説明

測位方法、プログラム及び測位装置

【課題】GPSによる測位と慣性航法による測位とを行う測位装置において、消費電力の
削減を図ること。
【解決手段】カーナビゲーション装置1において、GPS衛星信号の受信状況を示す指標
値が、予め定められた第1低レベル条件を満足するか否かが判定され、満足すると判定さ
れた場合には、慣性航法用センサを起動状態(ON)とし、満足しないと判定された場合
には、慣性航法用センサを停止状態(OFF)とする制御が行われる。また、第1低レベ
ル条件を満足すると判定された場合には、上述した指標値が、第1低レベル条件よりもレ
ベルの低い第2低レベル条件を満足するか否かが判定され、満足すると判定された場合に
は、慣性航法演算処理が行われて慣性航法演算位置が出力位置に決定され、第2低レベル
条件を満足しないと判定された場合には、GPS受信部20により測位されたGPS測位
位置が出力位置に決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体に搭載されて、該移動体の現在位置を測位する測位装置が行う測位方
法等に関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星を利用した測位システムとしては、GPS(Global Positioning System)が
広く知られており、携帯型電話機やカーナビゲーション装置等に内蔵された測位装置に利
用されている。GPSでは、自機の位置を示す3次元の座標値と、時計誤差との4つのパ
ラメータの値を、複数のGPS衛星の位置や各GPS衛星から自機までの擬似距離等の情
報に基づいて求める測位演算を行うことで、自機の現在位置を測位する。
【0003】
しかし、トンネル内や屋内等、GPS衛星信号を受信することができない環境では、G
PSによる測位を行うことができないため、ジャイロセンサや加速度センサ等の慣性航法
用センサを用いた慣性航法演算処理を行って、現在位置を測位する技術が広く用いられて
いる(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平6−341847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術では、GPSによる測位システムと、慣性航法用センサを用いた測
位システムとの両方のシステムを常に動作させておく必要があるため、測位装置における
消費電力が増大するという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みて為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するための第1の発明は、移動体に搭載されて、測位用衛星から受信
した測位用信号に基づく所定の測位演算を行って現在位置を測位する第1測位モードと、
所定の慣性航法用センサを用いた所定の慣性航法演算処理を行って現在位置を測位する第
2測位モードとを有する測位装置が行う測位方法であって、前記測位用信号の受信状況を
示す指標値が、予め定められた第1低レベル条件を満足するか否かを判定することと、前
記第1低レベル条件を満足すると判定された場合には、前記慣性航法用センサを起動状態
とし、前記第1低レベル条件を満足しないと判定された場合には、前記慣性航法用センサ
を停止状態とする制御を行うことと、前記第1低レベル条件を満足すると判定された場合
に、前記第1低レベル条件よりもレベルの低い第2低レベル条件を前記指標値が満足する
か否かを判定することと、前記第2低レベル条件を満足すると判定された場合には、前記
第2測位モードによる測位を行い、前記第2低レベル条件を満足しないと判定された場合
には、前記第1測位モードによる測位を行うことと、を含む測位方法である。
【0007】
また、他の発明として、移動体に搭載されて、測位用衛星から受信した測位用信号に基
づく所定の測位演算を行って現在位置を測位する第1測位モードと、所定の慣性航法用セ
ンサを用いた所定の慣性航法演算処理を行って現在位置を測位する第2測位モードとを有
する測位装置であって、前記測位用信号の受信状況を示す指標値が、予め定められた第1
低レベル条件を満足するか否かを判定する第1低レベル条件判定部と、前記第1低レベル
条件を満足すると判定された場合には、前記慣性航法用センサを起動状態とし、前記第1
低レベル条件を満足しないと判定された場合には、前記慣性航法用センサを停止状態とす
る制御を行う制御部と、前記第1低レベル条件を満足すると判定された場合に、前記第1
低レベル条件よりもレベルの低い第2低レベル条件を前記指標値が満足するか否かを判定
する第2低レベル条件判定部と、前記第2低レベル条件を満足すると判定された場合には
、前記第2測位モードによる測位を行い、前記第2低レベル条件を満足しないと判定され
た場合には、前記第1測位モードによる測位を行う測位部と、を備えた測位装置を構成し
てもよい。
【0008】
この第1の発明等によれば、測位用信号の受信状況を示す指標値が、予め定められた第
1低レベル条件を満足するか否かが判定され、満足すると判定された場合には、慣性航法
用センサを起動状態とし、満足しないと判定された場合には、慣性航法用センサを停止状
態とする制御が行われる。すなわち、測位用信号の受信状況が良い場合は、慣性航法用セ
ンサを停止状態とするため、常に慣性航法用センサを起動させておく必要がなく、消費電
力の削減が図られる。
【0009】
また、第1低レベル条件を満足すると判定された場合には、測位用信号の受信状況を示
す指標値が、第1低レベル条件よりもレベルの低い第2低レベル条件を満足するか否かが
判定され、満足すると判定された場合には、第2測位モードによる測位が行われ、満足し
