説明

振動デバイスおよび電子機器

【課題】不要な振動モードを低減し、効率的に駆動することができる振動体を有する振動デバイスを提供すること。
【解決手段】振動デバイス1の振動体2は、基部27と、基部27からY軸方向に延出するとともに、Y軸方向に直交するX軸方向に並んで設けられた2つの振動腕28、29と、各振動腕28、29上に設けられ、通電により振動腕28、29を励振させる励振電極221、222、223、224、231、232、233、234とを有し、励振電極221、222、231、232には、部分的に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔が形成され、これにより、振動腕28、29の振動特性が調整されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動体を有する振動デバイスと、この振動デバイスを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、振動デバイスに用いられる振動体としては、複数の振動腕を備える音叉型のものが知られている。
例えば、特許文献1に記載の振動体は、基部と、この基部から互いに平行となるように延出する2つの振動腕と、各振動腕上に設けられた1対の励振電極および1対の側面励振電極とを有する。このような振動体においては、基部および各振動腕が水晶で構成されており、1対の励振電極と1対の側面励振電極との間に電界が印加されることにより、各振動腕を振動させる。
【0003】
このような振動体による発振信号は、所望の基本波の周波数の信号成分を多く含むが、その成分の他に、高調波の周波数の信号成分も含んでいる。振動体の高調波(高次振動モード)のCI値(クリスタルインピーダンス)を基本波(基本振動モード)のCI値で割った値、すなわちCI値比が小さいと、ノイズ成分である高調波の信号成分が大きくなり、機器に異常が生じるおそれがある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の振動体では、励振電極の長さを振動腕の約半分程度にすることにより、CI値比を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−280870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、振動体における励振電極の長さを振動腕の約半分程度にすると、基本波のCI値が大きくなってしまう。そのため、特許文献1に記載の振動体では、効率的に駆動することができないと言う問題があった。
本発明の目的は、不要な振動モードを低減し、効率的に駆動することができる振動体を有する振動デバイス、およびこの振動デバイスを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の振動デバイスは、振動体と、前記振動体を駆動する駆動回路部と、を有し、
前記振動体は、基部と、
前記基部から第1の方向に延出するとともに、該第1の方向に直交する第2の方向に並んで設けられた複数の振動腕と、
前記各振動腕上に設けられ、通電により前記振動腕を励振させる1対の励振電極とを有し、
前記1対の励振電極のうちの少なくとも一方の励振電極には、部分的に、その厚さ方向に貫通する複数の孔が形成されていることを特徴とする。
【0008】
これにより、本発明の振動デバイスは、振動腕上における励振電極の第1の方向(振動腕の延出方向)での長さを長くしつつ、1対の励振電極間に生じる電界(振動腕に印加される電界)のうち不要な振動モードに寄与する電界の密度を小さくして、振動腕の振動特性を調整することができる。
このようなことから、振動デバイスは、不要な振動モードを低減し、効率的に駆動することができる。
【0009】
[適用例2]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記複数の孔は、前記少なくとも一方の励振電極において前記第1の方向に偏在して形成されていることが好ましい。
これにより、振動デバイスは、高調波(高次振動モード)のCI値と、基本波(基本振動モード)のCI値との比率を変化させて、振動腕の振動特性を調整することができる。
【0010】
[適用例3]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記複数の孔は、前記励振電極の、前記振動腕の前記第1の方向での中央部に偏在していることが好ましい。
これにより、振動デバイスは、基本波のCI値を低減するとともに、高調波のCI値を高めて、CI値比(高調波CI値/基本波CI値)を高めることができる。
【0011】
[適用例4]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記励振電極の単位面積当たりに前記孔が占める面積の割合は、前記振動腕の前記第1の方向での前記中央部から先端側に向けて漸次減少していることが好ましい。
これにより、振動デバイスは、振動腕の励振を円滑かつ効率的なものとしつつ、高調波のCI値を高めて、CI値比(高調波CI値/基本波CI値)を高めることができる。
【0012】
[適用例5]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記励振電極の単位面積当たりに前記孔が占める面積の割合は、前記振動腕の前記第1の方向での中央部から基端側に向けて漸次減少していることが好ましい。
これにより、振動デバイスは、振動腕の励振を円滑かつ効率的なものとしつつ、高調波のCI値を高めて、CI値比(高調波CI値/基本波CI値)を高めることができる。
【0013】
[適用例6]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記振動腕の前記第1の方向における長さをL1とし、前記振動腕上における前記励振電極の前記第1の方向における長さをL2としたときに、0.5<L2/L1<1の関係を満たすことが好ましい。
これにより、振動デバイスは、基本波のCI値を低減して、振動腕の励振を効率的なものとすることができる。
【0014】
[適用例7]
本発明の振動デバイスは、振動体と、前記振動体を駆動する駆動回路部と、を有し、
前記振動体は、基部と、
前記基部から第1の方向に延出するとともに、該第1の方向に直交する第2の方向に並んで設けられた複数の振動腕と、
前記各振動腕上に設けられ、通電により伸縮して前記振動腕を振動させる圧電体素子とを有し、
前記圧電体素子は、第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1の電極層および前記第2の電極層の間に位置する圧電体層とを備え、
前記第1の電極層、前記圧電体層および前記第2の電極層のうちの少なくとも1つの層には、部分的に、その厚さ方向に貫通する複数の孔が形成されていることを特徴とする。
【0015】
これにより、本発明の振動デバイスは、振動腕上における圧電体素子の第1の方向での長さを長くしつつ、第1の電極層と第2の電極層との間に生じる電界(圧電体層に印加される電界)のうち不要な振動モードに寄与する電界の密度を小さくして、振動腕の振動特性を調整することができる。
このようなことから、振動デバイスは、不要な振動モードを低減し、効率的に駆動することができる。
【0016】
[適用例8]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記振動腕は、3つ以上であり、前記圧電素子の伸縮により、前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向に、隣り合う2つの前記振動腕が互いに反対方向に屈曲振動されることが好ましい。
これにより、振動デバイスは、振動漏れを防止しつつ、3つ以上の振動腕を第3の方向に屈曲振動させることができる。
【0017】
[適用例9]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記各孔は、平面視にて円形をなしていることが好ましい。
これにより、振動デバイスは、振動腕を所望の振動特性に比較的簡単に調整することができる。
【0018】
[適用例10]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記複数の孔の平均径は、0.01〜100μmであることが好ましい。
これにより、振動デバイスは、複数の孔の形成を比較的な容易なものとしつつ、振動腕を所望の振動特性に調整することができる。
【0019】
[適用例11]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記各孔は、平面視にてスリット状をなしていることが好ましい。
