説明

抗菌活性および抗ウイルス活性を有する機能的ナノ材料

本発明は、抗菌活性を有する陽イオン金属が付随する酸化金属を含むナノ材料に関する。特に、本発明は、式(I)のナノ結晶性化合物に関する:AO−(L−Men+,(I)、ここにおいて、AOは、X=1または2である、酸化金属または酸化メタロイドを意味し;Men+は、n=1または2である、抗菌活性を有する金属イオンを意味し;Lは、有機または有機金属の何れかであり、酸化金属または酸化メタロイドおよび金属イオンMen+に同時に結合できる二官能性分子であり;およびiは、AOナノ粒子に結合するL−Men+基の数を意味する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌活性を有する陽イオン金属が結合する酸化金属を含むナノ材料に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の金属イオンの抗菌活性が知られており、これは、「微量作用効果(oligodynamic effect)」とも呼ばれている。
【0003】
最も大きい抗菌活性を有する金属イオンは、効力が減少する順番に並べて、以下の金属イオンである::
Hg>Ag>Cu>Zn>Fe>Pb>Bi。
【0004】
プラスチック、セラミックおよび繊維またはカーボンに基づく材料における、そのような金属(特に銀イオン)の取り込みは、細菌コロニーの成長の消失または低下を可能とする。この効果は、ヒト生物とのAgの適合性、および多くの細菌における抗生物質に対する抵抗性の増大という観点から特に利点がある。従って、銀を含む材料の使用は、細菌の増殖を避けるまたは制限することに役立つ。
【0005】
銀の作用の機構に関して、抗菌活性は、一価の陽イオン、Agにより発揮されることが知られている。銀との混合物における白金の存在は、ガルバニック効果によりAgからAgへの酸化を促進することが明らかになっている;このことは、白金および銀から成るフィルムの抗菌活性において、相応の増強をもたらす。さらに、重篤なやけどにおける感染を予防するために使用される、例えばスルファジアジン銀といった銀に基づく医薬は、Agイオンの徐放とともに機能し、当該イオンは、細胞壁に存在する細菌性タンパク質のシステインのSH基と関係することで、細菌細胞に可逆的に吸収され得る。Agの細胞毒性作用は、必須イオン(例えばカルシウム(Ca2+)および亜鉛(Zn2+))を細胞から排除するというこのイオンの能力にも関係する。先行する研究(Carr, H.S., Wlodkowski, T.J., and Rosenkranz, H.S., 1973, “Antimicrobial agents and chemotherapy”, vol. 4, p. 585)では、Agイオンの抗菌活性は、その濃度に直接的に比例し、および非常に多くの細菌の種に対して有効であることが示されている。農業における抗菌剤として知られる銅イオン(Cu2+)についても同様なことが考えられる。
【0006】
現在の技術に関して、酸化金属(MO)(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ(SnO)、二酸化ジルコニウム、およびコロイド状シリカ)に基づく、高い表面積を有するナノ結晶材料の製造が知られており、当該酸化金属は、様々な基体に沈着しおよび安定に接着できる。銀イオンを含む二酸化チタンに基づくナノ材料もまた知られており、それは、ナノ材料の懸濁物とAgイオンを含む溶液とを混合することで得られる。酸化金属のナノ結晶構造へのAgイオンの接着は、ナノ結晶中へのイオンの挿入が関与する可能性が大いにある。
【0007】
効果的な抗菌作用を示す均質なフィルムを製造するために、しかしながら、ナノ材料の表面にわたって均一な様式で伝播し、かつ、高濃度の銀イオンの均一な蓄積を可能とする相互作用の使用が必要である。
【0008】
この問題は本発明によって解決され、さらに、様々な材料に、および周囲の空気の浄化に使用されるフィルターに蓄積できるフィルムを製造することができる。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、酸化金属または酸化メタロイド(例えば、TiO、ZrO、SnO、ZnOおよびSiO)に基づき、酸化物と遷移金属のイオン(例えば、AgまたはCu2+)とに同時に結合でき有機または有機金属の性質を示す分子種で官能化された、新規の抗菌および抗ウイルスナノ粒子の製剤に関する。
【0010】
例示の目的として、これらの新規材料の成分単位は、式(I)によって例示されてよい:
AO−(L−Men+, (I)
ここにおいて、
AOは、X=1または2である、酸化金属または酸化メタロイドを意味し;
Men+は、n=1または2である、抗菌活性を有する金属イオン、好ましくはAgまたはCu++を意味し;
Lは、有機または有機金属の何れかであり、酸化金属または酸化メタロイドと金属イオンMen+とに同時に結合できる二官能性(bifunctional)分子であり;および
iは、AOナノ粒子に結合するL−Men+基の数を意味する。
【0011】
本発明における使用のための酸化金属または酸化メタロイドAOは、例えば、コロイド状シリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズおよび酸化亜鉛である。これらは、それ自身で、または適切な開始剤の適用とともに、非常に多くの材料(木材、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス、セメント、ならびに内部および外部建築表面を含む)に接着できる、遮断材料または半導体材料であり、および、ナノメーターのオーダーでナノ粒子の寸法(dimensions)で製造することができる。これらのナノ粒子は、例えば、適切な官能基を有する分子に対して、エステル結合を介した静電気的または化学的相互作用によって吸着が可能であり、当該官能基とは、例えば、カルボキシル(−COOH)(またはカルボキシレート)、ホスホン酸(−PO)(またはホスホネート)、またはホウ素(−B(OH))(またはボロネート)であり、このような基が、二官能性分子Lに提供されてよい。リガンドLおよび金属イオンMen+(例えば銀または銅のイオン)の小さな寸法(ピコメーターのオーダーであってよい)の観点から、図1の例によって模式的に例証されるように、酸化金属のそれぞれのナノ粒子はAgまたはCu2+といった金属イオンによって均一に覆うことができるという結果となる。
【0012】
結果として、陽性に帯電したナノ粒子から成るこれらのナノ材料は、水溶液中または有機の性質の極性溶媒中の何れかにおいて、安定で透明な懸濁物を生じさせることができる。
【0013】
別の顕著な側面は、本発明によるナノ材料の懸濁物とアルキルアンモニウム塩といった陽イオン性界面活性剤とを混合する可能性と結び付けられる。このように、本発明によるナノ粒子の殺菌活性は、アルキルアンモニウム塩の存在により増強することができる。確かに、この種の界面活性剤は、抗菌的に活性を有する金属イオンの抗菌活性を補うことができる抗菌活性を示す。驚くべきことに、我々は、塩基性培地中において、または高濃度の陰イオンの存在下において沈殿する傾向のある、例えば塩化ベンザルコニウムといったアルキルアンモニウム塩が、本発明による陽性に帯電したナノ粒子から形成される懸濁物の存在下で安定であることを発見した。
