説明

撮像素子および撮像装置

【課題】電池の小型化が達成できる撮像素子および撮像装置を提供。
【解決手段】半導体基板125の上部には、透明絶縁膜124が積層され、その上に、太陽電池204を構成する透明電極膜206、p型導電膜208、n型導電膜210、透明電極膜212がこの順に、下から上に積層されている。太陽電池204の上に、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)をそれぞれ検出する光電変換膜123r、123g、123bが積層される。太陽電池204は、赤外域に感度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子、および当該撮像素子を用いた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子として、従来からフォトダイオードを用いたものが使用されている。フォトダイオードを用いた撮像素子では、多数の受光素子が、同一平面状の異なる位置に配置され、異なる色は、異なる水平位置で検知される。近年、これとは異なり、特許文献1に記載するような3層の光電変換膜を積層した構造で、各層が有機材料からなる撮像素子が提案されている。それぞれの層は、異なる色に対して感度を持つ。有機膜を使った撮像素子においては、同一位置にある3層で赤緑青(RGB)の3色を検知できるというメリットがある。
【特許文献1】特開2003−332551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フォトダイオードを用いた撮像素子、または3層の積層構造で、各層が有機材料からなる撮像素子を用いたデジタルカメラにおいて、カメラの小型化の要求は強い。しかし、カメラの機能が高くなると、消費電力がそれに応じて増えるため、内蔵する電池のサイズや重量が大きくなり、小型化しにくい問題があった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑み、フォトダイオードを用いた撮像素子および積層構造の撮像素子のいずれにおいても、電池の小型化が達成できる撮像素子および撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上述の課題を解決するために、撮像素子は、入射光を光電変換する光電変換部と、得られた信号電荷を蓄積する電荷蓄積部と、太陽電池とを含み、光電変換部と太陽電池は上下方向に積層されていることを特徴とする。これによれば、撮像素子において、太陽電池により発電し、発生した電力を撮像装置の電力として使うことで、内蔵する電池または外部接続する電池の小型化が可能であり、また撮影枚数の増加が可能となる。
【0006】
この撮像素子において、太陽電池は、少なくとも赤外線領域に感度を有することが好ましい。この場合、可視域に感度を有する撮像素子のとき、撮像素子にとって無用な赤外線から電力を生成することができる。また、太陽電池を光電変換部の上に配置する場合、画像の撮影においては有害である赤外線をカットすることができる。従来は、赤外線は赤外カットローパスフィルタでカットされていた。本発明によれば、赤外カットローパスフィルタが不要になるという効果もある。
【0007】
この撮像素子において、太陽電池を、光電変換部の下に配置してもよい。このときは、太陽電池は、赤外線領域以外に感度を有してもよい。なぜならば、光電変換部により、可視域の光が吸収され、太陽電池には、主として、赤外線領域の光のみが入射するからである。
【0008】
本発明においては、太陽電池は、電荷蓄積部と同一層に配置されていることが好ましい。このときは、配線が簡単になり、また、低コストになる。電荷蓄積部等をパターニングするときに、同時に、太陽電池もパターニングすることができるからである。なお、電荷蓄積部は、太陽電池の下に配置してもよい。この場合は、太陽電池の面積が大きくなるため、発電量が増えるという利点がある。
【0009】
なお、太陽電池は、光電変換部の上に配置してもよい。このときに、太陽電池は、透明であることが好ましい。透明でないときは、太陽電池は、薄くする、または撮像素子の全面ではなく部分的に太陽電池を配置することが好ましい。
【0010】
太陽電池は、光電変換部の下または上に限らず、光電変換部の中間部に配置してもよい。
【0011】
これらの撮像素子において、電荷蓄積部は、CMOS回路で構成してもよく、また、有機半導体を用いて構成してもよい。
【0012】
