説明

抵抗型センサの製造方法

【課題】検出すべきガス以外の影響を低減し、優れた応答特性を備えたガスセンサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のガスセンサは、所定のガスを検出するための検出部16と、触媒金属を含んでおり、前記検出部の表面上に設けられた複数の孤立した触媒層18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスセンサおよびその製造方法に関し、特に、触媒金属が担持された検出部を有するガスセンサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題やエネルギー問題などの観点から、内燃機関の燃料消費率を向上させたり、内燃機関が排出する排気ガス中に含まれるNOxなどの規制物質の排出量を低減したりすることが求められている。このためには、内燃機関を常に最適な条件で燃料の燃焼が行えるよう、燃焼状態に応じて、燃料と空気との比率を適切に制御する必要がある。空気と燃料との比率は空燃比(A/F)と呼ばれる。また、最適な条件で燃焼する場合の空燃比を理論空燃比と呼ぶ。
【0003】
内燃機関が理論空燃比で燃焼している場合、排気ガス中には一定の酸素が含まれる。一方、空燃比が理論空燃比よりも小さい場合、つまり、燃料の濃度が高い場合、排気ガス中の酸素量が理論空燃比で燃焼している場合の酸素量に比べて減少する。また、空燃比が理論空燃比よりも大きい(燃料の濃度が低い)場合には、排気ガス中の酸素量は増加する。このため、排気ガス中の酸素量あるいは酸素濃度を計測することによって、空燃比が理論空燃比からどの程度ずれているかを推定し、空燃比を調節して、最適な条件で内燃機関が燃焼するように制御することが可能となる。
【0004】
排気ガス中の酸素濃度を計測するための酸素センサとしては、たとえば、特許文献1に開示されている固体電解質を用いた酸素センサおよび特許文献2に開示されている抵抗型酸素センサが知られている。
【0005】
固体電解質を用いた酸素センサは、基準極および測定極における酸素分圧の違いを起電力として検出する。このため、このタイプの酸素センサでは、測定極および基準極を排気ガスおよび空気にそれぞれ曝す必要がある。このことは、酸素センサ自体の構造を複雑にするとともに、排気ガスが流れる排気管へ酸素センサを取り付ける構造も複雑化するという問題が生じる。また、構造が複雑になるため、酸素センサを小型化し難いという問題も生じる。
【0006】
これに対して、抵抗型酸素センサは、酸化物半導体からなる検出部を備え、検出部が接する雰囲気の酸素分圧が変化すると、酸素空孔濃度が変動し、検出部の抵抗率が変化する。この抵抗率の変化を測定することにより、酸素濃度が測定できる。抵抗型酸素センサは基準極を必要としないため、簡単な構造によって構成することができ、また、排気管へ酸素センサを取り付ける構造も簡単なものにすることができる。
【特許文献1】特開平8−114571号公報
【特許文献2】特開平5−18921号公報
【特許文献3】特開2004−93547号公報
【特許文献4】特開2003−262599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
排気ガス中の酸素濃度を計測する場合、排気ガス中には計測したい酸素のみが含まれているわけではなく、酸素以外の種々のガスが含まれている。特に、内燃機関から排気される排気ガスには、完全には燃焼しなかった炭化水素を含むガスや、炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物などもわずかに含まれる。通常これらのガスは、排気管に設けられた触媒によって無害化される。しかし、上述したように排気ガス中の酸素濃度を計測し、燃焼を制御する場合には、触媒によって無害化する前の排気ガス中の酸素濃度を計測する必要がある。
【0008】
このため、内燃機関から排気される排気ガスを計測するための酸素センサは、酸素以外のガスの影響を受けないことが求められる。従来より、こうした炭化水素などの影響を防止するため、センサの検出部に白金などの触媒を担持させ、検出部に付着するこうした炭素や、炭化水素などを分解させることが知られている。特許文献2は、酸化物半導体の表面から白金などを含む触媒溶液を滴下し、触媒を半導体に担持させることを開示している。
【0009】
しかし、このような構造を採用する場合、触媒が酸化物半導体の空孔の一部を塞いでしまい、検出すべきガスの流れが悪くなって、検出精度が低下する可能性がある。また、触媒は一般に、良導体であるため、酸化物半導体中に電気伝導度の高い触媒が入りこみ、酸化物半導体の抵抗値を大きく変化させ、検出精度を低下させることがある。また、触媒と酸化物半導体とが一体となることによって、その特性を変化させてしまい、検出精度が低下する可能性がある。
【0010】
こうした問題は、酸素センサに限られず、検出すべきガス以外のガス等の影響を防止するため、触媒金属が担持された検出部を有するガスセンサ全般に共通する問題である。
【0011】
本発明はこのような、従来の課題を解決し、検出すべきガス以外の影響を低減し、優れた応答特性を備えたガスセンサおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のガスセンサは、所定のガスを検出するための検出部と、触媒金属を含んでおり、前記検出部の表面上に設けられた複数の孤立した触媒層とを備える。
【0013】
