説明

測定の不明瞭性を解消した部分コヒーレンス干渉計

部分コヒーレンス干渉計は、測定の不明瞭性を解決するためのフォーカシング系を組み込んでいる。焦点検知ビームは、干渉計の測定ビームと共用の対物レンズを通して試験面まで送られ、試験面から戻される。明瞭な測定範囲は、所定の焦点誤差範囲と一致する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部分コヒーレンス干渉測定の分野に関し、零状態をまたぐ干渉測定に関連した不明瞭性の解消に関する。
【背景技術】
【0002】
部分コヒーレンス干渉計は、波長の関数としての干渉をモニターすることによって、距離を測定する。測定ビームは波長範囲にわたるスペクトル帯域幅を有し、一時的に試験ビームと基準ビームとに分離される。試験ビームは試験アームに沿って伝播し、途中で試験面に遭遇して、検出器に至る。基準ビームは基準アームに沿って伝播し、途中で基準面に遭遇して、同一の検出器に至る。試験面の異なった地点における高さの変動が、試験アームの光路長に、対応した変化をもたらす。
【0003】
検出器は試験ビームと基準ビームを結合したビームを、共通のスペクトル成分に分解し、各サンプル波長について、干渉に関連した強度の変動を検出する。波長の関数としての干渉は、試験ビームと基準ビームとの光路長差に関係する。試験アームと基準アームの光路長が等しいとき、いわゆる「零状態(null condition)」が起こる。試験アームが基準アームより長いか、あるいは基準アームが試験アームより長いかとは無関係に、最大干渉と最小干渉の周期は、零状態の両側で増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、部分コヒーレンス干渉計は、一般的に零状態を避けるように構成されている。しかし、零状態の近傍で用いる場合には、部分コヒーレンス干渉計はまた、試験アームの光路長が基準アームの光路長よりも長い場合と短い場合とを区別するように構成しなければならない。距離センサ、とくに三角測量式距離センサは、明瞭な測定値を限定的な範囲に特定するために用いられてきた。しかし、こうした距離センサは一般的に、より広い範囲での高解像度の測定には適しておらず、また、工具痕跡や他の人為的な荒さのある面を含む不規則な面、すなわち、測定ビームの波長の少なくとも8分の1の山谷粗さを有する面により、乱され易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は部分コヒーレンス干渉計に関するもので、測定範囲が例えば約1ミリメートルの、試験対象物の表面形状を測定するための干渉計を想定している。さらに長い測定範囲、例えば測定範囲3−5ミリメートルで動作可能な焦点センサは、測定値を干渉計の零状態と照合させており、明瞭範囲内の測定を、零状態に近づくか零状態の反対側に広がる他の測定から区別する。低いビームシャドーイングで大きな作動距離にわたって、試験対象面の測定が可能である。この試験対象面は、正反射を含む拡散反射を介して、さまざまな反射力、たとえば100%から1%未満の反射力を持っている。
【0006】
ここで提案する距離センサシステムは、焦点センサを含み、部分コヒーレンス干渉計の試験アームの一部を共用して、光を、共用の対物レンズ経由で、試験対象面に向かわせ、試験対象物から戻るように方向付けている。好ましくは、対物レンズは、0.1程度の低い開口数を有し、大きな作動距離に対応可能となっている。この焦点センサ系は測定ビームの一部を共用可能であり、あるいは、とくに異なった範囲の波長の範囲内で動作するために、独自のセンサビームを供給することも可能である。
【0007】
