説明

欠陥検査方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び欠陥検査装置

【課題】基板の欠陥を検査する際に、検査レシピを効率よく更新する。
【解決手段】ウェハを撮像して基準画像を取得し(工程S1)、当該基準画像を含む検査レシピを記憶部に記憶する(工程S3)。検査レシピに基づいてウェハを撮像して検査対象画像を取得し(工程S4)、検査レシピと検査対象画像に基づいてウェハの欠陥を検査する(工程S10)。検査対象画像や検査結果等を含むレシピを記憶部に記憶する(工程S11)。工程S4〜S11を繰り返し行い、記憶部に所定の条件を満たす検査対象画像が記憶された際、当該検査対象画像を含むレシピに基づいて記憶部に記憶された前記検査レシピを更新する(工程S12)。以後、更新された検査レシピに基づいて工程S4〜S11が行われ、ウェハの欠陥が検される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の欠陥を検査する方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び欠陥検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造におけるフォトリソグラフィ処理では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、当該レジスト膜に所定のパターンを露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などが順次行われ、ウェハ上に所定のレジストのパターンが形成される。
【0003】
一連のフォトリソグラフィ処理が行われたウェハには、検査装置によって、ウェハ表面に所定のレジスト膜が形成されているか否か、あるいは適切な露光処理が行われているかどうかについて、さらには傷、異物の付着があるかどうか等を検査する、いわゆるマクロ欠陥検査が行われる。
【0004】
このようなマクロ欠陥検査は、ウェハを載置している載置台を移動させながら、当該載置台上のウェハに照明を照らして、例えばCCDラインセンサの撮像装置によってウェハの画像を取り込み、この画像を画像処理して欠陥の有無を判定するようにしている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−240519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載のマクロ欠陥検査は、例えば基準となるウェハの基準画像を含む検査レシピに基づいて行われる。そして、この検査レシピは例えばマクロ欠陥検査を行う検査者によって設定される。
【0007】
しかしながら、上述した検査レシピに基づいてマクロ欠陥検査を繰り返し行うと、その検査結果によっては、検査者がこの検査レシピに不具合を発見する場合がある。また、検査装置内の部材の経時的変化などの要因により、検査レシピの更新が必要な場合もある。かかる場合に、検査者が都度検査レシピを更新しようとすると、その更新作業に多大な時間を要する。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板の欠陥を検査する際に、検査レシピを効率よく更新することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板の欠陥を検査する方法であって、基板を撮像して基準画像を取得し、当該基準画像を含む検査レシピを記憶部に記憶するレシピ設定工程と、前記検査レシピに基づいて基板を撮像して検査対象画像を取得し、当該検査対象画像を含むレシピを前記記憶部に記憶する画像取得工程と、前記検査レシピと前記検査対象画像とに基づいて、基板の欠陥を検査する検査工程と、前記画像取得工程及び前記検査工程を繰り返し行い、前記記憶部に所定の条件を満たす前記検査対象画像が記憶された際、当該検査対象画像を含むレシピに基づいて前記記憶部に記憶された前記検査レシピを更新するレシピ更新工程と、を有し、以後、前記更新された検査レシピで前記画像取得工程及び前記検査工程を行うことを特徴としている。なお、所定の条件は、基板の欠陥を検査する検査者側で任意に設定することができる。
【0010】
本発明によれば、記憶部に所定の条件を満たす検査対象画像が記憶された際、当該検査対象画像を含むレシピに基づいて記憶部に記憶された検査レシピを更新することができる。すなわち、所定の条件を満たす場合に、記憶部に記憶された検査対象画像を含むレシピに基づいて検査レシピを自動で更新することができる。したがって、基板の欠陥を検査する検査者が都度検査レシピを更新する必要がなく、検査レシピを効率よく更新することができる。
【0011】
前記所定の条件は、基板数に基づく条件、基板のロット数に基づく条件、前記画像取得工程及び前記検査工程を行う期間に基づく条件、前記欠陥検査方法が行われる欠陥検査装置が複数ある場合の当該欠陥検査装置の数に基づく条件のうち、少なくとも1以上の条件を有していてもよい。なお、ロットとは、所定の処理を施される一連の基板群をいう。
【0012】
前記レシピ更新工程では、前記記憶部に記憶された前記基準画像の輝度と前記検査対象画像の輝度との平均値が示された平均画像に基づいて、前記検査レシピを更新してもよい。
【0013】
前記レシピ更新工程では、前記平均画像と、前記記憶部に記憶された前記基準画像の輝度と前記検査対象画像の輝度との標準偏差が示された標準偏差画像とに基づいて、前記検査レシピを更新してもよい。
【0014】
前記レシピ更新工程では、前記検査レシピを前記所定の条件を満たす前記検査対象画像を含むレシピに置換してもよい。
【0015】
前記レシピ更新工程において、前記記憶部に所定の条件を満たす前記検査対象画像が記憶された際、基板の欠陥を検査する検査者に通知し、当該検査者の指示に基づいて前記検査レシピを更新してもよい。
【0016】
前記欠陥検査方法は、フォトリソグラフィ処理においてレジスト塗布処理後であって露光処理前に行われてもよい。
【0017】
前記欠陥検査方法は、フォトリソグラフィ処理において現像処理後に行われてもよい。
【0018】
