説明

最適燃料プロファイル

ディーゼルエンジン(9)排気ガス後処理システム(7)におけるLNT(13)の再生のために提供される方法である。概して、後処理システム(7)は、燃料改質装置(12)、LNT(13)およびSCR触媒(14)をその順に含む。再生中に、合成ガスの濃度あるいは流量は、増加して、最高点に到達して、それから減少する。好ましくは、合成ガス濃度あるいは流量および燃料改質装置(12)温度は、少なくとも燃料噴射装置およびエンジン吸気スロットルを利用して同時に制御される。再生前期における合成ガス濃度あるいは流量の増加のパターンおよび再生後期における合成ガス濃度あるいは流量の減少パターンは、再生のための燃料損失を減少させると共に再生により合成ガス濃度あるいは流量が本質的に一定であるシステムと比較した場合、アンモニア生産量を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス後処理を伴うディーゼル動力発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンから排出されるNOxは環境問題である。米国を含む数カ国では、トラックおよび他のディーゼル車から排出されるNOxを制限する規制が長い間未決定のままである。製造者および研究者らは、それら規制の対処に多大な努力を注いだ。
【0003】
理論混合気の燃焼を利用するガソリン車において、三元触媒によりNOx排出を制御することが知られている。圧縮による発火を利用するディーゼル車において、排気ガスは、概して、三元触媒を有効に作用させるためには酸素を多く含み過ぎている。
【0004】
ディーゼル車から排出されるNOxを制御するためにいくつかの解決策が提案されている。ある取り組みはエンジンに集中している。例えば、排気ガスの再循環および空燃混合物の部分的均一化等の技術は有用であるが、これらの技術だけではNOx排出を削減することはできない。他の取り組みでは、車両の排気ガスからNOxを除去する。これらは、希薄燃焼NOx触媒、選択還元触媒(SRC)、および低濃度NOxトラップ(LNTs)を含む。
【0005】
希薄燃焼NOx触媒は、酸素を多く含む状況下におけるNOxの還元を促進する。酸化雰囲気中におけるNOxの還元は困難である。希薄燃焼NOx触媒に要求される活性、耐久性および作用する温度領域を特定する挑戦への試みがなされてきた。希薄燃焼NOx触媒も熱水的に不安定な傾向がある。活性の顕著な減損は、比較的に少ない使用の後で発生する。概して、希薄燃焼NOx触媒は、還元微環境を提供すると考えられているゼオライトウォッシュコートを使用する。例えば、ディーゼル燃料等、排気ガス中への還元剤の適用は、一般に、3%以上の燃料の浪費が要求されると言われている。一般に、希薄燃焼NOx触媒のピークNOx転化効率は非常に低い。
【0006】
概して、SCRはアンモニアによるNOxの選択還元触媒に言及する。その化学反応は酸化雰囲気中でさえ発生する。NOxは一時的に吸着剤に蓄積することができ、アンモニアは連続的に排気ガス中に供給することができる。SCRはハイレベルのNOx還元を成し遂げることができるが、アンモニアあるいは適当な先駆物質を分配するためのインフラの不足という不利がある。他の懸念は、雰囲気中へのアンモニアの放出の可能性に関わる。
【0007】
排気ガス後処理技術において、かつての分類が不明瞭な状態を明確化するため、「SCR触媒」および「低濃度NOx触媒」の術語は、時折交互に用いられることに留意すべきである。しばしばSCRが低濃度NOx触媒の特別なケースであるように、術語「SCR」はまさにアンモニア−SCRに関連して使用される。一般に、触媒の両タイプがある言及について論議される場合、SCRはアンモニア−SCRに関して用いられ、低濃度NOx触媒は、例えば炭化水素を伴うSCR等のアンモニア以外の還元剤を伴うSCRに関して用いられる。
【0008】
LNTsは、低濃度排出状態下でNOxを吸着すると共にその吸着されたNOxを高濃度排出状態下で還元して放出する素子である。概して、吸着剤は、例えばBaCO3等のアルカリ土類化合物であり、概して、触媒は、例えばPtおよびRh等の貴金属の化合物である。低濃度排出においては、触媒は、NOx吸着作用を引き起こす酸化反応を促進する。還元環境における触媒は、吸着されたNOxの還元反応および吸着剤からの脱着反応を活性化させる。典型的な作用プロトコルにおける還元環境は、LNTの再生(脱硝)のため時々排気ガス中に作り出される。
【0009】
LNT再生のための還元環境の創出は、排気ガスへの還元剤の供給を伴う。排気ガスが化学量論あるいは高濃度の状態でエンジンが作動できる場合を除いて、還元剤の一部は排気ガス中で酸素を消費して化学反応する。還元剤を伴う化学反応により除去される酸素量は様々な方法で減少させることができる。エンジンが吸気スロットルを装備しているのであれば、そのスロットルを使用することができる。しかしながら、少なくともディーゼルエンジンの場合、概して、還元剤の排気ガス中への注入を伴う化合物あるいは改質反応により、排気ガス中の一部の酸素を除去する必要がある。
【0010】
還元剤と酸素との間の化学反応はLNT内部で発生するが、概してその化学反応はむしろLNT上流の触媒中で発生することが望ましく、それにより、その反応温度は、再生ごとにLNT内部で大きな温度上昇を引き起こすことがない。
【0011】
還元剤は、エンジンあるいは別の燃料噴射装置により排気ガス中へ注入することができる。例えば、エンジンは、排気ガスを放出する前に1つ以上のシリンダ内部の排気ガス中へ余分な燃料を噴射することができる。二者択一的、あるいは付加的に、還元剤は、エンジン下流の排気ガス中へ注入することができる。
【0012】