【0014】
下記のとおり、実験的証拠は、更に、塩化ベンザルコニウムといった陽イオン界面活性剤が、中性に近いpH条件下で、二酸化チタンに基づくナノ粒子への吸着を起こしうることを示す。これらが表面に適用された後、これは、アルキルアンモニウム塩の揮発性を減少させる更なる利点を与える。
【0015】
銀および銅イオンを含む材料の広範囲な抗菌作用のために、建物内装、バスルーム、キッチン、一般に家具および取り付け品の要素、ガラス表面(例えば、ガラスドアおよび窓)、および手術室のためのコーティングとしての、および様々な環境おける空気の浄化に使用されるフィルターのためのコーティングとしての、ならびに水フィルターのためのコーティングとしてのそのような材料の使用は、疑いなく、実質的に重要な適用の分野を意味する。セラミック、ガラス、またはセルロース材料から成り、および銀イオンまたは銅イオンを含むフィルターの製造、ならびに空調設備(conditioning plants)または強制空気再循環装置(forced air recycling apparatuses)における導入は、多くの疾病の予防を可能にする。
【0016】
そのようなフィルターの設計は、フィルターをコーティングする材料が空気の高い流速を可能にすること、および殺菌活性が短い接触時間の条件下で達成できることが要求される。
【0017】
2000年4月のUNI−EN1276および2001年12月のUNI−EN13697の基準にて提供されるように、本発明によるナノ材料は、10のオーダーの表面領域増大の係数で表面領域におけるかなりの増大を引き起こし、および5分というオーダーの接触時間において殺菌作用を現実化する能力があるという点で、本発明のナノ材料によってこの問題は解決される。
【0018】
本発明によるナノ材料でコーティングされるフィルターはまた、AgまたはCu2+といった金属イオンに基づくアルコール溶液に浸漬することで、最初の抗菌の有効性を容易に回復することができる。
【発明の詳細な説明】
【0019】
本発明の特徴によると、AOを含むナノ結晶基体は、ナノ結晶基体に有機分子を結合させることができる官能基ならびに例えばAgおよびCu2+イオンといった抗菌活性を有する金属イオンに結合できる官能基を含む有機分子を含む二官能性リガンドLで修飾して製造される。
【0020】
本発明の第2の特徴によると、AOを含むナノ結晶基体は、遷移金属の複合体といった有機金属分子を含む二官能性リガンドLで修飾して製造され、前記分子は、前記複合体をナノ結晶性基体に結合させることが出来る官能基、並びに例えばAgおよびCu2+イオンといった抗菌活性を有する金属イオンに結合できる官能基を含む。
【0021】
これらのナノ結晶性化合物は式(I)によって表され:
AO−(L−Men+, (I)
ここにおいて、
AOは、X=1または2である、酸化金属または酸化メタロイドを意味し;
Men+は、n=1または2である、抗菌活性を有する金属イオン、好ましくはAgまたはCu++を意味し;
Lは、有機または有機金属の何れかであり、酸化金属または酸化メタロイドと金属イオンMen+とに同時に結合できる二官能性分子であり;および
iは、AOナノ粒子に結合するL−Men+基の数を意味する。
【0022】
パラメーターiの値は、様々な要因に依存し、例えば、AOのナノ粒子のサイズ、リガンドLの性質、およびそれを作製するために使用する方法に依存する。本発明の状況において、iは、ナノ粒子AOが結合できるリガンドLの数であって、10分から72時間の範囲、好ましくは3から72時間の範囲の間、前記ナノ粒子がリガンドLの溶液に接触される場合における前記数に相当する。
【0023】
本発明によるナノ材料は、40nm未満、好ましくは30nm未満、より好ましくは15nm未満の粒子サイズを有する。15nm未満の粒子サイズは、一般に、相対的に広い適用範囲を有する透明な懸濁物をもたらす。
【0024】
本発明によって使用してよい酸化金属または酸化メタロイドAOは、例えば、コロイド状シリカ、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化スズ、および酸化亜鉛である。
【0025】
本発明の一般的特徴によると、記載されるナノ材料の抗菌および抗ウイルス活性は、光の照射がない場合でさえ認められる。
【0026】
本発明の更なる特徴によると、本発明によるナノ結晶性材料、またはAO酸化物のみを含むナノ結晶性材料は、AOのナノ粒子の表面に吸着され得る、または長い間安定な混合物(当該混合物は記載されるナノ材料の懸濁物を含む)をもたらし得る、抗菌活性を有した陽イオン界面活性剤と混合される。
【0027】
本発明の更に別の特徴によると、抗菌性金属イオン(AgまたはCu2+)の欠乏の場合には、特定の金属イオンを含むアルコール溶液に基体を単に浸漬させることによって、最初の値まで、基体の最初の抗菌活性を回復させることができる。
【0028】
本発明による別の特徴によると、細菌により仲介される皮膚科学的障害、例えばにきびおよび褥瘡の治療のための皮膚科学的組成物が提供される。
【0029】
[遷移金属の複合体に基づく二官能性リガンドL]
記述される目的のために使用してよい遷移金属複合体は、以下の官能基の1つを有する、金属中心に配位する有機リガンドを含んでいなければならない:ホウ素(−B(OH))、ホスホニル(−PO)、またはカルボキシル(−COOH)。これらの官能基は、複合体をナノ結晶基体AOに結合させるのに役立つ。金属中心に配位するその他の基は、抗菌活性を有する金属イオンに結合する能力がある。これらの基の例は、Cl、Br、I、CNS、NH、CNおよびNCSの種のリガンドである。
【0030】
本発明による有機金属複合体Lは、好ましくは、金属中心(M)に配位し且つAOを含むナノ材料に結合できる以下の基:ホウ素(−B(OH))、ホスホニル(−PO)、またはカルボキシル(−COOH)にて官能化される、ジピリジルおよび/またはテルピリジルの種の有機リガンドを含み;および更に、前記金属中心(M)に配位し且つAgまたはCu2+イオンに結合できる以下の基:Cl、Br、I、CNS、NH、CNまたはNCSで官能化される。好ましくは、前記ジピリジルまたはテルピリジル基は、カルボキシル基で置換され、より好ましくはピリジン窒素に対してパラの位置で置換される。1より多いジピリジン基またはテルピリジン基が前記有機金属複合体Lに存在する場合、任意にこれらの基の1つは置換されなくてよい。
【0031】
八面体配置の配位を有する、または、四面体配置、長方形平面もしくは正方形平面配置、三方両錐形配置、または正方形または長方形の底面を有する錐体配置に相当するその他の型の配位を有する、Lに存在する金属イオン(M)に関して、候補は、元素の周期表において第1、第2、または第3列の遷移金属であって、記載されるタイプの安定な二官能性分子を生じ得る金属の何れかである。
【0032】
より好ましくは、記載される有機金属複合体Lは、八面体型の配位を有する。好ましくは、これらの複合体によって配位される遷移金属は、以下から選択される:Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、およびPt。
