説明

治金熔融炉の耐火性内張りにおける磨耗測定方法

【課題】鋼転炉などの金属熔融炉の内張りにおける磨耗を測定する方法でレーザ走査による方法を提供する。
【解決手段】台車上に輪郭追従装置を有するレーザは測定間に移動可能である。レーザ輪郭追従装置は、台車の後方の3個の永久標識と炉の近傍に配置した2個の仮標識とを参照する。輪郭追従装置による最初の測定中に可動台車から5つの各標識までの距離をそれぞれ特定する。台車を移動させて新しい測定を行う度に、輪郭追従装置は炉と2個の仮標識とを走査するが、永久標識は走査しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレーザスキャナによる、治金熔融炉、例えば転炉の内張りにおける磨耗測定方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
例えば製鋼工程において使用される転炉または取瓶の内張りにおける磨耗の測定はきわめて重要である。これによって、容器の寿命を最適化することが可能になるとともに、内張りにおける極端な磨耗によって生産または工業安全に関する危険が発生することを未然に防止することが可能になる。転炉の磨耗した内張りは比較的頻繁に新しいものと取替えなくてはならないが、その寿命は、転炉で熔融されるものによって、内張りの材質によって、また当然ながら、転炉が熔融に使用された回数によって、通常1,2週間から数ヶ月まで様々である。概して言えば、転炉は、約100回から5000回の熔融に耐える。
【0003】
内張りにおける磨耗はレーザビームの飛行時間または位相偏移の測定に基づく方法によって測定される。レーザビームは転炉の内側表面の内張りに向けて発射され、そこから反射されて測定装置に戻る。飛行時間の測定に基づく方法では、測定装置の座標系において測定される測定装置と内張りの各測定箇所との距離は、レーザビーム発射時刻と帰り時刻の時間差に基づいて計算することができる。測定点は内張りの磨耗分布を構成し、磨耗分布は、例えば表示端末に出力することもでき、それによって使用されている転炉から測定された磨耗分布は、容器の安全基準の内張りまたは容器が実際に使用される前の、つまり第1回目の熔融以前の実用内張りにおいて測定された分布と図表的および数値的に比較することができる。
【0004】
そのような業界の3次元物体の内張りの磨耗をレーザ測定などのような非接触方法によって測定するためには、測定装置と被測定物とを同一の座標系で表示することが必要である。測定装置と被測定物との座標系を合成することを位置決定と称する。言い換えると、測定装置は、対象物に対して位置決めまたは位置決定する。位置決定のためには、少なくとも3個の永久標識が必要であり、測定装置のレーザビームは順に各永久標識に向けて注がれ、各永久標識の座標は、測定装置の座標系において測定される。たとえ測定装置が容器の近傍に永久標識を通る固定位置を有していても、各内張り測定毎に位置決定を行うことが望ましい。そうすることにより、周囲の状態の変化やその他の要因による誤差が起こらないことを確実にできる。
【0005】
位置決めや位置決定に通常用いられるいわゆる直接方法において、永久標識とも称される固定位置決定点は、例えば容器開口部の近傍における容器などの被測定物に取り付けられる。永久標識によって、被測定物と測定装置の座標系とを数学的に合成することができる。直接方法において、永久標識と実際に測定された点の両方を同時に測定することによって、被測定物と測定装置とを同一の座標系に含むことができる。
【0006】
被測定物が傾斜軸によって支持されるような特別な場合には、永久標識を容器の底部または容器の外側に位置させる間接角度測定による位置決めを適用することができる。角度測定装置は、例えば容器の傾斜軸または、容器の他の場所に取り付けることができる。そのような測定装置の例としては、いわゆる傾斜計がある。現在、角度測定による位置決定は、間接方法であって、この方法は、被測定物に、はっきりと視認できて、その位置がさもなければ認識できないような必要な位置決め点を設けることが困難な場合に用いられる。角度測定による位置決めは、容器の底部または被測定物の外側の構造物上にある位置決め点を用い、また角度測定装置から得られた角度値を用いて行われ、それによって座標系は数学的に合成できる。永久標識は容器の底または、例えば転炉近傍の工場の壁のフレーム構造に取り付けられる。角度測定が既知の方法で用いられる際には、角度測定装置は測定装置に既知の周囲に対する被測定物すなわち容器の位置を知らせる。