特許文献1には、LNT上流の排出ライン中に配置された燃料改質装置を有する排気ガス後処理システムが記載されている。その改質装置は、酸化および改質のいずれの触媒をも含む。その改質装置は、過剰な酸素を除去するだけでなく、より多くの反応性改質油中へディーゼル燃料還元剤を転化する。
【0013】
インライン改質装置の作用は、以下の3つの反応式の条件により表すことができる。
0.684CH1.85 + O2 → 0.684CO2 + 0.632H2O (1)
0.316CH1.85 + 0.316 H2O → 0.316CO + 0.608H2 (2)
0.316CO + 0.316 H2O → 0.316CO2 + 0.316H2 (3)
ここで、CH1.85 は、例えばディーゼル燃料等、炭素と水素との比率が1.85の典型的な還元剤を意味する。反応式(1)は、酸素が消費されることによる発熱を伴う完全燃焼である。反応式(2)は、吸熱を伴う水蒸気改質である。反応式(3)は、水性ガスシフト反応であり、COもH2も再生にとって有効であるが、相対的に温度的中立であると共に当該明細書中においてはあまり重要ではない。
【0014】
上記特許文献1のインライン改質装置は、速やかに温まるように、また、それまでの間、水蒸気改質に触媒作用を及ぼすように設計されている。この改質装置による効果的な改質油生産に必要なのは、約500℃から約700℃の温度であると言われている。これらの温度は、典型的なディーゼル排気ガス温度よりも実質的に高い。上記改質装置は、排気ガスを希薄化する比率に応じて燃料噴射により加熱され、これにより反応式(1)が発生する。暖機後、燃料噴射量は、高濃度排気ガスを供給するために増加される。改質装置は、改質油が作り出される時に、排出酸素状態、燃料噴射量、および排気ガス温度に応じて温まるかあるいは冷える傾向がある。
【0015】
燃料噴射量は、改質装置の温度を制御するのに使用することができる。改質装置が温まっているとすれば、吸熱反応式(2)(吸熱を伴う水蒸気改質)が生じる範囲を拡大するために燃料噴射量を増加させることができる。排出酸素状態により制限される反応式(1)(吸熱を伴う完全燃焼)は、本質的に一定である。改質装置が冷えているとすれば、燃料噴射量を低下させることができる。
【0016】
燃料噴射量単独で改質装置温度を制御する場合、改質装置により供給される還元剤濃度は本質的に制御されない。いくつかの還元剤の濃度を制御するために、排出酸素濃度は、付加的な制御変数として使用することができる。ディーゼル排気ガスシステムにおける排出酸素濃度は、範囲内で、EGRの使用、および吸気スロットルにより制御することができる。排出酸素濃度および燃料噴射量の双方の制御により、改質装置温度および改質油濃度は、予め決められた値に同時に制御することができる。
【0017】
脱硝の間、吸収されたNOxの多くはN2に還元されるが、吸収されたNOxの一部は還元されることなく放出され、また、吸収されたNOxの他部はアンモニアに深く還元される。NOx放出の開始時に再生の初期段階が発生し、NOx放出スパイクとして説明される。アンモニア生産物は、概して、再生の末期段階へ向けてその大部分が観察される。
【0018】
特許文献2には、脱硝の間アンモニアを放出するのに利用するためにSCR触媒がLNTの下流に形成されたシステムが記載されている。アンモニアは、LNTを通過するNOxを還元するのに利用され、それにより、燃料損失あるいは貴金属の使用の増加を伴うことなく、転化効率を独立型のLNTを上回る転化効率に向上させる。特許文献2は、給油アンモニア生産という考え方およびそれにより実現されるSCR触媒を上回るNOx還元を伴う、吸収されたNOxを還元するために要求されるよりも多くの還元剤を使用する再生LNTを提案する。
【0019】
同じく、特許文献3には、LNTおよびSCR触媒を併用するハイブリッドシステムが記載されている。アンモニア生産物を増加させるために、LNTのロジウム添加剤を還元することが提案されている。NOxスパイクを還元するために、LNTから酸素ストレージ容量を削減することが提案されている。NOxスパイクは、蓄積された酸素と反応して発熱する還元剤に起因し、各再生の初期において非還元NOxの放出を引き起こすという理論である。
【0020】
同じく、特許文献4には、LNTおよびSCR触媒を有するシステムが記載されている。アンモニア化成は、LNT特許の範囲内にある残余の酸素により妨げられるという理論であり、この出願は、残余酸素を還元してLNT再生中のアンモニア生産物の温度を上昇させるために、LNTが本質的に化学量論あるいは僅かな低濃度混合気である不活性排気ガスを豊富に含むプロセスを説明する。
【0021】
特許文献5は、NOxスパイクは、各再生の初期段階で還元剤供給量とNOx放出量との間のアンバランスの結果であると理論付けている。提案された解決法は、SCR触媒の下流における再生の最初で放出されたNOxを処理するためのものである。アンモニアは、この目的のためLNTの下流に供給される。このアンモニアは、分岐した排気通路内の三元触媒を通過する高濃度排気ガスの処理により機上で生産される。アンモニアを含む排気ガスは、SCR触媒に入る排気ガスよりも前に流出するLNTと結合される。
【0022】
進歩に関らず、入手可能で且つ信頼性が高い排気ガス処理システムの必要性が長い間あり続けており、該システムは、耐久性があり、扱いやすい運転費(燃料損失を含む)を有し、また、米国環境保護庁(EPA)の2010年に有用な規制および何らかの規制に直面するという意味で、ディーゼルエンジンから満足のいく範囲までの還元NOxの放出に有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】米国特許2004/0050037号公報
【特許文献2】米国特許第6,732,507号
【特許文献3】米国特許2004/0076565号公報
【特許文献4】国際公開第2005/049984号公報
【特許文献5】米国特許第5,778,677号
【発明の概要】