【0033】
本発明による有機金属複合体Lは、あるいは、負の電荷を有し、陽イオンと、好ましくは有機陽イオン(例えばテトラアルキルアンモニウム陽イオン)と塩を形成してよい。そのような陽イオンは、有機溶媒中におけるこれらの種の可溶化を可能にし、このことは、酸化金属または酸化メタロイドに基づくナノ材料の吸着の工程に寄与する。
【0034】
従って、これらの分子は、AOナノ粒子の均一に吸着された層をもたらし得る二官能性リガンドとしての役割を果たすことができ、同時に、抗菌活性を有する金属イオンに結合できる。
【0035】
八面体配位を有するそのような複合体の例は、下記に示される。
【化1】

【0036】
TBA基は、有機溶媒中での複合体の可溶化を可能とするその他のアルキルアンモニウム陽イオンによって置換されてよい。
【化2】

【0037】
[有機化合物に基づく二官能性リガンドL]
本発明の状況において使用できる有機型の二官能性リガンドLは、AOナノ粒子との相互作用を生じさせることができる基を含む分子種を含み、更に抗菌活性を有するイオンに結合できる官能基を含む。そのような分子種の例は、酸化物AOの表面への吸収に寄与できる官能基カルボキシル(−COOH)、ホスホニック(−PO)、およびホウ素(−B(OH));およびAgまたはCu2+といった抗菌活性を有する金属イオンに結合できる官能基>N、>NH、−CN、−NCS、または−SHを含む有機分子を含む。
【0038】
これらの有機リガンドは好ましくは以下から選択される:
−カルボキシル(−COOH)、ホウ素(−B(OH))、ホスホニック(−PO)、メルカプタン(−SH)およびヒドロキシル(−OH)から選択される1以上の置換基で置換される、6から18員を有する窒素含有ヘテロ環、好ましくはピリジン、ジピリジル、またはテルピリジル;
−カルボキシル(−COOH)、ホウ素(−B(OH)2)、ホスホニック(−PO3H2)、メルカプタン(−SH)およびヒドロキシル(−OH)から選択される1以上の置換基で置換される、好ましくはフェニル、ナフチルおよびビフェニルから選択される、C6からC18アリール;
−1以上のメルカプタン基(−SH)および/またはヒドロキシル基(−OH)で置換されるC2からC18のモノカルボン酸およびジカルボン酸。
【0039】
より好ましくは、これらの二官能性有機リガンドの例は、以下を含む:
−カルボキシル基、ホウ素基またはホスホニック基で官能化されるピリジン、ジピリジルまたはテルピリジル;メルカプトコハク酸、メルカプトウンデカン酸、メルカプトフェノール、メルカプトニコチン酸、5−カルボキシペンタンチオール、メルカプト酪酸、および4−メルカプトフェニルホウ酸。
【0040】
[実験的方法]
本発明の開発に使用したナノ材料であるAOを含むナノ材料の製造に関する実験的方法、前記ナノ材料の特性、および前記ナノ材料の抗菌特性は、ここに記述されるだろう。
【0041】
二酸化チタンおよび二酸化ジルコニウムに基づくナノ材料の透明懸濁物の製造:
二酸化チタンに基づくナノ材料は、水または有機溶媒中で透明または不透明な懸濁物を生じさせるようなナノ粒子の寸法で製造することができる。15ナノメーター未満の寸法のナノ粒子から成るTiOの懸濁物は通常透明であり、表面に適用したとき、その色を変えない。市販の二酸化チタン製品(例えば“Biossido di Titanio P25”(Degussaより供給される))は、白く不透明な懸濁を生じさせる。というのは、TiOナノ粒子の平均直径が25から30nmであるためである。不透明なナノ材料または透明なナノ材料の何れも、本発明の目的に使用してよい。しかしながら、透明なナノ材料は、それらが適用可能な範囲がより広いため、より大きな関心がある。コロイド状シリカまたは二酸化スズに基づく透明なコロイド状懸濁物は商業的に利用可能である。
【0042】
二酸化チタンおよび二酸化ジルコニウムに基づく懸濁物を製造する方法が以下に記載されるだろう。記述される試薬の量は、本発明の新規性および範囲から離れることなく変更してよい。
【0043】
(A)TiOに基づく透明懸濁物
ビーカーに、300mLの蒸留水および2.1mLの強酸、例えば濃硝酸(65%w/w)を充填した。10分間にわたり、滴下漏斗を用いて、撹拌しながら50mLのチタニウムイソプロポキシド(titanium isopropoxide)(Flukaから供給される)を添加した。すぐに、乳白色のTiOの沈殿が形成された。その後、混合物を、撹拌および一定の温度を維持しながら、80℃で8から12時間加熱した。加熱の間、沈殿は再び溶解し、混合物は乳白色の外観を呈した。加熱の段階の間、最終的な体積が100から200mLになるようにコロイド状懸濁物を濃縮させた。これは、TiO濃度で150−75g/Lに相当する。本方法の最後で得られる二酸化チタンのナノ粒子は6から15nmの範囲の直径を有していた。100mLに濃縮した懸濁物を、次に、蒸留水およびエタノールの添加によって希釈し、最終的な透明な溶液(pHは約2)を得た。当該溶液は、1リッターの体積中、TiOを1.5%で含み、およびアルコールの濃度は10から50%の範囲、好ましくは25%であった。
【0044】
(B)ZrOに基づく透明懸濁物:
ビーカーに、300mLの蒸留水および2.1mLの強酸、例えば濃硝酸(65%)を充填した。約10分間にわたり、滴下漏斗を用いて、撹拌しながら76mLのジルコニウムテトライソプロポキシド(zirconium tetraisopropoxide)(イソプロパノール中70%)を添加した。
【0045】
すぐに、乳白色のZrOの沈殿が形成された。その後、混合物を、撹拌および一定の温度を維持しながら、90℃で8から12時間加熱した。加熱の間、沈殿は再び溶解し、混合物は乳白色の外観の懸濁物が生じた。これを140−280mLまで濃縮させた。これはZrOの濃度で150−75g/Lに相当する。140mLに濃縮した懸濁物を、蒸留水およびエタノールで希釈し、1.4Lの乳白色の懸濁物(pHは約2)を得た。これは、ZrOを1.5%の濃度で含み、およびアルコールの濃度は10から50%の範囲、好ましくは25%であった。
【0046】
(C)TiOに基づく不透明な懸濁物:
二酸化チタンに基づく中性の水性不透明懸濁物は、「Triton X 100」(Flukaから供給)の水溶液に二酸化チタンP25を添加することで得ることができる。
【0047】
二酸化チタンに基づく中性水性乳白色懸濁物はまた、文献にて報告される方法の修飾により、ペルオキシチタン酸から製造してよい(Ichinose, H., Terasaki, M., and Katsuki, H., 1996 J. Ceramic Soc. Japan, 104, 715)。
【0048】
典型的な製法において、20%HClにTiClを含む溶液150mLを1Lビーカーに充填し、NHOHを蒸留水で1:9に希釈したもの826mLをこの溶液に添加する。得られる溶液のpHは中性(pH=7)であり、チタン酸Ti(OH)が沈殿する。この沈殿は白色であり、ゲルの密度(consistency)を有する。この沈殿は、空隙率G3のフィルターで回収し、75−1000mLの蒸留水で洗浄する(ろ液をAgNOで処理して、塩化物の完全な除去が達成されたことが示されるまで)。塩化物が残っている場合、チーズ上のAgClの沈殿が認められる。チタン酸Ti(OH)を含む沈殿を回収し、1.5μS未満の伝導率を有し、5−7の間隔のpHを有する200mLの蒸留水に懸濁する;ここに、20−30分間にわたり、92mLの30%Hをゆっくりと添加する。沈殿の溶解が認められ、一般式が以下のペルオキシチタン酸を含む黄色溶液の形成が認められる:
