説明

洗浄液供給装置、端縁洗浄装置、端縁洗浄液、および端縁洗浄方法

【課題】塗布膜に対する洗浄液の浸透を抑制し、それにより有効領域における塗布膜の隆起や傾斜を抑制することができる洗浄液供給装置、端縁洗浄装置、端縁洗浄液、および端縁洗浄方法を提供する。
【解決手段】基板の端縁からレジスト膜を除去するための洗浄液として、有機溶剤と純水との混合液を使用する。これにより、有機溶剤を単独で使用した場合と比べてレジスト膜に対する洗浄液の浸透が抑制される。したがって、基板の端縁に向けて吐出された洗浄液が有効領域のレジスト膜中に浸透することが抑制され、その結果、有効領域におけるレジスト膜の隆起や傾斜が抑制される。洗浄液中の純水の比率は、1.0重量%以上かつ5.0重量%未満とすればよく、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満とすればより望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置用基板、カラーフィルタ用基板、太陽電池用基板、フォトマスク用基板、半導体ウエハ等のような電子部品製造用の各種の基板の表面に形成された塗布膜の端縁部分を洗浄液により溶解して除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板の製造工程においては、基板の表面にフォトレジスト等の塗布液を塗布し、当該塗布液を乾燥硬化させて塗布膜化した後、塗布膜の端縁部分を洗浄液により溶解して除去する処理が行われている。塗布膜の端縁部分を除去するのは、後続の工程において搬送アームやカセット等の保持具に基板の端縁が当接した際に、塗布膜の端縁部分が剥離してパーティクルとなることを防止するためである。
【0003】
塗布膜の端縁部分を除去する処理は、基板を保持する保持部と、基板の端縁に向けて洗浄液を吐出するノズル部とを備えた端縁洗浄装置において行われる。端縁洗浄装置は、所定の洗浄液供給機構から供給された洗浄液をノズル部を介して基板の端縁に吐出することにより、塗布膜の端縁部分を溶解して除去する。従来、このような端縁洗浄装置は、洗浄液として有機溶剤を使用していた。有機溶剤を使用して塗布膜の端縁部分を除去する従来の技術については、例えば、特許文献1,2に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−326166号公報
【特許文献2】特開平5−175117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のように洗浄液として有機溶剤を単独で使用すると、基板の端縁に向けて吐出された洗浄液が有効領域(除去すべきでない領域)の塗布膜中へ浸透し易いという問題があった。このため、図11に示したように、洗浄処理後の基板90の上面において、有効領域の塗布膜の周縁部分に隆起91が発生したり、干渉縞として観察されるスロープ状の傾斜92が発生したりする場合があった。このように塗布膜に膜厚の不均一な部分が発生すると、後続の工程において露光の強度を調整しなければならないなどの不都合が生じる。また、有効領域側へ浸透した洗浄液により溶解された有効領域の塗布膜が、基板の端縁側へ流れ出して端縁の上面に再付着し、残渣93となる場合もあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、塗布膜に対する洗浄液の浸透を抑制し、それにより有効領域における塗布膜の隆起や傾斜を抑制することができる洗浄液供給装置、端縁洗浄装置、端縁洗浄液、および端縁洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、基板の表面に形成された塗布膜の端縁部分を洗浄液により溶解して除去する端縁洗浄装置に対して前記洗浄液を供給する洗浄液供給装置であって、有機溶剤と純水との混合液を前記洗浄液として貯留する貯留タンクと、前記貯留タンクから前記端縁洗浄装置へ前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、を備え、前記洗浄液中の純水の比率は、1.0重量%以上かつ5.0重量%未満であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の洗浄液供給装置であって、前記洗浄液中の純水の比率は、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の洗浄液供給装置であって、前記貯留タンクに有機溶剤を供給する有機溶剤供給手段と、前記貯留タンクに純水を供給する純水供給手段と、前記貯留タンクに貯留される前記洗浄液中の純水の比率が目標値となるように、前記有機溶剤供給手段の供給量および前記純水供給手段の供給量を制御する制御手段と、を更に備える。