説明

液面検知装置及び自動分析装置

【課題】ノイズと液面とを区別して検知することによって液体の液面を正しく検知することが可能な液面検知装置及び自動分析装置を提供すること。
【解決手段】液体に接触自在に上下動される導電性を有するプローブと、プローブに交流信号を印加する発振器とを備え、プローブが液体に接触した際にプローブから出力される交流信号をもとに液体の液面を検知する液面検知装置及び自動分析装置。液面検知装置1は、プローブ2が出力する交流信号の正極電圧成分を平滑化し、平滑化された正極電圧と正極閾値との正極差電圧を出力する正極波形検出部16と、プローブが出力する交流信号の負極電圧成分を平滑化し、平滑化された負極電圧と負極閾値との負極差電圧を出力する負極波形検出部17と、正極波形検出部から出力される正極差電圧と負極波形検出部から出力される負極差電圧とをもとに交流信号にノイズが混入したか否かを判定する判定部18aとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面検知装置及び自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置は、検体や試薬を正確に分注する目的からこれら液体の液面を検知する液面検知装置を使用している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の液面検知装置は、発振器に接続した電極から誘導される信号を受信電極で受信し、この受信した信号を増幅、整流して得られる出力を時定数の異なる複数の時定数回路を介して比較器に接続し、入力信号の差を検知情報としての出力信号として得ている。
【0003】
【特許文献1】特開平06−174531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の液面検知装置は、発振器に接続した電極から誘導される信号を受信電極で受信することから、自動分析装置で生ずる静電気放電等に起因したノイズも受信電極が受信する結果、液体の液面を誤検知してしまう不具合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ノイズと液面とを区別して検知することによって液体の液面を正しく検知することが可能な液面検知装置及び自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る液面検知装置は、液体に接触自在に上下動される導電性を有するプローブと、前記プローブに交流信号を印加する発振手段とを備え、前記プローブが前記液体に接触した際に前記プローブから出力される交流信号をもとに前記液体の液面を検知する液面検知装置であって、前記プローブが出力する交流信号の正極電圧成分を平滑化し、平滑化された正極電圧と正極閾値との正極差電圧を出力する正極波形検出手段と、前記プローブが出力する交流信号の負極電圧成分を平滑化し、平滑化された負極電圧と負極閾値との負極差電圧を出力する負極波形検出手段と、前記正極波形検出手段から出力される正極差電圧と前記負極波形検出手段から出力される負極差電圧とをもとに前記交流信号にノイズが混入したか否かを判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る液面検知装置は、上記の発明において、前記判定手段は、前記正極波形検出手段から出力される正極差電圧又は前記負極波形検出手段から出力される負極差電圧の極性が反転し、かつ、前記正極差電圧と前記負極差電圧の極性が異なる場合に、液面を検知したと判定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る液面検知装置は、上記の発明において、前記正極閾値と前記負極閾値とは、前記交流信号の平滑電圧値よりも小さく、前記ノイズが混入した交流信号の平滑電圧値よりも大きいことを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る液面検知装置は、上記の発明において、前記正極波形検出手段又は前記負極波形検出手段は、出力する前記正極差電圧又は前記負極差電圧の極性を反転させる反転手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項5に係る自動分析装置は、検体と試薬とを反応させることによって前記検体の成分を光学的に分析する自動分析装置であって、前記液面検知装置と、液体としての前記試薬を分注する試薬分注手段と、液体としての前記検体を分注する検体分注手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
