説明

杭穴掘削管理方法及び装置

【課題】掘削液(水)とセメントミルク(高温)の温度差を利用して、杭穴内にいずが吐出されているかを現場内に通報する。
【解決手段】掘削液(水)を第一液タンク16に、セメントミルクを第二液タンク17に収容する。共通搬送管20の一端21を掘削機1のジョイント4に、他端21aを切り替えバルブ23(第一液タンク16、第二液タンク17)に接続する。共通搬送管20の一端21側に温度センサー23を設置し、掘削機1と切り替えバルブ18の周辺に警報灯24を設置して掘削装置25とする(a)。切り替えバルブ23を第一液タンク16側に適宜開いて、掘削液を用いて杭穴32を掘削する(b)(c)。切り替えバルブ18を第二液タンク17側に開いて、セメントミルク35を吐出しながら掘削ロッド10を地上に引き上げれば(d)、温度センサー23によりセメントミルクが感知され警報灯24が点灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、杭穴内に鉄筋かごや既製杭等の構造体を埋設して基礎杭を構築する際に、使用する水や掘削液等の第一液、セメントミルクなどの水硬性材料の第二液のいずれが杭穴内に供給されているかを確認して連絡するに杭穴掘削管理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先端に掘削ヘッドを取り付けた掘削ロッドを装着した杭穴掘削機で、杭穴を掘削し、掘削ロッドにより杭穴内にセメントミルクを注入して、杭穴内に既製杭を埋設して基礎杭を構築していた。
【0003】
この際、基礎杭構築現場に、掘削液を貯蔵した「掘削液タンク(第一液タンク)」と、セメントミルクなどの水硬性材料を貯蔵した「セメントミルクタンク(第二液タンク)」を設置して、掘削ロッドにセメントミルクを供給する「供給管」を接続して、切り替えバルブにより掘削液タンク又はセメントミルクタンクのいずれかと接続するように構成していた。
【0004】
この場合、通常は切り替えバルブを閉にして、いわゆる空掘りで杭穴を掘削するが、地盤状況によっては、切り替えバルブを掘削液タンク側に開けて、掘削液を掘削ロッドに供給して、掘削液の吐出量を制御しながら、掘削をしていた(特許文献1)。この場合、杭穴掘削装置の操作室で、オペレータがモニター画面で、吐出量などを確認していた。
【0005】
また、トレンチャー式の地盤改良機械で、汚染土壌を地盤改良する場合、第一貯留タンクからのセメントミルクと、第二貯留タンクからの塩化第一鉄水溶液とを貯液パイプで単独又は混合して供給する装置で、トレンチャーに監視用センサーを設けて、監視センサーからの情報に基づき選択的に吐出液を切り替えていた(特許文献2)。この場合、監視センサーは汚染物質の電気比抵抗、電気伝導度、pH、温度などを計測して、汚染土壌への液の浸透状況、処理が不足する場合の再処理の要否の把握をしていた。
【特許文献1】特開2002−317594
【特許文献2】特開2005−230710
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の技術のうち前者のものでは、供給管から提供される流体(掘削液又はセメントミルク)の流量はモニターで確認できたが、いずれの液が流れているかは確認できず、後者の技術では、供給管を通過して各液が供給された後の地盤内の状況をモニターで目視していた。従って、いずれの方法によっても、実際に、供給管の中にいずれの液が通過しているのかを、地盤に液を吐出する前に確認することができなかった。また、オペレータ以外の現場作業者は、作業状況を確認することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
然るに、この発明は、共通搬送管にいずれの液が通過しているかを確認する「液確認手段」と、確認結果を通報する「通報手段」を設けたので、前記問題点を解決した。
【0008】
即ち、この発明は、第一液を掘削ロッドに供給して、必要ならば前記第一液を吐出しながら前記掘削ロッドで杭穴を掘削して、続いて該杭穴内に、前記掘削ロッドから、水硬性材料からなる第二液を注入すると共に構造体を埋設して、基礎杭を構築する方法において、前記第一液又は前記第二液を共通搬送管から選択的に前記掘削ロッドに供給し、前記共通搬送管に設けた「液確認手段」により、前記第一液又は前記第二液のいずれが通過しているかを検知し、結果を「通報手段」で音又は表示により通報することを特徴とする杭穴掘削管理方法である。
【0009】
また、他の発明は、以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削管理装置である。
【0010】
