説明

新規な2,6−ジ−置換一級p−フェニレンジアミン及びケラチン繊維の酸化染色におけるその使用

【課題】ケラチン繊維を、酸化染色するための組成物において使用し、また該組成物を使用する酸化染色法で使用する、新規な2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミンを提供する。
【解決手段】以下の式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物及びその生理的に許容される溶媒和物並びにその酸付加塩:


(I)ここで、R1及びR2は夫々独立に、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;・カルボキシル基;・アミド基を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミン、少なくとも1種の2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミンを酸化塩基として含有する、ケラチン繊維及び特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を、酸化染色するための組成物、及びこれを使用する酸化染色法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維及び特にヒトの毛髪を、一般的に酸化塩基として知られている、酸化染料プリカーサ、特にo-又はp-フェニレンジアミン、o-又はp-アミノフェノール、及びヘテロ環式化合物、例えばジアミノピラゾール誘導体を含有する染色組成物で染色することは、公知の実務である。酸化染料プリカーサ、又は酸化塩基は、無色又は僅かに着色された化合物であって、酸化剤と結合した場合に、酸化縮合過程を通して、有色の化合物及び染料を発生することができる。
また、これらの酸化塩基を用いて得た色相は、カプラー又は着色モデファイアーとこれら塩基とを結合することにより、変更可能であることが知られている。該カプラー又はモデファイアーは、特に芳香族メタ-ジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、及び幾つかのヘテロ環式化合物から選択される。
酸化塩基及びカプラーとして使用する分子の多様性が広範囲に渡る色彩を得ることを可能とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの酸化染料によって達成される「永続的な」色彩は、さらに幾つかの要件をも満たす必要がある。即ち、これらは、有害な欠点を有していてはならず、所定の強度で色相を得ることを可能とすべきであり、また外的な因子(光、悪天候、洗浄、パーマネントウエーブ、発汗又は摩擦)に対して、良好な堅牢性を示すべきである。
これら染料は、また白髪を隠蔽し、最終的に、これらはできるだけ非選択的、即ち同一のケラチン繊維について、可能な限り小さな染色度の違いのみを生成すべきである。ここで、該ケラチン繊維は、実際に、その末端と基部との間で、様々に感作される(即ち、損傷を受ける)。これら染料は、またその処方物において、良好な化学的安定性を持つべきである。これらは、毒性に関する良好なプロフィールを持つべきである。
さらに、幾つかの用途に対して、毛髪に有彩色相を与える染料が、求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願人は、驚いたことに、また有利なことに、酸化塩基として、以下の式(I)で表される2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミン、又は生理的に許容されるその塩又は溶媒和物を使用することによって、ケラチン繊維が被る可能性のある、様々な攻撃因子に対して抵抗性を示す、強力かつ幾分選択的な着色をもたらすことのできる染料を得ることができることを、今や見出した。
従って、本発明の第一の主題は、以下の式(I)で表される新規な2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミンを提供することにある:




【0005】
【化1】

(I)
【0006】
ここで、R1及びR2は夫々独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基により置換されていてもよい、あるいはまた環式基、例えば1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)で置換されている、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基
を表し、但し以下に列挙する化合物を除く:
【0007】
【化2】

【0008】
本発明の主題は、また上記式(I)の化合物の、生理的に許容される溶媒和物又はその有機又は無機酸との付加塩をも提供することにある。
一般に、使用可能な該付加塩は、特に酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、クエン酸、琥珀酸、酒石酸、乳酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、リン酸及び酢酸から選択される。
これらは、またエタノール又はイソプロパノール等の直鎖又は分岐アルコール等の溶媒和物又は水和物等といった溶媒和物の形状にあっても良い。
第一の好ましい態様によれば、R1及びR2は夫々独立に、
・メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、t-ブチル、 (2,2'-ジメチル)ブチル基、イミダゾプロピル基又はジメチルアミノプロピル基;
・メトキシブチル、アミノメチル、(3-ジメチルアミノ)プロピル、イミダゾロ-n-プロピル又はピロリジノエチル基;
・メトキシ、ヒドロキシメトキシ、α-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシエチル又はβ-ヒドロキシイソプロピル基;
・カルボキシル基;
・アミド基を表す。
例示可能な上記式(I)のp-フェニレンジアミン化合物は、以下に列挙する化合物、及びその塩及び/又はその溶媒和物を含む:
【0009】
【化3】
























【0010】
より一層好ましい、上記式(I)の2,6-置換一級p-フェニレンジアミンは、2-イソプロピル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-エチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-t-ブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,5-ジアミノ-3-メチル安息香酸、2-メトキシ-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-メトキシ-6-(2-ピロリジン-1-イル-エチル)ベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-ジメチルアミノプロピル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,5-ジアミノイソフタルアミド、2,5-ジアミノ-3-メチルベンズアミド、1-(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-6-プロピルベンゼン-1,4-ジアミン、2-イソブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン及び2-(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)エタノール、又はその生理的に許容される塩及び/又は溶媒和物から選択される。
本発明は、また上に定義した如き式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物の合成方法をも提供するものであり、本発明の合成方法は、以下の式(II)で表される対応する中間体化合物、又は以下の式(III)で表される対応する中間体化合物、あるいは以下の式(IV)で表される対応する中間体化合物を、還元する工程を含む:
【0011】
【化4】

