波長可変光源及びそれを用いた歪測定装置
【課題】
多モード発振するように共振器長を長くすることによって、擬似的にモードホップフリーとした波長可変光源を提供する。
【解決手段】
半導体レーザ(LD)1と、LD1のARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ2と、コリメートレンズ2から出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子3と、回折格子3から出射されたコリメート光に対する回折光を受けて回折格子3に反射させるミラー4と、ミラー4からの反射光が回折格子3に入射されて再び回折され、それによって得られた回折光がコリメートレンズ2を介してLD1に入射されるとき、LD1に入射される回折光が所望の波長の光となるようにミラー4の角度を変化させる角度調整手段5とを備えた波長可変光源において、LD1とコリメートレンズ2との間に所定の長さの光ファイバ6を備えて多モード発振するように共振器長を長くした。
多モード発振するように共振器長を長くすることによって、擬似的にモードホップフリーとした波長可変光源を提供する。
【解決手段】
半導体レーザ(LD)1と、LD1のARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ2と、コリメートレンズ2から出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子3と、回折格子3から出射されたコリメート光に対する回折光を受けて回折格子3に反射させるミラー4と、ミラー4からの反射光が回折格子3に入射されて再び回折され、それによって得られた回折光がコリメートレンズ2を介してLD1に入射されるとき、LD1に入射される回折光が所望の波長の光となるようにミラー4の角度を変化させる角度調整手段5とを備えた波長可変光源において、LD1とコリメートレンズ2との間に所定の長さの光ファイバ6を備えて多モード発振するように共振器長を長くした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザを用いた外部共振型の波長可変光源及びそれを用いた歪測定装置に関し、特に多モード発振するように共振器長を長くすることによって、擬似的にモードホップフリーとした波長可変光源及びそれを用いた歪測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光部品の波長特性の測定、また近年実用化が進んでいるFBG(ファイバブラッググレーティング)を用いた歪測定等には、測定対象から出力される光の波長毎の強度、又は波長の変化を検出するための光スペクトラムアナライザとともに、それらに広帯域な光を入力するためのASE(Amplified Spontaneous Emission)光源が用いられている。しかしながら、このASE光源は、その出力光の波長帯域、強度及び強度偏差が、それぞれ例えば約30nm、約−13dBm/nm及び数dB程度であるために、より広帯域かつ高ダイナミックレンジでの波長特性の測定や、より遠隔かつ広範囲なエリアでのFBGの使用を可能にしたいといった要求を満足することができなかった。
【0003】
一方、波長の選択性を受光側に持たせた上述のASE光源を用いる測定方法とは異なり、光源側に持たせた、波長可変光源と光パワメータ(受光器)とを組み合わせて行う測定方法があった。この場合、波長可変光源は、その出力光の波長帯域、強度及び強度変化が、それぞれ例えば約100nm、約+10dBm及び約1dB程度であり、上記要求を満足させることが可能であった。このような波長可変光源としては、リットマン型と呼ばれる外部共振型の波長可変光源が周知である。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
この種の外部共振型の波長可変光源の概略構成を図20に示す。この波長可変光源は、半導体レーザ(LD)1のARコート(AR:Anti-Reflection)された端面から出射された光をコリメートレンズ2によってコリメート光(平行光)に変換して回折格子3へ入射し、その入射光に対して回折格子3が出射する回折光を、その回折面を延長した面上の所定位置Pを中心に回転できるように角度調整手段5によって支持されたミラー4に入射し、ミラー4によって反射された反射光を回折格子3へ入射させ、その反射光に対する回折光を回折格子3からコリメートレンズ2を介してLD1に戻している。
【0005】
これによって、LD1から出射された光の波長成分のうち、ミラー4の反射面に直交する波長成分のみがLD1に戻ることになり、LD1はその戻ってきた特定波長の光で励起(共振)されてその特定波長(共振波長)の光を出力光としてARコートされていない端面から出射する。この共振波長は、回折格子3に対するミラー4の角度で決まる回折波長特性と、LD1のARコートされていない端面から回折格子3を介してミラー4の反射面までの共振器長に基づく外部共振モードとで決まり、角度調整手段5によって、ミラー4を上述の所定位置Pを中心に回転させることで、図15(a)に示すように、その回折波長特性と外部共振モードとを同時に変え、これにより共振波長を連続的に可変することができる。なお、このリットマン型の波長可変光源は、回折格子3により往復2回の回折(特定波長の選択)を行っているために、波長選択性に優れ、すなわち回折波長特性が急峻となって、高コヒーレント光を発振できることが特徴である。
【0006】
【特許文献1】特開2001−284715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の外部共振型の波長可変光源においては、上述した、ミラー4を回転させるための回折格子3の回折面を延長した面上の所定位置Pは、理論的に更に詳しく言えば、ミラー4の反射面を延長した面上でかつLD1のARコートされていない端面を延長した面上に位置することが必要であり、そのような所定位置Pにミラー4(又は角度調整手段5)の回転軸を調整できるようにするための機構が複雑であるとともに、その調整に多大な労力と時間を必要とした。
【0008】
また、仮に調整がうまくいった場合であっても、ミラー4を回転させて波長を変化させたときに、回折波長特性と外部共振モードとの相対関係が温度変動、振動等の影響によってくずれ、モードホップ(外部共振モードが変わる)が発生した。また元々シングルモード発振するように、共振器長を例えば数mm程度と短くして、図15(b)に示すように、回折波長特性の帯域の中に入る外部共振モードの数をできるだけ少なく(換言すれば外部共振モード間隔Δλを広く)している結果、モードホップによる波長変化が周波数で数GHzと大きかった。
【0009】
また、この外部共振型の波長可変光源から出力される高コヒーレント光を用いて光部品の波長特性を測定すると、図16に示すように、光ファイバ、光部品等での反射によって生じる約3dB程度のリップルが波長特性に重畳し、本来の特性が把握し難いという欠点があった。
【0010】
本発明は、多モード発振するように共振器長を長くすることによって、これらの課題を解決し、擬似的にモードホップフリーとした波長可変光源及びそれを用いた歪測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の波長可変光源では、一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、該回折格子から出射された前記コリメート光に対する回折光を受けて該回折格子に反射させるミラー(4)と、該ミラーからの反射光が前記回折格子に入射されて再び回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記ミラーの角度を変化させる角度調整手段(5)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記ミラーとの間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源において、前記共振器長が、該共振器長に基づいた外部共振モードで発振する光が多モード発振による光となるような当該共振器長であるようにした。
【0012】
また、本発明の請求項2の波長可変光源では、一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、反射体(35)と反射体駆動手段(50)とを含んで構成され、前記回折格子から入射される前記コリメート光に対する回折光が、前記反射体の反射面で該回折格子へ反射されて、再び該回折格子で回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記反射体の反射面の角度を前記反射体駆動手段により変化させるMEMSスキャナ(60)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記反射体の反射面との間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源であって、前記共振器長が、該共振器長に基づいた外部共振モードで発振する光が多モード発振による光となるような当該共振器長であるようにした。
【0013】
また、本発明の請求項3の波長可変光源では、上述した請求項2の波長可変光源において、前記MEMSスキャナの反射体は、固定基板(36、37)と、該固定基板の縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部(38、39)と、該軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に前記回折格子からの回折光を反射させるための前記反射面が設けられた反射板(40)とを有しており、かつ、前記MEMSスキャナの反射体駆動手段は、前記反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の駆動信号によって前記反射板に力を与えて、該反射板を前記固有振動数又はそれに近い振動数で往復回転させるように構成した。
【0014】
また、本発明の請求項4の波長可変光源では、上述した請求項1〜3のいずれかの波長可変光源において、前記半導体レーザと前記コリメートレンズとの間に所定の長さの光ファイバ(6)を備えた。
【0015】
また、本発明の請求項5の波長可変光源では、上述した請求項1〜3のいずれかの波長可変光源において、前記コリメートレンズと前記回折格子との間に光路長が15cm以上の空間伝搬路(17)を備えた。
【0016】
また、本発明の請求項6の波長可変光源では、上述した請求項5の波長可変光源において、前記空間伝搬路が、コーナーキューブ(17a)を含んで構成されるようにした。
【0017】
また、本発明の請求項7の波長可変光源では、上述した請求項1〜6のいずれかの波長可変光源において、前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを更に備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にした。
【0018】
また、本発明の請求項8の波長可変光源では、上述した請求項1〜6のいずれかの波長可変光源において、前記回折格子の0次光を出力光とした。
【0019】
また、本発明の請求項9の波長可変光源では、上述した請求項8の波長可変光源において、前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられ、該0次光を2つに分岐して一方の0次光を前記出力光として出射する光分岐手段(16)と、該光分岐手段から出射される他方の0次光を受けて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを更に備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にした。
【0020】
また、本発明の請求項10の波長可変光源では、一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、該回折格子から出射された前記コリメート光に対する回折光を受けて該回折格子に反射させるミラー(4)と、該ミラーからの反射光が前記回折格子に入射されて再び回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記ミラーの角度を変化させる角度調整手段(5)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記ミラーとの間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源において、前記半導体レーザと前記コリメートレンズとの間に、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光を受けて所定の長さ伝送して該コリメートレンズに入射させる光ファイバ(6)を備えるようにした。
【0021】