【0007】
直接および間接角度測定位置決定方法において、永久標識は、レーザー照射を反射し、測定装置から出射されたレーザビームが例えば双眼鏡や何か他の照準を合わせる補助具によって手動で注がれるような材料でできた、例えば小さな板状体、筒状体、球体またはその他の通常の形の物体である。これらの既知の方法において、測定物は、位置決定点を得るために、レーザビームを手動で永久標識の中心に向けて注ぐものとする。測定装置の操作者は、すべての位置決定点が測定されるまでにこのように何度か作業を行う必要がある。これらの既知の方法の不利な点は、位置決定作業を自動化することが困難であるという事実である。位置決定が一人の人間によって実施される場合、位置決定点または永久標識の中心の判定と実際の位置あわせ工程との両方において誤差が生まれる危険がある。
【0008】
Kirchhoffらの、米国対応特許である米国特許第6,922,251を有するEP 1 234 193 B1は、その開示がここに引例として包含されているが、レーザスキャナによって金属容器の耐火性内張りの測定方法を開示しており、その測定方法において、測定工程の準備段階においてレーザスキャナを熔融容器の前方中央に配置し、前記熔融容器に取り付けられた永久標識を利用して熔融容器に対するレーザスキャナの位置の正確な定義を確立している。製造工程を中断した後、一旦熔融容器を空にして、水平方向と垂直方向に偏向可能なレーザビームが容器の内側表面を走査して、容器内部の測定を行う。耐火性内張りによって反射されたレーザビームは受光されてその飛行時間に応じて処理される。レーザヘッドに対する受光器の位置もまた公知であり、レーザヘッドの各角度位置も各個々のレーザビームについて定められているので、耐火性内張りの表面の形は収集したデータから再構築できる。熔融容器は、その水平傾斜位置で走査されるだけでなく、例えば20度上方と約20度下方のさらなる2箇所の傾斜位置においても走査されて熔融容器の内部全体を走査することができるようにすることが有利である。
【0009】
耐火性内張りの中央走査の後、EP 1 234 193 B1 から知られる方法においてまた左右の走査を行い、また、レーザスキャナを熔融炉に対して左または右の位置の内方へ移動させることによって熔融炉の開口部近くの側壁全体をも走査する。熔融炉は水平軸を中心に傾斜可能であるが、左または右に傾斜できないので、レーザスキャナを移動させなければならない。しかし、レーザスキャナを移動させるたびに、左または右位置から走査する際には、実際の測定走査に先立って、レーザスキャナのさらなる位置測定をレーザスキャナを用いて行わなければならない。これには、さらに数分の時間が必要であり、生産工程の中断時間を引き延ばすことになる。
【0010】
米国特許第6,922、252 B2には、治金熔融炉の耐火性内張りの測定方法が開示されており、その方法では、容器の耐火性内張りの表面はまたレーザスキャナによって走査され、第2のレーザヘッドが、レーザスキャナが測定標識と熔融炉の間に位置するように熔融容器の反対側の建物の壁に設けられた測定標識によってレーザスキャナの各位置を特定するために設けられている。この従来技術の方法において、レーザー観測機とも呼ばれる位置特定レーザは、レーザスキャナから離れた上方で回転してレーザスキャナの後方にある建物に取り付けられた測定標識を探してレーザスキャナの各位置を特定する。レーザスキャナに対するレーザ観測機の位置は知られているので、レーザスキャナの各位置はそこから得ることができる。この従来技術の欠点は、レーザ観測機は、棒または軸の先端に配置されているので、レーザ観測機の正確な位置はレーザスキャナに対して不変であり続けることはなく、衝撃、建物の振動またはレーザ観測機の棒状の保持部の避けがたい変形が、測定の正確さに重大な影響を及しうる測定誤差をもたらすという事実である。さらに、2つのレーザシステムの測定角度は互いに整合させなければならず、それがまた重大な測定誤差につながる。
【0011】
【特許文献1】EP 1 234 193 B1