前記レシピ設定工程において、複数の基板の画像を取得し、当該複数の画像の輝度の平均値が示された画像を前記基準画像としてもよい。
【0019】
前記レシピ設定工程において、基板上の複数のチップの画像を取得し、当該複数のチップの画像を比較して基板の欠陥を検査し、当該検査において欠陥がないと判断された基板の画像を前記基準画像としてもよい。
【0020】
別な観点による本発明によれば、前記欠陥検査方法を欠陥検査装置によって実行させるために、当該欠陥検査装置のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0021】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0022】
さらに別な観点による本発明は、基板の欠陥を検査する装置であって、基板を撮像する撮像部と、基板の基準画像を含む検査レシピを設定するレシピ設定手段と、前記検査レシピに基づいて前記撮像部で撮像された基板の検査対象画像を取得し、当該検査レシピと検査対象画像とに基づいて基板の欠陥を検査する検査手段と、を備え、前記レシピ設定手段は、前記検査レシピと前記検査対象画像を含むレシピとを記憶する記憶部と、前記検査手段における基板の欠陥検査を繰り返し行い、前記記憶部に所定の条件を満たす前記検査対象画像が記憶された際、当該検査対象画像を含むレシピに基づいて前記記憶部に記憶された前記検査レシピを更新する更新部と、を有することを特徴としている。
【0023】
前記所定の条件は、基板数に基づく条件、基板のロット数に基づく条件、前記欠陥検査装置において基板の検査が行われる期間に基づく条件、前記欠陥検査装置が複数ある場合の当該欠陥検査装置の数に基づく条件のうち、少なくとも1以上の条件を有していてもよい。
【0024】
前記更新部は、前記記憶部に記憶された前記基準画像の輝度と前記検査対象画像の輝度との平均値が示された平均画像に基づいて、前記検査レシピを更新してもよい。
【0025】
前記更新部は、前記平均画像と、前記記憶部に記憶された前記基準画像の輝度と前記検査対象画像の輝度との標準偏差が示された標準偏差画像とに基づいて、前記検査レシピを更新してもよい。
【0026】
前記更新部は、前記検査レシピを前記所定の条件を満たす前記検査対象画像を含むレシピに置換してもよい。
【0027】
前記レシピ設定手段は、前記記憶部に所定の条件を満たす前記検査対象画像が記憶された際、基板の欠陥を検査する検査者に通知する通知部を有していてもよい。
【0028】
前記レシピ設定手段は、複数の基板の画像を取得し、当該複数の画像の輝度の平均値が示された画像を前記基準画像としてもよい。
【0029】
前記レシピ設定手段は、基板上の複数のチップの画像を取得し、当該複数のチップの画像を比較して基板の欠陥を検査し、当該検査において欠陥がないと判断された基板の画像を前記基準画像としてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、基板の欠陥を検査する際に、検査レシピを効率よく更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施の形態にかかる欠陥検査装置を備えた塗布現像処理システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】塗布現像処理システムの正面図である。
【図3】塗布現像処理システムの背面図である。
【図4】撮像ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図5】撮像ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】バッファアームの構成の概略を示す平面図である。
【図7】検査ユニットの構成の概略を示す模式図である。
【図8】欠陥検査処理の各工程を示したフローチャートである。
【図9】他の実施の形態にかかる検査ユニットの構成の概略を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる欠陥検査装置を備えた塗布現像処理システム1の構成の概略を示す平面図である。また、図2は塗布現像処理システム1の正面図であり、図3は塗布現像処理システム1の背面図である。
【0033】
塗布現像処理システム1は、図1に示すように例えば25枚のウェハWをカセット単位(ロット単位)で外部から塗布現像処理システム1に対して搬入出したり、カセットCに対してウェハWを搬入出したりするカセットステーション2と、フォトリソグラフィ工程の中で枚葉式に所定の処理を施す複数の各種処理装置を多段に配置している処理ステーション3と、この処理ステーション3に隣接して設けられている露光装置4との間でウェハWの受け渡しをするインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
【0034】
カセットステーション2には、カセット載置台6が設けられ、当該カセット載置台6は、複数のカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。カセットステーション2には、搬送路7上をX方向に向かって移動可能なウェハ搬送体8が設けられている。ウェハ搬送体8は、カセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)にも移動自在であり、X方向に配列された各カセットC内のウェハWに対して選択的にアクセス可能である。
【0035】
ウェハ搬送体8は、Z軸周りのθ方向に回転可能であり、後述する処理ステーション3側の第3の処理装置群G3に属する温度調節装置60やウェハWの受け渡しを行うためのトランジション装置61に対してもアクセス可能である。
【0036】
