説明

描画装置及び描画方法

【課題】 高精度に描画を行う。
【解決手段】 保持対象物を保持するステージと、ステージに保持された保持対象物に向けて液滴を吐出する、第1の吐出ヘッド、及び、第2の吐出ヘッドを備える吐出ヘッドユニットとを有し、ステージは、吐出ヘッドユニットとの間で、相対的に第1の方向に移動可能に保持対象物を保持し、更に、第1及び第2の吐出ヘッドから吐出され、ステージに保持された保持対象物に着弾した液滴を検出する検出器と、検出器による検出結果に基づいて、第1の吐出ヘッドと第2の吐出ヘッドとの間の第1の方向と平行な方向に沿う相対位置関係を把握し、把握した相対位置関係を加味して、ステージに保持された保持対象物と吐出ヘッドユニットとの間の相対的な移動、及び、第1及び第2の吐出ヘッドからの液滴の吐出を制御する制御装置とを含む描画装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴を吐出してパターンを描画する描画装置及び描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板等のパターン形成面に、パターン形成用材料を含んだ液状材料(インク)を吐出ヘッド(インクジェットヘッド)から液滴として吐出して、基板上に材料層を成膜(描画)する技術が知られている。
【0003】
基板上に描画される材料層により、たとえばソルダーレジストパターンが形成される。ソルダーレジストは、基材に導体配線が形成されたプリント配線板のはんだ付けのために、必要な導体部分を露出し、はんだ付けが不要な部分にはんだが付かないように配線板上に形成される絶縁膜である。
【0004】
図6は、複数のインクジェットヘッドを含んで構成されるインクジェットヘッドユニットの、液滴吐出面を示す概略図である。インクジェットヘッドユニット10は、キャリッジ14に一体的に組み付けられた3つのインクジェットヘッド11〜13を含んで構成される。各インクジェットヘッド11〜13は、一列に配列された複数のインクジェットノズル(インク吐出穴)11a〜13aを備える。ノズル穴11a〜13aは、エッチング等の技術を用いて金属板に形成されるため、インクジェットヘッド11〜13内において、それらは高精度に配置されている。
【0005】
インクジェットヘッド11〜13は、それぞれたとえばノックピンによりキャリッジ14に組み付けられる。しかしながら組み付けに際しては、本来組み付けられるべき位置に対して組み付け誤差が生じる。組み付け誤差はたとえば数μm以内である。組み付け誤差により、インクの着弾精度が悪化する。
【0006】
インクジェットヘッド11〜13が高精度に組み付けられた場合であっても、インクジェットヘッドの寿命は通常半年以内であり、その都度交換が必要となる。組み付け位置の再現性の確保は困難である。
【0007】
インクの着弾精度が基板の各所において異なる場合であっても、各所毎にインクジェットヘッドと基板との相対位置を補正して、液滴の着弾精度を向上させる描画装置の発明が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1記載の描画装置は、基準板を含み、これを用いてノズル単位でインク着弾位置を検出し補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3982502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高精度の描画が可能な描画装置及び描画方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点によると、保持対象物を保持するステージと、前記ステージに保持された保持対象物に向けて液滴を吐出する、第1の吐出ヘッド、及び、第2の吐出ヘッドを備える吐出ヘッドユニットとを有し、前記ステージは、前記吐出ヘッドユニットとの間で、相対的に第1の方向に移動可能に保持対象物を保持し、更に、前記第1及び第2の吐出ヘッドから吐出され、前記ステージに保持された保持対象物に着弾した液滴を検出する検出器と、前記検出器による検出結果に基づいて、前記第1の吐出ヘッドと前記第2の吐出ヘッドとの間の前記第1の方向と平行な方向に沿う相対位置関係を把握し、該把握した相対位置関係を加味して、前記ステージに保持された保持対象物と前記吐出ヘッドユニットとの間の相対的な移動、及び、前記第1及び第2の吐出ヘッドからの液滴の吐出を制御する制御装置とを含む描画装置が提供される。