ある好ましい実施形態において、前記触媒層の平均径は、200nm以上1μm以下である。
【0014】
ある好ましい実施形態において、前記触媒層の厚さは、10nm以上100nm以下である。
【0015】
ある好ましい実施形態において、前記触媒層は前記検出部の表面の10%以上30%以下を覆っている。
【0016】
ある好ましい実施形態において、前記触媒金属は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、および金からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0017】
ある好ましい実施形態において、前記触媒金属は少なくとも白金を含む。
【0018】
ある好ましい実施形態において、前記検出部は、前記検出部の表面となる表面を有する半導体セラミックス層を含む。
【0019】
ある好ましい実施形態において、前記半導体セラミックス層は、50nm以上500nm以下の平均粒径を有する粒子で構成される多孔質構造を備えている。
【0020】
ある好ましい実施形態において、前記触媒層は、多孔質構造の最表面から300nm以上内部には形成されていない。
【0021】
ある好ましい実施形態において、前記半導体セラミックス層はセリウムおよびジルコニウムを含む酸化物である。
【0022】
ある好ましい実施形態において、ガスセンサは、基板と、基板上に形成された電極と、をさらに備え、前記半導体セラミックス層は、前記電極を覆うように基板に支持されている。
【0023】
ある好ましい実施形態において、前記所定のガスは酸素である。
【0024】
本発明の駆動装置は、内燃機関と、内燃機関の排気ガスに接するように設けられた上記いずれかに規定されるガスセンサと、前記ガスセンサに接続され、前記内燃機関を制御する制御装置とを備える。
【0025】
本発明の車両は、上記駆動装置を備える。
【0026】
本発明のガスセンサの製造方法は、所定のガスを検出するための検出部の表面上に触媒金属を含む薄膜を形成する工程(a)と、前記薄膜を加熱し、前記薄膜を凝集させることにより、前記検出部の表面上に孤立した複数の触媒層を形成する工程(b)とを包含する。
【0027】
ある好ましい実施形態において、前記工程(a)の前記薄膜を気相成長法により形成する。
【0028】
ある好ましい実施形態において、前記触媒層の平均径は、200nm以上1μm以下である。
【0029】
ある好ましい実施形態において、10nm以上100nm以下の厚さを有する薄膜を前記工程(a)において形成する。
【0030】
ある好ましい実施形態において、前記触媒層は前記検出部の表面の10%以上30%以下を覆っている。
【0031】
ある好ましい実施形態において、前記触媒金属は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、および金からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0032】
ある好ましい実施形態において、前記触媒金属は少なくとも白金を含む。
【0033】
ある好ましい実施形態において、ガスセンサの製造方法は、基板上に電極を形成する工程(c)と、前記電極を覆うように前記基板上に半導体セラミックス層を形成する工程(d)とをさらに包含し、前記半導体セラミックス層の表面は、前記検出部の表面を構成している。
【0034】
ある好ましい実施形態において、半導体セラミックス層は、50nm以上500nm以下の平均粒径を有する粒子で構成される多孔質構造を備えている。
【0035】
ある好ましい実施形態において、前記触媒層は、多孔質構造の最表面から300nm以上内部には形成されていない。
【0036】
ある好ましい実施形態において、前記半導体セラミックス層はセリウムおよびジルコニウムを含む酸化物である。
【0037】
ある好ましい実施形態において、前記所定のガスは酸素である。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、検出部の表面に設けられた触媒金属を含む触媒層が、検出すべきガスの検出に影響を与える物質を分解する。触媒層は検出部の表面を部分的にのみ覆うため、検出部は、適切に検出すべきガスに接することができる。このため、本発明のガスセンサは、検出を阻害する物質の影響を受けることなく、精度よくガスを検出することができる。また、本発明によれば、このようなガスセンサを簡単に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明によるガスセンサ10の構造を示す平面図である。図1(b)は、ガスセンサ10の図1(a)に示すA−A線における断面図である。ガスセンサ10は、検出部16と、検出部16の表面16aに設けられた複数の孤立した触媒層18とを備えている。
【0040】
検出部16は、検出部16が接する雰囲気中に所定の種類のガスが存在することを検出する。好ましくは、検出するガスの量あるいは濃度に応じた情報を出力する。
【0041】
検出部16は、このような特性を備えている限り、ガスの検出方法および検出するガスの種類はどのようなものであってもよい。特に、検出すべきガスが検出部16と反応あるいは、相互作用を及ぼすことによって、検出部16の抵抗値が変化する抵抗型ガスセンサに本発明は好適に用いることができる。
【0042】