[Ti(O)(OH)](X−2)−
ここにおいて、Xは3−6の範囲にある。
【0049】
最終的に、溶液を70℃で1時間加熱し、過剰のHを分解し、その後120℃で8時間オートクレーブする。本方法のこの段階において、ペルオキシチタン酸は、主にアナターゼの同素形体で、二酸化チタンに分解する。生成されるナノ粒子の懸濁物は中性に近いpHおよび不透明の外観を有し、長い期間安定的である。
【0050】
抗菌活性および抗ウイルス活性を有するナノ材料の懸濁物の製造:
ナノ材料の懸濁物における殺菌活性および抗ウイルス活性を確認するために、第1段階の吸着が行われ(ここにおいて、二官能性リガンドLが吸着される)、続いて、AgまたはCu2+イオンを含む水またはアルコール溶液と混合する。抗菌活性を有する陽イオン界面活性剤として作用するアンモニウム塩は、その後、AgまたはCu2+イオンで官能化されたナノ材料の懸濁物に添加してよく、または、本発明による主題であるナノ材料に独立に添加してよく若しくは吸着させてよい;これらの調製は上記してある。
【0051】
一般に、本発明に記載されるナノ材料AOへの二官能性リガンドLの吸着は、12−36時間のオーダーの時間を必要とし、一方、AgまたはCu2+イオンのリガンドLへの結合は、これらのイオンを含む溶液をリガンドLに官能化されるナノ材料の懸濁物に添加することによって、ほとんど即座に安定化する。以下に記載されるように蓄積する実験的証拠は、アルキルアンモニウム塩といった陽イオン界面活性剤は、その上、ナノ材料の表面に部分的に吸着されてよいことを示した。
【0052】
下記の沈殿方法は、二官能性リガンドとの、Agイオンとのおよび陽イオン界面活性剤とのナノ材料の懸濁物を提供するための調製方法を詳細に示す。類似した調製方法は、Cu2+イオンとのそのような懸濁物を提供するために使用してよい。記述される試薬の量は、本発明の範囲内にて変更してよい。
【0053】
(D)「TiOP25」(Degussaから供給される)への4−メルカプトフェニルホウ酸およびAgイオンの吸着:
50mLのエタノールに溶解した2x10−5モルの4−メルカプトフェニルホウ酸を含む溶液に、1gのTiO P25(Degussaから供給される)を添加した。懸濁物を24時間撹拌した。4−メルカプトフェニルホウ酸は、フェノール環におけるπ−π遷移に起因しうる、225nmで吸収バンドを有する。この電気的吸収バンドは、時間の関数として、ナノ材料表面へのホウ酸の吸着のモニターを可能にする。吸着は、半導体の表面との、ホウ酸官能基との相互作用により生じることが既知である。図2における電気的吸収スペクトルは、「TiOP25」の表面に吸着された4−メルカプトフェニルホウ酸の量が、24時間において最初の濃度の35%に達することを示す。
【0054】
溶液を4000rpmで10分間遠心分離して透明な溶液を取得し、固体を20mLのエタノールで洗浄し、その後撹拌しながら50mLのエタノールで再懸濁した。この懸濁液に、7.2x10−6モルの可溶性銀塩、好ましくは乳酸銀または酢酸銀を添加した。得られる懸濁物は、白色で、無臭で、およびある期間安定であった。
【0055】
(E)方法(A)によるTiOの透明懸濁物への、およびNM Tech社の製品への、4−メルカプトフェニルホウ酸およびAgイオンの吸着:
方法(A)によって製造されおよび15%TiOを含む二酸化チタンの透明な溶液100mLを、100mLの蒸留水および0.052gの4−メルカプトフェニルホウ酸をエタノールに溶解させた溶液200mLで希釈した。懸濁物は24時間撹拌し、その期間の最後に、分光光度測定によって、ホウ酸が半導体ナノ粒子に完全に吸収されたことが明らかとなった。「TiOP25」に関してナノ粒子の小さな寸法、および懸濁される物質の結果的な大きい表面積は、二官能性リガンドの完全な吸着が原因となる。透明な無臭の懸濁物に、化学量論的量(Lに関して)の銀の塩、例えば乳酸銀(0.06g)または酢酸銀(0.05g)を撹拌しながら添加した。1時間の連続的な撹拌の後、10−20mL、好ましくは12mLの、50%(w/v)の塩化ベンザルコニウム水溶液を添加し、懸濁物を更に1時間撹拌した。濃縮した懸濁物を、次に、蒸留水およびエタノールで希釈し、1Lの乳白色の懸濁物(pHは約2)を得た。この懸濁物は、1.5%の濃度でTiOを含み、10−50%の範囲、好ましくは25%のエタノールであった。
【0056】
透明な懸濁物は、いつまでも安定的であるようであった。これ以降、この生成物は、簡略化の目的で、「バクテルクリン(Bactercline)」と命名する。
【0057】
同じ方法が、NM Tech社から市販され「PSO419」と名付けられるナノ材料の透明な懸濁物の改変のために使用してよく、これによって、二官能性リガンドおよび銀イオンの量は、生成物の二酸化チタンの量に基づいて調整される。例えば、方法(A)により製造された生成物に類似し、2%のTiOおよびpH約2という内容を有する生成物「PSO−419 D2」は、上記した方法に類似した方法を用いて、抗菌および抗ウイルス性生物に変換することができる。
【0058】
特に、2%のTiOを含む50mLの「PSO−419D2」溶液を、2.2mgの4−メルカプトフェニルホウ酸(2.05x10−5M)で希釈し、懸濁物を24時間撹拌する。得られる無臭の溶液に、2.05x10−5Mの乳酸銀または酢酸銀を添加する。最終的に、1時間の連続的な撹拌の後、8−20mLの、好ましくは12mLのジメチルベンジルドデシルアンモニウム塩化物の水溶液(50%w/v)を添加し、懸濁物を更に1時間撹拌する。得られた透明懸濁物はいつまでも安定である。
【0059】
TiOに基づく、「AT−01」および「AT−03」といった、NM Tech社により市販されるその他の不透明な製品は、本発明による方法による記載される方法に従って処理することができ、抗菌活性および抗ウイルス活性を有する安定な懸濁物または粉末が得られることに留意すべきである。例えば:1.7%のTiOを含む「AT−01」の50mlの溶液のサンプルは、3.8mgの溶解された4−メルカプトフェニルホウ酸(1.9x10−5M)を含む50mLのエタノールで希釈され、懸濁物は24時間撹拌され、無臭の生成物が得られる。次に、1.9x10−5Mの乳酸銀または酢酸銀が添加される。得られる懸濁物は、一定期間後、微細な沈殿を生じた。
【0060】
(F)二酸化チタンへの陽イオン界面活性剤の吸着:
抗菌活性を有する陽イオン界面活性剤は一般に、TiO、ZrO、SnO、ZnOおよびSiOに基づくナノ材料に吸着可能である。吸着は、負に帯電したまたは中性のナノ粒子に対して、ほとんど即座に生じる。塩基性pHのナノ材料の懸濁物の場合、ベンザルコニウム型塩(例えば、ベンジルドデシルジメチルアンモニウム塩化物またはベンジルヘキサデシルジメチルアンモニウム塩化物またはベンザルコニウム塩化物)の添加は懸濁物の沈殿をもたらす;一方、中性または酸性pHを有するナノ材料の懸濁物の場合、懸濁物は安定的である。