また、本発明の請求項11の波長可変光源では、一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光を受けて所定の長さ伝送させる光ファイバ(6)と、該光ファイバから出射された光を受けてコリメートするコリメートレンズ(2)と、該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、反射体(35)と反射体駆動手段(50)とを含んで構成され、前記回折格子から入射される前記コリメート光に対する回折光が、前記反射体の反射面で該回折格子へ反射されて、再び該回折格子で回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズ及び前記光ファイバを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記反射体の反射面の角度を前記反射体駆動手段により変化させるMEMSスキャナ(60)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記反射体の反射面との間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振するようにした。
【0022】
また、本発明の請求項12の波長可変光源では、上述した請求項11の波長可変光源において、前記MEMSスキャナの反射体は、固定基板(36、37)と、該固定基板の縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部(38、39)と、該軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に前記回折格子からの回折光を反射させるための前記反射面が設けられた反射板(40)とを有しており、かつ、前記MEMSスキャナの反射体駆動手段は、前記反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の駆動信号によって前記反射板に力を与えて、該反射板を前記固有振動数又はそれに近い振動数で往復回転させるように構成した。
【0023】
また、本発明の請求項13の波長可変光源では、上述した請求項10〜12のいずれかの波長可変光源において、更に、前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にした。
【0024】
また、本発明の請求項14の波長可変光源を用いた歪測定装置では、所定の波長範囲の光を発振し、該光を測定光としてファイバブラッググレーティング(15a、15b)に入射させる、上述した請求項1〜13のいずれかの波長可変光源(100)と、前記ファイバブラッググレーティングに入射された前記測定光であって、該ファイバブラッググレーティングによって反射された光又は該ファイバブラッググレーティングを透過した光を受けて第2の電気信号に変換する第2の受光器(12)と、該第2の受光器から出力される前記第2の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を求める処理手段(13)とを備えた。
【0025】
また、本発明の請求項15の波長可変光源を用いた歪測定装置では、所定の波長範囲の光を発振し、該光を測定光としてファイバブラッググレーティング(15a、15b)に入射させる、上述した請求項7、9及び13のいずれかの波長可変光源(100)と、前記ファイバブラッググレーティングに入射された前記測定光であって、該ファイバブラッググレーティングによって反射された光又は該ファイバブラッググレーティングを透過した光を受けて第2の電気信号に変換する第2の受光器(12)と、該第2の受光器から出力される前記第2の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を求めるとともに、前記第1の受光器から出力される前記第1の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記半導体レーザの出射光の波長を求める処理手段(13)とを備えた。
【発明の効果】
【0026】
本発明の請求項1の波長可変光源では、共振器長を多モード発振するような長さにしたので、外部共振モード間隔を狭くでき、それによってモードホップ間隔も狭くなり擬似的にモードホップフリーとすることができる。また、多モード発振によって低コヒーレント光が出力され、従来の高コヒーレント光の欠点であった、光部品の波長特性測定時の反射によるリップルの重畳を改善することができる。
【0027】
本発明の請求項2の波長可変光源では、共振器長を多モード発振するような長さにするとともに、回折格子からの回折光を反射させるミラーとこのミラーの角度調整手段をMEMSスキャナで構成するようにしたので、外部共振モード間隔を狭くでき、それによってモードホップ間隔も狭くなり擬似的にモードホップフリーとすることができる。また、多モード発振によって低コヒーレント光が出力され、従来の高コヒーレント光の欠点であった、光部品の波長特性測定時の反射によるリップルの重畳を改善することができる。更に、波長可変の高速化、装置の小型化ができる。
【0028】
本発明の請求項3及び12の波長可変光源では、回折格子からの回折光を反射させるためのMEMSスキャナの反射体を、固定基板と、その縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部と、軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に反射面が設けられた反射板とによって構成すると共に、反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の電気信号によって反射板に力を与えて、反射板を固有振動数又はそれに近い振動数で往復回転させるようにしている。このため、反射板を高速に往復回転させることができ、しかも、その回転中心が反射板内にあるため、その角度変化に対して反射板の反射面へ入射される回折光の反射角の変化量を大きくすることができる。それにより、波長可変の高速化ができる。
【0029】
本発明の請求項4の波長可変光源では、半導体レーザとコリメートレンズとの間に所定の長さの光ファイバを備えるようにしたので、共振器長を多モード発振するような長さにすることができる。
【0030】
本発明の請求項5の波長可変光源では、コリメートレンズと回折格子との間に光路長が15cm以上の空間伝搬路を備えるようにしたので、共振器長を多モード発振するような長さにすることができる。
【0031】
本発明の請求項6の波長可変光源では、空間伝搬路をコーナーキューブを含んで構成するようにしたので、空間伝搬路を折り返すことにより、装置の小型化ができる。
【0032】
本発明の請求項7及び13の波長可変光源では、回折格子の0次光の所定の波長の光を電気信号に変換するようにしたので、この電気信号を用いて出力光の波長を求めることができる。
【0033】
本発明の請求項8の波長可変光源では、回折格子の0次光を出力光としたので、半導体レーザの内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を小さくできる。具体的には、半導体レーザのARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合の強度変動(約1dB)の約1/10にできる。
【0034】
本発明の請求項9の波長可変光源では、回折格子の0次光を出力光とするとともに、この0次光の所定の波長の光を電気信号に変換するようにしたので、半導体レーザの内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を小さくできるとともに、上記電気信号を用いて出力光の波長を求めることができる。
【0035】
本発明の請求項10の波長可変光源では、光ファイバを用いて共振器長を長くするようにしたので、外部共振モード間隔を狭くでき、それによってモードホップ間隔も狭くなり擬似的にモードホップフリーとすることができる。また、多モード発振によって低コヒーレント光が出力され、従来の高コヒーレント光の欠点であった、光部品の波長特性測定時の反射によるリップルの重畳を改善することができる。
【0036】
本発明の請求項11の波長可変光源では、光ファイバを用いて共振器長を長くするとともに、回折格子からの回折光を反射させるミラーとこのミラーの角度調整手段をMEMSスキャナで構成するようにしたので、外部共振モード間隔を狭くでき、それによってモードホップ間隔も狭くなり擬似的にモードホップフリーとすることができる。また、多モード発振によって低コヒーレント光が出力され、従来の高コヒーレント光の欠点であった、光部品の波長特性測定時の反射によるリップルの重畳を改善することができる。更に、波長可変の高速化、装置の小型化ができる。
【0037】
本発明の請求項14の波長可変光源を用いた歪測定装置では、上述した請求項1〜13のいずれかの波長可変光源を用いて歪測定装置を構成するようにしたので、擬似的にモードホップフリーでかつ低コヒーレントの光によって、ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を安定的にかつリップルの少ない状態で測定することができる。
【0038】
本発明の請求項15の波長可変光源を用いた歪測定装置では、上述した請求項7、9及び13のいずれかの波長可変光源を用いて歪測定装置を構成するようにしたので、擬似的にモードホップフリーでかつ低コヒーレントの光によって、ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を安定的にかつリップルの少ない状態で測定することができるとともに、波長可変光源の出力光の波長と対応付けて測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に本発明の実施形態を記載する。
【0040】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の波長可変光源の構成を図1に示す。従来の波長可変光源と同一要素には同一符号を付し詳細説明は省略する。この波長可変光源は、LD1のARコートされた端面から出射されて光ファイバ6を通った光をコリメートレンズ2によってコリメート光に変換して回折格子3へ入射し、その入射光に対して回折格子3が出射する回折光を、角度調整手段5によって角度調整できるように支持されたミラー4に入射し、ミラー4によって反射された反射光を回折格子3へ入射させ、その反射光に対する回折光を回折格子3からコリメートレンズ2及び光ファイバ6を介してLD1に戻している。また、回折格子3の0次光をエタロン等の光共振器7に入射して所定の波長の光のみを透過させ、その透過光を受光器(PD)8で電気信号bに変換し処理手段9へ出力している。処理手段9では、この出力光の波長情報をもった電気信号bと、角度調整手段5から出力される、ミラー4の反射面の角度を変化させるために自身で発生している信号a(出力波長範囲を決めている信号と言えるので掃引信号aとする)とに基づいて、図18に示すように、波長(角度)を可変する時間(掃引時間と言える)に対する発振波長の関係を算出している。
【0041】
このように構成された波長可変光源においては、共振器長を光ファイバ6によって例えば数mと長くして外部共振モード間隔Δλを狭くし、図15(c)に示すように、回折波長特性の帯域の中に入る外部共振モードの数を、従来の共振器長が数mm程度の場合に比べて約1000倍と極端に多くして多モード発振(従来はシングルモード発振)するようにした。これにより、モードホップによる波長変化が周波数で数10MHz程度と、従来の数GHzに比べて十分小さくなるために、擬似的にモードホップフリーとすることができる。また、多モード発振であるために、共振波長(出力光の波長)の可変は、従来のように回折波長特性と外部共振モードとを同時に変える必要はなく、回折波長特性のみを変えればよいので、従来の問題であったミラー4の回転軸を決める所定位置Pという概念がなくなる。また、多モード発振によって低コヒーレント光が出力され、従来の高コヒーレント光の欠点であった、光部品の波長特性測定時の反射によるリップルの重畳を改善することができる。なお、高コヒーレント光及び低コヒーレント光の発振スペクトラムの半値幅は、それぞれ例えば数100kHz及び数GHzである。
【0042】
なお、上述の図1の波長可変光源では、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合であったが、回折格子3の0次光を出力光とする場合には、図2に示すように、光カプラ等の光分岐手段16で回折格子3からの0次光を分岐して、一方を出力光とし、他方を光共振器7に入射する。このように0次光を出力光とすると、LD1の内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合に比べて小さくできる。具体的には、LD1を出力光とする場合の強度変動(約1dBの)を約1/10に小さくできる。また、LD1のARコートされていない端面にHRコート(HR:High-Reflection)を施すことによって、0次光を出力光とする場合の出力光の強度を増加させることができる。
【0043】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態の波長可変光源の構成を図3に示す。図1に示した第1実施形態では、LD1とコリメートレンズ2との間に光ファイバ6を備えることによって、共振器長を例えば数mと長くして多モード発振させるようにしたが、第2実施形態の場合は、図3に示すように、コリメートレンズ2と回折格子3との間に光路長が15cm以上の空間伝搬路17を備え、これによって共振器長を長くして多モード発振させるようにしている。図1に示した第1実施形態とはこの点のみが異なる。したがって、詳細説明は省略する。
【0044】
