倍光学系は、実施例12に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第5レンズ群G5の第14レンズL14が縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる点、第15レンズL15が縮小側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる点、第16レンズL16が拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる点、第5レンズ群G5が最も縮小側に配置された両凸レンズよりなる第18レンズL18をさらに備える点において相違している。
【0162】
実施例13に係る投写用変倍光学系の第5レンズ群G5は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第10レンズL10と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第11レンズL11と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、両凹レンズよりなる第12レンズL12と、両凸レンズよりなる第13レンズL13と、縮小側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第14レンズL14と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第15レンズL15と、両凸レンズよりなる第16レンズL16と、両凸レンズよりなる第17レンズL17とから構成されている。
【0163】
実施例13の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表13の一番上に示し、基本レンズデータを表13の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表13の下段の表にそれぞれ示す。また、図43(A)〜図43(L)にそれぞれ、実施例13の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0164】
【表13】
【0165】
<実施例14>
図27、図28にそれぞれ実施例14の投写用変倍光学系の広角端におけるレンズ構成および光線軌跡、変倍時の各位置におけるレンズ群の配置および光線軌跡を示す。実施例14に係る投写用変倍光学系は、実施例13に係る投写用変倍光学系と略同様の構成とされているが、第1レンズ群G1の第2レンズL2が両凸レンズよりなる点、第3レンズL3が拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる点、第5レンズ群G5の構成において相違している。
【0166】
第5レンズ群G5は、拡大側より順に、両凹レンズよりなる第10レンズL10と、拡大側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第11レンズL11と、絞り(開口および可変絞りを含む)3と、拡大側に凸面を向けた負メニスカスレンズよりなる第12レンズL12と、両凹レンズよりなる第13レンズL13と、両凸レンズよりなる第14レンズL14と、両凹レンズよりなる第15レンズL15と、両凸レンズよりなる第16レンズL16と、縮小側に凸面を向けた正メニスカスレンズよりなる第17レンズL17と、両凸レンズからなる第18レンズL18とから構成されている。
【0167】
実施例14の投写用変倍光学系のFナンバーFno.と全画角2ωを表14の一番上に示し、基本レンズデータを表14の上段の表に示し、広角端、中間焦点位置、望遠端における全系の焦点距離、各可変間隔の値を表14の下段の表にそれぞれ示す。また、図44(A)〜図44(L)にそれぞれ、実施例14の投写用変倍光学系の各収差図を示す。
【0168】
【表14】
【0169】
表15に、上記実施例1〜14の上記各条件式(1)〜(9)に対応する値と関連する値を示す。なお、exPの符号は、縮小側の結像面よりも近軸射出瞳位置が拡大側にある場合を負、縮小側にある場合を正としている。表15に示すように、実施例1〜10の投写用変倍光学系は条件式(1)〜(6)、(9)を全て満足しており、実施例11〜14の投写用変倍光学系は条件式(1)〜(4)、(7)〜(9)を全て満足している。
【0170】
【表15】
【0171】
上述の実施例1〜14は、縮小側がテレセントリックとされ、十分なバックフォーカスを有し、非球面を採用せずに、広角端から望遠端の全変倍範囲に亘りFナンバーが約2.5と小さく、変倍比が1.5〜2.0と大きな変倍比を有しながらも、その変倍時における収差の変動が抑制されており、各収差が良好に補正されて高い光学性能を有するものである。
【0172】
<実施例5の変形例>
上記実施例5はレンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成されている。表16に上記実施例5をレンズ群の間隔のみを変更してズームレンズとして使用する際の、投写距離が無限遠のときの広角端、中間焦点位置および望遠端における全系の焦点距離と、各可変間隔の距離を示す。この実施例5の変形例をズームレンズとして使用する際は、投写距離が変動した際のフォーカシングを第1レンズ群G1の第5レンズL5と第6レンズL6とが接合された接合レンズを光軸方向に移動させることによって行うインナーフォーカス方式を採用している。表16では、このフォーカシングの際に変化する面間隔、すなわち、第4レンズL4と第5レンズL5の間隔をD8として示している。
【0173】
【表16】
<実施例9の変形例>
上記実施例9もまた、レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成されている。表17に上記実施例9をレンズ群の間隔のみを変更してズームレンズとして使用する際の、投写距離が無限遠のときの広角端、中間焦点位置および望遠端における全系の焦点距離と、各可変間隔の距離を示す。この実施例9の変形例をズームレンズとして使用する際は、投写距離が変動した際のフォーカシングを第1レンズ群G1の第5レンズL5と第6レンズL6とが接合された接合レンズを光軸方向に移動させることによって行うインナーフォーカス方式を採用している。表17では、このフォーカシングの際に変化する面間隔、すなわち、第4レンズL4と第5レンズL5の間隔をD8として示している。
【0174】
【表17】
<実施例11の変形例>
上記実施例11もまた、レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成されている。表18に上記実施例11をレンズ群の間隔のみを変更してズームレンズとして使用する際の、投写距離が無限遠のときの広角端、中間焦点位置および望遠端における全系の焦点距離と、各可変間隔の距離を示す。この実施例11の変形例をズームレンズとして使用する際は、投写距離が変動した際のフォーカシングを第1レンズ群G1の第3レンズL3と第4レンズL4とを一体的に光軸方向に移動させることによって行うインナーフォーカス方式を採用している。表18では、このフォーカシングの際に変化する面間隔、すなわち、第2レンズL2と第3レンズL3の間隔をD4として示している。