ここで、本明細書において、「液体」とは、導電性を有する試薬並びに血液や体液等の検体を言うものとする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液面検知装置及び自動分析装置は、正極波形検出手段から出力される正極差電圧と負極波形検出手段から出力される負極差電圧とをもとに交流信号にノイズが混入したか否かを判定手段が判定するので、ノイズと液面とを区別することによって液体の液面を正しく検知することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下に、本発明の液面検知装置及び自動分析装置にかかる実施の形態1を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る液面検知装置の構成を示す図である。
【0014】
液面検知装置1は、ステンレス等の導電性金属材料からなるプローブ2、検体や試薬を収容した容器を設置する電極板4、シリンジポンプ7、三方弁10、洗浄液タンク14、プローブ洗浄部15、正極波形検出部16、負極波形検出部17及び制御部18を備えている。
【0015】
プローブ2は、駆動部3によって鉛直方向の昇降動作や回転動作を行わせ、検体や試薬を収容した容器C内に収容される液体Lqを吸引し、所定位置で吐出させることによって液体Lqを分注する。電極板4は、制御部18による制御のもとに作動する発振器5が発振する所定周波数の交流信号が印加される。
【0016】
シリンジポンプ7は、シリンダ7aとピストン7bとを有し、配管6によってプローブ2に接続されている。シリンジポンプ7は、図1に示すように、ピストン駆動部8によって駆動され、ピストン7bがシリンダ7aの内部を鉛直方向に摺動することにより、洗浄液Waを介してプローブ2に液体Lqを吸引し、又は吐出するための圧力を伝達する。
【0017】
三方弁10は、配管9によってシリンジポンプ7と、配管11によってプローブ洗浄部15と、配管12によってポンプ13を介して洗浄液タンク14と、それぞれ接続され、制御部18によって切り替えられる電磁弁である。洗浄液タンク14は、脱気水,イオン交換水或いは蒸留水等の非圧縮性流体からなる洗浄液Waを収容している。
【0018】
プローブ洗浄部15は、駆動部3による鉛直方向の昇降動作や回転動作によって移送されてくるプローブ2を洗浄液によって洗浄する。このとき、洗浄されたプローブ2は、駆動部3によって次の分注の初期位置へ移送されるが、プローブ2が移送される初期位置は、次の分注動作の内容によって異なる。
【0019】
正極波形検出部16は、プローブ2が出力する交流信号の正極電圧成分を平滑化し、平滑化された正極電圧と正極閾値との正極差電圧を出力する正極波形検出手段である。正極波形検出部16は、整流器16a、比較器16d及びインバータ16eを有しており、比較器16dの逆相端子(−)側に接続した整流器16aとコンデンサ16bとを介してプローブ2に接続され、比較器16dの正相端子(+)側には正極閾値を設定する電池16cが接続されている。
【0020】
負極波形検出部17は、プローブ2が出力する交流信号の負極電圧成分を平滑化し、平滑化された負極電圧と負極閾値との負極差電圧を出力する負極波形検出手段である。負極波形検出部17は、整流器17a及び比較器17dを有しており、比較器17dの逆相端子(−)側に接続した整流器17aとコンデンサ17bとを介してプローブ2に接続され、比較器17dの正相端子(+)側には負極閾値を設定する電池17cが接続されている。
【0021】
制御部18は、発振器5、ピストン駆動部8、電磁弁10及びポンプ13の作動を制御する制御手段であり、CPU、RAM、ROM等を用いて構成される。制御部18は、正極波形検出部16から出力される正極差電圧と負極波形検出部17から出力される負極差電圧とをもとに容器C内に収容された液体Lqの液面かノイズかを判定する判定部18aを有している。制御部18は、判定部18aにおける判定結果を含む所定の情報を出力し、出力部19に表示する。
【0022】
以上のように構成される液面検知装置1においては、プローブ2が容器Cの上方から下降し、プローブ2の先端が液体Lq中へ侵入すると、静電容量が変化する。このため、ノイズがない場合には、プローブ2の先端が液体Lqに接触すると、図2に示す波形の電圧がプローブ2から出力される。
【0023】
ここで、図2及び以下に示す図において、プローブ2の先端が液体Lq中へ侵入する時刻をt1とする。また、図2を含め、以下の説明で使用する出力電圧を整流して得られる正極又は負極の波形図,正極又は負極の電圧成分を平滑化した波形図並びに平滑化した正極又は負極の差電圧を示す図は、模式的に描いてあるため、必ずしも正確な図面ではない。
【0024】