これにより、振動デバイスは、振動腕を所望の振動特性に比較的簡単に調整することができる。
【0020】
[適用例12]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記スリット状の各孔は、前記第2の方向に延在していることが好ましい。
これにより、振動デバイスは、振動腕を所望の振動特性に比較的簡単に調整することができる。
【0021】
[適用例13]
上記適用例に係る振動デバイスでは、前記スリット状の孔の幅は、0.01〜100μmであることが好ましい。
これにより、振動デバイスは、複数の孔の形成を比較的容易なものとしつつ、振動腕を所望の振動特性に調整することができる。
【0022】
[適用例14]
本発明の電子機器は、上記適用例の振動デバイスを備えていることを特徴とする。
これにより、本発明の電子機器は、不要な振動モードを低減し、効率的に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図である。
【図2】図1に示す振動デバイスに備えられた振動体を示す上面図である。
【図3】図2中のA−A線断面図である。
【図4】(a)は、図2に示す振動体の振動腕の延出方向(Y軸方向)での位置と、その振動腕の基本振動モードの変位量および歪みとの関係を示すグラフ、(b)は、図2に示す振動体の振動腕の延出方向(Y軸方向)での位置と、その振動腕の高次振動モードの変位量および歪みとの関係を示すグラフである。
【図5】図2に示す振動体における振動腕の延出方向(Y軸方向)での位置と、その振動腕上の単位面積当たりに励振電極が占める面積の割合との関係を示すグラフである。
【図6】本発明の第2実施形態に係る振動デバイスに備えられた振動体を示す上面図である。
【図7】図6に示す振動体の側面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る振動デバイスに備えられた振動体を示す上面図である。
【図9】図8に示す振動体の側面図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る振動デバイスに備えられた振動体を示す下面図である。
【図11】図10中のA−A線断面図である。
【図12】図10において振動体に備えられた各第2の電極層の図示を省略した図である。
【図13】図10において振動体に備えられた各第2の電極層および各圧電体層の図示を省略した図である。
【図14】図10に示す振動体の動作を説明するための斜視図である。
【図15】電子機器の一例としての携帯電話機の概略を示す斜視図。
【図16】携帯電話機の回路ブロック図。
【図17】電子機器の一例としてのパーソナルコンピューターの概略を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の振動デバイスおよび電子機器について、添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る振動デバイスを示す断面図、図2は、図1に示す振動デバイスに備えられた振動体を示す上面図、図3は、図2中のA−A線断面図、図4(a)は、図2に示す振動体の振動腕の延出方向(Y軸方向)での位置と、その振動腕の基本振動モードの変位量および歪みとの関係を示すグラフ、図4(b)は、図2に示す振動体の振動腕の延出方向(Y軸方向)での位置と、その振動腕の高次振動モードの変位量および歪みとの関係を示すグラフ、図5は、図2に示す振動体における振動腕の延出方向(Y軸方向)での位置と、その振動腕上の単位面積当たりに励振電極が占める面積の割合との関係を示すグラフである。
【0025】
なお、各図1〜3では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およびZ軸を図示している。また、以下では、X軸に平行な方向(第2の方向)を「X軸方向」、Y軸に平行な方向(第1の方向)を「Y軸方向」、Z軸に平行な方向(第3の方向)を「Z軸方向」と言う。また、以下の説明では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
図1に示す振動デバイス1は、振動体2と、この振動体2を収納するパッケージ3と、振動体2を駆動する駆動回路部50と、を有し、いわゆる発振器としての機能を果たす。
【0026】
以下、振動デバイス1を構成する各部を順次詳細に説明する。
(振動体)
まず、振動体2について説明する。
振動体2は、図2に示すような音叉型の振動体である。この振動体2は、振動基板21と、この振動基板21上に設けられた励振電極群22、23および接続電極41、42とを有している。
【0027】
振動基板21は、基部27と、2つ(1対)の振動腕28、29とを有している。
振動基板21は、圧電体材料で構成されている。
例えば、かかる圧電体材料としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。特に、振動基板21を構成する圧電体材料としては水晶が好ましい。水晶で振動基板21を構成すると、振動基板21の振動特性を優れたものとすることができる。また、エッチングにより高い寸法精度で振動基板21を形成することができる。
【0028】
このような振動基板21において、基部27は、平面視にて、X軸方向に平行な1対の辺と、Y軸方向に平行な1対の辺とで構成された四角状をなしている。なお、基部27の平面視形状は、これに限定されるものではない。
そして、基部27のX軸方向に平行な1つの辺には、2つの振動腕28、29が接続されている。
【0029】
振動腕28、29は、基部27のX軸方向での両端部に接続されている。
2つの振動腕28、29は、互いに平行となるように基部27からそれぞれ延出して設けられている。言い換えると、2つの振動腕28、29は、基部27からそれぞれY軸方向に延出するとともに、X軸方向に並んで設けられている。
この振動腕28、29は、それぞれ、長手形状をなし、その基部27側の端部(基端部)が固定端となり、基部27と反対側の端部(先端部)が自由端となる。
【0030】
また、振動腕28、29は、互いに同じ幅となるように形成されている。これにより、振動腕28、29を互いに反対方向に(逆相で)振動させたとき、振動漏れを少なくすることができる。
また、各振動腕28、29は、長手方向での全域に亘って幅が一定となっている。なお、必要に応じて、振動腕28、29の各先端部には、基端部よりも横断面積が大きい質量部(ハンマーヘッド)を設けてもよい。この場合、振動体2をより小型なものとしたり、振動腕28、29の振動の周波数をより低めたりすることができる。
また、各振動腕28、29の横断面は、四角形をなしている。なお、各振動腕28、29の横断面形状は、四角形に限定されず、例えば、各振動腕28、29の上面および下面にY軸方向に沿った溝を形成することにより、H字状をなしていてもよい。
【0031】
図3に示すように、このような振動腕28上には、励振電極群22が設けられ、また、振動腕29上には、励振電極群23が設けられている。
励振電極群22は、通電により振動腕28を屈曲振動(励振)させる機能を有する。また、励振電極群23は、通電により振動腕29を屈曲振動(励振)させる機能を有する。 このような励振電極群22は、前述した振動腕28の上面上に設けられた励振電極221と、振動腕28の下面上に設けられた励振電極222と、振動腕28の一方の側面上に設けられた励振電極223と、振動腕28の他方の側面上に設けられた励振電極224とで構成されている。
【0032】
励振電極221、222、223、224は、それぞれ、振動腕28の基端付近から先端部付近まで延在している。また、励振電極221、222、223、224のX軸方向での幅が、それぞれ、Y軸方向での全域に亘って一定となっている。
特に、図2に示すように、励振電極221には、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2211が形成されている。また、図示しないが、励振電極222にも、同様に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔が形成されている。このような複数の孔を励振電極221、222にそれぞれ形成することにより、振動腕28の振動特性が調整されている。なお、振動腕28の振動特性の調整については、後に詳述する。
【0033】
同様に、励振電極群23は、前述した振動腕29の上面上に設けられた励振電極231と、振動腕29の下面上に設けられた励振電極232と、振動腕29の一方の側面上に設けられた励振電極233と、振動腕29の他方の側面上に設けられた励振電極234とで構成されている。