【0175】
【表18】
【0176】
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明の投写用変倍光学系としては、上記実施例のものに限られるものではなく種々の態様の変更が可能であり、例えば各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数を適宜変更することが可能である。
【0177】
また、本発明の投写型表示装置としても、上記構成のものに限られるものではなく、例えば、用いられるライトバルブや、光束分離または光束合成に用いられる光学部材は、上記構成に限定されず、種々の態様の変更が可能である。
【符号の説明】
【0178】
1 画像表示面
2a、2b ガラスブロック
3 絞り
10、20 照明光学系
11a〜11c、21a〜21c 反射型表示素子
12、13 ダイクロイックミラー
14 クロスダイクロイックプリズム
15a〜15c、25 偏光分離プリズム
18 全反射ミラー
19、29 投写用変倍光学系
24a〜24c TIRプリズム
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
Z 光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最も拡大側に配置されて変倍の際に固定されている第1レンズ群と、最も縮小側に配置されて変倍の際に固定されている最終レンズ群と、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群との間に配置されて変倍の際に移動する複数のレンズ群とから実質的に構成されており、
縮小側がテレセントリックであり、
前記最終レンズ群中に絞りが配設され、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されており、
前記最終レンズ群において前記絞りより拡大側に少なくとも1枚のレンズが配置されており、
下記条件式(1)、(2)を満足することを特徴とする投写用変倍光学系。
Imφ/fs<0.4 … (1)
30.0<|exP|/Imφ … (2)
ただし、
Imφ:縮小側における最大有効像円直径
fs:前記絞りよりも縮小側にあるレンズの合成焦点距離
exP:縮小側を射出側としたときの、投写距離無限遠時の広角端における縮小側の結像面から近軸射出瞳位置までの光軸上の距離
【請求項2】
下記条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写用変倍光学系。
0.7<Ls/Lge … (3)
ただし、
Ls:前記絞りから最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
Lge:前記最終レンズ群における最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
【請求項3】
下記条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の投写用変倍光学系。
1.8<Bf/Imφ … (4)
ただし、
Bf:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
【請求項4】
前記変倍の際に移動する複数のレンズ群が、実質的に2群または3群のレンズ群からなることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項5】
前記第1レンズ群が負の屈折力を有し、前記最終レンズ群が正の屈折力を有し、前記変倍の際に移動する複数のレンズ群のうち最も拡大側のレンズ群が負の屈折力を有することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項6】
下記条件式(5)を満足することを特徴とする請求項5記載の投写用変倍光学系。
1.5<Bfn/fw … (5)
ただし、
Bfn:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
【請求項7】
下記条件式(6)を満足することを特徴とする請求項5または6記載の投写用変倍光学系。
−10.0<f1/fw<−2.0 … (6)
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fw:広角端における全系の焦点距離
【請求項8】
前記第1レンズ群が正の屈折力を有し、前記最終レンズ群が正の屈折力を有し、
前記変倍の際に移動する複数のレンズ群が、拡大側から順に、負の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群とから構成される実質的に3つのレンズ群からなることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項9】
下記条件式(7)を満足することを特徴とする請求項8記載の投写用変倍光学系。
1.3<Bfp/fw … (7)
ただし、
Bfp:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
【請求項10】
下記条件式(8)を満足することを特徴とする請求項8または9記載の投写用変倍光学系。
Lp/Imφ<15.0 … (8)
ただし、
Lp:投写距離無限遠時の最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
【請求項11】
前記第1レンズ群より縮小側の全てのレンズが単レンズにより構成されていることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項12】
レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成されていることを特徴とする請求項1〜11のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項13】
前記投写用変倍光学系がズームレンズであるとき、フォーカシングは、前記第1レンズ群の最も縮小側に配置されたレンズを含む前記第1レンズ群の一部のみを光軸方向に移動させるインナーフォーカス方式により行うように構成されていることを特徴とする請求項1〜12のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項14】
下記条件式(9)を満足することを特徴とする請求項1〜13のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
1.4<Zr … (9)
ただし、
Zr:広角端に対する望遠端の変倍比
【請求項15】
光源と、該光源からの光が入射するライトバルブと、該ライトバルブにより光変調された光による光学像をスクリーン上に投写する投写用変倍光学系としての請求項1〜14のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系とを備えたことを特徴とする投写型表示装置。
【請求項1】
