説明

測位装置及び測位方法

【課題】
測位装置において高精度の測位に必要な時間を実効的に短縮し、ユーザの感じる待ち時間を短縮する。
【解決手段】
第1測位部7と、表示部6と、第2測位部8とを具備する測位装置を用いる。第1測位部7は、自身の位置を低精度で検出する第1測位を実行し、第1位置情報を取得する。表示部6は、第1位置情報の表示を行う。第2測位部8は、第1測位の実行及び第1位置情報の表示に並行して、自身の位置20を第1測位よりも高精度で検出する第2測位を実行し、第2位置情報を取得する。表示部6は、第2位置情報に基づいて表示を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位装置及び測位方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自身の位置(例示:[緯度、経度]、地図上の位置)を検出する(測位する)測位装置が知られている。例えば、特開2004−239803号公報に位置検出端末及び位置検出システムの技術が開示されている。この位置検出端末は、地図情報を記憶する地図記憶部と、地図情報の表示範囲を入力する地図エリア指定手段と、自身の位置情報を取得する位置検出手段と、この位置情報と地図情報を表示できる表示部とを有する。地図情報の表示範囲が、あらかじめ設定された測位動作開始レベルの示す表示範囲よりも狭く指定されたときに位置検出手段を動作させる測位起動部を備えている。図8は、この位置検出端末Tを示すブロック図である。
【0003】
この位置検出端末は、以下の手順で測位を行う。まず、ユーザが入力装置により概略位置及び地図の表示範囲を地図エリア指定手段102へ入力する。概略位置の指定は、付近の駅名などの指定に例示される。地図エリア指定手段102は、地図記憶部101を参照して地図及び概略位置を表示部104に表示する。ユーザがより狭い範囲を要求した場合、又は、最初の範囲指定でより詳細な地図を要求した場合、測位起動部105は、位置検出手段103により測位を行う。複数の位置検出手段103を有する場合、指定された測位精度に応じた測位手法(GPS測位部103a及び無線基地局利用測位部103bのいずれか)を選択して測位を行う。その測位結果に応じてより詳細な地図を取得する。
【0004】
【特許文献1】特開2004−239803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2004−239803号公報の例では、指定された表示範囲に対応して測位手法を変更している。例えば、指定された表示範囲が広域地図のような予め地図記憶部101に格納されている表示範囲であれば、特に測位が行わない。表示範囲がより詳細になると、測位を実行する。表示範囲が詳細になるに連れて、測位の精度を上げる。これにより、より詳細な地図に対しては、より正確な位置情報が対応することになる。
【0006】
ただし、低精度の測位を実行し位置情報を取得した後、より詳細な位置情報を要求するユーザの入力があった場合、改めて高精度の測位を実行する必要がある。その場合、低精度の測位に必要な時間に加えて、ユーザの入力操作に必要な時間及び高精度の測位に必要な時間が連続して余計にかかる。そのため、ユーザの満足度が低下することになる。
【0007】
従って、本発明の目的は、高精度の測位に必要な時間を実効的に短縮することが可能な測位装置及び測位方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、高精度の位置情報の取得する際にユーザの感じる待ち時間を短縮することが可能な測位装置及び測位方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、発明を実施するための最良の形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の測位装置は、自身の位置を低精度で測定する第1測位を実行し第1位置情報を取得する第1測位部(7)と、その第1位置情報の表示を行う表示部(6)と、その第1測位の実行及びその第1位置情報の表示に並行して、自身の位置(20)をその第1測位よりも高精度で測定する第2測位を実行し、第2位置情報を取得する第2測位部(8)とを具備し、表示部(6)は、その第2位置情報に基づいて、表示を更新する。