焦点センサビームの約半分をセンサレンズの焦点の位置で覆い隠すことによって、焦点センサビームが遭遇した試験面の軸方向位置の変化が、焦点検出器に戻る光分布の、検出可能な横方向の変位に変換される。干渉計の零状態はこれら光分布の横方向の変位によって較正可能であり、これにより所定の範囲の横方向の変位が零状態の片側からオフセットした測定範囲に対応するようになる。対物レンズを経た干渉計の焦点位置は、好ましくは、試験アームと基準アームとの光路長差が測定範囲の約60パーセント(例えば、0.60×1mm=0.6mm)と等しくなるように設定される。そのため、測定範囲のうち零状態にもっとも近い一端において、試験対象面は、零状態から依然として所定量(例えば、0.1mm)だけオフセットしている。零状態からの最小オフセットを超えた、焦点位置からの軸方向変位に対応する測定値は、測定用に採用される。一方、零状態により近い、または零状態の反対側の軸方向変位に対応する測定値は、異符号の測定値として排除または消される。これが必要となるのは、部分コヒーレンス測定が零状態近傍では正確性に欠けるためである。
【0008】
部分コヒーレンス干渉計としての発明の1つの態様は、所定のスペクトル帯域幅を有する測定ビームを採用している。試験アームが、上記測定ビームの試験ビーム部を、試験面に遭遇する経路に沿って送り、基準アームが、上記測定ビームの基準ビーム部を、基準面に遭遇する経路に沿って送る。上記試験アームは、上記試験ビームを上記試験面上に集束させ、上記試験ビームの上記試験面からの反射部分を集めるための、集束光学要素を含む。上記試験アームおよび上記基準アームに連結されたスペクトル感受性検出系が、測定ビーム帯域幅の範囲にわたり、波長の関数としての干渉を、上記試験アームと上記基準アームとの間の符号なしの光路長差の測定値としてモニターする。上記干渉計で較正した焦点検出系が、上記試験アームと上記基準アームとの間のゼロより大きい光路長差と、ゼロより小さい光路長差とを識別し、上記試験アームと上記基準アームとの上記符号のない光路長差の測定値に関連した不明瞭性を解決する。
【0009】
この焦点検出系は、好ましくは、上記試験面から反射された光を上記集束光学要素を通って焦点検出器まで送る焦点検出アームを備えている。さらに、この焦点検出系は、好ましくは、上記試験アームと上記基準アームとの上記光路長差がゼロよりも大きくなる上記試験面の位置と、上記試験アームと上記基準アームとの上記光路長差がゼロよりも小さくなる上記試験面の位置とを識別する。また、この焦点検出系は、好ましくは、ゼロに近い光路長差と、いずれかの符号の光路長差であって、ゼロよりも有意に大きいか又は小さい光路長差との識別も行う。
【0010】
プロセッサは好ましくは、(a)上記試験アームと上記基準アームとの符号のない光路長差に関連した上記スペクトル感受性検出系からの測定値と、(b)上記試験面が、上記試験アームと上記基準アームとの上記光路長差がゼロよりも大きくなる位置にあるのか、小さくなる位置にあるのかを示す、上記焦点検出系からの情報を受け取る。上記試験面から反射し、上記集束光学要素を通って、焦点検出器に至る光は、上記測定ビームの一部とすることができる。あるいは、上記干渉計は、上記測定ビームを生成するための第一光源と、焦点検知ビームを生成するための第二光源とをさらに備え、この焦点検知ビームは、上記焦点検出アームによって、上記集束光学要素を通って上記試験面へ、そして上記試験面から上記集束光学要素を通って上記焦点検出器へ送られる。好ましくは、上記焦点検知ビームまたは上記測定ビームのうち少なくとも1つの表示波長が可視波長域内にあり、試験面に可視スポットが呈示されるようになっている。
【0011】
焦点検出系を上記干渉計で較正することが出来、この較正は、上記集束光学要素を通過する光の焦点を、上記試験アームの上記光路長と上記基準アームの上記光路長が等しくなる零状態から、所定のオフセットをもって位置づけることによって行われる。好ましくは、上記所定のオフセットが上記干渉計の所定の測定範囲の少なくとも半分である。
【0012】
本発明の別の態様は、試験ビームと基準ビームとの間の符号なしの光路長差に基づく部分コヒーレンス干渉測定の測定不明瞭性を解決するための方法である。所定のスペクトル帯域幅を有する測定ビームを、試験アームに沿って伝播する試験ビームと、基準アームに沿って伝播する基準ビームとに分離する。上記試験ビームを、上記試験アームに沿い集束光学要素を通って試験面に至り、上記集束光学要素を通って上記試験面から戻るように方向づける。上記試験ビームと上記基準ビームとを再結合させ、上記再結合ビームの波長の範囲にわたる干渉を、上記試験アームと上記基準アームの符号なしの光路長差の測定値としてモニターする。上記試験面から反射された光を、上記集束光学要素を通って、焦点誤差を測定するための焦点検出器へ送る。上記測定された焦点誤差が、上記試験アームの上記光路長と上記基準アームの上記光路長において、一方が他方よりも有意に短いことまたは、有意に長いことを識別する。
