説明

樹脂封止装置とこれを用いた樹脂封止方法

【課題】成形用樹脂を一様にキャビティ空間に供給して樹脂封止を行うことができ、樹脂封止品の樹脂封止部は常にムラのない状態に仕上げること。
【解決手段】粒状成形用樹脂120A,Bを粒径範囲毎に貯留するストッカ130A,Bと、ストッカ130A,Bの粒状成形用樹脂120A,B貯留量と、電子部品240の樹脂封止に要する粒状成形用樹脂120A,Bの使用量とに基づき、ストッカ130A,B内からの粒状成形用樹脂120A,Bの供給量の比率どうしを所定の比率となるよう算出する成形用樹脂供給量算出手段PCと、算出供給量に基づき、粒状成形用樹脂120A,Bを取り出す成形用樹脂取り出し手段と、粒状成形用樹脂120A,Bを積載する積載手段160と、積載手段160を積載位置と金型位置との間で往復動させ、粒状成形用樹脂120A,Bを下金型230に投入する投入手段と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒状成形用樹脂により電子部品を圧縮成形する樹脂封止装置とこれを用いた樹脂封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の樹脂封止成形方式としては、ポット内の成形用樹脂をプランジャによりキャビティに圧送して電子部品を樹脂封止成形するトランスファ成形方式と、キャビティ空間に成形用樹脂を供給し、成形用樹脂を溶融させた後、いずれか一方に電子部品を保持させた上金型と下金型を型締めして電子部品を樹脂封止成形するコンプレッション成形方式が広く知られている。このような成形方式のうち、コンプレッション成形方式においては、成形用樹脂の圧送がないため、溶融樹脂による電子部品のワイヤの倒れこみを抑制することができる点において好適であるとされている。このようなコンプレッション成形方式を行う際において用いて好適な樹脂封止成形方法および装置としては、例えば特許文献1に記載されているようなものがある。
特許文献1に開示されている樹脂封止成形方法および装置においては、加圧手段によりキャビティ空間(キャビティ形成部)に投入する前または後の樹脂材料を加圧することで、キャビティ空間に供給された樹脂材料を均等にし、樹脂封止品の樹脂封止部にボイドや未充てん等の不良の発生を抑えることが可能な樹脂封止方法および樹脂封止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−216558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、キャビティ空間内における深さ寸法が小さくなっていること、および、キャビティ空間の平面領域は拡大しているため、キャビティ空間の平面領域全体にわたって成形用樹脂を均一な分量で供給することが困難になっている。このような状態で樹脂封止を行うと、樹脂封止部にボイドが発生しやすくなってしまうといった課題や、樹脂封止部の品質に大きなばらつきが発生しやすくなるといった課題が新たに見出された。このような課題は、粒状の成形用樹脂を用いた場合に特に多くみられている。
【0005】
そこで本願発明は、粒状の成形用樹脂を用いた電子部品のコンプレッション成形において、浅型で平面寸法が大きなキャビティ空間であっても、常に成形用樹脂を一様にキャビティ空間に供給することで常にムラのない状態で樹脂封止部を形成すると共に、ボイドの発生も好適に抑制することが可能な樹脂封止装置とこれを用いた樹脂封止方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者は、前記目的を達成するために、成形用樹脂を予め所要の粒度毎に分別し、分別した成形用樹脂を均等にキャビティ空間へ供給することにより上記課題を解決することが可能であることを見出し、本願発明を完成させた。
すなわち本発明は、下金型に粒状成形用樹脂を供給する供給部と、上金型および前記下金型を樹脂封止温度に加熱する加熱手段と、を具備し、前記上金型と前記下金型とによって電子部品を粒状成形用樹脂と共にクランプすることにより、前記電子部品を樹脂封止加工するための電子部品の樹脂封止装置であって、前記供給部は、前記粒状成形用樹脂を所要の粒径範囲毎に分別して貯留する複数のストッカと、前記各ストッカ内における粒状成形用樹脂の貯留量と、前記電子部品を樹脂封止加工する際における粒状成形用樹脂の使用量と、に基づいて、前記各ストッカ内から供給される粒状成形用樹脂の供給量どうしの比率が所定の比率となるように、前記各ストッカからの粒状成形用樹脂の供給量を算出する成形用樹脂供給量算出手段と、前記成形用樹脂供給量算出手段により算出された供給量に基づいて、前記各ストッカ内の粒状成形用樹脂を取り出す成形用樹脂取り出し手段と、前記成形用樹脂取り出し手段により前記各ストッカから供給された粒状成形用樹脂を積載する積載手段と、前記積載手段を前記粒状成形用樹脂の積載位置と前記金型位置との間で往復動させると共に、積載されている粒状成形用樹脂を前記下金型に投入する投入手段と、を有していることを特徴とする電子部品の樹脂封止装置である。
【0007】
また、前記供給部は、前記各ストッカから供給された粒状成形用樹脂を仮積載する仮積載手段をさらに有していることを特徴とする。これにより、粒状成形用樹脂を積載した積載手段が下金型に搬送されている間に、次の樹脂封止に使用する粒状成形用樹脂を準備しておくことができるため、効率的な電子部品の樹脂封止が可能になる。
【0008】
また、前記粒状成形用樹脂積載位置と前記金型位置との中間位置には、前記粒状成形用樹脂の積載位置における環境および前記金型位置における環境の各々から隔離された環境下におかれる中間処理部が配設され、前記中間処理部には、減圧手段、冷却手段、吸湿手段のうちの少なくとも一つが設けられていることを特徴とする。これにより、下金型への粒状成形用樹脂の投入前において、成形用樹脂積載位置を減圧することで微粉状の成形用樹脂が成形用樹脂積載位置から外部へ飛散することを防止することができる。また、積載手段内と積載手段に積載されている粒状の成形用樹脂を冷却することで、下金型投入前における粒状成形用樹脂の溶融を防ぐことができ、成形用樹脂の劣化や樹脂封止部の品質劣化を抑制することができる。また粒状成形用樹脂の下金型投入後においては、下金型に投入し切れなかった微細粒樹脂を除去することにより、積載手段に残存した微細粒樹脂による樹脂封止装置の汚染を防止することができる。
【0009】
また、前記積載手段内における粒状成形用樹脂の積載状態を均すための均し手段をさらに有していることを特徴とする。これにより、積載手段に積載された粒状成形用樹脂の積載状態が均一になるため、下金型に対してより均一な状態で粒状成形用樹脂を投入することができるから、樹脂封止部における品質のばらつきをより確実に抑えることが可能になる。
【0010】
また、前記各ストッカには、前記成形用樹脂取り出し手段の動作に対応して作動する振動発生手段が配設されていることを特徴とする。また、前記積載手段には、積載手段に積載された粒状成形用樹脂を前記下金型に投入する際の動作に対応して作動する振動発生手段が配設されていることを特徴とする。
これらにより、微細粒の粒状成形用樹脂が貯留されているストッカであっても、確実に必要な分量の粒状成形用樹脂を積載手段、仮積載手段または下金型に供給することができ、ストッカ内や積載手段における微細粒の粒状成形用樹脂の残留を好適に防止することができる。
【0011】
また、前記粒状成形用樹脂のうちの浮遊成分に対して電荷を付与する電荷付与手段と、当該帯電させた浮遊成分を吸着する帯電物吸着手段をさらに有していることを特徴とする。これにより、粒状成形用樹脂のうち浮遊してしまうような微粉や埃等のいわゆるパーティクルを確実に捕集することができるため、パーティクルによる樹脂封止装置の汚染を好適に防ぐことができる。
【0012】
また、前記粒状成形用樹脂は、成形用樹脂積載セクションにおいて前記積載手段に積載され、前記電子部品は、プレスセクションにおいて前記上金型および下金型により樹脂封止され、前記電子部品は、被成形品供給セクションから前記プレスセクションに供給され、前記プレスセクションで樹脂封止された成形品は、成形品収納セクションに収容され、前記プレスセクションは、前記成形用樹脂積載セクションと、前記被成形品供給セクションおよび前記成形品収容セクションと、により挟まれる配置に配設されていることを特徴とする。これにより、粉塵対策を容易に行えるシステムを単純で安価なシステムで実現することが可能になる。
【0013】
また、他の発明として、上記のうちいずれかの樹脂封止装置を用い、前記各ストッカ内における粒状成形用樹脂の貯留量と、電子部品を樹脂封止加工する際における粒状成形用樹脂の使用量とに基づいて、前記各ストッカ内から供給される粒状成形用樹脂の供給量どうしの比率が所定の比率となるように、前記各ストッカからの粒状成形用樹脂の供給量を算出する工程と、前記算出された成形用樹脂の供給量に基づいて、前記各ストッカ内から粒状成形用樹脂を前記積載手段に供給する工程と、を有していることを特徴とする電子部品の樹脂封止方法とすることもできる。