(1) 掘削液からなる第一液を収容した「第一液タンク」と、水硬性材料からなる第二液を収容した「第二液タンク」と、掘削ロッドを搭載した「杭穴掘削装置」と、前記掘削ロッドに必要な液を供給する「共通搬送管」と、該共通搬送管に前記第一液タンク又は第二液タンクのいずれか一方の液を選択して前記共通搬送管に供給する「切り替えバルブ」と、を有する。
(2) 前記共通搬送管に、第一液又は第二液のいずれの液が通過しているかを確認する「液確認手段」を有する。
(3) 前記液確認手段の確認結果を、音又は表示により通報する「通報手段」を有する。
【0011】
前記における第一液に使用する掘削液は主に水やベントナイト液で、第二液に使用するセメントミルクは、各種配合のセメントミルクを使用できる。
【0012】
これらの場合に、液確認手段は、例えば以下のようなものから、第一液、第二液の性質から適切な方法を選択して使用する。
【0013】
(1) 温度の違い(セメントミルク:高、水:低)を温度センサーにより計測検知する
(2) 比重の違い(セメントミルク:高、水:低)を重量を計測検知する
(3) 圧力の違い(セメントミルク:高、水:低)を圧力センサーで計測検知する
(4) 色(透明度)の違い(セメントミルク:濁、水:透)を色彩センサーで計測検知する
(5) pHの違い(セメントミルク:低、水:高)をpHセンサーで計測検知する
(6) 粘性の違い(セメントミルク:高、水:低)を粘性センサーで計測検知する
【0014】
尚、これを応用して、濃度が異なる2種類のセメントミルクを使用する場合、第一液を薄いセメントミルク、第二液を濃いセメントミルクとして、本発明を適用することもできる。この場合、温度の違い、比重の違い、pHの違いによる識別が有効である。さらに、掘削液と2種類の濃度の違うセメントミルクの合計3種類に適用することもできる。
【0015】
通報手段は、例えば、現場内で(掘削装置のオペレータ、手動の切替弁の操作作業者、現場事務所内で認識できるように)、第一液(掘削液)を感知した場合に青色のランプを表示し、第二液(セメントミルク)と感知した場合に赤色のランプを表示すると共にブザー音を鳴らす。その他、第一液の場合に「掘削液」と表示し、第二液の場合には「セメントミルク」と文字で表示する。
【発明の効果】
【0016】
掘削ロッドに、第一液又は第二液を供給する共通搬送管に、第一液又は第二液の別を判別する「液確認手段」を設け、「通報手段」で通報するので、作業現場内の作業員に現在作業で、掘削中又は掘削完了した杭穴内に、セメントミルクが供給されているか、掘削液が供給されているかを判別できる。
【0017】
従って、作業者が第一液又は第二液の切り替えに関して、操作ミスを未然に防止できると共に、万一操作ミスをした場合であっても、操作ミスを確認できるので、構築される基礎杭構造の精度を高めることができる効果がある。とりわけ、第二液としてセメントミルクの精度(強度)が重要な要素となる高支持力の基礎杭構造を実現できる効果がある。
【0018】
また、第一液が供給されているか第二液が供給されているかを識別できるので、作業者は、作業の進行状態を把握できるので、次の作業への進行を予想できるので、基礎杭構造の構築を効率的にできる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[1]温度の違いによる判別
【0020】
(1) セメントは、セメント工場で製造されて袋詰めされて納品される。納品されたセメントは、サイロ内に保管されるが、サイロ内で結露が生じないように、サイロ内を常に高温に保っている。従って、袋を開ける時点でセメント温度は30〜50℃程度となっている。また、セメントに混ぜる水は、一般の水道水を使用するため、20℃前後であり、1日の変動も1℃程度となっている。
【0021】
また、セメントミルクを製造するために、水とセメントを混合した時点で、一般に初期の水和反応により温度上昇がみられる。
【0022】
一方、掘削液として水を使用する場合には、その水は、セメントと混合する水と同じである。
【0023】
従って、掘削水(水を使用する場合)と、セメントミルクとには温度差が生じ、両温度を測定することにより、掘削液とセメントミルクとを識別できる。
【0024】
(2) タンク内で、掘削液(水)、セメントミルクの温度を測定した結果を下記表1〜表3に示す。この結果からわかるように、掘削液(水)、セメントミルクと間に、識別可能な温度差が生じていることがわかる。実験例1では7月に実験したものである(表1)。実験例2では10月に実験したものである。実験例3は12月に実験したものである。
【0025】
【表1】

【0026】
【表2】

【0027】
【表3】

【0028】