本実施形態では、内燃機関の排気ガス中の酸素を検出するために好適に用いられるガスセンサ10を説明する。このために、検出部16は、検出部16に接した雰囲気中の酸素の分圧に応じて抵抗率が変化する半導体セラミックス層によって構成されている。このような特性を備えた半導体セラミック層としては、酸化チタン、セリウムおよびジルコニウムを含む酸化物、酸化ガリウムなどの不定比性酸化物が知られており、これらのいずれを検出部16として用いてもよい。本実施形態では、検出感度に優れたセリウムおよびジルコニウムを含む酸化物からなる半導体セラミックス層を検出部16として用いる。例えば、特許文献3に開示される半導体セラミックを好適に用いることができる。この半導体セラミックス層は、以下において詳細に説明するように多孔質構造を有している。
【0043】
上述した用途のガスセンサ10は、たとえば、数mm×数mm程度の外形を有している。検出部16の厚さTは、数μmから数十μm程度である。セリウムおよびジルコニウムを含む酸化物からなる検出部16は、検出部16が接する雰囲気の酸素分圧に応じて酸素を放出あるいは吸収する。これにより、酸化物に生じる酸素空孔濃度が変化し、検出部16の抵抗率も変化する。したがって、検出部16の抵抗変化を測定することにより、表面16aが接している雰囲気の酸素濃度を測定することができる。
【0044】
本実施形態では、ガスセンサ10は、検出部16を支持するための基板12と、基板12上に形成された一対の電極14a、14bとをさらに備え、検出部16は、一対の電極14a、14bを覆うように基板12上に設けられている。電極14a、14bは、検出部16の抵抗の変化を効率よく計測できるよう、櫛形を有し、櫛歯が相互に入り込んでいることが好ましい。電極14a、14bは導電性を有しており、また、ガスセンサ10の使用温度において変形や変質等が生じたり、検出部16と反応をしない材料によって形成される。外部の回路と接続可能なように、電極14a、14bの一端は、検出部16から露出している。本実施形態では、例えば、白金によって電極14a、14bを形成することができる。
【0045】
図1(a)および(b)に示すように、各触媒層18は、隣接した触媒層18とは接続しておらず、孤立した島状に形成されている。触媒層18は触媒金属を含んでおり、触媒作用によって、検出すべきガス以外の少なくとも1種の物質を分解する。具体的には、検出部16が接する気体中に含まれ、検出部16によるガスの検出に悪影響を及ぼすガスや微粒子などを分解し、または、そのようなガスや微粒子が検出部16の表面16aに付着するのを防止する。触媒作用を発揮するため、触媒層18は、検出部16の表面16aに位置していることが好ましいが、検出部16の表面16aは、検出すべきガスを含む雰囲気と接する必要がある。このために、触媒層18は、孤立した島状に形成されており、隣接する触媒層18間において表面16aが露出し、検出すべきガスを含む雰囲気と接することができる。
【0046】
触媒作用を十分に発揮させつつ、十分な感度でガスを検出することができるために、触媒層18は、検出部16の表面16aの10%以上30%以下の面積を覆っていることが好ましい。触媒層18の占める割合が、表面16aの10%より小さい場合、触媒としての機能が十分ではない場合が生じる。また、触媒層18の占める割合が、表面16aの30%より大きい場合、露出した表面16aの割合が低下し、十分な検出精度を維持できなくなる可能性がある。触媒層18は表面16aにおおよそ均一に分布していることが好ましい。
【0047】
触媒層18は200nm以上1μm以下の平均径を有していることが好ましい。ここで、平均径とは、各孤立した島形状の長軸と短軸の長さの平均値である。
【0048】
触媒層18の平均径が200nmよりも小さい場合、触媒層18の形成が難しくなったり、均一な割合で、表面16a上に触媒層18を形成することが難しくなる。また触媒層18の平均径が1μmよりも大きい場合、触媒層18の電気的特性が、検出部16に影響を与え、正しい検出を行うことができなくなる可能性がある。触媒層18の平均径が上述の範囲内にある場合、特に検出部16がセラミックスなどによって形成される多孔質構造を有していても、検出部16の検出精度に影響を与えることなく、触媒層18が触媒機能を発揮することができる。
【0049】
触媒層18がこのような条件を満たす形状および配置で形成されているかぎり、触媒層18はどのような方法により形成されていてもよい。しかし、一般に、上述した大きさの触媒層をフォトリソグラフィによって形成することは難しい。本発明では、以下で説明するように、薄膜を熱処理することによって凝集させ、孤立した触媒層を形成する。触媒層18の触媒作用は主として表面において発揮する。このため、上述した形状および配置で触媒層18が形成されている限り、触媒層18の厚さtは任意に設定することができる。ただし、以下で詳細に説明する方法によって触媒層18を形成する場合には、触媒層18の厚さtは、10nm以上100nm以下であることが好ましい。
【0050】
図1(c)は、検出部16の表面近傍を拡大して示す断面図である。上述したように、本実施形態では、検出部16は多孔質構造を備えた半導体セラミックスによって形成されている。半導体セラミックスは50nm以上500nm以下の平均径を有している。
【0051】
図に示すように、触媒層18は、おおむね最表面に位置する粒子上にのみ形成されていおり、表面16aに形成された凹部16cの底部に位置する粒子の表面には形成されていない。好ましくは、最表面から300nm以上内部には薄膜は形成されていない。
【0052】