このため、正極波形検出部16においては、整流器16aは、プローブ2が出力した図2に示す波形の電圧を整流し、電圧が正の図3に示す波形の正極電圧を出力する。この正極電圧は、コンデンサ16bによって平滑化され、図4に示す波形の正極電圧として出力される。そして、コンデンサ16bで平滑化された正極電圧は、比較器16dにおいて正極閾値電圧Eと比較され、図5に示す波形の正極差電圧が出力される。この正極差電圧は、インバータ16eによって極性が反転され、図6に示す波形の電圧として出力される。
【0025】
一方、負極波形検出部17においては、整流器17aは、プローブ2が出力した図2に示す波形の電圧を整流し、電圧が負の図7に示す波形の負極電圧を出力する。ここで、発振器5が発振する交流信号の負極の波形は、図3に比べて半波長遅れた時刻t2に現れる。このため、図7及び以下に示す図において、負極波形が現れる時刻をt2とする。この負極電圧は、コンデンサ17bによって平滑化され、図8に示す波形の負極電圧となって出力される。そして、コンデンサ17bで平滑化された負極電圧は、比較器17dにおいて負極閾値電圧−Eと比較され、図9に示す波形の負極差電圧が出力される。
【0026】
従って、正極波形検出部16から出力される正極差電圧と負極波形検出部17から出力される負極差電圧とをもとに容器C内に収容された液体Lqの液面に接触したか否かを判定することができる。即ち、図6に示す正極差電圧及び図9に示す負極差電圧は、時刻t2以降いずれも正となっている。このため、判定部18aは、時刻t2の後、正極波形検出部16から出力される正極差電圧と負極波形検出部17から出力される負極差電圧が共に同じ極性であれば、液体Lqの液面を検知したと判定する。
【0027】
一方、ノイズが混入した場合、発振器5が発振する交流信号にノイズが重畳されるため、プローブ2は、図10に示す波形の信号を出力する。ここで、図10において、点線は発振器5が発振する交流信号を示している。このため、正極波形検出部16においては、整流器16aは、プローブ2が出力した図10に示す波形の電圧を整流し、図11に示す波形の正極電圧を出力する。この正極電圧は、コンデンサ16bによって平滑化され、図12に示す波形の正極電圧として出力される。ここで、図12に示す正極電圧波形において、時刻t1における電圧増加はプローブ2が液面に接したことを示している。そして、コンデンサ16bで平滑化された正極電圧は、比較器16dにおいて正極閾値電圧Eと比較され、図13に示す波形の正極差電圧が出力される。そして、比較器16dから出力された正極差電圧は、インバータ16eによって極性が反転され、図14に示す波形の電圧として出力される。
【0028】
一方、負極波形検出部17においては、整流器17aは、プローブ2が出力した図5に示す波形の電圧を整流し、図15に示す波形の負極電圧を出力する。この負極電圧は、コンデンサ17bによって平滑化され、図16に示す波形の負極電圧として出力される。そして、コンデンサ17bで平滑化された負極電圧は、比較器17dにおいて負極閾値電圧−Eと比較され、図17に示す波形の負極差電圧が出力される。
【0029】
このため、図14に示す正極差電圧及び図17に示す負極差電圧は、時刻t2において、正極差電圧はEとなるのに対し、負極差電圧は−Eとなる。この場合、静電気に起因するノイズは、正極性のみ又は負極性のみであることから、正極差電圧と負極差電圧の極性が異なることになる。このため、判定部18aは、例えば、時刻t2における正極差電圧と負極差電圧の極性が異なることによってノイズが混入したと判定することができる。このように、液面検知装置1は、正極波形検出部16から出力される正極差電圧と負極波形検出部17から出力される負極差電圧とをもとにして、液面への接触とノイズの混入を区別することができるので、容器C内に収容された液体Lqの液面を正しく検知することができる。
【0030】
このとき、液面検知装置1が実行する液面検知処理の概要を、図18に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、以下においては、液面検知装置1が液体Lqの分注を1回行う過程で実行する液面検知処理について説明する。
【0031】
先ず、制御部18は、制御信号を出力して駆動部3を駆動し、プローブ2の下降を開始する(ステップS100)。このとき、制御部18は、正極波形検出部16及び負極波形検出部17から電圧信号が入力されている。
【0032】
次に、制御部18は、正極波形検出部16のインバータ16eから入力される正極差電圧が時刻t1において正に変化したか否かを判定部18aによって判定する(ステップS102)。判定の結果、時刻t1において正極差電圧が正に変化していない場合(ステップS102,No)、制御部18は、ステップS102の判定を繰り返す。一方、判定部18aによる判定の結果、時刻t1において正極差電圧が正に変化した場合(ステップS102,Yes)、制御部18は、プローブ2の下降を停止する(ステップS104)。