(3) 掘削液(水)を第一液タンク16に収容して、セメントミルクを第二液タンク17に収容する(図1(a))。この方法に使用する掘削ロッド10は、先端に設けた掘削ヘッド11から掘削液やセメントミルクを吐出できるように、中空部内にパイプを配置してあり、掘削機1のジョイント4から掘削ロッド10に向けて、これらの液を搬送できるようになっている。
【0029】
掘削機1のジョイント4に、共通搬送管20の一端21を接続し、他端21aを、切り替えバルブ23を介して、第一液タンク16及び第二液タンク17に接続する。切り替えバルブ23は、第一液タンク16と第二液タンク17の液を選択してあるいは混合して共通搬送管20に供給できるように機能する。
【0030】
切り替えバルブ23と掘削ヘッド11内パイプとの間のいずれかの液体の搬送ルート内に、温度センサー23を設置する。通常は、共通搬送管20で、ジョイント4に近い側に設置すれば、測定の精度も良くかつ、取り扱いが容易となる(図1(a))。
【0031】
[2]比重の違いによる判別
【0032】
(1) 掘削液(水)の比重は1であるのに対して、セメントミルクの比重は、1.7程度であるので、単位容積あたりの重量を測定すれば、掘削液とセメントミルクとを区別できる。
【0033】
(2) 例えば、共通搬送管20で一端21側(ジョイント4の近傍)に、分割して、測定用搬送管40を介在させる。測定用搬送管40は、フレキシブルなジョイント42、42で、共通搬送管20内に連結されている(図2(a)(b))。
【0034】
測定用搬送管40の中間部を上方に向けて屈曲してたるませて屈曲部41を形成し、屈曲部41の頂部に重量センサー(重量計)43を取り付けて、浮いた状態で、測定用搬送管40及び測定用搬送管40内の液体の重量を測定すれば、重量が大きいセメントミルクと、重量の少ない掘削液(水)とを区別できる(図2(a))。重量センサー43の情報は、前記温度センサー23の情報と同様に、処理回路を介して、警報灯24及び操作室のモニター画面に出力される。
【0035】
また、測定用搬送管40の中間部を水平方向に屈曲してたるませて屈曲部41を形成し、測定用搬送管40の全体をベース板44に載せて、ベース板44に重量センサー43を設けることもできる(図2(b))。
【0036】
[3]圧力の違いにより判別
【0037】
(1) 通常、掘削液(水)は掘削し易いように適用を供給し、大量に要する場合は少なく、セメントミルクは最大量を供給するので、共通搬送管内を通過する圧力が相違する。
【0038】
様々な流量で流体を流した場合の圧力の関係を測定し、図3に示した。圧力は、
掘削液 0.45〜0.55N/cm
セメントミルク 0.62〜0.93N/cm
の範囲になっており区別でき、また、掘削液(水)とセメントミルクとに、一点鎖線のような識別線が引ける(図3)。よって、流体の圧力を測定することにより、掘削液(水)とセメントミルクとを識別できる。
【0039】
(2) 例えば、共通搬送管20で一端21側(ジョイント4の近傍)に、分割して、測定用搬送管40を介在させる。測定用搬送管40は、通常のフランジ46、46で、共通搬送管20内に連結されている(図2(c))。屈曲部41を有しない直線状の共通搬送管40内に圧力センサー47を設置する。
【0040】
[4]その他の性質の違いによる判別
【0041】
(1) 通常セメントミルクは濁っており、掘削液(水)をできるだけ透明度の高い状態で使用すれば、色の違いから掘削液(水)とセメントミルクとを識別できる。この場合、例えば、測定用搬送管40の一部を透明に形成して、中を搬送される流体の透過度や色彩を図ることにより、実施できる(図示していない)。
【0042】
(2) 通常セメントミルクは弱アルカリ性であり、掘削液(水)は中性であるので、pHを測定することにより、pHの高いセメントミルクとpH値が7の掘削液(水)とを区別できる。この場合も、例えば共通搬送管40にpHセンサーを設置して実施する。
【0043】
(3) 通常セメントミルクは粘性が高く、掘削液(水)は粘性が低いので、粘性を測定することにより、粘性値の高いセメントミルクと粘性値が7の掘削液(水)とを区別できる。この場合も、例えば共通搬送管40に粘性センサーを設置して実施する。
【実施例1】
【0044】
図面に基づき、この発明の実施例を説明する。
【0045】
[1]掘削管理装置25の構成
【0046】
掘削機1は、タワー2に、昇降自在で、掘削ロッド10を装着できるオーガー3を取り付けてあり、掘削ロッド10から吐出する各種液を供給するホース類を連結するジョイント4を有する。また、図1中5はオペレーション室で、オペレータが各種掘削データに基づき掘削機1を操作し、各作業員に必要な指示を出す。
【0047】
