説明

携帯機器及び携帯機器制御プログラム

【課題】 迅速かつ適正に現在位置の緊急通報を行うことができるようにする。
【解決手段】 ユーザが緊急キーに対する操作を行うと(ステップS101;YES)、現在位置情報(緯度・経度)を取得する(ステップS103)。そして、このステップS103で取得した位置情報(緯度・経度)において、下5桁を表示部に表示させる(ステップS106)。しかる後に、緊急通報センターへの接続処理を行って、当該携帯電話を緊急通報センターに接続させる(ステップS107)。引き続き、合成音声キーが操作されたか否かを判断し(ステップS109)、操作されない場合には、マイクから入力された音声を緊急通報センターに送信する(ステップS109)。また、合成音声キーが操作された場合には(ステップS109;YES)、ユーザは表示部に表示された下5桁を音声合成して、緊急通報センター6に送信する(ステップS110)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を表示する携帯機器及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯可能であって相互に無線接続されるナビゲーション装置とデジタルカメラとで構成されるシステムが提案されるに至っている(例えば、特許文献1参照。)。このナビゲーション装置を携帯して外出することにより、外出先で110番や119番に緊急通報を行う際、ナビゲーション装置に現在位置の緯度・経度を表示させ、電話で表示された緯度・経度を警察署や消防署の緊急通報センターに連絡することにより、現在位置を精度よく通報することができる。
【特許文献1】特開2003−32590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の携帯型ナビゲーション装置にあっては、地球上での絶対位置を示すために、緯度・経度の全桁を表示する。このため、緊急時に固定電話や携帯電話を用いて口頭で現在位置を通報する際、ユーザは表示されている緯度・経度の全桁を読み上げることとなる。このため、通報に時間を要してしまったり、表示されている緯度・経度の全桁を読み上げる際に間違いが生じ、迅速かつ適正に現在位置の緊急通報を行うことができない。
【0004】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、迅速かつ適正に現在位置の緊急通報を行うことができるようにした携帯機器及び携帯機器制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため請求項1記載の発明に係る携帯機器にあっては、緯度・経度により現在位置を取得する位置情報取得手段と、表示手段と、前記位置情報取得手段が取得した現在位置の緯度・経度において、所定複数の下位桁を緊急位置情報として前記表示手段に表示する表示制御手段とを備える。
【0006】
したがって、位置取得手段が取得した現在位置の緯度・経度が、例えば「北緯36.40.30.05」、「東経139.18.60.03」であり、所定複数の下位桁が下5桁であったとすると、表示手段には緊急位置情報として「北緯0分30.05秒」「東経8分60.03秒」と表示される。ユーザは、固定電話又は携帯電話で110番や119等の緊急電話番号で発信し、緊急通報センターに電話を接続した後、表示手段に表示されている下5桁の緯度・経度読み上げて電話を介して通報する。
【0007】
一方、本発明の前提として各都市には当該都市毎に緊急通報センターが存在し、当該都市内において固定電話又は携帯電話を用いて前記緊急電話番号で発信を行った場合には、当該都市内に存在する緊急通報センターに電話が接続されるものとする。したがって、緊急通報センターにおいて電話着信があった場合、当該電話の送信位置は当該都市内であることは既知である。よって、緊急通報センターの職員において、ユーザから下5桁の緯度・経度を知らされるのみより、ユーザの現在位置を正確に把握することができる。また、ユーザにあっては、表示された所定複数の下位桁からなる緯度・経度を読み上げればよいのであるから、通報に時間を要してしまうこともなく、表示されている緯度・経度の全桁を読み上げる際に間違いが生じ難いこととなる。
【0008】
また、請求項2記載の発明に係る携帯機器にあっては、都市を設定する都市設定手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記設定手段により設定された都市内において、前記位置情報取得手段が取得した現在位置の緯度・経度の所定複数の下位桁を緊急位置情報として前記表示手段に表示する。したがって、ユーザが来訪したり滞在する都市を予め設定しておくことにより、当該都市において迅速かつ適正に現在位置の緊急通報を行うことが可能となる。