【特許文献2】米国特許第6、922,252 B2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、EP 1 234 193 B1から知られている方法を治金熔融炉の耐火性内張りの測定がこの従来技術よりも速く行われるように改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本課題を解決するものとして、導入部で述べたような方法、つまり、垂直および水平方向に偏向可能なレーザビームを出射するレーザヘッドと、レーザヘッドの近傍にあって、耐火性内張りから反射したレーザビームを受光してその方向と飛行時間を測定する受光手段からなるレーザスキャナによって例えば転炉のような治金熔融炉の耐火性内張りの測定方法が提供される。EP 1 234 193 B1の測定方法では、実際の耐火性内張りの測定に先立って、転炉傾斜軸の座標系に対するレーザスキャナの正確な位置と機首方向が、予め設置され定められた永久標識の位置に対するレーザスキャナの距離を測定することによって確立される。この最初にマッピングされたレーザスキャナの正確な位置は以下でレーザスキャナの初期基準位置および機首方向と称する。
【0014】
次に、転炉内の鋼生産工程を終了させ、そして転炉が測定位置に傾けられ、それによって転炉の開口部がレーザスキャナに対面する。次に、転炉の開口部の前に配置されたレーザスキャナで耐火性内張りの第1回目の走査を実施し、同時に、2つ以上の仮標識を走査する。
【0015】
仮標識は、鋼生産工程を終了させる前に転炉の前に配置した位置決め標識であってもよい、または、鉱滓または漏斗またはノズルによって耐火性内張り内に形成された孔などの容器上または容器内のなんらかの付帯的な構造物であってもよい。走査データから、レーザスキャナの座標系についての仮標識の位置が特定されて仮標識の位置を転炉傾斜軸の座標系において計算することができる。
【0016】
その後、レーザスキャナがその時にはまだ確定もしくは決定されていない、転炉の前方の1つまたはそれ以上の新しい位置に移動し、それらの新しい位置から耐火性内張りのさらなる走査が行われると、新しいレーザスキャナの位置から同時に仮標識の走査をも行うことによって、転炉の傾斜軸の座標系についてのレーザスキャナの新しい位置と機首方向を算出することができる。新しいレーザスキャナの位置から仮標識の走査をおこなうことにより、レーザスキャナの座標系内における仮標識の位置が同時に算出され、予め計算した、転炉の傾斜軸の座標系に対する仮標識の位置から、転炉の傾斜軸の座標系についてのレーザスキャナの新しい位置と機首方向を計算することができる。レーザビーム走査、転炉傾斜角度およびレーザスキャナ位置によって生成された点データから、鋼転炉の耐火性内張りの内側形状を得ることができる。
【0017】
任意に、転炉は1つ以上のさらなる位置に傾斜させることができ、位置が追加される毎に上記の工程を繰り返すことによってさらなる耐火性内張りの走査を行う。
【0018】
そこで、その最も広い形態において、本発明は、第1の走査点からの容器の測定走査中に永久標識を介して先に行われた位置測定に基づいて、2つ以上の仮標識の位置が同時に測定され、それらをさらなる測定の間に異なる走査位置から認識してレーザスキャナの位置と機首方向を容器の傾斜軸について計算できるようにする方法に関する。レーザスキャナの位置決定に用いられる永久標識は建物の一部でもよく、また熔融炉の一部でもよい。建物の一部としては、永久標識は、建物または建物の床に固定された筒状、球状またはその他の固定した標識でよい。永久標識は、位置を変えない建物の一部であって、レーザビームで走査されてレーザスキャナの正確な位置の決定を可能にすればよく、分離して配置したりまたは取付ける必要はない。
【0019】
別の実施形態においては、永久標識を設けたまたは設けていない炉の開口部またはその他の部分の走査から熔融炉に対するレーザスキャナの位置を決定できればよいので、永久標識を建物の一部ではなく、熔融炉に取り付けられた、または熔融炉の一部を形成するものとしている。本発明によると、熔融炉に対するレーザスキャナの正確な位置が決まった最初の位置決め走査の後、開口部の前方の左右に1つの標識を設けた状態で溶融炉の開口部近傍に仮標識を配置して測定走査中に同時に仮標識を走査するかまたは、熔融炉の開口部の縁やそこに付着した残滓または漏斗またはノズルによって形成された孔、または耐火材内の他の認識可能な構造物が仮標識として用いられて測定中に走査することができる。最初の中央測定走査中には、熔融炉の耐火性内張りをレーザビームによって走査するだけでなく、配置する仮標識もまた、レーザスキャナによって耐火性内張り上の反射点と同様に正確に特定することができる。
【0020】
第2工程において、レーザスキャナを熔融炉の開口部の左または右に配置して耐火性内張りの片側を走査することにより、容器の内部全体を走査することができる。測定走査を行うと同時に、レーザビームで、中央測定走査中に先に位置を特定しておいた仮標識をも走査して、レーザスキャナの正確な位置を、最初の中央測定走査以前に必要であったようなレーザスキャナのさらなる位置決め走査を必要とせずに、計算することができるようにする。