【0033】
次いで、制御部18は、負極波形検出部17から入力される負極差電圧が時刻t2において正に変化したか否かを判定部18aによって判定する(ステップS106)。判定の結果、時刻t2において負極差電圧が正に変化していない場合(ステップS106,No)、制御部18は、ノイズと判定して検出エラーを出力し(ステップS108)、液面検知処理を終了する。この場合、ノイズが混入した場合であるから、液面検知装置1は、アラーム等によって警報を発してもよい。一方、判定部18aによる判定の結果、時刻t2において負極差電圧が正に変化した場合(ステップS106,Yes)、制御部18は、プローブ2の先端が液体Lqの液面に接触しており液面を検知したと判定部18aが判定する(ステップS110)。この場合、正極波形検出部16におけるインバータ16eを通過する前のー正極差電圧は、時刻t1において正から負に変化している。また、このとき、制御部18は、プローブ2の先端が液体Lqの所定深さまで侵入した位置で下降を停止する。
【0034】
このようにして液面を検知した後、制御部18は、プローブ2による液体の分注、プローブ2の洗浄を実行し、駆動部3によってプローブ2を次の分注動作の初期位置へ移送する。液面検知装置1は、このようにしてノイズと液面とを区別して検知することで、容器C内に収容された液体Lqの液面を正しく検知している。
【0035】
ここで、液面検知装置1は、図19に示すフローチャートによって液面検知処理を実行してもよい。
【0036】
先ず、制御部18は、制御信号を出力して駆動部3を駆動し、プローブ2の下降を開始する(ステップS200)。このとき、制御部18は、正極波形検出部16及び負極波形検出部17から電圧信号が入力されている。
【0037】
次に、制御部18は、正極波形検出部16から入力される正極差電圧が時刻t1において正に変化したか否かを判定部18aによって判定する(ステップS202)。判定の結果、正極差電圧が時刻t1において正に変化していない場合(ステップS202,No)、制御部18は、ステップS102の判定を繰り返す。一方、判定部18aによる判定の結果、正極差電圧が時刻t1において正に変化している場合(ステップS202,Yes)、制御部18は、負極波形検出部17から入力される負極差電圧が時刻t1において正に変化したか否かを判定部18aによって判定する(ステップS204)。
【0038】
判定の結果、負極差電圧が時刻t1において正に変化していない場合(ステップS204,No)、制御部18は、ノイズと判定して検出エラーを出力し(ステップS206)、液面検知処理を終了する。一方、判定部18aによる判定の結果、負極差電圧が時刻t1において正に変化している場合(ステップS204,Yes)、制御部18は、プローブ2の先端が液体Lqの液面に接触しており、液面を検知したと判定部18aが判定する(ステップS208)。
【0039】
そして、液面を検知したと判定した後、制御部18は、プローブ2の下降を停止する(ステップS210)。このとき、制御部18は、プローブ2の先端が液体Lqの所定深さまで侵入した位置で下降を停止する。
【0040】
以上のように構成される本実施の形態1に係る液面検知装置1は、検体の成分分析を行う自動分析装置に搭載して使用することができる。図20は、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の要部構成を模式的に示す図である。自動分析装置100は、図20に示すように、液体Lqに相当する検体と試薬とを所定の容器にそれぞれ分注し、その容器内部に収容された液体に対して光学的な測定を行う測定機構101と、この測定機構101を含む自動分析装置100の制御を行うと共に、測定機構101における測定結果の分析を行う制御分析機構102とを有し、これら二つの機構が連携することによって複数の検体の成分の生化学的な分析を自動的かつ連続的に行う。
【0041】
測定機構101は、主として一般検体を収容する検体容器21が搭載された複数のラック22を収納して順次移送する検体移送部31と、一般検体以外の各種検体(検量線作成用のスタンダード検体、精度管理検体、緊急検体、STAT検体、再検査用検体等)を収容する検体容器23を保持する検体容器保持部32と、試薬容器24を保持する試薬容器保持部33と、検体と試薬とを反応させる容器である反応容器25を保持する反応容器保持部34と、反応容器25の内部に収容された液体を攪拌する攪拌部35と、反応容器25内部を通過した光の波長成分ごとの強度等を測定する測光部36とを備えている。