また、上述の空間伝搬路17がコーナーキューブ17aを含んで構成される場合の波長可変光源の実施形態を図4に示す。コーナーキューブ17aは、コリメートレンズ2から入射されるコリメート光の進行方向を反転させて回折格子3に出射する。このように、コリメートレンズ2から回折格子3までの光路、すなわち空間伝搬路17を折り返すことにより、例えば15cmであった光路長を約1/2にでき、装置の小型化ができる。なお、空間伝搬路17を折り返す手段は、コーナーキューブの他に単純なミラーであってもよい。
【0045】
なお、上述の図3及び図4の波長可変光源では、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合であったが、回折格子3の0次光を出力光とする場合には、図5及び図6に示すように、光カプラ等の光分岐手段16で回折格子3からの0次光を分岐して、一方を出力光とし、他方を光共振器7に入射する。このように0次光を出力光とすると、LD1の内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合に比べて小さくできる。具体的には、LD1を出力光とする場合の強度変動(約1dBの)を約1/10に小さくできる。また、LD1のARコートされていない端面にHRコート(HR:High-Reflection)を施すことによって、0次光を出力光とする場合の出力光の強度を増加させることができる。
【0046】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態の波長可変光源の構成を図7に示す。第3実施形態は、図1に示した第1実施形態とは、図1におけるミラー4及び角度調整手段5を、図7におけるMEMSスキャナ60(反射体35及び反射体駆動手段50で構成される)で構成した点のみ異なる。したがって、図1と同一部分の説明は省略して、主にMEMSスキャナ60について説明する。
【0047】
MEMSスキャナ60は、反射体35及び反射体駆動手段50で構成され、回折格子3から入射されるコリメート光に対する回折光が、反射体35の反射面で回折格子3へ反射されて、再び回折格子3で回折され、それによって得られた回折光がコリメートレンズ2及び光ファイバ6を介してLD1に入射されるとき、LD1に入射される回折光が所望の波長の光となるように反射体35の反射面の角度を反射体駆動手段50により変化させるようにしている。なお、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナとは、マイクロ電気機械式構造体(電気信号の制御を受けて機械的に動作する構造体)によって形成されたスキャナを意味している。
【0048】
反射体35は、図9に示すように、横長矩形で互いに平行に配置された一対の固定基板36、37と、この一対の固定基板36、37の長辺側縁部の中央からこの固定基板36、37と直交する方向に所定幅、所定長さで延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な一対の軸部38、39と、横長矩形で一方の長辺側縁部の中央部で軸部38の先端に連結され、他方の長辺側縁部の中央部で軸部39の先端に連結された反射板40とを有している。この反射板40は、捩じれ変形可能な軸部38、39に中心部が支持されているので、この軸部38、39を結ぶ線を中心軸として固定基板36、37に対して回転することができる。また、軸部38、39と反射板40とからなる部分の固有振動数f0は、反射板40自体の形状や質量及び軸部38、39のバネ定数によって決まる。
【0049】
また、反射板40の一面側には、光を反射するための反射面41が形成されている。この反射面41は、反射板40自体を鏡面仕上げして形成したり、反射率の高い膜(図示しない)を蒸着あるいは接着して形成したものであってもよい。なお、この反射体35は、薄い半導体基板からエッチング処理等により一体的に切り出されたもので、金属膜の蒸着加工により高導電性を有している。
【0050】
支持基板45は絶縁性を有する材料からなり、その一面側の上部と下部には、前方へ突出する支持台45a、45bが形成されており、反射体35の固定基板36、37は、この上下の支持台45a、45bに接した状態で固定されている。また、支持基板45の一面側中央部の両端には、反射体35の反射板40の両端にそれぞれ対向する電極板46、47がパターン形成されている。この電極板46、47は、後述する駆動信号発生器55とともに反射体駆動手段50(図7参照)を構成するものであり、反射板40の両端部に静電力を交互にかつ周期的に印加して、反射板40を、軸部38、39を結ぶ線を中心に往復回転運動させる。なお、反射板40の回転軸は回折格子3の回折溝と平行となるように設定されている。このように構成された反射体35は、回折格子3からの回折光を反射板40の反射面41で受けて、その反射光を回折格子3へ入射させて、再度回折させる。
【0051】
一方、反射体駆動手段50(図7参照)の一部を構成する駆動信号発生器55は、例えば図10(a)、(b)に示すように、反射体35の電位を基準として電極板46、47に対して、固有振動数f0に対応した周波数(あるいは固有振動数f0の近傍の振動数に対応した周波数)を有し、位相が180°ずれた駆動信号Da、Dbを印加して、電極板46と反射板40の一端側との間及び電極板47と反射板40の他端側との間に、交互にかつ周期的に静電力(引力)を与え、反射板40を固有振動数f0あるいはその近傍の振動数で所定角度範囲を往復回転させる。そして、この駆動信号発生器55は、往復回転させる角度範囲に対応する信号、すなわち反射面41の角度を所定範囲変化させるための信号a(出力波長範囲を決めている信号と言えるので掃引信号aとする)を、処理手段9(図7参照)に出力する。なお、図10では、2つの駆動信号Da、Dbがデューティ比50%の矩形波の場合を示しているが、両信号のデューティ比は50%以下であってもよく、また、波形も矩形波に限らず、正弦波、三角波等であってもよい。
【0052】
このように構成された第3実施形態の波長可変光源におけるMEMSスキャナ60では、反射体35を、一対の固定基板36、37と、その縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部38、39と、軸部38、39の先端に自身の縁部で連結され、軸部38、39に対して対称な形状に形成され、一面側に反射面41が形成された反射板40とによって構成するとともに、反射体35の軸部38、39と反射板40とからなる部分の固有振動数f0に対応した周波数の駆動信号によって反射板40に力を与えて、反射板40を固有振動数f0又はその近傍の振動数で往復回転させている。
【0053】
このため、僅かな電気エネルギーで反射板40を高速に往復回転させることができ、しかも、その回転中心が反射板40の内部(この場合、中央部)にあるので、反射板40の反射面41への入射光の反射角の変化量を大きくすることができる。なお、軸部38、39のバネ定数は、軸部38、39の長さ、幅、厚み、材質によって決まり、このバネ定数と、反射板40の形状、厚み、材質等で固有振動数f0が決定され、これらのパラメータを選ぶことにより、固有振動数f0を数100Hz〜数10kHzの範囲内で設定することができる。
【0054】
したがって、本発明の第3実施形態の波長可変光源は、このようなMEMSスキャナ60(反射体35及び反射体駆動手段50で構成される)を用いて構成するようにしたので、波長可変の高速化(最大数10kHz)、装置の小型化ができる。
【0055】
なお、上述の図9の説明では、反射体35を導電性の高い材料で構成していたが、反射体35を導電性の低い材料で構成する場合には、反射板40の反射面41と反対面の両側(全面でもよい)に電極板46、47と対向する電極板をそれぞれ設け、更に固定基板36、37の背面側にも電極板を設け、それらの電極板の間をパターン等によって接続する。そして、支持基板45の支持台45a、45bの表面に、固定基板36、37の背面側の電極板と接触する電極板をパターン形成して、その少なくとも一方を基準電位ラインとして上述した駆動信号発生器55に接続すればよい。
【0056】
また、固定基板36、37の一端側同士の間あるいは両端の間を連結して、固定基板をコの字枠あるいは矩形枠状に形成してもよい。また、反射板40の形状も任意であり、上述の横長矩形の他に、円形、楕円形、長円形、菱形、正方形、多角形等であってもよい。また、高速往復回転時の空気抵抗を減らすために、反射板40の内側に大きな穴あるいは多数の小さな穴を設けてもよい。
【0057】
また、上述の図9の説明では、反射体35の反射板40の両端にそれぞれ対向する2つの電極板46、47を設けていたが、一方側の電極板(例えば電極板46)だけによって静電力を印加してもよい。また、駆動方式についても、上述の静電力の他に、電磁力によって反射板40を往復回転させてもよい。この場合、例えば、上述の電極板46、47の代わりにコイルを用い、反射板40の両端部に磁性体あるいはコイルを設け、コイル間あるいはコイルと磁性体との間に発生する磁界による吸引力及び反発力によって、反射板40を往復回転させる。
【0058】
また、上述の静電力や電磁力を反射板40に直接与える方法の他に、超音波振動子等によって上述の固有振動数f0又はその近傍の振動を反射体35全体に加えて、その振動を反射板40に伝達させて往復回転させることも可能である。この場合、振動子を支持基板45の背面側や支持台45a、45bの部分に設けることで、その振動を反射板40に効率的に伝達することができる。
【0059】
なお、上述の図7の波長可変光源では、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合であったが、回折格子3の0次光を出力光とする場合には、図8に示すように、光カプラ等の光分岐手段16で回折格子3からの0次光を分岐して、一方を出力光とし、他方を光共振器7に入射する。このように0次光を出力光とすると、LD1の内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合に比べて小さくできる。具体的には、LD1を出力光とする場合の強度変動(約1dBの)を約1/10に小さくできる。また、LD1のARコートされていない端面にHRコート(HR:High-Reflection)を施すことによって、0次光を出力光とする場合の出力光の強度を増加させることができる。
【0060】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態の波長可変光源の構成を図11に示す。図7に示した第3実施形態では、LD1とコリメートレンズ2との間に光ファイバ6を備えることによって、共振器長を例えば数mと長くして多モード発振させるようにしたが、第4実施形態の場合は、図11に示すように、コリメートレンズ2と回折格子3との間に光路長が15cm以上の空間伝搬路17を備え、これによって共振器長を長くして多モード発振させるようにしている。図7に示した第3実施形態とはこの点のみが異なる。したがって、詳細説明は省略する。
【0061】
また、上述の空間伝搬路17がコーナーキューブ17aを含んで構成される場合の波長可変光源の実施形態を図12に示す。コーナーキューブ17aは、コリメートレンズ2から入射されるコリメート光の進行方向を反転させて回折格子3に出射する。このように、コリメートレンズ2から回折格子3までの光路、すなわち空間伝搬路17を折り返すことにより、例えば15cmであった光路長を約1/2にでき、装置の小型化ができる。なお、空間伝搬路17を折り返す手段は、コーナーキューブの他に単純なミラーであってもよい。
【0062】
なお、上述の図11及び図12の波長可変光源では、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合であったが、回折格子3の0次光を出力光とする場合には、図13及び図14に示すように、光カプラ等の光分岐手段16で回折格子3からの0次光を分岐して、一方を出力光とし、他方を光共振器7に入射する。このように0次光を出力光とすると、LD1の内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合に比べて小さくできる。具体的には、LD1を出力光とする場合の強度変動(約1dBの)を約1/10に小さくできる。また、LD1のARコートされていない端面にHRコート(HR:High-Reflection)を施すことによって、0次光を出力光とする場合の出力光の強度を増加させることができる。
【0063】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態の歪測定装置の構成を図17に示す。波長可変光源100は、上述の第1実施形態〜第4実施形態の波長可変光源であり、所定の波長範囲にわたって可変された(波長が掃引された)測定光を光サーキュレータ11に出力する。また、波長可変光源100は、上述の掃引信号a及び出力光の波長情報をもった電気信号bを後述する処理手段13に出力する。光サーキュレータ11は波長可変光源100からの測定光を、光ファイバ14を介して複数のFBG15a、15bに入射するとともに、各FBG15a、15bから反射されて戻ってきたその測定光の反射光を受けて受光器(PD)12に出射する。受光器12は、その反射光を電気信号cに変換して処理手段13に出力する。
【0064】