本発明では、まず低精度の第1位置情報を短時間で測定し、直ぐにその結果を表示するので、最初の第1位置情報の表示までの時間が短時間ですむ。そして、測定及び表示に並行して高精度の第2位置情報を測定するため、高精度の第2位置情報を得るためにユーザの感じる待ち時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、ユーザの感じる待ち時間を短縮することができ、測位装置において高精度の測位に必要な時間を実効的に短縮することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の測位装置及び測位方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。ここでは、測位装置として携帯電話に搭載された例を用いて説明する。すなわち、測位装置1=携帯電話である。しかし、本発明はその例に限定されるものではなく、他の携帯情報端末(例示:PDA(Personal Digital Assisitant)、スマートフォン、GPS専用端末)にも同様に適用可能である。
【0013】
(第1の実施の形態)
本発明の測位装置及び測位方法の第1の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、本発明の測位装置の第1の実施の形態の構成について説明する。図1は、本発明の測位装置の第1の実施の形態の構成を示す図である。測位装置1は、インターフェース部2、測位・通信部3、制御部10を具備する。
【0014】
インターフェース部2は、測位装置1のユーザインターフェースであり、入力部5及び表示部6を備える。入力部5は、ユーザが測位装置1への指示を入力可能なものであり、複数のキーやタッチパネル、ボタンに例示される。表示部6は、測位装置1による測位の結果のような情報処理動作に関わる情報やユーザの入力を表示するものであり、液晶ディスプレイに例示される。
【0015】
測位・通信部3は、自身の位置を測定する測位、及び外部との情報通信を行い、通信部9、記憶部4、低精度高速測位部7、及び高精度低速測位部8を備える。
通信部9は、ネットワークや公衆回線(以下、単に「ネットワーク52」という)を介した外部と測位装置1との通信を媒介する。ここでは、基地局51(例示:携帯電話における基地局、無線LANにおける基地局)及びネットワーク52を介して、地図情報を配信するサーバ53と通信可能である。
【0016】
記憶部4は、地図及び関連する情報としての地図情報や、通信部9の通信でサーバ53から取得した情報(地図情報を含む)を格納する。RAMやHDDのような記憶装置に例示される。地図情報は、地図の範囲に関する位置情報(緯度、経度)、食品店のような店舗や市役所のような公共施設に関する位置情報(緯度、経度)、店舗や公共施設そのものに関する情報に例示される。
【0017】
低精度高速測位部7は、高速ではあるが精度の低い測位を行う測位装置であり、無線基地局を利用する測位装置に例示される。例えば、測位装置1=携帯電話の場合、その携帯電話の通信している基地局51の場所からおよその位置情報(低精度の位置情報)を得ることができる。
【0018】
高精度低速測位部8は、低速ではあるが精度の高い測位を行う測位装置であり、GPS(Global Positioning System)測位手法を用いたGPS測位装置に例示される。高精度低速測位部8は、指令を受けた後は測位結果を出力するまで独立して動作することができる。そのため、他の構成(入力部5、表示部6、低精度高速測位部7、通信部9、制御部10等)の動作速度に影響を与えることがない。
【0019】
低精度高速測位部7と高精度低速測位部8とは、別々の装置である必要はなく、シーケンシャルに低精度高速の測位結果を出力した後、高精度低速の測位結果を出力する同一の装置であっても良い。例えば、GPS測位法を用いた測位装置では、GPS衛星からの電波の受信と受信したデータに基づく演算とを繰り返し実行し、所定の精度の結果が得られた時点で測位を終了する。この測位プロセスの過程では、その途中では低精度の測位結果が算出される。この低精度の測位結果を出力することにすれば、一つの測位装置(GPS測位装置)を低精度高速測位部7及び高精度低速測位部8として用いることが可能である。
【0020】
制御部10は、インターフェース部2及び測位・通信部3の動作を制御する。制御部10は、MPU(Micro Processing Unit)に例示される。
【0021】
図2は、本発明の測位装置における制御部10の構成を示す図である。制御部10は、プログラムとしてのメニュー部11、データ収集部12、低精度高速測位実行部13、高精度低速測位実行部14、データ生成部15を備える。これらのプログラムは、例えば、記憶部4に格納され、測位装置の行う測位方法を実行する際に、制御部10において実行される。
メニュー部11は、ユーザが選択できる複数の命令(指令)を表示部6に表示(提示)する。データ収集部12は、低精度高速測位実行部13及び高精度低速測位実行部14の実行する測位や表示部6での情報の表示に必要なデータを収集する。低精度高速測位実行部13は、低精度高速測位部7に測位を実行させ、測位結果を記憶部4に格納する。高精度低速測位実行部14は、高精度低速測位部8に測位を実行させ、測位結果を記憶部4に格納する。データ生成部15は、測位結果と地図情報、その他の情報を合成して表示部6に表示する。