【0011】
また、本発明の他の観点によると、(a)第1及び第2の吐出ヘッドから吐出され、着弾した液滴から、前記第1の吐出ヘッドと前記第2の吐出ヘッドとの間の第1の方向と平行な方向に沿う相対位置関係を把握する工程と、(b)前記工程(a)で把握された相対位置関係を加味して、基板と、前記第1及び第2の吐出ヘッドとを、相対的に前記第1の方向に移動させながら、前記第1及び第2の吐出ヘッドから前記基板に向けて液滴を吐出する工程とを有する描画方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高精度の描画が可能な描画装置及び描画方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例による描画装置を示す概略図である。
【図2】インクジェットヘッドユニット23a〜23d及びCCDカメラ30の近傍を示す、描画装置の概略的な平面図である。
【図3】(A)及び(B)は、インクジェットヘッドユニットの液滴吐出面を示す概略図である。
【図4】(A)及び(B)は、実施例による描画装置の一部を示す概略的な断面図である。
【図5】(A)及び(B)は、実施例による描画装置を用い、プリント配線板50に描画を行う前の準備工程を示す概略図である。
【図6】複数のインクジェットヘッドを含んで構成されるインクジェットヘッドユニットの、液滴吐出面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は実施例による描画装置を示す概略図である。実施例による描画装置は、水平に(XY平面に平行な面内に)設置された定盤20、定盤20上に配置されたステージ22、定盤20に固定され、Y軸方向に沿って見たとき、ステージ22を門型に囲むように配置されたフレーム21、フレーム21に保持されたインクジェットヘッドユニット23a〜23d、CCDカメラ30、及び、描画装置の動作を制御する制御装置40を含む。
【0015】
ステージ22は、定盤20側から順に配置されるYステージ22y、Xステージ22x、θステージ22θ、及びチャックプレート22aを含む。チャックプレート22aは、プリント配線板(基板)50を吸着保持する。θステージ22θは、保持されたプリント配線板50を、XY平面に平行な面内で、Z軸に平行な回転軸の周囲に回転させる。Xステージ22x、Yステージ22yは、それぞれプリント配線板50を、X軸方向、Y軸方向に移動させることができる。チャックプレート22aによるプリント配線板50の吸着、X、Y、θステージ22x、22y、22θによるプリント配線板50の移動は、制御装置40によって制御される。
【0016】
フレーム21は、2本の支柱21a、21b、及びコラム21cを含む。支柱21a、21bは、定盤20のY軸方向の略中央に立設される。コラム21cは、X軸方向に沿うように、支柱21a、21bに支持される。
【0017】
インクジェットヘッドユニット23a〜23d、及びCCDカメラ30は、フレーム21のコラム21cに保持されている。インクジェットヘッドユニット23a〜23dは、それぞれ複数のインクジェットヘッドを含む。インクジェットヘッドは、たとえば紫外線硬化性のインク(パターン形成用材料を含んだ液状材料)をステージ22に保持されたプリント配線板50に向けて吐出(滴下)する。吐出されたインクにより、プリント配線板50上に所定パターンの材料層、たとえばソルダーレジストパターンが成膜(描画)される。
【0018】
制御装置40は、たとえばメモリである記憶装置40aを含む。記憶装置40aには、プリント配線板50上においてソルダーレジストを形成すべき領域(インクを塗布すべき領域)等のデータ(ガーバデータ)が記憶されている。制御装置40は、記憶装置40aの記憶内容に基いて、プリント配線板50上の所定領域にインクが塗布されるように、インクジェットヘッドユニット23a〜23dからのインクの吐出、及びステージ22による配線板50の移動を制御する。プリント配線板50は、Y軸正方向に移動され、インクジェットヘッドユニット23a〜23dの鉛直下方(Z軸負方向)においてインクを塗布される。
【0019】
実施例による描画装置は、ステージ22上に移動可能に保持されたプリント配線板50上に、たとえば所定パターンのソルダーレジストを形成する液滴吐出装置(インクジェット装置)である。
【0020】
