説明

断層撮影装置及び断層撮影方法

対象体の断層撮影データを取得する装置であって、放射線源(50)と、複数のラインディテクタ(41)を備える検出器(42)と、放射線源及び検出器の間の放射線経路に配置される対象体領域(53)と、放射線源及び検出器を対象体と相対移動させる機器(54)とを含み、一方で各ラインディテクタが対象体を透過した放射線の複数の線画像を記録する。放射線源は一次元(y)において対象体を完全に照射するように大きな角度内で放射線を放射すると共に、ラインディテクタは行(71)及び列(72)をなして据え付けられる。各行のラインディテクタは合せて、次元(y)において対象体を完全に検出する程度に大きな開口角度(a)を画定する。移動機器は対象体の断層撮影データを得るために、放射線源及び検出器を対象体と相対的にz軸周りに渦巻き状に移動させるように構成される。渦巻き状運動には一全回転よりもほぼ小さい回転と、z軸に沿った二次元アレイ列の隣接する2個の検出器間距離に対応する距離とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は対象体の断層撮影データを取得する装置及び方法に関する。本発明はまた、対象体の断層撮影データ、トモシンセシスデータ、及び静止画像データを取得する装置及び方法に関する。
【0002】
本発明はコンピュータトモグラフィ(CT)、トモシンセシス、X線撮影、放射線学、医用放射線学顕微鏡法、非破壊検査を含む様々な分野において有用である。
【背景技術】
【0003】
多くの技術分野において、再構築したい物体から得られる様々な投影(例えば視線測定)によって生じる一連の線データから、三次元例証画像を構成することが極めて重要である。例えば、生体或いはその一部の三次元画像を得るためにX線を利用することにより、X線を様々な方向において生体を透過させ、且つX線の吸収を測定することが一般的に知られている。
【0004】
平坦な放射線ビームを生体を通過させると共に、生体の一カット内における吸収量を検出することにより、ほぼ二次元対象体が一次元画像上に投影される。同様に、放射線非収束ビームを三次元の生体を通過させると共に、生体内の吸収量を検出することにより、三次元の生体が二次元画像上に投影される。これにより必然的に情報が重ねられると共に、情報が浪費されることになる。放射線吸収の空間的変化に対して良好な感度を有すると共に重ね効果がより小さくなるように検査を実施したいのならば、複雑な技術が利用されなければならない。
【0005】
渦巻き状走査として知られているコンピュータトモグラフィ(CT)検査法では、放射線ビーム源及び検出器(写真フィルム又はデジタル検出器)が、放射線ビームによって検査される対象体を照射すると共に、対象体を透過した(即ち吸収されず或いは散乱する)放射線量を検出するように配置される。放射線源及び検出器が生体の周りにおいて円形又は他の経路に沿って旋回させられる一方で、対象体は旋回面と直角な方向に直線移動させられ、また検出器の読出しは放射線源及び検出器の旋回の幾つかの位置において、且つ任意で対象体の直線移動の幾つかの位置において行われる。或いは、放射線源及び検出器は渦巻き状に旋回させられる一方で、生体は静止状態で維持される。次に生体の三次元再構築工程が実行されて、生体の様々な構成体、例えば組織、骨、液体充填腔等が様々な吸収を示すことから識別可能となる。
【0006】
上記に説明したような断層撮影装置において放射線を検出する検出機器には、様々な種類のシンチレータベース検出器、気体イオン化検出器及び固体状検出器が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
断層撮影装置に使用される従来の検出装置の欠点としては、高価且つ小型であることから、大型の対象体に対する広範囲な走査を意味する。検出装置は限定的な感度を有すると共に、相対的に悪い空間分解能を備え、且つ騒がしい。また、従来の断層撮影装置は患者への高い放射線量を含む。
【0008】
また、断層撮影装置は一般的に単一の目的のために、即ちCTのために利用されることから、使用範囲がこれに限定される。
従って本発明の目的は、値段が手ごろであり且つ大きな面積の検出器を使用する、人間
の胴体等の大型の対象体の断層撮影データを取得する装置及び方法を提供することにあり、その結果、走査が非常に短い距離だけ行われる一方で、渦巻き状走査CTに十分な断層撮影データを得るために対象体は多様な方向において撮像される。
【0009】
本発明の更なる目的は、値段が手ごろであり且つ大きな面積の検出器を使用する、人間の胴体等の大型の対象体の断層撮影データ、トモシンセシスデータ、及び静止画像データを取得する装置及び方法を提供することにあり、その結果、走査が行われる一方で、渦巻き状走査CT,トモシンセシス、更には静止画像可視化を夫々行うのに十分なデータを得るべく対象体は撮像される。
【0010】
本発明の更なる目的は、感度が高く、効果的であり、高速であり、正確であり、信頼性が高く、可撓性を備え、使用が簡単であり、且つ適切に安価な装置及び方法、並びに非常に低いX線束で作動する装置及び方法を提供し、更には高い空間分解能を備えるデータの記録方法を提供することにある。
【0011】
これらの本発明に係る目的はとりわけ、添付の請求項において請求されている装置及び方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一態様によれば、対象体の断層撮影データを取得する装置が提供される。本装置は放射線を放射するように設けられる発散放射線源と、ラインディテクタの二次元アレイを含む放射線検出器と、発散放射線源及び放射線検出装置の間の放射線経路に配置される対象体領域と、発散放射線源及び放射線検出器を対象体と相対移動させるように設けられる機器とを含む。
【0013】
放射線は対称軸、例えばx軸の周りで、且つ少なくとも対称軸と直交する、即ち例えばy軸に沿った一次元において放射線が対象体の全伸長へ向けられるように、立体角内に集中して放射される。