【0042】
また、測定機構101は、検体移送部31上の検体容器21や検体容器保持部32上の検体容器23に収容された検体を反応容器25に分注する検体分注部37と、試薬容器保持部33上の試薬容器24に収容された試薬を反応容器25に分注する試薬分注部38と、反応容器25の洗浄を行う容器洗浄部39とを備えている。このうち、検体分注部37及び試薬分注部38は、上述した液面検知装置1と同様の機能構成を有しており、プローブ2とプローブ洗浄部15とをそれぞれ具備している。検体分注部37は、液体Lqとして検体容器21に収容されている検体を分注する際に検体の液面検知を行う。また、試薬分注部38は、液体Lqとして試薬容器24の内部に収容されている試薬を分注する際に試薬の液面検知を行う。
【0043】
検体容器21,23には、内部に収容する検体を識別する識別情報をバーコードまたは2次元コード等の情報コードにコード化して記録した情報コード記録媒体がそれぞれ貼付されている(図示せず)。同様に、試薬容器24にも、試薬情報を情報コードにコード化して記録した情報コード記録媒体が貼付されている(図示せず)。このため、測定機構101には、検体容器21に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR1、検体容器23に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR2及び試薬容器24に貼付された情報コードを読み取る情報コード読取部CR3が設けられている。
【0044】
検体容器保持部32,試薬容器保持部33及び反応容器保持部34は、検体容器23,試薬容器24及び反応容器25をそれぞれ収容保持するホイールと、このホイールの底面中心に取り付けられ、その中心を通る鉛直線を回転軸としてホイールを回転させる駆動手段とを有している(図示せず)。
【0045】
各容器保持部の内部は一定の温度に保たれている。例えば、試薬容器保持部33内は、試薬の劣化や変性を抑制するために室温よりも低温に設定されている。また、反応容器保持部34内は、人間の体温と同程度の温度に設定されている。
【0046】
測光部36は、白色光を照射する光源と、反応容器25を透過してきた白色光を分光する分光光学系と、分光光学系で分光した光を成分ごとに受光して電気信号に変換する受光素子とを有する。受光素子が変換した電気信号は、データ生成部43に出力される。
【0047】
なお、検体の成分の生化学的な分析を行う際には一つの検体に対して2種類の試薬を用いることが多いため、第1試薬用の試薬容器保持部33と第2試薬用の試薬容器保持部33とを別個に設けてもよい。この場合には、個々の試薬容器保持部33に対応した試薬分注部38を2個設ければよい。また、検体または試薬の分注後の適当なタイミングで複数の反応容器25内部の液体の攪拌を同時に行うため、攪拌部35を複数個設けてもよい。
【0048】
ところで、図20では、測定機構101の主要な構成要素を模式的に示すことを主眼としているため、構成要素間の位置関係は必ずしも正確ではない。正確な構成要素間の位置関係は、試薬容器保持部33の数や分注動作のインターバルにおける反応容器保持部34のホイールの回転態様などの各種条件に応じて定められるべき設計的事項である。
【0049】
一方、制御分析機構102は、検体の分析に必要な情報や自動分析装置100の動作指示信号などを含む情報の入力を受ける入力部41と、検体の分析に関する情報を出力する出力部42と、測定機構101における測定結果に基づいて検体の分析データを生成するデータ生成部43と、検体の分析に関する情報や自動分析装置100に関する情報を含む各種情報を記憶する記憶部44と、制御分析機構102内の各機能または各手段の制御を行うと共に、測定機構101の駆動制御を行う制御部45とを備えている。
【0050】
入力部41は、キーボードやマウスを有している。入力部41は、トラックボール、トラックパッドなどのポインティングデバイスや、音声入力用のマイクロフォン等のユーザインターフェースをさらに有してもよい。
【0051】
出力部42は、各種情報を表示する液晶、プラズマ、有機EL、CRT等のディスプレイ装置を有している。出力部42は、音声出力用のスピーカや、紙などに情報を印刷して出力するプリンタをさらに有してもよい。なお、出力部42は、液面検知装置1の出力部19の機能を兼備している。
【0052】