カセットステーション2に隣接する処理ステーション3は、複数の処理装置が多段に配置された、例えば5つの処理装置群G1〜G5を備えている。処理ステーション3のX方向負方向(図1中の下方向)側には、カセットステーション2側から第1の処理装置群G1、第2の処理装置群G2が順に配置されている。処理ステーション3のX方向正方向(図1中の上方向)側には、カセットステーション2側から第3の処理装置群G3、第4の処理装置群G4及び第5の処理装置群G5が順に配置されている。第3の処理装置群G3と第4の処理装置群G4の間には、第1の搬送装置A1が設けられており、第1の搬送装置A1の内部には、ウェハWを支持して搬送する第1の搬送アーム10が設けられている。第1の搬送アーム10は、第1の処理装置群G1、第3の処理装置群G3及び第4の処理装置群G4内の各処理装置に選択的にアクセスしてウェハWを搬送することができる。第4の処理装置群G4と第5の処理装置群G5の間には、第2の搬送装置A2が設けられており、第2の搬送装置A2の内部には、ウェハWを支持して搬送する第2の搬送アーム11が設けられている。第2の搬送アーム11は、第2の処理装置群G2、第4の処理装置群G4及び第5の処理装置群G5内の各処理装置に選択的にアクセスしてウェハWを搬送することができる。
【0037】
図2に示すように第1の処理装置群G1には、ウェハWに所定の液体を供給して処理を行う液処理装置、例えばウェハWにレジスト液を塗布するレジスト塗布装置20、21、22、露光処理時の光の反射を防止する反射防止膜を形成するボトムコーティング装置23、24が下から順に5段に重ねられている。第2の処理装置群G2には、液処理装置、例えばウェハWに現像液を供給して現像処理する現像処理装置30〜34が下から順に5段に重ねられている。また、第1の処理装置群G1及び第2の処理装置群G2の最下段には、各処理装置群G1、G2内の液処理装置に各種処理液を供給するためのケミカル室40、41がそれぞれ設けられている。
【0038】
図3に示すように第3の処理装置群G3には、温度調節装置60、トランジション装置61、精度の高い温度管理下でウェハWを温度調節する高精度温度調節装置62〜64及び欠陥検査装置65、66が下から順に7段に重ねられている。
【0039】
図3に示すように第4の処理装置群G4には、例えば高精度温度調節装置70、レジスト塗布処理後のウェハWを加熱処理するプリベーキング装置71〜74及び現像処理後のウェハWを加熱処理するポストベーキング装置75〜79が下から順に10段に重ねられている。
【0040】
第5の処理装置群G5には、ウェハWを熱処理する複数の熱処理装置、例えば高精度温度調節装置80〜83、露光後のウェハWを加熱処理するポストエクスポージャーベーキング装置84〜89が下から順に10段に重ねられている。
【0041】
図1に示すように第1の搬送装置A1のX方向正方向側には、複数の処理装置が配置されており、例えば図3に示すようにウェハWを疎水化処理するためのアドヒージョン装置90、91、ウェハWを加熱する加熱装置92、93が下から順に4段に重ねられている。図1に示すように第2の搬送装置A2のX方向正方向側には、例えばウェハWのエッジ部のみを選択的に露光する周辺露光装置94が配置されている。
【0042】
インターフェイスステーション5には、例えば図1に示すようにX方向に向けて延伸する搬送路100上を移動するウェハ搬送体101と、バッファカセット102が設けられている。ウェハ搬送体101は、Z方向に移動可能でかつθ方向にも回転可能であり、インターフェイスステーション5に隣接した露光装置4と、バッファカセット102及び第5の処理装置群G5に対してアクセスしてウェハWを搬送できる。
【0043】
次に、上述した欠陥検査装置65、66の構成について説明する。欠陥検査装置65は、図4及び図5に示すようにウェハWを撮像して画像を取得する撮像ユニット110と、撮像ユニット110で撮像されたウェハWの画像を取得し、当該ウェハWの欠陥を検査する検査ユニット111とを有している。
【0044】
撮像ユニット110は、図4に示すようにケーシング112を有している。ケーシング112の一端側(図4中のX方向負方向側)であって、ケーシング112の短手方向に対向する両側面には、ウェハWを搬入出させる搬入出口113がそれぞれ形成されている。搬入出口113には、開閉シャッタ114がそれぞれ設けられている。
【0045】
ケーシング112内には、図5に示すようにウェハWを載置する載置台120が設けられている。この載置台120は、モータなどの回転駆動部121によって、回転、停止が自在であり、ウェハWの位置を調節するアライメント機能を有している。ケーシング112の底面には、ケーシング112内の一端側(図5中のX方向負方向側)から他端側(図5中のX方向正方向側)まで延伸するガイドレール122が設けられている。載置台120と回転駆動部121は、ガイドレール122上に設けられ、例えばパルスモータなどの駆動部123によってガイドレール122に沿って移動できる。
【0046】
ケーシング112内の一端側であって、ウェハWをケーシング112に搬入出する位置P1(図5中の実線で示す位置)には、ウェハWを一時的に支持するバッファアーム124が設けられている。バッファアーム124は、図6に示すように先端にウェハWの支持部124aを有している。支持部124aは、例えば3/4円環状に形成されている。支持部124aの3/4円環状の径は、載置台120の径よりも大きく、支持部124aの内側に載置台120を収容できる。支持部124aの3/4円環状の切り欠き部分は、ケーシング112内の他端側(図6中のX方向正方向側)に形成されており、載置台120は、支持部124aと干渉せずに他端側に移動できる。支持部124a上には、複数の支持ピン124bが設けられ、ウェハWは、この支持ピン124b上に支持される。バッファアーム124の基部124cは、例えばシリンダなどの昇降駆動部125に取り付けられており、バッファアーム124は、載置台120の上下に昇降できる。
【0047】
図5に示すようにケーシング112の他端側であって、ウェハWのノッチ部の位置を調整するアライメント位置P2(図5中の点線で示す位置)には、載置台120上のウェハWのノッチ部の位置を検出するセンサ126が設けられている。センサ126によってノッチ部の位置を検出しながら、回転駆動部121によって載置台120を回転させて、ウェハWのノッチ部の位置を調節することができる。
【0048】