【0013】
集束光学要素の焦点は、好ましくは、上記試験アームと上記基準アームの上記光路長とが等しい零状態からオフセットされた位置に位置づけられる。上記試験アームと上記基準アームとの上記光路長差がゼロより有意に大きくなる上記試験面の位置と、上記試験アームと上記基準アームとの上記光路長差がゼロより有意に小さくなる上記試験面の位置とを識別する。その際、好ましくは、ゼロに近い光路長差と、ゼロより有意に大きいか有意に小さい、いずれかの符号の上記光路長差とを識別する。
【0014】
焦点誤差範囲は、好ましくは、上記試験アームと上記基準アームとの光路長差範囲に相関し、この光路長差範囲では、上記試験アームの上記光路長が上記基準アームの上記光路長よりも有意に長いか又は有意に短いかのいずれか一方である。上記試験アームと上記基準アームの光路長差のモニターされた干渉測定値を、上記同定された焦点誤差範囲との関連に基づいて選択する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】別の光源を付けた焦点検出系を含む、部分コヒーレンス干渉計の図である。
【図2A】干渉計の零状態と焦点誤差範囲の第一の関係を示すグラフである。
【図2B】干渉計の零状態と焦点誤差範囲の第二の関係を示すグラフである。
【図3】光源を共用する焦点検出系を含む、部分コヒーレンス干渉計の図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0016】
図1に示すように、部分コヒーレンス干渉計10は測定ビーム14を生成するための光源12を含む。この測定ビームは所定のスペクトル帯域幅、好ましくは可視スペクトル内または赤外スペクトル内の帯域幅を有している。光源12は超放射発光ダイオードのような広帯域光源であり、表示波長が約800ナノメートルであれば、出力が約10ミリワット、スペクトル帯域幅が約40ナノメートル、通常、10ナノメートルから150ナノメートルの範囲内にあるものが好ましい。このような光源12は、時間的コヒーレンスの低い光源と呼ぶことも出来る。平行化レンズ16は、広がった測定ビーム14を平行化し干渉計10を通って伝播できるようにする。
【0017】
50/50ビームスプリッタ22は、測定ビーム14を試験ビーム26と基準ビーム28に分離する。試験ビーム26は50/50ビームスプリッタ22を透過し、干渉計10の試験アーム32に沿って伝播する。基準ビーム28は50/50ビームスプリッタ22で反射して、干渉計10の基準アーム34に沿って伝播する。
【0018】
試験ビーム26は第一の波長感受性(wavelength-sensitive)のダイクロイックビームスプリッタ24を通り、第二の波長感受性ダイクロイックビームスプリッタ36で反射し、対物レンズ38を通る。この対物レンズ38は、試験ビーム26を、試験対象面40上、または少なくともその近傍にある焦点42に向かって収束させる。同対物レンズ38は、試験対象面40からの正反射、拡散反射または正反射と拡散反射の何らかの組み合わせによって反射された光を集め、戻り経路上にある試験ビーム26を、2つのダイクロイックビームスプリッタ36、24を経て50/50ビームスプリッタ22に戻すように方向付ける。好ましくは、対物レンズ38は約0.1の開口数を有し、その結果、作動距離は例えば約70ミリメートルであり、推奨測定範囲は約1.0ミリメートルである。
【0019】