【0014】
各ラインディテクタは発散放射線源へ向けられる検出感度領域を有すると共に、検出感度領域へ入射する放射線を一次元撮像するために設けられる。ラインディテクタは二次元アレイにおいて行及び列をなすように据え付けられる。各行のラインディテクタは線に沿って端同士が合せて据え付けられると共に、且つ少なくとも一次元において対象体の全伸長へ向けられた放射線を検出する程度に大きい検出開口角度を合せて画定するように、多数を備えると共に各々が所定長さを有する。
【0015】
移動機器は発散放射線源及び放射線検出装置を対象体と相対的に、対称軸とほぼ直交する第2軸周りにおいて且つ一次元内で、即ち例えばZ軸周りに渦巻き状に移動させるように設けられる一方で、各ラインディテクタは対象体の断層撮影データを取得するために、対象体を透過させられた放射線の複数の線画像を記録するように構成される。渦巻き状運動には一完全旋回及び検出開口角度の和よりもほぼ小さい回転と、二次元アレイ列の隣接する2個の検出器間距離に対応する第2軸に沿った距離とが含まれる。その運動には、好適には一全旋回とほぼ等しく、より好適には二分の一旋回及び検出開口角度の和にほぼ等しく、最も好適には二分の一旋回とほぼ等しい回転が含まれる。
【0016】
本発明の第2態様によれば、対象体の断層撮影データ、トモシンセシスデータ、及び静止画像データを取得する装置が提供される。本装置は放射線を放射するように設けられる発散放射線源と、ラインディテクタ二次元アレイを含む放射線検出器と、発散放射線源及び放射線検出器の間の放射線経路に配置される対象体領域と、発散放射線源及び放射線検出器を対象体と相対移動させるように設けられる機器とを含む。
【0017】
放射線は対称軸例えばx軸の周りに、且つ少なくとも対称軸と直交する一次元において、即ち例えばy軸に沿って、対象体の全伸長に放射線が向けられるように、立体角内に集中させられるように放射される。
【0018】
各ラインディテクタは発散放射線源に向けられる検出感度領域を有すると共に、検出感度領域に入射する放射線を一次元撮像するために設けられる。ラインディテクタは二次元アレイ内に行及び列をなして据え付けられ、各行のラインディテクタは線に沿っては端同士が合せて据え付けられると共に、少なくとも一次元において対象体の全伸長へ向けられた放射線を検出する程度に大きい検出開口角度を合せて画定するように、多数から成り且つ各々が所定長さを有する。
【0019】
移動機器は、
(i)発散放射線源及び放射線検出器を対象体と相対的に、対称軸とほぼ直交する第2軸周りに且つ一次元において渦巻き状に移動させる一方で、各ラインディテクタは対象体の断層撮影データを取得するべく、対象体を透過させられた放射線の複数の線画像を記録するように構成され、
(ii)発散放射線源及び放射線検出器を対象体と相対的に、対称軸と直交する平面内において直線的に移動させる一方で、各ラインディテクタは対象体のトモシンセシスデータを取得するために、対象体を透過させられた放射線の複数の線画像を記録するように構成され、且つ
(iii)発散放射線源及び放射線検出器を対象体と相対的に、第2軸に沿って二次元アレイ列の隣接する2個の検出器間距離に対応する距離だけ直線的に移動させる一方で、各ラインディテクタは対象体の静止画像データを取得するために、対象体を透過させられた放射線の複数の線画像を記録するように構成される。
【0020】
好適には本装置の移動機器は、対象体のトモシンセシスデータを取得するために、発散放射線源及び放射線検出器を対象体と相対的に、第2軸に沿って第2軸と平行な第2次元内において、対象体の全伸長に対応する距離だけ移動させる。このため、二次元アレイのラインディテクタは複数の方向へ向けられ、各方向が対称軸に対して異なる角度を画定する。有利には、少なくとも5度、好適には少なくとも15度、最も好適には少なくとも25度の角度範囲で様々な角度が割り当てられる。
【0021】
トモシンセシスデータは或いは、発散放射線源及び放射線検出器を対象体と相対的に、第2軸の周りで半旋回未満だけ回転させる一方で、各ラインディテクタが対象体を透過させられた放射線の複数の線画像を記録するように構成されることにより取得される。任意で、走査は渦巻き状に上昇角度で行われ、上昇角度は好適には対象体を走査するために断層撮影データを取得する時に使用されるものよりも大きい。
【0022】
更に好適には、ラインディテクタアレイは人間、好適には成人の肩から肩までの距離がラインディテクタの一行によって覆われるような大きな面積を有する。従って、ラインディテクタの二次元アレイは少なくとも50センチメートル×25センチメートル、好適には約100センチメートル×50センチメートルの寸法を備えると共に、少なくとも10×50個、それとも20×100個のラインディテクタを含む。
【0023】
ラインディテクタは各々が有利には、ラインディテクタの前方に散乱阻止コリメータを必要としないように、方向感知性検出器である。このような検出器の好適な一例は気体ベースイオン化検出器であり、放射線によるイオン化の結果として解放された電子は、その放射線の方向とほぼ直交する方向に加速され、任意でアバランシェ増幅され、且つ引き続き検出される。このようなラインディテクタは測定が極めて安価であり、従って所望の面
積を覆うために上記に特定した数だけ設けられるように費用を負担できる。
【0024】
本発明の第2態様に係る装置の効果としては、対象体に対する(多くの検出/投影に起因する)相対的に高い放射線量を使用してCTのために断層撮影データを記録するか、或いは対象体に対する(より少ない検出/投影に起因する)相対的に低い放射線量を使用してトモシンセシスデータを記録するかの選択を放射線科医が有する。
【0025】
本発明の更なる特徴及びその効果は、以下に与えられる本発明の好適な実施形態の詳細な説明及び添付の図1〜図5から明白にされる。これらは例証としてのみ与えられるのであって、本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