ケーシング112内の他端側(図5のX方向正方向側)の側面には、撮像部130が設けられている。撮像部130には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。ケーシング112の上部中央付近には、ハーフミラー131が設けられている。ハーフミラー131は、撮像部130と対向する位置に設けられ、鉛直方向から45度傾斜して設けられている。ハーフミラー131の上方には、照度を変更することができる照明部132が設けられ、ハーフミラー131と照明部132は、ケーシング112の上面に固定されている。また、撮像部130、ハーフミラー131及び照明部132は、載置台120に載置されたウェハWの上方にそれぞれ設けられている。そして、照明部132からの照明は、ハーフミラー131を通過して下方に向けて照らされる。したがって、この照射領域にある物体の反射光は、ハーフミラー131で反射して、撮像部130に取り込まれる。すなわち、撮像部130は、照射領域にある物体を撮像することができる。そして撮像部130で撮像したウェハWの基準画像や検査対象画像は、検査ユニット111に出力される。
【0049】
検査ユニット111は、図7に示すようにウェハWの基準画像を含む検査レシピを設定するレシピ設定手段140と、レシピ設定手段140で設定された検査レシピに基づいて撮像部130で撮像されたウェハWの検査対象画像を取得し、当該検査レシピと検査対象画像とに基づいてウェハWの欠陥を検査する検査手段141とを有している。
【0050】
レシピ設定手段140は、基準画像入力部150、前処理部151、記憶部152、更新部153、条件入力部154を有している。
【0051】
基準画像入力部150には、検査対象画像が撮像される前に撮像ユニット110の撮像部130で撮像されたウェハWの基準画像が入力される。なお、基準画像としては、例えば塗布現像処理システム1において最初に処理されるウェハWの画像等、任意に設定することができる。
【0052】
前処理部151では、基準画像入力部150に入力された基準画像に基づいて、例えば照明部132の最適照度の調節、ウェハWの検査領域の設定、基準画像におけるウェハ領域の抽出等、種々の処理が行われる。
【0053】
前処理部151において照明部132の最適照度の調節を行う場合、ウェハW上に複数の測定領域を予め設定しておき、撮像ユニット110においてウェハWをウェハ搬入出位置P1からアライメント位置P2に移動させる。このとき、照明部132から各測定領域に対して異なる照度の照明を照らし、撮像部130で撮像する。撮像された各測定領域の画像は、基準画像入力部150を介して前処理部151に出力される。前処理部151では、各測定領域の画像の輝度のRGBヒストグラムを抽出し、R(Red)、G(Green)、B(Blue)毎の基準輝度を求める。そして、RGB表色系のそれぞれの基準輝度について各測定領域毎にプロットしたグラフを作成し、RGB表色系のいずれかの基準輝度が予め定められた所定の輝度に達する照度を、照明部132の最適照度と設定する。すなわち、RGB表色系のいずれかの基準輝度と所定の輝度が一致する照度のうち、最も小さい照度を最適照度と設定する。なお、所定の輝度は、例えば欠陥のない基準ウェハを撮像して取得される画像の輝度から所定の範囲内の輝度である。その後、ウェハWをアライメント位置P2からウェハ搬入出位置P1に移動させる際に、照明部132からウェハWに前処理部151で設定された最適照度の照明を照らし、撮像部130で撮像する。撮像された画像は基準画像として、基準画像入力部150に出力される。
【0054】
また、前処理部151では、ウェハWの検査領域が、例えばウェハW上のチップ毎に分割され設定される。なお、検査領域はチップの領域に限定されず、検査者が任意に設定することができる。
【0055】
さらに、前処理部151では、例えば撮像部130においてウェハ領域とその外側領域とが撮像された場合には、ウェハ領域の画像の輝度とその外側領域の輝度の閾値を用いて、基準画像をウェハWと外側領域に2値化する。そして、基準画像からウェハ領域の画像のみを抽出する。
【0056】
記憶部152には、前処理部151で処理されたウェハWの基準画像が記憶される。このとき、例えばウェハWの基準画像を取得する際の照明部132の最適照度も検査レシピとして記憶される。また、ウェハWのノッチ部の位置情報やパターンの情報を有し、画像のアライメントを行うアライメントモデルも検査レシピとして記憶部152に記憶される。さらに、記憶部152には、後述するウェハWの検査対象画像を含むレシピも記憶される。
【0057】
更新部153では、後述するように検査手段141におけるウェハWの欠陥検査を繰り返し行い、記憶部152に所定の条件を満たす検査対象画像が記憶された際、当該検査対象画像を含むレシピに基づいて記憶部152に記憶された検査レシピを更新する。
【0058】
具体的には、記憶部152に記憶された基準画像の輝度と検査対象画像の輝度との平均値が示された平均画像を算出する。そして、基準画像を平均画像に置換して検査レシピを更新する。このとき、記憶部152に記憶された基準画像の輝度と検査対象画像の輝度との標準偏差が示された標準偏差画像を算出し、上述の平均画像と標準偏差画像に基づいて検査レシピを更新してもよい。
【0059】
上述した所定の条件は、検査者が任意に設定することができる。検査者はレシピ設定手段140に設けられた条件入力部154にその条件を入力する。条件入力部154に入力された所定の入力された所定の条件は、記憶部152に出力される。この所定の条件としては、例えばウェハ数に基づく条件、ウェハWのロット数に基づく条件、欠陥検査装置65においてウェハWの検査が行われる期間に基づく条件、欠陥検査装置65、66の数に基づく条件等が挙げられる。ウェハ数に基づく条件を設定した場合、例えば10枚目のウェハWの検査を行った際に検査レシピを更新する。ウェハWのロット数に基づく条件を設定した場合、例えば3ロット目のウェハWの検査を行った際に検査レシピを更新する。欠陥検査装置65においてウェハWの検査が行われる期間に基づく条件を設定した場合、例えばウェハWの検査開始から1週間経過後に検査レシピを更新する。欠陥検査装置65、66の数に基づく条件を設定した場合、例えば2つの欠陥検査装置65、66においてウェハWの検査を行った際に検査レシピを更新する。なお、検査者は、これら所定の条件を組み合わせて設定してもよい。
【0060】
検査手段141は、検査対象画像入力部160、前処理部161、アライメント部162、欠陥検出部163、特徴量算出部164、分類部165、判定部166を有している。