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の洗浄液供給装置であって、前記貯留タンクに貯留された液体の量を検出する液量検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記液量検出手段の検出値に基づいて前記有機溶剤供給手段の供給量および前記純水供給手段の供給量を制御することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項3に記載の洗浄液供給装置であって、前記貯留タンクに貯留された前記洗浄液中の純水の比率を計測する含水率計測手段を更に備え、前記制御手段は、前記含水率計測手段の計測値に基づいて前記有機溶剤供給手段の供給量および前記純水供給手段の供給量を制御することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の洗浄液供給装置であって、前記貯留タンクに貯留された前記洗浄液を攪拌する攪拌手段を更に備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明は、基板の表面に形成された塗布膜の端縁部分を洗浄液により溶解して除去する端縁洗浄装置であって、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の洗浄液供給装置と、前記洗浄液供給装置から供給された前記洗浄液を基板の端縁に向けて供給する供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の端縁洗浄装置であって、基板の端縁外側に配置され、前記供給手段から供給された前記洗浄液および前記洗浄液により溶解された塗布膜の成分を吸引する吸引手段を更に備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9に係る発明は、請求項7または請求項8に記載の端縁洗浄装置であって、基板の温度を計測する温度計測手段と、前記温度計測手段の計測値に基づいて前記洗浄液供給装置から供給される洗浄液の温度を制御する温度制御手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0016】
請求項10に係る発明は、基板の表面に形成された塗布膜の端縁部分を溶解して除去する端縁洗浄液であって、有機溶剤と純水との混合液であり、前記混合液中の純水の比率は、1.0重量%以上かつ5.0重量%未満であることを特徴とする。
【0017】
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の端縁洗浄液であって、前記混合液中の純水の比率は、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満であることを特徴とする。
【0018】
請求項12に係る発明は、基板の表面に形成された塗布膜の端縁部分を洗浄液により溶解して除去する端縁洗浄方法であって、a)有機溶剤と純水との混合液を前記洗浄液として所定のノズル部へ供給する工程と、b)前記工程a)において供給された前記洗浄液を、前記ノズル部から基板の端縁に向けて供給する工程と、を含み、前記洗浄液中の純水の比率は、1.0重量%以上かつ5.0重量%未満であることを特徴とする。
【0019】
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の端縁洗浄方法であって、前記洗浄液中の純水の比率は、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜13に記載の発明によれば、有機溶剤と純水との混合液を洗浄液として使用する。また、洗浄液中の純水の比率を1.0重量%以上かつ5.0重量%未満とする。このため、塗布膜に対する洗浄液の浸透を抑制することができ、それにより有効領域における塗布膜の隆起や傾斜を抑制することができる。
【0021】
特に、請求項2、11、および13に記載の発明によれば、洗浄液中の純水の比率を3.0重量%以上かつ4.0重量%未満とする。このため、基板の端縁から塗布膜を良好に除去しつつ、有効領域における塗布膜の隆起や傾斜を更に抑制することができる。
【0022】
特に、請求項3に記載の発明によれば、洗浄液供給装置は、貯留タンクに有機溶剤を供給する有機溶剤供給手段と、貯留タンクに純水を供給する純水供給手段と、貯留タンクに貯留される洗浄液中の純水の比率が目標値となるように、有機溶剤供給手段の供給量および純水供給手段の供給量を制御する制御手段と、を備える。このため、塗布膜の種類や種々の洗浄条件に応じて、洗浄液中の純水の比率を適切な値に制御することができる。
【0023】
特に、請求項4に記載の発明によれば、洗浄液供給装置は、貯留タンクに貯留された液体の量を検出する液量検出手段を更に備え、制御手段は、液量検出手段の検出値に基づいて有機溶剤供給手段の供給量および純水供給手段の供給量を制御する。このため、洗浄液中の純水の比率を、液量の実測値に基づいて適切に制御することができる。
【0024】
特に、請求項5に記載の発明によれば、洗浄液供給装置は、貯留タンクに貯留された洗浄液中の純水の比率を計測する含水率計測手段を更に備え、制御手段は、含水率計測手段の計測値に基づいて有機溶剤供給手段の供給量および純水供給手段の供給量を制御する。このため、洗浄液中の純水の比率を、当該比率の実測値に基づいて適切に制御することができる。
【0025】
特に、請求項6に記載の発明によれば、洗浄液供給装置は、貯留タンクに貯留された洗浄液を攪拌する攪拌手段を更に備える。このため、洗浄液中の有機溶剤と純水とを均一に混合させることができる。
【0026】
特に、請求項8に記載の発明によれば、端縁洗浄装置は、基板の端縁外側に配置され、供給手段から供給された洗浄液および洗浄液により溶解された塗布膜の成分を吸引する吸引手段を備える。このため、洗浄液および洗浄液により溶解された塗布膜の成分を良好に排出することができる。また、有効領域の塗布膜に対する洗浄液の浸透が抑制されるため、吸引手段の吸引力により有効領域の塗布膜成分が端縁側へ流れ出して残渣化することも防止することができる。
【0027】