ないと判定された場合には、第1測位モードによる測位が行われる、従って、測位用信号
の受信状況が第2低レベル条件を満たす場合には、慣性航法用センサを用いた慣性航法演
算処理を行って現在位置を測位することとなり、測位精度を向上させることができる。
【0010】
また、第2の発明として、第1の発明の測位方法であって、前記第1及び第2低レベル
条件は、(1)前記第1測位モードによる測位に用いた測位用衛星の天空配置を表す指標
値、(2)前記第1測位モードによる測位結果の精度を表す指標値、(3)前記第1測位
モードによる測位に用いた測位用衛星の個数を表す指標値、(4)前記第1測位モードに
よる測位に用いた測位用信号の信号強度を表す指標値、のうちの少なくとも1つに基づい
て定められた条件である測位方法を構成してもよい。
【0011】
この第2の発明によれば、第1の発明と相俟って、測位用信号の受信状況を示す指標値
が、第1の測位モードによる測位に用いた測位用衛星や測位用信号等に関する指標値に基
づいて定められた第1及び第2低レベル条件を満足するか否かが判定される。
【0012】
また、第3の発明として、第1又は第2の発明の測位方法であって、前記移動体の停止
を検出することと、前記移動体の停止時に、気温を検出する温度センサの検出温度と前記
慣性航法用センサの検出結果とを対応付けて記憶することと、前記記憶された前記温度セ
ンサの検出温度と前記慣性航法用センサの検出結果とから、任意の気温に対する前記慣性
航法用センサの検出誤差を補償する温度補償モデル式を算出することと、前記温度センサ
の現在の検出温度に対応する前記慣性航法用センサの検出誤差の補償値を前記温度補償モ
デル式から算出して、検出誤差を補償することと、を更に含む測位方法を構成してもよい

【0013】
慣性航法用センサの出力値には、ゼロ点バイアスと呼ばれる温度依存性のあるバイアス
が含まれるが、第3の発明によれば、いわゆるフィールドキャリブレーションの手法を用
いて慣性航法用センサの検出誤差を補償する温度補償モデル式を算出することで、慣性航
法用センサのゼロ点バイアスの補償を適切に行うことが可能となる。
【0014】
また、第4の発明として、第3の発明の測位方法であって、前記移動体の停止時に、前
記慣性航法用センサが停止状態であれば、所定の安定動作時間の起動をした後に、前記温
度センサの検出温度と前記慣性航法用センサの検出結果とを対応付けて記憶することを更
に含む測位方法を構成してもよい。
【0015】
この第4の発明によれば、慣性航法用センサを起動状態にしてから暫くの間は出力が安
定しないことを考慮して、所定の安定動作時間の起動をした後に、温度センサの検出温度
と慣性航法用センサの検出結果とを対応付けて記憶するようにしたことで、信頼性の高い
温度補償モデル式の算出を実現し得る。
【0016】
また、第5の発明として、第3又は第4の発明の測位方法であって、前記慣性航法用セ
ンサは加速度センサを有して構成され、前記移動体の姿勢を検出することと、前記移動体
の停止時の姿勢と前記加速度センサの検出結果とに基づいて、当該検出結果に含まれる重
力加速度の成分を算出することと、を更に含み、前記温度補償モデル式を算出することは
、前記加速度センサの検出結果に含まれる前記重力加速度の成分による影響を考慮して、
前記温度補償モデル式を算出することである測位方法を構成してもよい。
【0017】
この第5の発明によれば、重力加速度の影響を考慮した加速度センサの検出誤差を補償
する温度補償モデル式を算出するため、加速度センサのゼロ点バイアスの補償をより正確
に行うことが可能となる。
【0018】
また、第6の発明として、第1〜第5の何れかの発明の測位方法を、移動体に搭載され
る測位装置に内蔵されたコンピュータに実行させるためのプログラムを構成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明に好適な実施形態の一例を説明する。尚、以下では、測
位装置として、移動体の一種である自動車に搭載されるカーナビゲーション装置を例に挙
げ、測位システムとしてGPS(Global Positioning System)を用いた場合について説
明するが、本発明を適用可能な実施形態がこれらに限定されるわけではない。
【0020】
1.機能構成
図1は、本実施形態におけるカーナビゲーション装置1の機能構成を示すブロック図で
ある。カーナビゲーション装置1は、GPSアンテナ10と、GPS受信部20と、ホス
トCPU(Central Processing Unit)30と、操作部40と、表示部50と、ジャイロ
センサ60と、加速度センサ70と、温度センサ90と、ROM(Read Only Memory)1
00と、RAM(Random Access Memory)110とを備えて構成される。
【0021】
GPSアンテナ10は、GPS衛星から発信されているGPS衛星信号を含むRF(Ra
dio Frequency)信号を受信するアンテナであり、受信した信号をGPS受信部20に出
力する。尚、GPS衛星信号は、衛星毎に異なる拡散符号の一種であるPRN(Pseudo R
andom Noise)コードで直接スペクトラム拡散方式により変調された1.57542[G
Hz]の通信信号である。PRNコードは、コード長1023チップを1PNフレームと
する繰返し周期1msの擬似ランダム雑音符号である。
【0022】
GPS受信部20は、GPSアンテナ10から出力された信号に基づいてカーナビゲー
ション装置1の現在位置を測位する測位回路であり、いわゆるGPS受信機に相当する機
能ブロックである。GPS受信部20は、RF(Radio Frequency)受信回路部21と、
