説明

検査装置

【課題】検査対象部の異常の判別の精度を向上させることができる検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置1は、ケース2の隅Cに形成される隙間Dを含む所定の撮像範囲を撮像するカメラ10と、ケース2を照明する照明器11と、カメラ10が取得した前記所定の撮像範囲の画像に基づいて隙間Dが映されている部分を含むように設定された検査領域T内の隙間Dの面積を取得し、取得した隙間Dの面積に基づいて隙間Dの異常の有無を判別する判別装置13と、を備え、判別装置13は、隙間Dが2つに区分されるように検査領域Tを二つの小領域T1、T2に分けて二つの小領域T1、T2毎に異常の有無を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物を撮像して得られた画像に基づいてその検査対象物を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーサーのコンベアにて搬送される包装資材としてのシートのフラップが、コンベアの搬送方向に沿って設けられたフラップガイドにて正しく案内されるように折り曲げられているか否かを検査するシートフラップの折り曲げ状態検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2及び、3が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−161211号公報
【特許文献2】特開2009−126564号公報
【特許文献3】特開2000−065546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなシートには、フラップがフラップガイドにて折り曲げられることにより、四隅に斜めの面取りが形成された形状の梱包容器として構成されるものが存在する。このような梱包容器の四隅の面取りはフラップが折り曲げられることにより形成されるので、フラップの折り曲げ状態によっては面取り部に隙間が形成される場合がある。また、このような面取り部の隙間を検査する検査装置として、面取り部の隙間を撮像し、得られた画像内の明暗の分布に基づいて面取り部に形成された隙間の面積を測定し、測定した面積の大きさによって成形された包装容器に異常があるか否かを判別する検査装置が存在する。しかし、このような検査装置では、面取り部に形成された隙間の全体の面積が測定され、その全体の面積の大きさに基づいて異常の有無が判別されるため、例えば、隙間の形状が三角形の場合には、実際には異常ありと判別されるべき状態であるにもかかわらず、全体の面積としては小さく測定され、異常なしと判別されてしまう場合がある。そして、面取り部に異常がある梱包容器は、搬送途中等に梱包が崩壊する可能性が高くなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、検査対象部の異常の判別の精度を向上させることができる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検査装置は、検査対象物の検査対象部を含む所定の撮像範囲を撮像する撮像手段と、前記検査対象部を照明する照明手段と、前記撮像手段が取得した前記所定の撮像範囲の画像に基づいて前記検査対象部が映されている部分を含むように設定された検査領域内の前記検査対象部の面積を取得し、取得した前記検査対象部の面積に基づいて前記検査対象部の異常の有無を判別する判別手段と、を備え、前記判別手段は、前記検査対象部が複数に区分されるように前記検査領域を複数の小領域に分けて前記複数の小領域毎に異常の有無を判別するものである。
【0007】
本発明によれば、検査対象部が複数に区分された複数の小領域毎に異常の有無が判別されるので、検査対象部の異常を細かく判別することができる。このため、例えば、全体面積としては小さいが、一部に異常と判別すべき部分を含むような形状の検査対象部についても異常有りと判別することができる。これにより、検査対象部の異常の判別の精度を向上させることができる。
【0008】
判別手段として、所定の撮像範囲の画像から前記検査対象部の面積をどのように測定するものが用いられてもよい。例えば、本発明の検査装置の一態様において、前記判別手段は、前記所定の撮像範囲の画像内の各部の明度に基づいて前記検査領域内の前記検査対象部の面積を取得してもよい。
【0009】
判別手段が所定の撮像範囲の画像内の各部の明度に基づいて検査対象部の面積を測定する態様において、前記撮像手段によって取得される前記撮像範囲の画像内において前記検査対象部が映される部分以外の部分に前記照明手段の光が映されるように前記照明手段の光を前記撮像手段に導く光学系を、更に備えてもよい。この場合、光学系によって導かれた光によって撮像範囲の明暗が強調されるので、検査対象部の面積をより適切に測定することができる。