【0024】
発明者の概念の一つは、ディーゼルエンジン排気ガス後処理システムにおけるLNT再生(NOx除去のための)の方法に関する。概して、その後処理システムは、燃料改質装置、LNTおよびSCR触媒の順に構成される。再生中、合成ガスの濃度あるいは流量は、増加して最高潮に達し、それから減少する。好ましくは、合成ガスの濃度あるいは流量および燃料改質装置温度は、少なくとも、燃料噴射およびエンジン吸気スロットルを使用して同時に制御される。再生前半における還元剤濃度あるいは流量の増加パターン、および、再生後半における還元剤濃度あるいは流量の減少パターンは、還元剤の濃度あるいは流量が再生中を通して本質的に一定であるシステムと比較した場合、再生による燃料損失を減少させると共にアンモニア生産量を促進する。その発明者の概念を利用することで、還元剤供給量が一定の従来技術と比較して、より多くのアンモニア生産を達成することができる。
【0025】
この要約の第1の目的は、以下のより詳細な説明を容易に理解するための簡略化された形態中の発明者の概念において現在確定されたものである。この要約は、発明者の概念の全ての包括的説明あるいは発明者の考えられる発明の概念のあらゆる組合せではない。発明者の他の概念は、図と共に以下の詳細な説明により一当業者に示唆されるであろう。ここで開示された明細書の記載は、一般化、限定化および以下の請求項のために確保されたそれら発明としての発明者の請求項の最終的な明細書を伴う様々な方法の複合化となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、合成ガス流量および改質装置温度プロファイルに加えて、具体例としての燃料噴射および酸素流れプロファイルを示す曲線である。
【図2】図2は、発明者の概念を満たす具体例としてのシステムの概略図である。
【図3】図3は、従来の還元剤流れプロファイルを使用するLNTの場合と発明者により考えられた還元剤流れプロファイルを使用するLNTの場合とのNOxスリップ率を比較した曲線である。
【図4】図4は、従来の還元剤流れプロファイルを使用するLNTの場合と発明者により考えられた還元剤流れプロファイルを使用するLNTの場合とのアンモニア生産量を比較した曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2は、発明者の様々な概念を具現化する典型的な動力発生システムの概略図である。システム5は、エンジン9、トランスミッション8、および排気ガス後処理システム7からなる。排気ガス後処理システム7は、コントローラ10、燃料噴射装置11、燃料改質装置12、低濃度NOxトラップ(LNT)13、アンモニアSCR触媒14、ディーゼル微粒子フィルタ(DPF)16および浄化触媒17を含む。コントローラ10は、温度センサ20および21ならびにNOxセンサ22および23を含むいくつかの発信源からのデータを受信する。コントローラ10は、トランスミッション8、吸気スロットル18、EGRバルブおよび排気ガス後処理システム7を制御するエンジンコントロールユニット(ECU)であってもよいし、あるいはこれらの機能を統合して実行するいくつかのコントロールユニットを含んでもよい。
【0028】
DPF16は、排気ガス中の微粒子を除去する。低濃度運転中(低濃度段階)では、LNT13は、排出NOxの一部を吸着する。アンモニアSCR触媒14は、LNT13(高濃度段階)の以前の再生から蓄積されたアンモニアを含んでいてもよい。アンモニアSCR触媒が蓄積されたアンモニアを含む場合、低濃度排気ガスからNOxの付加的部分を除去する。浄化触媒17は、CO酸化物および排気ガス中に残留する不燃焼炭化水素を供給することができる。
【0029】
時々、LNT13は、蓄積された(脱硝された)NOxを除去するために再生する必要がある。概して、脱硝は、改質装置12の運転温度までの加熱、そして改質油生産を含む。改質装置は、半化学量論的比率で噴射燃料により加熱すればよく、それにより、排気ガスは低濃度を維持すると共に、噴射燃料は改質装置12内部で完全燃焼する。1回の燃焼は改質装置12を加熱させ、その燃料噴射量は高濃度排気ガスの発生を増加させ、その結果、改質装置12は、排気ガス中の大部分の酸素を消費すると共に一部分の酸化および改質反応により改質油を生産する。このようにして生産された改質油は、LNT13内部で吸収されたNOxを還元する。このNOxのいくらかはNH3へ還元され、その多くは、アンモニアSCR触媒14により捕獲されると共にその後に生じる低濃度状態の間のNOx還元に利用される。浄化触媒17は、使用されていない還元剤および蓄積された酸素あるいは残余酸素を使用する吸収されなかったNH3を酸化させる。
【0030】
発明者の概念の一つによれば、排出酸素および還元剤流量は、改質装置12の温度調節および所定の還元剤流れあるいは濃度プロファイルを提供するために制御される。好ましくは、還元剤プロファイルは、再生LNT13と結合したことによる燃料損失が最小限となるように設計される。概して、この設計の一環は、アンモニア生産量の増加を含み、吸着されたNOxのより重要な作用がアンモニアへの転化であるとすれば、LNT13をしばしば再生する必要はない。
【0031】
燃料噴射量は、目標合成ガス流量プロファイルを達成することが要求され、Ftotalは、
Ftotal = Fcombust + Freform/η (4)
により与えられ、Fcombustは、排気ガス中の酸素を燃焼させるために要求される燃料流量、Freformは、目標合成ガス量を供給するために化学量論的に要求される燃料量、およびηは、過剰な酸素が除去された時点で、燃料改質装置12が燃料を改質油へ転化する場合の効率である。効率係数ηは、他にも係数がある中で、燃料改質装置12の独自の特性によるものである。概して、Freformは、目標合成ガス流量に比例し、およそ反応式(2)に示されるような化学量論により決定される。Fcombustは、排出酸素濃度およびおよそ反応式(1)に示されるような化学量論により決定される。よって、燃料噴射量は、目標合成ガス流量および排出酸素濃度に基づく等式(4)により決定される。効率係数ηが複雑な関連により決定される場合、反復計算を利用してもよい。