ベースバンド処理回路部23とを備えて構成される。尚、RF受信回路部21と、ベース
バンド処理回路部23とは、それぞれ別のLSI(Large Scale Integration)として製
造することも、1チップとして製造することも可能である。
【0023】
RF受信回路部21は、RF信号の処理回路ブロックであり、所定の局部発振信号を分
周或いは逓倍することで、RF信号乗算用の発振信号を生成する。そして、生成した発振
信号を、GPSアンテナ10から出力されたRF信号に乗算することで、RF信号を中間
周波数の信号(以下、「IF(Intermediate Frequency)信号」と称す。)にダウンコン
バートし、IF信号を増幅等した後、A/D変換器でデジタル信号に変換して、ベースバ
ンド処理回路部23に出力する。
【0024】
ベースバンド処理回路部23は、RF受信回路部21から出力されたIF信号に対して
相関処理等を行ってGPS衛星信号を捕捉・抽出し、データを復号して航法メッセージや
時刻情報等を取り出して測位演算を行う回路部である。ベースバンド処理回路部23は、
プロセッサとしてのCPUと、メモリとしてのROM及びRAMを備えて構成される。尚
、測位演算としては、例えば最小二乗法を用いた測位演算等の公知の手法を適用すること
ができる。
【0025】
ホストCPU30は、ROM100に記憶されているシステムプログラム等の各種プロ
グラムに従ってカーナビゲーション装置1の各部を統括的に制御するプロセッサである。
ホストCPU30は、測位プログラム103に従って、ナビゲーション画面に表示させる
位置である出力位置を決定する。そして、ナビゲーションプログラム101に従って、出
力位置をプロットしたナビゲーション画面を生成して、表示部50に表示させる。
【0026】
操作部40は、例えばタッチパネルやボタンスイッチ等により構成される入力装置であ
り、押下されたアイコンやボタンの信号をホストCPU30に出力する。この操作部40
の操作により、目的地の入力や、ナビゲーション画面の表示要求等の各種指示入力がなさ
れる。
【0027】
表示部50は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、ホストCPU3
0から入力される表示信号に基づいた各種表示を行う表示装置である。表示部50には、
ナビゲーション画面等が表示される。
【0028】
ジャイロセンサ60は、角速度を検出して自動車の回転を検出する3軸のセンサ(角速
度センサ)であり、検出した3軸の角速度をホストCPU30に出力する。ジャイロセン
サ60は、慣性航法用センサの一種である。
【0029】
加速度センサ70は、加速度を検出して自動車の移動状態を検出する3軸のセンサであ
り、検出した3軸の加速度をホストCPU30に出力する。加速度センサ70も、慣性航
法用センサの一種である。
【0030】
ジャイロセンサ60の出力及び加速度センサ70の出力には、いわゆるゼロ点バイアス
が含まれている。ゼロ点バイアスは、角速度及び加速度が何れも無い状態(例えば自動車
の完全停止時(静止時))におけるセンサの出力値であり、温度変化によって変動する温
度依存性がある。温度「T」におけるゼロ点バイアス「BT」は、例えば次式(1)に示
すような2次の温度補償モデル式で表すことができる。
【数1】

但し、「T0」は基準温度、「BT0」は基準温度T0におけるゼロ点バイアス、「k1
は1次の温度係数、「k2」は2次の温度係数をそれぞれ示している。
【0031】
ホストCPU30は、測位処理において、自動車が停止していると判定した場合に、フ
ィールドキャリブレーションを行って、ジャイロセンサ60及び加速度センサ70それぞ
れについて、上述した2次の温度補償モデル式を算出・更新する。そして、自動車が走行
している場合に、最新の温度補償モデル式を用いて、ジャイロセンサ60及び加速度セン
サ70のゼロ点バイアス(検出誤差)を補償する。
【0032】
但し、加速度センサ70の原出力値には、自動車の姿勢による重力加速度の影響が含ま
れていることに注意が必要である。従って、加速度センサ70について温度補償モデル式
を算出する場合は、加速度センサ70の原出力値に対して、自動車の姿勢による重力加速
度の影響を補正する処理を行って出力補正値を求め、当該出力補正値を用いて温度補償モ
デル式を算出する必要がある。
【0033】
具体的には、例えば図2に示すように、自動車の進行方向を「x軸」(直進方向を正方
向)、x軸正方向に向かって左右方向を「y軸」(右方向を正方向)、x軸に対する高さ
方向を「z軸」(下方向を正方向)とする直交3軸の移動体座標系を考える。この場合、
重力加速度の影響を考慮した加速度センサ70の出力補正値は、次式(2)に従って算出
される。
【数2】

【0034】
但し、「a」、「ay」及び「az」は、それぞれx軸、y軸及びz軸に対する加速度
センサ70の原出力値、「B」、「By」及び「Bz」は、それぞれx軸、y軸及びz軸
に対する加速度センサ70の出力補正値、「g」は重力加速度、「θ」及び「φ」は、そ
れぞれジャイロセンサ60の検出結果に基づいて算出される自動車の姿勢角であるピッチ
角(y軸回りの回転角)及びロール角(x軸回りの回転角)を示している。
【0035】
温度センサ90は、外界の気温を検出する接触式又は非接触式のセンサであり、その検
出結果をホストCPU30に出力する。
【0036】
ROM100は、読み出し専用の記憶装置であり、ホストCPU30がカーナビゲーシ
ョン装置1を制御するためのシステムプログラムや、ナビゲーション機能を実現するため
の各種プログラムやデータ等を記憶している。
【0037】
RAM110は、読み書き可能な記憶装置であり、ホストCPU30により実行される