励振電極231、232、233、234は、それぞれ、振動腕29の基端付近から先端部付近まで延在している。また、励振電極231、232、233、234のX軸方向での幅が、それぞれ、Y軸方向での全域に亘って一定となっている。
【0034】
特に、図2に示すように、励振電極231には、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2311が形成されている。また、図示しないが、励振電極232にも、同様に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔が形成されている。このような複数の孔を励振電極231、232にそれぞれ形成することにより、振動腕29の振動特性が調整されている。 このような励振電極221、222、233、234は、図示しない配線を介して接続電極41に電気的に接続されている。また、励振電極223、224、231、232は、図示しない配線を介して接続電極42に電気的に接続されている。
【0035】
このような構成の振動体2においては、接続電極41と接続電極42との間に電圧を印加すると、励振電極221、222、233、234と、励振電極223、224、231、232が逆極性となるようにして、振動腕28、29にそれぞれX軸方向成分を含む方向の電圧が印加される。そして、圧電材料の逆圧電効果により、ある一定の周波数(共鳴周波数)で各振動腕28、29を屈曲振動させることができる。このとき、振動腕28、29は、互いに反対方向に屈曲振動される。
【0036】
また、各振動腕28、29が屈曲振動すると、接続電極41、42間には、圧電材料の圧電効果により、ある一定の周波数で電圧が発生する。これらの性質を利用して、振動体2は、共鳴周波数で振動する電気信号を発生させることができる。
このような励振電極群22、23、接続電極41、42および配線(図示せず)は、それぞれ、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、クロム、クロム合金、金、金クロム積層膜等の導電性に優れた金属材料により形成することができる。
【0037】
また、これらの電極等の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理成膜法、CVD等の化学蒸着法、インクジェット法等の各種塗布法等が挙げられる。
ここで、振動腕28の振動特性の調整について詳述する。なお、以下では、振動腕28の振動特性の調整について代表的に説明するが、振動腕29の振動特性の調整についても同様である。
【0038】
前述したように、励振電極221には、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2211が形成されている。また、図示しないが、励振電極222にも、同様に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔が形成されている。
特に、励振電極221には、部分的に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2211が形成されている。また、この複数の孔2211に対応するようにして(複数の孔2211と同様に)、励振電極222には、部分的に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔(図示せず)が形成されている。
【0039】
これにより、振動腕28上における各励振電極221、222、223、224のY軸方向(振動腕28の延出方向)での長さを長くしつつ、励振電極221と励振電極223、224との間および励振電極222と励振電極223、224との間にそれぞれ生じる電界(振動腕28に印加される電界)のうち不要な振動モードに寄与する電界の密度を小さくして、振動腕28の振動特性を調整することができる。
【0040】
このようなことから、振動体2は、不要な振動モードを低減し、効率的に駆動することができる。
また、本実施形態では、励振電極223、224には、複数の孔2211のような複数の孔は形成されていない。すなわち、励振電極223、224は、その輪郭の内側がパターンニングされておらず、密な層として構成されている。これにより、振動体2の製造を容易なものとすることができる。
【0041】
以下、励振電極221、222に形成された複数の孔と振動腕28の振動特性との関係を詳述する。なお、以下では、励振電極221について代表的に説明するが、励振電極222についても同様である。
より具体的に説明すると、前述したように構成された振動体2の振動腕28は、所望の基本振動モード(基本波)の周波数で励振されるが、この基本振動モードの他に、基本振動モードとは異なる高次振動モードの周波数でも励振されてしまう。
図4(a)に示すように、振動腕28の基本振動モードの変位量(中立線の変位量)は、振動腕28の基端側から先端側に向けて増加する。また、振動腕28基本振動モードの変位に伴って生じる歪みは、振動腕28の基端側から先端側に向けて減少する。なお、図4において、縦軸は、振動腕28の変位量、電荷および歪みの相対値を示している。横軸は、振動腕28のY軸方向の位置を示しており、横軸上の0の値が振動腕28における基部27側の端部(基端部)に対応し、横軸上のL1の値が振動腕28における基部27と反対側の端部(先端部)に対応している。
【0042】
一方、図4(b)に示すように、振動腕28の高次振動モードの変位量(中立線の変位量)は、振動腕28の基端側から先端側に向けて、中央部付近まで増加した後に、先端部付近まで減少し、その後増加する。また、振動腕28の高次振動モードの変位に伴って生じる歪みは、振動腕28の基端側から先端側に向けて、中央部付近まで増加した後に、減少する。
【0043】
このようなことから、振動腕28のY軸方向での中央部では、基本振動モードの励振はそれほど大きくないが、高次振動モードの励振が大きいことがわかる。また、高次振動モードの励振は、振動腕28のY軸方向での端部よりも中央部で大きい。
そこで、複数の孔2211は、振動腕28の延出方向における励振電極221の途中に偏在している(部分的に形成されている)。より具体的には、複数の孔2211は、励振電極221の、振動腕28の延出方向(Y軸方向)での中央部に対応する部分に偏在している(部分的に形成されている)。
【0044】
複数の孔2211を振動腕28の延出方向における励振電極221の途中に偏在させることにより、高調波(高次振動モード)のCI値と、基本波のCI値との比率を変化させて、振動腕28の振動特性を調整することができる。
特に、複数の孔2211を励振電極221の、振動腕28の延出方向(Y軸方向)での中央部に対応する部分に偏在させることにより、励振電極221のY軸方向での長さL2を長くしても、振動腕28の高次振動モードの励振を大幅に抑えて、振動体2の高次振動モードのCI値を高めることができる。すなわち、基本波のCI値を低減するとともに、高調波のCI値を高めて、CI値比(高調波CI値/基本波CI値)を高めることができる。
【0045】
また、振動腕28の延出方向(Y軸方向)における長さをL1とし、振動腕28上における励振電極221の同方向での長さをL2としたときに、0.5<L2/L1<1の関係を満たす。これにより、基本波のCI値を低減して、振動腕28の励振を効率的なものとすることができる。また、このような観点からは、特に、長さL1およびL2は、0.6<L2/L1<0.9の関係を満たすのが好ましく、0.7<L2/L1<0.8の関係を満たすのがより好ましい。
【0046】
これに対し、かかるL2/L1が前記下限値未満であると、振動腕28の形状、幅、長さ等によっては、基本波のCI値を十分に低減することが難しい。一方、かかるL2/L1が前記上限値を超えると、振動腕28の形状、幅、長さ等によっては、高調波のCI値を高めることが難しい。
また、励振電極221の単位面積当たりに孔2211が占める面積の割合(以下、「孔存在割合」とも言う)は、振動腕28の延出方向(Y軸方向)での中央部から先端側および基端側に向けてそれぞれ漸次減少している。言い換えると、図5に示すように、励振電極221をY軸方向での単位長さ毎に分割した各領域内において電極が占める面積の割合(以下、「電極存在割合」とも言う)は、振動腕28の延出方向(Y軸方向)での中央部から先端側および基端側に向けてそれぞれ漸次増加している。これにより、振動腕28の励振を円滑かつ効率的なものとしつつ、高調波のCI値を高めて、CI値比(高調波CI値/基本波CI値)を高めることができる。
【0047】
また、かかる孔存在割合が、前述した図4(b)に示す高次振動モードで生じる歪みの大きさに応じて増減していると、高次振動モードの励振をより確実に低減することができる。