(II) (III)






(IV)
【0012】
ここで、R1及びR2は夫々独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換されている、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換されている、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基を表し、
R'2は、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換されている、直鎖又は分岐C1-C4アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基を表し、
R3は水素原子又はスルホン酸残基を表す。
本件特許出願は、また以下の式(II)で表される、中間体化合物を提供することをも目的とする:
【0013】
【化5】

(II)
【0014】
ここで、R1及びR2は夫々独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
アミド基を表し、但し以下に列挙する化合物を除く:
【0015】
【化6】

【0016】
本件特許出願は、また以下の式(III)で表される、中間体化合物を提供することをも目的とする:
【0017】
【化7】

(III)
【0018】
ここで、R1及びR2は夫々独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基を表し、
R3は水素原子又はスルホン酸残基を表すが、以下に列挙する化合物を除く:
【0019】
【化8】

【0020】
本件特許出願は、また以下の式(IV)で表される、中間体化合物を提供することをも目的とする:
【0021】
【化9】

(IV)
【0022】
ここで、R1は、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基を表し、及び
R'2は、独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C4アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基を表し、但し以下に挙げる化合物を除く:
【0023】
【化10】

【0024】
本発明の主題は、またケラチン繊維、及び特に毛髪等のヒトのケラチン繊維を酸化染色するための組成物にあり、この組成物は、適当な染色媒体中に、少なくとも1種の、以下の式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物及びその塩及び溶媒和物を含むことを特徴とする:
【0025】
【化11】

(I)
【0026】
ここで、R1及びR2は夫々独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基を表すが、以下に列挙する化合物を除く:




【0027】
【化12】

【0028】
この本発明による酸化染色組成物によって達成される色調は、強力である。これら色調は、さらに様々な外的因子、例えば光、悪天候、洗浄、パーマネントウエーブ、発汗又は摩擦に対して、優れた抵抗性を示す。
本発明の第五の主題は、このような染色組成物を使用した、ケラチン繊維を酸化染色するための方法を提供することにある。
本発明の他の特徴、局面、主題及び利点は、以下の説明及び例を読むことによって、さらに一層明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明による酸化染色用組成物において使用できる、上記式(I)で表される、2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミンの例としては、以下に列挙する化合物及び同様にその塩及び/又はその溶媒和物を挙げることができる:
【0030】
【化13】























【0031】
本発明の酸化染色用組成物において使用できる、より一層好ましい2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミンは、2-イソプロピル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-エチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-t-ブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,5-ジアミノ-3-メチル安息香酸、2-メトキシ-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-メトキシ-6-(2-ピロリジン-1-イル-エチル)ベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-ジメチルアミノプロピル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,5-ジアミノイソフタルアミド、2,5-ジアミノ-3-メチルベンズアミド、1-(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-6-プロピルベンゼン-1,4-ジアミン、2-イソブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン及び2-(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)エタノール、又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物である。
本発明による上記式(I)で表される該2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミンは、例えば以下の3つの合成経路に従って製造できる:
合成経路1:
【0032】
【化14】

【0033】
該アミンを保護する段階、該アミンのニトロ化段階及びその脱保護段階は、以下の刊行物:Rec. Trav. Chim., 1954, 73:809-818に記載の方法に従って行った。該化合物(I)を与える該最終段階は、標準的な還元段階であって、この還元段階は、例えばPd/Cの存在下での不均質触媒による水素化反応、あるいはまた重亜硫酸ナトリウム、幾つかの金属(特に亜鉛)、又はボラン(アドバンストオーガニックケミストリー(Advanced Organic Chemistry), 第4版、1992, J. March, ウイリーインターサイエンス(Wiley Interscience); 有機化学における還元(Reduction in Organic Chemistry), M. Hudlicky, 1983, エリスホンウッドシリーズケミカルサイエンス(Ellis Honwood series Chemical Science))による還元反応であり得る。
合成経路2:
【0034】
【化15】

【0035】
この合成の該第一段階は、ジアゾニウム塩(E)とアニリン(A)とを、周知の方法[ヘガティーインパタイ(Hegarty, in Patai)ザケミストリーオブジアゾニウム&ジアゾグループ(The Chemistry of Diazonium and Diazo Group), pt.2; ウイリー(Wiley)社;N.Y. 1978)に従って反応させることによる、アゾ化合物(III)の製造である。該化合物(I)を製造するための上記第二段階は、標準的な還元段階であって、この還元段階は、例えばPd/Cの存在下での不均質触媒による水素化反応、あるいはまた重亜硫酸ナトリウム、幾つかの金属(特に亜鉛)、又はボラン(アドバンストオーガニックケミストリー、第4版、1992, J. March, ウイリーインターサイエンス社; 有機化学における還元、M. Hudlicky, 1983, エリスホンウッドシリーズケミカルサイエンス)による還元反応であり得る。