【0061】
検査対象画像入力部160には、記憶部152に記憶された検査レシピに基づいて撮像ユニット110の撮像部130で撮像されたウェハWの検査対象画像が入力される。
【0062】
前処理部161では、検査対象画像入力部150に入力された検査対象画像に基づいて、例えば検査対象画像におけるウェハ領域の抽出等の処理が行われる。前処理部161におけるウェハ領域の抽出は、上述したレシピ設定手段140の前処理部151におけるウェハ領域の抽出と同様であるので説明を省略する。また、検査対象画像は、前処理部151で設定された検査領域、例えばチップ毎の領域に分割される。
【0063】
アライメント部162には、前処理部161で処理された検査対象画像が入力される。アライメント部162では、記憶部151に記憶された検査レシピのアライメントモデルに基づいて、検査対象画像のアライメントが行われる。
【0064】
欠陥検出部163には、アライメント部162でアライメントされた検査対象画像が入力される。欠陥検出部163では、記憶部151に記憶された基準画像、又は平均画像及び標準偏差画像に基づいて、検査対象画像におけるウェハWの欠陥が検査領域毎、例えばチップの領域毎に検出される。
【0065】
特徴量算出部164では、欠陥検出部163で検出された欠陥の特徴量が算出される。欠陥の特徴量としては、例えば欠陥の濃淡、色などの特徴、テクスチャなどの空間の特徴、あるいは形状特徴(欠陥の大きさ、形状、長さ、幅)などの幾何学的特徴が算出される。
【0066】
分類部165には、欠陥を分類するための分類クラスと、欠陥の特徴量と分類クラスとの関係とが予め保存されている。そして分類部165では、特徴量算出部164で算出された欠陥の特徴量に基づいて、当該欠陥を分類クラスに分類する。なお、欠陥の分類には、例えばニューラルネットワークや、k−NN(k−Nearest Neighbar)、TFC(Test Feature Classifier)等の学習型分類手法を用いてもよい。
【0067】
判定部166では、分類部165で分類された欠陥の分類クラスに基づいて、検査者がウェハWの適否、すなわちウェハWが製品として適当か否かを判定する。このとき、検査者による判定を容易にするため、検査領域毎に分類された欠陥をウェハW上に可視化してもよい。
【0068】
なお、検査手段141における検査対象画像や検査結果等を含むレシピは、レシピ設定手段140の記憶部152に出力され記憶される。
【0069】
上述したレシピ設定手段140と検査手段141を備えた検査ユニット111は、例えばコンピュータであり、上述したウェハWの欠陥検査を実行するためのプログラムを有している。前記プログラムは、例えばハードディスク(HD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から検査ユニット111にインストールされたものであってもよい。
【0070】
なお、欠陥検査装置66の構成は、上述した欠陥検査装置65の構成と同様であるので説明を省略する。
【0071】
次に、以上のように構成された欠陥検査装置65、66で行われるウェハWの欠陥の検査について、塗布現像処理システム1全体で行われるウェハ処理のプロセスと共に説明する。
【0072】
先ず、ウェハ搬送体8によって、カセット載置台6上のカセットC内からウェハWが一枚取り出され、第3の処理装置群G3の温度調節装置60に搬送される。温度調節装置60に搬送されたウェハWは、所定温度に温度調節され、その後第1の搬送アーム10によってボトムコーティング装置23に搬送され、反射防止膜が形成される。反射防止膜が形成されたウェハWは、第1の搬送アーム10によって加熱装置92、高精度温度調節装置70に順次搬送され、各装置で所定の処理が施される。その後、ウェハWはレジスト塗布装置20に搬送され、当該ウェハW上にレジスト膜が形成される。
【0073】
レジスト塗布装置20においてウェハW上にレジスト膜が形成されると、ウェハWは第1の搬送アーム10によってプリベーキング装置71に搬送され、続いて第2の搬送アーム11によって周辺露光装置94、高精度温調装置83に順次搬送されて、各装置において所定の処理が施される。その後、インターフェイスステーション5のウェハ搬送体101によって露光装置4に搬送され、ウェハW上のレジスト膜に所定のパターンが露光される。露光処理の終了したウェハWは、ウェハ搬送体101によってポストエクスポージャーベーキング装置84に搬送され、所定の処理が施される。
【0074】
ポストエクスポージャーベーキング装置84における熱処理が終了すると、ウェハWは第2の搬送アーム11によって高精度温度調節装置81に搬送されて温度調節され、その後現像処理装置30に搬送され、ウェハW上に現像処理が施され、レジスト膜にパターンが形成される。その後ウェハWは、第2の搬送アーム11によってポストベーキング装置75に搬送され、加熱処理が施された後、第1の搬送アーム10によって高精度温度調節装置63に搬送され温度調節される。そしてウェハWは、第1の搬送アーム10によって欠陥検査装置65に搬送され、ウェハWの欠陥検査が行われる。この欠陥検査の詳細については後述する。その後ウェハWは、第1の搬送アーム10によってトランジション装置61に搬送され、ウェハ搬送体8によってカセットCに戻されて一連のフォトリソグラフィ工程が終了する。
【0075】
次に、欠陥検査装置65におけるウェハWの欠陥の検査方法について説明する。図8は、欠陥検査処理の主な工程のフローチャートを示している。
【0076】
先ず、欠陥検査装置65において、ウェハWの基準画像を含む検査レシピを設定する。この基準画像を撮像する際の撮像ユニット110におけるパラメータ、例えばウェハWのノッチ部の位置やウェハWの移動速度等は予め検査者によって設定されている。
【0077】
欠陥検査装置65の撮像ユニット110において、第1の搬送アーム10によってケーシング112内に搬送されたウェハWは、載置台120上に載置される。このとき、照明部132の最適照度の調節を行うため、ウェハW上には複数の測定領域が例えばウェハWの移動方向に沿って並ぶように設定されている。
【0078】