現場敷地内に、掘削液(水)を収容する第一液タンク16、セメントミルクを貯蔵する第二液タンク17を設け、第一液タンク16、第二液タンク17から選択的に共通搬送管20に液を供給する切り替えバルブ18を設ける。共通搬送管20の一端21を掘削機1のジョイント4に接続し、他端21aを切り替えバルブ18に接続する。
【0048】
共通搬送管20内であって、ジョイント4の直前に温度センサー23を設置する。温度センサー23は、共通搬送管20の中を通過する液体の温度を計測できる位置に配置する。指示により点滅して音を発する警報灯24を、切り替えバルブ18の周辺及び掘削機1の上部に設置する。
【0049】
温度センサー23のデータは、「処理回路」を介して、掘削機1内の操作室5内でオペレータが見ながら操作するモニター画面へ表示すると共に、各警報灯に出力する。
【0050】
処理回路は、判断回路、指示回路からなり、予め設定した温度条件により、その温度がセメントミルクか掘削液かを判断回路で判断して、セメントミルクである場合には、指示回路から各警報灯24、24に音を発して光を点灯するように信号を送る。また、操作室5内のモニターにも同様に表示する。また、掘削液の場合には、警報灯24、24は何も反応しない。
【0051】
また、温度センサー23のデータは、指示回路により、他の掘削データと共に操作室5のPCに入力され、オペレータのモニター画面に表示される。
【0052】
掘削機1、掘削ロッド10、共通搬送管20、タンク16、17、温度センサー23、処理回路などからこの発明の掘削管理装置25を構成する(図1(a))。
【0053】
[2]杭穴掘削管理方法
【0054】
(1) オーガー3に掘削ロッド10を装着し、掘削ロッド10の先端の掘削ヘッド11で地面29を所定径で掘削する。必要に応じて、オペレータの指示により、別の作業者が切り替えバルブ18を操作して、共通搬送管20に掘削液を流し、掘削液はジョイント4から掘削機1内に入り、掘削ロッド10の中空部内を通って、掘削ヘッド11のヘッド本体12の先端から掘削刃の周辺に吐出される。
【0055】
掘削ロッド10は、所定高さ毎に撹拌バー14、14と練り付けドラム15、15が取り付けられており、撹拌して砕かれた掘削土を杭穴壁に練り付ける。掘削ヘッド11は、下端にセメントミルクなどの流体吐出口を有するヘッド本体12に、揺動自在に掘削腕13、13を取り付けて構成する(図1(b))。
【0056】
(2) 所定の支持地盤まで杭穴軸部33を掘削したならば(図1(b)鎖線図示)、掘削ロッド10(オーガー3)を反転させて掘削ヘッド11の掘削腕13を拡径掘削状態として、支持地盤に根入りする杭穴拡底部34を形成する(図1(c))。この際、切り替えバルブ18を、掘削液(第一液タンク16)からセメントミルク(第二液タンク17)に切り替えて、杭穴底からセメントミルク35を吐出しながら掘削ロッド10を地上に引き上げる(図1(d))。
【0057】
この際、オペレータからの支持により、作業者が切り替えバルブ18を切り替え、第二液タンク17から共通搬送管20内にセメントミルクが流れ、温度センサー23を通過すると、掘削液より高い温度であり、「セメントミルク」と感知して、処理回路により、セメントミルク35を供給している間、ずっと警報灯24、24が点灯して、警報ブザー音を鳴らす(図4、図5参照)。
【0058】
警報灯24、24の作動により、杭穴32の掘削がほぼ完了して、次の作業に移ることを現場内の作業者に告知できる。
【0059】
(3) 杭穴32の所定の深さまでセメントミルク35が満たされたならば、オペレータの指示により、作業者が切り替えバルブ18を操作して、セメントミルク35の供給を止め、切り替えバルブ18を掘削液に切り替える。掘削液が温度センサー23の位置に至ると、温度センサー23が「掘削液」を感知するので、処理回路により警報灯24、24の作動が停止する。
【0060】
警報灯24、24の作動が停止したならば、作業者は切り替えバルブ18を閉状態として、セメントミルク、掘削液のいずれも供給しない。
【0061】
(4) この状態で、掘削ロッド10を地上に引き上げて、従来の方法により既製杭30をセメントミルク35が満たされた杭穴32内に挿入して、セメントミルク35が固化したならば基礎杭構造36を構築する(図1(e))。この際、予め現場内に警報灯24、24の表示を確認すれば、杭穴32から掘削ロッド10が引き上げられ、次の既製杭30の埋設作業の準備をすることができるので、作業の待ち時間を短縮できる。
【0062】
[3]他の実施例
【0063】
(1) 前記実施例において、切り替えバルブ18は、別途作業者が操作したが、掘削機1の操作室5内でオペレータが操作することもできる。
【0064】