戻りの試験ビーム26と基準ビーム28の一部は、50/50ビームスプリッタ22で再結合され、集束光学要素52を通って一緒に伝播し、スペクトル感受性(spectrally sensitive)の検出系54に向かう。すなわち、50/50ビームスプリッタ22は戻りの試験ビーム26の一部を反射し、戻りの基準ビーム28の一部を通過させ、集束光学要素52を通して共通の方向に向かわせる。スペクトル感受性検出系54は、好ましくは、回析格子56とリニアCCD(電荷結合素子)センサアレイ58とを組み合わせた分光計である。回折格子56は、測定ビーム(すなわち、試験ビーム26と基準ビーム28を再結合したもの)を異なった波長で角度分離するものである。リニアCCDセンサアレイ58は、空間的に分離された波長のそれぞれの干渉強度を測定するものである。
【0020】
零状態をまたぐ、または零状態に近い光路長差に関連した測定の不明瞭性を避けるために、フォーカシング系60が、第一ダイクロイックビームスプリッタ24を介して干渉計10に連結されている。別の光源62、好ましくは可視スペクトル内(例えば、波長650ナノメートル)で動作するレーザーダイオードのような光源が、焦点検知ビーム64を生成する。この焦点検知ビーム64は平行化レンズ66によって広がった形で平行化され、平行ビームとしてフォーカシング系60の残りの部分と干渉計10を通って伝播する。ビームスプリッタ68は、平行化された焦点検知ビーム64を反射して、ダイクロイックビームスプリッタ24への経路に沿わせる。このビームスプリッタ68は一部反射性または偏光感受性(polarization-sensitive)のビームスプリッタとして構成可能である。ダイクロイックビームスプリッタ24の波長感受性により、焦点検知ビーム64は試験ビーム26と共通の経路に沿って反射され、対物レンズ38を通って試験対象面40に至り、試験対象面で反射される。
【0021】
試験対象面40で反射された焦点検知ビーム64の一部は、ダイクロイックビームスプリッタ24を介してビームスプリッタ68に戻り、さらに焦点検出用光学要素72を通って、焦点検出器74まで伝播する。偏光ビームスプリッタとして構成されたビームスプリッタ68と共に4分の1波長板76を用いて、焦点検知ビーム64の偏光を回転させ、戻りの焦点検知ビーム64をより効率良く焦点検出器74に向かわせることができる。あるいは、ビームスプリッタ68として、光効率は劣るが、より廉価な50/50ビームスプリッタを用いてもよく、その場合、4分の1波長板は不要である。
【0022】
焦点検知ビーム64の横断面の実質的に半分を遮断する上述のオフセットストップ65を設置する前は、焦点検出用光学要素72は、好ましくは、焦点検出器74上に対物レンズ38の焦点42の共役像78を結ぶ。対物レンズ38の光軸80上における試験対象面40の軸方向位置の変化に伴って、焦点検出器74の像平面内の2つの光検出器間での光の分配が変化する。
【0023】
図2Aおよび図2Bは、光軸に沿う試験対象面40の位置がとりうる範囲にわたって、焦点誤差の範囲を、下記に示す光検出器の出力の差と和の関係としてプロットしたものである。
焦点誤差=(A−B)/(A+B)
ここで、”A“と”B“は、それぞれ、焦点検出器74の像平面における2つの光検出器の出力である。
【0024】
図2Aおよび図2Bのいずれにおいても、試験ビームおよび焦点検知ビームの焦点42は、意図された測定域82の中間に位置し、干渉計10の零状態84は、意図された測定域82の一端をわずかに超えた位置にある。たとえば、基準アーム34の光路長は、試験アーム32の光路長よりも、意図された測定域82の長さの約60%だけ、長くまたは短くなるように構成することができる。意図された測定域82が焦点42を中心にしているため、零状態84は、意図された測定域82の長さの約10パーセントに等しいオフセットの分だけ、意図された測定域82の外側に位置する。したがって、測定範囲が1.0ミリメートルにわたる場合、焦点42は零状態84から0.6ミリメートル変位し、零状態84は上記測定域82から0.1ミリメートルだけ外れていることになる。
【0025】
図2Aにおいて、上記測定域の一端は、AとBが等しくなる交点86に位置しており、これは検出器74の位置のオフセットによって達成される。それによって、意図された測定域82に関連した焦点誤差が、ゼロから所定の負の値の間の値をとるようになっている。零状態84および焦点誤差が正になる範囲内の試験対象面40の他の位置は、意図された測定域82から除外される。図2Bにおいては、焦点42は、AとBが等しくなる焦点誤差の交点86に位置する。測定域82の境界は、焦点誤差信号の絶対値によって定められる。