【0061】
中性pHにおけるTiOに基づくナノ材料におけるベンザルコニウム塩化物の吸着の間接的試験は、電導度分析測定法を利用する。TiOに対するベンジルジアルキルアンモニウム陽イオンの吸着による関連は、下記の実験にて検証されるとおり、予想通り電導度の低下がもたらされるべきである。
【0062】
1:10に希釈したベンザルコニウム塩化物の50%(w/v)溶液は4.7mSの電導度を有する。この溶液の体積が蒸留水の添加によって10から15mLに増大する場合、電導度は3.90mSに減少する。代わりに、方法(C)に従ってペルオキシチタン酸から作製した二酸化チタンの中性懸濁物5mL、または中性pHにおける同等な「AT−03」製品を添加することで、溶液を希釈する場合、測定される電導度は3.60mSである。電導度における300μSの減少は、二酸化チタン表面に対する陽イオン界面活性剤の吸着に起因する。
【0063】
(G)「TiOP25」(Degussaにより供給される)への、2,2’−ジピリジル−4−カルボキシ−4’−カルボン酸、Ag、およびCu2+の吸着:
2−2’−ジピリジル−4−カルボキシ−4’−カルボキシレート陰イオン酸(「Hdcb」と省略)は、1当量のテトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAOHと省略)を、2,2’−ジピリジル−4,4’ジカルボン酸(Hdcb)に添加することで製造でき、ほとんど溶解せず、固体の形体である。モノカルボキシレート形体(「モノプロトン化形体」とも呼ぶ)における、およびテトラブチルアンモニウム形体(「TBA(Hdcb)」と省略)としてのリガンドは、従って、メタノールまたはエタノールに溶解でき、二酸化チタンに吸着できる。
【0064】
1x10−4モルのTBA(Hdcb)を含んだ100mLのエタノールの溶液に、5gの「TiOP25」(Degussaから提供される)を添加した。懸濁物を24時間撹拌した。リガンドTBA(Hdcb)は、π−π遷移のために、294nmにて吸収バンドを有しており、このことは、時間の関数として、ナノ材料へのその吸着のモニターを可能にする。
【0065】
図3のスペクトルは、24時間後、リガンドはナノ結晶性基体の表面に完全に吸着されたことを示している。吸着は、カルボキシル官能基と半導体の表面との相互作用により生じることが既知である。
【0066】
懸濁物を次に4000rpmで10分間遠心分離し、固体を50mLのメタノールで洗浄した。リガンドで官能化された、得られたナノ材料(TiO/TBA(Hdcb))は、その後、最終的に外界温度にて減圧乾燥した。
【0067】
それぞれ2gのTiO/TBA(Hdcb)の2つの部分を100mLのエタノールに再懸濁した。1つの懸濁物に対し、撹拌しながら8mgの乳酸銀を添加し;もう一方の懸濁物に対し、7mgのCuClを添加した。2つの懸濁物は異なる安定性を有していた:銅イオンで官能化された懸濁物、TiO/TBA[Hdcb]/Cu2+は安定のままであり、一方、銀イオンで官能化されたもの、TiO/TBA[Hdcb]/Agは徐々に沈殿した。
【0068】
(H)TiOの中性懸濁物に対する有機金属リガンド(L)およびAgイオンの吸着:
上述のような二官能性有機金属リガンドLは、約10−3−10−4Mの濃度の二官能性リガンドのアルコール溶液にナノ材料を懸濁させて、方法(C)により製造された二酸化チタンの中性懸濁物に固定することができる。懸濁物は12時間撹拌し、その間に、有機金属リガンドLはナノ材料の表面に完全に吸着された。
【0069】
アルコール溶液中における、リガンドLに関する化学量論的量の銀の添加は、複合体(Hdcb)Ru(NCS)(Hdcb=2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸)の場合として図4に模式的に示されるとおり、銀イオンAgが無機リガンドに固定されるという付加物の形成に相当する。カルボキシル官能基の存在は、50℃で2−3時間、および外界温度で12時間のオーダーの時間において、複合体の吸着、およびナノ結晶材料の均一な被覆を可能とする。続く段階において、銀の塩、例えば、硝酸銀、乳酸銀、または酢酸銀が、メタノール溶液に対して、(Hdcb)Ru(NCS)のモルに関して、2:1の化学量論的割合で添加される。2つのNCS基の存在は、図4に示されるように、Agイオンが即座に結合することを可能にする。
【0070】
本発明による特定の実施態様によると、式(I)によるナノ結晶性材料は、例えばにきびまたは褥瘡といった細菌性の皮膚科学的疾病の治療のための皮膚科学的組成物に含めてよい。
【0071】
幾つかのそのような組成物の調製は、例示の目的のために、以下に記載される。
【0072】
ゲルおよびクリームの製法:
本発明による、二酸化チタンに基づくナノ材料の懸濁物は、皮膚科学的使用のための親水性ゲルおよびクリームの調製における活性成分として使用できる。親水性ゲルの調製は、活性成分と賦形剤およびゼリー状化剤(例えば、グリセリン、アミドプロピレングリコール、ケイ酸マグネシウム、およびケイ酸アルミニウム)との混合を含む。親水性クリームの調製は、医薬的に有効な量の活性成分と、界面活性剤および乳化剤(例えば、ワセリン、流動パラフィン、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコールステアレート、カルボキシポリメチレン、およびエデト酸ナトリウム)との混合を含む。当然、そのような使用が認められる何れの賦形剤も(当該賦形剤は当業者に周知である)、本発明による皮膚科学的組成物の調製に使用してよい。
【0073】
官能化ナノ材料の抗菌活性および抗ウイルス活性:
方法(D)、(E)、(F)、(G)および(H)によって得られる官能化ナノ材料は、全て、エシェリキア・コリに対して抗菌活性を有していた。試験は、様々なナノ材料を含んだフィルムを、10cfu(コロニー形成単位)より大きいコロニー数と接触させてペトリカプセルに置くことによって導入される。全ての場合において、コロニーの完全な死亡が観察された。
【0074】
方法(E)によって合成した生成物(バクテルクリンと名付けた生成物)について(当該生成物は透明であり、従って広い範囲の応用に利用できる)、2000年4月のUNI−EN1276および2001年12月のUNI−EN13697の基準により徹底的な測定が行われた。
【0075】
懸濁物における殺菌活性の評価:
希釈および中和の方法(2000年4月のUNI−EN1276):
微生物:
以下の株を試験に使用した:
シュードモナス・アエルギノサ
スタフィロコッカス・アウレウス
スタフィロコッカス・エピデルミディス
エンテロコッカス・ファエカリス
エシェリキア・コリ
サルモネラ
リステリア。
【0076】
試験した全ての細菌株は、フェララ大学実験および診断医薬学部微生物学課から提供された。
【0077】
試験したバクテルクリン生成物は80%に希釈した。
【0078】
20℃において、それぞれの細菌株に対して、5分の一定時間後に、少なくとも10ユニットの生存性の減少が生じた場合に、試験した物質に殺菌性があるとみなした。
【0079】
得られた結果から、全ての場合において、10ユニットを越える生存性が得られたことが示される。
【0080】
結論:
得られた結果および試験の有効性の基準に基づいて、試験した「バクテルクリン」物質は、2000年4月のUNI−EN1276基準の方法によって、終濃度0.3%でのウシアルブミン存在下での5分間の接触の後に、濃度80%(最大の試験可能な濃度であることが判明)で使用した場合、シュードモナス・アエルギノサ、エシェリキア・コリ、エンテロコッカス・ファエカリス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、スタフィロコッカス・アウレウス、サルモネラ、およびリステリアに対して殺菌性を有する。
【0081】
殺菌活性の評価:
表面試験(2001年12月のUNI−EN13697の基準):
微生物:
上記のように、懸濁物の試験のために使用した株に加えて、この場合、試験はレジオネラ・ニューモフィラに拡張した。
【0082】
試験に使用した株のリストは従って、以下の通りである:
シュードモナス・アエルギノサ
スタフィロコッカス・アウレウス
スタフィロコッカス・エピデルミディス
エンテロコッカス・ファエカリス
エシェリキア・コリ
サルモネラ
リステリア
レジオネラ・ニューモフィリア。
【0083】
それぞれの細菌株に対して、20℃において、5分という一定時間の後、少なくとも10ユニットの生存性の減少が起こった場合に、試験した物質が、ヨーロッパ基準(Europian Standard)により提供される細菌株に対して殺菌性があるとみなした。
【0084】
以下の表にて報告されるように、得られた結果は、全ての場合において、抗菌活性の常用対数(decimal logarithm)が4より大きいことを示した。
【表A】

結論:
得られた結果および試験の有効性の基準に基づいて、一定の試験条件の下で試験した「バクテルクリン」物質は、2001年12月のUNI−EN13697基準の方法によって、終濃度0.3%でのウシアルブミン存在下での5分間の接触の後に、濃度100%で使用した場合、シュードモナス・アエルギノサ、エシェリキア・コリ、エンテロコッカス・ファエカリス、スタフィロコッカス・エピデルミディス、スタフィロコッカス・アウレウス、サルモネラ、リステリアおよびレジオネラ・ニューモフィリアに対して殺菌性を有する。
【0085】
希釈および中和の懸濁方法における殺真菌効果の評価(2000年10月のUNI−EN1650基準):
微生物:
以下の株を試験に使用した:
カンジダ・アルビカンス
アスペルギルス・ニガー。
【0086】
試験した株は、フェララ大学実験および診断医薬学部微生物学課から提供された。
【0087】
それぞれの糸状菌株に対して、20℃において、15分間の一定時間の後、少なくとも10ユニットの生存性の減少が起こった場合に、試験した物質に殺真菌性があるとみなした。
【0088】
結果
様々な濃度の「バクテルクリン」についての生存性における減少は以下に示される。
【表B】

結果
得られた結果および試験の有効性の基準に基づいて、試験した「バクテルクリン」物質は、2000年10月のUNI−EN1650基準の方法によって、終濃度0.3%でのウシアルブミン存在下での15分間の接触の後に、カンジダ・アルビカンスには25%、50%および80%の濃度で、アスペルギルス・ニガーには50%および80%の濃度(最大の試験可能な濃度であることが判明)で殺真菌性を有する。
【0089】
殺真菌活性の評価:
表面試験(2001年12月のUNI−EN13697基準):
微生物
以下の株を試験に使用した:
カンジダ・アルビカンス
アスペルギルス・ニガー。
【0090】
試験した株は、フェララ大学実験および診断医薬学部微生物学課から提供された。
【0091】
ヨーロッパ基準に従って提供される微生物に対する抗菌活性の対数が、20℃における15分間の接触に対して、3以上である場合に、試験した物質が殺真菌性であるとみなした。
【0092】
結果
減少の対数は以下の表に示される。
【表C】

結論
得られた結果および試験の有効性の基準に基づいて、試験条件の下で試験した「バクテルクリン」物質は、2001年12月のUNI−EN13697基準の方法によって、終濃度0.3%でのウシアルブミン存在下での15分間の接触の後に、濃度100%で使用した場合、カンジダ・アルビカンスおよびアスペルギルス・ニガーに対して殺真菌性を有する。
【0093】
殺ウイルス活性:
下記の実験から、生成物バクテルクリンは、非常に低い濃度で、HSV−1ウイルス(単純ヘルペスウイルス−1)に対して高い殺ウイルス活性を有することが示された。
【0094】
実験方法
様々な量のウイルス懸濁物を、1%のウシ胎児血清(BFS)を添加した改変ダルベッコ培地(D−MEM)にて作製した。1x10細胞溶解プラーク形成単位(Pfu)のウイルス濃度(ウイルスタイター)を使用した。異なる量のバクテルクリンを、1および5時間の予備処理時間とともに、異なるサンプルに添加した。未処理のウイルス懸濁物をコントロールとして維持した。外界温度でのインキュベーションの期間の後、ウイルスのタイターを決定するため、全てのサンプルを既知の体積に希釈した。コントロールのウイルスタイターおよびバクテルクリンで処理したサンプルのウイルスタイターを下記の方法で決定した。
【0095】
ウイルスタイターの決定において、1mLの溶液中における感染の数が算出される。使用される1つの方法は、十分に希釈されたウイルス懸濁物により製造され、1層の細胞に接触して位置する細菌溶解プラークの数の決定から成る。この一連の実験において、アフリカモンキー(African Monkey)の腎細胞を使用した(Vero)。10%BFS、1%L−グルタミン、および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加した「D−MEM」中において、5%のCO下で、37℃にて細胞を培養した。タイターの決定は12ウェルを有するプレート上で行った。培養がほぼコンフルエントの状態になったとき、ウイルスストックを2%のBFSを含む培地において、既知の濃度に希釈した。それぞれの希釈のために、プレート上の2ウェルに播種した。37℃で1時間のインキュベーションの後、菌種を引き上げ、1%BFSおよび2%ヒトガンマ−グロブリン(二次プラークの形成阻害の機能を有する)を含む培地を添加することによって感染をブロックした。
【0096】
播種したカルチャーを37℃で2日間インキュベートし、溶解プラークが見えるまでモニターした。このときに、細胞を固定し、メチルバイオレットで染色した。光学顕微鏡下で、ウェルに存在するプラークを数え、この計測数を希釈係数で乗算し、Pfu/mLの単位でウイルスタイターを得た。
【0097】
結果、および考察
バクテルクリン生成物の殺ウイルス活性
10および50マイクロリッターの量におけるバクテルクリン生成物を、1x10Pfuのウイルスタイターを有するHSV−1に接触させた。インキュベーションを、1%のBFSを添加した1mLのD−MEM培地にて行った。2つの異なるインキュベーション時間を使用した:1時間および5時間。所定のインキュベーション期間の後、ウイルスを1x10および1x10の濃度に希釈し、ほぼコンフルエントなカルチャーに播種した。下方の表1に示されるように、バクテルクリンで予め処理したウイルスを播種した細胞は、何れの予備処理時間もおよび何れのウイルス希釈でも、溶解プラークを有さなかった。