データ生成部43は、測定機構101の測光部36から受信した測定結果の分析演算を行う。この分析演算では、測光部36から送られてくる光成分ごとの電気信号に基づいて反応容器25内部の液体の吸光度を算出し、或いは吸光度の算出結果と検量線や分析パラメータ等の各種情報とを用いて反応容器25内部の液体の成分を定量的に求める成分量算出処理等を行うことにより、検体ごとの分析データを生成する。このようにして生成された分析データは、出力部42から出力される一方、記憶部44に書き込まれて記憶される。
【0053】
記憶部44は、分析項目、検体情報、試薬の種類、検体や試薬の分注量、検体や試薬の有効期限、分析に使用する検量線に関する情報、検量線の有効期限、各分析項目の参照値や許容値等の分析に必要なパラメータ及びデータ生成部43で生成した分析データ等を記憶する。
【0054】
制御部45は、記憶部44で記憶する各種プログラムを記憶部44から読み出すことによって自動分析装置100の各種動作の制御及び演算を実行する。制御部45は、液面検知装置1の制御部18の機能を兼備している。
【0055】
以上の構成を有する自動分析装置100においては、試薬や検体を分注する際に、液面検知装置1と同様の機能構成を有する検体分注部37や試薬分注部38がノイズと液面とを区別して検体容器21,23に収容された検体や試薬容器24内に収容された試薬の液面を正しく検知するので、検体や試薬を適正量分注することができる。
【0056】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る液面検知装置について説明する。実施の形態1の液面検知装置は、正極波形検出部から出力される正極差電圧と負極波形検出部から出力される負極差電圧とをもとに判定部が液面かノイズかを判定した。これに対し、実施の形態2の液面検知装置は、AND回路によって液面かノイズかを判定している。図21は、本発明の実施の形態2に係る液面検知装置の構成を示す図である。なお、図21の液面検知装置は、実施の形態1で説明した液面検知装置1と同じ構成部分に同一の符号を付している。
【0057】
液面検知装置50は、図21に示すように、発振器5がプローブ2と正極波形検出部16及び負極波形検出部17との間に接続され、正極波形検出部16及び負極波形検出部17と制御部18との間にAND回路20が接続されている。また、正極波形検出部16は、インバータがなく、負極波形検出部17にインバータ17eが設けられている。
【0058】
液面検知装置50においては、プローブ2が容器Cの上方から下降し、プローブ2の先端が液体Lq中へ侵入すると、静電容量が変化する。このため、ノイズがない場合には、プローブ2から図22に示す波形の電圧が出力され、プローブ2の先端が液体Lqに接触する時刻t1を経過すると出力電圧が低下する。
【0059】
このため、正極波形検出部16においては、整流器16aは、プローブ2が出力した図22に示す波形の電圧を整流し、電圧が正の図23に示す波形の正極電圧を出力する。この正極電圧は、コンデンサ16bによって平滑化され、図24に示す波形の正極電圧となって出力される。そして、コンデンサ16bで平滑化された正極電圧は、比較器16dにおいて正極閾値電圧Eと比較され、図25に示す波形の正極差電圧が出力される。ここで、ここで、図24以降に示す図において、正極電圧と正極閾値電圧Eの値が等しくなる時刻をt3(<t1)とする。
【0060】
一方、負極波形検出部17においては、整流器17aは、プローブ2が出力した図22に示す波形の電圧を整流し、電圧が負の図26に示す波形の負極電圧を出力する。この出力電圧は、コンデンサ17bによって平滑化され、図27に示す波形の電圧となって出力される。そして、コンデンサ17bで平滑化された出力電圧は、比較器17dにおいて負極閾値電圧−Eと比較され、図28に示す波形の負極差電圧が出力される。この負極差電圧は、インバータ17eによって極性が反転され、図29に示す波形の電圧として出力される。ここで、図22に示す電圧の波形から整流された図23に示す波形の正極電圧と図26に示す波形の負極電圧は、時間軸に対して対称となっている。このため、図27以降に示す図において、負極電圧と負極閾値電圧−Eの値が等しくなる時刻もt3とする。
【0061】
従って、正極波形検出部16から出力される正極差電圧と負極波形検出部17から出力される負極差電圧とをもとに容器C内に収容された液体Lqの液面かノイズかを判定することができる。即ち、図25に示す正極差電圧及び図29に示す負極差電圧は、時刻t3において、負から正に変化し、時刻t3以降いずれも電圧Eとなっている。このため、正極波形検出部16から出力される正極差電圧と負極波形検出部17から出力される負極差電圧は、時刻t3以降共にE(V)である。このため、AND回路20はE(V)の電圧を出力し、判定部18aは、液面を検知したと判定する。
【0062】