【0009】
また、請求項3記載の発明に係る携帯機器にあっては、緊急時に操作される操作手段をさらに備え、前記表示制御手段は、前記操作手段に対する操作に応答して、前記位置情報取得手段が取得した現在位置の緯度・経度における、所定複数の下位桁を緊急位置情報として前記表示手段に表示する。したがって、通常時には表示手段に取得した現在位置の緯度・経度を示す全ての桁を表示させることができる。そして、緊急時に操作手段を操作すると、所定複数の下位桁が緊急位置情報として表示手段に表示される。
【0010】
また、請求項4記載の発明に係る携帯機器にあっては、前記表示制御手段は、前記現在位置の緯度・経度における所定複数の下位桁とともに、電波受信感度や推定精度等の他の情報を表示する。したがって、電波受信感度や推定精度により、表示された緯度・経度における所定複数の下位桁の信頼性を担保することができる。
【0011】
また、請求項5記載の発明に係る携帯機器にあっては、前記所定複数の下位桁の数値を音声合成する音声合成手段と、この音声合成手段により合成された前記前記所定複数の下位桁の数値からなる音声を所定の通報先に送信する送信手段とをさらに備える。したがって、ユーザは、緊急通報センターに電話を接続した後、表示手段に表示されている下5桁の緯度・経度読み上げる必要がなく、一層迅速かつ適正に現在位置の緊急通報を行うことが可能となる。
【0012】
また、請求項6記載の発明に係る携帯機器にあっては、前記送信手段とは異なる近接無線通信手段をさらに備える。したがって、電波状況により当該携帯機器から緊急通報センターへの通報が不可能である場合であっても、近接通信可能な他の機器からの通信が可能となる。
【0013】
また、請求項7記載の発明に係る携帯機器にあっては、前記送信手段は、IP携帯電話が有する送信機能である。したがって、IP携帯電話が有する送信機能を有効利用して、現在位置の緊急通報を行うことが可能となる。
【0014】
また、請求項8記載の発明に係るプログラムにあっては、緯度・経度により現在位置を取得する位置情報取得手段と、表示手段とを備える携帯機器が有するコンピュータを、前記位置情報取得手段が取得した現在位置の緯度・経度において、所定複数の下位桁を緊急位置情報として前記表示手段に表示する表示制御手段として機能させる。したがって、前記コンピュータがこのプログラムに従って処理を実行することにより、請求項1記載の発明と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザは緊急通報により現在位置を通報するに際して、表示された所定複数の下位桁からなる緯度・経度を読み上げればよいのであるから、通報に時間を要してしまうこともなく、表示されている緯度・経度の全桁を読み上げる際に間違いが生じ難いこととなる。よって、迅速かつ適正に現在位置の緊急通報を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。図において、携帯電話1は、通話機能、撮影機能、画像送受信機能、及び、複数のGPS衛星3から送信される電波を受信することにより現在位置情報(緯度・経度)を取得する機能を備える。無線基地局2は、携帯電話1を当該携帯電話1が加入する通信サービス会社(インターネットプロバイダを含む)4に接続する。
【0017】
通信サービス会社4は、主なサービスとして提供している携帯電話サービスに必要とする通信回路処理部41の他、WWWに接続するためのシステム(Webサーバ43)、メールシステム(メールサーバ42)を備えている。また、無線基地局2をAP(アクセス・ポイント)として、携帯電話1をWWWに接続させるための機能も備えている。緊急通報センター6は、各都市毎に存在し、当該都市内において固定電話又は携帯電話を用いて前記緊急電話番号で発信を行った場合には、当該都市内に存在する緊急通報センター6に電話が接続されるものとする。したがって、緊急通報センター6において、基地局2及び通信サービス会社4を介して携帯電話1から着信があった場合、当該携帯電話1の送信位置は当該都市内であることが既知である。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る携帯電話1の外観図(開状態:正面図及び背面図)であり、携帯電話1は、蓋部と本体部とからなる二つ折りの構造である。アンテナ103は、本体部の背面に設けられており、伸縮自在となっている。スピーカ101は、蓋部の前面側に設けられており、音声出力を行う。メイン表示部102は、QVGAカラー液晶であり、蓋部の前面略中央部に配置されている。
【0019】