処理手段13は、受光器12からの電気信号cの時間的変動を、波長可変光源100からの掃引信号aに基づいて波長の変動として捉えて、図19(a)に示すように、各FBG15a、15bに加わった歪みの変動を測定する。また、処理手段13は、波長可変光源100からの出力光の波長情報をもった電気信号bと、上述の受光器12からの電気信号c及び掃引信号aを組み合わせて処理することにより、上記各FBG15a、15bによる波長の変動を、図19(b)に示すように、測定光の波長と対応付けて捉えることができる。なお、図17では、各FBG15a、15bからの反射光を受光器12に入射するようにしたが、各FBG15a、15bの透過光を入射するようにしてもよい。
【0065】
このように構成された歪測定装置において、波長可変光源100として第1実施形態及び第2実施形態の波長可変光源で構成する場合には、擬似的にモードホップフリーでかつ低コヒーレントの光によって、FBGに加わった歪みの変動を安定的にかつリップルの少ない状態で測定することができるとともに、波長可変光源100の出力光の波長と対応付けて測定することができる。また、波長可変光源100として第3実施形態及び第4実施形態の波長可変光源で構成する場合には、擬似的にモードホップフリーでかつ低コヒーレントの光によって、FBGに加わった歪みの変動を安定的にかつリップルの少ない状態で測定することができるとともに、波長可変光源100の出力光の波長と対応付けて測定することができ、さらにMEMSスキャナによる測定の高速化、装置の小型化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す図
【図2】本発明の第1実施形態の別の構成を示す図
【図3】本発明の第2実施形態の構成を示す図
【図4】本発明の第2実施形態の別の構成を示す図
【図5】本発明の第2実施形態の別の構成を示す図
【図6】本発明の第2実施形態の別の構成を示す図
【図7】本発明の第3実施形態の構成を示す図
【図8】本発明の第3実施形態の別の構成を示す図
【図9】MEMSスキャナの反射体を説明するための分解斜視図
【図10】駆動信号を説明するための図
【図11】本発明の第4実施形態の構成を示す図
【図12】本発明の第4実施形態の別の構成を示す図
【図13】本発明の第4実施形態の別の構成を示す図
【図14】本発明の第4実施形態の別の構成を示す図
【図15】回折波長特性と外部共振モードを説明するための図
【図16】波長特性を説明するための図
【図17】本発明の第5実施形態の構成を示す図
【図18】掃引信号と発振波長の関係を示す図
【図19】歪測定を説明するための図
【図20】従来例の概略構成を示す図
【符号の説明】
【0067】
1・・・半導体レーザ(LD)、2・・・コリメートレンズ、3・・・回折格子、4・・・ミラー、5・・・角度調整手段、6,14・・・光ファイバ、7・・・光共振器、8,12・・・受光器(PD)、9,13・・・処理手段、11・・・光サーキュレータ、15a,15b・・・ファイバブラッググレーティング(FBG)、16・・・光分岐手段、17・・・空間伝搬路、17a・・・コーナーキューブ、35・・・反射体、36,37・・・固定基板、38,39・・・軸部、40・・・反射板、41・・・反射面、45・・・支持基板、45a,45b・・・支持台、46,47・・・電極板、50・・・反射体駆動手段、55・・・駆動信号発生器、60・・・MEMSスキャナ、100・・・波長可変光源
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザを用いた外部共振型の波長可変光源及びそれを用いた歪測定装置に関し、特に多モード発振するように共振器長を長くすることによって、擬似的にモードホップフリーとした波長可変光源及びそれを用いた歪測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光部品の波長特性の測定、また近年実用化が進んでいるFBG(ファイバブラッググレーティング)を用いた歪測定等には、測定対象から出力される光の波長毎の強度、又は波長の変化を検出するための光スペクトラムアナライザとともに、それらに広帯域な光を入力するためのASE(Amplified Spontaneous Emission)光源が用いられている。しかしながら、このASE光源は、その出力光の波長帯域、強度及び強度偏差が、それぞれ例えば約30nm、約−13dBm/nm及び数dB程度であるために、より広帯域かつ高ダイナミックレンジでの波長特性の測定や、より遠隔かつ広範囲なエリアでのFBGの使用を可能にしたいといった要求を満足することができなかった。
【0003】
一方、波長の選択性を受光側に持たせた上述のASE光源を用いる測定方法とは異なり、光源側に持たせた、波長可変光源と光パワメータ(受光器)とを組み合わせて行う測定方法があった。この場合、波長可変光源は、その出力光の波長帯域、強度及び強度変化が、それぞれ例えば約100nm、約+10dBm及び約1dB程度であり、上記要求を満足させることが可能であった。このような波長可変光源としては、リットマン型と呼ばれる外部共振型の波長可変光源が周知である。(例えば、特許文献1参照)
【0004】
この種の外部共振型の波長可変光源の概略構成を図20に示す。この波長可変光源は、半導体レーザ(LD)1のARコート(AR:Anti-Reflection)された端面から出射された光をコリメートレンズ2によってコリメート光(平行光)に変換して回折格子3へ入射し、その入射光に対して回折格子3が出射する回折光を、その回折面を延長した面上の所定位置Pを中心に回転できるように角度調整手段5によって支持されたミラー4に入射し、ミラー4によって反射された反射光を回折格子3へ入射させ、その反射光に対する回折光を回折格子3からコリメートレンズ2を介してLD1に戻している。
【0005】
これによって、LD1から出射された光の波長成分のうち、ミラー4の反射面に直交する波長成分のみがLD1に戻ることになり、LD1はその戻ってきた特定波長の光で励起(共振)されてその特定波長(共振波長)の光を出力光としてARコートされていない端面から出射する。この共振波長は、回折格子3に対するミラー4の角度で決まる回折波長特性と、LD1のARコートされていない端面から回折格子3を介してミラー4の反射面までの共振器長に基づく外部共振モードとで決まり、角度調整手段5によって、ミラー4を上述の所定位置Pを中心に回転させることで、図15(a)に示すように、その回折波長特性と外部共振モードとを同時に変え、これにより共振波長を連続的に可変することができる。なお、このリットマン型の波長可変光源は、回折格子3により往復2回の回折(特定波長の選択)を行っているために、波長選択性に優れ、すなわち回折波長特性が急峻となって、高コヒーレント光を発振できることが特徴である。
【0006】
【特許文献1】特開2001−284715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の外部共振型の波長可変光源においては、上述した、ミラー4を回転させるための回折格子3の回折面を延長した面上の所定位置Pは、理論的に更に詳しく言えば、ミラー4の反射面を延長した面上でかつLD1のARコートされていない端面を延長した面上に位置することが必要であり、そのような所定位置Pにミラー4(又は角度調整手段5)の回転軸を調整できるようにするための機構が複雑であるとともに、その調整に多大な労力と時間を必要とした。
【0008】
また、仮に調整がうまくいった場合であっても、ミラー4を回転させて波長を変化させたときに、回折波長特性と外部共振モードとの相対関係が温度変動、振動等の影響によってくずれ、モードホップ(外部共振モードが変わる)が発生した。また元々シングルモード発振するように、共振器長を例えば数mm程度と短くして、図15(b)に示すように、回折波長特性の帯域の中に入る外部共振モードの数をできるだけ少なく(換言すれば外部共振モード間隔Δλを広く)している結果、モードホップによる波長変化が周波数で数GHzと大きかった。
【0009】
また、この外部共振型の波長可変光源から出力される高コヒーレント光を用いて光部品の波長特性を測定すると、図16に示すように、光ファイバ、光部品等での反射によって生じる約3dB程度のリップルが波長特性に重畳し、本来の特性が把握し難いという欠点があった。
【0010】
本発明は、多モード発振するように共振器長を長くすることによって、これらの課題を解決し、擬似的にモードホップフリーとした波長可変光源及びそれを用いた歪測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1の波長可変光源では、一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、該回折格子から出射された前記コリメート光に対する回折光を受けて該回折格子に反射させるミラー(4)と、該ミラーからの反射光が前記回折格子に入射されて再び回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記ミラーの角度を変化させる角度調整手段(5)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記ミラーとの間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源において、前記共振器長が、該共振器長に基づいた外部共振モードで発振する光が多モード発振による光となるような当該共振器長であるようにした。
【0012】
また、本発明の請求項2の波長可変光源では、一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、反射体(35)と反射体駆動手段(50)とを含んで構成され、前記回折格子から入射される前記コリメート光に対する回折光が、前記反射体の反射面で該回折格子へ反射されて、再び該回折格子で回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記反射体の反射面の角度を前記反射体駆動手段により変化させるMEMSスキャナ(60)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記反射体の反射面との間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源であって、前記共振器長が、該共振器長に基づいた外部共振モードで発振する光が多モード発振による光となるような当該共振器長であるようにした。
【0013】
また、本発明の請求項3の波長可変光源では、上述した請求項2の波長可変光源において、前記MEMSスキャナの反射体は、固定基板(36、37)と、該固定基板の縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部(38、39)と、該軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に前記回折格子からの回折光を反射させるための前記反射面が設けられた反射板(40)とを有しており、かつ、前記MEMSスキャナの反射体駆動手段は、前記反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の駆動信号によって前記反射板に力を与えて、該反射板を前記固有振動数又はそれに近い振動数で往復回転させるように構成した。
【0014】
また、本発明の請求項4の波長可変光源では、上述した請求項1〜3のいずれかの波長可変光源において、前記半導体レーザと前記コリメートレンズとの間に所定の長さの光ファイバ(6)を備えた。
【0015】
また、本発明の請求項5の波長可変光源では、上述した請求項1〜3のいずれかの波長可変光源において、前記コリメートレンズと前記回折格子との間に光路長が15cm以上の空間伝搬路(17)を備えた。
【0016】
また、本発明の請求項6の波長可変光源では、上述した請求項5の波長可変光源において、前記空間伝搬路が、コーナーキューブ(17a)を含んで構成されるようにした。
【0017】
また、本発明の請求項7の波長可変光源では、上述した請求項1〜6のいずれかの波長可変光源において、前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを更に備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にした。
【0018】
また、本発明の請求項8の波長可変光源では、上述した請求項1〜6のいずれかの波長可変光源において、前記回折格子の0次光を出力光とした。
【0019】
また、本発明の請求項9の波長可変光源では、上述した請求項8の波長可変光源において、前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられ、該0次光を2つに分岐して一方の0次光を前記出力光として出射する光分岐手段(16)と、該光分岐手段から出射される他方の0次光を受けて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを更に備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にした。
【0020】