触媒層18の大きさは、検出部16を構成している半導体セラミックスの粒子の大きさにおおよそ等しく、各触媒層18は、1つあるいは数個程度の粒子上にのみまたがって形成される。一般にセラミックスの物性は粒子自体の物性および粒子の配置や充填に依存する。このため、複数の粒子を電気的に接続するように導電膜を形成した場合、セラミックスの抵抗率は大きく変化してしまう可能性がある。これに対して各触媒層18は、高々数個程度の粒子上にまたがって形成される程度の孤立した島状パターンに形成され、隣接する触媒層18とは電気的にほぼ絶縁されているため、検出部16を構成する半導体セラミックスの電気的特性を大きく変化させることがない。
【0053】
触媒層18は、上述した機能を発揮する触媒金属を含んでいる。触媒金属の種類は、分解すべきガスや付着を防止すべき物質に応じて適宜選択することができる。ガス中の不要な成分を分解するための触媒としては、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、および金などが知られている。特に、内燃機関の排気ガス中の酸素濃度を測定する場合には、排気ガス中に含まれる炭素が検出部16の表面16aに付着する。炭素は導電性を有するため、炭素の付着によって検出部16の抵抗率が変化してしまい、酸素濃度を正しく計測することができなくなる。
【0054】
このような炭素や炭化水素によって酸素の検出精度が低下するのを防止するためには、触媒として白金を用いるのが好ましい。このため、触媒層18は、白金を含み、炭素が検出部16へ付着するのを防止し、また、排ガス中の含まれる炭化水素が検出部16aの表面近傍において存在しないように炭化水素を分解する。なお、触媒層18は白金以外の他の触媒金属を含んでいてもよい。
【0055】
図1(c)に示すように、検出部16の表面16の近傍を排気ガスが矢印Bで示すように流れる場合、表面16に設けられた触媒層18は、排気ガスと十分接触し、排気ガス中の燃焼していない炭化水素を燃焼あるいは分解させることができる。排気ガス中に含まれる炭素は、表面16aに接近しても触媒層18の触媒作用により燃焼する。このように、酸素の検出を妨げる炭化水素や炭素の影響を低減させることができる。
【0056】
また、触媒層18は表面16aを部分的にしか覆っていないため、矢印Cで示すように、触媒層18の間隙から検出部16の表面16aに到達する。このため、表面16aが排気ガスと接触し、排気ガス中の酸素濃度を計測することが可能となる。このような特徴は、触媒層18が孤立した島状に形成されており、部分的にのみ検出部16の表面16aを覆っていることにより得られる効果である。
【0057】
このような特徴を触媒金属が他の形態で担持されたガスセンサと比較する。図2(a)および(b)は、触媒金属を検出部16’の表面16a’全体を覆う膜として形成した場合および微粒子として検出部16’’の表面から滴下した場合の検出部の表面近傍の構造をそれぞれ模式的に示している。図2(a)に示すように、触媒金属を含み、連続した膜32を検出部16’の表面16a’に形成した場合、矢印Bで示すように流れる排気ガスに含まれる炭素や炭化水素は膜32と接触し、分解する。しかし、膜32に遮られるため、排気ガスは検出部16’の表面16a’には矢印C’で示すように到達することはできず、検出部16は目的とするガスを検出できない。
【0058】
膜32に孔やメッシュが設けられている場合には、孔やメッシュから、排気ガスが検出部16’の表面16a’に達し、検出部16’は排気ガスと接触することが可能となる。しかし、この場合でも、膜32は検出部16’の表面を覆っているため、検出面16a’全体を電気的に接続してしまう。このため、検出部16’は排気ガス中に含まれる測定すべきガスに応じた抵抗率変化を示さず、正しい測定を行うことはできない。
【0059】
一方、図2(b)に示すように、触媒金属を微粒子として検出部16’’の表面16a’’から滴下した場合、検出部16a’’の表面近傍に付着した微粒子34によって、排気ガスに含まれる炭素や炭化水素は分解される。しかし、微粒子34が検出部16’’の表面16a’’を覆う割合は、それほど大きくすることはできないため、触媒作用は十分ではない可能性がある。検出部16’’の表面16a’’の微粒子34により覆われている領域が小さいため、矢印C’’で示すように、排気ガスと検出部16’’の表面16a’’との接触は十分である。しかし、図に示すように、微粒子34が検出部16’’を構成している半導体セラミックスの粒界内部にまで浸入して位置するため、半導体セラミックスの電気的特性を変化させてしまい、検出するガス濃度の変化に対応して正しい抵抗率の変化を示さない可能性がある。また、滴下によって触媒を表面16a’’上に担持させる場合、微粒子34の分布が不均一になる可能性があり、検出に悪影響を及ぼす可能性もある。
【0060】
本発明のガスセンサによればこのような課題が生じることなく、所望のガスを正しく検出することができる。特に、本実施形態として説明してきたように、内燃機関の排気ガス中の酸素を測定する場合、内燃機関の始動時には、燃焼室が十分な温度に達していないため、燃焼が不完全となり、排気ガスには燃焼していない炭化水素が多く含まれる。また、排気ガスの温度も低い。このような場合、排気ガス中の酸素濃度を測定するために排気管に設けられたガスセンサには、炭素が付着したり、炭化水素による影響を受けやすい。一方、始動後、燃焼室は比較的短時間で急に温度が上昇するため、燃焼状態は大きく変化する。つまり、燃焼状態の変化を適切に検出する必要があり、高い応答性が要求される。