本体部の前面には、緊急キー104、合成音声キー105、十字キー106、決定キー107、アドレスキー108、ネット接続キー109、クリアキー110、オンフックキー111とオフフックキー112、テンキー113が設けられている。緊急キー104は、ワンタッチ操作で緊急通報センター6に接続する際に操作され、合成音声キー105は緯度・経度情報を合成音声により緊急通報センター6に送信する際に操作される。十字キー106は、カーソル及びフォーカス移動時に操作され、決定キー107は各種モードの決定時に操作されるとともに、撮影時のシャッターキーとして操作される。アドレスキー108は、アドレス帳データを表示する際に操作され、ネット接続キー109は、地図提供サービス会社接続用の操作キーである。クリアキー110は、キャンセル指示用のキーであり、テンキー113は、文字入力及びダイアル入力用として使用される。なお、これらキー104〜113の所定の組合せ操作により、後述するフローチャートに示す都市の設定登録がなされる。マイク114は、本体部の下部に設けられており、通話時において音声入力を行う。
【0020】
また、蓋部の背面には、録音用マイク115、カラー液晶からなるサブ表示部116、着信の際、発光する報知用LED117、撮像レンズ118、及びフラッシュ用LED119が配置されている。また、本体部の裏面には報知用スピーカ120が配置されている。この報知用スピーカ120は、着信などを報知するものであり、蓋部を本体部に閉じた状態でも報知音が聞こえるように、本体部の裏面に配置されている。
【0021】
図3は、携帯電話1の構成を示すブロック図である。無線部121は、アンテナ103に接続されており、PSK方式に基づく変復調と、CDMA方式に基づく端末認証処理を含む通信処理、及び、複数のGPS衛星3による信号受信処理を行う。制御部122は、当該機器を制御するとともにWWW接続制御を行うものであって、通信データ処理部1221、システムROM1222及びオーディオインターフェース1223を有しており、無論計時手段を有している。通信データ処理部1221は、CLEP系ボコーダ&音声復号処理回路、パケットデータ生成回路、及びパケットデータ復元回路を含み、通信プロトコルに沿ったデータ処理を行う。
【0022】
システムROM1222には、OSのような基本システムが格納されるとともに、加入者情報記憶部1224及び位置情報演算処理部1225が設けられる。加入者情報記憶部1224は、基地局2とのネゴシエーションに必要となる当該携帯電話1に固有のIDである端末ID、加入者ID情報を記憶する。位置情報演算処理1225は、GPS処理用のアプリケーションが格納され、このアプリケーションに沿ってGPS衛星3からの位置情報の受信により位置情報(緯度・経度情報)が取得される。オーディオインターフェース1223は、通信データ処理部1221で処理される音声信号の入出力を行うものであって、前記スピーカ101、マイク114及び録音用マイク115が接続されている。なお、入力部は、前記緊急キー104〜テンキー113等で構成される。
【0023】
アドレス・データバス処理部123は、制御部122と周辺回路(破線枠内の回路)とのデータの入出力タイミング等を制御・管理するものである。RAM124は、アドレス帳データやメールデータ等、当該携帯電話1内で生成される各種データを記憶する。プログラムROM(NAND Flash)125は、各種アプリケーションプログラムを格納する。音源IC126は、報知音の波形を記憶するともに出力するものであって、合成音声を生成する。アンプ127は音源IC126からの出力を増幅し、前記報知用スピーカ120はこれを再生する。
【0024】
表示モジュール系ドライバ128は、前記メイン表示部102、サブ表示部116、報知用LED117、及びフラッシュ用LED119を駆動するものである。撮像デバイス130は、前記撮像レンズ118により被写体像が結像されるCCD等からなり、DSP129は、この撮像デバイス130からの画像信号を処理するものである。
【0025】
次に、以上の構成に係る本実施形態の動作について説明する。制御部122は、プログラムROM125に格納されているプログラムに基づき、図4に示すフローチャートに従って処理を実行する。すなわち、制御部22は、常時、緊急キー104に対する操作の有無を監視し(ステップS101)、緊急キー104に対する操作がない場合には、撮像レンズ118により撮像デバイス130上に結像された画像を撮影する撮影処理や、着呼及び発呼処理等のその他の処理を実行する(ステップS102)。
【0026】