医療用放射線学用コンピュータトモグラフィ装置54を概略的に示す図1a及び図1bを参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。断層撮影装置54は、対称軸の周りに集中させられる放射線を放射する発散放射線源50を含む。対称軸は図示するようにx軸と一致する。放射線1は放射線検出器42へ入射するために、xy面において平面角α及びxz面においてβによって画定される立体角を伴うように放射される。放射線検出器42は湾曲状ラインディテクタ二次元アレイを含み、このアレイは行71及び列72をなして据え付けられる。各列71のラインディテクタは線に沿って端同士を合せて据え付けられる。ラインディテクタがその最遠端で検出することができるならば、ラインディテクタ行は同時に長く連続的な放射線一次元画像を検出する。ラインディテクタがその最遠端で検出することができないならば、放射線一次元画像は行の隣接する2個のラインディテクタによって覆われる領域間に非測定領域を含む。
【0027】
検出器アレイは一例が図2の上面図に概略的に示されており、多数のラインディテクタ41を含む。各ラインディテクタは検出感度領域43を有し、検出感度領域43は発散放射線源50に向けられると共に、検出感度領域43へ入射させられた放射線の一次元撮像のために設けられる。このため、各ラインディテクタ41は対称軸即ちx軸に対して異なる角度を画定する方向へ向けられると共に、方向感知性である。従って、散乱阻止コリメータをディテクタ41の前方に有する必要がない。
【0028】
発散放射線源50及び放射線検出器42の間の放射線経路には、検査される対象体を収納する領域53が設けられる。対象体は一般的には人間であり、z軸に沿って領域53に対して出入りするように移動可能なテーブル53上に配置される。
【0029】
対象体が生体であるならば、コリメータ51を放射線源50及び領域53の間の放射線経路に配置すると有利であり、そこでコリメータ51はラインディテクタに向けられていない放射線が対象体に入射するのを阻止することにより、対象体への放射線量を低減させる。このため、図3の上面図に概略的に示されているコリメータ51は放射線不透過性材料から成ると共に、多数の長手状切欠52を含む。多数の長手状切欠52はラインディテクタ41の二次元アレイの検出行71の数に対応する。各切欠はラインディテクタの行71の夫々一つと整列させられる。従って、対象体は実際に検出に貢献する放射線によって照射させられるのみである。
【0030】
断層撮影装置54は放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42を検査される対象体と相対移動させる一体移動機構即ち機器を含む。移動機構は好適には放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42をxy面内で、例えば円柱状同等物が使用されるならばθ方向へ回転させることができる一方、配置された対象体はその対象体が配置されたテーブル55を移動させることによって、z方向に直線移動させられてよい。放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42のxy面内での同時回転運動と、対象体のz
方向への移動運動によって、放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42が対象体と相対的に渦巻き状に移動させられる。当該技術分野に属する通常の知識を有する者であれば認識し得るように、本発明の断層撮影装置54の移動機構は、放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42の対象体と相対的な渦巻き状また任意で直線運動が得られえる限り、他の方法で実現されてもよい。
【0031】
放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42が対象体と相対移動させられる一方で、各ラインディテクタ41は対象体の走査測定をなし遂げるために、対象体を透過させられた放射線の複数の線画像を記録するように構成される。
【0032】
本発明によれば、放射線源50は放射線が少なくとも一次元において、例えば対称軸即ちx軸と直交するy軸に沿って対象体の全伸長へ向けられるように、xy面内において角度α内で放射線を放射するように設けられ、またラインディテクタ二次元アレイのラインディテクタ41は多数から成ると共に、上記に示した次元、例えばy軸に沿って対象体の全伸長へ向けられた放射線を検出する程度に大きい検出器開口角度αを合せて画定するように、各々が長さlを有する。被覆されなければならない面積の大きさ、使用されなければならないラインディテクタの大きさ、及びその数は、以下により詳細に説明される問題点である。
【0033】
更に本発明によれば、断層撮影装置54の移動機構即ち機器は、対象体の断層撮影データを取得するために、放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42を対象体と相対的に、対称軸即ちx軸及びy軸とほぼ直交するz軸の周りで渦巻き状に移動させるように設けられており、渦巻き状運動には二分の一旋回及び放射線検出器42のxy面内における開口角度αの和よりもほぼ小さい回転と、二次元アレイ列の隣接する2個の検出器間距離に対応するz軸に沿った距離とが含まれる。この結果、渦巻き状走査CTに使用される再構築工程を実行するために、十分な断層撮影データが得られる。渦巻き状走査は、全旋回及び放射線検出器42のxy面内における開口角度αの和に対応する回転によって実行されてもよい。
【0034】
好適には、発散放射線源50は、放射線がz方向において対象体の全伸長へ向けられるように、放射線をxz面内において角度β内で放射するように設けられるとともに、各列72のラインディテクタが合せてz方向において対象体の全伸長へ向けられた放射線を検出できるように、相互に所定距離だけ離れて据え付けられると共に多数から成る。