システムプログラム、各種処理プログラム、各種処理の処理中データ、処理結果などを一
時的に記憶するワークエリアを形成している。
【0038】
図3は、ROM100に格納されたデータの一例を示す図である。ROM100には、
ホストCPU30により読み出され、ナビゲーション処理として実行されるナビゲーショ
ンプログラム101と、測位処理(図8〜図10参照)として実行される測位プログラム
103と、ナビゲーション画面を生成するための地図情報のデータである地図データ10
5とが記憶されている。
【0039】
ナビゲーション処理とは、ホストCPU30が、地図データ105に記憶されている地
図情報を用いて、測位処理により決定した出力位置を道路上に補正するマップマッチング
処理を行うとともに、補正後の位置をプロットしたナビゲーション画面を生成して、表示
部50に表示させる処理である。尚、マップマッチング処理については公知であるため、
詳細な説明を省略する。
【0040】
測位処理とは、ホストCPU30が、自動車が停止していると判定した場合に、フィー
ルドキャリブレーションを行って、慣性航法用センサであるジャイロセンサ60及び加速
度センサ70それぞれについて、その検出誤差であるゼロ点バイアスを補償する温度補償
モデル式を算出・更新する処理である。そして、自動車が走行している場合に、最新の温
度補償モデル式に従って、ジャイロセンサ60及び加速度センサ70のゼロ点バイアスを
補償する。
【0041】
また、ホストCPU30は、GPS衛星信号の受信状況を示す指標値が、予め定められ
た第1低レベル条件を満足するか否かを判定し、その判定結果に応じて、慣性航法用セン
サのON/OFFを切り換えて現在位置を測位する。そして、上述した指標値が、第1低
レベル状況よりもレベルの低い第2低レベル条件を満足するか否かを判定し、その判定結
果に応じて、GPS受信部20により測位された測位位置(以下、「GPS測位位置」と
称す。)と、慣性航法演算処理により求めた測位位置(以下、「慣性航法演算位置」と称
す。)との何れの位置を出力位置とするかを決定する。測位処理については、フローチャ
ートを用いて詳細に後述する。
【0042】
図4は、RAM110に格納されるデータの一例を示す図である。RAM110には、
計測履歴データ111と、ジャイロセンサゼロ点バイアス参照データ113と、加速度セ
ンサゼロ点バイアス参照データ115と、ジャイロセンサ温度補償モデル式データ117
と、加速度センサ温度補償モデル式データ119とが記憶される。
【0043】
図5は、計測履歴データ111のデータ構成の一例を示す図である。計測履歴データ1
11には、各時刻1111毎に、ジャイロセンサ60により検出された3軸の角速度11
12と、加速度センサ70により検出された3軸の加速度1113と、温度センサ90に
より検出された温度1114と、GPS測位位置1115と、慣性航法演算位置1116
とが対応付けて記憶される。計測履歴データ111は、測位処理においてホストCPU3
0により更新される。
【0044】
図6は、ジャイロセンサゼロ点バイアス参照データ113のデータ構成の一例を示す図
である。ジャイロセンサゼロ点バイアス参照データ113には、自動車の停止時に温度セ
ンサ90により検出された温度の平均値である温度平均値1131と、ジャイロセンサ6
0の原出力値の平均値である原出力値平均値1133とが対応付けて記憶される。ジャイ
ロセンサゼロ点バイアス参照データ113は、測位処理においてホストCPU30により
更新される。
【0045】
図7は、加速度センサゼロ点バイアス参照データ115のデータ構成の一例を示す図で
ある。加速度センサゼロ点バイアス参照データ115には、自動車の停止時に温度センサ
90により検出された温度の平均値である温度平均値1151と、式(2)に従って重力
加速度の影響が補正された出力補正値1153とが対応付けて記憶される。加速度センサ
ゼロ点バイアス参照データ115は、測位処理においてホストCPU30により更新され
る。
【0046】
ジャイロセンサ温度補償モデル式データ117は、ジャイロセンサ60の温度補償モデ
ル式が記憶されたデータである。測位処理において、ホストCPU30は、ジャイロセン
サゼロ点バイアス参照データ113に記憶されている複数の温度平均値1131及び原出
力値平均値1133のデータを基に、例えば最小二乗法を用いて1次の温度係数「k1
及び2次の温度係数「k2」を求めることで、式(1)で表わされる2次の温度補償モデ
ル式を算出する。そして、算出した温度補償モデル式で、ジャイロセンサ温度補償モデル
式データ117を更新する。
【0047】
同様に、加速度センサ温度補償モデル式データ119は、加速度センサ70の温度補償
モデル式が記憶されたデータである。測位処理において、ホストCPU30は、加速度セ
ンサゼロ点バイアス参照データ115に記憶された複数の温度平均値1151及び出力補
正値1153のデータを基に、例えば最小二乗法を用いて1次の温度係数「k1」及び2
次の温度係数「k2」を求めることで、式(1)で表わされる2次の温度補償モデル式を
算出する。そして、算出した温度補償モデル式で、加速度センサ温度補償モデル式データ
119を更新する。
【0048】
2.処理の流れ
図8〜図10は、ホストCPU30によりROM100に記憶されている測位プログラ
ム103が読み出されて実行されることで、カーナビゲーション装置1において実行され
る測位処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
測位処理は、RF受信回路部21によるGPS衛星信号の受信と併せて、ホストCPU