【0022】
図3は、本発明の測位方法の第1の実施の形態を示すフローチャートである。ここでは、ユーザが現在位置を地図上に表示しようとする場合を例にして説明する。
【0023】
(1)ステップS01
ユーザは、測位装置1の入力部5によりメニューを呼び出す。メニュー部11は、表示部6を用いて所定のメニューを表示する。ユーザは、現在位置を地図上に表示するメニュー(以下、「現在位置表示指令」と記す)を選択する。
(2)ステップS02
低精度高速測位実行部13は、現在位置表示指令に応答して、表示部6を用いて測位中であることを表示する。
(3)ステップS03
低精度高速測位実行部13及び高精度低速測位実行部14は、必要であれば通信部9を用いてネットワーク52経由で、サーバ53のような情報処理装置から測位を行うために必要な情報を収集する。
(4)ステップS04
低精度高速測位実行部13は、低精度高速測位部7へ測位の実行を指令する。低精度高速測位部7は、低精度高速測位を実行する。
(5)ステップS05
低精度高速測位部7は、短時間で低精度高速測位を完了し、ユーザ(測位装置1)の現在位置としての低精度現在位置情報を取得する。低精度高速測位部7は、低精度高速測位実行部13へ低精度現在位置情報を出力する。低精度高速測位実行部13は、測位を行った時刻に関連付けて低精度現在位置情報を記憶部4に格納する。
(6)ステップS06
データ生成部15は、低精度現在位置情報に対応する地図情報を準備する。地図情報は記憶部4に格納されている。ただし、記憶部4に適切な地図情報がない場合、データ収集部12が、通信部9を用いてネットワーク52経由で、サーバ53のような情報処理装置から地図情報を収集し、記憶部4に格納する。この地図情報に含まれる地図の範囲は、表示部6の表示範囲よりも広範囲なものとする。低精度現在位置情報は測位誤差が大きいため、高精度低速測位の結果、現在位置がずれる可能性があるからである。詳細は後述する。
(7)ステップS07
データ生成部15は、地図情報に低精度現在位置情報を加えて、表示部6の表示範囲に入るように表示用のデータを生成する。そして、表示部6を用いてその表示用データを表示する。これにより、ユーザは、精度は低いが少ない待ち時間で現在位置を中心とした地図を見ることができる。
(8)ステップS08
一方、高精度低速測位実行部14は、ステップS04と概ね同時に、高精度低速測位部8へ測位の実行を指令する。高精度低速測位部8は、高精度低速測位を実行する。これにより、測位装置1は、高精度低速測位・結果出力(S08−S09)を、低精度高速測位・結果出力(S04−S05)、地図情報の準備(S06)及び表示用データの生成・表示(S07)と同時並行で行うことができる。
(9)ステップS09
高精度低速測位部8は、低精度高速測位部7と比較して長い時間かかって高精度低速測位を完了し、ユーザ(測位装置1)の現在位置としての高精度現在位置情報を取得する。高精度現在位置情報は、低精度現在位置情報よりも精度の高い位置情報である。高精度低速測位8は、高精度低速測位実行部14へ高精度位置情報を出力する。高精度低速測位実行部14は、測位を行った時刻に関連付けて高精度位置情報を記憶部4に格納する。
(10)ステップS10
データ生成部15は、ステップS06で準備された地図情報を記憶部4から取得する。データ生成部15は、地図情報に高精度現在位置情報を加えて、表示部6の表示範囲に入るように表示用のデータを再生成する。そして、その表示用データを用いて、表示部6上の表示用データを更新する。これにより、ユーザは、より精度の高い現在位置を中心とした地図を見ることができる。
【0024】
ステップS06において、サーバ53のような情報処理装置から地図情報を収集する際、どの程度の範囲の地図を必要としているかは低精度高速測位部7の測位精度により決定される。図4は、地図情報の取得範囲を説明する概略図である。低精度高速測位の測位結果は、測定誤差を含んでいるので、正しい現在位置20を中心にばらつく。そのばらつきは、ある確率で測位精度範囲21の円内に含まれる。ここで、測位精度範囲21の円の半径は、最大の測定誤差に対応する。表示部6の表示範囲22が方形であるとし、地図の準備範囲24も方形であるとし、表示部6の表示範囲22の中心に現在位置を表示するとする。この場合、図に示すように、測位精度範囲21の円周上を表示範囲22(22a、22b、22c、22d)の中心が通るように表示範囲22を移動させたとき、表示範囲22が描く軌跡の最も外側のものが含まれるように、地図の準備範囲24を設定すればよい。
【0025】