【0032】
燃料改質装置12の加熱率は、
Vref×Cp,ref×dTref /dt = Cp,exh×Fexh×(Tref - Texh) + Qcomb + Qref (5)
により与えられ、左側は、改質装置加熱率に改質装置熱容量を乗じたもので、右側の第1項は、排気ガスの熱容量に改質装置を通過する排気ガスの温度(おおよそ改質温度に等しい)と改質装置に入る排気ガスの温度との間の差とを乗じたもので、右側の第2項は、完全燃焼により生じた熱であり、右側の第3項は、水蒸気改質により生じた熱である(負数)。
【0033】
燃料改質装置の加熱率は、等式(5)に基づくエンジン運転パラメータにより制御される。等式(5)の右側の第1項は、かつての排気ガス流量Fexhおよび排気ガス温度Texhにより決定されることが知られている。第2項は、改質油を生産するために十分な燃料が噴射されている場合、排気ガス酸素濃度および反応式(1)の熱から求めることができる。第3項は、Freformおよび反応式(2)の熱により決定することができる。よって、設定されたエンジン運転パラメータおよび目標合成ガス流プロファイルがいかなるものであっても、等式(5)の右側の全ての項は決定される。エンジン9の運転に過度に影響することがない許容可能な改質装置加熱率を提供するパラメータの設定を選択することができる。
【0034】
エンジン9の動力出力を持続する間の改質装置加熱率に影響を及ぼすために制御されるエンジン9の運転に関連するいくつかのパラメータがある。これらパラメータは、例えば、エンジン吸気スロットルにおける開口の程度、トランスミッションギアレシオ、およびエンジンEGRバルブの開口の程度の1つ以上を含む。これら運転パラメータの選択は、燃料噴射量が改質油を生産するに向けて十分に高い時にQcombを決定し、排気ガス流量Fexh、排気ガス温度Texh、および排気ガス酸素濃度を通じて等式(5)に影響を及ぼす。
【0035】
前述した等式は、燃料噴射量、および、例えばスロットルの開度等のエンジン運転パラメータの計算を持続し、与えられた合成ガス流量および改質装置温度制御を達成することが要求される。これら等式は、燃料噴射量および目標合成ガス濃度プロファイルあるいは空気比プロファイルに対応する燃料を供給するためのエンジン運転パラメータを与えることに変更することができる。
【0036】
いくつかの考えられる改質装置温度制御対象がある。可能性の1つとして、改質装置温度を一定に維持することがある。他には、再生が完了する以前に改質装置12がオーバヒートしないように、改質装置温度を十分緩やかに上昇させることを維持することがある。改質装置12がオーバヒートし始めた場合、改質装置12が冷却するまでの間、再生プロセスを一時的に停止させることができるが、これは再生燃料損失の傾向にある。再生の進行を幾分超えて増加する改質装置温度であることが望ましい。例えば、改質油生産および再生は、改質装置12が最低温度に到達するとすぐに始まる。最低温度が改質装置12の最適温度を下回る場合、再生し始めた時に改質装置12の加熱を許容することが望ましい。改質装置温度および加熱率の許容可能な範囲がある。このような場合、エンジン運転パラメータは、許容可能な温度バリエーションの範囲内で最適化される。例えば、エンジン吸気は、エンジン9の運転の摂動が最小となるように再生の進行を超える許容可能な運転温度の範囲内で改質装置12を保持するのに必要な最小の大きさに絞られる。
【0037】
再生の開始時に、改質装置12は、最初に改質装置12が効率的に改質油を生産することができる温度に加熱される。最適燃料プロファイルおよび最小燃料費を伴うこの加熱をもたらすエンジン運転パラメータの最適な制御がある。概して、この最適条件は漸次的な燃料噴射量増加を含む。初期段階では、改質装置12が冷えている場合、燃焼が緩やかに進行すると共に急速な燃料噴射が燃料の多大な浪費をもたらすことになる。改質装置が熱を持っている場合、触媒作用がより活性化されると共に燃料を過度に浪費することなく燃料噴射量を増加することができる。この加熱段階は、排気ガスを低濃度に維持する量で燃料噴射される特徴がある。
【0038】
推奨される合成ガス濃度あるいは流量プロファイルは再生の中程で最も高くなる特徴があり、また、再生の始まりと終わりとで相対的により低くなる。概して、合成ガス流量は、相対的に低く始まり、最高まで増加し、それから終わりまで低下する。
【0039】
発明者が推測した還元剤流量あるいは濃度プロファイルの相関関係を説明する理論は、還元剤供給量がNOx放出量におおよそ調和することである。再生の始まりでは、還元剤は、LNT内部に蓄積された酸素を伴う反応により消費される。蓄積された酸素が除去されるまでの間、NOxの反応は効果的ではなく、特にNOxのNH3への極度の還元ではない。
【0040】
再生はLNTの隅々まで均一に発生しない。酸素は最初に入口近傍で除去される。酸素除去の場所は、前部に形成されてLNTの出口の方へ移動するためであると考えられる。この前部がLNTを通過して移動する場合、LNTのより多くの部分は、本質的に蓄積された酸素がなく、蓄積されたNOxを放出し始める。LNTのこの部分が増加する時、NOx放出量もまた増加する。漸進的に還元剤供給量が増加することにより、この放出量は、比較的一定の速度で酸素が除去されている間、還元剤供給量におおよそ調和させることができる。結局、本質的に全ての蓄積された酸素が除去されて、蓄積されたNOxの蓄えが空になることに起因して酸素がない領域におけるNOx放出量が減衰した後、全体的なNOx放出量は減少する。再生の終わりに向けて還元剤供給量が減少することにより、同様に、還元剤供給量は再生の最終段階におけるNOx放出量におおよそ調和させることができる。