特に、請求項9に記載の発明によれば、端縁洗浄装置は、基板の温度を計測する温度計測手段と、温度計測手段の計測値に基づいて洗浄液供給装置から供給される洗浄液の温度を制御する温度制御手段と、を更に備える。このため、基板の温度に応じて適切な温度の洗浄液を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0029】
<1.基板処理システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る端縁洗浄装置4を含む基板処理システム1全体の概要を示した図である。この基板処理システム1は、液晶表示装置用角形ガラス基板9(以下、単に「基板9」という)のフォトリソグラフィ工程において、基板9の表面のうち端縁部を除いた有効領域にレジスト膜を形成するためのシステムである。図1に示したように、基板処理システム1は、塗布装置2、減圧乾燥装置3、端縁洗浄装置4、およびこれらの装置の間で基板9を搬送する搬送機構5,6を備えている。これらの塗布装置2、減圧乾燥装置3、端縁洗浄装置4、および搬送機構5,6は、温度および湿度が一定に維持されたクリーンルーム内に配置される。
【0030】
塗布装置2は、基板9の上面中央位置にレジスト液を滴下した後、鉛直軸Lを中心として基板9を回転させることにより、基板9の上面にレジスト液を塗布するための装置である。塗布装置2は、基板9を水平姿勢に支持しつつ回転させるスピンチャック2aと、スピンチャック2aに支持された基板9の上面にレジスト液を滴下するレジスト液供給ノズル2bとを備えている。基板9の上面に塗布されるレジスト液としては、ノボラック系フォトレジスト等の有機溶剤を主成分とするレジスト液が使用される。レジスト液塗布後の基板9は、搬送機構5により塗布装置2から搬出され、減圧乾燥装置3へ搬入される。
【0031】
減圧乾燥装置3は、基板9の上面に塗布されたレジスト液を減圧により乾燥硬化させるための装置である。減圧乾燥装置3は、基板9を内部に収容する減圧チャンバ3aと、減圧チャンバ3aの内部において基板9を支持する支持ピン3bと、減圧チャンバ3aの内部の気体を強制排気する排気機構3cとを備えている。排気機構3cを動作させると、減圧チャンバ3aの内部の圧力が低下し、レジスト液の溶媒成分が気化することにより、基板9の上面に塗布されたレジスト液が乾燥硬化してレジスト膜となる。減圧乾燥後の基板9は、搬送機構6により減圧乾燥装置3から搬出され、端縁洗浄装置4に搬入される。
【0032】
端縁洗浄装置4は、基板9の端縁に洗浄液を供給して端縁のレジスト膜を除去するための装置である。端縁洗浄装置4は、基板9を真空吸着により保持する保持部10と、保持部10に保持された基板9の端縁に洗浄液を供給する4つのノズル部20とを備えている。端縁洗浄装置4は、保持部10に保持された基板9の各辺に沿って4つのノズル部20を移動させつつ、各ノズル部20から洗浄液を吐出することにより、基板9の端縁に形成されたレジスト膜を溶解して除去する。
【0033】
<2.端縁洗浄装置の構成>
続いて、上記の端縁洗浄装置4の詳細な構成について説明する。図2は、端縁洗浄装置4の縦断面図である。また、図3は、端縁洗浄装置4の上面図である。図2および図3に示したように、端縁洗浄装置4は、基板9を水平姿勢に保持する保持部10を備えるとともに、保持部10に保持された基板9の側方位置に4つのノズル部20を配置した構成となっている。保持部10は、基板9を載置する載置面を有し、当該載置面には図示しない真空吸引孔が設けられている。このため、載置面上に載置された基板9は載置面に吸着され、これにより基板9は安定して保持される。
【0034】
4つのノズル部20は、いずれも同等の構成を有しており、図4はその拡大縦断面図である。また、図5は、図4のA−A線位置からノズル部20を見た図である。ノズル部20は、内部に洗浄液流路21aと窒素ガス流路21bとを有するノズルブロック21を有している。洗浄液流路21aの上流側は、ノズルブロック21の上部に形成された洗浄液導入部21cを介して洗浄液供給チューブ22に流路接続されている。また、洗浄液流路21aの下流側は、ノズルブロック21の下部に形成された8本の洗浄液吐出ノズル21dに流路接続されている。8本の洗浄液吐出ノズル21dは、保持部10に保持された基板9の端縁の上方位置に配置されている。洗浄液供給チューブ22に供給された洗浄液は、洗浄液導入部21cおよび洗浄液流路21aを介して8本の洗浄液吐出ノズル21dへ導入され、各洗浄液吐出ノズル21dの先端から基板9の端縁上面に向けて吐出される。
【0035】
一方、窒素ガス流路21bの上流側は、ノズルブロック21の上部に形成された窒素ガス導入部21eを介して窒素ガス供給チューブ23に流路接続されている。また、窒素ガス流路21bの下流側は、ノズルブロック21の下部に形成された8本の窒素ガス吐出ノズル21fに流路接続されている。8本の窒素ガス吐出ノズル21fは、洗浄液吐出ノズル21dよりも基板9の中央側寄りの位置に配置されており、その吐出方向は基板9の端縁側に向けられている。窒素ガス供給チューブ23に供給された窒素ガスは、窒素ガス導入部21eおよび窒素ガス流路21bを介して8本の窒素ガス吐出ノズル21fへ導入され、各窒素ガス吐出ノズル21fの先端から基板9の端縁上面へ向けて斜めに吐出される。
【0036】