【0010】
光学系を備える態様において、光学系としてどのようなものが用いられてもよい。例えば、本発明の検査装置に一態様において、前記光学系として、前記照明手段の光を前記撮像手段に反射する反射板が用いられてもよい。
【0011】
判別手段として、検査対象部の異常の有無の判別のために、複数の小領域毎の判別結果をどのように利用するものが用いられてもよい。例えば、本発明の検査装置の一態様において、前記判別手段は、前記複数の小領域の少なくとも一つにおいて異常ありと判別された場合に前記検査対象部に対して異常ありと判別してもよい。この場合、一部に異常と判別すべき部分を含むような形状の検査対象部をより確実に異常ありと判別することができるので、検査対象部の異常の判別の精度をより向上させることができる。
【0012】
複数の小領域として、どのように検査対象部を区分するものが適用されてもよい。例えば、本発明の検査装置に一態様において、前記判別手段は、前記検査対象部が一端から他端まで延びる特定の一辺を含む場合において、前記複数の小領域として、前記特定の一辺の中央を境界に含み、前記一端と前記他端とが互いに別の小領域に含まれるように前記検査領域を二つの小領域に分けてもよい。また、例えば、本発明の検査装置の一態様において、前記判別手段は、前記検査対象部として、前記特定の一辺の一端から延びるフラップが前記特定の一辺の他端に向かって折り曲げられて前記特定の一辺と前記フラップとの間に形成される隙間が対象とされた場合に、前記境界として、前記特定の一辺と直交する直線を用いて前記検査領域を二つの小領域に分けてもよい。この場合、検査対象部としての隙間が広がる領域は、フラップの折り曲げ状態により変化する。このため、隙間の形成に対して寄与が少ない特定の一辺を二等分するように直交する直線を境界として用いることにより、隙間が変化する領域を2つの小領域に適切に割り振ることができる。これにより、例えば、三角型に形成された隙間等、領域の広がりに偏りがある隙間の異常を簡易、かつ、適切に判別することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上、説明したように、本発明によれば、検査対象部の異常の判別の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一形態に係る検査装置の全体図。
【図2】ケースの構造の一例を示す図。
【図3】ケースの隅の画像の一例であって、隅に四角型の隙間が形成されている場合の画像を示す図。
【図4】ケースの隅の画像の一例であって、隅に三角型の隙間が形成されている場合の画像を示す図。
【図5】モニタに出力された判別状況を模式的に示す図であって、3mm幅を有する四角型の隙間を示す図。
【図6】モニタに出力された判別状況を模式的に示す図であって、3mm幅を有する三角型の隙間を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一形態に係る検査装置の全体図である。図1の検査装置1は、飲料用の缶を梱包するケーサー(不図示)にて缶が梱包されたケース2の検査に用いられている。図2は、ケース2の構造の一例を示す図である。図2に示すように、ケース2は、複数本(一例として24本)の缶3を縦横に並んだ状態で収容する胴部4と、胴部4の両端を閉じるように折り込まれて相互に貼り合わされる内フラップ5及び外フラップ6と、を備えている。図2では、内フラップ5が折り込まれ、外フラップ6はまだ折り込まれてない状態を示している。図2に示すように、胴部4は、缶3の底側及び天面をそれぞれ覆う底板4a及び、天板4bと、それらの底板4a及び、天板4bの間に配置される一対の側板4cとを有している。内フラップ5は側板4cの両端に連なり、外フラップ6は底板4a及び、天板4bのそれぞれの両端に連なっている。底板4a及び、天板4bの四隅Cは斜めにカットされて面取り部4dが形成されている。各内フラップ5は、2本の罫線(折り目線)5a、5bを曲げの軸として、面取り部4dに沿うように二段に折り込まれている。従って、内フラップ5及び外フラップ6を貼り合わせることにより、ケース2は直方体の4つの角部にコーナー面7が形成された形状の梱包容器として構成される。
【0016】
図1に戻り、検査装置1は、斜めにカットされた四隅Cの精度を検査するために用いられている。図1に示すように、検査装置1は、ケース2が載置され、載置されたケース2を搬送する搬送手段としてのコンベア9の搬送経路上に配置されている。検査装置1は、撮像手段としての2つのカメラ10と、照明手段としての2つの照明器11と、光学系としての2つ反射板12と、判別手段としての判別装置13と、を備えている。