図2は、インクジェットヘッドユニット23a〜23d及びCCDカメラ30の近傍を示す、描画装置の概略的な平面図である。各インクジェットヘッドユニット23a〜23dは、Y軸方向に沿って配置される複数のノズル列を備える。各ノズル列は、X軸方向に沿って配列された複数の、たとえば192個のインクジェットノズル(インク吐出穴)によって構成される。各ノズル列のX軸方向に沿う長さは、たとえば約30mmである。インクジェットヘッドユニット23a〜23dは、全体として見たとき、たとえばインクジェットノズルがX軸方向に等間隔に配置されるように設置される。このため、インクジェットヘッドユニット23a〜23dは、Y軸正方向に移動中のプリント配線板50の幅約120mmの範囲(X軸方向に沿う範囲)に、描画を行うことができる。
【0021】
各ユニット23a〜23dには、ノズル列の両側に余白部が設けられているので、インクジェットノズルをX軸方向に等間隔に配置するために、X軸方向に隣り合うユニット(一例としてユニット23aとユニット23b)は、Y軸方向にたとえば20mmの間隔を設けて配置される。この結果、インクジェットヘッドユニット23a〜23dは、たとえば互い違いに2列に組まれて、全体としてX軸方向に延在するように配置される。
【0022】
CCDカメラ30は、たとえばインクジェットヘッドユニット23a〜23dの近傍に、実施例においては、インクジェットヘッドユニット23dに隣接して、そのX軸負方向側に配置される。
【0023】
図3(A)及び(B)は、インクジェットヘッドユニットの液滴吐出面を示す概略図である。図3(A)に示すように、インクジェットヘッドユニット23aは、キャリッジ23aに組み付けられた、たとえば同構成のインクジェットヘッド23a〜23aを含んで構成される。各インクジェットヘッド23a〜23aは、Y軸正方向側とY軸負方向側とに一列ずつ、計二列のノズル列を有する。ノズル穴は、エッチング等の技術を用いて形成されるため、インクジェットヘッド23a〜23a内において、それらは高精度に配置されている。
【0024】
インクジェットヘッド23a〜23aは、順に相対位置をX軸負方向にずらされながら、全体としてY軸方向に沿って配置されている。インクジェットヘッド23a〜23aのキャリッジ23aへの組み付けは、たとえばノックピンを用いて行われる。組み付けに際しては、たとえば相互に隣接するインクジェットヘッド23a〜23aの間で、Y軸正方向側ノズル列及びY軸負方向側ノズル列の、Y軸方向に沿う距離がLとなるように、組み付け位置が調整される。ただし組み付け誤差から、ノズル列間のY軸方向に沿う距離が正確にLとはならない場合がある。
【0025】
図3(B)にインクジェットヘッドの詳細を示した。インクジェットヘッド23aの同一ノズル列のノズルはX軸方向に沿って160μm間隔で配置される。Y軸正方向側のノズル列は、Y軸負方向側のノズル列に対し、ノズルの配設位置がX軸負方向に80μmずれるように形成されている。このためインクジェットヘッド23aは、X軸方向に80μm間隔で千鳥配列される384個のインクジェットノズルを含み、約300dpiの分解能を有する。各インクジェットノズルはピエゾ素子を含んで構成され、電圧の印加に応じてインクを吐出する。インクの吐出(電圧の印加)は制御装置40によって制御される。
【0026】
インクジェットヘッド23aはインクジェットヘッド23aに対し、20μmだけX軸負方向側に配置される。同様にインクジェットヘッド23a、aは、それぞれインクジェットヘッド23a、aに対し、20μmだけX軸負方向側に配置される。この結果、インクジェットヘッドユニット23aは、X軸方向に20μm間隔で配置されるノズルを備える。
【0027】
インクジェットヘッドユニット23b〜23dも、インクジェットヘッドユニット23aと等しい構成を有する。したがって実施例による描画装置は、X軸方向に沿う120mmの範囲に渡って、20μmの分解能(約1200dpiの分解能)をもつインクジェットノズル群を備える。
【0028】
なお本図には、ノズル列の端部のインクジェットノズルに、23A11、23A12、23A13、23A14、23A21、23A22、23A23、23A24、23A31、23A32、23A33、23A34、23A41、23A42、23A43、23A44の符号を付して示した。
【0029】
図4(A)及び(B)は、実施例による描画装置の一部を示す概略的な断面図である。図4(A)に示すように、インクジェットヘッドユニット23aは、連結部材28aを介してコラム21cに固定されている。インクジェットヘッドユニット23aのインクジェットノズルから、インク51がプリント配線板50に向けて鉛直下方(Z軸負方向)に吐出される。プリント配線板50は、たとえば300mm/秒でY軸正方向に移動される。