【0041】
還元剤供給量のNOx放出量に対する調和には少なくと2つの有益な効果がある。一方は、NOxスリップが削減されることである。他方は、アンモニア生産が増加することである。アンモニア生産は、より多くのNOxを還元するのに使用することができること、および、NOx放出量が最大である時に(再生の中期)、より多くの還元剤が存在すること、の双方の理由で増加する。過剰な還元剤は、十分にアンモニアに還元されたNOxの部分を増加させる。ここで説明したように、還元剤供給量が変化することにより、還元剤供給量が一様な場合よりも、単位還元剤当たりでより多くのアンモニア生産を達成することができる。同様に、蓄積されたNOxのより多くをアンモニアに還元することができる。
【0042】
図1は、再生により本質的に一定の還元剤流量を供給する先行技術の燃料噴射プロファイルと比較して燃料損失が低い再生を提供するための具体的な燃料噴射プロファイルを示す。ライン1は改質装置温度、ライン2は炭化水素還元剤流量(改質装置上流の燃料噴射量、g/min)、ライン3は排出酸素流量(改質装置前方)、およびライン4は合成ガス流量(改質装置後方)である。
【0043】
初期の改質装置温度は約400℃である。改質装置は、低濃度排気ガス状態下で、排気ガスが高濃度になり且つ改質油生成が始まる(ライン4により示されるように)約600℃まで加熱される。燃料改質装置は、改質油が生産されると共に高濃度排気ガス状態下でLNTが再生されつつ約750℃まで加熱が継続される。
【0044】
改質装置が加熱されている間の低濃度部分(約2秒前)において、ライン2により示される燃料噴射量は、改質装置の高濃度状態下での運転中のある程度の間(約2秒後)と同等あるいはそれ以上である。排気ガスは、ライン3に示される暖機段階の間の高い酸素流量に起因して高い燃料噴射量にもかかわらず低濃度である。
【0045】
酸素流量は、エンジン吸気を絞ることにより削減することができる。短期間にエンジンを大きく絞ることは、不可能あるいは実用的ではない。よって、低濃度の暖機段階の間のスロットルの開度の増加そして酸素の流れの減少は、スロットルに影響するいくつかの有利な点が、改質装置の加熱のための燃料損失を有することはさておき、高濃度再生段階のための改質装置を準備する上で有利である。
【0046】
高濃度段階を過ぎると、燃料噴射曲線2および関連する合成ガス曲線4の双方は、略ガウス形状を有する。この正確な形状は不可欠ではない。低値での始動特性、ピーク値までの絶え間ない増加、および、他の低値までの減少は、この実施例の特徴的性質である。
【0047】
図3は、図1の燃料プロファイルを使用して測定されたNOx放出量と、従来の一定の燃料噴射量を使用して測定されたNOx放出量とを比較したものである。図は、各々LNT再生を伴って発生するNOx放出スパイクの実質的な減少を示す。
【0048】
図4は、図1の燃料プロファイルを使用して測定されたアンモニア生産量と従来の一定の燃料噴射量を使用して測定されたアンモニア生産量とを比較したものである。本発明のプロファイルの使用により、相当に大量のアンモニアが生産される。還元剤プロファイルの使用は発明者により想像され、実質的に、還元剤の単位当たり、および、ある一定の還元剤供給量を使用して可能以上に放出された吸収されたNOxの単位当たりでより多量のアンモニアが生産され、ストレージから除去されたNOxのより大きな作用は、発明者により想像された燃料プロファイルを使用する場合に、アンモニアを減少させることにある。発明者は、短時間の高濃度段階の間に実質的に全てのアンモニアが生産され、その上、図4に示される減じられたアンモニア放出量は、吸着および発生したアンモニアの漸進的放出あるいはアンモニア放出量を測定するために使用される装置の直接の結果となると考える。
【0049】
LNTの再生時間は、いくつかの適当な方法により決定することができる。再生の始まりを決定する方法の例としては、排気ガス中のいかなるNOx濃度においてもスレショレルドに到達すると同時に始まる再生、最後の再生からのマイルあるいはブレーキ馬力時当たりのNOx放出総量、最後の再生からのエンジン排出NOxの総量、LNT13内に充填されるNOxの推定量、所定値以下のNOx転化効率の減少およびLNT13内に残される吸着能力の推定量が挙げられる。再生は、フィードフォワードあるいはフィードバック制御により断続的あるいは確定的とすることができる。再生は、日和見的とすることもでき、低い燃料損失再生に有利な運転状態のエンジンにより引き起こされる。再生のためのスレショレルドは、再生するために必要な刺激と再生の現状の好ましさとの間で妥協点を与えるために変化させることができる。
【0050】
時々、LNT13もまた、蓄積された硫黄化合物(脱硫された)を還元するために再生する必要がある。脱硫は、改質装置12を活性温度まで加熱すること、LNT13を脱硫温度まで加熱すること、および還元雰囲気を伴う加熱されたLNT13を提供することを含む。脱硫温度は変化するが、概して約500から約800℃までの範囲内であり、概して約650から約750℃までの範囲の最適な温度を伴う。最低温度以下では、脱硫はとても遅い。最高温度以上では、LNT13がダメージを受ける。
【0051】
LNT13を加熱する基本的手段は、改質装置12からの対流熱である。この熱を発生させるために、燃料を低濃度状態下で改質装置12へ供給することができ、それにより改質装置12内で燃料が燃焼される。LNT13の脱硫の間、燃料噴射量および排気ガス状態は、LNT13について上述したように制御することができる。LNT13脱硫のための推奨される還元剤濃度プロファイルは、比較的低い還元剤濃度を長期間維持することを含み、脱硫の間の単位時間当たりに除去される硫黄の量は、脱硝の間の単位時間当たりに除去されるNOxの量よりも大幅に少なく、したがって、いったん超過した酸素が除去されると、還元剤の小さい安定した流れが供給されるだけである。