図6は、基板9の端縁上面に対する洗浄液吐出ノズル21dおよび窒素ガス吐出ノズル21fの吐出状態を模式的に示した図である。図6に示したように、洗浄液吐出ノズル21dは、基板9の端縁上面に対して洗浄液を吐出し、これにより基板9の端縁上面のレジスト膜が溶解される。また、窒素ガス吐出ノズル21fは、洗浄液吐出ノズル21dよりもやや内側の位置から基板9の端縁へ向けて窒素ガスを吐出する。このため、基板9の端縁上面に吐出された洗浄液および洗浄液により溶解されたレジスト膜の成分は、窒素ガス吐出ノズル21fから吐出された窒素ガスによって基板9の外側方向へ吹き飛ばされ、後述する吸引管26へ吸引される。
【0037】
図4および図5に戻り、ノズル部20は、基板9の端縁下方位置にも8本の洗浄液吐出ノズル24aを備えている。8本の洗浄液吐出ノズル24aは、洗浄液導入部24bを介して洗浄液供給チューブ25に流路接続されている。洗浄液供給チューブ25に供給された洗浄液は、洗浄液導入部24bを介して8本の洗浄液吐出ノズル24aへ導入され、洗浄液吐出ノズル24aの先端から基板9の端縁下面に向けて吐出される。洗浄液吐出ノズル24aは、基板9の端縁下面側に洗浄液を吐出することにより、基板9の端縁上面から除去されたレジスト液の成分が基板9の端縁下面に再付着することを防止する。
【0038】
また、ノズル部20は、保持部10に保持された基板9の端縁の外側位置に配置された吸引管26を有している。吸引管26は、基板9の端縁に向けて屈曲した略L字形状をなしており、その先端が基板9の端縁に対向する吸引口26aとなっている。また、吸引管26の下部には吸引源29bに接続された排気チューブ28(図2,図3参照)が接続されている。吸引管26の内部には、吸引口26aより吸引源29bに向かって排気による下向きの気流が形成され、これにより基板9の端縁付近には吸引口26aへ向かう吸引力が発生する。基板9の端縁上面および端縁下面に向けて吐出された洗浄液や、洗浄液により溶解されたレジスト膜の成分は、吸引口26aを介して吸引管26の内部へ吸引され、排気チューブ28を通ってドレンタンク29aへ排出される。また、ドレンタンク29へ排出された液体および気体は気液分離され、液体は廃液され、気体は吸引源29bへ排出される。
【0039】
ノズル部20は、ブラケット31を介して図2に示した支持アーム32に固定されている。また、支持アーム32は、固定フレーム33の側壁内面に水平方向に敷設された上下一対のガイドレールに取り付けられている。このため、支持アーム32、ブラケット31、およびノズル部20は、一体としてガイドレール34に沿って水平に移動することができる。
【0040】
固定フレーム33は上部が開放された箱形形状をなしており、その1つの角部には、駆動モータ35が設置されている。駆動モータ35は、モータブラケット36に固定されているとともに、駆動モータ35の駆動軸には駆動プーリ37が連結されている。また、図2および図3に示したように、固定フレーム33の4つの角部には、それぞれ従動プーリ38が設置されており、駆動プーリ37および複数の従動プーリ38には上下一対の環状ワイヤ39が掛け渡されている。駆動モータ35を回転させると、駆動プーリ37と従動プーリ38とが同期して回転し、保持部10に保持された基板9の各辺の端縁に沿って4つのノズル部20がそれぞれ移動する。すなわち、駆動モータ35、駆動プーリ37、従動プーリ38、およびガイドレール34は、4つのノズル部20を基板9の端縁に沿って移動させるための移動機構30を構成している。
【0041】
<3.洗浄液供給機構の構成>
続いて、上記のノズル部20に対して洗浄液を供給する洗浄液供給機構40について説明する。なお、以下に説明する洗浄液供給機構40は、上記の端縁洗浄装置4の一部であってもよく、あるいは、端縁洗浄装置4に接続して使用される別体の装置であってもよい。
【0042】
図7は、洗浄液供給機構40の構成を示した図である。図7に示したように、洗浄液供給機構40は、有機溶剤加圧タンク41と含水率調整タンク42とを有し、これらのタンクを介してノズル部20へ洗浄液を供給する構成となっている。有機溶剤加圧タンク41は、配管43aを介して工場内の有機溶剤供給源61に接続される。配管43a上の開閉弁43bを開放すると、有機溶剤供給源61から配管43aを通って有機溶剤加圧タンク41に有機溶剤が供給され、有機溶剤加圧タンク41の内部に有機溶剤が貯留される。また、有機溶剤加圧タンク41は、配管44aを介して工場内の窒素ガス供給源62に接続される。配管44a上の開閉弁44bを開放すると、窒素ガス供給源62から配管44aを通って有機溶剤加圧タンク41に窒素ガスが供給される。
【0043】
また、有機溶剤加圧タンク41の底部には配管45が接続されており、配管45の下流側の端部は含水率調整タンク42の上部に接続されている。開閉弁44bが開放されて有機溶剤加圧タンク41の内部に窒素ガスが供給されると、有機溶剤加圧タンク41の内部が加圧され、その窒素ガスの圧力によって、有機溶剤加圧タンク41から配管45を通って含水率調整タンク42に有機溶剤が送給される。
【0044】
有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとの混合液が使用される。但し、これ以外にも、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、蟻酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチルなどのエステル類や、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類や、四塩化炭素、トリクロルエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロルエタン、モノクロルベンゼン、クロルナフタリンなどのハロゲン化炭化水素類や、テトラヒドロブラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエーテル類や、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキサイドなどを用いることができる。これらの各種有機溶剤は、単独あるいは混合液として使用することができ、界面活性剤等の添加成分を含むものであってもよい。