【0030】
インクジェットヘッドユニット23aのY軸正方向側には、光源27が連結部材28bを介してコラム21cに固定されている。光源27は制御装置40の制御によって紫外光を出射する。インクジェットヘッドユニット23aから吐出され、プリント配線板50上に塗布されて、Y軸正方向に移動されたインク51には、光源27を出射した紫外光が照射される。紫外光の照射により、インク51は表面部を硬化(仮硬化)される。
【0031】
図4(A)にはインクジェットヘッドユニット23aを示したが、他のインクジェットヘッドユニット23b〜23dについても同様である。インクジェットヘッドユニット23b〜23dも、連結部材28aを介してコラム21cに固定され、インクジェットノズルから、インク51をプリント配線板50に向けて鉛直下方(Z軸負方向)に吐出する。インクジェットヘッドユニット23b〜23dから吐出され配線板50上に塗布されたインク51も、光源27から出射される紫外光によって仮硬化される。
【0032】
プリント配線板50に対する描画は、配線板50をY軸正方向に移動しながら、ユニット23a〜23dからインク51を吐出して、X軸方向120mmの範囲にインク51を塗布し、塗布したインク51を光源27から出射される紫外光で仮硬化した後、ステージ22により配線板50をたとえばX軸正方向、及びY軸負方向に移動する。そしてまた、配線板50をY軸正方向に移動しながら、インク51を仮硬化させた領域に隣接するX軸方向120mmの範囲に、インク51を塗布し仮硬化させる。これを繰り返して、プリント配線板50のパターン形成面全面に描画を行う。
【0033】
図4(B)を参照する。CCDカメラ30もまた連結部材28aを介してコラム21cに固定されている。CCDカメラ30は、ステージ22に保持された保持対象物、たとえば試料基板60の表面を撮像する。ステージ22で試料基板60を移動させることにより、CCDカメラ30で試料基板60上の任意の位置の画像を取得することができる。取得された画像のデータは、制御装置40に送信される。CCDカメラ30による撮像は制御装置40によって制御される。
【0034】
図5(A)及び(B)は、実施例による描画装置を用い、プリント配線板50に描画を行う前の準備工程を示す概略図である。図5(A)に示すように、準備工程においては、ステージ22に試料基板60を保持し、試料基板60に向けてインクジェットヘッドユニット23a〜23dからインク51を吐出する。この場合、インク51は、たとえば各インクジェットヘッドユニット23a〜23dのノズル列の端部のインクジェットノズルから吐出すればよい。
【0035】
図5(B)に、インクジェットヘッドユニット23aから吐出され、試料基板60に着弾したインク51を示す。ノズル列の端部のすべてのインクジェットノズルからインク51を吐出してもよいが、本図には、図3(B)に23A11、23A13、23A21、23A23、23A31、23A33、23A41、23A43の符号を付して示したインクジェットノズル(各インクジェットヘッド23a〜23aにおいて、Y軸負方向側のノズル列のX軸正方向側の端部のノズル、及び、Y軸正方向側のノズル列のX軸負方向側の端部のノズル)からインク51を吐出する場合を示した。たとえばインク51(23A11)は、インクジェットノズル23A11から吐出され、試料基板60上に着弾したインクである。
【0036】
インク51の吐出後、試料基板60上のインク51着弾領域は、ステージ22によりCCDカメラ(検出器)30の撮像(検出)範囲に移動される。CCDカメラ30は、試料基板60上に着弾したインク51(23A11)〜51(23A43)を撮影(検出)し、画像データを制御装置40に送信する。
【0037】