【0035】
各列72のラインディテクタ41は、z方向におけるラインディテクタの空間分解能の約28倍よりも大きい距離だけ離間させられるべきではない。従って、z方向における空間分解能が約100〜500ミクロンであるとすれば、各列72におけるラインディテクタ41の間の距離は約3〜15ミリメートルより大きいべきでない。代替物において、ラインディテクタ41は図2に示すように、ラインディテクタの高密度二次元アレイが得られるように、相互に接するように据え付けられる。
【0036】
大面積検出器を備えた断層撮影装置54は、様々な用途のために、即ち対象体の断層撮影データ、トモシンセシスデータ、及び静止画像データを取得するために、放射線を検出し得るように変更されてよい。従って、断層撮影装置54の移動機構即ち機器は、
(i)対象体の断層撮影データを取得するために、放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42を対象体と相対的にz軸周りに渦巻き状に移動させ、
(ii)対象体のトモシンセシス或いはラミノグラフィックデータを取得するために、放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42を対象体と相対的に、対象軸即ちx軸と直交するyz面内で直線移動させ、
(iii)対象体の静止画像データを取得するために、放射線源50、コリメータ51及
び放射線源42を対象体と相対的に、少なくとも二次元アレイ列の隣接する2個の検出器41間距離に対応する距離だけz軸に沿って直線移動させる
ように設けられる。
【0037】
トモシンセシス或いはラミノグラフィックデータを取得するためには、二次元アレイのラインディテクタ41が対称軸即ちx軸に対して、或いはy軸に対して様々な方向に向けられることが重要である。好適には、これらの方向はx軸に対して様々な角度を画定し、様々な角度は少なくとも5度、好適には少なくとも15度、また最も好適には少なくとも25度の角度範囲で割り当てられる。
【0038】
移動機構即ち機器は有利には、対象体のトモシンセシスデータを取得するために、放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42を対象体と相対的に、z次元即ち方向における対象体の全伸長に対応する距離だけx軸に沿って移動させるように設けられる。従って、単一の走査で様々な角度において複数の二次元画像が作成されるので、作成される二次元画像の数に対応する要因により検出時間が減少させられる。
【0039】
対象体の静止画像データを取得する時には、移動機構即ち機器はオーバサンプリングされた対象体の静止画像を取得するために、放射線源50、コリメータ51及び放射線検出器42を対象体と相対的に、二次元アレイの一列72における隣接する2個の検出器41間距離よりも長い距離だけz軸に沿って直線移動させるように設けられてよい。オーバサンプリングによって、即ち形成された対象体の二次元画像の各部分が、様々な回数だけ記録された幾つかの線画像から積み重ねられるように、各位置において複数の画像を記録することにより、移動不鮮明効果が更に減少され得、この場合、対象体は複数の線画像の記録の全ての間においてほとんど移動していない。走査の積み重ねは更に、走査の開始及び/又は終了時点におけるいかなる測定問題を回避するように使用され得る。
【0040】
列における隣接する2個のラインディテクタ間距離の少なくとも2倍である合計距離だけ走査が実施されるならば、対象体と同じ面積を走査するために1個よりも多いラインディテクタ41が使用されると共に、破損させられ且つ作動不能となった個々の読出し細片に起因する測定問題が回避され得る。
【0041】
放射線検出器42は上記に示したように、大面積検出器である。好適には、放射線検出器42はy方向全体に対象体を同時に検出する程度に大きく、対象体は少なくとも30センチメートル、より好適には少なくとも40センチメートル、また最も好適には少なくとも50センチメートルの長さがある。当然のこととして、放射線源50はこのような対象体を覆うように立体角内で放射線を放射するように設けられなければならず、またコリメータ51は放射線検出器42のラインディテクタ41へ向けられた放射線が通過するように設計されなければならない。対象体が人間であるならば、y方向における人間の全伸長は肩から肩までの距離に対応する。
【0042】
ラインディテクタの二次元アレイはy方向及びz方向において、少なくとも50センチメートル×25センチメートル、好適には少なくとも75センチメートル×40センチメートル、また最も好適には少なくとも約100センチメートル×50センチメートルの長さを備える。ラインディテクタ二次元アレイの各列72は少なくとも5個のラインディテクタ、好適には少なくとも10個のラインディテクタ、また最も好適には少なくとも約20個のラインディテクタを含み、各列72は少なくとも25個のラインディテクタ、好適には少なくとも50個のラインディテクタ、また最も好適には少なくとも約100個のラインディテクタを各列に備える。
【0043】
更に、本発明の装置は、診断の補足として役立つ測定値が得られるように、いかなるP
ETスキャナ、超音波検査装置、及びSPECTスキャナが装備されてもよい。
図4a〜図4cを参照すると、夫々本発明の断層撮影装置に使用されるラインディテクタの断面側面図、入口窓部が取り除かれた前面図、及び断面上面図であり、このラインディテクタについて簡潔に概説する。
【0044】
ラインディテクタは、放射線1がカソード配列3及びアノード配列5の間の側路に入るように配向される。ラインディテクタへの放射線1の入口を形成するために、入口窓43がラインディテクタの前方に設けられる。入口窓43はプラスチック又は炭素繊維材料から成る。
【0045】
各電極配列3,5は夫々の絶縁基板12,14によって支持される電導電極層11,13を含み、これら配列はカソード11及びアノード13層が相互に対向するように配向される。好適には、電極配列3及び5は平面矩形状であり且つ相互に平行とされる。