合成経路3:
【0036】
【化16】

【0037】
この合成の第一段階は、化合物(F)と化合物(G)との間の、ソノガシラ(Sonogashira)反応であり、これは特に刊行物:J. Org. Chem., 2003, 68:3327-3329に記載されている。上記化合物3を与えるこの合成の第二段階は、標準的な還元段階であって、この還元段階は、例えばPd/Cの存在下における不均質触媒の下での水素化反応、あるいはまた重亜硫酸ナトリウム、幾つかの金属(特に亜鉛)、又はボラン(アドバンストオーガニックケミストリー、第4版、1992, J. March, ウイリーインターサイエンス社; 有機化学における還元、M. Hudlicky, 1983, エリスホンウッドシリーズケミカルサイエンス)による還元反応であり得る。
R1、R2、R'2、及びR3は、前に与えた意味を持つ。
上記の「式(II)、(III)又は(IV)で表される、対応する中間体化合物」なる用語は、該式(II)、(III)又は(IV)で表される、これら中間体化合物の置換基R1が、上記化合物(I)における置換基と同一の意味を持つことを意味する。このことは、同様に式(II)又は式(III)で表される中間体化合物における、R2についても同じである。
【0038】
アルキン基:-CC-R'2を持つ上記式(III)で示される中間体化合物は、必然的に、還元後に、基:-CH2-CH2-R'2を与える。
本発明による染色組成物は、特に0.001〜10質量%なる範囲、好ましくは0.05〜6質量%なる範囲、及びより一層好ましくは0.1〜3質量%なる範囲の量で、少なくとも1種の、上記式(I)で示される、2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミン又はその塩若しくはその溶媒和物を含む。
本発明による染色組成物は、上に定義した2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミンに加えて、少なくとも1種の付随的な酸化塩基をも含むことができ、この酸化塩基は、酸化染色において従来使用されている酸化塩基から選択することができ、またその中でも特に、上記式(I)で示される2,6-ジ-置換一級p-フェニレンジアミン以外の、付随的なp-フェニレンジアミン、ビスフェニルアルキレンジアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール及びヘテロ環式塩基を例示することができる。
【0039】
該付随的なp-フェニレンジアミンとして列挙可能な例は、より具体的にはp-フェニレンジアミン、p-トリレンジアミン、2,6-ジメチルp-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、N-ジプロピル-p-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-N-(β-メトキシエチル)アニリン及びフランス特許出願FR 2,630,438に記載されているp-フェニレンジアミン類、及びこれらの付加塩を含む。
上記のビス(フェニル)アルキレンジアミンとして列挙可能な例は、より具体的にはN,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-フェニル)-1,3-ジアミノ-プロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-フェニル)-エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノ-フェニル)-tetra-メチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノ-フェニル)-tetra-メチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノ-フェニル)-tetra-メチレンジアミン及びN,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)-エチレンジアミン、及びこれらの付加塩を包含する。
【0040】
上記のp-アミノフェノールとして列挙可能な例は、より具体的にはp-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール及び4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、及びこれらの付加塩を包含する。
上記のo-アミノフェノールとして列挙可能な例は、より具体的には2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、5-アセタミド-2-アミノフェノール、及び5-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-メチルフェノール、及びこれらの付加塩を包含する。
上記のヘテロ環式塩基として列挙可能な例は、より具体的にはピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、及びピラゾール誘導体、及びこれらの付加塩を包含する。
【0041】
これらを使用する場合、これら付随的な酸化塩基は、好ましくは該染色組成物の全質量に対して、0.0005〜12質量%なる範囲、及びより一層好ましくは該全質量に対して0.005〜6質量%なる範囲を占める。
本発明による酸化染色組成物は、また、特に色相を変更するために、又は色相を色合いに富むものとするために、少なくとも1種のカプラー及び/又は少なくとも1種の直接染料を含むこともできる。
本発明による酸化染色組成物において使用できる該カプラーは、酸化染色において従来使用されているカプラーから選択することができ、その中でも特に、m-フェニレンジアミン、m-アミノフェノール、m-ジフェノール、モノヒドロキシル化又はポリヒドロキシル化ナフタレン誘導体及びヘテロ環式カプラー、例えばインドール又はピリジン誘導体、及びこれらの付加塩を挙げることができる。
【0042】
これらのカプラーは、より具体的には、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、6-クロロ-2-メチル-5-アミノフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシ-ベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン及び2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、及びこれらの付加塩から選択することができる。
【0043】
これらカプラーが存在する場合、これらは特に、該染色組成物の全質量に対して、0.0001〜10質量%なる範囲、好ましくは0.005〜5質量%なる範囲、及びより一層好ましくは該全質量に対して0.1〜3質量%なる範囲を占める。
一般に、本発明の染色組成物において使用することのできる酸-付加塩類(酸化塩基及びカプラー)は、特に以下に列挙する酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸又は琥珀酸から選択される。
本発明によって使用される適当な染色媒体(又は支持体)は水からなるか、又は水と、C1-C4低級アルカノール、ポリオール及びポリオールエーテル、及び芳香族アルコール、及びこれら物質の混合物から選択される、少なくとも1種の有機溶媒との混合物からなる。
【0044】
本発明の染色組成物は、また染髪組成物において従来から使用されている、様々な添加剤、例えばアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性又は両極性界面活性剤又はこれらの混合物、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性又は両極性ポリマー又はその混合物、無機又は有機増粘剤、酸化防止剤、還元剤、サンスクリーン、浸透剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、バッファー、分散剤、コンディショニング剤、例えばシリコーン、フィルム形成剤、保存剤及び不透明化剤等を含むこともできる。
本発明による染色組成物のpHは、3〜12なる範囲にある。
言うまでもないが、当業者は、この又はこれらの随意の化合物を、本発明によるこの酸化染色組成物に関連する固有の有利な諸特性が、このもくろまれた添加によって全く、又は実質的に悪影響を受けないように、注意を払うであろう。
本発明による染色組成物は、液体、クリーム又はゲル形状、又はケラチン繊維及び特にヒトの毛髪を染色するのに適した、あらゆる他の形状等の様々な形状を採ることができる。
【0045】
本発明の主題は、また上記のような染色組成物を用いた、ケラチン繊維及び特にヒトのケラチン繊維、例えば毛髪を染色するための方法にある。
この方法によれば、上に定義したような少なくとも1種の染色組成物が、空気中で、又は酸化剤を用いて、所定の色調を発現するのに十分な時間、該繊維に適用される。この染色組成物は、該酸化工程を促進する目的で、場合により酸化触媒を含むことができる。
本発明の方法の第一の態様によれば、該繊維の着色は、酸化剤の添加無しに、単に大気中の酸素と接触させることにより行うことができる。
本発明の方法の第二の態様によれば、上に定義したような少なくとも1種の染色組成物が、該繊維に適用され、その色彩は、まさに使用の時点において該染色組成物に添加され、あるいは同時に又は別々の方法で順次適用される酸化組成物中に存在する、酸化剤を使用して、酸性、中性又はアルカリ性pHにおいて現れる。
【0046】
本発明の方法のこの第二の態様によれば、上に定義したような染色組成物を、その使用時点において、適当な染色媒体中に、ある色彩を発現するのに十分な量で存在する、少なくとも1種の酸化剤を含む、酸化組成物と混合することが好ましい。次いで、得られるこの混合物を、該ケラチン繊維に適用し、3〜50分間、好ましくは5〜30分間作用条件下に置き、その後該繊維を濯ぎ、シャンプー洗浄し、再度濯ぎ、かつ乾燥する。
上に定義したような酸化組成物中に存在する該酸化剤は、ケラチン繊維の酸化染色のために、従来から使用されている酸化剤から選択することができ、その中でも、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属ブロメート、及び過酸塩、例えば過ホウ酸塩及び過硫酸塩を例示することができる。過酸化水素が、特に好ましい。
上に規定したような酸化剤を含有する該酸化組成物のpHは、該染色組成物と混合した後に、該ケラチン繊維に適用される、生成する組成物のpHが、好ましくは3〜12なる範囲内、及びさらに一層好ましくは5〜11なる範囲内となるような値である。このpHは、ケラチン繊維の染色において通常使用され、また上に規定した如き酸性化又は塩基性化剤によって、所定の値に調節される。
【0047】
上に規定した如き酸化組成物は、また従来染髪組成物において使用され、また上に定義された如き、様々な添加剤をも含むことができる。
該ケラチン繊維に対して最終的に適用されるこの組成物は、液体、クリーム又はゲル形状、あるいはケラチン繊維及び特にヒトの毛髪を染色するのに適した、あらゆる他の形状等の様々な形状を採ることができる。
本発明のもう一つの主題は、多区画デバイス又は染色「キット」、あるいは任意の他の多区画包装系を提供するものであって、その第一の区画は、上で定義した如き染色組成物を含み、かつ第二の区画は、上で定義した如き酸化組成物を含む。これらのデバイスは、該所定の混合物を、毛髪に適用するための手段、例えば本出願人の出願によるFR-2 586 913に記載されているデバイス等を備えていても良い。
本発明は、上で定義した如き化合物の、酸化染料プリカーサとしての使用をも扱う。
【0048】
以下の例は、本発明を例示するためのものであるが、本発明の範囲を限定するものではない。
合成経路1の手順
【0049】
【化17】