このような撮像素子を用いた撮像装置においては、太陽電池の出力電圧を検出する電圧検出回路と、検出結果に基づいて太陽電池の出力を制御する制御回路とを含むことが好ましい。太陽電池の出力電圧に応じて、適切に太陽電池の出力を制御することができるからである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮像素子において、太陽電池により発電し、発生した電力を撮像装置の電力として使うことで、内蔵する電池または外部接続する電池の小型化が可能であり、また撮影枚数の増加が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に添付図面を参照して本発明による撮像素子の実施例を詳細に説明する。図1を参照すると、図1は、光電変換膜積層型固体撮像素子100の表面模式図である。この撮像素子は、光電変換部として、有機材料からなる光電変換膜を用いており、光電変換膜が、3層、積層されている。本実施例では、太陽電池は、光電変換膜の下に配置されている。なお、本発明は、光電変換膜積層型固体撮像素子に限られるものではなく、フォトダイオードを用いた固体撮像素子にも適用することができる。
【0015】
光電変換膜積層型固体撮像素子100には、多数の受光部101が、この例では正方格子状に配列されている。受光部101の下側に設けられた半導体基板の表面には、列方向に並ぶ受光部101と重なる位置に垂直転送路、すなわち列方向CCD(Charge Coupled Device)レジスタ102が形成されており、半導体基板の下辺部には水平転送路、すなわち行方向CCDレジスタ103が形成されている。
【0016】
水平転送路103の出口部分には増幅器104が設けられ、各受光部101で検出された信号電荷は、先ず、垂直転送路102によって水平転送路103に転送され、次に水平転送路103によって増幅器104まで転送され、増幅器104から出力信号105として出力される。
【0017】
半導体基板の表面には、電極端子106、107、108が設けられ、電極端子106、107、108は、後述する転送電極に接続され、転送電極は、垂直転送路102に重ねて設けられている。また、半導体基板の表面には、受光部101の後述する共通電極膜に接続される電極端子109、110、111が設けられ、水平転送路103の転送用の電極端子112、113も設けられる。太陽電池の後述する透明電極に接続される電極端子200、202も設けられる。
【0018】
図2は、図1の矩形枠II内の拡大模式図であり、4つの受光部101を部分的に切り取った拡大図である。列方向に並ぶ受光部101と隣の列の受光部101との間には、受光部1個に対してこの例では3つの接続部121r、121g、121bが設けられている。尚、r、g、bの添え字は、以下も同様であるが、検出する入射光の色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応する。
【0019】
図3は、図2のIII-III線断面模式図である。半導体基板125の上部には、先ず透明絶縁膜124が積層され、その上に、太陽電池204を構成する透明電極膜206、p型導電膜208、n型導電膜210、透明電極膜212がこの順に、下から上に積層されている。透明電極膜206、p型導電膜208、n型導電膜210、透明電極膜212は、受光部101毎に区分けして設ける必要はなく、各受光部101が集合する受光面全面に対し1枚構成で積層される。なお、区分けして設けることも可能である。
【0020】
太陽電池204の上に、透明絶縁膜124が積層され、その上部に、受光部101毎に区分けされた電極膜(以下、画素電極膜という。)120rが積層され、その上部に、赤色(R)を検出する光電変換膜123rが積層される。この光電変換膜123rは受光部毎に区分けして設ける必要はなく、各受光部101が集合する受光面全面に対し1枚構成で積層される。
【0021】
光電変換膜123rの上には、赤色信号を検出する各受光部101に共通の共通電極膜122rがこれも1枚構成で積層され、その上部に、透明の絶縁膜124が積層される。
【0022】
絶縁膜124の上部には、受光部101毎に区分けされた画素電極膜120gが積層され、その上に、緑色(G)を検出する光電変換膜123gが上記と同様に1枚構成で積層され、さらにその上部に、共通電極膜122gが積層され、その上部に、透明の絶縁膜124が積層される。
【0023】
この絶縁膜124の上部には、受光部101毎に区分けされた画素電極膜120bが積層され、その上に、青色(B)を検出する光電変換膜123bが上記と同様に1枚構成で積層され、さらにその上部に、共通電極膜122bが積層される。
【0024】
各受光部毎の画素電極膜120b、120g、120rは、入射光方向に整列して設けられる。すなわち、本実施形態に係る光電変換膜積層型固体撮像素子100では、1つの受光部101で赤色(r)、緑色(g)、青色(b)の3色を検出する構成であり、以下、単に「画素」と述べた場合には、3色を検出する受光部101を指し、色画素とか赤色画素,緑色画素,青色画素と述べた場合には、それぞれの色を検出する部分画素(共通電極膜と1つの画素電極膜とで挟まれた光電変換膜の部分)をいうものとする。
【0025】
