説明

振動片、周波数調整方法、振動子、振動デバイス、および電子機器

【課題】周波数調整を簡単かつ高精度に行うことができる振動片、周波数調整方法を提供
すること、また、この振動片を備える信頼性に優れた振動子、振動デバイスおよび電子機
器を提供すること。
【解決手段】本発明の振動片は、基部と、基部からY軸方向に延出するとともに、Y軸方
向に直交するZ軸方向に屈曲振動する振動腕28と、振動腕28上に設けられ、エネルギ
ー線の照射により一部または全部が除去されることにより質量を減少させて、振動腕28
の共振周波数を調整する第1の質量部51および第2の質量部54とを有し、第1の質量
部51は、振動腕28の第1の面281上に設けられ、第2の質量部54は、振動腕28
の第2の面282上に設けられ、第1の質量部51および第2の質量部54は、Z軸方向
から見たときに、互いに重ならない部分を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動片、周波数調整方法、振動子、振動デバイス、および電子機器に関する
ものである。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器等の振動デバイスとしては、複数の振動腕を備える音叉型の振動片を備える
ものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、特許文献1に記載の振動片は、基部と、この基部から互いに平行となるように
延出する3つの振動腕と、各振動腕上に下部電極膜、圧電体膜および上部電極膜がこの順
で成膜されて構成された圧電体素子とを有する。このような振動片において、各圧電体素
子は、下部電極膜と上部電極膜との間に電界が印加されることにより、圧電層を伸縮させ
、振動腕を基部の厚さ方向(いわゆる面外方向)に屈曲振動させる。
【0003】
このような振動片においては、一般に、振動腕の先端部上に金属膜を設け、この金属膜
の一部をレーザー光の照射により除去して、振動腕の屈曲振動の周波数(共振周波数)の
調整が行われる(例えば、特許文献2参照)。
例えば、特許文献2に記載の周波数調整方法では、板状をなす振動腕の両板面上にそれ
ぞれ同じパターンで周波数調整用の金属膜が成膜されている。そして、レーザー光の照射
により、振動腕の一方の板面上の金属膜の一部と他方の板面上の金属膜の一部とを同時に
除去して粗調整を行い、その後、アルゴンイオンビームの照射により、金属腕の一方の板
面上の金属膜の一部をさらに除去して微調整を行う。
【0004】
しかしながら、特許文献2に記載の周波数調整方法では、振動腕の一方の板面上の金属
膜と他方の板面上の金属膜とが互いに同じパターンであるため、レーザー光の照射により
、振動腕の一方の板面上の金属膜と他方の板面上の金属膜とが同時に除去されてしまう。
そのため、レーザー光の照射により、振動腕の一方の板面上の金属膜の一部と他方の板面
上の金属膜の一部とを別々に除去することが難しく、周波数の微調整が難しいという問題
がある。
【0005】
ところで、屈曲振動子の周波数fはf≒t/L(tは振動腕の振動方向の厚み、Lは
振動腕の伸長方向の全長)で与えれ、前述した特許文献1に記載されたような面外方向に
振動腕を屈曲振動させる振動片において小型化を図る場合、振動腕の長さLを短くすると
、Lを小さくした分、振動腕の振動方向(振動腕の厚み方向)の厚さtを薄くする必要が
ある。具体的には振動腕の振動方向の厚さは数μmとかなり薄くなるので、振動腕の一方
側から照射したレーザー光が振動腕の他方の面側に到達しやすい。また、振動腕の厚さが
薄いほど、除去される金属膜の質量(減少する質量)に対する周波数の変化量(上昇量)
が大きくなるため、周波数の微調整が難しくなる。一方、振動腕を基部の厚さ方向を法線
とする面内で屈曲振動させる一般的な振動片においては、振動腕の振動方向の厚さtは振
動腕の幅方向となり、振動腕を薄板化する必要がないので前述のような問題は発生しない
。このようなことから、面外方向に振動腕を屈曲振動させる振動片において上述したよう
な周波数調整方法を用いると、周波数調整時にレーザーが貫通し表裏面の金属膜が削れて
しまい、狙いの周波数よりずれてしまうという問題が顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−5022号公報
【特許文献2】特開2008−160824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、周波数調整を簡単かつ高精度に行うことができる振動片、周波数調整
方法を提供すること、また、この振動片を備える信頼性に優れた振動子、振動デバイスお
よび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本発明の振動片は、第1の方向と該第1の方向に直交する第2の方向とを含む平面上に
形成される基部と、
前記基部から前記第1の方向に延出する振動腕と、を有し、
前記振動腕は、前記平面の法線方向に屈曲振動し、前記屈曲振動により圧縮または伸長
する第1の面と、前記第1の面が圧縮したときに伸長し前記第1の面が伸長したときに圧
縮する第2の面と、を有し、
前記第1の面に第1の質量部が設けられると共に、前記第2の面に第2の質量部が設け
られ、
前記第1の質量部および前記第2の質量部の少なくとも一方は、前記法線方向からの平
面視で、他方に対し非対向な部分を有することを特徴とする。
これにより、例えば、エネルギー線の照射位置に応じて、第1の質量部と第2の質量部
の少なくとも一方を(選択的に)除去することができる。そのため、エネルギー線の照射
による第1の質量部および第2の質量部の除去量を高精度に調整することができる。この
ようなことから、周波数(共振周波数)調整を簡単かつ高精度に行うことができる。
【0009】
[適用例2]
本発明の振動片では、前記第1の質量部および前記第2の質量部は、前記法線方向から
の平面視で前記第2の方向に互いに隣り合って形成された部分を有することが好ましい。
これにより、第1の質量部および第2の質量部の第1の方向(振動腕の長手方向)にお
ける範囲を一致または重複させることができる。そのため、第1の質量部および第2の質
量部が振動腕の長手方向(第1の方向)に占める長さを抑えることができる。
【0010】
[適用例3]
本発明の振動片では、前記第1の質量部および前記第2の質量部の少なくとも一方は、
帯状に形成されたことが好ましい。
これにより、例えば、エネルギー線を第1の質量部または第2の質量部に対し一列に連
続的に照射することが可能になり、第1の質量部または第2の質量部を一括して除去する
ことができる。そのため、第1の質量部または第2の質量部を所望量だけ迅速に除去する
ことができる。その結果、周波数調整がより簡単かつ高精度なものとなる。
【0011】
[適用例4]
本発明の振動片では、前記第1の質量部および前記第2の質量部の少なくとも一方は、
間隔を隔てて設けられた複数のブロック部を有することが好ましい。
これにより、第1の質量部または第2の質量部に形成されたブロック部の除去量に対す
る振動腕の周波数の変化量を予測するのが容易となる。その結果、周波数調整がより簡単
かつ高精度なものとなる。
【0012】
[適用例5]
本発明の振動片では、前記第1の質量部および前記第2の質量部は、帯状に形成され、
且つ、前記法線方向からの平面視で互いに交差する部分を有することが好ましい。
これにより、第1の質量部および第2の質量部を振動腕に形成する際に、第1の方向お
よび第2の方向での位置決めに高精度を要することなく、第1の方向および第2の方向を
含む平面の法線方向から見たときに、第1の質量部および第2の質量部が互いに重ならな
い部分を有するものとなる。
【0013】
[適用例6]
本発明の振動片では、前記第2の質量部は、前記第1の質量部の構成材料よりも比重の
小さい材料で構成されたことが好ましい。
これにより、第1の質量部の除去量に対する振動腕の周波数(共振周波数)の変化量を
、第2の質量部の除去量に対する振動腕の周波数(共振周波数)の変化量よりも大きくす
ることができる。そのため、第1の質量部を粗調整用、第2の質量部を微調整用として用
いることにより、周波数調整がより簡単かつ高精度なものとなる。
【0014】
[適用例7]
本発明の振動片では、前記第1の質量部および前記第2の質量部の少なくとも一方は、
SiO、Al、Al、TiO、Cr、Fe、Ni、Cu、Ag、Au、および
Ptのいずれかを用いて構成されたことが好ましい。
金属もしくは絶縁材料(例えばセラミックス)は、気相成膜法により簡単かつ高精度に
成膜することができる。また、金属もしくは絶縁材料で構成された膜(錘膜)は、エネル
ギー線(特にレーザー)の照射により簡単かつ高精度に除去することができる。このよう
なことから、第1の質量部および第2の質量部をそれぞれ金属もしくは絶縁材料を成膜す
ることにより形成することで、周波数調整がより簡単かつ高精度なものとなる。
【0015】
[適用例8]
本発明の振動片では、前記第1の質量部の厚さは、前記第2の質量部の厚さよりも厚い
ことが好ましい。
これにより、第1の質量部の除去量に対する振動腕の周波数(共振周波数)の変化量を
、第2の質量部の除去量に対する振動腕の周波数(共振周波数)の変化量よりも大きくす
ることができる。そのため、第1の質量部を粗調整用、第2の質量部を微調整用として用
いることにより、周波数調整がより簡単かつ高精度なものとなる。
【0016】
[適用例9]
本発明の振動片では、前記第1の質量部および前記第2の質量部は、前記振動腕の先端
付近に設けられたことが好ましい。
これにより、第1の質量部および第2の質量部の除去量に対する振動腕の周波数(共振
周波数)の変化量を大きくすることができる。そのため、周波数調整を効率的に行うこと
ができる。また、励振電極や圧電体素子は振動腕の基端部から中央付近まで形成し、振動
腕の先端付近の空いたスペースを使って、第1の質量部および第2の質量部の設置に有効
利用することができる。そのため、振動腕の短尺化、ひいては、振動片の小型化を図るこ
とができる。
【0017】
[適用例10]
本発明の振動片では、前記振動腕には、第1の電極層と第2の電極層との間に配置され
た圧電体層が形成されたことが好ましい。
これにより、振動腕自体が圧電性を有していなかったり、振動腕が圧電性を有していて
も、その分極軸や結晶軸の方向が所定方向での屈曲振動に適していなかったりする場合で
も、振動腕を所定方向に効率的に屈曲振動させることができる。また、振動腕の圧電性の
有無、分極軸や結晶軸の方向を問わないので、振動腕を構成する材料の選択の幅が拡がり
、その結果、振動腕の寸法精度を簡単に高精度なものとすることができる。その結果、振
動腕の振動特性を良好なものとすることができる。
【0018】
[適用例11]
本発明の振動片では、前記振動腕は、前記第2の方向に複数並んで設けられ、隣り合う