【0026】
非点収差法による焦点センサ(astigmatic focus sensor)もこれらの目的に適しているが、それについては、ノイエス出版社刊、「磁気光学データ記録ハンドブック(1997)」(”Handbook of Magneto-Optical Data Recording”, Noyes Publications)P.100-102で議論されている。この非点収差法による焦点検出器には、出力信号A,B,C,Dを伴う4分割検出器が用いられている。この検出器からの標準化した焦点誤差信号は以下のように表される:
焦点誤差={(A+C)−(B+D)}/(A+B+C+D)
ここで、”A”、“B”、“C”、“D”は、焦点検出器の像平面の4つの分割面それぞれからの光検出器信号である。図2Aおよび2Bに示す焦点誤差曲線と同様の焦点誤差曲線を得ることができる。
【0027】
プロセッサ88は、スペクトル感受性検出系54と焦点検出器74の両方から情報を受け取る。スペクトル感受性検出系54から、プロセッサは、再結合された試験ビーム26と基準ビーム28の強度の変動に関連した情報を、波長範囲にわたって受け取り、試験対象面40での焦点42の軸方向位置と関連した試験アーム32と基準アーム34との光路長差の計算に供する。
【0028】
上記焦点検出器から、プロセッサ88は焦点誤差に関する情報を受け取る。この焦点誤差は、焦点42に対して試験対象面40が軸方向に変位した位置に対応するものである。焦点誤差の範囲は、意図された測定域82に関連している。たとえば、焦点誤差の極性または大きさ、あるいは極性と大きさの両方の組み合わせを用いて、意図された測定域82を識別することができる。意図された測定域82内の焦点誤差に関連した光路長の測定値は保持され(つまり、有効なデータとして選択され)、意図された測定域82外の焦点誤差に関連した光路長の測定値は、好ましくは、捨てられる。これにより、光路長差の明瞭な測定値のみが保持される。
【0029】
図示しないが、試験対象面40は、好ましくは座標測定ステージに支持される。このステージは、試験対象面40を焦点42に対して相対的に移動または回転させ、基準位置の範囲に対する試験対象面40の他の地点が測定できるようになっている。たとえば、座標測定ステージは2つの座標軸(たとえばXとYの座標軸)上の位置変化に関する空間情報を提供することができ、干渉計10は、光軸80と一直線をなす第3の座標軸(たとえばZ座標軸)上の位置変化に関する情報を提供することができる。一般的に、干渉計は試験対象面40の高さの変動に関する情報を収集する。好ましくは、1秒間に数100から約1000回の割合で個々の測定を行い、試験対象面40の全部または所定の部分を測定点の列として定める。
【0030】
ビデオ撮像系90は上記ダイクロイックビームスプリッタ36を介して連結され、試験対象面40のセットアップ中および測定中に試験対象面40を撮像する。光学ズームレンズ92は試験対象面40のサイズ調節可能な像をビデオCCD検出器94(detector array)に中継する。フォーカシング系60は、好ましくは可視スペクトル内で動作し、このフォーカシング系を用いて、試験対象面40上に可視標的スポットを生成し、試験対象面40の目に見える特徴や境界に関して、試験対象面40上の測定可能な点を照合できるようにする。
【0031】
別の部分コヒーレンス干渉計100を図3に示す。図1に示す部分コヒーレンス干渉計10に対応する特徴部には同一の参照番号を付す。しかし、上記干渉計10とは対照的に、共通光源102が干渉計100とこれに関係するフォーカシング系110の両方に光学的パワーを供給する。この光源102は、好ましくは、可視スペクトル(たとえば、波長約680ナノメートル)内で動作するスーパールミネッセントダイオードである。可視スペクトル内で動作することによって、測定スポットが試験対象面40上の焦点42に現われるので、セットアップしたり、測定点を試験対象面40上の目に見える特徴または境界と照合することができる。
【0032】