【0061】
本発明のガスセンサによれば、このような内燃機関の始動時であっても、これまで説明したように、触媒層が孤立した島状に検出部の表面に形成されているため、炭化水素および炭素の影響を抑制し、優れた応答性で排気ガス中の酸素濃度を検出することができる。
【0062】
次に、ガスセンサ10の製造方法の一例を説明する。
【0063】
まず図3(a)に示すように、基板12上に一対の電極14a、14bを形成する。基板12は、絶縁性の表面を備え、以下の工程で行う熱処理温度、および、ガスセンサ10の使用温度において変形等が実質的に生じない耐熱性を備えていればよい。たとえば、アルミナ、マグネシアなどの絶縁体から形成された基板を用いることができる。電極14a、14bは、導電性を有し、基板12と同程度の耐熱性を有する材料から形成する。特に、検出部16および触媒層18を形成する際の熱処理温度よりも融点が高い材料を用いることが好ましい。たとえば、白金、白金ロジウム合金、金などから形成することができる。スクリーン印刷法や、気相成長法などの膜形成方法によって基板12上にこれらの材料の膜を形成し、パターニングを行って電極14a、14bを形成する。
【0064】
次に、平均径50nmから500nmのセリウムおよびジルコニウムの酸化物を主成分とするセラミックス粒子からなるペーストを、厚さ約1μmから100μnmの範囲内で電極14a、14bを覆うように基板12上に塗布する。その後酸化(空気)雰囲気下において、1100℃で数時間保持し、ペーストを焼成する。これにより、図3(b)に示すように多孔質の半導体セラミック層で構成される検出部16が形成される。
【0065】
図3(c)に示すように、厚さは1nmから100nmの触媒金属を含む金属膜17を検出部16上に形成する。本実施形態では白金を用いる。上述の範囲に金属膜17を形成するために、気相成長法によって金属膜17を形成することが好ましく、スパッタ法を用いることがより好ましい。上述の範囲の膜厚制御が容易だからである。金属膜17を形成した後、金属膜17を熱処理する。熱処理温度および時間は、金属膜17を構成する金属の種類に依存し、金属の融点以下であって、金属の凝集が可能な熱量を与える条件を選択する。また、ガスセンサ10の動作温度以上であって、検出部16を形成した温度以下であることが好ましい。たとえば、基板12全体を熱処理炉に導入し、空気雰囲気下、1000℃で2時間熱処理を行う。
【0066】
熱処理によって、図3(d)に示すように、金属膜17が粒子を形成しながら凝集し、孤立した島状の触媒層18が形成される。触媒層18の平均径は金属膜17の厚さに依存する。以下において詳細に説明するように、上述の範囲の厚さの金属膜17を用いる場合、触媒層18の平均径は200nmから1μm程度となる。これにより、図1(a)および(b)に示すガスセンサ10が完成する。
【0067】
上述の製造方法の図3(c)および(d)で示す工程中、金属膜17は、多孔質構造の半導体セラミックス層からなる検出部16の最表面を構成する粒子に主として接するように形成されると考えられる。その後、熱処理によって、金属膜17は半導体セラミックス層の粒子と接した部分を中心として凝集し、図1(c)に示すように、主として、最表面を構成する粒子上にのみ孤立した島状の触媒層18が形成されるものと考えられる。このため、触媒層18は自己整合的に検出部16の最表面を構成する粒子上に形成されるものと考えられる。つまり、この工程を採用することにより、本発明のガスセンサは、検出部の最表面となる凸部や粒子表面にのみ選択的に、かつ、隣接した凸部や粒子表面とは連続しないように触媒金属を含む触媒層が形成された構造を備えることができる。孤立した島状のパターンを有する薄膜をフォトリソグラフィによって形成する場合には、このように、検出部16の最表面を構成する粒子上にのみ選択的に形成することは難しい。
【0068】
図4(a)は、このようにして作製したガスセンサ10の検出部16の表面のSEM写真である。図において、触媒層18は矢印で示す位置に形成されている。また、SEMの焦点は、最表面の粒子近傍に一致させている。図から明らかなように、検出部16を構成する半導体セラミックス層の粒子上に粒子とほぼ同じ大きさを有する孤立した触媒層18が形成されている。また、半導体セラミックス層の最表面から内部側に位置する粒子上には、触媒層は形成されていないことが分かる。このように、半導体セラミックス層の粒子とほぼ一致した大きさで、かつ、半導体セラミックス層の粒子上に孤立した触媒層が形成されているため、上述したように、検出部の電気的特性に影響を与えることがない。また、検出部の検出精度を低下させることなく、検出すべきガス以外のガスなどの影響を薄膜の触媒作用を利用して低減させることができる。
【0069】
このように金属薄膜を加熱し、凝集させることによって形成した触媒層の大きさは、加熱前の金属薄膜の厚さを調整することにより制御できる。表1は、金属薄膜の厚さを変えた場合の熱処理後に生成した触媒層の平均径および触媒層の面積率を示している。金属薄膜は、2極対向電極放電方式を用いたマグネトロンコーティングモードで白金ターゲットとし、スパッタリング法により堆積させた。コーティング時に10mAの電流が流れるように1kVの電圧を印加して放電させ、堆積時の圧力をアルゴン雰囲気下で10Paに設定した。堆積速度は6nm/minであった。また、比較のためにスクリーン印刷法により形成した白金膜を熱処理した結果を合わせて示す。
【0070】