図2に示す接続部121bは青色画素電極膜120bに接続され、接続部121gは緑色画素電極膜120gに接続され、接続部121rは赤色画素電極膜120rに接続される。また、図1の電極端子200、202は、それぞれ電極膜206、212に接続され、電極端子109、110、111は、それぞれ、共通電極膜122b、122g、122rに接続される。
【0026】
均質な透明の電極膜206、212、122r、122g、122b、120r、120g、120bとしては、酸化錫(SnO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化インジウム(InO2)、酸化インジウム-錫(ITO)薄膜を用いるが、これに限るものではない。
【0027】
太陽電池204のp型導電膜208、n型導電膜210は、透明材料、不透明材料、有機材料のいずれでもよい。p型導電膜208を、透明材料を用いて実施するときは、たとえば、p型酸化物透明導電膜を用いることができる。p型酸化物透明導電膜としては、Cuを含むデラフォサイト構造を用いることができる。具体的には、CuAlO2、CuInO2、CuGaO2またはSrCu2O2等である。n型導電膜208を、透明材料を用いて実施するときは、たとえば、n型酸化物透明導電膜を用いることができる。具体的には、ZnO、In2O3、SnO2、CdIn2O4、MgIn2O4、ZnGa2O4またはInGaZnO4等である。
【0028】
不透明材料としては、結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等がある。有機材料としては、p型材料については、無金属フタロシアニン、各種金属フタロシアニン、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン系誘導体、スチルベン系誘導体等を用いることができる。また、p型有機半導体層1の形成方法としては、真空蒸着法や溶媒塗布法を挙げることができる。n型材料については、C60、C70等のフラーレンを用いることができる。フラーレン膜の形成方法としては真空蒸着法が用いられる。あるいは、溶媒への溶解度を高めたフラーレン誘導体を形成し、溶媒塗布法を用いて形成する。
【0029】
光電変換膜123r、123g、123bとしては、単層膜でも多層膜でもよく、膜材料としては、シリコンや化合物半導体等の無機材料,有機半導体,有機色素などを含む有機材料,ナノ粒子で構成した量子ドット堆積膜など種々の材料が使用できる。
【0030】
図4は、図2に示す状態から、図3の絶縁膜124より上(後述の光遮光膜144から上)を取り払った状態を示す半導体基板の表面模式図である。1つの画素101に対して3つの転送電極130r、130g、130bが設けられており、転送電極130rの左隣には当該画素101の赤色画素で発生した信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域132rが形成され、転送電極130gの左隣には当該画素101の緑色画素で発生した信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域132gが形成され、転送電極130bの左隣には当該画素101の青色画素で発生した信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域132bが形成されている。
【0031】
各転送電極130r、130g、130bの下には、転送チャネル102が設けられており、これらの電荷転送チャネル102と電荷蓄積領域132r、132g、132bとの間には電位障壁が設けられ、各転送電極130r、130g、130bは、対応する電位障壁を越えて、電荷蓄積領域132r、132g、132bの端部上まで延設される。すなわち、これらの転送電極130r、130g、130bはそれぞれ赤色信号電荷、緑色信号電荷、青色信号電荷の読出電極も兼用している。
【0032】
各電荷蓄積領域132r、132g、132bの中央には、柱状の配線電極146r、146g、146bが設けられており、配線電極146r、146g、146bはそれぞれ、電荷蓄積領域132r、132g、132bと、赤色画素電極膜120r、緑色画素電極膜120g、青色画素電極膜120bとを接続する。
【0033】
図5は、図4のV−V線断面模式図であり、図3に示す半導体基板125上に積層された部分の断面も含む図である。n型半導体基板140の表面部にはPウェル層141が形成され、このPウェル層141に、電荷転送チャネルを構成するn型半導体領域142と、中心表面部に上記接続部146rが形成された赤色信号電荷蓄積領域132rが形成されている。
【0034】
Pウェル層141の表面にはゲート絶縁膜143が形成され、その上に、転送電極(読出電極)130rが形成され、また、ゲート絶縁膜143を貫通し赤色画素電極膜120rの図2に示す接続部121rまで達する柱状の配線電極146rが形成されている。
【0035】