30が、操作部40に測位開始指示の操作がなされたことを検出した場合に実行を開始す
る処理である。尚、カーナビゲーション装置1の電源のON/OFFとGPSの起動/停
止とを連動させ、カーナビゲーション装置1の電源投入操作を検出した場合に測位処理の
実行を開始させることにしてもよい。
【0050】
また、特に説明しないが、以下の測位処理の実行中は、GPSアンテナ10によるRF
信号の受信や、RF受信回路部21によるIF信号へのダウンコンバート、ベースバンド
処理回路部23によるGPS衛星信号の捕捉・追尾、疑似距離の演算や測位演算等が随時
行われている状態にあるものとする。また、ジャイロセンサ60、加速度センサ70及び
温度センサ90の検出結果に従って、ホストCPU30により、RAM110の計測履歴
データ111は随時更新されるものとする。
【0051】
先ず、ホストCPU30は、自動車が停止(静止)しているか否かを判定する(ステッ
プA1)。この判定は、例えば自動車に備えられた車速センサの検出結果に基づいて自動
車の速度が“0”であるか否かを判定したり、過去数時刻分(例えば“3秒分”)の測位
位置が互いに近距離(例えば“5m以内”)に位置しているか否かを判定することによっ
て行うことができる。尚、ジャイロセンサ60や加速度センサ70の検出結果に基づいて
自動車の停止判定を行うことも可能である。
【0052】
ステップA1において自動車が停止していると判定した場合は(ステップA1;Yes
)、ホストCPU30は、慣性航法用センサの電源が“OFF”であるか否かを判定する
(ステップA3)。そして、慣性航法用センサの電源が“ON”であると判定した場合は
(ステップA3;No)、温度センサ90から現在の温度を取得する(ステップA5)。
【0053】
また、ホストCPU30は、ジャイロセンサ60からオリジナルの出力値である原出力
値を取得するとともに(ステップA7)、加速度センサ70からオリジナルの出力値であ
る原出力値を取得する(ステップA9)。そして、ホストCPU30は、所定時間(例え
ば“20秒”)が経過したか否かを判定し(ステップA11)、まだ経過していないと判
定した場合は(ステップA11;No)、ステップA5に戻る。
【0054】
また、ステップA11において所定時間が経過したと判定した場合は(ステップA11
;Yes)、ホストCPU30は、所定時間の間に取得した温度の平均値を算出するとと
もに(ステップA13)、取得したジャイロセンサ60の原出力値の平均値を算出する(
ステップA15)。そして、算出した温度の平均値1131とジャイロセンサ60の原出
力値の平均値1133とを対応付けて、RAM110のジャイロセンサゼロ点バイアス参
照データ113に記憶させる(ステップA17)。
【0055】
次いで、ホストCPU30は、所定時間の間に取得した加速度センサ70の原出力値の
平均値を算出する(ステップA19)。また、ホストCPU30は、ゼロ点バイアス補償
された自動車の停止直前におけるジャイロセンサ60の検出結果に基づいて、自動車の姿
勢角(ピッチ角度「θ」及びロール角「φ」)を算出する(ステップA21)。
【0056】
そして、ホストCPU30は、ステップA19で算出した加速度センサ70の原出力値
の平均値と、ステップA21で算出した自動車の姿勢角とを用いて、式(2)に従って重
力加速度の成分の影響を考慮した出力補正値を算出する(ステップA23)。そして、ス
テップA13で算出した温度の平均値1151と、ステップA23で算出した出力補正値
1153とを対応付けて、RAM110の加速度センサゼロ点バイアス参照データ115
に記憶させる(ステップA25)。
【0057】
次いで、ホストCPU30は、温度補償モデル式を前回更新してから所定の経過時間(
例えば“1時間”)が経過したか否かを判定し(ステップA27)、まだ経過していない
と判定した場合は(ステップA27;No)、ステップA37へと処理を移行する。
【0058】
また、ステップA27において所定の経過時間が経過したと判定した場合は(ステップ
A27;Yes)、ホストCPU30は、ジャイロセンサゼロ点バイアス参照データ11
3に記憶されている複数の温度平均値1131及び原出力値平均値1133のデータを基
に、例えば最小二乗法を用いて1次の温度係数「k1」及び2次の温度係数「k2」を求め
、式(1)で表わされる2次の温度補償モデル式を算出する(ステップA29)。そして
、算出した温度補償モデル式で、RAM110のジャイロセンサ温度補償モデル式データ
117を更新する(ステップA31)。
【0059】
同様に、ホストCPU30は、加速度センサゼロ点バイアス参照データ115に記憶さ
れている複数の温度平均値1151及び出力補正値1153のデータを基に、例えば最小
二乗法を用いて1次の温度係数「k1」及び2次の温度係数「k2」を求め、式(1)で表
わされる2次の温度補償モデル式を算出する(ステップA33)。そして、算出した温度
補償モデル式で、RAM110の加速度センサ温度補償モデル式データ119を更新する
(ステップA35)。
【0060】
次いで、ホストCPU30は、操作部40を介してユーザにより測位終了指示がなされ
たか否かを判定し(ステップA37)、なされなかったと判定した場合は(ステップA3
7;No)、ステップA1に戻る。また、測位終了指示がなされたと判定した場合は(ス
テップA37;Yes)、測位処理を終了する。
【0061】
一方、ステップA3において慣性航法用センサの電源が“OFF”であると判定した場
合は(ステップA3;Yes)、ホストCPU30は、ジャイロセンサ60の電源を“O
N”にする(ステップA39)。そして、所定のウォーミングアップ時間(例えば“10
秒”)が経過したか否かを判定し(ステップA41)、まだ経過していないと判定した場