【0050】
化合物(1)の合成
アニリン(A)、p-トルエンスルホニルクロリド(B)及びピリジン(C)を、一夜還流した。この反応混合物を、冷却し、氷上に注ぎ、化合物1に相当する沈殿物を、濾別し、水洗し、乾燥させた。
1a: N-(2-エチル-6-メチルフェニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド
アニリン(A):6-エチル-o-トルイジン:4.7g、1当量
トシルクロリド(B):7.96g、1.2当量
ピリジン(C):7mL
生成物質量:9.38g(収率:93%)
ベージュ色の固体
M (m/z): M- = 288
【0051】
1b: N-(2-イソプロピル-6-メチルフェニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド
アニリン(A):2-イソプロピル-6-メチルアニリン:4.7g、1当量
トシルクロリド(B):7.21g、1.2当量
ピリジン(C):7mL
生成物質量:8.17g(収率:86%)
白色固体
M (m/z): M- = 302
1c: N-(2-t-ブチル-6-メチルフェニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド
アニリン(A):6-t-ブチル-o-トルイジン:5g、1当量
トシルクロリド(B):7g、1.2当量
ピリジン(C):10mL
生成物質量:9.5g(収率:98%)
ベージュ色の固体
M (m/z): M- = 316
【0052】
化合物(2)の合成
トシルアニリン1、濃硝酸、氷酢酸、亜硝酸ナトリウム及び蒸留水を、3時間に渡り還流した。この反応混合物を冷却し、氷上に注いだ。該化合物2に相当する沈殿を、濾別し、水洗し、減圧下で乾燥させた。
2a: N-(2-エチル-6-メチル-4-ニトロフェニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド
試薬1a:2g、1当量
硝酸:1.74mL、6当量
亜硝酸ナトリウム:0.05g、0.1当量
水:16mL
氷酢酸:16mL
生成物質量:1.66g(収率:72%)
淡黄色固体
M (m/z): M- = 333
【0053】
2b: N-(2-イソプロピル-6-メチル-4-ニトロフェニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド
試薬1b:4g、1当量
硝酸:3.28mL、6当量
亜硝酸ナトリウム:0.09g、0.1当量
水:25mL
氷酢酸:25mL
生成物質量:5g(収率:100%)
淡黄色固体
M (m/z): M- = 347
2c: N-(2-t-ブチル-6-メチル-4-ニトロフェニル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド
試薬1c:5g、1当量
硝酸:3.92mL、6当量
亜硝酸ナトリウム:0.108g、0.1当量
水:30mL
氷酢酸:30mL
生成物質量:5.1g(収率:89%)
ベージュ色の固体
M (m/z): M- = 361
【0054】
化合物(3)の合成
化合物2を、濃硫酸と蒸留水との混合物に、一夜に渡り室温にて添加した。この反応混合物を、氷上に注ぎ、次いで水酸化ナトリウムで塩基性にした。生成した、化合物3に相当する沈殿物を濾別し、水洗した。
3a: 2-エチル-6-メチル-4-ニトロアニリン
試薬2a:1.5g
濃硫酸:50mL
蒸留水:5mL
生成物質量:0.78g(収率:97%)
オレンジ色の固体
【0055】
M (m/z): M- = 179
3b: 2-イソプロピル-6-メチル-4-ニトロアニリン
試薬2b:5g
濃硫酸:50mL
蒸留水:5mL
生成物質量:1.0g(収率:37%)
緑色固体
M (m/z): M- = 193
3c: 2-t-ブチル-6-メチル-4-ニトロアニリン
試薬2c:5g
濃硫酸:50mL
蒸留水:5mL
生成物質量:2.5g(収率:87%)
緑色固体
M (m/z): M- = 207
合成経路2の手順
【0056】
【化18】