その後、載置台120をウェハ搬入出位置P1からアライメント位置P2側に所定速度で移動させながら、ウェハWがハーフミラー131の下を通過する際に、照明部132からウェハWの各測定領域に対して異なる照度の照明を照らす。そして、撮像部130で各測定領域が撮像される。各撮像された測定領域の画像は、レシピ設定手段140の基準画像入力部150を介して前処理部151に出力される。前処理部151では、上述したように各測定領域の画像の輝度のRGBヒストグラムを抽出し、RGB毎の基準輝度を求め、RGB表色系のいずれかの基準輝度が予め定められた所定の輝度に達する照度を、照明部132の最適照度と設定する。
【0079】
このように照明部132の最適照度を設定している間、アライメント位置P2において、センサ126によってウェハWのノッチ部の位置が調節される。
【0080】
その後、載置台120をアライメント位置P2からウェハ搬入出位置P1側に所定速度で移動させながら、ウェハWがハーフミラー131の下を通過する際に、照明部132からウェハWに対して前処理部151で設定された最適照度の照明を照らす。そして、撮像部130によってウェハWが撮像される。撮像された画像は基準画像として、基準画像入力部150に出力される(図8の工程S1)。なお、基準画像が撮像されたウェハWは、搬入出口113側に移動された後、バッファアーム124からウェハ搬送体8に受け渡され、当該ウェハ搬送体8によって欠陥検査装置65から搬出される。
【0081】
基準画像入力部150に入力された基準画像は、前処理部151に出力される。前処理部151では、ウェハWの検査領域の設定、基準画像におけるウェハ領域の抽出等が行われる(図8の工程S2)。
【0082】
前処理部152で処理された基準画像は、記憶部152に記憶される。このとき、例えば照明部132の最適照度やアライメントモデルも検査レシピとして記憶される。こうして、欠陥検査装置65における検査レシピが設定される(図8の工程S3)。
【0083】
次に、後続のウェハWが撮像ユニット110に搬送される。撮像ユニット110では、ウェハWを載置した載置台120をウェハ搬入出位置P1からアライメント位置P2側に移動させる。そして、アライメント位置P2においてセンサ126によりウェハWのノッチ部の位置が調節される。その後、載置台120をアライメント位置P2からウェハ搬入出位置P1側に所定速度で移動させながら、ウェハWがハーフミラー131の下を通過する際に、照明部132からウェハWに前処理部151で設定された最適照度の照明を照らす。そして、撮像部130によってウェハWが撮像される。撮像された画像は検査対象画像として、検査手段141の検査対象画像入力部160に出力される(図8の工程S4)。なお、このウェハWの撮像は、記憶部152に記憶された検査レシピに基づいて行われる。また、検査対象画像が撮像されたウェハWは、搬入出口113側に移動された後、バッファアーム124からウェハ搬送体8に受け渡され、当該ウェハ搬送体8によって欠陥検査装置65から搬出される。
【0084】
検査対象画像入力部160に入力された基準画像は、前処理部161に出力される。前処理部161では、検査対象画像におけるウェハ領域の抽出等が行われる(図8の工程S5)。
【0085】
前処理部161で処理された検査対象画像は、アライメント部162に出力される。アライメント部162では、記憶部151に記憶された検査レシピのアライメントモデルに基づいて、検査対象画像のアライメントが行われる(図8の工程S6)。
【0086】
アライメント部162でアライメントされた検査対象画像は、欠陥検出部163に出力される。欠陥検出部163では、記憶部151に記憶された基準画像に基づいて検査対象画像におけるウェハWの欠陥が検査領域毎、例えばチップの領域毎に検出される(図8の工程S7)。
【0087】
欠陥検出部163で検出された欠陥は、特徴量算出部164に出力される。特徴量算出部164では、欠陥検出部163で検出された欠陥の特徴量が算出される(図8の工程S8)。
【0088】
特徴量算出部164で算出された欠陥の特徴量は、分類部165に出力される。分類部165では、特徴量算出部で算出された欠陥の特徴量に基づいて、当該欠陥を分類クラスに分類する(図8の工程S9)。
【0089】
分類部165における欠陥の分類結果は、判定部166に出力される。判定部166では、欠陥の分類クラスに基づいて、検査者がウェハWの適否、すなわちウェハWが製品として適当か否かを判定する(図8の工程S10)。
【0090】
以上の工程S4〜S10で取得された検査対象画像や検査結果等を含むレシピは、レシピ設定手段140の記憶部152に出力され記憶される(図8の工程S11)。なお、検査対象画像や検査結果等は、それぞれ工程S4、S10の終了後、都度記憶部152に記憶してもよい。
【0091】
以上の工程S4〜S11(図8中の点線で囲った部分)を繰り返し行い、記憶部152に検査対象画像を含むレシピが複数記憶される。一方、条件入力部154には、検査者によって所定の条件が入力される。そして、記憶部152に所定の条件を満たす検査対象画像が記憶されると、更新部153において、当該検査対象画像を含むレシピに基づいて記憶部152に記憶された検査レシピを更新する(図8の工程S12)。具体的には、上述したように基準画像の輝度と複数の検査対象画像の輝度との平均値が示された平均画像を算出し、基準画像を平均画像に置換して検査レシピを更新する。このとき、記憶部152に記憶された基準画像の輝度と検査対象画像の輝度との標準偏差が示された標準偏差画像を算出し、上述の平均画像と標準偏差画像に基づいて検査レシピを更新してもよい。
【0092】
更新部153で検査レシピが更新されると、以後、更新された検査レシピに基づいて後続のウェハWに対して工程S4〜工程S11を行い、当該ウェハWの欠陥を検査する。この際、工程S7では、更新された基準画像、すなわち上述した平均画像及び標準偏差画像に基づいて、検査対象画像におけるウェハWの欠陥が検査領域毎、例えばチップの領域毎に検出される。
【0093】
なお、図8中において、工程S1〜S3、S11、S12(図8中の左側)はレシピ設定手段140で行われる処理であり、工程S4〜S10は検査手段141で行われる処理である。
【0094】