【0046】
入口窓43及び後壁15は電極配列3,5を離間させておくように設けられる。
電極配列3及び5は外部気密容器(図示なし)内に配置される。外部気密容器には例えばクリプトン、二酸化炭素及び/又はキセノンから成るイオン化ガス即ちガス混合物19が充填される。ガスは好適には101キロパスカル(1atm)〜2026キロパスカル(20atm)の範囲内の圧力下にある。
【0047】
電子及びその中のイオンのドリフト、また任意で増幅のために、電極間閉じ込め19内に電界を形成するべく、カソード11及びアノード13を適当な電位で維持することを目的として、高圧DC電源ユニット(図示なし)が設けられる。通常は、カソード11が使用の間に負の電圧Vで維持される一方、アノード13は接地させられる。
【0048】
更に、ラインディテクタはアノード13へ向けてドリフトさせられた電子及びカソード11へ向けてドリフトさせられたイオンを検出する読出し装置を含む。読出し装置は好適にはアノード配列5自体からなる。
【0049】
一次元撮像が可能となるように、アノード/読み出し層13は、並んで配列されると共に絶縁基板14上で相互に電気的に絶縁させられた導体或いは半導体要素即ち細片23アレイを含む。検出された画像の視差を補償し、それによって空間分解能を増加させるために、アノード/読み出し細片はほぼ各位置における放射線1の入射光子の方向と平行な方向に延在する。各アノード/読み出し細片は好適には読み出し及び信号処理装置(図示なし)に連結され、各細片からの信号は別個に処理され得る。細片はまたアノードを構成するので、隔離のために適当な連結器が必要とされる。
【0050】
当然のことながら、電極層11及び13間の距離は、図1及び図2では例示を目的として大きく誇張されている。形状寸法の例として、ラインディテクタは40ミリメートルの幅又は長さ(図4bではlによって示されている)と、2ミリメートルの厚さと、35ミリメートルの深さを備え、電極間距離は0.05から2ミリメートルの間である。各読出し細片23は10ミューミリメートル〜2ミリメートルの幅を備え、数百又は数千の、即ち図示するよりももっと多くの細片が単一のラインディテクタ内に並んで配列される。
【0051】
作動中に、X線はカソード配列3と平行し且つ近接するコリメータ切欠を通りラインディテクタに入射する。X線は指数関数的な確率の分散に従って、ラインディテクタのガスと相互作用し、X線の大部分はガス容量内で初期に変換する。平均相互作用長さは一般的に10〜100ミリメートルである。
【0052】
相互作用の際に、X線光子25はそのエネルギを光電効果、コンプトン散乱及び/又は
オージェ効果として知られている方法によって、原子から解放されたガス原子の電子に伝達する。この電子はガスを通り移動し、新しいガス原子と衝突することによって、最後に全てのエネルギを失い且つ停止するまで、より多くの電子を解放する。この過程において、一般的には約数千個の電子の雲状物27が形成される。
【0053】
カソード11及びアノード13の間に電圧Uを印加することによって、これらの電子はアノードへ向けて入射X線光子の軌道とほぼ直交する方向29(図1〜図2では垂直)に引き付けられる。印加される電界が十分に強ければ、順に加速させられるガスからの別の電子を不活性化させると共に、アバランシェ工程において更なる電子を不活性化させる程度のエネルギを電子は獲得する。この工程は気体アバランシェ増幅として知られている。アノードでは、電子は雲状物27に最も近い細片23aの電気信号を含む。
【0054】
電子信号は細片に連結された読出しエレクトロニクスによって検出される。エレクトロニクスでは、信号が増幅されると共に、閾値電圧と比較される。信号が閾値電圧を越えたならば、この細片の対の特定物が駆動させられて、以前の記憶値に1が加えられる。このようにして、各アノード細片の上方に入射するX線の数が数えられる。本方法は光子計数法と呼ばれる。
【0055】
極く最近になって、図4a〜図4cのラインディテクタは極めて方向感知性であることが判明した。カソード電極11に最も接近した非常に薄い平面内のラインディテクタに入射した平行光子のみが、検出された信号にほぼ貢献する程度に十分増幅させられる。従ってラインディテクタは、検出器の前方にいかなる種類の散乱阻止コリメータを必要としない。
【0056】
上述した気体ベースラインディテクタは適度に値段が付けられていることから、本発明に使用されるには極めて適当である。1000個又はそれ以上もの多くのラインディテクタが合せて、図1a〜図1bに示すようなラインディテクタの二次元アレイを形成するために、イオン化ガスが充填され得る気密容器に都合よく配列されてよい。
【0057】
注目すべきであるが、図4a〜図4cのラインディテクタは、複数の読み出し細片23が並べて(図4cを参照)配列されると共に、ラインディテクタは側壁を欠いているので、その完全な幅即ち長さlに沿って検出することができる。この点について、入口窓43は検出器内において十分に高い放射線の流速を得るために、入射放射線に対して十分透過的でなければならないが、また高電圧で(静電引力が高い時に)電子を離間させたままにする程度に強くなければならない。
【0058】
図5aには、本発明で用いる代替ラインディテクタが図示されており、ラインディテクタは、窓43がラインディテクタの入口から特定の距離のところに配列され、即ち電極配列3,5が窓43の両側に延在する点を除き、図4a〜図4cのラインディテクタと同じである。検出器内におけるイオン化ガスの吸収は指数関数的に減少するので、窓43の合計吸収率が低下するにつれて、窓43はラインディテクタの入口から離間させられる。他方では、電極配列3,5をラインディテクタの前端において離間させた状態で維持するための支持が減じられる。
【0059】
図5bには、本発明で用いる別の代替ラインディテクタが図示されている。この好適な実施形態には窓43がない。代わりに、後壁15は電極配列3,5を支持するために入射放射線1の方向に大幅に延在する構造体である。他の点については、本実施形態は図4a〜図4c及び図5aに開示する実施形態と相違しない。