【0014】
また、前記中間処理部の内部空間を減圧する工程、前記積載手段に積載された前記成形用樹脂を冷却する工程、前記中間処理部内を吸湿する工程のうちの少なくとも一つの工程と、を有していることを特徴とする。これにより、積載手段に積載されている粒状成形用樹脂の間を減圧し水分の排出を促進させることや、粒状成形用樹脂の下金型投入前における溶融を防止することができるため、樹脂封止時におけるボイドの発生や樹脂封止部の品質の劣化を抑制することができる。
【0015】
また、先述の樹脂封止方法のいずれかにおいて、前記積載手段を前記金型位置に搬送し、前記下金型に前記成形用樹脂を投入した後、前記成形用樹脂積載位置に戻る際に、前記中間処理部内で前記冷却手段からの冷噴射風により前記積載手段を洗浄処理する工程と、をさらに有していることを特徴とする。これにより、下金型に粒状成形用樹脂を投入した後に積載手段に残留した微細粒樹脂を除去し、積載手段の洗浄を行うことができる。また、次の成形用樹脂を積載する前に、積載手段を冷却することもできるため好都合である。
【0016】
さらに、先述の樹脂封止方法のいずれかにおいて、均し手段により、前記積載手段内に供給された前記粒状成形用樹脂の積載状態を均す工程をさらに有していてもよい。これにより、積載手段へ積載された粒状成形用樹脂の積載状態が均一になり、極薄の厚みでもより精密な状態で成形用樹脂を下金型へ投入することができ、樹脂の流動を抑えることができる。
【0017】
また、先述の樹脂封止方法のいずれかにおいて、前記電化付与手段により前記成形用樹脂の浮遊成分に帯電させる工程と、前記帯電物吸着手段により前記帯電させた浮遊成分を吸着する工程とをさらに有していることを特徴とする。これにより、浮遊した微細粒樹脂を確実に捕集することができるため、粒状成形用樹脂の浮遊成分による樹脂封止装置の汚染を好適に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0018】
本願発明にかかる樹脂封止装置およびこれを用いた樹脂封止方法によれば、粒状成形用樹脂を用いた電子部品のコンプレッション成形において、キャビティ空間が浅型で平面寸法が大きい場合であっても、粒状成形用樹脂を均一な状態で供給することができる。これにより樹脂封止品の樹脂封止部は常にムラのない状態に仕上げることができ、ボイドの発生も好適に抑制することができる。これに加えて、キャビティ空間の一部となる下金型の上面に供給される粒状成形樹脂の粒度分布が常に一定の状態に維持されているから、樹脂封止部分の品質が一定で高品質な電子部品の樹脂封止品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態における樹脂封止装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す樹脂封止装置のうち、樹脂積載セクション、中間セクション、プレスセクションの構成を示す断面図である。
【図3】樹脂積載セクションの説明断面図である。
【図4】第2実施形態における樹脂封止装置の成形用樹脂積載セクションの概略構成を示す正面図である。
【図5】第3実施形態における樹脂封止装置の成形用樹脂積載セクションの概略構成を示す断面図である。
【図6】第4実施形態における樹脂封止装置のうち、樹脂積載セクション、中間セクション、プレスセクションの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下に、本発明の好適な実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、第1実施形態における樹脂封止装置の概略構成を示す平面図である。図2は、図1に示す樹脂封止装置のうち、樹脂積載セクション、中間セクション、プレスセクションの構成を示す断面図である。図3は、樹脂積載セクションの説明断面図である。図3の左側に示されている図は、図1中で示されている図と同一のものである。
本実施形態における圧縮成形装置800は、積載手段160に粒状成形用樹脂積載位置である成形用樹脂積載セクション100と、金型位置であるプレスセクション200と、積載された粒状成形用樹脂の冷却処理等の中間処理を積載手段160に対して行う中間セクション300と、被成形品収納セクションである基板供給セクション400と、プレスセクション200にて樹脂封止された樹脂封止品を収容する成形品収納セクション500と、を有している。本実施形態においては、樹脂積載セクション100、中間セクション300、プレスセクション200、基板供給セクション400、成形品収納セクション500の順に配設されている。成形用樹脂積載セクション100(および中間セクション300)と、基板供給セクション400(および成形品収納セクション500)とは、プレスセクション200を挟みこむ配置で配設されている。また、各セクションに隣接すると共に、各セクションが並べられている方向に沿って移動レール600が設けられている。移動レール600には、移動レール600上を移動レール600の延伸方向に往復動し、移動レール600の位置から各セクションの内部空間との間を往復動可能な搬送手段700が配設されている。搬送手段700には、移動レール600から各セクションに接近する際における先端部分にクリーニングユニット750が配設されている。このクリーニングユニット750は、上下金型面に付着した硬化樹脂のカス等を除去するためのものであり、回転ブラシ等の除去手段と除去手段により除去した樹脂カス等を回収する回収手段により構成することができる。
【0021】
成形用樹脂積載セクション100について説明する。
成形用樹脂積載セクション100は内部環境が外部と隔離された環境下におかれるよう、外壁110により閉塞空間に形成されている。成形用樹脂積載セクション100の外壁110には出入口112が設けられている。この出入り口112から積載手段160が進退出する。積載手段160は搬送手段700と同様に、移動レール600に沿った往復動作(図3中の矢印A方向)と、移動レール600の延伸方向に対して平面直交方向(図3中の矢印B方向)に移動可能に設けられている。成形用樹脂積載セクション100では、図3に示すように、粒状成形用樹脂(以下、単に成形用樹脂という)を予め定められた粒径範囲毎に分別された状態でストッカ130A,130B(以下、これらを特に区別しないときは、単に「ストッカ130」という)により貯留されている。本実施形態におけるストッカ130A,130Bは、上部が開口した漏斗状に形成されていて、下部の開口部分にはストッカ130A,130Bからの粒状の成形用樹脂120A,120Bの取り出し量を調整しストッカ130A,130B内に貯留された粒状の成形用樹脂120A,120Bの必要以上の落下を防止する成形用樹脂取り出し手段が配設されている。この成形用樹脂120A,120B(以下、これらを特に区別しないときは、単に「成形用樹脂120」という)は、顆粒または粉末等のような粉粒体の粒径のみを異ならせた樹脂であり、例えば混錬及び硬化することで成形された固形状の樹脂を粉砕し、所定の大きさの篩目で粒径毎に篩分けることで製造される。本実施形態では、成形樹脂120Aの方が成形用樹脂120Bよりも粒径が大きいものとして説明する。なお、成形用樹脂120A,120Bは、その粒径が篩目の大きさによって最大値または/および最小値として特定されている。
【0022】
本実施形態では、例えばストッカ130A,130Bの下部の開口部を開閉する蓋142と、蓋142の開閉駆動する蓋開閉駆動装置および蓋開閉駆動装置の制御部(図示せず)とにより、成形用樹脂取り出し手段が構成されている。なお、成形用樹脂取り出し手段はこの構成に限定されるものではない。本実施形態における蓋開閉駆動装置の制御部は、圧縮成形装置800の動作制御を行う中央制御部(PC)が兼用している。すなわち、中央制御部(PC)に備わるCPUと記憶手段に記憶された制御プログラムに基づいて各部の動作制御が実行される。また、圧縮成形装置800の蓋開閉駆動装置に各々設けられた制御部によって同期をとって制御されるようにしてもよいのはもちろんである。
なお、図3においては2台のストッカ130A,130Bが示されているだけであるが、3台以上配設する構成としてもよい。
【0023】