このように地図の準備範囲24を設定することで、高精度低速度測位を実行した後で表示部6の表示用データが更新される場合でも、使用する地図情報は地図の準備範囲24内に収まる。それにより、高精度現在位置情報を表示する際に、再度地図情報を取得する必要が無くなる。
【0026】
地図の準備範囲24は、表示範囲22よりも広いので、一つの表示範囲22の地図情報を取得するよりも少し多く時間がかかる。しかし、その時間は高精度低速測位の時間に隠蔽されること、再度地図を取得する必要がないことから、高精度現在位置情報を表示する時間としては、短い時間で済むことになる。
【0027】
通信部9を用いて地図情報を取得する場合、通信に時間がかかるため、その時間で高精度低速測位の時間を隠蔽する効果が高い。
【0028】
本実施の形態において、時間を必要とする工程は、測位と地図の準備とである。高速低精度の測位手法を用いることにより短時間に地図の準備を開始することができる。この間に並行して高精度の測位を続けることにより、地図を準備するための時間に測位精度を高めるための時間を隠蔽することができる。その結果、ユーザから見たときの時間を短くすることができる。また準備する地図は、低精度高速測位部7の測位精度より導いた広範囲の地図となるため、高精度低速測位部8で測位を行った結果から地図を表示しても、予め取得した地図を利用できる。
【0029】
ユーザは、短時間で低精度ではあるが概ね正しい現在位置情報を地図上で確認しているので、待ち時間に伴うユーザの不満が解消される。加えて、低精度の現時位置情報よりもやや遅れて、より精度の高い現在位置を中心とした地図を見ることができるので、高精度の位置情報を取得する際にユーザの感じる待ち時間を短縮することができる。これにより、高精度の測位に必要な時間を実効的に短縮することが可能となる。
【0030】
(第2の実施の形態)
本発明の測位装置及び測位方法の第2の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の測位装置の第2の実施の形態の構成を示す図である。本実施の形態では、高精度低速測位部8がAssisted GPS測位手法(以下、「AGPS測位手法」という)を用いたAGPS測位装置である点が第1の実施の形態と異なる。この場合、高精度低速測位部8は、低精度高速測位部7の低精度現在位置情報を用いてGPS測位を行う。その他については、図2を含めて第1の実施の形態と同様である。
【0031】
図5は、本発明の測位方法の第2の実施の形態を示すフローチャートである。ここでは、ユーザが現在位置を地図上に表示しようとする場合を例にして説明する。(1)ステップS21〜(7)ステップS27については、第1の実施の形態のステップS01〜ステップS07と同様である。ステップS26にける地図情報の範囲についても、図4を含めてステップS06の場合と同様である。
【0032】
(8)ステップS28
高精度低速測位実行部14は、ステップS25で得られた低精度現在位置情報を低精度高速測位部7から又は記憶部4から取得する。高精度低速測位実行部14は、高精度低速測位部8へ、その低精度現在位置情報を出力するとともにAGPS測位手法の実行を指令する。高精度低速測位部8は、AGPS測位手法を用いた高精度低速測位を実行する。これにより、測位装置1は、高精度低速測位・結果出力(S28−S29)を、地図情報の準備(S26)及び表示用データの生成・表示(S27)と同時並行で行うことができる。
(9)ステップS29〜(10)ステップS30については、第1の実施の形態のステップS09〜ステップS10と同様である。
【0033】
この場合も第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0034】
(第3の実施の形態)
本発明の測位装置及び測位方法の第3の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1及び図2における、本発明の測位装置の第3の実施の形態の構成をについては、第1の実施の形態と同様である。
【0035】
本実施の形態では、低精度高速測位による現在位置の取得・表示に加えて、自身の現在位置の周辺に関する情報を取得・表示しながら、並行して高精度低速測位を行う点で、第1の実施の形態と異なる。
【0036】
図6は、本発明の測位方法の第3の実施の形態を示すフローチャートである。ここでは、ユーザが現在位置の周辺に関する情報として例えば現在位置の周辺にある食品店の位置を表示しようとする場合を例にして説明する。
【0037】
(1)ステップS41
ユーザは、測位装置1の入力部5によりメニューを呼び出す。メニュー部11は、表示部6を用いて所定のメニューを表示する。ユーザは、現在位置の周辺にある食品店の位置を地図上に表示するメニュー(以下、「対象物検索指令」と記す)を選択する。