そして、ユーザが緊急通報センター6への通報を行うべく、緊急キー104に対する操作を行うと(ステップS101;YES)、複数のGPS衛星3から送信される電波を受信することにより現在位置情報(緯度・経度)を取得する(ステップS103)。次に、予め都市設定がなされているか否かを判断する(ステップS104)。都市設定が成されている場合には、前記ステップS103で取得した位置情報(緯度・経度)に基づき、現在位置が当該設定された都市であるか否かを判断する(ステップS105)。このステップS105での判断の結果、現在位置が当該設定された都市でない場合には、以降の処理を実行することなく、ENDに進む。
【0027】
他方、都市設定がなされていない場合(ステップS104;YES)、あるいは現在位置が当該設定された都市である場合には(ステップS105;YES)、前記ステップS103で取得した位置情報(緯度・経度)において、下5桁をメイン表示部102に表示させる(ステップS106)。すなわち、図5(A)に示すように、現在位置の緯度・経度が、例えば「北緯36.40.30.05」、「東経139.18.60.03」であったとすると、メイン表示部102には緊急位置情報として同図(B)に示すように、「北緯0分30.05秒」「東経8分60.03秒」と表示する。また、これと同時に、GPS衛星3からの電波受信感度及び推定精度も表示する(ステップS106)。
【0028】
しかる後に、緊急通報センターへの接続処理を行って、当該携帯電話1を基地局2、及び通信サービス会社4を介して緊急通報センター6に接続させる(ステップS107)。引き続き、合成音声キー105が操作されたか否かを判断し(ステップS109)、操作されない場合には、マイク114から入力された音声を緊急通報センター6に送信する(ステップS109)。つまり、この場合、ユーザはメイン表示部102に表示された「北緯0分30.05秒」「東経8分60.03秒」を読み上げる。すると、その音声がマイク114から入力されて緊急通報センター6に送信される。
【0029】
また、合成音声キー105が操作された場合には(ステップS109;YES)、ユーザはメイン表示部102に表示された「北緯0分30.05秒」「東経8分60.03秒」を音声合成して、緊急通報センター6に送信する(ステップS110)。
【0030】
一方、図6に示すように、各都市A,B,C・・・は、最低経度、最高緯度、最高経度、最低緯度の範囲内にある。また、前述のように緊急通報センター6は、各都市毎A,B,C・・・に存在し、当該都市A,B,C・・・内において固定電話又は携帯電話を用いて前記緊急電話番号で発信を行った場合には、当該都市A,B,C・・・内に存在する緊急通報センター6に電話が接続される。したがって、緊急通報センター6において、基地局2及び通信サービス会社4を介して携帯電話1から着信があった場合、当該携帯電話1の送信位置は当該都市内であることが既知である。よって、緊急通報センター6の職員において、ユーザから下5桁の緯度・経度を知らされるのみより、ユーザの現在位置を正確に把握することができる。また、ユーザにあっては、表示された所定複数の下位桁からなる緯度・経度を読み上げればよいのであるから、通報に時間を要してしまうこともなく、表示されている緯度・経度の全桁を読み上げる際に間違いが生じ難いこととなる。
【0031】
なお、本実施の形態においては位置情報(緯度・経度)の下5桁を用いるようにしたが、これに限ることなく、より少ない桁数あるいはより多い桁数を用いるようにしてもよい。
【0032】
(第2の実施の形態)
図7は、本実施の形態に係るシステムの構成を示すブロック図である。図において、携帯電話1は、さらにブルーツゥース等の近距離通信機能を備えている。また、ネットワーク接続機器は、PC等であって有線で通信サービス会社4に接続され、かつ携帯電話1との近距離通信機能をも備えている。通信サービス会社4の通信回路処理部41には、携帯留守番センター9が接続されており、携帯留守番センター9は他の携帯電話あるいは固定電話から携帯電話1に対する留守番メッセージを保存及び送信するサーバである。
【0033】
図8は、本実施の形態における携帯電話1の構成を示すブロック図である。このブロック図において、前記ネットワーク接続機器8と近距離通信を行うための近距離通信処理部150が追加された以外は、図3に示した実施の形態と同一構成であるので、同一部分に同一符号付して説明を省略する。
【0034】
次に、以上の構成に係る本実施形態の動作について説明する。制御部122は、プログラムROM125に格納されているプログラムに基づき、図9(A)に示すフローチャートに従って処理を実行する。すなわち、制御部22は、常時、基地局2(図1参照)と通院可能であるか否かを監視する(ステップSA1)。そして、基地局2と通信可能であれば、基地局2を介した通常の通信処理を実行する(ステップSA2)。したがって、この基地局2を介した通常の通信処理が実行されることにより、前述した第1の実施の形態における緊急通報が可能となる。