成形用樹脂積載セクション100には、成形用樹脂供給量算出手段が設けられている。本実施形態における成形用樹脂供給量算出手段は、先述の中央制御部(PC)により代用している。成形用樹脂供給量算出手段は、各ストッカ130A,130B内から供給される成形用樹脂120A,120Bの供給量どうしの比率が所定の比率となるように、各ストッカ130A,130Bからの成形用樹脂120A,120Bの供給量を算出する。この場合、成形用樹脂供給量算出手段は、各ストッカ130A,130B内における成形用樹脂120A,120Bの貯留量と、電子部品である半導体チップ240を搭載した配線基板242(以下、これらを単に被成形品ということがある)を樹脂封止加工する際における成形用樹脂120A,120Bの使用量とに基づいて、成形用樹脂120の供給量を算出可能である。
本実施形態においては、中央制御部(PC)が各ストッカ130A,130Bに貯留されている成形用樹脂120A,120Bの重量により成形用樹脂120A,120Bの供給量を管理している。それぞれのストッカ130A,130Bにおいて貯留されている成形用樹脂120A,120Bの重量は、ストッカ130A,130Bに成形用樹脂120A,120Bを投入する際に予め重量を計測し、その計測値を予め使用者により成形用樹脂供給量算出手段(中央制御部(PC))に入力しておけばよい。また、各ストッカ130A,130Bに重量測定手段を備える構成としてもよい。
【0024】
本実施形態における成形用樹脂供給量算出手段は、各ストッカ130A,130Bに貯留されている成形用樹脂120A,120Bの重量と、これらの重量の総和と、1つの被成形品を樹脂封止する際に使用する成形用樹脂120A,120Bの重量とに基づいて、各ストッカ130A,130Bからの成形用樹脂120A,120Bの供給量を算出している。成形用樹脂供給量算出手段により1つの被成形品を樹脂封止する際において各ストッカ130A,130Bから供給すべき成形樹脂120A,120Bの重量が算出されると、中央制御部(PC)は、蓋開閉駆動装置によりそれぞれのストッカ130A,130Bの蓋142を開き、積載手段160に成形用樹脂120A,120Bを供給する。このとき中央制御部(PC)は、積載手段160に設けられた重量計測手段により計測された重量が所定重量に達すると、蓋142を閉じるように蓋142の開閉動作を制御している。
【0025】
本実施形態においては、粒径が大きい成形用樹脂120Aが先に積載手段160に供給され、次に粒径が小さい成形用樹脂120Bが積載手段160に供給される。このように粒径が大きな成形用樹脂120Aから粒径が小さな成形用樹脂120Bの順に積載手段160へ供給することで、成形用樹脂120A同士の隙間に成形用樹脂120Bを分散させることができるため、積載手段160へ積載された成形用樹脂120A,120Bを万遍なく分布させることができ好都合である。また、後述する閉塞板164A,164Bに微細な成形用樹脂120Aが付着することを効率的に防止することができる。
【0026】
また、成形用樹脂積載セクション100は、ダスト吸引部114を具備している。ダスト吸引部114は、外壁110に設けられた吸引孔を介して成形用樹脂積載セクション100内をエア吸引し、減圧することでその内部に負圧を発生させ(減圧空間を形成させ)、出入口112の開放時におけるパーティクルの外部への漏出を防止している。
【0027】
積載手段160は、上面が開口した下面が開閉可能な容器形状に形成されている。積載手段160は移動レール600に沿って成形用樹脂120A,120Bの積載位置とプレスセクション200の金型位置との間で移動可能に設けられている。
積載手段160の平面形状は、後述する下金型230に設けられたキャビティ凹部238の平面形状とほぼ等しい形状に形成されている。より詳細には、積載手段160の底面の開口部分の形状がキャビティ凹部238の平面視形状よりも若干小さく形成されている(図1参照)。
積載手段160は、その側壁部を形成する平面視矩形状の枠体とその底面を開閉可能なシャッタ機構162を備えており、成形用樹脂積載セクション100からプレスセクション200に搬送される間は、閉塞状態を維持し、プレスセクション200のキャビティ凹部238上(下金型230上)においてシャッタ機構162を作動させて底面を開放する。シャッタ機構162の開閉動作は中央制御部(PC)により制御されている。本実施形態におけるシャッタ機構162は、2枚の閉塞板164A,164Bが図示しない駆動装置により、積載手段160の底面中央位置と積載手段160の底面外側位置との間で接離動するスライド式のシャッタ機構162に構成されている。シャッタ機構162の他例としては、一枚の閉塞板164が積載手段160の底面に沿って水平方向にスライドする構造や、積載手段160の底面に一端縁が回転可能に保持された閉塞板164が保持された端縁を回転軸として下方に向けて回動する構造を採用することももちろん可能である。
本実施形態においては、このシャッタ構造162と中央制御部(PC)および搬送手段とにより投入手段が構成されている。
【0028】
中間セクション300について説明する。
この中間セクション300もまた、他のセクションの出入り口と同じ向きに出入口312が設けられた外壁310により閉塞空間に形成されていて、中間セクション300の内部空間は、成形用樹脂積載セクション100、プレスセクション200および外部環境と隔離された状態になっている。本実施形態における中間セクション300の内部空間は他の空間と熱的に隔離できるよう、外壁310には、断熱性を有する材料が用いられている。
【0029】
本実施形態における中間セクション300には、中間セクション300の内部空間を減圧する減圧手段320と、中間セクション300の内部空間と積載手段160と冷却する冷却手段330および吸水手段332が配設されている。吸水手段332は、冷却手段330と共に配設されていることが好ましい。減圧手段320としては、真空ポンプが好適に用いられる。中間セクション300の内部空間を冷却する冷却手段330としては、風を起こさないペルチェ素子が好適に用いられ、プレスセクション200で作業を終えて温度が高くなっている積載手段160を冷却すると共に、積載手段160の外部に付着した汚れ(パーティクル)を除去する冷風噴射装置である冷風供給装置331が好適に用いられる。また、吸水手段332としては、吸水ゲルが好適に用いられる。冷却手段330および冷風供給装置331の動作はそれぞれ中央制御部(PC)により制御されている。本実施形態においては、ペルチェ素子に代表されるような、無風状態を維持することができる冷却手段を常時作動させてもよいが、冷風を噴射する冷風供給装置331は、成形用樹脂120が積載された積載手段160を冷却する際には停止する。また、中間セクション300内の温度については、吸水手段332を動作させる際には露点以下となるように中央制御部(PC)により温度管理されていることが好ましい。
【0030】
中間セクション300には、成形用樹脂積載セクション100で成形用樹脂120を積載した積載手段160が出入口312から搬入される。積載手段160が中間セクション300に搬入されると、中央制御部(PC)は、積載手段160が樹脂を搬入中か、あるいは投入後に対応して、冷却手段330,331を作動させて、中間セクション300の内部空間の冷却と積載手段160のクリーニングと冷却の処理をそれぞれ実行させる。これにより樹脂搬送時は、積載手段160に積載されている成形用樹脂120の冷却が行われる。樹脂投入後の工程の場合は、冷却手段331のノズルから冷気を噴射してクリーニングすると共に、プレスセクション200内での作業中に熱を吸収して温度が高くなった積載手段160を冷却する。
【0031】
また、中間セクション300内に吸水手段332が配設されている場合には、中間セクション300内の温度が露点になったとしても、吸水手段332により吸水させることができるから、積載手段160に積載されている成形用樹脂120の水分を可及的に削減させた状態にすることが可能である。また、中間セクション300において冷却手段330により積載手段160と成形用樹脂120の溶融開始までの時間を長引かせることができる。これにより成形用樹脂120が投入前に積載手段160内に溶融付着することが防げると共に、溶融時から被成形品がキャビティ凹部238の溶融樹脂に浸含させるまでの時間を可及的に短くすることができ、表面積が大きいために熱を吸収しやすく硬化が極めて速い顆粒状樹脂が金型クランプ前に粘度上昇するのを防止できるため、特に薄いパッケージのコンプレッション成形に顕著なワイヤ流れを防止することができる点で好都合である。
【0032】
プレスセクション200について説明する。