【0057】
化合物(5)の合成
亜硝酸ナトリウムの水溶液を、加熱すること無しに、水に溶解したスルファニル酸の溶液(オレンジ色)に添加した。温度を10℃以下に維持した。
得られた溶液を、即座に、濃塩酸と氷との混合物中に注ぎ込んだ。
冷却したジアゾニウム塩を、0.5N塩酸中に溶解したアニリン(A)の溶液に添加(ブラッドオレンジ色が現れる)した。生成した、化合物5に相当する沈殿物を濾別し、一度水で洗浄した。
5d: 4-[(E)-(4-アミノ-3-メトキシ-5-メチルフェニル)ジアゼニル]ベンゼンスルホン酸
アミン(A):2-メトキシ-6-メチルアニリン, 6.85g, 1当量
HCl (0.5N):100mL
スルファニル酸:水50mL中に分散させた、8.66g (1当量)
亜硝酸ナトリウム:水10mL中に分散させた、3.73g (1.08当量)
35%塩酸:60gの氷中、12.5mL (2.5当量)
生成物質量:6.1g(収率:38%)
赤色固体
M (m/z): M- = 320
【0058】
5e: 4-{(E)-[4-アミノ-3-メトキシ-5-(2-ピロリジン-1-イル-エチル)フェニル]ジアゼニル}ベンゼンスルホン酸
アミン(A):1-(2-(2-アミノ-3-メトキシフェニル)エチル)ピロリジン, 5g, 1当量
HCl (0.5N):80mL
スルファニル酸:水25mL中に分散させた、3.93g (1当量)
亜硝酸ナトリウム:水5mL中に分散させた、1.69g (1.08当量)
35%塩酸:30gの氷中、6mL (2.5当量)
生成物質量:2.52g(収率:27%)
赤色固体
M (m/z): M+ = 405
【0059】
経路1及び2の還元段階
化合物3又は5、触媒(パラジウム担持チャコール)及びエタノールを、0.5-L容の水素添加装置に入れた。
この還元を、50℃の温度にて、水素ガス圧約0.6MPa(約6 bar)の下で行った。窒素雰囲気下で該触媒を濾別した後に、得られた濾液を、水性塩酸溶液中に注ぎ込んだ。該濾液を、減圧下で蒸発乾固させた。この生成物を、塩酸-エタノールから結晶化させ、水酸化カリウム上で、減圧下にて40℃で乾燥した。
4a: 2-エチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩
試薬3a:0.8g
Pd/C:0.2g
無水エタノール:250mL
生成物質量:0.6g(収率:91%)
ベージュ色の固体
M (m/z): M+ = 151
【0060】
4b: 2-イソプロピル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩
試薬3b:1g
Pd/C:0.3g
無水エタノール:250mL
生成物質量:0.82g(収率:97%)
ベージュ色の固体
M (m/z): M+ = 165
4c: 2-t-ブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩
試薬3c:2.2g
Pd/C:0.6g
無水エタノール:250mL
生成物質量:2.15g(収率:81%)
ベージュ色の固体
M (m/z): M+ = 179
【0061】
4d: 2-メトキシ-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩
試薬5d:6.1g
Pd/C:1.2g
無水エタノール:250mL
生成物質量:2.91g(収率:68%)
ピンク色の固体
M (m/z): M+ = 153
4e: 2-メトキシ-6-(2-ピロリジン-1-イル-エチル)ベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩
試薬5e:2.45g
Pd/C:0.8g
無水エタノール:250mL
生成物質量:0.75g(収率:40%)
緑色固体
M (m/z): M+ = 236
【0062】
4f: 2,5-ジアミノ-3-メチル安息香酸2塩酸塩
市販の試薬:2-アミノ-3-メチル-5-ニトロ安息香酸:2g
Pd/C:0.2g
無水エタノール:250mL
生成物質量:1.3g(収率:70%)
ベージュ色の固体
M (m/z): M+ = 165
4g: 2,6-ジイソプロピルベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩
市販の試薬:2,6-ジイソプロピル-4-ニトロフェニルアミン:2g
Pd/C:0.3g
無水エタノール:250mL
生成物質量:1.68g(収率:66%)
ベージュ色の固体
M (m/z): M+ = 193
処方物例
例1〜5:2,5-ジアミノ-3-メチル安息香酸2塩酸塩(4f)を用いた染色組成物
・例1〜3:酸性媒体中での染色
以下の染色組成物を製造した:
【0063】
【表1】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0064】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
Na2HPO4:0.28g
KH2PO4:0.46g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0065】
【表2】