(2) 警報灯24は、「セメントミルクで点灯して、掘削液では非点灯」としたが、「セメントミルクで赤色点灯、掘削液で青色点灯」など、異なる色で点灯させることもできる(図示していない)。
【0065】
(3) 温度センサー18は、共通搬送管20内に設けたが、掘削ヘッド11、掘削ロッド10、タワー2等のセメントミルク供給パイプ内に設けることもできる(図示していない)。
【0066】
(4) 前記実施例において、複数の掘削機1を使用して同時に複数箇所で杭穴掘削作業をする場合には、掘削機1毎に異なる表示及び音を有する警告灯24を設置することもできる(図示していない)。
【0067】
[4]実験例
【0068】
図4に、前記実験例2の現場で、掘削液(水)を使って杭穴深さ20mの杭穴を掘削して、杭穴32の下部・中間部にセメントミルク35を注入した例を示す。深度は、掘削ヘッド11の深度であり、流量は掘削ヘッド11から吐出された掘削液(水)又はセメントミルクの流量である。温度差は、温度センサー23で測定した温度であり、グラフから掘削液とセメントミルクとの相違を目視でも区別でき、警報灯24のランプも対応して点灯している。
【0069】
図3に、同様に、前記実験例3の現場で、掘削液(水)を使って杭穴深さ38m、拡底部長さ18mの杭穴32を掘削して、拡底部34を含む杭穴32の下部・中間部にセメントミルクを注入した例を示す。実験例3と同様に温度差は、温度センサー23で測定した温度であり、グラフから掘削液とセメントミルクとの相違を目視でも区別でき、警報灯24のランプも対応して点灯している。尚、警報灯24のランプが点灯していない時間は、切り替えバルブ18を閉にして、掘削ロッド10で杭穴32内の撹拌のみをおこなっておる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の実施例で、(a)は掘削管理装置の構成をあらわす概略図、(b)〜(e)は基礎杭の構築過程を説明する縦断面図である。
【図2】(a)から(c)は、この発明の他の実施例で、共通搬送管の一部正面図である。
【図3】この発明の他の実施例で、共通搬送管内を送られる流体の流量と圧力値の関係のグラフである。
【図4】この発明の実験例2のグラフである。
【図5】この発明の実験例3のグラフである。
【符号の説明】
【0071】
1 掘削機
2 掘削機のタワー
3 掘削機のジョイント
4 掘削機のオペレーション室
10 掘削ロッド
11 掘削ヘッド
12 掘削ヘッドのヘッド本体
13 掘削ヘッドの掘削腕
14 掘削ロッドの撹拌バー
15 掘削ロッドの練り付けドラム
16 第一液タンク(掘削液)
17 第二液タンク(セメントミルク)
18 切り替えバルブ
20 共通搬送管
23 温度センサー
29 地面
30 既製杭
32 杭穴
33 杭穴軸部
34 杭穴拡底部
35 セメントミルク
36 基礎杭構造
40 測定用搬送管
41 測定用搬送管の屈曲部
43 重量センサー
47 圧力センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一液を掘削ロッドに供給して、必要ならば前記第一液を吐出しながら前記掘削ロッドで杭穴を掘削して、続いて該杭穴内に、前記掘削ロッドから、水硬性材料からなる第二液を注入すると共に構造体を埋設して、基礎杭を構築する方法において、
前記第一液又は前記第二液を共通搬送管から選択的に前記掘削ロッドに供給し、前記共通搬送管に設けた「液確認手段」により、前記第一液又は前記第二液のいずれが通過しているかを検知し、結果を「通報手段」で音又は表示により通報することを特徴とする杭穴掘削管理方法。
【請求項2】
以下のように構成したことを特徴とする杭穴掘削管理装置。
(1) 掘削液からなる第一液を収容した「第一液タンク」と、水硬性材料からなる第二液を収容した「第二液タンク」と、掘削ロッドを搭載した「杭穴掘削装置」と、前記掘削ロッドに必要な液を供給する「共通搬送管」と、該共通搬送管に前記第一液タンク又は第二液タンクのいずれか一方の液を選択して前記共通搬送管に供給する「切り替えバルブ」と、
を有する。
(2) 前記共通搬送管に、第一液又は第二液のいずれの液が通過しているかを確認する「液確認手段」を有する。
(3) 前記液確認手段の確認結果を、音又は表示により通報する「通報手段」を有する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−174934(P2008−174934A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7936(P2007−7936)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000176512)三谷セキサン株式会社 (91)
【Fターム(参考)】