【0045】
含水率調整タンク42は、配管46aを介して工場内の純水供給源63に接続される。また、配管46aの経路途中には、入力された設定値に応じた量の純水を下流側へ送給できる定量供給機構46bが介挿されている。定量供給機構46bは、例えば、シリンジポンプなどを利用して構成することができる。定量供給機構46bを動作させると、純水供給源63から配管46aを通って含水率調整タンク42に所定量の純水が供給される。
【0046】
含水率調整タンク42の底部には、含水率調整タンク42の内部に貯留された液体の重量を計測することによりその液量を検出する液量検出機構47が付設されている。後述する制御部51は、液量検出機構47の検出値に基づいて定量供給機構46bの純水供給量を調節し、これにより、有機溶剤と純水との混合液中における純水の比率が予め設定された目標含水率Rt(重量%)となるように制御する。この目標含水率Rtは、1.0重量%以上かつ5.0重量%未満の値とされ、望ましくは、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満の値とされる。
【0047】
また、含水率調整タンク42の内部には、含水率調整タンク42の内部に供給された有機溶剤と純水とを互いに攪拌させることによりこれらを混合する攪拌機構48が設けられている。攪拌機構48は、例えば、マグネティックスターラを使用して構成することができる。含水率調整タンク42の内部に供給された有機溶剤および純水は、攪拌機構48により攪拌され、これにより均一な洗浄液が生成される。
【0048】
また、含水率調整タンク42は、配管49aを介して工場内の窒素ガス供給源64に接続される。このため、配管49a上の開閉弁49bを開放すると、窒素ガス供給源64から配管49aを通って含水率調整タンク42に窒素ガスが供給される。更に、含水率調整タンク42の底部には配管50が接続されており、配管50の下流側の端部はノズル部20の洗浄液供給チューブ22,25に接続されている。開閉弁49bが開放されて含水率調整タンク42の内部に窒素ガスが供給されると、含水率調整タンク42の内部が加圧され、その窒素ガスの圧力によって、含水率調整タンク42から配管50を通って洗浄液供給チューブ22,25に洗浄液が送給される。
【0049】
上記の開閉弁43b,44b,49b、定量供給機構46b、液量検出機構47、および攪拌機構48は、1つの制御部51と電気的に接続されている。制御部51は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータ装置により構成される。制御部51には、有機溶剤の初期含水率や、洗浄液の目標含水率Rtや、液量検出機構の基準値などの種々の値が予め設定されており、制御部51は、これらの設定値や液量検出機構47からの検出信号に基づいて上記の開閉弁43b,44b,49b、定量供給機構46b、および攪拌機構48の動作を制御することにより、洗浄液の生成および供給の処理を進行させる。
【0050】
このような洗浄液供給機構40における洗浄液の生成および供給の動作について、図8のフローチャートを参照しつつ以下に説明する。洗浄液供給機構40において洗浄液を生成するときには、まず、制御部51は、配管43a上の開閉弁43bを開放する。これにより、有機溶剤供給源61から有機溶剤加圧タンク41に有機溶剤が供給され、有機溶剤加圧タンク41の内部に有機溶剤が貯留される(ステップS1)。所定時間または所定のセンシング位置にて有機溶剤の供給が完了すると、制御部51は再び開閉弁43bを閉鎖し、有機溶剤の供給を停止する。
【0051】
次に、制御部51は、配管44a上の開閉弁44bを開放する。これにより、窒素ガス供給源62から有機溶剤加圧タンク41に窒素ガスが供給され、有機溶剤加圧タンク41の内部が加圧されることによって有機溶剤加圧タンク41から含水率調整タンク42へ有機溶剤が圧送される(ステップS2)。ここで、液量検出機構47の計測値は、含水率調整タンク42の内部に貯留される有機溶剤の重量に応じて次第に上昇する。制御部51は、液量検出機構47の計測値を継続的に受信するとともに、当該計測値が予め設定された基準値に到達すると、開閉弁44bを閉鎖して有機溶剤の圧送を停止させる。
【0052】
続いて、制御部51は、配管46a上の定量供給機構46bを動作させ、これにより、純水供給源63から含水率調整タンク42に純水を供給する(ステップS3)。このとき、制御部51は、純水供給前の液量検出機構47の検出値に基づいて定量供給機構46bの純水供給量を調節し、これにより、有機溶剤と純水との混合液中における純水の比率が目標含水率Rtとなるように制御する。既述したように、目標含水率Rtは、1.0重量%以上かつ5.0重量%未満の値とされ、望ましくは、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満の値とされる。
【0053】