【0098】
表1:1μl/mLのバクテルクリンでのHSV−1 1x10の予備処理後における、コントロールとの比較における、Pfuの数および細胞溶解プラークの形成の阻害のパーセント。値は、1x10および1x10Pfuの希釈で算出した。
【表1】

【0099】
上記表1に記載されるコントロールのHSV−1ウイルスのタイターは、細胞溶解プラークの平均数に希釈係数(10)を乗じて算出した。表1から分かるように、処理したサンプルは、コントロールと比較して、細胞溶解プラーク形成において100%の減少を経験した。
【0100】
予備処理時間およびウイルスの希釈の両者において、存在するウイルス粒子のほとんど完全な減少があった。生成物は、存在する約300,000ウイルス粒子(コントロール)から1000未満のタイターに、ウイルスタイターを減少させた。従って、1時間の接触において、1%に希釈したバクテルクリン(10マイクロリッター/mL)は、ウイルス粒子のほとんど完全な死亡を引き起こした。
【0101】
結論
このバクテルクリン生成物の抗ウイルス活性の研究は、当該生成物が、生成物を極端に希釈した場合であっても、1時間の接触時間において、HSV−1ウイルスとの直接の接触に対して抗ウイルス活性を有することを示している。
【0102】
実行した実験は、1:100のオーダーの生成物の希釈レベルにおいて、ウイルス粒子のほとんど完全な死亡を達成できることを実証した。
【0103】
本発明による組成物は、抗菌活性および/または抗ウイルス活性の達成が望まれるあらゆる適用に用いてよく、例えば、保健医療環境(診療所、病院など)、特に床、壁、机、手術台などの表面の処理に適用してよい。本発明による組成物が有利な活性を示すその他の適用は、様々な環境、特に公共の場所および/または保健医療の場所、またはほぼ完全に無菌の空気が望ましいその他の環境、例えば医薬製造工場および食品加工工場における空気の処理である。これらの適用において、本発明による組成物は、大きなまたは小さな寸法の空間の処理のための、様々なタイプの換気システムに使用されるコーティングフィルターに使用してよい。
【0104】
本発明の更なる実施態様によると、細菌感染の治療のための、式(I)のナノ結晶性材料とともにまたはその代わりに、例として2005年9月1日出願のイタリア特許出願番号IS2005A2に記載されるような、銀または銀の誘導体および/または銅または銅(II)の誘導体との組み合わせにおけるTiOの光学触媒作用懸濁物を含む、皮膚科学的組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、本発明によるナノ粒子の構造を模式的に示す図である。
【図2】図2は、TiOへの4−メルカプトフェニルホウ酸の吸着の程度を示す電気的吸収スペクトルを示す図である。
【図3】図3は、TiOへのTBA(Hdcb)の吸着の程度を示す電気的吸収スペクトルを示す図である。
【図4】図4は、本発明の特定の実施態様の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)のナノ結晶性化合物:
AO−(L−Men+, (I)
ここにおいて、
AOは、X=1または2である、酸化金属または酸化メタロイドを意味し;
Men+は、n=1または2である、抗菌活性を有する金属イオンを意味し;
Lは、有機または有機金属の何れかであり、酸化金属または酸化メタロイドと金属イオンMen+とに同時に結合できる二官能性分子であり;および
iは、AOナノ粒子に結合するL−Men+基の数を意味する。
【請求項2】
請求項1に記載のナノ結晶性化合物であって、Men+がAgおよびCu++から選択されるナノ結晶性化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナノ結晶性化合物であって、前記酸化金属または酸化メタロイドAOが、コロイド状シリカ、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化スズおよび酸化亜鉛から選択されるナノ結晶性化合物。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物であって、前記Lが、金属中心に配位し、かつ、ホウ素(−B(OH))、ホスホニック(−PO)、またはカルボキシル(−COOH)基を有する有機リガンド、および、抗菌活性を有する金属イオンに結合可能で金属中心に配位する基を含む有機金属複合体であるナノ結晶性化合物。
【請求項5】
請求項4に記載のナノ結晶性化合物であって、抗菌活性を有する金属イオンに結合可能な前記基が、Cl、Br、I、CNS、NH、CNおよびNCSから選択されるナノ結晶性化合物。
【請求項6】
請求項4または5に記載のナノ結晶性化合物であって、金属中心に配位する前記有機リガンドが、カルボキシル(−COOH)、ホウ素(−B(OH))、またはホスホニック(−PO)の基で官能化されたジピリジルおよび/またはテルピリジルであるナノ結晶性化合物。
【請求項7】
請求項6に記載のナノ結晶性化合物であって、前記ジピリジルおよび/またはテルピリジル基が、好ましくはピリジン窒素に対してパラの位置で、カルボキシル基で置換され;1を超えるジピリジルおよび/またはテルピリジル基が有機金属複合体Lに存在する場合に、前記基の1つが任意に非置換の状態であるナノ結晶性化合物。
【請求項8】
請求項4から7の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物であって、前記有機リガンドが配位し、かつ、抗菌活性を有した金属イオンに結合可能な基が配位した前記金属が、元素の周期表において第1、第2、または第3列の遷移金属であって、記述されるタイプの安定な二官能性分子を生じ得る金属であり;前記金属が、好ましくはCr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Re、Os、Ir、およびPtから選択されるナノ結晶性化合物。
【請求項9】
請求項4から8の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物であって、前記有機金属複合体が、八面体、四面体、長方形平面もしくは正方形平面、三方両錐形、または正方形もしくは長方形の底面を有する錐体のタイプの、および好ましくは八面体タイプの配置構造を有するナノ結晶性化合物。
【請求項10】
請求項4から9の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物であって、前記化合物が、[(HTcterpy)M(CN)]TBA、[(HTcterpy)M(NCS)]TBA、[M(Htcterpy)(bpy)NCS]TBA、およびM(Hdcb)(NCS)から選択され、
ここにおいて、
Tcterpyは、4,4’,4’’−トリカルボキシテルピリジルを意味し、
TBAは、テトラブチルアンモニウム陽イオンを意味し、
bpyは、2,2’−ジピリジルを意味し、および
dcbは、2,2’−ジピリジル−4,4’−ジカルボン酸を意味する、
ナノ結晶性化合物。
【請求項11】