【0017】
2つのカメラ10は、コンベア9の上方に各軸線Axが傾けられて配置されている。各カメラ10の軸線Axは、各軸線AXの延長上にコンベア9にて搬送中のケース2の四隅Cが位置するように傾けられている。つまり、2つのカメラ10は、一方がケース2の一端側2aに位置する2つの隅C1を、他方がケース2の他端側2bに位置する2つの隅C2を、それぞれ上方から撮像可能なように配置されている。各カメラ10は、判別装置13に接続されており、各カメラ10で撮像した画像は判別装置13に入力される。
【0018】
2つの照明器11は、ケース2及び反射板12に光を照射するように、各カメラ10の下方であって、ケース2の上方にそれぞれ配置されている。また、2つの反射板12は、各照明器11の下方であって、ケース2の一端側2aと他端側2bとにそれぞれ配置されている。各反射板12は、それぞれの上方に配置された照明器11から照射された光を反射して、各コーナー面7に光を導くことが可能なように、各反射面12aが湾曲状に形成されている。
【0019】
判別装置13は、例えば、マイクロプロセッサ及びその動作に必要なRAM、ROM等の周辺機器を含んだコンピュータユニットによって実現される。判別装置13は、各カメラ10から出力された画像に基づいてケース2の四隅Cに異常があるか否かの判別を実行する。
【0020】
図3及び、図4を参照して判別装置13が実行する四隅Cの異常の有無の判別方法について説明する。カメラ10は、隅Cを含むような範囲を撮像する。カメラ10による隅Cを含む範囲の撮像は、例えば、ケース2のコンベア9上の所定位置の通過を検出可能に設けられた不図示のセンサに基づいて行われることにより実現できる。各カメラ10は、ケース2の所定位置の通過に合わせて、ケース2の一端側2aの隅C1を含む所定の撮像範囲と、ケース2の他端2bの隅C2を含む所定の撮像範囲と、をそれぞれ撮像する。図3及び、図4は、いずれもカメラ10が撮像し、判別装置13に入力されたケース2の隅Cの画像の一例を示す図である。ケース2には、内フラップ5の折り曲げ状態や、内フラップ5及び外フラップ6の貼り合わせ状態によって、隅Cの面取り部4dとコーナー面7との間に検査対象部としての隙間Dが形成される場合がある。図3で示す例では、隅Cの面取り部4dとコーナー面7との間に斜線で示す四角型の隙間Dが形成されている。図3に示すように、カメラ10が撮像した画像内には隅Cが含まれるように検査領域Tが設定されている。検査領域Tの設定は、例えば、画像内の一定の位置を予め設定することにより実現される。ケース2の所定位置の通過を検出するセンサに基づいて画像が撮像されていれば、隅Cが常に一定の位置に配置される画像となるため、この一定の位置に検査領域Tが設定されていれば、検査領域Tに隅Cが含まれる。また、検査領域Tの設定は、画像内の明暗に基づいて、エッジや隅C、或いは隙間Dを判別することにより実現されてもよい。検査領域Tは、天板4bにより形成される隙間Dの底辺Daを二等分するように、底辺Daと中央で直交する直線Sによって、外フラップ6側に位置する第1小領域T1及び、側板4c側に位置する第2小領域の2つの小領域T1、T2に等分されている。
【0021】
判別装置13は、カメラ10が撮像した画像に基づいて、検査領域Tに含まれる隙間Dの面積を取得する。この隙間Dの面積の取得は、第1小領域T1に含まれる第1隙間D1及び、第2小領域T2に含まれる第2隙間D2のそれぞれ毎に実行される。各隙間D1、D2の面積の取得には、周知の技術を適用可能である。例えば、各面積の取得は、基準となる明度を設け、基準値を超える明度と、基準値以下の明度とに検査領域T内を2値化したうえで、明暗を反転することにより各隙間D1、D2を特定し、その各隙間D1、D2の面積を測定あるいは算出することにより実現できる。天板4bには照明器11から光が照射され、各コーナー面7には、反射板12により光が導かれている。このため、隙間Dとそれ以外との明度の差は強調されているので、より適切に各隙間D1、D2の面積を取得することができる。
【0022】
次に、判別装置13は、取得した隙間Dの面積に基づいて異常の有無を判別する。この異常の有無の判別は、各小領域T1、T2毎に実行される。具体的には、各小領域T1、T2毎に異常と判断可能な異常値が設定され、各隙間D1、D2のそれぞれと各異常値との間で大小が比較される。なお、各異常値は、互いに同じ値でもよいし、互いに異なる値でもよい。そして、判別装置13は、各小領域T1、T2の判別結果が、いずれの小領域T1、T2においても異常なしの場合には検査領域Tについて異常なしと判別し、各小領域T1、T2のいずれかにおいて異常有りの場合には検査領域Tについて異常有りと判別する。
【0023】