電極135や転送電極130rの上部には、絶縁膜145が積層され、この絶縁膜145内には遮光膜144が埋設され、絶縁膜145の上に、図3に示す最下層の絶縁膜124が積層されている。図3に示す半導体基板125は、図4では、n型半導体基板140から絶縁膜145までに相当する。
【0036】
図5は、図4のV−V線断面模式図であるため、赤色画素電極膜120rに接続される配線電極146rが示されるが、緑色画素電極膜120gに達する配線電極や、青色画素電極膜120bに達する配線電極は、図5の紙面の向こう側および手前側に立設される。そして、赤色(R)用の配線電極146r周りの信号電荷蓄積領域132rや転送電極130r、電荷転送チャネル142の配置及び構造は、他色用の配線電極周りでも同じである。
【0037】
本発明では、太陽電池として、赤外線に光感度を有する光導電材料からなる光電変換層を用いることで、太陽光の赤外線エネルギーを有効活用することによって、光変換効率の高い太陽電池を提供することができる。このときは、可視から赤外まで、光透過性が高くかつ導電性の高い透明導電体層を、赤外線に光感度を有する光導電材料と組合せることが好ましい。このような、透明導電体層としては、たとえば、有機インジウム金属化合物含有溶液を、基板に塗布し、熱分解して形成した酸化インジウム含有透明導電体層がある。導電性がやや低い透明導電体層としては、可視から赤外まで光透過性が高い酸化亜鉛を用いたものがある。
【0038】
赤外線に光感度を有する光電変換層に含まれる光導電材料としてはシリコン(非晶、単結晶、多結晶)、GaAs、CdS等の無機化合物およびスクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物等の有機化合物が挙げられる。780nm以上の赤外光に吸収がある光導電材料であればよい。また、p型やn型にするために、ほう素やリン等の添加剤を加えても構わない。
【0039】
本実施例では、電荷蓄積部は、太陽電池の下に配置されているが、太陽電池は、電荷蓄積部と同一層に配置してもよい。また、本実施例では、電荷蓄積部は、CMOS回路で構成しているが、電荷蓄積部は、有機半導体を用いて構成してもよい。
【0040】
次に本発明の別の実施例を説明する。この実施例では、太陽電池は、光電変換部の上に配置する。図6は、本実施例の光電変換膜積層型固体撮像素子の断面模式図である。既述の実施例の図5に相当するものである。既述の実施例と異なる点は、太陽電池204が、光電変換部の上にある点であり、太陽電池204の構成は、既述の実施例と同様である。なお、既述の実施例と同様の部分については、同一の参照符号を付し、その説明は省略する。
【0041】
既述の実施例では、太陽電池204は、不透明でも可能であったが、本実施例では、太陽電池204は、透明であることが好ましい。不透明な場合は、薄いことが好ましい。とくに、太陽電池204が、赤外域に感度を有することが好ましく、可視光の赤色の領域に感度を有しないことが望ましい。赤の領域に感度を有すると、赤色の光を吸収してしまい、受光部の赤色の出力信号が低下するからである。なお、太陽電池204の上には、透明な保護膜214を設ける。
【0042】
本実施例のメリットは、太陽電池204が赤外域に感度を有する場合、赤外光がRGBの感光部に入る前に赤外線の多くが、太陽電池に吸収されるため、とくにRなど、波長の長い部分に感度を有する層に対して、色の純度を高くできるという点である。
【0043】
次に、これらの撮像素子を用いた撮像装置の実施例について説明する。本実施例は、本発明の固体撮像素子をディジタルカメラ10に適用した場合である。本発明と直接関係のない部分について図示および説明を省略する。以下の説明で、信号は、その現れる接続線の参照番号で指示する。
【0044】
ディジタルカメラ10の光学系12は、被写界からの入射光を、撮像部14において画像に結像させる。撮像部14には、図1に示す固体撮像素子100が含まれる。固体撮像素子100は、既述のように入射光を色分解し、この分解された色成分の光を受光部101で信号電荷に変換し、蓄積し、さらに電気信号として出力する。固体撮像素子100は、蓄積された信号電荷を垂直転送路102に読み出して、垂直方向に順次転送する。垂直に転送された信号電荷は、水平転送路103を経て、出力信号105として、前処理部22に供給される。
【0045】
前処理部22は、アナログフロントエンド(AFE)機能を有する。この機能は、供給されるアナログ電気信号105に対する相関二重サンプリング(CDS)によるノイズ除去と、ノイズが除去されたアナログ電気信号のディジタル化、すなわちA/D変換である。前処理部22は、得られたディジタル信号216をメモリ部24に出力する。
【0046】
メモリ部24は、供給されるディジタル信号216を一時格納し、出力する機能を有する。メモリ部24は、入力されたディジタル信号216をディジタル信号218として、バス220、信号線222を介して信号処理部26に出力する。
【0047】