一方、ノイズがある場合、発振器5が発振する交流信号にノイズが重畳されるため、プローブ2は、図30に示す波形の電圧を出力する。このため、正極波形検出部16においては、整流器16aは、プローブ2が出力した図30に示す波形の電圧を整流し、電圧が正の図31に示す波形の正極電圧を出力する。この正極電圧は、コンデンサ16bによって平滑化され、図32に示す波形の正極電圧として出力される。そして、コンデンサ16bで平滑化された正極電圧は、比較器16dにおいて正極閾値電圧Eと比較され、図33に示す正極差電圧が出力される。
【0063】
一方、負極波形検出部17においては、整流器17aは、プローブ2が出力した図30に示す波形の電圧を整流し、電圧が負の図34に示す波形の負極電圧を出力する。この負極電圧は、コンデンサ17bによって平滑化され、図35に示す波形の負極電圧として出力される。そして、コンデンサ17bで平滑化された負極電圧は、比較器17dにおいて負極閾値電圧−Eと比較され、図36に示す負極差電圧が出力される。この負極差電圧は、インバータ17eによって極性が反転され、図37に示す電圧として出力される。
【0064】
従って、ノイズがあると、時刻t1(>t3)において、図33に示す正極差電圧は−E(V)となるのに対し、図37に示す負極差電圧はE(V)となる。このため、正極波形検出部16から出力される正極差電圧と負極波形検出部17から出力される負極差電圧が入力されるAND回路20は、出力が0Vとなる。このため、判定部18aは、AND回路20の出力(0V)に基づき、ノイズが混入したと判定する。このように、液面検知装置50は、正極波形検出部16から出力される正極差電圧と負極波形検出部17から出力される負極差電圧とをもとにして、ノイズと液面とを区別して検知するので、容器C内に収容された液体Lqの液面を正しく検知することができる。
【0065】
ここで、実施の形態1及び実施の形態2においては、正極波形検出部16又は負極波形検出部17の一方にインバータを設け、正極波形検出部16から出力される正極差電圧と負極波形検出部17から出力される負極差電圧が共に正の場合に液面への接触と判定し、一方の極性が負、他方の極性が正と異なる場合にノイズと判定した。しかし、インバータは、必ずしも設ける必要はない。この場合、正極波形検出部16から出力される正極差電圧値と負極波形検出部17から出力される負極差電圧値の正負が異なる場合に液面への接触と判定し、共に正の場合にノイズと判定すればよく、正極差電圧と負極差電圧の極性を含めた電圧値から液面への接触か否かを判定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施の形態1に係る液面検知装置の構成を示す図である。
【図2】ノイズがない場合にプローブが出力する電圧の時間変化を示す波形図である。
【図3】図2に示す出力電圧を整流して得られる正極成分の波形図である。
【図4】図3に示す正極電圧成分を平滑化した波形と正極閾値とを示す図である。
【図5】図4に示す平滑化された正極電圧と正極閾値との正極差電圧を示す図である。
【図6】図5に示す正極差電圧の極性を反転させた図である。
【図7】図2に示す出力電圧を整流して得られる負極成分の波形図である。
【図8】図7に示す負極電圧成分を平滑化した波形と負極閾値とを示す図である。
【図9】図8に示す平滑化された負極電圧と負極閾値との負極差電圧を示す図である。
【図10】ノイズがある場合にプローブが出力する電圧の時間変化を示す波形図である。
【図11】図10に示す出力電圧を整流して得られる正極成分の波形図である。
【図12】図11に示す正極電圧成分を平滑化した波形と正極閾値とを示す図である。
【図13】図12に示す平滑化された正極電圧と正極閾値との正極差電圧を示す図である。
【図14】図13に示す正極差電圧の極性を反転させた図である。
【図15】図10に示す出力電圧を整流して得られる負極成分の波形図である。
【図16】図15に示す負極電圧成分を平滑化した波形と負極閾値とを示す図である。
【図17】図16に示す平滑化された負極電圧と負極閾値との負極差電圧を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態1に係る液面検知装置が実行する液面検知処理の概要を説明するフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態1に係る液面検知装置が実行する液面検知処理の変形例を説明するフローチャートである。
【図20】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の要部構成を模式的に示す図である。
【図21】本発明の実施の形態2に係る液面検知装置の構成を示す図である。
【図22】ノイズがない場合にプローブが出力する電圧の時間変化を示す波形図である。