【0035】
一方、電波状況が悪く基地局2との通信が不可能である場合には(ステップSA1;NO)、近くに近距離通信接続可能な機器があるか否かを判断する(ステップSA3)。そして、近くに近距離通信接続可能な機器がある状態になった場合、例えばネットワーク接続機器8と近距離通信接続可能な状態となった場合には(ステップSA3;YES)、近距離通信によりネットワーク接続機器8の登録電話番号を取得する(ステップSA4)。さらに、ネットワーク接続機器8にこの登録電話番号を、当該携帯電話1の臨時的な登録番号として携帯留守番センター9に通報するように指示する(ステップSA5)。
【0036】
すると、ネットワーク接続機器8は、この指示を受けて携帯留守番センター9に、当該携帯電話1の臨時的な登録番号として前記登録番号を通知する。したがって、以降携帯留守番センター9に保存された携帯電話1宛ての留守番メッセージがネットワーク接続機器8に送信されてくることとなる。よって、携帯電話1は、当該携帯電話1を基地局2に接続不可能な電波状況下であっても、自己に対する留守番メッセージを、ネットワーク接続機器8を介して取得することが可能となる。
【0037】
(第3の実施の形態)
【0038】
本発明の第3の実施の形態における携帯電話1の回路構成は、図3に示した第1の実施の形態の携帯電話1と同様である。但し、この携帯電話1は、IP携帯電話であり、図10に示すように、RAM124に設けられたアドレス帳エリア1241には、他人C〜FのIPアドレスC〜Fが登録されている。
【0039】
次に、以上の構成に係る本実施形態の動作について説明する。制御部122は、プログラムROM125に格納されているプログラムに基づき、図11に示すフローチャートに従って処理を実行する。すなわち、本実施の形態に係る携帯電話1は、IP電話であることから、移動に伴ってIPが変化する。したがって、制御部22は、常時、IPが変わったか否かをチェックする(ステップS301)。そして、IPが変わっていない場合には、通常の通信処理を実行する(ステップS302)。したがって、通常の通信処理が実行されることにより、前述した第1の実施の形態における緊急通報が可能となる。
【0040】
一方、移動に伴ってIPが変わった場合には、新IPを設定する(ステップS303)。さらに、この設定した新IPをアドレス帳エリア1241に登録されているアドレスに送信する(ステップS304)。したがって、ユーザAの携帯電話1のIPが変わった場合には、ユーザAのアドレス帳エリア1241に登録されている他人C〜Fの携帯電話1がユーザAの新IPを受信することとなる。よって、AのIPが変わっても、他人C〜FはユーザAとIP通信を行うことが可能となる。
【0041】
(第3の実施の形態の変形例)
【0042】
図12は、本発明の第3の実施の形態におけるシステム構成を示す図である。携帯電話Aの所有者は、固定電話Bの所有者でもあり、携帯電話C〜Fは、他人が所有するものである。なお、携帯電話A、携帯電話C〜Fの回路構成は、図3に示した第1の実施の形態の携帯電話1と同様である。但し、この携帯電話1は、IP携帯電話である。
【0043】
次に、以上の構成に係る本実施形態における携帯電話Aの動作について説明する。制御部122は、プログラムROM125に格納されているプログラムに基づき、図13に示すフローチャートに従って処理を実行する。すなわち、携帯電話Aは、IP電話であることから、移動に伴ってIPが変化する。したがって、制御部22は、常時、IPが変わったか否かをチェックする(ステップS401)。そして、IPが変わっていない場合には、通常の通信処理を実行する(ステップS402)。よって、通常の通信処理が実行されることにより、前述した第1の実施の形態における緊急通報が可能となる。
【0044】
一方、移動に伴ってIPが変わった場合には、新IPを設定する(ステップS403)。さらに、この設定した新IPを固定電話Bに送信する(ステップS404)。したがって、携帯電話AのIPが変わっても携帯電話Aと固定電話Bとは電話接続可能な状態に維持される。そして、固定電話Bに着信があった際には、固定電話Bは携帯電話Aに転送し、携帯電話Aは固定電話Bからの転送を受信して、通話処理を実行する(ステップS405)。したがって、携帯電話C〜Fのユーザは、移動に伴って携帯電話AのIPが変わることとは無関係に、常に固定電話Bに自己の携帯電話を接続させれば、携帯電話Aのユーザと通話を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるシステム構成図である。
【図2】(a)は本実施の形態における携帯電話の正面図、(b)は背面図である。