合は(ステップA41;No)、そのまま待機する。電源投入直後は、ジャイロセンサ6
0の出力が安定しないため、出力が安定するまでの間は、データの取得を開始しないこと
にしたものである。
【0062】
また、所定のウォーミングアップ時間が経過したと判定した場合は(ステップA41;
Yes)、ホストCPU30は、温度センサ90から現在の温度を取得するとともに(ス
テップA43)、ジャイロセンサ60からオリジナルの出力値である原出力値を取得する
(ステップA45)。
【0063】
次いで、ホストCPU30は、所定時間(例えば“20秒”)が経過したか否かを判定
し(ステップA47)、まだ経過していないと判定した場合は(ステップA47;No)
、ステップA43に戻る。また、所定時間が経過したと判定した場合は(ステップA47
;Yes)、ジャイロセンサ60の電源を“OFF”にする(ステップA49)。
【0064】
次いで、ホストCPU30は、所定時間の間に取得した温度の平均値を算出するととも
に(ステップA51)、取得したジャイロセンサ60の原出力値の平均値を算出する(ス
テップA53)。そして、算出した温度の平均値1131とジャイロセンサの原出力値の
平均値1133とを対応付けて、RAM110のジャイロセンサゼロ点バイアス参照デー
タ113に記憶させる(ステップA55)。そして、ホストCPU30は、ステップA2
7へと処理を移行する。
【0065】
また、ステップA1において自動車が停止していない、すなわち移動していると判定し
た場合は(ステップA1;No)、ホストCPU30は、RAM110のジャイロセンサ
温度補償モデル式データ117に記憶されている最新の温度補償モデル式に従って、温度
センサ90により検出された現在の温度におけるゼロ点バイアスを算出し、算出したゼロ
点バイアスを用いて、ジャイロセンサ60のゼロ点バイアスを補償する(ステップA57
)。
【0066】
同様に、ホストCPU30は、RAM110の加速度センサ温度補償モデル式データ1
19に記憶されている最新の温度補償モデル式に従って、温度センサ90により検出され
た現在の温度におけるゼロ点バイアスを算出し、算出したゼロ点バイアスを用いて、加速
度センサ70のゼロ点バイアスを補償する(ステップA59)。
【0067】
次いで、ホストCPU30は、GPS衛星信号の受信状況を示す指標値が、第1低レベ
ル条件を満足するか否かを判定する(ステップA61)。第1低レベル条件は、例えば(
1)GPS受信部20が測位に用いたGPS衛星の天空配置を表す指標値であるPDOP
(Position Dilution of Precision)値が“3”を超えている、(2)GPS受信部20
が測位したGPS測位位置の標準偏差(以下、「位置σ値」と称す。)が“10m”を超
えている、(3)GPS受信部20が測位に用いたGPS衛星の個数(以下、「測位使用
衛星数」と称す。)が“5個”未満である、(4)GPS受信部20が測位に用いたGP
S衛星信号の信号強度の平均値(以下、「信号強度平均値」と称す。)が“−135dB
m”未満である、のうちの少なくとも1つに基づいて定められた条件である。
【0068】
ここで、PDOP値は、次式(3)に示すように、観測点からGPS衛星への視線方向
ベクトルによる観測行列の対角要素のトレースの平方根として定義される。
【数3】

【0069】
また、位置σ値は、次式(4)に従って算出される。
【数4】

但し、「Cov(δx)」は位置σ値、「H」は観測点から衛星への視線方向ベクトル
による観測行列、「Cov(R)」は疑似距離の分散共分散行列、添え字の「T」は転置
行列をそれぞれ示している。
【0070】
そして、第1低レベル条件を満足すると判定した場合は(ステップA61;Yes)、
ホストCPU30は、慣性航法用センサの電源を“ON”にする(ステップA63)。第
1低レベル条件を満足するということは、GPS衛星信号の受信状況が悪くなりかけてい
ることを意味している。そこで、この場合は、慣性航法による測位に備え、慣性航法用セ
ンサの電源を“ON”にして、慣性航法用センサをウォーミングアップさせることにして
いる。
【0071】
その後、ホストCPU30は、GPS衛星信号の受信状況を示す指標値が、第1低レベ
ル条件よりもレベルの低い第2低レベル条件を満足するか否かを判定する(ステップA6
5)。第2低レベル条件は、例えば(1)PDOP値が“4”を超えている、(2)位置
σ値が“20m”を超えている、(3)測位使用衛星数が“4個”未満である、(4)信
号強度平均値が“−140dBm”未満である、のうちの少なくとも1つに基づいて定め
られた条件である。尚、第1及び第2低レベル条件における各指標値の閾値はあくまでも
一例であり、適宜変更してよい。
【0072】
そして、第2低レベル条件を満足すると判定した場合は(ステップA65;Yes)、
ホストCPU30は、慣性航法用センサの検出結果を用いて公知の慣性航法演算処理を行
って自装置の位置を演算し(ステップA67)、演算した慣性航法演算位置を出力位置に
決定する(ステップA69)。第2低レベル条件を満足するということは、GPS衛星信
号の受信状況が極めて悪いか、そもそもGPSによる測位が不可能であることを意味して
いる。そこで、この場合は、慣性航法演算処理を行って現在位置を測位し、その測位位置
を出力位置に決定することにしている。
【0073】
また、ステップA61において第1低レベル条件を満足しないと判定した場合は(ステ
ップA61;No)、ホストCPU30は、慣性航法用センサの電源を“OFF”にする
(ステップA71)。そして、GPS受信部20から取得したGPS測位位置を出力位置