また、本発明の請求項10の波長可変光源では、一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、該回折格子から出射された前記コリメート光に対する回折光を受けて該回折格子に反射させるミラー(4)と、該ミラーからの反射光が前記回折格子に入射されて再び回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記ミラーの角度を変化させる角度調整手段(5)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記ミラーとの間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源において、前記半導体レーザと前記コリメートレンズとの間に、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光を受けて所定の長さ伝送して該コリメートレンズに入射させる光ファイバ(6)を備えるようにした。
【0021】
また、本発明の請求項11の波長可変光源では、一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光を受けて所定の長さ伝送させる光ファイバ(6)と、該光ファイバから出射された光を受けてコリメートするコリメートレンズ(2)と、該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、反射体(35)と反射体駆動手段(50)とを含んで構成され、前記回折格子から入射される前記コリメート光に対する回折光が、前記反射体の反射面で該回折格子へ反射されて、再び該回折格子で回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズ及び前記光ファイバを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記反射体の反射面の角度を前記反射体駆動手段により変化させるMEMSスキャナ(60)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記反射体の反射面との間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振するようにした。
【0022】
また、本発明の請求項12の波長可変光源では、上述した請求項11の波長可変光源において、前記MEMSスキャナの反射体は、固定基板(36、37)と、該固定基板の縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部(38、39)と、該軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に前記回折格子からの回折光を反射させるための前記反射面が設けられた反射板(40)とを有しており、かつ、前記MEMSスキャナの反射体駆動手段は、前記反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の駆動信号によって前記反射板に力を与えて、該反射板を前記固有振動数又はそれに近い振動数で往復回転させるように構成した。
【0023】
また、本発明の請求項13の波長可変光源では、上述した請求項10〜12のいずれかの波長可変光源において、更に、前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にした。
【0024】
また、本発明の請求項14の波長可変光源を用いた歪測定装置では、所定の波長範囲の光を発振し、該光を測定光としてファイバブラッググレーティング(15a、15b)に入射させる、上述した請求項1〜13のいずれかの波長可変光源(100)と、前記ファイバブラッググレーティングに入射された前記測定光であって、該ファイバブラッググレーティングによって反射された光又は該ファイバブラッググレーティングを透過した光を受けて第2の電気信号に変換する第2の受光器(12)と、該第2の受光器から出力される前記第2の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を求める処理手段(13)とを備えた。
【0025】
また、本発明の請求項15の波長可変光源を用いた歪測定装置では、所定の波長範囲の光を発振し、該光を測定光としてファイバブラッググレーティング(15a、15b)に入射させる、上述した請求項7、9及び13のいずれかの波長可変光源(100)と、前記ファイバブラッググレーティングに入射された前記測定光であって、該ファイバブラッググレーティングによって反射された光又は該ファイバブラッググレーティングを透過した光を受けて第2の電気信号に変換する第2の受光器(12)と、該第2の受光器から出力される前記第2の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を求めるとともに、前記第1の受光器から出力される前記第1の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記半導体レーザの出射光の波長を求める処理手段(13)とを備えた。
【発明の効果】
【0026】
本発明の請求項1の波長可変光源では、共振器長を多モード発振するような長さにしたので、外部共振モード間隔を狭くでき、それによってモードホップ間隔も狭くなり擬似的にモードホップフリーとすることができる。また、多モード発振によって低コヒーレント光が出力され、従来の高コヒーレント光の欠点であった、光部品の波長特性測定時の反射によるリップルの重畳を改善することができる。
【0027】
本発明の請求項2の波長可変光源では、共振器長を多モード発振するような長さにするとともに、回折格子からの回折光を反射させるミラーとこのミラーの角度調整手段をMEMSスキャナで構成するようにしたので、外部共振モード間隔を狭くでき、それによってモードホップ間隔も狭くなり擬似的にモードホップフリーとすることができる。また、多モード発振によって低コヒーレント光が出力され、従来の高コヒーレント光の欠点であった、光部品の波長特性測定時の反射によるリップルの重畳を改善することができる。更に、波長可変の高速化、装置の小型化ができる。
【0028】
本発明の請求項3及び12の波長可変光源では、回折格子からの回折光を反射させるためのMEMSスキャナの反射体を、固定基板と、その縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部と、軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に反射面が設けられた反射板とによって構成すると共に、反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の電気信号によって反射板に力を与えて、反射板を固有振動数又はそれに近い振動数で往復回転させるようにしている。このため、反射板を高速に往復回転させることができ、しかも、その回転中心が反射板内にあるため、その角度変化に対して反射板の反射面へ入射される回折光の反射角の変化量を大きくすることができる。それにより、波長可変の高速化ができる。
【0029】
本発明の請求項4の波長可変光源では、半導体レーザとコリメートレンズとの間に所定の長さの光ファイバを備えるようにしたので、共振器長を多モード発振するような長さにすることができる。
【0030】
本発明の請求項5の波長可変光源では、コリメートレンズと回折格子との間に光路長が15cm以上の空間伝搬路を備えるようにしたので、共振器長を多モード発振するような長さにすることができる。
【0031】
本発明の請求項6の波長可変光源では、空間伝搬路をコーナーキューブを含んで構成するようにしたので、空間伝搬路を折り返すことにより、装置の小型化ができる。
【0032】
本発明の請求項7及び13の波長可変光源では、回折格子の0次光の所定の波長の光を電気信号に変換するようにしたので、この電気信号を用いて出力光の波長を求めることができる。
【0033】
本発明の請求項8の波長可変光源では、回折格子の0次光を出力光としたので、半導体レーザの内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を小さくできる。具体的には、半導体レーザのARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合の強度変動(約1dB)の約1/10にできる。
【0034】
本発明の請求項9の波長可変光源では、回折格子の0次光を出力光とするとともに、この0次光の所定の波長の光を電気信号に変換するようにしたので、半導体レーザの内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を小さくできるとともに、上記電気信号を用いて出力光の波長を求めることができる。
【0035】
本発明の請求項10の波長可変光源では、光ファイバを用いて共振器長を長くするようにしたので、外部共振モード間隔を狭くでき、それによってモードホップ間隔も狭くなり擬似的にモードホップフリーとすることができる。また、多モード発振によって低コヒーレント光が出力され、従来の高コヒーレント光の欠点であった、光部品の波長特性測定時の反射によるリップルの重畳を改善することができる。
【0036】
本発明の請求項11の波長可変光源では、光ファイバを用いて共振器長を長くするとともに、回折格子からの回折光を反射させるミラーとこのミラーの角度調整手段をMEMSスキャナで構成するようにしたので、外部共振モード間隔を狭くでき、それによってモードホップ間隔も狭くなり擬似的にモードホップフリーとすることができる。また、多モード発振によって低コヒーレント光が出力され、従来の高コヒーレント光の欠点であった、光部品の波長特性測定時の反射によるリップルの重畳を改善することができる。更に、波長可変の高速化、装置の小型化ができる。
【0037】
本発明の請求項14の波長可変光源を用いた歪測定装置では、上述した請求項1〜13のいずれかの波長可変光源を用いて歪測定装置を構成するようにしたので、擬似的にモードホップフリーでかつ低コヒーレントの光によって、ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を安定的にかつリップルの少ない状態で測定することができる。
【0038】
本発明の請求項15の波長可変光源を用いた歪測定装置では、上述した請求項7、9及び13のいずれかの波長可変光源を用いて歪測定装置を構成するようにしたので、擬似的にモードホップフリーでかつ低コヒーレントの光によって、ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を安定的にかつリップルの少ない状態で測定することができるとともに、波長可変光源の出力光の波長と対応付けて測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に本発明の実施形態を記載する。
【0040】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の波長可変光源の構成を図1に示す。従来の波長可変光源と同一要素には同一符号を付し詳細説明は省略する。この波長可変光源は、LD1のARコートされた端面から出射されて光ファイバ6を通った光をコリメートレンズ2によってコリメート光に変換して回折格子3へ入射し、その入射光に対して回折格子3が出射する回折光を、角度調整手段5によって角度調整できるように支持されたミラー4に入射し、ミラー4によって反射された反射光を回折格子3へ入射させ、その反射光に対する回折光を回折格子3からコリメートレンズ2及び光ファイバ6を介してLD1に戻している。また、回折格子3の0次光をエタロン等の光共振器7に入射して所定の波長の光のみを透過させ、その透過光を受光器(PD)8で電気信号bに変換し処理手段9へ出力している。処理手段9では、この出力光の波長情報をもった電気信号bと、角度調整手段5から出力される、ミラー4の反射面の角度を変化させるために自身で発生している信号a(出力波長範囲を決めている信号と言えるので掃引信号aとする)とに基づいて、図18に示すように、波長(角度)を可変する時間(掃引時間と言える)に対する発振波長の関係を算出している。
【0041】
このように構成された波長可変光源においては、共振器長を光ファイバ6によって例えば数mと長くして外部共振モード間隔Δλを狭くし、図15(c)に示すように、回折波長特性の帯域の中に入る外部共振モードの数を、従来の共振器長が数mm程度の場合に比べて約1000倍と極端に多くして多モード発振(従来はシングルモード発振)するようにした。これにより、モードホップによる波長変化が周波数で数10MHz程度と、従来の数GHzに比べて十分小さくなるために、擬似的にモードホップフリーとすることができる。また、多モード発振であるために、共振波長(出力光の波長)の可変は、従来のように回折波長特性と外部共振モードとを同時に変える必要はなく、回折波長特性のみを変えればよいので、従来の問題であったミラー4の回転軸を決める所定位置Pという概念がなくなる。また、多モード発振によって低コヒーレント光が出力され、従来の高コヒーレント光の欠点であった、光部品の波長特性測定時の反射によるリップルの重畳を改善することができる。なお、高コヒーレント光及び低コヒーレント光の発振スペクトラムの半値幅は、それぞれ例えば数100kHz及び数GHzである。
【0042】
なお、上述の図1の波長可変光源では、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合であったが、回折格子3の0次光を出力光とする場合には、図2に示すように、光カプラ等の光分岐手段16で回折格子3からの0次光を分岐して、一方を出力光とし、他方を光共振器7に入射する。このように0次光を出力光とすると、LD1の内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合に比べて小さくできる。具体的には、LD1を出力光とする場合の強度変動(約1dBの)を約1/10に小さくできる。また、LD1のARコートされていない端面にHRコート(HR:High-Reflection)を施すことによって、0次光を出力光とする場合の出力光の強度を増加させることができる。