【0066】
・例4〜5:塩基性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:
【0067】
【表3】

(*):染料支持体(2) pH 9.5
【0068】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
NH4Cl:4.32g
20%のNH3を含有するアンモニア水:2.94g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0069】
【表4】

【0070】
例6〜18:2,6-ジイソプロピルベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩(4g)
・例6〜12:酸性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:















【0071】
【表5】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0072】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
Na2HPO4:0.28g
KH2PO4:0.46g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0073】
【表6】

【0074】
・例13〜18:塩基性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:

【0075】
【表7】

(*):染料支持体(2) pH 9.5
【0076】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
NH4Cl:4.32g
20%のNH3を含有するアンモニア水:2.94g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0077】
【表8】

【0078】
例19〜31:2-エチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩(4a)を使用した染色組成物
・例19〜25:酸性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:


【0079】
【表9】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0080】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
Na2HPO4:0.28g
KH2PO4:0.46g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0081】
【表10】

【0082】
・例26〜31:塩基性媒体における染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:
【0083】
【表11】

(*):染料支持体(2) pH 9.5
【0084】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
NH4Cl:4.32g
20%のNH3を含有するアンモニア水:2.94g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0085】
【表12】

【0086】
例32〜44:2-イソプロピル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩(4b)を使用した染色組成物
・例32〜38:酸性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:



【0087】
【表13】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0088】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
Na2HPO4:0.28g
KH2PO4:0.46g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0089】
【表14】

【0090】
・例39〜44:塩基性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:
【0091】
【表15】

(*):染料支持体(2) pH 9.5
【0092】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
NH4Cl:4.32g
20%のNH3を含有するアンモニア水:2.94g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0093】
【表16】

【0094】
例45〜57:2-t-ブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩(4c)を使用した染色組成物
・例45〜51:酸性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:


【0095】
【表17】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0096】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
Na2HPO4:0.28g
KH2PO4:0.46g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0097】
【表18】

【0098】
・例52〜57:塩基性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:
【0099】
【表19】

(*):染料支持体(2) pH 9.5
【0100】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
NH4Cl:4.32g
20%のNH3を含有するアンモニア水:2.94g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0101】
【表20】

【0102】
例58〜64:2-メトキシ-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩(4d)を使用した染色組成物
・例58〜62:酸性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:



【0103】
【表21】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0104】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
Na2HPO4:0.28g
KH2PO4:0.46g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0105】
【表22】

【0106】
・例63〜64:塩基性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:
【0107】
【表23】

(*):染料支持体(2) pH 9.5
【0108】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
NH4Cl:4.32g
20%のNH3を含有するアンモニア水:2.94g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0109】
【表24】

【0110】
例65〜72:2-メトキシ-6-(2-ピロリジン-1-イル-エチル)ベンゼン-1,4-ジアミン2塩酸塩(4e)を用いた、染色組成物
・例65〜69:酸性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:
【0111】
【表25】

(*):染料支持体(1) pH 7
【0112】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
Na2HPO4:0.28g
KH2PO4:0.46g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは7であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。
【0113】
【表26】