最も拡大側に配置されて変倍の際に固定されている第1レンズ群と、最も縮小側に配置されて変倍の際に固定されている最終レンズ群と、前記第1レンズ群と前記最終レンズ群との間に配置されて変倍の際に移動する複数のレンズ群とから実質的に構成されており、
縮小側がテレセントリックであり、
前記最終レンズ群中に絞りが配設され、変倍の全範囲にわたって開口数が一定となるように設定されており、
前記最終レンズ群において前記絞りより拡大側に少なくとも1枚のレンズが配置されており、
下記条件式(1)、(2)を満足することを特徴とする投写用変倍光学系。
Imφ/fs<0.4 … (1)
30.0<|exP|/Imφ … (2)
ただし、
Imφ:縮小側における最大有効像円直径
fs:前記絞りよりも縮小側にあるレンズの合成焦点距離
exP:縮小側を射出側としたときの、投写距離無限遠時の広角端における縮小側の結像面から近軸射出瞳位置までの光軸上の距離
【請求項2】
下記条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1記載の投写用変倍光学系。
0.7<Ls/Lge … (3)
ただし、
Ls:前記絞りから最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
Lge:前記最終レンズ群における最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
【請求項3】
下記条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1または2記載の投写用変倍光学系。
1.8<Bf/Imφ … (4)
ただし、
Bf:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
【請求項4】
前記変倍の際に移動する複数のレンズ群が、実質的に2群または3群のレンズ群からなることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項5】
前記第1レンズ群が負の屈折力を有し、前記最終レンズ群が正の屈折力を有し、前記変倍の際に移動する複数のレンズ群のうち最も拡大側のレンズ群が負の屈折力を有することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項6】
下記条件式(5)を満足することを特徴とする請求項5記載の投写用変倍光学系。
1.5<Bfn/fw … (5)
ただし、
Bfn:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
【請求項7】
下記条件式(6)を満足することを特徴とする請求項5または6記載の投写用変倍光学系。
−10.0<f1/fw<−2.0 … (6)
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
fw:広角端における全系の焦点距離
【請求項8】
前記第1レンズ群が正の屈折力を有し、前記最終レンズ群が正の屈折力を有し、
前記変倍の際に移動する複数のレンズ群が、拡大側から順に、負の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群と、正の屈折力を有するレンズ群とから構成される実質的に3つのレンズ群からなることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項9】
下記条件式(7)を満足することを特徴とする請求項8記載の投写用変倍光学系。
1.3<Bfp/fw … (7)
ただし、
Bfp:広角端における全系の縮小側のバックフォーカス(空気換算距離)
fw:広角端における全系の焦点距離
【請求項10】
下記条件式(8)を満足することを特徴とする請求項8または9記載の投写用変倍光学系。
Lp/Imφ<15.0 … (8)
ただし、
Lp:投写距離無限遠時の最も拡大側のレンズ面から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離
【請求項11】
前記第1レンズ群より縮小側の全てのレンズが単レンズにより構成されていることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項12】
レンズ群の間隔のみを変更することでズームレンズとなるように構成されていることを特徴とする請求項1〜11のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項13】
前記投写用変倍光学系がズームレンズであるとき、フォーカシングは、前記第1レンズ群の最も縮小側に配置されたレンズを含む前記第1レンズ群の一部のみを光軸方向に移動させるインナーフォーカス方式により行うように構成されていることを特徴とする請求項1〜12のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
【請求項14】
下記条件式(9)を満足することを特徴とする請求項1〜13のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系。
1.4<Zr … (9)
ただし、
Zr:広角端に対する望遠端の変倍比
【請求項15】
光源と、該光源からの光が入射するライトバルブと、該ライトバルブにより光変調された光による光学像をスクリーン上に投写する投写用変倍光学系としての請求項1〜14のうちいずれか1項記載の投写用変倍光学系とを備えたことを特徴とする投写型表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図2】
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【図9】
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【図12】
【図13】
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【図18】
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【図27】
【図28】
【図29】
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【図37】
【図38】
【図39】
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【図41】
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【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【公開番号】特開2013−24965(P2013−24965A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157617(P2011−157617)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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