【図23】図22に示す出力電圧を整流して得られる正極成分の波形図である。
【図24】図23に示す正極電圧成分を平滑化した波形と正極閾値とを示す図である。
【図25】図24に示す平滑化された正極電圧と正極閾値との正極差電圧を示す図である。
【図26】図22に示す出力電圧を整流して得られる負極成分の波形図である。
【図27】図26に示す負極電圧成分を平滑化した波形と負極閾値とを示す図である。
【図28】図27に示す平滑化された負極電圧と負極閾値との負極差電圧を示す図である。
【図29】図28に示す負極差電圧の極性を反転させた図である。
【図30】ノイズがある場合にプローブが出力する電圧の時間変化を示す波形図である。
【図31】図30に示す出力電圧を整流して得られる正極成分の波形図である。
【図32】図31に示す正極電圧成分を平滑化した波形と正極閾値とを示す図である。
【図33】図32に示す平滑化された正極電圧と正極閾値との正極差電圧を示す図である。
【図34】図30に示す出力電圧を整流して得られる負極成分の波形図である。
【図35】図34に示す負極電圧成分を平滑化した波形と負極閾値とを示す図である。
【図36】図35に示す平滑化された負極電圧と負極閾値との負極差電圧を示す図である。
【図37】図36に示す負極差電圧の極性を反転させた図である。
【符号の説明】
【0067】
1 液面検知装置
2 プローブ
3 駆動部
4 電極板
5 発振器
6,9 配管
7 シリンジポンプ
8 ピストン駆動部
10 三方弁
11,12 配管
13 ポンプ
14 洗浄液タンク
15 プローブ洗浄部
16 正極波形検出部
17 負極波形検出部
18 制御部
18a 判定部
19 出力部
20 AND回路
21,23 検体容器
22 ラック
24 試薬容器
25 反応容器
31 検体移送部
32 検体容器保持部
33 試薬容器保持部
34 反応容器保持部
35 攪拌部
36 測光部
37 検体分注部
38 試薬分注部
39 容器洗浄部
41 入力部
42 出力部
43 データ生成部
44 記憶部
45 制御部
100 自動分析装置
101 測定機構
102 制御分析機構
C 容器
Lq 液体
Wa 洗浄液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体に接触自在に上下動される導電性を有するプローブと、前記プローブに交流信号を印加する発振手段とを備え、前記プローブが前記液体に接触した際に前記プローブから出力される交流信号をもとに前記液体の液面を検知する液面検知装置であって、
前記プローブが出力する交流信号の正極電圧成分を平滑化し、平滑化された正極電圧と正極閾値との正極差電圧を出力する正極波形検出手段と、
前記プローブが出力する交流信号の負極電圧成分を平滑化し、平滑化された負極電圧と負極閾値との負極差電圧を出力する負極波形検出手段と、
前記正極波形検出手段から出力される正極差電圧と前記負極波形検出手段から出力される負極差電圧とをもとに前記交流信号にノイズが混入したか否かを判定する判定手段と、
を備えたことを特徴とする液面検知装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記正極波形検出手段から出力される正極差電圧又は前記負極波形検出手段から出力される負極差電圧の極性が反転し、かつ、前記正極差電圧と前記負極差電圧の極性が異なる場合に、液面を検知したと判定することを特徴とする請求項1に記載の液面検知装置。
【請求項3】
前記正極閾値と前記負極閾値とは、前記交流信号の平滑電圧値よりも小さく、前記ノイズが混入した交流信号の平滑電圧値よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の液面検知装置。
【請求項4】
前記正極波形検出手段又は前記負極波形検出手段は、出力する前記正極差電圧又は前記負極差電圧の極性を反転させる反転手段を有することを特徴とする請求項3に記載の液面検知装置。
【請求項5】
検体と試薬とを反応させることによって前記検体の成分を光学的に分析する自動分析装置であって、
請求項4に記載した液面検知装置と、液体としての前記試薬を分注する試薬分注手段と、液体としての前記検体を分注する検体分注手段とを備えることを特徴とする自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2009−98013(P2009−98013A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270322(P2007−270322)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】