触媒層の平均径はSEM像により測定した。また、触媒層の面積率は撮影したSEM画像に基づき、表面を占有する触媒層の面積を計算により求めた。
【0071】
【表1】

【0072】
表1に示すように、形成する膜が厚くなるにしたがって、熱処理後の触媒層の平均径が大きくなる。表1から分かるように、白金膜の厚さを10nmから100nmの間で変化させることによって、熱処理後の触媒層の平均径を約200nmから約1μmにすることができる。このとき、触媒層の面積率は10%から30%の範囲内である。また、触媒層の厚さは、10nmから100nmであった。詳細な実験を行った結果、形成する膜の厚さが100nmを超えると、熱処理後の触媒層が隣接する触媒層と接触しやすくなり、孤立した触媒層が得られにくくなることが分かった。この場合、触媒層が連続することにより、全体として導電性を有するようになる。確実に触媒層が連続しないようにするためには、形成する膜の厚さは約50nm以下であることが好ましい。このとき、触媒層の平均径は約500nm以下になる。
【0073】
スクリーン印刷法では、形成する膜の厚さを小さくすることができない。このため、熱処理後に得られるパターンは、1μmから10μmの大きさで部分的に膜が凝集するものの、全体として凝集した部分は連続していた。このため、孤立した島状のパターンを形成することができなかった。
【0074】
孤立した島状の触媒層は、金属の自己凝集作用によって形成されるものと考えられ、形成する下地の影響を受けにくい。図4(b)および(c)は、アルミナ基板上に白金膜を10nmおよび30nm形成し、熱処理を行った場合に得られた触媒層のSEM写真である。これらの図から明らかなように、平坦な基板上であっても、好適に孤立した島状の触媒層を形成することができることが分かる。したがって、ガスセンサの検出部が多孔質構造を有しておらず、検出部の表面が平坦であっても触媒金属を含み、孤立した島状の触媒層状パターンの薄膜を形成することができ、得られたガスセンサは本実施形態で説明したような効果を奏する。また、パターニングすることなく簡単に孤立した島状の触媒層を形成することができる。
【0075】
上述の説明から明らかなように、本発明のガスセンサは酸素を検出するものに限られず、特許文献4に開示された水素ガスセンサ、NOx、炭化水素、有機化合物センサなどにも好適に用いられる。
【0076】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で説明したガスセンサを備え、内燃機関を駆動源とする車両を説明する。図5は、本実施形態による自動二輪車の模式図である。自動二輪車300は、本体フレーム301と内燃機関としてエンジン100とを備える。本体フレーム301の前端にヘッドパイプ302が設けられている。ヘッドパイプ302にはフロントフォーク303が左右方向に揺動可能に設けられている。また、フロントフォーク303の下端に前輪304が回転可能に支持されている。ヘッドパイプ302の上端にはハンドル305が取り付けられている。
【0077】
本体フレーム301の後端上部から後方に伸びるようにシートレール306が取り付けられている。本体フレーム301の上部には燃料タンク307が設けられ、シートレール306上にメインシート308aおよびタンデムシート308bが設けられている。また、本体フレーム301の後端に後方へ伸びるリアアーム309が取り付けられている。リアアーム309の後端に後輪310が回転可能に支持されている。
【0078】
本体フレーム301の中央部にはエンジン100が保持されている。エンジン100の前部にはラジエター311が取り付けられている。エンジン100の排気ポートには排気管312が接続されている。以下において詳細に説明するように、排気管にはエンジン100に近い順にガスセンサ102、三元系触媒104および消音器106が設けられている。ガスセンサ102には、第1の実施形態で説明したガスセンサ10が用いられる。ガスセンサ102の検出部の表面は排気管312の排気ガスが通過する通路内に露出しており、排気ガス中の酸素を検出する。なお、図には示していないが、ガスセンサ102にはヒータが取り付けられており、検出部を加熱することによって検出感度が高められている。
【0079】
エンジン100には、変速機315が連結されており、変速機315の出力軸316は駆動スプロケット317に取り付けられている。駆動スプロケット317はチェーン318を介して後輪310の後輪スプロケット319に連結されている。
【0080】
図6は、エンジン100の制御系の主要な構成を示している。エンジン100のシリンダ101には吸気弁110、排気弁106および点火プラグ108が設けられている。またエンジンを冷却する冷却水の水温を計測する水温センサ116が設けられている。吸気弁110は、空気吸入口をもつ吸気管122に接続されている。吸気管にはエアーフローメータ112、スロットルバルブのスロットルセンサ114および燃料噴射装置111が設けられている。このように燃焼室ではなく吸気管122内に燃料を噴射する場合には、始動時の空燃比を適切にコントロールすることが難しくなる。
【0081】
エアーフローメータ112、スロットルセンサ114、燃料噴射装置111、水温センサ116、点火プラグ108およびガスセンサ102は、制御装置であるコンピュータ118に接続されている。コンピュータ118には自動二輪車300の速度を示す車速信号120も入力される。
【0082】