また、制御部51は、含水率調整タンク42の内部に配置された攪拌機構48を動作させ、含水率調整タンク42の内部に貯留された有機溶剤と純水とを攪拌させる(ステップS4)。これにより有機溶剤と純水とが良好に混合され、含水率調整タンク42の内部において、目標含水率Rtにて均一に純水を含む洗浄液が生成される。
【0054】
その後、制御部51は、配管49a上の開閉弁49bを開放する。これにより、窒素ガス供給源64から含水率調整タンク42に窒素ガスが供給され、含水率調整タンク42の内部が加圧されることによって含水率調整タンク42から配管50を通って洗浄液供給チューブ22,25へ洗浄液が圧送される(ステップS5)。そして、洗浄液供給チューブ22,25に供給された洗浄液は、洗浄液吐出ノズル21d,24aから吐出され、基板9の端縁上面および端縁下面に付着したレジスト液を溶解して除去する。
【0055】
このように、本実施形態では、基板9の端縁からレジスト膜を除去するための洗浄液として、有機溶剤と純水との混合液を使用している。このため、有機溶剤を単独で使用した場合と比べてレジスト膜に対する洗浄液の浸透が抑制される。したがって、基板9の端縁に向けて吐出された洗浄液が有効領域のレジスト膜中に浸透することが抑制され、その結果、有効領域におけるレジスト膜の隆起や傾斜が抑制される。後述する実施例に示されるように、基板9の端縁からレジスト膜を清浄に除去しつつ、有効領域におけるレジスト膜の隆起や傾斜を良好に防止する効果を得るためには、洗浄液中の純水の比率を1.0重量%以上かつ5.0重量%未満とすればよく、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満とすればより望ましい。
【0056】
また、本実施形態では、有効領域側への洗浄液の浸透が抑制されるため、有効領域におけるレジスト膜の溶解量は低減される。したがって、本実施形態のように基板9の端縁付近に吸引管26による吸引力を発生させる場合でも、有効領域のレジスト膜の成分が基板9の端縁側へ流れ出して残渣化する虞も少ない。
【0057】
<4.実施例>
表1は、上記実施形態の端縁洗浄装置4と同等の装置において、含水率R(重量%)が異なる数種類の洗浄液を準備し、それぞれの洗浄液で同じ処理の端縁洗浄を実施し、基板の洗浄状態を評価した結果を示している。表1中のn≦R<mの段には、洗浄液中の純水の比率をn重量%以上かつm重量%未満として基板の端縁洗浄を複数回行った結果の総合的な評価を示している。なお、本調査においては、塗布膜としてノボラック系ポジレジストを使用し、洗浄液中の有機溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの混合液を使用した。
【0058】
【表1】

【0059】
表1中の「隆起」の列は、端縁洗浄後のレジスト膜の周縁部に発生する隆起の状態を膜厚測定装置により測定した結果である。「隆起」の列において、「◎」はレジスト膜の中央部に対する隆起部の高さが1.3μm未満であったことを示し、「○」はレジスト膜の中央部に対する隆起部の高さが1.3μm以上かつ1.8μm未満であったことを示し、「△」はレジスト膜の中央部に対する隆起部の高さが1.8μm以上かつ2.3μm未満であったことを示している。
【0060】
また、表1中の「干渉縞」の列は、端縁洗浄後のレジスト膜の周縁部に発生する干渉縞(レジスト膜表面の傾斜)の状態を目視観察により評価した結果である。「干渉縞」の列において、「◎」は干渉縞が認められなかった又はほぼ認められなかったことを示し、「○」は干渉縞が僅かながら認められたことを示し、「△」は干渉縞が明瞭に認められたことを示している。
【0061】
また、表1中の「除去状態」の列は、端縁洗浄後の基板の端縁上面におけるレジスト膜の除去状態を目視観察により評価した結果である。「除去状態」の列において、「◎」は端縁上面のレジスト膜が清浄に除去されているとともに端縁とレジスト膜との境界線が明瞭であったことを示し、「○」は端縁上面のレジスト膜が清浄に除去されているものの端縁とレジスト膜との境界線に多少の斑が認められたことを示し、「△」は端縁上面に未溶解のレジスト膜あるいは再付着したレジスト膜の残渣が認められたことを示している。
【0062】
表1の結果を参照すると、レジスト膜の隆起を抑えるためには、洗浄液の含水率R(重量%)を1.0重量%以上かつ5.0重量%未満とすることが望ましく、2.0重量%以上かつ4.0重量%未満とすればより望ましいことが分かる。また、干渉縞の発生を抑えるためには、洗浄液の含水率R(重量%)が高いほど望ましいことが分かる。また、基板の端縁上面におけるレジスト膜の除去状態を向上させるためには、洗浄液の含水率R(重量%)を0.0重量%以上かつ5.0重量%未満とすることが望ましく、2.0重量%以上かつ4.0重量%未満とすればより望ましいことが分かる。
【0063】
したがって、基板の端縁からレジスト膜を清浄に除去しつつ、有効領域におけるレジスト膜の隆起や傾斜を良好に防止する効果を得るためには、洗浄液の含水率R(重量%)を1.0重量%以上かつ5.0重量%未満とすればよく、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満とすればより望ましいと言える。なお、本調査では特定の有機溶剤を使用したが、有機溶剤に純水を混合させたことによるレジスト膜への浸透抑制効果は有機溶剤の種類によって大きく変化するものではないと考えられる。したがって、他の有機溶剤を使用した場合にも同等の数値範囲において良好な結果を得ることができると推測される。