に決定した後(ステップA73)、ステップA37へと処理を移行する。第1低レベル条
件を満足しないということは、GPS衛星信号の受信状況が良好であることを意味してい
るため、慣性航法用センサの電源を“OFF”にすることで、消費電力の削減を図ってい
る。
【0074】
また、ステップA65において第2低レベル条件を満足しないと判定した場合は(ステ
ップA65;No)、ホストCPU30は、ステップA73へと処理を移行して、GPS
測位位置を出力位置に決定する。第1低レベル条件を満足する場合であっても、第2低レ
ベル条件を満足しない場合は、GPSによる測位結果はある程度信頼できるものであろう
と推定し、GPS測位位置を出力位置とすることにしている。
【0075】
3.作用効果
本実施形態によれば、カーナビゲーション装置1において、GPS衛星信号の受信状況
を示す指標値が、予め定められた第1低レベル条件を満足するか否かが判定され、満足す
ると判定された場合には、慣性航法用センサを起動状態(ON)とし、満足しないと判定
された場合には、慣性航法用センサを停止状態(OFF)とする制御が行われる。すなわ
ち、GPS衛星信号の受信状況が良い場合は、慣性航法用センサを停止状態とするため、
常に慣性航法用センサを起動させておく必要がなく、消費電力の削減が図られる。
【0076】
また、第1低レベル条件を満足すると判定された場合には、上述した指標値が、第1低
レベル条件よりもレベルの低い第2低レベル条件を満足するか否かが判定され、満足する
と判定された場合には、慣性航法演算処理が行われて慣性航法演算位置が出力位置に決定
され、第2低レベル条件を満足しないと判定された場合には、GPS受信部20により測
位されたGPS測位位置が出力位置に決定される。従って、GPS衛星信号の受信状況が
第2低レベル条件を満足する程の状況にある場合には、慣性航法用センサを用いた慣性航
法演算処理を行って現在位置を測位することで、測位精度を向上させることができる。
【0077】
4.変形例
4−1.電子機器
本発明は、測位装置を備えた電子機器であれば何れの電子機器にも適用可能である。例
えば、ノート型パソコンやPDA(Personal Digital Assistant)等についても同様に適
用可能である。但し、移動体に設置される際には、移動体に対する電子機器の相対的な姿
勢を固定する必要がある。すなわち、電子機器の慣性航法用センサが検出する座標系と移
動体座標系との相対的関係を常に一定とし、移動体座標系の3軸の値を検出する必要があ
る。換言すれば、移動体座標系の3軸の値を検出できれば、移動体に対する電子機器の相
対的な姿勢は任意である。
【0078】
4−2.移動体
また、移動体は必ずしも自動車に限られるわけではなく、バスや電車等の移動体や歩行
者についても同様に適用可能である。
【0079】
4−3.衛星測位システム
上述した実施形態では、衛星測位システムとしてGPSを例に挙げて説明したが、WA
AS(Wide Area Augmentation System)、QZSS(Quasi Zenith Satellite System)
、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO等の他の衛
星測位システムであってもよい。
【0080】
4−4.処理の分化
ホストCPU30が行う処理の一部又は全部を、ベースバンド処理回路部23のCPU
が行うことにしてもよい。具体的には、例えばベースバンド処理回路部のCPUが測位処
理を行う。そして、ホストCPU30が、測位処理により求められた出力位置に対してマ
ップマッチング処理等を行ってナビゲーション画面を生成し、生成したナビゲーション画
面を表示部50に表示させるナビゲーション処理を行うようにする。また、ナビゲーショ
ン処理も含めてホストCPU30が行う処理の全部をCPUが行うこととしてもよい。
【0081】
4−5.センサのON/OFFの制御
上述した実施形態では、慣性航法用センサについてのみ電源のON/OFFの切替を行
うものとして説明したが、温度センサ90についても、必要に応じて電源のON/OFF
の切替を行うこととしてもよい。
【0082】
具体的には、GPS衛星信号の受信状況が第1低レベル条件を満足する場合には、温度
センサ90を含む全てのセンサの電源を“ON”とし、第1低レベル条件を満足しない場
合には、全てのセンサの電源を“OFF”とする制御を行う。また、自動車の停止時にフ
ィールドキャリブレーションを行う際に、全てのセンサの電源が“OFF”である場合は
、少なくともジャイロセンサ60と温度センサ90の電源を“ON”としてフィールドキ
ャリブレーションを行った後、全てのセンサの電源を再び“OFF”とする制御を行う。
これにより、消費電力の一層の削減を図ることができる。
【0083】
4−6.温度補償モデル式
また、2次の温度補償モデル式を用いて慣性航法用センサのゼロ点バイアスの補正を行
うのではなく、3次以上の温度補償モデル式を用いてゼロ点バイアスの補正を行うことと
してもよい。この場合は、図9の測位処理のステップA29においてジャイロセンサ温度
補償モデル式を算出する場合と、ステップA33において加速度センサ温度補償モデル式
を算出する場合とのそれぞれにおいて、例えば最小二乗法を用いて、1次及び2次の温度
係数「k1」及び「k2」に加えて、3次以上の温度係数「k3,・・・」も求めるように
すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】カーナビゲーション装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】移動体座標系の一例を示す図。
【図3】ROMに格納されたデータの一例を示す図。