この形態によれば、検査対象領域Tが2つの小領域T1、T2に分けられ、各小領域T1、T2毎に異常の有無が判別されるので、隙間Dの異常について細かく判別することができる。また、検査対象領域Tは、隙間Dの領域の形成に寄与する可能性が低い底辺Da、つまり、一定値と判断可能な底辺Daの中央を境界に含むような2つの小領域T1、T2に等分されているので、隙間Dの形状が変化する領域を各小領域T1、T2に比較的適切に割り振ることができる。このため、四角型以外の形状、つまり、隙間Dを形成する面積の分布が均等でなく偏りがあるような形状であって、全体の面積が小さい形状についても適切な判別をすることができる。図4は、隅Cに三角型の隙D間が形成されている場合の画像を示している。図4の例では、隙間Dの形状が三角型に形成されているので、隙間D全体の面積を算出した場合、この面積は小さい値となる。このため、検査領域Tに含まれる隙間D全体の面積と所定値との間の大小の比較のみで隙間Dに対する異常の有無が判別される場合には、異常と判別されるべき隙間であるにもかかわらず、異常なしと判別される可能性がある。即ち、隙間D全体の面積と所定値との間の大小の比較のみで異常の有無を判別する形態において、四角型の隙間Dを対象として所定値が設定された場合には、三角型の隙間Dに対して異常の検出が適切に行われず、逆に三角型の隙間Dを対象として所定値が設定された場合には、四角型の隙間Dに対して異常のないものまで検出されてしまう可能性がある。しかし、この形態によれば、面積の比較的小さい隙間D1を含む第1小領域T1で異常なしと判別された場合でも、面積の比較的大きい隙間D2を含む第2小領域T2で異常有りと判別することができるので、隙間Dの形状が三角型であっても異常の有無を適切に判別することができる。このため、隙間Dの全体面積に基づいて異常の有無を判別する場合に比べて、隙間Dの全体の面積が小さいが異常有りと判別すべき隙間Dを適切に検出することができる。これにより、隅Cの異常の判別の精度を向上させることができる。
【0024】
本発明は上述の形態に限定されず、適宜の形態にて実施することができる。上述の形態では、底辺Daの中央を境界に含むように検査領域Tが2等分されているが、このような形態に限定されるものではない。例えば、隙間を形成する一辺の中央を境界に含むように検査領域Tが底面Daと並行する方向に2分割されていてもよい。また、隙間を形成する一辺の中央を境界に含むように検査領域Tが2つに分けられる形態に限定されるものでもなく、検査領域が検査対象部を区分するような3つ以上の小領域に分けられていてもよい。この場合、より細かく検査領域の異常の有無を判別することができる。また、上述の形態では、2つの小領域のいずれか一つの異常ありとの判別をもって、検査対象領域について異常有りと判別されているが、検査対象領域が検査対象部を区分するような複数の小領域に分けられる形態においてはこのような形態に限定されるものではない。例えば、複数の小領域の2つ以上において異常有りと判別された場合に検査領域について異常有りと判別される形態でもよい。また、上述の形態では、光学系として反射板が用いられているが、このような形態に限定されるものではない。例えば、光学系として、別途、照明手段を設けてもよい。また、光学系は省略されてもよい。また、上述のような検査装置が適用されたケーサーには、検査装置にて異常有りと判別されたケースを搬送路から排出する排出装置が設けられていてもよい。
【実施例】
【0025】
上述の実施の形態を用いて、ケース2の隅Cの異常の有無の判別を実施した。各カメラ10が撮像した画像及び、判別装置13の判別状況を不図示のモニタに出力して判別結果を確認した。
【0026】
(実施例1)
隅Cに許容限界値となる3mm幅Dsを有する四角型の隙間Dが形成されているケース2について検査を実施した。図5は、3mm幅Dsを有する四角型の隙間Dについて、モニタに出力された判別状況を模式的に示した図である。この実施例では、第1小領域T1に含まれる隙間D1に対する異常値としての上限値に800が、第2小領域T2に含まれる隙間D2に対する異常値としての上限値に700が、それぞれ設定されている。測定の結果、第1隙間D1の面積が844と、第2隙間D2の面積が761と、それぞれ測定された。第1小領域T1及び、第2小領域T2のいずれの測定値も上限値を超えているため、第1小領域T1及び、第2小領域T2のいずれに対しても異常有り(図5では、“NG”と表示)と判別され、結果として検査対象が不良と判定されている。
【0027】
(実施例2)