【0060】
本発明で用いる他のラインディテクタは、トム フランク(Tom Francke)
等による、またスウェーデンのエックスカウンター(XCounter)ABに譲渡された以下の米国特許に説明されているものである。それらの特許は参照によりここに組み入れられる。第6,118,125号、第6,373,065号、第6,337,482号、第6,385,282号、第6,414,317号、第6,476,397号、第6,477,223号、第6,518,578号、第6,522,722号、第6,546,070号、第6,556,650号、第6,600,804号及び第6,627,897号。
【0061】
更に或いは、本発明に使用されるラインディテクタは各々がダイオードアレイ、半導体PINダイオードアレイ、シンチレータベースアレイ、CCDアレイ、TFT又はCMOSベース検出器、或いは液体検出器の中のいかなるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る医療用放射線学用コンピュータトモグラフィ装置を示す概略斜視図。
【図2】図1のトモグラフィ装置に使用されるラインディテクタ二次元アレイを示す概略上面図。
【図3】図1のトモグラフィ装置に使用されるコリメータを示す概略上面図。
【図4a】図2のラインディテクタ二次元アレイに使用されるラインディテクタを示す概略断面側面図。
【図4b】入口窓が部分的に取り除かれた図4aのラインディテクタを示す概略前面図。
【図4c】図4aA−A線における概略断面図。
【図5】図2のラインディテクタ二次元アレイに使用される代替ラインディテクタを示す概略断面側面図。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象体の断層撮影データを取得する装置であって、
対称軸の周りに集中させられる放射線(1)を放射するように設けられる発散放射線源(50)と、
ラインディテクタ(41)の二次元アレイを含む放射線検出器(42)と、各ラインディテクタは前記発散放射線源に向けられる検出感度領域(42)を有すると共に、該検出感度領域に入射した放射線の一次元撮像のために設けられ、
前記発散放射線源及び放射線検出器の間の放射線経路に配置され、前記対象体を収納するように設けられる領域(53)と、
前記発散放射線源及び放射線検出器を前記対象体と相対移動させるように設けられる機器(54)とを含み、その一方で前記ラインディテクタの各々は前記対象体を透過させられた放射線の複数の線画像を記録するように構成され、
前記発散放射線源は、放射線が少なくとも前記対称軸(x)と直交する第1次元(y)において前記対象体の全伸長へ向けられるように、所定の立体角(α,β)内で放射線を放射するように設けられ、
前記ラインディテクタ二次元アレイのラインディテクタは行(71)及び列(72)をなして据え付けられ、各行のラインディテクタは線に沿って端同士が合せて据え付けられ、且つラインディテクタは前記第1次元(y)において前記対象体の全伸長へ向けられた放射線を検出する程度に大きい開口角度(α)を合せて画定するように、多数であると共に長さ(l)を有し、
前記移動機器は前記対象体の断層撮影データを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検出器を前記対象体と相対的に、前記対称軸(x)とほぼ直交する第2軸(z)の周りにおいて且つ前記第1次元(y)の方向に渦巻き状に移動させるように設けられ、該渦巻き状運動には一全旋回及び開口角度(α)の和よりもほぼ小さい回転と、前記第2軸(z)に沿った前記二次元アレイ列の隣接する二個の検出器間距離に対応する距離とが含まれる
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記回転は二分の一旋回及び前記開口角度(α)の和にほぼ等しいことを特徴とする請求項1の装置。
【請求項3】
対象体の断層撮影データ、トモシンセシスデータ及び静止画像データを取得する装置であって、
対称軸(x)の周りに集中させられる放射線(1)を放射するように設けられる発散放射線源(50)と、
ラインディテクタ(41)の二次元アレイを含む放射線検出器(42)と、各ラインディテクタは前記発散放射線源へ向けられる検出感度領域(42)を有すると共に、該検出感度領域に入射した放射線の一次元撮像のために設けられ、
前記発散放射線源及び放射線検出器の間の放射線経路に配置され、前記対象体を収容するように設けられる領域(53)と、
前記発散放射線源及び放射線検出器を前記対象体と相対移動させるように設けられる機器(54)とを含み、その一方で前記ラインディテクタの各々は該対象体を透過させられた放射線の複数の線画像を記録するように構成され、
前記発散放射線源は、少なくとも前記対称軸(x)と直交する第1次元(y)において前記対象体の全伸長へ放射線が向けられるように、立体角(α,β)内で放射線を放射するように設けられ、
前記ラインディテクタ二次元アレイのラインディテクタ(6a)は行(71)及び列(72)をなして据え付けられ、各行のラインディテクタは線に沿って端動詞が合せて据え付けられ、且つラインディテクタは前記第1次元(y)において前記対象体の全伸長へ向
けられた放射線を合せて検出できるように多数であると共に各々が長さ(l)を有し、
前記移動機器は、
前記対象体の断層撮影データを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検出器を前記対象体と相対的に、前記対称軸とほぼ直交する第2軸(z)の周りにおいて前記第1次元(y)の方向へ渦巻き状に移動させ、
前記対象体のトモシンセシスデータを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検出器を前記対象体と相対的に、前記対称軸(x)と直交する平面(yz)内において直線的に移動させ、