また、かかる孔存在割合が、図4(b)に示す高次振動モードで生じる歪みの大きさと、図4(a)に示す基本振動モードで生じる歪みの大きさとの差分に応じて増減していると、基本振動モードの励振を高めつつ、高次振動モードの励振を効果的に低減することができる。
【0048】
また、各孔2211は、平面視にて円形をなしている。これにより、振動腕28を所望の振動特性に比較的簡単に調整することができる。なお、各孔2211は、円形に近い略円形の形状でもよい。
また、本実施形態では、複数の孔2211は、互いに同じ平面視形状および面積となるように形成されている。そのため、孔2211同士の間隔をY軸方向での位置に応じて変化させることにより、前述したような孔存在割合(電極存在割合)を実現している。
【0049】
なお、複数の孔2211を互いに異なる平面視形状および面積となるように形成してもよい。この場合、孔2211同士の間隔を一定としても、各孔2211の平面視形状および面積をY軸方向での位置に応じて変化させることにより、前述したような孔存在割合(電極存在割合)を実現することができる。
また、複数の孔2211の平均径は、0.01〜100μmであるのが好ましく、0.1〜10μmであるのがより好ましい。これにより、複数の孔2211の形成を比較的な容易なものとしつつ、振動腕28を所望の振動特性に調整することができる。
【0050】
これに対し、かかる平均径が前記下限値未満であると、励振電極221の構成材料や厚さ等によっては、複数の孔2211の形成が難しくなる場合がある。一方、かかる平均径が前記上限値を超えると、所望の領域における孔2211の面積占有率を高めることが難しくなる。また、励振電極221が形成される範囲や位置等によっては、振動腕28の振動特性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0051】
また、励振電極221を平面視したときに励振電極221全体に対して複数の孔2211が占める面積の割合(面積占有率)は、求める振動腕28の振動特性に応じて決定されるものであるが、0.1〜0.5であるのが好ましく、0.1〜0.4であるのがより好ましい。言い換えると、励振電極221を平面視したときに励振電極221の輪郭で囲まれた領域内に電極が占める面積の割合は、それぞれ、0.5〜0.9であるのが好ましく、0.6〜0.9であるのがより好ましい。これにより、前記電極が占める面積の割合が小さくなった場合に発生し易くなる励振電極221の断線等の導通不良を防止しつつ、振動腕28を所望の振動特性に調整することができる。
【0052】
(パッケージ)
次に、振動体2を収容・固定するパッケージ3について説明する。
パッケージ3は、図1に示すように、板状のベース基板31と、枠状の枠部材32と、板状の蓋部材33とを有している。ベース基板31、枠部材32および蓋部材33は、下側から上側へこの順で積層されており、ベース基板31と枠部材32とは、後述のセラミック材料等で形成されており、互いに一体に焼成されることで接合されている。そして、枠部材32と蓋部材33は、接着剤あるいはろう材等により接合されている。そして、パッケージ3は、ベース基板31、枠部材32および蓋部材33で画成された内部空間37に、振動体2を収納している。そして、パッケージ3内には、振動体2の他、振動体2を駆動する駆動回路部50が収納されている。駆動回路部50は、振動体2を発振させる発振回路や、温度補償回路などを含む半導体回路素子であり、この場合、ICチップである。
【0053】
ベース基板31の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミックス等の各種セラミックス材料、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。 また、枠部材32および蓋部材33の構成材料としては、例えば、ベース基板31と同様の構成材料、Al、Cuのような各種金属材料、各種ガラス材料等を用いることができる。特に、蓋部材33の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた場合、振動体2に予め金属被覆部(図示せず)を形成しておくと、振動体2をパッケージ3内に収容した後であっても、蓋部材33を介して前記金属被覆部にレーザーを照射し、前記金属被覆部を除去して振動体2の質量を減少させることにより(質量削減方式により)、振動体2の周波数調整を行うことができる。
【0054】
また、ベース基板31は、内部空間37の側の面に一段の段差を有し、上側の段差面には、一対のマウント電極35a、35bが内部空間37に露出するように形成されている。このマウント電極35a、35bの上には、それぞれ、導電性粒子を含有するエポキシ系、ポリイミド系、シリコーン系等の導電性接着剤36a、36bが塗布されて(盛られて)おり、さらに、この導電性接着剤36a、36b上に、前述した振動体2が載置されている。これにより、振動体2(基部27)がマウント電極35a、35b(ベース基板31)に確実に固定される。
【0055】
一方、ベース基板31の下側の段差面には、駆動回路部50が載置されていて、この駆動回路部50と金属ワイヤー(ボンディングワイヤー)55を介して電気的な接続をするための、複数の回路接続端子56が設けられている。また、ベース基板31の下面には、この場合4つの外部端子34a、34b、34c、34dが設けられている。このようにパッケージ3に設けられたマウント電極35a、35b、回路接続端子56、外部端子34a〜34dは、対応する端子同士が、図示しない引き回し配線やスルーホールなどの層内配線により、互いに接続されている。
【0056】
このような回路接続端子56、マウント電極35a、35bおよび外部端子34a〜34dは、それぞれ、例えば、タングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことで形成することができる。
なお、マウント電極35a、35bと接続電極41、42とを例えばワイヤーボンディング技術により形成された金属ワイヤー(ボンディングワイヤー)を介して電気的に接続してもよい。この場合、導電性接着剤36a、36bに代えて、導電性を有しない接着剤を介して、振動体2をベース基板31に対して固定することができる。また、パッケージ3内部に電子部品を収納した場合、ベース基板31の下面には、必要に応じて、電子部品の特性検査や、電子部品内の各種情報(例えば、振動デバイスの温度補償情報)の書き換え(調整)を行うための書込端子が形成されていてもよい。
【0057】
以上説明したような第1実施形態によれば、励振電極221、222の長手方向(Y軸方向)での途中にそれぞれその厚さ方向に貫通する微細な複数の孔が形成されているので、振動腕28上における各励振電極221、222、223、224のY軸方向(振動腕28の延出方向)での長さを長くしつつ、励振電極221と励振電極223、224との間および励振電極222と励振電極223、224との間にそれぞれ生じる電界(振動腕28に印加される電界)のうち不要な振動モードに寄与する電界の密度を小さくして、振動腕28の振動特性を調整することができる。
このようなことから、振動体2は、不要な振動モードを低減し、効率的に駆動することができる。
【0058】
<第2実施形態>
次に、本発明の振動デバイスの第2実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る振動デバイスに備えられた振動体を示す上面図、図7は、図6に示す振動体の側面図である。
以下、第2実施形態の振動デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0059】
第2実施形態の振動デバイスは、各振動腕の各側面上に設けられた励振電極にも微細な複数の孔を形成した以外は、第1実施形態とほぼ同様である。なお、図6、7では、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
本実施形態の振動デバイスの振動体2Aは、図6に示すように、振動基板21上に設けられた励振電極群22A、23Aを有している。
【0060】
励振電極群22Aは、振動腕28上に設けられ、また、励振電極群23Aは、振動腕29上に設けられている。
このような励振電極群22Aは、前述した振動腕28の上面上に設けられた励振電極221と、振動腕28の下面上に設けられた励振電極222と、振動腕28の一方の側面上に設けられた励振電極223Aと、振動腕28の他方の側面上に設けられた励振電極224Aとで構成されている。
【0061】
また、励振電極群23Aは、前述した振動腕29の上面上に設けられた励振電極231と、振動腕29の下面上に設けられた励振電極232と、振動腕29の一方の側面上に設けられた励振電極233Aと、振動腕29の他方の側面上に設けられた励振電極234Aとで構成されている。