【0052】
そして、好ましくはエンジン9が圧縮点火ディーゼルエンジンであり、発明者の多様な概念は、希薄燃焼ガソリンエンジンあるいは酸素濃度が高いNOx含有排気ガスを生産する他のタイプのエンジンを伴う動力発生システムに適用可能である。本明細書の目的のためのNOxはNOおよびNO2である。
【0053】
トランスミッション8は、適当なタイプのいかなるトランスミッションとすることができる。トランスミッション8は、例えばカウンタシャフトタイプの機械式トランスミッション等の従来のトランスミッションとすることができるが、CVTであることが好ましい。CVTは、従来のトランスミッションに対してより大きい運転ポイントを選択することができ、また、概して、広域なトルク乗数を提供することができる。利用可能な運転ポイントの領域は、例えば改質装置12の温度のように、排気ガス状態を制御するために使用される。与えられた動力要求を得るために、与えられた制御目標に関して最良の運転ポイントのトルク乗数が与えられ、例えば選択可能な排気ガス酸素状態を最小限にする等を選択することができる。
【0054】
一般に、CVTは、変速の間の動力伝達の中断が回避あるいは最小限に抑えられる。CVTシステムの例として、流体圧式トランスミッション、転がり接触トラクション駆動、オーバランニングクラッチ設計、電子式、滑りクラッチを伴う多段ギアボックス、およびVベルトトラクション装置等が挙げられる。CVTは、動力分配を伴うことができると共に多段トランスミッションをも含むことができる。
【0055】
推奨されるCVTは、広域なトルク増加率を提供し、従来のトランスミッションと比較して変速要求を実行し、また、当該CVTをエンジンが発生するピークトルクレベルのフラクションのみに従わせる。これは、CVTを通過するトルクを減少させるためのステップダウンギアセットの使用を可能にする。CVTからのトルクは、トルクを戻すステップダウンギアセットを通過する。さらに、CVTは、エンジンからの分割トルク、および、プラネタリギアセットにおけるトルクの再結合から保護される。プラネタリギアセットは、例えばバンドタイプCVT等のCVTからのトルク成分を伴う段階的オートマチックトランスミッションを介してエンジンから伝達される直接トルク成分を混合あるいは結合する。その組み合わせは、バンドタイプCVTを介して一部のトルクを伝達する全てのCVTに提供される。
【0056】
燃料噴射装置11は、いかなるタイプでも適合させることができる。好ましくは、それは霧化あるいは気化された噴霧状の燃料を発生させる。燃料は、エンジン9用の燃料ポンプにより供給される圧力で噴射される。しかしながら、好ましくは、燃料は、少なくとも約4barの圧力で燃料を供給する燃料ポンプにより供給されてから、液圧原理に少なくとも2倍の燃料圧力が作用する圧力倍力装置を介して通過する。推奨される実施形態では、反応および無反応制御の高温を伴う電子制御燃料噴射装置が望ましい。
【0057】
燃焼改質装置は、十分に燃焼された燃料を伴うことなく、重い燃料をより軽い化合物に転化させる装置である。燃料改質装置は、触媒改質装置あるいはプラズマ改質装置とすることができる。好ましくは、改質装置12は、水蒸気改質触媒を含む部分酸化触媒である。改質触媒の例として、例えばPt, PdあるいはRu等の貴金属、およびAl,MgおよびNiの酸化物、CaO, K2O、および、例えば活性を高めるためのCe等の希土類金属の概して1つ以上が組み合わされて構成される。改質装置は、450℃以下の温度で作用するように設計された酸化触媒あるいは三元触媒と比較してサイズが小さいことが好ましい。概して、改質装置は、約450から約1100℃の温度で作用する。
【0058】
LNT13は、いかなる適当なNOx吸着剤を含むことができる。NOx吸着剤の例として、酸化物、炭化物、および、例えばMg, Ca, SrおよびBa等のアルカリ土類金属,あるいはKあるいはCs等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。また、NOx吸着剤の例として、例えばゼオライト、アルミナおよび活性炭素等の分子篩が挙げられる。さらに、例として、例えばチタニウムおよびジルコニウムのリン酸塩等の金属リン酸塩が挙げられる。概して、NOx吸着材料はアルカリ土類酸化物である。概して、吸着剤は、結合材、および、独立構造を形成するかまたは不活性基板被膜として適用されるもののどちらかと結合される。
【0059】
また、LNT13は、還元環境におけるNOx除去のための触媒を含む。該触媒は、例えば、Au,AgおよびCu等の1つ以上の遷移金属、Pt, Rh, Pd, Ru, Ni等のVlll族金属、および、Co, Cr、あるいは、Moとすることができる。典型的な触媒はPtおよびRhを含む。また、貴金属触媒は、アルカリ土類酸化吸着装置の吸着機能を促進する。
【0060】
本発明による吸着材料および触媒は、概して、車両排気ガスシステムにおける使用に適用される。車両排気ガスシステムでは、重量、寸法および耐久性における制限が生じる。例えば、車両排気ガスシステムのためのNOx吸着床は、車両運転中に晒される振動下で適度に分解を妨げる必要がある。
【0061】
アンモニアSCR触媒15は、低濃度排気ガスにおいてNOxをN2へ還元するためのNOxとNH3との間の触媒反応に有用な触媒である。SCR触媒の例として、CU, Zn, V, Cr, Al,Ti, Mn, Co, Fe, Ni, Pd, Pt, Rh, Rd, Mo, WおよびCe等の金属酸化物、ZSM-5あるいはZSM-11等のゼオライト、Cu, Co, Ag, ZnあるいはPtのカチオンのような金属イオンへの置き換え、および活性炭素が挙げられる。好ましくは、アンモニアSCR触媒15は、LNT13を脱硫するために要求される温度に耐え得るように設計される。