スーパールミネッセントダイオードは部分偏光されているため、フォーカシング系110は、偏光ビームスプリッタ104を介して干渉計100に連結することができる。4分の1波長板106が偏光ビームスプリッタ104に接続されて用いられており、戻りの測定ビーム14がフォーカシング系110のフォーカシングアーム112に沿って、焦点検知ビーム64として反射される。偏光ビームスプリッタ104は、効率を向上させるとともに、光源102へのフィードバックを減少させる。共通光源102を共用してはいるが、干渉計100とフォーカシング系110はともに、前の実施例における干渉計およびフォーカシング系と同様の動作をする。
【0033】
また、偏光ビームスプリッタ104の代わりに、一部反射性、一部透過性のビームスプリッタを用いることができる。この別のビームスプリッタでは、好ましくは、最初の測定ビーム14のパワーをより多く保存するために透過を重視する。一方、焦点検出器74に集められる焦点検知ビーム64のパワーが一部犠牲にされる。
【0034】
図1と図3の実施例は、平行化された試験ビーム26および/または焦点検知ビーム64、14が、共用の対物レンズ38に入る様子を示している。共用の対物レンズ38を有限共役ビデオ結像系(つまり、無限遠補正されておらず、したがって、ダイクロイックビームスプリッタ36への発散ビームの入射を必要とする)の一部とするならば、光学設計分野の当業者は、偏光ビームスプリッタ24(図1)とダイクロイックビームスプリッタ36との間、50/50ビームスプリッタ22(図3)とダイクロイックビームスプリッタ36との間、またはその他の場所に、2つの光学系を結びつけるために、適切なレンズ要素を付加することができるであろう。
【0035】
測定ビームと焦点検知ビームの少なくとも一方が可視スペクトル内にあるため測定スポットが試験面に現れるが、その主たる機能を果たすためには、これらビームのいずれかまたは両方を、赤外領域のような不可視域内で用いてもよい。部分コヒーレンス干渉計10はフォーカシング系60とともに収容し、スタンドアローン型のセンサとしてもよく、これらの部品を別々に収容、またはモジュール化してもよい。図1および図3の部分コヒーレンス干渉計はマイケルソン干渉計として構成されているが、干渉計は他の既知の干渉計の形態をとってもよい。
【0036】
以上の実施例は、本発明がいかに実施され得るのかを示す例として紹介したに過ぎない。当業者には、本発明に従って、修正、置換その他の変更を行い、さまざまな異なる用途に対応可能であることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のスペクトル帯域幅を有する測定ビームを採用したタイプの部分コヒーレンス干渉計であって、以下の構成を備えたことを特徴とする干渉計。
上記測定ビームの試験ビーム部を、試験面に遭遇する経路に沿って送るための試験アーム。
上記測定ビームの基準ビーム部を、基準面に遭遇する経路に沿って送るための基準アーム。
上記試験アームは、上記試験ビームを上記試験面上に集束させ、上記試験ビームの上記試験面からの反射部分を集めるための、集束光学要素を含む。
上記試験アームおよび上記基準アームに連結されたスペクトル感受性検出系。このスペクトル感受性検出系は、測定ビームスペクトル帯域幅の範囲にわたり、波長の関数としての干渉を、上記試験アームと上記基準アームとの間の符号なしの光路長差の測定値としてモニターする。
上記干渉計で較正した焦点検出系。この焦点検出系は、上記試験アームと上記基準アームとの間の有意にゼロより大きい光路長差と、上記試験アームと上記基準アームとの間の有意にゼロより小さい光路長差とを識別するためのもので、上記試験アームと上記基準アームとの上記符号のない光路長差の測定値に関連した不明瞭性を解決するためのものである。
【請求項2】
上記焦点検出系が、上記試験面から反射された光を上記集束光学要素を通って焦点検出器まで送る焦点検出アームを備えたことを特徴とする、請求項1に記載の干渉計。
【請求項3】
上記焦点検出系が、上記試験アームと上記基準アームとの上記光路長差が有意にゼロよりも大きくなる上記試験面の位置と、上記試験アームと上記基準アームとの上記光路長差が有意にゼロよりも小さくなる上記試験面の位置とを識別することを特徴とする、請求項2に記載の干渉計。