【0043】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態の波長可変光源の構成を図3に示す。図1に示した第1実施形態では、LD1とコリメートレンズ2との間に光ファイバ6を備えることによって、共振器長を例えば数mと長くして多モード発振させるようにしたが、第2実施形態の場合は、図3に示すように、コリメートレンズ2と回折格子3との間に光路長が15cm以上の空間伝搬路17を備え、これによって共振器長を長くして多モード発振させるようにしている。図1に示した第1実施形態とはこの点のみが異なる。したがって、詳細説明は省略する。
【0044】
また、上述の空間伝搬路17がコーナーキューブ17aを含んで構成される場合の波長可変光源の実施形態を図4に示す。コーナーキューブ17aは、コリメートレンズ2から入射されるコリメート光の進行方向を反転させて回折格子3に出射する。このように、コリメートレンズ2から回折格子3までの光路、すなわち空間伝搬路17を折り返すことにより、例えば15cmであった光路長を約1/2にでき、装置の小型化ができる。なお、空間伝搬路17を折り返す手段は、コーナーキューブの他に単純なミラーであってもよい。
【0045】
なお、上述の図3及び図4の波長可変光源では、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合であったが、回折格子3の0次光を出力光とする場合には、図5及び図6に示すように、光カプラ等の光分岐手段16で回折格子3からの0次光を分岐して、一方を出力光とし、他方を光共振器7に入射する。このように0次光を出力光とすると、LD1の内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合に比べて小さくできる。具体的には、LD1を出力光とする場合の強度変動(約1dBの)を約1/10に小さくできる。また、LD1のARコートされていない端面にHRコート(HR:High-Reflection)を施すことによって、0次光を出力光とする場合の出力光の強度を増加させることができる。
【0046】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態の波長可変光源の構成を図7に示す。第3実施形態は、図1に示した第1実施形態とは、図1におけるミラー4及び角度調整手段5を、図7におけるMEMSスキャナ60(反射体35及び反射体駆動手段50で構成される)で構成した点のみ異なる。したがって、図1と同一部分の説明は省略して、主にMEMSスキャナ60について説明する。
【0047】
MEMSスキャナ60は、反射体35及び反射体駆動手段50で構成され、回折格子3から入射されるコリメート光に対する回折光が、反射体35の反射面で回折格子3へ反射されて、再び回折格子3で回折され、それによって得られた回折光がコリメートレンズ2及び光ファイバ6を介してLD1に入射されるとき、LD1に入射される回折光が所望の波長の光となるように反射体35の反射面の角度を反射体駆動手段50により変化させるようにしている。なお、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)スキャナとは、マイクロ電気機械式構造体(電気信号の制御を受けて機械的に動作する構造体)によって形成されたスキャナを意味している。
【0048】
反射体35は、図9に示すように、横長矩形で互いに平行に配置された一対の固定基板36、37と、この一対の固定基板36、37の長辺側縁部の中央からこの固定基板36、37と直交する方向に所定幅、所定長さで延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な一対の軸部38、39と、横長矩形で一方の長辺側縁部の中央部で軸部38の先端に連結され、他方の長辺側縁部の中央部で軸部39の先端に連結された反射板40とを有している。この反射板40は、捩じれ変形可能な軸部38、39に中心部が支持されているので、この軸部38、39を結ぶ線を中心軸として固定基板36、37に対して回転することができる。また、軸部38、39と反射板40とからなる部分の固有振動数f0は、反射板40自体の形状や質量及び軸部38、39のバネ定数によって決まる。
【0049】
また、反射板40の一面側には、光を反射するための反射面41が形成されている。この反射面41は、反射板40自体を鏡面仕上げして形成したり、反射率の高い膜(図示しない)を蒸着あるいは接着して形成したものであってもよい。なお、この反射体35は、薄い半導体基板からエッチング処理等により一体的に切り出されたもので、金属膜の蒸着加工により高導電性を有している。
【0050】
支持基板45は絶縁性を有する材料からなり、その一面側の上部と下部には、前方へ突出する支持台45a、45bが形成されており、反射体35の固定基板36、37は、この上下の支持台45a、45bに接した状態で固定されている。また、支持基板45の一面側中央部の両端には、反射体35の反射板40の両端にそれぞれ対向する電極板46、47がパターン形成されている。この電極板46、47は、後述する駆動信号発生器55とともに反射体駆動手段50(図7参照)を構成するものであり、反射板40の両端部に静電力を交互にかつ周期的に印加して、反射板40を、軸部38、39を結ぶ線を中心に往復回転運動させる。なお、反射板40の回転軸は回折格子3の回折溝と平行となるように設定されている。このように構成された反射体35は、回折格子3からの回折光を反射板40の反射面41で受けて、その反射光を回折格子3へ入射させて、再度回折させる。
【0051】
一方、反射体駆動手段50(図7参照)の一部を構成する駆動信号発生器55は、例えば図10(a)、(b)に示すように、反射体35の電位を基準として電極板46、47に対して、固有振動数f0に対応した周波数(あるいは固有振動数f0の近傍の振動数に対応した周波数)を有し、位相が180°ずれた駆動信号Da、Dbを印加して、電極板46と反射板40の一端側との間及び電極板47と反射板40の他端側との間に、交互にかつ周期的に静電力(引力)を与え、反射板40を固有振動数f0あるいはその近傍の振動数で所定角度範囲を往復回転させる。そして、この駆動信号発生器55は、往復回転させる角度範囲に対応する信号、すなわち反射面41の角度を所定範囲変化させるための信号a(出力波長範囲を決めている信号と言えるので掃引信号aとする)を、処理手段9(図7参照)に出力する。なお、図10では、2つの駆動信号Da、Dbがデューティ比50%の矩形波の場合を示しているが、両信号のデューティ比は50%以下であってもよく、また、波形も矩形波に限らず、正弦波、三角波等であってもよい。
【0052】
このように構成された第3実施形態の波長可変光源におけるMEMSスキャナ60では、反射体35を、一対の固定基板36、37と、その縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部38、39と、軸部38、39の先端に自身の縁部で連結され、軸部38、39に対して対称な形状に形成され、一面側に反射面41が形成された反射板40とによって構成するとともに、反射体35の軸部38、39と反射板40とからなる部分の固有振動数f0に対応した周波数の駆動信号によって反射板40に力を与えて、反射板40を固有振動数f0又はその近傍の振動数で往復回転させている。
【0053】
このため、僅かな電気エネルギーで反射板40を高速に往復回転させることができ、しかも、その回転中心が反射板40の内部(この場合、中央部)にあるので、反射板40の反射面41への入射光の反射角の変化量を大きくすることができる。なお、軸部38、39のバネ定数は、軸部38、39の長さ、幅、厚み、材質によって決まり、このバネ定数と、反射板40の形状、厚み、材質等で固有振動数f0が決定され、これらのパラメータを選ぶことにより、固有振動数f0を数100Hz〜数10kHzの範囲内で設定することができる。
【0054】
したがって、本発明の第3実施形態の波長可変光源は、このようなMEMSスキャナ60(反射体35及び反射体駆動手段50で構成される)を用いて構成するようにしたので、波長可変の高速化(最大数10kHz)、装置の小型化ができる。
【0055】
なお、上述の図9の説明では、反射体35を導電性の高い材料で構成していたが、反射体35を導電性の低い材料で構成する場合には、反射板40の反射面41と反対面の両側(全面でもよい)に電極板46、47と対向する電極板をそれぞれ設け、更に固定基板36、37の背面側にも電極板を設け、それらの電極板の間をパターン等によって接続する。そして、支持基板45の支持台45a、45bの表面に、固定基板36、37の背面側の電極板と接触する電極板をパターン形成して、その少なくとも一方を基準電位ラインとして上述した駆動信号発生器55に接続すればよい。
【0056】
また、固定基板36、37の一端側同士の間あるいは両端の間を連結して、固定基板をコの字枠あるいは矩形枠状に形成してもよい。また、反射板40の形状も任意であり、上述の横長矩形の他に、円形、楕円形、長円形、菱形、正方形、多角形等であってもよい。また、高速往復回転時の空気抵抗を減らすために、反射板40の内側に大きな穴あるいは多数の小さな穴を設けてもよい。
【0057】
また、上述の図9の説明では、反射体35の反射板40の両端にそれぞれ対向する2つの電極板46、47を設けていたが、一方側の電極板(例えば電極板46)だけによって静電力を印加してもよい。また、駆動方式についても、上述の静電力の他に、電磁力によって反射板40を往復回転させてもよい。この場合、例えば、上述の電極板46、47の代わりにコイルを用い、反射板40の両端部に磁性体あるいはコイルを設け、コイル間あるいはコイルと磁性体との間に発生する磁界による吸引力及び反発力によって、反射板40を往復回転させる。
【0058】
また、上述の静電力や電磁力を反射板40に直接与える方法の他に、超音波振動子等によって上述の固有振動数f0又はその近傍の振動を反射体35全体に加えて、その振動を反射板40に伝達させて往復回転させることも可能である。この場合、振動子を支持基板45の背面側や支持台45a、45bの部分に設けることで、その振動を反射板40に効率的に伝達することができる。
【0059】
なお、上述の図7の波長可変光源では、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合であったが、回折格子3の0次光を出力光とする場合には、図8に示すように、光カプラ等の光分岐手段16で回折格子3からの0次光を分岐して、一方を出力光とし、他方を光共振器7に入射する。このように0次光を出力光とすると、LD1の内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合に比べて小さくできる。具体的には、LD1を出力光とする場合の強度変動(約1dBの)を約1/10に小さくできる。また、LD1のARコートされていない端面にHRコート(HR:High-Reflection)を施すことによって、0次光を出力光とする場合の出力光の強度を増加させることができる。
【0060】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態の波長可変光源の構成を図11に示す。図7に示した第3実施形態では、LD1とコリメートレンズ2との間に光ファイバ6を備えることによって、共振器長を例えば数mと長くして多モード発振させるようにしたが、第4実施形態の場合は、図11に示すように、コリメートレンズ2と回折格子3との間に光路長が15cm以上の空間伝搬路17を備え、これによって共振器長を長くして多モード発振させるようにしている。図7に示した第3実施形態とはこの点のみが異なる。したがって、詳細説明は省略する。
【0061】
また、上述の空間伝搬路17がコーナーキューブ17aを含んで構成される場合の波長可変光源の実施形態を図12に示す。コーナーキューブ17aは、コリメートレンズ2から入射されるコリメート光の進行方向を反転させて回折格子3に出射する。このように、コリメートレンズ2から回折格子3までの光路、すなわち空間伝搬路17を折り返すことにより、例えば15cmであった光路長を約1/2にでき、装置の小型化ができる。なお、空間伝搬路17を折り返す手段は、コーナーキューブの他に単純なミラーであってもよい。
【0062】
なお、上述の図11及び図12の波長可変光源では、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合であったが、回折格子3の0次光を出力光とする場合には、図13及び図14に示すように、光カプラ等の光分岐手段16で回折格子3からの0次光を分岐して、一方を出力光とし、他方を光共振器7に入射する。このように0次光を出力光とすると、LD1の内部共振モードの影響によって生じる出力光の強度変動を、LD1のARコートされていない端面から出射された光を出力光とする場合に比べて小さくできる。具体的には、LD1を出力光とする場合の強度変動(約1dBの)を約1/10に小さくできる。また、LD1のARコートされていない端面にHRコート(HR:High-Reflection)を施すことによって、0次光を出力光とする場合の出力光の強度を増加させることができる。