信号処理部26は、供給されるディジタル信号222に信号処理を施す機能を有する。信号処理部26は、図示しないAF制御機能部、AE制御機能部、AWB(Automatic White Balance)制御機能部等を含む。AF制御機能部は、生成した画像データを基に焦点調節する機能を有する。AE制御機能部は、生成した画像データを基に評価値を求めて、絞りおよびシャッタ速度を調節する機能を有する。AF制御機能部およびAE制御機能部は、図示しない制御信号を信号線222、バス220および信号線224を経てシステム制御部28に送る。AWB制御機能部は、生成した画像データを基にホワイトバランスを調節する機能を有する。
【0048】
システム制御部28は、撮像部14を制御する制御信号226を生成して、ドライバ部20に、信号線226を介して出力する。ドライバ部20は、撮像部14の固体撮像素子100に対して垂直および水平同期信号、フィールドシフトゲート信号、垂直および水平タイミング信号等、各種のタイミング信号を生成して、信号線228を介して固体撮像素子100に出力する機能を有する。
【0049】
本実施例の撮像素子100は、太陽電池204が発生した電力を出力するための出力端子200、202を有している点で、従来の撮像素子と異なる。出力端子200、202は、電力線230を介して電圧検出制御回路232へ接続される。電圧検出制御回路232は、電圧の大きさを検知し、所定以上の電圧であれば、電源回路234に、電力線236を介して太陽電池204が生成した電力を供給する。電源回路234は、供給された電力の電圧を調整して所定の電圧にするとともに、カメラ10が内蔵する電池(図示しない)により供給される電力と合わせて、カメラ10の各部へ電力を供給する。電圧検出制御回路232は、所定以下の電圧であれば、電源回路234に、太陽電池204が生成した電力を供給しない。このとき電源回路234は、電池のみからカメラ10各部へ電力を供給する。
【0050】
電圧検出制御回路232は、以上の処理を、撮影が行われている間行う。電圧検出制御回路232は、撮影が行われているかどうかを、信号線242によりシステム制御部28から送られてくる信号により判断する。なお、電圧検出制御回路232は、以上の処理を、撮影が行われていないときにも行なってもよい。そのときは、レンズキャップを外して、太陽電池204により電力を生成させて、太陽電池204が生成した電力を、電源回路234を介して、電池に充電するようにしてもよい。
【0051】
電源回路234は、場合によっては、太陽電池204の出力を、その供給可能な電力量に合わせて、カメラ10の決まった部分へ供給するように、太陽電池204による電力系統と、電池による電力系統とを別々としてもよい。
【0052】
次に、このカメラにおける電源の制御方法について、図8により説明する。図8は、本発明の太陽電池内蔵有機撮像素子を使用したカメラ10の電源制御に関するフローチャートである。カメラ10の電源スイッチが押され、さらにシャッタが操作されて、撮影指示がカメラ10に入力されると、電圧検出制御回路232は、撮像素子100の太陽電池204の出力電圧の大きさを検出する(ステップS10)。次に、検出した出力電圧が所定値以上であるかどうかを判断する(ステップS12)。出力電圧の大きさが所定値以上であれば、電源回路234に太陽電池の電力を供給する。電源回路234は、電池により供給される電力と合わせて、カメラ10の各部へ電力を供給する(ステップS14)。その後、カメラ10は撮影シーケンスに入り、一連の撮影のための処理に入る(ステップS16)。電圧検出制御回路232は、撮影シーケンスが終了しているかどうかを、システム制御部28からの信号により判断し(ステップS18)、撮影が終了していないときは、ステップS10に戻る。撮影が終了していると判断したときは、動作を終了する。
【0053】
ステップS12において、出力電圧の大きさが所定値未満であれば、電圧検出制御回路232は、電源回路234に太陽電池の電力を供給しない。電源回路234は、電池により供給される電力のみを、カメラ10の各部へ電力を供給する(ステップS20)。その後、カメラ10は撮影シーケンスに入り、一連の撮影のための処理に入る(ステップS22)。その後、電圧検出制御回路232は、ステップS18に進む。
【0054】
なお、ディジタルカメラ10は、図7に示す色補正回路238を有してもよい。色補正回路238は、次のような理由から設ける。赤色に関する受光部が赤外光の影響を受けないようにするために、赤色に関する受光部の感光波長域を狭くして、赤外域の光を確実に排除するようにした場合、当該受光部の出力信号の大きさが低下する可能性がある。その結果、得られた画像に赤味が不足することがある。そこで、色補正回路238により、不足した赤味を補うこととする。
【0055】