【0021】
その後、レーザスキャナを、例えば、中央位置の右といった別の位置に移動させ、仮標識も同時に走査しながら熔融炉の内部を再び走査し、先に特定した位置づけから、レーザスキャナの各新規(右)走査位置を計算することができる。現在各位置の走査に2分必要なので、これによって50%以上の時間の節約になる。なぜなら仮標識を用いない従来技術の方法における測定手順全体は、11分から12分かかるが、本発明による方法ではたった5分の生産工程の中断しか必要ではないからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に図面を参照して本発明を説明するが、
図1は、レーザスキャナのいくつかの位置とともに示した転炉の概略平面図であり、
図2は、図1の概略側面図である。
【実施例1】
【0023】
すべての図面において同様の部分には同様の参照符号を付すものとする。特に、図1は、水平軸Hおよび傾斜軸8を有する治金熔融炉としての転炉1を示しており、この転炉1は少量(約20度)外側に傾斜しておりその開口部7が見える状態となっている。開口部7の略中央または中心には、転炉1にレーザビーム4を照射してその耐火性内張り6の走査をおこなうレーザスキャナ2が配置されている。転炉1の開口部7の前方におけるレーザスキャナ2の位置は厳密に中央でなくともよく、開口部7のほぼ中央で転炉1の内部が可能な限り均一に走査することができればよい。
【0024】
転炉1を参照すると、3つの永久標識PM,PMおよびPMがレーザスキャナ2の後方に設けられており、これらは、図1による中央位置におけるレーザスキャナ2の位置確定のために使用される。位置確定には、永久標識は2個でじゅうぶんである。本実施例においては、永久標識PM〜PMは筒体であるが、これらはレーザヘッド3から出射されるレーザビーム4を反射するのに適切であるような球体またはその他の標識であってもよい。永久標識PM〜PMはすべて、転炉1に対するそれらの位置が変わらないように、例えば建物に固定されるような、何らかの方法で固定された標識であればよい。
【0025】
図1には、さらに、測定工程の開始前に転炉1の開口部7の右および左に配置された2個の仮標識TMおよびTMが示されている。本明細書の導入部において述べたように、仮標識TMおよびTMもまた筒体であるが、球体やその他の反射体であってよい。仮標識はレーザスキャナがレーザスキャナ2、2’および2”の3つの設定位置のすべてにある間は同一の位置にあることだけが重要である。測定後、仮標識は取り除かれ、新しい測定のために転炉の前方に配置されなくてはならない。そして仮標識は新しい位置に再配置することができる。仮標識はレーザスキャナ2の走査領域内にありさえすればよい。他の実施例では、2個以上の仮標識を用いてもよい。
【0026】
レーザヘッド3および受光手段5は、互いに規定された間隔をおいて配置され、本発明による方法で用いられるが、それぞれ既知である。レーザヘッド3は、レーザ光源からのレーザ照射を例えば、その回転によりレーザビーム4を偏向させる多面鏡のような、偏向鏡に向けるように動作する。レーザビームの波長については、可視光または近赤外線が適切である。回転鏡が水平軸を中心に回転する場合、レーザビーム4の偏向は、垂直方向になる。レーザヘッド3もまたステップモータによって垂直軸を中心に回転する場合は、レーザビーム4は耐火性内張り6の表面を円板状に走査する。
【0027】
図2に、耐火内張り6の表面を測定する測定工程を示すが、図1において、最初の位置決め走査が実線で示され、実際の測定走査が破線のレーザビーム4’、4”で示されている。
【0028】
詳細には、以下の工程が本発明による方法によって実施される。
-仮標識TM,TMを転炉1の前方に設置する。
-レーザスキャナ2を転炉1の前方略中央に配置する。
-建物に固定した永久標識PM〜PMをレーザヘッド3を後方に向けた、つまり、転炉1の開口部7から背けた状態のレーザスキャナ2によって走査する。
-永久標識PM〜PMを特定し、これらの位置をレーザスキャナ2の座標系に対して計算する。
-永久標識PM〜PMの位置と転炉傾斜軸8の位置についての以前の情報を用いて、レーザスキャナ2の位置を転炉1に対して決定する。前記情報は予備位置決定測定中に得たものである。
-転炉1内での生産工程を中断する。