プレスセクション200には、可動型である上金型220と固定型である下金型230が収容されている。プレスセクション200はその内部環境が外部と隔離された環境下におかれるよう、外壁210により閉塞空間に形成されている。プレスセクション200の外壁210には出入口212が設けられている。この出入口212を介して積載手段160はプレスセクション200に進退出可能となっている。また、この出入口212を介して基板供給セクション400から取り出した配線基板242およびプレスセクション200で樹脂封止された配線基板(成形品)を成形品収納セクション500に収納するための搬送手段700が進退出する。プレスセクション200に搬送手段700が進退出する際には、搬送手段700の先端に配設されたクリーニングユニット750により上下金型のクランプ面のクリーニング処理が行われる。なお、本実施形態においては搬送手段700にクリーニングユニット750を一体に取り付けているが、クリーニングユニット750は搬送手段700とは別体に配設してもよい。また、クリーニングユニット750は必須の構成ではないため、配設を省略することもできる。
本実施形態においては、搬送手段700により基板供給セクション400から被樹脂封止品である半導体チップ240が搭載された配線基板242がプレスセクション200に搬入される。
【0033】
プレスセクション200内に搬送された配線基板242は、上金型220に保持され、上金型22と固定型である下金型230とにより配線基板242がクランプされ、そこに搭載されている半導体チップ240を下金型230に形成されたキャビティ凹部238により樹脂封止される。
上金型220は、上型ベース222に保持手段244が装着された上型クランパ224により構成されている。上金型220は、駆動手段246により下金型230に接離動可能に設けられている。
また、下金型230は、ベースブロック232と、ベースブロック232の上方に配設された下型クランパ236とを具備している。ベースブロック232と下型クランパ236との間には付勢手段234が配設されていて、下型クランパ236は、上金型220側に向けて常時付勢されている。ベースブロック232は断面凸状に形成されていて、下型クランパ236はベースブロック232の断面凸状部(平面視中央部)の外周側の段付部に付勢手段234を介して支持されている。下型クランパ236は矩形枠状や円形リング状に形成される。ベースブロック232と下型クランパ236との段差部分によりキャビティ凹部238が形成されている。このように構成された上金型220と下金型230は、外壁210により囲まれて形成された閉塞空間に収容されている。
なお、本願発明における上金型220と下金型230は、以上に説明した構成に限定されるものではない。
【0034】
本実施形態における上金型220に設けられた保持手段244は、保持手段244と上金型220の型面との間に配線基板242を挟持して保持している。保持手段244は、下端部にカギ状に形成されたフック体の上端側をピストンで押動して回転させることで、上金型220の型面からの突出高さ及び傾きが調節自在な構成となっている。なお、上金型220における配線基板242の保持面に梨地面を形成し、この梨地面を真空引きすることで配線基板242を吸着する機構を併用してもよい。保持手段244の伸縮動作は中央制御部(PC)により動作制御することが可能であるが、この構成に限定されるものではない。保持手段244への配線基板242(被成形品)を保持させる際には、オペレータにより被成形品を供給する方式の他、後述するような自動供給装置により被成形品を保持手段244に供給する方式のいずれの方式であってもよい。
また、本実施形態における上型ベースブロック222には加熱手段221が配設されていて、樹脂封止時には上金型224は樹脂封止温度まで昇温されている。
【0035】
下金型230に形成されたキャビティ凹部238を覆ってリリースフィルム250が敷設される。リリースフィルム250は下型クランパ236に設けられた吸着溝(図示せず)によりエア吸着された後、下金型230に設けられた吸着孔(図示せず)によってエア吸着される。また、本実施形態におけるリリースフィルム250はローラに巻きつけられ、キャビティ凹部238上に巻き出して供給される長尺体ではなく、キャビティ凹部238の形状寸法よりも大きく、下型クランパ236の外形寸法に合わせた枚葉式のリリースフィルムが用いられる。リリースフィルム250の供給および排出(取り出し)は、上金型220および下金型230の動作に合わせて作動する図示しないリリースフィルム給排装置によりおこなわれる。
また、本実施形態におけるベースブロック232には加熱手段231が配設されていて、下金型230は加熱手段231により樹脂封止温度まで昇温されている。
【0036】
成形用樹脂積載セクション100において成形用樹脂120A,120Bが積載された積載手段160は、搬送手段により成形用樹脂積載セクション100の外壁110に設けられた出入口112から成形用樹脂積載セクション100の外部へ搬出される。その後、積載手段160は、プレスセクション200の外壁210に設けられた出入口212からプレスセクション200の内部空間に搬入され、キャビティ凹部238の直上位置にセットされる。このような搬送手段としては、位置決めと速度制御が容易なボールねじとサーボモータによる構成等が好適に用いられる。搬送手段もまた中央制御部(PC)により動作制御がなされている。
【0037】
被成形品供給セクションである基板供給セクション400は、プレスセクション200に供給すべき配線基板242を収容するセクションである。被成形品である配線基板242は図示しないマガジン内に収容されている。
成形品収納セクション500は、基板供給セクション400からプレスセクション200に供給された配線基板242を樹脂封止処理(樹脂成形処理)してなる成形品を収容するセクションである。成形品収納セクション500もまた、基板供給セクション400と同様に図示しないマガジンに成形品を収容している。
【0038】
次に、本実施形態における樹脂封止装置800を用いた樹脂封止方法について説明する。
ストッカ130A,130Bに貯留される成形用樹脂120A,120Bは、篩分け等により所要の粒径分布範囲となるように予め分別され、粒径範囲毎(例えば、篩のメッシュ寸法毎に分類することができる)に各ストッカ130A,130Bに貯留されている。ストッカ130A,130Bにそれぞれ貯留されている成形用樹脂120A,120Bの重量は、ストッカ130A,130Bへの投入前に計測しておけばよい。この計測値は、使用者により成形用樹脂供給量算出手段に入力される。また、成形用樹脂供給量算出手段には、予め一回の樹脂封止に必要となる成形用樹脂量が入力されている。
成形用樹脂供給量算出手段は、ストッカ130A,130Bに貯留される成形用樹脂120A,120Bの重量と、これら重量の総和と、1回の樹脂封止に用いる成形用樹脂120A,120Bの重量とに基づいて、ストッカ130A,130B内からの成形用樹脂120A,120Bの供給量を算出する。このようにして各ストッカ130A,130Bからの成形用樹脂120A,120Bの供給量を設定することにより、ストッカ130A,130Bに貯留されている成形用樹脂120A,120Bの減少量を均等にすることができる。したがって、成形毎の樹脂の粒度分布を均一にすることができ、樹脂封止品の樹脂封止部の品質を均一に維持することができるため好都合である。
【0039】
具体的には、既知量である1回の成形に用いる樹脂重量T.abグラムを大粒な樹脂(本実施形態では成形用樹脂120A)の総重量T.aグラムと細かい樹脂(本実施形態では成形用樹脂120B)の総重量T.bグラムの比率で分配する。この場合、経済的な速度(比較的高速)で分配する結果生ずる投入誤差の補正のため、N(Nは自然数)ショットでの合計量ΣtaとΣtbを常に計算して誤差分を次の(N+1)ショット目にフィードバックする作業を最後まで続けることによって、最終ショットで残った樹脂の残量まできれいにT.a:T.bの比率に管理できる。この方法によれば、ある成形回でtaが所定量に対して0.14グラム多かった場合、tbは所定量よりも0.14グラム少なく制御されてT.abは所定重量に収まるから、投下される樹脂の量、換言すれば、パッケージの厚さは誤差が0に管理され、次の成形ではtaを所定量よりも目標として0.14グラム少なく投下するが、実際は0.16グラム少なくなったり誤差が生ずるので、この場合はtbを0.16グラム多く投入してT.abを優先して確保する。この結果、Σtaは0.02グラム不足し、Σtbは0.02グラム余るから、次の計測では、taでは所定量に対して0.02グラム少なく投入し、tbはT.abを一定として計算した残分を投下する。このようにフィードバックしていくと、樹脂は無駄なく1成形分の樹脂量以下の最少の廃棄で済み、従来は廃棄されていた粉分も含めた全量が使用されるから経済的にも環境的にも優れている装置を提供できる。
【0040】
なお、最初に不ぞろいで大粒な樹脂を投下して、その後で微調整可能な細かい樹脂を投入することによって成形用樹脂容量の計量誤差を補正可能として精度を高めると共に、迅速な計量を実現している。