制御装置40は、CCDカメラ30から送信された画像データに基づいて、インクジェットヘッド23a〜23a間のY軸方向に沿う相対位置関係を把握する。たとえばインクジェットヘッド23aのY軸負方向側ノズル列のX軸正方向側端部のノズル23A11から吐出されたインク51(23A11)と、インクジェットヘッド23aにおける対応端部のノズル23A21から吐出されたインク51(23A21)とが撮影された画像に基いて、両インク51(23A11)、51(23A21)間のY軸方向に沿う距離lを検出する。また、インクジェットヘッド23aのY軸正方向側ノズル列のX軸負方向側端部のノズル23A13から吐出されたインク51(23A13)と、インクジェットヘッド23aにおける対応端部のノズル23A23から吐出されたインク51(23A23)とが撮影された画像に基いて、両インク51(23A13)、インク51(23A23)間のY軸方向に沿う距離lを検出する。そしてインクジェットヘッド23aとインクジェットヘッド23aとの間の、Y軸方向の相対位置関係を示す一指標として、距離lとlとの相加平均(l+l)/2を算出する。また、これと、あらかじめ設定された設計値(基準値)Lとの差、l12=[(l+l)/2]−Lを算出する。l12は、両インクジェットヘッド23a、23a間における、Y軸方向の誤差(設計値Lからのずれ量)としての意味をもつ。誤差は、ノックピンによる組み付け等に起因する。
【0038】
同様に、インク51(23A21)とインク51(23A31)との間のY軸方向に沿う距離l、インク51(23A23)とインク51(23A33)との間のY軸方向に沿う距離lから、インクジェットヘッド23aとインクジェットヘッド23aとの間の、Y軸方向の相対位置関係を示す一指標として、(l+l)/2、及び、l23=[(l+l)/2]−Lを算出する。
【0039】
更に、インク51(23A31)とインク51(23A41)との間のY軸方向に沿う距離l、インク51(23A33)とインク51(23A43)との間のY軸方向に沿う距離lから、インクジェットヘッド23aとインクジェットヘッド23aとの間の、Y軸方向の相対位置関係を示す一指標として、(l+l)/2、及び、l34=[(l+l)/2]−Lを算出する。
【0040】
算出された(l+l)/2、(l+l)/2、(l+l)/2、l12、l23、l34の値は、記憶装置40aに記憶される。更に、たとえば制御装置40がディスプレイ等の表示装置を備える場合には、表示装置に表示してもよい。
【0041】
制御装置40は、プリント配線板50に対する描画を行うに当たり、準備工程で得られたインクジェットヘッド23a〜23aの間の、Y軸方向の相対位置関係、たとえば(l+l)/2、l12等を加味した制御を行う。
【0042】
前述のように、制御装置40は、記憶装置40aに記憶されている、プリント配線板50上においてソルダーレジストを形成すべき領域のデータに基いて、プリント配線板50上の所定領域にインクが塗布されるように、インクジェットヘッドユニット23aからのインクの吐出、及びステージ22による配線板50の移動を制御する。
【0043】
この場合、たとえば準備工程で把握されたインクジェットヘッド間の、Y軸方向の相対位置関係のデータは、プリント配線板50上のX軸に平行な位置(Y座標が等しい位置)に、インク51を吐出する際の、インクジェットヘッド23aとインクジェットヘッド23aとの間の、吐出時刻(タイミング)の遅延時間の制御に利用される。
【0044】
一例として、制御装置40に、インクジェットヘッド23aとインクジェットヘッド23aの対応ノズル列間のY軸方向に沿う距離がLであり、インクジェットヘッド23aのY軸負方向側のノズル列に含まれるノズルからインク51が吐出される時刻と、インクジェットヘッド23aのY軸負方向側のノズル列に含まれるノズルからインク51が吐出される時刻との差(遅延時間)がTであると設定されているとする。このとき制御装置40は、算出されたl12の値を用いて補正を行い、遅延時間をT+l12・T/Lとする制御を行う。インクジェットヘッド23a、23aのY軸正方向側のノズル列に含まれるノズルからインク51が吐出される時刻の差(遅延時間)についても同様に、T+l12・T/Lと補正する。なお、インクジェットヘッド23a、23aの対応ノズル列間のY軸方向に沿う距離が補正される場合、補正後の値は(l+l)/2となる。
【0045】
インクジェットヘッド23a〜23a間についても同様の補正を行う。こうしてインクジェットヘッドユニット23aについて、インクジェットヘッド23a〜23a間の、Y軸方向に関する相対位置関係の補正が行われる。また、インクジェットヘッドユニット23b〜23dについても同様の補正を行う。
【0046】
試料基板60への試射(試料基板60へのインク51の着弾位置)に基き、各インクジェットヘッドユニット23a〜23dについて、インクジェットヘッド間の、Y軸方向に関する相対位置関係を検出し、検出結果を、インクジェットヘッド単位(インクジェットヘッド間)で加味して、インクジェットヘッドからのインク51の吐出を制御することにより、たとえばプリント配線板50上におけるインク51の着弾位置を高精度、簡易、低コストで制御することができる。たとえばインクジェットヘッドの組み付けが高精度に行われず誤差を有する場合であっても、プリント配線板50に対し高精度の描画を行うことができる。