前記対象体の静止画像データを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検出器を前記対象体と相対的に、前記第2軸(z)に沿って前記二次元アレイ列の隣接する二個の検出器間距離に対応する距離だけ直線移動させるように設けられる
ことを特徴とする装置。
【請求項4】
前記渦巻き状運動には一全旋回及び開口角度(α)の和よりもほぼ小さい回転と、前記二次元アレイ列の隣接する2個の検出器間距離に対応する第2軸(z)に沿った距離とが含まれることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記回転は二分の一旋回及び前記開口角度(α)の和にほぼ等しいことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記二次元アレイのラインディテクタは複数の方向に向けられ、各方向は前記対称軸(x)に対して異なる角度を画定することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記様々な角度は、少なくとも5度、好適には少なくとも15度、最も好適には少なくとも25度の角度範囲様々な角度で割り当てられることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記移動機器は前記対象体のトモシンセシスデータを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検出器を前記対象体と相対的に、前記第2軸(z)に沿って前記第1次元(y)の方向及び前記対称軸(x)と直交する第2次元(z)において該対象体の全伸長に対応する距離だけ移動させるように設けられることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記移動機器は前記対象体のトモシンセシスデータを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検出器を前記対象体と相対的に、前記第2軸(z)の周りで回転移動させるように設けられ、前記渦巻き状運動には二分の一旋回及び開口角度(α)の和よりもほぼ小さい回転が含まれることを特徴とする請求項3乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記移動機器はオーバサンプリングされた前記対象体の静止画像データを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検出器を前記対象体と相対的に、前記第2軸(z)に沿って前記二次元アレイ列の隣接する2個の検出器間距離よりも長い距離だけ直線移動させるように設けられることを特徴とする請求項3乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記発散放射線源(50)は、前記第1次元(y)及び前記対称軸(x)と直交する第2次元(z)において、放射線が前記対象体の全伸長へ向けられるように、立体角内で放射線を放射するように設けられ、
各列(72)のラインディテクタは合せて前記第2次元(z)において前記対象体の全伸長へ向けられた放射線を検出し得るように、相互に所定距離(d)だけ離れて据え付けられると共に多数からなる
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
各列(72)のラインディテクタは、ラインディテクタの高密度二次元アレイが得られるように、相互に接するように据え付けられることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1次元(y)における前記対象体の全伸長は、少なくとも30センチメートル、好適には少なくとも40センチメートル、また最も好適には少なくとも50センチメートルの寸法を備えることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記第1次元(y)における前記対象体の全伸長は人間、好適には成人の肩から肩までの距離に対応することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記ラインディテクタ二次元アレイは少なくとも50センチメートル×25センチメートル、好適には少なくとも75センチメートル×40センチメートル、また最も好適には少なくとも約100センチメートル×50センチメートルの寸法を備えることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記ラインディテクタ二次元アレイの各行(71)は少なくとも5個のラインディテクタ、好適には少なくとも10個のラインディテクタ、また最も好適には少なくとも約20個のラインディテクタを含むことを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記ラインディテクタ二次元アレイの各列(72)は少なくとも25個のラインディテクタ、好適には少なくとも50個のラインディテクタ、また最も好適には少なくとも約100個のラインディテクタを含むことを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記ラインディテクタ二次元アレイは湾曲状していることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記放射線源及び領域の間の放射線経路に配置されるコリメータ(51)を含み、該コリメータは前記ラインディテクタに向けられていない放射線が前記対象体に入射することを阻止することにより、該対象体への放射線量を低減させることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記ラインディテクタ(41)は各々が方向感知性検出器であり、該検出器の前方に散乱阻止コリメータを必要としないことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記発散放射線源はX線源(50)であり、