(2)ステップS42
低精度高速測位実行部13は、対象物検索指令に応答して、表示部6を用いて測位中であることを表示する。
(3)ステップS43
低精度高速測位実行部13及び高精度低速測位実行部14は、必要であれば通信部9を用いてネットワーク52経由で、サーバ53のような情報処理装置から測位を行うために必要な情報を収集する。
(4)ステップS44
低精度高速測位実行部13は、低精度高速測位部7へ現在位置の測位の実行を指令する。低精度高速測位部7は、低精度高速測位を実行する。
(5)ステップS45
低精度高速測位部7は、短時間で低精度高速測位を完了し、ユーザ(測位装置1)の現在位置としての低精度現在位置情報を取得する。低精度高速測位部7は、低精度高速測位実行部13へ低精度現在位置情報を出力する。低精度高速測位実行部13は、測位を行った時刻に関連付けて低精度現在位置情報を記憶部4に格納する。
(6)ステップS46
データ生成部15は、低精度現在位置情報に対応する地図情報を準備する。地図情報は記憶部4に格納されている。ただし、記憶部4に適切な地図情報がない場合、データ収集部12が、通信部9を用いてネットワーク52経由で、サーバ53のような情報処理装置から地図情報を収集し、記憶部4に格納する。この地図情報に含まれる地図の範囲については、第1の実施の形態のステップS06(図4を含む)と同様である。
(7)ステップS47
データ収集部12は、低精度現在位置情報に対応する地図情報のうちの食品店に関する情報を準備する。すなわち、記憶部4に格納された地図情報の中から食品店に関する情報を検索する。このような食品店に関する情報は、例えば、店名と店の位置を示す位置情報と店の内容とを関連付けたテーブルに例示される。ただし、記憶部4に適切な食品店に関する情報がない場合、データ収集部12が、通信部9を用いてネットワーク52経由で、サーバ53のような情報処理装置から食品店に関する情報を検索し、記憶部4に格納する。この食品店に関する情報の検索範囲は、ユーザの指示範囲(例示:現在位置から半径100m以内)よりも広範囲なものとする。低精度現在位置情報は測位誤差が大きいため、高精度低速測位の結果、ユーザの指示(表示部6の表示範囲)がずれる可能性があるからである。詳細は後述する。ただし、ステップS46で、サーバ53から地図情報を取得するとき、食品店に関する情報を取得可能であれば、そこで取得しても良い。その場合、ステップS47を省略できる。
(8)ステップS48
データ生成部15は、地図情報に低精度現在位置情報、及び食品店の店名と位置情報を加えて、表示部6の表示範囲に入るように表示用のデータを生成する。そして、表示部6を用いてその表示用データを表示する。これにより、ユーザは、精度は低いが少ない待ち時間で現在位置及び周辺の食品店に関する情報を地図上で見ることができる。
(9)ステップS49
一方、高精度低速測位実行部14は、ステップS44と概ね同時に、高精度低速測位部8へ測位の実行を指令する。高精度低速測位部8は、高精度低速測位を実行する。これにより、測位装置1は、高精度低速測位・結果出力(S49−S50)を、低精度高速測位・結果出力(S44−S45)、地図情報の準備(S46)、対象物検索指令の受信・検索・結果出力(S47)及び表示用データの生成・表示(S48)と同時並行で行うことができる。
(10)ステップS50
高精度低速測位部8は、低精度高速測位部7と比較して長い時間かかって高精度低速測位を完了し、ユーザ(測位装置1)の現在位置としての高精度現在位置情報を取得する。高精度現在位置情報は、低精度現在位置情報よりも精度の高い位置情報である。高精度低速測位8は、高精度低速測位実行部14へ高精度位置情報を出力する。高精度低速測位実行部14は、測位を行った時刻に関連付けて高精度位置情報を記憶部4に格納する。
(11)ステップS51
データ生成部15は、ステップS46、S47で準備された地図情報を記憶部4から取得する。データ生成部15は、地図情報に高精度現在位置情報を加えて、表示部6の表示範囲に入るように表示用のデータを再生成する。そして、その表示用データを用いて、表示部6上の表示用データを更新する。これにより、ユーザは、より精度の高い現在位置及び周辺の食品店に関する情報を地図上で見ることができる。
【0038】
ステップS47において、サーバ53のような情報処理装置から食品店に関する情報を検索する際、どの程度の範囲の地図を必要としているかは低精度高速測位部7の測位精度により決定される。図7は、食品店に関する情報の検索範囲を説明する概略図である。低精度高速測位の測位結果は、測定誤差を含んでいるので、正しい現在位置20を中心にばらつく。そのばらつきは、ある確率で測位精度範囲25の円内に含まれる。ここで、測位精度範囲25の円の半径は、最大の測定誤差に対応する。ユーザの指示範囲26が円形であるとし、検索範囲28も方形であるとし、表示部6の表示範囲の中心に現在位置を表示するとする。この場合、図に示すように、測位精度範囲25の円周上を指示範囲26(26a、26b、26c、26d)の中心が通るように指示範囲26を移動させたとき、指示範囲26が描く軌跡の最も外側のものが含まれるように、検索範囲28を設定すればよい。