【0114】
・例70〜72:塩基性媒体中での染色
以下に列挙する染色組成物を製造した:
【0115】
【表27】

(*):染料支持体(2) (表中のものと違っています) pH 9.5
【0116】
96°のエチルアルコール:20.8g
35%水性溶液としてのメタ重亜硫酸ナトリウム:0.23g AM
40%水性溶液としてのジエチレントリアミンペンタ酢酸の5Na塩:0.48g AM
60%水性溶液としてのC8-C10アルキルポリグルコシド:3.6g AM
ベンジルアルコール:2.0g
エチレンオキシド単位8個を含むポリエチレングリコール:3.0g
NH4Cl:4.32g
20%のNH3を含有するアンモニア水:2.94g
使用の時点において、各組成物を、その質量に等しい、20-倍容の水性過酸化水素溶液(6質量%)と混合した。最終的なpHは9.5であった。
得られた各混合物を、90%の白髪を含むグレイヘアの束に適用した。30分間という放置時間の後に、これら毛髪の束を濯ぎ、標準的なシャンプーで洗浄し、再度濯ぎ、次いで乾燥させた。
得られたこれら毛髪束の色相を以下の表に与える。



【0117】
【表28】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物及びその生理的に許容される溶媒和物並びにその酸付加塩:
【化1】

(I)
ここで、R1及びR2は夫々独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換されている、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基
を表し、但し以下に列挙する化合物を除く:
【化2】

【請求項2】
R1及びR2が夫々独立に、
・メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、t-ブチル又は(2,2'-ジメチル)ブチル基;
・メトキシブチル、アミノメチル、(3-ジメチルアミノ)プロピル、イミダゾロ-n-プロピル又はピロリジノエチル基;
・メトキシ、ヒドロキシメトキシ、α-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシエチル又はβ-ヒドロキシイソプロピル基;
・カルボキシル基;
・アミド基
を表す、請求項1記載の上記式(I)の化合物。
【請求項3】
以下に列挙する化合物又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物から選択される、請求項1又は2記載の上記式(I)の化合物:
【化3】




























【請求項4】
2-イソプロピル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-エチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-t-ブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,5-ジアミノ-3-メチル安息香酸、2-メトキシ-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-メトキシ-6-(2-ピロリジン-1-イル-エチル)ベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-ジメチルアミノプロピル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,5-ジアミノイソフタルアミド、2,5-ジアミノ-3-メチルベンズアミド、1-(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-6-プロピルベンゼン-1,4-ジアミン、2-イソブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン及び2-(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)エタノール、又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物から選択される、上記請求項の何れか1項に記載の上記式(I)の化合物。
【請求項5】
上記請求項1〜4の何れか1項に記載の、上記式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物の製造方法であって、以下の式(II)で表される対応する中間体化合物、又は以下の式(III)で表される対応する中間体化合物、あるいは以下の式(IV)で表される対応する中間体化合物を、還元する工程を含むことを特徴とする、上記製造方法:
【化4】

(II) (III)






(IV)
ここで、R1及びR2は夫々独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換されてた、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基を表し、
R'2は、独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C4アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基を表し、
R3は水素原子又はスルホン酸残基を表す。
【請求項6】
以下の式(II)で表される、中間体化合物:
【化5】

(II)
ここで、R1及びR2は夫々独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基
を表すが、以下に列挙する化合物を除く:
【化6】

【請求項7】
以下の式(III)で表される、中間体化合物:
【化7】

(III)
ここで、R1及びR2は夫々独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基を表し、
R3は水素原子又はスルホン酸残基を表し、但し以下に列挙する化合物を除く:
【化8】

【請求項8】
以下の式(IV)で表される、中間体化合物:
【化9】

(IV)
ここで、R1は、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基を表し、及び
R'2は、独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C4アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基を表し、但し以下に挙げる化合物を除く:
【化10】

【請求項9】
ケラチン繊維の酸化染色用組成物であって、該組成物が、適当な染色媒体中に、少なくとも1種の、以下の式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物及びその生理的に許容される溶媒和物及び酸付加塩を含むことを特徴とする、上記酸化染色用組成物:
【化11】

(I)
ここで、R1及びR2は夫々独立に、
・場合によりC1-C6アルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、(C1-C6)アルキルアミノ又は(C1-C6)ジアルキルアミノ基で置換された、あるいはまた1-ピロリジニル、1-シクロヘキシルアミニル、1-ピペラジニル、1-ジアゼパニル、1-モルホリニル、1-イミダゾイル(このリングは、1又はそれ以上のアルキル、ヒドロキシ又はアミノ基で置換されていてもよい)等の環式基で置換された、直鎖又は分岐C1-C6アルキル基;
・直鎖又は分岐C1-C6アルコキシ、C1-C6モノヒドロキシアルコキシ又はC1-C6ポリヒドロキシアルコキシ基;
・カルボキシル基;
・アミド基を表し、但し以下に列挙する化合物を除く:
【化12】