また、それぞれの重量の積算値を管理曲線に用いることによりストッカ130の数が多くても加減管理が容易になるので、全ストッカ130内の成形用樹脂120を同時に使い切ることが可能になり統計的にも均一な品質を期待できる。
【0041】
成形用樹脂供給量算出手段により各ストッカ130からの成形用樹脂120の供給量が算出されると、中央制御部(PC)が蓋開閉駆動装置の動作を制御し、各ストッカ130の蓋142を開き、積載手段160に成形用樹脂120を積載させる。中央制御部(PC)はまず、粒径の大きな成形用樹脂(本実施形態においては120A)のストッカ130Aの蓋142を開き、積載手段160に成形用樹脂120Aを積載する。この際、積載手段160は一定の場所で待機していてもよいが、搬送手段により蓋142の平面位置を中心として水平面内で回転させたり、積載手段160の開口部長手方向において蓋142の平面位置に対して前後左右に往復動させながら成形用樹脂120Aを積載してもよい。この場合、積載手段160の開口部内で蓋142の平面位置を相対的に操作させるように積載手段160を動作させてもよい。積載手段160を保持する図示しない搬送手段が積載手段160を移動させることにより積載された成形用樹脂120Aが積載手段160内へ均等な厚みに積載することができる。
搬送手段には、積載手段160の重量を計測する重量計測手段が設けられているので、成形用樹脂供給量算出手段により算出された重量に相当する成形用樹脂120Aが積載手段160に積載されると、成形用樹脂取り出し手段は蓋開閉駆動装置を作動させてストッカ130Aの蓋142を閉塞する。
【0042】
次に、中央制御部(PC)は、他方のストッカ130Bの蓋142の開閉を行う蓋開閉駆動装置を作動させて、ストッカ130Aと同様に制御すると共に、積載手段160を成形用樹脂120Aの積載時と同様に制御する。これにより、他方の成形用樹脂120B(粒径が小さい成形用樹脂)は積載手段160において成形用樹脂120A上へ均等な厚みに積載される。このように、粒径毎に成形用樹脂120を積載手段160に積載することで、積載手段160に積載されている樹脂120の積載状態は、均一な状態にすることができる。
【0043】
成形用樹脂積載セクション100において積載手段160に成形用樹脂120を積載した後、中央制御部(PC)は、図示されていない搬送手段により積載手段160を成形用樹脂積載セクション100から搬出させた後、中間セクション300に搬入させる。積載手段160が中間セクション300に搬入されると、中央制御部(PC)は連続運転の冷却手段330の出力を強めて中間セクション300の内部空間を強く冷却する。中間セクション300の内部空間の冷却を行うと湿度が高まるが、吸水手段332が常時機能しているので結露を防止できるから、表面積が極めて大きい顆粒状樹脂の吸水を防止できる。
【0044】
中間セクション300内における冷却処理を実行した後、中央制御部(PC)は、搬送手段により積載手段160を中間セクション300から搬出させ、プレスセクション200に搬入させる。プレスセクション200に搬入された積載手段160は、キャビティ凹部238の直上位置にセットされる。キャビティ凹部238には、リリースフィルム250が予めエア吸着された状態でセットされている。
【0045】
積載手段160がキャビティ凹部238の直上位置にセットされた後、中央制御部(PC)は直ちに閉塞板164の駆動手段を駆動させ、シャッタ機構162を構成する2枚の閉塞板164A,164Bを積載手段160の底面中央位置から積載手段160の底面外側位置(図1中において、積載手段160の位置を中心として左右方向)にスライドさせる。これにより積載手段160に積載されている成形用樹脂120はリリースフィルム250がセットされたキャビティ凹部238に投入される。閉塞板164A,164Bの底面とキャビティ凹部238との離間距離は可及的に短くなるように設定されているので、積載手段160からキャビティ凹部238に成形用樹脂120を自由落下により投入しても成形用樹脂120が飛散することはなく、積載手段160における積載状態を維持したままキャビティ凹部238に成形用樹脂120を投入することができる。下金型230のベースブロック232には加熱手段231が配設されており、下金型230は樹脂封止温度に加熱(昇温)されているから、キャビティ凹部238に投入された成形用樹脂120は直ちに溶融する。
【0046】
樹脂封止成形時には、図2に示すように、プレスセクション200の上金型220に取り付けられている保持手段244には配線基板242が保持される。本実施形態においては、中央制御部(PC)が移動レール600の上に沿って往復動する搬送手段700に配線基板242を基板供給セクション400内のマガジン(図示せず)から取り出し、プレスセクション200の保持手段244に予め供給させている。
キャビティ凹部238に積載手段160の成形用樹脂120が投入されると、中央制御部(PC)は、制御信号を発して積載手段160をキャビティ凹部238の上方位置から移動させると共に、駆動手段246を駆動させて上金型220と下金型230とを型締めさせる。このとき、先ず半導体チップ240が溶融した成形用樹脂に浸漬され始め、少し遅れて下型クランパ236が配線基板242に当接すると付勢手段234が押し縮められると共に、半導体チップ240が溶融した成形用樹脂に完全に浸漬される。そして上金型220と下金型230が型締めされて成形樹脂圧力で加圧されながら加熱され、溶融した成形用樹脂が硬化して半導体チップ240が樹脂封止される。
【0047】
樹脂封止後、中央制御部(PC)は、上金型220を下金型230から離反させる方向に図示しない駆動手段を駆動させる。このとき、配線基板242は上金型220の保持手段244に保持されているので、下金型230に敷設されているリリースフィルム250から樹脂封止品が引き剥がされる。
この後、中央制御部(PC)が保持手段244の保持フックを上型クランパ224表面から突出(離間)させ、保持手段244に保持された樹脂封止品が搬送手段700に受け渡され、外壁210の出入口212からプレスセクション200の外にある成形品収容部500内の収納マガジンに搬入される。次に樹脂封止を行う配線基板242を基板供給セクション400内のマガジンから取り出してプレスセクション200内に搬入し、保持手段244にセットする。
本実施形態における搬送手段700は、樹脂封止品を受け取った後にプレスセクション200の内部空間から退避する際に、クリーニングヘッド750に配設された回転ブラシ等の樹脂カスの除去手段と回収手段により金型面に付着した樹脂カスを除去する等のクリーニング処理を行っている。
【0048】
プレスセクション200における圧縮樹脂封止処理を終えた後に、中央制御部(PC)は、搬送手段により、空になった積載手段160を再び中間セクション300に搬入し、連続稼動している冷却手段330の出力を高めると共に、冷風供給装置331を作動させて、冷風供給装置331からの冷風吹き付けによりプレスセクション200内で高温になった積載手段160を冷却する。また、積載手段160の内部に残留した成形用樹脂120の微細粒分を吹き飛ばすことができ、積載手段160から不要な微細流樹脂を除去することができる。
【0049】
これと同時に、中央制御部(PC)は減圧手段320を作動させて積載手段160から吹き飛ばした微細粒分の成形用樹脂を中間セクション300から排出した後、冷却および洗浄処理された積載手段160を再び成形用樹脂積載セクション100に搬入させる。そして、成形用樹脂積載セクション100において次の樹脂封止加工に必要な成形用樹脂120の積載処理が行われる。
以上の手順を繰り返し行うことにより、配線基板242に搭載された半導体チップ240を連続的に樹脂封止成形することができる。
【0050】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態における樹脂封止装置の成形用樹脂積載セクションの概略構成を示す断面図である。
本実施形態においては、ストッカ130に振動発生手段132が配設されている点および、ストッカ130から供給される粒状成形用樹脂120を仮に積載させるための仮積載手段である受け皿166が配設されている点が特徴的である。また、本実施形態においては、ストッカ130から供給される粒状成形用樹脂120の重量を計測するための重量計測手段が搬送手段ではなく受け皿166に設けられている。
受け皿166は、ストッカ130のそれぞれの樹脂投下口の下部へ移動可能とするボールねじとサーボモータ機構につながれていて、投下された成形用樹脂120が平らに堆積するように左右へ移動しながら投下された成形用樹脂120を受け取る。具体的には、ストッカ130Aの投下口下部に移動した後、受け皿166は左右方向に移動して均等に所定量の成形用樹脂120Aを受け取った(堆積させた)後、ストッカ130Bの投下口下部に移動して、受け皿166は左右方向に移動して均等に所定量の成形用樹脂120Bを受け取る。この後、受け皿166は、積載手段160の上部の所定位置に移動して中央制御部(PC)により投下命令が発せられるまで待機する。