図示しないセルモータによって、ライダーがエンジン100を始動させると、コンピュータはエアーフローメータ112、スロットルセンサ114および水温センサ116から得られる検出信号および車速信号120に基づき、最適な燃料量を計算し、計算結果に基づいて、燃料噴射装置111へ制御信号を出力する。燃料噴射装置111から噴射される燃料は、吸気管122から供給される空気と混合され、適切なタイミングで開閉される吸気バルブ110を介してシリンダ101へ噴出される。シリンダ101において噴出された燃料は燃焼し、排気ガスとなって排気弁106を介して排気管312へ導かれる。
【0083】
ガスセンサ102は排気ガス中の酸素を検出し、検出信号をコンピュータ118へ出力する。コンピュータ118は、ガスセンサ102の信号に基づき、空燃比が理想空燃比からどの程度ずれているかを判断する。そして、フローメター112およびスロットルセンサ114から得られる信号によって定まる空気量に対して、理想空燃比となるように燃料噴射装置111から噴出する燃料量を制御する。
【0084】
図7(a)は、上述のガスセンサ102の特性を模擬的な条件で計測した結果を示すグラフである。自動二輪車300において、エンジン100を始動させた直後に排出される排気ガスの組成を含む雰囲気A、および、エンジン100の始動後、シリンダ101が十分な温度に加熱され、エンジン100が安定した状態にあるときの排気ガスの組成を含む雰囲気Bを模擬的に合成し、雰囲気Aから雰囲気Bに切り替えたときこれらの雰囲気を検出するガスセンサ102の抵抗値の時間変化を測定した。横軸は時間を示し、縦軸はセンサの出力を示している。図7(b)は、比較例として、触媒層18が検出部16に設けられていないことを除いて、第1の実施形態のガスセンサ10と同じ構造を備えたガスセンサを用いて、抵抗値の変化を同様に測定した結果を示している。
【0085】
これらの図において2つの破線で示すように、最初の破線のタイミングで雰囲気の切替えが行われ、2つ目の破線のタイミングでガスセンサ102および比較例のセンサがおかれた場所近傍の雰囲気が完全に雰囲気Aから雰囲気Bへ切り替わっている。流体中のガスの置換に時間がかかるからである。
【0086】
図7(a)および(b)から明らかなように、ガスセンサ102は、雰囲気の切替え後急激に出力が低下し、雰囲気の置換が完全に完了する時点では、ほぼ完全に雰囲気Bに対応した出力を示している。これに対して、比較例のガスセンサでは、出力の変化が緩慢であり、徐々にしか出力の変化は生じない。このため、雰囲気の置換が完了した時点でも比較例のガスセンサの出力は正しい雰囲気Bの出力を示さず、雰囲気がBに変化した時間に比べて約1.4倍の時間で雰囲気Bに対応した出力を示す。これは、担持させた白金により半導体セラミックス層から放出される酸素と炭素や炭化水素との燃焼反応の反応速度が大きくなったためであると考えられる。このため、ガスセンサ102は、優れた応答性を示す。
【0087】
本実施形態の自動二輪車によれば、特に、エンジンの始動時において、燃焼していない燃料が排気ガスに含まれたり、排気ガスの温度が低く、炭素がセンサに付着しやすくなっていても、優れた応答速度で排気ガス中の酸素濃度およびその変化を検出することができる。このため、始動時においても、適切な空燃比で燃料および空気を混合し、最適な条件で燃料を燃焼させることができ、排気ガス中のNOをはじめ規制物質の濃度を低減することができる。また、燃費の向上をはかることも可能である。
【0088】
なお、本実施形態では、自動二輪車を例示して説明を行ったが、本発明の車両は自動車であてあってもよい。また、内燃機関はガソリンエンジンに限られず、ディーゼルエンジンであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のガスセンサは、酸素をはじめ種々のガスを検出するガスセンサに好適に用いることができる。また、本発明のガスセンサは、自動二輪車や自動車など種々の内燃機関を有する駆動源の制御に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】(a)は、本実施形態によるガスセンサの平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面図である。(c)は検出部の表面の構造を模式的に示す拡大図である。
【図2】(a)および(b)は、触媒金属を連続した薄膜として検出部表面に形成し場合および微粒子の溶液として滴下場合の表面近傍の構造を模式的に示している。
【図3】(a)から(d)は図1に示すガスセンサの製造方法を示す工程断面図である。
【図4】(a)は多孔質構造を有するセラミックス上に触媒層が形成されている様子を示すSEM写真であり、(b)および(c)は平坦な表面を有するアルミナ基板上に触媒層が形成されている様子を示すSEM写真である。
【図5】本発明による自動二輪車の例を示す模式図である。
【図6】図5に示す自動二輪車におけるエンジンの制御系を示す模式図である。
【図7】(a)および(b)はそれぞれ本発明によるガスセンサおよび比較例によるガスセンサの応答特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0091】
10、102 ガスセンサ
12 基板
14a、14b 電極
16 検出部
16a 表面
18 薄膜
100 エンジン
101 シリンダ
104 三元系触媒
106 消音器
108 点火プラグ
111 燃料噴射装置
112 エアーフローメータ
114 スロットルセンサ