【請求項4】
上記焦点検出系が、好ましくは、ゼロに近い光路長差と、いずれかの符号の光路長差であって、ゼロよりも有意に大きいか又は小さい光路長差との識別も行うことを特徴とする、請求項3に記載の干渉計。
【請求項5】
プロセッサをさらに備え、このプロセッサは、(a)上記試験アームと上記基準アームとの符号のない光路長差に関連した上記スペクトル感受性検出系からの測定値と、(b)上記試験面が、上記試験アームと上記基準アームとの上記光路長差がゼロよりも大きくなる位置にあるのか、小さくなる位置にあるのかを示す、上記焦点検出系からの情報を受け取ることを特徴とする、請求項3に記載の干渉計。
【請求項6】
上記試験面から反射し、上記集束光学要素を通って、焦点検出器に至る光は、上記測定ビームの一部であることを特徴とする、請求項3に記載の干渉計。
【請求項7】
上記測定ビームを生成するための第一光源と、焦点検知ビームを生成するための第二光源とをさらに備え、この焦点検知ビームは、上記焦点検出アームによって、上記集束光学要素を通って上記試験面へ、そして上記試験面から上記集束光学要素を通って上記焦点検出器へ送られることを特徴とする、請求項3に記載の干渉計。
【請求項8】
上記焦点検知ビームの表示波長が可視波長域内にあり、上記測定ビームの表示波長が不可視波長域内にあることを特徴とする、請求項7に記載の干渉計。
【請求項9】
焦点検出系が上記干渉計で較正され、この較正は、上記集束光学要素を通過する光の焦点を、上記試験アームの上記光路長と上記基準アームの上記光路長が等しくなる零状態から、所定のオフセットをもって位置づけることによって行うことを特徴とする、請求項3に記載の干渉計。
【請求項10】
上記干渉計が所定の測定範囲を有し、上記所定のオフセットが少なくとも上記干渉計の上記所定の測定範囲の半分であることを特徴とする、請求項9に記載の干渉計。
【請求項11】
測定ビームの試験ビーム部と基準ビーム部が通り抜ける光路長の差を、結合ビームの波長の範囲わたって干渉変動をモニターすることによって測定する部分コヒーレンス干渉計であって、以下の構成を備えたことを特徴とする干渉計。
上記測定ビームの上記試験ビーム部および上記基準ビーム部を、光源から送るための試験アームおよび基準アーム。
上記試験アームは、上記試験ビームを上記試験面上に集束させ、上記試験ビームの上記試験面からの反射部分を集めるための、集束光学要素を含む。
焦点検出系。この焦点検出系は、上記試験面から反射された光を上記集束光学要素を通って焦点検出器に送る焦点検出アームを含む。
上記集束光学要素の焦点が上記試験アームと上記基準アームとの所定の光路長差と関連しており、そのため上記焦点検出系が、上記基準アームの光路長に較べて有意に短い試験アームの光路長と、有意に長い試験アームの光路長とを識別できるようになっている。
【請求項12】
上記集束光学要素の上記焦点が、上記試験アームと上記基準アームの上記光路長が等しい零状態からオフセットしていることを特徴とする、請求項11に記載の干渉計。
【請求項13】
上記焦点検出系が上記試験アームと上記基準アームとの光路長差範囲に対応する焦点誤差範囲を同定し、この光路長差範囲では、上記試験アームの上記光路長が上記基準アームの上記光路長より、有意に長いか又は有意に短いかのいずれか一方であることを特徴とする、請求項12に記載の干渉計。
【請求項14】
上記同定された上記試験アームと上記基準アームとの間の光路長差範囲が、上記試験アームと上記基準アームの上記光路長が等しい零状態に近い光路長差を含まないことを特徴とする、請求項13に記載の干渉計。
【請求項15】
プロセッサをさらに備え、このプロセッサは、上記同定された焦点誤差範囲に関連した、上記試験アームと上記基準アームの光路長差の干渉測定値を選択するように構成されていることを特徴とする、請求項14に記載の干渉計。
【請求項16】
上記試験面から反射し上記集束光学要素を通って焦点検出器に至る光が、上記光源からの上記試験ビームの一部であることを特徴とする、請求項11に記載の干渉計。
【請求項17】