2つの前記振動腕が互いに反対方向に屈曲振動することが好ましい。
これにより、互いに隣り合う2つの振動腕の漏れ振動を互いに相殺させることができる
。その結果、振動漏れの少ない振動片を実現することができる。
【0019】
[適用例12]
本発明の周波数調整方法は、本発明の振動片を用意する工程と、
前記第1の質量部および前記第2の質量部の少なくとも一方の質量を増減させて、前記
振動腕の共振周波数を調整する工程と、を有することを特徴とする。
これにより、例えば、エネルギー線の照射位置に応じて、第1の質量部と第2の質量部
とを別々に(選択的に)除去することができる。そのため、周波数(共振周波数)調整を
簡単かつ高精度に行うことができる。
[適用例13]
本発明の振動子は、本発明の振動片と、
前記振動片を収納したパッケージと、を備えたことを特徴とする。
これにより、信頼性に優れた振動子を提供することができる。
【0020】
[適用例14]
本発明の振動デバイスは、本発明の振動片と、
前記振動片に接続された発振回路と、を備えたことを特徴とする。
これにより、信頼性に優れた発振器等の振動デバイスを提供することができる。
[適用例15]
本発明の電子機器は、本発明の振動片を備えたことを特徴とする。
これにより、信頼性に優れた携帯電話、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等の
電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る振動子を示す断面図である。
【図2】図1に示す振動子を示す上面図である。
【図3】図1に示す振動子に備えられた振動片を示す下面図である。
【図4】(a)は、図2中のA−A線断面図、(b)は、図2中のB−B線断面図である。
【図5】図4(a)に示す第1の質量部および第2の質量部を説明するための部分拡大図((a)は、上面図、(b)は、(a)中のC−C線断面図)である。
【図6】図2に示す振動片の動作を説明するための斜視図である。
【図7】図6に示す振動片の周波数の調整方法を説明するための図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る第1の質量部および第2の質量部を説明するための部分拡大図((a)は、上面図、(b)は、(a)中のD−D線断面図)である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る第1の質量部および第2の質量部を説明するための部分拡大図((a)は、上面図、(b)は、(a)中のE−E線断面図)である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る第1の質量部および第2の質量部を説明するための部分拡大図((a)は、上面図、(b)は、(a)中のF−F線断面図)である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る第1の質量部および第2の質量部を説明するための部分拡大図((a)は、上面図、(b)は、(a)中のG−G線断面図、(c)は、(a)中のH−H線断面図)である。
【図12】本発明の振動片を備える電子機器(ノート型パーソナルコンピュータ)である。
【図13】本発明の振動片を備える電子機器(携帯電話機)である。
【図14】本発明の振動片を備える電子機器(ディジタルスチルカメラ)である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の振動片、周波数調整方法、振動子、振動デバイスおよび電子機器を添付
図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る振動子を示す断面図、図2は、図1に示す振動子
を示す上面図、図3は、図1に示す振動子に備えられた振動片を示す下面図、図4は、(
a)は、図2中のA−A線断面図、(b)は、図2中のB−B線断面図、図5は、図4(
a)に示す第1の質量部および第2の質量部を説明するための部分拡大図((a)は、上
面図、(b)は、(a)中のC−C線断面図)、図6は、図2に示す振動片の動作を説明
するための斜視図、図7は、図6に示す振動片の周波数の調整方法を説明するための図で
ある。なお、各図では、説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸およ
びZ軸を図示している。また、以下では、Y軸に平行な方向(第1の方向)をY軸方向、
X軸に平行な方向(第2の方向)を「X軸方向」、Z軸に平行な方向(第1の方向と第2
の方向とを含む平面の法線方向)をZ軸方向と言う。また、以下の説明では、説明の便宜
上、図1中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
図1に示す振動子1は、振動片2と、この振動片2を収納するパッケージ3とを有する

以下、振動子1を構成する各部を順次詳細に説明する。
【0023】
(振動片)
まず、振動片2について説明する。
振動片2は、図2に示すような3脚音叉型の振動片である。この振動片2は、振動基板
21と、この振動基板21上に設けられた圧電体素子22、23、24および接続電極4
1、42と、第1の質量部51、52、53および第2の質量部54、55、56とを有
している。
振動基板21は、基部27と、3つの振動腕28、29、30とを有している。
振動基板21の構成材料としては、所望の振動特性を発揮することができるものであれ
ば、特に限定されず、各種圧電体材料および各種非圧電体材料を用いることができる。
【0024】
例えば、かかる圧電体材料としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、
ホウ酸リチウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。特に、振動基板21を構成する圧電
体材料としては水晶(Xカット板、ATカット板、Zカット板等)が好ましい。水晶で振
動基板21を構成すると(すなわち基部27および振動腕28、29、30を水晶で構成
すると)、振動基板21の振動特性(特に周波数温度特性)を優れたものとすることがで
きる。また、エッチングにより高い寸法精度で振動基板21を形成することができる。
【0025】
また、かかる非圧電体材料としては、例えば、シリコン、石英等が挙げられる。特に、
振動基板21を構成する非圧電体材料としてはシリコンが好ましい。シリコンで振動基板
21を構成すると、振動基板21の振動特性を優れたものを比較的安価に実現することが
できる。また、基部27に集積回路を形成するなどして、振動片2と他の回路素子との一
体化も容易である。また、エッチングにより高い寸法精度で振動基板21を形成すること
ができる。
このような振動基板21において、基部27は、Z軸方向を厚さ方向とする略板状をな
している。また、図1および図3に示すように、基部27は、薄肉に形成された薄肉部2
71と、この薄肉部271よりも厚肉に形成された厚肉部272とを有し、これらがY軸
方向に並んで設けられている。
【0026】
また、薄肉部271は、後述する各振動腕28、29、30と等しい厚さとなるように
形成されている。したがって、厚肉部272は、そのZ軸方向での厚さが各振動腕28、
29、30のZ軸方向での厚さよりも大きい部分である。
【0027】
このような薄肉部271および厚肉部272を形成することにより、振動腕28、29
、30の厚さを薄くして振動腕28、29、30の振動特性を向上させるとともに、振動
片2を製造する際のハンドリング性を優れたものとすることができる。
そして、基部27の薄肉部271の厚肉部272とは反対側には、3つの振動腕28、
29、30が接続されている。
【0028】
振動腕28、29は、基部27(薄肉部271)のX軸方向での両端部に接続され、振
動腕30は、基部27(薄肉部271)のX軸方向での中央部に接続されている。
3つの振動腕28、29、30は、互いに平行となるように基部27からそれぞれ延出
して設けられている。より具体的には、3つの振動腕28、29、30は、基部27から
それぞれY軸方向(Y軸の矢印方向)に延出するとともに、X軸方向に並んで設けられて
いる。
この振動腕28、29、30は、それぞれ、長手形状をなし、その基部27側の端部(
基端部)が固定端となり、基部27と反対側の端部(先端部)が自由端となる。
【0029】
また、各振動腕28、29、30は、長手方向での全域に亘って幅が一定となっている
。なお、各振動腕28、29、30は、幅の異なる部分を有していてもよい。
また、振動腕28、29、30は、互いに同じ長さとなるように形成されている。なお
、振動腕28、29、30の長さは、各振動腕28、29、30の幅、厚さ等に応じて設
定されるものであり、互いに異なっていてもよい。
なお、振動腕28、29、30の各先端部には、必要に応じて、基端部よりも横断面積
が大きい質量部(ハンマーヘッド)を設けてもよい。この場合、振動片2をより小型なも
のとしたり、振動腕28、29、30の屈曲振動の周波数をより低めたりすることができ
る。
【0030】
図4(a)に示すように、このような振動腕28の上面281上には、第1の質量部5
1が設けられ、また、振動腕28の下面282上には、第2の質量部54が設けられてい
る。この第1の質量部51および第2の質量部54は、それぞれ、例えば、エネルギー線
の照射により一部または全部が除去されることにより質量を減少させて、振動腕28の共
振周波数を調整するためのものである。同様に、振動腕29の上面291上には、第1の
質量部52が設けられ、また、振動腕29の下面292上には、第2の質量部55が設け
られている。また、振動腕30の上面301上には、第1の質量部53が設けられ、また
、振動腕30の下面302上には、第2の質量部56が設けられている。
【0031】
なお、第1の質量部51、52、53および第2の質量部54、55、56については
、後に詳述する。
また、図4(b)に示すように、このような振動腕28上には、圧電体素子22が設け
られ、また、振動腕29上には、圧電体素子23が設けられ、さらに、振動腕30上には
、圧電体素子24が設けられている。これにより、振動腕28、29、30自体が圧電性
を有していなかったり、振動腕28、29、30が圧電性を有していても、その分極軸や
結晶軸の方向がZ軸方向での屈曲振動に適していなかったりする場合でも、比較的簡単か
つ効率的に、各振動腕28、29、30をZ軸方向に屈曲振動させることができる。また
、振動腕28、29、30の圧電性の有無、分極軸や結晶軸の方向を問わないので、各振
動腕28、29、30の材料の選択の幅が広がる。そのため、所望の振動特性を有する振
動片2を比較的簡単に実現することができる。
【0032】
圧電体素子22は、通電により伸縮して振動腕28をZ軸方向に屈曲振動させる機能を
有する。また、圧電体素子23は、通電により伸縮して振動腕29をZ軸方向に屈曲振動