【0039】
このように検索範囲28を設定することで、高精度低速度測位を実行した後で表示部6の表示用データが更新される場合でも、使用する食品店に関する情報は検索範囲28内に収まる。それにより、高精度現在位置情報を表示する際に、再度地図情報(食品店に関する情報は)を取得する必要が無くなる。
【0040】
第2の実施の形態では、現在位置の周辺にある食品店の位置を地図上に表示する動作を例にして説明しているが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、現在位置の周辺における情報について、地図上に提示するような他の情報サービスを行う場合にも同様に使用することができる。そのような現在位置の周辺における情報としては、食品店やレストラン、百貨店や商店、文化施設や公共施設のような各種施設の情報、各種施設における活動内容に関する情報などが例示される。
【0041】
ユーザは、短時間で低精度ではあるが概ね正しい現在位置情報及び食品店に関する情報を地図上で確認しているので、待ち時間に伴うユーザの不満が解消される。加えて、低精度の現時位置情報よりもやや遅れて、より精度の高い現在位置を中心とした地図を見ることができるので、高精度の位置情報を取得する際にユーザの感じる待ち時間を短縮することができる。これにより、高精度の測位に必要な時間を実効的に短縮することが可能となる。
【0042】
第2の実施の形態において、時間を必要とする部分は、測位と地図の準備とユーザからの指示と情報検索とである。高速低精度の測位手法を用いることにより短時間に地図の準備とユーザから指示を受ける状態とに移行することができる。ユーザが指示を行う間に並行して高精度の測位を続けることにより、測位精度を高めるための時間をユーザからの指示を受けるための時間に隠蔽することができる。その結果、ユーザから見たときの時間を短くすることができる。また、準備する検索結果は低精度高速測位部7の測位精度より導いた広範囲からの検索結果となるため、高精度低速測位部8で測位を行った結果から検索結果を表示しても、予め取得した検索結果を使用できる。
【0043】
使用者に対して、長時間待たせることなく精度は低いが地図などの測位結果を表示することができる。ユーザが結果を閲覧もしくは結果から指示を出す間に装置は精度の高い測位結果を得て表示を更新(補正)することができる。使用者は、結果として長時間待つことなく精度の高い結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、本発明の測位装置の第1の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の測位装置における制御部10の構成を示す図である。
【図3】図3は、本発明の測位方法の第1の実施の形態を示すフローチャートである。
【図4】図4は、地図情報の取得範囲を説明する概略図である。
【図5】図5は、本発明の測位方法の第2の実施の形態を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の測位方法の第3の実施の形態を示すフローチャートである。
【図7】図7は、食品店に関する情報の検索範囲を説明する概略図である。
【図8】図8は、この位置検出端末Tを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
1 測位装置
2 インターフェース部
3 測位・通信部
4 記憶部
5 入力部
6 表示部
7 低精度高速測位部
8 高精度低速測位部
9 通信部
10 制御部
11 メニュー部
12 データ収集部
13 低精度高速測位実行部
14 高精度低速測位実行部
15 データ生成部
20 現在位置
21 測位精度範囲
22(22a、22b、22c、22d) 表示範囲
24 準備範囲
25 測位精度範囲
26(26a、26b、26c、26d) 指示範囲
28 検索範囲
51 基地局
52 ネットワーク
53 サーバ
101 地図記憶部
102 地図エリア指定手段
103 位置検出手段
103a GPS測位部
103b 無線基地局利用測位部
104 表示部
105 測位起動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の位置を低精度で測定する第1測位を実行し、第1位置情報を取得する第1測位部と、