【0062】
微粒子フィルタ16は、いかなる適当な構造としてもよい。適当な構造の例として、概して、セラミックス、特に、コールディアライトあるいはSiCからなるモノリシックウォールフローフィルタ、セラミックスフォームのブロック、多孔質焼結金属あるいは金属フォームのモノリスのような構造物、および、織られた、編まれたあるいは網目状のセラミックスあるいは金属繊維等の耐熱性繊維の構造物が挙げられる。フィルタエレメントとしての典型的な孔のサイズは約10μm以下である。
【0063】
DPF16の配置は自由選択である。改質装置12とLNT13との間で、DPF16は、改質装置12の運転に関連する温度偏倚からLNT13を保護するのに役立たせることができる。LNT13とアンモニアSCR触媒14との間で、DPF16は、脱硫温度に対するSCR触媒14の保護を補助することができる。自由選択的に、改質装置12、LNT13およびアンモニアSCR触媒14の1つ以上は、被膜あるいはDPF16の構造内に統合される。
【0064】
DPF16は蓄積された煤煙を除去するために再生される。DPF16は、連続的あるいは断続的に再生されるタイプとすることができる。断続的再生に向けて、DPF16は、例えば改質装置12を使用して加熱される。DPF16は、蓄積された煤煙が酸素と共に燃焼する温度まで加熱される。この温度は、適当な触媒を伴うDPF16の提供により低下させることができる。DPF16が加熱された後、煤煙は高濃度酸素環境において燃焼される。
【0065】
連続的再生に向けて、DPF16は、NO2とO2との両方により煤煙の燃焼を促進させる触媒を提供することができる。NO2とO2との両方により煤煙の酸化を促進する触媒の例として、Ce, Zr, La, Y, Nd, PtおよびPdが挙げられる。断続的再生の必要性を完全に排除するために、NOのNO2への酸化を促進する追加の酸化触媒、そして、蓄積された煤煙を速やかに燃焼させるための十分なNO2が必要であろう。再生が継続すると、DPF16は、改質装置12の上流に適当に配置される。DPF16は、連続的に再生されないと、概して、改質装置12の下流の適当な位置に配置される。
【0066】
浄化触媒17は、好ましくは、エンジン9、使用されない還元剤、および、NOx吸着触媒13から放出されると共にアンモニアSCR触媒14により酸化されていないH2Sからの不燃焼炭化水素を酸化するに向けて機能的である。いずれの適当な酸化触媒も使用することができる。高濃度状態下で機能する浄化触媒17を可能にするための触媒は、例えばセリア等の酸素蓄積成分を含むことができる。状況によっては、H2Oの除去は、例えばNiO, Fe2O3, MnO2, CoOおよびCrO2等の1つ以上の追加成分により促進することができる。
【0067】
以下の請求項により描写された本発明は、いくつかの概念、構成要素および特徴的事項に関連して示されるおよび/または説明される。特定構成要素あるいは特徴が、いくつかの概念のうちの1つだけあるいは実例あるいは広いおよび狭い用語のいずれかについてここに開示されると同時に、それらの広いおよび狭い概念における構成要素あるいは特徴的事項は、それらの広いあるいは狭い概念における他の構成要素あるいは特徴的事項の1つ以上と組み合わせることができ、そのような組み合わせは、当業者により必然的に理解されるであろう。また、当該明細書は、単に一発明について説明しており、以下の請求項は、あらゆる概念、解釈、具体例あるいはここに説明した実施形態を必ずしも含むものではない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、ディーゼルおよび希薄燃焼ガソリンエンジンからのNOx放出制御に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジン(9)のための排気ガス後処理システム(7)におけるLNT(13)再生の方法であって、
前記LNT(13)から排気ガスライン上流の燃料改質装置(12)を通じて前記排気ガスを流通させるステップと、
前記LNT(13)からSCR触媒(14)を通じて前記排気ガスを流通させるステップと、
前記排気ガス酸素濃度を減少させるために前記ディーゼルエンジン(9)の吸気を絞るステップと、
前記排気ガス中へ燃料を噴射するステップと、
前記排気ガスライン中の合成ガスの流量および前記排気ガス中の合成ガスからなるグループから選択された合成ガスパラメータを第1の数値に制御するために燃料噴射の量を制御するステップと、
前記再生がある程度まで進行した後、前記第1の数値よりも高い第2の数値に前記合成ガスパラメータを制御するステップと、
前記再生がさらに進行した後、前記第2の数値よりも低い0でない第3の数値に前記合成ガスパラメータを制御するステップと、
前記再生を完了するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の数値から前記第2の数値へ増加する第1系列の数値に基づき前記合成ガスパラメータを制御するステップと、
前記第2の数値から前記第3の数値へ減少する第2系列の数値に基づき前記合成ガスパラメータを制御するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記排気ガス中への燃料噴射は、エンジンシリンダ内部の前記排気ガス中への燃料噴射を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記排気ガス中への燃料噴射は、排気ガスライン中への燃料噴射を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