【0064】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、洗浄液供給機構40において、洗浄液中の純水の比率をより正確に制御するために、洗浄液中の純水の比率を計測し、その計測値に基づいて有機溶剤の供給量および純水の供給量を制御するようにしてもよい。具体的には、図9に示すように、含水率調整タンク42とノズル部20とを繋ぐ配管50の経路途中に含水率計測センサ52を介挿し、含水率計測センサ52の計測値が目標含水率Rtに近づくように、制御部51が開閉弁44bおよび定量供給機構46bの動作を制御すればよい。
【0065】
また、上記実施形態の液量検出機構47は、含水率調整タンク42の内部に貯留された液体の重量を計測することによりその液量を検出するものであったが、他の計測方法によって含水率調整タンク42内の液量を検出するようにしてもよい。例えば、液面センサを使用して含水率調整タンク42内の液量を検出するようにしてもよい。
【0066】
また、上記の実施形態では、含水率調整タンク42の内部において有機溶剤と純水とを混合させていたが、ミキシングバルブ等を利用して配管の内部において有機溶剤と純水とを混合させるようにしてもよい。また、予め有機溶剤と純水との混合液が貯留されたタンクを用意し、当該タンクから端縁洗浄装置4に有機溶剤と純水との混合液を供給するようにしてもよい。但し、上記実施形態のように含水率調整タンク42の内部において洗浄液を生成する方が、洗浄液中の純水の比率を最適な値に制御することができるため望ましい。
【0067】
また、上記の実施形態では、有機溶剤を一旦有機溶剤加圧タンク41に貯留し、有機溶剤加圧タンク41から含水率調整タンク42へ有機溶剤を圧送していたが、有機溶剤は、工場内の有機溶剤供給源あるいはキャニスタ缶から直接含水率調整タンク42に供給されるようにしてもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、温度が一定に維持されたクリーンルーム内においてレジスト液の塗布から端縁洗浄までの一連の処理を行っていた。このため、基板9、レジスト膜、および洗浄液の温度はほぼ等しい状態となっていたが、端縁洗浄装置4においてより良好な洗浄状態を得るために、基板9の温度に応じて洗浄液の温度を積極的に制御するようにしてもよい。具体的には、図10に示すように、基板9の温度を計測するサーモグラフィ等の温度センサ53を保持部10の近傍に設置するとともに、洗浄液の温度を計測する温度計54および洗浄液の温度を調節する温度調節部55を配管50の経路途中に介挿する。そして、制御部51が、温度センサ53の計測値と温度計54の計測値とを受信してこれらの計測値が一定の誤差範囲となるように温度調節部55の動作を制御するようにすればよい。
【0069】
このように洗浄液の温度を積極的に制御すれば、有効領域のレジスト膜のうち、中央部と洗浄液に接触する周縁部との間の温度差をより低減することができる。したがって、レジスト膜の中央部と周縁部との間に斑が発生することを防止することができる。このような斑を良好に防止するために、基板9と洗浄液とはいずれも21.0℃以上かつ25.0℃以下とされ、これらの温度差は±3.0℃以内とされることが望ましい。なお、上記実施形態における環境湿度は、洗浄液の揮発速度を適正に維持するために、55.0%以上かつ75.0%以下とされることが望ましい。
【0070】
また、上記の実施形態では、洗浄液を基板9へ供給するにつけ、洗浄液吐出ノズル21dから洗浄液を吐出させたが、その他に例えば、高圧力で洗浄液を基板9へ向けて噴出するようにしたり、或いは、高速に吹き出す気体の流れ乗せて液体を勢いよく飛沫状に吹き出す気液混合ノズルを使用して洗浄液を基板9へ吹き付けるようにしてもよい。
【0071】
また、上記の実施形態では、ガスを基板9へ供給するにつけ、窒素ガス吐出ノズル21fから窒素ガスを吐出させたが、その他に例えば、高圧力で窒素ガスを基板9へ向けて噴出するようにしてもよい。ガスの種類も、窒素ガスに限らず、清浄な空気でもよい。
【0072】
また、上記の実施形態では、基板として液晶表示装置用角形ガラス基板を使用していたが、本発明において処理対象となる基板は、カラーフィルタ用基板、太陽電池用基板、フォトマスク用基板、半導体ウエハ等の他の基板であってもよい。また、本発明において除去対象となる塗布膜も、例えばカラーフィルタ膜や、その他の塗布膜でもよく、レジスト膜に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】基板処理システム全体の概要を示した図である。
【図2】端縁洗浄装置の縦断面図である。
【図3】端縁洗浄装置の上面図である。
【図4】ノズル部の拡大縦断面図である。
【図5】図4のA−A線位置からノズル部を見た図である。
【図6】基板の端縁上面に対する洗浄液および窒素ガスの吐出状態を模式的に示した図である。
【図7】洗浄液供給機構の構成を示した図である。
【図8】洗浄液の生成および供給の動作の流れを示したフローチャートである。
【図9】変形例に係る洗浄液供給機構の構成を示した図である。
【図10】洗浄液の温度調節機構の構成を示した図である。
【図11】従来の端縁洗浄後の基板の状態を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0074】
1 基板処理システム
2 塗布装置
3 減圧乾燥装置
4 端縁洗浄装置
9 基板
10 保持部
20 ノズル部
21d 洗浄液吐出ノズル
21f 窒素ガス吐出ノズル
24a 洗浄液吐出ノズル
26 吸引管