以下、励振電極群23Aについて詳述する。なお、励振電極群22Aについては、励振電極群22と同様であるので、その説明を省略する。
【0062】
図7に示すように、励振電極234Aには、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2341が形成されている。また、図示しないが、励振電極233Aにも、同様に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔が形成されている。
また、図6に示すように、前述した第1実施形態と同様、励振電極231には、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2311が形成されている。また、図示しないが、励振電極232にも、同様に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔が形成されている。
【0063】
このような複数の孔を励振電極231、232、233A、234Aにそれぞれ形成することにより、振動腕29の振動特性が調整されている。
本実施形態では、前述したような複数の孔が極性が異なる対となる励振電極(励振電極231と励振電極233A、234A、および、励振電極232と励振電極233A、234A)の双方に形成されているので、対となる励振電極のいずれかの励振電極のみに複数の孔を形成する場合に比し、1つの励振電極当たりの複数の孔の数や面積を減らすことができる。そのため、各励振電極231、232、233A、234Aの断線等の導通不良を防止しつつ、振動腕29の振動特性の調整を行うことができる。なお、このような効果を顕著なものとするためには、一方の励振電極(励振電極231、232)の孔と他方の励振電極(励振電極233A、234A)の孔とがY軸方向においてできるだけ重ならないようにするのが好ましい。
以上説明したような第2実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0064】
<第3実施形態>
次に、本発明の振動デバイスの第3実施形態について説明する。
図8は、本発明の第3実施形態に係る振動デバイスに備えられた振動体を示す上面図、図9は、図8に示す振動体の側面図である。
以下、第3実施形態の振動デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0065】
第3実施形態の振動デバイスは、各振動腕の上面および下面に設けられた励振電極の複数の孔の形成を省略するとともに、各振動腕の各側面上に設けられた励振電極にも微細な複数の孔を形成した以外は、第1実施形態とほぼ同様である。すなわち、第3実施形態の振動デバイスは、各振動腕の上面および下面に設けられた励振電極の複数の孔の形成を省略した以外は、第2実施形態とほぼ同様である。なお、図8、9では、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を付してある。
【0066】
本実施形態の振動デバイスの振動体2Bは、図8に示すように、振動基板21上に設けられた励振電極群22B、23Bを有している。
励振電極群22Bは、振動腕28上に設けられ、また、励振電極群23Bは、振動腕29上に設けられている。
このような励振電極群22Bは、前述した振動腕28の上面上に設けられた励振電極221Bと、振動腕28の下面上に設けられた励振電極222Bと、振動腕28の一方の側面上に設けられた励振電極223Aと、振動腕28の他方の側面上に設けられた励振電極224Aとで構成されている。
【0067】
また、励振電極群23Bは、前述した振動腕29の上面上に設けられた励振電極231Bと、振動腕29の下面上に設けられた励振電極232Bと、振動腕29の一方の側面上に設けられた励振電極233Aと、振動腕29の他方の側面上に設けられた励振電極234Aとで構成されている。
以下、励振電極群23Bについて詳述する。なお、励振電極群22Bについては、励振電極群22Bと同様であるので、その説明を省略する。
【0068】
図9に示すように、前述した第2実施形態と同様、励振電極234Aには、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2341が形成されている。また、図示しないが、励振電極233Aにも、同様に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔が形成されている。
また、図8に示すように、励振電極221、222には、前述した複数の孔2341のような複数の孔は形成されていない。すなわち、励振電極221、222は、その輪郭の内側がパターンニングされておらず、密な層として構成されている。
【0069】
このような複数の孔を励振電極233A、234Aにそれぞれ形成することにより、振動腕29の振動特性が調整されている。
なお、本実施形態では、励振電極233A、234Aの孔存在割合は、前述した第1実施形態の励振電極221、222の孔存在割合と同様にするのが好ましい。
以上説明したような第3実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0070】
<第4実施形態>
次に、本発明の振動デバイスの第4実施形態について説明する。
図10は、本発明の第4実施形態に係る振動デバイスに備えられた振動体を示す下面図、図11は、図10中のA−A線断面図、図12は、図10において振動体に備えられた各第2の電極層の図示を省略した図、図13は、図10において振動体に備えられた各第2の電極層および各圧電体層の図示を省略した図、図14は、図10に示す振動体の動作を説明するための斜視図である。
【0071】
以下、第4実施形態の振動デバイスについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第4実施形態の振動デバイスは、振動腕の数が異なるとともに、各振動腕を圧電体素子により振動させる構成において、圧電体素子の第1の電極層および第2の電極層にそれぞれ微細な複数の孔を形成した以外は、第1実施形態とほぼ同様である。
【0072】
本実施形態の振動デバイスの振動体2Cは、図10に示すような3脚音叉型の振動体である。この振動体2Cは、振動基板21Cと、この振動基板21C上に設けられた圧電体素子22C、23C、24Cとを有している。
振動基板21Cは、基部27Cと、3つの振動腕28C、29C、30Cとを有している。
【0073】
振動基板21Cの構成材料としては、所望の振動特性を発揮することができるものであれば、特に限定されず、各種圧電体材料および各種非圧電体材料を用いることができる。 例えば、かかる圧電体材料としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。特に、振動基板21Cを構成する圧電体材料としては水晶が好ましい。水晶で振動基板21Cを構成すると、振動基板21Cの振動特性を優れたものとすることができる。また、エッチングにより高い寸法精度で振動基板21Cを形成することができる。
【0074】
また、かかる非圧電体材料としては、例えば、シリコン、石英等が挙げられる。特に、振動基板21Cを構成する非圧電体材料としてはシリコンが好ましい。シリコンで振動基板21Cを構成すると、振動基板21Cの振動特性を優れたものとすることができる。また、エッチングにより高い寸法精度で振動基板21Cを形成することができる。
このような振動基板21Cにおいて、基部27Cは、平面視にて、X軸方向に平行な1対の辺と、Y軸方向に平行な1対の辺とで構成された四角状をなしている。なお、基部27Cの平面視形状は、これに限定されるものではない。
【0075】
そして、基部27CのX軸方向に平行な1つの辺には、3つの振動腕28C、29C、30Cが接続されている。
振動腕28C、29Cは、基部27CのX軸方向での両端部に接続され、振動腕30Cは、基部27のX軸方向での中央部に接続されている。
3つの振動腕28C、29C、30Cは、基部27CからそれぞれY軸方向に延出するとともに、X軸方向に並んで設けられている。
【0076】
この振動腕28C、29C、30Cは、それぞれ、長手形状をなし、その基部27C側の端部(基端部)が固定端となり、基部27Cと反対側の端部(先端部)が自由端となる。
また、振動腕28C、29Cは、互いに同じ幅となるように形成され、振動腕30Cは、振動腕28C、29Cの幅の2倍の幅となるように形成されている。これにより、振動腕28C、29CをZ軸方向に屈曲振動させるとともに、振動腕30Cを振動腕28C、29Cと反対方向に(逆相で)Z軸方向に屈曲振動させたとき、振動漏れを少なくすることができる。