させる機能を有する。また、圧電体素子24は、通電により伸縮して振動腕30をZ軸方
向に屈曲振動させる機能を有する。
このような圧電体素子22は、図4(b)に示すように、振動腕28上に、第1の電極
層221、圧電体層(圧電薄膜)222、第2の電極層223がこの順で積層されて構成
されている。
同様に、圧電体素子23は、振動腕29上に、第1の電極層231、圧電体層(圧電薄
膜)232、第2の電極層233がこの順で積層されて構成されている。また、圧電体素
子24は、振動腕30上に、第1の電極層241、圧電体層(圧電薄膜)242、第2の
電極層243がこの順で積層されて構成されている。
【0033】
以下、圧電体素子22を構成する各層を順次詳細に説明する。なお、圧電体素子23、
24の各層の構成については、圧電体素子22と同様であるため、その説明を省略する。
[第1の電極層]
第1の電極層221は、基部27上から振動腕28上にその延出方向(Y軸方向)に沿
って設けられている。
【0034】
本実施形態では、振動腕28上において、第1の電極層221の長さは、振動腕28の
長さよりも短くなっている。
また、本実施形態では、第1の電極層221の長さは、振動腕28の長さの2/3程度
に設定されている。なお、第1の電極層221の長さは、振動腕28の長さの1/3〜1
程度に設定することができる。
【0035】
このような第1の電極層221は、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム
(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(
Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタ
ン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料によ
り形成することができる。
【0036】
中でも、第1の電極層221の構成材料としては、金を主材料とする金属(金、金合金
)、白金を用いるのが好ましく、金を主材料とする金属(特に金)を用いるのがより好ま
しい。
Auは、導電性に優れ(電気抵抗が小さく)、酸化に対する耐性に優れているため、電
極材料として好適である。また、AuはPtに比しエッチングにより容易にパターニング
することができる。さらに、第1の電極層221を金または金合金で構成することにより
、圧電体層222の配向性を高めることもできる。
【0037】
また、第1の電極層221の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜300n
m程度であるのが好ましく、10〜200nmであるのがより好ましい。これにより、第
1の電極層221が圧電体素子22の駆動特性や振動腕28の振動特性に悪影響を与える
のを防止しつつ、前述したような第1の電極層221の導電性を優れたものとすることが
できる。
【0038】
なお、例えば第1の電極層221を金で構成し、振動基板21を水晶で構成した場合、
これらの密着性が低い。そのため、このような場合、第1の電極層221と振動基板21
との間には、Ti、Cr等で構成された下地層を設けるのが好ましい。これにより、下地
層と振動腕28との密着性、および、下地層と第1の電極層221との密着性をそれぞれ
優れたものとすることができる。その結果、第1の電極層221が振動腕から剥離するの
を防止し、振動片2の信頼性を優れたものとすることができる。
この下地層の平均厚さは、下地層が圧電体素子22の駆動特性や振動腕28の振動特性
に悪影響を与えるのを防止しつつ、前述したような密着性を高める効果を発揮することが
できれば、特に限定されないが、例えば、1〜300nm程度であるのが好ましい。
【0039】
[圧電体層]
圧電体層222は、第1の電極層221上に振動腕28の延出方向(Y軸方向)に沿っ
て設けられている。
また、振動腕28の延出方向(Y軸方向)における圧電体層222の長さは、同方向(
Y軸方向)における第1の電極層221の長さに略等しい。
【0040】
これにより、圧電体層222のY軸方向の全域に亘って前述したように第1の電極層2
21の表面状態により圧電体層222の配向性を高めることができる。そのため、振動腕
28の長手方向(Y軸方向)において圧電体層222を均質化することができる。
また、圧電体層222の基部27側の端部(すなわち圧電体層222の基端部)は、振
動腕28と基部27との境界部を跨ぐように設けられている。これにより、圧電体素子2
2の駆動力を振動腕28に効率的に伝達させることができる。また、振動腕28と基部2
7との境界部における剛性の急激な変化を緩和することができる。そのため、振動片2の
Q値を高めることができる。
【0041】
このような圧電体層222の構成材料(圧電体材料)としては、例えば、酸化亜鉛(Z
nO)、窒化アルミニウム(AlN)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、ニオブ酸
リチウム(LiNbO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、四ホウ酸リチウム(Li
)、チタン酸バリウム(BaTiO)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等
が挙げられるが、AIN、ZnOを用いるのが好ましい。
【0042】
中でも、圧電体層222の構成材料としては、ZnO、AlNを用いるのが好ましい。
ZnO(酸化亜鉛)や窒化アルミニウム(AlN)は、c軸配向性に優れている。そのた
め、圧電体層222をZnOを主材料として構成することにより、振動片2のCI値を低
減することができる。また、これらの材料は、反応性スパッタリング法により成膜するこ
とができる。
また、圧電体層222の平均厚さは、50〜3000[nm]であるのが好ましく、2
00〜2000[nm]であるのがより好ましい。これにより、圧電体層222が振動腕
28の振動特性に悪影響を与えるのを防止しつつ、圧電体素子22の駆動特性を優れたも
のとすることができる。
【0043】
[第2の電極層]
第2の電極層223は、圧電体層222上に振動腕28の延出方向(Y軸方向)に沿っ
て設けられている。
また、振動腕28の延出方向(Y軸方向)における第2の電極層223の長さは、圧電
体層222の長さに略等しい。これにより、第2の電極層223と前述した第1の電極層
221との間に生じる電界により、振動腕28の延出方向(Y軸方向)において圧電体層
222の全域を伸縮させることができる。そのため、振動効率を高めることができる。
【0044】
このような第2の電極層223は、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム
(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(
Cu)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタ
ン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等の金属材料によ
り形成することができる。特に、第2の電極層223の構成材料は、第1の電極層221
と同様、金を主材料とする金属(金、金合金)、白金を用いるのが好ましく、金を主材料
とする金属(特に金)を用いるのがより好ましい。
【0045】
また、第2の電極層223の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜300n
m程度であるのが好ましく、10〜200nmであるのがより好ましい。これにより、第
2の電極層223が圧電体素子22の駆動特性や振動腕28の振動特性に悪影響を与える
のを防止しつつ、第2の電極層223の導電性を優れたものとすることができる。
なお、圧電体層222と第2の電極層223との間には、必要に応じて、SiO(酸
化ケイ素)、AlN(窒化アルミ)等の絶縁体層を設けてもよい。この絶縁体層は、圧電
体層222を保護するとともに、第1の電極層221と第2の電極層223との間の短絡
を防止する機能を有する。また、この絶縁体層は、圧電体層222の上面のみを覆うよう
に形成してもよいし、圧電体層222の上面および圧電体層222の側面(第1の電極層
221に接する面以外の面)も覆うように形成してもよい。
【0046】
この絶縁体層の平均厚さは、特に限定されないが、50〜500nmであるのが好まし
い。かかる厚さが前記下限値未満であると、前述したような短絡を防止する効果が小さく
なる傾向となり、一方、かかる厚さが前記上限値を超えると、圧電体素子22の特性に悪
影響を与えるおそれがある。
このような圧電体素子22においては、第1の電極層221と第2の電極層223との
間に電圧が印加されると、圧電体層222にZ軸方向の電界が生じる。この電界により、
圧電体層222は、Y軸方向に伸張または収縮し、振動腕28をZ軸方向に屈曲振動させ
る。
【0047】
同様に、圧電体素子23においては、第1の電極層231と第2の電極層233との間
に電圧が印加されると、圧電体層232は、Y軸方向に伸張または収縮し、振動腕29を
Z軸方向に屈曲振動させる。また、圧電体素子24においては、第1の電極層241と第
2の電極層243との間に電圧が印加されると、圧電体層242は、Y軸方向に伸張また
は収縮し、振動腕30をZ軸方向に屈曲振動させる。
【0048】
このような圧電体素子22、23、24において、前述した第1の電極層221、23
1は、図示しない貫通電極および配線からなる導通部を介して、第2の電極層243に電
気的に接続されている。そして、第2の電極層243は、図2に示すように、基部27の
上面に設けられた接続電極41に電気的に接続されている。これにより、第1の電極層2
21、231および第2の電極層243は、それぞれ、接続電極41に電気的に接続され
ている。
【0049】
また、第1の電極層241は、図示しない貫通電極および配線からなる導通部を介して
、第2の電極層223、233に電気的に接続されている。そして、第2の電極層223
、233は、図2に示すように、配線43を介して、基部27の上面に設けられた接続電
極42に電気的に接続されている。これにより、第1の電極層241および第2の電極層
223、233は、接続電極42に電気的に接続されている。
【0050】
また、接続電極41、42および配線43等は、金(Au)、金合金、白金(Pt)、
アルミニウム(Al)、アルミニウム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロ
ム合金、銅(Cu)、モリブデンン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄
(Fe)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等
の金属材料により形成することができる。また、これらは、第1の電極層221、231
、241または第2の電極層223、233、243と同時に一括形成することができる

【0051】
このような構成の振動片2においては、接続電極41と接続電極42との間に電圧(各
振動腕28、29、30を振動させるための電圧)が印加されると、第1の電極層221
、231および第2の電極層243と、第1の電極層241および第2の電極層223、
233とが逆極性となるようにして、前述した圧電体層222、232、242にそれぞ
れZ軸方向の電圧が印加される。これにより、圧電体材料の逆圧電効果により、ある一定
の周波数(共鳴周波数)で各振動腕28、29、30を屈曲振動させることができる。こ
のとき、図5に示すように、振動腕28、29は、互いに同方向に屈曲振動し、振動腕3
0は、振動腕28、29とは反対方向に屈曲振動する。
【0052】
このように、隣り合う2つの振動腕を互いに反対方向に屈曲振動させることにより、隣
り合う2つの振動腕28、30および29、30により生じる漏れ振動を互いに相殺する
ことができる。その結果、振動漏れを防止することができる。
また、各振動腕28、29、30が屈曲振動すると、接続電極41、42間には、圧電
体材料の圧電効果により、ある一定の周波数で電圧が発生する。これらの性質を利用して
、振動片2は、共鳴周波数で振動する電気信号を発生させることができる。
【0053】
(第1の質量部および第2の質量部)
ここで、振動腕28上に設けられた第1の質量部51および第2の質量部54について
詳述する。なお、振動腕29上に設けられた第1の質量部52および第2の質量部55、
および、振動腕30上に設けられた第1の質量部53および第2の質量部56は、第1の
質量部51および第2の質量部54と同様であるため、その説明を省略する。
【0054】
前述したように、第1の質量部51は、振動腕28の上面281上に設けられ、第2の
質量部54は、振動腕28の下面282上に設けられている。ここで、振動腕28の上面
281および下面282は、Z軸方向(すなわち振動腕28の屈曲振動する方向)を法線
とする面であって、互いに対向している。本実施形態では、振動腕28は、板状をなして
おり、その1対の板面が上面281(第1の面)および下面282(第2の面)を構成し
ている。また、上面281は、振動腕28のZ軸方向での屈曲振動により圧縮または伸長
し、下面282は、上面281が圧縮したときに伸長し上面281が伸長したときに圧縮
する。
【0055】
特に、第1の質量部51および第2の質量部54は、Z軸方向から見たときに(すなわ
ち平面視したときに)、互いに重ならない部分を有する。即ち、第1の面(上面281)
に第1の質量部51が設けられると共に、第2の面(下面282)に第2の質量部54が
設けられ、第1の質量部51および第2の質量部54は、上面281または下面282の
法線方向(すなわちZ軸方向)から平面視で見たときに、互いに非対向な部分を有すると
も言える。
これにより、例えば、エネルギー線の照射位置に応じて、第1の質量部51と第2の質
量部54とを別々に(選択的に)除去することができる。そのため、第1の質量部51お
よび第2の質量部54の除去量を高精度に調整することができる。このようなことから、
周波数(共振周波数)調整を簡単かつ高精度に行うことができる。
【0056】
より具体的に説明すると、第1の質量部51は、質量部511と、質量部511よりも
振動腕28の基端側に並んで設けられた質量部512とで構成されている。
この質量部511および質量部512は、それぞれ、振動腕28の上面281上におい
て、X軸方向での中央部に設けられている。
本実施形態では、質量部511、512は、それぞれ、Y軸方向を長手とする帯状(長
方形)をなしている。また、質量部511、512は、互いに幅が同じになっている。ま
た、質量部511のY軸方向での長さは、質量部512のY軸方向での長さよりも長くな
っている。
また、質量部511と質量部512とはY軸方向に互いに離間している。この離間距離
は、特に限定されないが、後述する周波数調整に用いるエネルギー線の照射領域(特にレ
ーザー光のスポット径)の1/2以上(特に1以上)であるのが好ましい。
【0057】
一方、第2の質量部54は、質量部541、542と、質量部541、542よりも振
動腕28の基端側に並んで設けられた質量部543、544とで構成されている。
この質量部541および質量部543は、それぞれ、振動腕28の上面281上におい
て、X軸方向での一端部(図5中左側の端部)に設けられ、一方、質量部542および質
量部544は、それぞれ、振動腕28の上面281上において、X軸方向での他端部(図
5中右側の端部)に設けられている。
【0058】
本実施形態では、質量部541、542、543、544は、それぞれ、Y軸方向を長
手とする帯状(長方形)をなしている。また、質量部541、542、543、544は
、互いに幅が同じになっている。また、質量部541、542のY軸方向での長さは、前
述した第1の質量部51の質量部511のY軸方向での長さと等しくなっている。また、
質量部543、544のY軸方向での長さは、前述した第1の質量部51の質量部512
のY軸方向での長さと等しくなっている。
【0059】
また、質量部541と質量部543とはY軸方向に互いに離間している。また、質量部
542と質量部544とはY軸方向に互いに離間している。これらの離間距離は、それぞ
れ、特に限定されないが、後述する周波数調整に用いるエネルギー線の照射領域(特にレ
ーザー光のスポット径)の1/2以上(特に1以上)であるのが好ましい。
また、質量部541と質量部542は、X軸方向に離間している。また、質量部543
と質量部544は、X軸方向に離間している。これらの離間距離は、それぞれ、前述した
第1の質量部51の質量部511、512のX軸方向での長さよりも長くなっている。
【0060】
このような第1の質量部51および第2の質量部54は、Z軸方向から見たときに、X
軸方向に重ならないように設けられている。即ち、第1の質量部51および第2の質量部
54は、Z軸方向(上面281または下面282の法線方向)から平面視で見たときに、
X軸方向(第2の方向)に互いに隣り合って形成された部分を有するとも言える。これに
より、第1の質量部51および第2の質量部54のY軸方向における範囲を一致または重
複させることができる。そのため、第1の質量部51および第2の質量部54が振動腕2
8の長手方向(Y軸方向)に占める長さを抑えることができる。なお、第1の質量部51
および第2の質量部54は、Z軸方向から見たときに第1の質量部51および第2の質量
部54の境界付近において、質量部の一部(例えば質量部の縁部同士)が重なっても良い

【0061】
また、Z軸方向から見たときに、第1の質量部51の質量部511、512と第2の質
量部54の質量部541、543とは、X軸方向に間隔を隔てて設けられ、同様に、第1
の質量部51の質量部511、512と第2の質量部54の質量部542、544とは、
X軸方向に間隔を隔てて設けられている。これにより、後述するようにエネルギー線を照
射したときに、各質量部毎に除去することができる。ここで、これらの間隔は、それぞれ
、後述する周波数調整に用いるエネルギー線の照射領域(特にレーザー光のスポット径)
の1/2以上(特に1以上)であるのが好ましい。
【0062】
また、第1の質量部51および第2の質量部54は、それぞれ、振動腕28の先端部側
(先端付近)に設けられている。これにより、第1の質量部51および第2の質量部54
の除去量に対する振動腕28の周波数(共振周波数)の変化量を大きくすることができる
。そのため、周波数調整を効率的に行うことができる。また、振動腕28の先端部は、前
述したような圧電体素子22が設けられていないため、第1の質量部51および第2の質
量部54の設置に有効利用することができる。そのため、振動腕28の短尺化、ひいては
、振動片2の小型化を図ることができる。
【0063】
また、第1の質量部51および第2の質量部54は、互いにY軸方向における範囲が一
致している。これにより、振動腕28の短尺化、ひいては、振動片2の小型化を図ること
ができる。
このような第1の質量部51および第2の質量部54の構成材料としては、それぞれ、
特に限定されず、振動腕28上に成膜可能なものであれば、特に限定されず、樹脂材料、
金属材料、セラミックス材料等を用いることができる。また、第1の質量部51および第
2の質量部54の構成材料として、前述した圧電体層222の構成材料と同様のものを用
いることもできる。
【0064】
特に、このような第1の質量部51および第2の質量部54の構成材料としては、金属
材料またはセラミックス材料が好ましい。すなわち、第1の質量部51および第2の質量
部54は、それぞれ、金属またはセラミックスを成膜することにより形成されているのが
好ましい。
金属またはセラミックス(絶縁材料)は、気相成膜法により簡単かつ高精度に成膜する
ことができる。また、金属またはセラミックスで構成された膜(錘膜)は、エネルギー線
(特にレーザー)の照射により簡単かつ高精度に除去することができる。このようなこと
から、第1の質量部51および第2の質量部54をそれぞれ金属またはセラミックスを成
膜することにより形成することで、周波数調整がより簡単かつ高精度なものとなる。
【0065】
かかる金属材料としては、前述した第1の電極層221および第2の電極層223の構
成材料と同様、金(Au)、金合金、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、アルミニウ
ム合金、銀(Ag)、銀合金、クロム(Cr)、クロム合金、銅(Cu)、モリブデンン
(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、コバル
ト(Co)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)等挙げられ、これらのうち1種または
2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、かかる金属材料としては、Al、
Cr、Fe、Ni、Cu、Ag、Au、Ptまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む
合金を用いるのが好ましい。
【0066】
また、第1の質量部51および第2の質量部54の構成材料に用いるセラミックスとし
ては、各種ガラス、アルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(酸化シリコン)、チタニア
(酸化チタン)、ジルコニア、イットリア、リン酸カルシウム等の酸化物セラミックス、
窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン、窒化ボロン等の窒化物セラミックス、グラファイト
、タングステンカーバイト等の炭化物系セラミックス、その他、例えばチタン酸バリウム
、チタン酸ストロンチウム、PZT、PLZT、PLLZT等の強誘電体材料などが挙げ
られる。中でも、かかるセラミックスとしては、酸化シリコン(SiO)、酸化チタン
(TiO)、酸化アルミニウム(Al)等の絶縁材料を用いるのが好ましい。
【0067】
また、第1の質量部51の構成材料と第2の質量部54の構成材料は、互いに異なるも
のを用いるのが好ましい。これにより、第1の質量部51の構成材料の比重と第2の質量
部54の構成材料の比重とを異ならせることができる。その結果、第1の質量部51の除
去量に対する振動腕28の周波数(共振周波数)の変化量と、第2の質量部54の除去量
に対する振動腕28の周波数(共振周波数)の変化量とを異ならせることができる。その
ため、第1の質量部51および第2の質量部54の一方の質量部を粗調整用、他方の質量
部を微調整用として用いることにより、周波数調整がより簡単かつ高精度なものとなる。
【0068】
また、第1の質量部51は、第2の質量部54の構成材料よりも比重の大きい材料で構
成されているのが好ましい。言い換えると、第2の質量部54は、第1の質量部51の構
成材料よりも比重の小さい材料で構成されているのが好ましい。より具体的には、第1の
質量部51および第2の質量部54をそれぞれ金属材料で構成する場合、第1の質量部5
1をAu、Pt、Agまたはこれらの合金等で構成し、第2の質量部54をAl、Al合
金等で構成するのが好ましい。
【0069】
これにより、第1の質量部51の除去量に対する振動腕28の周波数(共振周波数)の
変化量(上昇量)を、第2の質量部54の除去量に対する振動腕28の周波数(共振周波
数)の変化量(上昇量)よりも大きくすることができる。そのため、第1の質量部51を
粗調整用、第2の質量部54を微調整用として用いることにより、周波数調整がより簡単
かつ高精度なものとなる。
【0070】
また、本実施形態では、第2の質量部54は、振動腕28のX軸方向での両端部に位置
しているので、第2の質量部54を微調整用として用いることにより、振動腕28の振動
特性がX軸方向の両端部でアンバランスになるのを防止することができる。
また、上述した比重と同様の観点から、第1の質量部51の密度は、第2の質量部54
の密度よりも大きいのが好ましい。言い換えると、第2の質量部54の密度は、第1の質
量部51の密度よりも小さいのが好ましい。例えば、第2の質量部54を多孔質体で構成
することにより、第1の質量部51および第2の質量部54が互いに同じ構成材料を用い
ていても、第2の質量部54の密度を第1の質量部51の密度よりも小さくすることがで
きる。
【0071】
また、第1の質量部51の厚さ(平均厚さ)は、第2の質量部54の厚さ(平均厚さ)
よりも厚いのが好ましい。言い換えると、第2の質量部54の厚さ(平均厚さ)は、第1
の質量部51の厚さ(平均厚さ)よりも薄いのが好ましい。
これにより、第1の質量部51の除去量に対する振動腕28の周波数(共振周波数)の
変化量(上昇量)を、第2の質量部54の除去量に対する振動腕28の周波数(共振周波
数)の変化量(上昇量)よりも大きくすることができる。そのため、第1の質量部51を
粗調整用、第2の質量部54を微調整用として用いることにより、周波数調整がより簡単
かつ高精度なものとなる。
【0072】
また、本実施形態では、第2の質量部54は、振動腕28のX軸方向での両端部に位置
しているので、第2の質量部54を微調整用として用いることにより、振動腕28の振動
特性がX軸方向の両端部でアンバランスになるのを防止することができる。
また、第1の質量部51の厚さ(平均厚さ)は、第2の質量部54の厚さ(平均厚さ)
の1倍以上10倍以下であるのが好ましく、1倍以上8倍以下であるのがより好ましい。
また、第1の質量部51および第2の質量部54の厚さ(平均厚さ)は、それぞれ、特
に限定されないが、1〜1000nm程度であるのが好ましい。これにより、高精度に厚
さを規定した第1の質量部51および第2の質量部54を容易に得ることができる。
【0073】
(周波数の調整方法)
次に、図7に基づいて、前述したように構成された振動片2の周波数調整方法について
説明する。なお、以下では、第1の質量部51を粗調整用、第2の質量部54を微調整用
として用いる場合を例に説明する。また、以下では、振動腕28の周波数調整を代表的に
説明するが、振動腕29、30の周波数調整も振動腕28の周波数調整と同様である。
振動片2の周波数調整方法は、[1]振動片2(周波数調整前)を用意する工程と、[
2]第1の質量部51および第2の質量部54のうちの少なくとも一方の質量部の一部ま
たは全部をエネルギー線の照射により除去することにより、当該質量部の質量を減少させ
て、振動腕28の共振周波数を調整する工程とを有する。
【0074】
以下、各工程[1]、[2]を順次説明する。
[1]
まず、周波数調整前(未調整)の振動片2を用意する。
このとき、図7(a)に示すように、振動腕28上には、前述したような質量部511
、512で構成された第1の質量部51と、質量部541、542、543、544で構
成された第2の質量部54とが設けられている。
また、このとき、振動腕28の周波数(共振周波数)は、目標とする周波数(共振周波
数)に対して低くなるように設定されている。
【0075】
[2]
(粗調整)
そして、まず、周波数の粗調整を行う。
具体的には、図7(b)に示すように、エネルギー線の照射により、第1の質量部51
の一部または全部を必要に応じて除去する。
【0076】
図7(b)では、第1の質量部51の質量部511の全部を除去した場合を一例として
図示している。そのため、上記エネルギー線の照射後の振動腕28上には、質量部512
で構成された粗調整後の第1の質量部151が設けられている。なお、この粗調整におい
て除去される第1の質量部51の形状、部位およびその除去量は、必要に応じて適宜設定
されるものであり、図示のものに限定されない。例えば、質量部511の一部をレーザー
光の照射により除去した場合、第1の質量部51の除去された部分は、ライン状、ドット
状等の形状をなす。
【0077】
このような粗調整により、第1の質量部51は、その質量が減少して第1の質量部15
1となるので、振動腕28の周波数が高められる。また、この粗調整後は、振動腕28の
周波数(共振周波数)が後述する微調整で調整可能な範囲内となるように目標とする周波
数(共振周波数)に対して若干低くなるように行われる。すなわち、振動腕28の周波数
(共振周波数)が目標とする周波数(共振周波数)に対して若干低い状態となるまで、エ
ネルギー線の照射により第1の質量部51を除去していく。
【0078】
また、このような粗調整に用いるエネルギー線は、振動腕28の悪影響を与えずに、第
1の質量部51の必要部位を除去することができるものであれば、特に限定されず、放射
線、電子線、レーザー、イオンビーム等が挙げられるが、炭酸ガスレーザー、エキシマー
レーザー、YAGレーザー等のレーザーを用いるのが好ましい。これにより、簡単かつ確
実に、第1の質量部51の一部または全部を所望量だけ除去することができる。
【0079】
(微調整)
その後、周波数の微調整を行う。
具体的には、図7(c)に示すように、エネルギー線の照射により、第2の質量部54
の一部または全部を必要に応じて除去する。
図7(c)では、第2の質量部54の質量部541、542の全部をそれぞれ除去した
場合を一例として図示している。そのため、上記エネルギー線の照射後の振動腕28上に
は、質量部543、544で構成された微調整後の第2の質量部154が設けられている
。なお、この微調整において除去される第2の質量部54の形状、部位およびその除去量
は、必要に応じて適宜設定されるものであり、図示のものに限定されない。例えば、質量
部541の一部をレーザー光の照射により除去した場合、第2の質量部54の除去された
部分は、ライン状、ドット状等の形状をなす。
【0080】
このような微調整により、第2の質量部54は、その質量が減少して第2の質量部15
4となるので、振動腕28の周波数が高められる。また、この微調整後は、振動腕28の
周波数(共振周波数)が目標とする周波数(共振周波数)に一致するように行われる。す
なわち、振動腕28の周波数(共振周波数)が目標とする周波数(共振周波数)に一致す
るまで、エネルギー線の照射により第2の質量部54を除去していく。
【0081】
また、このような微調整に用いるエネルギー線は、前述した粗調整に用いるエネルギー
線と同様のものを用いることができ、炭酸ガスレーザー、エキシマーレーザー、YAGレ
ーザー等のレーザーを用いるのが好ましい。これにより、簡単かつ確実に、第2の質量部
54の一部または全部を所望量だけ除去することができる。
以上のようにして振動腕28の周波数を目標周波数に一致するように調整することがで
きる。特に、上述した周波数調整方法では、エネルギー線の照射位置に応じて、第1の質
量部51と第2の質量部54とを別々に(選択的に)除去することができる。そのため、
周波数(共振周波数)調整を簡単かつ高精度に行うことができる。
【0082】
(振動片の製造方法)
ここで、前述した振動片2の製造方法の一例について簡単に説明する。
前述した振動片2の製造方法は、[A]振動腕28、29、30上に第1の電極層22
1、231、241、第1の質量部51、52、53および第2の質量部54、55、5
6を形成する工程と、[B]第1の電極層221、231、241上に圧電体層222、
232、242を形成する工程と、[C]圧電体層222、232、242上に第2の電
極層223、233、343を形成する工程とを有する。
【0083】
以下、各工程を簡単に説明する。
[A]
まず、振動基板21を形成するための基板を用意する。
そして、この基板をエッチングすることにより、振動基板21を形成する。
より具体的に説明すると、例えば、上記基板が水晶基板である場合、水晶基板の薄肉部
271となる部分を、BHF(buffer hydrogen fluoride)をエッチング液として用いた
異方性エッチングにより除去して薄肉化する。その後、その薄肉化された部分を、上記と
同様の異方性エッチングにより部分的に除去して、振動腕28、29、30を形成する。
これにより、振動基板21が形成される。
【0084】
その後、振動腕28、29、30上に第1の電極層221、231、241、第1の質
量部51、52、53および第2の質量部54、55、56を形成する。その際、必要に
応じて、配線等も同時に形成する。
この第1の電極層221、231、241、第1の質量部51、52、53および第2
の質量部54、55、56の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理