以上の実施の形態によれば、工程S12において、レシピ設定手段140の記憶部152に所定の条件を満たす検査対象画像が記憶された際、当該検査対象画像を含むレシピに基づいて記憶部152に記憶された検査レシピを更新することができる。すなわち、所定の条件を満たす場合に、記憶部152に記憶された検査対象画像を含むレシピに基づいて検査レシピを自動で更新することができる。したがって、ウェハWの欠陥を検査する検査者が都度検査レシピを更新する必要がなく、検査レシピを効率よく更新することができる。
【0095】
また、工程S12における所定の条件は、検査者が任意に設定することができる。所定の条件として、例えばウェハ数に基づく条件、ウェハWのロット数に基づく条件、欠陥検査装置65においてウェハWの検査が行われる期間に基づく条件を設定した場合、複数のウェハW間の欠陥のばらつきを吸収することができる。また、所定の条件として、欠陥検査装置65、66の数に基づく条件が設定された場合、欠陥検査装置65、66間の検査誤差を吸収することができる。なお、欠陥検査装置の数は本実施の形態に限定されず、塗布現像処理システム1に任意の数の欠陥検査装置を設けることができる。
【0096】
また、工程S12において、記憶部152に記憶された基準画像の輝度と検査対象画像の輝度の平均画像に基づいて検査レシピを更新している。かかる平均画像は複数のウェハWの平均画像であるため、1枚のウェハWの基準画像よりも精度が高い。そして、後続のウェハWに対しては、工程S12において平均画像とウェハWの検査対象画像を比較するので、当該後続のウェハWの欠陥検査を精度良く行うことができる。さらに、この検査レシピを更新する際に記憶部152に記憶された前記基準画像の輝度と前記検査対象画像の輝度の標準偏差が示された標準偏差画像を用いると、さらに欠陥検査の精度を高くできる。
【0097】
以上の実施の形態の検査ユニット111のレシピ設定手段140には、図9に示すように通知部170が設けられていてもよい。通知部170は、上述した工程S12において、記憶部152に所定の条件を満たす検査対象画像が記憶されると、その旨を検査者に通知する。検査者は、記憶部152に記憶された検査レシピを更新するか否かを選択することができる。そして、検査者が検査レシピを更新することを選択した場合には、上述した工程S12と同様の方法で検査レシピが更新され、更新された検査レシピに基づいて後続のウェハWの欠陥検査が行われる。一方、検査者が検査レシピを更新しないことを選択した場合には、検査レシピは更新されず、当該検査レシピに基づいて後続のウェハWの欠陥検査が行われる。かかる場合、検査者が任意に検査レシピの更新を選択できるので、ウェハWの欠陥検査の自由度が向上する。
【0098】
以上の実施の形態では、工程S12において、平均画像と標準偏差画像に基づいて記憶部152に記憶された検査レシピを更新していたが、所定の条件を満たす検査対象画像が記憶部152に記憶された際、当該検査対象画像を含むレシピを検査レシピと置換して検査レシピを更新してもよい。具体的には、所定の条件として、例えば10枚目のウェハWの検査を行った際に検査レシピを更新すると設定した場合、検査レシピは当該10枚目のウェハWの検査対象画像を含むレシピに置換される。かかる場合、より簡易な方法で検査レシピを更新することができる。
【0099】
以上の実施の形態では、欠陥検査装置65におけるウェハWの欠陥検査は現像処理後に行われていたが、このウェハWの欠陥検査をレジスト塗布処理後であって露光処理前に行ってもよい。かかる場合、レジスト塗布装置20においてウェハWにレジスト膜が形成され、プリベーキング装置71においてウェハWに加熱処理が施された後、欠陥検査装置65においてウェハWの欠陥検査が行われる。その後、周辺露光装置94、高精度温調装置83において順次ウェハWに所定の処理が施された後、露光装置4においてウェハWに露光処理が行われる。本実施の形態によれば、露光処理前にウェハWの欠陥検査が行われるので、欠陥検査においてウェハWに欠陥が検出された場合、当該ウェハWを露光装置4に搬送する必要がない。したがって、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。
【0100】
以上の実施の形態では、工程S1において、塗布現像処理システム1で最初に処理されるウェハWの画像を基準としていたが、複数のウェハWの画像を取得し、当該複数の画像の輝度の平均値が示された画像を基準画像としてもよい。かかる場合、より精度の高い基準画像を取得することができる。
【0101】
また、工程S1において、ウェハW上の複数のチップの画像を取得し、当該複数のチップの画像を比較してウェハWの欠陥を検査し、当該検査において欠陥がないと判断されたウェハWの画像を基準画像としてもよい。かかる場合も、より精度の高い基準画像を取得することができる。
【0102】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板の欠陥を検査する際に有用である。
【符号の説明】
【0104】
1 塗布現像処理システム
4 露光装置
20〜22 レジスト塗布装置
30〜34 現像処理装置
65、66 欠陥検査装置
110 撮像ユニット
111 検査ユニット
126 センサ
130 撮像部
132 照明部
140 レシピ設定手段
141 検査手段
150 基準画像入力部
151 前処理部
152 記憶部
153 更新部
154 条件入力部
160 検査対象画像入力部
161 前処理部
162 アライメント部
163 欠陥検出部
164 特徴量算出部
165 分類部
166 判定部
170 通知部
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の欠陥を検査する方法であって、
基板を撮像して基準画像を取得し、当該基準画像を含む検査レシピを記憶部に記憶するレシピ設定工程と、
前記検査レシピに基づいて基板を撮像して検査対象画像を取得し、当該検査対象画像を含むレシピを前記記憶部に記憶する画像取得工程と、
前記検査レシピと前記検査対象画像とに基づいて、基板の欠陥を検査する検査工程と、