前記第1位置情報の表示を行う表示部と、
前記第1測位の実行及び前記第1位置情報の表示に並行して、前記自身の位置を前記第1測位よりも高精度で測定する第2測位を実行し、第2位置情報を取得する第2測位部と
を具備し、
前記表示部は、前記第2位置情報に基づいて、表示を更新する
測位装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測位装置において、
前記第1測位部と前記第2測位部とは同一であり、前記第1位置情報は、前記第2位置情報を得る過程で得られる
測位装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の測位装置において、
前記表示部は、前記第1位置情報に基づいて、前記自身の位置を地図上に表示し、前記第2位置情報に基づいて、前記地図上の自身の位置の表示を更新する
測位装置。
【請求項4】
請求項3に記載の測位装置において、
前記表示部は、前記第2位置情報に基づいて、前記地図上の自身の位置の表示に加えて、前記地図の表示を更新する
測位装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の測位装置において、
前記地図としての地図情報を格納する記憶部を更に具備する
測位装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測位装置において、
前記記憶部は、ネットワークを介して取得した前記地図情報を格納し、
前記第2測位部は、前記第1測位の実行、前記地図情報の取得及び前記第1位置情報の表示に並行して、前記第2位置情報を取得する
測位装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の測位装置を具備する
携帯情報端末。
【請求項8】
(a)自身の位置を低精度で測定する第1測位を実行し、第1位置情報を取得するステップと、
(b)前記第1位置情報の表示を行うステップと、
(c)前記第1測位の実行及び前記第1位置情報の表示に並行して、前記自身の位置(20)を前記第1測位よりも高精度で測定する第2測位を実行し、第2位置情報を取得するステップと
(d)前記第2位置情報に基づいて、表示を更新するステップと
を具備する
測位方法。
【請求項9】
請求項8に記載の測位方法において、
前記(a)ステップは、
(a1)前記第2位置情報を得る過程で得られる、前記第2位置情報よりも低精度の位置情報を前記第1位置情報として取得するステップを備える
測位方法。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の測位方法において、
前記(b)ステップは、
(b1)前記第1位置情報に基づいて、前記自身の位置を地図上に表示するステップを備え、
前記(d)ステップは、
(d1)前記第2位置情報に基づいて、前記地図上の自身の位置の表示を更新するステップを備える
測位方法。
【請求項11】
請求項10に記載の測位方法において、
前記(d1)ステップは、
(d11)前記第2位置情報に基づいて、前記地図上の自身の位置の表示に加えて、前記地図の表示を更新するステップを含む
測位方法。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか一項に記載の測位方法において、
前記(b)ステップは、
(b2)前記(b1)ステップよりも前に、前記地図としての地図情報を、ネットワークを介して取得するステップを更に具備し、
前記(c)ステップは、
(c1)前記第1測位の実行、前記地図情報の取得及び前記第1位置情報の表示に並行して、前記第2位置情報を取得するステップを備える
測位方法。
【請求項13】
請求項10又は11に記載の測位方法において、
前記(b)ステップは、
(b3)前記第1位置情報に基づいて、前記自身の位置の周辺に関する情報を取得するステップと、
(b4)前記自身の位置に加えて、前記周辺に関する情報を前記地図上に表示するステップを更に備え、
前記(c)ステップは、
(c2)前記第1測位の実行、前記地図情報の取得、前記第1位置情報の表示、及び前記周辺に関する情報の取得に並行して、前記第2位置情報を取得するステップを備える
測位方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−250819(P2006−250819A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−69884(P2005−69884)
【出願日】平成17年3月11日(2005.3.11)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】