成膜法、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の化学蒸着法等の気相成膜法、また、
インクジェット法等の各種塗布法等が挙げられるが、気相成膜法(特にスパッタリング法
もしくは真空蒸着法)を用いるのが好ましい。また、第1の電極層221、231、24
1の形成に際しては、フォトリソグラフィ法を用いるのが好ましい。
なお、第1の電極層221、231、241は、同一の成膜工程で一括形成することが
できる。
【0085】
[B]
次に、第1の電極層221、231、241上に圧電体層222、232、242を形
成する。
この圧電体層222、232、242の形成方法としては、スパッタリング法、真空蒸
着法等の物理成膜法、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の化学蒸着法等の気相成
膜法、また、インクジェット法等の各種塗布法等が挙げられるが、気相成膜法(特に反応
性スパッタリング法)を用いるのが好ましい。また、圧電体層222、232、242の
形成(パターニング)に際しては、フォトリソグラフィ法を用いるのが好ましい。また、
圧電体層222、232、242をパターニングする際に、不要部分の除去にはウェット
エッチングを用いるのが好ましい。
なお、圧電体層222、232、242は、同一の成膜工程で一括形成することができ
る。
【0086】
[C]
次に、圧電体層222、232、242に第2の電極層223、233、343を形成
する。その際、接続電極41、42等も同時に形成する。
この第2の電極層223、233、343の形成は、前述した第1の電極層221、2
31、241と同様にして行うことができる。
【0087】
その後、必要に応じて、前述したような周波数調整を行う。
なお、この周波数調整は、振動片2をパッケージ3内に収納する前に行ってもよいし、
振動片2をパッケージ3内に収納した後に行ってもよい。また、第1の質量部51、52
、53による周波数調整と第2の質量部54、55、56による周波数調整とのうち、一
方の周波数調整を、振動片2をパッケージ3内に収納する前に行い、他方の周波数調整を
、振動片2をパッケージ3内に収納した後に行ってもよい。
【0088】
以上説明したようにして振動片2を製造することができる。なお、上述した製造方法の
例では、第1の質量部51、52、53および第2の質量部54、55、56を第1の電
極層221、231、241と一括して形成したが、これに限定されず、例えば、第2の
電極層223、233、243と一括して形成してもよい。また、第1の質量部51、5
2、53は、第1の電極層221、231、241での成膜によるものと、第2の電極層
223、233、243での成膜によるものとの積層で構成されていてもよい。
【0089】
(パッケージ)
次に、振動片2を収容・固定するパッケージ3について説明する。
パッケージ3は、図1に示すように、板状のベース基板31と、枠状の枠部材32と、
板状の蓋部材33とを有している。ベース基板31、枠部材32および蓋部材33は、下
側から上側へこの順で積層されている。ベース基板31と枠部材32とは、後述のセラミ
ック材料等で形成されており、互いに一体に焼成されることで接合されている。そして、
枠部材32と蓋部材33は、接着剤あるいはろう材等により接合されている。そして、パ
ッケージ3は、ベース基板31、枠部材32および蓋部材33で画成された内部空間37
に、振動片2を収納している。なお、パッケージ3内には、振動片2の他、振動片2を駆
動する電子部品(発振回路)等を収納することもできる。
【0090】
ベース基板31の構成材料としては、絶縁性(非導電性)を有しているものが好ましく
、例えば、各種ガラス、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物系セラミック
ス等の各種セラミックス材料、ポリイミド等の各種樹脂材料などを用いることができる。
また、枠部材32および蓋部材33の構成材料としては、例えば、ベース基板31と同
様の構成材料、Al、Cuのような各種金属材料、各種ガラス材料等を用いることができ
る。特に、蓋部材33の構成材料として、ガラス材料等の光透過性を有するものを用いた
場合、振動片2をパッケージ3内に収容した後であっても、蓋部材33を介して前述した
質量部にレーザーを照射し、前記金属被覆部を除去して振動片2の質量を減少させること
により(質量削減方式により)、振動片2の周波数調整を行うことができる。
【0091】
このベース基板31の上面には、固定材36を介して、前述した振動片2が固定されて
いる。この固定材36は、例えば、エポキシ系、ポリイミド系、シリコーン系等の接着剤
で構成されている。このような固定材36は、未硬化(未固化)の接着剤をベース基板3
1上に塗布し、さらに、この接着剤上に振動片2を載置した後、その接着剤を硬化または
固化させることにより形成される。これにより、振動片2(基部27)がベース基板31
に確実に固定される。
【0092】
なお、この固定は、導電性粒子を含有するエポキシ系、ポリイミド系、シリコーン系等
の導電性接着剤を用いて行ってもよい。
また、ベース基板31の上面には、一対の電極35a、35bが内部空間Sに露出する
ように形成されている。
この電極35aは、例えばワイヤーボンディング技術により形成された金属ワイヤー(
ボンディングワイヤー)38を介して、前述した接続電極42に電気的に接続されている
。また、電極35bは、例えばワイヤーボンディング技術により形成された金属ワイヤー
(ボンディングワイヤー)37を介して、前述した接続電極41に電気的に接続されてい
る。
【0093】
なお、一対の電極35a、35bと接続電極41、42との接続方法は、これに限定さ
れず、例えば、導電性接着剤により行ってもよい。この場合、例えば、振動片2の図示と
は表裏反転するか、振動片2の下面に接続電極41、42を形成すればよい。
また、ベース基板31の下面には、4つの外部端子34a、34b、34c、34dが
設けられている。
【0094】
これら4つの外部端子34a〜34dのうち、外部端子34a、34bは、それぞれ、
ベース基板31に形成されたビアホールに設けられた導体ポスト(図示せず)を介して電
極35a、35bに電気的に接続されたホット端子である。また、他の2つの外部端子3
4c、34dは、それぞれ、パッケージ3を実装用基板に実装するときに、接合強度を高
めたり、パッケージ3と実装用基板との間の距離を均一化するためのダミー端子である。
【0095】
このような電極35a、35bおよび外部端子34a〜34dは、それぞれ、例えば、
タングステンおよびニッケルメッキの下地層に、金メッキを施すことで形成することがで
きる。
なお、パッケージ3内部に電子部品を収納した場合、ベース基板31の下面には、必要
に応じて、電子部品の特性検査や、電子部品内の各種情報(例えば、振動子の温度補償情
報)の書き換え(調整)を行うための書込端子が形成されていてもよい。
【0096】
以上説明したような第1実施形態によれば、第1の質量部51および第2の質量部54
は、Z軸方向から見たときに(すなわち平面視したときに)、互いに重ならない部分を有
するので、エネルギー線の照射位置に応じて、第1の質量部51と第2の質量部54とを
別々に(選択的に)除去することができる。そのため、エネルギー線の照射による第1の
質量部51および第2の質量部54の除去量を高精度に調整することができる。このよう
なことから、周波数(共振周波数)調整を簡単かつ高精度に行うことができる。
また、このような振動片2を備える振動子1は、信頼性に優れたものとなる。
【0097】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係る第1の質量部および第2の質量部を説明するため
の部分拡大図((a)は、上面図、(b)は、(a)中のD−D線断面図)である。
以下、第2実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事
項については、その説明を省略する。
【0098】
第2実施形態は、第1の質量部および第2の質量部の構成が異なる以外は、第1実施形
態とほぼ同様である。なお、図8では、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を
付してある。また、本実施形態では、振動腕28上に設けられた第1の質量部および第2
の質量部について代表的に説明するが、振動腕29、30上に設けられた第1の質量部お
よび第2の質量部についても同様である。
【0099】
図8に示すように、振動腕28の上面281上には、第1の質量部51Aが設けられ、
また、振動腕28の下面282上には、第2の質量部54Aが設けられている。
この第1の質量部51Aおよび第2の質量部54Aは、それぞれ、例えば、エネルギー
線の照射により一部または全部が除去されることにより質量を減少させて、振動腕28の
共振周波数を調整するためのものである。
【0100】
より具体的に説明すると、第1の質量部51Aは、複数の質量部513と、この複数の
質量部513よりも振動腕28の基端側に並んで設けられた複数の質量部514とで構成
されている。
ここで、複数の質量部513は、Y軸方向およびX軸方向に行列状に配列された複数の
ブロック部を構成する。同様に、複数の質量部514は、Y軸方向およびX軸方向に行列
状に配列された複数のブロック部を構成する。
本実施形態では、各質量部513、514は、それぞれ、Y軸方向を長手とする帯状(
長方形)をなしている。また、各質量部513、514は、互いに同じ形状および大きさ
となっている。
【0101】
一方、第2の質量部54Aは、複数の質量部545と、複数の質量部545よりも振動
腕28の基端側に並んで設けられた複数の質量部546とで構成されている。
ここで、複数の質量部545は、Y軸方向およびX軸方向に行列状に配列された複数の
ブロック部を構成する。同様に、複数の質量部546は、Y軸方向およびX軸方向に行列
状に配列された複数のブロック部を構成する。
【0102】
本実施形態では、各質量部545、546は、それぞれ、Y軸方向を長手とする帯状(
長方形)をなしている。また、各質量部545、546は、互いに同じ形状および大きさ
となっている。
このような第1の質量部51Aおよび第2の質量部54Aにおいては、Z軸方向から見
たときに、Y軸方向に並ぶ質量部513の列と、Y軸方向に並ぶ質量部545の列とがX
軸方向に交互に重ならないように並んでいる。
【0103】
同様に、Z軸方向から見たときに、Y軸方向に並ぶ質量部514の列と、Y軸方向に並
ぶ質量部546の列とがX軸方向に交互に重ならないように並んでいる。
このように第1の質量部51Aおよび第2の質量部54Aがそれぞれ行列状に配列され