【0077】
また、各振動腕28C、29C、30Cは、長手方向での全域に亘って幅が一定となっている。なお、必要に応じて、振動腕28C、29C、30Cの各先端部には、基端部よりも横断面積が大きい質量部(ハンマーヘッド)を設けてもよい。この場合、振動体2Cをより小型なものとしたり、振動腕28C、29C、30Cの屈曲振動の周波数をより低めたりすることができる。
【0078】
図11に示すように、このような振動腕28C上には、圧電体素子22Cが設けられ、また、振動腕29C上には、圧電体素子23Cが設けられ、さらに、振動腕30C上には、圧電体素子24Cが設けられている。
圧電体素子22Cは、通電により伸縮して振動腕28CをZ軸方向に屈曲振動させる機能を有する。また、圧電体素子23Cは、通電により伸縮して振動腕29CをZ軸方向に屈曲振動させる機能を有する。また、圧電体素子24Cは、通電により伸縮して振動腕30CをZ軸方向に屈曲振動させる機能を有する。
このような圧電体素子22Cは、図11に示すように、振動腕28C上に、第1の電極層221C、圧電体層(圧電薄膜)222C、第2の電極層223Cがこの順で積層されて構成されている。
【0079】
図10に示すように、第2の電極層223Cには、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2231Cがスリット状に形成されている。また、図13に示すように、第1の電極層221Cには、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2211Cがスリット状に形成されている。このような複数の孔を第1の電極層221Cおよび第2の電極層223Cにそれぞれ形成することにより、振動腕28Cの振動特性が調整されている。なお、振動腕28Cの振動特性の調整については、後に詳述する。
このような圧電体素子22Cにおいては、第1の電極層221Cと前記第2の電極層223Cとの間に圧電体層222Cが配置されているため、第1の電極層221Cと第2の電極層223Cとの間に電圧を印加すると、圧電体層222CにZ軸方向の電界が生じる。この電界により、圧電体層222Cは、Y軸方向に伸張または収縮し、振動腕28CをZ軸方向に屈曲振動させる。
【0080】
同様に、圧電体素子23Cは、振動腕29C上に、第1の電極層231C、圧電体層(圧電薄膜)232C、第2の電極層233Cがこの順で積層されて構成されている。また、圧電体素子24Cは、振動腕30C上に、第1の電極層241C、圧電体層(圧電薄膜)242C、第2の電極層243Cがこの順で積層されて構成されている。
図10に示すように、第2の電極層233Cには、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2331Cが形成されている。また、図13に示すように、第1の電極層231Cには、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2311Cが形成されている。このような複数の孔を第1の電極層231Cおよび第2の電極層233Cにそれぞれ形成することにより、振動腕29Cの振動特性が調整されている。
【0081】
また、図10に示すように、第2の電極層243Cには、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2431Cが形成されている。また、図13に示すように、第1の電極層241Cには、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2411Cが形成されている。このような複数の孔を第1の電極層241Cおよび第2の電極層243Cにそれぞれ形成することにより、振動腕30Cの振動特性が調整されている。
【0082】
このような圧電体素子23Cにおいては、第1の電極層231Cと第2の電極層233Cとの間に電圧が印加されると、圧電体層232Cは、Y軸方向に伸張または収縮し、振動腕29CをZ軸方向に屈曲振動させる。また、第1の電極層241Cと第2の電極層243Cとの間に電圧が印加されると、圧電体層242Cは、Y軸方向に伸張または収縮し、振動腕30CをZ軸方向に屈曲振動させる。
【0083】
また、図10、12、13に示すように、前述した第1の電極層221C、231Cおよび第2の電極層243Cは、基部27Cの下面に設けられた接続電極41Cに電気的に接続されている。また、第1の電極層241Cおよび第2の電極層223C、233Cは、基部27Cの下面に設けられた接続電極42Cに電気的に接続されている。ここで、第1の電極層241Cは、図12に示す導体部(導体ポスト)251を介して、接続電極41Cに電気的に接続されている。また、第1の電極層221C、231Cは、図12に示す導体部(導体ポスト)252を介して接続電極42Cに電気的に接続されている。
【0084】
このような第1の電極層221C、231C、241C、第2の電極層223C、233C、243C、接続電極41C、42Cおよび導体部251、252は、それぞれ、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、クロム、クロム合金、金、金クロム積層膜等の導電性に優れた金属材料により形成することができる。
また、これらの電極等の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理成膜法、CVD等の化学蒸着法、インクジェット法等の各種塗布法等が挙げられる。また、これらの電極等の形成に際しては、フォトリソグラフィ法を用いるのが好ましい。
【0085】
圧電体層222C、232C、242Cの構成材料(圧電体材料)としては、それぞれ、例えば、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ホウ酸リチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。
また、これらの圧電体層の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理成膜法、CVD等の化学蒸着法、インクジェット法等の各種塗布法等が挙げられる。
【0086】
このような構成の振動体2Cにおいては、接続電極41Cと接続電極42Cとの間に電圧が印加されると、第1の電極層221C、231Cおよび第2の電極層243Cと、第1の電極層241Cおよび第2の電極層223C、233Cとが逆極性となるようにして、前述した圧電体層222C、232C、242CにそれぞれZ軸方向の電圧が印加される。これにより、圧電体材料の逆圧電効果により、ある一定の周波数(共鳴周波数)で各振動腕28C、29C、30Cを屈曲振動させることができる。
【0087】
このとき、図14に示すように、振動腕28C、29Cは、互いに同方向に屈曲振動し、振動腕30Cは、振動腕28C、29Cとは反対方向に屈曲振動する。これにより、振動漏れを防止しつつ、3つの振動腕28C、29C、30CをZ軸方向に屈曲振動させることができる。
また、各振動腕28C、29C、30Cが屈曲振動すると、接続電極41C、42C間には、圧電体材料の圧電効果により、ある一定の周波数で電圧が発生する。これらの性質を利用して、振動体2Cは、共鳴周波数で振動する電気信号を発生させることができる。
【0088】
なお、本実施形態では、圧電体層222C、232C、242Cの圧電体材料の分極方向または結晶軸の方向が互いに同方向である場合を例に説明したが、これに限定されず、例えば、圧電体層242Cの分極方向または結晶軸の方向を圧電体層222C、232Cと逆方向とし、第1の電極層221C、231C、241C同士(第2の電極層223C、233C、243C同士)が同極性となるように電圧を印加してもよい。
【0089】
ここで、振動腕28Cの振動特性の調整について詳述する。なお、振動腕29C、30Cの振動特性の調整については、振動腕28Cの振動特性の調整と同様であるので、その説明を省略する。
前述したように、圧電体素子22Cでは、第1の電極層221Cにその厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2211Cが形成されているとともに、第2の電極層223Cにその厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2231Cが形成されている。
【0090】
特に、第1の電極層221Cには、部分的に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2211Cが形成されている。また、第2の電極層223Cには、部分的に、その厚さ方向に貫通する微細な複数の孔2231Cが形成されている。