隅Cに許容限界値となる3mm幅Dsを有する三角型の隙間Dが形成されているケース2について検査を実施した。図6は、3mm幅Dsを有する三角型の隙間Dについて、モニタに出力された判別状況を模式的に示した図である。この実施例では、第1小領域T1に含まれる隙間D1に対する異常値としての上限値に800が、第2小領域T2に含まれる隙間D2に対する異常値としての上限値に700が、それぞれ設定されている。測定の結果、第1隙間D1の面積が172と、第2隙間D2の面積が770と、それぞれ測定された。第1小領域T1では測定された第1隙間D1の面積が上限値内に収まっているため異常なし(図6では、“OK”と表示)と判別され、第2小領域T2では測定された第2隙間D2の面積が上限を超えているため異常有り(図6では、“NG”と表示)と判別されている。そして、これらの第1小領域T1及び、第2小領域T2の判別結果に基づいて、検査対象が不良と判定されている。
【0028】
検査領域Tを分けずに隙間D全体の面積に基づいて異常の有無が判別される場合には、同じ3mm幅Dsを有する隙間Dでも隙間Dの形によって、面積値が異なるため、不良と判別すべき上限値の設定が難しく、検査結果が安定しなかった。一方、2つの検査領域T1、T2に分けて、検査領域T1、T2毎に検査が行われることにより、隙間Dの形の違いによる面積値の変動が少なくなり、不良と判別すべき上限値の設定が容易で検査が安定した。結果として、設定、調整が容易となり、かつ、異常の有無の判断精度が向上し品質向上につながった。また、この検査装置1を適用したケーサーに検査装置1にて異常あり(不良)と判別されたケース2を搬送路から排出するための排出装置(不図示)を設けることにより、作業者の作業低減を実現することができた。
【符号の説明】
【0029】
1 検査装置
2 ケース(検査対象物)
10 カメラ(撮像手段)
11 照明器(照明手段)
12 反射板(光学系)
13 判別装置(判別手段)
T 検査領域
T1 第1小領域(複数の小領域)
T2 第2小領域(複数の小領域)
D 隙間(検査対象部)
Da 底辺(特定の一辺)
S 直線
Ax 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の検査対象部を含む所定の撮像範囲を撮像する撮像手段と、
前記検査対象部を照明する照明手段と、
前記撮像手段が取得した前記所定の撮像範囲の画像に基づいて前記検査対象部が映されている部分を含むように設定された検査領域内の前記検査対象部の面積を取得し、取得した前記検査対象部の面積に基づいて前記検査対象部の異常の有無を判別する判別手段と、を備え、
前記判別手段は、前記検査対象部が複数に区分されるように前記検査領域を複数の小領域に分けて前記複数の小領域毎に異常の有無を判別することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記所定の撮像範囲の画像内の各部の明度に基づいて前記検査領域内の前記検査対象部の面積を取得する請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記撮像手段によって取得される前記撮像範囲の画像内において前記検査対象部が映される部分以外の部分に前記照明手段の光が映されるように前記照明手段の光を前記撮像手段に導く光学系を、更に備える請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記光学系として、前記照明手段の光を前記撮像手段に反射する反射板が用いられる請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記判別手段は、前記複数の小領域の少なくとも一つにおいて異常ありと判別された場合に前記検査対象部に対して異常ありと判別する請求項1〜4のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項6】
前記判別手段は、前記検査対象部が一端から他端まで延びる特定の一辺を含む場合において、前記複数の小領域として、前記特定の一辺の中央を境界に含み、前記一端と前記他端とが互いに別の小領域に含まれるように前記検査領域を二つの小領域に分ける請求項1〜5のいずれか一項に記載の検査装置。
【請求項7】
前記判別手段は、前記検査対象部として、前記特定の一辺の一端から延びるフラップが前記特定の一辺の他端に向かって折り曲げられて前記特定の一辺と前記フラップとの間に形成される隙間が対象とされた場合に、前記境界として、前記特定の一辺と直交する直線を用いて前記検査領域を二つの小領域に分ける請求項6に記載の検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−137720(P2011−137720A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298005(P2009−298005)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】