た複数のブロック部を有するので、エネルギー線の照射により、各ブロック部毎(すなわ
ち各質量部513、514、545、546毎)に、第1の質量部51Aおよび第2の質
量部54Aを除去することができる。そのため、第1の質量部51Aおよび第2の質量部
54Aを所望量だけ迅速(簡単)に除去することができる。また、第1の質量部51Aお
よび第2の質量部54Aの除去量に対する振動腕28の周波数の変化量を予測するのが容
易となる。その結果、周波数調整がより簡単かつ高精度なものとなる。
また、以上説明したような第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の効果
を奏することができる。
【0104】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図9は、本発明の第3実施形態に係る第1の質量部および第2の質量部を説明するため
の部分拡大図((a)は、上面図、(b)は、(a)中のE−E線断面図)である。
以下、第3実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事
項については、その説明を省略する。
【0105】
第3実施形態は、第1の質量部および第2の質量部の構成が異なる以外は、第1実施形
態とほぼ同様である。なお、図9では、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号を
付してある。また、本実施形態では、振動腕28上に設けられた第1の質量部および第2
の質量部について代表的に説明するが、振動腕29、30上に設けられた第1の質量部お
よび第2の質量部についても同様である。
【0106】
図9に示すように、振動腕28の上面281上には、第1の質量部51Bが設けられ、
また、振動腕28の下面282上には、第2の質量部54Bが設けられている。
この第1の質量部51Bおよび第2の質量部54Bは、それぞれ、エネルギー線の照射
により一部または全部が除去されることにより質量を減少させて、振動腕28の共振周波
数を調整するためのものである。
より具体的に説明すると、第1の質量部51Bは、複数の質量部(線状部)515で構
成されている。
各質量部515は、X軸方向を長手とする線状(帯状)をなしている。ここで、複数の
質量部515は、Y軸方向に間隔を隔てて設けられた複数の線状部を構成する。
【0107】
一方、第2の質量部54Bは、複数の質量部547で構成されている。
各質量部547は、X軸方向を長手とする線状(帯状)をなしている。ここで、複数の
質量部547は、Y軸方向に間隔を隔てて設けられた複数の線状部を構成する。
このような第1の質量部51Bおよび第2の質量部54Bにおいては、Z軸方向から見
たときに、各質量部515と各質量部547とが重ならないようにY軸方向に交互に並ん
でいる。
【0108】
このように第1の質量部51Bおよび第2の質量部54Bがそれぞれ互いに間隔を隔て
て設けられた複数の線状部を有するので、エネルギー線の照射により、各線状部毎(すな
わち各質量部515、547毎)に、エネルギー線照射部を掃射させることにより第1の
質量部51Bおよび第2の質量部54Bを一括して除去することができる。そのため、第
1の質量部51Bおよび第2の質量部54Bを所望量だけ簡単に除去することができる。
その結果、周波数調整がより簡単かつ高精度なものとなる。また、間隔を隔てて質量部(
線状部)が形成されているのでレーザーで金属膜を削った際に発生する削り屑が他の金属
膜に付着するのを防止でき、削り屑による周波数ずれを抑制することができる。
また、以上説明したような第3実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の効果
を奏することができる。
【0109】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図10は、本発明の第4実施形態に係る第1の質量部および第2の質量部を説明するた
めの部分拡大図((a)は、上面図、(b)は、(a)中のF−F線断面図)である。
以下、第4実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事
項については、その説明を省略する。
【0110】
第4実施形態は、第1の質量部および第2の質量部の構成が異なる以外は、第1実施形
態とほぼ同様である。なお、図10では、前述した実施形態と同様の構成には、同一符号
を付してある。また、本実施形態では、振動腕28上に設けられた第1の質量部および第
2の質量部について代表的に説明するが、振動腕29、30上に設けられた第1の質量部
および第2の質量部についても同様である。
【0111】
図10に示すように、振動腕28の上面281上には、第1の質量部51Cが設けられ
、また、振動腕28の下面282上には、第2の質量部54Cが設けられている。
この第1の質量部51Cおよび第2の質量部54Cは、それぞれ、エネルギー線の照射
により一部または全部が除去されることにより質量を減少させて、振動腕28の共振周波
数を調整するためのものである。
より具体的に説明すると、第1の質量部51Cは、複数の質量部(線状部)516で構
成されている。
各質量部516は、Y軸方向を長手とする線状(帯状)をなしている。ここで、複数の
質量部516は、X軸方向に間隔を隔てて設けられた複数の線状部を構成する。
【0112】
一方、第2の質量部54Cは、複数の質量部548で構成されている。
各質量部548は、Y軸方向を長手とする線状(帯状)をなしている。ここで、複数の
質量部548は、X軸方向に間隔を隔てて設けられた複数の線状部を構成する。
このような第1の質量部51Cおよび第2の質量部54Cにおいては、Z軸方向から見
たときに、各質量部516と各質量部548とが重ならないようにX軸方向に交互に並ん
でいる。
【0113】
このように第1の質量部51Cおよび第2の質量部54Cがそれぞれ互いに間隔を隔て
て設けられた複数の線状部を有するので、エネルギー線の照射により、各線状部毎(すな
わち各質量部516、548毎)に、第1の質量部51Cおよび第2の質量部54Cを除
去することができる。そのため、第1の質量部51Cおよび第2の質量部54Cを所望量
だけ簡単に除去することができる。その結果、周波数調整がより簡単かつ高精度なものと
なる。また、間隔を隔てて質量部(線状部)が形成されているのでレーザーで金属膜を削
った際に発生する削り屑が他の金属膜に付着するのを防止でき、削り屑による周波数ずれ
を抑制することができる。
また、以上説明したような第4実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の効果
を奏することができる。
【0114】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
図11は、本発明の第5実施形態に係る第1の質量部および第2の質量部を説明するた
めの部分拡大図((a)は、上面図、(b)は、(a)中のG−G線断面図、(c)は、
(a)中のH−H線断面図)である。
以下、第5実施形態について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事
項については、その説明を省略する。
【0115】
第5実施形態は、第1の質量部および第2の質量部の構成が異なる以外は、第1実施形
態とほぼ同様である。また、第5実施形態は、第1の質量部の構成が異なる以外は、第3
実施形態とほぼ同様である。また、第5実施形態は、第2の質量部の構成が異なる以外は
、第4実施形態とほぼ同様である。なお、図11では、前述した実施形態と同様の構成に
は、同一符号を付してある。また、本実施形態では、振動腕28上に設けられた第1の質
量部および第2の質量部について代表的に説明するが、振動腕29、30上に設けられた
第1の質量部および第2の質量部についても同様である。
【0116】
図11に示すように、振動腕28の上面281上には、第1の質量部51Cが設けられ
、また、振動腕28の下面282上には、第2の質量部54Bが設けられている。
本実施形態では、第1の質量部51Cの複数の質量部516(線状部)および第2の質
量部54Bの複数の質量部547(線状部)は、互いに直交するように設けられている。
これにより、第1の質量部51Cおよび第2の質量部54Bを振動腕28上に形成する
際に、Y軸方向およびX軸方向での位置決めに高精度を要することなく、Z軸方向から見
たときに、第1の質量部51Cおよび第2の質量部54Bが互いに重ならない部分を有す
るものとなる。
また、以上説明したような第5実施形態によれば、前述した第1実施形態と同様の効果
を奏することができる。
以上説明したような各実施形態の振動片は、各種の電子機器に適用することができ、得
られる電子機器は、信頼性の高いものとなる。
【0117】
ここで、本発明の振動片を備える電子機器について、図12〜図14に基づき、詳細に
説明する。
図12は、本発明の振動片を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)
のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本
体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユ
ニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されてい
る。
このようなパーソナルコンピュータ1100には、フィルタ、共振器、基準クロック等
として機能する振動子1が内蔵されている。
【0118】
図13は、本発明の振動片を備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の
構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204
および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部
100が配置されている。
このような携帯電話機1200には、フィルタ、共振器等として機能する振動子1が内
蔵されている。
【0119】
図14は、本発明の振動片を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成
を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されて
いる。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、
ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)
などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