【図3】第1の実施の形態における携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施の形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図5】同の実施の形態における表示画面例を示す図である。
【図6】都市と最低及び最高緯度・経度との関係を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態におけるシステム構成図である。
【図8】同実施の形態における携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図9】同実施の形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施の形態におけるアドレス帳エリアを示す図である。
【図11】同実施の形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第3の実施の形態の変形例におけるシステム構成図である。
【図13】同変形例における処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 携帯電話
2 基地局
2 無線基地局
3 GPS衛星
6 緊急通報センター
8 ネットワーク接続機器
9 携帯留守番センター
22 制御部
41 通信回路処理部
102 メイン表示部
103 アンテナ
104 緊急キー
105 合成音声キー
114 マイク
121 無線部
122 制御部
123 データバス処理部
124 RAM
125 プログラムROM
126 音源IC
127 アンプ
150 近距離通信処理部
1221 通信データ処理部
1222 システムROM
1223 オーディオインターフェース
1224 加入者情報記憶部
1225 位置情報演算処理
1225 位置情報演算処理部
1241 アドレス帳エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緯度・経度により現在位置を取得する位置情報取得手段と、
表示手段と、
前記位置情報取得手段が取得した現在位置の緯度・経度において、所定複数の下位桁を緊急位置情報として前記表示手段に表示する表示制御手段と
を備えることを特徴とする携帯機器。
【請求項2】
都市を設定する都市設定手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記設定手段により設定された都市内において、前記位置情報取得手段が取得した現在位置の緯度・経度の所定複数の下位桁を緊急位置情報として前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項3】
緊急時に操作される操作手段をさらに備え、
前記表示制御手段は、前記操作手段に対する操作に応答して、前記位置情報取得手段が取得した現在位置の緯度・経度における、所定複数の下位桁を緊急位置情報として前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記現在位置の緯度・経度における所定複数の下位桁とともに、電波受信感度や推定精度等の他の情報を表示することを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項5】
前記所定複数の下位桁の数値を音声合成する音声合成手段と、
この音声合成手段により合成された前記前記所定複数の下位桁の数値からなる音声を所定の通報先に送信する送信手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の携帯機器。
【請求項6】
前記送信手段とは異なる近接無線通信手段をさらに備えることを特徴とする請求項5記載の携帯機器。
【請求項7】
前記送信手段は、IP携帯電話が有する送信機能であることを特徴とする請求項5記載の携帯機器。
【請求項8】
緯度・経度により現在位置を取得する位置情報取得手段と、表示手段とを備える携帯機器が有するコンピュータを、
前記位置情報取得手段が取得した現在位置の緯度・経度において、所定複数の下位桁を緊急位置情報として前記表示手段に表示する表示制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−186508(P2006−186508A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375986(P2004−375986)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】