-転炉1を第1位置に、例えば水平軸Hの方向に傾斜させる。
-最初の転炉1の内部の中央の各中心走査を実施して、同時に仮標識TMおよびTMも走査する。
-仮標識TMおよびTMを特定し、レーザスキャン2に対するこれらの位置を計算する。これによって転炉1に対するそれらの位置を決定することができる。
-転炉1を第2の位置、例えば20度下方に傾斜させる。
-転炉1の内部の第2中央走査を行う。
-転炉1を第3の位置、例えば、先の位置(つまり、水平軸Hを基準として20度上方)を基準にして40度以上上方へ傾斜させる。
-第3の中央走査を行う。
-レーザスキャナ2をその中央位置から左へ移動させて位置2’に置く。
-同時に仮標識TMおよびTMを走査しながら耐火性内張り6の左走査を行う。
-仮標識TMおよびTMを特定して、レーザスキャナ2’に対するそれらの位置を計算する。
-転炉1に対する仮標識TMおよびTMは既知であるので、左に配置されたレーザスキャナ2’の位置は、転炉1に対して特定できる。
-その後、レーザスキャナ2を右へ移動させて位置2”に置き、右側から転炉1を走査すると共に仮標識TMおよびTMを同時に右側から走査する。
-仮標識TMおよびTMとレーザスキャナ2’の座標系に対するこれらの位置を計算する。
-転炉1に対する仮標識TMおよびTMの位置は既知であるので、レーザスキャナ2”の正しい位置を計算して転炉1に対して位置決定することができる。
-中央走査、左走査および右走査からのレーザビーム4、4’および4”の飛行時間に関して受光手段5から受信したデータから、またレーザスキャナ2の傾斜角度から、耐火性内張り6の表面を測定する。
-以前に記憶した測定結果と比較することによって、耐火性内張り6の厚みの変化が検出できる。
【0029】
ただし、当業者であれば特許クレームの範囲から逸脱しない範囲において本発明に係る方法の変形の方法がわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、レーザスキャナのいくつかの位置とともに示した転炉の概略平面図である。
【図2】図2は、図1の概略側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ・・・転炉
2 ・・・レーザスキャナ
3 ・・・レーザヘッド
4 ・・・レーザビーム
5 ・・・受光手段
6 ・・・耐火性内張り
7 ・・・開口部
8 ・・・転炉傾斜軸
PM〜PM・・・永久標識
TM,TM・・・仮標識

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直および水平方向に偏向可能なレーザビームを発射するレーザヘッド(3)と、レーザヘッド(3)の近傍で、耐火性内張り(6)から反射するレーザビーム(4)を受光してその方向と飛行時間を決定するための受光手段(5)からなるレーザスキャナ(2)によって、治金熔融炉(1)の耐火性内張り(6)を測定する方法であって、
耐火性内張り(6)の実際の測定に先立つ工程において、転炉傾斜軸(8)の座標系に対するレーザスキャナ(2)の初期基準位置と機首方向が、予め設置および規定された永久標識(PM〜PM)によって確立されている方法において、
(a)転炉(1)内の鋼生産工程を終了させ、
(b)転炉(1)を、転炉(1)の開口部(7)がレーザスキャナ(2)と対面する位置まで走査のために傾斜させ、
(c)初期基準位置にあり、機首方向が転炉(1)の開口部(7)の前方にあるレーザスキャナ(2)で、2個以上の仮標識(TM,TM)を走査しながら、耐火性内張り(6)の第1走査を行い、前記仮標識は、鋼生産工程の終了以前に転炉(1)の前方に配置されているか、または転炉上または転炉内の付帯構造物によって表現されており、
(d)レーザスキャナ(2)の座標系に対する該2個以上の仮標識(TM,TM)の位置を特定して、仮標識の位置を転炉傾斜軸(8)の座標系において計算できるようにし、
(e)その後、その時点では定められていない転炉(1)の前方の1つ以上の新しい位置(2’、2”)にレーザスキャナ(2)を移動させ、
(f)その後、転炉(1)の開口部(7)の前方に配置したレーザスキャナ(2)で耐火性内張り(6)の走査を行い、同時に仮標識(TM,TM)を走査し、また同時にレーザスキャナ(2)の座標系内の仮標識(TM,TM)の位置を特定して、転炉傾斜軸(8)の座標系に対する仮標識(TM,TM)の予め計算した位置から、転炉傾斜軸(8)の座標系に対するレーザスキャナ(2)の新たな位置と機首方向が計算できるようにする、