【0063】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態の歪測定装置の構成を図17に示す。波長可変光源100は、上述の第1実施形態〜第4実施形態の波長可変光源であり、所定の波長範囲にわたって可変された(波長が掃引された)測定光を光サーキュレータ11に出力する。また、波長可変光源100は、上述の掃引信号a及び出力光の波長情報をもった電気信号bを後述する処理手段13に出力する。光サーキュレータ11は波長可変光源100からの測定光を、光ファイバ14を介して複数のFBG15a、15bに入射するとともに、各FBG15a、15bから反射されて戻ってきたその測定光の反射光を受けて受光器(PD)12に出射する。受光器12は、その反射光を電気信号cに変換して処理手段13に出力する。
【0064】
処理手段13は、受光器12からの電気信号cの時間的変動を、波長可変光源100からの掃引信号aに基づいて波長の変動として捉えて、図19(a)に示すように、各FBG15a、15bに加わった歪みの変動を測定する。また、処理手段13は、波長可変光源100からの出力光の波長情報をもった電気信号bと、上述の受光器12からの電気信号c及び掃引信号aを組み合わせて処理することにより、上記各FBG15a、15bによる波長の変動を、図19(b)に示すように、測定光の波長と対応付けて捉えることができる。なお、図17では、各FBG15a、15bからの反射光を受光器12に入射するようにしたが、各FBG15a、15bの透過光を入射するようにしてもよい。
【0065】
このように構成された歪測定装置において、波長可変光源100として第1実施形態及び第2実施形態の波長可変光源で構成する場合には、擬似的にモードホップフリーでかつ低コヒーレントの光によって、FBGに加わった歪みの変動を安定的にかつリップルの少ない状態で測定することができるとともに、波長可変光源100の出力光の波長と対応付けて測定することができる。また、波長可変光源100として第3実施形態及び第4実施形態の波長可変光源で構成する場合には、擬似的にモードホップフリーでかつ低コヒーレントの光によって、FBGに加わった歪みの変動を安定的にかつリップルの少ない状態で測定することができるとともに、波長可変光源100の出力光の波長と対応付けて測定することができ、さらにMEMSスキャナによる測定の高速化、装置の小型化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態の構成を示す図
【図2】本発明の第1実施形態の別の構成を示す図
【図3】本発明の第2実施形態の構成を示す図
【図4】本発明の第2実施形態の別の構成を示す図
【図5】本発明の第2実施形態の別の構成を示す図
【図6】本発明の第2実施形態の別の構成を示す図
【図7】本発明の第3実施形態の構成を示す図
【図8】本発明の第3実施形態の別の構成を示す図
【図9】MEMSスキャナの反射体を説明するための分解斜視図
【図10】駆動信号を説明するための図
【図11】本発明の第4実施形態の構成を示す図
【図12】本発明の第4実施形態の別の構成を示す図
【図13】本発明の第4実施形態の別の構成を示す図
【図14】本発明の第4実施形態の別の構成を示す図
【図15】回折波長特性と外部共振モードを説明するための図
【図16】波長特性を説明するための図
【図17】本発明の第5実施形態の構成を示す図
【図18】掃引信号と発振波長の関係を示す図
【図19】歪測定を説明するための図
【図20】従来例の概略構成を示す図
【符号の説明】
【0067】
1・・・半導体レーザ(LD)、2・・・コリメートレンズ、3・・・回折格子、4・・・ミラー、5・・・角度調整手段、6,14・・・光ファイバ、7・・・光共振器、8,12・・・受光器(PD)、9,13・・・処理手段、11・・・光サーキュレータ、15a,15b・・・ファイバブラッググレーティング(FBG)、16・・・光分岐手段、17・・・空間伝搬路、17a・・・コーナーキューブ、35・・・反射体、36,37・・・固定基板、38,39・・・軸部、40・・・反射板、41・・・反射面、45・・・支持基板、45a,45b・・・支持台、46,47・・・電極板、50・・・反射体駆動手段、55・・・駆動信号発生器、60・・・MEMSスキャナ、100・・・波長可変光源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、
該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、
該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、
該回折格子から出射された前記コリメート光に対する回折光を受けて該回折格子に反射させるミラー(4)と、
該ミラーからの反射光が前記回折格子に入射されて再び回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記ミラーの角度を変化させる角度調整手段(5)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記ミラーとの間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源において、
前記共振器長が、該共振器長に基づいた外部共振モードで発振する光が多モード発振による光となるような当該共振器長であることを特徴とする波長可変光源。
【請求項2】
一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、
該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、
該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、
反射体(35)と反射体駆動手段(50)とを含んで構成され、前記回折格子から入射される前記コリメート光に対する回折光が、前記反射体の反射面で該回折格子へ反射されて、再び該回折格子で回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記反射体の反射面の角度を前記反射体駆動手段により変化させるMEMSスキャナ(60)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記反射体の反射面との間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源であって、
前記共振器長が、該共振器長に基づいた外部共振モードで発振する光が多モード発振による光となるような当該共振器長であることを特徴とする波長可変光源。
【請求項3】
前記MEMSスキャナの反射体は、
固定基板(36、37)と、
該固定基板の縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部(38、39)と、
該軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に前記回折格子からの回折光を反射させるための前記反射面が設けられた反射板(40)とを有しており、かつ、
前記MEMSスキャナの反射体駆動手段は、
前記反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の駆動信号によって前記反射板に力を与えて、該反射板を前記固有振動数又はそれに近い振動数で往復回転させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の波長可変光源。
【請求項4】
前記半導体レーザと前記コリメートレンズとの間に所定の長さの光ファイバ(6)を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波長可変光源。
【請求項5】
前記コリメートレンズと前記回折格子との間に光路長が15cm以上の空間伝搬路(17)を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波長可変光源。
【請求項6】
前記空間伝搬路が、コーナーキューブ(17a)を含んで構成されることを特徴とする請求項5に記載の波長可変光源。
【請求項7】
前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、
該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを更に備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の波長可変光源。
【請求項8】
前記回折格子の0次光を出力光とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の波長可変光源。
【請求項9】
前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられ、該0次光を2つに分岐して一方の0次光を前記出力光として出射する光分岐手段(16)と、
該光分岐手段から出射される他方の0次光を受けて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、
該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを更に備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にしたことを特徴とする請求項8に記載の波長可変光源。
【請求項10】
一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、
該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、
該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、
該回折格子から出射された前記コリメート光に対する回折光を受けて該回折格子に反射させるミラー(4)と、
該ミラーからの反射光が前記回折格子に入射されて再び回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記ミラーの角度を変化させる角度調整手段(5)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記ミラーとの間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源において、
前記半導体レーザと前記コリメートレンズとの間に、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光を受けて所定の長さ伝送して該コリメートレンズに入射させる光ファイバ(6)を備えたことを特徴とする波長可変光源。
【請求項11】
一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、
該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光を受けて所定の長さ伝送させる光ファイバ(6)と、
該光ファイバから出射された光を受けてコリメートするコリメートレンズ(2)と、
該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、
反射体(35)と反射体駆動手段(50)とを含んで構成され、前記回折格子から入射される前記コリメート光に対する回折光が、前記反射体の反射面で該回折格子へ反射されて、再び該回折格子で回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズ及び前記光ファイバを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記反射体の反射面の角度を前記反射体駆動手段により変化させるMEMSスキャナ(60)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記反射体の反射面との間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振することを特徴とする波長可変光源。
【請求項12】
前記MEMSスキャナの反射体は、
固定基板(36、37)と、
該固定基板の縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部(38、39)と、
該軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に前記回折格子からの回折光を反射させるための前記反射面が設けられた反射板(40)とを有しており、かつ、
前記MEMSスキャナの反射体駆動手段は、
前記反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の駆動信号によって前記反射板に力を与えて、該反射板を前記固有振動数又はそれに近い振動数で往復回転させるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の波長可変光源。
【請求項13】
前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、