300 自動二輪車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のガスを検出するための検出部と、
触媒金属を含んでおり、前記検出部の表面上に設けられた複数の孤立した触媒層と、
を備えたガスセンサ。
【請求項2】
前記触媒層の平均径は、200nm以上1μm以下である請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記触媒層の厚さは、10nm以上100nm以下である請求項1または2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記触媒層は前記検出部の表面の10%以上30%以下を覆っている請求項1から3のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記触媒金属は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、および金からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1から4のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記触媒金属は少なくとも白金を含む請求項5に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記検出部は前記検出部の表面となる表面を有する半導体セラミックス層を含み請求項1から6のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項8】
前記半導体セラミックス層は、50nm以上500nm以下の平均粒径を有する粒子で構成される多孔質構造を備えている請求項7に記載のガスセンサ。
【請求項9】
前記触媒層は、多孔質構造の最表面から300nm以上内部には形成されていない請求項8に記載のガスセンサ。
【請求項10】
前記半導体セラミックス層はセリウムおよびジルコニウムを含む酸化物である請求項8に記載のガスセンサ。
【請求項11】
基板と、
基板上に形成された電極と、
をさらに備え、前記半導体セラミックス層は、前記電極を覆うように基板に支持されている請求項7から10のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項12】
前記所定のガスは酸素である請求項1から11のいずれかに記載のガスセンサ。
【請求項13】
内燃機関と、
内燃機関の排気ガスに接するように設けられた請求項1から12のいずれかに規定されるガスセンサと、
前記ガスセンサに接続され、前記内燃機関を制御する制御装置と、
を備えた駆動装置。
【請求項14】
請求項13に規定される駆動装置を備えた車両。
【請求項15】
所定のガスを検出するための検出部の表面上に触媒金属を含む薄膜を形成する工程(a)と、
前記薄膜を加熱し、前記薄膜を凝集させることにより、前記検出部の表面上に孤立した複数の触媒層を形成する工程(b)と、
を包含するガスセンサの製造方法。
【請求項16】
前記工程(a)において、前記薄膜を気相成長法により形成する請求項15に記載のガスセンサの製造方法。
【請求項17】
前記触媒層の平均径は、200nm以上1μm以下である請求項15または16に記載のガスセンサの製造方法。
【請求項18】
前記工程(a)において10nm以上100nm以下の厚さを有する薄膜を形成する請求項15から17のいずれかに記載のガスセンサの製造方法。
【請求項19】
前記触媒層は前記検出部の表面の10%以上30%以下を覆っている請求項15から18のいずれかに記載のガスセンサの製造方法。
【請求項20】
前記触媒金属は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、および金からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項15から19のいずれかに記載のガスセンサの製造方法。
【請求項21】
前記触媒金属は少なくとも白金を含む請求項20に記載のガスセンサの製造方法。
【請求項22】
基板上に電極を形成する工程(c)と、
前記電極を覆うように前記基板上に半導体セラミックス層を形成する工程(d)と、
をさらに包含し、前記半導体セラミックス層の表面は、前記検出部の表面を構成している請求項15から21のいずれかに記載のガスセンサの製造方法。
【請求項23】
半導体セラミックス層は、50nm以上500nm以下の平均粒径を有する粒子で構成される多孔質構造を備えている請求項22に記載のガスセンサの製造方法。
【請求項24】
前記触媒層は、多孔質構造の最表面から300nm以上内部には形成されていない請求項23に記載のガスセンサの製造方法。
【請求項25】
前記半導体セラミックス層はセリウムおよびジルコニウムを含む酸化物である請求項21から24のいずれかに記載のガスセンサの製造方法。
【請求項26】
前記所定のガスは酸素である請求項15から25のいずれかに記載のガスセンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−133083(P2006−133083A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322637(P2004−322637)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】