【請求項10】
上記式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物の置換基、R1及びR2が、夫々独立に、
・メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、t-ブチル又は(2,2'-ジメチル)ブチル基;
・メトキシブチル、アミノメチル、(3-ジメチルアミノ)プロピル、イミダゾロ-n-プロピル又はピロリジノエチル基;
・メトキシ、ヒドロキシメチル、α-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシエチル又はβ-ヒドロキシイソプロピル基;
・カルボキシル基;
・アミド基を表す、前記請求項に記載の組成物。
【請求項11】
上記式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物が、以下に列挙する化合物:2-イソプロピル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-エチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,6-ジイソプロピルベンゼン-1,4-ジアミン、2-t-ブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,5-ジアミノ-3-メチル安息香酸、2-メトキシ-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-メトキシ-6-(2-ピロリジン-1-イル-エチル)ベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-ジメチルアミノプロピル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-ジメチルアミノプロピル)-6-メトキシベンゼン-1,4-ジアミン、2,6-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)ベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,6-ビス(アミノメチル)ベンゼン-1,4-ジアミン、2,5-ジアミノイソフタルアミド、(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)メタノール、2,5-ジアミノ-3-メチルベンズアミド、1-(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-6-プロピルベンゼン-1,4-ジアミン、2-イソブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-エチル-6-イソプロピルベンゼン-1,4-ジアミン、2-t-ブチル-6-エチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-sec-ブチル-6-エチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-(2,2-ジメチルブチル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)エタノール、(2,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチルフェニル)メタノール、2-[2,5-ジアミノ-3-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)フェニル]プロパン-2-オール、2,5-ジアミノ-3-メトキシ安息香酸及び2-(4-メトキシブチル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物から選択される、上記請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
上記式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物が、以下に列挙する化合物:2-イソプロピル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-エチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,6-ジイソプロピルベンゼン-1,4-ジアミン、2-t-ブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,5-ジアミノ-3-メチル安息香酸、2-メトキシ-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-メトキシ-6-(2-ピロリジン-1-イル-エチル)ベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-ジメチルアミノプロピル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2-(3-イミダゾール-1-イル-プロピル)-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、2,5-ジアミノイソフタルアミド、2,5-ジアミノ-3-メチルベンズアミド、1-(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)エタノール、2-メチル-6-プロピルベンゼン-1,4-ジアミン、2-イソブチル-6-メチルベンゼン-1,4-ジアミン及び2-(2,5-ジアミノ-3-メチルフェニル)エタノール、又はその生理的に許容される塩又は溶媒和物から選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
少なくとも1種の上記式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物、及びその塩又は溶媒和物を、0.001〜10質量%なる範囲の量で含む、請求項9〜12の何れか1項に記載の組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の上記式(I)で表されるp-フェニレンジアミン化合物、及びその塩又は溶媒和物を、0.05〜6質量%なる範囲、及び好ましくは0.1〜3質量%なる範囲の量で含む、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
上記適当な染色媒体が、水、又は水とC1-C4低級アルカノール、ポリオール及びポリオールエーテル、及び芳香族アルコール、及びこれら物質の混合物から選択される少なくとも1種の有機溶媒との混合物からなる、請求項9〜14の何れか1項に記載の組成物。
【請求項16】
pHが、3〜13なる範囲内にある、請求項9〜15の何れか1項に記載の組成物。
【請求項17】
上記式(I)で表されるp-フェニレンジアミン以外のp-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール及びヘテロ環式塩基、及びこれらの酸との付加塩から選択される、少なくとも1種の付随的酸化塩基を含む、請求項9〜16の何れか1項に記載の組成物。
【請求項18】
該付随的酸化塩基が、該染色組成物の全質量に対して、0.0005〜12質量%なる範囲の割合に相当する、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
少なくとも1種のカプラー及び/又は少なくとも1種の直接染料を含む、請求項9〜18の何れか1項に記載の組成物。
【請求項20】
該カプラーが、m-フェニレンジアミン、m-アミノフェノール、m-ジフェノール、モノヒドロキシル化又はポリヒドロキシル化ナフタレン誘導体及びヘテロ環式カプラー、及びこれらの酸との付加塩から選択される、請求項19記載の組成物。
【請求項21】
該カプラーが、該染色組成物の全質量に対して、0.0001〜10質量%なる範囲の割合に相当する、請求項19及び20の何れかに記載の組成物。
【請求項22】
該酸付加塩が、以下に列挙する酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、リン酸又はコハク酸の塩から選択される、請求項9〜21の何れか1項に記載の組成物。
【請求項23】
該ケラチン繊維及び特に人のケラチン繊維、例えば毛髪を染色するための方法であって、請求項9〜22の何れか1項に記載の少なくとも1種の染色組成物を、これらの繊維に、空気中で、あるいは酸化剤を用いて、場合により酸化触媒の存在下で、所定の色を発現するのに十分な時間に渡り、適用することを特徴とする、上記方法。
【請求項24】
該色が、大気酸素と接触した場合においてのみ現れる、請求項23記載の方法。
【請求項25】
該色が、まさに使用の時点において、該染色組成物に添加される、あるいは同時に若しくは別々に順次適用される酸化組成物中に存在する、酸化剤を用いて、酸性、中性又はアルカリ性pHにおいて現れる、請求項24記載の方法。
【請求項26】
該酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属ブロメート及び過酸塩、例えば過ホウ酸塩及び過硫酸塩から選択される、請求項25記載の方法。
【請求項27】
多区画デバイス又は多区画染色「キット」であって、その第一の区画が、請求項9〜22の何れか1項に記載の少なくとも1種の染色組成物を含み、かつ第二の区画が、酸化組成物を含むことを特徴とする、上記デバイス又はキット。
【請求項28】
請求項1〜4の何れか1項に記載の化合物の、酸化染色プリカーサとしての使用。

【公開番号】特開2007−84543(P2007−84543A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−253456(P2006−253456)
【出願日】平成18年8月22日(2006.8.22)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】