前記画像取得工程及び前記検査工程を繰り返し行い、前記記憶部に所定の条件を満たす前記検査対象画像が記憶された際、当該検査対象画像を含むレシピに基づいて前記記憶部に記憶された前記検査レシピを更新するレシピ更新工程と、を有し、
以後、前記更新された検査レシピで前記画像取得工程及び前記検査工程を行うことを特徴とする、欠陥検査方法。
【請求項2】
前記所定の条件は、
基板数に基づく条件、
基板のロット数に基づく条件、
前記画像取得工程及び前記検査工程を行う期間に基づく条件、
前記欠陥検査方法が行われる欠陥検査装置が複数ある場合の当該欠陥検査装置の数に基づく条件のうち、
少なくとも1以上の条件を有することを特徴とする、請求項1に記載の欠陥検査方法。
【請求項3】
前記レシピ更新工程では、前記記憶部に記憶された前記基準画像の輝度と前記検査対象画像の輝度との平均値が示された平均画像に基づいて、前記検査レシピを更新することを特徴とする、請求項1又は2に記載の欠陥検査方法。
【請求項4】
前記レシピ更新工程では、前記平均画像と、前記記憶部に記憶された前記基準画像の輝度と前記検査対象画像の輝度との標準偏差が示された標準偏差画像とに基づいて、前記検査レシピを更新することを特徴とする、請求項3に記載の欠陥検査方法。
【請求項5】
前記レシピ更新工程では、前記検査レシピを前記所定の条件を満たす前記検査対象画像を含むレシピに置換することを特徴とする、請求項1又は2に記載の欠陥検査方法。
【請求項6】
前記レシピ更新工程において、前記記憶部に所定の条件を満たす前記検査対象画像が記憶された際、基板の欠陥を検査する検査者に通知し、当該検査者の指示に基づいて前記検査レシピを更新することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の欠陥検査方法。
【請求項7】
前記欠陥検査方法は、フォトリソグラフィ処理においてレジスト塗布処理後であって露光処理前に行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の欠陥検査方法。
【請求項8】
前記欠陥検査方法は、フォトリソグラフィ処理において現像処理後に行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の欠陥検査方法。
【請求項9】
前記レシピ設定工程において、複数の基板の画像を取得し、当該複数の画像の輝度の平均値が示された画像を前記基準画像とすることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の欠陥検査方法。
【請求項10】
前記レシピ設定工程において、基板上の複数のチップの画像を取得し、当該複数のチップの画像を比較して基板の欠陥を検査し、当該検査において欠陥がないと判断された基板の画像を前記基準画像とすることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の欠陥検査方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずかに記載の欠陥検査方法を欠陥検査装置によって実行させるために、当該欠陥検査装置のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項13】
基板の欠陥を検査する装置であって、
基板を撮像する撮像部と、
基板の基準画像を含む検査レシピを設定するレシピ設定手段と、
前記検査レシピに基づいて前記撮像部で撮像された基板の検査対象画像を取得し、当該検査レシピと検査対象画像とに基づいて基板の欠陥を検査する検査手段と、を備え、
前記レシピ設定手段は、
前記検査レシピと前記検査対象画像を含むレシピとを記憶する記憶部と、
前記検査手段における基板の欠陥検査を繰り返し行い、前記記憶部に所定の条件を満たす前記検査対象画像が記憶された際、当該検査対象画像を含むレシピに基づいて前記記憶部に記憶された前記検査レシピを更新する更新部と、を有することを特徴とする、欠陥検査装置。
【請求項14】
前記所定の条件は、
基板数に基づく条件、
基板のロット数に基づく条件、
前記欠陥検査装置において基板の検査が行われる期間に基づく条件、
前記欠陥検査装置が複数ある場合の当該欠陥検査装置の数に基づく条件のうち、
少なくとも1以上の条件を有することを特徴とする、請求項13に記載の欠陥検査装置。
【請求項15】
前記更新部は、前記記憶部に記憶された前記基準画像の輝度と前記検査対象画像の輝度との平均値が示された平均画像に基づいて、前記検査レシピを更新することを特徴とする、請求項13又は14に記載の欠陥検査装置。
【請求項16】
前記更新部は、前記平均画像と、前記記憶部に記憶された前記基準画像の輝度と前記検査対象画像の輝度との標準偏差が示された標準偏差画像とに基づいて、前記検査レシピを更新することを特徴とする、請求項15に記載の欠陥検査装置。
【請求項17】
前記更新部は、前記検査レシピを前記所定の条件を満たす前記検査対象画像を含むレシピに置換することを特徴とする、請求項13又は14に記載の欠陥検査装置。
【請求項18】
前記レシピ設定手段は、前記記憶部に所定の条件を満たす前記検査対象画像が記憶された際、基板の欠陥を検査する検査者に通知する通知部を有することを特徴とする、請求項13〜17のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【請求項19】
前記レシピ設定手段は、複数の基板の画像を取得し、当該複数の画像の輝度の平均値が示された画像を前記基準画像とすることを特徴とする、請求項13〜18のいずれかに記載の欠陥検査装置。
【請求項20】
前記レシピ設定手段は、基板上の複数のチップの画像を取得し、当該複数のチップの画像を比較して基板の欠陥を検査し、当該検査において欠陥がないと判断された基板の画像を前記基準画像とすることを特徴とする、請求項13〜18のいずれかに記載の欠陥検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−174757(P2011−174757A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37647(P2010−37647)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】