【0120】
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表
示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部
は、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCC
Dなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
【0121】
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると
、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリ1308に転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビ
デオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。
そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、
デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必
要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信
号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成にな
っている。
【0122】
このようなディジタルスチルカメラ1300には、フィルタ、共振器等として機能する
振動子1が内蔵されている。
なお、本発明の振動片を備える電子機器は、図12のパーソナルコンピュータ(モバイ
ル型パーソナルコンピュータ)、図13の携帯電話機、図14のディジタルスチルカメラ
の他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンタ)、ラッ
プトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダ、カ
ーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電
子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニ
タ、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計
測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、
車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ等に適用することができる。
【0123】
以上、本発明の振動片、周波数調整方法、振動子、振動デバイスおよび電子機器を、図
示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構
成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、上記実施例
においては、第1の質量部または第2の質量部にエネルギー線を照射させて周波数調整を
行う例について説明したが、これに限らず、イオンエッチング、サンドブラスト、ウェッ
トエッチングにより質量部の質量を減少させても良い。また、第1の質量部または第2の
質量部にスパッタリングや蒸着で膜を付けて質量部の質量を増加させることにより周波数
調整しても良い。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本
発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであ
ってもよい。
【0124】
例えば、前述した実施形態では、振動片が3つの振動腕を有する場合を例に説明したが
、振動腕の数は、1つまたは2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
また、本発明の振動デバイスは、振動片に発振回路を接続することにより、水晶発振器
(SPXO)、電圧制御水晶発振器(VCXO)、温度補償水晶発振器(TCXO)、恒
温槽付水晶発振器(OCXO)等の圧電発振器の他、ジャイロセンサー等に適用される。
【符号の説明】
【0125】
1‥‥振動子 2‥‥振動片 3‥‥パッケージ 21‥‥振動基板 22‥‥圧電体
素子 23‥‥圧電体素子 24‥‥圧電体素子 27‥‥基部 28‥‥振動腕 29
‥‥振動腕 30‥‥振動腕 31‥‥ベース基板 32‥‥枠部材 33‥‥蓋部材
34a、34b、34c、34d‥‥外部端子 35a‥‥電極 35b‥‥電極 36
‥‥固定材 37‥‥内部空間 38‥‥金属ワイヤー 41‥‥接続電極 42‥‥接
続電極 43‥‥配線 51‥‥第1の質量部 51A‥‥第1の質量部 51B‥‥第
1の質量部 51C‥‥第1の質量部 52‥‥第1の質量部 53‥‥第1の質量部
54‥‥第2の質量部 54A‥‥第2の質量部 54B‥‥第2の質量部 54C‥‥
第2の質量部 55‥‥第2の質量部 56‥‥第2の質量部 100‥‥表示部 15
1‥‥調整後の第1の質量部 154‥‥調整後の第2の質量部 221‥‥第1の電極
層 222‥‥圧電体層 223‥‥第2の電極層 231‥‥第1の電極層 232‥
‥圧電体層 233‥‥第2の電極層 241‥‥電極層 242‥‥圧電体層 243
‥‥電極層 271‥‥薄肉部 272‥‥厚肉部 281‥‥上面 282‥‥下面
291‥‥上面 292‥‥下面 301‥‥上面 302‥‥下面 511‥‥質量部
512‥‥質量部 513‥‥質量部 514‥‥質量部 515‥‥質量部 516
‥‥質量部 541‥‥質量部 542‥‥質量部 543‥‥質量部 544‥‥質量
部 545‥‥質量部 546‥‥質量部 547‥‥質量部 548‥‥質量部 11
00‥‥パーソナルコンピュータ 1102‥‥キーボード 1104‥‥本体部 11
06‥‥表示ユニット 1200‥‥携帯電話機 1202‥‥操作ボタン 1204‥
‥受話口 1206‥‥送話口 1300‥‥ディジタルスチルカメラ 1302‥‥ケ
ース 1304‥‥受光ユニット 1306‥‥シャッタボタン 1308‥‥メモリ
1312‥‥ビデオ信号出力端子 1314‥‥入出力端子 1430‥‥テレビモニタ
1440‥‥パーソナルコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向と該第1の方向に直交する第2の方向とを含む平面上に形成される基部と、
前記基部から前記第1の方向に延出する振動腕と、を有し、
前記振動腕は、前記平面の法線方向に屈曲振動し、前記屈曲振動により圧縮または伸長
する第1の面と、前記第1の面が圧縮したときに伸長し前記第1の面が伸長したときに圧
縮する第2の面と、を有し、
前記第1の面に第1の質量部が設けられると共に、前記第2の面に第2の質量部が設け
られ、
前記第1の質量部および前記第2の質量部の少なくとも一方は、前記法線方向からの平
面視で、他方に対し非対向な部分を有することを特徴とする振動片。
【請求項2】
前記第1の質量部および前記第2の質量部は、前記法線方向からの平面視で前記第2の
方向に互いに隣り合って形成された部分を有することを特徴とする請求項1に記載の振動
片。
【請求項3】
前記第1の質量部および前記第2の質量部の少なくとも一方は、帯状に形成されたこと
を特徴とする請求項1または2に記載の振動片。
【請求項4】
前記第1の質量部および前記第2の質量部の少なくとも一方は、間隔を隔てて設けられ
た複数のブロック部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の振動片。
【請求項5】
前記第1の質量部および前記第2の質量部は、帯状に形成され、且つ、前記法線方向か
らの平面視で互いに交差する部分を有することを特徴とする請求項1に記載の振動片。
【請求項6】
前記第2の質量部は、前記第1の質量部の構成材料よりも比重の小さい材料で構成され
たことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の振動片。
【請求項7】
前記第1の質量部および前記第2の質量部の少なくとも一方は、SiO、Al、Al
、TiO、Cr、Fe、Ni、Cu、Ag、Au、およびPtのいずれかを用い
て構成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の振動片。
【請求項8】
前記第1の質量部の厚さは、前記第2の質量部の厚さよりも厚いことを特徴とする請求
項1ないし7のいずれか一項に記載の振動片。
【請求項9】
前記第1の質量部および前記第2の質量部は、前記振動腕の先端付近に設けられたこと
を特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の振動片。
【請求項10】
前記振動腕には、第1の電極層と第2の電極層との間に配置された圧電体層が形成され
たことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の振動片。
【請求項11】
前記振動腕は、前記第2の方向に複数並んで設けられ、隣り合う2つの前記振動腕が互
いに反対方向に屈曲振動することを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載
の振動片。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の振動片を用意する工程と、
前記第1の質量部および前記第2の質量部の少なくとも一方の質量を増減させて、前記
振動腕の共振周波数を調整する工程と、を有することを特徴とする周波数調整方法。
【請求項13】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片を収納したパッケージと、を備えたことを特徴とする振動子。
【請求項14】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の振動片と、
前記振動片に接続された発振回路と、を備えたことを特徴とする振動デバイス。
【請求項15】
請求項1ないし11のいずれか一項に記載の振動片を備えたことを特徴とする電子機器


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−259120(P2011−259120A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130731(P2010−130731)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】