これにより、振動腕28C上における圧電体素子22CのY軸方向での長さL2を長くしても、第1の電極層221Cと第2の電極層223Cとの間に生じる電界(圧電体層222Cに印加される電界)のうち不要な振動モードに寄与する電界の密度を小さくして、振動腕28Cの振動特性を調整することができる。
【0091】
このようなことから、振動体2Cは、不要な振動モードを低減し、効率的に駆動することができる。
そこで、複数の孔2211C、2231Cは、それぞれ、振動腕28Cの延出方向における第1の電極層221Cまたは第2の電極層223Cの途中に偏在している(部分的に形成されている)。
【0092】
これにより、前述した実施形態の振動腕28と同様、高調波(高次振動モード)のCI値と、基本波のCI値との比率を変化させて、振動腕28Cの振動特性を調整することができる。
また、複数の孔2211C、2231Cは、それぞれ、第1の電極層221Cまたは第2の電極層223Cの、振動腕28Cの延出方向(Y軸方向)での中央部に対応する部分に偏在している(部分的に形成されている)。
【0093】
これにより、圧電体素子22CのY軸方向での長さL2を長くしても、振動腕28Cの高次振動モードの励振を大幅に抑えて、振動体2Cの高次振動モードのCI値を高めることができる。すなわち、前述した実施形態の振動腕28と同様、基本波のCI値を低減するとともに、高調波のCI値を高めて、CI値比(高調波CI値/基本波CI値)を高めることができる。
【0094】
また、振動腕28Cの延出方向(Y軸方向)における長さをL1とし、振動腕28C上における圧電体素子22Cの同方向での長さをL2としたときに、0.5<L2/L1<1の関係を満たす。これにより、前述した実施形態の振動腕28と同様、基本波のCI値を低減して、振動腕28Cの励振を効率的なものとすることができる。また、前述した実施形態の振動腕28と同様、このような観点からは、特に、長さL1およびL2は、0.6<L2/L1<0.9の関係を満たすのが好ましく、0.7<L2/L1<0.8の関係を満たすのがより好ましい。
【0095】
また、第1の電極層221Cの単位面積当たりに孔2211Cが占める面積の割合(孔存在割合)、および、第2の電極層223Cの単位面積当たりに孔2231Cが占める面積の割合(孔存在割合)は、それぞれ、振動腕28Cの延出方向(Y軸方向)での中央部から先端側および基端側に向けてそれぞれ漸次減少している。これにより、前述した実施形態の振動腕28と同様、振動腕28Cの励振を円滑かつ効率的なものとしつつ、高調波のCI値を高めて、CI値比(高調波CI値/基本波CI値)を高めることができる。
【0096】
また、本実施形態では、前述したような複数の孔が第1の電極層221Cおよび第2の電極層223Cの双方に形成されているので、第1の電極層221Cまたは第2の電極層223Cのいずれかの電極層のみに複数の孔を形成する場合に比し、1つの電極層当たりの複数の孔の数や面積を減らすことができる。そのため、第1の電極層221Cおよび第2の電極層223Cの機械的強度の低下を防止しつつ、振動腕28Cの振動特性の調整を行うことができる。なお、このような効果を顕著なものとするためには、平面視にて孔2211Cと孔2231Cとができるだけ重ならないようにするのが好ましい。
【0097】
また、第1の電極層221Cおよび第2の電極層223Cはそれぞれ比較的薄いので、複数の孔2211C、2231Cの形成が比較的簡単かつ高精度に行える。また、第1の電極層221Cに複数の孔2211Cを設けても、第1の電極層221Cに孔2211Cの有無により生じる段差は極めて小さく、圧電体層222Cの形成に悪影響を及ぼすこともない。また、第2の電極層223Cは第1の電極層221Cおよび圧電体層222Cよりも後に形成されるので、第2の電極層223Cに複数の孔2231Cを設けても、第1の電極層221Cおよび圧電体層222Cの形成に悪影響を及ぼすこともない。
【0098】
また、本実施形態では、圧電体層222Cには、複数の孔2211C、2231Cのような複数の孔は形成されていない。すなわち、圧電体層222Cは、その輪郭の内側がパターンニングされておらず、密な層として構成されている。これにより、圧電体層222Cの表面を平坦にすることができ、その結果、第2の電極層223Cを均一に形成することができる。また、第1の電極層221Cと第2の電極層223Cとの間に距離を均一化することができる。
【0099】
なお、複数の孔2211C、2231Cのような複数の孔を圧電体層222Cに形成しても、振動腕28Cの振動特性の調整を行うことは可能である。
また、各孔2211C、2231Cは、平面視にてスリット状をなしている。このような平面視形状をなす孔2211C、2231Cは、簡単に高精度な寸法および位置で形成することができ、また、圧電体素子22Cに与える悪影響も少なくすることができる。特に、各孔2211C、2231Cの幅、間隔(ピッチ)、長さ等を変更することにより、振動腕28Cの振動特性を調整することができる。そのため、振動腕28Cを所望の振動特性に比較的簡単に調整することができる。
【0100】
また、スリット状の各孔2211C、2231Cは、振動腕28Cの延在方向(Y軸方向)に直交する幅方向(X軸方向)に延在している。そのため、複数の孔2211C、2231Cの形成が振動腕28Cの振動特性に悪影響を及ぼすのを防止することができる。これにより、振動腕28Cを所望の振動特性に比較的簡単に調整することができる。なお、スリット状の各孔2211C、2231Cは、Y軸方向に延在するように形成してもよい。
【0101】
また、本実施形態では、複数の孔2211C、2231Cは、互いに同じ長さおよび幅となるように形成されている。そのため、孔2211C同士の間隔および孔2231C同士の間隔をそれぞれY軸方向での位置に応じて変化させることにより、前述したような孔存在割合を実現している。
なお、複数の孔2211C、2231Cを互いに異なる長さおよび幅となるように形成してもよい。この場合、孔2211C同士の間隔および孔2231C同士の間隔を一定としても、各孔2211C、2231Cの長さおよび幅をY軸方向での位置に応じて変化させることにより、前述したような孔存在割合を実現することができる。
【0102】
また、スリット状の孔2211C、2231Cの幅は、それぞれ、0.01〜100μmであるのが好ましく、0.1〜10μmであるのがより好ましい。これにより、複数の孔2211C、2231Cの形成を比較的な容易なものとしつつ、振動腕28Cを所望の振動特性に調整することができる。
以上説明したような第4実施形態によれば、前述した第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0103】
〔電子機器〕
以上説明した各実施形態の振動体2,2A,2B,2Cのいずれかを有する振動デバイス1は、各種の電子機器に適用することができ、これらの電子機器は、信頼性の高いものとなる。図15、および図16は、本発明の電子機器の一例としての携帯電話機を示す。図15は、携帯電話機の外観の概略を示す斜視図であり、図16は、携帯電話機の回路構成を説明する回路ブロック図である。この携帯電話機400は、振動体2を有する振動デバイス1(図1)を用いた例で説明し、振動体2の構成、作用については、同一符号を用いるなどして、その説明を省略する。
図15に示すように携帯電話機400は、表示部であるLCD(Liquid Crystal Display)401、数字等の入力部であるキー402、マイクロフォン403、スピーカー411などが設けられている。そして、図16に示すように、携帯電話機400で送信する場合は、使用者が、自己の声をマイクロフォン403に入力すると、信号はパルス幅変調・符号化ブロック404と、変調器/復調器ブロック405とを経て、さらにトランスミッター406、アンテナスイッチ407を介して、アンテナ408から送信されることになる。
【0104】
一方、他人の電話機から送信された信号は、アンテナ408で受信され、アンテナスイッチ407、受信フィルター409を経て、レシーバー410から変調器/復調器ブロック405に入力される。そして、変調又は復調された信号がパルス幅変調・符号化ブロック404を経て、スピーカー411に声として出力されるようになっている。そして、アンテナスイッチ407や変調器/復調器ブロック405等を制御するために、コントローラー412が設けられている。
このコントローラー412は、上述の他に表示部であるLCD401や数字等の入力部であるキー402、更にはRAM413やROM414等も制御するため、高精度であることが求められる。また、携帯電話機400の小型化の要請もあり、このような要請に合致するものとして、上述の振動体2が用いられている。なお、携帯電話機400は、他の構成ブロックとして、温度補償水晶発振器415、レシーバー用シンセサイザー416、トランスミッター用シンセサイザー417などを有しているが、ここでは説明を省略する。