該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを更に備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にしたことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の波長可変光源。
【請求項14】
所定の波長範囲の光を発振し、該光を測定光としてファイバブラッググレーティング(15a、15b)に入射させる請求項1〜13のいずれかに記載の波長可変光源(100)と、
前記ファイバブラッググレーティングに入射された前記測定光であって、該ファイバブラッググレーティングによって反射された光又は該ファイバブラッググレーティングを透過した光を受けて第2の電気信号に変換する第2の受光器(12)と、
該第2の受光器から出力される前記第2の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を求める処理手段(13)とを備えたことを特徴とする波長可変光源を用いた歪測定装置。
【請求項15】
所定の波長範囲の光を発振し、該光を測定光としてファイバブラッググレーティング(15a、15b)に入射させる請求項7、9及び13のいずれかに記載の波長可変光源(100)と、
前記ファイバブラッググレーティングに入射された前記測定光であって、該ファイバブラッググレーティングによって反射された光又は該ファイバブラッググレーティングを透過した光を受けて第2の電気信号に変換する第2の受光器(12)と、
該第2の受光器から出力される前記第2の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を求めるとともに、前記第1の受光器から出力される前記第1の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記半導体レーザの出射光の波長を求める処理手段(13)とを備えたことを特徴とする波長可変光源を用いた歪測定装置。
【請求項1】
一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、
該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、
該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、
該回折格子から出射された前記コリメート光に対する回折光を受けて該回折格子に反射させるミラー(4)と、
該ミラーからの反射光が前記回折格子に入射されて再び回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記ミラーの角度を変化させる角度調整手段(5)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記ミラーとの間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源において、
前記共振器長が、該共振器長に基づいた外部共振モードで発振する光が多モード発振による光となるような当該共振器長であることを特徴とする波長可変光源。
【請求項2】
一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、
該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、
該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、
反射体(35)と反射体駆動手段(50)とを含んで構成され、前記回折格子から入射される前記コリメート光に対する回折光が、前記反射体の反射面で該回折格子へ反射されて、再び該回折格子で回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記反射体の反射面の角度を前記反射体駆動手段により変化させるMEMSスキャナ(60)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記反射体の反射面との間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源であって、
前記共振器長が、該共振器長に基づいた外部共振モードで発振する光が多モード発振による光となるような当該共振器長であることを特徴とする波長可変光源。
【請求項3】
前記MEMSスキャナの反射体は、
固定基板(36、37)と、
該固定基板の縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部(38、39)と、
該軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に前記回折格子からの回折光を反射させるための前記反射面が設けられた反射板(40)とを有しており、かつ、
前記MEMSスキャナの反射体駆動手段は、
前記反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の駆動信号によって前記反射板に力を与えて、該反射板を前記固有振動数又はそれに近い振動数で往復回転させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の波長可変光源。
【請求項4】
前記半導体レーザと前記コリメートレンズとの間に所定の長さの光ファイバ(6)を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波長可変光源。
【請求項5】
前記コリメートレンズと前記回折格子との間に光路長が15cm以上の空間伝搬路(17)を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波長可変光源。
【請求項6】
前記空間伝搬路が、コーナーキューブ(17a)を含んで構成されることを特徴とする請求項5に記載の波長可変光源。
【請求項7】
前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、
該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを更に備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にしたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の波長可変光源。
【請求項8】
前記回折格子の0次光を出力光とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の波長可変光源。
【請求項9】
前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられ、該0次光を2つに分岐して一方の0次光を前記出力光として出射する光分岐手段(16)と、
該光分岐手段から出射される他方の0次光を受けて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、
該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを更に備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にしたことを特徴とする請求項8に記載の波長可変光源。
【請求項10】
一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、
該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光をコリメートするコリメートレンズ(2)と、
該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、
該回折格子から出射された前記コリメート光に対する回折光を受けて該回折格子に反射させるミラー(4)と、
該ミラーからの反射光が前記回折格子に入射されて再び回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記ミラーの角度を変化させる角度調整手段(5)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記ミラーとの間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振する波長可変光源において、
前記半導体レーザと前記コリメートレンズとの間に、該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光を受けて所定の長さ伝送して該コリメートレンズに入射させる光ファイバ(6)を備えたことを特徴とする波長可変光源。
【請求項11】
一方のレーザ光出射端面がARコートされている半導体レーザ(1)と、
該半導体レーザのARコートされている端面から出射された光を受けて所定の長さ伝送させる光ファイバ(6)と、
該光ファイバから出射された光を受けてコリメートするコリメートレンズ(2)と、
該コリメートレンズから出射されたコリメート光を受けて波長に応じた角度で回折させる回折格子(3)と、
反射体(35)と反射体駆動手段(50)とを含んで構成され、前記回折格子から入射される前記コリメート光に対する回折光が、前記反射体の反射面で該回折格子へ反射されて、再び該回折格子で回折され、それによって得られた回折光が前記コリメートレンズ及び前記光ファイバを介して前記半導体レーザに入射されるとき、該半導体レーザに入射される回折光が所望の波長の光となるように前記反射体の反射面の角度を前記反射体駆動手段により変化させるMEMSスキャナ(60)とを備え、前記半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前記反射体の反射面との間で構成される共振器長に基づいた外部共振モードで発振することを特徴とする波長可変光源。
【請求項12】
前記MEMSスキャナの反射体は、
固定基板(36、37)と、
該固定基板の縁部から所定幅で所定長さ延設され、その長さ方向に沿って捩じれ変形可能な軸部(38、39)と、
該軸部の先端に自身の縁部で連結されて形成され、一面側に前記回折格子からの回折光を反射させるための前記反射面が設けられた反射板(40)とを有しており、かつ、
前記MEMSスキャナの反射体駆動手段は、
前記反射体の軸部と反射板とからなる部分の固有振動数に対応した周波数の駆動信号によって前記反射板に力を与えて、該反射板を前記固有振動数又はそれに近い振動数で往復回転させるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の波長可変光源。
【請求項13】
前記回折格子の0次光が出射される光路上に設けられて所定の波長の光を透過させる光共振器(7)と、
該光共振器から出射される透過光を受けて第1の電気信号に変換する第1の受光器(8)とを更に備え、該第1の受光器から出力される前記第1の電気信号から前記半導体レーザの出射光の波長を求めることを可能にしたことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の波長可変光源。
【請求項14】
所定の波長範囲の光を発振し、該光を測定光としてファイバブラッググレーティング(15a、15b)に入射させる請求項1〜13のいずれかに記載の波長可変光源(100)と、
前記ファイバブラッググレーティングに入射された前記測定光であって、該ファイバブラッググレーティングによって反射された光又は該ファイバブラッググレーティングを透過した光を受けて第2の電気信号に変換する第2の受光器(12)と、
該第2の受光器から出力される前記第2の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を求める処理手段(13)とを備えたことを特徴とする波長可変光源を用いた歪測定装置。
【請求項15】
所定の波長範囲の光を発振し、該光を測定光としてファイバブラッググレーティング(15a、15b)に入射させる請求項7、9及び13のいずれかに記載の波長可変光源(100)と、
前記ファイバブラッググレーティングに入射された前記測定光であって、該ファイバブラッググレーティングによって反射された光又は該ファイバブラッググレーティングを透過した光を受けて第2の電気信号に変換する第2の受光器(12)と、
該第2の受光器から出力される前記第2の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記ファイバブラッググレーティングに加わった歪みの変動を求めるとともに、前記第1の受光器から出力される前記第1の電気信号と、前記波長可変光源から出力される前記ミラー又は前記反射体の反射面の角度を変化させるための信号とに基づいて、前記半導体レーザの出射光の波長を求める処理手段(13)とを備えたことを特徴とする波長可変光源を用いた歪測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−49785(P2006−49785A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251670(P2004−251670)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】
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