前記ラインディテクタは各々が気体ベースイオン化検出器(41)であり、放射線によるイオン化の結果解放された電子はその放射線の方向とほぼ直交する方向に加速させられる(29)ことを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記気体ベースイオン化検出器は電子雪崩検出器であることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記ラインディテクタ(41)は各々がその全長(l)に沿って検出可能な検出器であることを特徴とする請求項20乃至22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記ラインディテクタは各々がダイオードアレイ、半導体PINダイオードアレイ、シンチレータベースアレイ、CCDアレイ、TFT又はCMOSベースディテクタ或いは液体検出器のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記装置はPETスキャナ、超音波検査装置及びSPECTスキャナのいずれかであることを特徴とする請求項1乃至24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
対象体の断層撮影データを取得する方法であって、
対称軸(x)に集中させられる発散放射線ビーム(1)を放射する工程と、
前記放射させられた放射線を前記対象体を通過させる工程と、
前記放射させられた放射線を前記対象体を通過させた後に、放射線検出器(42)によって複数の線画像として検出する工程とを含み、該放射線検出器はラインディテクタ(41)の二次元アレイを含み、該ラインディテクタは行(71)及び列(72)をなして据え付けられ、各行のラインディテクタは線に沿って端同士が合せて据え付けられ、各ラインディテクタは発散放射線源に向けられる検出感度領域(42)を有すると共に、該感度検出領域に入射した放射線の一次元撮像が行われるように設けられる一方で、該発散放射線源及び放射線検出器が該対象体と相対移動させられ、
前記発散放射線ビームは少なくとも前記対称軸(x)と直交する第1次元(y)において、前記対象体の全伸長を通過させられ、
前記第1次元(y)において前記対象体の全伸長を通過させられた発散放射線ビームの放射線は、前記ラインディテクタ行の一つによって瞬間に検出され、
前記対象体の断層撮影データを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検出器は前記対象体と相対的に、前記対称軸(x)とほぼ直交する第2軸周りにおいて前記第1次元(y)の方向へ渦巻き状に移動させられる一方で、前記放射線検出器によって検出され、該渦巻き状運動には一全旋回及び前記開口角度(α)の和よりほぼ小さい回転と、前記二次元アレイ列の隣接する2個の検出器間の距離に対応する前記第2軸(z)に沿った距離とが含まれる
ことを特徴とする方法。
【請求項27】
対象体の断層撮影データ、トモシンセシスデータ及び静止画像データを取得する方法であって、
前記対称軸(x)の周りに集中させられる発散放射線ビーム(1)を放射する工程と、
前記放射させられた放射線を前記対象体を通過させる工程と、
前記放射させられた放射線を前記対象体を通過させた後に、ラインディテクタ(41)の二次元アレイを含む放射線検出器(42)によって複数の線画像として検出する工程とを含み、該ラインディテクタは行(71)及び列(72)をなして据え付けられ、各行のラインディテクタは線に沿って端同士が合せて据え付けられ、前記ラインディテクタの各々は前記発散放射線源に向けられる検出感度領域(42)を有すると共に、該検出感度領域に入射した放射線の一次元撮像が行われるように設けられる一方で、該発散放射線源及び放射線検出器は前記対象体と相対移動させられ、
前記発散放射線ビームは、少なくとも前記対称軸(x)と直交する第1次元(y)において前記対象体の全伸長を通過させられ、
前記第1次元において前記対象体の全伸長を通過させられた発散放射線ビームの放射線は、前記ラインディテクタ行の一つによって瞬間的に検出され、
前記対象体の断層撮影データを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検出器は前記対象体と相対的に、前記対称軸(x)とほぼ直交する第2軸(z)周りにおいて、前記第1次元(y)の方向に渦巻き状に移動させられる一方で、前記放射線検出器によって検出され、
前記対象体のトモシンセシスデータを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検
出器は前記対象体と相対的に、前記対称軸(x)と直交する平面(yz)において直線移動させられる一方で、前記放射線検出器によって検出され、
前記対象体の静止画像データを取得するために、前記発散放射線源及び放射線検出器は前記対象体と相対的に、前記二次元アレイ列の隣接する2個の検出器間距離に対応する距離だけ第2軸(z)に沿って直線移動させられる一方で、前記放射線検出器によって検出される
ことを特徴とする方法。

【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2007−512872(P2007−512872A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541101(P2006−541101)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001748
【国際公開番号】WO2005/053535
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(500208058)エックスカウンター アーベー (12)
【Fターム(参考)】