【0051】
振動発生手段132は、ストッカ130の底側部分に配設されている。振動発生手段132としては、きわめて細かい振動を発生することができるピエゾ素子等が好適に用いられる。振動発生手段132は、ストッカ130に取り付けられた蓋142の開閉動作とタイミングを合わせて(同期させて)入力電源がオンオフするように中央制御部(PC)により制御される。例えば、振動発生手段132は、ストッカ130の蓋が142開くと振動を発生し、蓋142が閉まると振動の発生を停止する。このように動作する振動発生手段132により、ストッカ130に貯留されている成形用樹脂120は、それぞれにおける微細粒成分がストッカ130の底部にたまってしまうことがないため好適である。これにより、それぞれのストッカ130に貯留されている成形用樹脂120を均等に取り出すことができる。このような構成は、粒径が小さい粒状成形用樹脂が貯留されているストッカ(本実施形態においては130B)において特に好都合である。
【0052】
本実施形態における受け皿166は、積載手段160の構成と同様に、底面が開閉可能な閉塞板168に形成された上面開口の箱型に形成されている。受け皿166の閉塞板168の開閉動作は中央制御部(PC)により制御される。中央制御部(PC)は、受け皿166に配設された重量計測手段(図示せず)により計測された重量が、先の実施形態と同様の手法により成形用樹脂供給量算出手段により算出された重量に達すると、蓋開閉駆動装置の動作を制御しストッカ130の蓋142を閉塞させる処理を実行する。
このような受け皿166を配設することで、受け皿166を介して成形用樹脂120を積載した積載手段160を、移動レール600に沿って成形用樹脂積載セクション100からプレスセクション200に搬送させている間に、次の樹脂形成に用いる成形用樹脂120の積載の準備することができ、効率的な生産が可能になる。また、受け皿166に投入された成形用樹脂120は、積載手段160に投下される際に、受け皿166に供給された当初の積載状態ではなく、それぞれの粒径分布における成形用樹脂120が互いに入り混じって、粒径分布が均一になる点においても好都合である。
【0053】
また、図示しないが、上記の振動発生手段132は、ストッカ130だけでなく、積載手段160の閉塞板164A,164Bに配設してもよい。このような積載手段160の構成によれば、積載手段160からキャビティ凹部238に成形用樹脂120を投入する際において、閉塞板164への微細粒分の成形用樹脂の付着を防止し、閉塞板164に付着していた微細粒分の成形用樹脂が溶融することによる積載手段160の汚染を防ぐことができる点や、キャビティ凹部238への成形用樹脂120の投入量をきわめて高精度に管理することもできる点において好適である。また、本実施形態にかかる樹脂封止装置800のプレスセクション200の構成については、第1実施形態におけるプレスセクション200の構成と同じ構成を採用することができるため、ここでのプレスセクション200の詳細な説明は省略する。
【0054】
本実施形態における樹脂封止装置を用いた配線基板242の樹脂封止方法については、成形用樹脂供給量算出手段により各ストッカ130からの成形用樹脂120の供給量を算出するまでの工程は第1実施形態における工程と同じである。
この後、中央制御部(PC)が蓋開閉駆動装置へコマンドを発し、各ストッカ130の蓋142を開き、受け皿166に成形用樹脂120を積載させる。受け皿166への成形用樹脂120A,120Bの供給順もまた第1実施形態と同様に行うことが好ましい。本実施形態においては、成形用樹脂120の供給中において受け皿166を所要範囲内で移動させる等の操作を行う必要はないが、このような操作が禁じられるものではない。
【0055】
受け皿166に設けられた重量計測手段が、成形用樹脂供給量算出手段により算出された重量に相当する成形用樹脂120が受け皿166に積載されると、中央制御部(PC)は蓋開閉駆動装置を作動させてストッカ130の蓋142を閉塞する処理を行う。
受け皿166に所要重量の成形用樹脂120が供給された後、中央制御部(PC)が受け皿166の底面である閉塞板168をスライドさせる図示しない駆動手段を作動させ、閉塞板168を開く。これにより受け皿166に仮積載されている成形用樹脂120が積載手段160に積載される。積載手段160に成形用樹脂120が積載された後の工程は、第1実施形態と同様に行うことができる。
【0056】
(第3実施形態)
図5は、第3実施形態における樹脂封止装置の成形用樹脂積載セクションの概略構成を示す断面図である。本実施形態においては、積載手段160に積載された成形用樹脂120A,120Bの積載状態を均すための均し手段170を具備している点が特徴である。先述の実施形態と同じ構成については同一符号を用いることにより詳細な説明は省略している。
【0057】
均し手段170は、積載手段160の上面開口部のいずれか一方(第1実施形態の図2においては図中の左右方向)における幅寸法Wとほぼ同幅寸法(幅Wよりわずかに幅狭寸法であればより好適である)に形成された均し板172と、均し板172を待機位置から積載手段160の上方開口部を経由して積載手段160の内部空間に進退させると共に、積載手段160の内部空間内で図5の紙面奥行き方向(上面開口部の長手方向)にスライド移動させるための均し板駆動機構174とを有している。均し板172の材質は、成形用樹脂120との間で静電気が発生しない材料であれば特に限定されるものではないが、均し板172をスライドさせたときに成形用樹脂120との摩擦抵抗によりたわむ材料が好ましい。均し板駆動機構174は、均し板支持体174a、ガイドレール174b、駆動モータ174c、ボールねじ174dおよび図示しないボールねじ駆動手段等により構成することができる。均し板駆動機構174もまた、中央制御部(PC)によりその動作が制御されている。このような均し手段170は、第2実施形態において説明した受け皿166が配設されている場合および受け皿166が配設されていない場合のいずれの場合においても配設することができるのはもちろんである。
【0058】
ストッカ130または受け皿166から単純に落下させることによって供給された成形用樹脂120は、積載手段160の底部において成形用樹脂120の安息角をなす山状に積載された状態となることが多い。このような場合において均し手段170の均し板駆動機構174により均し板172を積載手段160の内部空間でスライドさせることによって水平方向に往復動する均し板172の下端によって均されるため、積載手段160内の成形用樹脂120の上面は均し板172の下端の高さと一致し、積載手段160の底面とほぼ平行な状態に均すことができるのである。これにより先に説明した実施形態における積載手段160内での成形用樹脂120の積載状態に比較してより均一な状態に成形用樹脂120を積載することができるため好都合である。均し板172のスライド方向は積載手段160の上面開口部の短手方向(幅Wの方向)にしてもよいのはもちろんである。
【0059】
本実施形態にかかる樹脂封止装置を用いた樹脂封止方法は、ストッカ130または受け皿166から積載手段160に成形用樹脂120を積載するまでの工程は先に説明した実施形態のいずれかにおける工程と同様にして行うことができる。本実施形態を採用する場合には、成形用樹脂120の積載中に、積載手段160や受け皿166をわずかに移動させる処理を省略することができる場合もあるが、一般的に図示寸法Wの幅が広い場合は積載手段160や受け皿166の図示の左右方向と奥行き方向への移動が必要であり、特に薄いパッケージの場合は必須となる。成形用樹脂積載手段160に成形用樹脂120が積載されると、中央制御部(PC)は、均し手段170の均し板駆動機構174を駆動させ、積載手段160内で安息角をなして積載されている成形用樹脂120を均し板172により均す。均し板172を成形用樹脂120の表面上をスライドさせることで、積載手段160内における成形用樹脂120の表面を積載手段160の底面と平行な状態(水平面)に整えることができる。このように成形用樹脂120が平坦状態に整えられた状態になった後、中央制御部(PC)は搬送手段により積載手段160を中間セクション300に搬入させ、常時運転の冷却手段330の出力を高めて運転し、冷却手段330を作動させて冷却処理および除湿処理を適宜実行する。中間セクション300での中間処理を実行した後、または、成形用樹脂積載セクション100から直接プレスセクション200に搬入させる。積載手段160がプレスセクション200に搬入された後の工程は、上記の実施形態のいずれかの工程と同様の工程を適用することができる。