上記測定ビームを生成するための上記光源は、2つある光源のうちの第一の光源であり、第二の光源は焦点検知ビームを生成し、この焦点検知ビームは、上記焦点検出アームによって、上記集束光学要素を通って上記試験面へ、そして上記試験面から上記集束光学要素を通って上記焦点検出器へ送られることを特徴とする、請求項11に記載の干渉計。
【請求項18】
上記焦点検知ビームの表示波長が可視波長域内にあり、上記測定ビームの表示波長が不可視波長域内にあることを特徴とする、請求項17に記載の干渉計。
【請求項19】
試験ビームと基準ビームとの間の符号なしの光路長差に基づく部分コヒーレンス干渉測定の測定不明瞭性、を解決するための方法であって、以下の工程からなる方法。
所定のスペクトル帯域幅を有する測定ビームを生成する。
上記測定ビームを試験アームに沿って伝播する試験ビームと、基準アームに沿って伝播する基準ビームとに分離する。
上記試験ビームを、上記試験アームに沿い集束光学要素を通って試験面に至り、上記集束光学要素を通って上記試験面から戻るように方向づける。
上記試験ビームと上記基準ビームとを再結合させる。
上記再結合した試験ビームと基準ビームの波長の範囲にわたる干渉の変化を、上記試験アームと上記基準アームの符号なしの光路長差の測定値としてモニターする。
上記試験面から反射された光を、上記集束光学要素を通って、焦点誤差を測定するための焦点検出器へ送る。
上記試験アームの光路長であって、上記基準アームの上記光路長よりも有意に短いものと、有意に長いものとを、上記測定された焦点誤差に基づいて識別する。
【請求項20】
上記集束光学要素の焦点を、上記試験アームと上記基準アームの上記光路長とが等しい零状態からオフセットされた位置に位置づける工程を含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記識別する工程が、上記試験アームと上記基準アームとの上記光路長差がゼロより有意に大きくなる上記試験面の位置と、上記試験アームと上記基準アームとの上記光路長差がゼロより有意に小さくなる上記試験面の位置とを識別することを含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
上記識別する工程が、ゼロに近い光路長差と、ゼロより有意に大きいか有意に小さい、いずれかの符号の上記光路長差とを識別することを含むことを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
上記試験アームと上記基準アームとの光路長差範囲に対応する焦点誤差範囲を同定する工程を含み、この光路長差範囲では、上記試験アームの上記光路長が上記基準アームの上記光路長よりも有意に長いか又は有意に短いかのいずれか一方であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
上記同定された焦点誤差範囲に関連した、上記試験アームと上記基準アームの光路長差のモニターされた干渉測定値を選択する工程を含むことを特徴とする、請求項23に記載の方法。


【図1】
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【図3】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2010−510529(P2010−510529A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546588(P2009−546588)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/068602
【国際公開番号】WO2009/079031
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(505377430)クオリティー ヴィジョン インターナショナル インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Quality Vision International, Inc.
【Fターム(参考)】