動力発生システム(5)であって、
排気ガスを生じるディーゼルエンジンンと、
前記排気ガスを処理するように構成されて改質装置(12)、LNT(13)およびSCR触媒(14)を順に有する排気ガスラインを含む排気ガス処理システムと(7)と、
前記請求項1の方法によるLNT(13)の再生を制御するコントローラ(10)と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項6】
前記吸気のスロットルの開度が前記再生の間の前記改質装置の過熱を防ぐように制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
排気ガス後処理システム(7)においてLNT(13)を再生する方法であって、
前記LNT(13)の再生が始まる時に、前記排気ガスの空燃比を燃料の比率が高い第1の数値に制御するステップと、
前記LNT(13)の再生が継続する時に、前記排気ガスの空燃比を実質的に前記第1の数値よりも高い比率の第2の数値に制御するステップと、
前記LNT(13)の再生がさらに継続する時に、前記排気ガスの空燃比を燃料の比率が高いが実質的に前記第2の数値よりも燃料の比率が低い第3の数値に制御するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記排気ガス空燃比を前記第1の数値から前記第2の数値へ増加する第1系列の数値に基づき制御するステップと、
前記排気ガス空燃比を前記第2の数値から前記第3の数値へ減少する第2系列の数値に基づき制御するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記排気ガス後処理システム(7)は、排気ガスライン内部に順に配置された改質装置(12)、LNT(13)およびSCR触媒(14)を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記排気ガス空燃比が前記第1、前記第2および前記第3の数値に基づき制御される間、前記改質装置(12)の温度を調節して前記排気ガス酸素濃度を制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ディーゼルエンジン(9)のための排気ガス後処理システム(7)におけるLNT(13)再生の方法であって、
前記排気ガスを燃料の比率が高く且つLNT(13)の再生が始まる第1空燃比にするために前記排気ガスへ還元剤を付与するステップと、
前記再生の進行に応じて前記空燃比を増加させるために還元剤の添加率を調節するステップと、
前記再生が完了する前に、前記排気ガスを同じく燃料の比率が高い第2空燃比にするために前記還元剤添加率を減少させるステップと、を含み、
それにより、還元剤濃度は、再生の始まりで相対的に低く、再生により増加してついに最高点に到達して、それから、再び、再生の終わりに向けて相対的に低くなるまで低下することを特徴とする方法。
【請求項12】
前記排気ガス後処理システム(7)は、排気ガスライン内部に順に配置された改質装置(12)、LNT(13)およびSCR触媒(14)を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記再生にもかかわらず、改質装置(12)の温度を調節するために前記ディーゼルエンジン(9)に対する吸気を絞るステップをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
排気ガス後処理システム(7)におけるLNT(13)再生の方法であって、
前記排気ガスへの燃料噴射量を、前記排気ガスを濃厚にする第1の数値に制御するステップと、
次に、前記排気ガスへの燃料噴射量を、前記排気ガスを実質的により濃厚にする前記第1の数値よりも実質的に高い第2の数値に制御するステップと、
次に、前記排気ガスへの燃料噴射量を、前記排気ガスを濃厚にするが、前記第2の数値よりも実質的に小さい第3の数値に制御するステップと、
前記LNT(13)を前述したステップにより継続的に再生するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記第1の数値から前記第2の数値へ増加する第1系列の数値に基づき前記燃料噴射量を制御するステップと、
前記第2の数値から前記第3の数値へ減少する第2系列の数値に基づき前記燃料噴射量を制御するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記排気ガス後処理システム(7)は、排気ガスライン内部に順に配置された改質装置(12)、LNT(13)およびSCR触媒(14)を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記燃料噴射量が前記第1、前記第2および前記第3の数値に基づき制御される間、前記改質装置(12)の温度を同時に制御するために、前記排気ガスが供給されるディーゼルエンジン(9)における吸気スロットルの開度を制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−513765(P2010−513765A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521368(P2009−521368)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002122
【国際公開番号】WO2008/012653
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(390033020)イートン コーポレーション (290)
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【Fターム(参考)】