請求項1から3の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物であって、前記Lが、酸化物AOへの吸着に寄与しうる官能基カルボキシル(−COOH)、ホスホニル(−PO)、またはホウ素(−B(OH));および抗菌活性を有する金属イオンに結合し得る基>N、−NH、CN、NCS、CNSまたはSHを含む有機分子であるナノ結晶性化合物。
【請求項12】
請求項11に記載のナノ結晶性化合物であって、ここにおいて、前記リガンドLが以下から選択されるナノ結晶性化合物:
−カルボキシル(−COOH)、ホウ素(−B(OH))、ホスホニック(−PO)、メルカプタン(−SH)およびヒドロキシル(−OH)から選択される1以上の置換基で置換される、6から18員を有する窒素含有ヘテロ環;
−カルボキシル(−COOH)、ホウ素(−B(OH))、ホスホニック(−PO)、メルカプタン(−SH)およびヒドロキシル(−OH)から選択される1以上の置換基で置換される、好ましくはフェニル、ナフチルおよびビフェニルから選択される、C6からC18アリール;
−1以上のメルカプタン基(−SH)および/またはヒドロキシル基(−OH)で置換されるC2からC18のモノカルボン酸およびジカルボン酸。
【請求項13】
請求項12に記載のナノ結晶性化合物であって、前記リガンドLが以下から選択されるナノ結晶性化合物:
−カルボキシル基、ホウ素基またはホスホニック基で官能化されるピリジン、ジピリジルまたはテルピリジル;
−メルカプトコハク酸、メルカプトウンデカン酸、メルカプトフェノール、メルカプトニコチン酸、5−カルボキシペンタンチオール、メルカプト酪酸、および4−メルカプトフェニルホウ酸。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物であって、前記ナノ結晶性化合物が、40nm未満、好ましくは30nm未満の粒子サイズを有するナノ結晶性化合物。
【請求項15】
請求項14に記載のナノ結晶性化合物であって、前記ナノ結晶性化合物が15nm未満の粒子サイズを有するナノ結晶性化合物。
【請求項16】
陽イオン界面活性剤とともに、請求項1から15の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物を含む組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の組成物であって、前記陽イオン界面活性剤が、好ましくは四級アンモニウム化合物、ベンジルC12−C14、C1−アルキルアンモニウム塩化物または塩化ベンザルコニウムから選択されるアルキルアンモニウム塩である組成物。
【請求項18】
請求項16または17に記載の組成物であって、前記組成物が透明な溶液である組成物。
【請求項19】
請求項1から15の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物であって、前記ナノ結晶性化合物分子の表面に、好ましくは四級アンモニウム化合物、ベンジルC12−C14、C1−アルキルアンモニウム塩化物または塩化ベンザルコニウムから選択される、アルキルアンモニウム塩が吸着されているナノ結晶性化合物。
【請求項20】
医薬的にまたは美容学的に(cosmetologically)許容可能な賦形剤とともに、請求項1から15または19の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物を少なくとも1つ含む皮膚科学的組成物。
【請求項21】
請求項20に記載の皮膚科学的組成物であって、前記組成物がゲルまたはクリームの形体である皮膚科学的組成物。
【請求項22】
請求項21に記載の皮膚科学的組成物であって、前記組成物が親水性ゲルの形体である場合、前記賦形剤が、グリセリン、アミドプロピレングリコール、ケイ酸マグネシウム、およびケイ酸アルミニウムから選択され;および、前記組成物が親水性クリームの形体である場合、前記賦形剤が、例えばワセリン、流動パラフィン、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコールステアレート、カルボキシポリメチレン、およびエデト酸ナトリウムを含む界面活性剤および乳化剤から選択される皮膚科学的組成物。
【請求項23】
抗菌活性および/または抗ウイルス活性を有する医薬の製造のための、請求項1から15または19の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物の使用。
【請求項24】
抗菌剤および/または抗ウイルス剤としての、請求項1から15または19の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物の非医学的使用。
【請求項25】
建物内装、家具の要素、ガラス表面および手術室のためのコーティングとしての、並びに、空気または水の浄化のためのフィルターのための、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
請求項1から15または19の何れか1項に記載のナノ結晶性化合物の再生のための方法であって、前記ナノ結晶性化合物を、銀(I)塩の溶液または銅(II)塩の溶液に接触させる工程を含む方法。
【請求項27】
医薬的にまたは美容学的に許容可能な賦形剤とともに、式AOのナノ結晶性化合物を少なくとも1つ含む皮膚科学的組成物であって、AOがX=1または2である酸化金属または酸化メタロイドを意味する皮膚科学的組成物。
【請求項28】
請求項27に記載の皮膚科学的組成物であって、前記酸化金属または酸化メタロイドAOが、コロイド状シリカ、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化スズ、および酸化亜鉛から選択される皮膚科学的組成物。
【請求項29】
請求項27または28に記載の皮膚科学的組成物であって、前記組成物がゲルまたはクリームの形体である皮膚科学的組成物。
【請求項30】
請求項29に記載の皮膚科学的組成物であって、前記組成物が親水性ゲルの形体である場合、前記賦形剤が、グリセリン、アミドプロピレングリコール、ケイ酸マグネシウム、およびケイ酸アルミニウムから選択され;および、前記組成物が親水性クリームの形体である場合、前記賦形剤が、例えばワセリン、流動パラフィン、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコールステアレート、カルボキシポリメチレン、およびエデト酸ナトリウムを含む界面活性剤および乳化剤から選択される皮膚科学的組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−535326(P2009−535326A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507246(P2009−507246)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【国際出願番号】PCT/IT2006/000280
【国際公開番号】WO2007/122651
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(508259504)エヌエム・テク・リミテッド・ナノマテリアルズ・アンド・マイクロディバイシイズ・テクノロジー (1)
【Fターム(参考)】