【図4】RAMに格納されたデータの一例を示す図。
【図5】計測履歴データのデータ構成の一例を示す図。
【図6】ジャイロセンサゼロ点バイアス参照データのデータ構成の一例を示す図。
【図7】加速度センサゼロ点バイアス参照データのデータ構成の一例を示す図。
【図8】測位処理の流れを示すフローチャート。
【図9】測位処理の流れを示すフローチャート。
【図10】測位処理の流れを示すフローチャート。
【符号の説明】
【0085】
1 カーナビゲーション装置、 10 GPSアンテナ、 20 GPS受信部、
21 RF受信回路部、 23 ベースバンド処理回路部、 30 ホストCPU、
40 操作部、 50 表示部、 60 ジャイロセンサ、 70 加速度センサ、
90 温度センサ、 100 ROM、 110 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されて、測位用衛星から受信した測位用信号に基づく所定の測位演算を行
って現在位置を測位する第1測位モードと、所定の慣性航法用センサを用いた所定の慣性
航法演算処理を行って現在位置を測位する第2測位モードとを有する測位装置が行う測位
方法であって、
前記測位用信号の受信状況を示す指標値が、予め定められた第1低レベル条件を満足す
るか否かを判定することと、
前記第1低レベル条件を満足すると判定された場合には、前記慣性航法用センサを起動
状態とし、前記第1低レベル条件を満足しないと判定された場合には、前記慣性航法用セ
ンサを停止状態とする制御を行うことと、
前記第1低レベル条件を満足すると判定された場合に、前記第1低レベル条件よりもレ
ベルの低い第2低レベル条件を前記指標値が満足するか否かを判定することと、
前記第2低レベル条件を満足すると判定された場合には、前記第2測位モードによる測
位を行い、前記第2低レベル条件を満足しないと判定された場合には、前記第1測位モー
ドによる測位を行うことと、
を含む測位方法。
【請求項2】
前記第1及び第2低レベル条件は、(1)前記第1測位モードによる測位に用いた測位
用衛星の天空配置を表す指標値、(2)前記第1測位モードによる測位結果の精度を表す
指標値、(3)前記第1測位モードによる測位に用いた測位用衛星の個数を表す指標値、
(4)前記第1測位モードによる測位に用いた測位用信号の信号強度を表す指標値、のう
ちの少なくとも1つに基づいて定められた条件である請求項1に記載の測位方法。
【請求項3】
前記移動体の停止を検出することと、
前記移動体の停止時に、気温を検出する温度センサの検出温度と前記慣性航法用センサ
の検出結果とを対応付けて記憶することと、
前記記憶された前記温度センサの検出温度と前記慣性航法用センサの検出結果とから、
任意の気温に対する前記慣性航法用センサの検出誤差を補償する温度補償モデル式を算出
することと、
前記温度センサの現在の検出温度に対応する前記慣性航法用センサの検出誤差の補償値
を前記温度補償モデル式から算出して、検出誤差を補償することと、
を更に含む請求項1又は2に記載の測位方法。
【請求項4】
前記移動体の停止時に、前記慣性航法用センサが停止状態であれば、所定の安定動作時
間の起動をした後に、前記温度センサの検出温度と前記慣性航法用センサの検出結果とを
対応付けて記憶することを更に含む請求項3に記載の測位方法。
【請求項5】
前記慣性航法用センサは加速度センサを有して構成され、
前記移動体の姿勢を検出することと、
前記移動体の停止時の姿勢と前記加速度センサの検出結果とに基づいて、当該検出結果
に含まれる重力加速度の成分を算出することと、
を更に含み、
前記温度補償モデル式を算出することは、前記加速度センサの検出結果に含まれる前記
重力加速度の成分による影響を考慮して、前記温度補償モデル式を算出することである、
請求項3又は4に記載の測位方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の測位方法を、移動体に搭載される測位装置に内蔵さ
れたコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項7】
移動体に搭載されて、測位用衛星から受信した測位用信号に基づく所定の測位演算を行
って現在位置を測位する第1測位モードと、所定の慣性航法用センサを用いた所定の慣性
航法演算処理を行って現在位置を測位する第2測位モードとを有する測位装置であって、
前記測位用信号の受信状況を示す指標値が、予め定められた第1低レベル条件を満足す
るか否かを判定する第1低レベル条件判定部と、
前記第1低レベル条件を満足すると判定された場合には、前記慣性航法用センサを起動
状態とし、前記第1低レベル条件を満足しないと判定された場合には、前記慣性航法用セ
ンサを停止状態とする制御を行う制御部と、
前記第1低レベル条件を満足すると判定された場合に、前記第1低レベル条件よりもレ
ベルの低い第2低レベル条件を前記指標値が満足するか否かを判定する第2低レベル条件
判定部と、
前記第2低レベル条件を満足すると判定された場合には、前記第2測位モードによる測
位を行い、前記第2低レベル条件を満足しないと判定された場合には、前記第1測位モー
ドによる測位を行う測位部と、
を備えた測位装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−216484(P2009−216484A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−59088(P2008−59088)
【出願日】平成20年3月10日(2008.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】