(g)その後、任意的に、転炉(1)を1つ以上のあらたな位置に傾斜させてもよく、その場合には工程(e)〜(f)を繰り返し、最後に、
(h)レーザビーム走査によって生成した点データから、転炉傾斜角度およびレーザスキャナの位置(2、2’、2”)、および鋼転炉(1)の耐火性内張り(6)の内側形状を導き出すことができることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、永久標識(PM〜PM)として、レーザビーム(4)を反射するのに適切な、筒体、球体、板体または同等の物体を用いることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、少なくとも2個の永久標識(PM〜PM)を用いることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、仮標識(TM,TM)として、レーザビーム(4)を反射するのに適切であって、測定中にその位置を変化させない、筒体、球体、板体または同等の物体、または熔融炉の部分を用いることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、仮標識(TM,TM)として、開口部(7)に付着した鉱滓の残りを用いることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、仮標識(TM,TM)として、漏斗のようなまたはノズルによって形成されたくぼみのような、耐火性内張り(6)内に形成された重要な構造物を用いることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法であって、少なくとも2個の仮標識(TM,TM)を用いることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、耐火性内張り(6)の走査を、転炉(1)の開口部(7)を通る、レーザスキャナ(2)の少なくとも2つの位置から行うことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、耐火性内張り(6)の走査を、転炉(1)の開口部(7)を通る、レーザスキャナ(2)の3つの位置から、つまり、開口部(7)前方中央と中央から左および右から行うことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法であって、耐火性内張り(6)を、レーザスキャナ(2、2’、2”)の少なくとも1つの位置から、転炉(1)の1つより多くの傾斜位置において走査することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、レーザスキャナの少なくとも1つの位置について、転炉(1)を2つの位置に傾斜させることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、転炉(1)の2つの傾斜位置として、水平軸(H)を基準として+20度と−20度とを選択することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、レーザスキャナの少なくとも1つの位置について、転炉(1)を3つの位置に傾斜させることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、転炉(1)の該3つの傾斜位置として、水平軸(H)を基準として0度と+20度と−20度とを選択することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法であって、レーザスキャナの1つより多い位置について、転炉(1)を1つより多い傾斜位置において走査することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−518628(P2009−518628A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543505(P2008−543505)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2006/046077
【国際公開番号】WO2007/064928
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(502335051)スペシャルティ ミネラルズ (ミシガン) インク. (14)
【Fターム(参考)】