30 移動機構
40 洗浄液供給機構
42 含水率調整タンク
43a,44a,45,46a,49a,50 配管
43b,44b,49b 開閉弁
46b 定量供給機構
47 液量検出機構
48 攪拌機構
51 制御部
52 含水率計測センサ
53 温度センサ
54 温度計
55 温度調節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成された塗布膜の端縁部分を洗浄液により溶解して除去する端縁洗浄装置に対して前記洗浄液を供給する洗浄液供給装置であって、
有機溶剤と純水との混合液を前記洗浄液として貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクから前記端縁洗浄装置へ前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段と、
を備え、
前記洗浄液中の純水の比率は、1.0重量%以上かつ5.0重量%未満であることを特徴とする洗浄液供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄液供給装置であって、
前記洗浄液中の純水の比率は、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満であることを特徴とする洗浄液供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の洗浄液供給装置であって、
前記貯留タンクに有機溶剤を供給する有機溶剤供給手段と、
前記貯留タンクに純水を供給する純水供給手段と、
前記貯留タンクに貯留される前記洗浄液中の純水の比率が目標値となるように、前記有機溶剤供給手段の供給量および前記純水供給手段の供給量を制御する制御手段と、
を更に備えることを特徴とする洗浄液供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の洗浄液供給装置であって、
前記貯留タンクに貯留された液体の量を検出する液量検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記液量検出手段の検出値に基づいて前記有機溶剤供給手段の供給量および前記純水供給手段の供給量を制御することを特徴とする洗浄液供給装置。
【請求項5】
請求項3に記載の洗浄液供給装置であって、
前記貯留タンクに貯留された前記洗浄液中の純水の比率を計測する含水率計測手段を更に備え、
前記制御手段は、前記含水率計測手段の計測値に基づいて前記有機溶剤供給手段の供給量および前記純水供給手段の供給量を制御することを特徴とする洗浄液供給装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の洗浄液供給装置であって、
前記貯留タンクに貯留された前記洗浄液を攪拌する攪拌手段を更に備えることを特徴とする洗浄液供給装置。
【請求項7】
基板の表面に形成された塗布膜の端縁部分を洗浄液により溶解して除去する端縁洗浄装置であって、
請求項1から請求項6までのいずれかに記載の洗浄液供給装置と、
前記洗浄液供給装置から供給された前記洗浄液を基板の端縁に向けて供給する供給手段と、
を備えることを特徴とする端縁洗浄装置。
【請求項8】
請求項7に記載の端縁洗浄装置であって、
基板の端縁外側に配置され、前記供給手段から供給された前記洗浄液および前記洗浄液により溶解された塗布膜の成分を吸引する吸引手段を更に備えることを特徴とする端縁洗浄装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の端縁洗浄装置であって、
基板の温度を計測する温度計測手段と、
前記温度計測手段の計測値に基づいて前記洗浄液供給装置から供給される洗浄液の温度を制御する温度制御手段と、
を更に備えることを特徴とする端縁洗浄装置。
【請求項10】
基板の表面に形成された塗布膜の端縁部分を溶解して除去する端縁洗浄液であって、
有機溶剤と純水との混合液であり、
前記混合液中の純水の比率は、1.0重量%以上かつ5.0重量%未満であることを特徴とする端縁洗浄液。
【請求項11】
請求項10に記載の端縁洗浄液であって、
前記混合液中の純水の比率は、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満であることを特徴とする端縁洗浄液。
【請求項12】
基板の表面に形成された塗布膜の端縁部分を洗浄液により溶解して除去する端縁洗浄方法であって、
a)有機溶剤と純水との混合液を前記洗浄液として所定のノズル部へ供給する工程と、
b)前記工程a)において供給された前記洗浄液を、前記ノズル部から基板の端縁に向けて供給する工程と、
を含み、
前記洗浄液中の純水の比率は、1.0重量%以上かつ5.0重量%未満であることを特徴とする端縁洗浄方法。
【請求項13】
請求項12に記載の端縁洗浄方法であって、
前記洗浄液中の純水の比率は、3.0重量%以上かつ4.0重量%未満であることを特徴とする端縁洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−117439(P2009−117439A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285791(P2007−285791)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(504339790)株式会社FEBACS (4)
【Fターム(参考)】