【0060】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態における樹脂封止装置の概略構成を示す断面図である。本実施形態においては、各セクションにおいて浮遊している成形用樹脂を回収するために、電荷付与手段と帯電物吸着手段が配設されている点が特徴である。なお、本実施形態においては、成形用樹脂積載セクション100、プレスセクション200、中間セクション300の全てに電荷付与手段180と帯電物吸着手段182が配設されているが、これらのうちの一部のセクションのみに配設する形態を採用することもできる。また、本実施形態においては成形用樹脂積載セクション100および中間セクション300に冷却手段330と吸水手段332を配設し、成形用樹脂積載セクション100および中間セクション300における帯電効率を向上させ、浮遊している成形用樹脂等への帯電効率を高めている。
【0061】
電荷付与手段180は、放電電極から各セクションの内部空間に放電をし、各セクション内の内部空間における浮遊物(成形用樹脂120の微細粒の成分だけでなく埃等も含む、いわゆるパーティクル)を帯電させる。帯電物吸着手段182は、放電電極から放電された電位と逆の電位が供給される吸着用電極に形成されていて、各セクション内の浮遊物を吸着する。吸着用電極を回収容器184内に配設しておけば、吸着用電極への電位供給を停止すると、吸着用電極に吸着した吸着物を回収容器184に回収することができる。回収容器184は装置メンテナンス時等において適宜取り出して洗浄すればよい。
このような電荷付与手段180および帯電物吸着手段182を配設することにより、各セクション内における浮遊成分や、浮遊成分のうち成形用樹脂が溶融して各セクション内の部品等に付着し、付着した樹脂により汚れが発生することを好適に防止することができる。
【0062】
本実施形態にかかる樹脂封止装置800を用いた樹脂封止方法は、先に説明した他の実施形態におけるいずれかの工程を採用し、成形用樹脂積載セクション100、中間セクション300、プレスセクション200のうちの少なくとも1つのセクションにおいて電荷付与手段180および帯電物吸着手段182を作動させておけばよい。電荷物付与手段180と帯電物吸着手段182の作動タイミングについては特に限定されるものではないのはもちろんである。
【0063】
以上に実施形態に基づいて本願発明を詳細に説明してきたが、本願発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更を施したとしても、本願発明の技術的範囲に属することはいうまでもない。
例えば、以上の実施形態においては、樹脂封止装置800が成形用樹脂積載セクション100、中間セクション300、プレスセクション200、基板供給セクション400、成形品収納セクション500を具備しているが、このセクション構成から中間セクション300を除いたセクション構成とすることも可能である。この中間セクション300が省略されたセクション構成を有する樹脂封止装置800であっても、成形用樹脂積載セクション100と基板供給セクション400とによりプレスセクション200が挟み込まれたレイアウトになるのはもちろんである。
【0064】
また、以上の実施形態においては、キャビティ凹部238を下金型230に配設し、樹脂封止する被成形品である配線基板242を上金型220に設けた保持手段244により保持し、成形用樹脂120が供給されたキャビティ凹部238に半導体チップ240が浸漬させるように上金型220と下金型230とをクランプさせることにより半導体チップ240を樹脂封止する実施形態について説明しているが、この実施形態に限定されるものではない。
例えば、配線基板242を下金型230のクランプ面に位置決めしてセットし、配線基板242および半導体チップ240の上に粒状成形用樹脂120を供給した後に上金型220と下金型230とをクランプし、上金型220に形成されたキャビティ凹部で半導体チップ240を樹脂封止成形する実施形態を採用することも可能である。この際、下金型230に第1実施形態で説明した構成と同様の構成の保持手段244を配設しておいてもよい。
【0065】
また、以上の実施形態においては、成形用樹脂供給量算出手段は、ストッカ130A,130Bに貯留される成形用樹脂120A,120Bの重量と、これら重量の総和と、1回の樹脂封止に用いる成形用樹脂120A,120Bの重量とに基づいて、ストッカ130A,130B内からの成形用樹脂120A,120Bの供給量を算出する方法について説明しているが、この算出方法に限定されるものではない。
例えば、成形用樹脂供給量算出手段は、ストッカ130A,130Bにおける成形用樹脂120A,120Bの貯留量(貯留重量)と、ストッカ130A,130Bから1回の樹脂封止のために供給される成形用樹脂120A,120Bの重量との比がすべてのストッカ130A,130Bにおいて等しくなるように成形用樹脂120A,120Bの供給量を算出する方法を採用することもできる。
【0066】
また、上述のように、フィードバックしながら成形用樹脂120の投下量を制御する方法において、大小の粒径の異なる成形用樹脂120を混ぜて成形したことによって総重量を同じにすることができても、樹脂とフィラーとの比率やその他の組成材質間の組成比率が変わってしまうことも起こり得る。この場合、組成比率の差によって生じたパッケージの強度や線膨張係数の特性値の変化が問題となるようなときは、パッケージを構成する樹脂封止部の組成をショット毎に調査し、調査結果に基づき粒径分類や混合比を管理して上述の特性値が許容範囲を管理することで、より高品質な樹脂封止を行うことが可能となる。
【0067】
また、第3実施形態における均し手段170は、均し板駆動機構174により積載手段160の内部空間と外部との間において積載手段160の上下方向から均し板172を進退出させる構成について説明しているが、均し板172のスライド移動長さをストッカ130の長手方向における長さ寸法よりも大きくして、積載手段160の側壁面側の内側に均し板172を均し深さまで降下させ、その位置から均しスライドさせることにより樹脂投入口を積載容器160の上縁に近接して設置できるから粉塵の発生が抑制できて好ましい。また、均し板駆動機構174のボールねじ174dおよびボールねじの駆動手段の構成を省略し、簡素な機構にすることができる点においても好都合である。
【0068】
また、積載手段160に供給された成形用樹脂120を押さえつける押付け板を用いる構成を採用することもできる。この場合、押付け板としては、積載手段160の枠体内側領域の平面形状よりも若干小さな平板を用いることができる。この押付け板を中間セクション300で冷却して積載手段160に積載された成形用樹脂120A,120B上に載置することにより、成形用樹脂120を上から押さえつけながら投下することができるため、積載手段160上に積載した位置からずらすことなくキャビティ凹部238に投下することができる。また、冷却した押付け板を上側から接触させることにより、成形用樹脂120を急冷却することができ、下金型230投下前の成形用樹脂120の温度上昇を効果的に防止することもできる。なお、成形用樹脂120をキャビティ凹部238に投下した後には、中間セクション300等において成形用樹脂120の供給前に取り出し、積載手段160と共に冷却する。
【0069】
また、積載手段160の1つの矩形枠体内に成形用樹脂120を均一に積載するようにストッカ130から投下する構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、1つの金型に形成されたキャビティ凹部238の配設個数と同数となるように積載手段160の矩形枠体内を分割して、1回の搬送で複数のキャビティ凹部238に一括して成形用樹脂120を投下できるような構成とすることもできる。
【0070】
また、開口部が横長のストッカ130を用いた構成について説明したが、これとは開口部の形状が異なるものを用いてもよい。例えば、円形状、楕円形状、または、正方形状等の開口部形状に形成することもできる。積載手段160を前後左右に往復動させながら走査して成形用樹脂120を積載手段160に積載することにより積載手段160上の全面に成形用樹脂120を投下できる。この場合、上述の実施例のように横長の受け皿166を用いてもよいが、積載手段160上において前後左右に往復動させながら走査して成形用樹脂120を積載手段160に積載してもよい。
【0071】
また、以上に説明した実施形態および変形例の全ての組み合わせにかかる実施形態についても本願発明の技術的範囲に属することはもちろんである。
【符号の説明】
【0072】
100 成形用樹脂積載セクション
120A,120B 成形用樹脂
130A,130B ストッカ
160 積載手段
170 均し手段
180 電荷付与手段