色補正回路238は、図7に示すメモリ部24から、画像信号のうち、赤色のデータを、信号線240を介して入力される。色補正回路238は、入力されたデータに対して、所定の1より大きい定数を掛ける。得られたデータを、信号線240を介してメモリ部24に格納する。所定の定数は、カメラの工場出荷前に、適正な値を測定して、出荷時にカメラの不揮発性メモリに書き込んでおく。または、工場出荷後に、ユーザの設定により、変更することができるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施例に係る光電変換膜積層型固体撮像素子の表面模式図である。
【図2】図1に示す矩形枠II内の拡大模式図である。
【図3】図2のIII−III線断面模式図である。
【図4】図2の状態から半導体基板の上に積層されている光電変換膜等を取り払った状態を示す半導体表面の模式図である。
【図5】図4のV−V線断面模式図である。
【図6】本発明の別の実施例の光電変換膜積層型固体撮像素子の断面模式図である。
【図7】本発明の固体撮像素子を適用したディジタルカメラの実施例の概略的な構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の太陽電池内蔵有機撮像素子を使用したカメラ10の電源制御に関するフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
100 受光部
101 受光部(画素)
102 垂直転送路
103 水平転送路
120r、120g、120b 透明の画素電極膜
122r、122g、122b 透明の共通電極膜
123r、123g、123b 光電変換膜
124 透明絶縁膜
130r 転送電極(読出電極)
131r 接続部
132r 信号電荷蓄積領域(n型半導体領域)
134r p型不純物領域
135 電極
140 n型半導体基板
206、212 透明電極膜
208 p型導電膜
210 n型導電膜
232 電圧検出制御回路
234 電源
238 色補正回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を光電変換する光電変換部と、得られた信号電荷を蓄積する電荷蓄積部と、太陽電池とを含み、該光電変換部と該太陽電池は上下方向に積層されていることを特徴とする撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、前記太陽電池は、赤外線領域に感度を有することを特徴とする撮像素子。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像素子において、前記太陽電池は、前記光電変換部の下に配置されていることを特徴とする撮像素子。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像素子において、前記太陽電池は、前記電荷蓄積部と同一層に配置されていることを特徴とする撮像素子。
【請求項5】
請求項3に記載の撮像素子において、前記電荷蓄積部は、前記太陽電池の下に配置されていることを特徴とする撮像素子。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像素子において、前記太陽電池は、前記光電変換部の上に配置されていることを特徴とする撮像素子。
【請求項7】
請求項5に記載の撮像素子において、前記太陽電池は、透明であることを特徴とする撮像素子。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれかに記載の撮像素子において、前記電荷蓄積部は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)回路で構成されることを特徴とする撮像素子。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれかに記載の撮像素子において、前記電荷蓄積部は、有機半導体を用いて構成されることを特徴とする撮像素子。
【請求項10】
入射光を光電変換する光電変換部と、得られた信号電荷を蓄積する電荷蓄積部と、太陽電池と、該太陽電池の出力電圧を検出する電圧検出回路と、該検出結果に基づいて該太陽電池の出力を制御する制御回路とを含み、該光電変換部と該太陽電池は上下方向に積層されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
入射光を光電変換する光電変換部と太陽電池 とを上下方向に積層した撮像素子の制御方法において、該太陽電池の出力電圧を検出し、該検出結果に基づいて該太陽電池の出力を制御することを特徴とする撮像素子の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−66402(P2008−66402A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240570(P2006−240570)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】