【0105】
また、本発明の振動デバイス1を備える電子機器としては、図17に示すパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)500も挙げられる。パーソナルコンピューター500は、表示部501、入力キー部502などを備えており、その電気的制御の基準クロックとして上述の振動デバイス1が用いられている。
【0106】
このような携帯電話機400やパーソナルコンピューター500に用いられている振動デバイス1において、振動体2が用いられている場合、振動腕28,29上における励振電極群22,23の第1の方向(振動腕の延出方向)での長さを長くしつつ、1対の励振電極間に生じる電界(振動腕に印加される電界)のうち不要な振動モードに寄与する電界の密度を小さくして、振動腕28,29の振動特性を向上させることができる。これにより、振動デバイス1は、不要な振動モードを低減し、効率的に駆動することができ、振動デバイス1を備えた携帯電話機400およびパーソナルコンピューター500は、高い信頼性を図ることができる。なお、振動デバイス1において、振動体2A,2B,2Cが用いられている場合も、携帯電話機400およびパーソナルコンピューター500は、同様な効果を図ることができる。
【0107】
以上説明したような各実施形態の振動デバイス1は、携帯電話機400およびパーソナルコンピューター500以外の各種の電子機器にも適用することができ、得られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
それら電子機器としては、例えば、パーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、携帯電話機、ディジタルスチルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレータ等が挙げられる。
【0108】
以上、本発明の振動デバイス1および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0109】
例えば、前述した実施形態では、振動体2,2A,2B,2Cが2つまたは3つの振動腕を有する場合を例に説明したが、振動腕の数は、1つまたは4つ以上であってもよい。
また、前述した第4実施形態では、圧電体素子22C、23C、24Cの第1の電極層221C、231C、241Cおよび第2の電極層223C、233C、243Cの双方に微細な複数の孔を形成した場合を例に説明したが、第1の電極層221C、231C、241Cまたは第2の電極層223C、233C、243Cのいずれかの電極層のみに微細な複数の孔を形成しても、振動腕28C、29C、30Cの振動特性を調整することができる。
また、本発明の振動デバイス1は、水晶発振器(SPXO)、電圧制御水晶発振器(VCXO)、温度補償水晶発振器(TCXO)、恒温槽付水晶発振器(OCXO)等の圧電発振器の他、ジャイロセンサー等に適用される。
【符号の説明】
【0110】
1‥‥振動デバイス 2‥‥振動体 2A‥‥振動体 2B‥‥振動体 2C‥‥振動体 3‥‥パッケージ 21‥‥振動基板 21C‥‥振動基板 22‥‥励振電極群 22A‥‥励振電極群 22B‥‥励振電極群 22C‥‥圧電体素子 23‥‥励振電極群 23A‥‥励振電極群 23B‥‥励振電極群 23C‥‥圧電体素子 24C‥‥圧電体素子 27‥‥基部 27C‥‥基部 28‥‥振動腕 28C‥‥振動腕 29‥‥振動腕 29C‥‥振動腕 30C‥‥振動腕 31‥‥ベース基板 32‥‥枠部材 33‥‥蓋部材 34a‥‥外部端子 34b‥‥外部端子 34c‥‥外部端子 34d‥‥外部端子 35a‥‥マウント電極 35b‥‥マウント電極 36a‥‥導電性接着剤 36b‥‥導電性接着剤 37‥‥内部空間 41‥‥接続電極 41C‥‥接続電極 42‥‥接続電極 42C‥‥接続電極 50‥‥駆動回路部 221‥‥励振電極 221B‥‥励振電極 221C‥‥第1の電極層 222‥‥励振電極 222B‥‥励振電極 222C‥‥圧電体層 223‥‥励振電極 223A‥‥励振電極 223C‥‥第2の電極層 224‥‥励振電極 224A‥‥励振電極 231‥‥励振電極 231B‥‥励振電極 231C‥‥第1の電極層 232‥‥励振電極 232B‥‥励振電極 232C‥‥圧電体層 233‥‥励振電極 233A‥‥励振電極 233C‥‥第2の電極層 234‥‥励振電極 234A‥‥励振電極 241C‥‥第1の電極層 242C‥‥圧電体層 243C‥‥第2の電極層 251‥‥導体部 252‥‥導体部 2211‥‥孔 2211C‥‥孔 2231C‥‥孔 2311‥‥孔 2311C‥‥孔 2331C‥‥孔 2341‥‥孔 2411C‥‥孔 2431C‥‥孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動体と、前記振動体を駆動する駆動回路部と、を有し、
前記振動体は、
基部と、
前記基部から第1の方向に延出するとともに、該第1の方向に直交する第2の方向に並んで設けられた複数の振動腕と、
前記各振動腕上に設けられ、通電により前記振動腕を励振させる1対の励振電極とを有し、
前記1対の励振電極のうちの少なくとも一方の励振電極には、部分的に、その厚さ方向に貫通する複数の孔が形成されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項2】
前記複数の孔は、前記少なくとも一方の励振電極において前記第1の方向に偏在して形成されている請求項1に記載の振動デバイス。
【請求項3】
前記複数の孔は、前記励振電極の、前記振動腕の前記第1の方向での中央部に偏在している請求項2に記載の振動デバイス。
【請求項4】
前記励振電極の単位面積当たりに前記孔が占める面積の割合は、前記振動腕の前記第1の方向での前記中央部から先端側に向けて漸次減少している請求項3に記載の振動デバイス。
【請求項5】
前記励振電極の単位面積当たりに前記孔が占める面積の割合は、前記振動腕の前記第1の方向での中央部から基端側に向けて漸次減少している請求項3または4に記載の振動デバイス。
【請求項6】
前記振動腕の前記第1の方向における長さをL1とし、前記振動腕上における前記励振電極の前記第1の方向における長さをL2としたときに、0.5<L2/L1<1の関係を満たす請求項1ないし5のいずれかに記載の振動デバイス。
【請求項7】
振動体と、前記振動体を駆動する駆動回路部と、を有し、
前記振動体は、
基部と、
前記基部から第1の方向に延出するとともに、該第1の方向に直交する第2の方向に並んで設けられた複数の振動腕と、
前記各振動腕上に設けられ、通電により伸縮して前記振動腕を振動させる圧電体素子とを有し、
前記圧電体素子は、第1の電極層と、第2の電極層と、前記第1の電極層および前記第2の電極層の間に位置する圧電体層とを備え、
前記第1の電極層、前記圧電体層および前記第2の電極層のうちの少なくとも1つの層には、部分的に、その厚さ方向に貫通する複数の孔が形成されていることを特徴とする振動デバイス。
【請求項8】
前記振動腕は、3つ以上であり、前記圧電素子の伸縮により、前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向に、隣り合う2つの前記振動腕が互いに反対方向に屈曲振動される請求項7に記載の振動デバイス。
【請求項9】
前記各孔は、平面視にて円形をなしている請求項1ないし8のいずれかに記載の振動デバイス。
【請求項10】
前記複数の孔の平均径は、0.01〜100μmである請求項9に記載の振動デバイス。
【請求項11】
前記各孔は、平面視にてスリット状をなしている請求項1ないし8のいずれかに記載の振動デバイス。
【請求項12】
前記スリット状の各孔は、前記第2の方向に延在している請求項11に記載の振動デバイス。
【請求項13】
前記スリット状の孔の幅は、0.01〜100μmである請求項11または12に記載の振動デバイス。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の振動デバイスを備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−142666(P2012−142666A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292042(P2010−292042)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】