182 帯電物吸着手段
200 プレスセクション
220 上金型
230 下金型
238 キャビティ凹部
240 半導体チップ
242 配線基板
244 保持手段
300 中間セクション
320 減圧手段
330,331 冷却手段
332 吸水手段
400 基板供給セクション
500 成形品収納セクション
600 移動レール
700 搬送手段
800 圧縮成形装置
PC 中央制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下金型に粒状成形用樹脂を供給する供給部と、上金型および前記下金型を樹脂封止温度に加熱する加熱手段と、を具備し、前記上金型と前記下金型とによって電子部品を粒状成形用樹脂と共にクランプすることにより、前記電子部品を樹脂封止加工するための電子部品の樹脂封止装置であって、
前記供給部は、
前記粒状成形用樹脂を所要の粒径範囲毎に分別して貯留する複数のストッカと、
前記各ストッカ内における粒状成形用樹脂の貯留量と、前記電子部品を樹脂封止加工する際における粒状成形用樹脂の使用量と、に基づいて、前記各ストッカ内から供給される粒状成形用樹脂の供給量どうしの比率が所定の比率となるように、前記各ストッカからの粒状成形用樹脂の供給量を算出する成形用樹脂供給量算出手段と、
前記成形用樹脂供給量算出手段により算出された供給量に基づいて、前記各ストッカ内の粒状成形用樹脂を取り出す成形用樹脂取り出し手段と、
前記成形用樹脂取り出し手段により前記各ストッカから供給された粒状成形用樹脂を積載する積載手段と、
前記積載手段を前記粒状成形用樹脂の積載位置と前記金型位置との間で往復動させると共に、積載されている粒状成形用樹脂を前記下金型に投入する投入手段と、を有していることを特徴とする電子部品の樹脂封止装置。
【請求項2】
前記供給部は、前記各ストッカから供給された粒状成形用樹脂を仮積載する仮積載手段をさらに有していることを特徴とする請求項1記載の電子部品の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記粒状成形用樹脂積載位置と前記金型位置との中間位置には、前記粒状成形用樹脂の積載位置における環境および前記金型位置における環境の各々から隔離された環境下におかれる中間処理部が配設され、
前記中間処理部には、減圧手段、冷却手段、吸湿手段のうちの少なくとも一つが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の電子部品の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記積載手段内における粒状成形用樹脂の積載状態を均すための均し手段をさらに有していることを特徴とする請求項1乃至3のうちのいずれか一項に記載の電子部品の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記各ストッカには、前記成形用樹脂取り出し手段の動作に対応して作動する振動発生手段が配設されていることを特徴とする請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の電子部品の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記積載手段には、積載手段に積載された粒状成形用樹脂を前記下金型に投入する際の動作に対応して作動する振動発生手段が配設されていることを特徴とする請求項1乃至5のうちのいずれか一項に記載の電子部品の樹脂封止装置。
【請求項7】
前記粒状成形用樹脂のうちの浮遊成分に対して電荷を付与する電荷付与手段と、当該帯電させた浮遊成分を吸着する帯電物吸着手段をさらに有していることを特徴とする請求項1乃至6のうちのいずれか一項に記載の電子部品の樹脂封止装置。
【請求項8】
前記粒状成形用樹脂は、成形用樹脂積載セクションにおいて前記積載手段に積載され、
前記電子部品は、プレスセクションにおいて前記上金型および下金型により樹脂封止され、
前記電子部品は、被成形品供給セクションから前記プレスセクションに供給され、
前記プレスセクションで樹脂封止された成形品は、成形品収納セクションに収容され、
前記プレスセクションは、前記成形用樹脂積載セクションと、前記被成形品供給セクションおよび前記成形品収容セクションと、により挟まれる配置に配設されていることを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の電子部品の樹脂封止装置を用いた電子部品の樹脂封止方法であって、
前記各ストッカ内における粒状成形用樹脂の貯留量と、電子部品を樹脂封止加工する際における粒状成形用樹脂の使用量とに基づいて、前記各ストッカ内から供給される粒状成形用樹脂の供給量どうしの比率が所定の比率となるように、前記各ストッカからの粒状成形用樹脂の供給量を算出する工程と、
前記算出された成形用樹脂の供給量に基づいて、前記各ストッカ内から粒状成形用樹脂を前記積載手段に供給する工程と、を有していることを特徴とする電子部品の樹脂封止方法。
【請求項10】
請求項3記載の電子部品の樹脂封止装置を用いた電子部品の樹脂封止方法であって、
前記各ストッカ内における粒状成形用樹脂の貯留量と、電子部品を樹脂封止加工する際における粒状成形用樹脂の使用量とに基づいて、前記各ストッカ内から供給される粒状成形用樹脂の供給量どうしの比率が所定の比率となるように、前記各ストッカからの粒状成形用樹脂の供給量を算出する工程と、
前記算出された成形用樹脂の供給量に基づいて、前記各ストッカ内から粒状成形用樹脂を前記積載手段に供給する工程と、
前記中間処理部の内部空間を減圧する工程、前記積載手段に積載された前記成形用樹脂を冷却する工程、前記中間処理部内を吸湿する工程のうちの少なくとも一つの工程と、を有していることを特徴とする電子部品の樹脂封止方法。
【請求項11】
請求項3乃至8のうちのいずれか一項に記載の電子部品の樹脂封止装置を用いた電子部品の樹脂封止方法であって、
前記各ストッカ内における粒状成形用樹脂の貯留量と、電子部品を樹脂封止加工する際における粒状成形用樹脂の使用量とに基づいて、前記各ストッカ内から供給される粒状成形用樹脂の供給量どうしの比率が所定の比率となるように、前記各ストッカからの粒状成形用樹脂の供給量を算出する工程と、
前記算出された成形用樹脂の供給量に基づいて、前記各ストッカ内から粒状成形用樹脂を前記積載手段に供給する工程と、
前記積載手段を前記金型位置に搬送し、前記下金型に前記成形用樹脂を投入した後、前記成形用樹脂積載位置に戻る際に、前記中間処理部内で前記冷却手段からの冷風により前記積載手段を洗浄処理する工程と、を有していることを特徴とする電子部品の樹脂封止方法。
【請求項12】
請求項4記載の電子部品の樹脂封止装置を用いた電子部品の樹脂封止方法であって、
前記各ストッカ内における粒状成形用樹脂の貯留量と、電子部品を樹脂封止加工する際における粒状成形用樹脂の使用量とに基づいて、前記各ストッカ内から供給される粒状成形用樹脂の供給量どうしの比率が所定の比率となるように、前記各ストッカからの粒状成形用樹脂の供給量を算出する工程と、
前記算出された成形用樹脂の供給量に基づいて、前記各ストッカ内から粒状成形用樹脂を前記積載手段に供給する工程と、
前記均し手段により、前記積載手段内に供給された前記成形用樹脂の積載状態を均す工程と、を有していることを特徴とする電子部品の樹脂封止方法。
【請求項13】
請求項7記載の電子部品の樹脂封止装置を用いた電子部品の樹脂封止方法であって、
前記各ストッカ内における粒状成形用樹脂の貯留量と、電子部品を樹脂封止加工する際における粒状成形用樹脂の使用量とに基づいて、前記各ストッカ内から供給される粒状成形用樹脂の供給量どうしの比率が所定の比率となるように、前記各ストッカからの粒状成形用樹脂の供給量を算出する工程と、
前記算出された成形用樹脂の供給量に基づいて、前記各ストッカ内から粒状成形用樹脂を前記積載手段に供給する工程と、
前記積載手段を前記金型位置に搬送し、前記積載手段に積載された粒状成形用樹脂を前記下金型に投入する工程と、
前記電荷付与手段により前記成形用樹脂の浮遊成分に帯電させる工程と、前記帯電物吸着手段により前記帯電させた浮遊成分を吸着する工程と、を有していることを特徴とする電子部品の樹脂封止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−247429(P2010−247429A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−99322(P2009−99322)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【出願人】(000144821)アピックヤマダ株式会社 (194)
【Fターム(参考)】