【0047】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0048】
たとえば、実施例においては、インクジェットヘッドユニット等に対するプリント配線板や試料基板の移動をステージによって行ったが、たとえば固定ステージを用い、フレーム21をY軸方向に移動可能とし、インクジェットヘッドユニット23a〜23d、CCDカメラ30、光源27等を、フレーム21にX軸方向に移動可能に取り付ける構成としてもよい。このようにインクジェットヘッドユニット等とプリント配線板等とは、相対的に移動させればよい。
【0049】
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者には自明であろう。
【産業上の利用可能性】
【0050】
インクジェットヘッドから液滴を吐出して行うパターン描画に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 インクジェットヘッドユニット
11〜13 インクジェットヘッド
11a〜13a ノズル
14 キャリッジ
20 定盤
21 フレーム
21a、21b 支柱
21c コラム
22 ステージ
22a チャックプレート
22θ θステージ
22x Xステージ
22y Yステージ
23a〜23d インクジェットヘッドユニット
23a〜23a インクジェットヘッド
23a キャリッジ
23A11、23A12、23A13、23A14、23A21、23A22、23A23、23A24、23A31、23A32、23A33、23A34、23A41、23A42、23A43、23A44 インクジェットノズル
27 光源
28a、28b 連結部材
30 CCDカメラ
40 制御装置
40a 記憶装置
50 プリント配線板
51 インク
60 試料基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持対象物を保持するステージと、
前記ステージに保持された保持対象物に向けて液滴を吐出する、第1の吐出ヘッド、及び、第2の吐出ヘッドを備える吐出ヘッドユニットと
を有し、
前記ステージは、前記吐出ヘッドユニットとの間で、相対的に第1の方向に移動可能に保持対象物を保持し、
更に、
前記第1及び第2の吐出ヘッドから吐出され、前記ステージに保持された保持対象物に着弾した液滴を検出する検出器と、
前記検出器による検出結果に基づいて、前記第1の吐出ヘッドと前記第2の吐出ヘッドとの間の前記第1の方向と平行な方向に沿う相対位置関係を把握し、該把握した相対位置関係を加味して、前記ステージに保持された保持対象物と前記吐出ヘッドユニットとの間の相対的な移動、及び、前記第1及び第2の吐出ヘッドからの液滴の吐出を制御する制御装置と
を含む描画装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記相対位置関係を加味して前記第1及び第2の吐出ヘッドから液滴を吐出する時刻の遅延時間を制御する請求項1に記載の描画装置。
【請求項3】
(a)第1及び第2の吐出ヘッドから吐出され、着弾した液滴から、前記第1の吐出ヘッドと前記第2の吐出ヘッドとの間の第1の方向と平行な方向に沿う相対位置関係を把握する工程と、
(b)前記工程(a)で把握された相対位置関係を加味して、基板と、前記第1及び第2の吐出ヘッドとを、相対的に前記第1の方向に移動させながら、前記第1及び第2の吐出ヘッドから前記基板に向けて液滴を吐出する工程と
を有する描画方法。
【請求項4】
前記工程(b)において、前記工程(a)で把握された相対位置関係を加味して、前記第1及び第2の吐出ヘッドから前記基板に向けて液滴を吐出する時刻を遅延させる請求項3に記載の描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−96205(P2012−96205A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248458(P2010−248458)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】